JP6033908B2 - Vベルト式無段変速機 - Google Patents
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Description
可動駆動プーリ半体を機関回転数に応じて軸方向に摺動させるのに、遠心ウエイトを用いるのが、一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
車載内燃機関の動力が伝達される駆動軸に設けられた駆動プーリと車輪に動力が伝達される被動軸に設けられた被動プーリとの間にVベルトが架け渡され、前記駆動プーリは、前記駆動軸に相対回転を規制されて軸方向に摺動自在に軸支された可動駆動プーリ半体が機関回転数に応じて軸方向に摺動して前記駆動軸に固定される固定駆動プーリ半体との間で互いの対向する対向テーパ面が前記Vベルトを挟んで周回させて前記被動軸に動力を伝達するVベルト式無段変速機において、
前記固定駆動プーリ半体に対して前記可動駆動プーリ半体を離反する方向に付勢する付勢手段が設けられ、前記付勢手段は円錐コイルばねであり、前記固定駆動プーリ半体は、対向テーパ面を形成する円錐部に、同円錐部の内周端から前記可動駆動プーリ半体と軸方向反対側に延出する円筒部と、同円筒部の前記円錐部と反対側端部が内側に延出して前記駆動軸に固定される底壁部とを備え、前記円錐コイルばねは、前記固定駆動プーリ半体の前記円筒部内に挿入されて前記底壁部と前記可動駆動プーリ半体との間に介装されることを特徴とする。
そして、コイルばねが、固定駆動プーリ半体の円筒部内に挿入されて底壁部と可動駆動プーリ半体との間に介装されるので、コイルばねが固定駆動プーリ半体の対向テーパ面を形成する円錐部と軸方向で重なる円筒部内にコンパクトに配設され、駆動プーリの軸方向幅を小さく抑えることができる。
また、コイルばねを円錐コイルばねとすることで、ばねの圧縮時に軸方向で重なることにより伸縮ストロークを大きくすることができ、また、駆動プーリの軸方向幅を小さく抑えることができる。
車載内燃機関の動力が伝達される駆動軸に設けられた駆動プーリと車輪に動力が伝達される被動軸に設けられた被動プーリとの間にVベルトが架け渡され、前記駆動プーリは、前記駆動軸に相対回転を規制されて軸方向に摺動自在に軸支された可動駆動プーリ半体が機関回転数に応じて軸方向に摺動して前記駆動軸に固定される固定駆動プーリ半体との間で互いの対向する対向テーパ面が前記Vベルトを挟んで周回させて前記被動軸に動力を伝達するVベルト式無段変速機において、
前記固定駆動プーリ半体に対して前記可動駆動プーリ半体を離反する方向に付勢する付勢手段が設けられ、前記付勢手段がコイルばねであり、前記固定駆動プーリ半体は、対向テーパ面を形成する円錐部に、同円錐部の内周端から前記可動駆動プーリ半体と軸方向反対側に延出する円筒部と、同円筒部の前記円錐部と反対側端部が内側に延出して前記駆動軸に固定される底壁部とを備え、前記コイルばねは、前記固定駆動プーリ半体の前記円筒部内に挿入されて前記底壁部と前記可動駆動プーリ半体との間に介装され、前記可動駆動プーリ半体は、前記駆動軸に相対回転を規制されて軸方向に摺動可能に軸支された摺動スリーブに嵌着され、前記摺動支持スリーブの前記可動駆動プーリ半体より軸方向で前記固定駆動プーリ半体側に延出した延出部の外周にベアリングが嵌着され、機関回転数が小さいときに、前記ベアリングが前記固定駆動プーリ半体と前記可動駆動プーリ半体との間に位置することを特徴とする。
前記コイルばねは、前記固定駆動プーリ半体の前記底壁部と前記ベアリングのインナレースとの間に介装されるようにしてもよい。
機関回転数が大きくなると、前記可動駆動プーリ半体の前記固定駆動プーリ半体に近づく方向の移動により、前記ベアリングは前記固定駆動プーリ半体の前記円筒部の内側に収容されるようにしてもよい。
そして、コイルばねが、固定駆動プーリ半体の円筒部内に挿入されて底壁部と可動駆動プーリ半体との間に介装されるので、コイルばねが固定駆動プーリ半体の対向テーパ面を形成する円錐部と軸方向で重なる円筒部内にコンパクトに配設され、駆動プーリの軸方向幅を小さく抑えることができる。
また、コイルばねを円錐コイルばねとすることで、ばねの圧縮時に軸方向で重なることにより伸縮ストロークを大きくすることができ、また、駆動プーリの軸方向幅を小さく抑えることができる。
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係る鞍乗型車両である自動二輪車1の側面図である。
なお、本明細書の説明において、前後左右の向きは、本実施の形態に係る自動二輪車1の直進方向を前方とする通常の基準に従うものとし、図面において、FRは前方を,LHは左方を,RHは右方を示すものとする。
すなわち車体前部1fのヘッドパイプ2からダウンチューブ3が下方へ延出し、同ダウンチューブ3は下端で水平に屈曲してフロア部1cの下方を後方へ延び、その後端において左右一対のメインパイプ4が連結され、メインパイプ4は該連結部から斜め後方に立ち上がって所定高さで水平に屈曲して後方に延びている。
一方車体前部1fにおいては、ヘッドパイプ2に軸支されて上方にハンドル11が設けられ、下方にフロントフォーク12が延びてその下端に前輪13が軸支されている。
パワーユニット20は、その前部が単気筒4ストロークの空冷式内燃機関30であり、シリンダブロック32を略水平に近い状態にまで大きく前傾した姿勢にあって、そのクランクケース31の下端から前方に突出したハンガーブラケット18の端部が前記リンク部材16にピボット軸(枢支)19を介して連結され、パワーユニット20が上下に揺動可能に連結支持されている。
この減速ギヤ機構120のあるパワーユニット20の後部に立設された支持ブラケット29と前記メインパイプ4の後部間にリヤクッション22が介装されている(図1参照)。
一方、シリンダヘッド33の下部から下方に延出した排気管27は、後方へ屈曲し右側に偏って後方に延びて後輪21の右側のマフラ28に連結される。
フロア部1cはサイドカバー9eにより覆われ、また車体後部1rは左右側方からボデイカバー10によって覆われる。
クランクシャフト40は、左クランクシャフト40Lと右クランクシャフト40Rの各クランクウエブをクランクピン40pが連結した一体構造をしている。
なお、シリンダヘッド33においてカムチェーン室52と反対側(左側)から燃焼室35に向かって点火プラグ36が嵌挿されている(図3,図4参照)。
シュラウド37のシリンダブロック32とシリンダヘッド33の左側を覆う部分は、前部から後部にかけて徐々に大きく左方に膨出した送風ダクト部37bが形成されている。
送風ダクト部37bの後部は、後方のVベルト式無段変速機60に向けて開口37bhを形成している。
固定駆動プーリ半体71と可動駆動プーリ半体72は、互いに対向してVベルト75を挟む対向テーパ面71f,72fを形成する円錐部71c,72cを有する。
固定駆動プーリ半体71の円筒部71sの内径は、左クランクシャフト40Lの軸部の外径より十分大きい。
可動駆動プーリ半体72の円錐部72cの背後(右側)の湾曲した背面と左クランクシャフト40Lの延長軸部40bに軸支されジャーナル部40aに接して固着されるガイドプレート63との間に、複数の遠心ウエイト62が径方向に移動可能に挟まれて配設されている。
したがって、可動駆動プーリ半体72は、左クランクシャフト40Lと一体に回転するカラー部材64の外周に摺動支持スリーブ68を介して軸方向の移動を可能に軸支される。
クランクシャフト40と一体に回転する冷却ファン65は、その複数の羽根65pの回転により、外気が冷却風導入口61hより変速室60Cに導入され、導入された外気の一部は後方に向かってVベルト式無段変速機60を冷却し、一部は前方に向かってシュラウド37の送風ダクト部37bの開口37bhから入り、送風ダクト部37bに案内されてシリンダブロック32およびシリンダヘッド33に至り、シリンダブロック32およびシリンダヘッド33を冷却する。
減速中間軸122に嵌着された中間大径ギヤ123が被動軸110に形成された小径ギヤ111gと噛合している。
したがって、被動軸110の回転は、減速ギヤ機構120の小径ギヤ111gと中間大径ギヤ123の噛合および小径ギヤ122gと後車軸大径ギヤ124の噛合を介して減速されて後車軸125に伝達されて後輪21が回転される。
同様に、第2被押圧部材108の3片の被押圧片108pの先端部にも、それぞれ摩擦部材であるクラッチシュー108Sが左方に突出して取り付けられている。
第1被押圧部材105と第2被押圧部材108は、面対称の同じ形状をしている。
仲介スリーブ102は、右側の大径円筒部102aがニードルベアリング103とボールベアリング104のアウタレースに嵌合し、左側の小径円筒部102bがカラー部材106の外周を左端部を残して覆っている。
第1被動プーリ半体81は、第1円錐部81cの内周部が屈曲して右方に延出する第1内周円筒部81sと第1円錐部81cの外周部が左方に屈曲した第1外周屈曲部81eとが形成されている。
第2被動プーリ半体82は、第2円錐部82cの内周部が屈曲して右方に延出する第2内周円筒部82sと第2円錐部82cの外周部が右方に屈曲した第2外周屈曲部82eとが形成されている。
仲介スリーブ102と第2支持スリーブ84との間には、仲介スリーブ102の右端部と左端部近傍にそれぞれシール部材97a,97bが介装されている。
したがって、第2被動プーリ半体82は、第2支持スリーブ84に支持されて、仲介スリーブ102に摺動を許して軸支される。
ガイドピン85pの径方向外方に突出した部分にはローラ85rが回転自在に軸支されている。
第2支持スリーブ84の第2支持円筒部84sと第1支持スリーブ83との間には、第1支持スリーブ83の右端部と左端部近傍にそれぞれシール部材98a,98bが介装されている。
トルクカム機構85は、ガイドピン85pのカム孔85hへの摺動可能な嵌合により、この第1被動プーリ半体81と第2被動プーリ半体82の相対回転を互いに近づける軸方向の移動に変えて、Vベルト75を挟みつけるようにし、Vベルト75の周回する動力をできるだけ滑りを生じさせずに被動プーリ80に確実に伝達するようにしている。
また、第1支持スリーブ83の第1支持円筒部83sにおけるカム孔85hより左側に外周溝85vが形成され、同外周溝85vにシールリング89bが嵌合される。
第1環状凸部81Pは、第2被動プーリ半体82の第2内周円筒部82sの内側の第2環状凹部82Qに臨み、第2環状凹部82Qに挿入可能である(図6参照)。
第1押圧部材91は、摺動支持スリーブ90に嵌着されるハブ部91hから放射状に延出した5本のスポーク部91sが先端で円環状押圧部91pを一体に支持している(図3,図6参照)。
以上のように、第1押圧部材91と第1被押圧部材105との間に、第1乾式クラッチ機構C1が構成されている。
被動軸110のジャーナル部110aに接して被動軸110に固定される第2被押圧部材108は、第2被動プーリ半体82の右側に対向して位置し、3片の被押圧片108pの外径は、第2被動プーリ半体82の外径に略等しい。
第2被押圧部材108の3片の被押圧片108pの先端部に取り付けられたクラッチシュー108Sは、第2被動プーリ半体82に固着された第2押圧部材92に対向している。
以上のように、第2押圧部材92と第2被押圧部材108との間に、第2乾式クラッチ機構C2が構成されている。
リテーナ94は、5本のスポーク部91sの屈曲部91ssに把持される左端の大径のスプリング受け部94cから右方に径を徐々に小さくして円錐部94aが形成され、同円錐部94aの小径の右端は内側に若干延出して円開口を有する縮径環状部94bが形成されている。
このリテーナ94の左端のスプリング受け部94cと第1被動プーリ半体81の第1円錐部81cの内周縁の第1内周円筒部81sとの間に円錐コイルばね95が介装される。
したがって、円錐コイルばね95は、リテーナ94を介して第1押圧部材91と第1被動プーリ半体81とを離反する方向に付勢する。
図5および図6は、機関回転数が小さいときのVベルト式無段変速機60の駆動プーリ70の状態と被動プーリ80の状態をそれぞれ示している。
機関回転数が上昇すると、駆動プーリ70側では、図7に示されるように、円錐コイルばね73のばね力より勝る遠心ウエイト62の遠心力により、可動駆動プーリ半体72を左方に移動して固定駆動プーリ半体71に近づけ、回転する固定駆動プーリ半体71と可動駆動プーリ半体72との間にVベルト75が挟まれ、Vベルト75を周回させ、固定駆動プーリ半体71と可動駆動プーリ半体72との間に巻き掛けられるVベルト75の巻掛け径を大きくしながら、動力を後方の被動プーリ80に伝達することができる。
図5に示されるように、駆動プーリ70において、固定駆動プーリ半体71に対して可動駆動プーリ半体72を離反する方向に付勢する円錐コイルばね73が設けられ、機関回転数が小さいときは、遠心ウエイト62の遠心力より勝る円錐コイルばね73のばね力により可動駆動プーリ半体72を固定駆動プーリ半体71から大きく離し、Vベルト75は、回転する固定駆動プーリ半体71と可動駆動プーリ半体72に挟まれずにベアリング69のアウタレース69oに支持されるようにしているので、駆動プーリ70が回転してもVベルト75は周回しない。
60…Vベルト式無段変速機、62…遠心ウエイト、63…ガイドプレート、64…カラー部材、68…摺動支持スリーブ、69…ボールベアリング、
70…駆動プーリ、71…固定駆動プーリ半体、71c…円錐部、71s…円筒部、71b…底壁部、72…可動駆動プーリ半体、72c…円錐部、72s…円筒部、73…円錐コイルばね、74…リテーナ、75…Vベルト、
80…被動プーリ、81…第1被動プーリ半体、82…第2被動プーリ半体、83…第1支持スリーブ、84…第2支持スリーブ、85…トルクカム機構、C1…第1乾式クラッチ機構、C2…第2乾式クラッチ機構、
110…被動軸。
Claims (4)
- 車載内燃機関の動力が伝達される駆動軸(40)に設けられた駆動プーリ(70)と車輪に動力が伝達される被動軸(110)に設けられた被動プーリ(80)との間にVベルト(75)が架け渡され、
前記駆動プーリ(70)は、前記駆動軸(40)に相対回転を規制されて軸方向に摺動自在に軸支された可動駆動プーリ半体(72)が機関回転数に応じて軸方向に摺動して前記駆動軸(40)に固定される固定駆動プーリ半体(71)との間で互いの対向する対向テーパ面(71f,72f)が前記Vベルト(75)を挟んで周回させて前記被動軸(110)に動力を伝達するVベルト式無段変速機において、
前記固定駆動プーリ半体(71)に対して前記可動駆動プーリ半体(72)を離反する方向に付勢する付勢手段(73)が設けられ、
前記付勢手段(73)は円錐コイルばね(73)であり、
前記固定駆動プーリ半体(71)は、対向テーパ面(71f)を形成する円錐部(71c)に、同円錐部(71c)の内周端から前記可動駆動プーリ半体(72)と軸方向反対側に延出する円筒部(71s)と、同円筒部(71s)の前記円錐部(71c)と反対側端部が内側に延出して前記駆動軸に固定される底壁部(71b)とを備え、
前記円錐コイルばね(73)は、前記固定駆動プーリ半体(71)の前記円筒部(71s)内に挿入されて前記底壁部(71b)と前記可動駆動プーリ半体(72)との間に介装される
ことを特徴とするVベルト式無段変速機。 - 車載内燃機関の動力が伝達される駆動軸(40)に設けられた駆動プーリ(70)と車輪に動力が伝達される被動軸(110)に設けられた被動プーリ(80)との間にVベルト(75)が架け渡され、
前記駆動プーリ(70)は、前記駆動軸(40)に相対回転を規制されて軸方向に摺動自在に軸支された可動駆動プーリ半体(72)が機関回転数に応じて軸方向に摺動して前記駆動軸(40)に固定される固定駆動プーリ半体(71)との間で互いの対向する対向テーパ面(71f,72f)が前記Vベルト(75)を挟んで周回させて前記被動軸(110)に動力を伝達するVベルト式無段変速機において、
前記固定駆動プーリ半体(71)に対して前記可動駆動プーリ半体(72)を離反する方向に付勢する付勢手段(73)が設けられ、
前記付勢手段(73)がコイルばね(73)であり、
前記固定駆動プーリ半体(71)は、対向テーパ面(71f)を形成する円錐部(71c)に、同円錐部(71c)の内周端から前記可動駆動プーリ半体(72)と軸方向反対側に延出する円筒部(71s)と、同円筒部(71s)の前記円錐部(71c)と反対側端部が内側に延出して前記駆動軸に固定される底壁部(71b)とを備え、
前記コイルばね(73)は、前記固定駆動プーリ半体(71)の前記円筒部(71s)内に挿入されて前記底壁部(71b)と前記可動駆動プーリ半体(72)との間に介装され、
前記可動駆動プーリ半体(72)は、前記駆動軸(40)に相対回転を規制されて軸方向に摺動可能に軸支された摺動スリーブ(68)に嵌着され、
前記摺動支持スリーブ(68)の前記可動駆動プーリ半体(72)より軸方向で前記固定駆動プーリ半体(71)側に延出した延出部の外周にベアリング(69)が嵌着され、
機関回転数が小さいときに、前記ベアリング(69)が前記固定駆動プーリ半体(71)と前記可動駆動プーリ半体(72)との間に位置する
ことを特徴とするVベルト式無段変速機。 - 前記コイルばね(73)は、前記固定駆動プーリ半体(71)の前記底壁部(71b)と前記ベアリング(69)のインナレース(69i)との間に介装されることを特徴とする請求項2記載のVベルト式無段変速機。
- 機関回転数が大きくなることによる前記可動駆動プーリ半体(72)の前記固定駆動プーリ半体(71)への近接移動の際に、前記ベアリング(69)が前記固定駆動プーリ半体(71)の前記円筒部(71s)の内側に収容されるように前記円筒部(71s)が設けられていることを特徴とする請求項3記載のVベルト式無段変速機。
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