JP6031234B2 - 山林樹木の挿し木苗生産方法 - Google Patents

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Description

本発明は、山林樹木の挿し木苗生産・製造方法に関し、とくに温室のような園芸施設を利用したスギ挿し木苗を製造する方法に関する。
植林用山林樹木の苗の育苗には1年〜2年といった長い時間をかけて行われる。育苗中の管理は、露地で行われる露地挿しのような粗放的な管理が一般的である。
これに対し、育苗の一つの技術として環境条件の調整が可能な施設を用いる、挿し木苗による育苗があるところ、スギ等の樹木の挿し木苗の育苗にもこのような方法が行われることがある。この方法においては、ポットやコンテナといった資材が用いられることも特徴的である。
コンテナは山林樹木の育苗において典型的に用いられる、細長い育苗容器である。野菜、花の育苗で用いられるプラグに対応するものであり、コンテナを用いて育苗された苗はコンテナ苗と称されることがある。
施設を用いる方法においては、まず育苗環境を発根に適した条件に保って挿し穂を発根させる工程が必要であるとされている(非特許文献1)。挿し穂を発根させるために、前記施設を用いる方法においてはミスト処理、密閉処理、底熱処理等による温湿度調整および/または遮光処理といった施設園芸技術が用いられる。
また、挿し穂の生理として、挿し穂の葉からの蒸散と基部からの吸水バランスが保たれることが重要であり、挿し木後は蒸散、呼吸消耗を極力回避するため、遮光、高湿度環境が必要である。また、発根後は光合成能が急激に回復することが知られている(非特許文献2)。
ところで、挿し木苗の生産には前記のとおり少なくとも1年を要するばかりでなく、挿し木を行う時期は春〜夏の時期に限定されている。そのため、施設を用いる方法を用いる場合においても、年1回転の単作が行われているにすぎず、挿し木苗が供給されるのは春〜夏の時期に限られる。
このような単作による生産のみであっても、これまでは挿し木苗の需要を満たすことができていた。
町田英夫著「さし木のすべて」、誠文堂新光社、1974年、p.110〜131 町田英夫著「農業技術体系」果樹編第8巻、農文協、1985年、p.13〜18 インターネット 大阪府立 花の文化園ホームページ「ガラスガーデン」(http://osaka−midori.jp/fululu/09topic−glassgarden.html)
これに対し、近年国産木材の需要が高まっているにもかかわらず植林用山林苗の供給体制はむしろ全国的に衰退しているため、大量の苗木を効率的に供給できる体制が必要とされつつある。また、植林作業の作業平準化のため、通年にわたり苗木を安定して供給できる供給体制も不可欠になる。
しかしながら、従来の苗の生産方法では生産効率が十分でないため、上記のような近年の需要増に応えることは不可能であるのが現状である。上記施設を用いる方法を用いても、露地生産よりは育苗期間を短縮することはできるものの、山出し(山林形成予定地に苗を運び入れる作業)に適した苗質および根鉢の形成が達成されるまでには、1年以上の育苗期間が必要である。
すなわち、山林樹木の挿し木苗の生産方法において、根鉢の形成を促進し、前記挿し木苗の生産効率を向上せしめる技術を確立することは、挿し木苗の生産において早急に解決されるべき新たな課題である。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、施設を用いた室内での方法において、発根がなされた後に生育条件を変更することにより根鉢の形成が顕著に促進される可能性があることを見出し、さらに研究を進めた結果本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、少なくとも以下の発明に関する:
(1)山林樹木の挿し木苗を室内において製造する方法であって、挿し穂から発根がなされた後に、根の伸長が促進される工程である根伸長工程が行われる方法。
(2)根伸長工程が、挿し穂に当たる光が遮蔽されない条件下で行われる前記方法。
(3)根伸長工程が、肥料が用いられる条件下において行われる前記いずれかの方法。
(4)挿し穂からの発根が、発根が促進される条件下において行われる前記方法。
(5)根伸長工程の間、挿し穂の根部が培地を充填したコンテナに挿入されている前記方法。
(6)少なくとも一つの挿し穂の根部が、該根部の形状を保ったままでコンテナから挿入および抜き取りが可能な、透明または半透明の筒状の透明または半透明の容器で覆われている、前記いずれかの方法に関する。
(7)根伸長工程が行われる前に、筒状の透明または半透明の容器に覆われた根部を筒状の透明または半透明の容器とともにコンテナから抜き取って発根の状況を確認する工程をさらに含む前記いずれかの方法。
(8)挿し穂の中心部から筒状の透明または半透明の容器の内表面までの長さが10mm〜40mmである前記いずれかの方法。
(9)挿し穂に対する根伸長工程が行われる前に、該挿し穂を、載置されていた場所から他の場所に移動し、該挿し穂が載置されていた場所に他の挿し穂を供試して施設利用効率を向上せしめることを含む前記いずれかの方法。
本発明は、発根およびそのための環境条件の重要性に着目し、その後も発根のための環境条件を維持し続ける従来の方法とは異なり、発根後の生育環境も考慮する必要があるという本発明者らによって初めて見出された新たな知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明においては、挿し穂が枯死せずに正常に生育するためには発根することが必要かつ十分であるという新たな知見を踏まえ、発根後はなるべく早い段階で発根のための環境条件とは異なる条件を採用することにより、挿し木の生育を促進することができることができるのである。
本発明によれば、より生産効率の高い山林樹木の挿し木苗の製造が可能になる。
本発明の方法のうち、根伸長工程が、挿し穂に当たる光が遮蔽されない条件下で行われる方法によれば、山林樹木の挿し木苗の製造をより一層高い生産効率で行うことができる。
本発明の方法のうち、挿し穂からの発根が、発根が促進される条件下において行われる方法によれば、山林樹木の挿し木苗の製造をさらにより一層高い生産効率で行うことができる。
本発明の方法のうち、根伸長工程の間、挿し穂がコンテナ内の培地中に挿入されている方法によれば、より簡便に挿し木苗の製造を行うことができる。
本発明の方法のうち、少なくとも一つの挿し穂の根部が、該根部の形状を保ったままでコンテナから挿入および抜き取りが可能な、透明または半透明の筒状の透明または半透明の容器で覆われているものによれば、挿し穂が発根する段階および/または根伸長工程の間に、筒状の透明または半透明の容器に覆われた根部を筒状の透明または半透明の容器とともにコンテナから抜き取って発根の状況を確認することが容易であるばかりでなく苗の損傷を防ぐことができるため、山林樹木の挿し木苗の製造の効率をさらに高めることができる。
本発明の方法のうち、根伸長工程が、肥料が用いられる条件下において行われる方法によれば、根の伸長速度を高めることができ、もって山林樹木の挿し木苗の製造の効率をさらに一層高めることができる。
本発明の方法のうち、挿し穂の中心部から前記筒状の透明または半透明の容器の内表面までの長さが10mm〜40mmである方法によれば、山林樹木の挿し木苗の製造の効率をさらに一層高めることができる。本発明のうち、挿し穂に対する根伸長工程が行われる前に、該挿し穂を、載置されていた場所から他の場所に移動し、該挿し穂が載置されていた場所に他の挿し穂を供試して施設利用効率を向上せしめることを含む方法は、スペースの有効な利用および/または回転率の向上に資するため、山林樹木の挿し木苗のより安定的な供給を可能にする。
根鉢を例示する写真図である。 本発明の方法による製造スキームを模式的に例示した図である。 年3回の挿し木苗供給を行う場合の年間の製造サイクルの例を示す図である。 実施例1の試験Aにおいて、挿し木後約100日で根鉢が形成され、山出し可能な苗質を確保できたことを示す写真図である。 実施例1の試験Bにおいて、挿し木後約120日で根鉢が形成され、山出し可能な苗質を確保できたことを示す写真図である。 実施例2において用いられた塩ビパイプ+エンドおよび筒状の透明または半透明のプラスティックフィルム容器を示す写真図である。 実施例2において、筒状の透明または半透明のプラスティックフィルム容器を用いることにより、初期発根を確認することできたことを示す写真図である。
本明細書および本発明において、以下の各語は、他に記載がない限り、原則として以下の意味を有するものとして用いられる。
「根伸長工程」とは、根の伸長が促進される工程であり、発根が促進されない条件下における、挿し穂が自然に発根する通常の工程(以下「発根工程」ということがある)または前記発根工程より挿し穂の発根が促進される工程(以下「発根促進工程」ということがある)とは異なる条件であって、ミスト処理、密閉処理、底熱処理および遮光処理の少なくとも一つは行わない条件において挿し木を生育せしめる工程を意味する。根伸長工程には発根が生じる場合も包含される。
「根部」とは、挿し穂の植物体の部位のうち、培地中に存在する部位を指す。発根前には根自体が存在しないため、「根部」が根を有しない場合も包含される。また、便宜上、当該部位の周辺に存在する培地を含めて「根部」という場合もある。
「根鉢」とは、一般に樹木の移植に際し掘り上げられる根系を含んだ培地のまとまりをいう(図1)。山林への植林(山出し)は、根鉢が十分に形成されてから行われる。
以下に本発明についてより詳細に説明する。
本発明は、山林樹木の挿し木苗を室内において製造する方法であって、挿し穂から発根がなされた後に根伸長工程が行われる方法であり、典型的な製造スキームを模式的に表せば、例えば図2に示すように表すことができる。すなわち、発根工程または発根促進工程の後、根伸長工程が行われ、その後屋外環境への順化を経て山出しが行われる。このように、本発明の方法は従来の一つのステージのみによる製造方法とは異なり、第1ステージ:発根工程または発根促進工程および第2ステージ:根伸長工程の2つのステージを含むものである。
(a)第1ステージ
第1ステージにおいては、前記のとおり発根工程または発根促進工程が行われる。
一般的な挿し木苗の生産においては、発根促進工程として、挿し穂における蒸散・光合成および同化産物の消費を抑制し、同化産物の根部への移行を促進するために、ミスト処理、密閉処理、底熱処理および遮光処理が行われ、その結果発根が促進される工程が行われる。
本発明においても、このようなミスト処理、密閉処理、底熱処理および遮光処理により発根促進工程を行うことができるが、必ずしも人為的に発根を促進する必要はなく、通常の発根工程を行ってよい。
第1ステージの日数は、発根工程または発根促進工程において適用された条件により適宜改変することができる。
製造効率を考慮すると、第1ステージの日数は約100日以内が好ましく、約60日以内がより好ましく、約30日以内がさらにより好ましい。
発根工程または発根促進工程から根伸長工程への変更は、発根が行われた時点以降に行われるところ、前記変更が発根が行われた直後に行われることは好ましい。より早期に遮光を除去して光合成を促し、根伸長を促進して育苗期間を確実に短くすることが可能となるからである。したがって、初期発根時を的確に把握することも好ましい。
挿し穂から発根がなされる工程として、発根工程はミスト処理、密閉処理、底熱処理および遮光処理といった追加の作業が必要とされないため省力化できて簡便であるという利点がある。一方、発根促進工程は、発根が速まるため、育苗期間をより短縮できるという利点がある。
(b)第2ステージ
第2ステージは、根伸長工程が行われるステージである。すなわち第2ステージにおいては、根の伸長が促進され、その結果根鉢の形成が促進される。
根伸長工程は光合成を活性化するとともに根の吸水量を増大せしめて、光合成を促進し、同化産物の根部への移行を促進する工程である。この工程は好ましくは、光合成を促進するために挿し穂に当たる光が遮蔽されない条件(遮光処理が行われない)下で、挿し穂に十分に光が当たるようにして行われる。温度および湿度も、適宜光合成に適したものにする。
根伸長工程において、遮光処理は行われずミスト処理は行われる本発明の方法は好ましい。
前記挿し穂に当たる光が遮蔽されない条件には、温室内において温室を構成する外壁である透明素材を透過した光を実質的に遮蔽しない環境が包含される。また、天候に応じて、短期間のみ光を遮蔽することも挿し穂に当たる光が遮蔽されない条件に包含される。
発根促進工程において前記のとおりミスト処理による高湿度化処理が行われる場合があるところ、根伸長工程においても天候に応じてミスト処理を行ってもよい。
第2ステージの日数は、根伸長工程において採用された条件により適宜改変することができる。
製造効率を考慮すると、第2ステージの日数は約100日以内が好ましく、約60日以内がより好ましく、約30日以内がさらにより好ましい。
本発明において、挿し穂を挿し付けするための栽培容器は限定されないが、コンテナ(トレイ)を用いることは均質な育苗の観点から好ましい。すなわち、発根工程および根伸長工程の間、挿し穂の根部が培地を充填したコンテナに挿入されている方法は好ましい。前記コンテナの植え付け部同士が、同一形状である方法はより好ましい。
上記栽培容器の材質は限定されず、また、本発明において用いられる培地の種類も限定されない。
前記コンテナの植え付け部の形状も限定されない。植え付け部の形状としては、円柱状および四角柱状といった角柱状が例示され、例えばやや先細りの円錐形状のものが用いられる。この場合の長さ(深さ)は例えば約80mm〜約160mmであり、内径は例えば上径約30mm〜約60mmおよび下径約20〜約40mmである。
前記のとおり、発根工程または発根促進工程から根伸長工程への変更は発根が行われた時点以降に行われるところ、当該時点の特定を、初期発根の状況を目視により確認することにより行うことができる。かかる目視を行うためには、少なくとも一つの挿し穂の根部を抜き取って行えばよい。
上記確認は、発根工程または発根促進工程を開始してから、例えば約20日後〜約100日後に行えばよい。その時点で発根が確認されれば直ちに根伸長工程に移行してよいし、数日〜数週間程度の間隔を空けた後に移行してもよい。発根が十分でないと判断された場合には、同様な確認をその後も継続する。継続する際の確認の時間間隔は限定されない。
発根が十分であるか否かは、例えば5本〜20本程度の根が形成されていることを基準に行えばよい。かかる抜き取りを行った場合、通常は地下部全体、すなわち植物体のみならずその周辺の培地の実質的に全体が抜き取られるところ、挿し穂の中心部から植え付け部の内表面までの長さ(距離)が10mm〜40mmである方法は、発根をより早期に確認でき、かつ十分な量の培地が与えられるため好ましい。前記長さとして10mm〜30mmはより好ましく、10mm〜25mmはさらにより好ましい。上記の挿し穂の中心部から植え付け部の内表面までの「長さ」についての規定は、挿し穂の中心部から植え付け部の内表面のある一部までの長さについて規定するものであって、挿し穂の中心部から当該植え付け部の内表面のある一点までの長さのうち最短〜最長のいずれのものであってよい。例えば、植え付け部の形状が角柱状の場合には、当該「長さ」は挿し穂の中心部からのある一点から植え付け部のある一つの壁面までのいずれかの距離であってよい。
かかる抜き取りを行った場合、挿し付けするための栽培容器に戻してよい。その際に挿し穂の根を傷めたり、根鉢を破壊したりしてしまう場合がある。このような好ましくない事象を防ぐために、少なくとも一つの挿し穂の根部が、該根部の形状を保ったままで栽培容器から挿入および抜き取りが可能な、透明または半透明の筒状の透明または半透明の容器で覆われているものとすることは好ましい。
前記筒状の透明または半透明の容器の材質も限定されず、例えば各種プラスティック、ガラス等を用いることができ、プラスティックは好ましい。前記筒状の透明または半透明の容器の形状も限定されず、円柱状および四角柱状といった角柱状が例示される。
なお、正常な発根のためには根を暗条件に保つ必要があるため(非特許文献3)、前記筒状の透明または半透明の容器は光を通さない資材で覆われている必要がある。このことは、通常のコンテナを用いることにより達成される。
また、前記透明または半透明の筒状の容器を用いる場合、筒状の透明または半透明の容器に覆われた根部を筒状の透明または半透明の容器とともに容器から抜き取って発根の状況を確認する工程をさらに含む本発明の方法は好ましい。
挿し穂の中心部から筒状の透明または半透明の容器の内表面までの長さ(距離)が10mm〜40mmである方法も好ましい。前記長さとして10mm〜30mmはより好ましく、10mm〜25mmはさらにより好ましい。
上記の挿し穂の中心部から透明または半透明の容器の内表面までの「長さ」についての規定は、挿し穂の中心部から透明または半透明の容器の内表面のある一部までの長さについて規定するものであって、挿し穂の中心部から当該容器の内表面のある一点までの長さのうち最短〜最長のいずれのものであってよい。例えば、当該容器の形状が角柱状の場合には、当該「長さ」は挿し穂の中心部からのある一点から容器のある一つの壁面までのいずれかの距離であってよい。
本発明の方法のうち、発根工程または発根促進工程の後に、これらいずれかの工程が行われていた場所(例えば温室A)から挿し穂を別の場所(例えば温室B)に移動し、温室Aに他の挿し穂を供試する方法、およびかかるサイクルをさらに繰り返す方法は好ましい。かかる方法は施設のより効率的な利用に資するため、山林樹木の挿し木苗のより安定的な供給が可能になるからである。
当該方法によれば、一箇所の施設によって、例えば年3回の挿し木苗供給が可能になる。この場合の年間の製造サイクルは、例えば図3に示すとおりである。
発根工程または発根促進工程および根伸長工程はいずれも室内、すなわち屋内施設内で行われるところ、該施設として通常の温室や実験室ならびに恒温室等を挙げることができる。
本発明の対象である樹木の種類は限定されないところ、例えばスギ、ヒノキ等を例示することができる。本発明の方法は、スギにおいて好適に適用することができる。
本発明の方法は従来の方法と同様に必ずしも肥料を必要とするものではないが、根伸長工程が、肥料が用いられる条件下において行われる本発明の方法は好ましい。
肥料の種類は限定されず、固形肥料および液体肥料のいずれも好適に用いられる。固形肥料は初期肥効が抑えられる肥効調節型肥料を予め培地に混合しておくか、根伸長工程に移行する際に添加してよい。液体肥料は、根伸長工程以降に培地に添加してよい。
実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例はいかなる意味においても本発明を限定するものではない。
(実施例1)
(1)目的 本発明の方法による挿し木苗製造効率を確認する
(2)試験方法
・容器
容量200ml(長さ140mm、上径52mm、下径15mm)のコンテナ(日新農工産業製、商品名:キャンディーポット)を用いた。
・育苗方法
下表に示すとおりであった。
(3)試験結果・考察
試験Aでは挿し木後約100日、試験Bでは120日で根鉢が形成され、山出し可能な苗質を確保できた(図4Aおよび図4B)。
これらの結果から、本発明の方法により、育苗期間を4ヶ月程度という、従来の方法の約1/3の期間にまで短縮できることが確認された。
なお、本試験においてはミスト処理および遮光処理は発根が確認された後に開始したが、これらの処理を初期発根時から行えば、育苗期間をさらに短くできることは明らかである。
(実施例2)筒状プラスティックフィルム容器の有効性確認試験
(1)目的 筒状のプラスティックフィルム容器(透明の袋体)の有効性を確認する
(2)試験方法
・容器
長さ14cm、内径40mmの塩ビパイプ+エンド(排水用穴付き。図5)に筒状のプラスティックフィルム袋(図5)を挿入したもの、または容量200mlのコンテナを用いた。筒状のプラスティックフィルム容器の下部にも排水用の穴を開けて用いた。
・育苗方法
下表に示すとおりであった。
(3)試験結果・考察
筒状プラスティックフィルム容器使用区においては、挿し木後50日目には初期発根を確認することができた。この結果から、筒状プラスティックフィルム容器を用いることにより、初期発根を確認することでき(図6)、根伸長工程への移行時期をより的確に把握することができることが確認された。
なお、通常の苗木用コンテナで同時期に挿し付けたものは、約100日後に根鉢が形成されていた。
(実施例3)
(1)目的 初期発根における根の伸長速度を調査・確認する
(2)試験方法
・容器
長さ14cm、内径40mmの塩ビパイプ+エンドに筒状のプラスティックフィルム袋(図5)を挿入したものを用いた。筒状のプラスティックフィルム容器の下部にも排水用の穴を開けて用いた。
・育苗方法
下表に示すとおりであった。
(3)試験結果・考察
初期発根確認後の10日目の根伸長の長さは35mmであり、伸長速度は約3.5mm/日であった。挿し穂からプラスティックフィルム容器内面までの距離が約20mmであることを考え併せれば、当該方法により、発根後約6日以内に発根の有無を確認できることが明らかになった。
本発明により、山林樹木の挿し木苗の生産効率を従来の方法より高くすることが可能になる。したがって、本発明は山林樹木の挿し木苗の生産産業および関連産業の発展に寄与するところ大である。

Claims (9)

  1. 山林樹木の挿し木苗を室内において製造する方法であって、挿し穂から発根がなされたことが確認された後に、根の伸長が促進される工程である根伸長工程が行われ、該根伸長工程は温室内において行われるとともに、温室を構成する外壁である透明素材を透過した光の遮光処理を行わない条件下で行われる方法。
  2. 根伸長工程への変更が、発根が行われた直後に行われる請求項1に記載の方法。
  3. 根伸長工程が、肥料が用いられる条件下において行われる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 挿し穂からの発根が、発根が促進される条件下において行われる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 根伸長工程の間、挿し穂の根部が培地を充填したコンテナに挿入されている、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 少なくとも一つの挿し穂の根部が、該根部の形状を保ったままでコンテナから挿入および抜き取りが可能な、透明または半透明の筒状の容器で覆われている、請求項4または5に記載の方法。
  7. 根伸長工程が行われる前に、筒状の透明または半透明の容器に覆われた根部を前記筒状の透明または半透明の容器とともにコンテナから抜き取って発根の状況を確認する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
  8. 挿し穂の中心部から筒状の透明または半透明の容器の内表面までの長さが10mm〜30mmである請求項6または7に記載の方法。
  9. 挿し穂に対する根伸長工程が行われる前に、該挿し穂を、載置されていた場所から他の場所に移動し、該挿し穂が載置されていた場所に他の挿し穂を供試して施設利用効率を向上せしめることを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
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