JP6020628B2 - ロータリ圧縮機 - Google Patents

ロータリ圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP6020628B2
JP6020628B2 JP2015051231A JP2015051231A JP6020628B2 JP 6020628 B2 JP6020628 B2 JP 6020628B2 JP 2015051231 A JP2015051231 A JP 2015051231A JP 2015051231 A JP2015051231 A JP 2015051231A JP 6020628 B2 JP6020628 B2 JP 6020628B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylinder
refrigerant
compression
end plate
compressor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015051231A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016169706A (ja
Inventor
田中 順也
順也 田中
尚哉 両角
尚哉 両角
基信 古川
基信 古川
卓 森下
卓 森下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu General Ltd
Original Assignee
Fujitsu General Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu General Ltd filed Critical Fujitsu General Ltd
Priority to JP2015051231A priority Critical patent/JP6020628B2/ja
Priority to US15/542,536 priority patent/US10550843B2/en
Priority to AU2015377503A priority patent/AU2015377503B9/en
Priority to CN201580072605.4A priority patent/CN107110163B/zh
Priority to EP15877968.6A priority patent/EP3249230B1/en
Priority to PCT/JP2015/083296 priority patent/WO2016114016A1/ja
Publication of JP2016169706A publication Critical patent/JP2016169706A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6020628B2 publication Critical patent/JP6020628B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Description

本発明は、空気調和機や冷凍機などに用いられるロータリ圧縮機に関する。
ロータリ圧縮機では、圧縮部の吸入工程において、高温となっているシリンダ及び端板から冷媒に熱が伝わり、冷媒が熱膨張して圧縮動力が増加し、圧縮機効率が低下する。
例えば、特許文献1には、シリンダと、シリンダの両端を閉塞する端板とで囲まれた圧縮室(シリンダ室)内に、上記端板に軸支されたクランク軸(偏心部)によって偏心回転するピストンを配置し、このピストンの外周面に当接し上記圧縮室内を高圧側と低圧側に区分するベーンをシリンダに取り付けた圧縮部と、この圧縮部を駆動するモータとを密閉容器内に収納したロータリ圧縮機において、上記シリンダの吸入側部分に、このシリンダを軸方向に貫通する孔を設け、この孔の両端面を端板で塞いで密閉空間を形成し、この密閉空間により、運転時に高温となっている密閉容器内の冷媒からシリンダ内壁への伝熱を抑え、シリンダ内の冷媒の温度上昇を抑制するロータリ圧縮機が記載されている。
特開平02−140486号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたロータリ圧縮機は、シリンダの吸入側部分に、このシリンダを軸方向に貫通する孔を設けるので、その分、コストアップとなる、という問題がある。
本発明は、シリンダ及び端板から圧縮部内の冷媒に熱が伝わるのを抑制すると共に、コストアップを抑えたロータリ圧縮機を得ることを目的とする。
本発明は、上部に冷媒の吐出部が設けられ、下部に冷媒の吸入部が設けられると共に潤滑油が貯留される密閉された縦置きの圧縮機筐体と、該圧縮機筐体内に配置され、前記吸入部から吸入した冷媒を圧縮して前記吐出部から吐出する圧縮部と、前記圧縮機筐体内に配置され、回転軸を介して前記圧縮部を駆動するモータと、前記圧縮機筐体の側部に取付けられ、前記冷媒の吸入部に接続されたアキュムレータと、を備え、冷媒としてR32を用いるロータリ圧縮機において、前記圧縮部の構成部品であるシリンダの内径をDc、前記シリンダの高さをHc、前記回転軸の偏心部の偏心量をeとするとき、(e+Hc)・(Dc−e)1/3/(e・Hc)2/3の式で求められる値が、4.1未満となるように、前記Dc、Hc及びeを設定するとともに、前記圧縮部の上下から前記圧縮部に嵌合させて前記圧縮部の構成部品である端板を前記シリンダに締結する上通しボルト及び下通しボルトそれぞれの呼び径をd[mm]、前記シリンダに設けられ前記上通しボルト及び前記下通しボルトそれぞれを締め込むネジ孔の面取り寸法をM[mm]とするとき、2×(d+)+1.0≦Hc≦2×(d+)+2.5の関係を満たすように、前記シリンダの高さHcを設定し、前記端板を前記シリンダに締結した前記上通しボルトの先端と前記下通しボルトの先端との距離を、1.0[mm]〜2.5[mm]の範囲にすることを特徴とする。
本発明は、シリンダを軸方向に貫通する孔などを設けずに、圧縮部の寸法を適切に設定することにより、シリンダ及び端板から圧縮部内の冷媒に熱が伝わるのを抑制すると共に、コストアップを抑えることができる。
図1は、本発明に係るロータリ圧縮機の実施例を示す縦断面図である。 図2−1は、実施例の第1の圧縮部を示す下面図である。 図2−2は、実施例の第2の圧縮部を示す上面図である。 図3は、実施例の圧縮部を示す上面図である。 図4は、図3のA−A線に沿う縦断面図である。 図5は、実施例の上端板を示す上面図である。 図6は、実施例の圧縮部を示す下面図である。 図7は、実施例の下端板を示す下面図である。 図8は、実施例の下端板及び下端板カバーを示す分解斜視図である。 図9は、シリンダ室壁面面積S/シリンダ室容積Vの関数であるパラメータAとシリンダ高さHc/シリンダ内径Dcとの関係を示す図である。 図10は、パラメータAと副軸部面圧との関係を示す図である。 図11は、パラメータAと偏心部偏心量e/シリンダ室容積Vの関数であるパラメータBとの関係を示す図である。 図12は、パラメータBと副軸部面圧との関係を示す図である。 図13は、冷媒R410A用ロータリ圧縮機の排除容積Vと吸入圧力損失C(パラメータC)との関係を示す図である。 図14は、図4のB部拡大図である。 図15は、冷媒R32を用いる2シリンダ式のロータリ圧縮機の圧縮部の寸法の実施例1〜3を示す図表である。
以下に、本発明を実施するための形態(実施例)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明に係るロータリ圧縮機の実施例を示す縦断面図であり、図2−1は、実施例の第1の圧縮部を示す下面図であり、図2−2は、実施例の第2の圧縮部を示す上面図であり、図3は、実施例の圧縮部を示す上面図であり、図4は、図3のA−A線に沿う縦断面図であり、図5は、実施例の上端板を示す上面図であり、図6は、実施例の圧縮部を示す下面図であり、図7は、実施例の下端板を示す下面図であり、図8は、実施例の下端板及び下端板カバーを示す分解斜視図である。
図1に示すように、ロータリ圧縮機1は、密閉された縦置き円筒状の圧縮機筐体10の下部に配置された圧縮部12と、圧縮機筐体10の上部に配置され、回転軸15を介して圧縮部12を駆動するモータ11と、を備えている。
モータ11のステータ111は、円筒状に形成され、圧縮機筐体10の内周面に焼きばめされて固定されている。モータ11のロータ112は、円筒状のステータ111の内部に配置され、モータ11と圧縮部12とを機械的に接続する回転軸15に焼きばめされて固定されている。
圧縮部12は、第1の圧縮部12Sと第2の圧縮部12Tとを備えており、第2の圧縮部12Tは、第1の圧縮部12Sの上側に配置されている。図2―1に示すように、第1の圧縮部12Sは、環状の第1シリンダ121Sを備えている。第1シリンダ121Sは、環状の外周から張り出した第1側方張出部122Sを備え、第1側方張出部122Sには、第1吸入孔135Sと第1ベーン溝128Sが放射状に設けられている。また、図2−2に示すように、第2の圧縮部12Tは、環状の第2シリンダ121Tを備えている。第2シリンダ121Tは、環状の外周から張り出した第2側方張出部122Tを備え、第2側方張出部122Tには、第2吸入孔135Tと第2ベーン溝128Tが放射状に設けられている。
図2−1に示すように、第1シリンダ121Sには、モータ11の回転軸15と同心に、円形の第1シリンダ内壁123Sが形成されている。第1シリンダ内壁123S内には、第1シリンダ121Sの内径よりも小さい外径の第1環状ピストン125Sが配置され、第1シリンダ内壁123Sと第1環状ピストン125Sとの間に、冷媒を吸入し圧縮して吐出する第1シリンダ室130Sが形成される。図2−2に示すように、第2シリンダ121Tには、モータ11の回転軸15と同心に、円形の第2シリンダ内壁123Tが形成されている。第2シリンダ内壁123T内には、第2シリンダ121Tの内径よりも小さい外径の第2環状ピストン125Tが配置され、第2シリンダ内壁123Tと第2環状ピストン125Tとの間に、冷媒を吸入し圧縮して吐出する第2シリンダ室130Tが形成される。
第1シリンダ121Sには、第1シリンダ内壁123Sから径方向に、シリンダ高さ全域に亘る第1ベーン溝128Sが形成され、第1ベーン溝128S内に、平板状の第1ベーン127Sが、摺動自在に嵌合されている。第2シリンダ121Tには、第2シリンダ内壁123Tから径方向に、シリンダ高さ全域に亘る第2ベーン溝128Tが形成され、第2ベーン溝128T内に、平板状の第2ベーン127Tが、摺動自在に嵌合されている。
図2−1に示すように、第1ベーン溝128Sの径方向外側には、第1側方張出部122Sの外周部から第1ベーン溝128Sに連通するように第1スプリング穴124Sが形成されている。第1スプリング穴124Sには、第1ベーン127Sの背面を押圧する第1ベーンスプリング126Sが挿入されている。図2−2に示すように、第2ベーン溝128Tの径方向外側には、第2側方張出部122Tの外周部から第2ベーン溝128Tに連通するように第2スプリング穴124Tが形成されている。第2スプリング穴124Tには、第2ベーン127Tの背面を押圧する第2ベーンスプリング126Tが挿入されている。
ロータリ圧縮機1の起動時は、第1ベーンスプリング126Sの反発力により、第1ベーン127Sが、第1ベーン溝128S内から第1シリンダ室130S内に突出し、その先端が、第1環状ピストン125Sの外周面に当接し、第1ベーン127Sにより、第1シリンダ室130Sが、第1吸入室131Sと第1圧縮室133Sとに区画される。また、第2ベーンスプリング126Tの反発力により、第2ベーン127Tが、第2ベーン溝128T内から第2シリンダ室130T内に突出し、その先端が、第2環状ピストン125Tの外周面に当接し、第2ベーン127Tにより、第2シリンダ室130Tが、第2吸入室131Tと第2圧縮室133Tとに区画される。
また、第1シリンダ121Sには、第1ベーン溝128Sの径方向外側と圧縮機筐体10内とを連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒を導入し、第1ベーン127Sに冷媒の圧力により背圧をかける第1圧力導入路129Sが形成されている。なお、圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒は、第1スプリング穴124Sからも導入される。また、第2シリンダ121Tには、第2ベーン溝128Tの径方向外側と圧縮機筐体10内とを連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒を導入し、第2ベーン127Tに冷媒の圧力により背圧をかける第2圧力導入路129Tが形成されている。なお、圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒は、第2スプリング穴124Tからも導入される。
第1シリンダ121Sの第1側方張出部122Sには、第1吸入室131Sに外部から冷媒を吸入するために、第1吸入室131Sと外部とを連通させる第1吸入孔135Sが設けられている。第2シリンダ121Tの第2側方張出部122Tには、第2吸入室131Tに外部から冷媒を吸入するために、第2吸入室131Tと外部とを連通させる第2吸入孔135Tが設けられている。
また、図1に示すように、第1シリンダ121Sと第2シリンダ121Tの間には、中間仕切板140が配置され、第1シリンダ121Sの第1シリンダ室130S(図2−1参照)と第2シリンダ121Tの第2シリンダ室130T(図2−2参照)とを仕切っている。中間仕切板140は、第1シリンダ121Sの上端部と第2シリンダ121Tの下端部を閉塞している。
第1シリンダ121Sの下端部には、下端板160Sが配置され、第1シリンダ121Sの第1シリンダ室130Sを閉塞している。また、第2シリンダ121Tの上端部には、上端板160Tが配置され、第2シリンダ121Tの第2シリンダ室130Tを閉塞している。下端板160Sは、第1シリンダ121Sの下端部を閉塞し、上端板160Tは、第2シリンダ121Tの上端部を閉塞している。
下端板160Sには、副軸受部161Sが形成され、副軸受部161Sに、回転軸15の副軸部151が回転自在に支持されている。上端板160Tには、主軸受部161Tが形成され、主軸受部161Tに、回転軸15の主軸部153が回転自在に支持されている。
回転軸15は、互いに180°位相をずらして偏心させた第1偏心部152Sと第2偏心部152Tとを備え、第1偏心部152Sは、第1の圧縮部12Sの第1環状ピストン125Sに回転自在に嵌合し、第2偏心部152Tは、第2の圧縮部12Tの第2環状ピストン125Tに回転自在に嵌合している。
回転軸15が回転すると、第1環状ピストン125Sが、第1シリンダ内壁123Sに沿って第1シリンダ121S内を図2−1の時計回りに公転し、これに追随して第1ベーン127Sが往復運動する。この第1環状ピストン125S及び第1ベーン127Sの運動により、第1吸入室131S及び第1圧縮室133Sの容積が連続的に変化し、圧縮部12は、連続的に冷媒を吸入し圧縮して吐出する。また、回転軸15が回転すると、第2環状ピストン125Tが、第2シリンダ内壁123Tに沿って第2シリンダ121T内を図2−2の反時計回りに公転し、これに追随して第2ベーン127Tが往復運動する。この第2環状ピストン125T及び第2ベーン127Tの運動により、第2吸入室131T及び第2圧縮室133Tの容積が連続的に変化し、圧縮部12は、連続的に冷媒を吸入し圧縮して吐出する。
図1に示すように、下端板160Sの下側には、平板状の下端板カバー170Sが配置され、下端板160Sに設けられた凹部163Sに蓋をして連通部180Sを形成している。そして、第1の圧縮部12Sは、連通部180Sに開口している。すなわち、下端板160Sの第1ベーン127S近傍には、第1シリンダ121Sの第1圧縮室133Sと連通部180Sとを連通する第1吐出孔190Sが設けられ、第1吐出孔190Sには、圧縮された冷媒の逆流を防止するリード弁型の第1吐出弁200Sが配置されている。
連通部180Sは、第1の圧縮部12Sの吐出側を、下端板160S、第1シリンダ121S、中間仕切板140、第2シリンダ121T及び上端板160Tを貫通する冷媒通路孔136(図1、図2参照)を通して上マフラー室180T内に連通させる。また、下端板160Sに設けられた凹部163S内には、第1吐出弁200Sに重ねて、第1吐出弁200Sの撓み開弁量を制限するための第1吐出弁押さえ201Sの先端部が、第1吐出弁200Sの先端部と共に収容されている。第1吐出孔190S、第1吐出弁200S及び第1吐出弁押さえ201Sは、下端板160Sの第1吐出弁部を構成している。
図1〜図5に示すように、上端板160Tの上側には、5個の膨出部171Tを有する上端板カバー170Tが配置され、上端板160Tとの間に上マフラー室180Tを形成している。上マフラー室180Tは、上端板160Tの主軸受部161Tと上端板カバー170Tとの間に形成された環状のマフラー吐出孔172Tにより、圧縮機筐体10の内部に連通し、上マフラー室180T内の圧縮された冷媒がマフラー吐出孔172Tから圧縮機筐体10内へ吐出される。上端板160Tの第2ベーン127T近傍には、第2シリンダ121Tの第2圧縮室133Tと上マフラー室180Tとを連通する第2吐出孔190Tが設けられ、第2吐出孔190Tには、圧縮された冷媒の逆流を防止するリード弁型の第2吐出弁200Tが配置されている。
また、上端板160Tに設けられた凹部163T内には、第2吐出弁200Tに重ねて、第2吐出弁200Tの撓み開弁量を制限するための第2吐出弁押さえ201Tの先端部が、第2吐出弁200Tの先端部と共に収容されている。上マフラー室180Tは、吐出冷媒の圧力脈動を低減させる。第2吐出孔190T、第2吐出弁200T及び第2吐出弁押さえ201Tは、上端板160Tの第2吐出弁部を構成している。
図3〜図6に示すように、下端板カバー170S、下端板160S、第1シリンダ121S、中間仕切板140、第2シリンダ121T、上端板160T及び上端板カバー170Tは、後述する方法により複数のボルトで一体に締結され圧縮部12となる。一体に締結された圧縮部12のうち、上端板160Tの外周部が、圧縮機筐体10にスポット溶接により固着され、圧縮部12を圧縮機筐体10に固定している。
円筒状の圧縮機筐体10の外周壁には、軸方向に離間して下部から順に、第1及び第2貫通孔101,102が、第1及び第2吸入管104,105を通すために設けられている。また、圧縮機筐体10の外側部には、独立した円筒状の密閉容器からなるアキュムレータ25が、アキュムホルダー252及びアキュムバンド253により保持されている。
アキュムレータ25の天部中心には、冷媒回路(冷凍サイクル)の蒸発器に接続するシステム接続管255が接続され、アキュムレータ25の底部に設けられた底部貫通孔257には、一端がアキュムレータ25の内部上方まで延設され、他端が、第1及び第2吸入管104,105の他端に接続される第1及び第2低圧連絡管31S,31Tが固着されている。
冷媒回路の低圧冷媒をアキュムレータ25を介して第1の圧縮部12Sに導く第1低圧連絡管31Sは、吸入部としての第1吸入管104を介して第1シリンダ121Sの第1吸入孔135S(図2−1参照)に接続されている。すなわち、第1吸入孔135Sは、冷媒回路(冷凍サイクル)の蒸発器に接続されている。冷媒回路の低圧冷媒をアキュムレータ25を介して第2の圧縮部12Tに導く第2低圧連絡管31Tは、吸入部としての第2吸入管105を介して第2シリンダ121Tの第2吸入孔135T(図2−2参照)に接続されている。すなわち、第2吸入孔135Tは、冷媒回路(冷凍サイクル)の蒸発器に接続されている。
圧縮機筐体10の天部には、冷媒回路(冷凍サイクル)と接続し高圧冷媒を冷媒回路の凝縮器側に吐出する吐出部としての吐出管107が接続されている。すなわち、第1吐出孔190S及び第2吐出孔190Tは、冷媒回路(冷凍サイクル)の凝縮器に接続されている。
圧縮機筐体10内には、およそ第2シリンダ121Tの高さまで潤滑油が封入されている。また、潤滑油は、回転軸15の下部に挿入される図示しないポンプ羽根により、回転軸15の下端部に取付けられた給油パイプ16から吸上げられ、圧縮部12を循環し、摺動部品(第1環状ピストン125S及び第2環状ピストン125T)の潤滑を行なうとともに、圧縮部12の微小隙間をシールする。
図2−1〜図6に示すように、下端板カバー170S、下端板160S、第1シリンダ121S、中間仕切板140、上端板160T及び上端板カバー170Tには、略同心円上の同一位相位置に、夫々5本(複数)のボルト通し孔137が設けられている。第2シリンダ121Tには、上記の5本のボルト通し孔137と略同心円上の同一位相位置に、5本のネジ孔138が設けられている。ボルト通し孔137及びネジ孔138を総称してボルト孔(137,138)と言うこととする。ボルト孔は、貫通孔である。5本(複数)のボルト孔は、等間隔(等位相角=72°)で配置してもよいが、誤組立を避けるために、少し間隔をずらして不等間隔に配置するのがよい。上記のボルト孔に、上端板カバー170T側から5本の通しボルト174、下端板カバー170S側から5本の通しボルト175を挿入し、圧縮部12全体を締結している。ボルト孔の数は、5本に限定されず、4本又は6本以上としてもよい。
下端板160Sには2本の補助ボルト通し孔300、第1シリンダ121Sには2本の補助ネジ孔301が設けられ、この補助ボルト通し孔300及び補助ネジ孔301に2本の補助ボルト176を挿入し、下端板160Sと第1シリンダ121Sとを締結している。下端板160Sと第1シリンダ121Sとは、圧縮部12全体の締結の前に予め締結される。
図2―1、図2−2、図5及び図7に示すように、冷媒通路孔136は、第1吐出孔190S及び第2吐出孔190Tの近傍、例えば、第1吐出孔190S、第2吐出孔190T、第1ベーン127S及び第2ベーン127Tを間に挟む、隣合う2個のボルト孔137間の範囲内(実施例1では、位相角≒90°の範囲内)に設けられている。冷媒通路孔136は、1本に限定されず、2本又は3本の孔を隣接させて設けてもよい。
下端板160Sには、円形の凹部163Sが形成されている。凹部163Sは、第1吐出弁200Sの先端部及び第1吐出弁押さえ201Sの先端部を収容すると共に、第1吐出孔190Sと冷媒通路孔136の下端部とを連通する連通部180Sを構成している。上端板160Tには、円形の凹部163Tが形成されている。凹部163Tは、第2吐出弁200Tの先端部及び第2吐出弁押さえ201Tの先端部を収容すると共に、第2吐出孔190Tと冷媒通路孔136の上端部とを連通する上マフラー室180Tの一部を構成している。
また、下端板160Sには、第1吐出弁200Sの基端部及び第1吐出弁押さえ201Sの基端部をリベットにより取付ける溝164Sが形成されている。上端板160Tには、第2吐出弁200Tの基端部及び第2吐出弁押さえ201Tの基端部をリベットにより取付ける溝164Tが形成されている。第1シリンダ121Sの下面及び第2シリンダ121Tの上面には、上記リベットの頭を収容する凹み303が形成されている。溝164Sは、第1吐出弁200S及び第1吐出弁押さえ201Sが取付けられて空間が埋められるので、連通部180Sを構成しない。溝164Tは、第2吐出弁200T及び第2吐出弁押さえ201Tが取付けられて空間が埋められるので、上マフラー室180Tを構成しない。
下端板160Sは、肉厚に形成され、凹部163S及び溝164Sは、第1吐出弁200S及び第1吐出弁押さえ201Sが完全に収容できる深さに形成されている。
実施例のロータリ圧縮機1では、上マフラー室180Tは、上端板カバー170Tをプレス成型した五つの膨出部171Tを有する室として形成されているが、実施例の下端板カバー170Sは、下端板160Sの第1吐出弁部及び冷媒通路孔136を覆う凹凸のない平板状であり、連通部180Sは、第1吐出孔190Sと冷媒通路孔136とを連通させるための、上マフラー室180Tの容積よりも小さい小容積の通路として、下端板160Sの円形の凹部163Sのみにより形成されている。
実施例のロータリ圧縮機1は、連通部180Sを、下端板160Sの凹部163Sのみによる上マフラー室180Tの容積よりも小さい小容積の通路としたので、第2シリンダ121Tで圧縮された冷媒が、冷媒通路孔136を逆流して流入する空間が小さく、逆流を抑制してロータリ圧縮機1の効率低下を防ぐことができる。なお、下端板カバー170Sを、上端板カバー170Tと同様にプレス成型して膨出部を形成し、下マフラー室を形成してもよい。
次に、図1〜図8を参照して、冷媒R32を用いる実施例のロータリ圧縮機1の特徴的な構成について説明する。第1シリンダ室130S及び第2シリンダ室130T内の吸入冷媒の温度上昇Δt[K]は、次の(1)式で表される。
Δt=h・S・Δθ/(m・c)・・・・・(1)
ここで、
h:熱伝達率[W/(mm・K)]
S:シリンダ室(130S,130T)の壁面面積[mm]
Δθ:壁面温度と冷媒温度の差[K]
m:冷媒質量[g/s]=(シリンダ室容積V[mm/rev])×(吸入冷媒密度ρ[g/mm])
c:冷媒比熱[J/(g・K)]
冷媒R32の吸入冷媒密度ρは、冷媒R410Aの約70%であるが、蒸発エンタルピーは、約140%である。そのため、略同一の排除容積V(シリンダ室容積)が適用可能である。同一の排除容積Vであるので、冷媒R410A用の圧縮部12の寸法を用いることができ、壁面面積Sも同一となる。よって、上記(1)式のΔtは、吸入冷媒密度ρが小さい冷媒R32の方が、冷媒R410Aよりも大きくなり、冷媒R32の方が冷媒R410Aに比べて加熱され易い。このことから、冷媒R32を採用する場合、冷媒加熱を抑制することは、冷媒R410Aを用いる場合に比べ、圧縮効率の向上に有効である。
本発明では、シリンダ室(130S,130T)の壁面面積をS、排除容積(シリンダ室容積)をVとすると、S/Vが小さくなるように、圧縮部12S,12Tの寸法を設定することにより、冷媒の加熱を抑制する。
実施例のロータリ圧縮機1の一つのシリンダ室(第1シリンダ室130S又は第2シリンダ室130T)の壁面面積Sは、次の(2)式で表される。
S=2Sb+Sc+Sr ・・・・・・・・・・・・・(2)
Sb=(Dc−(Dc−2e))π/4 ・・・・(3)
Sc=π・Dc・Hc ・・・・・・・・・・・・・(4)
Sr=π・(Dc−2e)・Hc ・・・・・・・・(5)
ここで、
Sb:シリンダ室の端板(160S,160T)部又は中間仕切板(140)部の面積[mm]
Sc:シリンダ(121S,121T)内周壁面積[mm]
Sr:環状ピストン(125S,125T)外周壁面積[mm]
Dc:シリンダ(121S,121T)内径[mm]
e :偏心部(152S,152T)偏心量[mm]
Hc:シリンダ(121S,121T)高さ[mm]
また、ロータリ圧縮機1の一つのシリンダ室(第1シリンダ室130S又は第2シリンダ室130T)の排除容積(シリンダ室容積)V[cc/rev]は、次の(6)式で表される。
V=π・e・(Dc−e)・Hc ・・・・・・・・・(6)
(2)式及び(6)式より、S/Vは、次の(7)式で表される。
S/V=2(e+Hc)/(e・Hc) ・・・・・・(7)
S/Vは、排除容積Vが大きいほど小さくなるので、シリンダ室の寸法を評価するには、排除容積Vの影響を除去する必要がある。そこで、S/VにV1/3を掛けたものをパラメータA[無次元]とする。パラメータAは、次の(8)式で表され、パラメータAが小さいほど冷媒加熱の影響が少ない。
A=(e+Hc)・(Dc−e)1/3/(e・Hc)2/3 ・・・(8)
次に、特許第4864572号公報には、シリンダ高さHcとシリンダ内径Dcの比率Hc/Dcを小さくすることにより、冷媒リーク量を減らして圧縮効率を向上させることが記載されている。
図9は、パラメータAとHc/Dcとの関係を示す図である。図9に示すように、パラメータAが小さいほど、Hc/Dcが大きくなる傾向がある。図9に示す実施例1〜3は、ロータリ圧縮機1の、排除容積V、圧縮機筐体10の内径及びシリンダ高さHcを同一とし、偏心部偏心量eを変えたものである。シリンダ高さHc大、シリンダ高さHc小の二つのパターンについて計算した。
計算例(Hc大)は、吸入孔135S,135Tの断面積を従来通り確保できるシリンダ高さHcに設定したものである。偏心部偏心量eを大きくするほどシリンダ内径Dcが小さくなりHc/Dcは大きくなってしまう。しかし、パラメータAは小さくすることができる。
計算例(Hc小)は、吸入孔135S,135Tの断面積が従来の80%程度となるまでシリンダ高さHcを低く設定したものである。シリンダ高さHcを低く設定した方が、同じパラメータAの場合、Hc/Dcを小さくすることができ、冷媒リーク量を減らすことができる。この場合、吸入孔135S,135Tの断面積が小さいため、吸入冷媒の圧力損失が増えてしまうが、冷媒R32は、冷媒R410Aよりも密度が低いので、圧力損失の影響は少ない。
従来の冷媒R410Aを用いるロータリ圧縮機では、Hc/Dcを小さくすることが圧縮効率向上に有効であるため、Hc/Dcが小さい圧縮部12S,12Tの寸法が選択された結果、パラメータAが小さくなるような圧縮部12S,12Tの寸法となっていない。冷媒加熱の影響が大きい冷媒R32を用いるロータリ圧縮機1では、パラメータAを、従来のロータリ圧縮機の下限値4.1(図9参照)よりも小さい値とすることにより、従来のロータリ圧縮機よりも圧縮効率を向上させることができる。
図10は、パラメータAと副軸部(151)面圧との関係を示す図である。パラメータAが小さい圧縮部12S,12Tの寸法は、偏心部(152S,152T)の偏心量eが大きい。偏心量eを大きくすると、回転軸15と環状ピストン125S,125Tの組立上の都合から副軸部151の径を小さくする必要があり、副軸径を小さくすると副軸面圧Pが大きくなってしまう。それ故、パラメータAには下限値がある。
次に、副軸面圧Pの算出方法を説明する。軸荷重F[N]は、次の(9)式で表される。
F=W/(2π・e・N) ・・・・・(9)
ここで、
W:圧縮動力[W]
e:偏心部(152S,152T)の偏心量[mm]
N:回転軸15の回転数[rev/s]
また、圧縮動力Wは、次の(10)式で表される。
W=Δh・V・ρ・N ・・・・・・・(10)
ここで、
Δh:吐出エンタルピーと吸入エンタルピーとの差[J/g]
V:排除容積(シリンダ室容積)[cc/rev]
ρ:吸入冷媒密度[g/mm]
N:回転軸15の回転数[rev/s]
Δh、ρ、Nは、運転条件で決まる。
圧縮部12S,12Tの寸法に関係するパラメータのみ残して、軸負荷F[mm/rev]を次の(11)式とした。
F=V/e ・・・・・・・・・・・・(11)
また、副軸部151の面積は、副軸部151の直径Dsの二乗と仮定した。
以上より、副軸面圧Pは、次の(12)式で算出される。
P=V/(e・Ds) ・・・・・・(12)
ここで、
V:排除容積(シリンダ室容積)[cc/rev]
e:偏心部(152S,152T)の偏心量[mm]
Ds:副軸部151の直径[mm]
従来の経験値によれば、副軸部151の許容最大面圧は、22〜23である。図10に示すように、計算例(Hc小)は、計算例(Hc大)よりも副軸面圧Pを小さくすることができる。パラメータAを小さくすることができる計算例(Hc小)にて、副軸面圧Pが22になるポイントがパラメータAの下限値の目安となる。なお、副軸部151の耐久性を向上させる手段を講じれば、さらにパラメータAを小さくすることが可能である。
以上のことから、パラメータAの範囲は、図10に示すように、3.9<パラメータA<4.1とすることが望ましい。また、吸入孔135S,135Tの断面積を従来通り確保できるシリンダ高さHc(試算例(Hc大))を採用する場合には、パラメータAの範囲は、図10に示すように、4.0<パラメータA<4.1とすることが望ましい。
次に、パラメータAよりも簡単なパラメータとして、パラメータB[無次元]を次の(13)式で定義する。
B=e/V1/3 ・・・・・・・・・・(13)
ここで、
V:排除容積(シリンダ室容積)[cc/rev]
e:偏心部(152S,152T)の偏心量[mm]
図11は、パラメータAとパラメータBとの関係を示す図である。図11に示すように、パラメータAとパラメータBには相関がある。パラメータAの範囲3.9<パラメータA<4.1に対応する範囲として、パラメータBの範囲を0.215<パラメータB<0.240の範囲としてもよい。
図12は、パラメータBと副軸部(151)面圧との関係を示す図である。図12に示すように、同じパラメータBであっても、シリンダ高さHcが低い方が、Hcが高い方よりも副軸部面圧Pを低くすることができ、信頼性に余裕があり、パラメータBをより大きくすることが可能となる。以上のように、シリンダ高さHcを低くすることは、冷媒の加熱を抑制することになり、冷媒R32を用いるロータリ圧縮機の圧縮効率向上に有効である。
しかしながら、従来、冷媒R32を用いるロータリ圧縮機と冷媒R410Aを用いるロータリ圧縮機とは、同一の排除容積(シリンダ室容積)で略同一の冷凍能力を得ることができるため、同一の圧縮部寸法を採用して部品を共通化しており、冷媒R32専用として特に有効な圧縮部寸法とはなっていなかった。
前述したように、冷媒R32の吸入冷媒密度は、冷媒R410Aの約70%である。従って、冷媒R32を用いる場合、シリンダ121S、121Tの吸入孔135S,135Tの断面積(吸入路面積)を冷媒R410A用の断面積よりも小さくしても、吸入冷媒の圧力損失を増大させることはない。
吸入孔135S,135Tは、シリンダ121S,121Tの側部に設けられており、シリンダ高さHcは、吸入管104,105を取付けられる高さが確保されている。吸入孔135S,135T部分の肉厚は、強度上2〜4mm以上を確保する必要があるため、シリンダ高さHcは、次の(14)式を満足する必要がある。
シリンダ高さHc≧吸入孔径Dk+2×(2〜4) ・・・・・(14)
(14)式より、吸入孔径Dkを小さくすることにより、シリンダ高さHcを低くすることができる。
特開2010−121481号公報には、シリンダ高さHcを低くしても吸入路面積を確保することができ、冷媒の吸入圧力損失を低減させる技術として、吸入孔135S,135Tの断面形状を、周方向に長い長孔とすることが記載されている。しかしながら、吸入孔135S,135Tの断面形状を長孔にすると、アキュムレータ25と吸入孔135S,135Tとを接続する吸入管104,105及び低圧連絡管31S,31Tの断面形状も長孔にする必要がある。
吸入孔135S,135Tは、吸入管104,105を圧入することによりシールされるが、長孔形状は、高精度に形成するのが難しく、シールが不十分となり、圧縮機筐体10内の高圧冷媒が圧入シール部分から漏れて圧縮効率を低下させてしまう。よって、本願発明では、吸入孔135S,135Tの断面形状を円形に形成するものとする。
吸入冷媒の圧力損失は、一般的に、冷媒の密度に比例し、吸入流速の二乗に比例する。吸入流速は、1シリンダ当たりの排除容積(シリンダ室容積)を吸入路面積(吸入孔径の二乗に比例)で除したものであるから、吸入圧力損失を、次の(15)式のパラメータCで表す。
C=β・V/Dk ・・・・・(15)
ここで、
β:吸入冷媒密度率(冷媒R410Aを100、冷媒R32を70とする)[無次元]
V:排除容積(シリンダ室容積)[cc/rev]
Dk:吸入孔径[mm]
図13は、冷媒R410A用ロータリ圧縮機の排除容積Vと吸入圧力損失C(パラメータC)との関係を示す図である。図13に示すように、冷媒R410A用ロータリ圧縮機では、吸入圧力損失Cを2.0以下に抑えるように排除容積V及び吸入孔径Dkを設定している。なお、排除容積Vが60cc以上のものでは、吸入圧力損失Cが大きくなっている。これは、大きな排除容積Vに見合う吸入孔径Dk(吸入管径、低圧連絡管径)にすると、管径が太くなりすぎてしまい、耐圧強度に余裕がなくなり、また、管の入手性、組立性も悪くなるなどの理由から細い径の管を用いているためである。
パラメータCが1.5以下であれば、圧力損失が少ないと言える。パラメータCが1.0以下では、圧力損失は少ないが、シリンダ高さHcを低くできる余裕があるにもかかわらず、低くなっていないと言える。冷媒R32用のロータリ圧縮機であれば、冷媒の加熱を抑制するために、シリンダ高さHcを低くすべきである。
インバータ式の空気調和機は、低能力(低負荷)での運転時間が長く、低能力運転時の効率が年間効率に大きく影響する。それ故、最大能力運転時の効率が多少低下しても、低能力運転時の効率を向上させることができれば、年間効率を向上させることができる。
図14は、図4のB部拡大図である。シリンダ121S、121Tの吸入孔135S,135Tの断面積(吸入路面積)の確保に拘らずに、シリンダ高さHcの範囲を、次の(16)式に示す範囲とする(図14参照)。
2×(d+M)+1.0≦Hc≦2×(d+M)+2.5 ・・・(16)
ここで、
d:通しボルト174,175の呼び径[mm]
M:ネジ孔138の面取り寸法[mm]
Hc:シリンダ高さ
シリンダ高さHcの範囲を(16)式に示す範囲とすることにより、吸入孔135S,135Tの径が小さくなり、最大能力運転時の効率が低下する場合もある。しかし、シリンダ高さHcを低くすることにより、低能力運転時の効率が向上するため、年間効率を向上させることができる。
シリンダ高さHcを低くすると、圧縮部12を固定する通しボルト174,175の螺合長さが短くなる。通しボルト174,175の螺合長さが短すぎると、締付けによってネジ山が潰れ、必要な締結力を確保することができない。シリンダ高さHcを上記の(16)式の範囲とすることにより、通しボルト174,175の呼び径と同じ長さの螺合長さを確保することができ、必要な締結力が得られるまで通しボルト174,175を締め付けても、ネジ山が潰れることはない。
(16)式の、ネジ孔138の面取り寸法Mは、面取り寸法Mの分だけ有効螺合長さが短くなることを考慮したものである。また、(16)式は、通しボルト174の先端と通しボルト175の先端の間の隙間を1.0[mm]〜2.5[mm]の範囲にすることを意図している。隙間の最小値1.0[mm]は、通しボルト174,175の長さ公差及び締結部品(下端板カバー170S、下端板160S、第1シリンダ121S、中間仕切板140、上端板160T及び上端板カバー170T)の高さ公差を考慮して設定している。
例えば、通しボルト174,175の長さ公差±0.3[mm]、締結部品の高さ公差±0.2[mm]とすると、最大公差では、両ボルト先端の間の隙間が0.8[mm]狭くなる。さらに、通しボルト174,175の弾性変形や座面のヘタリによっても隙間が狭くなる。両ボルト先端同士の当接を防ぐために、隙間の最小値1.0[mm]としている。一方、隙間を大きくとりすぎると、冷媒加熱を低減可能なシリンダ高さに設定できないため、隙間の最大値は、2.5[mm]としている。
実施例のロータリ圧縮機1は、第2シリンダ121Tの同一のネジ孔138の上側から通しボルト174を、下側から通しボルト175を締め込む構造となっている(図4及び図14参照)。この構造は、通しボルト174を締め込むネジ孔138と通しボルト175を締め込むネジ孔138とを別々に設けるのに比べてネジ孔138の加工本数が少なく、低コストで製造できるメリットがある。ネジ孔138が設けられる第2シリンダ121T及びボルト通し孔137が設けられる第1シリンダ121Sは、低コストで製造できる鋳鉄(FC250等)とするのがよい。通しボルト174,175のネジ先不完全ネジ部長さ(図14参照)は、ネジピッチの1倍以下とするのが望ましい。
図15は、冷媒R32を用いる2シリンダ式のロータリ圧縮機1の圧縮部12S,12Tの寸法の実施例1〜3を示す図表である。実施例1〜3において、排除容積Vは14.5[cc/rev]、圧縮機筐体10の内径はφ112mmで固定した。
シリンダ121S、121Tの吸入孔135S,135Tの断面積(吸入路面積)の確保に拘らなければ、シリンダ高さHcを、Hc=2×(d+M)+1.0まで低くすることができ、実施例1,2の場合には、シリンダ高さHcを12.0[mm]まで低くすることができる。
シリンダ高さHcを実施例3に示す13.4[mm]よりも高くすると、パラメータA,Bを規定範囲に入れるのが難しくなり、冷媒加熱の影響が大きくなって効率低下しやすくなる。従って、シリンダ高さHc=2×(d+M)+2.5以下とするのがよい。実施例では、シリンダ高さHcの上限は、13.5[mm]となる。
実施例のロータリ圧縮機1は、シリンダ121S,121Tを軸方向に貫通する孔などを設けずに、圧縮部12の寸法を適切に設定することにより、シリンダ121S,121T及び端板160S,160Tから圧縮部12内の冷媒に熱が伝わるのを抑制すると共に、コストアップを抑えることができる。また、低能力(低負荷)運転時の効率を向上させ、年間効率を向上させることができる。なお、本発明は、単シリンダ式ロータリ圧縮機及び2段圧縮式ロータリ圧縮機に適用することができる。
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
1 ロータリ圧縮機
10 圧縮機筐体
11 モータ
12 圧縮部
15 回転軸
16 給油パイプ
25 アキュムレータ
31S 第1低圧連絡管
31T 第2低圧連絡管
101 第1貫通孔
102 第2貫通孔
104 第1吸入管
105 第2吸入管
107 吐出管(吐出部)
111 ステータ
112 ロータ
12S 第1の圧縮部
12T 第2の圧縮部
121S 第1シリンダ(シリンダ)
121T 第2シリンダ(シリンダ)
122S 第1側方張出部
122T 第2側方張出部
123S 第1シリンダ内壁(シリンダ内壁)
123T 第2シリンダ内壁(シリンダ内壁)
124S 第1スプリング穴
124T 第2スプリング穴
125S 第1環状ピストン(環状ピストン)
125T 第2環状ピストン(環状ピストン)
126S 第1ベーンスプリング
126T 第2ベーンスプリング
127S 第1ベーン(ベーン)
127T 第2ベーン(ベーン)
128S 第1ベーン溝(ベーン溝)
128T 第2ベーン溝(ベーン溝)
129S 第1圧力導入路
129T 第2圧力導入路
130S 第1シリンダ室(シリンダ室)
130T 第2シリンダ室(シリンダ室)
131S 第1吸入室(吸入室)
131T 第2吸入室(吸入室)
133S 第1圧縮室(圧縮室)
133T 第2圧縮室(圧縮室)
135S 第1吸入孔(吸入孔)
135T 第2吸入孔(吸入孔)
136 冷媒通路孔
137 ボルト通し孔(ボルト孔)
138 ネジ孔(ボルト孔)
140 中間仕切板
151 副軸部
152S 第1偏心部(偏心部)
152T 第2偏心部(偏心部)
153 主軸部
160S 下端板(端板)
160T 上端板(端板)
161S 副軸受部(軸受部)
161T 主軸受部(軸受部)
163S 凹部
163T 凹部
164S 溝
164T 溝
170S 下端板カバー
170T 上端板カバー
171T 膨出部
172T マフラー吐出孔
174 通しボルト
175 通しボルト
176 補助ボルト
180S 連通部
180T 上マフラー室
190S 第1吐出孔(吐出弁部)
190T 第2吐出孔(吐出弁部)
200S 第1吐出弁(吐出弁部)
200T 第2吐出弁(吐出弁部)
201S 第1吐出弁押さえ(吐出弁部)
201T 第2吐出弁押さえ(吐出弁部)
252 アキュムホルダー
253 アキュムバンド
255 システム接続管
257 底部貫通孔
300 補助ボルト通し孔
301 補助ネジ孔
303 凹み

Claims (2)

  1. 上部に冷媒の吐出部が設けられ、下部に冷媒の吸入部が設けられると共に潤滑油が貯留される密閉された縦置きの圧縮機筐体と、該圧縮機筐体内に配置され、前記吸入部から吸入した冷媒を圧縮して前記吐出部から吐出する圧縮部と、前記圧縮機筐体内に配置され、回転軸を介して前記圧縮部を駆動するモータと、前記圧縮機筐体の側部に取付けられ、前記冷媒の吸入部に接続されたアキュムレータと、を備え、冷媒としてR32を用いるロータリ圧縮機において、
    前記圧縮部の構成部品であるシリンダの内径をDc、前記シリンダの高さをHc、前記回転軸の偏心部の偏心量をeとするとき、(e+Hc)・(Dc−e)1/3/(e・Hc)2/3の式で求められる値が、4.1未満となるように、前記Dc、Hc及びeを設定するとともに、
    前記圧縮部の上下から前記圧縮部に嵌合させて前記圧縮部の構成部品である端板を前記シリンダに締結する上通しボルト及び下通しボルトそれぞれの呼び径をd[mm]、前記シリンダに設けられ前記上通しボルト及び前記下通しボルトそれぞれを締め込むネジ孔の面取り寸法をM[mm]とするとき、2×(d+M)+1.0≦Hc≦2×(d+M)+2.5の関係を満たすように、前記シリンダの高さHcを設定し、前記端板を前記シリンダに締結した前記上通しボルトの先端と前記下通しボルトの先端との距離を、1.0[mm]〜2.5[mm]の範囲にすることを特徴とするロータリ圧縮機。
  2. 上部に冷媒の吐出部が設けられ、下部に冷媒の吸入部が設けられると共に潤滑油が貯留される密閉された縦置きの圧縮機筐体と、該圧縮機筐体内に配置され、前記吸入部から吸入した冷媒を圧縮して前記吐出部から吐出する圧縮部と、前記圧縮機筐体内に配置され、回転軸を介して前記圧縮部を駆動するモータと、前記圧縮機筐体の側部に取付けられ、前記冷媒の吸入部に接続されたアキュムレータと、を備え、冷媒としてR32を用いるロータリ圧縮機において、
    前記圧縮部のシリンダ室の容積をV、前記回転軸の偏心部の偏心量をeとするとき、e/V1/3の式で求められる値が、0.215を超える値となるように、前記e及びVを設定するとともに、
    前記圧縮部の上下から前記圧縮部に嵌合させて前記圧縮部の構成部品である端板を前記圧縮部の構成部品であるシリンダに締結する上通しボルト及び下通しボルトそれぞれの呼び径をd[mm]、前記シリンダに設けられ前記上通しボルト及び前記下通しボルトそれぞれを締め込むネジ孔の面取り寸法をM[mm]とするとき、2×(d+M)+1.0≦Hc≦2×(d+M)+2.5の関係を満たすように、前記シリンダの高さHcを設定し、前記端板を前記シリンダに締結した前記上通しボルトの先端と前記下通しボルトの先端との距離を、1.0[mm]〜2.5[mm]の範囲にすることを特徴とするロータリ圧縮機。
JP2015051231A 2015-01-13 2015-03-13 ロータリ圧縮機 Active JP6020628B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015051231A JP6020628B2 (ja) 2015-03-13 2015-03-13 ロータリ圧縮機
US15/542,536 US10550843B2 (en) 2015-01-13 2015-11-26 Rotary compressor
AU2015377503A AU2015377503B9 (en) 2015-01-13 2015-11-26 Rotary compressor
CN201580072605.4A CN107110163B (zh) 2015-01-13 2015-11-26 旋转式压缩机
EP15877968.6A EP3249230B1 (en) 2015-01-13 2015-11-26 Rotary compressor
PCT/JP2015/083296 WO2016114016A1 (ja) 2015-01-13 2015-11-26 ロータリ圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015051231A JP6020628B2 (ja) 2015-03-13 2015-03-13 ロータリ圧縮機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016169706A JP2016169706A (ja) 2016-09-23
JP6020628B2 true JP6020628B2 (ja) 2016-11-02

Family

ID=56982727

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015051231A Active JP6020628B2 (ja) 2015-01-13 2015-03-13 ロータリ圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6020628B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7211034B2 (ja) * 2018-11-27 2023-01-24 株式会社富士通ゼネラル ロータリ圧縮機

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007092643A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Mitsubishi Electric Corp ロータリ圧縮機およびロータリ圧縮機の製造方法
CN101688536B (zh) * 2007-08-28 2011-12-21 东芝开利株式会社 旋转式压缩机及制冷循环装置
JP5549386B2 (ja) * 2010-06-03 2014-07-16 日本精工株式会社 車輪用軸受装置
JP5441982B2 (ja) * 2011-10-31 2014-03-12 三菱電機株式会社 回転圧縮機

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016169706A (ja) 2016-09-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2016114016A1 (ja) ロータリ圧縮機
EP2339179B1 (en) Rotary compressor
JP6015055B2 (ja) ロータリ圧縮機
JPWO2009028633A1 (ja) 多気筒回転式圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP6112104B2 (ja) ロータリ圧縮機
JP2014145318A (ja) ロータリ圧縮機
US9748815B2 (en) Rotary compressor with the balance weight formed with a recess for receiving the head of a rivet
JP6548915B2 (ja) 圧縮機
JP6020628B2 (ja) ロータリ圧縮機
JP6102287B2 (ja) ロータリ圧縮機
EP3043070B1 (en) Rotary compressor
JP6331786B2 (ja) 圧縮機
JP6011647B2 (ja) ロータリ圧縮機
JP5998522B2 (ja) ロータリ圧縮機
JP2016130460A (ja) ロータリ圧縮機
KR101337079B1 (ko) 로터리식 2단 압축기
KR101268638B1 (ko) 로터리식 2단 압축기
KR101328824B1 (ko) 로터리식 2단 압축기
JP2016133000A (ja) ロータリ圧縮機
JP2017053316A (ja) ロータリ圧縮機
JP6111695B2 (ja) ロータリ圧縮機
KR101328858B1 (ko) 로터리식 2단 압축기
CN117889083A (zh) 泵组件、压缩机和制冷设备
KR20090012860A (ko) 로터리식 2단 압축기
JP2014015850A (ja) ロータリ圧縮機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151008

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160223

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160406

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160919

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6020628

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151