JP6023023B2 - 摺動部材 - Google Patents
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Description
ここで、粒子内部から表面側に向かって組成勾配を有し、かつポリウレタンに対するポリウレアの質量比が粒子内部よりも表面側の方が大きいポリウレタンポリウレア複合架橋粒子とは、表面側の粒子表層部におけるポリイソシアネートと水との反応により、粒子内部に比較して表層部のウレア結合の密度が高い構造を有するポリウレタンポリウレア複合架橋粒子を意味する。このように、本発明のポリウレタンポリウレア複合架橋粒子は、明確な2層構造を有しているわけではないが、本発明ではこのようなポリウレタンポリウレア複合架橋粒子を、コアシェル型に含める。即ち、粒子内部がコア部に相当し、表面側の表層部がシェル部に相当する。
また、本発明の「架橋密度」とは、単位質量当りに含まれる3官能以上の成分のモル数を表す。
また、本発明によれば、摩擦抵抗を低減できるため、摺動時のフラッシュ発熱が抑制される結果、バインダーの熱劣化を抑制できる。
さらに、本発明によれば、油吸着性のポリウレタンポリウレア複合架橋粒子が1×10−6モル/g以上の架橋密度で架橋することで、耐熱性が飛躍的に向上するため、高い耐熱性を有する摺動部材が得られる。
上述した通り、本発明の摺動部材は高い耐熱性を有する。従って、本発明の摺動部材を、高い耐熱性が要求される内燃機関の摺動部材に適用することで、上記発明の効果が顕著に発揮される。
図1は、本発明の一実施形態に係る摺動部材の構成を示す図であり、(a)が本実施形態に係る摺動部材の摺動面を示す断面図であり、(b)が従来の摺動部材の摺動面を示す断面図である。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る摺動部材は、潤滑油(以下、単に「油」ともいう。)7の存在下で、他部材としてのシリンダ4と摺動するピストン1である。ピストン1は、内燃機関(以下、「エンジン」という。)のピストンであり、潤滑油7の存在下でシリンダ4に対して摺動する。
潤滑油保持層3は、バインダーと、油吸着性粒子と、を含んで構成される。
先ず、2官能又は3官能のポリイソシアネート化合物に、イソシアネート基と反応し得るヒドロキシ基を有する2官能又は3官能ポリヒドロキシ(ポリオール)化合物等を必要に応じて加えた後、水中で懸濁重合させる。このとき、ポリウレタン粒子の表面には、イソシアネート基が水と反応することでウレアが生成するのと同時に、ポリウレタン粒子表面のウレアが内部のポリウレタンと架橋する。これにより、粒子内部から表面側に向かって組成勾配を有し、かつポリウレタンに対するポリウレアの質量比が粒子内部よりも表面側の方が大きいコアシェル型ポリウレタンポリウレア複合架橋粒子が得られる。
図2に示すように、水中懸濁重合により得られた油吸着性粒子は、数μm〜およそ20μmの粒子径を有していることが分かる。本実施形態に係る油吸着性粒子は、このような粒子径分布を有するポリウレタンポリウレア複合架橋粒子から、粒子径が5μm未満の小さい粒子のみを湿式分級したものである。
先ず、上述したバインダー及び油吸着性粒子を溶剤中に分散させて分散液を調製する。次いで、調製した分散液を、上述の各手法を利用して基材2の摺動面上に塗布する。次いで、乾燥させて溶剤を揮発させた後、所定の温度(例えば190℃)まで昇温させて焼成する。以上により、摺動面上に潤滑油保持層3が形成される。
図3は、本実施形態に係る油吸着性粒子としてのポリウレタンポリウレア複合架橋粒子の浸漬熱(J/m2)を示す図である。なお図3には、比較として、ウレア非架橋粒子、アモルファスシリカ粒子、二硫化モリブデン(MoS2)粒子及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子の浸漬熱も併せて示している。
図4は、本実施形態に係る潤滑油保持層3の表面粗さを説明するための図であり、(a)が本実施形態に係る潤滑油保持層3の断面図であり、(b)が表面粗度を大きくしたときの潤滑保持層3Aの断面図である。
図4(b)に示すように、表面粗度を大きくした潤滑油保持層3Aでは、潤滑油保持層3Aと油膜10Aとの接触面積が小さくなり、十分な接触面積を確保できないことが分かる。この場合には、潤滑油保持層3Aにより油膜を強く保持できないため、油膜切れが生じて十分かつ持続的な油膜を形成できず、摩擦抵抗を効果的に低減できない。
なお、本実施形態に係る潤滑油保持層3の表面粗度が小さい理由としては、次の理由が挙げられる。即ち、本実施形態に係る潤滑油保持層3中に含有される油吸着性粒子は、水中懸濁重合により得られたものであり、水中懸濁重合により得られるポリマー粒子は小さくて均一な粒子である特徴を有する。従って、小さくて均一な油吸着性粒子が潤滑油保持層3中に均一に分散されることで、表面粗度の小さな潤滑油保持層3が形成される。
先ず、本実施形態に係る潤滑油保持層3の油吸着性は、走査型プローブ顕微鏡(以下、「SPM」という。)を利用することで測定される。ここで、図5は、油吸着力を測定可能なSPM50を示す図であり、(a)がSPM50の全体斜視図であり、(b)がSPM50のカンチレバー51の先端部52の拡大図である。
[油吸着力の測定条件]
測定装置:島津製作所製「JSPM 9600」
測定モード:フォースカーブモード
測定範囲:20μm四方
測定点:32点×32点
なお図6には、比較として、ポリウレタンポリウレア複合架橋粒子の代わりに、ウレア非架橋粒子、アモルファスシリカ粒子、二硫化モリブデン(MoS2)粒子又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子を用いて形成した層の油吸着力も併せて示している。
本実施形態では、基材2の摺動面に、バインダー及び油吸着性粒子を含んで構成された潤滑油保持層3を形成した。また、油吸着性粒子として、コアシェル型ポリウレタンポリウレア複合架橋粒子を用い、その架橋密度を1×10−6モル/g以上とするとともに、粒度分布換算の平均分子量を1000以上1×1015以下とした。
本実施形態によれば、油吸着性を有するコアシェル型ポリウレタンポリウレア複合架橋粒子を潤滑保持層3中に含有させるため、架橋されたポリウレアが潤滑油7を吸着することで、シリンダ4と潤滑保持層3との間に摺動性の向上に寄与し得る油膜10を形成できる。即ち、油吸着性粒子を含む潤滑保持層3により油膜10を強固に保持できるため、摺動により油膜が掻き分けられることが抑制され、油膜切れを抑制できる。従って本実施形態によれば、最低せん断層を油膜10中とすることができるため、十分かつ持続的な摩擦抵抗の低減及び低トルク化が可能である。
また、本実施形態によれば、上述したように摩擦抵抗を低減できるため、フラッシュ発熱が抑制される結果、バインダーの熱劣化を抑制できる。
さらに、本実施形態によれば、コアシェル型ポリウレタンポリウレア複合架橋粒子が1×10−6モル/g以上の架橋密度で架橋することで、耐熱性が飛躍的に向上するため、高い耐熱性を得られる。
上記実施形態では本発明の摺動部材をエンジンのピストンに適用したが、これに限定されない。例えば、エンジンメタルやギア等にも適用可能であり、同様の効果が得られる。
表1に示す各バインダー及び各潤滑粒子を、表1に示す配合量含む潤滑層をアルミニウム合金(表1では単にアルミと表示)上に形成した。具体的には、各バインダー及び潤滑粒子を溶剤中に分散させて分散液を調製し、調製した分散液をアルミニウム合金上に塗布することで形成した。次いで、乾燥させて溶剤を揮発させた後、190℃まで昇温させて焼成することにより、各潤滑層を形成した。
また、各潤滑層の形成は、比較例3を除いてスプレーコーティング法により実施した。スプレーコーティングの具体的な条件は、表2に示す通りとした。
(表面形状評価)
実施例3及び比較例2、4、6について、走査型プローブ顕微鏡を用いた表面形状の測定を実施した。結果を図7〜10に示した。図7は比較例2の表面形状画像であり、図8は比較例4の表面形状画像であり、図9は比較例6の表面形状画像であり、図10は実施例3の表面形状画像である。
図7〜10に示すように、実施例3の本発明に係る潤滑保持層は、比較例2、4、6の潤滑層と比べて、細かい凹凸が全体的に均一に存在していることが確認された。この結果から、本発明に係る潤滑油保持層では、潤滑油保持層3と油膜10との接触面積を十分に確保でき、十分かつ持続的な油膜を形成できることが確認された。
実施例3の本発明に係る潤滑保持層について、レーザーラマン測定を実施することで、ウレタン及びウレアの分布を調べた。レーザーラマン測定は、レーザー波長を785nmとし、スポット及びラインマッピングにより実施した。図11は、実施例3のレーザーラマン測定結果である。図11において、白い部分は、ウレタン及びウレアが多く存在する箇所を示しており、黒い部分は、バインダーが多く存在する箇所を示している。
図11に示すように、ウレタン及びウレアを示す白い部分は、大きな偏りもなく全体的に均一に分布していることが分かった。この結果から、実施例3の本発明に係る潤滑保持層では、ポリウレタンポリウレア複合架橋粒子が全体に均一に分散されていることが確認された。
上述のようにして作製した実施例1〜6及び比較例1〜10の各潤滑層について、摩擦係数及び接線力の測定を実施した。ここで、接線力とは、接線方向の力を意味する。図12は、摩擦係数及び接線力測定装置70を示す図であり、(a)がオシレーション試験を実施するときの様子を示す側面図であり、(b)がローテーション試験を実施するときの様子を示す側面図である。
図12(a)に示すオシレーション試験では、先端がドーム状のボール71を、各潤滑層Wの表面に接触させた状態で、直線的な往復移動を繰り返し実施した。オシレーション試験条件は表3に示す通りとした。
図12(b)に示すローテーション試験では、先端がドーム状のボール71を、各潤滑層Wの表面に接触させた状態で、円周移動を繰り返し実施した。ローテーション試験条件は表4に示す通りとした。
また、従来の固体潤滑層の接線力に対する低減比率で求め、結果を表1に示した。表1に示すように、本実施例では比較例と比べて、従来に対する接線力の低減比率が大きいことが分かった。この結果から、本実施例によれば、従来よりも接線力を小さくでき、摩擦抵抗を低減できることが確認された。
2…基材
3…潤滑油保持層
4…シリンダ(他部材)
7…潤滑油
10…油膜
Claims (2)
- 潤滑油の存在下で他部材と摺動する摺動部材であって、
基材と、前記基材の摺動面に形成された潤滑油保持層と、を備え、
前記潤滑油保持層は、バインダーと、油吸着性粒子と、を含んで構成され、
前記油吸着性粒子は、粒子内部から表面側に向かって組成勾配を有しかつポリウレタンに対するポリウレアの質量比が粒子内部よりも表面側の方が大きいポリウレタンポリウレア複合架橋粒子であり、
前記ポリウレタンポリウレア複合架橋粒子は、架橋密度が1×10−6モル/g以上であり、かつ粒度分布換算の平均分子量が1000以上1×1015以下であることを特徴とする摺動部材。 - 前記摺動部材は、内燃機関の摺動部材に用いられることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
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