JP6019744B2 - 磁性体組成物とそれを用いた磁性体成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁波ノイズの防御等に応用可能な電磁波吸収能を有する磁性体材料に関し、特に、ナノメータサイズの磁性材料(ナノ粒子)を含有する磁性体組成物および磁性体組成物を用いて形成して成る磁性体成形体に関する。
情報技術の発達に伴って多くの情報関連機器やシステムが機能しており、これらの機器やシステムの多くがデジタル信号で動作しているため、電磁波ノイズによって器機・装置間で種々の干渉が発生して誤動作する問題がある。この問題に対処するには、個々の器機や装置それ自体の動作、あるいは他の器機や装置の動作に影響を与えるような不要な電磁波の放射を押える必要がある一方、外部からの電磁波ノイズ(進入電磁波)に対しては故障しないように耐力を有することが必要となる。このような、電磁波ノイズの対策として、磁性材料を含有する電磁波吸収体や、電磁波吸収シートなどを用いることが知られている。
近年、特異な磁気特性(例えば超常磁性、磁気抵抗効果、磁気異方性等)の発現が期待されるナノメータサイズの磁性材料が注目され検討されている。ナノメータサイズの磁性材料に関しては、例えば、FeまたはFeとCoを主成分とする金属磁性相を有し、非磁性成分(Al、Siの1種以上)を含有する金属磁性粉末に対し、非磁性成分の少なくとも1種以上と錯体を形成しうる錯化剤を含有する液中において還元剤を作用させることにより、磁気記録用金属磁性粉(粒子長10nm以上45nm以下、軸比が2以上)を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、遷移金属から金属前駆体溶液を形成するステップ、金属前駆体溶液を界面活性剤溶液に加えるステップ、凝集剤を加えて永久凝集を起こすことなくナノ粒子を溶液から析出させるステップ、およびハイドロカーボン溶媒を加えて前記ナノ粒子の再結合または再コロイド化を行うステップにより強磁性ナノ粒子を形成する方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、基板表面上に磁性ナノ粒子からなる層状の周期的配列を形成した磁気記憶媒体における前記配列を安定化する方法が提案されている(特許文献3参照)。前記磁性ナノ粒子は、元素Co、Fe、Ni、Mn、Sm、Nd、Pr、Pt、Gd、前記元素の金属間化合物、前記元素の二元合金、前記元素の三元合金、Fe以外の少なくとも1種の前記元素をさらに含むFe酸化物、バリウム・フェライトおよびストロンチウム・フェライトからなる群から選択された磁性材料から形成される。
また、磁気記録媒体の高出力特性向上のために必要とされる磁気記録層の薄層化要求に対応するため、ベースフィルムにヘマタイト粉末を含有する非磁性下地層を設け表面を平滑にすることが提案されている(特許文献4参照)。ヘマタイト粉末は、平均長軸径が0.005〜0.3μm、平均短軸径が0.0005〜0.10μmである針状ヘマタイト粒子が長軸方向に方向性をもって配列した構造を有する集合体とされている。
ナノ粒子の磁気的性質を決定している特徴はそれらの形状にある。例えば、磁気異方性エネルギーに関与している条件のうちの1つは異等方性であって、それは球状粒子よりも長形粒子のほうが大きい。従って、異なる形状又は特に細長い形状を有する粒子を生成する方法を開発することが望ましい。つまり、このような目的のために最適化された磁性粒子を生成する必須条件の一つは、サイズ、サイズ分散および形状の制御にあり、基本的に分散状態をコントロールできないと、塗布等により形成された磁性体が不均一となり、機能性をうまく持たすことができないという課題がある。
一方、従来の長軸と短軸を有する異方性形状のナノメータサイズの磁性材料では高周波における透磁率が低いという問題がある。例えば、特許文献4に記載の針状ヘマタイト粒子(長軸が100nm以上と大きく、短軸は20nm前後である)では、1GHz以上の高周波で透磁率が1(H/m)以下と低い値である。このため、1GHz以上の高周波領域において用いられる電子機器・装置(例えば、RF機器、UHF機器)の電磁波吸収材料として使用するのは難しい。
なお、前記電子機器・装置としては、半導体部品や回路基板等が知られている。例えば、回路基板として、局地的で選択可能な透磁性及び基板特性を有するメタ物質領域(メタ物質:分子やナノメータなど極めて微細なレベルにおいて混合或いは配置された2つ以上の物質を複合することによって形成された物質)を有する誘電基板に無線周波信号を処理する回路を形成したRF回路が提案されている(特許文献5参照)。
また、半導体部品を封止する材料として、エポキシ樹脂主剤、硬化剤、硬化促進剤を主成分とする樹脂に対して、平均粒子径20〜40nmのカーボンブラックを、封止樹脂組成物100重量%中に0.3〜1.0重量%含有する封止樹脂組成物が提案されている(特許文献6参照)。これにより絶縁性と遮光性を兼ね備えた封止樹脂組成物を得ることができるとしている。
前述のように、従来の長軸と短軸を有する異方性形状のナノメータサイズの磁性材料(特許文献1では磁性体の長軸と短軸の比が2以上であり、特許文献4では長軸が100nm以上、短軸が20nm前後である)では高周波における透磁率が低いという問題がある。例えば、特許文献4に記載の針状ヘマタイト粒子は、1GHz以上の高周波で透磁率が1(H/m)以下の低い値である。なお、透磁率は、実数項と虚数項に分けて示されるが、本発明で言う透磁率は、複素透磁率の実部を指し、単位は、(H/m)である。
異方性形状のナノメータサイズの磁性材料は高周波における透磁率が低いため、1GHz以上の高周波領域において用いられる電子機器・装置(例えば、デジタル・カメラや携帯電話機,ノート・パソコンのマイクロプロセサやLSI、液晶パネルなどのUHF機器やRF機器)の電磁波吸収材料として使用するのは難しい。また、ナノメータサイズの磁性材料(ナノ粒子)を含有した電磁波吸収能を有する磁性材料は種々検討されているが、ナノ粒子のサイズ、サイズ分散および形状の制御が難しく、このナノ粒子を含む成形材料を用いて、例えば、塗布等により成形した場合、磁性体が不均一となって機能性を十分に発揮することができないという課題がある。
本発明は、電磁波吸収能の優れたナノメータサイズの磁性材料(ナノ粒子)を含有する磁性体組成物および磁性体組成物を用いて形成して成る磁性体成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、Ga、ZnおよびSn元素から選択される少なくとも一種の金属酸化物とFeCo酸化物とを必須成分として含むナノ粒子を用いることにより、上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。
即ち、上記課題は、樹脂と、磁性体とを含有する磁性体組成物であって、前記磁性体は、Ga、ZnおよびSn元素から選択される少なくとも一種の金属酸化物とFeCo酸化物とを必須成分として含み、数平均粒径30nm以上90nm以下の球状粒子であることを特徴とする磁性体組成物により解決される。
また、上記課題は、請求項1乃至のいずれかに記載の磁性体組成物を用いて形成されて成ることを特徴とする磁性体成形体により解決される。

樹脂と、Ga、ZnおよびSn元素から選択される少なくとも一種の金属酸化物とFeCo酸化物とを必須成分として含むナノ粒子からなる磁性体とを含有してなる磁性体組成物としたことで、高周波領域(特に、1GHz以上)において用いられる磁性体成形体の提供を可能とする。また、本発明の磁性体組成物を用いて形成されて成る磁性体成形体(シート体またはバルク体等)は電磁波吸収能の優れたナノメータサイズの磁性材料(例えば、数平均粒径30nm以上90nmの球状ナノ粒子)を含有するので、各種電子器機や装置(例えば、デジタル・カメラや携帯電話機,ノート・パソコンのマイクロプロセサやLSI、液晶パネルなどのUHF機器やRF機器等)の電磁波ノイズ防御用として広く応用可能である。
実施例で作製した各磁性体シートの概略構成を示す図である。
前述のように本発明における磁性体組成物は、樹脂と、ナノ粒子からなる磁性体とを含有する磁性体組成物であって、前記磁性体は、Ga、ZnおよびSn元素から選択される少なくとも一種の金属酸化物とFeCo酸化物とを必須成分として含むナノ粒子であることを特徴とするものである。
本発明の磁性体組成物(および磁性体組成物を用いて形成した磁性体成形体)における磁性体は、Ga、ZnおよびSn元素から選択される少なくとも一種の金属酸化物とFeCo酸化物とを必須成分として含むナノ粒子である。ここで、磁性体を構成する「Ga、ZnおよびSn元素から選択される少なくとも一種の金属酸化物」と、「FeCo酸化物」との組成比は、Ga(0.5〜8質量%),Zn(0.5〜8質量%),Sn(1〜8質量%)に対して、Fe70Co30〜Fe30Co70[Co量が30〜70at%、ただし50at%を除く(Co量が50at%のとき規則・不規則構造となる)](99.5〜92質量%)の範囲にあるものが好ましい。より好ましくは、Ga(1〜5質量%),Zn(1〜5質量%),Sn(1〜5質量%)に対して、Fe60Co40〜Fe40Co60[Co量が40〜60at%、ただし50at%を除く(Co量が50at%のとき規則・不規則構造となる)] (99〜95質量%)の範囲である。
上記範囲であると、球状のナノ粒子からなる磁性体を得ることができ、しかも1GHz以上の高周波領域において透磁率の大きいものが形成できる。
一方、Ga、ZnおよびSn元素が上記範囲より少なくなると、磁性粒子の硬さにもろさがでる。また、上記範囲より多くなってももろく、上記範囲で硬く丈夫な磁性粒子が得られる。
なお、透磁率としては、限定されるものではないが1GHz以上の高周波で2(H/m)以上を目標値とする。
前記ナノ粒子からなる磁性体は、限定されるものではないが、下記のような原料を用い、これらを混合した後、熱処理することで製造することができる。原料の配合においては前記組成比の範囲となるように調整される。
Fe原料としては、鉄(II,III)アセチルアセトナート〔C1014FeO, Fe(CHCOCHCH)〕、酢酸鉄(II)〔CFe〕、ヘキサアンミン錯塩(Fe(NH)l2)、乳酸鉄(II)三水和物〔Fe(CHCH(OH)COO)〕、しゅう酸鉄(II)二水和物〔FeC・2HO〕などが挙げられる。
Co原料としては、オレイン酸コバルトCo(C1733COO)、ヘキサアンミンコバルト錯塩(Co(NH)l2)、コバルト(II)アセチルアセトナート(CHCOCH:C(CH)O)Co、コバルト(III)アセチルアセトナート〔Co(CHCOCHCOCH)〕が望ましい。
Ga、Sn、Znの各原料としてはアルコキシド化合物、酸化物などが用いられるが、市販品のナノ粒子を用いることもできる。例えば、Ga原料として、トリエトシキガリウム[Ga(CO)]ナノ粒子(数平均値;80〜100nm)、Sn原料として、SnO(酸化スズ)ナノ粒子(数平均値:20〜40nm)、Zn原料として、酸化物の[ZnO]ナノ粒子(数平均値:20〜40nm)を用いることができる。
上記原料粉末を混合する方法としては、ボールミルなどによる大気中での乾式混合でもよいが、均質な混合を行う場合にはボールミルにイソプロピルアルコールなどの溶媒を用いた湿式混合が望ましい。得られた混合粉末は、窒素雰囲気にして、雰囲気の酸素濃度を100ppm以下に制御可能な加熱炉において、温度500〜1100℃の範囲内で熱処理する。温度が500℃未満であると反応が不十分となり、金属錯体等の分解・還元が不完全となりやすい。
上記金属錯体等は熱処理の過程で分解し、H、C、N、Oなどを含有するガスが気散し、残された金属成分が磁性金属粒子を形成し、Ga、Sn、Znが含まれるFeCoが形成される。
上記ナノ粒子からなる磁性体は合成により得ることもできるが、市販品を用いてもよい。このような磁性体としては、限定されるものではないが、例えば、鉄コバルトナノパーティクル(和光純薬社製)等が挙げられる。
前記磁性体の数平均粒径としては、30nm以上90nm以下の球状粒子であることが好ましい。
数平均粒径が30nm未満であると、とりわけ酸化しやすく、一方、90nmを超えると、組成物の流動性が著しく低下し、インク化しづらいことや、特性がばらつきやすくなることから実用に適さなくなる。
ここで、本発明における磁性体の数平均粒径は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)法により測定されたものである。
また、前記磁性体の含有量は、全組成物中20質量%以上50質量%以下であることが好ましい。磁性体の含有量が20質量%未満であると、透磁率が十分に発揮できなくなる恐れがあり、また、付帯的には組成物の難燃性、耐クラック性、熱伝導率、弾性率等の特性向上効低減する傾向がある。一方、50質量%を超えると組成物の流動性が低下し、成形性に支障をきたす恐れがある。特に、磁性体の配合量が80質量%を超えると組成物の流動性が著しく低下し、成形性に劣ることから実用に適さなくなる。
本発明の磁性体組成物を構成する樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性の樹脂、あるいは、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリイミドなどの熱可塑性の樹脂でもよく、目的や用途に応じて公知の各種樹脂の中から選択することができる。
以下、本発明において好ましく用いることができるエポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤を組み合わせた樹脂系(略:「エポキシ樹脂−フェノール樹脂硬化剤系」)を例に挙げて説明する。
エポキシ樹脂−フェノール樹脂硬化剤系の必須成分であるエポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物であればよく、その種類等に限定されるものではない。このようなエポキシ樹脂としては、フェノールまたはアルキルフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合物をエポキシ化することにより得られるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、テトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンのエポキシ化物、ビスヒドロキシビフェニル系エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種または2種以上の混合物として使用される。
なお、磁性体組成物が、例えば、半導体素子等に用いられる場合には、半導体素子の信頼性を確保するために、エポキシ樹脂中に含まれる塩素量は1000ppm以下であることが好ましい。
一方、エポキシ樹脂−フェノール樹脂硬化剤系の必須成分であるフェノール樹脂硬化剤は、分子中にフェノール性水酸基を有し、エポキシ樹脂中のエポキシ基と反応して硬化させ得るものであればよく、その種類等に限定されるものではない。このようなフェノール樹脂硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビフェノールノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシレン変性フェノール樹脂、多官能芳香族フェノール樹脂、フェノール類とベンズアルデヒドやナフチルアルデヒドとの縮合物、トリフェノールメタン化合物、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。これらは1種または2種以上の混合物として使用される。
上記フェノール樹脂硬化剤としては、水酸基当量が130以上であるものが好ましく、これにより樹脂硬化物の難燃性や低吸湿性等を付与することができる。また、信頼性の向上を図る上で、樹脂中に含まれるフリーのフェノール類の濃度を1質量%以下とすることが好ましい。
フェノール樹脂硬化剤は、合成したものを使用してもよいし市販品を用いることもできる。このような市販品の具体例としては、明和化成株式会社製のMEH−7851シリーズ(ビフェノールノボラック型フェノール樹脂)、三井化学株式会社製のXL、XLCシリーズ(フェノールアラルキル樹脂)、鹿島工業株式会社製のFPIシリーズ(多官能芳香族フェノール樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂−フェノール樹脂硬化剤系におけるエポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤との配合比は特に限定されるものではないが、それぞれの未反応成分を少なく抑えるために、エポキシ樹脂のエポキシ基数に対するフェノール樹脂のフェノール性水酸基数の比(フェノール性水酸基数/エポキシ基数)が0.5〜1.5の範囲となるように設定することが好ましい。
フェノール性水酸基数/エポキシ基数の比が0.5未満ではエポキシ樹脂の硬化反応を十分に生起できないおそれがある。一方、フェノール性水酸基数/エポキシ基数の比が1.5を超えると硬化物の特性、特に耐湿性が劣化しやすくなる。
本発明の磁性体組成物には上述した必須成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の添加剤を配合することができる。
このような他の添加剤としては、エポキシ樹脂−フェノール樹脂硬化剤系の樹脂組成物に一般的に配合される、硬化促進剤、シランカップリング剤等の表面処理剤、天然ワックスや合成ワックス等の離型剤、シリコーンゴム等の低応力化剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記硬化促進剤は、速やかな硬化性を付与するために通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものであり、エポキシ樹脂を硬化させることができるものであれば、特に制限なく使用することができる。
このような硬化促進剤としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン等の有機ホスフィン化合物、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物またはその誘導体、DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7)またはそのフェノール塩等が挙げられる。これらは必要に応じて1種または2種以上の混合物として使用される。
上述した硬化促進剤の配合割合は、それぞれの触媒活性が異なるために一概に好適な量を決めることはできないが、一般的には全樹脂組成物量に対して0.1質量%〜5質量%の範囲で加えることが好ましい。
硬化促進剤の配合量が全樹脂組成物量に対して0.1質量%未満であると、硬化促進機能を十分に得ることができないことが多い。一方、硬化促進剤の配合量が全樹脂組成物量に対して5質量%を超えると、エポキシ樹脂硬化物の耐湿信頼性等が低下するおそれがある。
磁性体組成物を製造する一般的な方法としては、必須成分である樹脂(例えば、エポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤)と磁性体(Ga、ZnおよびSn元素から選択される少なくとも一種の金属酸化物とFeCo酸化物とを必須成分として含むナノ粒子)および必要に応じて他の添加成分をミキサー等で均一に混合(ドライブレンド)し、さらに熱ロール、ニーダ、押出し機等で溶融混練して冷却した後に粉砕する方法が挙げられる。粉砕後、必要に応じて篩により粒度を揃えて使用することもできる。
このようにして得られる磁性体組成物は、紛体のまま用いて溶融法(例えば、加熱により溶融した組成物を金型等にチャージして成形)により磁性体成形体を形成することもできるし、溶剤に組成物を溶解・分散した溶液を用いて塗工法(例えば、基板上に塗布して成形)により磁性体成形体を形成することもできる。成形方法は、磁性体成形体がシート体であるかバルク体であるかに応じて適宜選択される。
前述のように、磁性体の好ましい含有量は、全組成物中20質量%以上50質量%以下である。また、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂硬化剤との配合は、[フェノール性水酸基数]/[エポキシ基数]は、0.5〜1.5の範囲となるように選択される。
磁性体成形体がバルク体である例としては、限定されるものではないが、半導体素子等の電子部品の封止材料が挙げられる。また、磁性体成形体がシート体である例としては、限定されるものではないが、樹脂フィルム(例えば、PETフィルム)上に組成物を溶剤に溶解・分散した溶液をPETフィルム上に塗布した後硬化した柔軟性(フレキシブル)のある磁性体シート材料が挙げられる。このように、本発明の磁性体組成物を用いることにより、シート体またはバルク体からなる磁性体成形体を形成し、電磁波ノイズ防御用として各種分野に応用できる。本発明の磁性体成形体の透磁率は、1GHzで2(H/m)以上であるものが得られることから、電磁波ノイズ防御用として好ましく使用できる。
特にデジタル信号で動作する機器(例えば、RF機器、UHF機器:デジタル・カメラや携帯電話機、ノート・パソコンのマイクロプロセサやLSI、液晶パネル等)の発展に伴う電磁波波環境においては、電磁波ノイズによって器機装置間でさまざまな干渉問題が発生し誤動作する心配があるため、個々の装置が他の装置の動作に影響を与えるような不要な電磁波の放射を押え、外部からの進入電磁波に対しては故障しないような耐力を持つこと(電磁両立性:EMC:Electro Magnetic Compatibility)が必要となっている。そのために、これらの電磁波障害を防止する技術として電磁波吸収体や電磁シールド材が使用されており、本発明の磁性体組成物を用いて形成された磁性体成形体は電磁波吸収体として有用である。
さらに、上述したエポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤以外に下記一般式(1)で表されるアミノ基を有するシリコーンオイルを含有することが好ましい。
Figure 0006019744
(式中、R、Rはアミノ基を有する同一または異種の一価の有機基を示し、nは任意の正の整数である。)
上記した一般式(1)において、RおよびRはエポキシ樹脂と反応性を有するアミノ基を有する有機基であるが、ここで、アミノ基を有するシリコーンオイル(略、反応性シリコーンオイル)のアミン当量は3000〜8000の範囲であることが好ましい。 反応性シリコーンオイルのアミン当量が3000未満であると、磁性体組成物を用いて形成した際に、該シリコーンオイルの染み出し等により磁性体成形体の外観不良や特性低下等が生じやすくなる。一方、反応性シリコーンオイルのアミン当量が8000を超えると、静電気の低減効果や配線間リーク等の抑制効果を十分に得ることができないおそれがある。
上記反応性シリコーンオイルを添加することにより、樹脂成形時等に生じる静電気を低減することを可能にするものである。 また、静電気を低減することで磁性体組成物の混錬性が良くなり、磁性体の分散が均一な磁性体成形体(例えば、磁性体シート材料)が成形できる。このように、磁性体組成物に反応性シリコーンオイルを含有することで、混錬性を良くすると共に、エポキシ樹脂−フェノール樹脂硬化剤系と反応して一体化して高温、高湿に対する信頼性が高まるため、電磁波吸収機能を有する各種シート体やバルク体(例えば、半導体デバイス等の封止)として使用できる。
反応性シリコーンオイルの配合量は、磁性体組成物の全量に対して0.01〜3質量%の範囲とすることが好ましい。 反応性シリコーンオイルの配合量が0.01質量%未満であると、静電気の低減効果や配線間リーク等の抑制効果を十分に得ることができないおそれがある。一方、反応性シリコーンオイルの配合量が3質量%を超えると、オイルの染み出し等による外観不良や特性低下等が生じやすくなる。反応性シリコーンオイルの配合量は0.1〜2質量%の範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは0.2〜1質量%の範囲である。
また、本発明の磁性体組成物に中には必要に応じて、該組成物の要求性能を損なわない範囲で他の成分を含有してもよい。例えば、機械的特性強度の向上、耐久性の向上、静電気の発生抑制等のため、カーボンナノチューブ、フラーレンもしくはカーボン等を含有することができる。
カーボンナノチューブもしくはフラーレンとしては、例えば、C60、C70、C82、C84、さらに高分子量のフラーレン等を使用できる。
フラーレンまたはカーボンナノチューブの合成法としては、希ガス中でグラファイト棒を直接通電加熱する抵抗加熱法、希ガス中で2本のグラファイト棒の間にアーク放電を起させて合成するアーク放電法等がある。フラーレン、カーボンナノチューブとしては、内部空間にLa、Y、Sc等の金属等を内包したものも使用できる。金属内包フラーレンの合成には、金属酸化物(La等) を含む炭素棒を用いてアーク放電を起させて合成したり、金属酸化物を含む炭素チップをるつぼ状陽極に投入してアーク放電を起させて合成したりする方法がある。
前記フラーレンの平均粒径としては、0.01〜0.2μmが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1μmである。フラーレンの平均粒径が0.01μm未満の場合には凝集等が生じやすく適しておらず、0.2μmより大きい場合には分散状態が低下するため適していない。
また、カーボンナノチューブの形状は、直径が0.01〜0.1μmで、長さが0.05〜0.5μmが好ましく、より好ましくは直径が0.01〜0.05μmで、長さが0.05〜0.1μmである。カーボンナノチューブの直径が0.01μm 、長さが0.05μmより小さい場合には凝集が生じやすく適しておらず、カーボンナノチューブの直径が0.1μm、長さが0.5μmより大きくなると分散の均一性が低下するため適していない。
カーボンとしては、カーボンブラック等がある。粒径としては、平均粒径が0.01〜0.2μmが好ましい。これより小さいと粉塵の問題があり、この範囲より大きいと分散が悪くなり、均一な膜形成が難しくなる。
樹脂に対するフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンの含有量は、樹脂100質量%に対して0.01質量%〜10質量%であることが好ましい。フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンの含有量が0.01質量%より少ない場合には、耐久性の向上が認められず、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンの含有量が10質量%より多い場合には樹脂被覆層が脆くなって、耐久性が悪化する。
樹脂被覆カーボンブラックの粉体抵抗値は10Ω・mm以上であることが好ましく、さらに好ましくは1.1×10Ω・mm以上であることが好ましい。
なお、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンを含有すれば静電気の発生抑制に対しても効果があり、有効に機能する。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
多官能型エポキシ樹脂・EPPN−502(商品名、日本化薬株式会社製)24.0質量%と、臭素化エポキシ樹脂・AER−8028(商品名、旭化成工業株式会社製)7.2質量%と、多官能型フェノール樹脂・MEH−7500(商品名、明和化成株式会社製)8.8質量%と、硬化促進剤として2−メチルイミダゾール0.5質量%と、エステル系ワックス(カルナバ1号)0.2質量%と、エポキシシランカップリング剤0.3質量%と、磁性体としてGa酸化物およびFeCo酸化物を必須成分として含む球状のナノ粒子(数平均粒径:65nm)40.0質量%と、樹脂被覆カーボンブラック(樹脂量:10質量%、粒径:約1μm、粉体抵抗値:1.0×10Ω・mm)0.2質量%と、溶剤(エチルセロソルブ)18.8質量%とを常温にて混合した後、樹脂温度を80℃に加熱しながら混練し、これを冷却して磁性体組成物を得た。
なお、上記磁性体中のGa酸化物の組成比は、磁性体40.0質量%のうち1.0質量%である。
また、上記樹脂被覆カーボンブラックは、カーボンブラック(灰分:1.0質量%以下、比表面積:170m/g)をエポキシ樹脂・エピコート630(商品名、ジャパンエポキシレジン株式会社製)で被覆したものである。
得られた磁性体組成物を溶媒(エチルセロソルブ)に溶解・分散し、塗工液を調製した。調製した塗工液を厚さ100μmのPETフィルム(ルミラー:登録商標、東レ製)上にスクリーン印刷にて(印刷機:ネオテクノジャパン製の手動スクリーン印刷機)塗布し、硬化させて膜厚30μmのシート体から成る磁性体成形体を積層形成して柔軟性のある磁性体シート[基板PET(100μm)+磁性体成形体(30μm)]を作製した。磁性体シートの概略構成図を図1に示す。図1において符号1は磁性体シート、符号2は磁性体成形体、符号3はPETフィルムを示す。
これを後述する特性評価に供した。
[実施例2]
多官能型エポキシ樹脂・EPPN−502(商品名、日本化薬株式会社製)28.4質量%と、臭素化エポキシ樹脂・AER−8028(商品名、旭化成工業株式会社製)3.0質量%と、多官能型フェノール樹脂・MEH−7500(商品名、明和化成株式会社製)8.2質量%と、硬化促進剤として2−メチルイミダゾール0.4質量%と、エステル系ワックス(カルナバ1号)1.0質量%と、エポキシシランカップリング剤1.0質量%と、溶剤(エチルセロソルブ)19.0質量%と、磁性体としてZn酸化物およびFeCo酸化物を必須成分として含む球状のナノ粒子(数平均粒径:65nm)38.6質量%と、樹脂被覆フラーレン(樹脂量:10質量%、粒径:約1μm、粉体抵抗値:1.0×10Ω・mm)0.2質量%と、反応性シリコーンオイル・KF8008(商品名、信越化学工業株式会社製、アミン当量:5700)0.2質量%とを、常温にて混合した後、樹脂温度を80℃に加熱しながら混練し、これを冷却して磁性体組成物を得た。
なお、上記磁性体中のZn酸化物の組成比は、磁性体38.6質量%のうち1.0質量%である。
また、上記樹脂被覆フラーレンは、フラーレンをエポキシ樹脂・エピコート630(商品名、ジャパンエポキシレジン株式会社製)で被覆したものである。
得られた磁性体組成物を溶媒(エチルセロソルブ)に溶解・分散し、塗工液を調製した。調製した塗工液を厚さ100μmのPETフィルム(ルミラー:登録商標、東レ製)上にスクリーン印刷にて(印刷機:ネオテクノジャパン製の手動スクリーン印刷機)塗布し、乾燥、硬化させて膜厚30μmのシート体から成る磁性体成形体を積層形成して柔軟性のある磁性体シート[基板PET(100μm)+磁性体成形体(30μm)]を作製した。磁性体シートの概略構成図を図1に示す。
これを後述する特性評価に供した。
[実施例3]
多官能型エポキシ樹脂・EPPN−502(商品名、日本化薬株式会社製)28.4質量%と、臭素化エポキシ樹脂・AER−8028(商品名、旭化成工業株式会社製)3.0質量%と、多官能型フェノール樹脂・MEH−7500(商品名、明和化成株式会社製)8.2質量%と、硬化促進剤として2−メチルイミダゾール0.4質量%と、エステル系ワックス(カルナバ1号)1.0質量%と、エポキシシランカップリング剤1.0質量%と、溶剤(エチルセロソルブ)19.0質量%と、磁性体としてZn酸化物およびFeCo酸化物を必須成分として含む球状のナノ粒子(数平均粒径:65nm)38.6質量%と、樹脂被覆フラーレン(樹脂量:10質量%、粒径:約1μm、粉体抵抗値:1.0×10Ω・mm)0.2質量%と、反応性シリコーンオイル・KF8008(商品名、信越化学工業株式会社製、アミン当量:5700)0.2質量%とを、常温にて混合した後、樹脂温度を80℃に加熱しながら混練し、これを冷却して磁性体組成物を得た。
なお、上記磁性体中のSn酸化物の組成比は、磁性体38.6質量%のうち1.0質量%である。
また、上記樹脂被覆フラーレンは、フラーレンをエポキシ樹脂・エピコート630(商品名、ジャパンエポキシレジン株式会社製)で被覆したものである。
得られた磁性体組成物を溶媒(エチルセロソルブ )に溶解・分散し、塗工液を調製した。調製した塗工液を厚さ100μmのPETフィルム(ルミラー:登録商標、東レ製)上にスクリーン印刷にて(印刷機:ネオテクノジャパン製の手動スクリーン印刷機)塗布し、乾燥、硬化させて膜厚30μmのシート体から成る磁性体成形体を積層形成して柔軟性のある磁性体シート[基板PET(100μm)+磁性体成形体(30μm)]を作製した。磁性体シートの概略構成図を図1に示す。
これを後述する特性評価に供した。
[実施例4]
多官能型エポキシ樹脂・EPPN−502(商品名、日本化薬株式会社製)28.4質量%と、臭素化エポキシ樹脂・AER−8028(商品名、旭化成工業株式会社製)3.0質量%と、多官能型フェノール樹脂・MEH−7500(商品名、明和化成株式会社製)8.2質量%と、硬化促進剤として2−メチルイミダゾール0.4質量%と、エステル系ワックス(カルナバ1号)1.0質量%と、エポキシシランカップリング剤1.0質量%と、溶剤(エチルセロソルブ)19.0質量%と、磁性体としてZn酸化物およびFeCo酸化物を必須成分として含む球状のナノ粒子(数平均粒径:65nm)38.6質量%と、樹脂被覆フラーレン(樹脂量:10質量%、粒径:約1μm、粉体抵抗値:1.0×10Ω・mm)0.2質量%と、反応性シリコーンオイル・KF8008(商品名、信越化学工業株式会社製、アミン当量:5700)0.2質量%とを、常温にて混合した後、樹脂温度を80℃に加熱しながら混練し、これを冷却して磁性体組成物を得た。
なお、上記磁性体中のGa酸化物の組成比は、磁性体38.6質量%のうち1.0質量%である。
また、上記樹脂被覆フラーレンは、フラーレンをエポキシ樹脂・エピコート630(商品名、ジャパンエポキシレジン株式会社製)で被覆したものである。
得られた磁性体組成物を溶媒(エチルセロソルブ)に溶解・分散し、塗工液を調製した。調製した塗工液を厚さ100μmのPETフィルム(ルミラー:登録商標、東レ製)上にスクリーン印刷にて(印刷機:ネオテクノジャパン製の手動スクリーン印刷機)塗布し、乾燥、硬化させて膜厚30μmのシート体から成る磁性体成形体を積層形成して柔軟性のある磁性体シート[基板PET(100μm)+磁性体成形体(30μm)]を作製した。磁性体シートの概略構成図を図1に示す。
これを後述する特性評価に供した。
[比較例1]
多官能型エポキシ樹脂・EPPN−502(商品名、日本化薬株式会社製)24.0質量%と、臭素化エポキシ樹脂・AER−8028(商品名、旭化成工業株式会社製)7.2質量%と、多官能型フェノール樹脂・MEH−7500(商品名、明和化成株式会社製)8.8質量%と、硬化促進剤として2−メチルイミダゾール0.5質量%と、エステル系ワックス(カルナバ1号)0.2質量%と、エポキシシランカップリング剤0.3質量%と、磁性体として針状のFe粒子(長軸が135nm、短軸が22nm)40.0質量%と、樹脂被覆カーボンブラック(樹脂量:10質量%、粒径:約1μm、粉体抵抗値:1.0×10Ω・mm)0.2質量%と、溶剤(エチルセロソルブ)18.8質量%とを常温にて混合した後、樹脂温度を80℃に加熱しながら混練し、これを冷却して磁性体組成物を得た。
なお、上記磁性体中のGa酸化物の組成比は、磁性体40.0質量%のうち1.0質量%である。
また、上記樹脂被覆カーボンブラックは、カーボンブラック(灰分:1.0質量%以下、比表面積:170m/g)をエポキシ樹脂・エピコート630(商品名、ジャパンエポキシレジン株式会社製)で被覆したものである。
得られた磁性体組成物を溶媒(エチルセロソルブ)に溶解・分散し、塗工液を調製した。調製した塗工液を厚さ100μmのPETフィルム(ルミラー:登録商標、東レ製)上にスクリーン印刷にて(印刷機:ネオテクノジャパン製の手動スクリーン印刷機)塗布し、硬化させて膜厚30μmのシート体から成る磁性体成形体を積層形成して柔軟性のある磁性体シート[基板PET(100μm)+磁性体成形体(30μm)]を作製した。磁性体シートの概略構成図は図1と同様である。これを後述する特性評価に供した。
上記実施例1〜4および比較例1で作製した磁性体シートの透磁率を透磁率測定器にて測定、評価した。これらの測定結果を下記表1に示す。
Figure 0006019744
表1から明らかなように、本発明の磁性体組成物を用いて作製した磁性体シートはいずれも透磁率が8以上と高く、優れた特性を有することが分かる。一方、針状のFe粒子を磁性体として用いた比較例1では透磁率が0.1と小さく透磁特性が悪いことを示している。
即ち、本発明におけるGa、ZnおよびSn元素から選択される少なくとも一種の金属酸化物とFeCo酸化物とを必須成分として含むナノ粒子を磁性体に含む磁性体組成物を用いて形成した磁性体成形体は高周波領域(例えば、1GHz)において良好な透磁率を発揮することができる。これにより、例えば、デジタル・カメラや携帯電話機,ノート・パソコンのマイクロプロセサやLSI、液晶パネルなどのUHF機器やRF機器等の各種電子器機や装置の電磁波ノイズ防御用として有用であり、広く応用可能である。
1 磁性体シート
2 磁性体成形体
3 PETフィルム
特開2008−270300号公報(特許第4758936号公報) 米国特許第6162532号公報 特開2000−48340号公報 特開2002−255560号公報(特許第3763353号公報) 特開2004−48736号公報 特開2000−273288号公報

Claims (8)

  1. 樹脂と、磁性体とを含有する磁性体組成物であって、
    前記磁性体は、Ga、ZnおよびSn元素から選択される少なくとも一種の金属酸化物とFeCo酸化物とを必須成分として含み、数平均粒径30nm以上90nm以下の球状粒子であることを特徴とする磁性体組成物。
  2. 前記磁性体の含有量が、全組成物中20質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁性体組成物。
  3. 前記樹脂が、エポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の磁性体組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤とを含む樹脂中に、アミノ基を有するシリコーンオイルを含有することを特徴とする請求項に記載の磁性体組成物。
  5. 前記組成物中にカーボンナノチューブ、フラーレンおよびカーボンから選択される少なくとも一種の材料を含有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の磁性体組成物。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載の磁性体組成物を用いて形成されて成ることを特徴とする磁性体成形体。
  7. 前記磁性体成形体が、電磁波ノイズ防御用のシート体またはバルク体であることを特徴とする請求項に記載の磁性体成形体。
  8. 前記磁性体成形体の透磁率が1GHzで2(H/m)以上であることを特徴とする請求項またはに記載の磁性体成形体。
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