しかしながら、上述した特許文献1に開示された衝立のように、蝶番を介して折り畳み可能とされたものでは、折り畳むことによりコンパクト化されるものの、一方のパネルと該一方のパネルに蝶番を介して連結された他方のパネルとが重なるように操作しなければ折り畳むことができないことから、広げられた状態から折り畳む際、また、折り畳まれた状態から広げられた状態とするためには、所定の広さが確保されていなければならない。また、上記特許文献2に開示された間仕切りパネルでは、天井にレールを取り付けなければ設置することはできないことから、工場のように天井が極めて高い場所や、そもそも天井がない屋外では設置することはできない。また、特許文献3に開示された門扉のように、パンタグラフ状の部材を用いて伸縮させる構造では、地上から起立した支柱を固定しなければならないことから、こうした支柱が固定できない工場や室内では利用することができない。
そこで、本発明は、上述した従来の各種の空間仕切り構造物が有する課題を解決するために提案されたものであって、伸縮操作をする際においてその伸縮方向と交差する方向に操作したり部材をその交差する方向に移動させたりする必要が無く直線状に操作することができるとともに、天井を一切利用する必要性が無く、さらに、特定の支柱も設ける必要のない新規な空間仕切り構造物を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、それぞれ内側に収容空間が形成され自立した大小複数の仕切り部材が入れ子状に配置され、最も外側に位置する仕切り部材を除くそれぞれの仕切り部材がスライドされることにより全体として伸縮自在とされ、少なくとも、上記最も外側に位置する仕切り部材を除くそれぞれの仕切り部材には、キャスターが配置されてなるとともに、特定の仕切り部材と該特定の仕切り部材の外側に配置された他の仕切り部材とには、該他の仕切り部材内から上記特定の仕切り部材が抜け出るのを防止する抜き出し規制部材が相対的に形成され、該特定の仕切り部材を上記他の仕切り部材内に挿入した際に所定以上の挿入を規制する挿入規制部材が形成されてなるとともに、上記複数の仕切り部材のうちで最も外側に位置する仕切り部材の外面側には、背面側板部が形成され、最も内側に位置する仕切り部材には、正面側板部が形成されてなり、上記背面側板部の背面には、それぞれ支軸を中心に回動可能とされた一方の左脚部材と一方の右脚部材とがそれぞれ配置され、上記正面側板部の正面には、それぞれ支軸を介して回動可能とされた他方の左脚部材と他方の右脚部材とが配置され、上記一方の左脚部材及び一方の右脚部材並びに他方の左脚部材及び他方の右脚部材は、上記それぞれの支軸を介して回動操作することにより、上記最も外側に位置する仕切り部材及び最も内側に位置する仕切り部材の高さ方向に長さを有する状態から、上記複数の仕切り部材全体の伸縮方向と直交する方向に長さを有し床又は地上に先端側が当接する状態に亘って、それぞれ回動可能とされてなるとともに、上記仕切り部材の高さ方向に長さを有する状態と、上記床又は地上に先端側が当接する状態とは、それぞれ固定用ネジにより固定されるように構成されてなることを特徴とするものである。
上記第1の発明では、全体の長さが最も縮小されている状態において、最も内側に位置する特定の仕切り部材を引き出すと、その特定の仕切り部材は自立した状態のままキャスターの転動により、該仕切り部材の外側に位置する他の仕切り部材から直線状に抜き出され、所定の長さに亘って該特定の仕切り部材が抜き出されると、上記抜き出し規制部材により、それ以上該特定の仕切り部材は他の仕切り部材から抜き出すことはできず、この結果、上記他の仕切り部材(ここでは特定の仕切り部材)が更に他の仕切り部材から抜き出される。このようにして、最も内側に位置する仕切り部材から順番に各仕切り部材が抜き出され、最も外側に位置する一番大きな仕切り部材を除く仕切り部材の全てが引き出されることにより、最も伸長された状態となる。
そして、このように最も伸長された状態とされた空間仕切り構造物において、上記最も内側に位置する特定の仕切り部材を、該特定の仕切り部材の外側に位置する他の仕切り部材内に挿入するよう操作し、所定位置まで挿入されると、上記挿入規制部材によって、それ以上挿入できなくなるとともに、他の仕切り部材が、その外側に位置する仕切り部材内に挿入されて行くこととなり、最終的には最も外側に位置する仕切り部材に形成された収容空間内に他の仕切り部材の全てが収容される。
したがって、この第1の発明に係る空間仕切り構造物によれば、伸縮操作をする際においてその伸縮方向と交差する方向に操作したり部材をその交差する方向に移動させたりする必要が無く直線状に操作することができるとともに、それぞれの仕切り部材は自立していることから、天井を一切利用する必要性が無く、さらに、特定の支柱も設ける必要がない。なお、この発明を構成する各仕切り部材の形状は、入れ子状となるよう重ねられる形状であれば良く、四角形状でも三角形状でも良く、或いは幾何学形状であっても良い。
また、この発明では、上記複数の仕切り部材のうちで最も外側に位置する仕切り部材の外面側には、背面側板部が形成され、最も内側に位置する仕切り部材には、正面側板部が形成されてなり、上記背面側板部の背面には、それぞれ支軸を中心に回動可能とされた一方の左脚部材と一方の右脚部材とがそれぞれ配置され、上記正面側板部の正面には、それぞれ支軸を介して回動可能とされた他方の左脚部材と他方の右脚部材とが配置され、上記一方の左脚部材及び一方の右脚部材並びに他方の左脚部材及び他方の右脚部材は、上記それぞれの支軸を介して回動操作することにより、上記最も外側に位置する仕切り部材及び最も内側に位置する仕切り部材の高さ方向に長さを有する状態から、上記複数の仕切り部材全体の伸縮方向と直交する方向に長さを有し床又は地上に先端側が当接する状態に亘って、それぞれ回動可能とされてなるとともに、上記仕切り部材の高さ方向に長さを有する状態と、上記床又は地上に先端側が当接する状態とは、それぞれ固定用ネジにより固定されるように構成されている。
この発明を構成する一方の左脚部材及び一方の右脚部材並びに他方の左脚部材及び他方の右脚部材は、上記それぞれの支軸を介して回動操作することにより、上記最も外側に位置する仕切り部材及び最も内側に位置する仕切り部材の高さ方向に長さを有する状態から、上記複数の仕切り部材全体の伸縮方向と直交する方向に長さを有し床又は地上に先端側が当接する状態に亘って、それぞれ回動可能とされてなるとともに、上記仕切り部材の高さ方向に長さを有する状態と、上記床又は地上に先端側が当接する状態とは、それぞれ固定用ネジにより固定されるように構成されていることから、使用しない場合には、仕切り部材の高さ方向に長さを有する状態に固定用ネジにより固定することができ、使用する(機能させる)場合には、仕切り部材全体の伸縮方向と直交する方向に長さを有し床又は地上に先端側が当接する状態に固定することができる。
したがって、この発明に係る空間仕切り構造物によれば、自立性をより安定的なものすることができ、不用意に転倒することを有効に防止することができる。また、上記一方の左脚部材及び一方の右脚部材並びに他方の左脚部材及び他方の右脚部材は、使用しない場合には、仕切り部材の高さ方向に長さを有する状態とすることができることから、空間を仕切るために使用されず、例えば倉庫などに収容される場合は、コンパクト化することができ、上記一方の左脚部材及び一方の右脚部材並びに他方の左脚部材及び他方の右脚部材が邪魔になることを防ぐことができる。
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記それぞれの仕切り部材には、左側面板部と右側面板部とを備え、これら左側面板部と右側面板部とにはそれぞれ開口が形成されてなるとともに、各開口には閉塞板が取り付けられ、該閉塞板は、透明又は有色透明とされた樹脂により一体成形されてなるとともに、内側面又は外側面にはレーザービームを反射する反射膜がコーティングされてなるか、又は、レーザービーム吸収材が添加された樹脂からなることを特徴とするものである。
上記透明又は有色透明とされた樹脂としては、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等を使用することができる。また、上記レーザービームを反射する反射膜としては、例えばアルミニウムやこのアルミニウムの上にフッ化マグネシウム(MgF2)を保護コーティングしたもの、或いは、上記アルミニウムの上に一酸化シリコン(SiO)を保護コーティングしたものものであっても良い。また、これらの外に、金が反射膜としてコーティングされたものであっても良い。また、上記レーザービーム吸収材としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)や、カーボンブラック,酸化チタン,酸化亜鉛等の無機材料を用いることができる。
上述した第2の発明に係る空間仕切り構造物によれば、ファイバーレーザーやYAGレーザーを用いたレーザー加工機の周囲を囲むパーテーションとしての空間仕切り構造物として使用することにより、レーザー光により作業者の目を傷めることなく、上記閉塞板を介して該レーザー加工機を外部から視認することができる。すなわち、この第2の発明に係る空間仕切り構造物は、レーザー加工機の周囲を覆う言わばレーザー加工機用カバー装置と言う事もできるものであり、レーザー加工機とは別個独立してなるものであることから、レーザー加工機とは分離して移動・運搬させることも可能となり、また、レーザー加工機との距離も任意に選択することができる。こうした点では、レーザー加工機と一体型のカバー装置と比較すると、該レーザー加工機の外形の大型化を避けることができ、例えばコンテナ等のような一定の容積内に収容できないものを、このようにレーザー加工機用カバー装置として別体とすることにより、一定の容積内に収容できるようになると言う効果もある。
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記各仕切り部材の左側面板部又は右側面板部板の少なくとも何れかには、太陽光パネルが取り付けられる傾斜板部が形成されてなることを特徴とするものである。
この第3の発明に係る空間仕切り構造物は、太陽光が照射される屋外に設置されるものであり、駐車場スペースや空き地等を仕切るために使用されるものであり、上記傾斜板部を太陽光パネルの設置スペースとして利用することができる。
上記第1の発明(請求項1記載の発明)に係る空間仕切り構造物によれば、伸縮操作をする際においてその伸縮方向と交差する方向に操作したり部材をその交差する方向に移動させたりする必要が無く直線状に操作することができるとともに、それぞれの仕切り部材は自立していることから、天井を一切利用する必要性が無く、さらに、特定の支柱も設ける必要がない。換言すれば、この発明に係る空間仕切り構造物によれば、折り畳む操作をする必要が無いことから、狭いスペースにおいても使用することができ、また、各仕切り部材は自立性を有していることから、天井から吊るす等して支持したり、或いは一端側を支柱により支持させたりする必要性がなく、屋外でも屋内でも使用環境を制約されることなく自由に設置することができる。
また、上記発明に係る空間仕切り構造物によれば、自立性をより安定的なものすることができ、不用意に転倒することを有効に防止することができる。また、上記一方の左脚部材及び一方の右脚部材並びに他方の左脚部材及び他方の右脚部材は、使用しない場合には、仕切り部材の高さ方向に長さを有する状態とすることができることから、空間を仕切るために使用されず、例えば倉庫などに収容される場合は、コンパクト化することができ、上記一方の左脚部材及び一方の右脚部材並びに他方の左脚部材及び他方の右脚部材が邪魔になることを防ぐことができる。
また、第2の発明(請求項2記載の発明)に係る空間仕切り構造物によれば、ファイバーレーザーやYAGレーザーを用いたレーザー加工機の周囲を囲むパーテーションとしての空間仕切り構造物として使用することにより、レーザー光により作業者の目を傷めることなく、上記閉塞板を介して該レーザー加工機を外部から視認することができる。
また、第3の発明(請求項3記載の発明)に係る空間仕切り構造物によれば、太陽光が照射される屋外に設置されることにより、駐車場スペースや空き地等を仕切るために使用できるばかりか、上記傾斜板部を太陽光パネルの設置スペースとして利用することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、第1の実施の形態に係る空間仕切り構造物について図面を参照しながら詳細に説明する。
この第1の実施の形態に係る空間仕切り構造物1は、図1に示すように、第1ないし第3の仕切り部材2,3,4を備えている。これら第1ないし第3の仕切り部材2,3,4のうち、第1及び第2の仕切り部材2,3の内側は収容空間が形成されている。上記第1の仕切り部材2は、最も外側に位置しているものであって、縦方向に長さを有する左側面板部2aと、この左側面板部2aと同じ面積となされ該左側面板部2aと対向してなる右側面板部2bと、上記左側面板部2aの後端と右側面板部2bの後端とから折曲されてなる背面側板部2c(図5参照)と、左右両端が上記左側面板部2aと右側面板部2bの各上端から折曲されてなる天板部2dとを備えている。そして、上記左側面板部2aの下端には、上記右側面板部2b側とは反対側に折曲されてなる左折曲片2eが形成され、上記左側面板部2aの下端には、上記右側面板部2bの下端には、上記左側面板部2a側とは反対側に折曲されてなる右折曲片2fが形成されている(図6参照)。
そして、上記左折曲片2eには、水平板部と垂直板部とからなり、端面がL字状に折曲された左固定金具6が複数のネジ(符号は省略する。)を介して固定され、この左固定金具6を構成する垂直板部には、3つのキャスター8がそれぞれ回動自在に配置されている(図4参照))。また、上記右折曲片2fには、水平板部と垂直板部とからなり、端面がL字状に折曲された右固定金具7が複数のネジ(符号は省略する。)を介して固定され、この右固定金具6を構成する垂直板部には、3つのキャスター9がそれぞれ回動自在に配置されている。これらのキャスター8,9は、それぞれ図示しない地面又は床面を、後述するように、この空間仕切り構造物1の伸縮方向に転動するものである。
また、上記左側面板部2aの内側面と右側面板部2bの内側面とには、図1に示すように、それぞれ端面がL字状に成形された取付金具10を介して複数のベアリング11が固定されている。なお、上記複数の取付金具10の中で、最も正面側に配置された上下方向に並ぶ3つの取付金具10の固定位置よりもやや背面側板部2c側に固定された上下方向に並ぶ3つの取付金具10の内で、最も上方に固定された取付金具10Aと最も下方に固定された取付金具10Bとは、後述する第2の仕切り部材3に形成された各当接部材28又は当接部材29に当接する部材である(図3参照)。
そして、この第1の仕切り部材2の背面側板部2cには、図4に示すように、一方の左脚部材12と、一方の右脚部材13がそれぞれ一方の左支軸14や一方の右支軸15を中心に回動可能に配置されている。上記一方の左支軸14と一方の右支軸15とは、それぞれ上記第1の仕切り部材2の背面側板部2cの下端側に水平方向に並んで軸止されてなるものである。そして、上記一方の左脚部材12と一方の右脚部13とは、直線状に成形された長尺部12a、13aと、この長尺部12a,13aの先端から折れ曲がって形成され該長尺部12aの長さよりも短い長さに成形された短尺部12b,13bとから構成されている。また、上記一方の左脚部材12と一方の右脚部13とを構成する各長尺部12a,13aの基端側には、上記一方の左支軸14又は一方の右支軸15が挿通される図示しない挿通穴と、該一方の左脚部材12と一方の右脚部13とが図4に示すように直線状に固定する場合に、固定用ネジ17,18を挿通するための図示しない挿通穴と、上記各長尺部12a,13aが、図6に示すように、平行となるように回動させた状態を固定するために使用される上記固定用ネジ17,18を挿通するための挿通穴12c,13cが穿設されている。
また、上記第1の仕切り部材2の背面側板部2cの下端側には、上記一方の左支軸14又は一方の右支軸15が螺着される図示しないネジ穴と、このネジ穴に対して水平方向に並んで形成され上記固定用ネジ17,18が螺着されるネジ穴2j,2kと、上記各長尺部12a,13aが、図6に示すように、平行となるように回動させた状態を固定するために使用される上記固定用ネジ17,18が螺着されるネジ穴2l,2mがそれぞれ形成されている。したがって、この空間仕切り構造物1では、上記固定用ネジ17,18を利用して、図4に示すように、一方の左脚部材12と一方の右脚部13とをそれぞれ構成する長尺部12a,13aが一直線状となるように固定できるとともに、図6に示すように、該長尺部12a,13aが平行となるように固定することができるように構成されている。すなわち、上記第1の仕切り部材2は、上記左側面板部2aと右側面板部2bとの間の面を境に対称に成形されている。
次に、上記第2の仕切り部材3に付いて説明する。この第2の仕切り部材3は、図1に示すように、縦方向に長さを有するとともに上記第1の仕切り部材2を構成する左側面板部2aよりもやや長さ幅が短くされた左側面板部3aと、この左側面板部3aと同じ面積となされ該左側面板部3aと対向してなる右側面板部3bと、上記左側面板部3aの後端と右側面板部3bの後端とから折曲されてなる背面側板部3cと、左右両端が上記左側面板部3aと右側面板部3bの各上端から折曲されてなる天板部3dとを備えている。そして、上記左側面板部3aの下端には、上記右側面板部3b側とは反対側に折曲されてなる左折曲片3eが形成され、上記右側面板部3bの下端には、上記左側面板部3a側とは反対側に折曲されてなる右折曲片3fが形成されている(図6参照)。なお、上記左折曲片3eは、上記左折曲片2eの高さよりもやや下方に位置し、同様に、上記右折曲片3fは、上記右折曲片2fの高さよりもやや下方に位置している。
そして、上記左折曲片3eには、水平板部と垂直板部とからなり、端面がL字状に折曲された左固定金具23が複数のネジ(符号は省略する。)を介して固定され、この左固定金具23を構成する垂直板部には、3つのキャスター21がそれぞれ回動自在に配置されている(図4参照))。また、上記右折曲片3fには、水平板部と垂直板部とからなり、端面がL字状に折曲された右固定金具22が複数のネジ(符号は省略する。)を介して固定され、この右固定金具22を構成する垂直板部には、3つのキャスター24がそれぞれ回動自在に配置されている。これらのキャスター21,24は、それぞれ図示しない地面又は床面を、後述するように、この空間仕切り構造物1の伸縮方向に転動するものである。なお、上記キャスター21,24の配置位置は、上記第1の仕切り部材2を構成するそれぞれ3つのキャスター8,9の配置位置よりも内側とされている。
また、上記左側面板部3aの内側面と右側面板部3bの内側面とには、図1に示すように、それぞれ端面がL字状に成形された取付金具25を介して複数のベアリング26が固定されている。なお、上記複数の取付金具25の中で、最も正面側に配置された上下方向に並ぶ3つの取付金具25の固定位置よりもやや背面側板部3c側に固定された上下方向に並ぶ3つの取付金具25の内で、最も上方に固定された取付金具25Aと最も下方に固定された取付金具25Bとは、後述する第3の仕切り部材4に形成された各当接部材38又は当接部材39に当接する部材である。また、図3に示すように、上記左側面板部3aの外側面であって上記背面側板部3c側には2つの当接部材28が固定され、また、上記右側面板部3aの外側面であって上記背面側板部3c側には二つの当接部材29が固定されている。上記2つの当接部材28,29は、後述するように、上記第1の仕切り部材2内に位置している第2の仕切り部材3を引き出した際に、該第2の仕切り部材3が第1の仕切り部材2内から抜け出てしまうことを防止するために、上記第1の仕切り部材2を構成する左側面板部2aと右側板部2bのそれぞれの内側面に固定された上記当接部材10A,10Bに当接する部材である。なお、上記第2の仕切り部材3は、上記左側面板部3aと右側面板部3bとの間の面を境に対称に構成されている。
次に、上記第3の仕切り部材4に付いて説明する。この第3の仕切り部材4は、図1に示すように、縦方向に長さを有するとともに上記第2の仕切り部材3を構成する左側面板部3aよりもやや長さ幅が短くされた左側面板部4aと、この左側面板部4aと同じ面積となされ該左側面板部4aと対向してなる右側面板部4bと、上記左側面板部4aの後端と右側面板部4bの後端とから折曲されてなる背面側板部4cと、左右両端が上記左側面板部4aと右側面板部4bの各上端から折曲されてなる天板部4dと、上記背面側板部4cと対向してなる正面側板部4eとを備えている。そして、上記左側面板部4aの下端には、上記右側面板部4b側とは反対側に折曲されてなる左折曲片4fが形成され、上記右側面板部4bの下端には、上記左側面板部4a側とは反対側に折曲されてなる右折曲片4gが形成されている。
そして、上記左折曲片4fには、水平板部と垂直板部とからなり、端面がL字状に折曲された左固定金具31が複数のネジ(符号は省略する。)を介して固定され、この左固定金具31を構成する垂直板部には、3つのキャスター33がそれぞれ回動自在に配置されている(図3参照))。また、上記右折曲片4gには、水平板部と垂直板部とからなり、端面がL字状に折曲された右固定金具32が複数のネジ(符号は省略する。)を介して固定され、この右固定金具32を構成する垂直板部には、3つのキャスター34がそれぞれ回動自在に配置されている。これらのキャスター33,34は、それぞれ図示しない地面又は床面を、後述するように、この空間仕切り構造物1の伸縮方向に転動するものである。これらのキャスター33,34は、それぞれ図示しない地面又は床面を、後述するように、この空間仕切り構造物1の伸縮方向に転動するものである。なお、上記キャスター33,34の配置位置は、上記第2の仕切り部材3を構成するそれぞれ3つのキャスター21,24の配置位置よりも内側とされている(図6参照)。
また、図3に示すように、上記左側面板部4aの外側面であって上記背面側板部4c側には2つの当接部材38が固定され、また、上記右側面板部4aの外側面であって上記背面側板部4c側には2つの当接部材39が固定されている。上記2つの当接片38,39は、後述するように、上記第2の仕切り部材3内に位置しているこの第3の仕切り部材4を引き出した際に、該第3の仕切り部材4が第2の仕切り部材3内から抜け出てしまうことを防止するために、上記第2の仕切り部材3を構成する左側面板部2aと右側板部2bのそれぞれの内側面に固定された上記それぞれの当接部材25A,25Bに当接する部材である。
また、上記正面側板部4eには、図1又は図3に示すように、この第3の仕切り部材4を操作することにより、空間仕切り構造物1を伸縮操作したり、該空間仕切り構造物1全体を他所に移動させたりする際に、作業者が把持するハンドル41が固定されている。
そして、この第3の仕切り部材4の正面側板部4eには、図1ないし図3に示すように、他方の左脚部材51と、他方の右脚部材52がそれぞれ他方の左支軸53や他方の右支軸54を中心に回動可能に配置されている。上記他方の左支軸53と他方の右支軸54とは、それぞれ上記第3の仕切り部材4の正面側板部4eの下端側に水平方向に並んで軸止されてなるものである。そして、上記他方の左脚部材51と他方の右脚部材52とは、直線状に成形された長尺部51a、52aと、この長尺部51a,52aの先端から折れ曲がって形成され該長尺部51aの長さよりも短い長さに成形された短尺部51b,52bとから構成されている。また、上記他方の左脚部材51と他方の右脚部材52とを構成する各長尺部51a,52aの基端側には、上記他方の左支軸53又は他方の右支軸54が挿通される図示しない挿通穴と、該他方の左脚部材51と他方の右脚部材52とが図1に示すように直線状となるように固定する場合に、固定用ネジ56,57を挿通するための図示しない挿通穴と、上記各長尺部51a,52aが平行となるように回動させた状態を固定するために使用される上記固定用ネジ56,57を挿通するための挿通穴51c,52cが穿設されている。
また、上記第3の仕切り部材4の正面側板部4eの下端側には、上記他方の左支軸53又は他方の右支軸54が螺着される図示しないネジ穴と、このネジ穴に対して水平方向に並んで形成され上記固定用ネジ56,57が螺着される図示しないネジ穴と、上記各長尺部51a,52aが、先に説明した一方の左支軸12又は一方の右支軸13を示す図6の状態と同じように、平行となるように回動させた状態を固定するために使用される上記固定用ネジ56,57が螺着されるネジ穴4l,4mがそれぞれ形成されている。したがって、この空間仕切り構造物1では、上記固定用ネジ56,57を利用して、図1ないし図3に示すように、上記他方の左脚部材51と他方の右脚部材52とをそれぞれ構成する長尺部51a,52aが一直線状となるように固定できるとともに、該長尺部51a,52aが平行となるように固定することができるように構成されている。
また、図3に示すように、上記左側面板部4aの外側面であって上記背面側板部4c側には2つの当接部材38が固定され、また、上記右側面板部4aの外側面であって上記背面側板部4c側には、図1に示すように、2つの当接部材39が固定されている。上記それぞれ2つの当接片38,39は、後述するように、上記第2の仕切り部材3内に位置しているこの第3の仕切り部材4を引き出した際に、該第3の仕切り部材4が第2の仕切り部材3内から抜け出てしまうことを防止するために、上記第2の仕切り部材3を構成する左側面板部3aと右側板部3bのそれぞれの内側面に固定された上記当接部材25A,125Bに当接する部材である。なお、上記第3の仕切り部材4は、上記左側面板部4aと右側面板部4bとの間の面を境に対称に構成されている。
したがって、上述のように構成されたこの第1の実施の形態に係る空間仕切り構造物1によれば、図7に示す状態、すなわち最も縮小された状態において、上記第3の仕切り部材4を構成する把手41を作業者が把持しながら、手前(第3の仕切り部材4の正面側板部4eから離間する方向)に引くと、この第3の仕切り部材4は、それぞれのキャスター33,34の転動により、第2の仕切り部材3内から引き出される。この場合、上記第3の仕切り部材4は、上記第2の仕切り部材3を構成する複数のベアリング26の周面が第3の仕切り部材4を構成する左側板部4aと右側板部4bに接触するともに転動する。したがって、極めてスムーズに上記第3の仕切り部材4は第2の仕切り部材3内から引き出される。この結果、第3の仕切り部材4の引き出し途中に、第2の仕切り部材3が引き出されることが防止されている。
そして、上記第3の仕切り部材4が所定の長さ引き出されると、やがてこの第3の仕切り部材4に固定された当接部材38や当接部材39が、第2の仕切り部材3に配置された取付金具25Aや取付金具25Bに当接する。したがって、こうした当接部材38,39と取付金具25A,25Bとの当接により、上記第3の仕切り部材4が第2の仕切り部材3内から抜け出てしまうことが防止されるとともに、さらに該第3の仕切り部材4をそのまま引き出す(手前に移動させる)ことにより、第2の仕切り部材3も上記キャスター21,24を介して同じ方向に移動する。すなわち、第2の仕切り部材3は、第1の仕切り部材2内から引き出される。こうした第2の仕切り部材3の移動の際にも、該第2の仕切り部材3を構成する左側板部3aや右側板部3bは、第1の仕切り部材2に配置された複数のベアリング11の周面に接触することから、極めてスムーズに上記第2の仕切り部材3は第1の仕切り部材2内から引き出される。この結果、第2の仕切り部材3の引き出し途中に、第1の仕切り部材2が移動してしまうことがない。
そして、上記第2の仕切り部材3が所定の長さ引き出されると、やがてこの第2の仕切り部材3に固定された当接部材28,29が、第1の仕切り部材2に配置された取付金具10A,10Bに当接することとなり、こうした状態、すなわち図2に示す状態となった場合、それ以上この空間仕切り構造物1が伸長されることはない。
また、図2に示すように、最も伸長された空間仕切り構造物1を縮小させる場合には、上記ハンドル41を把持しながら、上記方向とは反対方向に上記第3の仕切り部材4を移動させる。すなわち、第3の仕切り部材4を第2の仕切り部材3内に収容する方向に移動させる。そして、上記第3の仕切り部材4を構成する左側板部4aや右側板部4bの後端部若しくは背面側板部4cが上記第2の仕切り部材3を構成する背面側板部3cに当接する。この結果、更に第3の仕切り部材4を移動させると、該第3の仕切り部材4と第2の仕切り部材3とが同時に第1の仕切り部材2内に収容される方向に移動し、やがて第2の仕切り部材3を構成する左側板部3aや右側板部3bの後端部若しくは背面側板部3cが該第1の仕切り部材2を構成する背面側板部2cに当接すると、図7に示す状態、すなわち最も縮小された状態となる。なお、この実施の形態に係る空間仕切り構造物1では、上記第2の仕切り部材3を構成する背面側板部3cや第1の仕切り部材2を構成する背面側板部2cは、本発明を構成する挿入規制部材である。
また、この実施の形態に係る空間仕切り構造物1では、上記第1の仕切り部材2には一方の左脚部材12及び一方の右脚部材13がそれぞれ一方の左支軸14や一方の右支軸15を中心に回動可能に配置されており、また、第3の仕切り部材4には、他方の左脚部材51及び他方の右脚部材52がそれぞれ他方の左支軸53や他方の右支軸54を中心に回動可能に配置されており、図2に示すように、それぞれ開いた状態で固定できるとともに、図5に(一方の左脚部材12及び一方の右脚部材13のみを)示すように、閉じた状態とすることもできることから、屋外や室内(工場内)において倒れることなく安定的に使用できるとともに、不要である場合には、上述したように、閉じることにより嵩張ることなくコンパクトな状態とすることができる。
したがって、この第1の実施の形態に係る空間仕切り構造物1によれば、伸縮操作をする際においてその伸縮方向と交差する方向に操作したり部材をその交差する方向に移動させたりする必要が無く、直線状に操作することができるとともに、天井を一切利用する必要性が無く、さらに、特定の支柱も設ける必要がない。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る空間仕切り構造物71に付いて、図8を参照しながら詳細に説明する。なお、図8中に使用する各部材の符号は、上記第1の実施の形態に係る空間仕切り構造物1と同一である場合には同じもの(符号)を用いる。
この第2の実施の形態に係る空間仕切り構造物71は、図8に示すように、上記第1ないし第3の仕切り部材2,3,4を構成する各左側板部2a,3a,4aと、各右側板部2b,3b,4bとには、それぞれ方形状の開口(符号は省略する。)が形成され、これらの開口にはそれぞれ閉塞板72・・・77が取り付けられている。これらの閉塞板72・・・77は、透明又は有色透明とされてなるとともにレーザービームを吸収する吸収剤(例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)や、カーボンブラック,酸化チタン,酸化亜鉛等)が添加されたアクリル樹脂により一体成形されてなるものである。
したがって、こうした構成からなる第2の実施の形態係る空間仕切り構造物71によれば、図示しないファイバーレーザーやYAGレーザーを用いたレーザー加工機の周囲を囲むパーテーションとしての空間仕切り構造物71として使用することにより、レーザー光により作業者の目を傷めることなく、上記閉塞板を介して該レーザー加工機を外部から視認することができる。
なお、上記実施の形態に係る空間仕切り構造物71では、レーザービームを吸収する吸収剤が添加された樹脂を閉塞板72・・・77の素材として使用したが、本発明では、必ずしも、上記レーザービームを吸収する吸収剤が添加された樹脂を用いることなく、透明又は有色透明とされた樹脂又はガラスの表面(内側面又は外側面)に、上記レーザービームを反射する反射膜(例えばアルミニウムやこのアルミニウムの上にフッ化マグネシウム(MgF2)を保護コーティングしたもの、或いは、上記アルミニウムの上に一酸化シリコン(SiO)を保護コーティングしたものもの)がコーティングされてなるものであっても良い。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る空間仕切り構造物81に付いて、図9及び図10を参照しながら詳細に説明する。図9及び図10中に使用する各部材の符号は、上記第1の実施の形態に係る空間仕切り構造物1と同一である場合には同じもの(符号)を用いる。
この第3の実施の形態に係る空間仕切り構造物81は、上記第1の実施の形態に係る空間仕切り構造物1を構成する上記第1ないし第3の仕切り部材2,3,4を構成する各左側板部2a,3a,4a及び各右側板部2b,3b,4bに、それぞれソーラーパネルSを載置する傾斜板部2w・・・2z,3w・・・3z,4w・・・4zを形成したものであり、屋外で使用する場合には、図9に示すように伸長し、使用しない場合には、図10に示すように縮小しコンパクト化された状態で倉庫等に保管することができる。そして、こうした空間仕切り構造物81によれば、太陽光が照射される屋外に設置されることにより、駐車場スペースや空き地等を仕切るために使用できるばかりか、上記傾斜板部2w・・・2z,3w・・・3z,4w・・・4zを太陽光パネルの設置スペースとして利用することができる。
なお、上記各実施の形態に係る各空間仕切り構造物1,71,81は、それぞれ3つの仕切り部材2,3,4から構成されたものをそれぞれ図示して説明したが、本発明に係る仕切り部材の数は、こうした数に限定されるものではなく、さらに多い数の仕切り部材からなるものであっても良いし、それぞれの仕切り部材の形状に関しても上記各実施の形態に係る各空間仕切り構造物1,71,81の形状に限定されるものではない。