以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される構成要素、構成要素の配置などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲だけによって限定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
(実施の形態1)
まず、図1〜図34を用いて、本発明の実施の形態1における映像表示装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における映像表示装置の構成を模式的に示す概略斜視図である。
図1において、映像表示装置100は、光源制御装置120と、映像表示用透過型ディスプレイ107と、同期制御部109と、映像表示装置制御部110とを備える。光源制御装置120は、平行光線を射出する面光源101と、マスクパターン部102と、偏向素子103と、スリット104と、垂直拡散板(第1の垂直拡散板)105と、垂直拡散板(第2の垂直拡散板)106と、光源制御部108とを備え、後述するx軸方向(第1の軸方向)における光線の向きを制御する。
面光源101と、マスクパターン部102とから光源ユニットが構成され、光源ユニット(マスクパターン部102)は、後述するx軸方向(第1の軸方向)に対して直交するz軸方向(第2の軸方向)に沿って複数の平行光線をマスクパターン部102の任意の位置から射出する。
以上の構成により、本実施の形態では、以下に説明するように、視聴者111は、眼鏡等を用いずとも、2次元映像表示と同じように制約なく立体映像を視聴できるようになる。
図2は、図1に示す面光源101の構成を示す概略斜視図である。図3は、図1に示す映像表示装置100の上面図であり、図4は、図1に示す映像表示装置100の側面図である。ここで、図2〜図4を用いて、以降の説明に使用する映像表示装置100の座標系を定義する。
本実施の形態では、面光源101として、幅w1、高さh1の矩形領域全体(図2中のハッチング領域)から平行光線を射出する面光源を用いる。以降の説明では、面光源101の平行光線の射出部である矩形領域(光線射出面)の中心を原点とし、平行光線の射出方向をz軸の正方向、面光源101の高さ方向と平行で且つ視聴者111から見て上方向をy軸の正方向、面光源101の幅方向と平行で且つ視聴者111から見て右方向をx軸の正方向とする。また、面光源101について、光線射出面のz座標上の位置をz座標の基準として考えることとし、面光源101の光線射出面のz座標z1=0とする。
面光源101は、例えば、LED(Light Emitting Diode)のような発光面積の小さい光源(図示省略)と、凸レンズ(図示省略)とを備え、凸レンズの焦点位置に光源を設置することにより、凸レンズを介して面積を持った平行光線を射出する。その際、面光源101は、凸レンズと光源との組を複数並べることにより実現してもよい。また、装置の薄型化のため、凸レンズとして、フレネルレンズのように、凸レンズと同様の光学特性を有する光学素子を用いてもよい。
なお、面光源101から射出される平行光は、完全な平行光でなくともよく、視聴者111が映像表示用透過型ディスプレイ107に映る立体映像を視聴する時に、左右の画像領域が混ざり、クロストークが発生して立体視に障害が起こらない範囲ならば、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
図3及び図4は、光源制御装置120を備えた映像表示装置100の上面図と側面図に、図2を用いて説明した座標系を書き加えた図である。図3において、視聴者111の片方の目の視点位置を301で示す。各構成要素について、以下、本実施の形態における形状と大きさを説明する。
マスクパターン部102は、幅w2、高さh2の矩形領域を有し、マスクパターン部102の厚みはt2である。矩形領域の入射面のz座標をz2とすると、z2≧z1である。マスクパターン部102は、例えば、液晶パネルのような透過型ディスプレイで構成される。透過型ディスプレイを用いる場合、各画素の透過率を変化させることにより、マスクパターン部102は、複数の平行光線を射出可能に構成され、矩形領域中の任意の領域を、平行光線を透過する開口部と平行光線を遮蔽する遮蔽部とに動的に切り替え、所望の形状のマスクパターンを生成し、マスクパターンの開口部から平行光線を射出することができる。すなわち、マスクパターン部102は、開口部と遮光部とを有し、開口部の位置及び形状を任意に変更可能に構成され、平行光線を矩形領域の射出面の任意の位置から射出し、任意パターンの平行光線を射出することができる。
図5は、図1に示す偏向素子103の一例の構成を示す斜視図である。本実施の形態では、偏向素子103として、例えば、レンズ幅方向のみに曲率を持つ平凸シリンドリカルレンズを用いる。偏向素子103は、幅cw、高さchの矩形領域を有し、偏向素子(以下、シリンドリカルレンズともいう)103の厚みはt3である。
なお、本実施の形態では、平凸シリンドリカルレンズを用いて説明するが、種々のシリンドリカルレンズ、例えば、両凸、平凹、又は両凹シリンドリカルレンズでもよく、また、シリンドリカルフレネルレンズのように光学特性の同一な薄型レンズを用いてもよい。さらには、平行光線を所定の軸方向において偏向することができる光学素子であれば、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
図6は、図5に示すシリンドリカルレンズ103の光学特性を説明するための模式図であり、上段はレンズ幅方向の断面図であり、下段はレンズ高さ方向の断面図である。シリンドリカルレンズ103は、レンズ内の一方向にのみ曲率を持ったレンズであり、シリンドリカルレンズ103の幅をcw、高さをchとした場合、この図では、光軸OAの方向に直交する幅方向(第1の素子方向)にのみ曲率を有し、光軸OAの方向及び幅方向に直交する高さ方向(第2の素子方向)には曲率を有していない。なお、シリンドリカルレンズ103のレンズ有効径は、幅cwと等しいものとする。
上記のように、シリンドリカルレンズ103は、自身の光軸方向に対して直交する第1の素子方向と、光軸及び第1の素子方向の双方に対して直交する第2の素子方向とで異なる偏向作用を有し、x軸方向(水平方向)に対して斜めに傾けて配置されている。したがって、シリンドリカルレンズ103の平行光線の入射位置を変更することにより、シリンドリカルレンズ103から射出する光線のx軸方向(水平方向)における向きを変更することができる。
図6の上段のレンズ幅方向の断面図において、レンズ主平面に対して垂直に入射した光は、レンズの屈折作用により偏向され、焦点FPに集光する。このとき、シリンドリカルレンズ103の焦点距離をf1とすると、焦点距離は、シリンドリカルレンズ103における光線射出側の主平面103aから焦点FPまでの光軸方向における距離である。幅方向の偏向角φは、図6の上段のように、入射面と反対側の焦点までの距離f1と、幅cwにより決まる。したがって、レンズローカル座標系において、レンズ幅中心を原点とした場合の、ある幅方向位置lでの偏向角φは、以下の式(1)で表される。なお、実際のレンズにおいては、射出された光線は、収差の影響により焦点からずれた位置を通るため、多少の誤差を含む。
φ=tan−1(l/f1) … (1)
一方、シリンドリカルレンズ103は、高さ方向に曲率を持たないため、図6の下段のレンズ高さ方向の断面図に示すように、シリンドリカルレンズ103に平行に入射した光は、高さ方向には偏向されない。なお、図6の下段では、平凸のシリンドリカルレンズ103の曲率を持たない平面から平行光線を入射しているが、反対側の曲面から平行光線を入射する構成であってもよい。
図7は、図1に示す映像表示装置100におけるシリンドリカルレンズ103の設置状態を示す斜視図である。シリンドリカルレンズ103における矩形領域の幅方向がy軸に平行で且つ高さ方向がx軸に平行になるように、シリンドリカルレンズ103を設置した状態を水平状態とした場合、図7のように、シリンドリカルレンズ103は、水平状態からx軸を基準として傾き角θ(0≦θ<2π[rad])だけ傾けて設置される。
図8は、水平状態から傾き角θだけ傾けたシリンドリカルレンズ103に平行光が入射した場合の、シリンドリカルレンズ103からの射出光を模式的に示す図である。また、図8の左側上段はシリンドリカルレンズ103の正面図であり、左側下段はシリンドリカルレンズ103の上面図であり、右側はシリンドリカルレンズ103の側面図であり、左側上段の正面図に示す丸点IPが光の入射位置を示す。
シリンドリカルレンズ103が傾き角θだけ傾けて設置されると、x軸方向への偏向角φ’は、傾き角θを考慮すると、下記の式(2)で表され、また、y軸方向への偏向角φ”は、下記の式(3)で表される。
φ’=tan−1(l×sinθ/f1) … (2)
φ”=tan−1(l×cosθ/f1) … (3)
ここで、再び図7を参照して、上記の座標系における斜めに傾けたシリンドリカルレンズ103のx軸に平行な方向の長さをw3、y軸に平行な長さをh3とすると、x=±(w3/2)におけるシリンドリカルレンズのy軸方向の長さhcは、下記の式(4)を満たすものとする。
hc=cw/cosθ … (4)
ここで、上記のように配置されたシリンドリカルレンズ103の矩形領域の入射面のz座標をz3とすると、z3≧(z2+t2)である。
上記のように配置されたシリンドリカルレンズ103では、同一のx座標位置(水平位置)において、y軸方向(垂直方向)における平行光線の入射位置を変化させることにより、x軸方向(水平方向)における光線の向きを変化させることができる。
図9は、図1に示すスリット104の構成を示す断面図であり、図10は、図1に示すスリット104の構成を示す斜視図である。スリット104は、幅w4、高さh4の矩形領域を有し、スリット104の厚みはt4である。スリット104の矩形領域の入射面のz座標をz4、シリンドリカルレンズ103の光線射出面から見た主平面103aのz座標をz3’とすると、z4は(z3’+f1)に近い値となるように設定される。
スリット104は、斜めに傾けたシリンドリカルレンズ103に対応して、斜めに配置された開口部104a(白色部分)を有しており、残りのハッチング部分が遮蔽部104bとなる。このようなスリット104がレンズ焦点位置に設置されている。
ここで、シリンドリカルレンズ103の性質として、例えば、内部反射等により迷光SLが生じ、この迷光SLの影響を取り除くために、スリット104を設置する。具体的には、偏向素子103として、シリンドリカルレンズやシリンドリカルフレネルレンズを用いる場合、レンズに入射する平行光線は、レンズの屈折作用で偏向した後、一旦レンズ焦点に集光する。したがって、図9及び図10に示すように、シリンドリカルレンズ103の焦点位置付近にのみ幅SWの開口部104aを有するスリット104を設置すれば、シリンドリカルレンズ103に平行に入射した光を失わずに迷光を取り除くことができる。
なお、シリンドリカルレンズ103により偏向した光線は、理論的には、レンズ焦点位置を通過するが、実際には収差等の影響により焦点から少しずれた位置を通過する。よって、スリット104の開口部104aの幅SWは、実用上問題ない程度の大きさにする必要がある。
垂直拡散板105は、シリンドリカルレンズ103によりx方向(水平方向)における向きが変化された光線をy方向(垂直方向)にのみ拡散する。垂直拡散板105は、スリット104を通過した光線のみを拡散する位置に配置され、幅w5、高さh5の矩形領域を有し、その厚みはt5である。垂直拡散板105の矩形領域の入射面のz座標をz5とすると、z5≧z4+t4である。
図11は、図1に示す垂直拡散板105の一例の構成を示す模式図である。本実施の形態では、例えば、垂直拡散板105として、図11に示すレンチキュラレンズ801を用いる。レンチキュラレンズ801の拡散は、y軸方向に平行な方向のみに発生するものとする。
なお、本実施の形態では、垂直拡散板105として、レンチキュラレンズを用いて説明するが、この例に特に限定されず、入射光線を1方向のみに拡散することができる光学素子であれば、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。また、垂直拡散板105の拡散方向は、厳密には1方向でなくともよく、視聴位置における立体映像の視聴時に、左右の画像領域が混ざり、クロストークが発生して立体視に障害が起こらない特性を有している光学素子であれば、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
図11に示すように、レンチキュラレンズ801は、拡散方向に配列された複数の微小な平凸シリンドリカルレンズ802から構成され、一方向に光線を拡散する。レンチキュラレンズ801の平面側から垂直な平行光線が入射した場合、平行光線は、一度、シリンドリカルレンズ802の焦点距離f2だけ離れた位置に集光し、その後、拡散していく。このときの拡散角ψ1は、シリンドリカルレンズ802の曲率と材質とから決まる。なお、図11では、レンチキュラレンズ801の平面側から光が入射しているが、曲面側から光が入射した場合でも、同様の拡散効果を持つ。
図12は、図11に示すレンチキュラレンズ801の第1の拡散状態を示す模式図であり、図13は、図11に示すレンチキュラレンズ801の第2の拡散状態を示す模式図である。レンチキュラレンズ801のレンズピッチ(平凸シリンドリカルレンズ802の配置ピッチ)が十分に細かい場合、レンチキュラレンズ801による拡散は、図12に示すように、ある範囲内において隙間なく拡散していると見なせる。以降、レンチキュラレンズ801による拡散を図12で表す。
一方、レンチキュラレンズ801に入射する光線がレンズ平面に対して垂直でない場合、拡散範囲は、入射光線とレンチキュラレンズ801との成す角度によって変化する。例えば、図13に示すように、光線が下方から斜めにレンチキュラレンズ801に入射した場合、拡散範囲は斜め上方へ移動する。
垂直拡散板106は、垂直拡散板105により拡散された光線をさらにy方向(水平方向)のみに拡散する。垂直拡散板106は、幅w6、高さh6の矩形領域を有し、その厚みはt6である。垂直拡散板106の矩形領域の入射面のz座標をz6、垂直拡散板105に用いられるレンチキュラレンズ801の光線射出面から見た主平面のz座標をz5’(図11参照)とすると、z6≧(z5’+f2)である。
本実施の形態では、例えば、垂直拡散板106としても、図11に示すレンチキュラレンズ801を用いる。垂直拡散板106に用いられるレンチキュラレンズ801の拡散は、y軸方向に平行な方向のみに発生するものとする。
但し、垂直拡散板106に用いるレンチキュラレンズ801の拡散角ψ2は、垂直拡散板105に用いるレンチキュラレンズの拡散角ψ1と同じでなくともよい。このとき、垂直拡散板106に用いるレンチキュラレンズ801の光線射出面から見た焦点距離をf3とする。
なお、本実施の形態では、垂直拡散板106としても、レンチキュラレンズ801を用いて説明するが、この例に特に限定されず、入射光線を1方向のみに拡散することができる光学素子であれば、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。また、垂直拡散板106の拡散方向も、厳密には1方向でなくともよく、視聴位置における立体映像の視聴時に、左右の画像領域が混ざり、クロストークが発生して立体視に障害が起こらない特性を有している光学素子であれば、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
映像表示用透過型ディスプレイ107は、例えば、液晶パネルのような透過型ディスプレイで構成され、垂直拡散板106から射出される拡散光を用いて画像を表示する。映像表示用透過型ディスプレイ107は、幅w7、高さh7の矩形表示領域を有し、その厚みはt7である。映像表示用透過型ディスプレイ107の矩形表示領域の入射面のz座標をz7、垂直拡散板106に用いられるレンチキュラレンズ801の光線射出面から見た主平面のz座標をz6’とすると、z7は(z6’+f3)に近い値となるように設定される。
光源制御部108は、同期制御部109からの制御信号に従って面光源101及びマスクパターン部102を制御することにより、マスクパターン部102の平行光線の射出位置を制御する。例えば、光源制御部108は、マスクパターン部102が透過型ディスプレイから構成されている場合、マスクパターン部102の開口部と遮蔽部との形状を制御し、所望のマスクパターンを生成するように面光源101及びマスクパターン部102を制御する。このように、光源制御部108は、マスクパターン部102の開口部の位置を変化させることにより、マスクパターン部102から射出される平行光線の射出位置を変化させる。
上記のように、光源制御部108がマスクパターン部102の平行光線の射出位置を制御することにより、シリンドリカルレンズ103の平行光線の入射位置を制御することができるので、平行光線の射出位置に応じてx軸方向(水平方向)における光線の向きを制御することができ、x軸方向(水平方向)における光線の向きが制御された光線を、垂直拡散板105、106によりy軸方向(垂直方向)に拡散することができる。この結果、x軸方向(水平方向)における向きを制御しながら、y軸方向(垂直方向)に拡散する光線を射出することができる。
また、光源制御部108は、透過型ディスプレイから構成されたマスクパターン部102の開口部と遮光部との位置を変更する際に生じる画面遷移時に、面光源101からの平行光線の照射を停止し、マスクパターン部102の画面遷移が終了した後に、面光源101からの平行光線の照射を再開することが好ましい。この場合、画面遷移時に不安定な光線が射出されることを防止することができる。
同期制御部109は、光源制御部108と映像表示装置制御部110とが同期して動作するように、光源制御部108と映像表示装置制御部110を制御する。例えば、同期制御部109は、マスクパターン部102により生成されるマスクパターンに同期させて映像表示用透過型ディスプレイ107に表示する映像を決定するように、映像表示装置制御部110を制御する。
光源制御部108は、例えば、同期制御部109からの制御信号に従い、垂直拡散板106から射出される拡散光の集光位置を時分割で切り替えることにより、拡散光の集光位置が視聴者の左眼と右眼とになるように、マスクパターン部102の平行光線の射出位置を制御する。
映像表示装置制御部110は、例えば、同期制御部109からの制御信号に従い、光源制御部108による集光位置の切り替えと同期して、集光位置に対応した視差映像を表示するように、映像表示用透過型ディスプレイ107を制御することにより、映像表示用透過型ディスプレイ107に表示する映像を制御する。
視聴者111は、映像表示用透過型ディスプレイ107を視聴する者である。視聴者の片目の視点位置のx座標及びy座標がz軸上にあるとき、視点位置のz座標をz8とする。このとき、z8≧z7+t7である。
なお、本実施の形態において、面光源101と、マスクパターン部102と、傾いた偏向素子103と、スリット104と、垂直拡散板105と、垂直拡散板106と、映像表示用透過型ディスプレイ107とは、各矩形領域の幅方向がx軸に平行で、且つ高さ方向がy軸に平行になるように配置され、さらにz軸が矩形領域の中心を通るように配置されているが、光源制御装置120から最終的に出力される光線の向きを所定の軸方向に対して制御することにより、視聴者が立体視を行うことができる配置方法であれば、上記の配置方法に限定されない。
また、各部の形状においても、光源制御装置120から最終的に出力される光線の向きを所定の軸方向に対して制御することにより、視聴者が立体視を行うことができる形状であれば、矩形に限定されない。
次に、本実施の形態における傾いたシリンドリカルレンズ103と映像表示用透過型ディスプレイ107とについて、視聴者111が映像表示用透過型ディスプレイ107の画面全体を観察できるためには、以下の条件が成り立つ必要がある。
図14は、図1に示す映像表示装置のシリンドリカルレンズ103と映像表示用透過型ディスプレイ107とに対する制約条件を説明するための模式図であり、図15は、図1に示す映像表示装置のシリンドリカルレンズ103と視点位置とに対する制約条件を説明するための模式図である。
偏向素子として使用する傾いたシリンドリカルレンズ103のx軸方向端の座標(w3/2)から射出可能な最大水平偏向角をφ’MAXとしたとき、映像表示用透過型ディスプレイ107のx軸方向の画面端の座標(w7/2)と、傾いたシリンドリカルレンズ103のx軸方向端の座標(w3/2)とにおいて、図14に示すように、制約条件として、以下の式(5)が成り立つ。
w3/2≧w7/2+(z7−z3’)tanφ’MAX … (5)
上記(5)式を満たすことにより、映像表示用透過型ディスプレイ107のx軸方向における両端座標を通る光線が存在することになる。
また、視点位置301のz座標z8について、偏向した光線が視点位置301で射出瞳を形成するには、傾いたシリンドリカルレンズ103のx軸方向のレンズ幅端であるx軸方向の端座標(w3/2)において、図15に示すように、以下の式(6)が成り立つ必要がある。
φ’MAX≧tan−1(w3/2(z8−z3’)) … (6)
したがって、上記式(6)を満たすように、視聴者の視点位置301を定める。なお、式(5)、式(6)において使用している偏向角φ’MAXについて、理論値は、式(2)から求められるが、実際のレンズでは、収差による誤差から、式(2)の値と必ずしも一致しない。よって、実際には、実測値を用いて条件式(5)、式(6)を定める必要がある。また、面光源101、マスクパターン部102、スリット104、垂直拡散板105、及び垂直拡散板106についても、光線が各構成要素の有効範囲を通過するように、適切にx軸方向の幅を設定する必要がある。
図16は、上記の構成を用いた場合の、図1に示す映像表示装置100の映像表示用透過型ディスプレイ107による立体視の概念図である。本実施の形態の映像表示装置100では、上記の構成により、映像表示用透過型ディスプレイ107から射出される縦ストライプ状の光線の射出瞳を各視聴者111a、111bの左右視点位置に同時に形成できるため、結果として、複数人の視聴者が同時に裸眼立体映像を視聴できる。
次に、図16に示す立体視を実現するための光源制御装置120の射出瞳形成方法について説明する。図17は、図1に示す映像表示装置において面光源101とマスクパターン部102とを用いた場合に、任意の位置から複数の平行光線を射出する光源ユニットの構成を示す概略斜視図であり、図18は、マスクパターン部102により生成されるマスクパターンの一例を示す図である。
図17に示すように、光源制御部108は、面光源101及びマスクパターン部102を制御し、面光源101は、幅w1、高さh1の矩形領域全体から平行光線を射出し、マスクパターン部102は、図18に示すマスクパターンMPを生成し、中央部の縦長四角形の開口部OPから平行光線PLが射出される。すなわち、図18に示す例では、マスクパターン部102として用いる透過型ディスプレイに、中央部の平行光線PLのみを通すようなマスクパターンMPが表示され、このマスクパターンMPでは、中央の白線部分のみが開口部OPとなり、その他のハッチング部分は遮蔽部となる。したがって、平行光源である面光源101の光線射出部に透過型ディスプレイからなるマスクパターン部102を設置した場合、画面中央の開口部OPからのみ平行光線PLが射出される。このように、マスクパターンの開口部の形状は、光源制御部108がマスクパターン部102を制御することにより、任意の形状に変えることができる。
次に、図19〜図30を用いて、光源ユニットから射出される平行光線を制御し、任意位置に射出瞳を形成する方法について説明する。ここからは、構成の一部を抜き出して各構成要素の役割について説明していく。
図19は、図1に示す実施の形態1の構成のうち、面光源101、マスクパターン部102、シリンドリカルレンズ(偏向素子)103、及び映像表示用透過型ディスプレイ107のみを抜き出した上面図である。なお、以降の図において、簡単のため、スリット104の図示は省略する。
まず、上記の式(5)、(6)を満たすように、w3、w7、z3’、z7、z8を設定したとき、xz平面に投影した光線について考える。この場合、図19のように、シリンドリカルレンズ103から射出された各光線が、映像表示用透過型ディスプレイ107上のすべてのx座標を通り、且つそれら各光線をxz平面に投影した場合、視点位置301に集光する光線となる平行光線の射出方法が存在する。
図20は、視点位置301に集光する光線となる平行光線を射出するために、マスクパターン部102により生成されるマスクパターンの形状の一例を示す図であり、図21は、図20に示すマスクパターンからシリンドリカルレンズ103へ入射する平行光線を示す図である。
上記の視点位置301に集光する光線となる平行光線の射出方法が、図20に示すマスクパターンMP1をマスクパターン部102に設定した場合に射出される平行光線であるとする。マスクパターンMP1は、斜めに傾いた長四角形の開口部OP1を有し、開口部OP1から平行光線が射出される。このとき、図21に示すように、開口部OP1から射出された平行光線PL1は、斜めに傾いているシリンドリカルレンズ103の中心軸CAに対して時計回りにさらに傾けられた状態で、シリンドリカルレンズ103へ入射する。
図22は、xz座標に投影した光線が射出瞳を形成している場合の光線経路を示す模式図であり、図23は、図22に示す構成を用いたときの映像表示用透過型ディスプレイ107における光線の状態を示す図である。
ここで、図22の左側上段は、図21と同様に、シリンドリカルレンズ103に入射する平行光線PL1を示すシリンドリカルレンズ103の正面図であり、左側下段は、面光源101、マスクパターン部102、シリンドリカルレンズ103、スリット104及び映像表示用透過型ディスプレイ107のみを抜き出した上面図であり、右側上段は、面光源101、マスクパターン部102、シリンドリカルレンズ103、スリット104及び映像表示用透過型ディスプレイ107のみを抜き出した側面図である。なお、図22では、図示を容易にするために、複数の光線のうち5本の光線PL2を代表して図示している。
図22の左側上段に示すシリンドリカルレンズ103に入射した平行光線PL1は、シリンドリカルレンズ103により偏向されて光線PL2として射出され、図22の左側下段に示すように、xz座標平面においては、光線PL2は、水平方向(x軸方向)において視点位置301に収束している。
xz座標に投影した光線PL2が視点位置301で射出瞳を形成している場合、垂直方向(y軸方向)の光線PL2の射出方向を見ると、図22の右側上段に示すように、垂直方向の光線PL2は、映像表示用透過型ディスプレイ107の全面を照射せず、且つ映像表示用透過型ディスプレイ107の通過した後に視点位置301にも収束しない。
このとき、視点位置301から映像表示用透過型ディスプレイ107を見た場合、図23に示すように、映像表示用透過型ディスプレイ107の画面中央部BPしか明るく見えない。そこで、シリンドリカルレンズ103と映像表示用透過型ディスプレイ107との間のz座標z5の位置に、レンチキュラレンズ801を用いた垂直拡散板105を設置する。
図24は、図22に示す構成に垂直拡散板105を追加した場合の光線経路を示す模式図である。シリンドリカルレンズ103と映像表示用透過型ディスプレイ107との間のz座標z5の位置に垂直拡散板105を設置し、y軸方向(垂直方向)に縦拡散する光線が、映像表示用透過型ディスプレイ107の画面高さ方向を覆って縦ストライプ状に照射するように、z座標z5、z7、拡散角ψ1を適切に設定する。この結果、図24の右側上段に示すように、垂直拡散板105により縦拡散された拡散光PL3は、映像表示用透過型ディスプレイ107の全面を照射できる。
次に、シリンドリカルレンズ103の右端から射出される光線について考える。図25は、図22に示す構成に垂直拡散板105を追加した場合にシリンドリカルレンズ103の右端から射出される光線による視聴位置への光線経路を示す模式図であり、図26は、図25に示す構成を用いたときの映像表示用透過型ディスプレイ107における光線の状態を示す図である。
図25の左側上段に示すように、シリンドリカルレンズ103の右端から光線PL4が射出される場合、垂直拡散板105により縦拡散された拡散光PL5によって、映像表示用透過型ディスプレイ107の右端は、全ての高さ方向の位置が照射されるが、図25の右側上段に示すように、依然として、視点位置301には集光していない。このときの視点位置301から映像表示用透過型ディスプレイ107を見た場合、図26に示すように、映像表示用透過型ディスプレイ107の画面右上の一部分BPしか明るく見えない。そこで、最後に垂直拡散板105と映像表示用透過型ディスプレイ107との間の座標z6の位置に、レンチキュラレンズ801を用いた垂直拡散板106を設置する。
図27は、図25に示す構成に垂直拡散板106を追加した場合の光線経路を示す模式図であり、図28は、図27に示す構成を用いたときの映像表示用透過型ディスプレイ107における光線の状態を示す図である。
図27の左側上段に示すように、シリンドリカルレンズ103の右端から射出される光線PL4について考えた場合、垂直拡散板105による縦拡散により映像表示用透過型ディスプレイ107の右端は、全ての高さにおいて拡散光PL5により照射され、さらに、垂直拡散板106の縦拡散により、映像表示用透過型ディスプレイ107上の画面右端における全ての位置から視点位置301に進む光線PL6が存在する。このとき、視点位置301から映像表示用透過型ディスプレイ107を見た場合、図28に示すように、映像表示用透過型ディスプレイ107の画面右端の全ての高さ位置にある縦ストライプ領域BLが照射されて見える。
図29は、図27に示す構成を用いて映像表示用透過型ディスプレイ107全体を照射した場合の光線経路を示す模式図であり、図30は、図29に示す構成を用いたときの映像表示用透過型ディスプレイ107における光線の状態を示す図である。
上記の垂直拡散板105及び垂直拡散板106を付加した構成において、シリンドリカルレンズ103の全位置から射出されるライン状の平行光線PL1の光線経路を図示したものが図29である。視点位置301から映像表示用透過型ディスプレイ107を見た場合、映像表示用透過型ディスプレイ107の表示面全体から視点位置301に進む光線PL6が存在するため、図30に示すように、映像表示用透過型ディスプレイ107の画面全体BAが照射されて見える。
なお、ここまでの説明では、垂直拡散板105、106による縦拡散は、理想的な垂直のみへの拡散を行うと仮定して説明してきた。しかし、実際の縦拡散は、垂直拡散板105、106に入射する光線のx軸方向の偏向角に応じて、縦方向の拡散角が大きくなるほど、拡散光がx軸方向にカーブする。よって、例えば、映像表示用透過型ディスプレイ107のx軸方向の画面端全体を照射するには、光線射出位置を理論式から算出される射出位置に対して微調整する必要がある。また、集光位置について、光源制御装置120から射出される光線は、幅を持った光線であるため、射出瞳は一点に集中するわけではなく、所定の大きさを有する。この領域の大きさは、面光源101から射出される光線の平行度やマスクパターン部102の開口部の大きさで決まる。
以上、図19〜図30を用いて、面光源101とマスクパターン部102とから構成される光源ユニットから射出される光を制御し、射出瞳を形成する方法について説明した。
次に、射出瞳を任意の位置に形成する方法について説明する。今までは、z軸上に視点位置があるものとしてきたが、実際にはこれに限定されない。図31は、左側の視点位置に射出瞳を形成する場合の平行光線パターン及び光線経路を示す模式図であり、図32は、右側の視点位置に射出瞳を形成する場合の平行光線パターン及び光線経路を示す模式図である。
図31に示すように、左側の視点位置301に射出瞳を形成する場合、マスクパターン部102は、平行光線PLを射出するためのマスクパターンを生成し、マスクパターンの開口部から平行光線PLが射出され、シリンドリカルレンズ103に入射する。ここで、平行光線PLは、中心軸CAより下側に入射され、且つ左側へ行くほど中心軸CAに近接するように入射される。したがって、平行光線PLは、左側へ行くほど偏向角が小さくなるようにシリンドリカルレンズ103により偏向され、左側の視点位置301に射出瞳が形成される。
一方、図32に示すように、右側の視点位置301に射出瞳を形成する場合、マスクパターン部102は、平行光線PRを射出するためのマスクパターンを生成し、マスクパターンの開口部から平行光線PRが射出され、シリンドリカルレンズ103に入射する。ここで、平行光線PRは、中心軸CAより上側に入射され、且つ右側へ行くほど中心軸CAに近接するように入射される。したがって、平行光線PRは、右側へ行くほど偏向角が小さくなるようにシリンドリカルレンズ103により偏向され、右側の視点位置301に射出瞳が形成される。
上記のように、本実施の形態では、マスクパターン部102のマスクパターンを制御してシリンドリカルレンズ103に照射される平行光線の照射位置を変えることにより、射出瞳の形成位置を変えることができる。
また、本実施の形態では、マスクパターン部102は、任意形状のマスクパターンを形成することができるので、図31に示す平行光線PL及び図32に示す平行光線PRを同時に射出することができ、2視点同時に射出瞳を形成することもできる。これにより、複数人同時に映像を提示することも可能である。このときの射出瞳の形成可能範囲について、図33を用いて説明する。図33は、射出瞳の形成可能範囲を示す模式図である。
本実施の形態の構成が式(5)を満たす場合、映像表示用透過型ディスプレイ107のx方向の画面端座標(w7/2)から水平方向の偏向角度φ’MAXで光線を射出することが可能である。このことより、視聴可能範囲VAは、図33のハッチング領域となる。このとき、最短視聴距離VMINは、下記の式(7)となる。
VMIN=w7/(2tanφ’MAX) … (7)
ここで、最短視聴距離VMINは、映像表示用透過型ディスプレイ107の解像度で決まる最適視聴距離Vdよりも短いことが望ましい。
最後に、視聴者への立体映像の提示方法について説明する。図34は、図1に示す映像表示装置100において時分割による立体映像の提示方法を説明するための模式図である。視聴者へ立体映像を提示する場合、同期制御部109は、光源制御部108と映像表示装置制御部110とを同期制御する。映像表示装置制御部110は、映像表示用透過型ディスプレイ107に、視聴者がちらつきを感じない時分割速度で、左眼用の視差画像LIと右眼用の視差画像RIとを切り替えて表示する。光源制御部108は、視差画像の切替に同期して、視聴者の左瞳位置301Lに射出瞳を形成する左眼用マスクパターンと、視聴者の右瞳位置301Rに射出瞳を形成する右眼用マスクパターンとを切り替えるようにマスクパターン部102を制御する。この結果、視聴者は、裸眼で立体映像を視聴可能となる。
以上、図1〜図34を用いて、実施の形態1について説明した。したがって、上記の構成により、本実施の形態では、奥行きを現在販売されているディスプレイ程度に保ちながら、表示画像の解像度の低下及び輝度ムラ等の画質劣化を発生させることなく、眼鏡無しで複数人が同時に立体映像を視聴することができ、また、視聴範囲の制約が少ない立体映像を表示することができるとともに、2次元映像表示と立体映像表示とを簡単に切り替えることができる。この結果、視聴者は、眼鏡等を用いずとも、2次元映像表示と同じように制約なく立体映像を視聴できるようになる。
なお、映像表示装置100は、拡散光の幅を視聴者の瞳孔距離以上に広げることが好ましい。この場合、視聴者がより明るい映像を視聴することができる。
また、映像表示装置100は、拡散光によって形成されるストライプ状の光線の幅を視聴者の瞳孔距離以上に広げ、且つ映像表示用透過型ディスプレイ107に表示する映像として、集光位置に関わらず、同一の映像を表示することが好ましい。この場合、時分割による集光位置制御であっても、明るい2次元映像を表示することができる。
また、マスクパターン部102は、透過型ディスプレイの開口部を全面開口部にすることが好ましい。この場合、拡散光の方向制御範囲内において、映像表示用透過型ディスプレイ107の映像が視聴可能となる。
(実施の形態2)
次に、図35〜図52を用いて、本発明の実施の形態2における映像表示装置の構成について説明する。図35は、本発明の実施の形態2における映像表示装置の構成を模式的に示す概略斜視図である。
図35において、映像表示装置200は、光源制御装置220と、映像表示用透過型ディスプレイ107と、同期制御部109と、映像表示装置制御部110とを備える。光源制御装置220は、平行光線を射出する面光源101と、マスクパターン部102と、偏向素子アレイ203と、スリット204と、垂直拡散板105と、垂直拡散板106と、光源制御部108とを備える。
本実施の形態は、実施の形態1よりも装置の奥行きを短くするための構成を採用しており、その構成を実現するための概念図を図36に示す。図36は、実施の形態2における奥行きを短くする構成を説明するための概念図である。
図36の上段は、実施の形態1における第1の垂直拡散板105、第2の垂直拡散板106及び映像表示用透過型ディスプレイ107を抜き出した側面図である。ここで、垂直拡散板105によって縦拡散された光が映像表示用透過型ディスプレイ107の縦方向全体を照射するためには、垂直拡散板105の拡散角ψ1から垂直拡散板105と映像表示用透過型ディスプレイ107との間の距離(z7−z5)を決める必要がある。この距離を短くするには、実施の形態1の構成の場合、垂直拡散板105の拡散角ψ1を大きくする必要があるが、拡散角ψ1を大きくするには、実施の形態1で垂直拡散板105として用いたレンチキュラレンズ801の特性上の限界がある。
そこで、本実施の形態では、図36の下段に示すように、y軸方向(垂直方向)において垂直拡散板105から射出される光線の数(光線の射出位置の数)を増加することにより、映像表示用透過型ディスプレイ107全体を照射しながら、垂直拡散板105と映像表示用透過型ディスプレイ107との間の距離(z7’−z5)を、実施の形態1の距離(z7−z5)に比べて短くすることができる。なお、y軸方向において垂直拡散板105から射出される光線の位置を増加した場合、明るさのムラを軽減するために、縦拡散した各光線が映像表示用透過型ディスプレイ107を照射する際に、光線が重なる重なり領域OLを有することが望ましい。
上記の構成を採用するため、本実施の形態の構成は、基本的には実施の形態1と同じであるが、偏向素子103及びスリット104がそれぞれ偏向素子アレイ203及びスリット204に置き換わっている点が実施の形態1と異なっており、以下、この点について詳細に説明し、その他の点は実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
図37は、図35に示す偏向素子アレイ203の構成の一例を説明するための模式図である。図37の左側上段に示すように、本実施の形態における偏向素子アレイ203は、幅cw、高さchの矩形領域を有し、その厚みがt3である複数の偏向素子103を、x軸を基準として傾き角θだけ傾けて並べて配置した光学素子アレイである。本実施の形態では、偏向素子103として、例えば、実施の形態1と同じくレンズ幅方向のみに曲率を持つシリンドリカルレンズを用いる。
上記のように構成された偏向素子アレイ203は、図37の右側上段に示すように、光学機能面として、幅w9、高さh9の矩形領域を有し、偏向素子アレイ203の中心は、偏向素子103の高さ方向の中心線上にある。なお、本実施の形態では、偏向素子アレイ203を構成する偏光素子として、平凸シリンドリカルレンズを用いて説明するが、種々のシリンドリカルレンズ、例えば、両凸、平凹、又は両凹シリンドリカルレンズでもよく、また、シリンドリカルフレネルレンズのように光学特性の同一な薄型レンズを用いてもよい。さらには、平行光線を所定の軸方向において偏向することができる光学素子であれば、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
ここで、水平から傾き角θだけ傾いた各シリンドリカルレンズ103に入射した光線の偏向角は、式(2)、式(3)と同一である。偏向素子アレイ203の矩形領域の入射面のz座標をz9とすると、z9≧(z2+t2)である。
図38は、図35に示すスリット204の構成を示す斜視図である。スリット204は、幅w10、高さh10の矩形領域を有し、その厚みはt10である。スリット204の矩形領域の入射面のz座標をz10、偏向素子アレイ203の光線射出面から見た主平面のz座標をz9’とすると、z10は(z9’+f1)に近い値となるように設定される。
図38に示すように、スリット204は、偏向素子アレイ203の斜めに傾けた各シリンドリカルレンズ103に対応して、斜めに配置された複数の開口部204a(白色部分)を有しており、残りのハッチング部分が遮蔽部204bとなる。このようなスリット104がレンズアレイとなる偏向素子アレイ203の各焦点位置に設置されている。
なお、偏向素子アレイ203により偏向した光線は、理論的には、各レンズ焦点位置を通過するが、実際には収差等の影響により焦点から少しずれた位置を通過する。よって、スリット204の開口部204aの幅は、実用上問題ない程度の大きさにする必要がある。
以降、垂直拡散板105のz座標をz11としたとき、z11≧z10+t10であり、垂直拡散板106のz座標z12としたとき、z12≧z11+t5であり、映像表示用透過型ディスプレイ107のz座標z13としたとき、z13≧z12+t6であり、視点位置301のz座標z14としたとき、z14≧z13+t7であるものとする。
なお、本実施の形態において、偏向素子アレイ203と、スリット204とは、各矩形領域の幅方向がx軸に平行で、且つ高さ方向がy軸に平行になるようにし、さらに矩形領域の中心をz軸が通るように配置されるが、光源制御装置220から最終的に出力される光線の向きを所定の軸方向に対して制御することにより、視聴者が立体視を行う映像表示装置において、装置全体のz軸方向の長さを短くすることができれば、上記の設置方法に特に限定されず、種々の変更が可能である。
また、形状においても、光源制御装置220から最終的に出力される光線の向きを所定の軸方向に対して制御することにより、視聴者が立体視を行う映像表示装置において、装置全体のz軸方向の長さを短くすることができれば、上記の矩形に特に限定されず、種々の形状を採用することが可能である。
次に、本実施の形態において、傾いた偏向素子アレイ203と映像表示用透過型ディスプレイ107とについて、視聴者が映像表示用透過型ディスプレイ107の画面全体を観察できるためには、以下の条件が成り立つ必要がある。
偏向素子アレイ203中の偏向素子103として使用する、傾いたシリンドリカルレンズの光線射出面から見た主平面z座標をz9’とし、偏向素子アレイ203のx軸方向の端座標(w9/2)から射出可能な最大水平偏向角をφ’MAXとしたとき、映像表示用透過型ディスプレイ107のx軸方向の画面端座標(w7/2)と、偏向素子アレイ203のx軸方向の端座標(w9/2)とにおいて、条件として、以下の式(8)が成り立つ。
w9/2≧w7/2+(z13−z9’)tanφ’MAX … (8)
上記(8)式を満たすことにより、映像表示用透過型ディスプレイ107のx軸方向における両端座標を通る光線が存在することになる。
また、視点位置301のz座標z14について、偏向した光線が視点位置301で射出瞳を形成するには、偏向素子アレイ203のx軸方向のレンズ幅端であるx軸方向の端座標(w9/2)において、以下の式(9)が成り立つ必要がある。
φ’MAX≧tan−1(w9/2(z14−z9’)) … (9)
したがって、上記(9)式を満たすように、視聴者の視点位置301を定める。なお、式(8)、式(9)において使用している偏向角φ’MAXについて、理論値は、式(2)から求められるが、実際のレンズでは、収差による誤差から、式(2)の値と必ずしも一致しない。よって、実際には、実測値を用いて条件式(8)、式(9)を定める必要がある。また、面光源101、マスクパターン部102、スリット204、垂直拡散板105、及び垂直拡散板106についても、光線が各構成要素の有効範囲を通過するように、適切にx軸方向幅を設定する必要がある。
次に、図39〜図42を用いて、偏向素子アレイ203を用いた実施の形態2の詳細について説明する。図39は、図35に示す映像表示装置において偏向素子アレイ203の右端から2本の光線が射出される場合の光線経路を示す模式図であり、図40は、図39に示す構成を用いたときの映像表示用透過型ディスプレイにおける光線の状態を示す図であり、図41は、図35に示す映像表示装置において偏向素子アレイ203から3本の平行光線が射出される場合の光線経路を示す模式図であり、図42は、図41に示す構成を用いたときの映像表示用透過型ディスプレイにおける光線の状態を示す図である。
まず、式(8)及び式(9)を満たすように、w7、w9、z9’、z13、z14を設定したとき、xz平面で考えた場合、偏向素子アレイ203から射出された各光線が、映像表示用透過型ディスプレイ107におけるすべてのx座標を満たすように通り、且つ各光線をxz平面に投影した場合に、視点位置301に集光する光線となる平行光線の射出方法が存在する。
上記の条件を満たすように、各構成要素を配置した場合に、映像表示用透過型ディスプレイ107のx軸方向の右端を通る光線を射出した場合を図39に示す。この場合と、実施の形態1における同様の例を示す図27との違いは、以下の二点である。
一点目は、図39の左側上段の偏向素子アレイ203から射出する光線数が2つになり、2本の平行光線P1、P2が射出されている点である。これは、偏向素子アレイ203上のx座標h1におけるシリンドリカルレンズの本数が増えたことにより、図39の左側下段の上面図において、xz平面に写像した図中に矢印で示す光線経路を射出可能な位置が増えたためである。
二点目は、図39の右側上段の側面図に示すように、x座標h1において光線の射出位置が増加し、垂直拡散板105と映像表示用透過型ディスプレイ107との間の距離が短くなった点である。このため、垂直拡散板105の拡散角ψ1が実施の形態1と同一の場合、図24で説明したようなy軸方向に縦拡散する光線が映像表示用透過型ディスプレイ107の画面高さ方向を覆うような距離(z13−z11)を、実施の形態1における同様の距離(z7−z5)と比べた場合、以下の式(10)の関係が成り立つ。
z13−z11<z7−z5 … (10)
これにより、構成全体の奥行きが短くなっても、図40に示すように、視点位置301から見た映像表示用透過型ディスプレイ107の画面右端の縦ストライプ領域BLが明るくなる。
上記のように、偏向素子アレイ203では、複数のシリンドリカルレンズが斜めに傾けて配置されているので、各シリンドリカルレンズにおいて、x座標位置(入射水平位置)と、中心軸CA1、CA2からの距離とが同一になる位置が複数存在するので、複数のシリンドリカルレンズにおける特定のx座標位置(水平位置)から、同一の水平偏向角を持った複数の平行光線を射出することができる。また、偏向素子アレイ203では、同一のx座標位置(水平位置)において、y軸方向(垂直方向)における平行光線の入射位置を変化させることにより、x軸方向(水平方向)における向きを同時に変化させた複数の光線を射出することができる。
上記の光線を偏向素子アレイ203の全位置から射出される光線に変更した場合の光線経路を図示したものが図41である。偏向素子アレイ203の全位置から射出される光線として、図41の左側上段に示すように、例えば、3本のライン状の平行光線PL1〜PL3が偏向素子アレイ203から射出される場合、視点位置301から映像表示用透過型ディスプレイ107を見ると、映像表示用透過型ディスプレイ107の表示面全体から視点位置301に進む光線が存在するため、図42に示すように、映像表示用透過型ディスプレイ107の画面全体BAが照射されて見える。
なお、集光位置について、光源制御装置220から射出される光線は、幅を持った光線であるため、射出瞳は一点に集中するわけではなく、所定の大きさを有する。この領域の大きさは、面光源101から射出される光線の平行度やマスクパターン部102の開口部の大きさで決まる。
次に、視聴者への立体映像の提示方法について説明する。図43は、時分割による立体映像を提示する場合に使用される入射軌跡パターンの一例を示す図であり、図44は、図43に示す入射軌跡パターンを用いた場合の図35に示す映像表示装置200の光線経路を示す模式図である。
視聴者へ立体映像を提示する場合、同期制御部109は、光源制御部108と映像表示装置制御部110とを同期制御し、映像表示装置制御部110は、映像表示用透過型ディスプレイ107に、視聴者がちらつきを感じない時分割速度で、左眼用の視差画像と右眼用の視差画像とを切り替えて表示する。
このとき、光源制御部108は、視差画像の切替に同期して、視聴者の左瞳位置301Lに射出瞳を形成する左眼用マスクパターンと、視聴者の右瞳位置301Rに射出瞳を形成する右眼用マスクパターンとを時分割で切り替えるようにマスクパターン部102を制御する。このマスクパターンの切り替えにより、図43に示すように、3本のライン状の左目用平行光線LP1〜LP3と、3本のライン状の右目用平行光線RP1〜RP3とが偏向素子アレイ203から時分割で射出される。
次に、図44に示すように、左目用平行光線LP1〜LP3は、視聴者の左瞳位置301Lに射出瞳を形成する光線LPとなり、右目用平行光線RP1〜RP3は、視聴者の右瞳位置301Rに射出瞳を形成する光線RPとなり、視聴者は、裸眼で立体映像を視聴可能となる。
次に、複数の視聴者への立体映像の提示方法について説明する。図45は、複数の視聴者に対して時分割による立体映像を提示する場合に使用される入射軌跡パターンの一例を示す図であり、図46は、図45に示す入射軌跡パターンを用いた場合の図35に示す映像表示装置200の光線経路を示す模式図である。
複数の視聴者へ立体映像を提示する場合、同期制御部109は、光源制御部108と映像表示装置制御部110とを同期制御し、映像表示装置制御部110は、映像表示用透過型ディスプレイ107に、複数の視聴者がちらつきを感じない時分割速度で、左眼用の視差画像と右眼用の視差画像とを切り替えて複数の視聴者に対して同時に表示する。
このとき、光源制御部108は、視差画像の切替に同期して、第1の視聴者の左瞳位置301Lに射出瞳を形成するとともに、第2の視聴者の左瞳位置302Lに射出瞳を形成する左眼用マスクパターンと、第1の視聴者の右瞳位置301Rに射出瞳を形成するとともに、第2の視聴者の右瞳位置302Rに射出瞳を形成する右眼用マスクパターンとを時分割で切り替えるようにマスクパターン部102を制御する。
上記のように、マスクパターンが切り替えられる結果、図45に示すように、左眼用マスクパターンにより、第1の視聴者用の3本のライン状の左目用平行光線L11〜L13と、第2の視聴者用の3本のライン状の左目用平行光線L21〜L23とが同時に偏向素子アレイ203から射出され、また、右眼用マスクパターンにより、第1の視聴者用の3本のライン状の右目用平行光線R11〜R13と、第2の視聴者用の3本のライン状の右目用平行光線R21〜R23とが同時に偏向素子アレイ203から射出される。したがって、第1の視聴者用の左目用平行光線L11〜L13及び第2の視聴者用の左目用平行光線L21〜L23と、第1の視聴者用の右目用平行光線R11〜R13及び第2の視聴者用の右目用平行光線R21〜R23とを偏向素子アレイ203から時分割で射出することができる。
次に、図46に示すように、第1の視聴者用の左目用平行光線L11〜L13は、第1の視聴者の左瞳位置301Lに射出瞳を形成する光線LP1となり、第1の視聴者用の右目用平行光線R11〜R13は、第1の視聴者の右瞳位置301Rに射出瞳を形成する光線RP1となり、第1の視聴者が裸眼で立体映像を視聴可能になる。また、第2の視聴者用の左目用平行光線L21〜L23は、第2の視聴者の左瞳位置302Lに射出瞳を形成する光線LP2となり、第2の視聴者用の右目用平行光線R21〜R23は、第2の視聴者の右瞳位置302Rに射出瞳を形成する光線RP2となり、第2の視聴者も裸眼で立体映像を視聴可能になる。この結果、複数の視聴者が裸眼で同時に立体映像を視聴することができる。
なお、上記の説明では、ある水平領域の輝度分布は、図40に示す映像表示用透過型ディスプレイ107の正面図のように、画面の高さによらず、全て均一であるとしてきたが、実際には、拡散点の中心からの距離に応じて輝度が減衰する。図47は、図39に示す光線経路に輝度の減衰状態を付加した模式図であり、図48は、図40に示す光線の状態に輝度の減衰状態を付加した図である。なお、図47及び図48では、輝度の高い部分が白くなり、輝度の低い部分が黒くなるように図示している。
図47に示すように、垂直拡散板105から射出される拡散光PB1、PB2は、拡散点の中心からの距離に応じて輝度が減衰するため、図48に示すように、映像表示用透過型ディスプレイ107上の縦ストライプ領域BLでは、拡散光PB1の中心部B1及び拡散光PB2の中心部B2の輝度が最も高くなり、中心部B1、B2から離れるほど輝度が低下し、ある水平領域内での縦方向の輝度変化が不連続になってしまう。一方、人間の眼は、輝度の不連続性に敏感なため、縦方向の輝度変化が輝度ムラとして認識されてしまう。これを避けるには、輝度変化が滑らかになるように、垂直拡散板105の拡散特性を選択する必要がある。
図49は、図41に示す光線経路に輝度の減衰状態を付加した模式図であり、図50は、図42に示す光線の状態に輝度の減衰状態を付加した図である。
まず、連続したパターンとして、図49のように3本のライン状の平行光線PL1〜PL3を入射する場合を考える。このときの映像表示用透過型ディスプレイ107での輝度変化は、図50に示す状態となる。偏向素子アレイ203の中央に入射した平行光線PL2は、図50の点線で囲んだ四角形の領域SAのように拡散する。このとき、四角形の領域SAは、平行光線PL2に対応する位置からの距離に応じて、図48を用いて説明したように、減衰していく。
一方、図50の破線で囲んだ丸部分A1、A2のように、偏向素子アレイ203のシリンドリカルレンズ毎の境界において、水平方向に大きな輝度差が生じてしまう領域が生じる。これは、垂直拡散板105の特性に関わらず、必ず生じてしまう。
そこで、水平方向の輝度の不連続を軽減するために、光源制御部108は、マスクパターン部102の開口量をマスクパターン上の垂直方向位置に応じて段階的に変化させることにより、垂直拡散板105から射出される光線の拡散分布を均一化する。図51は、光源制御部108によるマスクパターン部102の開口量の制御例の一例を示す図であり、図52は、図51に示すマスクパターン部102の開口量の制御例に対応する映像表示用透過型ディスプレイ107の輝度の状態を示す図である。
図51に示すように、光源制御部108は、マスクパターンの開口部の垂直方向(y方向)における中間部の輝度が最も高く、中間部から離れるほど輝度が低下するように、マスクパターン部102の開口部の開口量を制御する。
上記のように、マスクパターン部102の開口部の開口量を制御することにより、図52に示すように、偏向素子アレイ203のシリンドリカルレンズ毎の境界に対応する破線で囲んだ丸部分A1、A2における水平方向の輝度差がなくなり、映像表示用透過型ディスプレイ107上の水平方向輝度の不連続性を軽減することができるため、結果として、視聴者が輝度ムラを感じにくくするようにできる。
以上、図34〜図52を用いて、実施の形態2について説明した。したがって、上記の構成により、本実施の形態では、実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、実施の形態1よりも装置の奥行きを短くすることができるので、装置の奥行きを現在販売されている薄型ディスプレイと同等にすることができ、さらに、輝度ムラ等の画質劣化を防止することができる。
(実施の形態3)
次に、図53〜図59を用いて、本発明の実施の形態3における映像表示装置の構成について説明する。図53は、本発明の実施の形態3における映像表示装置の構成を模式的に示す概略斜視図である。
図53において、映像表示装置300は、光源制御装置320と、映像表示用透過型ディスプレイ107と、同期制御部109と、映像表示装置制御部110とを備える。光源制御装置220は、平行光線を射出する面光源101と、マスクパターン部102と、偏向素子アレイ203と、スリット204と、垂直拡散板105と、垂直拡散板106と、2枚の左右ミラー303と、光源制御部108とを備える。
本実施の形態は、実施の形態2よりも装置全体の左右幅を短くするための構成を採用しており、基本的には、実施の形態2と同じであるが、左右ミラー303が追加された点が実施の形態2と異なっている。
本実施の形態において、左右ミラー303は、映像表示装置300(光源制御装置320)の左側面及び右側面に配置され、偏向素子アレイ203から射出される光線を装置の内側に反射するミラーである。左右ミラー303は、幅w15、高さh15の矩形領域を有し、その厚みがt15である。左右ミラー303は、yz平面に対して矩形領域が平行になるように、スリット204と映像表示用透過型ディスプレイ107との間の左側面及び右側面に設置される。その際、矩形領域の内の反射面のx座標をx15とし、反射面の面光源101側のz座標をz15とすると、以下の条件式(11)〜(13)を満たすように、左右ミラー303を設置する。なお、x15の符号は、装置の左右のどちらに左右ミラー303を取り付けるかで決まる。
w15=z14−z10 … (11)
x15=±w10/2 … (12)
z15=z10 … (13)
上記の実施の形態1、2では、式(5)及び式(8)が制約条件となり、偏向素子103又は偏向素子アレイ203の幅方向の大きさと比べ、映像表示用透過型ディスプレイ107の幅方向の大きさは小さかった。しかしながら、本実施の形態では、左右ミラー303を用いることにより、上記制約を取り除くことが可能となる。これにより、例えば、現在市販されている薄型テレビジョンのような外形に対し、映像表示装置300の映像表示面がほぼ同じ大きさとなる構成にすることも可能である。
但し、面光源101、マスクパターン部102、偏向素子アレイ203、スリット204、垂直拡散板105、垂直拡散板106、及び映像表示用透過型ディスプレイ107については、光線が各構成要素の有効範囲を通過するように、適切に、x軸方向の幅と、y軸方向の高さとを設定する必要がある。
なお、本実施の形態において、左右ミラー303は、各矩形領域の幅方向がz座標に平行で、且つ高さ方向がy軸に平行になるよう配置するものとしているが、光源制御装置320から最終的に出力される光線の向きを所定の軸方向に対して制御することにより、視聴者が立体視を行う映像表示装置において、装置のx軸方向の長さを短くすることができれば、上記の設置方法に特に限定されず、種々の変更が可能である。
また、左右ミラー303の形状も、光源制御装置320から最終的に出力される光線の向きを所定の軸方向に対して制御することにより、視聴者が立体視を行う映像表示装置において、装置のx軸方向の長さを短くすることができれば、上記の矩形に特に限定されず、種々の形状を採用することが可能である。
次に、上記の条件を満たすように、左右ミラー303を含む各構成要素を配置した場合に、映像表示用透過型ディスプレイ107のx軸方向の右端を通る光線を射出した場合を図54に示す。図54は、図53に示す映像表示装置において偏向素子アレイ203の右端から2本の光線が射出される場合の光線経路を示す模式図であり、図55は、図54に示す構成を用いたときの映像表示用透過型ディスプレイ107における光線の状態を示す図である。
図54と、実施の形態2における同様の例を示す図39との違いは、以下の通りである。すなわち、実施の形態2の場合は、映像表示用透過型ディスプレイ107の画面右端を通り、且つ視点位置301を通る光線を射出するには、条件式(8)により、偏向素子アレイ203におけるx座標が(w7/2)よりも大きい位置から光線を射出しなければならなかった。
しかしながら、本実施の形態では、左右ミラー303を装置の左右に設けることにより、図54に示すように、偏向素子アレイ203におけるx座標が(w7/2)よりも小さい位置から射出した光線P1、P2が、左右ミラー303によって反射され、視点位置301に到達する。これにより、構成全体の幅方向の長さが短くなっても、図55に示すように、視点位置301から見た映像表示用透過型ディスプレイ107の画面右端の縦ストライプ領域BLが明るくなる。
上記の光線を偏向素子アレイ203の全位置から射出される光線に変更した場合の光線経路を図示したものが図56である。図56は、図53に示す映像表示装置において偏向素子アレイから複数の平行光線が射出される場合の光線経路を示す模式図であり、図57は、図56に示す構成を用いたときの映像表示用透過型ディスプレイにおける光線の状態を示す図である。
図56の左側下段では、偏向素子アレイ203から射出した後、直接、視点位置301を通る光線PL1を実線で示し、左右ミラー303によって反射された後に、視点位置301を通る光線PL2を破線で示している。図56の左側上段に示すように、上記の複数のライン状の平行光線PL1、PL2が偏向素子アレイ203から射出される場合、視点位置301から映像表示用透過型ディスプレイ107を見ると、映像表示用透過型ディスプレイ107の表示面全体から視点位置301に進む光線が存在するため、図57に示すように、映像表示用透過型ディスプレイ107の画面全体BAが照射されて見える。
なお、集光位置について、光源制御装置320から射出される光線は、幅を持った光線であるため、射出瞳は一点に集中するわけではなく、所定の大きさを有する。この領域の大きさは、面光源101から射出される光線の平行度やマスクパターン部102の開口部の大きさで決まる。
次に、本実施の形態において、偏向素子アレイ203の構成要素であるシリンドリカルレンズの、x軸からの傾き角θの望ましい範囲について説明する。図58は、偏向素子アレイ203の小さい傾き角θと光線の偏向範囲との関係を説明するための模式図であり、図59は、偏向素子アレイ203の大きい傾き角θと光線の偏向範囲との関係を説明するための模式図である。
図58と図59とでは、偏向素子アレイ203の傾き角θが異なり、図58に比べて、図59の方が、偏向素子アレイ203を構成するシリンドリカルレンズの傾き角θが大きい。このとき、矢印で表したシリンドリカルレンズのy軸方向の長さhc1、hc2は、式(4)のhcで表される。
ここで、図58の下段に、上段のy軸方向の長さhc1に対応した、偏向素子アレイ203のx座標位置における光線の水平偏向可能範囲(図中のハッチング領域)を示しており、水平偏向可能範囲は、φ’MAXに従う。一方、図59のように、レンズ傾き角θが大きくなり、シリンドリカルレンズのy軸方向の長さhc2が、偏向素子アレイ203の高さh9よりも大きくなった場合、下段に示す点線で囲まれた部分DAのように、偏向できない範囲が生じる。この点線で囲まれた部分DAは、上段の丸で囲んだ部分に対応する。
上記のように、偏向素子アレイ203において偏向できない領域が生じるということは、図33の斜線で示した視聴可能領域VA内においても、画面全体を視聴できない領域が生じるということである。これを避けるためには、図58に示すように、レンズ傾き角θが大きくなりすぎないよう制限を設ける必要がある。
上記の条件を満たすには、シリンドリカルレンズのy軸方向の長さhcが偏向素子アレイ203の高さh9よりも小さくなる必要があり、下記の式(14)を満たす必要がある。
θ≦cos−1(cw/h9) … (14)
さらに言うと、垂直拡散板105による拡散時の縦方向の明るさムラを抑えるには、偏向素子アレイ203の同一x座標上に、光線を射出できる位置が2点あることが好ましい。この条件を満たすには、シリンドリカルレンズのy軸方向の長さhcの2倍の長さが偏向素子アレイ203の高さよりも小さくなる必要があり、下記の式(15)を満たす必要がある。
θ≦cos−1(2cw/h9) … (15)
上記の式(14)は、最低条件であり、実用上は、式(15)を満たすことがより望ましい。
次に、偏向素子アレイ203の傾き角θの下限について説明する。最短視聴距離VMINと、映像表示用透過型ディスプレイ107の解像度から決まる最適視聴距離Vdとについて、視聴者が最適な映像を視聴するには、下記の式(16)を満たす必要がある。
Vd≧VMIN … (16)
ここで、最短視聴距離VMINは、図22から、映像表示用透過型ディスプレイ107のx方向の画面端座標(w7/2)から水平方向の偏向角度φ’MAXで決まる。偏向角度φ’MAXは、式(2)で表せるため、式(2)をtanφ’MAXでまとめると、下記の式(17)となる。
tanφ’MAX=(cw/2f1)sinθ … (17)
また、図33から、最短視聴距離VMINを、偏向角度φ’MAXで表すと、下記の式(18)となる。
VMIN=w7/(2tanφ’MAX) … (18)
上記の式(16)〜(18)から、偏向素子アレイ203の傾き角θの下限は、下記の式(19)となる。
θ≧sin−1((f1×w7)/(cw×Vd)) … (19)
したがって、偏向素子アレイ203の傾き角θは、下記の式を満たすことが好ましい。
sin−1((f1×w7)/(cw×Vd))≦θ≦cos−1(cw/h9) … (20)
この場合、視聴者は、視聴領域内において映像表示用透過型ディスプレイ107の画面全体を視聴することができるとともに、映像表示用透過型ディスプレイ107の解像度に適した最適な映像を視聴することができる。
以上、図53〜図59を用いて、実施の形態3における奥行きを短くする構成について説明した。なお、本実施の形態では、実施の形態2に対して、左右ミラー303を追加したが、実施の形態1に対しても、左右ミラー303を追加することにより、上記と同様に、装置全体の左右幅を短くすることができる。
(実施の形態4)
次に、図60及び図61を用いて、本発明の実施の形態4における映像表示装置の構成について説明する。図60は、本発明の実施の形態4における映像表示装置の構成を模式的に示す概略斜視図である。
図60において、映像表示装置400は、光源制御装置420と、映像表示用透過型ディスプレイ107と、同期制御部109と、映像表示装置制御部110とを備える。光源制御装置420は、平行光線を射出する面光源101と、マスクパターン部102と、偏向素子アレイ203と、スリット204と、垂直拡散板105と、垂直拡散板106と、2枚の左右ミラー303と、2枚の上下ミラー401と、光源制御部108とを備える。
本実施の形態は、実施の形態3よりも光源の利用効率を上げるための構成を採用しており、基本的には、実施の形態3と同じであるが、上下ミラー401が追加されている点が実施の形態3と異なっている。
本実施の形態において、上下ミラー401は、映像表示装置400(光源制御装置420)の上面及び下面に配置され、偏向素子アレイ203から射出される光線を装置の内側に反射するミラーである。上下ミラー401は、幅w16、高さh16の矩形領域を有し、その厚みがt16である。上下ミラー401は、xz平面に対して矩形領域が平行になるように、スリット204と映像表示用透過型ディスプレイ107との間の上面及び下面に設置される。その際、矩形領域の内の反射面のy座標をy16とし、反射面の面光源101側のz座標をz16とすると、以下の条件式(21)〜(23)を満たすように、上下ミラー401を設置する。なお、y16の符号は、装置の上下のどちらに上下ミラー401を取り付けるかで決まる。
w16=z14−z10 … (21)
y16=±h10/2 … (22)
z16=z10 … (23)
但し、面光源101、マスクパターン部102、偏向素子アレイ203、スリット204、垂直拡散板105、垂直拡散板106、及び映像表示用透過型ディスプレイ107については、光線が各構成要素の有効範囲を通過するように、適切に、x軸方向の幅と、y軸方向の高さとを設定する必要がある。
なお、本実施の形態において、上下ミラー401は、各矩形領域の幅方向がz座標に平行で、且つ高さ方向がx軸に平行になるよう配置するものとしているが、光源制御装置420から最終的に出力される光線の向きを所定の軸方向に対して制御することにより、視聴者が立体視を行う映像表示装置において、装置の光源利用効率を上げることができれば、上記の設置方法に特に限定されず、種々の変更が可能である。
また、上下ミラー401の形状も、光源制御装置420から最終的に出力される光線の向きを所定の軸方向に対して制御することにより、視聴者が立体視を行う映像表示装置において、装置の光源利用効率を上げることができれば、上記の矩形に特に限定されず、種々の形状を採用することが可能である。
次に、上記の条件を満たすように、上下ミラー401を含む各構成要素を配置した場合と、上下ミラー401を配置しなかった場合との違いについて、映像表示用透過型ディスプレイ107のx軸方向の中央部を通る光線を例に説明する。図61は、図60に示す上下ミラー401による光源利用効率の向上効果を説明するための模式図である。
図61の上段は、上下ミラー401を配置しなかった場合の側面図である。上下ミラー401を配置しなかった場合、図の丸で囲んだ部分のように、垂直拡散板105で縦拡散した光の一部が映像表示用透過型ディスプレイ107を通らない。一方、図61の下段は、本実施の形態のように、上下ミラー401を配置した場合の側面図である。図61の下段に示すように、上下ミラー401をつけた場合、上記のような光はなくなる。したがって、上下ミラー401によって反射された光は、垂直拡散板106によって拡散されるため、最終的に視点位置を通過する光線が増えることになる。
以上、図60及び図61を用いて、実施の形態4における光源の利用効率を高める構成について説明した。なお、本実施の形態では、実施の形態3に対して上下ミラー401を追加したが、実施の形態1、2に対しても、上下ミラー401を追加することにより、上記と同様に、光源の利用効率を上げることができる。
(実施の形態5)
次に、図62〜図64を用いて、本発明の実施の形態5における映像表示装置の構成について説明する。図62は、本発明の実施の形態5における映像表示装置の構成を模式的に示す概略斜視図である。
図62において、映像表示装置500は、光源制御装置520と、映像表示用透過型ディスプレイ107と、同期制御部109と、映像表示装置制御部110とを備える。光源制御装置520は、平行光線を射出する面光源101と、マスクパターン部102と、偏向素子103と、スリット104と、垂直拡散板105と、垂直拡散板106と、フィールドレンズ501と、光源制御部108とを備える。
本実施の形態は、実施の形態1よりも視聴範囲を広げるための構成を採用しており、基本的には、実施の形態1と同じであるが、フィールドレンズ501が追加されている点が実施の形態1と異なっている。
本実施の形態において、フィールドレンズ501は、垂直拡散板106と映像表示用透過型ディスプレイ107との間に配置され、垂直拡散板106により拡散された拡散光の進行方向を変更する。フィールドレンズ501は、幅w17、高さh17の矩形領域を有し、その厚みがt17である。したがって、フィールドレンズ501の入射面のz座標をz17とすると、z17≧(z6+t6)を満たし、映像表示用透過型ディスプレイ107のz座標をz18とすると、z18≧z17+t17を満たす。
フィールドレンズ501としては、例えば、フレネルレンズを用いるが、通常のレンズでもよく、また、x軸方向にのみ曲率を有するシリンドリカルレンズやシリンドリカルフレネルレンズでもよい。さらには、光線を所定の軸方向において偏向することができる光学素子であれば、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
図63は、図62に示すフィールドレンズ501を通る光線の経路を示す平面図である。図63に示すように、レンズ偏向方向に対して様々な角度で入射した光のうち、レンズ主点LMを通る光は直進し、それ以外の光は主平面MFから焦点距離f3だけ離れた位置で集光する。なお、実際には、収差の影響により、集光位置は、ある程度の大きさをもつ。
なお、本実施の形態において、フィールドレンズ501は、矩形領域の幅方向がx軸に平行で、且つ高さ方向がy軸に平行になり、さらに矩形領域の中心をz軸が通るように配置するものとしているが、光源制御装置520から最終的に出力される光線の向きを所定の軸方向に対して制御することにより、視聴者が立体視を行う映像表示装置において、視聴範囲を広げることができれば、上記の設置方法に特に限定されず、種々の変更が可能である。
また、フィールドレンズ501のz座標の位置についても、垂直拡散板106と映像表示用透過型ディスプレイ107との間としているが、同様に目的を満たす設置位置であれば、これに限定されない。
さらに、フィールドレンズ501の形状も、光源制御装置520から最終的に出力される光線の向きを所定の軸方向に対して制御することにより、視聴者が立体視を行う映像表示装置において、視聴範囲を広げることができれば、上記の矩形に特に限定されず、種々の形状を採用することが可能である。
次に、図64を用いて、フィールドレンズ501による視聴範囲の拡大効果について説明する。図64は、図62に示すフィールドレンズ501による視聴範囲の拡大効果を説明するための模式図である。図64の左側は、フィールドレンズ501を設置しない場合の上面図であり、右側は、垂直拡散板106と映像表示用透過型ディスプレイ107との間にフィールドレンズ501を設置した場合の上面図である。
図64の左側に示すように、フィールドレンズ501を設置しない場合、視聴可能範囲BA1(図中のハッチング領域)は、偏向素子103の最大水平偏向角φ’MAXにより決まる。一方、本実施の形態のように、フィールドレンズ501を設置した場合、図64の右側に示すように、光線は、フィールドレンズ501を通る際、x軸方向において原点方向へさらに偏向される。これにより、視聴可能範囲BA2(図中のハッチング領域)が拡大し、さらに、最小視聴距離も短くなる。
上記の構成により、本実施の形態では、フィールドレンズ501を垂直拡散板106と映像表示用透過型ディスプレイ107との間に配置し、垂直拡散板106により拡散された拡散光の進行方向を変更して偏向素子103の最大水平偏向角φ’MAXより大きな角度で拡散光を集光することができるので、拡散光の照射可能範囲を拡大して視聴者が立体視を行うことができる視聴可能範囲を拡大することができるとともに、最小視聴距離を短縮することができる。
以上、図62〜図64を用いて、実施の形態5における視聴範囲の拡大について説明した。なお、本実施の形態では、実施の形態1に対してフィールドレンズ501を追加したが、実施の形態2〜4に対しても、フィールドレンズ501を追加することにより、上記と同様に、視聴範囲を広げることができる。
(実施の形態6)
次に、図65及び図66を用いて、本発明の実施の形態6における映像表示装置の構成について説明する。図65は、本発明の実施の形態6における映像表示装置の構成を模式的に示す概略斜視図である。
図65において、映像表示装置600は、光源制御装置620と、映像表示用透過型ディスプレイ107と、同期制御部109と、映像表示装置制御部110とを備える。光源制御装置620は、レーザ光源601と、反射方向を制御可能なミラー602と、レンズ603と、偏向素子103と、スリット104と、垂直拡散板105と、垂直拡散板106と、光源制御部108とを備える。レーザ光源601と、ミラー602と、レンズ603とから光源ユニットが構成され、光源ユニットは、複数の平行光線を射出面から射出可能に構成され、射出面の任意の位置から平行光線を射出する。
本実施の形態は、別の光源ユニットを採用しており、基本的には、実施の形態1と同じであるが、平行光線を射出する面光源101とマスクパターン部102とから実現していた光線射出位置を指定可能な光源ユニットを、レーザ光源601と、反射方向を制御可能なミラー602と、レンズ603とから構成される光源ユニットに置き換えている。
レーザ光源601は、レーザ光をミラー602へ射出する。ミラー602は、レンズ603の焦点位置に配置され、レーザ光源601から入射されたレーザ光の反射方向を変更可能に構成されている。本実施の形態では、ミラー602として、例えば、ガルバノミラーを用いるが、これに限定されず、入射する光線を映像表示用透過型ディスプレイ107の画面書き換えレートよりも高速に、指定した角度に反射することが可能なデバイスであればよい。
レンズ603は、ミラー602からのレーザ光を平行光線に変換して偏向素子103へ射出する。本実施の形態では、例えば、フレネルレンズを用いるが、これに限定されず、例えば、通常の球面レンズであってもよい。
光源制御部108は、レーザ光源601及びミラー602を制御して、ミラー602の反射面の角度を変化させることにより、レーザ光の反射方向を変化させ、レンズ603から射出される平行光線の射出位置を変化させる。具体的には、光源制御部108は、ミラー602の動作パターンを制御し、ミラー602は、レンズ603上の任意の位置に光線を射出させ、レンズ603は、任意形状のパターンで平行光線を偏向素子103へ射出する。
本実施の形態において、レンズ603は、幅w18、高さh18の矩形領域を有し、その厚みがt18である。レンズ603の入射面のz座標をz18とすると、z18=0を満たすものとする。このとき、偏向素子103のz座標をz19とすると、z19≧z18+t18となる。なお、偏向素子103よりもz座標が大きい構成要素については、実施の形態1の配置に順ずる。
図66は、図65に示すミラー602及びレンズ603の構成を示す模式図である。なお、図66では、レーザ光源601の図示を省略しているが、レーザ光源601については、ミラー602からレンズ603の指定領域内に光線を射出可能となるように、レーザ光源601とミラー602との相対位置関係を決めればよい。
ここで、レンズ603の光線入射側の焦点位置に、ミラー602の反射点REを置くことにより、ミラー602から射出された全ての光線は、レンズ603を通過後、レンズ603の射出側の平面に対して垂直な平行光線となる。このとき、ミラー602の向きを変化させて光線の射出方向を制御することにより、レンズ603の射出側の平面の任意の位置からレンズ主平面に垂直な平行光線を射出可能となる。
上記の構成により、本実施の形態でも、実施の形態1における図15のような平行光線を射出することができるので、視聴者111は、実施の形態1と同様に、視点位置で映像表示用透過型ディスプレイ107に映る映像を視聴できる。また、立体視についても、映像表示用透過型ディスプレイ107の左右視差映像の表示タイミングに合わせて、映像表示用透過型ディスプレイ107の画面書き換えレートよりも高速にミラー602の向きを変化させ、左右眼位置で射出瞳を形成すれば、実施の形態1と同様に、立体視が可能である。すなわち、上記のような光源ユニットを用いることにより、本実施の形態でも、実施の形態1で用いた光源ユニットと同様に、視聴者が立体視を実現できる。
なお、本実施の形態では、実施の形態1と異なる光源ユニットの例を説明したが、実施の形態2〜5に対しても、上記と同様の光源ユニットを用いて、上記と同様の効果を奏することができる。
また、ミラー602の反射点REは、ミラー602の向きによって微小に変化するが、その際は、変化する範囲の重心付近を反射点REと定めればよい。
また、本実施の形態において、レンズ603は、矩形領域の幅方向がx軸に平行で、且つ高さ方向がy軸に平行になり、さらに矩形領域の中心をz軸が通るように配置するものとしているが、光源制御装置620から最終的に出力される光線の向きを所定の軸方向に対して制御することにより、視聴者が立体視を行う映像表示装置において、視聴範囲を広げることができれば、上記の設置方法に特に限定されず、種々の変更が可能である。
さらに、レンズ603の形状も、光源制御装置620から最終的に出力される光線の向きを所定の軸方向に対して制御することにより、視聴者が立体視を行う映像表示装置において、視聴範囲を広げることができれば、上記の矩形に特に限定されず、種々の形状を採用することが可能である。
(実施の形態7)
次に、図67を用いて、本発明の実施の形態7における映像表示装置の構成について説明する。図67は、本発明の実施の形態7における映像表示装置の構成を模式的に示す概略斜視図である。
図67において、映像表示装置700は、光源制御装置720と、映像表示用透過型ディスプレイ107と、同期制御部109と、映像表示装置制御部110と、撮像装置701と、視点位置計測部702と、光線射出位置決定部703とを備える。光源制御装置720は、平行光線を射出する面光源101と、マスクパターン部102と、偏向素子103と、スリット104と、垂直拡散板105と、垂直拡散板106と、光源制御部108とを備える。
本実施の形態は、実施の形態1に対して、視聴者111の視点位置を計測することにより、視聴者111の移動に合わせてマスクパターン部102のマスクパターンを変更し、動的に射出瞳形成位置を変更する点が異なる点である。このため、本実施の形態は、基本的には、実施の形態1と同じであるが、撮像装置701、視点位置計測部702及び光線射出位置決定部703が追加されている点が実施の形態1と異なっている。
撮像装置701は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)と、レンズとを備えたカメラであり、映像表示装置700の視聴可能範囲の撮影を行い、撮影画像を視点位置計測部702へ出力する。
視点位置計測部702は、例えば、撮像装置701から取得した撮像画像に写る一人以上の人物(例えば、視聴者111)の左右瞳位置を検出し、左右の視点位置として視聴者111の左右瞳位置を光線射出位置決定部703に送る。
光線射出位置決定部703は、視聴者111の左右の視点位置に射出瞳を形成するための光線射出位置を決定し、光源ユニットの形態に合わせて、光線射出位置に光線を射出するための情報を光源制御部108に送る。例えば、光線射出位置決定部703は、実施の形態1における光源ユニットの場合、光線射出位置を決定するマスクパターンを光源制御部108に送り、また、実施の形態6における光源ユニットの場合、ミラー動作パターンを作成して光源制御部108に送る。
上記の構成により、本実施の形態では、移動した視聴者111の左右瞳位置に応じて、射出瞳形成位置を変更することができるので、視聴者111が移動しても、立体視を実現できる。
なお、本実施の形態では、実施の形態1に対して、撮像装置701と、視点位置計測部702と、光線射出位置決定部703を追加したが、実施の形態2〜6に対しても、撮像装置701と、視点位置計測部702と、光線射出位置決定部703とを追加することにより、上記と同様に、動的に射出瞳の形成位置を変更できる。
また、視点位置計測部702は、視聴者の左右瞳位置に加えて、視聴者の視線方向を計測することが好ましい。この場合、計測した視線方向に適した映像を表示することができる。
また、視点位置計測部702は、視聴者の左右瞳位置に加えて、視聴者の注視位置を計測し、光源制御部108は、視点位置計測部702により計測された視聴者の注視位置に応じて、映像表示用透過型ディスプレイ107の注視点以外の画面の輝度が低下するように、面光源101又はレーザ光源601を制御することが好ましい。
この場合、視点位置計測部702により計測された注視位置と人間の視覚特性とから、映像表示用透過型ディスプレイ107に表示される映像が視聴者に対して違和感を与えない程度に、注視点以外の画面の輝度を低下することができるので、装置の消費電力を低減することができる。
また、視点位置計測部702は、視聴者の左右瞳位置に加えて、視聴者の注視位置を計測し、光源制御部108は、視点位置計測部702により計測された視聴者の注視位置から、視聴者が映像表示用透過型ディスプレイ107の方向を向いているか否かを判断し、視聴者が映像表示用透過型ディスプレイ107の方向を向いていない場合に、面光源101又はレーザ光源601から射出する光線の出力を下げることが好ましい。
この場合、視聴者が映像表示用透過型ディスプレイ107の方向を向いていない場合に、面光源101又はレーザ光源601から射出する光線の出力を下げることができるので、画面全体の輝度を落とすことにより、装置の消費電力を低減することができる。
また、視点位置計測部702は、視聴者の左右瞳位置に加えて、視聴者の注視位置を計測し、光源制御部108は、視点位置計測部702により計測された視聴者の注視位置から、視聴者が映像表示用透過型ディスプレイ107の方向を向いているか否かを判断し、視聴者が映像表示用透過型ディスプレイ107の方向を向いていない場合に、面光源101又はレーザ光源601から射出する平行光線をオフにすることが好ましい。
この場合、視聴者が映像表示用透過型ディスプレイ107の方向を向いていない場合に、面光源101又はレーザ光源601から射出する光線をオフにすることができるので、装置の消費電力をより低減することができる。
上記の各実施の形態から本発明について要約すると、以下のようになる。即ち、本発明に係る光源制御装置は、所定の第1の軸方向における光線の向きを制御する光源制御装置であって、平行光線を任意の位置から前記第1の軸方向に対して直交する第2の軸方向に沿って射出する光源ユニットと、前記光源ユニットの前記平行光線の射出位置を制御する光源制御部と、前記光源ユニットから射出される前記平行光線を偏向する1つ以上の偏向素子と、前記偏向素子により偏向された光線を、前記第1の軸方向及び前記第2の軸方向に対して直交する第3の軸方向に拡散する第1の拡散素子とを備え、前記偏向素子は、前記第1の軸方向に対して斜めに傾けて配置され、自身の光軸方向に対して直交する第1の素子方向と、前記光軸方向及び前記第1の素子方向の双方に対して直交する第2の素子方向とで異なる偏向作用を有する。
この光源制御装置においては、自身の光軸方向に対して直交する第1の素子方向と、光軸方向及び第1の素子方向の双方に対して直交する第2の素子方向とで異なる偏向作用を有する偏向素子が、第1の軸方向に対して斜めに傾けて配置されているので、偏向素子の平行光線の入射位置を変更することにより、偏向素子から射出する光線の第1の軸方向における向きを変更することができる。ここで、平行光線の射出位置を制御することにより、偏向素子の平行光線の入射位置を制御することができるので、平行光線の射出位置に応じて第1の軸方向における光線の向きを制御することができ、第1の軸方向における光線の向きが制御された光線を、第3の軸方向に拡散することができる。
したがって、上記の光源制御装置は、第1の軸方向、例えば、水平方向における向きを制御しながら、第3の軸方向、例えば、垂直方向に拡散する光線を射出することができるので、この光源制御装置と、画像を表示する表示部とを用いて映像表示装置を構成した場合、表示部から射出される縦ストライプ状の光線の射出瞳を複数の視聴者の左右視点位置に同時に形成することができる。この結果、複数の視聴者は、眼鏡等を用いずとも、2次元映像表示と同じように制約なく立体映像を視聴できるようになる。
上記光源制御装置は、前記光源制御装置の左側面及び右側面に配置され、前記偏向素子から射出される光線を装置の内側に反射する第1のミラーをさらに備えることが好ましい。この場合、装置全体の左右幅を短くすることができる。
前記光源制御装置の上面及び下面に配置され、前記偏向素子から射出される光線を装置の内側に反射する第2のミラーをさらに備えることが好ましい。この場合、光源の利用効率を向上することができる。
前記光源ユニットは、レーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光を入射され、前記レーザ光の反射方向を変更可能に構成されたミラーと、前記ミラーからのレーザ光を平行光線に変換するレンズとを含み、前記ミラーは、前記レンズの焦点位置に配置され、前記光源制御部は、前記ミラーを制御して前記レーザ光の反射方向を変化させることにより、前記レンズから射出される平行光線の射出位置を変化させることが好ましい。
この場合、ミラーを制御してレーザ光の反射方向を変化させることにより、レンズから射出される平行光線の射出位置を変化させているので、レンズの射出側の任意の位置からレンズ主平面に垂直な平行光線を射出することができる。
前記光源ユニットは、前記平行光線を射出する面光源と、開口部と遮光部とを有し、前記開口部の位置を任意に変更可能に構成されたマスクパターン部とを備え、前記光源制御部は、前記マスクパターン部の前記開口部の位置を変化させることにより、前記マスクパターン部から射出される平行光線の射出位置を変化させるようにしてもよい。
この場合、マスクパターン部の開口部の位置を変化させることにより、マスクパターン部の任意の位置からマスクパターン部の主面に垂直な平行光線を射出することができる。
前記光源制御部は、前記マスクパターン部の前記開口部の開口量を段階的に変化させることにより、前記第1の拡散素子から射出される光線の拡散分布を均一化することが好ましい。
この場合、上記の光源制御装置と、画像を表示する表示部とを用いて映像表示装置を構成することにより、表示部上の輝度の不連続性を軽減することができ、視聴者が輝度ムラを感じることを抑制することができる。
前記偏向素子は、前記第1の素子方向にのみ曲率を有するシリンドリカルレンズを含むことが好ましい。この場合、簡略な構成により、平行光線の射出位置に応じて、第1の軸方向における平行光線の向きを変化させることができる。
前記偏向素子は、前記第1の素子方向にのみ曲率を有する複数のシリンドリカルレンズをアレイ状に配置した偏向素子アレイを含むようにしてもよい。この場合、複数のシリンドリカルレンズから複数の平行光線を射出させ、第1の拡散素子から射出される光線の数を増加させることができるので、第1の拡散素子の拡散角を大きくすることなく、装置の奥行きを短くすることができる。
前記シリンドリカルレンズと前記第1の拡散素子との間に配置され、前記シリンドリカルレンズから射出される光線のうち、前記シリンドリカルレンズの焦点位置近傍を通る光線のみを通過させるスリットをさらに備えることが好ましい。この場合、シリンドリカルレンズにおける内部反射等によって発生する迷光の影響を取り除くことができる。
前記第1の拡散素子は、前記スリットを通過した光線のみを拡散する位置に配置されることが好ましい。この場合、不要な迷光が除去された光線を拡散することができるので、立体映像の表示に適した光線を生成することができる。
前記第1の拡散素子により拡散された光線をさらに前記第3の軸方向に拡散する第2の拡散素子をさらに備えることが好ましい。この場合、第1の拡散素子により拡散された光線をさらに第3の軸方向に拡散することができるので、上記の光源制御装置と、画像を表示する表示部とを用いて映像表示装置を構成することにより、表示部の画面全体を均一に照射することができる。
前記マスクパターン部は、透過型ディスプレイを含むことが好ましい。この場合、透過型ディスプレイの任意の領域を開口部と遮蔽部とに動的に切り替え、所望の形状のマスクパターンを生成し、マスクパターンの開口部から平行光線を射出することができる。
前記光源制御部は、前記透過型ディスプレイの開口部と遮光部との位置を変更する際に生じる画面遷移時に、前記面光源からの前記平行光線の照射を停止し、前記透過型ディスプレイの画面遷移が終了した後に、前記面光源からの前記平行光線の照射を再開することが好ましい。この場合、画面遷移時に不安定な光線が射出されることを防止することができる。
本発明に係る映像表示装置は、上記のいずれかの光源制御装置と、前記第1の拡散素子により拡散された光線をさらに前記第3の軸方向に拡散する第2の拡散素子と、前記第2の拡散素子から射出される拡散光を用いて画像を表示する表示部とを備え、前記光源制御部は、前記拡散光が前記表示部を通過した後に視聴者の視点位置に集光するように、前記光源ユニットから射出される前記平行光線の射出位置を制御する。
この映像表示装置においては、拡散光が画面全体を均一に照射し、この拡散光が表示部を通過した後に、視聴者の視点位置に集光するように、光源ユニットから射出される平行光線の射出位置を制御しているので、表示部から射出される縦ストライプ状の光線の射出瞳を複数の視聴者の左右視点位置に同時に形成することができ、複数の視聴者は、眼鏡等を用いずとも、2次元映像表示と同じように制約なく立体映像を視聴できるようになる。
前記表示部の映像表示画面を基準に水平方向及び垂直方向を定め、前記偏向素子の焦点距離をf1、前記偏向素子が曲率を有する方向の長さをcw、前記表示部の垂直方向の長さをH、前記表示部の水平方向の長さをW、前記表示部の解像度から予め決定される適視距離をVdとしたとき、前記偏向素子の水平方向に対する傾き角θは、下記式を満たすことが好ましい。
sin−1((f1×W)/(cw×Vd))≦θ≦cos−1(cw/H)
この場合、視聴者が視聴領域内において表示部の映像表示画面全体を視聴することができるとともに、表示部の解像度に適した映像を視聴することができる。
上記映像表示装置は、前記表示部を制御する表示制御部と、前記光源制御部と前記表示制御部との同期動作を制御する同期制御部とをさらに備え、前記光源制御部は、前記拡散光の集光位置を時分割で切り替えることにより、前記拡散光の集光位置が視聴者の左眼と右眼とになるように、前記光源ユニットの前記平行光線の射出位置を制御し、前記表示制御部は、前記光源制御部による前記集光位置の切り替えと同期して、前記集光位置に対応した視差映像を表示するように、前記表示部を制御することが好ましい。
この場合、拡散光の集光位置が視聴者の左眼と右眼とになるように、平行光線の射出位置を制御し、集光位置の切り替えと同期して、集光位置に対応した視差映像を表示しているので、表示部から射出される縦ストライプ状の光線の射出瞳を複数の視聴者の左右視点位置に同時に形成することができ、複数の視聴者は、眼鏡等を用いずとも、2次元映像表示と同じように制約なく立体映像を視聴できるようになる。
上記映像表示装置は、視聴者の左右瞳位置を計測する計測部と、前記計測部により計測された左右瞳位置に応じて前記光源ユニットの光線射出位置を決定する決定部とをさらに備え、前記光源制御部は、前記決定部により決定された光線射出位置から前記平行光線が射出されるように、前記光源ユニットの前記平行光線の射出位置を制御することが好ましい。
この場合、移動した視聴者の左右瞳位置に応じて、射出瞳形成位置を変更することができるので、視聴者が移動しても、立体視を実現できる。
上記映像表示装置は、前記第2の拡散素子と前記表示部との間に配置され、前記第2の拡散素子により拡散された拡散光の進行方向を変更する進行方向変更素子をさらに備えることが好ましい。この場合、拡散光の進行方向を変更することにより、拡散光の照射可能範囲を拡大することができるので、視聴者が立体視を行うことができる視聴範囲を拡大することができるとともに、最小視聴距離を短縮することができる。
上記映像表示装置は、前記拡散光の幅を視聴者の瞳孔距離以上に広げることが好ましい。この場合、視聴者がより明るい映像を視聴することができる。
前記マスクパターン部は、前記開口部を全面開口部にすることが好ましい。この場合、拡散光の方向制御範囲内において、表示部の映像が視聴可能となる。
上記映像表示装置は、前記拡散光によって形成されるストライプ状の光線の幅を視聴者の瞳孔距離以上に広げ、且つ前記表示部に表示する映像として、集光位置に関わらず、同一の映像を表示することが好ましい。この場合、時分割による集光位置制御であっても、明るい2次元映像を表示することができる。
前記計測部は、視聴者の左右瞳位置に加えて、視聴者の視線方向を計測することが好ましい。この場合、計測した視線方向に適した映像を表示することができる。
前記計測部は、視聴者の左右瞳位置に加えて、視聴者の注視位置を計測し、前記光源制御部は、前記計測部により計測された視聴者の注視位置に応じて、前記表示部の注視点以外の画面の輝度が低下するように、前記光源ユニットを制御することが好ましい。
この場合、計測部により計測された注視位置と人間の視覚特性とから、表示部に表示される映像が視聴者に対して違和感を与えない程度に、注視点以外の画面の輝度を低下することができるので、装置の消費電力を低減することができる。
前記計測部は、視聴者の左右瞳位置に加えて、視聴者の注視位置を計測し、前記光源制御部は、前記計測部により計測された視聴者の注視位置から、視聴者が前記表示部の方向を向いているか否かを判断し、視聴者が前記表示部の方向を向いていない場合に、前記光源ユニットから射出する光線の出力を下げることが好ましい。
この場合、視聴者が表示部外の方向を向いている場合に、光源ユニットから射出する光線出力を下げることができるので、画面全体の輝度を落とすことにより、装置の消費電力を低減することができる。
前記計測部は、視聴者の左右瞳位置に加えて、視聴者の注視位置を計測し、前記光源制御部は、前記計測部により計測された視聴者の注視位置から、視聴者が前記表示部の方向を向いているか否かを判断し、視聴者が前記表示部の方向を向いていない場合に、前記光源ユニットから射出する前記平行光線をオフにすることが好ましい。
この場合、視聴者が表示部外の方向を向いている場合に、光源ユニットから射出する平行光線をオフにすることができるので、装置の消費電力をより低減することができる。