JP6031872B2 - 固体酸化物型燃料電池用シール材料 - Google Patents

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Description

本発明は、固体酸化物型燃料電池用シール材料に関し、より具体的にはSUSやFeといった金属や、フェライトやジルコニアといった高膨張なセラミックスの接着に好適な固体酸化物型燃料電池用シール材料に関するものである。
近年、燃料電池(Fuel Cell)はエネルギー効率が高く、COの排出を大きく削減できる有力な技術として注目されてきている。燃料電池のタイプは電解質に使用される物質によって分類される。例えば、工業用途で用いられるものとして、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)および固体高分子型(PEFC)の4種類がある。中でもSOFCは、内部抵抗が小さいため燃料電池の中では最も発電効率が高く、また触媒に貴金属を使用する必要がないため製造コストが抑えられるといった特徴を有している。そのため、SOFCは家庭用などの小規模用途から、発電所などの大規模用途まで幅広く適用可能なシステムであり、その将来性に期待が高まってきている。
一般的な平板型SOFCの構造を図1に示す。図1に示すように、一般的な平板型SOFCは、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等のセラミック材料からなる電解質1、Ni/YSZ等からなるアノード2、および、(La、Ca)CrO等からなるカソード3が積層一体化されたセルを有している。さらに、燃料ガスの通り道である燃料チャネル4aが形成され、かつ、アノードと接する第一の支持体基板4と、空気の通り道である空気チャネル5aが形成され、かつ、カソードと接する第二の支持体基板5と、がセルの上下に固着されている。なお、第一の支持体基板4および第二の支持体基板5は、ガスの通り道が互いに直交するようにセルに固着される。支持体基板4、5はSUS等の金属で構成されている。
上記構造を有する平板型SOFCは、第一の支持体基板4における燃料チャネル4aに水素や、都市ガス、天然ガス、バイオガス、液体燃料といった様々な燃料を流し、同時に第二の支持体基板5における空気チャネル5aに空気または酸素を流す。このときカソードでは、1/2O+2e → O2−の反応が生じ、アノードでは、H+O2− → HO + 2eの反応が起こる。この電気化学反応によって、化学エネルギーが直接電気エネルギーに変換されて発電することができる。なお、高出力を得るために、実際の平板型SOFCは、図1のセル単位を複数層積層した構造を有している。
上記構造を有する平板型SOFCを作製するに当たっては、ガスリークが生じないように、各部材同士(特に、支持体基板とセル)の気密シールが必要となる。SOFCの場合、アノード側とカソード側に流すガスが交じり合わないように各構成部材を気密シールする必要がある。
その目的で、マイカやバーミキュライト、アルミナといった無機質からなるシート形状のガスケットを挟み込んで気密シールする方法が提案されている。しかしながら、当該方法では、部材同士の接着は行われていないため、微量のガスリークが発生し、燃料使用効率に劣る。そこで、ガラスからなる接着材料を用いて各部材同士を接着する方法が検討されている。
ところで、金属やセラミックからなる高膨張部材同士を接着するために、接着材料の熱膨張係数も、これらの部材に適合させる必要がある。また、良好な接着性を得るために、接着温度において十分な流動性が要求される。さらに、SOFCでは電気化学反応が生じる温度域(作動温度域)が600〜800℃程度と高温であり、しかも、この温度で長期間に亘って運転される。よって接着材料には、長期間高温に晒されても、接着箇所の融解による気密性や接着性の低下や、ガラス成分の蒸発による燃料電池の発電特性の劣化が起こらないように、高い耐熱性が求められる。
上記要求特性を達成すべく、熱処理により高膨張結晶を析出するガラス組成物が特許文献1で提案されている。具体的には、特許文献1には、熱処理するとMgO系結晶が析出する結晶性ガラス組成物が記載されている。また、特許文献2には、熱処理により結晶を析出しない、SiO−B−SrO系非晶質ガラス組成物からなる接着材料が記載されている。
特開2004−43297号公報 特開2006−56769号公報
特許文献1および2で開示されているガラス組成物は、長期間高温に晒されると、ガラス中のホウ素が蒸発しやすく、燃料電池の発電特性が劣化するおそれがあった。
以上に鑑み、本発明は、長期間高温に曝されても、ホウ素の蒸発による燃料電池の発電特性の劣化が起こりにくい固体酸化物型燃料電池用シール材料を提供することを目的とする。
本発明者は種々の検討を行った結果、シール材としてBを含有するガラス粉末を使用した場合であっても、MgO粉末を含有することで、封着時におけるホウ素の蒸発を抑制できることを見出した。
即ち、本発明は、質量%で、SiO−B−RO系ガラス粉末(RはMg、Ca、SrまたはBa) 80〜99.9%およびMgO粉末 0.1〜20%を含有することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用シール材料に関する。
本発明の固体酸化物型燃料電池用シール材料は、熱処理すると、2MgO・SiO、BaO・2MgO・2SiO、2SiO・2ZnO・BaOおよび2MgO・Bのいずれかから選択される一種以上の結晶を析出することが好ましい。
これらの結晶は高い熱膨張係数を有するため、封着後の高温安定性を担保することが可能となる。なお、本発明において、「熱処理する」とは、800℃以上の温度で10分間以上の条件で熱処理することを意味する。
本発明の固体酸化物型燃料電池用シール材料は、実質的にR’O(R’はアルカリ金属を示す)およびPを実質的に含有しないことが好ましい。
R’OおよびPは、電気絶縁性を劣化させたり、高温下の使用で蒸発して発電特性の劣化の原因となる。よって、これらの成分を実質的に含有させないことにより、上記不具合の発生を抑制することができる。なお、本発明において、「実質的に含有しない」とは、該当する成分を意図的に原料中に含有させないことを意味し、不可避的不純物の混入まで排除するものではない。客観的には、該当する成分の含有量が各々0.1モル%未満であることを意味する。
本発明の固体酸化物型燃料電池用シール材料は、熱処理後において、30〜700℃の温度範囲における熱膨張係数が90×10−7/℃以上であることが好ましい。
本発明の固体酸化物型燃料電池用シール材料は、SiO−B−RO系ガラス粉末が、モル%で、SiO 10〜60%、B 2〜40%、MgO 5〜60%、BaO 5〜60%、CaO 0〜20%、SrO 0〜20%、ZnO 0〜60%、Al 0〜10%、La 0〜15%およびY 0〜15%を含有することが好ましい。
SiO−B−RO系ガラス粉末が上記ガラス組成を有することにより、封着時における流動性に優れ、かつ、熱処理後に高い熱膨張係数を有し、高温安定性を示す固体酸化物型燃料電池用シール材料を容易に得ることが可能となる。
本発明によれば、長期間高温に曝されても、ホウ素の蒸発による燃料電池の発電特性の劣化が起こりにくく、かつ、封着に適した流動性を有するとともに、熱処理後に高い熱膨張係数特性および安定した耐熱性を有する固体酸化物型燃料電池用シール材料を提供することが可能となる。
SOFCの基本構造を示す略図的説明図である。
本発明の固体酸化物型燃料電池用シール材料は、SiO−B−RO系ガラス粉末(RはMg、Ca、SrまたはBa)およびMgO粉末を含有することを特徴とする。
MgO粉末は、熱処理時におけるホウ素の蒸発を抑制する効果がある。固体酸化物型燃料電池用シール材料におけるMgO粉末の含有量は、質量%で、0.1〜20%であり、好ましくは0.5〜19.5%、より好ましくは1〜19%である。MgO粉末の含有量が少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、MgO粉末の含有量が多すぎると、流動性が低下する傾向がある。
SiO−B−RO系ガラス粉末は、流動性、高膨張特性および耐熱性を付与する効果がある。固体酸化物型燃料電池用シール材料におけるSiO−B−RO系ガラス粉末の含有量は、質量%で、80〜99.9%であり、好ましくは80.5〜99.5%、より好ましくは81〜99%である。SiO−B−RO系ガラス粉末の含有量が少なすぎると、上記特性が得られにくくなる。一方、SiO−B−RO系ガラス粉末の含有量が多すぎると、熱処理時のホウ素蒸発量が多くなる傾向がある。
SiO−B−RO系ガラス粉末は、モル%で、SiO 10〜60%、B 2〜40%、MgO 5〜60%、CaO 0〜20%、SrO 0〜20%、BaO 5〜60%、ZnO 0〜60%、Al 0〜10%、La 0〜15%およびY 0〜15%を含有するものであることが好ましい。ガラス組成をこのように限定した理由を以下に説明する。
SiOは、熱処理することで高膨張結晶を析出させるための成分である。また、ガラス化範囲を広げてガラス化しやすくするとともに、耐水性や耐熱性を向上させる成分である。SiOの含有量は、好ましくは10〜60%、より好ましくは11〜59%、さらに好ましくは11〜55%である。SiOの含有量が少なすぎると、ガラス化しにくくなる。一方、SiOの含有量が多すぎると、熱処理しても高膨張結晶が析出しにくくなる。また、溶融性が低下する傾向がある。
は流動性を向上させるための成分である。Bの含有量は、好ましくは2〜40%、より好ましくは2〜39%、さらに好ましくは2〜38%である。Bの含有量が少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、Bの含有量が多すぎると、耐水性や耐熱性が低下したり、MgO粉末共存下においても、高温下の使用でBが蒸発し、発電特性が劣化しやすくなる。
MgOは、高膨張結晶の構成成分である。MgOの含有量は、好ましくは5〜60%、より好ましくは5〜59%、さらに好ましくは6〜58%である。MgOの含有量が少なすぎると、結晶化度が低くなり、耐熱性が低下しやすくなる。一方、MgOの含有量が多すぎると、ガラス化範囲が狭くなって失透しやすくなり、また流動性が低下する傾向がある。
BaOは、高膨張結晶の構成成分である。BaOの含有量は、好ましくは5〜60%、より好ましくは5〜59%、さらに好ましくは6〜58%である。BaOの含有量が少なすぎると、結晶化度が低くなり、耐熱性が低下しやすくなる。一方、BaOの含有量が多すぎると、ガラス化範囲が狭くなって失透しやすくなり、また流動性が低下する傾向がある。
CaOはガラス化範囲を広げてガラス化しやすくする成分である。CaOの含有量は、好ましくは0〜20%、より好ましくは0.1〜19%、さらに好ましくは1〜18%である。CaOの含有量が多すぎると、高膨張結晶が析出しにくくなり、高膨張特性が得られにくくなる。また、流動性が低下する傾向がある。
SrOはガラス化範囲を広げてガラス化しやすくする成分である。SrOの含有量は、好ましくは0〜20%、より好ましくは0〜18%、さらに好ましくは0〜16%である。SrOの含有量が多すぎると、低膨張のSrO・SiO結晶が析出しやすくなり、高膨張の結晶性ガラスが得られにくくなる。また流動性が低下する傾向がある。
ZnOは、高膨張結晶の構成成分である。ZnOの含有量は、好ましくは0〜60%、より好ましくは0.1〜59%、さらに好ましくは1〜58%である。ZnOの含有量が多すぎると、失透しやすくなり、また流動性が低下する傾向がある。
Alは粘性を調整するための成分である。Alの含有量は、好ましくは0〜10%、より好ましくは0.1〜9%、さらに好ましくは1〜8%である。Alの含有量が多すぎると、低膨張の2SiO・Al・BaO結晶が析出しやすくなり、高膨張の結晶性ガラスが得られにくくなる。
Laは流動性を向上させるための成分である。Laの含有量は、好ましくは0〜15%、より好ましくは0.1〜14%、さらに好ましくは1〜13%である。Laの含有量が多すぎると、溶融中や封着時に失透しやすくなり、封着に適した流動性が得られにくくなる。
は流動性を向上させるための成分である。Yの含有量は、好ましくは0〜15%、より好ましくは0〜14%、さらに好ましくは0〜13%である。Yの含有量が多すぎると、溶融中や封着時に失透しやすくなり、封着に適した流動性が得られにくくなる。
上記以外の成分として、TiO、ZrO、SnOまたはWO等をそれぞれ2モル%まで含有させても差し支えない。しかしながら、R’O(R’はアルカリ金属を示す)およびPは電気絶縁性を劣化させたり、高温下の使用で蒸発しやすいため、実質的に含有しないことが好ましい。
本発明の固体酸化物型燃料電池シール材料は、熱処理することにより、2MgO・SiO、BaO・2MgO・2SiO、2SiO・2ZnO・BaOまたは2MgO・Bといった高い熱膨張係数を示す結晶が析出しやすくなる。そのため、高い耐熱性が得られ、金属やセラミックといった高膨張材料同士の接着または被覆の用途に好適である。具体的には、本発明の結晶性ガラス組成物は、熱処理後において、30〜700℃の温度範囲における熱膨張係数が90×10−7/℃以上であることが好ましい。なお、熱処理後は比較的高い結晶化度が得られるために、再度熱処理を行っても流動しにくい。
次に本発明の固体酸化物型燃料電池用シール材料の作製方法および使用方法の例について説明する。
まず、上記した組成を有するように調合したガラス原料を約1300〜1600℃で0.5〜2時間程度溶融する。次いで、溶融ガラスをフィルム状等に成形した後、粉砕し、分級してガラス粉末を作製する。ガラス粉末の粒径(d50)は2〜20μm程度であることが好ましい。
また、MgO粉末を準備する。MgO粉末の粒径(d50)は0.1〜20μm程度であることが好ましい。
ここで、d50とは、粒度分布測定装置(島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−2200)にて測定した体積粒径分布の累積値50%の値である。測定はアルコール等の有機溶媒中で行うことが好ましい。
ガラス粉末とMgO粉末の混合粉末を、例えばペースト状に調製する。ペーストは、混合粉末に対し、有機溶剤、樹脂、さらには、可塑剤、分散剤等を添加して混錬することにより作製することができる。
有機溶剤はガラス粉末をペースト化するための材料である。具体例としては、ターピネオール(Ter)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート、ジヒドロターピネオール等が挙げられ、これらを単独でまたは混合して使用することができる。原料中における有機溶剤の含有量は10〜40質量%であることが好ましい。
樹脂は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分である。具体例としては、ポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらを単独であるいは混合して使用することができる。原料中における樹脂の含有量は0.1〜20質量%程度が一般的である。
可塑剤は、乾燥速度をコントロールするとともに、乾燥膜に柔軟性を与える成分である。具体例としては、ブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が挙げられ、これらを単独であるいは混合して使用することができる。原料中における可塑剤の含有量は0〜10質量%程度が一般的である。
分散剤としては、イオン系またはノニオン系の分散剤が使用可能である。イオン系分散剤としては、カルボン酸、ジカルボン酸系等のポリカルボン酸、アミン等が挙げられ、ノニオン系分散剤としては、縮合ポリエステルや多価アルコールエーテルが挙げられる。原料中における分散剤の含有量は0〜5質量%であることが好ましい。
次いで、ペーストを金属やセラミックからなる第一の部材の接着箇所に塗布し、乾燥させる。さらに、金属やセラミックからなる第二の部材をペースト乾燥膜に接触させた状態で固定して800〜1000℃で熱処理する。この熱処理により、ガラス粉末が一旦軟化流動して第一および第二の部材を固着させる。結晶の析出は、ガラス粉末がある程度流動した段階で起こる。
なお、本発明の固体酸化物型燃料電池用シール材料は、接着以外にも被覆、充填等の目的で使用できる。また、ペースト以外の形態、具体的には粉末状態、グリーンシート、タブレット等の形態で使用することができる。例えば、金属やセラミックスの円筒内にリード線とともにガラス粉末を充填して熱処理し、気密封止を行う形態が挙げられる。また、グリーンシート成形されたプリフォームや、粉末プレス成型により作製されたタブレット等を金属やセラミック部材上に載置し、熱処理して被覆することもできる。
以下、本発明の固体酸化物型燃料電池用シール材料を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1および2は、本発明の実施例(試料No.1〜8)および比較例(試料No.9〜12)を示している。
各試料は、以下のようにして作製した。
表中の組成になるように調合したガラス原料を、1200〜1600℃で約1時間溶融した後、溶融ガラスを一対のローラー間に通してフィルム状に成形した。得られたフィルム状ガラスをボールミルにて粉砕し、分級して、粒度d50が約10μmのガラス粉末を得た。当該ガラス粉末に、対して表に示す割合でMgO粉末(粒度d50=2μm)を混合して固体酸化物型燃料電池用シール材料を得た。
各試料について、ガラス転移点、軟化点、流動性、析出結晶、結晶化温度、結晶融点、熱処理時のホウ素蒸発の有無、熱処理後の熱膨張係数を評価した。結果を表に示す。
表から明らかなように、本発明の実施例である試料No.1〜8は、流動性に優れており、熱処理によるホウ素蒸発が無かった。一方、比較例である試料No.9、10は熱処理時にホウ素蒸発が確認され、試料No.11、12は流動性に劣っていた。
なお、各特性の評価は以下のようにして行った。
ガラス転移点、軟化点、結晶化温度、結晶融点は、マクロ型示差熱分析計を用いて、各試料を1050℃まで測定して得られたチャートにおいて、第一の変曲点の値をガラス転移点、第四の変曲点の値を軟化点、強い発熱ピークを結晶化温度、結晶化後に得られた吸熱ピークを結晶融点として求めた。なお、結晶融点が高いほど、あるいは結晶融点が確認されなければ、高温下においても結晶が安定に存在していることを意味することから、耐熱性が高いと判断することができる。
析出結晶は、XRD測定を行って得られたチャートと、JCPDSカードとの対比にて同定した。このとき同定された析出結晶種として、2MgO・2SiOを「A」、BaO・2MgO・2SiOを「B」、2SiO・2ZnO・BaOを「C」として表中に示した。
ホウ素蒸発の有無は次のようにして評価した。比重分の粉末試料を直径20mmのアルミナ管に入れ、アルミナ管上にアルミナ板を置き、800〜1000℃にて2時間保持することにより熱処理を行い、ガラス粉末からの蒸発物をアルミナ板に付着させた。アルミナ板に付着した蒸発物を酸溶液に溶解し、ICP発光分光分析を行うことによりホウ素蒸発の有無を確認した。
流動性は次のようにして評価した。比重分の粉末試料を直径20mmの金型に入れてプレスし、タブレット上の成型体を得た。成型体をSUS430板上に載置し、800〜1000℃にて15分保持することにより熱処理を行った。熱処理後において、18mm以上の流動径を有するものを「◎」、16〜18mm未満の流動径を有するものを「○」、流動径が16mm未満のものを「×」として評価した。
熱膨張係数は次のようにして測定した。各粉末試料を粉末プレス成型し、結晶化温度+10℃の温度を目安に800〜1000℃にて15分熱処理して焼結体を得た。得られた焼結体を直径4mm、長さ20mmの円柱状に研磨加工して測定用試料を作製し、当該測定用試料を用いて、JIS R3102に基づいて測定を行い、30〜700℃の温度範囲における値を求めた。
本発明の固体酸化物型燃料電池用シール材料は、SUSやFeといった金属や、フェライトやジルコニアといった高膨張セラミックスの接着材料として好適である。具体的には、SOFCを作製する際に使用される支持体基板、電解質、電極等を気密封止するための接着材料として好適である。
1 電解質
2 アノード
3 カソード
4 第一の支持体基板
4a 燃料チャネル4a
5 第二の支持体基板
5a 空気チャネル5a

Claims (4)

  1. 質量%で、SiO−B−RO系ガラス粉末(RはMg、Ca、SrまたはBa) 80〜99.9%およびMgO粉末 0.1〜20%を含有することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用シール材料であって、SiO−B−RO系ガラス粉末が、モル%で、SiO 12〜55%、B 2〜38%、MgO 5〜54%、BaO 6〜58%、CaO 0〜18%、SrO 0〜16%、ZnO 1〜58%、Al 0〜8%、La 0〜13%およびY 0〜13%を含有する固体酸化物型燃料電池用シール材料。
  2. 熱処理すると、2MgO・SiO、BaO・2MgO・2SiO、2SiO・2ZnO・BaOおよび2MgO・Bのいずれかから選択される一種以上の結晶を析出することを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池用シール材料。
  3. R’O(R’はアルカリ金属を示す)およびPを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1または2に記載の固体酸化物型燃料電池用シール材料。
  4. 熱処理後において、30〜700℃の温度範囲における熱膨張係数が90×10−7/℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池用シール材料。
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