JP6029009B2 - 薄膜形成用スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

薄膜形成用スパッタリングターゲット及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、薄膜形成用スパッタリングターゲット及びその製造方法に関し、特に、光ディスクにおける記録膜に好適なBi−Ge−Oを主成分とする薄膜を形成するためのスパッタリングターゲット及びその製造方法に関するものである。
従来から、ディジタル動画コンテンツの視聴や、ディジタルデータの記録のために、CD、DVD、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などの光記録媒体が広く利用されている。特に近年、記録膜の材料としてBi、Oを含む無機材料を用いる手法が提案されている。このBi、Oを含む無機材料を用いる場合、この記録パワーの変動に対する許容量が小さく、特に、高い記録パワーで記録再生を行うと、ノイズが急増するという問題があった。
この問題を解決するため、基板と、前記基板上に形成されて情報が記録される情報記録層と、を備えており、前記情報記録層は、光照射によって光学特性が変化し、Bi及びOを主成分とする記録膜と、前記記録膜に接触して形成され、SiOを主成分とする誘電体膜と、を備えた光記録媒体が提案された(例えば、特許文献1を参照)。
ここで、前記記録膜は、Bi−M−O(ただし、Mは、Mg、Ca、Y、Dy、Ce、Tb、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Zn、Al、In、Si、Ge、Sn、Sb、Li、Na、K、Sr、Ba、Sc、La、Nd、Sm、Gd、Ho、Cr、Co、Ni、Cu、Ga、Pbの中から選択される少なくとも1種の元素)を主成分としている。
特開2011−34611号公報
Bi−Ge−O主成分の記録膜をスパッタリングで成膜形成する場合には、チャンバ内に、BiターゲットとGeターゲットとを個別に配置する必要がある。そして、このチャンバ内に、Oガスを供給するとともに、ArやXe等のスパッタリング用ガスを供給して、BiとGeの粒子が飛散させ、飛散したBi粒子、Ge粒子がチャンバ内のOと反応して酸化し、基板の誘電体膜の上にBi−Ge−O主成分の薄膜が堆積される。しかしながら、所望の成分組成を有するBi−Ge−O主成分の薄膜を堆積さるためには、スパッタリング条件を調節することが重要となるが、記録膜中のBi、Oの比率を制御することは容易ではない。
また、Bi金属スパッタリングターゲットとGe金属スパッタリングターゲットとを個別に作製する代わりに、Bi金属とGe金属との合金でスパッタリングターゲットを製造することは可能であり、このBiGe合金スパッタリングターゲットを用いて、DCスパッタリングで成膜することができる。しかし、Bi−Ge−O主成分の薄膜に適用する場合には、Oを導入した反応性雰囲気でスパッタリングを行うこととなり、BiGe合金スパッタリングターゲットの場合でも、薄膜中のO量の制御が難しいという問題がある。
一方、この問題を解消するものとして、Bi酸化物とGe酸化物との焼結体でスパッタリングーゲットを用いることも考えられる。この場合には、薄膜中におけるO量は、スパッタリングターゲットにおけるO量で制御可能であるが、Bi酸化物とGe酸化物との焼結体でスパッタリングーゲットを製造する場合、単純に、Bi酸化物とGe酸化物とを混合して、ホットプレス法で焼結体を製造しようとすると、その焼結体が、割れてしまうという問題があった。
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、Bi−Ge−O主成分の薄膜を一つのスパッタリングターゲットで成膜でき、所望するBi−Ge−O主成分の薄膜を成膜するのに、Bi−Ge−O主成分の組成比率を容易に調整することを可能にし、しかも、そのスパッタリングターゲットの製造時に、割れ難くした薄膜形成用スパッタリングターゲットとその製造方法を提供することを目的とする。
そこで、発明者らは、Bi−Ge−O主成分の薄膜を一つのスパッタリングターゲットで成膜形成でき、しかも、焼結体製造時に割れ難くいスパッタリングターゲットについて研究を行った。
本発明者らは、目標とするBi−Ge−O主成分薄膜の成膜におけるO量が安定して調整できるスパッタリングターゲットとして、Bi酸化物とGe酸化物の焼結体を採用することとした。そして、種々の検討の結果、Bi酸化物とGe酸化物とに、さらに、Ge金属を添加して焼結すると、割れ難い焼結体を製造することができるという知見が得られた。ここでは、ターゲット割れを抑制するには、金属Biの形成が、内部応力の緩和に役立つことが分かった。Bi酸化物は、Ge酸化物より還元性が強いことに着目し、焼結時において、Bi酸化物の還元により、金属Biを形成するとともに、この還元によるO元素を拡散させて、Ge金属を酸化させればよいことが判明した。しかも、Bi酸化物とGe酸化物とに、Ge金属を添加するだけであり、それらの量を調整すれば、目標とするBi−Ge−O主成分薄膜の成分組成が容易に得られ、主成分以外の元素を添加することがないので、膜特性にも影響することがない。
そこで、一試験例として、Bi酸化物とGe酸化物とにGe金属を添加した場合のBi−Ge−Oスパッタリングターゲットを作製するため、粒径:100μm以下のBi酸化物粉(Bi)を78mol%、粒径:100μm以下のGe酸化物粉(GeO)を17mol%、粒径:100μm以下のGe金属粉末を5mol%、用意した。これらの原料粉末をボールミル装置にて湿式で混合し、混合粉末を得た。この混合粉末を、650℃の温度、150kgf/cmの圧力で加圧焼成(ホットプレス)し、焼結体を得て、スパッタリングターゲットを製造した。この製造されたスパッタリングターゲットは、割れることがなかった。
製造された上記のスパッタリングターゲットについて、組成成分の分析を行った。その分析結果が、図1に示されている。
図1の写真は、製造されたスパッタリングターゲットについて、EPMA(フィールドエミッション型電子線プローブ)にて得られた元素分布像であり、図中の3枚の写真から、Bi、Ge、Oの各元素の組成分布の様子をそれぞれ観察することができる。
なお、EPMAによる元素分布像は、本来カラー像であるが、図1の写真では、白黒像に変換して示しているため、その写真中において、白いほど、当該元素の濃度が高いことを表している。具体的には、Bi元素に関する分布像では、Bi元素が白い領域で表示されており、連続して広く分布し、Ge元素に関する分布像では、Ge元素が大小の島状に存在し、Oに関する分布像では、O元素が連続して広く分布していることが観察される。特に、O元素が検出されない黒い領域は、Bi元素の画像における白い領域に対応し、さらに、Ge元素の島状領域は、O元素の画像における白い領域に対応している。これらのことから、このスパッタリングターゲットは、Bi及びGeを含む酸化物素地中に、金属Biが分散した組織となっていると推定できる。
一方、図2のグラフは、上述したように製造されたスパッタリングターゲットのX線回折(XRD)による分析結果を示している。図2の最上段のグラフは、全体のピークを示しているが、その下の上段のグラフには、Bi12Ge2020に係るピークが、その中段のグラフは、Bi(GeOに係るピークが、そして、その下段のグラフには、Biに係るピークが示されている。図1に示された分布画像と図2のグラフに現れたピークとを併せて考慮すると、Ge元素は、Ge金属単体で存在するのではなく、Ge酸化物として検出されており、Bi元素は、Bi酸化物と、Bi金属の両方で検出されている。
以上から、製造されたスパッタリングターゲットでは、原料である一部のBi酸化物が還元作用によって、O元素を失い、金属Biとなり、一方、添加された金属Geは、Bi酸化物からのO元素によって酸化され、Geを含む酸化物が生成されたものと推定でき、金属Biが、Bi酸化物とGe酸化物との結合力を強くするものと考えられる。この金属Biの存在によって、Bi−Ge−O三元系元素でなる焼成体の割れを低減することができた。そして、この製造したスパッタリングターゲットを用いて直流(DC)スパッタリングを行ったところ、所望の特性を有するBi−Ge−O三元系薄膜を成膜することができ、異常放電も発生しなかった。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
(1)本発明のスパッタリングターゲットは、Bi:67.5〜87.8wt%及びGe:1.6〜17.6wt%を含有し、残部がO及び不可避不純物からなる組成を有した焼成体であって、
前記焼成体は、Bi及びGeの酸化物素地中に、金属Biが分散した組織を有し、
前記金属Bi相は、3.0〜6.5%の面積率を有し、かつ、粒径:3.5μm以下であることを特徴とする。
(2)本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、前記(1)のスパッタリングターゲットの製造方法であって、
粒径:100μm以下の、40〜90mol%のBi酸化物粉末及び5〜55mol%のGe酸化物粉末と、5〜15mol%のGe金属粉末とを配合し混合して得られた混合粉末を加圧焼成して、Bi及びGeの酸化物素地中に、金属Biが分散した組織を形成することを特徴とする。
(3)前記(2)のスパッタリングターゲットの製造方法では、前記Ge金属粉末の最大粒径が、100μm以下であることを特徴とする。
(4)前記(2)又は(3)のスパッタリングターゲットの製造方法では、前記混合粉末を、圧力150〜200kgf/cm、650〜730℃にて、真空又は不活性ガス中で加圧焼成することを特徴とする。
ここで、この薄膜形成用スパッタリングターゲットを製造するときには、スパッタリングターゲットの成分組成が、成膜される薄膜の成分組成となることを考慮すれば、Bi、Ge、Oの各元素量は、成膜しようとしているBi−Ge−O三元系薄膜の成分組成によって決まり、所望の特性が得られるように調整される。本発明のスパッタリングターゲットでは、Bi−Ge−O薄膜におけるOについて、酸化物(Bi酸化物、Ge酸化物)から供給した。
ところで、本発明のスパッタリングターゲットの製造において、ターゲット割れを起こさないようにするためには、焼結体の素地中における内部応力を緩和させることが重要となる。この内部応力を緩和すると考えられる金属Biが存在しない場合には、スパッタリングターゲットは、Bi酸化物とGe酸化物とで構成されたものとなり、ターゲット割れが発生しやすくなる。しかも、その比抵抗が上昇することとなり、直流(DC)スパッタリングを行えなくなる。
ここで、金属Biの生成には、金属Geの添加が重要であることは上述したが、この金属Geの添加量に応じて、金属Biの形成量が調整されることになり、この金属Biの形成が不足すると、ターゲット割れが発生する。これに対して、金属Biの形成量を多くすれば、このターゲット割れを起こさないようにすることができるが、その金属Biを多く形成しようとする分だけ、金属Geの添加も増やすことになる。しかし、金属Geの添加量を増やすと、スパッタリングターゲットは、割れ難くなるが、焼結体中のGe酸化物も増えることになり、Ge酸化物粒の肥大化を招来する。このGe酸化物の肥大化は、スパッタリング時の異常放電発生の原因となり、成膜に影響を与える。そこで、本発明のスパッタリングターゲットでは、このターゲット割れを抑制するため、Bi及びGeを含む酸化物素地の組織中には、金属Biが分散したものであって、その金属Biは、3.0〜6.5%の面積率を有し、かつ、粒径:3.5μm以下とすることが好ましい。
また、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法では、Bi及びGeを含む酸化物素地の組織中に、3.0〜6.5%の面積率を有し、かつ、粒径:3.5μm以下の金属Biが分散分布するように、粒径が100μm以下のBi酸化物粉末及びGe酸化物粉末と、粒径が100μm以下のGe金属粉末とを用意し、Bi酸化物粉末、Ge酸化物粉末及びGe金属粉末とを所定比率で配合し、混合して得られた混合粉末を加圧焼成して、Bi及びGeを含む酸化物素地中に、金属Biを分散分布させることとした。なお、このGe金属粉末の添加量は、以上を勘案すると、5〜15mol%とすることが好ましい。
ここで、Ge金属粉末の添加量が、5mol%未満であると、金属Geの添加量が少なくなり、Bi酸化物(Bi)の還元効果が十分に得られず、結果として、金属Biの析出量が少なくなり、ターゲット割れに至る。一方、Ge金属粉末の添加量が、15mol%を超えると、金属Geの添加量が多く、スパッタリング時の膜組成の制御が難しくなる。Ge金属粉末の添加量が、5〜15mol%の範囲であっても、Bi酸化物とGe酸化物の配合組成や、焼成条件によっては、微量の金属Geが残ることもあり得るが、ターゲット材の組織中には、金属Biが形成されているので、ターゲット割れは発生しない。
また、スパッタリング時の異常放電発生を抑制するには、焼結体中の酸化物を微細粒とするのがよく、Bi酸化物粉末、Ge酸化物粉末及びGe金属粉末の粒径は、100μm以下とすることが好ましい。
さらに、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法では、焼結において、Bi酸化物からのO元素がGe金属に拡散して、Ge酸化物が形成され、O元素を失ったBi酸化物が金属Biに変化するように、所定比率で配合されたBi酸化物粉末、Ge酸化物粉末及びGe金属粉末からなる混合粉末を、圧力150〜200kgf/cm、650〜730℃にて、真空又は不活性ガス中で加圧焼成(ホットプレス)することとした。ここで、150kgf/cm未満の加圧であると、密度が高いターゲット材を得ることが難しく、多孔質のターゲット材が形成されてしまうため、スパッタリング時に、パーティクルの発生や異常放電の発生に繋がる。一方、200kgf/cmを超える加圧であると、加圧過多となって、脆くなり、ターゲット材の割れに繋がる。また、なお、圧力が150〜150kgf/cmであっても、730℃を超えた温度、例えば、750℃で加圧処理した場合には、金属Biが溶出してしまうこともあり得る。
以上の様に、本発明によれば、Bi−Ge−O主成分の薄膜を一つのスパッタリングターゲットで成膜形成できるスパッタリングターゲットであって、焼結時に、Bi酸化物からGe金属にO元素を拡散させることにより、Geを含んだ酸化物が形成されるとともに、還元作用によりO元素を失ったBi酸化物が、金属Biに変化した組織となり、ターゲット割れを低減できた薄膜形成用スパッタリングターゲットを得ることができるので、光記憶媒体におけるBi−Ge−O三元系元素でなる記録膜などの成膜に使用するのに好適であり、成膜コストを低減することができるという産業上優れた効果を奏する。
本発明に係るスパッタリングターゲットの一具体例について、スパッタリングターゲットの組織をEPMAにより測定した各元素の元素分布像である。 図1に示したスパッタリングターゲットのX線回折(XRD)の分析結果を示すグラフである。 従来技術によるスパッタリングターゲットの一例について、スパッタリングターゲットの組織をEPMAにより測定した各元素の元素分布像である。 図3に示したスパッタリングターゲットのX線回折(XRD)の分析結果を示すグラフである。
次に、本発明による、Bi−Ge−O三元系元素でなるスパッタリングターゲット及びその製造方法について、以下に、実施例により、具体的に説明する。
〔実施例〕
先ず、以下に示した表1に記載の配合組成となるように、純度:99.9%で粒径:100μ以下のBi酸化物(Bi)粉末、純度:99.999%で粒径:100μm以下のGe酸化物(GeO)粉末、粒径:100μm以下のGe金属粉末を原料粉末として秤量した。この秤量した原料粉末を粉末重量の2倍のジルコニアボール(直径:5mm)と一緒に容器に入れ、ボールミル装置にて、8時間、湿式で混合した。この混合後に、目開き:0.25mmの篩にかけて、混合粉末を得た。なお、原料粉末は、ボールミル装置で混合されることにより、一層微細化される。
得られた混合粉末を、以下の表1に記載した焼結条件のように、650〜730℃の温度で、150kgf/cmの圧力で加圧焼成(例えば、ホットプレス)し、焼結体を得た。この焼結体を機械加工し、所定形状の実施例1〜10のスパッタリングターゲットを製作した。
〔比較例〕
上記実施例と比較するため、比較例のスパッタリングターゲットの作製を試みた。表1に記載の配合組成となるように、比較例1の場合には、純度:99.9%で粒径:100μ以下のBi酸化物(Bi)粉末、純度:99.999%で粒径:100μm以下のGe酸化物(GeO)粉末を原料粉末として秤量し、比較例2の場合には、前記Bi酸化物(Bi)粉末、前記Ge酸化物(GeO)粉末、粒径:100μm以下のBi金属粉末を原料粉末として秤量し、そして、比較例3の場合では、前記Bi酸化物(Bi)粉末、前記Ge酸化物(GeO)粉末、粒径:100μm以下のGe金属粉末を原料粉末として秤量した。次に、上記実施例の場合と同様にして、秤量された原料粉末をボールミル装置にて、8時間、湿式で混合した。この混合後に、目開き:0.25mmの篩にかけて、混合粉末を得た。
得られた混合粉を、表1に記載した焼結条件のように、650℃の温度で、150〜200kgf/cmの圧力で加圧焼成(例えば、ホットプレス)し、比較例1〜3のスパッタリングターゲットを製作した。

次いで、上記の実施例1〜10及び比較例1〜3のスパッタリングターゲットについて、ターゲット組成の分析を行った。その結果が、以下の表2に示されている。
次に、上述のようにして得られた実施例1〜10及び比較例1〜3のスパッタリングターゲットについて、ターゲット組成、金属Biの面積率及び粒径を、以下に示す仕方で測定し、ターゲット割れの有無を評価した。その結果が、表2に示されている。
<ターゲット組成>
ICP分析によって、Bi,Geの定量分析を行い、残部を酸素とした。
<面積率測定>
EPMAにより取得したコンポ像から各金属相の面積率を求めた。
EPMAに置いては各元素の原子量が画像上の明暗となって現れる。この系の場合、金属Biは明るく、金属Geは暗いグレーで表わされる。このことから各金属層の面積率は倍率40倍で得られたコンポ像において、金属Bi相及び金属Ge相と他の相との境界を明暗のしきい値で判断した上、画像上のそのしきい値の範囲にある各々の金属相で面積をコンピュータ処理によって算出し、測定面積で割ることによって得た。
<粒径測定>
使用されたBi金属粉末、Ge金属粉末、Bi酸化物粉末の各最大粒径(μm)については、マイクロトラック法により測定した。
<ターゲット割れ発生の評価>
スパッタリングターゲットの製造時に、割れ難いことを確認するため、湿式研磨加工に耐えることができるか否かで、ターゲット割れの有無の評価を行った。研磨加工条件は、以下のとおりである。
○外周加工:円筒研磨機
砥石は、ダイヤモンド砥石レジンボンドを使用し、主軸回転数60rpm、切り込み0.001mmにて加工した。
○面仕上げ加工:横軸ロータリー研磨機
砥石は、ダイヤモンド砥石レジンボンドを使用し、テーブル回転数60rpm、切り込み0.002mmにて加工した。
ここで、これらの研磨加工において、ターゲット割れが発生した場合には、「有」とし、ターゲット割れが発生しなかった場合には、「無」とした。

以上の結果によれば、実施例1〜10のスパッタリングターゲットでは、ターゲット組成が、目標とするBi−Ge−O主成分薄膜の成分組成に対応したターゲット組成を有するスパッタリングターゲットが得られた。Bi−Ge−O主成分薄膜の成膜におけるO量を安定して調整でき、スパッタリングターゲットの製造時に割れが発生しないことが確認された。
これに対して、比較例1では、Bi酸化物(Bi)粉末とGe酸化物(GeO)粉末とが混合されただけであるので、Bi12GeO20とBi(GeOの2相よりなる複合酸化物が形成されており、金属Biは存在していないため、ターゲット割れが発生した。比較例2では、Bi酸化物(Bi)粉末、Ge酸化物(GeO)粉末に加えて、Bi金属粉末が配合されたため、焼成時に、金属Biが溶出していまい、所望の強度を有するターゲット材が得られなかった。また、比較例3では、Ge金属粉末の配合量が少なかったため、ターゲット組織中に、金属Biが生成されず、ターゲット割れが発生した。
以上の様に、本発明によるスパッタリングターゲットを製造するのに、Bi酸化物粉末、Ge酸化物粉末、Ge金属粉末を原料とし、所定条件で加圧焼結すると、Bi酸化物が還元されて、O元素が発生し、このO元素がGe金属に拡散することにより、Ge金属が酸化されて、Geを含んだ酸化物が形成され、一方、このO元素を失ったBi酸化物は、金属Biが形成された組織となることが確認され、ターゲット割れの低減を可能としたスパッタリングターゲットを得ることができる。


なお、本発明の技術範囲は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。

Claims (4)

  1. Bi:67.5〜87.8wt%及びGe:1.6〜17.6wt%を含有し、残部がO及び不可避不純物からなる組成を有した焼成体であって、
    前記焼成体は、Bi及びGeの酸化物素地中に、金属Biが分散した組織を有し、
    前記金属Bi相は、3.0〜6.5%の面積率を有し、かつ、粒径:3.5μm以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 請求項1に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、
    粒径:100μm以下の、40〜90mol%のBi酸化物粉末及び5〜55mol%のGe酸化物粉末と、5〜15mol%のGe金属粉末とを配合し混合して得られた混合粉末を加圧焼成して、Bi及びGeの酸化物素地中に、金属Biが分散した組織を形成することを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
  3. 前記Ge金属粉末の最大粒径は、100μm以下であることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
  4. 前記混合粉末を、圧力150〜200kgf/cm、650〜730℃にて、真空又は不活性ガス中で加圧焼成することを特徴とする請求項2又は3に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
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