以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図面では、同一の部分または対応する部分に同一符号を付してある。
最初に、車両用ライト制御装置(以下、単に「ライト制御装置」という。)の構成につき、図1を参照しながら説明する。図1において、ライト制御装置100は、赤外線センサ1と、赤外線照度検出部2と、可視光センサ3と、可視光照度検出部4と、制御部5と、記憶部6とを備えている。
赤外線センサ1は、例えば、車内のダッシュボードに設けられており、車両の周囲の赤外線を検出する。赤外線照度検出部2は、赤外線センサ1の出力から赤外線の照度を検出する。可視光センサ3は、例えば、車内のダッシュボードに設けられており、車両の周囲の可視光を検出する。可視光照度検出部4は、可視光センサ3の出力から可視光の照度を検出する。
記憶部6には、閾値Th1〜閾値Th5と基準回数Nが記憶されている。制御部5には、CPU(Central Processing Unit)やライト7の駆動回路などが含まれる。また、制御部5には、カウンタ5a、5bが備わっている。カウンタ5aは後述する増減連続回数nをカウントし、カウンタ5bは後述する変数xをカウントする。制御部5は、赤外線照度検出部2で検出された赤外線の照度と、可視光照度検出部4で検出された可視光の照度と、記憶部6に記憶されている閾値Th1〜Th5および基準回数Nとに基づいて、ライト7の点消灯を制御する。制御部5の動作に必要な制御プログラムは、記憶部6に記憶されている(図示省略)。また、記憶部6には、各時刻で検出された赤外線照度および可視光照度が記憶される領域が設けられている(図示省略)。ライト7は、ヘッドライトや補助ライトなどの車外灯からなる。
次に、上述したライト制御装置100において木漏れ日を検知する原理を、図2および図3により説明する。
図2において、(a)は、車両10が街路樹60の横を走行する様子を示した図である。(b)は、車両10の赤外線照度検出部2で検出される赤外線照度の時間的変化の例を模式的に示した図である。(c)は、車両10の可視光照度検出部4で検出される可視光照度の時間的変化の例を模式的に示した図である。
図2(a)のように、街路樹60の木の葉の間からは、太陽70の光による木漏れ日71が降り注いでいる。この状態で、車両10が街路樹60の横を走行すると、車両10は、日陰の暗い箇所と木漏れ日の明るい箇所とが混在する領域を通過することになる。このため、赤外線照度検出部2および可視光照度検出部4で検出される各照度は、図2(b),(c)のようにランダムな増減を繰り返す。
ところで、車両10がトンネル(図示省略)の中を走行する場合を考えると、トンネル内では太陽光が遮られるため、太陽光に含まれる赤外線と可視光は、赤外線照度検出部2および可視光照度検出部4で検出されない。一方、トンネル内には、照明灯が所定間隔で設置されている。照明灯がナトリウムランプの場合は、可視光の光量が圧倒的に多く、赤外線の光量は僅かである。このため、照明灯の設置箇所では、可視光照度検出部4で検出される可視光照度は大きいが、赤外線照度検出部2で検出される赤外線照度は小さな値となる。また、照明灯のない箇所では、可視光照度と赤外線照度は、共に小さな値となる。したがって、車両10の走行に伴って、可視光照度は一定以上の増減幅で変動するが、赤外線照度は殆ど変動しない。
これに対し、図2(a)のように、車両10が街路樹60の横を走行する場合は、木漏れ日71の箇所では、太陽光に含まれる赤外線と可視光により、赤外線照度検出部2および可視光照度検出部4で検出される各照度は、共に大きな値となる。また、日陰の箇所では、太陽光が遮られて、赤外線照度検出部2および可視光照度検出部4で検出される各照度は、共に小さな値となる。したがって、車両10の走行に伴って、赤外線照度と可視光照度は、図2(b),(c)のように、共に一定以上の増減幅で変動する。
このように、車両10が木漏れ日71の場所を走行する場合は、トンネル内を走行する場合と異なり、赤外線照度検出部2で検出される赤外線照度と、可視光照度検出部4で検出される可視光照度のいずれもが、一定以上の増減幅で変動する。したがって、赤外線と可視光の各照度の増減を制御部5(図1)で監視することにより、木漏れ日71を検知することができる。
次に、木漏れ日を検知する具体的な方法を、図3により説明する。
図3(a),(b)は、車両10が街路樹60の横を走行する場合の、赤外線照度A(x)の変化と可視光照度B(x)の変化を模式的に表した図である(xの意味については後述)。t0,t1,t2,…は各照度を検出するタイミング(検出時刻)を表している。Th1〜Th5は閾値であって、これらは前述のように記憶部6(図1)に記憶されている。Th1は、赤外線に対して設定された、消灯判定用の消灯閾値(第1閾値)である。Th2は、赤外線に対して設定された、点灯判定用の点灯閾値(第2閾値)である。Th1とTh2は、Th1>Th2の関係にある。Th3は、可視光に対して設定された、消灯判定用の消灯閾値(第3閾値)である。Th4は、可視光に対して設定された、点灯判定用の点灯閾値(第4閾値)である。Th5は、可視光に対して設定された、照度低下判定用の照度低下閾値(第5閾値)である。Th3〜Th5は、Th5>Th3>Th4の関係にある。
制御部5は、赤外線照度検出部2で検出される赤外線照度A(x)と、可視光照度検出部4で検出される可視光照度B(x)と、閾値Th1〜Th5とに基づき、以下のようにして木漏れ日を検知する。
図2(a)のように車両10が街路樹60の横を走行すると、車両10の周囲が少し暗くなるため、図3(b)のように、可視光照度B(x)が閾値Th5を下回る。また、前述したように、木漏れ日71の場所では、赤外線照度と可視光照度が共に大きくなり、日陰の場所では、赤外線照度と可視光照度が共に小さくなる。そして、車両10の走行に伴い、赤外線と可視光の各照度は一定以上の増減幅で変動する。
そこで、各タイミングで検出した可視光照度が閾値Th5未満であれば、当該可視光照度を前回(1つ前のタイミング)の可視光照度と比較し、今回の可視光照度が、前回の可視光照度の増減方向と同じ方向へ増加または減少したか否かを検証する。例えば、前回の可視光照度が、前々回(2つ前のタイミング)の可視光照度より減少しておれば、前回の可視光照度の増減方向は減少方向である。したがって、今回の可視光照度が、前回の可視光照度より減少しておれば、今回の可視光照度は、前回の可視光照度の増減方向(減少方向)と同じ方向へ減少したことになる。
可視光照度が同じ方向へ連続して増減した場合は、当該連続回数が所定回数を超える前に可視光照度が反転した(それまでとは異なる方向へ増減した)か否か、を検証する。そして、可視光照度が反転した場合は、そのときの可視光照度と赤外線照度が、次の(1),(2)のいずれかの条件を満たすか否かをさらに検証し、満たすときは、車両10が木漏れ日71の場所を走行中と判定する。
(1)赤外線照度A(x)≧消灯閾値Th1、かつ、可視光照度B(x)≧消灯閾値Th3
(2)赤外線照度A(x)≦点灯閾値Th2、かつ、可視光照度B(x)≦点灯閾値Th4
これを図3の例でさらに詳しく説明する。図3では、説明の便宜上、時刻t0から赤外線照度および可視光照度の検出が開始されるものとする。nは、カウンタ5a(図1)の計数値であり、可視光照度が連続して同じ方向へ増加または減少した増減連続回数を表している。nの初期値は0である。なお、基準回数Nは、N=2とする。
時刻t0では、赤外線照度A(x)の最初の検出値と、可視光照度B(x)の最初の検出値が取得される。この時点では、木漏れ日の判定は行わない。
時刻t1では、可視光照度B(x)は、1つ前の時刻t0の可視光照度から減少している。しかし、時刻t0の可視光照度は、初回の検出値であって、前回に対する増減方向を持たないので、時刻t1の可視光照度は、時刻t0の可視光照度の増減方向と同じ方向へ減少したことにはならない。この場合は、後述するように、上記(1),(2)の条件についての検証が行われる。そして、時刻t1では、A(x)<Th2、B(x)<Th4となっている。したがって、前記(2)の条件が満たされるので、車両10が木漏れ日71の場所を走行中と判定する。
このように時刻t1で木漏れ日が検知されると、点消灯制御のモードが、通常モードから特殊モードに切り替わる。この特殊モードを、以下では「木漏れ日モード」という。木漏れ日モードの詳細については、後述する。
なお、本発明において、モードが切り替わるとは、例えば、コンピュータプログラムに基づく1つの処理フローにおいて、条件により分岐される複数の処理が存在する場合に、条件に応じて異なる処理が選択されることをいう。あるいは、処理フロー全体が複数存在していて、1つの処理フローから他の処理フローへ切り替わることをいう。
時刻t2では、可視光照度B(x)は、1つ前の時刻t1の可視光照度から、増加方向へ反転している。時刻t3では、可視光照度B(x)は、1つ前の時刻t2の可視光照度から、減少方向へ反転している。いずれの場合も、赤外線照度A(x)と可視光照度B(x)は前記(1),(2)の条件を満たさないので、木漏れ日とは判定されない。
時刻t4では、可視光照度B(x)は、1つ前の時刻t3の可視光照度の増減方向(減少方向)と同じ方向へ連続して減少している。但し、この連続減少はまだ1回目(n=1)であり、基準回数(N=2)を超えていない。このとき、赤外線照度A(x)は閾値Th2以下であるが、可視光照度B(x)は閾値Th4より大きいので、前記(1),(2)の条件は満たされず、木漏れ日とは判定されない。
時刻t5では、可視光照度B(x)は、1つ前の時刻t4の可視光照度から、増加方向へ反転している。このとき、赤外線照度A(x)は閾値Th1以上であり、可視光照度B(x)も閾値Th3以上となっている。したがって、前記(1)の条件が満たされるので、時刻t5において木漏れ日が検知される。このため、時刻t1と同様に、点消灯制御のモードが木漏れ日モードとなる(詳細は後述)。
時刻t6では、可視光照度B(x)は、1つ前の時刻t5の可視光照度から、減少方向へ反転している。そして、時刻t6〜t10の区間で、可視光照度B(x)は、4回(n=4)連続して同じ方向へ減少しており、この間、減少から増加への反転はない。このため、時刻t10において、赤外線照度A(x)と可視光照度B(x)が前記(2)の条件を満たしても、増減連続回数n(n=4)が基準回数N(N=2)を超えているので、木漏れ日とは判定されない。
このように、可視光照度B(x)の増減連続回数nが、基準回数Nを超えた場合は、車両10が木漏れ日71の場所から抜けたと判断する。そして、時刻t11以降は、木漏れ日モードを終了して、通常モードによるオートライト制御に切り替える。
図4のフローチャートは、上述した木漏れ日検知の手順を示している。本フローチャートの各ステップは、制御部5のCPUにより、一定周期で繰り返し実行される。以下、図4の手順を、図3も参照しながら詳細に説明する。
ステップS1では、赤外線照度検出部2から赤外線照度A(x)が取得され、可視光照度検出部4から可視光照度B(x)が取得される。ここでxは、カウンタ5b(図1)の計数値であって、図3の時刻tx(x=0,1,2,…)に対応する変数である。A(x)は時刻txにおける赤外線照度、B(x)は時刻txにおける可視光照度の値を表している。xの初期値は0である。
図3の時刻t0では、ステップS1において赤外線照度A(0)と可視光照度B(0)が取得される。そして、続くステップS2において、ステップS1で取得された可視光照度B(0)が、閾値Th5(照度低下閾値)より小さいか否かが判定される。
判定の結果、B(0)<Th5であれば(ステップS2;YES)、ステップS3へ進み、B(0)<Th5でなければ(ステップS2;NO)、ステップS3以下を実行することなく、処理を終了する。
図2(a)のように車両10が街路樹60の横を走行する場合は、可視光の光量が低下するため、ステップS2でB(0)<Th5となり、ステップS3へ進む。ステップS3では、ステップS1で取得された赤外線照度A(0)と可視光照度B(0)の各値が、記憶部6のメモリの所定領域に格納される。
次に、ステップS4において、x=0であるか否かが判定される。判定の結果、x=0であれば(ステップS4;YES)、ステップS5へ進み、x=0でなければ(ステップS4;NO)、ステップS6へ進む。今の場合はx=0であるので、ステップS5へ進む。ステップS5では、x=x+1の演算により、xに1が加算される。これにより、x=1となる。
ステップS5を実行した後は、ステップS1に戻り、次の時刻t1おける赤外線照度A(1)と可視光照度B(1)が取得される。そして、ステップS2でB(1)<Th5であるので(ステップS2;YES)、ステップS3で、赤外線照度A(1)と可視光照度B(1)がメモリに格納され、その後ステップS4に進む。今の場合はx=1であるので、ステップS4の判定はNOとなり、ステップS6に進む。
ステップS6では、可視光照度B(x)が、前回の増減方向と同じ方向へ増加または減少したか否かが判定される。時刻t1では、前述したように、前回(時刻t0)の可視光照度B(0)が増減方向を持たないことから、可視光照度B(1)は、可視光照度(0)の増減方向と同じ方向へ減少したことにはならない。したがって、ステップS6の判定はNOとなり、ステップS8へ進む。
ステップS8では、可視光照度の増減連続回数nと基準回数Nとを比較し、nがN以下(n≦N)か否かが判定される。判定の結果、n≦Nであれば(ステップS8;YES)、ステップS9へ進み、n≦Nでなければ、すなわちn>Nであれば(ステップS8;NO)、処理を終了する。今の場合、可視光照度B(1)は連続して減少していない(n=0)ので、ステップS8の判定はYESとなり、ステップS9に進む。
ステップS9では、nの値がリセットされ、その後ステップS10に進む。ステップS10では、赤外線照度A(x)≧消灯閾値Th1で、かつ可視光照度B(x)≧閾値閾値Th3、または、赤外線照度照度A(x)≦点灯閾値Th2で、かつ可視光照度B(x)≦点灯閾値Th4が成立するか否かが判定される。すなわち、前述した(1),(2)のいずれかの条件を満たすか否かが判定される。時刻t1では、A(1)≦Th2かつB(1)≦Th4なので、ステップS10の判定はYESとなり、ステップS11へ進む。
ステップS11では、木漏れ日が検知され、時刻t1で車両10が木漏れ日71の場所を走行中と判定される。そして、前述したように木漏れ日モードによるオートライト制御へ移行する(詳細は後述)。
その後、ステップS5でxに1を加算してx=2とした後、ステップS1に戻り、次の時刻t2おける赤外線照度A(2)と可視光照度B(2)を取得する。ステップS2では、B(2)<Th5であるので、判定はYESとなり、ステップS3で、赤外線照度A(2)と可視光照度B(2)がメモリに格納される。ステップS4では、x=2であるので、判定はNOとなり、ステップS6に進む。
ステップS6においては、時刻t2での可視光照度B(2)が、前回(時刻t1)の可視光照度B(1)から増加するように反転しているので、判定はNOとなり、ステップS8へ進む。ステップS8では、可視光照度B(2)は連続して増加していない(n=0)ので、判定はYESとなりステップS9に進む。ステップS9でnの値がリセットされた後、ステップS10に進む。
ステップS10においては、時刻t2での赤外線照度照度A(2)は、Th2<A(2)<Th1で、可視光照度B(2)は、B(2)>Th3なので、ステップS10の判定はNOとなる。このため、ステップS11を実行せずに、ステップS5でxに1を加算してx=3とした後、ステップS1に戻る。
ステップS1に戻ると、次の時刻t3おける赤外線照度A(3)と可視光照度B(3)が取得される。ステップS2では、B(3)<Th5であるので、判定はYESとなり、ステップS3で、赤外線照度A(3)と可視光照度B(3)がメモリに格納される。ステップS4では、x=3であるので、判定はNOとなり、ステップS6に進む。
ステップS6においては、時刻t3での可視光照度B(3)が、前回(時刻t2)の可視光照度B(2)から減少するように反転しているので、判定はNOとなり、ステップS8へ進む。ステップS8では、可視光照度B(3)は連続して減少していない(n=0)ので、判定はYESとなりステップS9に進む。ステップS9でnの値がリセットされた後、ステップS10に進む。
ステップS10においては、時刻t3での赤外線照度照度A(3)は、Th2<A(3)<Th1で、可視光照度B(3)は、Th4<B(3)<Th3なので、ステップS10の判定はNOとなり、ステップS11を実行せずに、ステップS5でxに1を加算してx=4とした後、ステップS1に戻る。
ステップS1に戻ると、次の時刻t4おける赤外線照度A(4)と可視光照度B(4)が取得される。ステップS2では、B(4)<Th5であるので、判定はYESとなり、ステップS3で、赤外線照度A(4)と可視光照度B(4)がメモリに格納される。ステップS4では、x=4であるので、判定はNOとなり、ステップS6に進む。
ステップS6においては、時刻t4での可視光照度B(4)は、前回(時刻t3)の可視光照度B(3)の増減方向(減少方向)と同じ方向に減少しているので、判定はYESとなる。このため、ステップS7へ進んで、nの値に1が加算されてn=1となる。その後、ステップS5でxの値に1を加算してx=5とした後、ステップS1に戻る。
ステップS1に戻ると、次の時刻t5おける赤外線照度A(5)と可視光照度B(5)が取得される。ステップS2では、B(5)<Th5であるので、判定はYESとなり、ステップS3で、赤外線照度A(5)と可視光照度B(5)がメモリに格納される。ステップS4では、x=5であるので、判定はNOとなり、ステップS6に進む。
ステップS6においては、時刻t5での可視光照度B(5)は、前回(時刻t4)の可視光照度B(4)から増加するように反転しているので、判定はNOとなり、ステップS8へ進む。ステップS8では、n=1であるので、判定はYESとなり、ステップS9に進む。ステップS9でnの値がリセットされた後、ステップS10に進む。
ステップS10においては、時刻t5では、A(5)>Th1かつB(5)>Th3なので、判定はYESとなり、ステップS11へ進む。ステップS11では、木漏れ日が検知され、時刻t5で車両10が木漏れ日71の場所を走行中と判定される。そして、後述する木漏れ日モードによるオートライト制御が行われる。
その後、ステップS5でxに1を加算してx=6とした後、ステップS1に戻り、次の時刻t6おける赤外線照度A(6)と可視光照度B(6)を取得する。ステップS2では、B(6)<Th5であるので、判定はYESとなり、ステップS3で、赤外線照度A(6)と可視光照度B(6)がメモリに格納される。ステップS4では、x=6であるので、判定はNOとなり、ステップS6に進む。
ステップS6においては、時刻t6での可視光照度B(6)が、前回(時刻t5)の可視光照度B(5)から減少するように反転しているので、判定はNOとなり、ステップS8へ進む。ステップS8では、可視光照度B(6)は連続して減少していない(n=0)ので、判定はYESとなりステップS9に進む。ステップS9でnの値がリセットされた後、ステップS10に進む。
ステップS10においては、時刻t6での赤外線照度照度A(6)は、Th2<A(6)<Th1で、可視光照度B(6)は、Th4<B(6)<Th3なので、ステップS10の判定はNOとなる。このため、ステップS11を実行せずに、ステップS5でxに1を加算してx=7とした後、ステップS1に戻る。
ステップS1に戻ると、次の時刻t7おける赤外線照度A(7)と可視光照度B(7)が取得される。ステップS2では、B(7)<Th5であるので、判定はYESとなり、ステップS3で、赤外線照度A(7)と可視光照度B(7)がメモリに格納される。ステップS4では、x=7であるので、判定はNOとなり、ステップS6に進む。
ステップS6においては、時刻t7での可視光照度B(7)は、前回(時刻t6)の可視光照度B(6)の増減方向(減少方向)と同じ方向に減少しているので、判定はYESとなる。このため、ステップS7へ進んで、nの値に1が加算されてn=1となる。その後、ステップS5でxの値に1を加算してx=8とした後、ステップS1に戻る。
ステップS1に戻ると、次の時刻t8おける赤外線照度A(8)と可視光照度B(8)が取得される。ステップS2では、B(8)<Th5であるので、判定はYESとなり、ステップS3で、赤外線照度A(8)と可視光照度B(8)がメモリに格納される。ステップS4では、x=8であるので、判定はNOとなり、ステップS6に進む。
ステップS6においては、時刻t8での可視光照度B(8)は、前回(時刻t7)の可視光照度B(7)の増減方向(減少方向)と同じ方向にさらに減少しているので、判定はYESとなる。このため、ステップS7へ進んで、nの値に1が加算されてn=2となる。その後、ステップS5でxの値に1を加算してx=9とした後、ステップS1に戻る。
ステップS1に戻ると、次の時刻t9おける赤外線照度A(9)と可視光照度B(9)が取得される。ステップS2では、B(9)<Th5であるので、判定はYESとなり、ステップS3で、赤外線照度A(9)と可視光照度B(9)がメモリに格納される。ステップS4では、x=9であるので、判定はNOとなり、ステップS6に進む。
ステップS6においては、時刻t9での可視光照度B(9)は、前回(時刻t8)の可視光照度B(8)の増減方向(減少方向)と同じ方向にさらに減少しているので、判定はNOとなる。このため、ステップS7へ進んで、nの値に1が加算されてn=3となる。その後、ステップS5でxの値に1を加算してx=10とした後、ステップS1に戻る。
ステップS1に戻ると、次の時刻t10おける赤外線照度A(10)と可視光照度B(10)が取得される。ステップS2では、B(10)<Th5であるので、判定はYESとなり、ステップS3で、赤外線照度A(10)と可視光照度B(10)がメモリに格納される。ステップS4では、x=10であるので、判定はNOとなり、ステップS6に進む。
ステップS6においては、時刻t10での可視光照度B(10)は、前回(時刻t9)の可視光照度B(9)の増減方向(減少方向)と同じ方向にさらに減少しているので、判定はNOとなる。このため、ステップS7へ進んで、nの値に1が加算されてn=4となる。その後、ステップS5でxの値に1を加算してx=11とした後、ステップS1に戻る。
ステップS1に戻ると、次の時刻t11おける赤外線照度A(11)と可視光照度B(11)が取得される。ステップS2では、B(11)<Th5であるので、判定はYESとなり、ステップS3で、赤外線照度A(11)と可視光照度B(11)がメモリに格納される。ステップS4では、x=11であるので、判定はNOとなり、ステップS6に進む。
ステップS6においては、時刻t11での可視光照度B(11)が、前回(時刻t10)の可視光照度B(10)から増加するように反転しているので、判定はNOとなり、ステップS8へ進む。ステップS8では、nの値はn=4で基準回数N=2を超えているため(n>N)、判定はNOとなり、ステップS9以降を実行することなく処理を終了する。これにより、木漏れ日モードによるオートライト制御が終了し、通常モードによるオートライト制御に移行する。
以上のように、本実施形態では、以下の(a)〜(c)の条件がすべて満たされた場合に、木漏れ日71のような明暗の繰り返しが連続している場所を車両10が走行していると判断し、点消灯制御のモードを木漏れ日モードに切り替える。
(a)可視光照度B(x)が照度低下閾値Th5より小さい(ステップS2;YES)。
(b)可視光照度B(x)の増減連続回数nが基準回数Nを超えるまでに、可視光照度B(x)の増減方向が反転した(ステップS6;NO、ステップS8;YES)。
(c)可視光照度B(x)が反転した時刻において、赤外線照度(x)と可視光照度B(x)が共に、消灯閾値(Th1、Th3)以上、または点灯閾値(Th2、Th4)以下である(ステップS10;YES)。
次に、木漏れ日モードの詳細について説明する。図5は、制御部5における木漏れ日モードの機能ブロック図である。木漏れ日検知部51は、上述した図4の手順に従って木漏れ日を検知する。平均照度演算部52は、木漏れ日検知部51からの木漏れ日検知信号と、記憶部6に記憶されている、各時刻で検出された赤外線照度A(x)および可視光照度B(x)とに基づいて、赤外線と可視光のそれぞれの平均照度を演算する。比較部53は、平均照度演算部52で演算された赤外線の平均照度および可視光の平均照度と、記憶部6に記憶されている閾値とを比較する。点消灯判定部54は、比較部53の比較結果に基づいて、ライト7の点灯・消灯の要否を判定し、当該判定結果に応じて点灯信号または消灯信号を出力する。
図5において、制御部5は、以下のような処理を行う。木漏れ日検知部51は、図4のステップS11において木漏れ日を検知すると、木漏れ日検知信号を平均照度演算部52へ出力する。この信号には、木漏れ日検知時の時刻情報(図3のt0,t1,t2,…)も含まれている。平均照度演算部52は、木漏れ日検知部51から木漏れ日検知信号を受信すると、記憶部6から読み出す赤外線照度A(x)と可視光照度B(x)の数を、通常モードの場合よりも増やす。
たとえば、図3の時刻t1において、木漏れ日が検知され、木漏れ日検知部51から木漏れ日検知信号が出力された場合、平均照度演算部52は、まず時刻t1の赤外線照度A(1)と可視光照度B(1)を記憶部6から読み出す。また、時刻t2〜t4で赤外線照度A(2)〜A(4)と可視光照度B(2)〜B(4)が検出されるのを待って、これらも記憶部6から読み出す。そして、赤外線と可視光のそれぞれの4つの検出照度A(1)〜A(4)、B(1)〜B(4)を用いて、赤外線の平均照度Amと可視光の平均照度Bmを、次式により算出する。
Am=〔A(1)+A(2)+A(3)+A(4)〕/4
Bm=〔B(1)+B(2)+B(3)+B(4)〕/4
同様に、図3の時刻t5において、木漏れ日が検知され、木漏れ日検知部51から木漏れ日検知信号が出力された場合、平均照度演算部52は、まず時刻t5の赤外線照度A(5)と可視光照度B(5)を記憶部6から読み出す。また、時刻t6〜t8で赤外線照度A(6)〜A(8)と可視光照度B(6)〜B(8)が検出されるのを待って、これらも記憶部6から読み出す。そして、赤外線と可視光のそれぞれの4つの検出照度A(5)〜A(8)、B(5)〜B(8)を用いて、赤外線の平均照度Amと可視光の平均照度Bmを、次式により算出する。
Am=〔A(5)+A(6)+A(7)+A(8)〕/4
Bm=〔B(5)+B(6)+B(7)+B(8)〕/4
比較部53は、上記それぞれの場合の赤外線の平均照度Amと、記憶部6に記憶されている閾値Th1,Th2とを比較し、また、上記それぞれの場合の可視光の平均照度Bmと、記憶部6に記憶されている閾値Th3,Th4とを比較する。そして、これらの比較結果を点消灯判定部54へ出力する。
点消灯判定部54は、比較部53での比較結果に基づき、以下のような判定および処理を行う。
赤外線の平均照度Amが消灯閾値Th1以上で(Am≧Th1)、かつ、可視光の平均照度Bmが消灯閾値Th3以上(Bm≧Th3)の場合は、ライト7の消灯が必要と判定し、消灯信号を出力する。これにより、ライト7は消灯状態になる。
赤外線の平均照度Amが点灯閾値Th2以下で(Am≦Th2)、かつ、可視光の平均照度Bmが点灯閾値Th4以下(Bm≦Th4)の場合は、ライト7の点灯が必要と判定し、点灯信号を出力する。これにより、ライト7は点灯状態になる。
上記以外の場合は、点消灯制御が不要と判定し、点灯信号も消灯信号も出力しない。これにより、ライト7は、現在の点灯状態または消灯状態を維持する。
通常モードでは、ある時刻で検出した赤外線照度および可視光照度を、点灯閾値および消灯閾値と比較し、各照度が点灯閾値以下であれば、その時点でライト7を点灯させ、各照度が消灯閾値以上であれば、その時点でライト7を消灯させる(但し、検出した照度には測定誤差などがあるため、所定数の照度の平均値を算出して、その平均値を閾値と比較することもある)。一方、木漏れ日モードでは、上述したように、木漏れ日が検知された時刻を含む複数の時刻で検出された赤外線照度および可視光照度から、通常モードの場合よりも多数の赤外線照度および可視光照度を抽出する。つまり、点消灯判定に用いる検出照度の数を通常モードの場合よりも増やす(前記の例では、4つに増やしている)。そして、抽出された所定数の赤外線照度および可視光照度を用いて、赤外線の平均照度Amと可視光の平均照度Bmを求め、これらの平均照度Am、Bmを閾値と比較する。そして、平均照度Am、Bmが、共に消灯閾値以上であるか、または共に点灯閾値以下である場合に限り、ライト7を点灯または消灯させる制御を行い、それ以外の場合は、ライト7の現在の状態を維持する。
したがって、図3のように、時刻t1で赤外線照度A(x)と可視光照度B(x)が共に点灯閾値(Th2,Th4)以下となっても、この時点で直ちにライト7が点灯することはない。同様に、時刻t5で赤外線照度A(x)と可視光照度B(x)が共に消灯閾値(Th1,Th3)以上となっても、この時点で直ちにライト7が消灯することはない。
また、木漏れ日の場所では、赤外線照度A(x)と可視光照度B(x)が増減を繰り返すため、それらの平均をとると、赤外線の平均照度AmはTh1>Am>Th2となり、可視光の平均照度BmはTh3>Bm>Th4となる場合がほとんどである。このため、車両10が木漏れ日71の場所を走行中に、赤外線照度A(x)と可視光照度B(x)が、点灯閾値や消灯閾値を跨いで変動しても、ライト7が不必要に点灯と消灯を繰り返すのを防止することができる。
また、可視光照度の増減連続回数nが基準回数Nを超えた場合は、点消灯制御のモードを通常モードに戻すので、木漏れ日モードでのライト7の点消灯状態が、その後もずっと続くことはない。すなわち、車両10の周囲が暗いのにライト7が消灯状態のままだったり、車両10の周囲が明るいのにライト7が点灯状態のままだったりするような事態は生じない。
本発明では、以上述べた実施形態以外にも、種々の実施形態を採用することができる。たとえば、前記の実施形態では、可視光照度B(x)の増減連続回数nをカウントしたが、これに代えて、赤外線照度A(x)の増減連続回数nをカウントしてもよい。
また、前記の実施形態では、基準回数NをN=2に設定したが、これは一例であって、基準回数Nを3以上に設定してもよい。
また、前記の実施形態では、木漏れ日モードに入った場合に、点消灯判定に用いる検出照度の数を4つに増やしたが、これも一例であって、検出照度の数は任意に設定することができる。
また、前記の実施形態では、赤外線と可視光の平均照度Am、Bmを、図3の閾値Th1〜Th4と比較したが、平均照度Am、Bmを、閾値Th1〜Th4とは別に設定した閾値と比較してもよい。要は、赤外線の平均照度Amが、赤外線に対して設定された所定範囲内にあり、かつ、可視光の平均照度Bmが、可視光に対して設定された所定範囲内にあるか否かを検証して、双方が所定範囲内にあれば、ライト7の現在の点消灯状態を維持すればよい。
また、前記の実施形態では、車両10が木漏れ日71の場所を走行する場合について述べたが、これに限らず、木漏れ日の場所以外の、明暗の繰り返しが連続する場所を車両10が走行する場合にも、本発明を適用することができる。
また、前記の実施形態では、赤外線センサ1および可視光センサ3を車内のダッシュボードに設ける例を挙げたが、これらのセンサは、車両周囲の照度の検出が可能な場所であれば、車両10のどこに設けてもよい。したがって、例えば、車両10の屋根に各センサを設けてもよい。
また、赤外線センサ1は、オートライト制御用に設けた専用のセンサであってもよいし、オートエアコン制御に用いられる赤外線センサを共用したものであってもよい。オートエアコン制御用の赤外線センサは、車両に入射する赤外線の量を検出し、車内のユーザが感じる暑さを判定するために設置される。そのオートエアコン制御用の赤外線センサを、オートライト制御用の赤外線センサと共用することで、オートライト制御用の新たなセンサを設ける必要が無くなる。