以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」と言う)について、図面を用いて詳細に説明する。
[第1の実施形態]
<システム構成>
本実施形態に係る遠隔管理システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る遠隔管理システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、遠隔管理システム1は、インターネットなどの外部ネットワークIを介して、遠隔管理装置100に、1又は複数の遠隔管理対象である機器管理システム(遠隔管理対象システム)A〜Cが接続されている。
機器管理システムA〜Cは、例えば、顧客先に導入され特定エリア(ローカル)に構築されたシステムであり、一方、遠隔管理装置100は、メーカ側に設置されたサーバ機能を有する機器である。遠隔管理装置(遠隔管理サーバ)100は、外部ネットワークIを介して、各顧客先に導入された機器管理システムA,B,Cを遠隔管理する。また、一般的に、機器管理システムA〜Cと外部ネットワークIとの間には、機器管理システムA〜Cの機密性を確保するため、ファイアウォール(非図示)が設置されている。
機器管理システムA〜Cは、LP2001やMFP2002と言った業務内の作業を行う際に利用される1又は複数の管理対象機器200と、ユーザが情報閲覧や作業要求を行う1又は複数のクライアントPC(Personal Computer)300と、機器管理装置(機器管理サーバ)400とが、LAN(Local Area Network)などの内部ネットワークNで相互に接続されている。
各機器管理システムA,B,又はCでは、機器管理装置400が有する機器管理機能により、内部ネットワークNを介して、管理対象機器200からジョブログや操作ログなどの機器利用履歴が記録された各種履歴情報、及び状態情報などの機器情報を収集し、機器の状態が監視される。また、クライアントPC300に対しては、機器管理装置100から管理対象機器200の履歴情報や機器情報が提供される。
なお、上記各機器管理システムA,B,又はCでは、機器管理装置400が内部ネットワークNに接続される管理対象機器200から各種履歴情報及び機器情報を取得する構成について説明を行ったが、この限りでない。例えば、管理対象機器200がMFPやLPなどの画像処理装置の場合には、次のような構成も考えられる。管理対象機器200がクライアントPC300にローカル接続されている場合もある。また、内部ネットワークNにプリントサーバ(非図示)が接続されている場合もある。このような場合、機器管理システムA,B,又はCでは、機器管理装置400が、クライアントPC300やプリントサーバを介して管理対象機器200の各種履歴情報及び機器情報を取得する。
遠隔管理システム1は、遠隔管理装置100が有する改善提案機能により、例えば、外部ネットワークIを介して、機器管理システムA〜Cの機器管理装置400から管理対象機器200の履歴情報を取得し、取得した履歴情報に基づく改善案を提案情報として生成する。遠隔管理装置100は、例えば、電子メールやショートメッセージと言った所定の情報通知手段により、機器管理装置400やクライアントPC300に提案情報を送信する。
なお、上記システム1では、機器管理装置400と外部ネットワークIとの間に、ファイアウォールを設置する構成について説明を行ったが、機器管理装置400が、ファイアウォールの機能を有している構成であってもよい。
このように、遠隔管理装置100は、顧客に対して、作業効率を向上させる機器利用に関する具体的な改善案(作業効率低下の解決策)を提案する改善提案サービス(改善提案機能)を提供することができる。
近年、ソフトウェアにより実現される機能(サービス)は、SaaS(Software as a Service)と言ったクラウドコンピューティングと呼ばれる形態で利用されている。クラウドコンピューティング(Cloud Computing)とは、インターネットを基本にした新しいコンピュータの利用形態であり、次のような利点から普及している。
クラウドコンピューティングでは、ユーザが最低限の接続環境(PCや携帯情報端末などのクライアント、その上で動くブラウザ、インターネット接続環境など)と、サービス利用料金とを用意すればよい。つまり、ユーザ環境では、従来必要であった、処理が実行されるコンピュータ本体や蓄積するデータなどの購入や管理が不要となる。
これにより、ユーザは、上記クラウドコンピューティングによるサービス(クラウドサービス)を利用することで、コンピュータ処理を、ネットワーク経由で利用できる。
上述した遠隔管理装置100が有する改善提案機能も、上記クラウドコンピューティングにより提供可能なサービスの1つである。
<ハードウェア構成>
上記改善提案機能が動作する遠隔管理装置100のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る遠隔管理装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、遠隔管理装置100は、入力装置101、表示装置102、ドライブ装置103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU(Central Processing Unit)106、インタフェース装置107、及びHDD(Hard Disk Drive)108などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
入力装置101は、キーボード及びマウスなどを含み、遠隔管理装置100に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置102は、ディスプレイなどを含み、遠隔管理装置100による処理結果(例えば「履歴情報」や「改善提案情報」)などを表示する。
インタフェース装置107は、遠隔管理装置100をネットワークなどの所定のデータ伝送路に接続するインタフェースである。よって、遠隔管理装置100は、インタフェース装置107を介して、機器管理システムA〜C内のクライアントPC200や機器管理装置400とデータ通信を行うことができる。
HDD108は、各種プログラム及びデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラム及びデータには、例えば、遠隔管理装置100全体を制御する情報処理システム(例えば「Windows(登録商標)」や「UNIX(登録商標)」などの基本ソフトウェアであるOS(Operating System))、及び情報処理システム上において各種機能(例えば「遠隔管理機能」や「改善提案機能」)を提供するアプリケーションなどがある。また、HDD108は、格納している上記プログラム及びデータを、所定のファイルシステム及び/又はDB(Data Base)により管理している。
ドライブ装置103は、着脱可能な記録媒体103aとのインタフェースである。これにより、遠隔管理装置100は、ドライブ装置103を介して、記録媒体103aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
ROM105は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM105には、遠隔管理装置100が起動されるときに実行されるBIOS(Basic Input/Output System)や、遠隔管理装置100のシステム設定及びネットワーク関連設定などのデータが格納されている。
RAM104は、上記各種記憶装置から読み出されたプログラム及びデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU106は、上記RAM104上に読み出したプログラムを実行することにより、遠隔管理装置100の全体制御及び各種搭載機能の動作を実現する。
このようなハードウェア構成により、遠隔管理装置100は、例えば、HDD108からRAM104上に読み出したプログラム(搭載機能を実現するソフトウェア部品)をCPU106により実行し、搭載機能を実現することができる。
また、遠隔管理装置100は、上記ハードウェア構成からも分かるようにPCなどと略同一の構成をしている。
<改善提案機能>
本実施形態に係る改善提案機能について説明する。
本実施形態に係る遠隔管理装置100では、顧客環境(1又は複数の機器管理システムA〜C)に設置された管理対象機器200からジョブログや操作ログなどの各種ログを取得し、利用機器の履歴情報として管理する。遠隔管理装置100は、これらの履歴情報を顧客単位で解析し、作業効率を低下させる原因(作業履歴)を検出する。遠隔管理装置100は、検出した原因に基づき提案情報を生成し、顧客に改善案の提案を行う。機器管理装置100は、このような改善提案機能を有している。
顧客先であるオフィス環境では、業務内で行われる作業の効率化を図るための具体的な機器利用に関する改善案を提案することが望まれるが、従来のシステムでは、具体的な機器利用に関する改善案を提案する構成となっていない。
そこで、本実施形態に係る遠隔管理装置100は、顧客先の作業時における機器利用履歴を解析することにより作業効率低下の原因を検出し、検出結果(解析結果)に基づく改善提案を行う。
これによって、本実施形態に係る遠隔管理装置100では、1又は複数の機器管理システムA〜Cに対して、作業効率を向上させる具体的な機器利用に関する改善案を提案できる。
以下に、上記改善提案機能の構成とその動作について説明する。
図3は、本実施形態に係る改善提案機能の構成例を示す図である。
図3に示すように、遠隔管理装置100は、ログ収集部21、履歴情報保持部22、提案情報生成部31、及び提案部32などを有している。
ログ収集部21は、遠隔管理装置100が備えるインタフェース装置107により、外部ネットワークIを介して接続される機器管理システムA〜Cの1又は複数の管理対象機器200におけるジョブログや操作ログなどの各種ログを取得・収集する機能部である。ログ収集部21は、上記各種ログを、1又は複数の管理対象機器200が内部ネットワークNを介して接続される機器管理装置400から取得・収集する。
ログ収集部21は、例えば、ポーリング処理などにより、所定時間間隔に従って、機器管理装置400に対してログ取得要求を行い、ログを応答情報として取得する。この場合、ログ収集部21は、遠隔管理機能に係る管理情報である機器管理装置400を識別する機器識別情報(例えば「IP(Internet Protocol)アドレス」)に基づき、システム内で管理中(遠隔管理対象として登録されている)の機器管理装置400に対してログ取得要求を送信する。なお、ログ収集部21は、ログ取得要求の送信を行う際に、機器識別情報に基づき、機器管理装置400が、ログ取得要求を送信可能な状態か否かを確認し、送信可能な機器に対して送信する。
なお、機器管理装置400が、管理対象機器200の状態変化に応じて機器情報を能動的に送信するTrap機能を有する場合には、ログ収集部21により、機器管理装置400から送信されたログを受信し取得してもよい。
また、システム構成において上述したが、管理対象機器200がクライアントPC300にローカル接続されている場合や、内部ネットワークNにプリントサーバ(非図示)が接続されている場合には、機器管理装置400により、クライアントPC300やプリントサーバから各種ログが取得・収集される。
履歴情報保持部22は、機器管理装置400から収集された各種ログを、機器利用履歴を記録した履歴情報として保持する機能部である。
ログは、例えば、遠隔管理装置100が備えるHDD108の所定の記憶領域に格納され保持される。つまり、履歴情報保持部22は、遠隔管理装置100が備える記憶装置により実現される機能である。
取得されたログが「ジョブログ」の場合には、複数のジョブログが、ジョブ実行日時の順にソートされ、機器管理システムA,B,Cごとに所定の記憶領域に格納される。これにより、顧客単位のジョブ履歴情報として保持される。また、取得されたログが操作ログの場合には、複数の操作ログが、各機器管理システムA,B,Cにおける管理対象機器200の搭載機能ごとに所定の記憶領域に格納される。これにより、顧客先に導入された管理対象機器200が有する機能単位の操作履歴情報として保持される。
このように、遠隔管理装置100では、履歴情報保持部22により、機器管理装置400から収集された各種ログを、顧客先における利用機器(管理対象機器)の履歴情報として管理する。なお、上記履歴情報保持部22が保持する具体的な履歴情報のデータ例については、以降の動作説明の中で後述する。
提案情報生成部31は、顧客先の作業時における機器利用履歴を解析することにより改善点を検出し、検出結果(解析結果)に基づく提案情報を生成する機能部である。提案情報生成部31は、次のように提案情報の生成を行う。
提案情報生成部31は、作業者を識別するユーザ識別情報(例えば「ユーザID」)に基づき、履歴情報保持部22で保持する顧客の履歴情報の中から該当履歴を検索する。提案情報生成部31は、同機能部が有する履歴解析部(原因検出部)311により、該当履歴を作業者単位で解析し、作業効率を低下させる原因を検出する。履歴解析部311は、例えば、解析の中で、履歴情報に作業効率を低下させる作業履歴が含まれているか否かを確認することで原因を検出する。上記「作業効率を低下させる作業」には、例えば、繰り返し操作や断片的な機能利用などがある。提案情報生成部31は、このようにして検出した原因(作業履歴)に基づき、提案情報を生成する。提案情報生成部31は、例えば、幾つかにパターン分けされた具体的な改善案の中から、検出された原因を解決する改善案を特定し、提案情報を生成する。
提案部32は、遠隔管理装置100が備えるインタフェース装置107により、外部ネットワークIを介して接続される機器管理システムA〜Cの作業要求元であるクライアントPC300に、生成された提案情報を送信する機能部である。提案部32は、上記提案情報を、1又は複数のクライアントPC300が内部ネットワークNを介して接続される機器管理装置400を経由して送信する。このとき、提案部32は、例えば、電子メールやショートメッセージと言った所定の情報通知手段により上記提案情報を顧客に送信する。
このように、遠隔管理装置100では、顧客先の作業時における機器利用履歴を解析することにより作業効率低下の原因を検出し、検出結果(解析結果)に基づく改善提案を行う。なお、上記提案情報生成部31及び提案部32による改善提案に係る具体的な処理手順例については、以降の動作説明の中で後述する。
このように、本実施形態に係る改善提案機能は、上記各機能部が連係動作することにより実現される。
次に、改善提案機能の詳細な動作(機能部群の連係動作)について、処理手順を示すシーケンス図及びフローチャートを用いて説明する。
改善提案機能は、遠隔管理装置100に搭載(インストール)されるプログラム(改善提案機能を実現するソフトウェア部品)が、CPU106により、格納先(例えば「ROM」など)からRAM104上に読み出され、以下の処理が実行されることで実現される。
以下の説明では、「履歴情報の管理及び履歴情報に基づく改善提案に係る処理」(全体処理)と、「履歴情報の解析から作業効率低下の原因を検出後に提案情報を生成する具体的な処理」(提案情報生成処理)とに分けて説明する。
《全体処理》
図4は、本実施形態に係る改善提案を行う処理手順例を示すシーケンス図である。
図4に示すように、遠隔管理装置100では、上記各機能部により次のような改善提案に係る処理が行われる。
まず、遠隔管理装置100では、履歴情報の収集・保持・管理に係る処理が行われる。
遠隔管理装置100は、ログ収集部21により、外部ネットワークIを介して機器管理システムA,B,Cの機器管理装置400から、管理対象機器200のログが収集される(ステップS101)。ログ収集部21は、収集したログを、当該装置が備える記憶装置の所定の記憶領域に格納し記録する(ステップS102)。これにより、収集したログは、所定の記憶領域にあたる履歴情報保持部22で保持され管理される。
ここで、履歴情報保持部22が保持する履歴情報のデータ例について説明する。
図5及び図6は、本実施形態に係る履歴情報22Dのデータ例(その1,その2)を示す図である。
図5には、機器管理システムAが導入された顧客先[A社]から収集したログが「ジョブログ」であった場合の履歴情報(ジョブ履歴情報)22D1Aのデータ例が示されている。
ジョブ履歴情報22D1は、例えば、ジョブ実行日時を示す「日時」、作業者を識別する「ユーザ識別」、作業時に利用した管理対象機器200を識別する「利用機器」、及び搭載機能を識別する「利用機能」などの情報項目が、機能実行履歴を示す「印刷枚数」、「印刷部数」、「後処理(出力時の加工処理)」などの情報項目と関連付けられた構成となっている。これら情報項目の項目値は、顧客先の導入機器上で実行されたジョブに対応するジョブログ(1ジョブのログ)から得られる値である。
例えば、図5のデータ例では、ジョブ履歴情報22D1Aに、作業者[User01@A.co.jp]が、日時[2009/07/14 14:00]に、機器[MFP01]が有する印刷機能[Print]を利用してカラー印刷を1部行い、続けて日時[2009/07/14 14:01]にコピー機能[Copy]を利用して両面・集約されたカラーコピーを10部行い、コピー後に後処理[Staple]された作業履歴が記録されている。
さらに、ジョブ履歴情報22D1Aは、複数のジョブログから得られた項目値が、情報項目「日時」の項目値に従って、ジョブ実行順にソートされた構成となっている。ジョブ履歴情報22D1Aを、このようなデータ構成とする理由(ジョブ実行順でソートする理由)は、上述した「作業効率を低下させる作業」の断片的な機能利用を判断するためである。断片的な機能利用は、ジョブ履歴情報22D1Aの中に、同一作業者が異なる機能利用を連続して行って1つの作業を終えたジョブ履歴(作業履歴)が存在するか否か(有無)を確認することで検出できる。
また、図6には、機器管理システムAが導入された顧客先[A社]から収集したログが「操作ログ」であった場合の履歴情報(操作履歴情報)22D2Aのデータ例が示されている。さらに、(A)には「コピー機能」、(B)には「スキャン機能」、(C)には「FAX機能」の各操作履歴情報22D2Ac,22D2As,22D2Afのデータ例が示されている。
操作履歴情報22D2Aは、例えば、操作日時を示す「日時」、「ユーザ識別」、及び「利用機器」などの情報項目が、機能実行時の動作設定を示す「カラー/モノクロ」、「印刷部数」、「両面」、「集約」、及び「後処理」などの情報項目と関連付けられた構成となっている。これら情報項目の項目値は、顧客先に導入された管理対象機器200の搭載機能を利用して作業を実施した際に行われた一連の操作ログから得られる値である。
例えば、図6(A)のデータ例には、コピー機能の操作履歴情報22D2Acに、作業者[User01@A.co.jp]が、日時[2009/07/14 14:01]に、機器[MFP01]を利用して両面[ON]・集約[2in1]のカラーコピーを10部行い、コピー後に後処理[Staple]された作業履歴が記録されている。
なお、以降では、上記ジョブ履歴情報22D1A及び操作履歴情報22D2Aについて、履歴情報22Dと総称する。
図4の説明に戻る。遠隔管理装置100では、上記処理手順により管理される履歴情報22Dに基づき、次のような改善提案に係る処理が行われる。
遠隔管理装置100は、提案情報生成部31により、履歴情報保持部22にアクセスし、ユーザ識別情報に基づき、履歴情報22Dの中から該当履歴を検索する(ステップS201)。その結果、提案情報生成部31は、検索結果として作業者の作業履歴を得る。
続いて、提案情報生成部31は、履歴解析部311により、該当履歴(作業履歴)を解析し、作業効率を低下させる原因を検出する(ステップS301)。これにより、提案情報生成部31は、検出された原因(作業履歴)に基づき、提案情報を生成する(ステップS302)。つまり、提案情報生成部31では、履歴解析部311により検出した原因を解決する具体的な改善案を特定する。
なお、上記「履歴情報解析による原因検出」及び「原因を解決する具体的な改善案の特定」に係る処理については、提案情報生成処理の説明で後述する。
提案情報生成部31は、提案情報が生成されると、提案部32に対して、生成された提案情報を渡し、改善提案を要求する(ステップS303)。その結果、提案部32は、外部ネットワークIを介して、作業要求元であるクライアントPC300に提案情報を送信することで、顧客に改善提案を行う(ステップS401)。このとき、提案部32は、例えば、履歴情報22Dに含まれるユーザ識別が電子メールアドレス[xxx@xxx.co.jp]であった場合、このアドレス情報に基づき提案情報を送信し、顧客に改善提案を行う。
《提案情報生成処理:その1》
図7は、本実施形態に係る提案情報を生成する処理手順例(その1)を示すフローチャートである。
例えば、作業者が、文書を10部印刷する作業を行う場合に、印刷機能を利用して1部だけ通常印刷を行った後にコピー機能を利用して残り9部を印刷する場合がある。作業効率の観点から考えると、印刷機能を利用して10部印刷を行う方が効率的である。また、作業者が、FAXを送信する作業を行う場合に、印刷機能を利用して1部だけ通常印刷を行った後にFAX機能を利用して宛先に送信する場合がある。作業効率の観点から考えると、PCFAX機能を利用して送信を行う方が効率的である。
このように、作業者によっては、本来、作業を1つの機能で完結させることができるにもかかわらず、誤った機能利用で複数の工程により作業を行っている(断片的な機能利用を行っている)。
ここでは、上記断片的な機能利用を例に提案情報生成に係る処理を説明する。図7(A)には、「印刷機能及びコピー機能を利用した作業」、図7(B)には、「印刷機能及びFAX機能を利用した作業」それぞれに対応する提案情報生成に係る処理手順例が示されている。なお、図7に示す処理手順は、提案情報生成部31により行われる図4に示すステップS301及びS302の詳細な処理手順にあたる。
図7(A)に示す提案情報生成処理について説明する。
図7(A)に示すように、提案情報生成部31は、履歴情報保持部22にアクセスし、ユーザ識別情報に基づき、ジョブ履歴情報22D1Aの中から該当履歴を検索する(ステップS201)。その結果、提案情報生成部31は、検索結果として作業者のジョブ履歴を得る。
提案情報生成部31は、履歴解析部311により、次のように該当履歴(ジョブ履歴)を解析し、作業効率を低下させる原因を検出する。
履歴解析部311は、ジョブ履歴情報22D1Aの情報項目「ユーザ識別」及び「利用機能」に基づき、該当履歴の中に、同一作業者が異なる機能利用を連続して行ったジョブ履歴が存在するか否か(有無)を判定する(ステップS3011)。
履歴解析部311は、ジョブ履歴が存在すると判定された場合に(ステップS3011:YES)、情報項目「利用機能」に基づき、これらジョブ履歴が、印刷機能を利用して通常印刷後にコピー機能を利用して印刷(コピー)を行った履歴か否かを判定する(ステップS3012)。
履歴解析部311は、通常印刷後にコピーを行った履歴であると判定された場合に(ステップS3012:YES)、情報項目「利用機能」、「印刷部数」、「後処理」に基づき、コピー機能のジョブ履歴が、複数の動作設定(例えば「両面」、「集約」、「ステープル」)が指定され、かつ2部以上の印刷を行った履歴か否かを判定する(ステップS3013)。
履歴解析部311は、複数の動作設定が指定され2部以上の印刷を行った履歴であると判定された場合に(ステップS3013:YES)、作業効率低下の原因である「印刷機能及びコピー機能の断片的な利用」を検出する。
これにより、提案情報生成部31は、検出された原因(ジョブ履歴)に基づき、幾つかにパターン分けされた具体的な改善案の中から、「プリンタドライバによる動作設定と部数を指定した印刷」を具体的な改善案(原因解決策)として特定し、この改善案を含む提案情報を生成する(ステップS302)。
なお、提案情報生成部31は、上記各判定処理において、ジョブ履歴が存在しないと判定された場合(ステップS3011:NO)、通常印刷後にコピーを行った履歴ではないと判定された場合(ステップS3012:NO)、複数の動作設定が指定され2部以上の印刷を行った履歴ではないと判定された場合(ステップS3013:NO)、作業効率低下の原因を検出しなかったとして処理を終了する。
図7(B)に示す提案情報生成処理について説明する。
図7(B)に示すように、提案情報生成部31は、履歴情報保持部22にアクセスし、ユーザ識別情報に基づき、ジョブ履歴情報22D1Aの中から該当履歴を検索する(ステップS201)。その結果、提案情報生成部31は、検索結果として作業者のジョブ履歴を得る。
提案情報生成部31は、履歴解析部311により、次のように該当履歴(ジョブ履歴)を解析し、作業効率を低下させる原因を検出する。
履歴解析部311は、ジョブ履歴情報22D1Aの情報項目「ユーザ識別」及び「利用機能」に基づき、該当履歴の中に、同一作業者が異なる機能利用を連続して行ったジョブ履歴が存在するか否か(有無)を判定する(ステップS3011)。
履歴解析部311は、ジョブ履歴が存在すると判定された場合に(ステップS3011:YES)、情報項目「利用機能」に基づき、これらジョブ履歴が、印刷機能を利用して通常印刷後にFAX機能を利用して送信を行った履歴か否かを判定する(ステップS3012)。
履歴解析部311は、通常印刷後にFAX送信を行った履歴であると判定された場合に(ステップS3012:YES)、作業効率低下の原因である「印刷機能及びFAX機能の断片的な利用」を検出する。
これにより、提案情報生成部31は、検出された原因(ジョブ履歴)に基づき、幾つかにパターン分けされた具体的な改善案の中から、「PCFAXの利用」を具体的な改善案(原因解決策)として特定し、この改善案を含む提案情報を生成する(ステップS302)。
図8は、本実施形態に係る提案画面例(その1)を示す図である。
上記ステップS302により生成された提案情報は、提案情報生成部31から提案部32に渡り、例えば、図8に示すように、クライアントPC300が備える表示装置の画面上へと表示され、顧客に提示される。
図8(A)には、図7(A)に示した提案情報生成処理により生成された提案情報(印刷機能及びコピー機能の断片的な利用に対する具体的な改善案)の画面例が示されている。また、図8(B)には、図7(B)に示した提案情報生成処理により生成された提案情報(印刷機能及びFAX機能の断片的な利用に対する具体的な改善案)の画面例が示されている。
図8に示す画面例では、顧客に対して「自身が行った作業をどのように改善できるのか」を分かり易く提示するために、作業情報と提案情報とを比較可能な提示内容になっている。
《提案情報生成処理:その2》
図9は、本実施形態に係る提案情報を生成する処理手順例(その2)を示すフローチャートである。
例えば、作業者が、管理対象機器200を利用して作業を行う場合に、機能実行時の動作設定を、作業時にその都度、作業者が設定する場合がある。作業効率の観点から考えると、設定頻度の高い動作設定を利用機器のデフォルト設定としたり、利用機器に動的な一括設定を行ったりする方が効率的である。
このように、作業者によっては、管理対象機器200に対して同じ操作を繰り返して行っている。
ここでは、上記繰り返し操作を例に提案情報生成に係る処理を説明する。なお、図9に示す処理手順は、提案情報生成部31により行われる図4に示すステップS301及びS302の詳細な処理手順にあたる。
図9に示す提案情報生成処理について説明する。
図9に示すように、提案情報生成部31は、履歴情報保持部22にアクセスし、ユーザ識別情報に基づき、操作履歴情報22D2Aの中から該当履歴を検索する(ステップS201)。その結果、提案情報生成部31は、検索結果として作業者の操作履歴を得る。
提案情報生成部31は、履歴解析部311により、次のように該当履歴(操作履歴)を解析し、作業効率を低下させる原因を検出する。
履歴解析部311は、操作履歴情報22D2Aの情報項目「ユーザ識別」に基づき、該当履歴の中に、同一作業者による利用頻度の高い機能の操作履歴が存在するか否かを判定する(ステップS3011)。
履歴解析部311は、操作履歴が存在すると判定した場合に(ステップS3011:YES)、情報項目「動作設定」に基づき、これら操作履歴が、設定頻度の高い動作設定を行った履歴か否かを判定する(ステップS3012)。
履歴解析部311は、設定頻度の高い動作設定を行った履歴であると判定された場合に(ステップS3012:YES)、作業効率低下の原因である「利用頻度の高い機能における繰り返し操作」を検出する。
これにより、提案情報生成部31は、検出された原因(操作履歴)に基づき、幾つかにパターン分けされた具体的な改善案の中から、「利用機器のデフォルト設定」を具体的な改善案(原因解決策)として特定し、この改善案を含む提案情報を生成する(ステップS302)。
なお、提案情報生成部31は、上記各判定処理において、操作履歴が存在しないと判定された場合(ステップS3011:NO)、設定頻度の高い動作設定を行った履歴ではないと判定された場合(ステップS3012:NO)、作業効率低下の原因を検出しなかったとして処理を終了する。
図10は、本実施形態に係る提案画面例(その2)を示す図である。
図10には、図9(A)に示した提案情報生成処理により生成された提案情報(利用頻度の高い機能における繰り返し操作に対する具体的な改善案)の画面例が示されている。
図10に示す画面例では、顧客が提示された「利用機器のデフォルト設定」を行うか否かを選択指示可能なGUI(Graphical User Interface)を備えた提示内容になっている。
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る遠隔管理装置100によれば、ログ取得部21により、管理対象機器200からジョブログや操作ログなどの各種ログを取得し、履歴情報保持部22で、取得したログを利用機器の履歴情報22Dとして管理する。
遠隔管理装置100は、提案情報生成部31により、これらの履歴情報22Dを作業者単位で解析し、作業効率を低下させる原因(作業履歴)を検出する。
このとき、提案情報生成部31は、作業者を識別するユーザ識別情報に基づき、履歴情報保持部22で保持する履歴情報22Dの中から該当履歴を検索する。提案情報生成部31は、同機能部が有する履歴解析部(原因検出部)311により、該当履歴を作業者単位で解析し、作業効率を低下させる原因を検出する。履歴解析部311は、例えば、解析の中で、履歴情報22Dに作業効率を低下させる作業履歴(「ジョブ履歴」や「操作履歴」)が含まれているか否かを確認することで原因を検出する。
遠隔管理装置100は、提案情報生成部31により、このようにして検出した原因に基づき提案情報を生成し、顧客に改善案の提案を行う。
これによって、遠隔管理装置100は、1又は複数の機器管理システムA〜Cに対して、作業効率を向上させる具体的な機器利用に関する改善案を提案できる。
[第2の実施形態]
企業内の作業者には、所属や業務遂行内容などにより、主な役割が割り当てられているケースがある。これらの役割には、企業間で共通するものもある。本実施形態では、作業者に割り当てられた共通の役割に着目し、顧客間(企業間)における作業効率向上の改善提案を行う。具体的には、B社において、作業者[User01]が作業効率を低下させる機器利用を行っていた場合、A社において行われたB社の作業者[User01]と同一役割が割り当てられた作業者[User02]による効率的な機能利用を、改善案としてB社に提案する。
以降の説明では、第1の実施形態と同一の点について、同一参照符号を付し、その説明を省略する。よって、本実施形態に係る説明では、第1の実施形態と異なる点についてのみ行う。
<改善提案機能>
図11は、本実施形態に係る改善提案機能の構成例を示す図である。
第1の実施形態と異なる構成は、顧客に係る各種情報(以下「顧客情報」と言う)を保持・管理する顧客情報保持部23を有する点である。
顧客情報は、例えば、「ユーザ識別」、及び作業者に割り当てられた役割を識別する「役割識別」などの情報項目が関連付けられた構成となっている。これら情報項目の項目値は、例えば、機器管理システムA〜Cの機器管理装置400を介して、管理者が所定のGUIを操作することで、顧客側から設定・変更可能な値である。また、顧客情報は、履歴情報保持部22で保持する履歴情報22Dと顧客単位で関連付けられている。これにより、指定された役割が割り当てられた作業者(ユーザ識別情報)を特定できる。
顧客情報は、例えば、遠隔管理装置100が備えるHDD108の所定の記憶領域に格納され保持される。つまり、顧客情報保持部23は、遠隔管理装置100が備える記憶装置により実現される機能である。
このように、遠隔管理装置100では、顧客情報保持部23により、顧客先に導入された1又は複数の機器管理システムA〜Cに対応する顧客情報を管理する。なお、上記顧客情報保持部23が保持する具体的な顧客情報のデータ例については、以降の動作説明の中で後述する。
また、提案情報生成部31は、次のように提案情報の生成を行う。
提案情報生成部31は、指定された役割を識別する役割識別情報に基づき、顧客情報保持部23で保持する顧客情報の中から、顧客間に渡って同一役割の該当作業者を検索する。提案情報生成部31は、該当作業者を識別するユーザ識別情報に基づき、履歴情報保持部22で保持する履歴情報の中から該当履歴を検索する。提案情報生成部31は、同機能部が有する履歴解析部(原因検出部)311により、該当履歴を作業者単位で解析し、同一役割において作業効率を低下させる原因を検出する。履歴解析部311は、顧客間において同一役割が割り当てられた作業者のジョブ履歴を確認し、機能の利用頻度を算出・比較することで、作業効率低下の原因である非効率な機能利用を検出する。
このように、遠隔管理装置100では、顧客間の作業時における機器利用履歴を解析することにより、同一役割が割り当てられた作業者が利用した機能の利用頻度を算出・比較することで、作業効率低下の原因である非効率な機能利用を検出し、検出結果(解析結果)に基づく改善提案を行う。なお、上記提案情報生成部31及び提案部32による改善提案に係る具体的な処理手順例については、以降の動作説明の中で後述する。
このように、本実施形態に係る改善提案機能は、上記各機能部が連係動作することにより実現される。
次に、改善提案機能の詳細な動作(機能部群の連係動作)について、処理手順を示すシーケンス図及びフローチャートを用いて説明する。
改善提案機能は、遠隔管理装置100に搭載(インストール)されるプログラム(改善提案機能を実現するソフトウェア部品)が、CPU106により、格納先(例えば「ROM」など)からRAM104上に読み出され、以下の処理が実行されることで実現される。
以下の説明では、「履歴情報の管理及び履歴情報に基づく改善提案に係る処理」(全体処理)と、「履歴情報の解析から作業効率低下の原因を検出後に提案情報を生成する具体的な処理」(提案情報生成処理)とに分けて説明する。
《全体処理》
図12は、本実施形態に係る改善提案を行う処理手順例を示すシーケンス図である。
図4に示す処理手順と異なる点は、図12に示すステップS201,S202,S301,S302である。
図12に示すように、遠隔管理装置100では、上記各機能部により次のような改善提案に係る処理が行われる。
遠隔管理装置100は、提案情報生成部31により、顧客情報保持部23にアクセスし、指定された役割識別情報に基づき、顧客情報の中から、同一役割の該当作業者を検索し特定する(ステップS201)。
ここで、顧客情報保持部23が保持する顧客情報のデータ例について説明する。
図13は、本実施形態に係る顧客情報23Dのデータ例を示す図である。
図13(A)には、機器管理システムAが導入された顧客先[A社]の顧客情報23DAのデータ例が示されている。また、図13(B)には、機器管理システムBが導入された顧客先[B社]の顧客情報23DBのデータ例が示されている。
例えば、図13(A)のデータ例(A社の顧客情報23DA)では、作業者[User01@A.co.jp]に役割[Help Desk]が割り当てられている。また、図13(B)のデータ例(B社の顧客情報23DB)では、作業者[User02@B.co.jp]に役割[Help Desk]が割り当てられている。
このようなデータ構成により、顧客情報23Dの情報項目「役割識別」に基づき、顧客間において、同一役割の作業者を特定できる。
図12の説明に戻る。提案情報生成部31は、履歴情報保持部22にアクセスし、同一役割の該当作業者のユーザ識別情報に基づき、履歴情報22Dの中から該当履歴を検索する(ステップS202)。その結果、提案情報生成部31は、検索結果として、同一役割における作業者の作業履歴を得る(ステップS202)。
図14は、本実施形態に係る履歴情報22Dのデータ例を示す図である。
図14(A)には、機器管理システムAが導入された顧客先[A社]の履歴情報(ジョブ履歴情報)22DAのデータ例が示されている。また、図14(B)には、機器管理システムBが導入された顧客先[B社]の履歴情報(ジョブ履歴情報)22DBのデータ例が示されている。
提案情報生成部31は、例えば、図14に示す履歴情報22Dに対して、ステップS201により得たユーザ識別情報に基づき、役割[Help Desk]が割り当てられた作業者の該当履歴を検索した場合、A社の作業者[User01@A.co.jp]が機能「WebImageMonitorの表示」及び「Remoteからのreboot」を利用した作業履歴と、B社の作業者[User02@B.co.jp]が機能「WebImageMonitorの表示」を利用した作業履歴を得る。
図12の説明に戻る。提案情報生成部31は、履歴解析部311により、上記該当履歴(作業履歴)を解析し、同一役割において作業効率を低下させる原因を検出する(ステップS301)。これにより、提案情報生成部31は、検出された原因(作業履歴)に基づき、他の顧客と比較して作業効率を低下させる機器利用を行っている顧客に提示する提案情報を生成する(ステップS302)。つまり、提案情報生成部31では、履歴解析部311により検出した原因を解決する具体的な改善案を特定する。
なお、上記「履歴情報の解析・原因の検出」及び「原因を解決する具体的な改善案の特定」に係る処理については、提案情報生成処理の説明で後述する。
《提案情報生成処理》
図15は、本実施形態に係る提案情報を生成する処理手順例を示すフローチャートである。
ここでは、作業効率低下の原因である非効率な機能利用を例に提案情報生成に係る処理を説明する。図15には、「役割[Help Desk]が割り当てられた作業者による管理対象機器を利用した作業」に対応する提案情報生成に係る処理手順例が示されている。なお、図15に示す処理手順は、提案情報生成部31により行われる図12に示すステップS201,S301,及びS302の詳細な処理手順にあたる。
図15に示すように、提案情報生成部31は、提案情報生成部31により、顧客情報保持部23にアクセスし、指定された役割識別情報に基づき、顧客情報23Dの中から、同一役割[Help Desk]の該当作業者を検索し特定する(ステップS201)。その結果、提案情報生成部31は、検索結果として、顧客間における該当作業者のユーザ識別情報を得る。
続いて、提案情報生成部31は、履歴情報保持部22にアクセスし、ユーザ識別情報に基づき、ジョブ履歴情報22D1の中から該当履歴を検索する(ステップS202)。その結果、提案情報生成部31は、検索結果として、顧客間における同一役割[Help Desk]の作業者のジョブ履歴を得る。
提案情報生成部31は、履歴解析部311により、次のように該当履歴(ジョブ履歴)を解析し、同一役割[Help Desk]において作業効率を低下させる原因を検出する。
履歴解析部311は、ジョブ履歴情報22D1の情報項目「ユーザ識別」及び「利用機能」に基づき、顧客間において同一役割[Help Desk]が割り当てられた作業者のジョブ履歴を確認し、機能の利用頻度を比較する(ステップS3011)。つまり、履歴解析部311は、該当履歴から算出した、同一役割[Help Desk]が割り当てられた作業者が利用する機能の利用頻度を、顧客間で比較する。
履歴解析部311は、同一役割[Help Desk]が割り当てられた作業者が存在する全ての登録顧客を対象に上記比較を行ったか否かを判定する(ステップS3012)。履歴解析部311は、該当する全ての登録顧客に対して行われるまで、ステップS3011の顧客間における利用頻度の比較処理を繰り返す(ステップS3012:NO)。その結果、履歴解析部311は、顧客間において同一役割[Help Desk]が割り当てられた作業者が利用する機能の利用頻度を算出・比較した統計情報を得る。
履歴解析部311は、同一役割[Help Desk]が割り当てられた作業者が存在する全ての登録顧客に対して利用頻度が比較されたと判定された場合に(ステップS3012:YES)、比較結果に基づき、顧客間において最も利用頻度の低い機能を利用している作業者を特定する(ステップS3013)。これにより、履歴解析部311は、作業効率低下の原因として、顧客間において最も非効率な機能利用を検出し、作業を行った作業者が所属する顧客を改善提案先として特定する。
提案情報生成部31は、検出された原因(ジョブ履歴)に基づき、比較結果から、同一役割[Help Desk]の作業者が最も多く利用した機能、すなわち「利用頻度の高い機能」を具体的な改善案(原因解決策)として、この改善案を含む提案情報を生成する(ステップS302)。例えば、提案情報生成部31は、履歴解析部311により、図14に示すジョブ履歴情報22D1を解析した場合、同一役割[Help Desk]の作業者が最も多く利用した機能として、「Remoteからのreboot」機能を利用する改善案(原因解決策)を含む提案情報を生成する。
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る遠隔管理装置100によれば、ログ取得部21により、管理対象機器200からジョブログや操作ログなどの各種ログを取得し、履歴情報保持部22で、取得したログを利用機器の履歴情報22Dとして管理する。
遠隔管理装置100は、提案情報生成部31により、これらの履歴情報22Dを作業者単位で解析し、作業効率を低下させる原因(作業履歴)を検出する。
このとき、提案情報生成部31は、指定された役割を識別する役割識別情報に基づき、顧客情報保持部23で保持する顧客情報23Dの中から、顧客間に渡って同一役割の該当作業者を検索し特定する。提案情報生成部31は、同一役割の該当作業者を識別するユーザ識別情報に基づき、履歴情報保持部22で保持する履歴情報22Dの中から該当履歴を検索する。提案情報生成部31は、同機能部が有する履歴解析部(原因検出部)311により、該当履歴を作業者単位で解析し、同一役割において作業効率を低下させる原因を検出する。履歴解析部311は、顧客間において同一役割が割り当てられた作業者のジョブ履歴を確認し、機能の利用頻度を算出・比較することで、作業効率低下の原因である非効率な機能利用を検出する。
遠隔管理装置100は、提案情報生成部31により、このようにして検出した原因に基づき、比較結果から、同一役割の作業者が最も多く利用した機能を提案情報として生成し、顧客に改善案の提案を行う。
これによって、遠隔管理装置100は、1又は複数の機器管理システムA〜Cに対して、同一役割が割り当てられた作業者の作業効率を向上させる具体的な機器利用に関する改善案を提案できる。
[第3の実施形態]
メーカと契約する企業には、様々な業種が存在する。これらの業種には、企業間で共通するものもある。本実施形態では、顧客間(企業間)で共通の業種に着目し、顧客間における作業効率向上の改善提案を行う。具体的には、B社において、作業者[User01]が作業効率を低下させる機器利用を行っていた場合、B社と同業種のA社において行われた作業者[User02]による効率的な機能利用を、改善案としてB社に提案する。
以降の説明では、第1及び第2の実施形態と同一の点について、同一参照符号を付し、その説明を省略する。よって、本実施形態に係る説明では、第1及び第2の実施形態と異なる点についてのみ行う。
<改善提案機能>
本実施形態に係る改善提案機能の構成については、第2の実施形態と同じである。よって、本実施形態に係る改善提案機能は、第1及び第2の実施形態で説明した各機能部が連係動作することにより実現される。
次に、改善提案機能の詳細な動作(機能部群の連係動作)について、処理手順を示すシーケンス図及びフローチャートを用いて説明する。
改善提案機能は、遠隔管理装置100に搭載(インストール)されるプログラム(改善提案機能を実現するソフトウェア部品)が、CPU106により、格納先(例えば「ROM」など)からRAM104上に読み出され、以下の処理が実行されることで実現される。
以下の説明では、「履歴情報の管理及び履歴情報に基づく改善提案に係る処理」(全体処理)と、「履歴情報の解析から作業効率低下の原因を検出後に提案情報を生成する具体的な処理」(提案情報生成処理)とに分けて説明する。
《全体処理》
図16は、本実施形態に係る改善提案を行う処理手順例を示すシーケンス図である。
図12に示す処理手順と異なる点は、図16に示すステップS201,S202,S301,S302である。
図16に示すように、遠隔管理装置100では、上記各機能部により次のような改善提案に係る処理が行われる。
遠隔管理装置100は、提案情報生成部31により、顧客情報保持部23にアクセスし、指定された顧客の業種を識別する業種識別情報に基づき、顧客情報の中から、同業種の該当作業者を検索し特定する(ステップS201)。
ここで、顧客情報保持部23が保持する顧客情報23Dのデータ例について説明する。
図17は、本実施形態に係る顧客情報23Dのデータ例を示す図である。
図17に示すように、顧客情報23Dは、例えば、登録される顧客を識別する「顧客識別」、顧客の業種を識別する「業種識別」、及び「ユーザ識別」などの情報項目が関連付けられた構成となっている。これら情報項目の項目値は、例えば、機器管理システムA〜Cの機器管理装置400を介して、管理者が所定のGUIを操作することで、顧客側から設定・変更可能な値である。
例えば、図17のデータ例(顧客情報23D)では、業種[銀行]の顧客[A社]には作業者[aaa@A.co.jp]が所属する旨の情報、及び業種[証券]の顧客[C社]には作業者[ccc@C.co.jp]が所属する旨の情報が保持されている。
このようなデータ構成により、顧客情報23Dの情報項目「業種識別」に基づき、顧客間において、同業種の作業者を特定できる。
図16の説明に戻る。提案情報生成部31は、履歴情報保持部22にアクセスし、同業種の該当作業者のユーザ識別情報に基づき、履歴情報22Dの中から該当履歴を検索する(ステップS202)。その結果、提案情報生成部31は、検索結果として、同業種の顧客間における作業者の作業履歴を得る。
提案情報生成部31は、履歴解析部311により、上記該当履歴(作業履歴)を解析し、同業種において作業効率を低下させる原因を検出する(ステップS301)。これにより、提案情報生成部31は、検出された原因(作業履歴)に基づき、他の顧客と比較して作業効率を低下させる機器利用を行っている顧客に提示する提案情報を生成する(ステップS302)。つまり、提案情報生成部31では、履歴解析部311により検出した原因を解決する具体的な改善案を特定する。
なお、上記「履歴情報の解析・原因の検出」及び「原因を解決する具体的な改善案の特定」に係る処理については、提案情報生成処理の説明で後述する。
《提案情報生成処理》
図18は、本実施形態に係る提案情報を生成する処理手順例を示すフローチャートである。
ここでは、作業効率低下の原因である非効率な機能利用を例に提案情報生成に係る処理を説明する。図18には、「業種[銀行]の顧客先において作業者による管理対象機器を利用した作業」に対応する提案情報生成に係る処理手順例が示されている。なお、図18に示す処理手順は、提案情報生成部31により行われる図15に示すステップS201,S301,及びS302の詳細な処理手順にあたる。
図18に示すように、提案情報生成部31は、提案情報生成部31により、顧客情報保持部23にアクセスし、指定された業種識別情報に基づき、顧客情報23Dの中から、同業種[銀行]の顧客間における該当作業者を検索し特定する(ステップS201)。その結果、提案情報生成部31は、検索結果として、同業種[銀行]の顧客間における該当作業者のユーザ識別情報を得る。
続いて、提案情報生成部31は、履歴情報保持部22にアクセスし、ユーザ識別情報に基づき、ジョブ履歴情報22D1の中から該当履歴を検索する(ステップS202)。その結果、提案情報生成部31は、検索結果として、同業種[銀行]の顧客間における作業者のジョブ履歴を得る。
提案情報生成部31は、履歴解析部311により、次のように該当履歴(ジョブ履歴)を解析し、同業種[銀行]において作業効率を低下させる原因を検出する。
履歴解析部311は、ジョブ履歴情報22D1の情報項目「ユーザ識別」及び「利用機能」に基づき、同業種[銀行]の顧客間において、作業者のジョブ履歴を確認し、機能の利用頻度を比較する(ステップS3011)。つまり、履歴解析部311は、該当履歴から算出した、同業種[銀行]の作業者が利用する機能の利用頻度を比較する。
履歴解析部311は、同業種[銀行]の作業者が存在する全ての登録顧客を対象に上記比較を行ったか否かを判定する(ステップS3012)。履歴解析部311は、該当する全ての登録顧客に対して行われるまで、ステップS3011の同業種[銀行]の顧客間における利用頻度の比較処理を繰り返す(ステップS3012:NO)。その結果、履歴解析部311は、同業種[銀行]の顧客間において、作業者が利用する機能の利用頻度を算出・比較した統計情報を得る。
履歴解析部311は、同業種[銀行]の作業者が存在する全ての登録顧客に対して利用頻度が比較されたと判定された場合に(ステップS3012:YES)、比較結果に基づき、同業種[銀行]の顧客間において最も利用頻度の低い機能を利用している作業者を特定する(ステップS3013)。これにより、履歴解析部311は、作業効率低下の原因として、顧客間において最も非効率な機能利用を検出し、作業を行った作業者が所属する顧客を、改善提案先として特定する。
提案情報生成部31は、検出された原因(ジョブ履歴)に基づき、比較結果から、同業種[銀行]の作業者が最も多く利用した機能、すなわち「利用頻度の高い機能」を具体的な改善案(原因解決策)として、この改善案を含む提案情報を生成する(ステップS302)。例えば、提案情報生成部31は、履歴解析部311により、銀行B社の作業者が紙によるFAX送信を行っていることが確認された場合、銀行A社,D社の作業者が最も多く利用した機能として、「PCFAX」機能を利用する改善案(原因解決策)を含む提案情報を生成する。
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る遠隔管理装置100によれば、ログ取得部21により、管理対象機器200からジョブログや操作ログなどの各種ログを取得し、履歴情報保持部22で、取得したログを利用機器の履歴情報22Dとして管理する。
遠隔管理装置100は、提案情報生成部31により、これらの履歴情報22Dを作業者単位で解析し、作業効率を低下させる原因(作業履歴)を検出する。
このとき、提案情報生成部31は、指定された業種を識別する業種識別情報に基づき、顧客情報保持部23で保持する顧客情報23Dの中から、同業種の顧客間における該当作業者を検索する。提案情報生成部31は、同業種の該当作業者を識別するユーザ識別情報に基づき、履歴情報保持部22で保持する履歴情報22Dの中から該当履歴を検索する。提案情報生成部31は、同機能部が有する履歴解析部(原因検出部)311により、該当履歴を作業者単位で解析し、同業種の顧客間において作業効率を低下させる原因を検出する。履歴解析部311は、同業種の顧客間において作業者のジョブ履歴を確認し、機能の利用頻度を比較することで、作業効率低下の原因である非効率な機能利用を検出する。
遠隔管理装置100は、提案情報生成部31により、このようにして検出した原因に基づき、比較結果から、同業種の顧客間において作業者が最も多く利用した機能を提案情報として生成し、顧客に改善案の提案を行う。
これによって、遠隔管理装置100は、1又は複数の機器管理システムA〜Cに対して、同業種における作業者の作業効率を向上させる具体的な機器利用に関する改善案を提案できる。
ここまで、上記実施形態の説明を行ってきたが、上記実施形態に係る遠隔管理装置100が有する「改善提案機能」は、図を用いて説明を行った各処理手順を、動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムが、CPU106により実行されることで実現される。
上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体103aに格納することができる。上記記録媒体103aには、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、及びDVD(Digital Versatile Disk)、ならびにSDメモリカード(SD Memory Card)及びUSB(Universal Serial Bus)メモリなどがある。
よって、上記プログラムは、上記記録媒体103aに記憶させることで、記録媒体103aを読み取り可能なドライブ装置103などを介して遠隔管理装置100にインストールすることができる。また、遠隔管理装置100は、インタフェース装置107を備えていることから、インターネットなどの外部ネットワークIを介して上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
また、上記実施形態では、提案情報生成処理を、「印刷機能及びコピー機能を利用した作業」や「印刷機能及びFAX機能を利用した作業」などの特定の場面を想定し、説明を行ったが、この内容に本発明が限定されるものではない。提案情報生成処理は、作業効率低下の原因に応じて、「履歴情報解析による原因検出」及び「原因を解決する具体的な改善案の特定」に係る処理は設計変更できる。また、提案情報生成処理を、原因ごとにプラグイン形式により実装することで、改善提案機能に係るソフトウェア部品の1つとして、遠隔管理装置100に追加・削除が行える。
また、上記実施形態では、クライアントPC300を介して作業者に改善案の提案を行う構成について説明を行ったが、この内容に本発明が限定されるものではない。例えば、遠隔管理装置100が、提案部32により、作業時の利用機器である管理対象機器200に提案情報を送信し、管理対象機器200が備える操作パネル(非図示)に表示させ、提示してもよい。
また、上記実施形態では、提案情報を生成し、通知することで改善提案を行う構成について説明を行ったが、この内容に本発明が限定されるものではない。例えば、作業効率低下の原因である繰り返し操作を検出した場合、遠隔管理装置100が、作業者への改善提案を行うとともに、繰り返される一連の操作をマクロ(1アクションで実行可能な手続きの定義)として登録するように、管理対象機器200に要求してもよい。
また、上記実施形態では、作業者単位で改善提案を行う構成について説明を行ったが、この内容に本発明が限定されるものではない。例えば、遠隔管理装置100が、作業者が所属するグループ単位や作業者の職種単位などで履歴情報22Dを解析し、改善提案を行ってもよい。
最後に、上記実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。