まず、実施形態の折戸ユニットを想到するに到った背景から説明する。図1(a)は、参考例の折戸ユニット100を模式的に示す平面図である。参考例の折戸ユニット100は、ガイドレール24により案内される複数の折戸を用いた仕切り壁22の一部を構成する。仕切り壁22はコーナー部22cを有する。本明細書では、ガイドレール24のレール溝24d(後述する)の溝幅中心を一点鎖線で示す。
折戸ユニット100は、第1戸体28及び第2戸体30を有するユニット用折戸20と、仕切り壁22のコーナー部22cを構成するコーナー縦框25とを備える。コーナー縦框25は、仕切り壁22のコーナー部22cに近い側に配置される第1戸体28に接続される。
コーナー縦框25は、ガイドレール24にガイド軸46周りの回動を伴い案内される框ガイド42を有する。第1戸体28、第2戸体30は、ガイドレール24にガイド軸46周りの回動を伴い案内される戸ガイド44を有する。
ガイドレール24は、互いに異なる方向に延びる第1ストレート区間24a及び第2ストレート区間24bと、第1ストレート区間24aと第2ストレート区間24bを繋ぐ曲がり角となるコーナー区間24cとを有する。第1ストレート区間24aは、折戸ユニット100のユニット用折戸20に対して上下方向に配置される。第2ストレート区間24bは、折戸ユニット100と隣り合う他の折戸18に対して上下方向に配置される。これらの位置関係は、仕切り壁22を構成するにあたり、折戸18や折戸ユニット100が配置されるべき位置(以下、仕切り位置という)にある場合を前提にしている。
ガイドレール24のコーナー区間24cを通過させるように、仕切り位置にある折戸ユニット100を動かすケースを考える。このケースでは、コーナー縦框25に第2ストレート区間24bに向かう外力Faを付与することになる。このとき、コーナー縦框25と隣り合う第1戸体28には、コーナー縦框25に付与される外力Faが伝達される。これにより、ガイドレール24に戸ガイド44が当たってしまい、第1戸体28はコーナー縦框25に付与される外力Faと同じ方向には動けなくなる。コーナー縦框25に付与される外力Faは、第1戸体28のガイド軸46周りの回転力Fbに変換される。この回転力Fbは、ユニット用折戸20を折り畳む方向に付与される。このため、図1(b)に示すように、ガイドレール24のコーナー区間24cを通過させるにあたり、ユニット用折戸20の折り畳み動作を要してしまう。
ユニット用折戸20の折り畳み動作を要してしまうと、ユニット用折戸20の近傍に障害物102がある場合に、その折り畳み動作に伴い障害物102と干渉してしまい、ユニット用折戸20をそれ以上は折り畳めなくなり得る。この結果、ガイドレール24のコーナー区間24cを通過させるように折戸ユニット100を動かせなくなり、使い勝手に悪影響を及ぼす。
図2は、この対策を講じた実施形態の折戸ユニット10を示す。実施形態の折戸ユニット10は、コーナー縦框25及び第2戸体30のみがガイドレール24にガイド軸46周りの回動を伴い案内されるガイド42、44を有し、第1戸体28はこのようなガイドを有していない。これは、コーナー縦框25及び第2戸体30にはガイドレール24に接触して案内される箇所が設けられており、第1戸体28にはガイドレール24に接触して案内される箇所が設けられていないことを意味する。これにより、コーナー縦框25及び第2戸体30がガイド42、44を介してガイドレール24に案内されるとき、ガイドレール24による拘束を受けることなく、ガイドレール24に対する第1戸体28の相対変位が許容されるようになる。
この折戸ユニット10を用いて、前述と同様、コーナー縦框25に第2ストレート区間24bに向かう外力Faを付与するケースを考える。このケースでは、コーナー縦框25に外力Faが伝達されたとき、ガイドレール24に第1戸体28のガイドが当たる事態が生じなくなる。コーナー縦框25に付与される外力Faは、第1戸体28とともに第2戸体30に伝達され、第2戸体30のガイド軸46周りの回転力Fcに変換される。この回転力Fcは、ユニット用折戸20を伸長させる方向に付与されるものであり、ユニット用折戸20の折り畳み動作を避けつつ、ユニット用折戸20をガイド軸46周りに回転させる。
この結果、図2(b)に示すように、ガイドレール24のコーナー区間24cを通過させるように折戸ユニット10を動かすにあたり、ユニット用折戸20の折り畳み動作を避けられる。これに伴い、ユニット用折戸20の折り畳み動作に伴う障害物102との干渉を避けつつ、折戸ユニット10を動かせるようになり、良好な使い勝手を得られる。以下、折戸ユニット10の詳細を説明する。
以下、実施形態、変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略したり、構成要素の寸法を適宜拡大、縮小して示す。
図3は、実施形態の折戸ユニット10が用いられる屋外構造物12を示す斜視図である。屋外構造物12は、外部空間から区画された内部空間を屋外に形成する。屋外構造物12は、建物の外壁13の正面側に設けられる。屋外構造物12は、複数の支柱14と、複数の支柱14により支持される屋根16と、屋根16の下方に配置される折戸装置17とを備える。
図4は、折戸装置17の平面図である。図5は、折戸装置17の他の平面図である。図4では複数の折戸18、20が全閉状態にあり、図5では複数の折戸18、20が開状態にある。折戸装置17は、主に、複数の折戸18、20を用いた仕切り壁22と、複数の折戸18、20を案内可能な上下のガイドレール24と、を備える。
図4に示すように、仕切り壁22は、複数の折戸18、20が全閉状態にあるときに設けられ、外部空間と内部空間を隔てている。実施形態の仕切り壁22は、間口方向X(第1方向)の両側に臨む二つの側壁面部22aと、出幅方向Y(第2方向)に臨む前壁面部22bと、隣り合う側壁面部22aと前壁面部22bがなすコーナー部22cとを有する。ここでの間口方向Xは、建物の外壁13に沿った水平方向であり、出幅方向Yは、間口方向Xと直交する水平方向である。
仕切り壁22は、複数の折戸18と折戸ユニット10を用いて構成される。折戸18は、ガイドレール24に対して折り畳み動作及び伸長動作を伴い案内され、その折り畳み動作及び伸長動作を経て開閉可能である。折戸ユニット10は後述する。
図6は、ガイドレール24の一部を示す平面図である。本図では下側のガイドレール24のみ示す。ガイドレール24は、複数の折戸18や折戸ユニット10を案内可能である。上下のガイドレール24のそれぞれは、互いに枠組みされた複数の枠部材の間で連続するように設けられる。
ガイドレール24は、前述した通り、第1ストレート区間24a、第2ストレート区間24b、コーナー区間24cを有する。実施形態の第1ストレート区間24aは間口方向Xに延びている。実施形態の第2ストレート区間24bは出幅方向Yに延びている。第1ストレート区間24a及び第2ストレート区間24bのそれぞれは、直線状に延びるように設けられる。実施形態のコーナー区間24cは、第1ストレート区間24a及び第2ストレート区間24bに対して傾斜して直線状に延びるように設けられる。
以上のガイドレール24は、第1ストレート区間24aと第2ストレート区間24bの間で行き来するように複数の折戸18や折戸ユニット10を案内可能である。これにより、図5に示すように、複数の折戸18や折戸ユニット10を、ガイドレール24の任意の箇所に折り畳んでまとめた状態で配置できる。
図7は、ガイドレール24を説明するための断面図である。実施形態のガイドレール24には、複数の折戸18や折戸ユニット10を案内するためのガイド部の一例となるレール溝24dが形成される。レール溝24dは、ガイドレール24による折戸18等の案内方向に沿って延びるように形成される。レール溝24dは、入口側より奥側で内幅寸法が大きくなるように形成される。ガイドレール24は、ガイドレール24の外部空間とレール溝24dの奥側空間を隔て、レール溝24dの入口部を形成する一対のガイド壁部24eを有する。一対のガイド壁部24eは、互いの先端部が見込方向Y(後述する)に突き合わせられている。
折戸ユニット10の説明にうつる。図8は、図4の折戸ユニット10の拡大図である。折戸ユニット10は、ユニット用折戸20と、仕切り壁20のコーナー部22cを構成するコーナー縦框25とを有する。本明細書では、折戸ユニット10のユニット用折戸20が伸長状態にあるとき、折戸ユニット10を正面から見た左右方向を戸幅方向Paといい、奥行方向を見込方向Pbということがある。ここでの伸長状態とは、ユニット用折戸20の第1戸体28及び第2戸体30が直線状に伸長した状態をいう。
ユニット用折戸20は、互いの戸幅方向Paの内端部28a、30aが回動軸32を介して連結され、回動軸32周りに回動可能な第1戸体28及び第2戸体30を有する。第1戸体28は、第2戸体30より仕切り壁22のコーナー部22cに近い側に配置される。第1戸体28と第2戸体30には軸受部33が設けられ、その軸受部33には個別の回動軸32が回転自在に支持される。実施形態では二つの回動軸32は一体化された部品の一部を構成している。この回動軸32は、上下方向に沿って延びており、第1戸体28と第2戸体30の間で見込方向Yの内部空間側(一方側)に設けられる。
図9は、折戸ユニット10の一部を見込方向Yから見た図である。図8、図9に示すように、戸体28、30は、透光性をもつガラスパネル等の矩形状のパネル体34と、パネル体34の四周を囲む框36、38とを備える。框36、38には、戸幅方向Paの両側の二つの縦框38が含まれる。
コーナー縦框25は、全体として、上下方向に長尺かつ中空の構造を持つ。コーナー縦框25は、第1戸体28の戸幅方向Paの外端部28bに接続される。これにより、ユニット用折戸20とコーナー縦框25をガイドレール24に沿ってスライドさせる必要がある場合に、これらを一体に移動させることができる。これは、たとえば、図5に示すように、複数の折戸18や折戸ユニット10を一箇所にまとめる場合を想定している。
実施形態の折戸ユニット10は、第1戸体28の外端部28bとコーナー縦框25をヒンジ軸40a周りに回動可能に連結するヒンジ機構40を備える。実施形態のヒンジ機構40は単数のヒンジ軸40aを持つ単軸ヒンジ機構である。ヒンジ軸40aは上下方向に沿って延びており、第1戸体28やコーナー縦框25の間で見込方向Yの外部空間側(他方側)に設けられる。
ここで、実施形態の折戸ユニット10は、前述の通り、コーナー縦框25及び第2戸体30はガイドレール24に案内されるガイド42、44を有し、第1戸体28はガイドを有さない点に特徴がある。この点につき詳細に説明する。
図9を参照する。コーナー縦框25は、上側のガイドレール24に案内される上側框ガイド42−Aと、下側のガイドレール24に案内される下側框ガイド42−Bとを有する。上側框ガイド42−Aは、コーナー縦框25の上端部に設けられ、下側框ガイド42−Bは、コーナー縦框25の下端部に設けられる。
第2戸体30は、上側のガイドレール24に案内される上側戸ガイド44−Aと、下側のガイドレール24に案内される下側戸ガイド44−Bとを有する。上側戸ガイド44−Aは、第2戸体30の外端部30bにある縦框38の上端部に設けられ、下側戸ガイド44−Bは、その縦框38の下端部に設けられる。
上側框ガイド42−A、下側框ガイド42−Bや、上側戸ガイド44−A、下側戸ガイド44−Bは多くの点で共通するため、これらの共通点に関して総称した名称で説明することがある。ここでの総称した名称とは、冒頭の「上側、下側」と、末尾の「−A、−B」を省略した名称をいう。
実施形態の上側框ガイド42−Aや下側框ガイド42−Bは、コーナー縦框25から上下方向の両側に突き出るガイド軸46と、ガイド軸46の先端部に回転自在に取り付けられるローラ48とを有する。実施形態の上側戸ガイド44−Aや下側戸ガイド44−Bも、第2戸体30の外端部30bから上下方向の両側に突き出るガイド軸46と、ガイド軸46の先端部に回転自在に取り付けられるローラ48とを有する。
図7を参照する。ガイド軸46は、ガイドレール24のレール溝24d内に配置される。ガイド軸46は、ガイドレール24のレール溝24dに沿ってスライドすることで、ガイドレール24に案内される。ローラ48は、ガイドレール24の一対のガイド壁部24eの裏側に配置される。ローラ48は、ガイドレール24の内壁面に沿って転動することで、ガイドレール24に案内される。
実施形態の上側框ガイド42−Aや上側戸ガイド44−Aは、上側のガイドレール24のガイド壁部24eにローラ48が支持される。これにより、コーナー縦框25や第2戸体30は、上側のガイドレール24に上側框ガイド42−Aや上側戸ガイド44−Aを介して支持される。実施形態の下側框ガイド42−Bや下側戸ガイド44−Bは、上側に向けて変位しようとしたとき、下側ガイドレール24のガイド壁部24eとローラ48の接触により、その変位を規制可能である。
以上の構成のもとでは、折戸ユニット10は、ガイドレール24にユニット用折戸20の折り畳み動作及び伸長動作を伴い案内され、その折り畳み動作及び伸長動作を経て開閉可能である。このとき、折戸ユニット10は、図8に示すように、框ガイド42のガイド軸46周りの方向P1でのコーナー縦框25や第1戸体28の回動や、戸ガイド44のガイド軸46周りの方向P2での第2戸体30の回動を伴い開閉可能である。
ここで、前述の通り、コーナー縦框25や第2戸体30は、ガイドレール24にガイド軸46周りの回動を伴い案内される框ガイド42や戸ガイド44を有する。一方、第1戸体28は、ガイドレール24にガイド軸周りの回動を伴い案内されるガイドを有さない。これにより、前述の通り、ガイドレール24のコーナー区間24cを通過させるように折戸ユニット10を動かすにあたり、ユニット用折戸20の折り畳み動作を避けられる。
図10は、第1変形例の折戸ユニット10を示す図である。第1変形例の折戸ユニット10は、実施形態の折戸ユニット10と比べ、コーナー縦框25と第1戸体28が相対変位不能に一体化されている点が異なる。仕切り壁22を構成するにあたり、ユニット用折戸20が配置されるべき仕切り位置にユニット用折戸20があるときを考える。このときに、ユニット用折戸20を折り畳むにあたり、第1戸体28や第2戸体30の内端部28a、30aが動き始める方向を開き方向Pcとする。第1戸体28の外端部28bに対して開き方向Pcに障害物が配置されるケースを考える。本例での障害物とは屋外構造物12の支柱14である。
このケースのもと、第1変形例の折戸ユニット10では、第1戸体28が框ガイド42のガイド軸46周りにしか回動できず、第1戸体28の外端部28bが障害物と干渉し易くなる。
これに対して、実施形態の折戸ユニット10は、第1戸体28の外端部28bとコーナー縦框25をヒンジ軸40a周りに回動可能に連結するヒンジ機構40を備える。よって、図11に示すように、第1戸体28の外端部28bを開き方向Pcとは反対側の障害物から離れる方向Peに動かせるようになる。これは、第1戸体28とコーナー縦框25をヒンジ軸40a周りに回動させつつ、コーナー縦框25が框ガイド42のガイド軸46周りの方向Pdに回動することで実現できる。これにより、第1戸体28の外端部28bと障害物の干渉を避けつつ、ユニット用折戸20を開き易くなる。
次に、折戸ユニット10の他の特徴を説明する。
図12は、ガイドレール24や框ガイド42と周辺構造を簡略化して示す図である。框ガイド42のガイド軸46は、ガイドレール24の第2ストレート区間24bを構成するレール溝24d内に配置される。これにより、框ガイド42のガイド軸46は、ガイドレール24の第2ストレート区間24bを構成する壁面に対して第1ストレート区間24aの延び方向Xに当接可能な位置に配置される。本実施形態では、第1ストレート区間24aの延び方向Xは間口方向Xとなる。この利点を説明する。
図13は、第2変形例の折戸ユニット10を示す図である。第2変形例の折戸ユニット10では、框ガイド42のガイド軸46は、ガイドレール24のコーナー区間24cを構成するレール溝24d内に配置される。この場合に、ガイドレール24の第1ストレート区間24aにより折戸ユニット10を案内させつつ、折戸ユニット10を仕切り位置に配置するケースを考える。このケースでは、ガイドレール24の第1ストレート区間24aに沿って折戸ユニット10が案内されるように、折戸ユニット10に第1ストレート区間24aの延び方向Xの外力Fdを入力する。このとき、折戸ユニット10に入力される外力Fdによって、框ガイド42のガイド軸46がコーナー区間24cに沿った方向Pfに案内されてしまうオーバーランが生じる。この結果、折戸ユニット10を第1ストレート区間24aの延び方向Xに位置決めし難くなる。
これに対して、実施形態によれば、図12に示すように、折戸ユニット10に第1ストレート区間24aの延び方向Xに沿った外力Fdが入力されたとき、ガイドレール24の第2ストレート区間24bを構成する壁面に框ガイド42のガイド軸46が当接する。これにより、折戸ユニット10を仕切り位置に止めようとする場合に、コーナー縦框25がコーナー区間24cに沿って案内されるオーバーランを防止できる。この結果、折戸ユニット10を第1ストレート区間24aの延び方向Xに位置決めし易くなる。
なお、この構成のもとでは、図13の第2変形例と比べて、折戸ユニット10と隣り合う折戸18(以下、隣接折戸18という)から離れる方向Pgへのコーナー縦框25の移動量を大きくできる。よって、隣接折戸18との干渉を避けつつ、コーナー縦框25を框ガイド42のガイド軸46周りに回転させ易くなり、ユニット用折戸20を開き易くできる利点もある。
図14(a)は、図9の一部を示す拡大図である。図12、図14(a)に示すように、折戸ユニット10は、ガイドレール24にコーナー縦框25をロック可能なロック部材50を有する。コーナー縦框25は、ガイドレール24にロックされた状態にあるとき、ユニット用折戸20や隣接折戸18を突き当てることで、これらを位置決めし易くする役割を持つ。
ロック部材50は、コーナー縦框25に内蔵される。ロック部材50は、コーナー縦框25に対して昇降可能に支持される。コーナー縦框25には不図示の操作部材が昇降可能に支持され、ロック部材50は操作部材に対する手動操作に連動して昇降する。ロック部材50は、図14(a)、(b)に示すように、コーナー縦框25に対して昇降することにより、コーナー縦框25からの上下方向での突出量が変化し、ガイドレール24のレール溝24dに抜き差しされる。
図12に示すように、ロック部材50は、ガイドレール24の第1ストレート区間24aでレール溝24dに抜き差しされる第1部分50aと、ガイドレール24のコーナー区間24cでレール溝24dに抜き差しされる第2部分50bとを有する。実施形態のロック部材50の第1部分50aや第2部分50bは、ガイドレール24の第1ストレート区間24aやコーナー区間24cに嵌め込み可能な形状である。
ロック部材50は、ガイドレール24のレール溝24d内に差し込まれ、ガイドレール24の第1ストレート区間24aを構成する壁面と当接することにより、ガイドレール24にコーナー縦框25をロックするロック状態になる。ロック部材50は、ロック状態にあるとき、ガイドレール24の第1ストレート区間24aを構成する壁面に対して第2ストレート区間24bの延び方向Yに当接可能な位置に配置され、コーナー縦框25を延び方向Yにロックする。本実施形態では、この第2ストレート区間24bの延び方向Yは出幅方向Yとなる。ロック部材50は、ガイドレール24のレール溝24dから抜き出され、ガイドレール24の第1ストレート区間24aを構成する壁面と水平方向に当接不能な位置にあるとき、ガイドレール24に対するコーナー縦框25の相対変位を許容するロック解除状態になる。
このロック部材50は、コーナー縦框25の框ガイド42に対して昇降することによりロックの有無を切り替え可能である。この利点を説明する。
ロック部材50を用いてコーナー縦框25を強固にロックするためには、ロック部材50がロック状態にあるとき、ガイドレール24に対するロック部材50の上下方向での重なり代が大きいほど好ましい。これを実現するうえでは、ロック部材50の昇降方向でのストローク量を大きくできるとよい。
かりに、コーナー縦框25の框ガイド42とロック部材50が一体的に昇降可能である場合を考える。框ガイド42は、ガイドレール24により案内される目的を果たすため、ロック部材50のロックの有無によらず、ガイドレール24に対する上下方向での重なり代が必要となる。よって、ロック部材50のストローク量を大きくしたとき、ロック部材50に連動して昇降する框ガイド42がガイドレール24と干渉しないように、ガイドレール24の上下方向での高さ寸法を余計に確保しなければならなくなる。
これに対して、実施形態では、コーナー縦框25の框ガイド42に対してロック部材50が昇降することによりロックの有無を切り替え可能である。この場合、ロック部材50のストローク量を大きくしたとき、ロック部材50に連動して框ガイド42が昇降しないため、その框ガイド42とガイドレール24の干渉を避けるため、ガイドレール24の高さ寸法を余計に確保せずともよくなる。この結果、ガイドレール24の高さ寸法の増大を抑えつつ、ロック部材50のストローク量を大きくでき、そのロック部材50を用いてコーナー縦框25をガイドレール24に強固にロックできる。
図8を参照する。框ガイド42のガイド軸46と戸ガイド44のガイド軸46の間の中央位置Cpは、第1戸体28の内端部28aと第2戸体30の内端部30aの間に位置するように設けられる。これを実現するため、第1戸体28の戸幅方向Paに沿った寸法である戸幅寸法は、第2戸体30の戸幅寸法より小さくなるように設定される。この利点を説明する。
図15(a)は、第3変形例の折戸ユニット10の一部を示す図である。本図では、折戸ユニット10のユニット用折戸20が折り畳み状態にある。第3変形例の折戸ユニット10では、第1戸体28と第2戸体30の戸幅寸法が同じである。この場合、ガイドレール24に沿った方向Phに第1戸体28とコーナー縦框25(スペースSaの箇所)を並べて配置しなければならず、その方向Phでの折戸ユニット10の寸法が余計に増大する。
図15(b)は、実施形態のユニット用折戸20を折り畳んだ状態を示す平面図である。実施形態の折戸ユニット10は、前述の条件を満たしているため、ユニット用折戸20が折り畳み状態にあるとき、第1戸体28とコーナー縦框25を第1戸体28の戸幅方向Paに並べられる。これにより、ユニット用折戸20が折り畳み状態にあるとき、ガイドレール24に沿った方向Phに第1戸体28とコーナー縦框25を並べて配置せずともよくなる。よって、ガイドレール24に沿った方向Phでの折戸ユニット10の寸法を小型化できる。
図16は、第4変形例の折戸ユニット10を示す図である。本例の折戸ユニット10は、第1戸体28とコーナー縦框25のヒンジ軸40a周りの自由な相対変位が許容されている。この折戸ユニット10のユニット用折戸20を折り畳んだ状態のもと、ガイドレール24に沿って案内させるべく、第2戸体30側に向けて第1戸体28に外力Feを付与するケースを考える。このケースでは、第1戸体28とコーナー縦框25の自由な相対変位が許容されているため、第1戸体28に外力Feを付与しても、その外力Feが同じ方向の力としてコーナー縦框25にスムーズに伝達され難くなる。この結果、折戸ユニット10全体をガイドレール24に沿ってスムーズに動かし難くなる恐れがある。
この対策として、実施形態の折戸ユニット10は、図15(b)に示すように、第1戸体28とコーナー縦框25を全閉時の相対位置で保持可能な位置保持機構54を備える。ここでの全閉時とは、折戸ユニット10が仕切り位置にあるときでもある。
実施形態の位置保持機構54は、第1戸体28とコーナー縦框25の相対位置を保持する保持力として磁石54a、54bの吸引力を用いる。詳しくは、位置保持機構54は、コーナー縦框25及び第1戸体28の突き合わせ箇所の一方に取り付けられる第1磁石54aと、それらの突き合わせ箇所の他方に取り付けられる第2磁石54bとを有する。第1磁石54aと第2磁石54bは異なる極性に着磁されている。第1磁石54aと第2磁石54bには、第1戸体28とコーナー縦框25が全閉時の相対位置にあるときに互いに引き寄せ合う吸引力が保持力として作用する。第1戸体28とコーナー縦框25は、この保持力に抗する方向Pjに保持力に打ち勝つ外力を付与したとき、ヒンジ軸40a周りの回動を伴い相対変位可能となる。
これによれば、ユニット用折戸20が折り畳み状態にある場合に、ガイドレール24に沿って案内させるべく第2戸体30側に向けて第1戸体28に外力Feを付与したとき、その外力が同じ方向の力としてコーナー縦框25に伝達され易くなる。この結果、第1戸体28に付与される外力Feを用いて、折戸ユニット10全体をガイドレール24に沿ってスムーズに動かし易くなる。
以上、本発明の実施形態の例や変形例について詳細に説明した。前述した実施形態や変形例は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態や変形例の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。また、図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
仕切り壁22は屋外構造物12に用いられる例を説明したが、その用途は特に限定されない。たとえば、仕切り壁22は屋内の間仕切りに用いられてもよい。
ガイドレール24のガイド部はレール溝24dを例に説明したが、軌条等でもよい。ガイドレール24は、二つのコーナー区間24cを有する例を説明した。ガイドレール24は、少なくとも一つのコーナー区間24cを有していればよく、その具体的なレイアウトは特に限定されない。ガイドレール24のコーナー区間24cは直線状に延びる例を説明したが、その形状は特に限定されない。コーナー区間24cは、たとえば、曲線状に延びてもよい。
ユニット用折戸20は、第1方向(間口方向X)に沿って延びる仕切り壁22の前壁面部22bの一部を構成する例を説明したが、第2方向(出幅方向Y)に沿って延びる仕切り壁22の側壁面部22aの一部を構成していてもよい。いずれにしても、ユニット用折戸20は、異なる方向に沿って延びるとともにコーナー部22cをなす二つの壁面部のいずれかを構成していればよい。この二つの壁面部の延びる第1方向、第2方向は、実施形態において、建物の外壁13との関係で間口方向X、出幅方向Yに設定される例を説明したが、これに限定されない。第1方向、第2方向は、間口方向X、出幅方向Yとは無関係の方向に設定されてもよい。
ガイドレール24は、折戸ユニット10のユニット用折戸20に対して上下方向に配置される第1ストレート区間24aが第1方向としての間口方向Xに延びており、第2ストレート区間24bが第2方向としての出幅方向Yに延びる例を説明した。仕切り壁22の側壁面部22aの一部をユニット用折戸20が構成する場合、ガイドレール24の第1ストレート区間24aが第1方向として出幅方向Yに延び、第2ストレート区間24bが第2方向として間口方向Xに延びることになる。また、第1ストレート区間24aや第2ストレート区間24bの延び方向も、仕切り壁部22と同様、間口方向、出幅方向とは無関係の方向に設定されていてもよい。
コーナー縦框25と第1戸体28は、実施形態の例のように、ヒンジ機構40を用いて連結されていてもよいし、第1変形例のように、ヒンジ機構40を用いずに一体化されていてもよい(図10参照)。
コーナー縦框25の框ガイド42は、ガイドレール24の第2ストレート区間24bを構成する壁面に当接可能な位置に配置される例を説明した。框ガイド42の位置は特に限定されず、ガイドレール24の第1ストレート区間24aやコーナー区間24cを構成する壁面に当接可能な位置に配置されてもよい。
ヒンジ機構40は単数のヒンジ軸40aを持つ単軸ヒンジ機構を例に説明したが、複数のヒンジ軸40aを持つ多軸ヒンジ機構でもよい。
框ガイド42や戸ガイド44は、ガイドレール24にガイド軸46周りの回動を伴い案内されるものであれば、その具体例は特に限定されない。たとえば、ガイド42、44はローラ48がなくともよいし、戸車等が組み込まれていてもよい。框ガイド42のガイド軸46と戸ガイド44のガイド軸46の間の中央位置Cpは、第1戸体28の内端部28aと第2戸体30の内端部30aの間に位置するように設けられる例を説明したが、これに限定されない。たとえば、框ガイド42と戸ガイド44の間の中央位置Cpは、第1戸体28と重なる箇所に位置するように設けられてもよい。これは、たとえば、第1戸体28と第2戸体30が同じ戸幅寸法を持つ場合を想定している。
ロック部材50は、コーナー縦框25の框ガイド42に対して昇降可能である例を説明したが、一体的に昇降可能でもよい。ロック部材50は、コーナー縦框25から下方に突き出るものを例示したが、上方に突き出てもよい。
位置保持機構54はなくともよい。位置保持機構54は、第1戸体28とコーナー縦框25の相対位置を保持する保持力として磁石の吸引力を用いる例を説明した。このように構成するうえで、位置保持機構54は、第1戸体28及びコーナー縦框25の一方を強磁性体を用いて構成し、それらの他方にのみ強磁性体を吸引可能な磁石を取り付けてもよい。また、位置保持機構54は、第1戸体28とコーナー縦框25の全閉時の相対位置を保持できるものであれば、その具体例は特に限定されない。位置保持機構54は、たとえば、第1戸体28とコーナー縦框25の相対位置を保持する保持力として、ばね等の付勢力を用いてもよい。
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。以下、発明が解決しようとする課題に記載の態様を用いて説明する。
第2態様の折戸ユニットは、第1態様において、前記ガイドレールは、前記ユニット用折戸に対して上下方向に配置される第1ストレート区間と、本折戸ユニットと隣り合う他の折戸に対して上下方向に配置される第2ストレート区間と、前記第1ストレート区間と前記第2ストレート区間を繋ぐコーナー区間と、を有し、前記コーナー縦框の前記ガイドは、前記2ストレート区間を構成する前記ガイドレールの壁面に対して当接可能な位置に配置されてもよい。
この態様によれば、仕切り壁を構成するにあたり折戸ユニットが配置されるべき位置に折戸ユニットを止めようとする場合に、コーナー縦框がコーナー区間に沿って案内されるオーバーランを防止できる。
第3態様の折戸ユニットは、第1または第2態様において、前記コーナー縦框を前記ガイドレールにロック可能なロック部材を備え、前記ロック部材は、前記コーナー縦框の前記ガイドに対して昇降することによりロックの有無を切り替え可能であってもよい。
この態様によれば、ガイドレールの高さ寸法の増大を抑えつつ、ロック部材のストローク量を大きくでき、そのロック部材を用いてガイドレールにコーナー縦框を強固にロックできる。
第4態様の折戸ユニットは、第1から第3態様のいずれかにおいて、前記コーナー縦框の前記ガイド軸と前記第2戸体の前記ガイド軸の間の中央位置は、前記第1戸体の内端部と前記第2戸体の内端部の間に位置するように設けられてもよい。
この態様によれば、ユニット用折戸が折り畳み状態にあるとき、第1戸体とコーナー縦框を第1戸体の戸幅方向に並べられる。これにより、ユニット用折戸が折り畳み状態にあるとき、ガイドレールに沿った方向での折戸ユニットの寸法を小型化できる。
第5態様の折戸ユニットは、第1から第4態様のいずれかにおいて、前記第1戸体の外端部と前記コーナー縦框をヒンジ軸周りに回動可能に連結するヒンジ機構を備えてもよい。
この態様によれば、ユニット用折戸を折り畳むとき、第1戸体の内端部が動き始める開き方向とは反対側に第1戸体の外端部を動かせるようになる。これにより、第1戸体の外端部と障害物の干渉を避けつつ、ユニット用折戸を開き易くなる。
第6態様の折戸ユニットは、第5態様において、前記第1戸体と前記コーナー縦框を全閉時の相対位置で保持可能な位置保持機構を備えてもよい。
ユニット用折戸が折り畳み状態にある場合に、ガイドレールに沿って案内させるべく第2戸体側に向けて第1戸体に外力を付与するケースを考える。この態様によれば、このケースにおいて、第1戸体とコーナー縦框が全閉時の相対位置で保持されるため、第1戸体に付与した外力と同じ方向の力としてコーナー縦框に伝達され易くなる。この結果、第1戸体に付与される外力を用いて、折戸ユニット全体をガイドレールに沿ってスムーズに動かし易くなる。