本発明の請求項1記載の換気装置は、同一建屋内に少なくとも3つの換気装置を備え、建屋内の換気風量を一定に保つ換気システムを構成する換気装置であって、それぞれの換気装置には、設置される部屋の環境に応じて、換気装置ごとに異なる常時換気風量が予め設定されており、各換気装置の常時換気風量の合計を建屋内で保つべき換気風量とするものであり、環境の変化またはユーザーの要求に応じて、常時換気風量より優先した固定の風量を、自己の風量として任意に設定可能な固定風量設定部と、前記自己の常時換気風量の情報と、前記固定風量設定部で決定した固定風量の情報を他の換気装置へ送信する情報送信部と、他の換気装置の常時換気風量の情報と、他の換気装置の固定風量の情報を受信する情報受信部と、前記自己の換気装置と他の換気装置それぞれの固定風量と常時換気風量から、自己の換気装置の動作を決定する制御部とを備える換気装置であって、前記制御部は、前記自己の常時換気風量の情報と、前記情報受信部で受信した他の換気装置の常時換気風量の情報の合計を建屋内で保つべき総換気風量とする総換気風量決定手段と、前記固定風量設定部で固定風量が設定されている場合は、その固定風量を自己の風量とし、前記固定風量設定部で固定風量が設定されていない場合は、前記総換気風量決定手段で決定した総換気風量から前記情報受信部で受信した他の換気装置の固定風量を差し引いた残りの風量のうち、自己および前記情報受信部で受信した固定風量が設定されていない換気装置の常時換気風量の合計に占める自己の常時換気風量の割合に等しい風量を自己の風量とする風量決定手段と、を備えたものである。
これにより、各々の換気装置の制御部が、情報送信部と情報受信部を介して双方向通信して常時換気風量と固定風量の情報を共有することで、総換気風量決定手段は各換気装置の常時換気風量から建屋内に必要な総換気風量を決定することとなり、風量決定手段は各換気装置の風量が増減した際に、総換気風量を保ちつつ、各換気装置の常時換気風量の比率に応じた風量を決定することとなるので、同一建屋内に必要換気風量の異なる複数台の換気装置が設置され、各部屋の換気風量が変化した場合においても、建屋の総換気風量を保ちつつ、換気風量の増減の影響を一定とし、換気の偏りによるロスを低減し、効率よく換気を行えるという効果を奏する。
また、請求項2記載の換気装置は、換気装置に設定した風量が実現できない場合に、他の換気装置に送信する固定風量の情報を修正する送信情報修正手段を制御部に備え、前記送信情報修正手段は、送風機が実際に出力している風量を検出する風量検出手段と、前記風量検出手段で検出した風量と、風量決定手段で決定した風量が異なる場合に、情報送信部から他の換気装置に送信する固定風量の情報を、前記風量検出手段で検出した風量の情報に修正する固定風量情報修正手段と、を備えたものである。
これにより、換気装置に設定した風量が実現できない場合に、風量検出手段で検出した風量の情報を固定風量情報修正手段にて情報送信部から他の換気装置に送信する固定風量の情報に修正することにより、他の換気装置からは、自己の換気装置が風量検出手段で検出した風量で固定風量換気を行っているように見えることとなり、他の換気装置では自己の換気装置で過不足のあった風量を賄うことができるので、換気装置に設定した風量が実現できない場合においても、建屋内の換気風量を一定に保つことができるという効果を奏する。
以下、本発明の一実施形態を、添付の図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の換気システムの設置構成例を示す図で、同一建屋内に3台の換気装置が設置されている場合を想定したものであり、各々の換気装置を第一の換気装置1と第二の換気装置2と第三の換気装置3とし、第一の換気装置1はLDKに設置されており、第二の換気装置2は寝室に設置されており、第三の換気装置3はトイレ/浴室に設置されているとして、本発明の実施の形態1について以下説明する。
ここで、第一の換気装置1と第二の換気装置2と第三の換気装置3は、設置される部屋の広さ環境に応じて決定される常時換気風量の値を除いて、同一の構成をもつ換気装置である。
一例として、常時換気風量の値は、それぞれ、第一の換気装置1は120〔m3/h〕、第二の換気装置2は80〔m3/h〕、第三の換気装置3は60〔m3/h〕というように設置場所に応じて異なる設定のものである。
図2において、換気装置の本体ケース4は、下面に室内空気取入開口部5、側面(または上面)に室内空気排出開口部6を有する箱形の本体ケースで、内部には送風機7が設けられている。
この換気装置の本体ケース4は図3のごとく、天井板8の上面に設置されるもので、この天井板8には、室内空気取入開口部5と略同じ大きさの開口部(図示せず)が設けられている。
また、換気装置の本体ケース4の室内空気排出開口部6にはダクト9の一端が接続され、さらにダクト9の他端は室外へと延長されている。
前記本体ケース4は、天井板8の下面から、前記室内空気取入開口部5を覆うごとく、スリット状の通気孔10を備えた化粧板11が着脱自在に取り付けられている。
この化粧板11の前記本体ケース4への取り付けについては、よく知られた構造であるので、簡単に説明すると、図2に示すように、化粧板11の取り付けバネ12を、本体ケース4の取り付部13に装着することで、この作業は簡単に行える。前記化粧板11は、本体ケース4の室内空気取入開口部5よりも大きなものであるので、天井板8の開口部(図示せず)や、前記室内空気取入開口部5を、天井板8の下面側から覆い、美的感覚を高めるものである。
また、この化粧板11を着脱し、使用者が容易に確認でき操作可能な位置には、常時換気風量に優先して換気装置が動くべき固定風量を設定するための固定風量設定部14が取り付けられている。この固定風量設定部14は、図4に示すように、固定風量を段階的に設定可能なダイヤル式のスイッチを設けたものであるが、これに限定するものではなく、切り替え設定ができればよいものとする。また、固定風量は、室内空間の状態を検知する温度センサー、人感センサー、湿度センサー、二酸化炭素センサーのいずれかの信号によって風量が設定されるものであっても良い。
次に、換気装置の換気風量を制御する制御回路のブロック図について図5を用いて説明する。
制御回路のブロックは、商用電源15に接続した電源回路16と、電源回路16の出力電圧からFETなどのスイッチング素子の集合体であるドライブIC17などを介して接続される三相(U、V、W相)の固定子巻き線を有するDCモータを備えた送風機7と、前記送風機7の回転数を調整する制御部18を備えている。
また、前記制御回路のブロックは、常時換気風量に優先して換気装置が動くべき固定風量を決定する固定風量設定部14と、他の換気装置へ情報を伝達する情報送信部19と、他の換気装置から情報を取得する情報受信部20を備えている。
制御部18には、電源回路16と、ドライブIC17と、固定風量設定部14と、情報送信部19と、情報受信部20と、が接続されている。
また、制御部18は、電源回路16の出力電圧であるDC5VやDC3Vで駆動するものであり、CPU(Central Processing Unit)で構成される。後述する制御部18の動作については、制御部18内部のカウンターやRAM、ROMが共同するプログラムの形態で実施される。
また、制御部18は、他の換気装置へ伝達する自己の情報を蓄えるための送信情報バッファ21と、他の換気装置からの情報を蓄えるための受信情報バッファ22と、自己の換気装置の情報および他の換気装置から受信した情報を計算用に蓄えるための計算用バッファ23と、建屋内で保つべき総換気風量を決定する総換気風量決定手段24と、自己の風量を決定する風量決定手段25とから構成されている。
送信情報バッファ21は、計算用バッファ23から取得した自己の常時換気風量の情報および固定風量の情報を蓄えるものであり、情報送信部19へ接続されている。
受信情報バッファ22は、情報受信部20から取得した他の換気装置の常時換気風量の情報および固定風量の情報を蓄えるものであり、計算用バッファ23へ接続されている。
なお、情報送信部19および情報受信部20は、常時換気風量の情報や固定風量の情報を、換気装置間で送受信するものであり、各々の換気装置の情報送信部19および情報受信部20の接続については、有線式や無線式のどちらでも同様の効果が期待できる。
計算用バッファ23には、予め自己の常時換気風量の情報が記憶されている。
また、計算用バッファ23は、自己の常時換気風量の情報および固定風量設定部14で設定した固定風量の情報および受信情報バッファ22に蓄えられている他の換気装置から受信した情報を計算用に蓄えるためのものであり、送信情報バッファ21と総換気風量決定手段24と風量決定手段25へ接続している。
すなわち、換気装置内に設けた計算用バッファ23は、情報送信部19と情報受信部20を介して、同一建屋内に設置した他の換気装置の常時換気風量と固定風量の情報を互いに共有化するものである。
総換気風量決定手段24は、計算用バッファ23に蓄えられている自己の常時換気風量の情報と、情報受信部20で受信し、計算用バッファ23に蓄えられている他の換気装置の常時換気風量の情報の合計を建屋内で保つべき総換気風量とするものであり、風量決定手段25へ接続している。
風量決定手段25は、計算用バッファ23に蓄えられている自己の固定風量の情報が設定されている場合は、その固定風量を自己の風量とする。また、自己の固定風量の情報が設定されていない場合は、前記総換気風量決定手段24で決定した総換気風量から計算用バッファ23に蓄えられている他の換気装置の固定風量を差し引いた残りの風量に対する、計算用バッファ23に蓄えられている固定風量の設定がない自己および他の換気装置の常時換気風量の合計に占める自己の常時換気風量の割合を自己の風量とし、ドライブIC17を介して送風機7の風量を調整するものである。
すなわち、風量決定手段25は、それぞれの換気装置に共通の風量算出のアルゴリズムを有するものである。
上記構成において、換気装置の風量制御動作について図6に示すフローチャートを用いて説明する。
換気装置の風量制御動作フローは、以下の4つのステップによって説明できる。
すなわち、計算用バッファ23および送信情報バッファ21に、自己の常時換気風量の情報と固定風量設定部14で設定された固定風量の情報を蓄積するフロー(STEP1)と、受信情報バッファ22が他の換気装置の常時換気風量の情報と固定風量の情報を取得し、その情報を計算用バッファ23に蓄積するフロー(STEP2)と、総換気風量決定手段24を示すフロー(STEP3)と、風量決定手段25を示すフロー(STEP4)から構成される。
第一の換気装置1および第二の換気装置2および第三の換気装置3に電源が供給されると、STEP1に示すように、それぞれの換気装置内では、計算用バッファ23に記憶されている常時換気風量の情報が認識され、固定風量設定部14で設定された固定風量の情報が計算用バッファ23に蓄えられる。
そして、送信情報バッファ21は、計算用バッファ23から常時換気風量と固定風量の情報を取得する。
ここでは、上述のように同一建屋内に、常時換気風量が120〔m3/h〕の第一の換気装置1および常時換気風量が80〔m3/h〕の第二の換気装置2および常時換気風量が60〔m3/h〕の第三の換気装置3が設置された場合について説明する。
また、本実施の形態では、固定風量設定部14で固定風量が設定されていない場合は、固定風量0〔m3/h〕として扱う。
第一の換気装置1では、常時換気風量J1は120〔m3/h〕、固定風量S1は設定されていないので0〔m3/h〕である。
また、第二の換気装置2では、常時換気風量J2は80〔m3/h〕、固定風量S2は設定されていないので0〔m3/h〕である。
また、第三の換気装置3では、常時換気風量J3は60〔m3/h〕、固定風量S3は設定されていないので0〔m3/h〕である。
これらの情報は、第一の換気装置1だけでなく、第二の換気装置2、第三の換気装置3の計算用バッファ23および送信情報バッファ21に蓄えられる。
次に、各換気装置の情報送信部19は、STEP2に示すように、送信情報バッファ21の内容を他の換気装置へ送信する。
すなわち、第一の換気装置1の情報送信部19は、自己の常時換気風量J1と自己の固定風量S1の情報を第二の換気装置2および第三の換気装置3へ送信する。
同様に、第二の換気装置2の情報送信部19は、自己の常時換気風量J2と自己の固定風量S2の情報を第一の換気装置1および第三の換気装置3へ送信、さらに、第三の換気装置3の情報送信部19は、自己の常時換気風量J3と自己の固定風量S3の情報を第一の換気装置1および第二の換気装置2へ送信することで、双方向通信が完了する。
これらの情報は、それぞれの換気装置の情報受信部20が受信して受信情報バッファ22に蓄えられ、受信情報バッファ22から計算用バッファ23に転送される。
すなわち、第一の換気装置1の計算用バッファ23には、(J2、S2)、(J3、S3)、(J1、S1)=(80、0)、(60、0)、(120、0)の情報が蓄積される。
同様に、第二の換気装置2の計算用バッファ23には、(J1、S1)、(J3、S3)、(J2、S2)=(120、0)、(60、0)、(80、0)の情報が蓄積される。
また、第三の換気装置3の計算用バッファ23には、(J1、S1)、(J2、S2)、(J3、S3)=(120、0)、(80、0)、(60、0)の情報が蓄積される。
つまり、自己の常時換気風量と固定換気風量は、計算用バッファ23のなかで特定のエリアを使って、他の換気装置のそれらとは区別できるようにして蓄積している。
次に、総換気風量決定手段24は、STEP3に示すように、自己の常時換気風量の情報と、情報受信部20で受信した他の換気装置の常時換気風量の情報を合計して建屋内で保つべき総換気風量とする。
計算用バッファ23に蓄積されている第一の換気装置1の常時換気風量J1の情報は120〔m3/h〕、第二の換気装置2の常時換気風量J2の情報は80〔m3/h〕、第三の換気装置3の常時換気風量J3の情報は60〔m3/h〕であるので、建屋内で保つべき総換気風量Qは、総換気風量決定手段24の一部を構成する加算手段(図示せず)によって、J1+J2+J3=120+80+60=260〔m3/h〕となる。
総換気風量が決定されると、風量決定手段25は、STEP4に示すように、計算用バッファ23に蓄積した情報を分析して、自己の固定風量設定部14で固定風量が設定されている場合と固定風量設定部14で固定風量が設定されていない場合に分けて風量の決定を行なう。
すなわち、自己の固定風量設定部14で固定風量が設定されている場合は、その固定風量を自己の風量とする。
一方、固定風量設定部14で固定風量が設定されていない場合は、総換気風量決定手段24で決定した総換気風量から他の換気装置の固定風量を差し引いた残りの風量(常時換気で賄うべき風量QJ)に対して、自己の常時換気風量と他の換気装置うち固定風量が設定されていないものの常時換気風量の合計(常時換気を行う換気装置の常時換気風量の合計JN)に占める自己の常時換気風量の割合を自己の風量とするものである。
すなわち、固定風量設定部14で固定風量が設定されていない場合は、以下のようになる。
常時換気で賄うべき風量QJは、Q−S1−S2−S3=260−0−0−0=260〔m3/h〕となる。
また、常時換気を行う換気装置の常時換気風量の合計JNは、各換気装置に固定風量が設定されていないので、J1+J2+J3=120+80+60=260〔m3/h〕となる。
そして、各換気装置の自己の風量は、それぞれ内部の風量決定手段25によって決定される。
つまり、第一の換気装置1の自己の風量は、Q1=(J1/JN)×QJ=120/260×260=120〔m3/h〕となる。同様にして、第二の換気装置2の自己の風量は、Q2=(J2/JN)×QJ=80/260×260=80〔m3/h〕となる。第三の換気装置3の自己の風量は、Q3=(J3/JN)×QJ=60/260×260=60〔m3/h〕となる。
自己の風量が決定されると、風量決定手段25は、ドライブIC17に風量指令が出して、送風機7を制御することとなる。
次に、本実施の形態のなかで、例えば第三の換気装置3の固定風量設定部14において、設定が変更されて100〔m3/h〕の固定風量が設定された場合について説明する。
STEP1において、第三の換気装置3の常時換気風量J3は、60〔m3/h〕、固定風量S3は100〔m3/h〕となり、これらの情報が第三の換気装置3の計算用バッファ23に蓄えられ送信情報バッファ21に転送される。
第三の換気装置3の情報送信部19は、送信情報バッファ21の情報を第一の換気装置1と第二の換気装置2の情報受信部20へ送信することとなる。
第一の換気装置1と第二の換気装置2では常時換気風量と固定風量は変化しないので、STEP2の第三の換気装置3の計算用バッファ23には、(J1、S1)、(J2、S2)、(J3、S3)=(120、0)、(80、0)、(60、100)の情報が蓄積される。
同様に第一の換気装置1の計算用バッファ23には、(J2、S2)、(J3、S3)、(J1、S1)=(80、0)、(60、100)、(120、0)の情報が蓄積される。また、第二の換気装置2の計算用バッファ23には、(J1、S1)、(J3、S3)、(J2、S2)、=(120、0)、(60、100)、(80、0)の情報が蓄積される。
次に、各換気装置の総換気風量決定手段24は、STEP3において、計算用バッファ23に蓄えられている情報をもとに総換気風量決定手段24は総換気風量Qを算出することになるが、既に算出している通り(常時換気風量には変化がないので)、建屋内で保つべき総換気風量Qは、260〔m3/h〕となる。
次に、風量決定手段25は、STEP4において、第三の換気装置3の固定風量S3が100〔m3/h〕であり、第三の換気装置3の風量決定手段25では、自己の風量は100〔m3/h〕となる。
一方、第一の換気装置1では、計算用バッファ23には、(J2、S2)、(J3、S3)、(J1、S1)=(80、0)、(60、100)、(120、0)の情報が蓄積されている。
第一の換気装置1では、固定風量は設定されていないので風量決定手段25は、以下のようにして、自己の風量を算出することなる。
常時換気で賄うべき風量QJは、Q−S1−S2−S3=260−0−0−100=160〔m3/h〕である。常時換気を行う換気装置の常時換気風量の合計JNは、第三の換気装置3には固定風量が設定されているので、J1+J2=120+80=200〔m3/h〕となる。
第一の換気装置1では自己の風量は、Q1=(J1/JN)×QJ=120/200×160=96〔m3/h〕となる。
同様にして、第二の換気装置2では自己の風量は、Q2=(J2/JN)×QJ=80/200×160=64〔m3/h〕となる。
このように、それぞれの換気装置の内部で総換気風量を超えないように自己の風量を決定することができる。
また、本実施の形態では、換気装置を3台用いて説明をしたが、台数が増加した場合も同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、自己の常時換気風量が計算用バッファ23に記憶されているものとして説明をしたが、これに限定するものではなく、換気装置に常時換気風量の設定用にスイッチを備えて、使用者が換気装置の常時換気風量を切り替えられる構成としてもよい。
以上のように、各々の換気装置の制御部18が、情報送信部19と情報受信部20を介して双方向通信して常時換気風量と固定風量の情報をそれぞれの換気装置内に設けた計算用バッファ23で共有することと、それぞれの換気装置において共通の風量の決定アルゴリズム(または共通の風量の決定方法)を有する制御部18を備え、どの換気装置においても総換気風量決定手段24は、各換気装置の常時換気風量から建屋内に必要な総換気風量を決定することとなり、風量検出手段27は固定風量が設定されたいずれかの換気装置の風量が増減した際に、他の各換気装置は常時換気風量で設定されている換気風量の比率に応じた風量で前記増減分調整することとなるので、総換気風量を保ちながら、かつ、他の各換気装置への風量変動の影響度合いを均一にして調整することができる。一つの換気装置に風量変動の影響が集中することがない。
つまり、同一建屋内に常時換気風量の異なる複数台の換気装置が設置され、各部屋の換気風量が変化した場合においても、建屋の総換気風量を保ちつつ、換気風量の増減の影響を一定とし、換気の偏りによるロスを低減し、効率よく換気を行えるという効果を奏する。
なお、同一建屋内に常時換気風量が同一の換気装置が複数台設置された場合にも本実施の形態の制御部18を備えることで同様の作用効果が得られる。
また、自己の常時換気風量と固定換気風量は、計算用バッファ23のなかで特定のエリアを使って、他の換気装置のそれらとは区別できるようにして蓄積することで、風量決定手段25による自己の風量の決定が、優先的かつ効率良くできる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の換気装置の構成について、図3および図7〜図8を参照しながら説明する。
本実施の形態は、実施の形態1の換気装置の制御部18に、換気装置に設定した風量が実現できない場合に、他の換気装置に送信する固定風量の情報を修正する送信情報修正手段26を備えたものである。
なお、実施の形態1の換気装置と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図7の換気装置の制御回路のブロック図に示すように、制御部18は送信情報修正手段26を備え、送信情報修正手段26は、送風機7が実際に出力している風量を検出する風量検出手段27と、風量検出手段27で検出した風量と、風量決定手段25で決定した風量が異なる場合に、送信情報バッファ21の固定風量の情報を、風量検出手段27で検出した風量の情報に修正する固定風量情報修正手段28と、から構成される。
風量検出手段27は、図3に示すダクト9内部に風量を検出するセンサ(図示せず)を備え付け検出する方法や、送風機7の電流や回転数の情報を元に検出する方法を用いて、送風機7が実際に出力している風量を検出するものであり、固定風量情報修正手段28に接続している。
固定風量情報修正手段28は、風量検出手段27で検出した風量と、風量決定手段25で決定した風量が異なる場合に、計算用バッファ23に蓄えられている自己の換気装置の固定風量の情報を風量検出手段27で検出した風量の情報に修正して送信情報バッファ21に蓄えるものである。
上記構成において、換気装置の風量制御動作について図8に示すフローチャートを用いて説明する。
本フローは、図6に示す実施の形態1の換気装置の風量制御動作のフローチャートのSTEP1〜STEP4のフローに加えて、換気装置に設定した風量が実現できない場合に、他の換気装置に送信する固定風量の情報を修正する送信情報修正手段26を示すフロー(STEP5)が追加されたものである。
実施の形態1の換気システムの設置構成と同様に、同一建屋内に、常時換気風量が120〔m3/h〕の第一の換気装置1および常時換気風量が80〔m3/h〕の第二の換気装置2および常時換気風量が60〔m3/h〕の第三の換気装置3が設置された場合を想定し、以下詳細について説明する。
実施の形態1で説明したように、各換気装置の固定風量設定部14で固定風量が設定されていない(=0〔m3/h〕)とした場合、第一の換気装置1の常時換気風量J1は120〔m3/h〕、固定風量S1は0〔m3/h〕、第二の換気装置2の常時換気風量J2は80〔m3/h〕、固定風量S2は0〔m3/h〕、第三の換気装置3の常時換気風量J3は60〔m3/h〕、固定風量S3は0〔m3/h〕となり、各換気装置の風量決定手段25は、STEP4において、第一の換気装置1では、Q1=120〔m3/h〕、第二の換気装置2では、Q2=80〔m3/h〕、第三の換気装置3では、Q3=60〔m3/h〕となる。
次に、送信情報修正手段26は、STEP5にて、風量検出手段27の信号をもとに固定風量情報修正手段28が、送信情報バッファ21の固定風量の情報を修正する。以下その動作について説明する。
換気装置の本体ケース4の室内空気排出開口部6にはダクト9の一端が接続されており、さらにダクト9の他端は室外へと延長されているのが一般的な施工状態であり、ダクト9の長さによって圧力損失が増減し、当初定めた所定の風量を確保できない場合がある。
第一の換気装置1および第二の換気装置2および第三の換気装置3のダクト9が設計許容値以内の長さで施工されており、各換気装置に設定された自己の風量Q1、Q2、Q3と同等の能力を発揮できれば問題ない。
しかし、例えば第二の換気装置2のダクト9が設計許容値以上の長さで施工され、風量Q2=50〔m3/h〕の能力しか発揮できない場合もある。
風量検出手段27は、送風機7が実際に出力している風量を検出するものであり、このような場合、第一の換気装置1では、風量検出手段27は第一の換気装置1の実際の風量QF1=120〔m3/h〕を、第三の換気装置3では、風量検出手段27は実際の風量QF3=60〔m3/h〕を検出する。
一方、第二の換気装置2では、風量検出手段27は実際の風量QF2=50〔m3/h〕と検出する。
第二の換気装置2の固定風量情報修正手段28は、風量検出手段27で検出した風量と、風量決定手段25で決定した風量が異なる場合に、計算用バッファ23に蓄えられている自己の換気装置の固定風量の情報を風量検出手段27で検出した風量の情報に修正して送信情報バッファ21に蓄えることとなる。
すなわち、第二の換気装置2について、風量検出手段27で検出した風量QF2=50〔m3/h〕と、風量決定手段25決定した風量Q2=80〔m3/h〕とが異なるので、第二の換気装置2の計算用バッファ23に蓄えられている自己の固定風量S2=0〔m3/h〕の情報を、風量検出手段27で検出した風量QF2=50〔m3/h〕の情報に変更し、送信情報バッファ21に蓄える。
これにより、第二の換気装置2の送信情報バッファ21には、常時換気風量80〔m3/h〕の情報、送信用として固定風量50〔m3/h〕の情報が蓄えられることとなる。
次にSTEP2にて、第二の換気装置2の情報送信部19から送信される固定風量の情報が50〔m3/h〕に変化したので、第一の換気装置1の計算用バッファ23には、(J2、S2)、(J3、S3)、(J1、S1)、=(80、50)、(60、0)、(120、0)の情報が蓄積される。同様に、第三の換気装置3の計算用バッファ23には、(J1、S1)、(J2、S2)、(J3、S3)=(120、0)、(80、50)、(60、0)の情報が蓄積される。一方で、第二の換気装置2の計算用バッファ23に蓄えられている固定風量の情報は0〔m3/h〕のままなので、第二の換気装置2の計算用バッファ23には、(J1、S1)、(J3、S3)、(J2、S2)=(120、0)、(60、100)、(80、0)の情報が蓄積される。
次に、総換気風量決定手段24は、STEP3において、常時換気風量には変化がないので、既に算出したように、建屋内で保つべき総換気風量Qは260〔m3/h〕となる。
次に、風量決定手段25は、STEP4において、第一の換気装置1の計算用バッファ23には、(J2、S2)、(J3、S3)、(J1、S1)=(80、50)、(60、0)、(120、0)と、第三の換気装置3の計算用バッファ23には、(J1、S1)、(J2、S2)、(J3、S3)=(120、0)、(80、50)、(60、0)の情報が蓄積されている。
すなわち、第一の換気装置1の風量決定手段25では、常時換気で賄うべき風量QJは、Q−S1−S2−S3=260−0−50−0=210〔m3/h〕となり、常時換気を行う換気装置の常時換気風量の合計JNは、J1+J3=120+60=180〔m3/h〕となるので、自己の風量は、Q1=(J1/JN)×QJ=120/180×210=140〔m3/h〕となる。同様にして、第三の換気装置3の自己の風量は、Q3=(J3/JN)×QJ=60/180×210=70〔m3/h〕となる。
また、第二の換気装置2の風量決定手段25は、計算用バッファ23に(J1、S1)、(J3、S3)、(J2、S2)=(120、0)、(60、100)、(80、0)の情報が蓄積されているので、第二の換気装置2における常時換気で賄うべき風量QJは、Q−S1−S2−S3=260−0−0−0=260〔m3/h〕であり、常時換気を行う換気装置の常時換気風量の合計JNは、J1+J2+J3=120+80+60=260〔m3/h〕となるので、第二の換気装置2の自己の風量はQ2=(J2/JN)×QJ=80/260×260=80〔m3/h〕となる。
この場合において、既に説明したように、第二の換気装置2は自己の風量Q2が80〔m3/h〕のときの実際の風量QF2は50〔m3/h〕となるので、第一の換気装置1の実際の風量QF1と第三の換気装置3の実際の風量QF3がそれぞれの自己の風量Q1、自己の風量Q3と等しい場合を考えると、実際の風量の合計はQF1+QF2+QF3=140+50+70=260〔m3/h〕となり、総換気風量決定手段24で決定した総換気風量Qと等しくなる。
また、本実施の形態では、第二の換気装置2で出力できない風量を賄うために、第一の換気装置1と第三の換気装置3の風量を増加し、そのときの第一の換気装置1の実際の風量QF1、第三の換気装置3の実際の風量QF3がそれぞれの自己の風量Q1、自己の風量Q3と等しい場合を説明したが、例えば第一の換気装置1の自己の風量Q1を増加したことで、実際の風量QF1(<Q1)の能力しか発揮できなくなった場合においても、再度STEP5、STEP2〜STEP4のフローを繰り返すことで、総換気風量Qを保つような風量を決定することができる。このため、全ての換気装置で出力風量が不足する場合を除き、いずれの換気装置で出力風量が不足している場合においても同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、第二の換気装置2は固定風量が設定されていない(=0〔m3/h〕)場合を説明したが、固定風量が設定されている場合においても同様の効果が得られる。
以上のように、本発明の実施の形態においては、換気装置に設定した風量が実現できない場合に、風量検出手段27で検出した風量の情報を固定風量情報修正手段28にて情報送信部19から他の換気装置に送信する固定風量の情報に修正する構成としたので、
他の換気装置からは、自己の換気装置が風量検出手段27で検出した風量で固定風量換気を行っているように見えることとなり、他の換気装置では自己の換気装置で過不足のあった風量を賄うことができるので、換気装置に設定した風量が実現できない場合においても、建屋内の換気風量を一定に保つことができるという効果を奏する。