JP6032739B2 - 温度ヒューズ用接点材およびこれを用いた感温ペレット型温度ヒューズ - Google Patents

温度ヒューズ用接点材およびこれを用いた感温ペレット型温度ヒューズ Download PDF

Info

Publication number
JP6032739B2
JP6032739B2 JP2012248902A JP2012248902A JP6032739B2 JP 6032739 B2 JP6032739 B2 JP 6032739B2 JP 2012248902 A JP2012248902 A JP 2012248902A JP 2012248902 A JP2012248902 A JP 2012248902A JP 6032739 B2 JP6032739 B2 JP 6032739B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plating layer
thin film
thermal fuse
temperature
contact
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012248902A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014099249A (ja
Inventor
林 正人
正人 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Schott Components Corp
Original Assignee
NEC Schott Components Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Schott Components Corp filed Critical NEC Schott Components Corp
Priority to JP2012248902A priority Critical patent/JP6032739B2/ja
Publication of JP2014099249A publication Critical patent/JP2014099249A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6032739B2 publication Critical patent/JP6032739B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Fuses (AREA)

Description

本発明は、多層積層構造の複合材料からなる接点材およびこれを用いた感温ペレット型温度ヒューズに関する。
従来、家庭用あるいは産業用電子・電気機器の過熱損傷を保護するために温度ヒューズが使用されている。温度ヒューズは、機器の温度を正確に感知し、異常過熱時に速やかに回路を遮断する保護部品として、各種家電製品、携帯機器、通信機器、事務機器、車載機器、ACアダプタ、充電器、モータ、電池、その他電子部品に使用されている。一般に温度ヒューズは概ね0.5A〜15Aの幅広い公称定格電流を有するが、特に6A以上の高電流用には、接点を有し異常温度を感知して該接点を開離動作させる感温ペレット型温度ヒューズが好適に利用される。感温ペレット型温度ヒューズは、細部に関して種々の形態があるが、例えば、特許文献1または特許文献2に記載された感温ペレット型温度ヒューズには、Agめっき金属ケース、一対のAgめっきリード線、絶縁材、強弱2つの圧縮バネ、摺動電極および感温材を主要構成要素とし、摺動電極はAgめっきを施した金属ケースの内面に接触しながら移動し得る。摺動電極と絶縁材の間には弱圧縮バネ、また摺動電極と感温材の間には強圧縮バネがある。平常時には両圧縮バネはそれぞれ圧縮状態にあり、弱圧縮バネより強圧縮バネの方が強いため、摺動電極は絶縁材側に付勢され、摺動電極は導通可能な状態となる。従ってリード線を電子機器などの配線に接続すると、電流はリード線から摺動電極を経由して金属ケースからもう一方のリード線へと通電する。感温材は有機薬剤や熱可塑性樹脂などを使用することができ、所定の作動温度に達すると感温材は溶融または軟化し、圧縮バネからの負荷により変形する。このため温度ヒューズを接続する電子機器などが過熱し所定の作動温度に達すると感温材は変形し、圧縮バネを除荷し、圧縮バネの伸張に応動して圧縮バネの圧縮状態が解放され、圧縮バネが伸張することにより摺動電極が金属ケースの内面に接触しながら移動して通電が遮断される。このような機能を有する感温ペレット型温度ヒューズを電子機器などの配線に接続することにより、機器の異常過熱による機器本体の破損や火災などを事前に防止することができる。
一般に感温ペレット型温度ヒューズに用いられている摺動電極は、金属材を薄板状に圧延し、これをプレス成形で星型凹状に形成したものを用いるが、従来の感温ペレット型温度ヒューズに用いられている摺動電極は、開離動作時のアークによる接点溶着を防止する必要から、特許文献1に記載のように、Cuなどを含む内部酸化性Ag合金を加圧酸化炉中で内部酸化することにより、接点材の表層部にCu酸化物などの酸化物粒子をAg基材に分散生成させた摺動電極を用いていた。さらに特許文献3には、Cu基材の表面に一層の極薄のAgをめっきした摺動電極が知られている。
再公表WO2003/009323号公報 特開平08−045404号公報 実用新案登録第3161636号公報
従来の内部酸化性Ag合金材を利用した摺動電極は、Ag基材と卑金属との合金材を内部酸化法により卑金属を選択酸化し、表層部に酸化物粒子を分散、包含させることで接点の溶着や粘着を防止する接点材である。内部酸化性Ag合金接点は、表層部に分布する酸化物粒子が少な過ぎると軟質なAgが多い表面となるので接点の溶着や粘着が発生しやすくなり、酸化物粒子が多過ぎると接点の接触抵抗値が増大することから、製造工程の材料コントロールが難しく、また高温酸化炉で一定時間熱処理を必要とするので比較的高価な接点材と言える。特許文献3に記載の考案は、これを改良するため提案された廉価な接点材であるが、この考案の記載通りに単にCu基材上にAgめっき材の薄膜のみで接点部を形成した場合、Agめっき膜厚が薄すぎ、開離動作時のアーク等によって容易にAgめっき膜が破壊されCu材表面が露出して接点粘着を起こし、未だ接点の粘着を充分に防ぐことができない欠点があり、さらには、熱環境に曝されると経時的に表面のAg層がCu基材に拡散消失してしまい、早晩、ヒューズ抵抗値の増大や接点開離時に溶着を起こすようになってしまう欠点もあった。従って、本発明は、貴金属のAg基材に替えて、より廉価な基材を用いながら、接点抵抗値を増大させることなくリードとの溶着や粘着を完全に防止する温度ヒューズ用の接点材およびそれを利用した感温ペレット型温度ヒューズを提供することを目的とする。なお、粘着とは、接点部が熱環境下に長時間曝されることにより互いに圧接されて付着状態となることを言い、溶着とは、接点部が開離する際に発生したアークにより接点同士が開離せずに溶接されてしまうことを言う。
本発明によると、高導電性金属の基材と、この基材の表面を覆ったNiの一次めっき層と、この一次めっき層の表面に積層したAgまたはAg合金の二次めっき層と、さらに二次めっき層の上部を被覆する金属または半導体の化合物薄膜とを備え、化合物薄膜は、炭化物、窒化物、酸化物および酸窒化物から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする温度ヒューズ用接点材が提供される。この接点材は感温ペレット型温度ヒューズの摺動電極および浮動電極に適用できる。
本発明の別の観点によると、リード内端面と摺動電極との当接面を接点開離面とする感温ペレット型温度ヒューズにおいて、摺動電極は、高導電性金属の基材を有し、この基材の表面を覆ったNiの一次めっき層と、この一次めっき層の表面に積層したAgまたはAg合金の二次めっき層と、さらに二次めっき層の上部を被覆する金属または半導体の化合物薄膜とを備え、化合物薄膜は、炭化物、窒化物、酸化物、酸窒化物から選ばれた化合物のみからなり、少なくともリードと接する摺動電極の表面に化合物薄膜を設けたことを特徴とする感温ペレット型温度ヒューズが提供される。
また、リード内端面と浮動電極(中継電極)との当接面を接点開離面とする感温ペレット型温度ヒューズにおいて、少なくとも浮動電極は、高導電性金属の基材を有し、この基材の表面を覆ったNiの一次めっき層と、この一次めっき層の表面に積層したAgまたはAg合金の二次めっき層と、さらに二次めっき層の上部を被覆する金属または半導体の化合物薄膜とを備え、化合物薄膜は、炭化物、窒化物、酸化物、酸窒化物から選ばれた化合物のみからなり、少なくともリードと接する浮動電極の表面に化合物薄膜を設けたことを特徴とする感温ペレット型温度ヒューズが提供される。
内部酸化性Ag合金材を利用した接点材で形成されていた従来の摺動電極および浮動電極に替えて、本発明に係る多層積層構造の複合材料からなる接点材を適用した摺動電極または浮動電極を用いることで、より廉価な高導電性金属を基材に用いながら、感温ペレット型温度ヒューズの内部抵抗値を増大させることなくリードとの溶着や粘着を完全に防止することができる。すなわち、AgまたはAg合金材からなる二次めっき層の上部を酸化物薄膜で被覆することで軟質なAg材の粘着を防ぎ、かつ二次めっき層と基材との間にNiの一次めっき層を設けることでCu基材中にAgが拡散しないようにして接点が溶着するのを防止する。また、ベース基材をAg基材からCu基材とすることで材料費を軽減し経済的な効果も期待できる。
本発明に係る摺動電極10の形状を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は側面図を示す。 本発明に係る摺動電極10の断面図を示し、図1(a)のD−D線に沿って切断したときの断面図である。 本発明に係る摺動電極10に好適な感温ペレット型温度ヒューズ30を示した断面図である。 本発明に係る浮動電極40であり、D−D線に沿って切断したときの部分断面図である。 本発明に係る浮動電極40に好適な感温ペレット型温度ヒューズ50を示した断面図である。
本発明に係る温度ヒューズ用接点材は、CuまたはCu合金などの高導電性金属の基材と、この基材の両面に設けた厚さ0.1〜0.3μmのNiの一次めっき層と、この一次めっき層の上に積層した厚さ3μm以上より好ましくは4〜10μmのAgまたはAg合金の二次めっき層と、さらに二次めっき層の少なくとも片方の面をコーティングした厚さ10〜100nmより好ましくは15〜55nmのAl、Nb、In、TiO、SnO、SiO、SiON(酸窒化シリコン。組成式Siを含む。)、Si、SiCから選ばれた少なくとも1種で構成された化合物薄膜とを備えたことを特徴とする。二次めっき層は、表裏で膜厚の異なる差厚めっきにしてもよい。その際、少なくとも片側のめっき厚は4〜10μmとなるよう形成し、めっき厚を4〜10μmに調製した側に化合物薄膜を形成させる。化合物薄膜の形成は、例えば、スパッタリング、真空蒸着などの薄膜形成手段を用いる。この温度ヒューズ用接点材は、感温ペレット型温度ヒューズの摺動電極および浮動電極に適用できる。
本発明に係る摺動電極10は、本発明の温度ヒューズ用接点材を利用した摺動電極であり、形状の一例を図1に示す。図1(a)はその平面図を、図1(b)はその側面図を示す。摺動電極10は、特殊な場合を除き通常、図示するような星型凹状の形状を有する。特に図示しないが、これより星型の角数を増減させた形状や丸皿状の形態も可能である。摺動電極10は、図2の断面図に示すように、接点開離するリード当接面11においては、CuまたはCu合金などの高導電性金属の基材21の表面を、厚さ0.1〜0.3μmのNiの一次めっき層22aと、この一次めっき層22aの表面に積層した厚さ3μm以上より好ましくは4〜10μmのAgまたはAg合金の二次めっき層23aと、さらに二次めっき層23aの上部を被覆した厚さ10〜100nmより好ましくは15〜55nmのAl、Nb、In、TiO、SnO、SiO、SiON、Si、SiCから選ばれた少なくとも1種で構成された化合物薄膜24aの3層で覆い、接点開離しない押圧面12においては、CuまたはCu合金などの高導電性金属の基材21の表面を、この基材の表面を覆った厚さ0.1〜0.3μmのNiの一次めっき層22bと、この一次めっき層22bの表面に積層した厚さ3μm以上より好ましくは4〜10μmのAgまたはAg合金の二次めっき層23bの少なくとも2層で覆った多層積層材で構成される。なお、該化合物薄膜は、例えばITO(錫ドープ酸化インジウム)など2種以上の化合物から構成しても差し支えない。また、必要に応じて押圧面12の二次めっき層23bの表面にも極薄い化合物薄膜を施して両面とも3層構造にしてもよい。
本発明に係る感温ペレット型温度ヒューズ30は、前述の摺動電極10を用いた温度ヒューズであり、図3に示すように、リード36を挿着した金属ケース33と、この金属ケース33の缶底部に挿入された感温材37と、感温材37を押圧する強圧縮バネ34と、強圧縮バネ34の両端に当接した円板38と、片方の円板38に当接して金属ケース33の内壁面と摺動自在に接触する摺動電極31と、摺動電極31を押圧する弱圧縮バネ35と、金属ケース33の開口部を閉塞する絶縁材39と、絶縁材39を貫通し内端面を摺動電極31に当接するリード32と、このリード32を金属ケース33に封止する絶縁封止材60などを主要な構成要素とする感温ペレット型温度ヒューズにおいて、摺動電極31の凹面内側のリード当接面で、リード32に当接され、その反対側の押圧面で、金属ケース33を電極周縁に接触させかつ強弱2つの圧縮ばね34および35と弾性的に接続されて、感温ペレット型温度ヒューズ30に搭載される。摺動電極31は、接点開離するリード当接面においては、CuまたはCu合金などの高導電性金属の基材の表面を、厚さ0.1〜0.3μmのNiの一次めっき層と、この一次めっき層の表面に積層した厚さ3μm以上より好ましくは4〜10μmのAgまたはAg合金の二次めっき層と、さらに二次めっき層の上部を被覆した厚さ10〜100nmより好ましくは15〜55nmのAl、Nb、In、TiO、SnO、SiO、SiON、Si、SiCから選ばれた少なくとも1種で構成された化合物薄膜の3層で覆い、接点開離しない押圧面においては、CuまたはCu合金などの高導電性金属の基材の表面を、この基材の表面を覆った厚さ0.1〜0.3μmのNiの一次めっき層と、この一次めっき層の表面に積層した厚さ3μm以上より好ましくは4〜10μmのAgまたはAg合金の二次めっき層の少なくとも2層で覆った多層積層材で構成される。なお、該化合物薄膜は、例えばITO(錫ドープ酸化インジウム)など2種以上の化合物から構成しても差し支えない。また、必要に応じて押圧面の二次めっき層の表面にも極薄い化合物薄膜を施して両面とも3層構造にしてもよい。また、必要に応じてリード32に相通した絶縁管70をさらに用いて絶縁封止材60で金属ケース33を封止してもよい。
本発明に係る浮動電極40は、本発明の温度ヒューズ用接点材を利用した浮動電極であり、図4にD−D線に沿って切断したときの部分断面図を示す。浮動電極40は、少なくとも接点開離する先端部403のリード当接面401においては、CuまたはCu合金などの高導電性金属の基材41の表面を、厚さ0.1〜0.3μmのNiの一次めっき層42aと、この一次めっき層42aの表面に積層した厚さ3μm以上より好ましくは4〜10μmのAgまたはAg合金の二次めっき層43aと、さらに二次めっき層43aの上部を被覆した厚さ10〜100nmより好ましくは15〜55nmのAl、Nb、In、TiO、SnO、SiO、SiON、Si、SiCから選ばれた少なくとも1種で構成された化合物薄膜44aの3層で覆い、接点開離しない押圧面402においては、CuまたはCu合金などの高導電性金属の基材41の表面を、この基材の表面を覆った厚さ0.1〜0.3μmのNiの一次めっき層42bと、この一次めっき層42bの表面に積層した厚さ3μm以上より好ましくは4〜10μmのAgまたはAg合金の二次めっき層43bの少なくとも2層で覆った多層積層材で構成される。なお、該化合物薄膜は、例えばITO(錫ドープ酸化インジウム)など2種以上の化合物から構成しても差し支えない。また、必要に応じて押圧面402の二次めっき層43bの表面にも極薄い化合物薄膜を施して両面とも3層構造にしてもよい。
本発明に係る感温ペレット型温度ヒューズ50は、前述の浮動電極40を用いた温度ヒューズであり、図5に示すように、リード36を挿着した金属ケース33と、この金属ケース33の缶底部に挿入された感温材37と、感温材37を押圧する強圧縮バネ34と、強圧縮バネ34の両端に当接した円板38と、片方の円板38に当接して金属ケース33の内壁面と摺動自在に接触する摺動電極31と、摺動電極31にフランジ状の頭部を接触させた浮動電極51と、浮動電極51を押圧する弱圧縮バネ35と、金属ケース33の開口部を閉塞する絶縁材39と、絶縁材39を貫通し内端面を浮動電極51に当接するリード32と、このリード32を金属ケース33に封止する絶縁封止材60などを主要な構成要素とする感温ペレット型温度ヒューズにおいて、浮動電極51の先端部のリード当接面は、リード32の内側端部に当接され、その反対側のフランジ状頭部の押圧面は、摺動電極31に当接され金属ケース33と電気接続されかつ強弱2つの圧縮ばね34および35と弾性的に接続されて、感温ペレット型温度ヒューズ50に搭載される。本発明に係る感温ペレット型温度ヒューズの浮動電極51は、少なくとも接点開離する先端部のリード当接面においては、CuまたはCu合金などの高導電性金属の基材の表面を、厚さ0.1〜0.3μmのNiの一次めっき層と、この一次めっき層の表面に積層した厚さ3μm以上より好ましくは4〜10μmのAgまたはAg合金の二次めっき層と、さらに二次めっき層の上部を被覆した厚さ10〜100nmより好ましくは15〜55nmのAl、Nb、In、TiO、SnO、SiO、SiON、Si、SiCなどの1種以上からなる化合物薄膜の3層で覆い、接点開離しない押圧面においては、CuまたはCu合金の基材の表面を、この基材の表面を覆った厚さ0.1〜0.3μmのNiの一次めっき層と、この一次めっき層の表面に積層した厚さ3μm以上より好ましくは4〜10μmのAgまたはAg合金の二次めっき層の少なくとも2層で覆った多層積層材で構成される。なお、該化合物薄膜は、例えばITO(錫ドープ酸化インジウム)など2種以上の化合物から構成しても差し支えない。また、必要に応じて押圧面の二次めっき層の表面にも極薄い化合物薄膜を施して両端面とも3層構造にしてもよい。また、この感温ペレット型温度ヒューズ50の摺動電極31は、図1に示した摺動電極10を用いてもよい。さらに、必要に応じてリード32に絶縁管70を相通して絶縁封止材60で金属ケース33を封止してもよい。
本発明の実施例1として、図2の摺動電極20を示す。この図2は、図1(a)のD−D線に沿って摺動電極を切断したときの断面図を示している。実施例1の摺動電極20は、接点開離するリード当接面11においては、厚さ70μmのCuの基材21の表面を、厚さ0.2μmのNiの一次めっき層22aと、この一次めっき層22aの表面に積層した厚さ7μmのAgの二次めっき層23aと、さらに二次めっき層23aの上部を真空蒸着で被覆した厚さ35nmのSiOの化合物薄膜24aの3層で覆い、接点開離しない押圧面12においては、Cuの基材21の表面を、この基材の表面を覆った厚さ0.2μmのNiの一次めっき層22bと、この一次めっき層22bの表面に積層した厚さ3μmのAgの二次めっき層23bの2層で覆った多層積層材で構成される。
実施例1の摺動電極20の化合物薄膜24aは、真空蒸着で被覆した厚さ55nmのNb薄膜、厚さ30nmのITO(錫ドープ酸化インジウム)薄膜、30nmのAl薄膜、厚さ15nmのSiONの何れか1つの化合物薄膜に変更できる。また、化合物薄膜の製膜法は、厚さ10〜100nmの化合物薄層を二次めっき層23aの上部に形成できれば、何れの方法を用いてもよく、例えば、真空蒸着に替えてスパッタリングを用いることが可能である。
本発明の実施例2の浮動電極40を図4に示す。図4は、図中のD−D線に沿って浮動電極を切断したときの断面図を示している。浮動電極40は、一方の先端を平坦に成形されたリード当接面401を有する先端部403と、円柱状の胴部404と、もう一方の端面をすり鉢状に加工した押圧面402を有するフランジ状に広がった頭部405とを備え、リード当接面401を含む先端部403と胴部404および頭部405のリード当接面側のフランジ面のCu基材41の表面を、厚さ0.2μmのNiの一次めっき層42aと、この一次めっき層42aの表面に積層した厚さ7μmのAgの二次めっき層43aと、さらに二次めっき層43aの上部を真空蒸着で被覆した厚さ35nmのSiOの化合物薄膜44aとの3層で覆い、接点開離しない押圧面402を含む頭部405のもう片側のフランジ面のCu基材41の表面を覆った厚さ0.1μmのNiの一次めっき層42bと、この一次めっき層42bの表面に積層した厚さ3μmのAgの二次めっき層43bの2層で被覆した多層積層材で構成される。
実施例2の浮動電極40の化合物薄膜44aは、真空蒸着で被覆した厚さ55nmのNb薄膜、厚さ30nmのITO(錫ドープ酸化インジウム)薄膜、30nmのAl薄膜、厚さ15nmのSiONの何れか1つの化合物薄膜に変更できる。また、化合物薄膜の製膜法は、厚さ10〜100nmの化合物薄層を二次めっき層43aの上部に形成できれば、何れの方法を用いてもよく、例えば、真空蒸着に替えてスパッタリングを用いることもできる。
上述した各実施例の摺動電極または浮動電極は、市販の典型的な感温ペレット型温度ヒューズに好適に利用できる。例えば、図3または図5に示すような、リード32および36と、金属ケース33と、感温材37と、強弱2つの圧縮バネ34および35と、強圧縮バネ34の両端に当接される円板と、摺動電極31と、絶縁材39と、必要に応じて摺動電極31とリード32の内端面との間に挿入される浮動電極51などを主要な構成要素とする感温ペレット型温度ヒューズ30または50に適用でき、該温度ヒューズを接続した電子機器等が過熱し所定の作動温度に達すると、感温材37が変形し、圧縮バネ34および35を除荷し、強圧縮バネ34の伸張に応動して弱圧縮バネ35の圧縮状態が解放され、弱圧縮バネ35が伸張することにより摺動電極31が金属ケース33の内面に接触しながら移動して、接点溶着が無く通電が遮断される。以上、感温ペレット型温度ヒューズ30および50に関して共通する部分について同じ符号を用いた図を用いて説明したが、図5の感温ペレット型温度ヒューズ50については、リード32に接続された浮動電極51をさらに付加した構成となっている点が異なるが、その他の箇所ならびに動作機構については略同様の構成となるので、詳細な説明を省略する。
次に、実施例と比較例の摺動電極を適用した動作温度240℃、電気定格15A、AC250Vの供試用の感温ペレット型温度ヒューズ各100個を用意して温度ヒューズの両リード間の電気抵抗値を四端子法で測定し、この内50個を220±3℃に調温したオーブンに入れ、1℃/分で昇温させながら電気定格の1.5倍の過負荷条件で強制動作させて接点の粘着および溶着の有無を調べ、さらに残りの50個を220±3℃に調温したオーブン中に入れて2000時間高温エージングさせた後、220±3℃のオーブン中で1℃/分で昇温させながら電気定格の1.5倍の過負荷条件で強制動作させて接点の粘着および溶着の有無を調べた結果を表1に示す。表中の実施例は、上述の実施例1およびその変形例の摺動電極を、比較例はCu基材に厚さ2μmのAgめっきを施した摺動電極を、それぞれ感温ペレット型温度ヒューズに適用した。
Figure 0006032739
供試した各感温ペレット型温度ヒューズの電気抵抗値は、何れも0.8mΩ以下の良好な値を示したが、比較例の温度ヒューズは、初期の過負荷溶断試験において摺動接点の粘着または溶着が見られ、高温エージング後の過負荷溶断試験ではそれが増加しているのが分かる。これに対して、実施例の温度ヒューズは、初期、高温エージング後とも過負荷溶断試験での摺動接点の粘着および溶着は見られず何れも良好な結果を示した。
本発明は、摺動電極を有し異常温度を感知して接点を開離動作させる高電流用の接点開離型温度ヒューズやバイメタル式保護素子など接点を有する温度保護素子に利用でき、特に感温ペレット型温度ヒューズに好適に利用できる。
10,31・・・摺動電極、 20・・・摺動電極断面、
40、51・・・浮動電極、
30,50・・・感温ペレット型温度ヒューズ、
11,401・・・リード当接面、 12,402・・・押圧面、
403・・・先端部、 404・・・胴部、
402・・・押圧面、 405・・・頭部、
21,41・・・基材、
22a,22b,42a,42b・・・一次めっき層、
23a,23b,43a,43b・・・二次めっき層、
24a,44a・・・化合物薄膜、
32,36・・・リード、 33・・・金属ケース、
34・・・強圧縮バネ、 35・・・弱圧縮バネ、
37・・・感温材、 38・・・円板
39・・・絶縁材、 60・・・絶縁封止材、 70・・・絶縁管。

Claims (8)

  1. 高導電性金属の基材と、この基材の表面を覆ったNiの一次めっき層と、この一次めっき層の表面に積層したAgまたはAg合金の二次めっき層と、さらに前記二次めっき層の上部を被覆する金属の化合物のみまたは半導体の化合物のみからなる化合物薄膜とを備え、前記化合物薄膜は、炭化物、窒化物、酸化物および酸窒化物から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする温度ヒューズ用接点材。
  2. 前記基材はCuまたはCu合金からなり、この基材の両面に設けた厚さ0.1〜0.3μmのNiの一次めっき層と、この一次めっき層の上に積層した厚さ3μm以上のAgまたはAg合金の二次めっき層と、さらに前記二次めっき層の少なくとも片方の面を被覆した厚さ10〜100nmの化合物薄膜とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の温度ヒューズ用接点材。
  3. 前記化合物薄膜は、Al、Nb、In、TiO、SnO、SiO、SiON、Si、SiCの群から選択された少なくとも1種の化合物からなることを特徴とする請求項2に記載の温度ヒューズ用接点材。
  4. 感温ペレット型温度ヒューズにおいて、摺動電極は、高導電性金属の基材を有し、この基材の表面を覆ったNiの一次めっき層と、この一次めっき層の表面に積層したAgまたはAg合金の二次めっき層と、さらに前記二次めっき層の上部を被覆する金属の化合物のみまたは半導体の化合物のみからなる化合物薄膜とを備え、化合物薄膜は、炭化物、窒化物、酸化物、酸窒化物から選ばれた化合物からなり、少なくともリードと接する摺動電極の表面に化合物薄膜を設けたことを特徴とする感温ペレット型温度ヒューズ。
  5. 前記摺動電極は、CuまたはCu合金からなる前記基材と、この基材の両面に設けた厚さ0.1〜0.3μmのNiの一次めっき層と、この一次めっき層の上に積層した厚さ3μm以上のAgまたはAg合金の二次めっき層と、さらに前記二次めっき層の少なくとも片方の面を被覆した厚さ10〜100nmの化合物薄膜とを備えたことを特徴とする請求項4に記載の感温ペレット型温度ヒューズ。
  6. 感温ペレット型温度ヒューズにおいて、浮動電極は、高導電性金属の基材を有し、この基材の表面を覆ったNiの一次めっき層と、この一次めっき層の表面に積層したAgまたはAg合金の二次めっき層と、さらに前記二次めっき層の上部を被覆する金属の化合物のみまたは半導体の化合物のみからなる化合物薄膜とを備え、化合物薄膜は、炭化物、窒化物、酸化物、酸窒化物から選ばれた化合物からなり、少なくともリードと接する浮動電極の表面に化合物薄膜を設けたことを特徴とする感温ペレット型温度ヒューズ。
  7. 前記浮動電極は、CuまたはCu合金からなる前記基材と、この基材の両面に設けた厚さ0.1〜0.3μmのNiの一次めっき層と、この一次めっき層の上に積層した厚さ3μm以上のAgまたはAg合金の二次めっき層と、さらに前記二次めっき層の少なくとも片方の面を被覆した厚さ10〜100nmの化合物薄膜とを備えたことを特徴とする請求項6に記載の感温ペレット型温度ヒューズ。
  8. 前記化合物薄膜は、Al、Nb、In、TiO、SnO、SiO、SiON、Si、SiCの群から選択された少なくとも1種の化合物薄膜からなることを特徴とする請求項5または請求項7に記載の感温ペレット型温度ヒューズ。
JP2012248902A 2012-11-13 2012-11-13 温度ヒューズ用接点材およびこれを用いた感温ペレット型温度ヒューズ Expired - Fee Related JP6032739B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012248902A JP6032739B2 (ja) 2012-11-13 2012-11-13 温度ヒューズ用接点材およびこれを用いた感温ペレット型温度ヒューズ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012248902A JP6032739B2 (ja) 2012-11-13 2012-11-13 温度ヒューズ用接点材およびこれを用いた感温ペレット型温度ヒューズ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014099249A JP2014099249A (ja) 2014-05-29
JP6032739B2 true JP6032739B2 (ja) 2016-11-30

Family

ID=50941120

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012248902A Expired - Fee Related JP6032739B2 (ja) 2012-11-13 2012-11-13 温度ヒューズ用接点材およびこれを用いた感温ペレット型温度ヒューズ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6032739B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019054437A1 (ja) * 2017-09-14 2019-03-21 ショット日本株式会社 感温ペレット型温度ヒューズ
JP6903615B2 (ja) 2017-09-14 2021-07-14 ショット日本株式会社 感温ペレット型温度ヒューズ

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4208647A (en) * 1978-09-07 1980-06-17 Illinois Tool Works Inc. Thermal switch with organic-glass bead mixture sensing pellet
JPS55128213A (en) * 1979-03-27 1980-10-03 Matsushita Electric Works Ltd Contact and method of manufacturing same
JP3161636B2 (ja) * 1992-09-22 2001-04-25 株式会社前川製作所 吸湿剤を用いた空気冷却装置
US5530417A (en) * 1994-06-06 1996-06-25 Therm-O-Disc, Incorporated Thermal cutoff with floating contact member
JPH09282961A (ja) * 1996-04-11 1997-10-31 Furukawa Electric Co Ltd:The 電気接点材料及びその製造方法
JP2007169702A (ja) * 2005-12-21 2007-07-05 Mitsubishi Material Cmi Kk ヒューズ用薄板状接点材料

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014099249A (ja) 2014-05-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6180324B2 (ja) 温度ヒューズおよび当該温度ヒューズに用いられる摺動電極
WO2014171515A1 (ja) 保護装置
TW201340158A (zh) 保護裝置
JP2007324535A (ja) 切り離し機構付spd
WO2015029826A1 (ja) 保護装置
WO2014178155A1 (ja) リベット型接点及びその製造方法
JP6032739B2 (ja) 温度ヒューズ用接点材およびこれを用いた感温ペレット型温度ヒューズ
CA2680861A1 (en) Circuit protection device
JP5769202B2 (ja) 感温ペレット型温度ヒューズ
US10971321B2 (en) Protection device and battery pack
TWI700719B (zh) 保護元件及其電路保護裝置
US10176958B2 (en) Electrode material for thermal-fuse movable electrode
JP2023091589A (ja) 温度ヒューズ用接点材およびこれを用いた感温ペレット型温度ヒューズ
JP3853419B2 (ja) 過電圧・過電流保護装置
CN101527224B (zh) 保护元件
JP6903615B2 (ja) 感温ペレット型温度ヒューズ
KR20150115356A (ko) 정특성 서미스터를 이용한 안전장치
JP2013197127A (ja) サーミスタ素子
WO2015156136A1 (ja) 保護装置
TW200847193A (en) A well-safe and nonflammable voltage-sensitive resistor and its fabrication method
JP2004296130A (ja) 電気接点およびそれを用いたサーマルプロテクタ
JPH05275204A (ja) 正特性サーミスタ装置
WO2017125068A1 (zh) 热断路器
EP2860750A1 (en) Barrier layer to improve performance of electrical fuses utilizing the Metcalf effect
TW201820370A (zh) 具有壓制電弧結構的表面黏著型保險絲及其製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150826

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160706

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160902

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161020

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161020

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6032739

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees