JP6022506B2 - プラグ構造 - Google Patents

Description

本発明は、たとえば半導体高純度薬品や一般化学薬品等の液体が貯蔵される容器の開口部に取り付けられるプラグ構造に関する。

一般に、半導体高純度薬品や一般化学薬品等の液体は、生産工場にてガラス瓶やポリエチレンタンク等の容器に充填され、この容器に形成された充填・取出用の開口部に蓋を取り付けた状態で出荷されている。このような容器中に収容された液体を取り出す手法としては、容器内部に空気等の気体を導入することにより、その気体圧力により液体を容器外へ送り出すサイフォン管方式が知られている。
この方式では、充填・取出用の開口部（以下、「容器入口」と呼ぶ）に取り付けられていた蓋を取り外した後、容器入口の開口部に液体流路となるサイフォン管及び気体供給路を備えたプラグが取り付けられる。そして、液体を取り出すためのチューブと、気体を導入するためのチューブとをそれぞれ連結可能なソケットをプラグに嵌合することにより、容器入口の開口部に取り付けられたプラグ及びソケットには、液体を取り出すための主流路及び気体を導入するための副流路が形成される。（たとえば、特許文献１参照）

特開２００２−５９９９３号公報

上述した特許文献１に記載された従来技術は、液体が貯留される容器の開口部に取り付けられるプラグと、このプラグに接続されるソケットとからなる接続器具である。この場合のプラグは、容器入口の開口部に形成された内ネジに螺合させて取り付けられるものであるから、容器入口の開口部に外ネジが形成された容器、すなわち、容器入口の開口部を塞ぐキャップ取付用のネジが外ネジの容器に使用することはできなかった。

このような背景から、薬液等の液体を充填する容器に用いられ、気体の圧力で液体を容器外へ送り出すサイフォン管を備えたプラグ構造においては、容器入口のキャップ取付用ネジを外ネジとした容器に対して取付可能なプラグ構造の開発が望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容器入口のキャップ取付用ネジを外ネジとした容器に対して取付可能なプラグ構造を提供することにある。

本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明のプラグ構造に係る第１態様は、容器入口のキャップ取付用ネジが外ネジの容器に用いられ、前記容器入口に取り付けられるとともに容器内の液体を取り出すためのサイフォン管を備えているプラグ構造であって、前記容器入口に圧入されるプラグのプラグ本体は、前記容器入口の内壁面方向へ突出する係止爪を下部外周面に備えたリング形状とされ、かつ、前記リング形状の下端部側に軸方向のスリットを設けて周方向を分割し、前記下端部側を半径方向に弾性変形可能にするとともに、前記係止爪は、下端部の最小径が前記容器入口の内径と一致するか小径とされ、かつ、上端部の最大径が前記容器入口の内径より大きな値に設定されており、前記プラグ本体は、弾性変形した前記係止爪が元の形状に復帰しようとする方向の力によって前記係止爪の段差部を前記容器入口の内壁面に係止することにより固定されていることを特徴とするものである。

このようなプラグ構造によれば、容器入口に圧入されるプラグのプラグ本体は、容器入口の内壁面方向へ突出する係止爪を下部外周面に備えたリング形状とされ、かつ、リング形状の下端部側に軸方向のスリットを設けて周方向を分割し、下端部側を半径方向に弾性変形可能にするとともに、係止爪は、下端部の最小径が容器入口の内径と一致するか小径とされ、かつ、上端部の最大径が容器入口の内径より大きな値に設定されているので、容器入口に圧入されたプラグ本体は、係止爪を設けた下部が突出分だけ半径方向内側（軸中心方向）へ弾性変形して所定位置まで通り抜ける。この結果、弾性変形したプラグ本体下部の係止爪は、元の形状に復帰しようとする方向の力により容器入口の内壁面へ押圧される。

本発明のプラグ構造に係る第２態様は、容器入口のキャップ取付用ネジが外ネジの容器に用いられ、前記容器入口に取り付けられるとともに容器内の液体を取り出すためのサイフォン管を備えているプラグ構造であって、前記容器入口に圧入されるプラグのプラグ本体は、前記容器入口の内壁面方向へ突出する係止爪を下部外周面に備えたリング形状とされ、かつ、前記リング形状の下端部側に軸方向のスリットを設けて周方向を分割し、前記下端部側を半径方向に弾性変形可能にするとともに、前記係止爪は、下端部の最小径が前記容器入口の内径と一致するか小径とされ、かつ、上端部の最大径が前記容器入口の内径より大きな値に設定され、前記プラグ本体の上端部から外向きに形成されて前記容器入口の上端面に係止される鍔部を備え、該鍔部が前記容器入口の上端面と密着する下面に、全周にわたる第１シール部が形成されていることを特徴とするものである。
この場合の第１シール部には、鍔部の下面に形成された凸部、パッキン構造、そして、凸部とパッキン構造との組合せがある。

このようなプラグ構造によれば、容器入口に圧入されるプラグのプラグ本体は、容器入口の内壁面方向へ突出する係止爪を下部外周面に備えたリング形状とされ、かつ、リング形状の下端部側に軸方向のスリットを設けて周方向を分割し、下端部側を半径方向に弾性変形可能にするとともに、係止爪は、下端部の最小径が容器入口の内径と一致するか小径とされ、かつ、上端部の最大径が容器入口の内径より大きな値に設定されているので、弾性変形したプラグ本体下部の係止爪は、元の形状に復帰しようとする方向の力により容器入口の内壁面へ押圧される。そして、プラグ本体の上端部から外向きに形成されて容器入口の上端面に係止される鍔部を備え、該鍔部が前記容器入口の上端面と密着する下面に、全周にわたるシール部が形成されているので、このシール部は、プラグ外周面と容器入口の内周面との間をシールする。

上述したプラグ構造の第２の態様において、前記鍔部は、上面の全周にわたって形成された第２シール部を備えていることが好ましく、これにより、キャップを取り付けた際には、鍔部上面の第２シール部が機能してシール性を向上させることができる。なお、上記第２シール部としては、たとえば鍔部や段差面の上面に形成された凸部、パッキン構造、そして、凸部とパッキン構造との組合せがある。
この場合、前記プラグ本体は、前記係止爪を備えたリング状の下部が上部本体に圧入して係合一体化されることが好ましく、これにより、係止爪等の凸部を型抜きにより容易に成形することができる。

本発明のプラグ構造に係る第３の態様は、容器入口に取り付けられて容器内に気体を供給する気体供給路と、前記容器内の液体を取り出すためのサイフォン管と、を備えているプラグ構造であって、前記気体供給路は、前記サイフォン管の外周を取り囲むようにリング状に形成される凹溝部の底面を貫通するとともに該凹溝部の内周側端部に配置されており、前記気体供給路の上面入口部に開口部へ向けて前記凹溝部の外周側から内周側へ低くなる傾斜面を形成したことを特徴とするものである。

このようなプラグ構造によれば、気体供給路の上面入口部に開口部へ向けて低くなる傾斜面が形成されているので、気体供給路上面入口付近の液体は速やかに流下して溜まることはない。

上述した本発明によれば、薬液等の液体を充填する容器に用いられ、液体を容器外へ送り出すサイフォン管を備えたプラグ構造が、容器入口のキャップ取付用ネジを外ネジとした容器に対して取付可能となる。
しかも、容器入口に圧入して確実に固定するとともに、容器入口との間やキャップとの間についても確実にシールすることができる。そして、気体供給路の上面入口部に開口部へ向けて低くなる傾斜面を形成したので、液体が容器内へ流下しやすくなって液溜まりや薬液の凝固を防止することができる。

本発明のプラグ構造に係る第１の実施形態を示す図で、容器に取り付けてキャップを閉めた状態を示す断面図である。 図１のプラグ構造において、キャップに代えてソケットを取り付けた組立状態を示す断面図である。 図１のプラグ構造を示す外観正面図である。 図３の平面図である。 図１のプラグ構造において、キャップに代えてソケットを取り付ける前の状態を示す断面図である。 本発明のプラグ構造に係る第２の実施形態を示す図で、上部本体に対して下部本体を圧入する前の別体状態の外観正面図である。 図６のプラグ構造について組立状態を示す外観正面図である。 第２の実施形態に係るプラグ構造の変形例を示す要部断面組立図である。 図１の変形例としてパッキン構造を示す断面図である。 図２の変形例としてパッキン構造を示す断面図である。

以下、本発明に係るプラグ構造の一実施形態を図面に基づいて説明する。
＜第１の実施形態＞
本発明に係るプラグ構造の第１の実施形態を図１〜図５に示して説明する。
図１及び図２において、図中の符号１は容器、１０はキャップ、２０はプラグ、５０はソケットである。本発明のプラグ２０は、容器１の内部に収容されている液体を取り出すため、容器１の内部に空気等の気体を導入し、その気体圧力により液体を容器１の外部へ送り出すサイフォン管方式に使用されるものである。

半導体高純度薬品等の薬液（液体）を充填する容器１は、たとえば耐薬品性の樹脂等の成形品である。容器１の上部には、液体の充填・取出用として容器入口２が設けられている。この容器入口２は、容器１の内部に薬液等の液体を充填したり、あるいは、容器１内の薬液を取り出す際に使用する開口部である。
容器入口２は、容器１の本体１ａから上方に突出して上端を開口させた円筒形状のノズルであり、たとえば図１に示すように、キャップ１０を取り付けることで容器１の開口部を密閉することができる。この場合のキャップ１０は、内周面に内ネジ１１が形成されたタイプとされ、容器入口２の外周面に形成された外ネジ３と螺合させて取り付けられるようになっている。

プラグ２０は樹脂等の成形部品であり、容器入口２の開口部に上方から圧入して取り付けられる。このプラグ２０は、たとえば図３及び図４に示すように、略円筒形状のプラグ本体２１に形成された気体供給路２２及びサイフォン管２３を備えている。
気体供給路２２は、外部から導入した気体を容器１内に供給するための流路である。この気体流路２２は、プラグ本体２１を軸方向に貫通する孔であり、プラグ本体２１の軸中心に配置されたサイフォン管２３を取り囲むようにして複数設けられている。図示の例では、図４に示すように、サイフォン管２３の外周を取り囲むようにリング状の凹溝部２４を形成し、その底面２４ａを貫通する気体供給路２２がサイフォン管２３の周囲に９０度ピッチで４箇所設けられている。

上述した気体流路２２の上面入口部は、たとえばすり鉢形状のように、気体流路２２の開口部へ向けて低くなる傾斜面を有することが望ましい。すなわち、底面２４ａに開口する気体流路２２の上面入口部周辺は、たとえば気体流路２２の開口角部を面取するなどして傾斜面を設け、底面２４ａ内に入り込んだ液体が滞留することなく低い開口位置へ容易に導かれる形状としている。
このような気体流路２２の上面入口部は、たとえば半導体製造工程のウエハ研磨工程で用いられる二酸化シリコン分散水溶液のように、凝固しやすいスラリー状の薬液等を取り扱う場合に有効である。すなわち、搬送時等の液面変化により凝固しやすい液体が気体流路２２を通り抜けて底面２４ａに入り込んだ場合など、気体流路２２の上面入口部がすり鉢形状のような傾斜面を有していれば、液体が底面２４ａ内に滞留することなく速やかに流出するので、底面２４ａ内に凝固して付着することを防止できる。なお、薬液が凝固して付着することは、変質等の原因となるため好ましくない。

サイフォン管２３は、容器１内の液体を気体の圧力で押し出して取り出すための流路であり、プラグ本体２１から容器１の底面近傍まで延在している。図示のサイフォン管２３は、たとえば図１及び図２に示すように、プラグ本体２１と一体に成形された部分に延長管２３ａを連結して必要な長さが確保されている。なお、以下の説明では、必要な場合を除き、延長管２３ａを含めた全体をサイフォン管２３と呼ぶ。
また、サイフォン管２３の上端入口部には、後述するソケット５０に設けられた液体流出用のバルブ５４を押し上げて開とするバルブ操作部２５が設けられている。このバルブ操作部２５は、バルブ５４の下端部が当接して押し上げられるように、サイフォン管２３の液体流路となる貫通部２５ａを残して上端入口部を部分的に（特に、軸中心位置）塞いだものである。なお、このバルブ操作部２５は、プラグ２０と組み合わせて使用するソケット５０のタイプ等に応じて不要となる場合もある。

上述したプラグ２０は、容器入口２に圧入されるプラグ本体２１の下部２６が半径方向に弾性変形可能とされ、かつ、プラグ本体２１の下部外周面２６ａに容器入口２の内壁面２ａ方向へ突出する係止爪２７が設けられている。
プラグ本体２１の下部２６は薄肉のリング形状とされ、適所に（たとえば９０度ピッチに４箇所）軸方向のスリット２８を設けることにより、半径方向の弾性変形を容易にしている。

また、上述した下部２６の下部外周面２６ａには、下端部側から上方へ拡径する係止爪２７が突設されている。この係止爪２７は、下端部の最小径が容器入口２の内径と略一致するか若干小径とされ、かつ、上端部の最大径が容器入口２の内径より適度に大きな値となるように設定されている。なお、係止爪２７の上端部は、最大径から縮径した段差部２７ａを備えている。
すなわち、プラグ本体２１の下部２６は、スリット２８により分割された薄肉の円筒スカート状とされ、下部外周面２６ａの下端部側に突設された外向きの係止爪２７を備えている。

このようなプラグ２０の構造としたので、容器入口２に圧入されたプラグ本体２１は、係止爪２７を設けた下部２６が突出分だけ半径方向内側（軸中心方向）へ弾性変形して所定位置まで通り抜ける。すなわち、プラグ本体２１の下端部は、係止爪２７の最大径部分が容器入口２の内径まで弾性変形により縮径して所定位置まで通り抜けると、弾性変形したプラグ本体２１の下部２６は、係止爪２７が元の形状に復帰しようとする方向の力により容器入口２の内壁面２ａへ押圧される。このとき、圧入により到達した係止爪２７の位置で容器入口２の内径が若干でも拡大していれば、係止爪２７の段差部２７ａが内壁面２ａに係止されてより確実な抜け止めとなる。なお、係止爪２７の断面形状については、図示の略台形形状に限定されることはなく、たとえば略三角形断面としてもよい。
従って、容器入口２に圧入されたプラグ２０は、係止爪２７を備えた下部２６の弾性により、容器入口２内に固定される。

また、上述したプラグ２０は、プラグ本体２１の上端部から外向きに形成されて容器入口２の上端面２ｂに係止される鍔部２９を備えている。そして、この鍔部２９が容器入口２の上端面２ｂと密着する下面２９ａには、全周にわたる凸部３０が形成されている。すなわち、プラグ本体２１の上端フランジ状に形成された鍔部２９の下面２９ａには、全周にわたってリング状の凸部３０が形成されている。この凸部３０は、液体の取出時に容器１とプラグ２０との間で気体の流出を防止するシール部として機能する。また、容器１の輸送時や転倒時においては、容器１とプラグ２０との間で気体や液体の流出を防止するシール部としても機能する。
さらに、上述した鍔部２９は、上面２９ｂにも全周にわたるリング状の凸部３１を形成しておくことが好ましい。この凸部３１は、プラグ２０を圧入した状態でキャップ１０を取り付ける際（図１参照）、容器１の輸送時や転倒時等において、液面の揺れ等により気体供給路２２を通り抜ける液体の流出を防止するシール部として機能する。

上述した構成のプラグ２０は、容器１内の液体を取り出す際、図２及び図５に示すように、キャップ１０を取り外してソケット５０を連結する。
ソケット５０は、ソケット本体５１と、このソケット本体５１をプラグ２０の所定位置に挿入した状態で容器１に固定するスリーブ６０とを備えている。ソケット本体５１は、略円柱状の部材に液体取出流路５２及び気体流路５３を設けたものである。

スリーブ６０は、ソケット本体５１の外周部を回動可能とされる。そして、スリーブ６０には、ソケット本体５１の軸方向移動を規制する凹凸の係合部６１が設けられるとともに、容器入口２の外ネジ３と螺合する内ネジ６２が内周面下端部側に形成されている。すなわち、ソケット５０を取り付ける際には、ソケット本体５１をプラグ２０の所定位置に挿入した後、スリーブ６０を回転させて内ネジ６２を外ネジ３に螺合させて締め込むと、係合部６１によりソケット本体５１が引き下げられ、プラグ２０に密着した状態で固定される。

液体取出流路５２は、ソケット本体５１の軸中心位置に形成された軸方向の貫通孔であり、その上端部には液体を流出させる外部管路の接続口５２ａが設けられている。この液体取出流路５２は、プラグ２０との連結状態において、容器１内に挿入されているサイフォン管２３と連通して一体の液体流路を形成する。なお、図示の接続口５２ａには、液体流出用外部管路の一端に取り付けられたプラグ（不図示）を螺合させて連結する内ネジが形成されている。
気体流路５３は、上述した液体取出流路５２と略平行に形成された貫通孔であり、一端が気体供給源に接続されるとともに、他端がプラグ２０の凹溝部２４から気体供給路２２に連通する流路となる。この気体流路５３は、気体供給源に接続される上端部に気体供給用外部管路の接続口５３ａが設けられている。なお、図示の接続口５３ａには、気体供給用外部管路の一端に取り付けられたプラグ（不図示）を螺合させて連結する内ネジが形成されている。

また、図示のソケット５０は、液体取出流路５２にバルブ５４を備えたタイプである。このバルブ５４は、弁体５４ａがばね５４ｂにより常時下向きの付勢を受けているので、プラグ２０に連結される前の状態では、弁体５４ａが弁座５４ｃに密着して液体取出流路５２を閉じている。
しかし、上述したソケット５０がプラグ２０の所定位置に取り付けられると、プラグ２０側に設けられたバルブ操作部２５がばね５４ｂの付勢に抗して弁体５４ａを押し上げるので、弁体５４ａは弁座５４ｃとの密着が解除される。こうしてバルブ５４が開となることにより、サイフォン管２３及び液体取出流路５２を通って容器１の外部へ流出する液体流路が形成される。

ところで、プラグ２０にソケット５０を取り付けて固定した図２の状態では、サイフォン管２３と液体取出流路５２との間を連通させた液体流路は、Ｏリング５５によりシールされている。また、気体流路５３から凹溝部２４を介して気体供給路２２に連通させた気体流路は、上述したＯリング５５により液体流路側との間がシールされ、さらに、ソケット本体５１に設けた段差面５６の凸部５６ａにより大気との間がシールされている。このようなシール状態は、ソケット５０のスリーブ６０が容器１の容器入口２に螺合して固定されることで、確実に維持される。
また、上述した凸部５６ａは、ソケット本体５１に設けた段差面５６と対向するプラグ本体２１側の段差面２１ａに押圧されてシールするものである。そして、段差面２１ａのシール機能を確実にするため、図２に示すように、容器入口２にソケット５０を取り付けた状態において、上述した凸部３１の上部とソケット本体５１及びスリーブ６０との間には、締め代となる隙間３２を形成しておくことが好ましい。なお、この部分のシールについては、プラグ本体２１側の段差面２１ａに凸部を設けて対応してもよい。

また、上述したプラグ２０及びソケット５０は、図２及び図５に示すように、スリーブ６０に形成した内ネジ６２の有効ネジ長さをＡ、Ｏリング５５の取付高さをＢ、弁体５４ａの下端突出量をＣとした場合、各値の関係がＡ＞Ｂ＞Ｃとなるように設定することが望ましい。
このような寸法設定にすれば、スリーブ６０を回転させてソケット５０を取り外す際、弁体５４ａの下端突出量Ｃが最も小さな寸法に設定されているので、Ｏリング５５のシールが有効な状態でバルブ５４が閉じる。このため、バルブ５４より上部となる液体取出流路５２内の液体は、ソケット５０の取り外しにより流出することはない。

また、内ネジ６２の有効長さＡよりＯリング５の取付高さＢが小さいため、Ｏリング５５のシールが有効な状態ではスリーブ６０の螺合が残っている。すなわち、Ｏリング５５が抜けた状態では内ネジ６２の螺合が残っているので、サイフォン管２３が大気に開放された後にソケット５０が取り外されることとなる。従って、バルブ５４より下方の液体は、気体流路２２を通って容器１内へ速やかに流下するので、外部へ漏出することはない。なお、プラグ２０にソケット５０を取り付ける際には、スリーブ６０を回転させてねじ込むことで、Ｏリング５５を容易に押し込むことができる。

＜第２の実施形態＞
次に、本発明に係るプラグ構造について、第２の実施形態を図６から図８に基づいて説明する。なお、上述した第１の実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図６及び図７に示すプラグ２０Ａは、プラグ本体２１Ａが二部品よりなる別体構造とされる。すなわち、プラグ本体２１Ａは、上部本体４０に対して係止爪２７を備えたリング状の下部本体４１を圧入することで、係合一体化させたものである。

このような別体構造のプラグ２０Ａは、一体構造では型抜きによる成形が困難だった係止部２７等の凸部について、上部本体４０及び下部本体４１を各々別部品として型抜きにより容易に成形することができる。従って、一体構造のプラグ２０と比較して、別体構造のプラグ２０Ａは生産性向上やコストの面で有利になる。なお、上部本体４０と下部本体４１との間は、凹凸の係合部４２により一端圧入すれば確実に係合状態が維持される。

また、図８に示す変形例のプラグ２０Ｂは、気体流路を形成する気体供給路２２Ａや組み合わせて使用するソケット５０Ａのタイプが異なっている。しかし、プラグ２０Ｂのプラグ本体２１Ｂが二部品よりなる別体構造であることに変わりはなく、プラグ本体２１ＢＡは、上部本体４０Ａに対して係止爪２７を備えたリング状の下部本体４１Ａを圧入して係合一体化させたものである。
このような別体構造のプラグ２０Ｂとしても、一体構造では型抜きによる成形が困難だった係止部２７等の凸部について、上部本体４０Ａ及び下部本体４１Ａを各々別部品として型抜きにより容易に成形することができる。

上述したように、本発明のプラグ構造によれば、薬液等の液体を充填する容器１に用いられ、気体の圧力で液体を容器１の外部へ送り出すサイフォン管２３を備えたプラグ２０は、容器入口２のキャップ取付用ネジが外ネジ３の容器１に対して取付可能となる。さらに、弾性を有する下部２６に設けた係止爪２７の作用により、プラグ２０を容器入口２に圧入して確実に固定するとともに、容器入口２との間やキャップ１０との間についても確実にシールすることができる。

また、気体供給路２２の上面入口部をすり鉢形状の傾斜面に形成することで、液体が容器１内へ流下しやすくなるので、液溜まりや薬液の凝固を防止することができる。このようにして、気体供給路２２の上面入口部が傾斜面を有するすり鉢形状等の形状に形成される構造については、上述した本発明のプラグ構造に限定されることはなく、特に、凝固しやすい液体を取り扱うプラグ形状においては、容器入口２に取り付けられて容器１内に気体を供給する気体供給路２２及び気体の圧力で容器内の液体を取り出すためのサイフォン管２３を備えているプラグ構造の全般に適用可能である。

ところで、上述した二つの実施形態では、プラグ本体２１の上端部から外向きに形成されて容器入口２の上端面２ｂに係止される鍔部２９を備え、この鍔部２９が容器入口２の上端面２ｂと密着する下面２９ａにシール部となる凸部３０を形成してシール機能を得ているが、このようなシール機能を得るため、たとえば図９及び図１０に示すように、プラグ２０′にパッキン構造のシール部を適用した変形例を採用してもよい。なお、この変形例では、気体流路２２が凹溝部２４の内周側端部付近に配置されているので、液体の滞留を防止する傾斜面は、気体流路２２の開口部に向けて外周側から内周側へ低くなるように形成されている。
すなわち、プラグ本体２１は、鍔部２９の下面に配設したパッキン７０を備えており、このパッキン７０が容器入口２の上端面２ｂとプラグ本体２１の鍔部２９との間で圧縮されることによりシール機能が得られる。なお、プラグ本体２１側には、パッキン７０が脱落しないように取付用の凹部を設けておくことが好ましい。

このようなパッキン構造としても、パッキン７０は、液体の取出時に容器１とプラグ２０との間で気体の流出を防止するシール部として機能するだけでなく、容器１の輸送時や転倒時においては、容器１とプラグ２０との間で気体や液体の流出を防止するシール部として機能する。なお、パッキン構造を採用する場合においては、上述した鍔部２９の凸部３０があればパッキン７０に食い込むので、そのシール機能はより一層向上する。

同様のパッキン構造は、段差面２１ａ，５６間におけるシール部の変形例としても採用することができる。
この変形例では、たとえば図１０に示すように、プラグ本体２１の段差面２１ｂとソケット本体５１の段差面５６との間に、全周にわたってパッキン７１を配設したパッキン構造のシール部が形成されている。図示のシール部では、段差面２１ａに凸部２１ｂを設けてパッキン７１に食い込ませているが、段差面２１ａ，５６のいずれか一方または両方に凸部を設けてもよい。そして、この変形例においても、容器入口２にソケット５０を取り付けた図１０の状態で段差面２１ａ，５６間のシール機能を確実にするため、上述した凸部３１の上部とソケット本体５１及びスリーブ６０との間に締め代となる隙間３２が形成されている。
なお、上述したパッキン７１の設置位置は、段差面２１ａ，５６間に限定されることはなく、たとえば上面２９ｂの全周にわたって配設してもよい。

また、プラグ２０′の内径Ｄ寸法については、容器１の種類によるものの、容器１側にもともと付いているキャップ１０のシール構造を利用できるように設定されている。
また、上述した実施形態では、容器１内から液体を取り出す場合、容器１内に気体圧力を供給して液面に圧力を作用させ、この圧力により液体を押し出すようにして取り出しているが、ソケット５０の液体取出流路５２に配管を接続してポンプにより液出しすることも可能である。この場合、気体流路５３は、液が減少した分だけ容器１内に大気等を供給して置換するための流路となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。

１ 容器
２ 容器入口
３ 外ネジ
１０ キャップ
１１ 内ネジ
２０，２０′，２０Ａ，２０Ｂ プラグ
２１，２１Ａ，２１Ｂ プラグ本体
２２，２２Ａ 気体流路
２３ サイフォン管
２４ 凹溝部
２６ 下部
２６ａ 下部外周面
２７ 係止爪
２９ 鍔部
３０，３１，５６ａ 凸部
４０，４０Ａ 上部本体
４１，４１Ａ 下部本体
５０，５０Ａ ソケット
５１ ソケット本体
５２ 液体取出流路
５３ 気体流路
５６ 段差面
６０ スリーブ
７０，７１ パッキン

Claims (6)

1. 容器入口のキャップ取付用ネジが外ネジの容器に用いられ、前記容器入口に取り付けられるとともに容器内の液体を取り出すためのサイフォン管を備えているプラグ構造であって、
   前記容器入口に圧入されるプラグのプラグ本体は、前記容器入口の内壁面方向へ突出する係止爪を下部外周面に備えたリング形状とされ、かつ、前記リング形状の下端部側に軸方向のスリットを設けて周方向を分割し、前記下端部側を半径方向に弾性変形可能にするとともに、
   前記係止爪は、下端部の最小径が前記容器入口の内径と一致するか小径とされ、かつ、上端部の最大径が前記容器入口の内径より大きな値に設定されており、
   前記プラグ本体は、弾性変形した前記係止爪が元の形状に復帰しようとする方向の力によって前記係止爪の段差部を前記容器入口の内壁面に係止することにより固定されているプラグ構造。
2. 前記プラグ本体の上端部から外向きに形成されて前記容器入口の上端面に係止される鍔部を備え、該鍔部が前記容器入口の上端面と密着する下面に、全周にわたる第１シール部が形成されている請求項１に記載のプラグ構造。
3. 前記鍔部が、上面の全周にわたって形成された第２シール部を備えている請求項２に記載のプラグ構造。
4. 前記プラグ本体は、前記係止爪を備えたリング状の下部が上部本体に圧入して係合一体化される請求項２または３に記載のプラグ構造。
5. 前記プラグ本体は、前記鍔部が前記容器入口の前記上端面に係止された状態で、前記係止爪の前記段差部を前記容器入口の内壁面に係止することにより固定されている請求項２から請求項４のいずれか１項に記載のプラグ構造。
6. 容器入口に取り付けられて容器内に気体を供給する気体供給路と、
   前記容器内の液体を取り出すためのサイフォン管と、を備えているプラグ構造であって、
   前記気体供給路は、前記サイフォン管の外周を取り囲むようにリング状に形成される凹溝部の底面を貫通するとともに該凹溝部の内周側端部に配置されており、
   前記気体供給路の上面入口部に開口部へ向けて前記凹溝部の外周側から内周側へ低くなる傾斜面を形成したプラグ構造。

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