JP6032111B2 - 表示用粒子及びその製造方法、表示用粒子分散液、表示媒体、並びに表示装置 - Google Patents
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また、特許文献2には、「電子ペーパーに用いるための着色樹脂微粒子であって、粒子径が0.5〜10μm、CV値が80%以下であり、かつ、酸化チタンを20重量%以上含有することを特徴とする電子ペーパー用着色樹脂微粒子」が提案されている。
<1> 無機材料粒子と、
無機材料粒子を被覆する樹脂被覆層と、を有し、
前記無機材料粒子と前記樹脂被覆層との間、及び、前記樹脂被覆層内の少なくとも一方に、電荷捕獲剤及びラジカル捕獲剤から選択される少なくとも1種類の捕獲剤を含む表示用粒子。
<3> 前記電荷捕獲剤が、電子捕獲剤、正孔捕獲剤、及びプロトン捕獲剤から選択される少なくとも1種類である<1>又は<2>に記載の表示用粒子。
前記粒子群を分散するための分散媒と、
を有する表示用粒子分散液。
前記一対の基板間に封入され、電界に応じて泳動する泳動粒子群と、
前記一対の基板間に封入され、<1>〜<4>のいずれか一項に記載の表示用粒子を含む表示用粒子群と、
前記一対の基板間に封入され、前記泳動粒子群及び前記表示用粒子群を分散するための分散媒と、
を有する表示媒体。
前記一対の基板間に電界を形成する電界形成手段と、
を備える表示装置。
<8> 無機材料粒子と、電荷捕獲剤及びラジカル捕獲剤から選択される少なくとも1種類の捕獲剤と、分散媒とを含む分散液を撹拌することにより前記無機材料粒子の表面に前記捕獲剤を付着させる工程と、
前記捕獲剤が付着した前記無機材料粒子を含む分散液に重合成分を添加して重合させることにより、前記無機材料粒子を被覆する樹脂被覆層を形成する工程と、
を有する表示用粒子の製造方法。
<9> 無機材料粒子及び分散媒を含む無機材料粒子分散液に、電荷捕獲剤及びラジカル捕獲剤から選択される少なくとも1種類の捕獲剤と、重合成分とを添加して重合させることにより、前記捕獲剤を含み、かつ、前記無機材料粒子を被覆する樹脂被覆層を形成する工程、を有する表示用粒子の製造方法。
以下、本実施形態に係る表示用粒子について具体的に説明する。
表示媒体には、例えば、電界に応じて泳動する泳動粒子と、背景色を表示するための粒子(以下「背景色表示用粒子」と称する場合がある。)が用いられる。背景色表示用粒子は、電界応答性が低く、電界においても分散媒中に浮遊した状態を維持することが望ましい。背景色表示用粒子の電界応答性が高いと、電界により泳動し、その結果、他色の泳動粒子と共に表示媒体の表示面側又は非表示面側へと泳動してしまい、混色表示の原因となる。
高い屈折率を達成するため、酸化チタン等の無機材料のコア粒子と、コア粒子を樹脂で被覆した無機−有機複合粒子が知られている。しかし、かかる無機−有機複合粒子では、コア粒子を構成する無機材料と有機材料の相互作用に起因する電荷発生のため電荷量が高く、表示用粒子全体として高い電界応答性を有し、電界による泳動速度が速いため混色表示の原因となる。
(1)プロトン(H+)の生成による負帯電化
アクセプターから熱的に励起された正孔は水や有機物を分解してラジカルとプロトンを生成し、プロトンはコア粒子を被覆する樹脂層中に拡散してシリコーンオイル中に放出される結果、表示用粒子全体としては負帯電になると考えられる。
(2)負イオンの生成による正帯電化
一方、ドナーから励起された電子はコア粒子の表面に存在する酸素と結合して活性酸素となり、活性酸素は例えばコア粒子に付着している水を分解してOH−を生成し、OH−はコア粒子を被覆する樹脂層中に拡散し、さらに分散媒中に放出される結果、表示用粒子全体としては正帯電になると考えられる。この過程で生成する負イオンはOH−に限定されるわけではなく、分解して生じる負帯電のイオンを全て含む。
(3)ラジカル生成による帯電化
さらに、生成したラジカルが樹脂の分解と酸化を繰り返す間に電荷を持つ部位を作ってしまうことも考えられる。
そこで、本発明者らは、粒子内で生成した電荷やラジカルが分散媒に拡散せずに粒子中に留まるようにすれば粒子全体として正又は負に帯電することが抑制されると考え、表示用粒子が、ラジカル捕獲剤及び電荷捕獲剤から選択される少なくとも1種類の捕獲剤を含むことで電荷量が抑制されることを見出した。
以下に、本実施形態に係る表示用粒子の2つの実施形態について説明する。
第1実施形態に係る表示用粒子は、無機材料粒子と、無機材料粒子を被覆する樹脂被覆層とを有し、無機材料粒子と樹脂被覆層との間に、ラジカル捕獲剤及び電荷捕獲剤から選択される少なくとも1種類の捕獲剤を含んでいる。
無機材料粒子は、本実施形態に係る表示用粒子のコア粒子であり、例えば、無機材料で構成された白色粒子(無機白色粒子)が挙げられる。無機白色粒子としては、Ti、Ce、Y、Zr、Ba、Sr、Sn、In、Ga、Zn、Al、及びSiから選択される少なくとも1種類の元素を含み、かつ、酸化物、水酸化物、及び硫化物から選択される少なくとも1種類の化合物であることが望ましい。具体的には、例えば、酸化チタン粒子、酸化ケイ素粒子、酸化亜鉛粒子、酸化スズ粒子等の金属酸化物粒子が挙げられる。これらの中でも、屈折率が高く、高い白色度の表示が実現される観点から、酸化チタン粒子がよい。
無機材料粒子と樹脂被覆層との間にラジカル捕獲剤及び電荷捕獲剤から選択される少なくとも1種類の捕獲剤が存在している。
ラジカル捕獲剤としては、ラジカルを効率的に捕らえるために使用される化合物であればいずれでもよく、ラジカル生成を抑制の使途に応じて一種または二種以上が適宜選択される。ラジカル捕獲剤としてフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系、ヒンダードアミン系およびビタミン類等を挙げることができる。
電子捕獲剤としては、電子を効率的に捕まえるために使用される化合物であればいずれでもよく、電子捕獲の使途に応じて一種または二種以上が選択される。電子捕獲剤としては、例えばピレン、パラコート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、四塩化炭素、トリクロロフルオロメタン、六フッ化硫黄等を挙げることができる。
プロトン捕獲剤、正孔捕獲剤としては、プロトン、正孔を効率的に捕まえるために使用される化合物であればいずれでもよく、プロトン、正孔捕獲の使途に応じて一種または二種以上が選択される。
捕獲剤によって表面処理された無機材料粒子は樹脂被覆層によって被覆されている。樹脂被覆層に含まれる樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド縮合物、ビニルナフタレン等が挙げられる。
本実施形態の表示用粒子の表面には、必要に応じて、外添剤を付着させてもよい。外添剤の色は、表示用粒子の色に影響を与えないように、透明であることが好ましい。
外添剤としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物等の無機粒子が挙げられる。外添剤は、表示用粒子の帯電性、流動性、及び環境依存性等を調整するために、これらをカップリング剤やシリコーンオイルで表面処理してもよい。
カップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、アミノチタン系カップリング剤、ニトリル系カップリング剤等の正帯電性のものと、窒素原子を含まない(窒素以外の原子で構成される)シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、エポキシシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等の負帯電性のものが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、アミノ変性シリコーンオイル等の正帯電性のものと、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスルホン変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の負帯電性のものが挙げられる。
なお、これらカップリング剤やシリコーンオイルは、外添剤の抵抗に応じて選択される。
外添剤の外添量は、表示用粒子の粒径と外添剤の粒径の兼ね合いから調整することがよい。
本実施形態に係る表示用粒子を製造する方法は限定されるものではないが、本実施形態に係る表示用粒子は、無機材料粒子と、電荷捕獲剤及びラジカル捕獲剤から選択される少なくとも1種類の捕獲剤と、分散媒とを含む分散液を撹拌することにより無機材料粒子の表面に捕獲剤を付着させる工程と、捕獲剤が付着した前記無機材料粒子を含む分散液に重合成分を添加して重合させることにより、無機材料粒子を被覆する樹脂被覆層を形成する工程と、により好適に製造することができる。
捕獲剤で表面処理された無機材料粒子と分散媒とを撹拌混合して分散液とした後、樹脂被覆層(シェル)を形成するための重合成分、重合開始剤等を添加し、加熱して重合を行う。これにより、捕獲剤によって表面処理された無機材料粒子の表面にさらに樹脂被覆層が形成された表示用粒子が得られる。
第2実施形態に係る表示用粒子は、無機材料粒子と、無機材料粒子を被覆する樹脂被覆層と、を有し、樹脂被覆層内にラジカル捕獲剤及び電荷捕獲剤から選択される少なくとも1種類の捕獲剤が含まれている。
本実施形態に係る表示用粒子を製造する方法は限定されるものではないが、本実施形態に係る表示用粒子は、無機材料粒子及び分散媒を含む無機材料粒子分散液に、電荷捕獲剤及びラジカル捕獲剤から選択される少なくとも1種類の捕獲剤と、重合成分とを添加して重合させることにより、前記捕獲剤を含み、かつ、前記無機材料粒子を被覆する樹脂被覆層を形成する工程を含む方法により好適に製造することができる。
次に、第1実施形態及び第2実施形態に係る表示用粒子の特性について説明する。
本実施形態の表示用粒子1の体積平均粒径は、例えば、10nm以上1000nm以下がよく、望ましくは50nm以上500nm以下、より望ましくは100nm以上300nm以下である。なお、粒子の体積平均粒径は、粒径アナライザー(大塚電子株式会社製FPAR−1000)で測定した値である。
本実施形態に係る表示用粒子分散液は、本実施形態に係る表示用粒子を含む粒子群と、粒子群を分散するための分散媒と、を有する。
表示用粒子分散液は、粒子群として、他の表示用粒子(泳動粒子)を含んでいてもよい。また、表示用粒子分散液には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散剤、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよい。
具体的には、例えば、シリコーン鎖を持つ化合物を重合成分として含む共重合体を適用する場合、分散媒としてはシリコーンオイルを選択することがよい。また、アルキル鎖を持つ化合物を重合成分として含む共重合体を適用する場合、分散媒としてはパラフィン系炭化水素溶媒を選択することがよい。無論、これに限られるわけではない。
本実施形態に係る表示媒体、及び表示装置の一例について説明する。以下の一例は、本実施形態に係る表示用粒子を表示用白色粒子として適用した例であり、本実施形態に係る表示用粒子を背景色粒子である表示用白色粒子として説明する。
また、説明を簡易化するために、1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。
図2は、第1実施形態に係る表示装置の概略構成図である。図3は、第1実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。
また、粒子群34として、粒子群34Aと、当該粒子群34Aとは異なる色を呈し、且つ帯電極性が異なる粒子群34Bと、を適用した形態である。
表示基板20は、支持基板38上に、表面電極40及び表面層42を順に積層した構成となっている。背面基板22は、支持基板44上に、背面電極46及び表面層48を積層した構成となっている。
表面層42及び表面層48は、表面電極40及び背面電極46各々上に形成されている。表面層42及び表面層48を構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、紫外線硬化アクリル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
表示基板20と背面基板22との基板間の間隙を保持するための間隙部材24は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム、金属等で構成される。
この場合、間隙部材24は、表示基板20側、背面基板22側のいずれか、又は双方に作製する。
なお、「透明」とは、可視光に対して、透過率60%以上有することを示している。
表示媒体12に封入される粒子群34は、分散媒50として高分子樹脂に分散されていることも望ましい。この高分子樹脂としては、高分子ゲル、高分子ポリマー等であることも望ましい。
着色した磁性粉として、例えば、特開2003−131420号公報記載の小径着色磁性粉を用いてもよい。核となる磁性粒子と該磁性粒子表面上に積層された着色層とを備えたものが用いられる。そして、着色層としては、顔料等により磁性粉を不透過に着色する等選定して差し支えないが、例えば光干渉薄膜を用いるのが望ましい。この光干渉薄膜とは、SiO2やTiO2等の無彩色材料を光の波長と同等な厚みを有する薄膜にしたものであり、薄膜内の光干渉により光を波長選択的に反射するものである。
反射粒子群36は、粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する反射粒子から構成され、粒子群34とは異なる色を表示する反射部材として機能するものである。そして、表示基板20と背面基板22との基板間の移動を阻害することなく、移動させる空隙部材としての機能も有している。すなわち、反射粒子群36の間隙を通って、背面基板22側から表示基板20側、又は表示基板20側から背面基板22側へ粒子群34の各粒子は移動される。
そして、反射粒子群36として、上記本実施形態に係る表示用白色粒子の白色粒子群が適用される。
表示媒体12における上記セルの大きさとしては、表示媒体12の解像度と密接な関係にあり、セルが小さいほど高解像度な画像を表示する表示媒体12を作製することができ、通常、表示媒体12の表示基板20の板面方向の長さが10μm以上1mm以下程度である。
上記に示したように、本実施形態に係る表示装置10は、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18とを含んで構成されている(図2参照)。
ここで、表示媒体12に封入されている粒子群34のうち、粒子群34Aが負極性に帯電されており、粒子群34Bが正極性に帯電されている場合を説明する。また、分散媒50は透明であり、反射粒子群36が白色であるものとして説明する。すなわち、本実施形態では、表示媒体12は、粒子群34A及び粒子群34Bの移動によって、それぞれの呈する色を表示し、その背景色として白色を表示する場合を説明する。
このとき、表示基板20側から視認される表示媒体12の色は、反射粒子群36の色としての白色を背景色とし、粒子群34Bの呈する色が視認される。なお、粒子群34Aは、反射粒子群36に隠蔽され、視認され難くなる。
このとき、表示基板20側から視認される表示媒体12の色は、反射粒子群36の色としての白色を背景色とし、粒子群34Aの呈する色が視認される。なお、粒子群34Bは、反射粒子群36に隠蔽され、視認され難くなる。
以下、第2実施形態に係る表示装置について説明する。図4は、第2実施形態に係る表示装置の概略構成図である。図5は、第2実施形態に係る表示装置における、印加する電圧と粒子の移動量(表示濃度)との関係を模式的に示す線図である。図6は、第2実施形態に係る表示装置における、表示媒体の基板間へ印加する電圧態様と、粒子の移動態様との関係を模式的に示す説明図である。
なお、第2実施形態に係る表示装置10において、上記第1実施形態で説明した表示装置10と同一の構成には、同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
表示基板20および背面基板22の対向面は、第1実施形態に記載のごとく帯電処理されており、この対向面上には、表面層42および表面層48各々が設けられている。
この複数種類の粒子群34は、基板間を電気泳動する粒子群であり、電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が各色の粒子群でそれぞれ異なる。すなわち、各色の粒子群34(イエロー粒子群34Y、マゼンタ粒子群34M、およびシアン粒子群34C)は、色毎に各色の粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲を有し、当該電圧範囲がそれぞれ異なる。
また、「粒子群34を全て移動させるために必要な最大電圧」とは上記の移動開始からさらに電圧および電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和する電圧を示す。
また、「全て」とは、各色の粒子群34の特性バラツキがあるため、一部の粒子群34の特性が表示特性に寄与しない程度異なるものがあることを含む。すなわち上述した移動開始からさらに電圧および電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和した状態である。
また、「表示濃度」は、表示面側における色濃度を光学濃度(Optical Density=OD)の反射濃度計X−rite社の反射濃度計で測定しながら、表示面側と背面側との間に電圧を印加して且つこの電圧を測定濃度が増加する方向に徐々に変化(印加電圧を増加または減少)させて、単位電圧あたりの濃度変化が飽和し、且つその状態で電圧および電圧印加時間を増加させても濃度変化が生じず、濃度が飽和したときの濃度を示している。
このため、表示基板20側には、マゼンタ粒子群34Mのみが付着した状態となるので、マゼンタ色が表示される(図6(F)参照)。
このため、表示基板20側には、何も付着しない状態となるため、反射粒子群36の色としての白色が表示される(図6(G)参照)。
また、上記図6(D)に示す状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−大電圧」を印加させると、図6(G)に示すように全ての粒子群34が背面基板22側に移動して白色表示がなされる。
なお、各粒子群34は、互いに電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が異なれば、互いに電界に応じて移動するために必要な電圧範囲が重なっていても、鮮明なカラー表示が実現されるが、当該電圧範囲が互いに異なるほうが、より混色を抑制してカラー表示が実現される。
1)コア粒子の作製
−分散相の調製−
下記成分を60℃に加温しながら混合し、インク固形分濃度が15%、乾燥後の顔料濃度が50%となるように分散相を調製した。
スチレンアクリル系ポリマーX345(星光PMC社製):7.2g
シアン顔料PB15:3の水分散液Emacol SF Blue H524F(山陽色素社製、固形分26重量%):18.8g
蒸留水:24.1g
下記成分を混合して連続相を準備した。
界面活性剤KF−6028(信越化学工業社製):3.5g
シリコーンオイルKF−96L−2cs(信越化学工業社製):346.5g
上記分散相50gと、上記連続相350gとを混合し、内歯式卓上分散機ROBOMICS(特殊機化工業社製)を用い回転数10,000rpm、温度30℃で10分間乳化を行った。その結果、乳化液滴径が約2μmの乳化液を得た。これをロータリーエバポレーターを用いて真空度20mbar、水浴温度40℃で18時間乾燥を行った。
得られた粒子懸濁液を6,000rpmで15分間遠心分離し、上澄み液を除去した後、シリコーンオイルKF−96L−2CSを用いて再分散させる洗浄工程を3回繰り返した。このようにしてコア粒子6gを得た。粒径は600nmであった。
−シェル形成用樹脂の合成−
下記成分を混合し、窒素フローのもとで70℃、6時間重合を行なった。
サイラプレーンFM−0721(JNC社製):50g
ヒドロキシエチルメタクリレート(アルドリッチ社製):32g
フェノキシ基を含むモノマーAMP−10G(新中村化学社製):18g
ブロックイソシアネート基を含むモノマー・カレンズMOI−BP(昭和電工社製):2g
イソプロピルアルコール(関東化学社製):200g
重合開始剤AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、アルドリッチ社製):0.2g
生成物をシクロヘキサンを再沈殿溶媒として精製、乾燥しシェル形成用樹脂を得た。このシェル形成用樹脂2gをt−ブタノール溶媒20gに溶解し、シェル形成用樹脂溶液を作製した。
上記コア粒子1gを200mLのナスフラスコに取り、シリコーンオイルKF−96L−2CSを15g加え、超音波を加えながら撹拌分散した。これに、t−ブタノール7.5g、上記シェル形成用樹脂溶液22g、シリコーンオイルKF−96L−2cs12.5gを順次加えた。投入速度は全て2mL/sとした。上記ナスフラスコをロータリーエバポレーターに接続し、真空度20mbar、水浴温度50℃で1時間、t−ブタノール除去を行った。
(シリコーンマクロマー・スチレン共重合体の合成)
トルエン100gにシリコーンマクロマー(JNC社製サイラプレーンFM−0721)25g、スチレンモノマー(和光純薬株式会社製)75gを溶解させて75℃に昇温させた後、窒素フローのもと重合開始剤ラウロイルパーオキサイド(アルドリッチ社製)1gを加えて6時間反応させた。反応終了後ロータリーエバポレーターにて60℃で3時間かけてトルエンを除去してシリコーンマクロマー・スチレン共重合体を得た。
100mLのガラス容器にエタノールを30g、ラジカル捕獲剤であるLA−57(株式会社ADEKA製)を1g添加して十分に溶けるまで攪拌した。その後、酸化チタン(テイカ株式会社製MT−700B)を5g、1mmφのジルコニアビーズ(東ソー株式会社製YTZ−1)を100g加えてボールミルにて24時間回転させながらラジカル捕獲剤の酸化チタン表面への吸着を行った。
粒径は体積平均粒径として粒径アナライザー(大塚電子株式会社製FPAR−1000)で測定した。
上記作製した白色粒子の電荷量、並びに、シアン粒子及び白色粒子による混色表示について以下のように評価した。
−評価用表示媒体セル1の作製−
電極として厚さ50nmのITO(酸化スズインジウム)をスパッタリング法で成膜したガラス基板上に、フッ素樹脂(旭硝子社製Cytop)の溶液をスピンコートして、130℃で1時間乾燥させて、膜厚が80nmの表面層を形成した。
このようにして得た表面層付きITO基板を2枚用意し、表示基板および背面基板とした。厚さ50μmのテフロン(登録商標)シートをスペーサー(間隙部材)として、互いの表面層を対向させて背面基板上に表示基板を重ね合わせてクリップにて固定した。
そして、白色粒子の固形分20%に調製した白色粒子分散液を2枚の表面層付きITO基板間の間隙に注入し、評価用表示媒体セル1を得た。
評価用表示媒体セル1を用い表面電極がマイナスとなるように電極間に15Vの電位差を5秒間印加した。この時に流れる電荷量を電流計(Keithley Instruments社製6514型エレクトロメータ)で測定した。電圧印加直後の電荷量を全粒子泳動終了後の電荷量から差し引いて粒子の電荷量を算出した。ここで、電荷量は単位面積当たりの総電荷量(nC/cm2)として算出した。
−評価用表示媒体セル2の作製−
上記シアン粒子分散液と白色粒子分散液とを混合して混合分散液を得た。このとき、シアン粒子の固形分量を1.5質量%に調整し、白色粒子の固形分量を30質量%に調整した。
次に混合分散液をITO電極が形成された一対のガラス基板間(2枚の前記表面層付きITO基板間に厚さ50μmのスペーサーを介在させたセル内)に封入し、評価用表示媒体セル2を得た。
評価用表示媒体セル2を用い、基板間に10Vの直流電圧を印加し、正負を入れ替えてシアン粒子を移動させた。表示基板の電極に正電圧を印加したとき、シアン粒子が表示基板側に移動しシアン色を表示した。一方、表示基板の電極に負電圧を印加したとき、シアン粒子が背面基板側に移動し白色を表示した。そして、表示基板の電極に正電圧を印加し、シアン色を表示した表示基板側のシアン濃度を色彩計X−Rite404(X−Rite社製)を用いて測定した。シアン粒子のみを封入したセルを白色度30%の反射板上で測定したときのシアン濃度を基準にして、シアン濃度の劣化の程度(%)を求めて評価した。
実施例1の酸化チタンに代えてAl(OH)3で表面修飾を行った酸化チタン(石原産業株式会社製MPT−141)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は460nmであった。
実施例1の酸化チタンに代えてSiO2で表面修飾を行った酸化チタン(昭和電工株式会社製TS−01)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は470nmであった。
実施例1の酸化チタンに代えてチタン酸バリウム(株式会社ワコーケミカル製)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は440nmであった。
実施例1の酸化チタンに代えて酸化ジルコニウム(東ソー株式会社製TZ−3YS−E)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は500nmであった。
実施例2のラジカル捕獲剤LA−57に代えてラジカル捕獲剤LA−77Y(株式会社ADEKA製)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は450nmであった。
実施例2のラジカル捕獲剤LA−57に代えてラジカル捕獲剤LA−87(株式会社ADEKA製)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は470nmであった。
実施例2のラジカル捕獲剤LA−57に代えてプロトン捕獲剤トリエタノールアミン(和光純薬株式会社製)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は450nmであった。
実施例2のラジカル捕獲剤LA−57に代えてプロトン捕獲剤テトラエチレンペンタミン(和光純薬株式会社製)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は430nmであった。
実施例2のラジカル捕獲剤LA−57に代えてプロトン捕獲剤ポリビニルピロリドン(和光純薬株式会社製K25)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は480nmであった。
(白色粒子の作製)
100mLのガラス容器にトルエンを50g、電子捕獲剤であるピレン(和光純薬株式会社製)を0.1g添加して十分に溶けるまで攪拌する。その後、Al(OH)3で表面修飾を行った酸化チタン(石原産業株式会社製MPT−141)を5g、1mmφのジルコニアビーズ(東ソー株式会社製YTZ−1)を100g加えてボールミルにて24時間分散させた。その後ロータリーエバポレーターでトルエンを十分に除去した後60℃で5時間乾燥させて白色の粉体を得た。
(白色粒子の作製)
100mLのガラス容器にメタノールを15g、Al(OH)3で表面修飾を行った酸化チタン(石原産業株式会社製MPT−141)を5g、1mmφのジルコニアビーズ(東ソー株式会社製YTZ−1)を50g加えてボールミルにて1時間分散させ懸濁液Dを得た。酢酸を用いてpH3.5に調整した酸溶液36.8gにシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製KBM−503)を0.75g添加して十分に均一になるまで攪拌して溶液Fを得た。
溶液Fの1/3の質量分をジルコニアビーズを含む懸濁液Dに添加してボールミルにて24時間分散させたあと、ジルコニアビーズを篩にて除去した溶液を60℃で3時間ロータリーエバポレーターにかけてエタノールを十分に除去して白色の粉体を得た。さらに110℃で10分間加熱して十分に脱水縮合反応を進行させた。
(白色粒子の作製)
100mLのガラス容器にメタノールを15g、酸化チタン(テイカ株式会社製MT−700B)を5g、1mmφのジルコニアビーズ(東ソー株式会社製YTZ−1)を50g加えてボールミルにて1時間分散させ懸濁液Fを得た。酢酸を用いてpH3.5に調整した酸溶液36.8gにシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製KBM−503)を0.75g添加して十分に均一になるまで攪拌して溶液Fを得た。
比較例1の酸化チタンに代えてAl(OH)3で表面修飾を行った酸化チタン(石原産業株式会社製MPT−141)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は470nmであった。
比較例1の酸化チタンに代えてSiO2で表面修飾を行った酸化チタン(昭和電工株式会社製TS−01)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は450nmであった。
比較例1の酸化チタンに代えてチタン酸バリウム(株式会社ワコーケミカル製)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は450nmであった。
比較例1の酸化チタンに代えて酸化ジルコニウム(東ソー株式会社製TZ−3YS−E)を用いた以外は同様にして白色粒子の分散液を得た。粒径は520nmであった。
・LA−57:テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート
・LA−77Y:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
・LA−87:(メタクリロイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
・LA−82:1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ビペリジルメタクリラート
Claims (9)
- 無機材料粒子と、
前記無機材料粒子を被覆する樹脂被覆層と、を有し、
前記無機材料粒子と前記樹脂被覆層との間、及び、前記樹脂被覆層内の少なくとも一方に、電荷捕獲剤及びラジカル捕獲剤から選択される少なくとも1種類の捕獲剤を含む表示用粒子。 - 前記無機材料粒子が、第1の無機材料で構成された粒子と、前記第1の無機材料で構成された粒子を被覆する第2の無機材料で構成された無機被覆層と、を有する請求項1に記載の表示用粒子。
- 前記電荷捕獲剤が、電子捕獲剤、正孔捕獲剤、及びプロトン捕獲剤から選択される少なくとも1種類である請求項1又は請求項2に記載の表示用粒子。
- 前記無機材料粒子が、Ti、Ce、Y、Zr、Ba、Sr、Sn、In、Ga、Zn、Al、及びSiから選択される少なくとも1種類の元素を含み、かつ、酸化物、水酸化物、及び硫化物から選択される少なくとも1種類の化合物である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の表示用粒子。
- 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の表示用粒子を含む粒子群と、
前記粒子群を分散するための分散媒と、
を有する表示用粒子分散液。 - 少なくとも一方が透光性を有し、かつ、間隙をもって配置された一対の基板と、
前記一対の基板間に封入され、電界に応じて泳動する泳動粒子群と、
前記一対の基板間に封入され、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の表示用粒子を含む表示用粒子群と、
前記一対の基板間に封入され、前記泳動粒子群及び前記表示用粒子群を分散するための分散媒と、
を有する表示媒体。 - 請求項6に記載の表示媒体と、
前記一対の基板間に電界を形成する電界形成手段と、
を備える表示装置。 - 無機材料粒子と、電荷捕獲剤及びラジカル捕獲剤から選択される少なくとも1種類の捕獲剤と、分散媒とを含む分散液を撹拌することにより前記無機材料粒子の表面に前記捕獲剤を付着させる工程と、
前記捕獲剤が付着した前記無機材料粒子を含む分散液に重合成分を添加して重合させることにより、前記無機材料粒子を被覆する樹脂被覆層を形成する工程と、
を有する表示用粒子の製造方法。 - 無機材料粒子及び分散媒を含む無機材料粒子分散液に、電荷捕獲剤及びラジカル捕獲剤から選択される少なくとも1種類の捕獲剤と、重合成分とを添加して重合させることにより、前記捕獲剤を含み、かつ、前記無機材料粒子を被覆する樹脂被覆層を形成する工程、を有する表示用粒子の製造方法。
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