JP6026745B2 - コンクリート型枠構造体及び当該構造体に用いるに適した積層体。 - Google Patents

コンクリート型枠構造体及び当該構造体に用いるに適した積層体。 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート型枠構造体に関し、詳しくは、後加工なしでも型枠パネル間の連結箇所に欠陥(バリ、砂すじ)の発生の問題を生じないコンクリート製建築物を製造するに有用なコンクリート型枠構造体に関する。
従来よりコンクリート製建築物の多くは、複数の型枠パネルを組み立て・連結することでコンクリート型枠構造体を作製し、当該構造体内部に流動性のあるコンクリート(以後、「生コンクリート」と呼ぶ。)を充填することにより製造されている。
しかし、従来のコンクリート型枠構造体では、各型枠パネルの連結箇所には何らの処理も施されていないか、もしくは、スポンジ等の弾性部材を隣接する型枠パネル間の隙間に詰め込むようなことしかしていなかった為、型枠パネル自体の寸法のくるい、型枠構造体の組立寸法のくるい等が存在すると、コンクリート型枠構造体の型枠連結箇所で隙間の存在に起因して、「生コンクリ―トのセメント成分(ペースト)」がコンクリート型枠構造体内から外に漏れ出す現象が生じていた。この為、コンクリート型枠の連結箇所に対応して、コンクリート製建築物には、1)バリの発生(第一の欠陥)が認められ、また、2)「生コンクリート」中のセメント成分(ペースト)の優先的な流失によりセメント成分の量比が低下し材料強度的に脆弱で外観的にも砂すじといわれる変色部となる部分の発生(第二の欠陥)が認められていた。
特許文献1には、コンクリート壁構築用のモジュール式コンクリート型枠システムについて記載されている。
特開平9−505649号公報
コンクリート型枠構造体を用いたコンクリート製建築物において、上記第一の欠陥、及び第二の欠陥が発生しないコンクリート型枠構造体が求められていた。
上記課題を解決するため、本発明の一つの態様としては、(1)複数の型枠パネルを配置させてなるコンクリート型枠構造体であって、隣接する型枠パネルは、吸水膨張層を介して互いに連結しているコンクリート型枠構造体が提供される。
(2)別の態様としては、隣接する型枠パネルは、一方の型枠パネルの側面と他方の型枠パネルの側面を連結していることを特徴とする上記(1)に記載のコンクリート型枠構造体が提供される。
(3)別の態様としては、隣接する型枠パネルは、一方の型枠パネルの正面の一部と他方の型枠パネルの側面を連結していることを特徴とする上記(1)に記載のコンクリート型枠構造体が提供される。
(4)更に別の態様としては、隣接する型枠パネルを連結する箇所に吸水膨張層を設け、当該型枠パネルを所定の形状に配置する工程を含む、隣接する複数の型枠パネルから構成されるコンクリート型枠構造体の作製方法が提供される。
(5)更に別の態様としては、上記(1)ないし上記(3)のいずれかに記載のコンクリート型枠構造体によって型枠された内部に、コンクリートを打設する工程を含むコンクリート製建築物の製造方法が提供される。
(6)(5)に記載の製造方法を用いて製造されたコンクリート製建築物が提供される。
(7)基材及び基材の少なくとも一方の面に設けられた吸水膨張層を含む積層体であって、コンクリート型枠構造体で成形されるコンクリート製建築物の表面平滑性を確保するに用いる積層体が提供される。
本発明のコンクリート型枠構造体を用いて建築されるコンクリート製建築物において、バリの発生(第一の欠陥)が防止でき、またセメント成分の量比が低下し材料強度的に脆弱で外観的にも変色部となる部分の発生(第二の欠陥)が少なくできる。
図1は、コンクリート型枠構造体(壁用)を示す斜視図である。 図2は、コンクリート型枠構造体(柱用)を示す斜視図である。 図3は、第一の形態の吸水膨張層を含む積層体を示す断面図である。 図4は、第二の形態の吸水膨張層を含む積層体を示す断面図である。 図5は、吸水膨張層を含む積層体の作製工程を示す模式図である。 図6は、生コンクリート打設前後の吸水膨張層を含む積層体の膨張の変化を示す模式図である。ここに、図6(a)は、吸水膨張層が水を吸収する前の状態を示し、図6(b)は、吸水膨張層が水を吸収し膨張した後の状態を示す。 図7は、試験体製造のためのコンクリート型枠構造体を示す図であって、図7(a)は該型枠構造体の斜視図、図7(b)は該型枠構造体の正面図、図7(c)は該型枠構造体の平面図を示す。
次に本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で当業者の通常の知識に基づいて適宜設計の変更、改良等が加えることができると理解されるべきである。
図1は、本発明のコンクリート型枠構造体の一の実施形態の一例を示したものである。当該コンクリート型枠構造体50は、長尺のコンクリート製建築物である「壁、堰」の製造に用いるものであり、隣接する型枠パネル同士が、一方の型枠パネルの側面55と他方の型枠パネルの側面55を連結具54を用いて連結されたものとして構成されている。図2は、本発明のコンクリート型枠構造体60の実施形態の別の一例を示したものであり、四角柱のコンクリート製建築物である「柱」の作製に用いるものであり、隣接する型枠パネルが、一方の型枠パネルの正面66の一部と他方の型枠パネルの側面65を連結されたものとして構成されている。ここで、型枠パネルの側面55、65とは、型枠パネルの幅狭面同士を合致させて一列に並べて連結するときの型枠パネル同士の隣接面のことをいい、型枠パネルの正面56、66とは、コンクリート型枠構造体に生コンクリートを打設する際、生コンクリートが接する型枠パネルの面をいう。
図3、4は、吸水前の吸水膨張層を含む積層体30、40の二つの例を示したものである。
これらの吸水膨張層を含む積層体30、40は、ともに吸水性樹脂粒子を有する吸水膨張層33、43、基材層34、44、粘着層36、46をこの順で有する積層構造としてなっている。
さらに各積層体について詳述すると、図3は、本発明の第一の形態の吸水膨張層を含む積層体30の実施形態を模式的に示した断面図である。図3に示すように、本実施形態の吸水膨張層を含む積層体30は、吸水性樹脂粒子32の一部分が基材層34に埋め込まれた状態で基材層34の表面に固着され吸水膨張層33が形成されている。これにより、本実施形態の積層体では、吸水性樹脂粒子32が基材34に強固に固着したものであり、吸水性樹脂粒子32と基材34とが一体化された積層体である。当該積層体にはさらに、被着体(この場合、型枠パネル)への接着を確保すべく粘着層36を有する。
図4は、本発明の積層体の他の実施形態を模式的に示した断面図である。図4に示すように、本実施形態の第二の形態の吸水膨張層を含む積層体40は、吸水性樹脂粒子42が、バインダ成分を含有するバインダ組成物41中に分散され、吸水膨張層43として基材層44の表面に固着されたものである。このように、吸水性樹脂粒子42を、バインダ組成物41を用いて基材層44の表面に固着しているため、より安定的に吸水性樹脂粒子42をシート状の基材層44の表面に固着させることが可能となる。このため、吸水性樹脂粒子42をより長期にわたり、しっかりとシート基材に固着させることができる。バインダ組成物41は、バインダ成分を有機溶剤等に溶解、分散させて、これに吸水性樹脂粒子42を分散させて塗工液として用いることができる。バインダ成分としては、吸水性のあるウレタン樹脂が好ましい。バインダ組成物中のウレタン樹脂の添加量は、固形分で2〜13質量%が好ましい。2質量%未満では、バインダにより吸水性樹脂粒子をシート基材に固着する固着力が弱く、13質量%を超えると、吸水性樹脂粒子を覆うバインダ成分が厚くなり過ぎ、吸水速度が遅くなり、吸水量も低下する傾向にあるからである。バインダ組成物の塗布厚は、求められる吸水膨張層の厚さを考慮して求められ決められ、50〜350μmが好ましく、100〜250μmが更に好ましい。50μm未満であると、吸水性樹脂粒子を基材に固着する力が低下し、吸水性樹脂粒子が脱落し易くなる傾向にあるからである。350μmを超えると、用いた吸水性樹脂粒子の量に比して膨潤する吸水性樹脂粒子の割合が低く期待したほどに吸水膨張層の膨張性能が得られないからである。
上記吸水膨張層に含まれる吸水性樹脂粒子としては特に限定されず、公知の吸水性樹脂粒子を使用することができる。例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、でんぷん−アクリル酸グラフト共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等の粒子を挙げることができる。
吸水性樹脂粒子の平均粒子径は、通常、10〜1000μm程度のものが利用できる。図3、4に示す本実施形態の吸水膨張層を含む積層体30、40において、吸水性樹脂粒子32、42のシート状の基材層34、44の表面への固着量は、2〜50g/mであることが好ましい。2g/mより少ないと、吸水量及び吸水速度が低下することがあり、50g/mより多いと、吸水性樹脂粒子が、吸水するに伴い自重が大きくなり、特に垂直施工面において基材層表面から脱落し易くなる傾向にあるからである。例えば、水分量が多いコンクリート原料を用いる場合は、3〜30g/mであることが好ましい。
基材層34、44に用いるに適する基材は、非透水性もしくは半透水性の樹脂材料からなるシートであるものが好ましい。樹脂材料としては熱可塑性樹脂であれば、例えば、オレフィン系の高分子樹脂やゴム系の材料が好ましい。この場合、オレフィン系の高分子樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等であることが好ましい。また、ゴム系材料としてはスチレン系熱可塑性エラストマー等であることが好ましい。さらに、ナイロン樹脂、PET樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂も用いることができる。
基材層の厚さはシート状の場合、通常10〜350μmの範囲で用いられることが多いが、特に限定されず、用途によって適宜選択することができる。
上記粘着層に用いるに適する粘着剤としては、天然ゴム系樹脂、合成ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンゴム系樹脂等を用いることができる。
次に、本発明の吸水膨張層を含む積層体の製造方法について説明する。
本発明の吸水膨張層を含む積層体の製造方法の一の態様(以下、第1の製造方法と呼ぶ。)は、図3に示した第一の形態の吸水膨張層を含む積層体を製造する方法である。以下、第1の製造方法の一の実施形態を図5に示した第一の形態の吸水膨張層を含む積層体の製造ライン80を用いて説明する。
まず、基材原料を、T−ダイ84を用いて工程紙81上にシート状に押出成形し、基材原料硬化前にシート(以下、硬化前シート93と呼ぶ。)の一方の表面に吸水性樹脂粒子91を散在するように投下する。このとき、吸水性樹脂粒子91は硬化前シート93の表面に均一になるように散在することが好ましい。
次に、吸水性樹脂粒子91のそれぞれの粒子の一部を、ニップロール82及びチルロール83を用いて硬化前シート93内に埋め込むように加圧しつつ冷却する。これにより、吸水性樹脂粒子91が基材92の表面に固着された積層体300を得ることができる。次に、積層体300を矢印Pの方向に進行せしめつつ積層体の裏面(すなわち吸水性樹脂粒子が埋め込まれていない表面)に粘着剤コータ86で粘着剤を塗工し、乾燥炉87で乾燥した後、巻き取りロール85により巻き取ることで第一の形態の吸水膨張層を含む積層体が作製される。
本発明の吸水膨張層を含む積層体の製造方法の他の態様(第2の製造方法)は、上述した本発明の図4に示した第二の形態の吸水膨張層を含む積層体を製造する方法である。第二の製造方法の一の実施形態を以下に説明する。
まず、バインダ成分、吸水性樹脂粒子及び有機溶媒を含有する塗工液を、シート状基材の表面に塗工する。ここに用いるに適した塗工液としては、バインダ成分としてウレタン樹脂を含むもの、有機溶媒としては酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、IPA等を含むものを用いることができる。次に、シート状の基材の表面に塗工された塗工液を乾燥させて、吸水性樹脂粒子がシート状の基材の表面に固着された積層体を作製する。次に製造した積層体の裏面に粘着剤を粘着層形成の為塗布する。以上の工程より第二の形態の吸水膨張層を含む積層体が作製される。
次にコンクリート型枠構造体の作製方法、及び型枠構造体を用いたコンクリート製建築物の作製方法について説明する。
本発明にかかるコンクリート型枠構造体及びコンクリート製建築物は、以下の手順で施工される。
(1) 前工程:鉄筋の組み立て
(2) コンクリート型枠構造体の組み立て
(3) コンクリートの打設
次に、各工程について説明する。
(1)前工程:鉄筋の組み立てについて
まず、図1、図2に示すようにコンクリート型枠構造体を設置予定箇所の内側に鉄筋52、62を組み立てる。鉄筋52、62は、コンクリート建築物の構造強度を確保するためにコンクリート内に埋設される。実際の工程では、設計図書に基ずく鉄筋の種類、化学成分、機械的性質、加工法に従ったものを用い、それを配筋図に準じて正確に揺れ動かない様に、強固に組み立てられる。特に、鉄筋は、打設作業を考慮して、生コンクリートの重みでずれ動くことがないように太めの鉄筋を意識的に採用することや、バイブレータの挿入空隙を確保すること等にも留意して設置する。
(2)コンクリート型枠構造体の組み立てについて
次に組み立てた鉄筋の外周に型枠パネルを組み立てる。型枠パネルの組み立ては、コンクリートを目的の形状や寸法に成型するためのものである。従って、生コンクリートの打設中に変形しない様に、強固に組み立てることが求められる。さらに、鉄筋の配置及びコンクリート型枠構造体の配置場所環境条件から来る型枠パネル10の据え付け時に必然的に生じる型枠の連結箇所の隙間から生コンクリート中のセメント成分(ペースト)や水が漏れださない様にすることが求められる。本発明にかかる型枠構造体においては、型枠の連結箇所に生じる隙間からのセメント成分(ペースト)や水が漏れ出すのを防止する為、例えば図1に示すように隣接して連結箇所を構成する型枠パネル10の両側面の少なくとも一方に吸水膨張層を含む積層体30、40が張り付かられている。
(3)コンクリートの打設について
次に組み立てたコンクリート型枠構造体の内部に生コンクリートを打設する。
打設は、コンクリート型枠構造体に生コンクリートを充填する作業、充填した生コンクリートを締め固める作業から構成される。充填作業は、生コンクリート内に空気を巻き込まない様にまんべんなく振動を与え、少しずつ充填することが好ましい。これにより、コンクリート内で比重の異なる材料(骨材とセメント成分)が分離することなく、コンクリートの均一性ができ、コンクリートが気泡を含まないようにすることができる。
締固め作業は、充填作業直後に内部振動機等を用いて型枠の内側や外側から適度な振動を与えることが好ましい。これにより、生コンクリートを流動化させ充填時にいきわたらなかった隅々に生コンクリートを流し込ませることができ、同時に、内部に含まれる空気の泡や余分の水分を浮かびあがらせることがでる。これにより、コンクリートの均一性、健全性を確保することができる。
次に積層体の型枠パネル側面及び正面への貼り付け条件について以下説明する。
図6は、隣接する型枠パネル10とその間に必然的に生じる隙間500の関係を、断面図として示したものである。図6において図6(a)は、吸水膨張層を含む積層体30(40)が水分を吸収する前の乾燥状態にあるものを示し、図6(b)は、積層体が水分を吸収し型枠パネルの連結箇所に密閉部550が形成された状態にあるものを示す。各パネルの側面には、それぞれ吸水膨張層を含む積層体30が、積層体自体の有する粘着層を介して貼りつけられている。積層体の型枠パネル側面・正面への貼り付けは片面だけであっても良く必要に応じて両面(両側面、又は、一方の側面と他方の正面)であっても良い。
この際、吸水性樹脂粒子を有する積層体としては、隙間500の最大幅部分がコンクリート型枠構造体内へ生コンクリートを充填した場合に、積層体の吸水性樹脂粒子が生コンクリート中の水分を吸収して隙間500の最大幅部分をも密閉することができるものを選択することを要する。
例えば、図6を用いて説明すると型枠パネル間の隙間の最大幅をWmmとする場合、次のような実験式から算出される吸水性樹脂粒子の量Xg/mを有する積層体を選択することが好ましい。
Xg/m ≧ A(W/Z1/3)g/m
ここに、Zは、吸水性樹脂粒子の保水能に起因した膨張率、Aは、実験的に求められる定数である。吸水膨張層を含む積層体の貼り付け幅は、打設時の生コンクリート充填後に型枠内壁に加わる静水圧の大きさ、及び打設時の内部振動機等に生コンクリートに加えられる振動の大きさ等により型枠パネル間の隙間に形成された密閉部550が破壊されない幅とする。具体的には、通常30mmから200mm程度の幅の積層体を型枠パレルの側面等に沿って貼り付けることが好ましい。
生コンクリートは、JISA5308の規定に生産されたものを使用するものとし、具体的には、生コンクリートの打設環境、硬化後のコンクリート建築物の強度等を考慮して最適なものを使用することが好ましい。
生コンクリートは、通常セメント100質量部に対し、水10質量部から100質量部、骨材は、30質量部から200質量部の範囲で配合される。骨材は、硬化時の密度を高める為、細骨材、粗骨材を併用して用いることが好ましい。骨材の粒径は、数mmから数十mmの範囲のものが適宜使用される。セメントは、JISR5210、5211、5212、5213、5214に記載された規格に適合するものを用いることができる。生コンクリート中、セメントは、水と混じり合い(一部は溶解)ペースト状になっている。
本発明に係る型枠構造体に前記した生コンクリートを打設すると図6(b)に示すように型枠パネル側面等に貼り付けられた積層体は、吸水膨張層の吸水性樹脂粒子が生コンクリートの水分を吸収し膨潤するにつれ膨張するので隣接する型枠パネル間の隙間500を密閉する密閉部550を形成する。当該密閉部は、吸水性樹脂粒子が生コンクリート中の水分を吸収して形成されたものである為、膨張した吸水性樹脂粒子の性質に起因して、生コンクリート中の骨材とペースト状のセメント成分を透過させない。
尚、以前より型枠パネル間の隙間には、スポンジ等の弾性体を詰め込みその後生コンクリートを打設するといった工法が用いられてきているが、この工法によるものでは、骨材の流出はないにしても、セメント成分の流出は防止できないものとなっていた。
本発明にかかる型枠構造体を用いれば、生コンクリート打設時にセメント成分のセメント型枠構造体からの流出はなく、このことに伴い、硬化後のコンクリート製建築物の表面のバリ、砂すじ等の欠陥の発生を防止でき、また、硬化後のコンクリート製建築物の内部の中性化も防止できる。
本開示は以下も包含する。
[1]複数の型枠パネルを配置させてなるコンクリート型枠構造体であって、隣接する型枠パネルは、吸水膨張層を介して互いに連結しているコンクリート型枠構造体。
[2]隣接する型枠パネルは、一方の型枠パネルの側面と他方の型枠パネルの側面を連結している上記態様1に記載のコンクリート型枠構造体。
[3]隣接する型枠パネルは、一方の型枠パネルの正面の一部と他方の型枠パネルの側面を連結している上記態様1に記載のコンクリート型枠構造体。
[4]隣接する型枠パネルを連結する箇所に吸水膨張層を設け、当該型枠パネルを所定の形状に配置する工程を含む、隣接する複数の型枠パネルから構成されるコンクリート型枠構造体の作製方法。
[5]上記態様1ないし上記態様3のいずれかに記載のコンクリート型枠構造体によって型枠された内部に、コンクリートを打設する工程を含むコンクリート製建築物の製造方法。
[6]上記態様5の製造方法を用いて製造されたコンクリート製建築物。
[7]基材及び基材の少なくとも一方の面に設けられた吸水膨張層を含む積層体であって、コンクリート型枠構造体で成形されるコンクリート製建築物の表面平滑性を確保するに用いる積層体。
以下、本発明を、実施例を用いて、具体的に説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(1)試験体作製用コンクリート型枠構造体150の組み立て
まず、試験体(形状:縦100mm、横100mm、高さ400mmの直方体)を作製すべく、図7に示した底壁用型枠パネル140、スリットを有しない側壁A用型枠パネル110、中央にスリットを有している側壁B用型枠パネル120からなるコンクリート型枠構造体150を作製した。当該コンクリート型枠構造体は、内寸法として、l=400mm、m=100mm、n=100mmを有するものとした。また、一対の側壁B用型枠パネルの中央には、高さ方向に幅aのスリットを設けた。側壁B用型枠パネルの側面の幅は、60mmとした。
(2)使用コンクリートの準備
試験体を作製するに供するコンクリートは、JISA5038に適合するものとし、コンクリートの種類として「普通24−12−20N」のものを準備した。
(3)吸水性樹脂粒子を有する吸水膨張層を含む積層体の作製
厚さ30μm幅50mmの有機材料系フィルムを基材として基材層を形成し、当該基材の一方の表面に平均粒径40μmの吸水性樹脂粒子(商品名:ST−500MPSA、三洋化成(株)製)の塗布量が4g/mとなるように、ウレタン樹脂バインダ組成物(組成重量比/ウレタン樹脂:吸水性樹脂粒子=1:1)を塗布して吸水膨張層を形成した。その際のウレタン樹脂バインダ組成物の塗布量は、基材表面全面に80〜100μmとなるように調整した。また、基材の他方の表面には、アクリル系粘着剤を30g/mm塗布して粘着層を形成した。
(4)コンクリート型枠構造体150への吸水膨張層を有する積層体の貼り付け作業
上記(1)のコンクリート型枠構造体において側壁のスリットのスリット幅aを、2mm、4mm、6mm、8mmの4水準に調整した。その際、それぞれの型枠構造体のスリットを構成する側壁B用型枠パネル120の側面には、上記(3)で作製した第二の形態の吸水性樹脂粒子を有する吸水膨張層を含む積層体40を側壁B用型枠パネル120のスリットを挟む側面の一方の面のみに貼り付ける施工、側壁B用型枠パネル120のスリットを挟む両側面に貼り付ける施工、または、吸水性樹脂粒子を含む吸水膨張層を有する積層体をまったく貼り付けない施工のいずれかを行った。尚、積層体をまったく貼り付けない施工のものについては、スポンジ状シートを圧縮してスリットに挟むこととした。
吸水膨張層を有する積層体の貼り付け条件の組み合わせを表1に示した。
Figure 0006026745
(5)コンクリート材料の型枠構造体への充填
上記(2)で準備した生コンクリートを、上記(4)の吸水膨張層を有する積層体の貼り付け条件で施工したコンクリート型枠構造体内に充填成形した。成形回数は、各型枠構造体毎、複数回(4回〜6回)行った。生コンクリート充填成形後、1週間の経過を待って、型枠構造体を解体し、試験体を取り出した。
(6)試験体の評価
1)試験体の外観目視評価
コンクリート型枠構造体のスリットに該当する箇所の試験体の外表面のバリ発生、砂すじ発生状況を次の三水準で目視評価した。
×:バリと砂すじの発生が認められ、試験体の外表面の修正が必要となるもの。
△:バリの発生は認められないが、砂すじの発生が認められ、試験体の外表面の修正が必要となるもの。
○:バリと砂すじの発生が認められず、試験体の外表面の修正が必要でないもの。
評価結果を表2に示した。
Figure 0006026745
2)耐久性確認試験
各試験体に関し、JISA1153の規定に準じて、中性化促進試験を行い、中性化深さの測定結果から各試験体の耐久性を評価した。具体的には、次の手順で評価を行った。
a)5%濃度の二酸化炭素雰囲気環境中に全試験体を放置するものとし、1週間目、8週間目、26週間目の各条件で放置処理した試験体を一つずつ取り出した。取り出した試験体は、圧縮試験機を用いて割裂した後、側壁B用型枠パネルのスリットに該当する箇所に対応する割裂面(試験体の高さ方向に対して略垂直に交叉する面)を有する部分を測定面に選択した。
b)その後、直ちに測定面にフェノールフタレン試薬を噴霧器で噴霧した。
c)その後、測定面において色が赤く変色した部分は「正常」とし、色が変色しない部分は、「中性化状態」にあると判断した。
d)耐久性確認は、中性化した深さを測ることで行うこととし、具体的には、コンクリート表面からの垂直断面内で赤く変色した部分までの距離を0.5mm単位で測定した。測定面としては、スリットに該当する箇所であって試験体高さ方向の略中央部分を選択した。
e)測定値結果を表3に示した。
Figure 0006026745
10 型枠パネル
30 第一の形態の吸水膨張層を含む積層体
32、42 吸水性樹脂粒子
33、43 吸水膨張層
34、44 基材層
36、46 粘着層
40 第二の形態の吸水膨張層を含む積層体
41 バインダ組成物
50 コンクリート型枠構造体(壁用)
52、62 鉄筋
55、65 側面
56、65 正面
54 型枠パネル連結具
60 コンクリート型枠構造体(柱用)
80 第一の形態の吸水膨張層を含む積層体の製造ライン
81 工程紙
82 ニップロール
83 チルロール
84 T―ダイ
85 巻き取りロール
86 粘着剤コータ
87 乾燥炉
91 吸水性樹脂粒子
92 基材
93 硬化前シート
110 スリットを有しない側壁A用型枠パネル
120 スリットを有している側壁B用型枠パネル
140 底壁用型枠パネル
150 試験体作製用コンクリート型枠構造体
300 吸水膨張層を含む積層体
500 隙間
550 密閉部

Claims (6)

  1. 複数の型枠パネルを配置させてなるコンクリート型枠構造体であって、隣接する型枠パネルは、粘着層、基材層及び吸水膨張層をこの順の配置で含む積層体を介して互いに連結しているコンクリート型枠構造体。
  2. 隣接する型枠パネルは、一方の型枠パネルの側面と他方の型枠パネルの側面を連結している請求項1に記載のコンクリート型枠構造体。
  3. 隣接する型枠パネルは、一方の型枠パネルの正面の一部と他方の型枠パネルの側面を連結している請求項1に記載のコンクリート型枠構造体。
  4. 隣接する型枠パネルを連結する箇所に粘着層、基材層び吸水膨張層をこの順の配置で含む積層体を設け、当該型枠パネルを所定の形状に配置する工程を含む、隣接する複数の型枠パネルから構成されるコンクリート型枠構造体の作製方法。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート型枠構造体によって型枠された内部に、コンクリートを打設する工程を含むコンクリート製建築物の製造方法。
  6. 粘着層、基材層び吸水膨張層をこの順の配置で含む積層体であって、コンクリート型枠構造体で成形されるコンクリート製建築物の表面平滑性を確保するに用いる積層体。
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