JP6026745B2 - コンクリート型枠構造体及び当該構造体に用いるに適した積層体。 - Google Patents
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(2)別の態様としては、隣接する型枠パネルは、一方の型枠パネルの側面と他方の型枠パネルの側面を連結していることを特徴とする上記(1)に記載のコンクリート型枠構造体が提供される。
(3)別の態様としては、隣接する型枠パネルは、一方の型枠パネルの正面の一部と他方の型枠パネルの側面を連結していることを特徴とする上記(1)に記載のコンクリート型枠構造体が提供される。
(4)更に別の態様としては、隣接する型枠パネルを連結する箇所に吸水膨張層を設け、当該型枠パネルを所定の形状に配置する工程を含む、隣接する複数の型枠パネルから構成されるコンクリート型枠構造体の作製方法が提供される。
(5)更に別の態様としては、上記(1)ないし上記(3)のいずれかに記載のコンクリート型枠構造体によって型枠された内部に、コンクリートを打設する工程を含むコンクリート製建築物の製造方法が提供される。
(6)(5)に記載の製造方法を用いて製造されたコンクリート製建築物が提供される。
(7)基材及び基材の少なくとも一方の面に設けられた吸水膨張層を含む積層体であって、コンクリート型枠構造体で成形されるコンクリート製建築物の表面平滑性を確保するに用いる積層体が提供される。
上記粘着層に用いるに適する粘着剤としては、天然ゴム系樹脂、合成ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンゴム系樹脂等を用いることができる。
本発明の吸水膨張層を含む積層体の製造方法の一の態様(以下、第1の製造方法と呼ぶ。)は、図3に示した第一の形態の吸水膨張層を含む積層体を製造する方法である。以下、第1の製造方法の一の実施形態を図5に示した第一の形態の吸水膨張層を含む積層体の製造ライン80を用いて説明する。
(1) 前工程:鉄筋の組み立て
(2) コンクリート型枠構造体の組み立て
(3) コンクリートの打設
次に、各工程について説明する。
まず、図1、図2に示すようにコンクリート型枠構造体を設置予定箇所の内側に鉄筋52、62を組み立てる。鉄筋52、62は、コンクリート建築物の構造強度を確保するためにコンクリート内に埋設される。実際の工程では、設計図書に基ずく鉄筋の種類、化学成分、機械的性質、加工法に従ったものを用い、それを配筋図に準じて正確に揺れ動かない様に、強固に組み立てられる。特に、鉄筋は、打設作業を考慮して、生コンクリートの重みでずれ動くことがないように太めの鉄筋を意識的に採用することや、バイブレータの挿入空隙を確保すること等にも留意して設置する。
次に組み立てた鉄筋の外周に型枠パネルを組み立てる。型枠パネルの組み立ては、コンクリートを目的の形状や寸法に成型するためのものである。従って、生コンクリートの打設中に変形しない様に、強固に組み立てることが求められる。さらに、鉄筋の配置及びコンクリート型枠構造体の配置場所環境条件から来る型枠パネル10の据え付け時に必然的に生じる型枠の連結箇所の隙間から生コンクリート中のセメント成分(ペースト)や水が漏れださない様にすることが求められる。本発明にかかる型枠構造体においては、型枠の連結箇所に生じる隙間からのセメント成分(ペースト)や水が漏れ出すのを防止する為、例えば図1に示すように隣接して連結箇所を構成する型枠パネル10の両側面の少なくとも一方に吸水膨張層を含む積層体30、40が張り付かられている。
次に組み立てたコンクリート型枠構造体の内部に生コンクリートを打設する。
打設は、コンクリート型枠構造体に生コンクリートを充填する作業、充填した生コンクリートを締め固める作業から構成される。充填作業は、生コンクリート内に空気を巻き込まない様にまんべんなく振動を与え、少しずつ充填することが好ましい。これにより、コンクリート内で比重の異なる材料(骨材とセメント成分)が分離することなく、コンクリートの均一性ができ、コンクリートが気泡を含まないようにすることができる。
図6は、隣接する型枠パネル10とその間に必然的に生じる隙間500の関係を、断面図として示したものである。図6において図6(a)は、吸水膨張層を含む積層体30(40)が水分を吸収する前の乾燥状態にあるものを示し、図6(b)は、積層体が水分を吸収し型枠パネルの連結箇所に密閉部550が形成された状態にあるものを示す。各パネルの側面には、それぞれ吸水膨張層を含む積層体30が、積層体自体の有する粘着層を介して貼りつけられている。積層体の型枠パネル側面・正面への貼り付けは片面だけであっても良く必要に応じて両面(両側面、又は、一方の側面と他方の正面)であっても良い。
Xg/m2 ≧ A(W/Z1/3)g/m2
本開示は以下も包含する。
[1]複数の型枠パネルを配置させてなるコンクリート型枠構造体であって、隣接する型枠パネルは、吸水膨張層を介して互いに連結しているコンクリート型枠構造体。
[2]隣接する型枠パネルは、一方の型枠パネルの側面と他方の型枠パネルの側面を連結している上記態様1に記載のコンクリート型枠構造体。
[3]隣接する型枠パネルは、一方の型枠パネルの正面の一部と他方の型枠パネルの側面を連結している上記態様1に記載のコンクリート型枠構造体。
[4]隣接する型枠パネルを連結する箇所に吸水膨張層を設け、当該型枠パネルを所定の形状に配置する工程を含む、隣接する複数の型枠パネルから構成されるコンクリート型枠構造体の作製方法。
[5]上記態様1ないし上記態様3のいずれかに記載のコンクリート型枠構造体によって型枠された内部に、コンクリートを打設する工程を含むコンクリート製建築物の製造方法。
[6]上記態様5の製造方法を用いて製造されたコンクリート製建築物。
[7]基材及び基材の少なくとも一方の面に設けられた吸水膨張層を含む積層体であって、コンクリート型枠構造体で成形されるコンクリート製建築物の表面平滑性を確保するに用いる積層体。
まず、試験体(形状:縦100mm、横100mm、高さ400mmの直方体)を作製すべく、図7に示した底壁用型枠パネル140、スリットを有しない側壁A用型枠パネル110、中央にスリットを有している側壁B用型枠パネル120からなるコンクリート型枠構造体150を作製した。当該コンクリート型枠構造体は、内寸法として、l=400mm、m=100mm、n=100mmを有するものとした。また、一対の側壁B用型枠パネルの中央には、高さ方向に幅aのスリットを設けた。側壁B用型枠パネルの側面の幅は、60mmとした。
試験体を作製するに供するコンクリートは、JISA5038に適合するものとし、コンクリートの種類として「普通24−12−20N」のものを準備した。
厚さ30μm幅50mmの有機材料系フィルムを基材として基材層を形成し、当該基材の一方の表面に平均粒径40μmの吸水性樹脂粒子(商品名:ST−500MPSA、三洋化成(株)製)の塗布量が4g/m2となるように、ウレタン樹脂バインダ組成物(組成重量比/ウレタン樹脂:吸水性樹脂粒子=1:1)を塗布して吸水膨張層を形成した。その際のウレタン樹脂バインダ組成物の塗布量は、基材表面全面に80〜100μmとなるように調整した。また、基材の他方の表面には、アクリル系粘着剤を30g/mm2塗布して粘着層を形成した。
上記(1)のコンクリート型枠構造体において側壁のスリットのスリット幅aを、2mm、4mm、6mm、8mmの4水準に調整した。その際、それぞれの型枠構造体のスリットを構成する側壁B用型枠パネル120の側面には、上記(3)で作製した第二の形態の吸水性樹脂粒子を有する吸水膨張層を含む積層体40を側壁B用型枠パネル120のスリットを挟む側面の一方の面のみに貼り付ける施工、側壁B用型枠パネル120のスリットを挟む両側面に貼り付ける施工、または、吸水性樹脂粒子を含む吸水膨張層を有する積層体をまったく貼り付けない施工のいずれかを行った。尚、積層体をまったく貼り付けない施工のものについては、スポンジ状シートを圧縮してスリットに挟むこととした。
吸水膨張層を有する積層体の貼り付け条件の組み合わせを表1に示した。
上記(2)で準備した生コンクリートを、上記(4)の吸水膨張層を有する積層体の貼り付け条件で施工したコンクリート型枠構造体内に充填成形した。成形回数は、各型枠構造体毎、複数回(4回〜6回)行った。生コンクリート充填成形後、1週間の経過を待って、型枠構造体を解体し、試験体を取り出した。
1)試験体の外観目視評価
コンクリート型枠構造体のスリットに該当する箇所の試験体の外表面のバリ発生、砂すじ発生状況を次の三水準で目視評価した。
×:バリと砂すじの発生が認められ、試験体の外表面の修正が必要となるもの。
△:バリの発生は認められないが、砂すじの発生が認められ、試験体の外表面の修正が必要となるもの。
○:バリと砂すじの発生が認められず、試験体の外表面の修正が必要でないもの。
評価結果を表2に示した。
各試験体に関し、JISA1153の規定に準じて、中性化促進試験を行い、中性化深さの測定結果から各試験体の耐久性を評価した。具体的には、次の手順で評価を行った。
a)5%濃度の二酸化炭素雰囲気環境中に全試験体を放置するものとし、1週間目、8週間目、26週間目の各条件で放置処理した試験体を一つずつ取り出した。取り出した試験体は、圧縮試験機を用いて割裂した後、側壁B用型枠パネルのスリットに該当する箇所に対応する割裂面(試験体の高さ方向に対して略垂直に交叉する面)を有する部分を測定面に選択した。
b)その後、直ちに測定面にフェノールフタレン試薬を噴霧器で噴霧した。
c)その後、測定面において色が赤く変色した部分は「正常」とし、色が変色しない部分は、「中性化状態」にあると判断した。
d)耐久性確認は、中性化した深さを測ることで行うこととし、具体的には、コンクリート表面からの垂直断面内で赤く変色した部分までの距離を0.5mm単位で測定した。測定面としては、スリットに該当する箇所であって試験体高さ方向の略中央部分を選択した。
e)測定値結果を表3に示した。
30 第一の形態の吸水膨張層を含む積層体
32、42 吸水性樹脂粒子
33、43 吸水膨張層
34、44 基材層
36、46 粘着層
40 第二の形態の吸水膨張層を含む積層体
41 バインダ組成物
50 コンクリート型枠構造体(壁用)
52、62 鉄筋
55、65 側面
56、65 正面
54 型枠パネル連結具
60 コンクリート型枠構造体(柱用)
80 第一の形態の吸水膨張層を含む積層体の製造ライン
81 工程紙
82 ニップロール
83 チルロール
84 T―ダイ
85 巻き取りロール
86 粘着剤コータ
87 乾燥炉
91 吸水性樹脂粒子
92 基材
93 硬化前シート
110 スリットを有しない側壁A用型枠パネル
120 スリットを有している側壁B用型枠パネル
140 底壁用型枠パネル
150 試験体作製用コンクリート型枠構造体
300 吸水膨張層を含む積層体
500 隙間
550 密閉部
Claims (6)
- 複数の型枠パネルを配置させてなるコンクリート型枠構造体であって、隣接する型枠パネルは、粘着層、基材層及び吸水膨張層をこの順の配置で含む積層体を介して互いに連結しているコンクリート型枠構造体。
- 隣接する型枠パネルは、一方の型枠パネルの側面と他方の型枠パネルの側面を連結している請求項1に記載のコンクリート型枠構造体。
- 隣接する型枠パネルは、一方の型枠パネルの正面の一部と他方の型枠パネルの側面を連結している請求項1に記載のコンクリート型枠構造体。
- 隣接する型枠パネルを連結する箇所に粘着層、基材層及び吸水膨張層をこの順の配置で含む積層体を設け、当該型枠パネルを所定の形状に配置する工程を含む、隣接する複数の型枠パネルから構成されるコンクリート型枠構造体の作製方法。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート型枠構造体によって型枠された内部に、コンクリートを打設する工程を含むコンクリート製建築物の製造方法。
- 粘着層、基材層及び吸水膨張層をこの順の配置で含む積層体であって、コンクリート型枠構造体で成形されるコンクリート製建築物の表面平滑性を確保するに用いる積層体。
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