JP6034470B1 - 植生袋及び植生マット - Google Patents

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Abstract

【課題】内包する生育基盤材の流亡を長期的に防止しつつ、植生領域をより効率的に緑化することを可能とする植生袋を提供する。【解決手段】植生袋100は、生育基盤材を内包可能な袋状又は筒状の第1の層101と、該第1の層101の外面に添着されている種子105と、該種子105を第1の層101とで挟み込むように、第1の層101の外面全体を被覆している第2の層103と、を備える。第1の層101は、内部に生育基盤材107を維持可能な非水解性を有し、且つ、種子105から生えた根が通過することを許容する通根性を有する。第2の層103は、経時とともに種子105から発芽した植生植物の芽が通過することを許容する通芽性を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、植生領域を緑化するための植生袋及び該植生袋を用いた植生マットに関する。
各種法面や新規造成地等の施工面においては、その緑化を積極的に行って、法面等の美化と共に土砂の流失を防止することが行われている。そして、法面を緑化すべく、土壌、種子、肥料、保水材、土壌菌などの生育基盤材(又は植生基材)を植生用の袋体(以下、植生袋という)に充填し、この植生袋を法面の植生域にアンカーなどを用いて固定する。
例えば、特許文献1は、法面に対する植生を行うことができる植生材袋(10)を開示している。植生材袋(10)は、肥料、土壌改良材、保水材等の植生基材(30)を包み込んで形成されて、植生用網状体(20)の袋状部(21)内に収納される。この植生材袋(10)の谷側となる下側約半分を水に対して非溶解性の材料によって非溶解部(11)を形成するとともに、植生材袋(10)の山側となる上側約半分を水に対して溶解性のある材料によって溶解部(12)を形成した。雨等が降れば、溶解部(12)は、その溶解を始めて当該植生材袋(10)内の植生基材(30)が水分を吸収し得る状態にするとともに、徐々にまたは十分な雨があれば早期に消失する。これに対して、植生材袋(10)の非溶解部(11)は雨等に対して溶解しないので、例えば植生用網状体(20)の袋状部(21)内に残留したままであるとともに、この非溶解部(11)は山側に向けて開口した状態を維持するものとなる。このため、植生材袋(10)内に包まれていた植生基材(30)の一部は、この非溶解部(11)によって保持されたままとなる。非溶解部(11)は、植生材袋(10)内に包まれていた植生基材(30)の一部の保持を行っているものであり、これによって法面(40)の植生作用が継続される。なお、()内に特許文献1の符号を示した。
特開平6−7027号公報
特許文献1の植生袋では、降雨により植生袋(植生材袋(10))の上側半分が溶解して開口が形成され、内容物である生育基盤材が上方に露出することとなる。そのため、激しい降雨などにより、生育基盤材が植生袋の開口から流亡する虞があった。つまり、肥料などの植生植物の生育に有用な生育基盤材が降雨によって流亡し、植生植物の生育に十分に寄与できないことが問題であった。また、風や雨水等が開口を介して生育基盤材に直接作用することにより、生育基盤材の表面が動いて、発芽した植物に根切れ等が生じ、植物の生育が阻害され易いことが問題であった。さらには、従来の植生袋では、生育基盤材全体に種子を混合するので、生育基盤材の深い位置にある種子は発芽することができずに無駄となっている。そのため、結果として種子量を多くすることが必要であり、その効率が悪いことが課題であった。
本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであり、その目的は、内包する生育基盤材の流亡を長期的に防止し、且つ、植生袋内部に生育基盤材を安定的に維持することにより、植生領域を効率的に緑化することを可能とする植生袋、及び、該植生袋を用いた植生マットを提供することにある。
より具体的には、植生袋を構成し得る通根性素材と通芽性素材では必要とする機能(隙間の大きさ等)が異なり、本発明は、その違いを利用している。一般に、植物の根は、先端がとがった針のような形状をしている。この針のような形状をしていることにより、土壌のごくわずかな隙間にも根を伸長させることができるのである。そのため、通根性素材は(通芽性素材に比べて)隙間が小さい素材であっても、貫通して根を伸長させることができるという特徴がある。一方、植物の芽は、一部では先端がとがったものもあるが、多くが双葉状の形状をしている。そのため、出芽する際の抵抗が大きくなるので、出芽性素材には隙間が大きい素材、あるいは水解性の素材を使用し、植物の芽がスムーズに貫通できるようにする必要がある。本発明は、上述したような通根性・通芽性素材に求められる機能の違いに着目したものであり、性質の異なる2つの素材を組み合わせることにより、生育基盤材の流亡防止と植生植物の生育という相反する課題を解決しようとしたものである。
請求項1に記載の植生袋は、生育基盤材を内包可能な袋状又は筒状の第1の層と、
前記第1の層の外面に添着されている種子と、
前記種子を前記第1の層とで挟み込むように、前記第1の層の外面全体を被覆している第2の層と、を備え、
前記第1の層は、内部に前記生育基盤材を保持可能な非水解性を有し、且つ、前記種子から生えた根が通過することを許容する通根性を有し、
前記第2の層は、腐食性、分解性又は水解性シートからなり、経時とともに前記種子から発芽した植生植物の芽が通過することを許容する通芽性を有することを特徴とする。
請求項2に記載の植生袋は、請求項1に記載の植生袋において、前記第1の層は、根が通過可能な隙間を有する非水解性シート、又は、メッシュ状の非水解性シートからなることを特徴とする。
請求項に記載の植生袋は、生育基盤材を内包可能な袋状又は筒状の第1の層と、
前記第1の層の外面全体を被覆している中間層と、
前記中間層の外面に添着されている種子と、
前記種子を前記中間層とで挟み込むように、前記中間層の外面全体を被覆している第2の層と、を備え、
前記第1の層は、内部に前記生育基盤材を保持可能な非水解性を有し、且つ、前記種子から生えた根が通過することを許容する通根性を有し
前記第2の層は、腐食性、分解性又は水解性シートからなり、経時とともに前記種子から発芽した植生植物の芽が通過することを許容する通芽性を有し、
前記中間層は、通根性を有していることを特徴とする。
請求項に記載の植生マットは、請求項1からのいずれか一項に記載の複数の植生袋がマット状に連結されてなることを特徴とする。
本発明の一形態の植生袋によれば、通根性を有する第1の層とその外面を覆う通芽性を有する第2の層との間に植生植物の種子が添着されている。第2の層が種子から発芽した植生植物の芽の通過を許容するように構成されているので、種子からの出芽が妨げられることがない。さらには、種子が地表面付近の発芽に好ましい位置に配置されるため、種子の発芽を効果的に促進することが可能である。つまり、種子をより効率的に発芽させることが可能である。さらに、種子が第2の層によって保護されているので、第2の層の存在時には、植生袋から流れ落ちる虞がほとんどない。そして、第1の層外面に種子が添着されているので、比較的強い流水によっても種子が流れ落ちることが抑えられる。他方、第1の層は、内部に生育基盤材を維持保持可能であり、且つ、種子から生えた根が通過することを許容する。また、第1の層は、非水解性を有し、降雨によって短期間で分解(水解)されることがないため、第1の層が長期間に亘って袋状又は筒状の原形を維持することができる。これにより、経時による種子や生育基盤材の流亡を抑えるとともに、生育基盤材の植生袋内での流動を抑え、生育基盤材を長期に亘って内部に安定的に維持することができる。したがって、本発明の植生袋は、植生植物の成長を生育基盤材で長期的に補助し、植生領域をより効率的に緑化することが可能である。
本発明のさらなる形態の植生袋によれば、非水解性を有する第1の層外面に植生植物の種子が添着されている。第1の層は、内部に生育基盤材を維持可能であり、且つ、種子から生えた根が通過することを許容する。すなわち、本発明の植生袋では、第1の層が非水解性であるので、降雨によって短期間で分解(水解)されることがないため、第1の層が長期間に亘って袋状又は筒状の原形を維持することができる。さらには、種子が地表面付近の発芽に好ましい位置に配置されるため、種子の発芽を効果的に促進することが可能である。つまり、種子をより効率的に発芽させることが可能である。また、第1の層外面に種子が添着されているので、比較的強い流水によっても種子が流れ落ちることが抑えられる。これにより、経時による種子や生育基盤材の流亡を抑えるとともに、生育基盤材の植生袋内での流動を抑え、生育基盤材を長期に亘って内部に安定的に維持することができる。したがって、本発明の植生袋は、植生植物の成長を生育基盤材で長期的に補助し、植生領域をより効率的に緑化することが可能である。
本発明のさらなる形態の植生袋によれば、通根性を有する第1の層とその外面を覆う通芽性を有する第2の層との間に中間層が介在し、該中間層の外面に植生植物の種子が添着されている。第2の層が種子から発芽した植生植物の芽の通過を許容するように構成されているので、種子からの出芽が妨げられることがない。さらには、種子が地表面付近の発芽に好ましい位置に配置されるため、種子の発芽を効果的に促進することが可能である。つまり、種子をより効率的に発芽させることが可能である。さらに、種子が第2の層によって保護されているので、第2の層の存在時には、植生袋から流れ落ちる虞がほとんどない。他方、第1の層は、内部に生育基盤材を維持保持可能であり、且つ、種子から生えた根が通過することを許容する。また、第1の層は、非水解性を有し、降雨によって短期間で分解(水解)されることがないため、第1の層が長期間に亘って袋状又は筒状の原形を維持することができる。これにより、経時による種子や生育基盤材の流亡を抑えるとともに、生育基盤材の植生袋内での流動を抑え、生育基盤材を長期に亘って内部に安定的に維持することができる。したがって、本発明の植生袋は、植生植物の成長を生育基盤材で長期的に補助し、植生領域をより効率的に緑化することが可能である。
本発明の一実施形態(第1実施形態)の植生マットの斜視図。 本発明の一実施形態(第1実施形態)の植生袋の斜視図。 図2の植生袋の断面図。 図2の植生袋に生育基盤材を充填した状態を示す断面図。 図1の植生袋の製造工程を説明するための概略図。 本実施形態の植生マットを法面に設置した法面植生構造を示す概略斜視図。 図6の法面植生構造の概略断面図。 図7の法面植生構造の所定期間経過後の状態を示す概略図。 図8の法面植生構造の所定期間経過後の状態を示す概略図。 本発明の別実施形態(第2実施形態)の植生袋の概略断面図。 本発明の別実施形態(第3実施形態)の植生袋の概略断面図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態の植生マット10の斜視図である。この植生マット10は、縦横所定の大きさ及び所定の厚みを有する柔軟な平面長手状のマットである。当該植生マット10は、複数の植生袋100と、該複数の植生袋100が装着される略平面状に延在する網状体11と、を備えてなる。植生マット10は、長尺の帯体として長手方向に延びており、ロール状に巻回可能である。本実施形態では、植生袋100は、独立した細長いチューブ(筒)状の袋体である。この各植生袋100の長手方向が植生マット10の幅方向(長手方向に直交する方向)に向くように、配置されている。他方、網状体11は、ネットを2重にしたものであり、各植生袋100を収容可能に幅方向に延びる、複数の筒状の収容部11aを有している。そして、各収容部11aに植生袋100がそれぞれ差し込まれている。すなわち、網状体11によって複数の植生袋100が収容保持されることにより、植生マット10が構成されている。なお、本実施形態では、各植生袋100が隣接配置されているが、空の収容部11aを介して植生袋100を間隔を開けて設置してもよい。
図2は、本実施形態の植生袋100の斜視図である。図2に示すように、植生袋100は、細長いチューブ状に形成されている。植生袋100は、生育基盤材107を内包可能な内部空間を有する。そして、植生袋100は、生育基盤材107を受け入れ可能に一端で開放されており、他端で閉塞されている。植生袋100の開放端は、生育基盤材を詰めた後にステープラや接着剤などにより封止される。
図3は、本実施形態の植生袋100(生育基盤材封入なし)の断面図であり、図4は、該植生袋100(生育基盤材封入済み)の断面図である。図3及び図4に示すとおり、植生袋100は、生育基盤材107を内包可能な内部空間を定める第1の層101と、該第1の層101の外面に添着されている種子105と、該種子105とともに第1の層101の外面全体を被覆している第2の層103とを備える。第2の層103は第1の層101外面に接着されており、両者の間にほとんど隙間がないように第1及び第2の層101、103が互いに接合されている。すなわち、第1の層101が植生袋100の内層を構成し、第2の層103が植生袋100の外層を構成し、第1の層101と第2の層103との間に植生植物の種子105が挟み込まれている。種子105は、移動しないように層間に保持されている。なお、種子105とともに土壌、肥料、保水材、土壌菌などを混合して保持してもよい。
植生植物の種子105は、第1の層101外面全体に亘ってほぼ均等に接着(固着)されている。植生に必要な層状に張り付けられる種子105の量は、従来のような生育基盤材(植生基材)の中に種子を均一に混ぜる場合と比べて、少量で十分である。また、種子105は、第2の層103によって外方から覆われているので、植生袋100(植生マット10)の輸送時や植生領域への設置直後において、種子105が落下や流れ落ちたり、傷ついたりすることから保護されている。
また、植生袋100は柔軟な素材からなり、生育基盤材107を充填すると、内部空間が膨らんで、図3のような形態から図4のようなチューブ状の形態に変形する。図4において、例えば、植生袋100の厚みが3cmから10cm程度になるように、植生基盤材107が植生袋100に充填されている。生育基盤材107は、土壌、肥料、保水材、土壌菌などを単体又は混合物として含んでいる。本実施形態では、生育基盤材107には種子が含まれていないが、種子が混入されてもよい。
第1の層101は、非水解性シートからなり、降雨によっても原形を維持可能に構成されている。特には、植生袋100の内容物を長期に亘って流出させないため、施工後少なくとも3ヶ月はその形状を維持できる非水解性を有する素材で第1の層101が形成されている。これにより、第1の層101は、長期に亘って内部に生育基盤材107を保持可能である。また、第1の層101は、内部の生育基盤材107の流出を抑えるとともに、(複数又は多数の)種子105から生えた根が通過することを許容する通根性を有する素材(根が通過可能な隙間を有する非水解性シート又はメッシュ状の非水解性シート)で構成されている。すなわち、第1の層101は、生育基盤材107が第1の層101を通過して外部に流出することを抑えつつ、種子105から生えた根が通過可能な隙間(目合い又は開口)を有している。より具体的には、第1の層101の目合い(又は開口幅)は、0.1mm〜10mmであることが好ましい。目合いを0.1mm以上とすることにより、一般的な植生植物の根を通過させることが可能である。そして、目合いを10mm以下とすることにより、少なくとも生育基盤材107の比較的大きい粒成分が目合いを通過することが抑えられる。さらには、第1の層101の目合いは、0.1mm〜1mmであることがより好ましい。この範囲では、植生植物の根の通過を許容しつつ、生育基盤材107中の細かい粒子の流亡をも効果的に抑えることを可能である。なお、本実施形態では、第1の層101は、植生植物の根の通過を許容するが、通芽性を有しない(植生植物の芽の通過を規制する)目合い(0.1mm〜1mm)で構成されている。
例えば、第1の層101は、不織布、織布、紙(非水解性)、非水溶性フィルム、網状体又はこれらの組み合わせから選択され得る。より具体的には、不織布及び織布の素材は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ乳酸、レーヨン、コットン又はこれらの混合物等から選択可能である。好ましくは、目付量が5〜100g/mの範囲である。より好ましい目付量の範囲は、5〜50g/mであり、この範囲の不織布又は織布は多くの種類の植生植物の根を通過させる通根性を有し得る。非水溶性フィルムの素材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩ビ等から選択可能である。網状体の素材は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン又は金網等から選択可能である。例えば、不織布や紙やフィルムなどのような、網目を有しないシート材料が選択された場合、複数の開口が連続的に面状に形成されることにより、「メッシュ状」が構成される。すなわち、本発明における「メッシュ状」は、網状体だけでなく、シートに複数の開口や空隙が連続的に形成されたものをも含んでいる。開口の形状は、丸形、四角形等の任意の形状をとり得る。そして、シートに空隙や開口を形成した場合、「目合い」は、網目だけでなく空隙及び開口の大きさを示す指標となる。なお、第1の層101の厚みは、材料等に応じて任意に定めることが可能である。
第2の層103は、経時とともに種子105から発芽した植生植物の芽が通過することを許容するように構成されている。本実施形態では、第2の層103は、水解性(水溶性、水脆弱性)シートからなる。水解性シートは、降雨により水解する、又は、水溶する等、設置後に短期間(1〜数回の降雨)で容易にその形状や強度を失うことができるものである。該第2の層103は、腐食性又は分解性シートであってもよい。腐食性又は分解性シートは、設置後、短期間(1〜3ヶ月以内)で分解又は腐植して原形を留めないものである。また、本実施形態の第2の層103は、有意な隙間(網目、目合い)を有していない。しかしながら、第1の層101と第2の層103の間に種子105を挟み込んで保持することが可能であれば、第2の層103に多数の開口が形成されていてもよい。
例えば、第2の層103は、水解性の不織布、水解性の織布、水溶性フィルム、紙又はこれらの組み合わせ等から選択可能である。より具体的には、水解性の不織布及び織布は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ乳酸、レーヨン、コットン、又は、これらの混合物を、水溶性の接着剤(ポリビニルアルコール、PVA)等で結合したものである。また、水溶性フィルムは、PVAフィルム等から選択可能である。なお、第2の層103の厚みは、材料等に応じて任意に定めることが可能である。
次に、図5を参照して、植生袋100及び植生マット10の製造方法を説明する。まず、(第1の層101を構成する)長手状の第1シート101’、及び、(第2の層103を構成する)長手状の第2シート103’を準備する。図5(a)に示すとおり、第1シート101’の外面に、(斜線で示した)接着剤とともに種子105を略均一に播種(散布)する。次に、第1シート101’及び種子105を第2シート103’で被覆するように、第1シート101’に第2シート103’を接着剤で接着する。なお、接着剤は、水性接着剤などの一般的な接着剤を使用することができる。そして、図5(b)に示すように、第1シート101’、 第2シート103’及び種子105を一体化したシートを折り曲げて、その幅方向の縁を接合する。本実施形態では、縫合により接合されるが、接着剤等で接合されてもよい。さらに、長尺方向の一端を同様に接合することにより、他端が開放した細長い植生袋100を製造することができる。このように、第1の層101と第2の層103とを一体化した状態で植生袋100を形成するので製造工程を簡略化することができる。続いて、該複数の植生袋100に開口から生育基盤材107を充填して開口を接合する。最後に、生育基盤材107を封入した複数の植生袋100を網状体10の各収容部に差し込むことにより、植生マット10を製造することができる。
なお、ここで説明した方法は、一例にすぎず、当業者であれば、各工程の順序を入れ替え、又は、状況に応じて不要な工程を省略又は変更することも可能である。例えば、先に袋状に形成した第1の層101の外面に、接着剤とともに種子105を散布し、第1の層101及び種子105を第2の層103で外側から被覆するように、第2のシート103を第1の層101外面に接着してもよい。
続いて、図6乃至図9を参照して、本実施形態の植生マット10を法面Gに設置した法面植生構造を説明する。なお、説明の便宜上、図7乃至9において、網状体11を仮想線で表した。
図6は、植生マット10を法面Gに設置した直後の法面植生構造の概略斜視図であり、図7は、その概略断面図である。図6及び図7に示すように、各植生袋100に生育基盤材107が十分に充填された状態の植生マット10が法面Gに敷設されている。植生袋100の長手方向が法面Gの傾斜方向と直交する方向に沿うように、植生マット10が配置されている。換言すると、植生マット10の長尺方向が法面Pの傾斜方向と一致している。法面Gの面積に応じて、複数の植生マット10を幅方向に並設し、法面Gの植生領域全体を覆ってもよい。図7の設置直後の法面植生構造では、第1の層101と第2の層103との間に種子105を挟み込み、種子105をその場に安定的に留めている。
図8は、設置から所定期間経過後の法面植生構造を示している。図8に示すように、降雨によって第2の層103が部分的に分解(水解又は水溶)され、脆くなっている(説明の便宜上、図8に脆性の第2の層103を点線で示した)。そして、この脆い第2の層103を、種子105の芽が突き破って伸び出ている。なお、第2の層103が完全に分解されずに残っているように図8に示したが、完全に分解された状態で出芽してもよい。他方、第1の層101は、ほぼ完全に袋状の原形を維持している。つまり、植生袋100は、内部に生育基盤材107を流亡させたり、袋内部で流動させることなく安定的に保持している。また、種子105が第1の層101外面に接着されているので、比較的強い水流によっても種子105が流れ落ちることがほとんどない。そして、種子105から伸び出た根が第1の層101を貫通し、生育基盤材107に伸長している。そして、図9に示すように、経時とともに植生植物がさらに成長すると、第2の層103が完全に分解され、植生植物の根が地面側の第1の層101を貫通して、地中に伸長する。この状態においても、第1の層101内部に生育基盤材107が保持されているため、長期間(少なくとも3ヶ月)に亘って生育基盤材107は植生植物の生育を緩効的に補助することができる。
以下、本発明の一実施形態の植生袋100(植生マット10)の作用効果について説明する。
本実施形態の植生袋100(植生マット10)によれば、非水解性シートからなる第1の層101とその外面を覆う第2の層103との間に植生植物の種子105が添着されている。第2の層103が種子105から発芽した植生植物の芽の通過を許容するように構成されているので、種子105からの出芽が妨げられることがない。また、種子105が地表面付近の発芽に好ましい位置に配置されるため、種子105の発芽を効果的に促進することが可能である。さらに、種子105が第2の層103によって保護されているので、第2の層103の存在時には,植生袋100から流れ落ちることがほとんどない。そして、第1の層101外面に種子105が添着(接着)されているので、比較的強い流水によっても種子105が流れ落ちることが抑えられる。他方、第1の層101は、内部に生育基盤材107の流亡を規制し、且つ、種子105から生えた根が通過することを許容する目合いを有している。すなわち、本実施形態の植生袋100では、第1の層101が非水解性シートからなるので、短期間で降雨によって分解(水解)されることがないため、第1の層101が長期間(少なくとも3ヶ月)、袋状又は筒状の原形を維持することができる。さらに、第1の層101の目合い(隙間)の大きさが、生育基盤材107の流出を抑えるとともに植生植物の根が通過可能に構成されている。これにより、経時による種子105や生育基盤材107の流亡を抑えるとともに、生育基盤材107の植生袋100内での流動を抑え、生育基盤材107を長期に亘って内部に安定的に維持することができる。
さらに、本実施形態の植生袋100(植生マット10)によれば、種子105が第1の層101外面にほぼ均等に接着され、ごく薄い層間に配置されている。それ故、緑化に必要な種子105の量は、従来のような生育基盤材(植生基材)の中に種子を均一に混ぜる場合と比べて少量とすることができる。すなわち、従来よりも少量の種子105で効果的に緑化することができるので、種子のコストを節減することが可能である。特に、希少価値の高い種子を用いる場合など、本実施形態の植生袋100を用いることが有効である。また、種子105は、第2の層103によって外方から覆われているので、植生袋100(植生マット10)の輸送時や植生領域への設置直後において、落下したり、傷ついたりすることから保護されている。
したがって、本実施形態の植生袋100は、植生植物の成長を生育基盤材107で長期的に補助し、植生領域をより効率的に緑化することが可能である。
[第2実施形態]
図10は、本発明の別実施形態の植生袋200を示している。図10に示した植生袋200は、通根性を有する非水解性シートからなり、生育基盤材207を内包可能な袋状又は筒状の第1の層201と、該第1の層201の外面に(接着剤を介して)接着されている種子205と、を備える。第1の層201は、内部に生育基盤材207を維持可能であり、且つ、種子205から生えた根が通過することを許容する目合い(又は隙間)を有している。すなわち、植生袋200は、上記実施形態の植生袋100から第2の層105を省略したものである。本植生袋200においても、第1の層201外面に種子205が添着(接着)されているので、比較的強い流水によっても種子205が流れ落ちることが抑えられる。また、第1の層201の目合いの大きさが、生育基盤材207の流出を抑えるとともに植生植物の根が通過可能に構成されていることにより、発芽した植生植物の根が第1の層201内部の生育基盤材207に伸長し、生育基盤材207を長期に亘って内部に維持し、生育基盤材の流亡を抑えることができる。したがって、本実施形態の植生袋200は、植生植物の成長を生育基盤材107で長期的に補助し、植生領域をより効率的に緑化することが可能である。
[第3実施形態]
図11は、本発明の別実施形態の植生袋300を示している。図11に示した植生袋300は、通根性を有する非水解性シートからなり、生育基盤材207を内包可能な袋状又は筒状の第1の層301と、第1の層301の外面全体を被覆している通根性を有する中間層302と、該中間層302の外面に添着されている種子305と、該種子305を中間層302とで挟み込むように、中間層302の外面全体を被覆している通芽性を有する第2の層303と、を備える。すなわち、植生袋300は、上記実施形態の植生袋100に中間層を追加したものである。種子305は、中間層302及び第1の層301を貫通して根を伸ばすことが可能であることから、第1実施形態と同様の作用効果を発揮することが可能である。
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例を取り得る。以下、本発明の変形例を説明する。
(1)本実施形態の植生袋100、300では、第2の層103、303が水解性シートからなる。しかしながら、第2の層は、種子から発芽した植生植物の芽が通過することを許容する通芽性を有する素材であれば、メッシュ状の非水解性シートであってもよい。この場合、該非水解性シートの目合い(空隙、開口)は、0.5mm〜10mmであることが好ましい。例えば、該非水解性シートは、不織布、織布、紙、非水溶性フィルム、網状体又はこれらの組み合わせから構成可能である。より具体的には、不織布及び織布の素材は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ乳酸、レーヨン、コットン又はこれらの混合物等から選択可能である。好ましくは、目付量が5〜100g/mの範囲である。非水溶性フィルムの素材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩ビ等から選択可能である。網状体の素材は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン又は金網等から選択可能である。
(2)上記実施形態では、植生袋に生育基盤材が直接充填されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、少なくとも通根性を有する袋に充填された生育基盤材を植生袋に差し込んで使用してもよい。また、植生袋の外面を通芽性(水溶性、腐食性、分解性)のシートでさらに被覆してもよい。
(3)本実施形態の植生袋100は、チューブ状に形成されたものであるが、本発明の植生袋の形状はチューブ状に限定されない。例えば、植生袋は、所定厚みの円板、矩形板状等の任意の形状をとり得る。そして、網状体を介さずに、植生袋をつなぎ合わせて植生マットを構成してもよい。あるいは、植生袋を1つの大きい所定厚みの平板形状とし、袋内部に生育基盤材が移動しないように複数の仕切りを設けてもよい。
(4)上記実施形態では、種子105が第1の層101外面全体に亘って添着されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1の層外面全体でなく、第1の層の地表面に配置される側の外面のみに種子を添着してもよい。これにより、種子の使用量をさらに節減することが可能である。
(5)上記実施形態では、第1の層101、第2の層103及ぶ種子105が互いに接着剤で固着されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、接着剤を使用せずに、第1の層及び第2の層を接着せずに2重の袋となるように組み合わせ、その間に種子を配置してもよい。この場合、第1の層及び第2の層間の隙間を小さくすることにより、種子を層間で動かないように保持(つまり、添着)することができる。あるいは、種子のみを第1の層外面に接着し、種子が接着した第1の層に第2の層を接着せずに被せてもよい。
(6)上記実施形態では、植生袋100及び植生マット10が法面の緑化に用いられているが、本発明の植生袋及び植生マットは法面以外の緑化にも使用されてもよい。
なお、本発明は上述した複数の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
10 植生マット
11 網状体
100 植生袋(第1実施形態)
101 第1の層
103 第2の層
104 連結代
105 種子
107 生育基盤材
200 植生袋(第2実施形態)
300 植生袋(第3実施形態)
302 中間層
G 法面

Claims (4)

  1. 生育基盤材を内包可能な袋状又は筒状の第1の層と、
    前記第1の層の外面に添着されている種子と、
    前記種子を前記第1の層とで挟み込むように、前記第1の層の外面全体を被覆している第2の層と、を備え、
    前記第1の層は、内部に前記生育基盤材を保持可能な非水解性を有し、且つ、前記種子から生えた根が通過することを許容する通根性を有し
    前記第2の層は、腐食性、分解性又は水解性シートからなり、経時とともに前記種子から発芽した植生植物の芽が通過することを許容する通芽性を有することを特徴とする植生袋。
  2. 前記第1の層は、根が通過可能な隙間を有する非水解性シート、又は、メッシュ状の非水解性シートからなることを特徴とする請求項1に記載の植生袋。
  3. 生育基盤材を内包可能な袋状又は筒状の第1の層と、
    前記第1の層の外面全体を被覆している中間層と、
    前記中間層の外面に添着されている種子と、
    前記種子を前記中間層とで挟み込むように、前記中間層の外面全体を被覆している第2の層と、を備え、
    前記第1の層は、内部に前記生育基盤材を保持可能な非水解性を有し、且つ、前記種子から生えた根が通過することを許容する通根性を有し
    前記第2の層は、腐食性、分解性又は水解性シートからなり、経時とともに前記種子から発芽した植生植物の芽が通過することを許容する通芽性を有し、
    前記中間層は、通根性を有していることを特徴とする植生袋。
  4. 請求項1からのいずれか一項に記載の複数の植生袋がマット状に連結されてなることを特徴とする植生マット。
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