JP6019759B2 - フルオロアルケンを含有する熱伝達媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、フルオロアルケンを主成分として含む熱伝達媒体およびその使用方法に関する。
二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、代替フロン等の温室効果ガス排出量を規制する京都議定書が発効し、現在温室効果ガスは排出が制限されている。このため、温室効果ガスを抑制する未利用エネルギーの活用による廃熱発電の開発は重要な課題となっている。鉄鋼・石油・化学・セメント・紙パルプ・窯業・バイオマス等の各種産業から発生する廃熱またはガスタービン、エンジン等の原動機からの廃熱等中低温度の廃ガス、温水廃熱は今日十分には利用されているとはいいがたい。
一般に作動媒体として有機化合物を用いる有機ランキンサイクル(ORC)は、作動媒体を外部に排出しない閉鎖ランキンサイクルであり、作動媒体を気化させる蒸発器と、発電機、膨張機、凝縮器及び再循環用ポンプ等から構成される。ランキンサイクルは、ポンプにおける断熱圧縮、定圧加熱(蒸発)、断熱膨張、定圧冷却(凝縮)の4つの過程を経て回転する。定圧加熱過程において外部熱源と熱交換し、気化した作動媒体が膨張機に運ばれ、断熱膨張しエネルギー(仕事)を外部に与え、電気エネルギー等として取り出される。
従来、ランキンサイクルの作動媒体としては、水が用いられ、古くから実用化されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、水は凝固点が0℃と高く、蒸気比体積が非常に大きいために、使用温度範囲が比較的低温(約200℃以下)の熱源を使用する場合は、設備が大きくなり、またサイクル効率が低下するという欠点を有する。
このような背景のもと、低温発熱技術として、水より沸点の低い有機化合物を作動媒体として用いる有機ランキンサイクル(ORC)について種々の検討がなされており、中でも、有機ランキンサイクル用の作動媒体として、有機フッ素化合物を用いる技術が提案されている。
例えば、特許文献2には、CF3CF2(CO)CF(CF32等のフッ化ケトン類を作動媒体として用いることが開示されている。また、特許文献3には、燃料電池から廃熱を利用する有機ランキンサイクルシステムの作動媒体として、4−トリフルオロメチル−1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンテンを含む有機フッ素化合物が開示されている。
また、特許文献4には、1,1,2,2−テトラフルオロ−2,2,2−トリフルオロエチルエーテルを主剤とし炭素数1〜4のアルコールを混合した作動媒体をランキンサイクル等に用いることが開示されている。また、特許文献5には、C4925等のHFC類をランキンサイクル等熱サイクル用熱媒として用いることが開示されている。
また、特許文献6には、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、モノクロロノナフルオロペンテン等のフルオロオレフィン類を作動媒体として用いる有機ランキンサイクルが開示されている。
フッ素を分子中に含有する化合物は、作動媒体として、ORC以外にも、多くの商業上および工業上の応用において広範囲にわたる用途が見出されている。蒸気圧縮サイクルは、冷凍装置、空調装置、給湯装置における冷却または加熱を達成するために、最も一般的に用いられている方法のうちの一つである。
一般に蒸気圧縮サイクル(蒸気圧縮冷凍サイクルまたはヒートポンプサイクルとも呼ぶことがある)は、作動媒体を外部に排出しない閉鎖サイクルであり、作動媒体を気化させる蒸発器と、蒸気を昇圧させる圧縮機、蒸発器より高い温度および高い圧力の条件下で作動媒体を凝縮させる凝縮器及び絞り膨張器(膨張弁と呼ぶことがある)等から構成される。蒸気圧縮サイクルは、定圧加熱(蒸発)、圧縮機における断熱圧縮断熱膨張、定圧冷却(凝縮)、絞り膨張器による断熱膨張の4つの過程を経て回転する。
蒸気圧縮サイクルの作動媒体としては、フッ素および塩素を含有する作動媒体であるクロロフルオロカーボン(CFC)またはハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)が従来使用されてきたが、オゾン層保護の観点から、段階的に使用が廃止されつつある。現在では、これらの代替作動流体として、塩素を含有しないハイドロフルオロカーボン(HFC)が主に使用されている。
しかしながら、HFCは、地球温暖化係数(GWP)が大きく、温暖化への寄与が非常に大きいと懸念されている。このため、地球温暖化係数の低い作動流体として、含フッ素不飽和化合物であるハイドロフルオロオレフィン(HFO)が代替作動流体として提案されている。
例えば、特許文献7には、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO)とポリアルキレングリコール(PAG)潤滑剤を含む組成物を自動車空調装置の作動媒体として用いることが開示されている。
また、特許文献8には、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンまたは1,3,3,3−テトラフルオロプロペンなどのテトラフルオロプロペンとジフルオロメタンの混合組成物を低温冷凍機の作動流体として用いることが開示されている。また、特許文献9または10には、三成分系の作動流体の第一成分として、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含有する組成物を空調システム用作動流体として使用することが開示されている。
また、特許文献8には、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンまたは1,3,3,3−テトラフルオロプロペンなどのテトラフルオロプロペンとジフルオロメタンの混合組成物を低温冷凍機の作動流体として用いることが開示されている。また、特許文献9または10には、三成分系の作動流体の第一成分として、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含有する組成物を空調システム用作動流体として使用することが開示されている。
ヒートパイプなどの熱交換器に封入した作動媒体の蒸発潜熱を利用して半導体素子や電子機器等を冷却する沸騰冷却型の熱交換器が知られている。
ヒートパイプとは、パイプ状の容器の一端を蒸発部とし、他端を凝縮部として熱を伝える伝熱素子である。原理としては、パイプの一端が温められると、そこで作動媒体が蒸発して熱を吸収する。次いで、蒸発した気体はパイプの中を拡散し、低温部となる他端で潜熱を放出し凝縮する。作動媒体(液体)は重力や毛管力で再びパイプの高温部となる一端へ戻り高温部から低温部へ熱が輸送される。
オゾン層破壊の恐れがなく、地球温暖化係数が小さいなど環境への負荷が小さい炭化水素系の作動媒体がヒートパイプに使用されている。例えば、特許文献11には、n−ペンタンなどの炭化水素類をアルミニウム製のヒートパイプの作動媒体として使用することが開示されている。
また、その他の代替する作動媒体として、HFCまたはHFE(ハイドロフルオロエーテル)系の化合物をヒートパイプ用の作動媒体として用いる各種検討がされている。例えば、特許文献12には、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)と1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル(HFE−347pc−f)との混合物からなる作動媒体が封入されており、作動媒体におけるHFC−134aとHFE−347pc−fとの混合比率が、常温においてHFC−134a、100vol%に対して、HFE−347pc−fが0.5〜1.5vol%であるヒートパイプが開示されている。
沸騰冷却器とは、内部に作動媒体が充填された耐圧性を有する密閉容器であり、容器の一端を半導体などの被冷却物と接している部分を蒸発部とし、他端を空気または水などの被加熱流体と接している部分を凝縮部として、熱を伝える熱交換器である。原理としては、沸騰冷却器と接している高温熱源から沸騰冷却器の蒸発部に熱が加えられると沸騰冷却器内部の作動液が蒸発して熱を吸収する。次いで、蒸発した気体は沸騰冷却器の中を拡散し、被加熱流体へと放熱する凝縮部で凝縮潜熱を放出し液体へ戻る。作動媒体(液体)は重力や毛管力で再び蒸発部へ戻り高温部から低温部へ熱が輸送される。
例えば、特許文献13には、具体的な作動媒体名の記載はないが、フルオロカーボン系作動媒体を封入した沸騰冷却器について、ダイオードまたはトランジスタ等の発熱素子を冷却するための沸騰冷却器が開示されている。
米国特許第3,393,515号 特表2007/520662号公報 特表2008/506819号公報 国際公開2007/105724号パンフレット 国際公開2008/105410号パンフレット 米国特許第2010/0139274A1 特表2007/535611号公報 特開2010/47754号公報 特開2011/168781号公報 特開2011/256361号公報 特開2001−55564号公報 特開2010−65879号公報 特開2003−197839号公報
特許文献1〜6において、50〜200℃程度の中低温度の熱回収を目的として、これまで数多くの有機ランキンサイクル用又はヒートポンプサイクル用作動媒体について提案されているが、不燃性、環境への負荷、熱サイクル特性(発電サイクル効率)など、性能の観点から総合的に未だ十分なものではなく、更なる性能の向上が望まれている。
また、現在、有機ランキンサイクル用作動媒体などに用いられる熱サイクル用作動媒体として、例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(HCFC−123)等の作動媒体が挙げられる。しかし、これらの化合物は、非常に大きい地球温暖化係数を有する点またはオゾン層破壊の観点から環境への負荷が大きいため、将来永続的に使用することが懸念されている。
特許文献7〜10において、低GWPの作動流体を用いた蒸気圧縮サイクルによる空調装置について提案されており、いずれも空調用途(冷房、暖房)に適した作動媒体であるが、給湯または水蒸気生成用のヒートポンプサイクルへの適用事例の記載はなく、これら用途に適した作動媒体とは言い難い。
特許文献11において、低GWPの炭化水素を作動媒体として用いたヒートパイプについて提案されているが、例示されている作動媒体n−ペンタンは、引火点が−49℃と非常に低く、引火性が強い。また、特許文献12において、HFC−134aとHFE−347pc−fの混合組成物を作動流体とするヒートパイプについて提案されており、不燃性の作動媒体であるが、GWPが大きいため、将来永続的に使用することが懸念されている。
特許文献13において、フルオロカーボンを作動媒体として用いた沸騰冷却器について提案されているが、作動媒体の具体的な例示はされていない。
本発明の目的は、不燃性または微燃性かつ環境への負荷が小さく、熱サイクル特性および熱伝達特性を更に改良した、新規な熱伝達媒体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は次の通りである。
[発明1]
炭素数が3個であるフルオロアルケンを含む、熱伝達媒体。
[発明2]
一般式(1)
12C=CR34 (1)
(式中、RはCHm3−m基であり(m=0〜3)、R(n=2〜4)はそれぞれ独立してフッ素、塩素、臭素、ヨウ素又は水素であり、分子内に少なくとも1つ以上のフッ素を含む。)
で表されるフルオロアルケンよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、発明1の熱伝達媒体。
[発明3]
フルオロアルケンの少なくとも1つの化合物が、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(E))又はシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(Z))、である、発明1又は2の熱伝達媒体。
[発明4]
フルオロアルケンが、
トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd(E))、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd(Z))、
2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)
からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる化合物である、発明1又は2の熱伝達媒体。
[発明5]
フルオロアルケンが、
トランス−1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223xd(E))、
シス−1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223xd(Z))、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223za)、
1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1213xa)
からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる化合物である、発明1又は2の熱伝達媒体。
[発明6]
フルオロアルケンが、
トランス−1−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン、
シス−1−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン、
2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン、
トランス−2−ブロモ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
シス−2−ブロモ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン
トランス−1−クロロ−ペンタフルオロプロペン、
シス−1−クロロ−ペンタフルオロプロペン、
トランス−1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
シス−1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
トランス−1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
シス−1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
トランス−2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、
シス−2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン
からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる化合物である、発明1又は2の熱伝達媒体。
[発明7]
フルオロアルケンを、少なくとも50質量%以上含む、発明1から6の何れかの熱伝達媒体。
[発明8]
さらに、ジフルオロメタン(HFC−32)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245eb)、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245ca)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソブタン(HFC−356mmz)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC−43−10−mee)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる化合物を含む、発明1から7の何れかの熱伝達媒体。
[発明9]
さらに、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−メトキシエタン(HFE−254pc)、トランス−1−メトキシ−3,3,3−トリフルオロプロペン、シス−1−メトキシ−3,3,3−トリフルオロプロペン、2−メトキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFE−356mmz)、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル(HFE−347pc−f)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる化合物を含む、発明1から8の何れかの熱伝達媒体。
[発明10]
さらに、炭素数3〜8の飽和炭化水素を熱伝達媒体中に、5質量%〜50質量%含む、発明1から9の何れかの熱伝達媒体。
[発明11]
飽和炭化水素が、ブタン、イソブタン、ネオペンタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、発明10の熱伝達作動媒体。
[発明12]
さらに、炭素数が1〜4のアルコールを作動媒体中に5質量%〜50質量%含む、発明1から11の何れかの熱伝達媒体。
[発明13]
さらに、水を10質量%以下含む、発明1から12の何れかの熱伝達媒体。
[発明14]
さらに、二酸化炭素を10質量%以下含む、発明1から13の何れかの熱伝達媒体。
[発明15]
HFO−1234ze(Z)を50質量%〜99質量%およびHFC−245faを1質量%〜50質量%含む、熱伝達媒体。
[発明16]
HFO−1234ze(Z)を50質量%〜99質量%およびHCFO−1233zd(E)を1質量%〜50質量%含む、熱伝達媒体。
[発明17]
HFO−1234ze(Z)を50質量%〜98質量%、HFC−245faを1質量%〜約50質量%及びHCFO−1233zd(E)を1質量%〜50質量%含む、熱伝達媒体。
[発明18]
HFO−1234ze(Z)を50質量%〜99質量%およびHCFO−1233zd(Z)を1質量%〜50質量%含む、熱伝達媒体。
[発明19]

HFO−1234ze(Z)を50質量%〜99質量%およびHFE−356mmzを1質量%〜50質量%含む、熱伝達媒体。
[発明20]
さらに、潤滑剤を含む、発明1から19の何れか熱伝達媒体。
[発明21]
潤滑剤が、鉱物油(パラフィン系油またはナフテン系油)または合成オイルのアルキルベンゼン類(AB)、ポリ(アルファ−オレフィン)、エステル類、ポリオールエステル類(POE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)、ポリビニルエーテル類(PVE)およびそれらの組合せから選択される、発明20の熱伝達媒体。
[発明22]
さらに、安定剤を含む、発明1から21の何れかの熱伝達媒体。
[発明23]
安定剤が、ニトロ化合物、エポキシ化合物、フェノール類、イミダゾール類、アミン類、ジエン系化合物類、ホスフェート類等およびそれらの組合せから選択される、発明22の熱伝達媒体。
[発明24]
さらに、難燃剤を含む、発明1から23の何れかの熱伝達媒体。
[発明25]
難燃剤が、ホスフェート類、ハロゲン化芳香族化合物、フッ素化ヨードカーボン、フッ素化ブロモカーボン等およびそれらの組合せから選択される、発明24の熱伝達媒体。
[発明26]
発明1から発明25の何れかの熱伝達媒体を含有している熱伝達装置。
[発明27]
熱伝達装置における、発明1から発明26の何れかの熱伝達媒体の使用。
[発明28]
ランキンサイクルまたはその変法を用いて熱から動力を発生させるように構成されてなる発明26の熱伝達装置。
[発明29]
ランキンサイクルまたはその変法を用いて動力を発生させる際に、産業用排熱を利用する発明28の熱伝達装置。
[発明30]
冷却装置である、発明29の熱伝達装置。
[発明31]
業務用空調システム、業務用冷蔵庫システム、業務用冷凍庫システムからなる群より選択される発明30の熱伝達装置。
[発明32]
沸騰冷却システムである、発明30の熱伝達装置。
[発明33]
自動車用パワーコントロールユニット冷却システムまたはCPU冷却システムである、発明32の熱伝達装置。
[発明34]
加熱装置である、発明26の熱伝達装置。
[発明35]
ヒートポンプサイクルまたはその変法を用いて、60℃以上の水を生成する発明34に記載の熱伝達装置。
[発明36]
ヒートポンプサイクルまたはその変法を用いて、100℃以上の水蒸気を生成する発明34に記載の熱伝達装置。
[発明37]
発明1から発明25の何れかの熱伝達媒体を含有している吸収式ヒートポンプシステム。
[発明38]
吸収剤が、エーテル類、エステル類、ポリオール類、アミド類、アミン類、イミド類、ケトン類、アルデヒド類、ニトリル類からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる化合物である、発明37の吸収式ヒートポンプシステム。
[発明39]
吸収剤が、ジメチルラウリルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、キノリン、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、エチルアセトアセテート、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトニルアセトン、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ホウ酸トリグリコールエーテルエステル、n−ヘプトアルデヒド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリドンからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる化合物である、発明37の吸収式ヒートポンプシステム。
本発明の熱伝達媒体によれば、不燃性または微燃性で、環境への影響が小さく、かつ、熱伝達特性に優れた作動媒体を提供することができる。本発明の好ましい作動媒体は、現在使用されている多くのヒドロフルオロアルカンと比較して、地球温暖化には実質上寄与しない。
本発明に係る作動媒体を適用可能な有機ランキンサイクルの概略図である。 ランキンサイクルにおける作動媒体の状態変化を圧力−比エンタルピー線図(P−h線図)上に記載したサイクル図である。 本発明に係る作動媒体を適用可能な蒸気圧縮サイクルの概略図である。 蒸気圧縮サイクルにおける作動媒体の状態変化を圧力−比エンタルピー線図(P−h線図)上に記載したサイクル図である。 本発明の実施例1におけるTs線図である。 本発明の実施例1におけるP−h線図である。 本発明の実施例2におけるTs線図である。 本発明の実施例2におけるP−h線図である。 本発明の実施例3におけるTs線図である。 本発明の実施例3におけるP−h線図である。 本発明の実施例4におけるTs線図である。 本発明の実施例4におけるP−h線図である。 本発明の比較例1におけるTs線図である。 本発明の比較例1におけるP−h線図である。 本発明の比較例2におけるTs線図である。 本発明の比較例2におけるP−h線図である。 本発明の実施例5におけるP−h線図である。 本発明の実施例6におけるP−h線図である。 本発明の実施例7におけるP−h線図である。 本発明の実施例8におけるP−h線図である。 本発明の比較例3におけるP−h線図である。 本発明の比較例4におけるP−h線図である。 実施例9,10及び比較例5に用いた実験装置の概略図である。
本発明における「熱伝達媒体」は、特定のフルオロアルケンを含有するものであり、フルオロアルケン単独のみならず、必要に応じて添加される潤滑剤、安定剤、難燃剤等の添加剤を含んだものも意味する。なお、本明細書において、「熱伝達媒体」は適宜、熱サイクル用作動媒体または単に作動媒体と呼ぶことがある。
本発明の熱伝達媒体は、特定のフルオロアルケン(フッ素化オレフィンまたは含フッ素不飽和炭化水素と呼ぶことがある)のいずれかを少なくとも1つ以上含むことを特徴としている。具体的に、好適なフルオロアルケンとしては、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(trans−CFCH=CHF:沸点−19℃)、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(cis−CFCH=CHF:沸点9℃)、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(trans−CFCH=CHCl:沸点19℃)、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(cis−CFCH=CHCl:沸点39℃)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(CFCCl=CH:沸点15℃)、トランス−1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(trans−CFCCl=CHCl:沸点60℃)、シス−1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(cis−CFCCl=CHCl:沸点53℃)、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、トランス−1−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン、シス−1−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン、トランス−2−ブロモ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、シス−2−ブロモ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、トランス−1−クロロ−ペンタフルオロプロペン、
シス−1−クロロ−ペンタフルオロプロペン、トランス−1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、シス−1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、トランス−1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、シス−1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、トランス−2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、シス−2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンなどを挙げることができる。これらの化合物は単体もしくは2種以上の混合物として使用することができる。
これらの化合物は、不燃性または微燃性であり、かつ、分子内に二重結合を含み、水酸基ラジカルとの反応性が高く、大気寿命が短いため、地球温暖化に対する影響はきわめて小さいので、環境への負荷が小さい。また、本発明の作動媒体はいずれもHFC−134aに対し高い臨界温度を有し、熱伝達流体として優位である。なお、これらの化合物は、作動媒体中(100質量%)中、少なくとも50質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上、含むことが望ましい。50質量%未満である場合、本発明の作動媒体の効果(作動媒体の安定性、熱サイクル性能等)が十分得られにくくなるため好ましくない。
本発明の熱伝達媒体は、上記のフルオロアルケンに加えて、その他のフルオロアルケン、フッ素化エーテル類、ハイドロフルオロカーボン類(HFC)、アルコール類、飽和炭化水素類などの他の添加化合物を含有していてもよい。以下、他の添加化合物について詳細に説明する。なお、これらの化合物の添加量は、本発明の作動媒体の効果を損じないよう、50質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下であることが望ましい。
<その他のフルオロアルケン類>
また、上記の好適なフルオロアルケン以外にも、トランス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(trans−CFCH=CHCF:沸点9℃)、シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(cis−CFCH=CHCF:沸点33℃)、トランス−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン(trans−CFCH=CFCH:沸点17℃)、シス−1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン(cis−CFCH=CFCH:沸点49℃)、1,1,2,3,3,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン(CHFCFCF=CF:沸点21℃)、3−(トリフルオロメチル)−3,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン((CFCFCH=CH:沸点23℃)、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン(CFCHCF=CH:沸点30℃)、3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−プロペン((CF32CH=CH: 沸点14℃)、1−クロロ−ペンタフルオロプロペン(CFCF=CFCl:沸点8℃)、1−クロロ−2−フルオロプロペン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、3,3−ジクロロ−1,1,3−トリフルオロプロペン、1,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン、3,3−ジクロロ−2,3−ジフルオロプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン、2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、2,4,4,4−テトラフルオロ−2−ブテン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、1−クロロ−1,1,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ブテン、1,4−ジクロロ−1,1,4,4−テトラフルオロ−2−ブテン,1,1−ジクロロ−1,4,4−テトラフルオロ−2−ブテン、パーフルオロ−(4−メチル−2− ペンテン)等を用いることもできる。これらのフッ素化オレフィンは単独または2種以上の混合物で用いることもできる。
<その他の添加化合物:フッ素化エーテル類>
また、本発明の熱伝達媒体は、以下に示すフッ素化エーテルを添加することができる。具体的に、好適なフッ素化エーテルとしては、トランス−1−メトキシ−3,3,3−トリフルオロプロペン(CF3CH=CHOCH3: 沸点62℃)、2−メトキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン((CF32CHOCH3: 沸点50℃)、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−メトキシエタン(CF2HCF2OCH3: 沸点37℃)、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル(CF2HCF2OCHCF3: 沸点56℃)2,2,2−トリフルオロエチルトリフルオロメチルエーテル(CFCHOCF3: 沸点6℃)、3H−ヘキサフルオロプロピルトリフルオロメチルエーテル(CHFCFCFOCF3: 沸点23−34℃)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルトリフルオロメチルエーテル(CFCFCHOCF3: 沸点26℃)、へプタフルオロ−1−メトキシプロパン(CFCFCFOCH3: 沸点34℃)、ヘプタフルオロプロピル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル(CFCFCFOCHFCF3: 沸点41℃)、ジフルオロメチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエーテル(CFCFCFOCHF: 沸点46℃)、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル−ジフルオロメチルエーテル(CFCHFCFOCHF: 沸点47℃)、1,2−ジクロロトリフルオロエチルトリフルオロメチルエーテル(CFClCFClOCF: 沸点41℃)、オクタフルオロ−3−メトキシプロペン(CF2=CFCF2OCF3: 沸点10℃)、2−(メトキシメチル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(メトキシジフルオロメチル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビスジフルオロメチルエーテル、メチルペンタフルオロエチルエーテル、1,2,2,2−テトラフルオロエチルトリフルオロメチルエーテル、2,2,2−トリフルオロエチルトリフルオロメチルエーテル、ジフルオロメチル1,2,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、ジフルオロメチル2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルメチル
エーテル、1−トリフルオロメチル−1,2,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロー3−メトキシプロパンを挙げることができる。これらの化合物は単体もしくは2種以上の混合物として使用することができる。
<その他の添加化合物:ハイドロフルオロカーボン類>
その他の、ハロカーボン類としては、ハロゲン原子を含む塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ハイドロフルオロカーボン類としては、ジフルオロメタン(HFC−32)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC−125)、フルオロエタン(HFC−161)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−236ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245eb)、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245ca)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソブタン(HFC−356mmz)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC−43−10−mee)等を挙げることができる。
<アルコール>
また、その他の化合物して、炭素数1〜4のメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、テトラフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等のアルコール類、を含むことができる。
<飽和炭化水素>
また、その他の化合物して、炭素数3〜8のプロパン、n−ブタン、i−ブタン、ネオペンタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1以上の化合物を混合することができる。これらのうち、特に好ましい物質としてはネオペンタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンが挙げられる。これらの飽和炭化水素は、地球温暖化係数が低いため、本発明に係る特定のフッ素化オレフィンに加えることによって、さらに、地球温暖化係数を下げることができる。また、これらの飽和炭化水素は、安価で入手が容易なため、本発明の熱伝達媒体のコストを低減させることも可能となる。
<その他の添加化合物>
また、その他の化合物して、水、二酸化炭素、アンモニア、ジメチルエーテル(DME)を含むことができる。
<潤滑剤>
また、本発明の熱伝達媒体をランキンサイクルの作動媒体に用いる場合、タービン等の膨張機摺動部で使用する潤滑油は、鉱物油(パラフィン系油またはナフテン系油)または合成オイルのアルキルベンゼン類(AB)、ポリ(アルファ−オレフィン)、エステル類、ポリオールエステル類(POE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)またはポリビニルエーテル類(PVE)を用いることができる。
また、本発明の熱伝達媒体をヒートポンプサイクルの作動媒体に用いる場合、圧縮機摺動部で使用する潤滑剤は、鉱物油(パラフィン系油またはナフテン系油)または合成オイルのアルキルベンゼン類(AB)、ポリ(アルファ−オレフィン)、エステル類、ポリオールエステル類(POE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)またはポリビニルエーテル類(PVE)を用いることができる。
アルキルベンゼン類としては、n−オクチルベンゼン、n−ノニルベンゼン、n−デシルベンゼン、n−ウンデシルベンゼン、n−ドデシルベンゼン、n−トリデシルベンゼン、2−メチル−1−フェニルヘプタン、2−メチル−1−フェニルオクタン、2−メチル−1−フェニルノナン、2−メチル−1−フェニルデカン、2−メチル−1−フェニルウンデカン、2−メチル−1−フェニルドデカン、2−メチル−1−フェニルトリデカン等が挙げられる。
エステル類としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの混合物等の芳香族エステル、二塩基酸エステル、ポリオールエステル、コンプレックスエステル、炭酸エステル等が挙げられる。
ポリオールエステル類の原料となるアルコールとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)等のヒンダードアルコールのエステル等が挙げられる。
ポリオールエステル類の原料となるカルボン酸としては、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールは、炭素数1〜18のメタノール、エタノール、直鎖状または分枝状のプロパノール、直鎖状又は分枝状のブタノール、直鎖状又は分枝状のペンタノール、直鎖状又は分枝状のヘキサノール等脂肪族アルコールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキド等を付加重合した化合物が挙げられる。
ポリビニルエーテル類としては、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリn−プロピルビニルエーテル、ポリイソプロピルビニルエーテル等が挙げられる。
<安定剤>
また、本発明の熱伝達媒体は、熱安定性、耐酸化性等を改善するために安定剤を用いることができる。安定剤としては、ニトロ化合物、エポキシ化合物、フェノール類、イミダゾール類、アミン類等が挙げられる。
ニトロ化合物としては、公知の化合物が例示されるが、脂肪族及び/または芳香族誘導体が挙げられる。脂肪族系ニトロ化合物として、例えばニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン等が挙げられる。芳香族ニトロ化合物として、例えばニトロベンゼン、o−、m−又はp−ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、o−、m−又はp−ニトロトルエン、o−、m−又はp−エチルニトロベンゼン、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−又は3,5−ジメチルニトロベンゼン、o−、m−又はp−ニトロアセトフェノン、o−、m−又はp−ニトロフェノール、o−、m−又はp−ニトロアニソール等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えばエチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、グリシドール、エピクロルヒドリン、グリシジルメタアクリレート、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等のモノエポキシ系化合物、ジエポキシブタン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントルグリシジルエーテル等のポリエポキシ系化合物等が挙げられる。
フェノール類としては、水酸基以外にアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、ハロゲン等各種の置換基を含むフェノール類も含むものである。たとえば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモール、p−t−ブチルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、オイゲノール、イソオイゲノール、ブチルヒドロキシアニソール、フェノール、キシレノール等の1価のフェノールあるいはt−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−アミノハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン等の2価のフェノール等が例示される。
イミダゾール類としては、炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐を有するアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基をN位の置換基とする、1−メチルイミダゾール、1−n−ブチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−(β−オキシエチル)イミダゾール、1−メチル−2−プロピルイミダゾール、1−メチル−2−イソブチルイミダゾール、1−n−ブチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1,2,5−トリメチルイミダゾール、1,4,5−トリメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール等が挙げられる。これらの化合物は単独であるいは併用してもよい。
アミン類としては、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジアリルアミン、トリエチルアミン、N−メチルアニリン、ピリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、トリアリルアミン、アリルアミン、α―メチルベンジルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジベンチルアミン、トリベンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等が例示される。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明に用いる安定化剤は、上記化合物以外に、α―メチルスチレンやp−イソプロペニルトルエン、イソプレン類、プロパジエン類、テルペン類等の炭化水素等を含有してもよい。
安定化剤は、予め作動媒体及び潤滑剤の一方または両方に添加してもよく、また、単独で凝縮機内に添加してもよい。このとき、安定化剤の使用量は、特に限定されないが、主作動媒体(100質量部)に対して、0.001〜10質量部が好ましく、 0.01〜5質量部がより好ましく、0.02〜2質量部がさらに好ましい。安定剤の添加量が上限値を越えるか、下限値未満では、作動媒体の安定性、熱サイクル性能等が十分得られない。
<難燃剤>
また、本発明の熱伝達媒体は、燃焼性を改善するために難燃剤を用いることができる。難燃剤としては、ホスフェート類、ハロゲン化芳香族化合物、フッ素化ヨードカーボン、フッ素化ブロモカーボン等が挙げられる。
本発明の熱伝達媒体は、不燃性かつ環境への負荷が小さく、熱サイクル特性に優れている。そのため、発電システム等に利用される有機ランキンサイクル用作動媒体、蒸気圧縮式冷凍サイクル(ヒートポンプ)システム用作動媒体、吸収式ヒートポンプ、ヒートパイプ等の媒体や、冷却システムまたはヒートポンプシステムのサイクル洗浄用洗浄剤、金属洗浄剤、フラックス洗浄剤、希釈溶剤、発泡剤、エアゾール等として用いることができる。
なお、本発明の熱伝達媒体は、小型装置(ランキンサイクルシステムやヒートポンプサイクルシステム等)のみだけでなく、工場スケールの大規模な発電システム、ヒートポンプ給湯システム、ヒートポンプ蒸気生成システム等に適用可能である。
以下、本発明の熱伝達作動媒体用いたランキンサイクルシステムについて詳細に説明する。
<ランキンサイクルシステム>
ランキンサイクルシステムとは、蒸発器において、地熱エネルギー、太陽熱、中低温度(30〜300℃程度)の廃熱等により作動媒体を加熱し、高温高圧状態の蒸気となった作動媒体を膨張機にて断熱膨張させ、この断熱膨張によって発生する仕事によって、発電機を駆動させ、発電を行うシステムである。
図1は、本発明の作動媒体を適用可能な有機ランキンサイクルシステムの一例を示す概略図である。以下に図1のランキンサイクルシステム100の構成と動作(繰り返しサイクル)について説明する。
本発明のランキンサイクルシステム100は、熱を取り込む蒸発器10(ボイラー)と、熱を分配する凝縮器11(コンデンサー)と、を備える。さらに、ランキンサイクルシステム100は、システムを流通する駆動流体によって駆動される発電用タービン12と、凝縮器11を出た液体の圧力を高め、電力を消費するポンプ13と、を有しており、発電用タービン12によって、電力を発生させる発電機14を駆動する。
本発明の作動媒体を用いてランキンサイクルを繰り返す場合、以下の(a)〜(e)を経て電気的エネルギー等として取り出すことができる。
(a)熱交換器(蒸発器10)内で液状の作動媒体が廃熱と熱交換し、気化する。
(b)熱交換器から気化した作動媒体を取り出す。
(c)気化した作動媒体を膨張器(発電用タービン12)に通し、機械的(電気的)エネルギーに変換する。
(d)膨張器から出た作動媒体を凝縮器へ通し、気体の作動媒体を凝縮して液化する。
(e)液化した作動媒体をポンプにより工程(a)へ再循環させる。
ランキンサイクルは、断熱変化および等圧変化からなるサイクルであり、作動媒体の状態変化を圧力‐比エンタルピー線図(P−h線図)上に記載すると図2のように表すことができる。
図2の曲線は、飽和曲線である。図2において、1から2への移行は、タービン等の膨張機で断熱膨張を行い、高温高圧の作動媒体の蒸気によって、仕事を発生させる過程である。すなわち、この1から2へと移行する間に発電する。2から3への移行は、凝縮器で等圧冷却を行い、低温定圧状態の作動媒体蒸気(サイクルポイント2)を凝縮させ、作動媒体を液化させる過程である。3から4への移行は、ポンプで断熱圧縮を行い、作動媒体を高圧の作動媒体(サイクルポイント4)とする過程である。4から1への移行は、蒸発器で等圧加熱を行い高圧の作動媒体(サイクルポイント4)を高温高圧の作動媒体蒸気(サイクルポイント1)とする過程である。
<蒸気圧縮サイクルシステム>
蒸気圧縮サイクルシステムとは、蒸発器で空気、水またはブラインなどの被冷却物のもっている熱を、作動媒体の蒸発潜熱としてそれに移動させ、発生した冷媒蒸気を、圧縮機において、所定温度の空気や水で冷却すれば容易に凝縮する圧力まで圧縮の仕事を加えて圧縮し、凝縮器で凝縮熱を排出して液化し、凝縮した作動媒体液を膨張弁で低圧・低温に絞り膨張させ、蒸発器に送り込んで蒸発させるシステムである。蒸発器において、被冷却物のもっている熱エネルギーを作動媒体が受け取ることにより、被冷却物を冷却し、より低い温度へ降温するシステムであり、公知のシステムに適用できる。凝縮器において作動媒体の熱エネルギーを負荷流体に与えることにより、負荷流体を加熱し、より高い温度に昇温するシステムであり公知のシステムに適用できる。
蒸気圧縮サイクルシステムの蒸発器または凝縮器において、作動媒体と熱交換をする被冷却流体または被加熱流体は、空気、水、ブライン、シリコーンオイルなどが挙げられる。これらはサイクル運転温度条件により、選択して使用されることが好ましい。
図3は、本発明の作動媒体を適用可能な蒸気圧縮サイクルシステムの一例を示す概略図である。以下に図3の蒸気圧縮サイクルシステム200の構成と動作(繰り返しサイクル)について説明する。
本発明の蒸気圧縮サイクルシステム200は、熱を取り込む蒸発器10と、熱を供給する凝縮器12を備える。さらに、蒸気圧縮サイクルシステム200は、蒸発器10を出た作動媒体蒸気の圧力を高め、電力を消費する圧縮機12と、凝縮器12を出た作動媒体過冷却液を絞り膨張させる膨張弁13を有する。
本発明の作動媒体を用いて蒸気圧縮サイクルシステムを繰り返す場合、以下の(a)〜(e)を経て、凝縮器において被加熱媒体に投入電力以上のエネルギーを熱エネルギーとして取り出すことができる。
(a)熱交換器(蒸発器10)内で液体状態の作動媒体が被冷却流体(空気、水など)と熱交換し、気化する。
(b)熱交換器から気化した作動媒体を取り出す。
(c)気化した作動媒体を圧縮機11に通し、高圧の過熱蒸気を供給する。
(d)圧縮機から出た作動媒体を凝縮器へ通し、気体の作動媒体が被加熱流体(空気、水など)と熱交換し、凝縮して液化する。
(e)液化した作動媒体を膨張弁により、絞り膨張させ、低圧の湿り蒸気を供給し、工程(a)へ再循環させる。
蒸気圧縮サイクルシステムは、断熱変化および等圧変化からなるサイクルであり、作動媒体の状態変化を圧力‐比エンタルピー線図(P−h線図)上に記載すると図4のように表すことができる。
図4の曲線は、飽和曲線である。図4において、1から2への移行は、圧縮機で断熱圧縮を行い、高温高圧の作動媒体過熱蒸気を発生させる過程である。2から3への移行は、凝縮器で等圧冷却を行い、高温定圧状態の作動媒体蒸気(サイクルポイント2)を凝縮させ、作動媒体を液化させる過程である。すなわち、この2から3へと移行する間に被過熱媒体へと熱エネルギーを取り出す。3から4への移行は、膨張弁で絞り膨張を行い、作動媒体を低圧の湿り蒸気(サイクルポイント4)とする過程である。4から1への移行は、蒸発器で等圧加熱を行い低圧の作動媒体(サイクルポイント4)を高温低圧の作動媒体過熱蒸気(サイクルポイント1)とする過程である。
<ヒートパイプ>
ヒートパイプとは、パイプ状の容器の一端を蒸発部とし、他端を凝縮部として熱を伝える伝熱素子である。原理としては、パイプの一端が温められると、そこで作動媒体が蒸発して熱を吸収する。次いで、蒸発した気体はパイプの中を拡散し、低温部となる他端で潜熱を放出し凝縮する。作動媒体(液体)は重力や毛管力で再びパイプの高温部となる一端へ戻り高温部から低温部へ熱が輸送される。また、本発明の作動媒体は、ヒートパイプと同様な原理の二相密閉型熱サイフォン装置等の潜熱輸送用システムにも適用可能である。また、ヒートパイプにおける作動液を循環させる駆動力は、重力または毛管力に限定されず、ポンプなどの機械仕事を用いてもよい。
<沸騰冷却器>
沸騰冷却器とは、内部に作動媒体が充填された耐圧性を有する密閉容器であり、容器の一端を半導体などの被冷却物と接している部分を蒸発部とし、他端を空気または水などの被加熱流体と接している部分を凝縮部として、熱を伝える熱交換器である。原理としては、沸騰冷却器と接している高温熱源から沸騰冷却器の蒸発部に熱が加えられると沸騰冷却器内部の作動液が蒸発して熱を吸収する。次いで、蒸発した気体は沸騰冷却器の中を拡散し、被加熱流体へと放熱する凝縮部で凝縮潜熱を放出し液体へ戻る。作動媒体(液体)は重力や毛管力で再び蒸発部へ戻り高温部から低温部へ熱が輸送される。沸騰冷却器における作動液を循環させる駆動力は、重力または毛管力に限定されず、ポンプなどの機械仕事を用いてもよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は係る実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン:HFO−1234ze(E)>
図1の有機ランキンサイクルシステム100において、本発明のシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを適用した場合のランキンサイクル性能(発電サイクル効率)について評価した。なお、図5および6において、実施例1におけるTs線図およびP−h線図を示す。図6において、サイクルポイント1、2、3、4はランキンサイクル計算条件1を示す。
また、評価について、表1〜表3に示すように、ランキンサイクル計算条件において、サイクル構成機器効率を、膨張タービン0.8、循環ポンプ0.6、発電機0.95とした。また、評価条件としては、条件1:有効発電量10kW、蒸発温度77℃(熱源水88℃を想定)、凝縮温度42℃(冷却水32℃を想定)及び、条件2:有効発電量10kW、蒸発温度140℃(熱源水または廃ガス150℃を想定)、凝縮温度42℃(冷却水32℃を想定)の2つの条件とした。作動媒体の物性値は、米国国立標準技術研究所(NIST)のREFPROP ver.8.0を用いるか、または物性推算法により求めた。
以下に、ランキンサイクル計算条件を示す、表1〜表3について示す。
Figure 0006019759
Figure 0006019759
Figure 0006019759
なお、ランキンサイクル性能(発電サイクル効率)を算出する基礎式を導くにあたり、次の項目を仮定した。
(A)ランキンサイクルの理想的な膨張過程は等エントロピー膨張とし、実機損失を考慮し、膨張タービン断熱効率ηを導入。
(B)膨張タービンによる発電機損失を発電機効率ηで考慮。
(C)循環ポンプ動力は発電電気で駆動し、モータ効率を含めポンプ効率ηを導入。
ポンプはキャンド型で、損失分は熱としてサイクルに含める。
(D)軸受潤滑油の循環ポンプ動力は微小であるため無視。
(E)配管の熱損失、圧力損失は無視。
(F)蒸発器出口の作動媒体は飽和蒸気とする。
(G)凝縮器出口の作動媒体は飽和液とする。
以下に、ランキンサイクル性能(発電サイクル効率)を算出する基礎式について詳細に説明する。なお、基礎式は、エバラ時報No.211(2006−4)、p.11掲載の「廃熱発電装置の開発(作動媒体及び膨張タービンの検討)」の計算式を用いた。図2において、サイクルポイント1−2は、膨張タービン、サイクルポイント2−3は、凝縮器、サイクルポイント3−4は、循環ポンプ、サイクルポイント4−1は蒸気発生器から構成されている。なお、図中の点線(サイクルポイント1−2Tth)は等エントロピー膨張を示す。
図2において,作動媒体循環量Gによる膨張タービンの理論発生動力LTth 及び膨張タービン効率を考慮した発生動力LT
Figure 0006019759
Figure 0006019759
と表せる。
発電量EGは,発電機効率を用い,
Figure 0006019759
となる。
循環ポンプは、凝縮器出口の作動媒体液を凝縮器圧力PC から圧力の高い蒸気発生器圧力PE に送り込むもので,その理論的な必要動力Lpth 及びポンプ効率を考慮した必要電力EPは、
Figure 0006019759
Figure 0006019759
となり,有効発電量Ecycle は次式となる。
Figure 0006019759
蒸気発生器への入熱量QE は,
Figure 0006019759
であり,発電サイクルとしての効率は,
Figure 0006019759
となる。
なお、上記(1)〜(8)において、各種記号は以下を意味する。

G: 作動媒体循環量
Lth: 膨張タービンの理論発生動力
Lt: 発生動力
EG: 発電量
E: 循環ポンプ必要電力
Pc: 凝縮器圧力
PE: 蒸気発生器圧力
Lpth: 理論的必要動力
E: 必要電力
Ecycle: 有効発電量
QE: 入熱量
ηcycle: 発電サイクル効率
ρ: 作動媒体密度
h: 比エンタルピー
1,2,3,4: サイクルポイント

[実施例2]
<シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン:HFO−1234ze(Z)>
トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの代わりに、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを用いた以外は、実施例1と同じ条件にて、ランキンサイクル性能(発電サイクル効率)について評価した。なお、図7および8において、実施例2におけるTs線図およびP−h線図を示す。図8において、サイクルポイント1、2、3、4はランキンサイクル計算条件1を示す。また、サイクルポイント1’、2’、3’、4’はランキンサイクル計算条件2を示す。
[実施例3]
<トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン:HCFO−1233zd(E)>
シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの代わりに、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを用いた以外は、実施例2と同じ条件にて、ランキンサイクル性能(発電サイクル効率)について評価した。なお、図9および10において、実施例3おけるTs線図およびP−h線図を示す。図10において、サイクルポイント1、2、3、4はランキンサイクル計算条件1を示す。また、サイクルポイント1’、2’、3’、4’はランキンサイクル計算条件2を示す。
[実施例4]
<シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン:HCFO−1233zd(Z)>
シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの代わりに、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを用いた以外は、実施例2と同じ条件にて、ランキンサイクル性能(発電サイクル効率)について評価した。なお、図11および12において、実施例4におけるTs線図およびP−h線図を示す。図12において、サイクルポイント1、2、3、4はランキンサイクル計算条件1を示す。また、サイクルポイント1’、2’、3’、4’はランキンサイクル計算条件2を示す。
[比較例1]
<1,1,1,2−テトラフルオロエタン:HFC−134a>
トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの代わりに、1,1,1,2−テトラフルオロエタンを用いた以外は、実施例1と同じ条件にて、ランキンサイクル性能(発電サイクル効率)について評価した。なお、図13および14において、比較例1におけるTs線図およびP−h線図を示す。図15において、サイクルポイント1、2、3、4はランキンサイクル計算条件1を示す。
[比較例2]
<1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン:HFC−245fa>
シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの代わりに、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを用いた以外は、実施例2と同じ条件にて、ランキンサイクル性能(発電サイクル効率)について評価した。なお、図15および16において、比較例2におけるTs線図およびP−h線図を示す。図において、サイクルポイント1’、2’、3’、4’はランキンサイクル計算条件2を示す。
実施例1及び比較例1,2のランキンサイクル性能(発電サイクル効率)の算出結果を比較したものを、条件1及び2について、それぞれ表4及び5に示す。
Figure 0006019759
Figure 0006019759
表4の実施例1〜4及び比較例1のサイクル効率より、本発明の作動媒体は、現在使用されているHFC−134aよりも、大きなサイクル効率を有し、ランキンサイクル用作動媒体として優位である。サイクル効率は、蒸発条件と凝縮条件の間の温度差が大きい方が増大する。
表5の実施例1〜4及び比較例2のサイクル効率より、本発明の作動媒体は、現在使用されているHFC−245faよりも、大きなサイクル効率を有し、ランキンサイクル用作動媒体として優位である。サイクル効率は、蒸発条件と凝縮条件の間の温度差が大きい方が増大する。
表4及び5の結果より、100℃以下の比較的低温の熱源を利用する場合、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンが特に有効であることを示す。また、150℃程度の熱源を利用する場合、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが特に有効であることを示す。凝縮温度は通常工場等で使用される冷却水温度よりもやや高めの32℃とし、蒸発温度は中低温排熱を想定し88℃及び135℃の熱源をおいた。
また、本発明の作動媒体は、現在使用されている1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)または1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)に比べ、いずれも臨界温度が同等以上であり、Ts線図(図5、7、9および11)に示すように、良好な熱物性を有する。等エントロピー変化を仮定すれば、1サイクル間に受ける熱量はTs線図でサイクルが囲む面積であるため、臨界温度が高い方が有利である。
また、条件1のランキンサイクルにおいて、現在使用されている1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(HFC−134a)は膨張機出口において、蒸気の一部が凝縮するため、湿り度を有する。一方、本発明の作動媒体は、膨張機出口において、いずれも過熱蒸気である。膨張機材質の腐食等を考慮すると、膨張機出口における作動媒体は過熱蒸気であることが好ましいため、この点からも本発明の作動媒体が有利である。
本発明の作動媒体は、不燃性かつ環境への負荷が小さく、熱サイクル特性に優れているので、有機ランキンサイクルシステム等の発電システムに好適に使用することができる。そのため、優れた発電効率によって、消費電力の低減に大きく寄与することが可能となる。また、利用可能な高温熱源温度により、本発明の作動媒体からより適切な作動媒体を選択することにより、これまで十分利用されてこなかった低温から中低温域の工場廃熱等の利用に用いることができることが分かる。
[実施例5]
<トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン:HFO−1234ze(E)>
成績係数(COP)は、一般に認められている作動媒体性能の尺度であり、作動媒体の蒸発または凝縮を含む特定の加熱または冷却のサイクルにおける作動媒体の相対的な熱力学的効率を表すのに特に有益である。蒸気を圧縮する際に圧縮機によって加えられた仕事量に対する蒸発器において作動媒体が被冷却媒体から受け入れる熱量の比率をCOPで表す。一方、蒸気を圧縮する際に圧縮機によって加えられた仕事量に対する凝縮器において作動媒体が被加熱媒体へ放出する熱量の比率をCOPで表す。
作動媒体の体積能力は、圧縮機の単位吸込み体積当たりの作動媒体が与える冷却または加熱の量を表す。すなわち、特定の圧縮機に対して、作動媒体の体積能力が大きいほど、その作動媒体はより大きな熱量を吸熱または放熱することができる。
トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを作動媒体として用いたヒートポンプサイクルの性能評価において、表6〜表8に示す条件で成績係数を算出した。また、評価条件としては、条件3:蒸発温度25℃、凝縮温度85℃条件4:蒸発温度70℃、凝縮温度130℃、及び条件5:蒸発温度2℃、凝縮温度40℃の3つの条件とした。作動媒体の物性値は、米国国立標準技術研究所(NIST)のREFPROP ver.8.0を用いるか、または物性推算法により求めた。
以下に、ヒートポンプサイクル計算条件を示す、表6〜表7について示す。
Figure 0006019759
Figure 0006019759
Figure 0006019759
ヒートポンプサイクル条件3は、凝縮器において熱源水との熱交換による温水生成を想定している。
ヒートポンプサイクル条件4は、凝縮器において熱源水との熱交換による蒸気生成を想定している。
ヒートポンプサイクル条件5は、蒸発器において熱源水との熱交換による冷水生成を想定している。
なお、ヒートポンプサイクル性能(COP)を算出するにあたり、次の項目を仮定した。
(A)圧縮機の圧縮過程は等エントロピー圧縮とする。
(B)膨張弁における絞り膨張過程は等エンタルピー膨張とする。
(C)配管および熱交換器における熱損失、圧力損失は無視。
(D)圧縮機効率ηを0.7とする。
以下に、ヒートポンプサイクル性能(COP)を算出する式について詳細に説明する。蒸発器への入熱量Q は、
Figure 0006019759
であり,凝縮器における放熱量Q は、
Figure 0006019759
となる。
ただし、等エントロピー圧縮後の圧縮機出口における作動媒体エンタルピーをh2thで表したとき、圧縮機効率を加味したときの圧縮機出口における作動媒体エンタルピーhは、
Figure 0006019759
となる。
作動媒体蒸気を圧縮する際に圧縮機によって加えられた仕事量Wは、
Figure 0006019759
となる。
ヒートポンプサイクル冷却性能(COP)およびヒートポンプサイクル加熱性能(COP)は、
Figure 0006019759
Figure 0006019759
となる。
なお、上記(9)〜(14)において、各種記号は以下を意味する。

G: 作動媒体循環量
W: 圧縮仕事
QE: 入熱量
Q: 放熱量
COP: 成績係数(冷却)
COP: 成績係数(加熱)
h: 比エンタルピー
1,2,3,4: サイクルポイント
2th: 等エントロピー圧縮後のサイクルポイント
図17において、実施例5におけるP−h線図を示す。図17において、サイクルポイント1、2、3、4はヒートポンプサイクル計算条件3を示す。また、サイクルポイント1’、2’、3’、4’はヒートポンプサイクル計算条件4を示し、サイクルポイント1’’、2’ ’、3’ ’、4’ ’はヒートポンプサイクル計算条件5を示す。
[実施例6]
<シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン:HFO−1234ze(Z)>
シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの代わりに、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを用いた以外は、実施例5と同じ条件にて、蒸気圧縮サイクル性能(COP)について評価した。なお、図18において、実施例6におけるP−h線図を示す。図18において、サイクルポイント1、2、3、4はヒートポンプサイクル計算条件3を示す。また、サイクルポイント1’、2’、3’、4’はヒートポンプサイクル計算条件4を示し、サイクルポイント1’’、2’ ’、3’ ’、4’ ’はヒートポンプサイクル計算条件5を示す。
[実施例7]
<トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン:HCFO−1233zd(E)>
シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの代わりに、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを用いた以外は、実施例6と同じ条件にて、蒸気圧縮サイクル性能(COP)について評価した。なお、図19において、実施例7におけるP−h線図を示す。図19において、サイクルポイント1、2、3、4はヒートポンプサイクル計算条件3を示す。また、サイクルポイント1’、2’、3’、4’はヒートポンプサイクル計算条件4を示し、サイクルポイント1’’、2’ ’、3’ ’、4’ ’はヒートポンプサイクル計算条件5を示す。
[実施例8]
<シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン:HCFO−1233zd(Z)>
シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの代わりに、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを用いた以外は、実施例5と同じ条件にて、蒸気圧縮サイクル性能(COP)について評価した。なお、図20において、実施例8におけるP−h線図を示す。図20において、サイクルポイント1、2、3、4はヒートポンプサイクル計算条件3を示す。また、サイクルポイント1’、2’、3’、4’はヒートポンプサイクル計算条件4を示し、サイクルポイント1’’、2’ ’、3’ ’、4’ ’はヒートポンプサイクル計算条件5を示す。
[比較例3]
<1,1,1,2−テトラフルオロエタン:HFC−134a>
本発明の作動媒体の代わりに、1,1,1,2−テトラフルオロエタンを用いた以外は、実施例5と同じ条件にて、蒸気圧縮サイクル性能(COP)について評価した。なお、図21において、比較例3におけるP−h線図を示す。図21において、サイクルポイント1、2、3、4はヒートポンプサイクル計算条件3を示す。また、サイクルポイント1’、2’、3’、4’はヒートポンプサイクル計算条件4を示し、サイクルポイント1’’、2’ ’、3’ ’、4’ ’はヒートポンプサイクル計算条件5を示す。
[比較例4]
<1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン:HFC−245fa>
本発明の作動媒体の代わりに、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを用いた以外は、実施例3と同じ条件にて、蒸気圧縮サイクル性能(COP)について評価した。なお、図22において、比較例4におけるTs線図およびP−h線図を示す。図22において、サイクルポイント1、2、3、4はヒートポンプサイクル計算条件3を示す。また、サイクルポイント1’、2’、3’、4’はヒートポンプサイクル計算条件4を示し、サイクルポイント1’’、2’ ’、3’ ’、4’ ’はヒートポンプサイクル計算条件5を示す。
実施例5〜8及び比較例3または4の蒸気圧縮サイクル性能(COP)の算出結果を比較したものを、条件3、4及び5について、それぞれ表9、10及び11に示す。
Figure 0006019759
Figure 0006019759
Figure 0006019759
表9、及び10の実施例3,4及び比較例2の相対COPより、本発明の作動媒体は、現在使用されているHFC−134aまたはHFC−245faよりも、大きな成績係数を有し、蒸気圧縮サイクル用作動媒体として優位である。
また、本発明の作動媒体は、現在使用されているHFC−134aまたはHFC−245faに比べ、いずれも臨界温度が同等またはそれより高く、Ts線図(図3〜6)に示すように、良好な熱物性を有する。
本発明の作動媒体は、不燃性かつ環境への負荷が小さく、熱サイクル特性に優れているので、蒸気圧縮サイクルシステム等の加熱または冷却システムに好適に使用することができる。そのため、優れた成績係数によって、消費電力の低減に大きく寄与することが可能となる。また、本発明の作動媒体を用いたヒートポンプサイクルによって、これまで十分利用されてこなかった中低温域の温水を加熱することにより、高品位の温水または水蒸気として利用することができることが分かる。
次に本発明の熱伝達媒体の沸騰冷却器への使用、冷却性能評価結果について説明する。
[実施例9]
外径16mm、肉厚1.0mm、長さ800mmのパイプ状のSUS316製コンテナによって形成された沸騰冷却器のコンテナ内にトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを作動媒体として30mL封入した。
図23に示すように、沸騰冷却器300の一端側の略半部にシーズヒーター19を巻回し、均温化を図るために断熱材23で覆って蒸発部27とした。また、沸騰冷却器300の他端側の略半部に、シーズヒーター19と沸騰冷却器300の長さ方向に間隔をおくように水冷ジャケット21を装着して凝縮部28とした。沸騰冷却器300における蒸発部27と凝縮部28の間の部分が断熱部である。
蒸発部27と凝縮部28には、それぞれ蒸発部温度計20と凝縮部温度計22を設置して温度を測定した。沸騰冷却器300内の圧力を測定するために圧力計26を設置した。また、蒸発部27への入力熱量をスライダックより制御した。
図23に示すように、蒸発部27が下方、凝縮部28が上方とし、沸騰冷却器300を鉛直に設置し、シーズヒーターにより沸騰冷却器300の蒸発部27を加熱しながら、水冷ジャケット21内に冷却水(入口温度=25℃、供給速度=8.5g/sec)を供給、循環させて凝縮部40を冷却した。シーズヒーターによる入力熱量(W)を種々変更し、入力熱量(W)と沸騰冷却器300内での作動液熱抵抗(℃/W)との関係を求めた。入力熱量が0W〜300Wの範囲において、対応する作動媒体の温度は、およそ20〜70℃である。
熱抵抗(℃/W)は、ある2点間の温度差を伝熱量で除したものと定義される。熱抵抗は、ある2点間における熱の伝わりにくさを表す指標であるため、ある作動媒体を封入した沸騰冷却器の熱抵抗値を比較した場合、熱抵抗値がより小さい方が、冷却性能の観点から、より性能が優れているといえる。
沸騰冷却器全体の熱抵抗Rは、蒸発部熱抵抗R、作動媒体熱抵抗RWF、凝縮部熱抵抗Rの総和で表すことができる。シーズヒーターによる入力熱量(W)を種々変更し、入力熱量(W)と沸騰冷却器内での作動圧力との関係を求めた。入力熱量が300Wのときの相対熱抵抗値、蒸発部における作動媒体温度及び作動圧力を表12に示す。

Figure 0006019759
蒸発部熱抵抗Rは、蒸発部外壁温度と、蒸発部中心部における作動媒体内部温度との差をシーズヒーターの入力熱量で除することにより求めた。また、作動媒体熱抵抗RWFは、蒸発部中心部における作動媒体内部温度と、凝縮部中心部における作動媒体内部温度との差をシーズヒーターの入力熱量で除することにより求めた。また、凝縮熱抵抗Rは、凝縮部中心部における作動媒体内部温度と、凝縮部ジャケット中心部における水の温度との差をシーズヒーターの入力熱量で除することにより求めた。
シーズヒーターによる入力熱量(W)を種々変更し、入力熱量(W)と沸騰冷却器内での作動圧力との関係を求めた。その結果を図に示す。
[実施例10]
作動媒体を、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンとする以外は、実施例9と同じ条件とした。
[比較例5]
作動媒体を、1,1,1,2−テトラフルオロエタンとする以外は、実施例5と同じ条件とした。
Figure 0006019759
表12に示す結果から、本発明の作動媒体は、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと比較して、沸騰冷却器システムとしての熱抵抗値が10〜20%低下しており、沸騰冷却器の作動媒体として、熱伝達が効率的に行われていることがわかる。
表12に示す結果から、本発明の作動媒体は、1,1,1,2−テトラフルオロエタンと比較して、作動圧力が20〜65%低下しており、より低い作動圧力で冷却できることを示している。沸騰冷却器を構成する材料の耐圧性能は、作動媒体の作動圧力以上とする必要があるため、より低い圧力で冷却することは、装置製作の経済性の観点からも好ましい結果といえる。
[実施例11]
SUS316製オートクレーブに作動媒体30gを充填し、150℃に加熱して、5週間保持した。ガスクロマトグラフィーを用いて、作動媒体の分解生成物および作動媒体の異性体生成物の有無について、評価を行った。得られた結果を表13に示す。
Figure 0006019759
いずれの作動媒体も、熱分解生成物は見られなかった。また、表13に示した結果から明らかなように、HFO−1234zeは、トランス体、シス体ともに、異性化反応は進行しなかった。HCFO−1233zdのトランス体は、少量の異性体生成が確認された。本発明の作動媒体は熱安定性に優れていることがわかる。
[実施例12]
作動媒体0.5gと潤滑油0.5gをガラス製試験管に封入した。ガラス試験管ごと0℃まで冷却し、目視により、作動媒体と潤滑油との相溶性について、評価を行った。得られた結果を表14に示す。表14において、均一に相溶したときは○、二層分離したときは×で評価した。
相溶性試験には、以下の4種類の潤滑油を使用した。
鉱物油(MO1):タービンオイル(JX日鉱日石エネルギー製)
鉱物油(MO2):スニソ4GS(日本サン石油製)
アルキルベンゼン油(AB):アトモス68N(JX日鉱日石エネルギー製)
ポリアルキレングリコール油(PAG):SUNICE P56(日本サン石油製)
ポリビニルエーテル油(PVE):ダフニーハーメチックオイルFVC68D(出光興産製)
ポリオールエステル油(POE):Ze−GLES RB68(JX日鉱日石エネルギー製)

Figure 0006019759
いずれの作動媒体も、合成油であるPAG、PVE及びPOEに対して、良好な相溶性を有した。また、塩素を含有するHCFO−1233zdは、トランス体及びシス体ともに、鉱物油(MO1およびMO2)、合成油(AB)に対しても良好な相溶性を有した。

Claims (14)

  1. 熱伝達装置における、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(Z))を90質量%以上含む熱伝達媒体の使用方法であって、
    該熱伝達装置が、ヒートポンプサイクルを用いて60℃以上の水または100℃以上の水蒸気を生成する熱伝達装置である、
    熱伝達媒体の使用方法。
  2. 熱伝達媒体が、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(Z))のみからなる、請求項1に記載の方法。
  3. 熱伝達媒体が、さらに、鉱物油(パラフィン系油またはナフテン系油)または合成オイルのアルキルベンゼン類(AB)、ポリ(アルファ−オレフィン)、エステル類、ポリオールエステル類(POE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)、ポリビニルエーテル類(PVE)およびそれらの組合せから選択される潤滑剤を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 熱伝達媒体が、さらに、ポリオールエステル類(POE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)およびポリビニルエーテル類(PVE)から選択される潤滑剤を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  5. ヒートポンプシステムを凝縮温度85〜130℃で作動させる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法。
  6. シス−1,3,3,3−テトラフルオロアルケン(HFO−1234ze(Z))を90質量%以上含む熱伝達媒体、を含有し、
    ヒートポンプサイクルを用いて、60℃以上の水または100℃以上の水蒸気を生成する、熱伝達装置。
  7. 熱伝達媒体が、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(Z))のみからなる、請求項6に記載の熱伝達装置。
  8. 熱伝達媒体が、さらに、鉱物油(パラフィン系油またはナフテン系油)または合成オイルのアルキルベンゼン類(AB)、ポリ(アルファ−オレフィン)、エステル類、ポリオールエステル類(POE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)、ポリビニルエーテル類(PVE)およびそれらの組合せから選択される潤滑剤を含む、請求項6または請求項7に記載の熱伝達装置。
  9. 熱伝達媒体が、さらに、ポリオールエステル類(POE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)およびポリビニルエーテル類(PVE)から選択される潤滑剤を含む、請求項6または請求項7に記載の熱伝達装置。
  10. ヒートポンプシステムを凝縮温度85〜130℃で作動させる、請求項6から請求項9のいずれかに記載の熱伝達装置。
  11. シス−1,3,3,3−テトラフルオロアルケン(HFO−1234ze(Z))を90質量%以上含む、
    ヒートポンプシステムによる60℃以上の給湯または100℃以上の水蒸気生成用熱伝達媒体。
  12. シス−1,3,3,3−テトラフルオロアルケン(HFO−1234ze(Z))のみからなる、請求項11に記載の熱伝達媒体。
  13. さらに、鉱物油(パラフィン系油またはナフテン系油)または合成オイルのアルキルベンゼン類(AB)、ポリ(アルファ−オレフィン)、エステル類、ポリオールエステル類(POE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)、ポリビニルエーテル類(PVE)およびそれらの組合せから選択される潤滑剤を含む、請求項11または請求項12に記載の熱伝達媒体。
  14. さらに、ポリオールエステル類(POE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)およびポリビニルエーテル類(PVE)から選択される潤滑剤を含む、請求項11または請求項12に記載の熱伝達媒体。
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