JP6030590B2 - 多層体 - Google Patents
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Description
本発明に用いるアクリル系樹脂としては、熱可塑性樹脂としてのアクリル系樹脂が使用される。アクリル系樹脂に使用される単量体として以下の化合物が挙げられる。例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリオイルオキシエチル、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が例示される。これらは、単独で重合して使用してもよく、2種類以上を重合して使用してもよい。また、これらのアクリル系単量体と重合され得る他の単量体、例えばポリオレフィン系単量体、ビニル系単量体等を併用してもよい。
本発明に用いる脂肪族ポリカーボネート樹脂(B)としては、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂が用いられる。
これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
尚、シクロヘキサンジメタノールの中でも、工業的に入手が容易である、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
成形加工性や諸物性のさらなる向上・調整を目的として、本発明の多層体を構成するアクリル系樹脂(A)、又は、脂肪族ポリカーボネート樹脂(B)に対して、その他の樹脂や、樹脂以外の添加剤を配合し、樹脂組成物とすることも出来る。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等の樹脂やコア−シェル型、グラフト型又は線状のランダム及びブロック共重合体のようなゴム状改質剤などが挙げられる。前記ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、あるいは、添加剤の配合量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の多層体の各層を構成する樹脂組成物に対して、1質量%以上、30質量%以下の割合で配合することが好ましく、3質量%以上、20質量%以下の割合で配合することがより好ましく、5質量%以上、10質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。
本発明の多層体の各層を構成する樹脂組成物には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル) ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル) ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。 これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。前記熱安定剤の配合量は、本発明の多層体の各層を構成する樹脂組成物に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で熱安定剤を配合することにより、添加剤のブリード等を生じることなく多層体を構成する樹脂組成物の分子量低下や変色を防止することができる。
また、本発明の多層体の各層を構成する樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の1種又は2種以上が挙げられる。前記酸化防止剤の配合量は、本発明の多層体の各層を構成する樹脂組成物に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で酸化防止剤を配合することにより、酸化防止剤のブリード、多層体の機械特性低下を生じることなく、樹脂の酸化劣化を防止することができる。
また、本発明の多層体の各層を構成する樹脂組成物に対して表面滑性の付与を目的として、滑剤を配合することができる。前記滑剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/ またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
また、本発明の多層体の各層を構成する樹脂組成物の耐候性をさらに向上する目的で、紫外線吸収剤、光安定剤を配合することができる。かかる紫外線吸収剤、光安定剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。紫外線吸収剤の融点としては、特に120〜250℃の範囲にあるものが好ましい。融点が120℃ 以上の紫外線吸収剤を使用すると、成形品表面のガスによる曇りが減少し改善される。具体的には、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2 '−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル) −5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3'−(3",4",5",6"−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が使用され、これらのうちでも、特に、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノールが好ましい。これらの紫外線吸収剤、光安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。前記紫外線吸収剤、光安定剤の配合量は、本発明の多層体の各層を構成する樹脂組成物に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で紫外線吸収剤、光安定剤を配合することにより、多層体表面への紫外線吸収剤、光安定剤のブリードや、多層体の機械特性低下を生じることなく、耐候性を向上することができる。
さらに、本発明の多層体の各層を構成する樹脂組成物の耐加水分解性をさらに向上するため、エポキシ系化合物を配合することができる。エポキシ系化合物の具体例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4−(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル)ブチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチルー3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6'−メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス−エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス−エポキシエチレングリコール、ビス−エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,5−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、オクタデシル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2−イソプロピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−エチルヘキシル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6−ジメチル−2,3−エポキシシクロヘキシル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ−N−ブチル−3−t−ブチル−4,5−エポキシ-シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレートなどが挙げられる。ビスフェノールAジグリシジルエーテルが相溶性などの点から好ましい。前記エポキシ系化合物の配合量としては、本発明の多層体の各層を構成する樹脂組成物に対して、0.0001質量%以上、5質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲でエポキシ系化合物を配合することにより、エポキシ系化合物のブリード、多層体の機械特性低下を生じることなく、耐加水分解性を向上することができる。
本多層体は、フィルム、シート、プレート等の形状で使用することができる。本多層体の成形方法としては公知の方法、例えば、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等の方法を用いることができる。この中でも特に3層以上の多層体を成形する場合は共押出法を用いることが好ましい。
一方、本発明にかかる脂肪族ポリカーボネート樹脂を用いた多層体は、芳香族ポリカーボネート樹脂よりもガラス転移温度を低くすることができるため熱成形が容易であり、耐熱性と二次加工性を兼ね備えたシートを得ることができる。また脂肪族系であるため耐候性に優れており、表面硬度や耐溶剤性の向上も期待できるため、特に、屋外で使用されたり、印刷が施されて使用されたりする熱成形用途に好適に使用することができる。
なお、一旦熱成形によって二次加工した後に溶融樹脂を射出成形する場合だけでなく、熱成形と射出成形を金型内で同時に行ってもよく、シート状の多層体を用いて一段階でインモールド成形体を得ることもできる。当該インモールド成形体の用途としては、自動車内装材や家電製品部材、OA機器部材等に好適に使用することができる。
ウベローデ粘度計を使用し、ポリカーボネート樹脂試料の塩化メチレン溶液(0.6g/dl)を調製し、20℃におけるηspを測定し、以下の式(I)及び(II)より粘度平均分子量(Mv)を求めた。
ηsp/C=[η]×(1+0.28ηsp) (I)
[η]=1.23×10-4×(Mv)0.83 (II)
(式(I)中、ηspはポリカーボネート樹脂試料の塩化メチレン中20℃で測定した比粘度であり、Cはこの塩化メチレン溶液の濃度である。塩化メチレン溶液としては、ポリカーボネート樹脂試料の濃度が0.6g/dlの溶液を使用する。)
中央理化社製DT−504型自動粘度計にてウベローデ型粘度計を用い、溶媒として、塩化メチレンを用い、温度20.0℃±0.1℃でポリカーボネート樹脂試料の還元粘度を測定した。濃度は0.60g/dlになるように、精密に調整した後に測定した。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、下記式:
ηrel=t/t0
より相対粘度ηrelを求め、 相対粘度ηrelから、下記式:
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
より比粘度ηspを求めた。
比粘度ηspを濃度c(g/dl)で割って、下記式:
ηred=ηsp/c
より還元粘度(換算粘度)ηredを求めた。
この数値が高いほど分子量が大きい。
粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測制御株式会社製)を用い、歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて動的粘弾性の温度分散測定(JIS K7198A法の動的粘弾性測定)を行った。そして損失正接(tanδ)の主分散のピークを示す温度をガラス転移温度とした。
JIS K7105に基づいて、全光線透過率および拡散透過率を測定し、ヘーズを以下の式で算出した。厚み0.2mmでの全光線透過率が80%以上、ヘーズが3%以下であるものを合格とした。
[ヘーズ]=[拡散透過率]/[全光線透過率]×100
長さ5mm×幅5mm(厚みはそれぞれの試験片により異なる)の評価用サンプルを用いて、JIS K7196に基づき、TMAによる軟化温度の測定を行った。温度23℃、相対湿度50%、圧子への圧力0.5N、昇温速度5℃/分にてTMA曲線を測定し、圧子が侵入を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し、侵入速度が最大となる部分の接線の低温側への延長との交点を針侵入温度とし、この値から軟化温度を算出した。TMA軟化温度は70℃以上を合格とした。
ハイドロショット高速衝撃試験器(島津製作所社製「HTM−1型」)を用いて、縦方向100mm×横方向100mmの大きさに切り出したシートを試料とし、クランプで固定し、温度23℃でシート中央に直径が1/2インチの撃芯を落下速度3m/秒で落として衝撃を与え、試料が破壊するときの破壊エネルギー(kgf・mm)を測定した。破壊エネルギーが200kgf・mm以上のものを合格とした。
スガ試験機社製キセノンウェザーメーターWBL75XSを用い、面照射度60W/cm2、波長300〜400nm、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%の条件下において、サンプルに対して72時間の照射を行った。照射前後のサンプルについて色差ΔEを測定した。ΔEが20以下であるものを合格とした。
JIS K5400に基づき、雰囲気温度23℃の恒温室内で80mm×60mmに切り出した多層体サンプルの第1層の表面に対して、鉛筆を45度の角度を保ちつつ1kgの荷重をかけた状態で線を引き、表面状態を目視にて評価した。鉛筆硬度が2H以上であるものを合格とした。
PMMA1:
三菱レイヨン社製アクリペットVH5、ポリメチルメタクリレート、
ガラス転移温度=120℃、数平均分子量 89,000
PC1:
イソソルビドに由来する構造単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位=30/70モル%、
ガラス転移温度=80℃、還元粘度 0.69dl/g
PC2:
イソソルビドに由来する構造単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位=50/50モル%、
ガラス転移温度=101℃、還元粘度 0.57dl/g
PC3:
イソソルビドに由来する構造単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位=70/30モル%、
ガラス転移温度=120℃、還元粘度 0.56dl/g
PC1をφ40mm単軸押出機を用いて、2種3層のマルチマニホールド式の口金より第2層として220℃で押出した。また、同時にPMMA1をφ30mm単軸押出機を用いて、同様の口金より第1層、及び、第3層として220℃で押出した。また、この時それぞれの層の厚みは、第1層/第2層/第3層が0.04/0.12/0.04(mm)となるよう溶融樹脂の吐出量を調整した。次いで、この共押出シートを約110℃のキャスティングロールにて急冷し、多層シートを得た。得られた多層シートに関して、透明性(全光線透過率、ヘーズ)、耐熱性(TMA軟化温度)、耐衝撃性(破壊エネルギー)、耐UV変色性(ΔE)、表面硬度(鉛筆硬度)の評価を行った結果を表1に示す。
参考例1において、第2層をPC2とした以外は参考例1と同様の方法で多層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
参考例1において、第2層をPC3とした以外は参考例1と同様の方法で多層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
PMMA1をφ40mm単軸押出機を用いて、2種2層のマルチマニホールド式の口金より第1層として220℃で押出した。また、同時にPC3をφ30mm単軸押出機を用いて、同様の口金より第2層として220℃で押出した。また、この時それぞれの層の厚みは、第1層/第2層が0.05/0.15(mm)となるよう溶融樹脂の吐出量を調整した。次いで、この共押出シートを約110℃ のキャスティングロール(キャスティングロール面側がPMMA1)にて急冷し、多層シートを得た。得られた多層シートに関して、参考例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
PMMA1をφ40mm単軸押出機を用いて、単層の口金より220℃で厚みが200μmとなるように押出した後、約110℃ のキャスティングロールにて急冷し、単層シートを得た。得られた単層シートに関して、参考例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
PC1をφ40mm単軸押出機を用いて、単層の口金より220℃で厚みが200μmとなるように押出した後、約80℃のキャスティングロールにて急冷し、単層シートを得た。得られた単層シートに関して、参考例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
脂肪族ポリカーボネート樹脂の代わりにPC4として、三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロンS3000(芳香族ポリカーボネート樹脂、ガラス転移温度=150℃、還元粘度 0.49dl/g、粘度平均分子量=20,000)を用い、参考例1において、第2層をPC4とした以外は参考例1と同様の方法で多層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
Claims (10)
- アクリル系樹脂(A)からなる層と、構造の一部に下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含む脂肪族ポリカーボネート樹脂(B)からなる層とを、各々少なくとも1層有し、
前記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が3万以上、30万以下であり、
前記アクリル系樹脂(A)からなる層の厚みの、多層体の全層の厚みに対する割合が、5%以上、60%以下であり、
前記脂肪族ポリカーボネート樹脂(B)が、前記構造単位(a)を40モル%以上含み、
前記脂肪族ポリカーボネート樹脂の還元粘度が0.20dl/g以上1.0dl/g以下である、多層体。
- 前記脂肪族ポリカーボネート樹脂(B)が、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位(b)を更に含む請求項1に記載の多層体。
- 前記脂肪族ポリカーボネート樹脂(B)が、前記構造単位(a)を40モル%以上、80モル%以下の割合で含み、前記構造単位(b)を20モル%以上、60モル%以下で含む請求項2に記載の多層体。
- 前記アクリル系樹脂(A)からなる層を前記多層体の両最外層とし、かつ、前記脂肪族ポリカーボネート樹脂(B)からなる層を前記多層体の内層として少なくとも1層有する請求項1から3のいずれか1項に記載の多層体。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の多層体を用いてなるディスプレイカバー。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の多層体を用いてなる建築材料部材。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の多層体を用いてなる熱成形体。
- 請求項7に記載の熱成形体を用いてなる自動販売機用模擬缶。
- 請求項7に記載の熱成形体を用いてなるプレススルーパック。
- 請求項7に記載の熱成形体を用いてなるインモールド成形体。
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