JP6032598B2 - 嚥下機能改善剤 - Google Patents

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本発明は、非常に安全で恒常的な服用も可能な嚥下機能改善剤に関するものである。
超高齢化社会を迎え、加齢に伴う身体機能の低下、さらにはパーキンソン病や脳血管疾患などにより嚥下障害を抱える高齢者の増加が大きな問題となっている。そのため、ゲル状や濃厚液状の液体オブラートなどの嚥下補助剤や流動食などにより、摂食・服薬支援が行われている。しかし、流動食は嚥下障害者の食事の楽しみを奪い、クオリティオブライフ(QOL)を下げることになりかねない。また、一般的に嚥下補助剤は食事への適用が困難であり、適用する場合には食餌の種類が限定されたり食事の味わいが減ぜられるなど、同様の問題がある。よって、嚥下障害者の嚥下機能を直接改善することができれば、そのQOLを向上させるものとして大変好ましいといえる。
嚥下機能に関与する物質としては、サブスタンスPが知られている。サブスタンスPは11個のアミノ酸からなる知覚ニューロン伝達物質であり、嚥下機能に関与する他、血圧降下作用、唾液分泌亢進作用、催涙作用、回腸収縮作用など様々な作用を有する。
サブスタンスPの分泌を促進し、嚥下機能を改善する物質としては、トウガラシなどに含まれるカプサイシンや(特許文献1)、ショウガなどに含まれるジンゲロール類(特許文献2)が知られている。
また、本発明者らは、ショウガとその修治物である乾姜を配合した錠剤を試作し、その物性を検討すると共に、当該錠剤を服用した後の唾液中サブスタンスP濃度などを評価した(非特許文献1)。
国際公開第2004/058301号パンフレット 特開2008−5号公報
日本薬学会第132年会Webページ 29E14−am14(平成24年2月1日公開)
上述したように、嚥下機能とサブスタンスPとの関係は明らかにされており、サブスタンスPの分泌促進物質も検討されている。しかし、特許文献1にはその投与時期について記載されておらず、特許文献2の技術に至っては、食餌への添加が志向されている。いかに嚥下機能を改善できる薬剤であっても、食餌と共に摂取しては、その食餌の嚥下を円滑にできるとは考え難い。また、本発明者らはショウガ等を配合した錠剤につき発表しているが、その研究は主に硬度や崩壊時間など錠剤の物性に関するものであり、その作用効果などについてさらなる検討が必要であった。
そこで本発明は、効果的な投与時期が特定されており、且つ極めて安全であるが故に毎日の恒常的な投与も可能である嚥下機能改善剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、サブスタンスPの分泌促進物質を含む錠剤の投与後における唾液中のサブスタンスP量の経時的変化を詳細に測定し、また、かかる錠剤の官能試験を行うなど、鋭意研究を重ねた。その結果、適切な成分構成と最適な投与時期を見出し、本発明を完成した。
本発明に係る嚥下機能改善剤は、ショウガ(Zingiber officinale)を乾燥質量で0.5質量%以上、4.0質量%以下含み、食事より10分以上前に投与されるものであることを特徴とする。
本発明の嚥下機能改善剤としては、さらにマンニトール、または、マンニトールと白糖との組合せを含むものが好適である。これらを賦形剤として含む本発明剤は、口中で速やかに崩壊して有効成分を放出できると共に、高齢者にとっても服用し易いものであることが、実際の官能試験により明らかにされている。
本発明の嚥下機能改善剤は、唾液中のサブスタンスP濃度を高めることができ、その結果、嚥下機能の改善が可能になる。
本発明の嚥下機能改善剤は、50歳以上の高齢者を対象とすることが好ましい。本発明に係る嚥下機能改善剤は50歳以上の被験者に対する官能試験の結果を踏まえ、高齢者による服用し易さを考慮した上で完成されたものである。
本発明に係る嚥下機能改善剤は、食事より120分以下前に投与することが好ましい。本発明の嚥下機能改善剤により唾液中のサブスタンスP量は増え、その後、120分間は当該量が高レベルで維持されることが確認されている。よって、食事より120分以下前に本発明の嚥下機能改善剤を服用しておけば、十分に嚥下機能が改善されつつ食事を楽しむことができ得る。
本発明に係る嚥下機能改善剤の剤形としては、口腔内崩壊錠が好ましい。口腔内崩壊錠であれば、速やかに崩壊して口中へ有効成分を放出し、唾液中のサブスタンスP量を増加せしめ、嚥下機能を改善することができる。また、口腔内崩壊錠は、高齢者にとり服用し易い剤形である。
本発明に係る嚥下機能改善剤の有効成分は、食品材料であるショウガであり、極めて安全であるので、毎食ごとの服用さえ可能である。また、効果的な投与時期が特定されており、嚥下機能を有効に改善できるために、嚥下機能が衰えた高齢者などに食事の楽しみを再び与えることができ、QOLを高めることが可能になる。従って、本発明に係る嚥下機能改善剤は、超高齢化社会に伴う問題に資するものとして、産業上非常に優れている。
図1は、ショウガを含まない対照錠剤と、1〜5質量%のショウガを含む錠剤に関する官能試験の結果である。 図2は、ショウガを含まない対照錠剤と1〜5質量%のショウガを含む錠剤に関し、被検者に「毎日服用するとすればどの錠剤がよいか」につきアンケートをとった結果を示すグラフである。 図3は、ショウガを含まない対照錠剤と1〜5質量%のショウガを含む錠剤を被験者に投与した後における唾液中サブスタンスPの濃度の経時的変化を示すグラフである。
本発明に係る嚥下機能改善剤は、ショウガ(Zingiber officinale)を乾燥質量で0.5質量%以上、4.0質量%以下含み、食事より10分以上前に投与されるものであることを特徴とする。
ショウガはショウガ目、ショウガ科、ショウガ属に属する植物であって、根茎を食用にするものであり、主に塊茎の大きさによって、土佐大ショウガ、お多福ショウガ、インドショウガ、近江ショウガなどの大ショウガ;房州ショウガやラクダショウガなどの中ショウガ;金時ショウガ、白金時ショウガ、三州ショウガ、ラオス小ショウガ、谷中ショウガなどの小ショウガに分類される。
大ショウガは単位面積当たりの収穫量が多く、辛味は比較的弱く、日本で最も多く栽培されている。中ショウガは大ショウガよりも小さく、辛味は比較的強い。小ショウガはより小さなものであり、辛味は最も強い。
本発明で用いるショウガの種類は特に制限されず、適宜選択すればよい。例えば、大ショウガは最も入手が容易であり、安価であるので、コストを抑制すべき場合に好適に用いられる。一方、サブスタンスPの分泌促進効果を示すのは辛味成分であり、サブスタンスPの分泌に関与するバニロイド受容体に結合するジンゲロール類、ショウガオール類、ジンゲロン類であると考えられることから、より少量の配合量でより高い効果を求めたい場合には、辛味がより強くこれらの濃度がより高い中ショウガ、さらに小ショウガを用いることができる。
また、いわゆる乾姜を用いてもよい。乾姜は生のショウガを蒸沸し乾燥させたものであり、生薬として用いられているものである。乾姜では、加熱処理に伴って脱水反応などが起こり、例えばジンゲロール類がショウガオール類などに変換される。よって、予備実験が必要ではあるが、味の改善や効果の増強を目的として、乾姜を用いることができる。
本発明錠剤に配合するショウガの形態は、剤形などに応じて適宜選択すればよく、特に制限されない。例えば、ショウガの根茎から皮を除去し、粗切り、微塵切り、粉砕したものであってもよいし、乾燥し、さらに粉砕したものであってもよい。また、剤形が錠剤、散剤、顆粒剤などの場合には乾燥粉末が好適であるし、サブスタンスPの分泌促進成分を口中で速やかに放出できるという観点からでは、できるだけ微細化することが好ましい。
本発明に係る嚥下機能改善剤は、ショウガを乾燥質量で0.5質量%以上、4.0質量%以下含む。当該質量が0.5質量%未満であると、嚥下機能の改善効果が十分に発揮されないおそれがある。一方、当該質量が4.0質量%を超えると、ショウガによる独特の辛味や刺激が強くなり、本発明剤は口中に留めるものであるがため、特に高齢者にとり服用し難くなるおそれがある。当該質量としては、1.0質量%以上がより好ましく、また、3.0質量%以下がより好ましい。
上記質量は、ショウガを乾燥した状態にしたものであるとする。即ち、本発明剤におけるショウガが湿潤状態にある場合には、サンプルを取得して乾燥状態にした上でショウガの割合を測定するものとする。本発明においてショウガの含有割合を測定すべき乾燥状態は、カールフィッシャー水分計により測定された水分含量が8質量%以下、好ましくは5質量%以上である状態をいうものとする。
本発明に係る嚥下機能改善剤は、食事より10分以上前に投与する。本発明剤を投与すると、有効成分が口中に放出され、唾液中のサブスタンスP濃度が高まって嚥下機能が改善されるが、投与からかかる効果が発揮されるまでにはタイムラグがある。しかし、食事より10分以上前に投与しておけば、唾液中のサブスタンスP濃度は十分に高まっており、改善された嚥下機能の下で食事を楽しむことが可能になる。当該投与時間としては、12分以上前がより好ましく、14分以上前がさらに好ましく、15分以上前が特に好ましい。
一方、上記投与時間の上限は特に制限されないが、食事より120分以下前が好ましい。本発明者らによる実験的知見によれば、本発明剤の投与から120分間以内であれば、唾液中のサブスタンスP濃度は十分に高いレベルで維持されており、嚥下機能の改善効果が持続する。但し、当該サブスタンスP濃度は、本発明剤の投与により凡そ10〜20分の間で極大となり、その後は緩やかではあるが徐々に低下するため、食事より90分以下前に投与することがより好ましく、60分以下前に投与することがさらに好ましく、30分以下前に投与することが特に好ましい。
本発明に係る嚥下機能改善剤の剤形は、口中で有効成分を放出できるものであれば特に制限されず、例えば、錠剤、トローチ剤、散剤、顆粒剤などを挙げることができる。また、ショウガを含む液状懸濁剤であってもよいし、散剤や顆粒剤を白湯などに懸濁したものであってもよい。しかし、液状剤や散剤などは、特に高齢者では口中に留めるのが難しい場合がある。また、液状懸濁剤などに含まれる水分の多量摂取は、特に高齢者の誤嚥につながる可能性がある。さらにトローチ剤などでは、口中での有効成分濃度を速やかに高めることができず、結果として唾液中のサブスタンスP濃度が十分に高まらないおそれがあり得る。よって、剤形としては、有効成分を速やかに放出できる口腔内崩壊錠が特に好ましい。
本発明に係る嚥下機能改善剤には、剤形に合わせ、薬学上許容される添加剤を用いてもよい。かかる添加剤としては、例えば、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、矯味剤、懸濁化剤、乳化剤、着香剤、溶解補助剤、着色剤、粘稠剤などを挙げることができる。
本発明に係る嚥下機能改善剤には、特に、マンニトール、または、マンニトールと白糖との組合せを配合することが好ましい。これらは賦形剤としての役割を果たすのみでなく、甘味料としての作用も示すことから、本発明の有効成分であるショウガの苦味や刺激を緩和するものとして有効である。
マンニトールまたはマンニトールと白糖との組合せの配合量は適宜調整すればよく、特に制限されないが、例えば、製剤全体に対して50質量%以上、95質量%以下程度とすることができる。また、マンニトールと白糖との組合せを用いる場合、これらの比率も適宜調整すればよく特に制限されないが、例えば、マンニトールに対して白糖を0.5質量倍以上、1.5質量倍以下にすることができる。
投与頻度や投与量については、本発明に係る嚥下機能改善剤は極めて安全であることから特に制限されず、服用者の年齢、性別、状態などに応じて適宜調整すればよい。例えば、乾燥質量に換算したショウガの質量で、1回当たり2mg以上、10mg以下程度とすることができる。また、投与回数は特に制限されないが、例えば毎食前に1回とすることができる。
本発明に係る嚥下機能改善剤は、口中に留めて有効成分であるショウガを放出させ、唾液中のサブスタンスP濃度を高め、嚥下機能を改善することができる。即ち、本発明では唾液中のサブスタンスP濃度を高める必要があるため、本発明に係る嚥下機能改善剤は、効果が十分に表れるまで口中に留めておく必要がある。
本発明に係る嚥下機能改善剤は、高齢の被験者に対する官能試験結果を踏まえて完成されたものであるので、特に50歳以上の高齢の嚥下機能障害者にとり服用し易く、適しているものであるといえる。嚥下機能は加齢に伴って衰えることから、被投与者の年齢としては60歳以上が好ましく、65歳以上がより好ましく、70歳以上がさらに好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1 ショウガ含有錠剤の製造
(1) 予備実験
表1の組成で粉体を混合し、加圧機(エヌピーエーシステム社製,製品名「コンパクトプレス手動ポンプタイプModel PCH−20」)に挿入して打錠圧8kNで打錠することにより、重さ約0.2g、厚さ約3mmの口腔内崩壊錠を調製した。
得られた錠剤の硬度は、マンニトールを含む製剤例Aが最も低く30N弱であり、白糖を含む製剤例Cが最も高く約60Nであり、マンニトールと白糖の両方を含む製剤例Bの硬度はこれらの中間であった。また、水、崩壊試験第1液(擬似胃液)、崩壊試験第2液(擬似腸液)に対する崩壊時間は、硬度に応じてか、製剤例Aの崩壊性が最も低く、製剤例Cの崩壊性が最も高く、製剤例Bの崩壊性はこれらの中間であった。吸水時間も同様の傾向を示した。さらに、打錠圧の検討も行なったところ、打錠圧が高いほど崩壊性が低く且つ吸水時間が長くなり、打錠圧が低いほど崩壊性が高く吸水時間が短くなった。
また、25〜60歳の健常男性10名を被験者とし、各口腔内崩壊錠の官能試験を行った。具体的には、各錠剤1錠を舌の上に置き、唾液を含ませて錠剤を舐めてもらいながら崩壊させた。その際、唾液は飲み込ませず、口中に溜めてもらうようにした。錠剤が徐々に崩壊し、塊が消失した時点を口腔内崩壊の終了とした。次に、以下の基準で無記名アンケートを行った。
I.甘味 − 1:全く感じない、2:特に強さを感じない、3:ちょうどよい、4:やや強い、5:強過ぎる
II.溶ける速度 − 1:速い、2:やや速い、3:ちょうどよい、4:やや遅い、5:遅い
III.刺激性 − 1:全く感じない、2:特に強さを感じない、3:ちょうどよい、4:やや強い、5:強過ぎる
IV.ざらつき − 1:全く感じない、2:ほとんど感じない、3:やや感じる、4:感じる
V.粉っぽさ − 1:全く感じない、2:ほとんど感じない、3:やや感じる、4:感じる
また、毎日服用するとすればどの錠剤がよいかについても選択してもらった。その結果、崩壊性および吸水時間と同様に、溶ける速度は製剤例Aが最も速く、製剤例Cが最も遅く、製剤例Bがちょうどよいという結果となった。また、最も好ましい錠剤としては、4名が製剤例Aを、6名が製剤例Bを選択し、製剤例Cを選択したのは0名であった。かかる結果より、刺激の強いショウガを配合する口腔内崩壊錠の賦形剤としては、マンニトールが好ましく、マンニトールと白糖の両方を含むことがより好ましいと判断した。
(2) 本発明錠剤の製造
表1の製剤例Bの混合物に、ショウガ乾燥粉末(あさの社製,高知県産,製品名「ジンジャーパウダー」)を1質量%、3質量%または5質量%混合し、上記(1)と同様に口腔内崩壊錠を製造した。また、対照として、ショウガ乾燥粉末を含まない製剤例Bの口腔内崩壊錠も製造した。これら錠剤について、評価項目IIの「溶ける速度」を「苦味」に変更した以外は上記(1)と同様にして、官能試験を行った。I〜Vの評価項目の結果を図1に、また、「毎日服用するとすればどの錠剤がよいか」との質問に対する回答結果を図2に示す。
図1のとおり、刺激性はショウガ乾燥粉末の配合割合に応じて高まった。その他の評価項目については、5質量%ショウガ配合錠で甘味が低く、苦味が高かった以外、違いは認められなかった。また、図2のとおり、「毎日服用するとすればどの錠剤がよいか」との質問に対しては、5質量%ショウガ配合錠を選択した者が1名いたものの、6名が1質量%ショウガ配合錠を選択し、3名が3質量%ショウガ配合錠を選択した。
嚥下機能が低下するのは高齢者や認知症患者が多く、刺激の強い製剤は拒否されるおそれがある。その一方で、食事は毎日のことであるので、嚥下機能を改善するための製剤は恒常的な摂取が必要である。よって、本発明剤に配合するショウガの量としては、乾燥質量で5質量%では多過ぎ、1〜3質量%程度が良いと結論付けた。
実施例2
上記実施例1(2)で調製した1質量%、3質量%または5質量%ショウガ配合錠と対照錠(製剤例Bの錠剤)につき、唾液中サブスタンスP量に与える影響を試験した。具体的には、20代または30代の成人男性5名、50代の成人男性5名を被験者とし、20代または30代の被験者には対照錠のみ投与し、50代の被験者には全錠剤を投与した。
各錠剤は、自然に崩壊するまで舌の上に置いた。錠剤投与の直前(0時間)、また、錠剤投与から5分後、10分後、15分後、30分後、60分後および120分後に、唾液採取用チューブ(ザルスタット社製,サリベット(登録商標)コットン)を使って唾液を採取した。採取した唾液を3000rpm、4℃で15分間遠心し、得られた唾液量を測定後、生理食塩水または後記の測定キットに添付の専用希釈液で20容量倍に希釈した。当該希釈唾液は、測定に使用するまで−20℃以下で保存した。サブスタンスPアッセイキット(R&D Systems社製,Parameter(登録商標))を使い、当該希釈唾液中のサブスタンスP濃度を測定した。当該希釈唾液を、ヒツジ抗マウスポリクローナル抗体でコーティングされたマイクロプレートに加え、さらにキットのSubstance P Conjugateを添加し、攪拌しつつ室温で3時間反応させた。次いで、界面活性剤入り洗浄液でプレートを十分に洗浄した後、基質溶液を加え、室温で30分間反応させた。反応停止液を加えて反応を停止させた後、吸光度(測定波長:450nm,補正波長:540〜570nm)を測定した。サブスタンスP標準溶液より得られた結果から作製した検量線と測定データを比較し、唾液中のサブスタンスP量を算出した。結果を図3と表2に示す。なお、表2中の「*」は、有意差検定(Dunnett’s−test)において、対照(50代)に対してp<0.05で有意差がある場合を示す。
図3と表2の結果のとおり、20代または30代の被験者では、対照錠剤を口に含ませたのみで唾液中のサブスタンスPが高くなり、嚥下の準備が整ったといえる。それに対して50代の被験者では、対照錠剤を口に含ませても唾液中サブスタンスP量はそれ程高くならず直ぐに低下し、変化は非常に小さかった。また、5質量%ショウガ配合錠を投与した場合、唾液中サブスタンスP量は速やかに高まるものの、その後直ぐに低下し、結果、試験中を通じた唾液中サブスタンスPのAUCは、かえって少なくなった。
一方、1質量%ショウガ配合錠または3質量%ショウガ配合錠を投与した場合、5質量%ショウガ配合錠の場合ほど速やかには唾液中サブスタンスP量は高まらなかったが、15分後に最大濃度に達し、また、いったん高まった唾液中サブスタンスP量の低下は緩やかであり、試験中を通じた唾液中サブスタンスPのAUCは多いものであった。
以上の結果より、本発明剤に配合するショウガの量としては乾燥質量で1〜3質量%程度が良く、また、食事より10〜20分程度前に服用するのが好ましいと結論付けた。

Claims (5)

  1. ショウガ(Zingiber officinale)を乾燥質量で0.5質量%以上、4.0質量%以下含み、食事より10分以上、30分以下前に投与されるものであり、且つ、口中に留めるものであることを特徴とする嚥下機能改善剤。
  2. さらにマンニトール、または、マンニトールと白糖との組合せを含む請求項1に記載の嚥下機能改善剤。
  3. 唾液中のサブスタンスP濃度を高めるものである請求項1または2に記載の嚥下機能改善剤。
  4. 50歳以上の高齢者を対象とするものである請求項1〜3のいずれかに記載の嚥下機能改善剤。
  5. 口腔内崩壊錠である請求項1〜のいずれかに記載の嚥下機能改善剤。
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