JP6030410B2 - グロープラグ及びグロープラグの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、切削加工を用いると、加工自体のコストが掛かる上、径小な先端部を、材料を削り取って製作するため、材料の無駄が多い。一方、その他の加工方法としては、鍛造も考えられるが、加工形状が限られたり、加工できる素材が限られたりする。
さらにこのグロープラグでは、外筒の外筒後端部は、ベース部と重なり部とが密着して、ハウジングの軸孔先端部内にしまりばめ状態に保持されている。さらにこれと共に、ベース部と重なり部とを弾性的に離間させようとする残留応力によっても、重なり部でハウジングの軸孔先端部を内側から外側に向けて押圧している。これにより、ハウジングと外筒との圧接をより強固なものとし、信頼性の高いグロープラグとすることができる。
ベース部と重なり部とを別体とした場合には、例えば、円筒状のベース部をなす部材に円筒状の重なり部をなす部材を圧入等により重ね合わせる、あるいはさらに、ロウ付けで固定することにより、外筒を得る手法が挙げられる。また、より径大で肉厚な外筒後端部とするには、複数の円筒状の重なり部をなす部材を圧入等によりベース部に順次重ねる、あるいはさらに、ロウ付けで固定すると良い。
また、ベース部と重なり部とを一体に成形する場合の加工方法としては、具体的には、深絞り加工を用いて、ベース部に重なり部を重ねる前の状態(仮成形体)を一体成形した後、さらに、この仮成形体のベース部に折り返し等により、径方向外側から重なり部を重ねて外筒を得る手法が挙げられる。また、より径大で肉厚な外筒後端部とするには、多重の折り返し等により、重なり部を形成すれば良い。
ここで、仮成形体を成形する一体成形の手法としては、例えば、深絞り加工が挙げられる。このように、深絞り加工等を用いて仮成形体を一体成形した後、重なり部形成工程を経て外筒を形成することにより、同様の形態を切削加工で形成する場合に比して、外筒の加工費及び材料費を大幅に抑えることができ、ひいては、グロープラグ全体の製造コストを抑えることができる。
また、主体金具110の後端部である金具基端部110kの外側には、外周面が六角柱状をなし、取り付け工具が係合する工具係合部113が形成されている。一方、この金具基端部110kの内側には、後端側GKに向かって軸孔110hを拡径するテーパ部115が形成され、軸孔110hの基端部は、大径孔110hkとされている。
一方、リング部材140のリング基端部140k内には、中軸120の中軸先端部120sが圧入され、リング部材140と中軸120とが電気的に接続している。さらに、リング部材140と中軸120とは、リング基端部140kと中軸先端部120sとの間に形成された溶接部149により、互いに固着されている。
このように、外筒150は、円筒状の部材から径小の外筒先端部150sを削り出す切削加工を用いることなく、外筒後端部150kを外筒先端部150sよりも径大で肉厚とした2段筒状の外形となっている。
一方、図2に示すように、外筒150の外筒後端部150kは、主体金具110の軸孔先端部110hs内に圧入された状態においては、隙間150gがなく、ベース部150Bと重なり部150Tとが密着し、かつ、重なり部150Tが縮径して、主体金具110の軸孔先端部110hs内にしまりばめ状態に保持されている。
公知の手法により、丸棒状でヒータ先端部130sが半球状のセラミックヒータ130を得る。
また、ステンレス鋼材を円筒状に形成したリング部材140を用意し、その表面にAuメッキを施す。そして、リング部材140内に、セラミックヒータ130のヒータ基端部130kを圧入し、リング部材140とセラミックヒータ130の電極取出部137とを導通する。
まず、円板状のステンレス鋼材の板材を深絞り加工して、図3(a)に示す仮成形体150pを成形する(仮成形体成形工程)。この仮成形体150pは、円筒状のベース部150Bと、このベース部150Bの後端150Bkkから鍔状に拡がる直径がR1の鍔状部150Tpを含み、これらが一体成形されている。
そして、図3(b)に示すように、この仮成形体150pの鍔状部150Tpを、ベース部150Bの後端150Bkkで一重に折り返しつつ縮径させて、ベース部150Bのベース後端部150Bkに径方向外側から重なる重なり部150Tを形成し(重なり部形成工程)、外筒後端部150kを外筒先端部150sよりも径大で肉厚な形態とした2段筒状の外筒150を得る。
但し、この外筒150は、自由状態では、ベース部150Bと重なり部150Tとの間に環状の隙間150gを有している。
前述した通り、軸孔先端部110hs内に圧入する前の外筒150の外筒後端部150kは、自由状態で、ベース部150Bと重なり部150Tとの間に、環状の隙間150gを有している。
但し、図4に示すように、重なり部150Tを縮径させ、隙間150gがなくなるように、ベース部150Bと重なり部150Tとを密着させた状態での外筒後端部150kの外径φkが、主体金具110の軸孔先端部110hsの内径φsよりも径大となるようにしてある(φk>φs)。
これにより、セラミックヒータ130は、外筒150を介して主体金具110の金具先端部110sに保持される。
かくして、グロープラグ100が完成する。
このように、深絞り加工を用いて仮成形体150pを一体成形した後、重なり部形成工程を経て外筒150を形成することにより、同様の形態、即ち、径大の外筒後端部150kと径小の外筒先端部150sを有する2段筒状の外筒150を、切削加工で形成する場合に比して、外筒150の加工費及び材料費を大幅に抑えることができ、さらには、グロープラグ100の製造コストを抑えることができる。
次に、上述の実施形態の第1の変形形態について、図1,図2及び図5を参照して説明する。上述の実施形態では、図3に示したように、外筒150の外筒後端部150kが、円筒状のベース部150Bと、このベース部150Bのベース後端部150Bkに径方向外側から重なる一重の円筒状の重なり部150Tとで構成されていた(図3(b)参照)。
これに対し、第1の変形形態では、図5に示すように、ベース部250Bのベース後端部250Bkに径方向外側から重なる重なり部250Tが、折り返し方向を変えて二回折り返されて二重の円筒状に形成されており、円筒状のベース部250Bと、この二重の円筒状の重なり部250Tとで、外筒250の外筒後端部250kが構成されている(図5(c)参照)。また、これにより、ベース部250Bと重なり部250Tとの間に、環状の隙間250gが形成されているほか、二重に重なった重なり部250T同士の間にも、環状の隙間250iが形成されている。そして、実施形態と同様に、外筒250は、図1及び図2に示すように(外筒250の外形は、記載を省略)、ヒータ先端部130sを自身の先端250ssから突出させた状態で、筒孔250h内にセラミックヒータ130を保持している。さらに、主体金具110の軸孔先端部110hs内に、外筒250の外筒後端部250kが圧入され、ベース部250Bと重なり部250Tとが、また、重なり部250T同士がそれぞれ密着した状態で、外筒後端部250kを介して、セラミックヒータ130が主体金具110に保持されている。
まず、仮成形体成形工程にて、円板状のステンレス鋼材の板材を深絞り加工して、図5(a)に示す仮成形体250pを成形する。この仮成形体250pは、円筒状のベース部250Bと、このベース部250Bの後端250Bkkから鍔状に拡がる直径がR2の鍔状部250Tpを含み、これらが一体となっている。なお、鍔状部250Tpは、その直径R2が、図3(a)の実施形態の鍔状部150Tpの直径R1に比して大きくなるように成形されている(R2>R1)。
次に、重なり部形成工程にて、まず、図5(b)に示すように、鍔状部250Tpを、ベース部250Bの後端250Bkkで一回折り返すと共に縮径させて、ベース部250Bのベース後端部250Bkに径方向外側から重ねる。さらにその後、図5(c)に示すように、鍔状部250Tpを、折り返し方向を変えてもう一回折り返すと共に縮径させて、ベース後端部250Bkに径方向外側から重ねる。これにより、ベース部250Bのベース後端部250Bkに径方向外側から重なる二重の円筒状の重なり部250Tが形成され、外筒後端部250kが外筒先端部250sよりも径大で肉厚な形態の外筒250を得る。
次いで、第2の変形形態について、図1,図2及び図6を参照して説明する。上述の第1の変形形態では、外筒250の重なり部250Tを、ベース部250Bのベース後端部250Bkに径方向外側から、折り返し方向を変えて二回折り返して、二重の円筒状に形成した。
これに対し、第2の変形形態では、図6に示すように、外筒350の重なり部350Tを、ベース部350Bのベース後端部350Bkに径方向外側から、渦巻状に同方向に二回折り返して、二重の円筒状に形成する。また、この場合も、ベース部350Bと重なり部350Tとの間に、環状の隙間350gが形成されるほか、二重に重なった重なり部350T同士の間にも、環状の隙間350iが形成されている。そして、実施形態及び第1の変形形態と同様に、外筒350は、図1及び図2に示すように(外筒350の外形は、記載を省略)、ヒータ先端部130sを自身の先端350ssから突出させた状態で、筒孔350h内にセラミックヒータ130を保持している。さらに、主体金具110の軸孔先端部110hs内に、外筒350の外筒後端部350kが圧入され、この外筒後端部350kを介して、セラミックヒータ130が主体金具110に保持されている。
但し、第1の変形形態の外筒250と第2の変形形態の外筒350とを比べると、重なり部250T,350Tの折り返し方向と圧入の方向の関係から、重なり部350Tが渦巻状に同方向に折り返された第2の変形形態の外筒350の方が、主体金具110の軸孔先端部110hs内に圧入し易い利点がある。
例えば、実施形態等では、グロープラグ100として、セラミックヒータ130を備えたいわゆるセラミックグロープラグを例示したが、これに限られず、金属製のシース内に発熱コイル、あるいは発熱コイル及び制御コイルを収容するヒータを備えたいわゆるメタルグロープラグを用いても良い。
また、実施形態及び変形形態では、ベース部150B(250B,350B)と重なり部150T(250T,350T)とが一体に繋がった例を示した。しかし、ベース部と重なり部とを、別体で形成しても良く、例えば、ベース部と、これとは別に形成した円筒状の重なり部とを重ね合わせて互いに圧接したものとしても良い。
HJ 軸線方向
GS 先端側
GK 後端側
100 グロープラグ
110 主体金具(ハウジング)
110ss (主体金具の)先端
110h 軸孔
110hs 軸孔先端部
120 中軸
130 セラミックヒータ(ヒータ)
137,138 電極取出部
140 リング部材
150,250,350 外筒
150k,250k,350k 外筒後端部
150ss,250ss,350ss (外筒の)先端
150h,250h,350h 筒孔
150B,250B,350B ベース部
150Bk,250Bk,350Bk ベース後端部
150Bkk,250Bkk,350Bkk (ベース部の)後端
150T,250T,350T 重なり部
150g,250g,350g (ベース部と重なり部との間の)隙間
150p,250p 仮成形体
150Tp,250Tp 鍔状部
Claims (4)
- 軸線に沿って延びる円柱棒状で、通電により発熱するヒータと、
上記軸線に沿う軸線方向に延びる筒孔を有する筒状で、上記ヒータの先端部を自身の先端から突出させた状態で、上記筒孔内に上記ヒータを保持してなる外筒と、
上記軸線方向に延びる軸孔を有し、上記軸孔のうち上記軸線方向先端側の軸孔先端部内に、上記外筒のうち上記軸線方向後端側の外筒後端部が圧入され、この外筒後端部を介して上記ヒータを保持してなるハウジングと、を備え、
上記外筒は、
円筒状のベース部と、
上記ベース部のうち上記軸線方向後端側のベース後端部に径方向外側から重なる一重または多重の円筒状の重なり部とを有し、
上記外筒後端部は、上記ベース部及び上記重なり部で構成されてなり、
前記外筒の前記外筒後端部は、
前記ベース部と前記重なり部とが密着して、前記ハウジングの前記軸孔先端部内にしまりばめ状態に固定して保持されると共に、
上記ベース部と上記重なり部とを弾性的に離間させようとする残留応力によっても、上記重なり部で上記軸孔先端部を内側から外側に向けて押圧してなる
グロープラグ。 - 請求項1に記載のグロープラグであって、
前記外筒は、
前記ベース部と前記重なり部とが、これらを含む一体の部材からなる
グロープラグ。 - 請求項1または請求項2に記載のグロープラグであって、
前記外筒は、
一重の前記重なり部を有する
グロープラグ。 - 軸線に沿って延びる円柱棒状で、通電により発熱するヒータと、
上記軸線に沿う軸線方向に延びる筒孔を有する筒状で、上記ヒータの先端部を自身の先端から突出させた状態で、上記筒孔内に上記ヒータを保持してなる外筒と、
上記軸線方向に延びる軸孔を有し、上記軸孔のうち上記軸線方向先端側の軸孔先端部内に、上記外筒のうち上記軸線方向後端側の外筒後端部が圧入され、この外筒後端部を介して上記ヒータを保持してなるハウジングと、を備え、
上記外筒は、
円筒状のベース部と、
上記ベース部のうち上記軸線方向後端側のベース後端部に径方向外側から重なる一重または多重の円筒状の重なり部とを有し、
上記外筒後端部は、上記ベース部及び上記重なり部で構成されてなり、
前記外筒の前記外筒後端部は、
前記ベース部と前記重なり部とが密着して、前記ハウジングの前記軸孔先端部内にしまりばめ状態に固定して保持されると共に、
上記ベース部と上記重なり部とを弾性的に離間させようとする残留応力によっても、上記重なり部で上記軸孔先端部を内側から外側に向けて押圧してなる
グロープラグの製造方法であって、
上記ベース部及び上記ベース部の後端から鍔状に拡がる鍔状部を含む仮成形体を一体成形する仮成形体成形工程と、
上記仮成形体の上記鍔状部を、一重または多重の円筒状に成形すると共に、上記ベース部の上記ベース後端部に上記径方向外側から重ねて、上記重なり部を形成する重なり部形成工程と、
前記筒孔内に前記ヒータを保持した上記軸孔先端部内への圧入前の上記外筒の上記外筒後端部は、上記ベース部と上記重なり部との間に環状の隙間を有しており、
上記ハウジングの上記軸孔先端部内に、上記ヒータを保持した上記外筒の上記外筒後端部を圧入する外筒圧入工程と、を備える
グロープラグの製造方法。
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