JP6033624B2 - 光電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は光電変換素子および光電変換素子の製造方法に関する。
太陽光エネルギを電気エネルギに直接変換する太陽電池は、近年、特に、地球環境問題の観点から、次世代のエネルギ源としての期待が急激に高まっている。太陽電池には、化合物半導体または有機材料を用いたものなど様々な種類のものがあるが、現在、主流となっているのは、シリコン結晶を用いたものである。
現在、最も多く製造および販売されている太陽電池は、太陽光が入射する側の面である受光面と、受光面の反対側である裏面とにそれぞれ電極が形成された構造のものである。
しかしながら、受光面に電極を形成した場合、電極における太陽光の反射および吸収によって、電極の面積分だけ入射する太陽光の量が減少してしまう。そこで、たとえば、特開2010−80887号公報(特許文献1)に示されるような裏面のみに電極が形成された太陽電池の開発が進められている。
特開2010−80887号公報
以下、図17〜図33の模式的断面図を参照して、裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例について説明する。まず、図17に示すように、受光面にテクスチャ構造(図示せず)が形成されたn型の単結晶シリコンからなるc−Si(n)基板101の裏面上に、i型の非晶質シリコン膜とp型の非晶質シリコン膜とがこの順序に積層されたa−Si(i/p)層102を形成する。
次に、図18に示すように、c−Si(n)基板101の受光面上に、i型の非晶質シリコン膜とn型の非晶質シリコン膜とがこの順序に積層されたa−Si(i/n)層103を形成する。
次に、図19に示すように、a−Si(i/p)層102の一部の裏面上にフォトレジスト膜104を形成する。ここで、フォトレジスト膜104は、a−Si(i/p)層102の裏面の全面にフォトレジストを塗布した後に、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によってフォトレジストをパターンニングすることによって形成される。
次に、図20に示すように、フォトレジスト膜104をマスクとして、a−Si(i/p)層102の一部をエッチングすることによって、c−Si(n)基板101の裏面を露出させる。
次に、図21に示すように、フォトレジスト膜104を除去した後に、図22に示すように、フォトレジスト膜104を除去して露出したa−Si(i/p)層102の裏面およびエッチングにより露出したc−Si(n)基板101の裏面を覆うようにi型の非晶質シリコン膜とn型の非晶質シリコン膜とがこの順序に積層されたa−Si(i/n)層105を形成する。
次に、図23に示すように、a−Si(i/n)層105の一部の裏面上にフォトレジスト膜106を形成する。ここで、フォトレジスト膜106は、a−Si(i/n)層105の裏面の全面にフォトレジストを塗布した後に、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によってフォトレジストをパターンニングすることによって形成される。
次に、図24に示すように、フォトレジスト膜106をマスクとして、a−Si(i/n)層105の一部をエッチングすることによって、a−Si(i/p)層102の裏面を露出させる。
次に、図25に示すように、フォトレジスト膜106を除去した後に、図26に示すように、フォトレジスト膜106を除去して露出したa−Si(i/n)層105の裏面およびエッチングにより露出したa−Si(i/p)層102の裏面を覆うように透明導電酸化膜107を形成する。
次に、図27に示すように、透明導電酸化膜107の一部の裏面上にフォトレジスト膜108を形成する。ここで、フォトレジスト膜108は、透明導電酸化膜107の裏面の全面にフォトレジストを塗布した後に、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によってフォトレジストをパターンニングすることによって形成される。
次に、図28に示すように、フォトレジスト膜108をマスクとして、透明導電酸化膜107の一部をエッチングすることによって、a−Si(i/p)層102およびa−Si(i/n)層105の裏面を露出させる。
次に、図29に示すように、フォトレジスト膜108を除去した後に、図30に示すように、a−Si(i/p)層102およびa−Si(i/n)層105の露出した裏面および透明導電酸化膜107の一部の裏面を覆うようにフォトレジスト膜109を形成する。ここで、フォトレジスト膜109は、a−Si(i/p)層102およびa−Si(i/n)層105の露出した裏面および透明導電酸化膜107の裏面の全面にフォトレジストを塗布した後に、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によってフォトレジストをパターンニングすることによって形成される。
次に、図31に示すように、透明導電酸化膜107およびフォトレジスト膜109の裏面全面に裏面電極層110を形成する。
次に、図32に示すように、透明導電酸化膜107の表面の一部のみに裏面電極層110を残すようにして、リフトオフによりフォトレジスト膜109および裏面電極層110を除去する。
次に、図33に示すように、a−Si(i/n)層103の表面上に反射防止膜111を形成する。
しかしながら、上記の太陽電池の製造方法においては、フォトレジストの塗布、ならびにフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によるフォトレジストの複雑なパターンニング工程を行なう必要があり、裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造工程が非常に煩雑であるという問題があった。
また、裏面のみに電極が形成された太陽電池の変換効率の向上も要望されている。特許文献1は、i型半導体層によってp型半導体層とn型半導体層を電気的に分離し、太陽電池特性を向上させる方法を提案しているが、十分な解決手段を提供するものではない。
本発明は上記の事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、簡易な製造工程で製造することができるとともに、高い変換効率を有する光電変換素子を提供することにある。
本発明の光電変換素子は、半導体基板の裏面にp型およびn型の双方の半導体膜を備え、該半導体基板の裏面には溝が形成されており、該溝の底面にp型およびn型のうち一方の半導体膜が設けられ、該溝の底面を除く平面部にはもう一方の極性の半導体膜が設けられるとともに、該溝の壁面に絶縁膜を形成することによって、p型半導体膜とn型半導体膜とが電気的に分離されている。
すなわち、本発明の光電変換素子は、第1導電型の半導体基板と、該半導体基板の一方の表面上に設けられた第1導電型の第1の半導体膜と、を備え、該半導体基板の該表面には、該表面上に伸長した溝が設けられており、該溝の底面には第2導電型の第2の半導体膜が設けられており、該溝の側壁の少なくとも一部が絶縁膜で覆われていることを特徴とする。
そして、上記半導体基板と上記第1の半導体膜との間および/または上記半導体基板と上記第2の半導体膜との間に誘電体膜が形成されていることが好ましい。
ここで、第1導電型とはn型またはp型であることを示し、第2導電型とは第1導電型とは異なるp型またはn型であることを示す。
また、上記半導体膜は非晶質膜であることが好ましく、上記誘電体膜はi型のノンドープ膜であることが好ましい。
また、上記絶縁膜は、熱酸化シリコン膜および/または窒化シリコン膜であることが好ましい。
また、上記溝の伸長する方向に対する垂直断面において、上記絶縁膜が該溝の底面を構成する直線と接する部分の長さは1nm以上500nm以下であることが好ましい。
また、さらに上記溝の伸長する方向に対する垂直断面において、上記半導体基板の上記表面とは反対の表面側から入射する光の一部が、上記絶縁膜の露出面を構成する外郭線上の少なくとも1点で全反射することが好ましい。
ここで、上記絶縁膜は熱酸化シリコン膜であり、上記露出面を構成する外郭線上の少なくとも1点における接線と、上記溝の底面を構成する直線とのなす角が43.6度以上であることが好ましい。
また、上記絶縁膜は窒化シリコン膜であり、上記露出面を構成する外郭線上の少なくとも1点における接線と、上記溝の底面を構成する直線とのなす角が30.0度以上であっても良い。
また、上記絶縁膜と上記半導体基板との界面における界面準位密度は1×1012cm-2以下であることが好ましい。
そして、本発明は上記の光電変換素子の製造方法にも係わり、該製造方法は、第1導電型の半導体基板の一方の表面上の一部を除去することによって、該半導体基板の表面に底面と側壁とを有する溝を形成する工程と、該溝の底面および側壁に絶縁膜を形成する工程と、該溝の底面に形成された絶縁膜の少なくとも一部を除去する工程と、該半導体基板の該表面上、該溝の底面上および該絶縁膜の残部上に第2導電型の第2の半導体膜を形成する工程と、該第2の半導体膜が形成された後の該溝の少なくとも一部にマスク材を埋め込む工程と、該マスク材によって被覆されていない該第2の半導体膜を除去する工程と、該第2の半導体膜を除去した後に該マスク材を除去する工程と、該マスク材を除去した後の該半導体基板の該表面側の全面に第1導電型の第1の半導体膜を形成する工程と、該第1の半導体膜の一部を除去することによって、該第2の半導体膜を露出させる工程と、を含むことを特徴とする。
ここで、上記絶縁膜を形成する工程は、熱酸化法によって、熱酸化シリコン膜を形成する工程であっても良く、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、窒化シリコン膜を形成する工程であっても良い。また、熱酸化法によって熱酸化シリコン膜を形成する場合、熱酸化とともに水素アニール処理を行なっても良い。
本発明によれば、高い変換効率を有する光電変換素子を簡易な製造工程で製造することができる光電変換素子および光電変換素子の製造方法を提供することができる。
実施の形態の光電変換素子の模式的な断面図である。 図1に示される領域Aの拡大図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 裏面のみに電極が形成された太陽電池の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<光電変換素子>
≪全体構成≫
図1に、本発明の光電変換素子の一例である実施の形態の光電変換素子の模式的な断面図を示す。実施の形態の光電変換素子は、n型単結晶シリコンからなる半導体基板1を有しており、半導体基板1の一方の面である裏面の一部には、底面9aとその両側の側壁9bとを備えた溝9が設けられている。ここで、溝9は、図1の紙面の法線方向に伸長している。すなわち、図1は溝9の伸長する方向に対する垂直断面である。そして、該両側の側壁9bの少なくとも一部には絶縁膜15が形成されている。
半導体基板1の裏面の溝9以外の領域上には、i型のアモルファスシリコンからなる第1の誘電体膜5が設けられており、第1の誘電体膜5の上にはn型のアモルファスシリコンからなる第1の半導体膜6が設けられている。
ここで、本明細書において、半導体膜とは、不純物をドープすることによって導電性を付与することができる材料からなる膜を示す。このような半導体膜としては、たとえば、シリコン膜、ゲルマニウム膜、ガリウム砒素膜などを挙げることができる。
また、誘電体膜とは、半導体膜と半導体基板との間の電気伝導を妨げず、かつ半導体膜と半導体基板との界面をパッシベーション可能な材料からなる膜を示す。このような誘電体膜としては、たとえば、薄膜化した酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、水素化アモルファスシリコン膜などを挙げることができる。
また、「i型」とは、n型またはp型の不純物を意図的にドーピングしていないことを意味しており、たとえば光電変換素子の作製後にn型またはp型の不純物が不可避的に拡散することなどによってn型またはp型の導電型を示すこともあり得る。また、アモルファスシリコン」には、水素化アモルファスシリコンなどのシリコン原子の未結合手(ダングリングボンド)が水素で終端されたものも含まれる。
半導体基板1の裏面の溝9の底面9a上には、i型のアモルファスシリコンからなる第2の誘電体膜10が設けられており、第2の誘電体膜10上にはp型のアモルファスシリコンからなる第2の半導体膜11が設けられている。
また、第2の誘電体膜10および第2の半導体膜11と溝9の側壁9bとの間には絶縁膜15が設けられているため、第2の誘電体膜10および第2の半導体膜11は側壁9bとは接していない。
第1の半導体膜6の全裏面上および第2の半導体膜11の全裏面上には、第1の電極層13が設けられており、第1の電極層13の全裏面上には第2の電極層14が設けられている。
また、半導体基板1の他方の表面である受光面(裏面の反対側の表面)の全面上には、i型のアモルファスシリコンからなる第3の誘電体膜2が設けられており、第3の誘電体膜2の全面上にはアモルファスシリコンからなる第3の半導体膜3が設けられている。さらに、第3の半導体膜3の全面上には反射防止膜4が設けられている。
以上の構造を有する実施の形態の光電変換素子においては、半導体基板1の裏面と第1の半導体膜6の裏面との間には第1の誘電体膜5が設けられており、溝9の底面9aと第2の半導体膜11の裏面との間には第2の誘電体膜10が設けられている。
したがって、実施の形態の光電変換素子においては、半導体基板1の裏面と第1の半導体膜6の裏面との間、および溝9の底面9aと第2の半導体膜11の裏面との間のすべての領域にi型のノンドープ膜が設けられている。
また、実施の形態の光電変換素子においては、第1の半導体膜6および第2の半導体膜11のすべてが電極層によって覆われている。図1には、電極層が、第1の電極層13と第2の電極層14とからなる積層体である構成を図示しているが、電極層の構成はこれに限定されず、電極層は第2の電極層14のみから構成されていても良い。
なお、本実施の形態の光電変換素子においては、第1の半導体膜6がn型であり、かつ第2の半導体膜11がp型である構成を例示するが、第1の半導体膜がp型であり、かつ第2の半導体膜がn型であっても本発明の効果は示される。また、本実施の形態の光電変換素子においては、受光面側に第3の半導体膜3が設けられた構成を例示するが、第3の半導体膜3は必ずしも必須の要素ではなく、第3の半導体膜3を有しない構成であったとしても、本発明の効果は示されるものとする。
以下、本実施の形態の光電変換素子を構成する各要素について説明する。
≪半導体基板≫
半導体基板1としては、典型的にはn型単結晶シリコンからなる基板を用いることができるが、半導体基板1の材質はこれに限定されず、従来公知の材質を広く用いることが可能である。たとえば、ゲルマニウムやガリウム砒素化合物からなる基板を用いても良く、また、単結晶基板のみならず多結晶基板やアモルファス基板を用いても良い。また、たとえば、予め半導体基板1の受光面および/または裏面にテクスチャ構造(図示せず)が形成された半導体基板などであっても良い。
半導体基板1の厚さは、50μm以上300μm以下であることが好ましい。半導体基板1の厚さが該範囲内であることにより、半導体基板1内で生成された電子・正孔ペアの再結合を防止し電力損失を低減することができる。ここで、半導体基板1の厚さとして、より好ましい範囲は、100μm以上200μm以下である。
また、半導体基板1の不純物濃度も特に限定されないが、たとえば5×1014個/cm3以上2×1016個/cm3以下とすることができる。半導体基板1に含まれる不純物としては、たとえば、リン、ボロンなどを用いることができる。
≪溝≫
また、溝9の深さDは、特に限定されないが、たとえば10μm以下とすることができ、好ましくは5μm以下とすることができる。
≪絶縁膜≫
絶縁膜15としては、抵抗率が1×104Ω・cm以上の絶縁性を有する膜であれば特に限定されず、従来公知の絶縁膜を用いることができる。たとえば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化チタニウム膜またはこれらの併用などを挙げることができる。
これらのうち、熱酸化によって形成された酸化シリコン膜(本明細書において、熱酸化シリコン膜とも記す)が特に好適である。熱酸化シリコン膜は、1000℃程度の高温で形成されるため、太陽電池の製造工程における250℃程度の高温過程においてもその性質を変化させることなく良好なパッシベーション効果を示す。そして、より好ましくは、熱酸化シリコン膜に、熱酸化処理に加えて水素アニール処理が行なわれていることが好適である。水素アニール処理により、半導体基板1と熱酸化シリコン膜界面のダングリングボンドを水素で終端させることができる。
また、絶縁膜15が、プラズマCVD法によって形成された窒化シリコン膜であることも好ましい態様の一つである。プラズマCVD法によって窒化シリコン膜を形成する場合には、原料ガスにシランガス(SiH4)およびアンモニアガス(NH3)などからなる混合ガスが用いられ、該原料ガス由来の水素が形成後の絶縁膜中に残留する。
上記のような絶縁膜中に残留する水素の存在は、不純物の観点から一般的には好ましくない。しかし、本発明者らは、本発明の構成を備えた光電変換素子において、光劣化などにより、アモルファスシリコン中の水素が脱離した場合、絶縁膜中に残留した水素がこの水素欠陥を補う機能を有することを新たに見出した。したがって、絶縁膜中に水素を含有させることで、光電変換素子の長寿命化を図ることができる。
ここで、絶縁膜中の水素含有量は、好ましくは0.005at%以上0.03at%以下である。0.03at%を超過すると、絶縁膜形成後の太陽電池製造過程において、水素が脱離しやすく、絶縁膜に歪みや剥離が生じやすく好ましくない。また、0.005at%未満であると、上記のような機能が十分に発揮されない場合があり好ましくない。
なお、水素含有量は、たとえばFT−IR法によって、N−HやSi−Hに由来する信号を積分することにより見積もることが可能である。また、「at%」とは、atomic percentage、すなわち、原子個数濃度を示す。
また、上記絶縁膜は、単層膜であって良く、積層膜であっても良い。すなわち、本発明の絶縁膜は、熱酸化シリコン膜および/または窒化シリコン膜であることが好ましい。
また、本発明において、絶縁膜15は、露出面の少なくとも一部に曲面および/または斜面を有している。そして、溝9の伸長する方向に対する垂直断面において、受光面側から入射する光の一部が、絶縁膜15の露出面を構成する外郭線の少なくとも1点で全反射することが望ましい。該構成を備えることにより、受光面側から絶縁膜15に入射した光が全反射して、半導体基板1内に戻されるため、さらに良好な光変換効率を得ることができる。
この理由について、図2を参照して説明する。図2は、図1に示された領域Aの拡大図である。受光面側から半導体基板1を透過して絶縁膜15に入射した光は、絶縁膜と空気との界面で反射する。このとき、反射点20における接線21と溝9の底面9aを構成する直線とのなす角θは、反射点における法線22と入射光とのなす角度(すなわち、反射点20における光の入射角)と等しい。本発明者らは、絶縁膜の形状および各種膜質と、太陽電池の変換効率との関係を鋭意検討した結果、上記断面における絶縁膜15の露出面を構成する外郭線の少なくとも1点においてθが特定の条件を満たすとき、太陽電池の変換効率が改善することを見出した。これは、入射光が全反射して半導体基板1の内部へ戻るため、短絡電流の増加に寄与しているからであると推測される。
ここで、絶縁膜15が熱酸化シリコン膜である場合には、上記θは43.5度以上であることが好ましく、絶縁膜15が窒化シリコン膜である場合には、該θは30.0度以上であることが好ましい。
また、絶縁膜15は、溝9の側壁9bの少なくとも一部を覆うことが好ましく、より好ましくは絶縁膜15と溝9の側壁9bの接する長さが第2の誘電体膜10および第2の半導体膜11の厚さの総和よりも長く、最も好ましくは絶縁膜15が溝9の側壁9bの全面を覆うことが好適である。また、絶縁膜15は、上記垂直断面において、溝9の底面9aを構成する直線と接する部分の長さが1nm以上500nm以下であることが好ましい。上記長さが1nm未満であると、p型電極とn型電極とを電気的に分離する効果が十分に得られない場合があり、500nmを超過するとエッチングの際に剥離するなどの不都合を生じる場合があるため好ましくない。
さらに、絶縁膜15と半導体基板1との界面における界面準位密度は1×1012cm-2以下であることが好ましい。界面準位密度とは、絶縁膜15と半導体基板1との界面に存在するダングリングボンド数の指標であり、界面準位密度が1×1012cm-2を超過すると、該ダングリングボンドによって、半導体基板1内で生成された電子および/または正孔が捕捉されやすくなる傾向にあり、好ましくない。ここで、界面準位密度は、たとえば、C−V(容量−電圧)特性を測定することによって定量することができる。
≪誘電体膜≫
(第1の誘電体膜)
第1の誘電体膜5は、第1の半導体膜6と半導体基板1との間の電気伝導を妨げず、かつ第1の半導体膜6と半導体基板1との界面をパッシベーション可能な材料からなる膜であり、より好ましくはi型のノンドープ膜である。このような誘電体膜としては、薄膜化した酸化シリコン膜、窒化シリコン膜およびi型のアモルファスシリコン膜などを好適に用いることができる。
第1の誘電体膜5として、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜を用いた場合、半導体基板1内で生成された電子は、第1の誘電体膜5をトンネルして、第1の半導体膜6に輸送される。このとき、第1の誘電体膜5の厚さが十分薄い場合には、電子の輸送が妨げられず、光電変換素子の直列抵抗を低減することができる。たとえば、第1の誘電体膜5の厚さが、1nm以上20nm以下であれば、電子の輸送が妨げられず、好適である。
(第2の誘電体膜)
第2の誘電体膜10は、第2の半導体膜11と半導体基板1との間の電気伝導を妨げず、かつ第2の半導体膜11と半導体基板1との界面をパッシベーション可能な材料からなる膜であり、より好ましくはi型のノンドープ膜である。このような誘電体膜としては、薄膜化した酸化シリコン膜、窒化シリコン膜およびi型のアモルファスシリコン膜などを好適に用いることができる。
第2の誘電体膜10として、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜を用いた場合、半導体基板1内で生成された正孔は、第2の誘電体膜10をトンネルして、第2の半導体膜11に輸送される。このとき、第2の誘電体膜10の厚さが十分薄い場合には、正孔の輸送が妨げられず、光電変換素子の直列抵抗を低減することができる。たとえば、第2の誘電体膜10の厚さが、1nm以上20nm以下であれば、正孔の輸送が妨げられず、好適である。
半導体基板1と、第1の半導体膜6または第2の半導体膜11との間に介在する膜が、上記のように酸化シリコン膜や窒化シリコン膜などの誘電体でない場合には、半導体基板1と、たとえばn型半導体である第1の半導体膜6の接合部付近で生成された電子・正孔のペアのうち、正孔は第1の半導体膜6内の多数キャリアである電子と再結合してしまい、有効電流として取り出すことができない可能性がある。
これに対して、本実施の形態の光電変換素子のように、誘電体膜を用いる場合には、誘電体のエネルギギャップが大きいため、半導体基板1内で生成された正孔と、第1の半導体膜6内の多数キャリアである電子とが、互いに干渉せず、再結合することがない。換言すれば、電子と正孔の再結合確率を確実に低減することができる。これにより、本実施の形態の光電変換素子は、変換効率を高めることができる。
(第3の誘電体膜)
第3の誘電体膜2は、半導体基板1の界面をパッシベーション可能な材料ならば特に制限されず、従来公知の誘電体膜を用いることができる。たとえば、i型のアモルファス半導体膜などを用いることができる。第3の誘電体膜2の厚さも特に制限されず、たとえば、1nm以上20nm以下とすることができる。
≪半導体膜≫
(第1の半導体膜)
第1の半導体膜6としてはn型のアモルファスシリコンからなる膜に限定されず、たとえば従来から公知のn型のアモルファス半導体膜などを用いても良い。第1の半導体膜6の厚さは、特に限定されないが、たとえば1nm以上20nm以下とすることができる。ここで、第1の半導体膜6に含まれるn型不純物としては、たとえばリンを用いることができ、第1の半導体膜6のn型不純物濃度は、たとえば5×1019個/cm3程度とすることができる。
(第2の半導体膜)
第2の半導体膜11としてはp型のアモルファスシリコンからなる膜に限定されず、たとえば従来から公知のp型のアモルファス半導体膜などを用いても良い。第2の半導体膜11の厚さは、特に限定されないが、たとえば1nm以上20nm以下とすることができる。ここで、第2の半導体膜11に含まれるp型不純物としては、たとえばボロンを用いることができ、第2の半導体膜11のp型不純物濃度は、たとえば5×1019個/cm3程度とすることができる。
(第3の半導体膜)
第3の半導体膜3としては、透光性を示す膜であれば特に限定されず、たとえば従来から公知のn型のアモルファス半導体膜などを用いることができる。第3の半導体膜3の厚さは、特に限定されないが、たとえば1nm以上20nm以下とすることができる。ここで、第3の半導体膜3に含まれるn型不純物としては、たとえばリンを用いることができ、第3の半導体膜3のn型不純物濃度は、たとえば5×1019個/cm3程度とすることができる。
なお、本実施の形態において、第1の半導体膜、第2の半導体膜および第3の半導体膜は、非晶質膜であることが好ましい。
≪反射防止膜≫
反射防止膜4としては、たとえば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜などを用いることができ、反射防止膜4の厚さは、たとえば10nm以上200nm以下とすることができる。反射防止膜4の厚さが、10nm未満であると、反射防止膜としての効果が十分に得られない場合があり、200nmを超過すると太陽光が透過し難くなるため好ましくない。
≪電極層≫
(第1の電極層)
第1の電極層13としては、半導体膜とオーミック接合できる材料であれば、特に限定されず、従来公知の材料を広く採用することができる。たとえば、ITO(Indium Tin Oxide)などを用いることができる。ここで、第1の電極層13は、たとえばスパッタリング法により形成することができ、第1の電極層13の厚さは、たとえば80nm以下とすることができる。
(第2の電極層)
第2の電極層14としては、金属的導電性を有する材料が好ましく、より好ましくは半導体膜とオーミック接合できる材料であり、光を全反射できる材料であればさらに好適である。たとえば、アルミニウム、チタン、パラジウム、銀、またはこれらの積層体などを用いることができる。ここで、第2の電極層14は、たとえばスパッタリング法により形成することができ、第2の電極層14の厚さは、たとえば0.5μm以下とすることができる。
なお、本実施の形態の光電変換素子において、第1の電極層13は必須の要素ではなく、第1の電極層13が設けられておらず、第1の半導体膜6および第2の半導体膜11と第2の電極層14とが直接接触している構成であっても、本発明の効果は示される。
このような本発明の光電変換素子は、以下のような製造方法によって製造される。換言すれば、以下のような製造方法によって製造される光電変換素子は、上記のような特性を示す。したがって、本発明の光電変換素子は、高い変換効率を有し、簡易な製造工程によって製造できるという優れた効果を有する。
<光電変換素子の製造方法>
以下、図3〜図16の模式的断面図を参照して、実施の形態の光電変換素子の製造方法の一例について説明する。なお、以下に示す例はあくまでも一例であり、各操作の順序は以下の例に限定されず、適宜変更することができる。
まず、図3に示すように、n型単結晶シリコンからなる半導体基板1の受光面の反対側(すなわち、裏面)に、開口部8を備えた耐アルカリ性のレジスト膜7を形成する。
ここで、レジスト膜7は、特に限定されないが、たとえば、耐アルカリ性のレジストインクをインクジェット法により、開口部8の形成箇所以外の箇所に印刷し、それを乾燥させることにより形成したものなどを用いることができる。
次に、図4に示すように、レジスト膜7の開口部8から露出している半導体基板1の裏面の一部を除去することによって、底面9aと、底面9aの両側から半導体基板1の厚さ方向に伸長する側壁9bとからなる溝9を形成する。ここでは、まずドライエッチングによって異方性をもったエッチングを行なった後、ウエットエッチングによって、ドライエッチングにより生成されたダメージ層を除去することが好ましい。
次に、レジスト膜7を除去し、洗浄した後、図5に示すように、溝9の底面9aおよび側壁9bを含む、半導体基板1の裏面全体に、絶縁膜15を形成する。絶縁膜15の形成方法は特に限定されず、従来公知のいかなる方法も採用できる。
絶縁膜15が酸化シリコン膜である場合、スチーム酸化、常圧CVD法などによっても形成することができるが、熱酸化法によって形成されることが好ましい。ここで、熱酸化法による処理温度は800℃〜1100℃であることが好ましい。熱酸化法による膜形成は、簡易な方法であり、他の製法に比べ、形成される酸化シリコン膜の性質が良く、緻密であり、かつパッシベーション効果が高く好適である。ここで、形成される絶縁膜15の厚さは、処理時間によって調製可能であり、たとえば1nm以上500nm以下とすることができる。また、熱酸化処理後に、水素アニール処理を行なっても良い。ここで、水素アニール処理の処理温度は、たとえば300℃〜500℃とすることができる。
また、絶縁膜15が窒化シリコン膜である場合、蒸着法などによっても形成することができるが、プラズマCVD法によって形成されることが好ましい。プラズマCVD法によって、窒化シリコン膜を形成する場合、原料ガスとしてシラン(SiH4)ガスとアンモニア(NH3)ガスとからなる混合ガスなどを用いることができる。ここで、形成される絶縁膜15の厚さは、製膜時間や製膜圧力などによって調製可能であり、たとえば1nm以上500nm以下とすることができる。
上記のような条件によれば、熱酸化シリコン膜または窒化シリコン膜と半導体基板1との界面における界面準位密度を1×1012cm-2以下とすることができ、光電変換素子の変換効率を高めることができる。
次に、図6に示すように、溝9の底面9aを含む半導体基板1の裏面の平面部に形成された絶縁膜15を除去する。このようにすることで、溝9の側壁9bに絶縁膜15が形成された半導体基板1を得ることができる。絶縁膜15を除去する方法としては、特に限定されず、ドライエッチング、ウエットエッチングのいずれを用いても良い。ここで、エッチング条件を調整することによって、絶縁膜15の露出部の少なくとも一部に曲面および/または斜面を形成することができる。
ここで、絶縁膜15の屈折率は、絶縁膜15を構成する材料によって変化する。たとえば、熱酸化シリコン膜である場合には屈折率は1.45程度であり、窒化シリコン膜である場合には屈折率は2.0程度である。また、たとえば、窒化シリコン膜の屈折率は、製膜時のシラン(SiH4)ガスとアンモニア(NH3)ガスの混合比によっても制御可能である。したがって、絶縁膜15と空気との界面において、受光面側から入射した光を全反射させるためには、絶縁膜15の屈折率に応じて、絶縁膜15の露出面の形状(すなわち、溝9の伸長する方向に対する垂直断面における絶縁膜15の露出面を構成する外郭線の形状)を適宜設定することが好ましい。
次に、図7に示すように、n型単結晶シリコンからなる半導体基板1の受光面の全面に、i型のアモルファスシリコンからなる第3の誘電体膜2およびn型のアモルファスシリコンからなる第3の半導体膜3を、この順序で、たとえばプラズマCVD法により積層する。
次に、図8に示すように、第3の半導体膜3の全面に反射防止膜4を、たとえばスパッタリング法、CVD法、蒸着法などにより積層する。
次に、図9に示すように、溝9の側壁9bに絶縁膜15を有する半導体基板1の裏面全面に、i型のアモルファスシリコンからなる第2の誘電体膜10およびp型のアモルファスシリコンからなる第2の半導体膜11を、この順序で、たとえばプラズマCVD法により積層する。
次に、図10に示すように、溝9の少なくとも一部にマスク材12を埋め込む。ここで、マスク材12による溝9の埋め込みは、たとえば、マスク材12を加熱して溶融状態とし、それをインクジェット法により、溝9を埋め込むように選択的に塗布して、冷却して固化状態とした後に乾燥させることにより行なうことができる。
ここで、マスク材12としては、第2の誘電体膜10および第2の半導体膜11のエッチングマスクとして機能するものであれば特に限定されないが、なかでもホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、ホットメルト接着剤は、常温では固体状態であるが、加熱により溶融状態となり、塗布後の滲みが少ないという特性を有する。
次に、図11に示すように、マスク材12によって被覆されていない第2の誘電体膜10および第2の半導体膜11を除去する。ここで、第2の誘電体膜10および第2の半導体膜11を除去する方法は特に限定されないが、ドライエッチングを用いることが好適である。
次に、図12に示すように、マスク材12を除去し、その後洗浄する。ここで、マスク材12を除去する方法は、特に限定されないが、たとえばマスク材12がホットメルト接着剤からなる場合には、マスク材12を温水に浸漬して剥離する方法などが挙げられる。
次に、図13に示すように、マスク材12を除去した後の半導体基板1の裏面の全面上に、i型のアモルファスシリコンからなる第1の誘電体膜5およびn型のアモルファスシリコンからなる第1の半導体膜6を、この順序で、たとえばプラズマCVD法により積層する。
次に、図14に示すように、半導体基板1の裏面の開口部8以外の部分に、レジスト膜16を形成する。ここで、レジスト膜16は、特に限定されず、たとえば、上記で例示したものを用いることができる。
次に、図15に示すように、レジスト膜16の開口部8から露出している第1の誘電体膜5および第1の半導体膜6を除去し、溝9の中に形成された第2の半導体膜11を露出させる。ここで、第1の誘電体膜5および第1の半導体膜6を除去する方法としては、アルカリ溶液を用いたウエットエッチングを用いることが好ましい。すなわち、p型の第2の半導体膜11は、アルカリ溶液を用いたウエットエッチングでは除去され難いため、第2の半導体膜11がエッチングストップ層として機能して、第1の誘電体膜5および第1の半導体膜6を確実に除去することができる。ここで、アルカリ溶液としては、特に限定されず、たとえば、上記で例示したものを用いることができる。
次に、図16に示すように、レジスト膜16を除去し、その後洗浄する。
次に、半導体基板1の裏面側の全面に電極層を形成する工程を行なう。これにより、電極層は、第1の半導体膜6の裏面の全面と、溝9の第2の半導体膜11の全面と、溝9の側壁9b上に形成された絶縁膜の露出部と、を覆うようにして形成される。
以下、電極層が第1の電極層13と第2の電極層とからなる積層体である場合の製造方法を例示するが、上述のように、第1の電極層を形成せず、第2の電極層のみを形成しても良い。
第1の電極層13としては、導電性を有する材料を用いることができ、たとえばITO(Indium Tin Oxide)などを用いることができる。
第1の電極層13は、たとえばスパッタリング法により形成することができ、第1の電極層13の厚さは、たとえば80nm以下とすることができる。
次に、第1の電極層13の裏面の全面上に、第2の電極層14を形成する工程を行なう。
第2の電極層14としては、導電性を有する材料を用いることができ、たとえばアルミニウム、チタン、パラジウム、銀、またはこれらの積層体などを用いることができる。
第2の電極層14は、たとえばスパッタリング法により形成することができ、第2の電極層14の厚さは、たとえば0.5μm以下とすることができる。
その後、図1に示すように、溝9の側壁9bに形成された絶縁膜の露出部上の第1の電極層13および第2の電極層14を除去する。
第1の電極層13および第2の電極層14を除去する方法は、特に限定されないが、たとえば、塩酸を用いたウエットエッチングによって行なうことができる。すなわち、溝9の側壁9bに形成された絶縁膜の露出部上の第1の電極層13および第2の電極層14の厚さは、絶縁膜の露出部以外の部分に付着した第1の電極層13および第2の電極層14の厚さと比べて薄いため、エッチング速度およびエッチング時間をコントロールすることによって、溝9の側壁9bに形成された絶縁膜の露出部上の第1の電極層13および第2の電極層14を選択的に除去することが可能である。
本実施の形態によれば、図17〜図33に示される方法のように、フォトレジストの塗布ならびにフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によるフォトレジストの複雑なパターンニング工程を行なう必要がないため、より簡易な製造工程で光電変換素子を製造することができる。
また、本実施の形態においては、p型電極(第2の半導体膜11の上の電極)およびn型電極(第1の半導体膜6の上の電極)を半導体基板1の厚さ方向の異なる位置に形成しているため、半導体基板1の裏面におけるp型電極とn型電極との間の隙間を小さくすることができるとともに、このような隙間の小さいp型電極とn型電極とを形成するための精密なパターンニングをする必要がない。ここで、アモルファス膜(第1の半導体膜6および第2の半導体膜11)は水平方向(膜の面方向)には電流が流れにくいため、半導体基板1の裏面のp型電極とn型電極との間の隙間はできるだけ小さい方が高い変換効率を有する光電変換素子を得る観点からは好ましい。そして、本実施の形態においては、上記のようにp型電極とn型電極を、裏面に形成された溝および溝側壁に形成された絶縁膜によって、電気的に分離するため、電気的に分離が不十分な場合に生じる変換効率の低下が防止される。
さらに、本実施の形態においては、半導体基板1の裏面の全平面をp型電極とn型電極とで覆うことができるため、半導体基板1の受光面側から入射した光のうち吸収されずに半導体基板1の裏面側に透過してきた光をp型電極およびn型電極で反射することができる。また、溝側壁に形成された絶縁膜により、溝側壁に透過してきた光をも反射することができる。
またさらに、本実施の形態においては、半導体基板1の溝の底面を含む、半導体基板1の裏面の全平面がi型の誘電体膜、n型の半導体膜およびp型の半導体膜によってパッシベーションされており、加えて溝の側壁も絶縁膜によってパッシベーションされている。したがって、半導体基板1の裏面全体において良好なパッシベーション特性を得ることができ、半導体基板1の表面でのキャリア再結合を抑制することができる。
以上の理由により、本実施の形態においては、図33に示す構造を有する太陽電池よりも高い変換効率を有する光電変換素子を得ることができる。また、本実施の形態においては、高い変換効率を有する光電変換素子を簡易な製造工程で製造することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、光電変換素子および光電変換素子の製造方法に利用することができる。
1 半導体基板、2 第3の誘電体膜、3 第3の半導体膜、4 反射防止膜、5
第1の誘電体膜、6 第1の半導体膜、7,16 レジスト膜、8 開口部、9 溝、9a 底面、9b 側壁、10 第2の誘電体膜、11 第2の半導体膜、12 マスク材、13 第1の電極層、14 第2の電極層、15 絶縁膜、20 反射点、21 接線、22 法線、101 c−Si(n)基板、102 a−Si(i/p)層、103 a−Si(i/n)層、104 フォトレジスト膜、105 a−Si(i/n)層、106 フォトレジスト膜、107 透明導電酸化膜、108,109 フォトレジスト膜、110 裏面電極層、111 反射防止膜。

Claims (4)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板の一方の表面上に設けられた第1導電型の第1の半導体膜と、を備え、
    前記半導体基板は、単結晶基板であり、
    前記半導体基板の前記表面には、該表面上に伸長した溝が設けられており、
    前記溝の底面上には第2導電型の第2の半導体膜が設けられており、
    前記溝の側壁の少なくとも一部が絶縁膜で覆われており、
    前記第1の半導体膜および前記第2の半導体膜は、非晶質膜であり、
    前記第1の半導体膜上および前記第2の半導体膜上に、電極が設けられており、
    前記第1の半導体膜上に設けられている前記電極と、前記第2の半導体膜上に設けられている前記電極とは、電気的に分離されており、
    前記絶縁膜は、前記第2の半導体膜の側面と、前記側壁との間に設けられている、光電変換素子。
  2. 前記半導体基板と前記第1の半導体膜との間および/または前記半導体基板と前記第2の半導体膜との間に誘電体膜が形成されている、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記絶縁膜は、前記第1の半導体膜および前記第2の半導体膜上には、設けられていない、請求項1または請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 前記第1の半導体膜および前記第2の半導体膜の全面上に、前記電極が設けられている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
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