JP6018846B2 - 遮音床構造及び床衝撃音の低減方法 - Google Patents

遮音床構造及び床衝撃音の低減方法 Download PDF

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本発明は、床衝撃音、例えば、複数階建ての建築物(多層階建築物)における上階からの床衝撃音などを低減するのに有用な遮音床構造及び床衝撃音の低減方法に関する。
マンション、ビル、一般住宅などの複数階建ての建築物では、上階からの床衝撃音を低減するための遮音床構造が施工されている。床衝撃音には、スプーンや食器を落とした衝撃音やスリッパで歩く音などにより発生する衝撃音などの軽量床衝撃音(比較的高周波域の音波)、子供がソファーから飛び降りる衝撃音や激しい歩行による重量床衝撃音(比較的低周波域の音波)などがあり、幅広い衝撃音に対して遮音性能を有する遮音床構造が望まれている。このような遮音床構造としては、床材と床下地材との間に、空間部や制振材(遮音材)を介在させる構造などが知られているが、繊維材料などの多孔性素材を介在させる構造も提案されている。
特開平8−105192号公報(特許文献1)には、床部に配置するI型鋼等の水平部材上に、軽量気泡コンクリートパネルを張設して、防振手段を具える根太材を配置すると共に、前記根太材間に、ALCパネル等の破砕粒を配置した上、前記根太材上に、少なくとも吸音性合板フロフー、不燃性ボード及び軽量気泡コンクリートパネルを積層した複合床部を形成して仕上げ床材を張設した床部の防振兼遮音装置が開示されている。この文献には、水平部材に対して中空の根太材を垂直に配設した装置が記載されている。
しかし、この遮音装置では、ALCパネル等の破砕粒で構成された多孔性素材を根太間に配設することにより、吸音性を向上できるが、前記多孔性素材は緩衝性が小さいため、床衝撃の吸収性が低く、衝撃の発生を効果的に抑制できない。また、この装置では、横架材(梁又は床根太)に相当する水平部材を根太に対して垂直に配設しているが、重量衝撃音に対して遮音性能が低い。また、中空の根太では、根太からの固体伝播は抑制されるものの、強度が低下する。さらに、厚みが大きくなるため、建築の設計自由度が低下し、建築コストもかかる。
特開2003−56171号公報(特許文献2)には、表面板として無垢木材を使用し、スラブ上に根太を介して配置した無垢木材における防音構造において、前記スラブと前記根太の間に緩衝材を設け、前記根太と前記無垢木材の間に遮音材を設け、さらに前記スラブと前記無垢木材との間で構成される空間であって、前記根太の存在していない領域である空気層に、吸音材を配置した無垢木材における防音構造が開示されている。この文献には、吸音材として、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、ポリエステル系繊維などの繊維材料が記載されている。また、緩衝材として、ポリエステル繊維をバインダーで熱融着した繊維板が記載されている。さらに、床下地材に関しては、コンクリートスラブが記載されている。
しかし、前記吸音材や、前記緩衝材で形成された繊維板では、防音層の厚みに対する床衝撃音レベルが低い。なお、この文献には、横架材を含む床下地材については記載されていない。
特開2012−77600号公報(特許文献3)には、床下地材と床仕上げ層との間に遮音床構成材が介在する遮音床構造であって、前記遮音床構成材が、間隔をおいて平行に配設するための複数の根太と、これらの根太と交互に配設され、かつ根太の厚みまで圧縮された被圧縮層とで構成された遮音床構造が開示されている。この文献には、前記被圧縮層の材質として、湿熱接着性繊維を含み、かつこの湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定された不織繊維構造体などが記載されている。さらに、この文献には、歩行感を向上させるために、横架材と重複する部分が存在しないように配設するのが望ましく、横架材と根太とを平行に配設し、かつ横架材の上方に根太が位置しないように根太を配設する(すなわち、隣り合う根太間の上方に横架材が位置するように根太を配設する)のが好ましいと記載されている。
しかし、この遮音床構造では、歩行感は向上できるものの、遮音性能が充分ではなく、特に、重量衝撃音に対して遮音性能が低い。
特開平8−105192号公報(特許請求の範囲、図面) 特開2003−56171号公報(特許請求の範囲、段落[0028]、[0030]〜[0033]、[0040]) 特開2012−77600号公報(特許請求の範囲、段落[0094]、実施例)
従って、本発明の目的は、軽量で簡単な構造であるにも拘わらず、床衝撃音の遮音性能が高く、特に重量床衝撃音を効率良く遮音できる遮音床構造及び床衝撃音の低減方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、複数階建ての建築物における上階からの床衝撃音に対して、低周波域を含む幅広い周波域で遮音できる遮音床構造及び床衝撃音の低減方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、歩行による床材の沈み込みを抑制でき、良好な歩行感が得られるとともに、床衝撃音の遮音性能も高い遮音床構造を提供することにある。
本発明者らは、特許文献1や3の遮音床構造の遮音性、特に、重量床衝撃音に対する遮音性を向上させるために検討した結果、まず、重量床衝撃音を遮音するためには一般的に床材の面重量を大きくして対策が採られていることに着目した。そこで、面重量を大きくするため、アスファルト系制振材や、高比重の石膏ボードなどの重い床構成部材を重ねて使用することを検討したが、仕上げ厚みが高くなりすぎたり、部材が多くなり、建築コストが掛かりすぎるため、複数階建ての建築物における床構造としては不適切であることが判明した。
本発明者らは、さらに検討を続けた結果、特許文献1や3の遮音床構造では、重量床衝撃音の伝播性は、根太と横架材との配設位置が大きく影響することを突き止めた。本発明者らが試行錯誤の結果得た知見に基づいて考察すると、特許文献1や3の遮音床構造において、重量床衝撃音による騒音が発生するメカニズムは以下の通りであると推測できる。すなわち、床材に与えられた衝撃は、床構成部材や床下地材などを固体伝播し、床下地材を振動させ、階下に騒音を発生させるが、根太構造を有する床構成部材の場合、緩衝層や吸音層において繊維材料(不織繊維構造体など)で絶縁されているため、根太部分からの固体伝播が比較的多くなる。しかし、特許文献1では、強度や安定性の点から、横架材に対して根太が垂直に配設される一般的な建築物と同様に、横架材に相当する水平部材が根太に対して垂直に配設されている。また、特許文献3では、歩行感を向上させるために、横架材と根太とを平行に配設し、かつ横架材の上方に根太が位置しないように根太が配設されている。すなわち、これらの特許文献の構造では、横架材と根太とが重複しない構造又は重複しない部分(床下地材のうち、剛性が低く、振動が伝わり易い部分)の面積が大きい構造となっている。そのため、床下地材のうち、剛性の低い部分に重量床衝撃音の振動が伝わり易くなり、床下地材の振動が大きくなっていると推定できる。
そこで、本発明者らは、根太の厚みまで圧縮された緩衝層と根太とが交互に配列された中間層を備えた遮音床構造において、根太を横架材上に配置することにより、根太を伝わってきた振動を剛性の高い横架材上に集中させて低減できるためか、軽量で簡単な構造であるにも拘わらず、床下地材の振動(特に重量床衝撃音)を低減できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の遮音床構造は、横架材の上に配設された床下地材と床仕上げ層との間に、間隔をおいて平行に配設された複数の根太と、この根太と交互に配設された緩衝層とで形成された中間層が介在する遮音床構造であって、
前記緩衝層が、緩衝材を含み、かつ前記根太よりも大きい厚みを有する被圧縮層を根太の厚みにまで圧縮した層であり、
前記横架材と前記根太とが平行に配設され、かつ前記横架材の上に前記根太が位置するように前記根太が配設されている。
前記中間層は、根太と緩衝層との間に空間部を含んでいてもよい。前記緩衝層と根太との幅比(各緩衝層と各根太との幅比)は、緩衝層/根太=3/1〜10/1程度であってもよい。前記緩衝層と空間部との幅比(各緩衝層と各空間部との幅比)は、緩衝層/空間部=3/1〜20/1程度であってもよい。前記緩衝層は、湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定され、かつ繊維接着率3〜85%及び見掛け密度0.03〜0.2g/cmを有する不織繊維構造体で形成され、圧縮された緩衝部と、制振材で形成された非緩衝部とを含む積層体であってもよい。前記根太は、木質材料又は金属材料で形成された硬質根太部と、湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定され、かつ繊維接着率3〜85%及び見掛け密度0.07〜0.35g/cmを有する不織繊維構造体で形成された軟質根太部とを含む積層体であってもよい。本発明の遮音床構造は、中間層の上に、硬質層及び制振層が順次積層されていてもよい。
本発明には、横架材の上に配設された床下地材と床仕上げ層との間に、間隔をおいて平行に配設された複数の根太と、この根太と交互に配設された緩衝層とで形成された中間層が介在する遮音床構造であって、
前記緩衝層として、緩衝材を含み、かつ前記根太よりも大きい厚みを有する被圧縮層を根太の厚みにまで圧縮するとともに、
前記横架材と前記根太とを平行に配設し、かつ前記横架材の上に前記根太が位置するように前記根太を配設して、床衝撃音を低減する方法も含まれる。前記床衝撃音は重量床衝撃音であってもよい。
なお、本明細書では、根太(ねだ)とは、木質系ボードや床仕上げ材などの床板を支持するために床下に配設される棒状、ブロック状又は板状の支持材を意味し、であり、床根太(横架材)や、床下地材上に施工する部材が相当する。根太は、さらに遮音性能を向上させるために、支持材の上面及び/又は下面の全部又は一部の面に弾性体などを固着していてもよい。支持材に弾性体などが固着されている場合、根太の厚みは弾性体などを含む総厚みを意味する。また、本明細書では、例えば、RC建築物におけるコンクリートスラブ素面や木造建築物における床下地材の上に配設する棒状、ブロック状又は板状の支持材も「根太」の意味で用いる。
また、横架材とは、床構造の骨組みとして、床下に架け渡す水平材であり、棒状、ブロック状又は板状の支持材を意味し、例えば、軸組工法の根太工法(梁上に床根太を施工する工法)及び枠組工法では床根太が横架材に相当し、軸組工法の根太レス工法(梁上に直接床下地を施工する方法)では梁が横架材に相当する。
本発明では、根太の厚みまで圧縮された緩衝層と根太とが交互に配列された中間層を備えた遮音床構造において、根太が横架材上に配置されているため、軽量で簡単な構造であるにも拘わらず、床下地材の振動(特に重量床衝撃音)を低減できる。特に、複数階建ての建築物における上階からの床衝撃音に対して、低周波域を含む幅広い周波域で遮音できる。そのため、沢山の部材を重ねて使用することなく性能が向上するので、床構成材を簡略化でき建築コストが抑えられ、仕上げ厚みも小さくできるので、部屋の階高も大きくとれ間取りなどの設計自由度も確保できる。さらに、歩行による床材の沈み込みを抑制でき、良好な歩行感が得られるとともに、床衝撃音の遮音性能も向上できる。
図1は、本発明の遮音床構造の一例を示す概略断面図である。 図2は、実施例及び比較例の遮音床構造における面重量と重量衝撃音低減量との関係を示すグラフである。 図3は、実施例及び比較例の遮音床構造における床構成材厚みと重量衝撃音低減量との関係を示すグラフである。
[遮音床構造]
以下、本発明の遮音床構造について、必要に応じて、図面を参照して説明する。図1は、本発明の遮音床構造の一例を示す概略断面図である。本発明の遮音床構造は、図1に示すように、横架材1の上に配設された床下地材2の上に、中間層3、硬質層7、制振層8、床仕上げ材9を順次積層した構造を有している。さらに、前記中間層3は、間隔をおいて平行に配設された複数の根太4と、この根太と交互に配設された緩衝層5とで形成されており、前記根太と前記緩衝層との間には空間部6が形成されている。なお、図1は、横架材1及び根太4の長手方向に垂直な方向の断面図である。
(横架材)
本発明の遮音床構造は、建築物の種類に応じて、各種の横架材を利用できる。横架材の形状は、床を形成するための部屋の床下の周囲枠(柱)に架け渡し、平板状の床下地材を支持できる長尺状の形状であればよい。断面形状(長手方向に垂直な断面形状)としては、図1の長方形状に限定されないが、作業性や設置後の安定性の点から、上下が対向する平行な辺を有する形状が好ましく、例えば、中空又は中実の四角形状(正方形状、長方形状、台形状など)、I字状、コ字状などが挙げられる。これらの断面形状のうち、施工時のずれを防止し、かつ床下地材を安定に支持できるとともに、根太からの振動を横架材に集中し易い点(特に重量床衝撃音を横架材に固体伝播して低減できる点)から、中実であり、かつ正方形状や長方形状などの四角形状の断面形状(断面矩形状)が好ましい。
横架材の幅は、根太からの振動を低減し易い点から、根太よりも大きい幅が好ましく、床の面積などに応じて適宜選択できるが、例えば、10〜500mm、好ましくは30〜300mm、さらに好ましくは50〜200mm(特に100〜150mm)程度である。横架材の幅が小さすぎると、根太からの振動を漏れなく集約又は吸収できず、遮音性(特に重量床衝撃音の遮音性)を向上できない。
横架材の厚み(高さ)は、例えば、10〜500mm、好ましくは50〜400mm、さらに好ましくは100〜350mm(特に150〜300mm)程度である。横架材の厚みが小さすぎると、根太からの振動(特に重量床衝撃音)を十分に低減できず、大きすぎると軽量性が低下する。
横架材は、通常、間隔をおいて(特に、等間隔で)平行に複数本配設されている。隣接する横架材の間隔は、建築物の種類に応じて、100〜1500mm程度の範囲から選択でき、木造枠組工法(ツーバイフォー工法)では455mm程度の間隔で配置され、軸組工法(在来工法)では910mm程度の間隔で配置されるのが一般的である。
横架材の材質は、無機系材料、有機系材料のいずれであってもよい。
無機系材料としては、例えば、金属材料(例えば、アルミニウム、鉄、ステンレススチール、鋼など)、金属化合物材料(例えば、石膏、珪酸カルシウム、ガラスなど)などが挙げられる。これらの無機系材料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの無機系材料のうち、鉄やアルミニウムなどの金属材料が好ましい。
有機系材料としては、例えば、木質材料[例えば、無垢材、合板(積層木質ボード)、集成材、木質繊維ボード(中密度繊維板MDF、パーティクルボード、配向性ストランドボード、インシュレーションボードなど)など]、硬質繊維ボード(熱セットされたニードルフェルト、紙製ボードなど)、合成樹脂材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドなど)などが挙げられる。これらの有機系材料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機系材料のうち、軽量性と強度とを両立できる点などから、木質材料が好ましい。
これらのうち、無垢材などの木質材料、鉄などの金属材料が汎用され、軽量性と強度とを兼ね備えた木質材料が好ましい。
(床下地材)
本発明の遮音床構造は、建築物の種類に応じて、汎用されている各種の床下地材を利用できる。床下地材としては、例えば、鉄筋コンクリートの建築物におけるコンクリートスラブや軽量発泡コンクリートなどであってもよく、一般的な木造住宅で使用される木造床などであってもよい。これらのうち、軽量性と強度とを両立できる点から、木造床が好ましい。
さらに、床下地材は、図1の構造に限定されず、コンクリートスラブや木造床の上に、さらに畳床、プラスチック板、合板、木質系ボード、紙、織布又は不織布シート、無機質ボード(石膏ボード、珪酸カルシウム板など)、金属板などが積層されていてもよい。例えば、耐火性を考慮して、石膏ボードを積層してもよいが、床構造の簡略性と、効率的な遮音性の点から、制振層を中間層の上部に配設し、木造床などの床下地材の上に直接中間層を積層する構造が好ましい。
床下地材の厚みは、床構造の工法に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、5〜50mm、好ましくは10〜40mm、さらに好ましくは15〜30mm程度である。
(根太)
根太は、長尺な棒状部材であり、中間層において、遮音性を向上させるための緩衝層を形成するために配設される。すなわち、図1に示すように、断面四角形状の根太4は、床下地材2の上に間隔をおいて平行に配設され、かつ緩衝層5と交互に配設されている。
さらに、本発明では、図1に示すように、根太4は、横架材1に対して平行に配設され、かつ横架材の上に根太が位置するように配設されている。本発明の遮音床構造では、中間層の構成要素の中で振動(特に重量床衝撃音)を固体伝播し易い根太が、横架材の上に配置されているため、根太に集約又は吸収された振動が、重量及び体積の大きい横架材に伝播して効率良く振動を低減できる。
根太の幅は、横架材の幅よりも大きくてもよいが、緩衝層のスペースを確保でき、かつ重量床衝撃音を漏れなく横架材に固体伝播できる点から、横架材と根太との幅比(各横架材と各根太との幅比)は、横架材/根太=1/1〜5/1、好ましくは1.1/1〜4/1、さらに好ましくは1.2/1〜3/1(特に1.5/1〜2.5/1)程度である。根太の幅が大きすぎると、緩衝層のスペースが小さくなり、軽量床衝撃音の遮音性能が低下するとともに、重量床衝撃音が床下地材に固体伝播して重量床衝撃音の遮音性能も低下する。一方、根太の幅が小さすぎると、中間層を保持する強度が低下し、歩行感の低下や釘などによる固定が困難となる。
根太の幅は、例えば、10〜100mm、好ましくは20〜90mm、さらに好ましくは30〜75mm程度である。
根太は、横架材で振動を効率よく低減できる点から、横架材と同じ軸で平行に配設(互いの軸が一致するように配設)するのが好ましい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、横架材間に根太を配設してもよいが、全ての根太を横架材の上に配設するのが好ましい。
根太の厚みは、例えば、5〜20mm、好ましくは6〜18mm、さらに好ましくは7〜15mm(特に8〜12mm)程度である。根太の厚みが小さすぎると、遮音性が低下し、大きすぎると、床構造の厚みが大きくなり、設計の自由度が低下する。
根太は、緩衝層(及び空間部)による遮音性を向上させるために、床面積において所定の面積を占めるのが好ましく、床面積全体に対して3〜50%、好ましくは5〜40%、さらに好ましくは10〜30%(特に15〜20%)程度である。
長手方向に垂直な根太の断面形状は、作業性や設置後の安定性の点から、上下が対向する平行な辺を有する形状が好ましく、例えば、四角形状(正方形状、長方形状、台形状など)など挙げられる。正方形状や長方形状などの断面四角形状の棒状根太を用いることにより、施工時のずれを防止し、かつ木質系ボード材や床仕上げ材で被覆した後に固定する際に位置の推測がし易く、施工が容易となる。
根太の材質は、前記横架材の項で例示された有機材料、無機材料のいずれでもよいが、床仕上げ材などを固定する固定具(釘など)の保持強度の点から、木質材が好ましい。木質材としては、無垢材、集成材、積層木質材、木質繊維材などが挙げられるが、保持力の点から、積層木質材、木質繊維材が好ましい。根太としては、例えば、後述する木質系ボード材と同様のボード材、例えば、合板、パーティクルボード、配向性ストランドボードを切削加工して利用してもよい。
さらに、根太は、根太からの振動の伝達を防止する目的では、木質材料又は金属材料(特に木質材料)で形成された硬質根太部の上面及び/又は下面の全部又は一部の面に、有機材料(例えば、防振ゴムなどの弾性材料など)や繊維材料(例えば、後述する緩衝層の項で記載されている緩衝材など)で形成された軟質根太部を積層してもよく、例えば、図1に示すように、木質材料で形成された硬質根太部4aと湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定された不織繊維構造体で形成された軟質根太部4bとの積層体であってもよい。
軟質根太部の材質としては、遮音性を向上できるとともに、歩行感も向上できる点から、湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定された不織繊維構造体などの緩衝材が好ましく、歩行における沈み込みを抑制できる点から、不織繊維構造体の中でも比較的高強度の不織繊維構造体が特に好ましい。具体的に、高強度の不織繊維構造体は、見掛け密度が、例えば、0.05〜0.4g/cm、好ましくは0.07〜0.35g/cm、さらに好ましくは0.1〜0.3g/cm程度であってもよい。さらに、後述する繊維接着率は、例えば、30〜85%、好ましくは40〜80%、さらに好ましくは50〜75%程度であってもよい。
根太が、軟質根太部と硬質根太部とを含む積層体である場合、両部の厚み比(複数の根太部が形成されている場合は合計の厚み比)は、例えば、軟質根太部/硬質根太部=5/1〜1/10、好ましくは3/1〜1/5、さらに好ましくは1/1〜1/3(特に1/1.5〜1/2.5)程度である。軟質根太部の厚みが大きすぎると、中間層を保持する強度が低下し、歩行感が低下するとともに、床構造の剛性が低下し、床鳴りし易くなり、小さすぎると、遮音性や歩行感を向上できない。
(緩衝層)
緩衝層は、床構造において、床衝撃音の防振性を向上させるために配設され、圧縮可能な緩衝材を含み、かつ弾力性と衝撃吸収性とを有する板状又はシート状材で構成されていれば、特に限定されないが、上下の層(例えば、床下地材と硬質層と)で挟むことにより被圧縮層を根太の厚みにまで圧縮した層が利用される。本発明では、被圧縮層が圧縮された状態で緩衝層として遮音床構造を構成することにより、床衝撃(特に軽量床衝撃音)の吸収性に優れるため、衝撃の発生を効果的に抑制でき、階下への伝搬を減少でき、下階の居住快適性を向上できる。さらに、床構造の強度及び安定性も高めることができる。
緩衝層の幅は、隣接する根太間の間隔に応じて選択でき、緩衝層と根太との幅比(各緩衝層と各根太との幅比)は、例えば、緩衝層/根太=1/1〜50/1、好ましくは2/1〜30/1、さらに好ましくは3/1〜10/1(特に4/1〜8/1)程度である。緩衝層の幅が大きすぎると、根太の幅が小さくなるため、中間層を保持する強度が低下し、歩行感も低下する。一方、小さすぎると、歩行感が低下するともに、遮音性も低下する。
緩衝層の幅は、建築部の工法に応じて、10〜1000mm程度から選択でき、例えば、30〜900mm、好ましくは50〜800mm、さらに好ましくは100〜500mm程度である。緩衝層の幅は、この範囲から選択すればよく、各根太間で幅を変化させてもよいが、通常、各根太間で同一の幅で形成される。
緩衝層は、例えば、圧縮前の厚み(被圧縮層の厚み)に対して0.95倍以下、好ましくは0.5〜0.95倍、さらに好ましくは0.6〜0.9倍(特に0.7〜0.8倍)程度の厚みに圧縮されていてもよい。
すなわち、被圧縮層(圧縮前の緩衝層)の厚みは、根太の厚みに対して1.05倍以上であり、例えば、1.05〜3倍、好ましくは1.1〜2倍、さらに好ましくは1.2〜1.5倍(特に1.3〜1.4倍)程度であってもよい。被圧縮層が後述する緩衝部と非緩衝部で構成されている場合、圧縮前の緩衝部の厚みは、根太の厚みから非緩衝部の厚みを減じた厚みに対して1.05倍以上であり、例えば、1.05〜5倍、好ましくは1.1〜4倍、さらに好ましくは1.3〜3倍(特に1.5〜2倍)程度である。
圧縮前の緩衝層(被圧縮層)の厚みは、床衝撃音の遮音性能を発現するために3mm以上であるのが好ましく、床の強度も確保でき、歩行時の沈み込みなども抑制できるとともに、緩衝性、施工性、経済性にも優れる点から、例えば、3〜60mm、好ましくは5〜50mm、さらに好ましくは6〜30mm(特に8〜20mm)程度であってもよい。圧縮後の緩衝層の厚みは、例えば、3〜50mm、好ましくは4〜40mm、さらに好ましくは5〜30mm(特に6〜20mm)程度であってもよい。
圧縮可能な緩衝材としては、例えば、プラスチック発泡体(例えば、発泡スチレン、発泡ウレタン、発泡ポリオレフィンなど)、ゴム又はエラストマー、繊維構造体(織編物、不織布などで構成された構造体)などが利用できる。これらのうち、衝撃の発生を効果的に抑制でき、かつ高周波域の音波(軽量床衝撃音)の吸音も向上できる点から、不織繊維構造体が好ましく、遮音性と強度(沈み込みの抑制など)とを両立できる点から、湿熱接着性繊維を含み、かつこの湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定された構造体が特に好ましい。本発明では、湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定された構造体は、高温(過熱又は加熱)水蒸気を利用して接着するために、厚み方向で均一に接着されており、繊維構造を保持しながら、高い強度を確保できる。
この不織繊維構造体において、湿熱接着性繊維は、少なくとも湿熱接着性樹脂で構成されている。湿熱接着性樹脂は、高温水蒸気によって容易に実現可能な温度において、流動又は容易に変形して接着機能を発現可能であればよい。具体的には、熱水(例えば、80〜120℃、特に95〜100℃程度)で軟化して自己接着又は他の繊維に接着可能な熱可塑性樹脂が用いられ、例えば、エチレンやプロピレンなどのα−C2−10オレフィン単位を含むビニルアルコール系重合体、特に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が好ましく用いられる。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体において、エチレン単位の含有量(共重合割合)は、例えば、5〜65モル%(例えば、10〜65モル%)、好ましくは20〜55モル%、さらに好ましくは30〜50モル%程度である。エチレン−ビニルアルコール系共重合体におけるビニルアルコール単位のケン化度は、例えば、90〜99.99モル%程度であり、好ましくは95〜99.98モル%、さらに好ましくは96〜99.97モル%程度である。エチレン−ビニルアルコール系共重合体の粘度平均重合度は、必要に応じて選択できるが、例えば、200〜2500、好ましくは300〜2000、さらに好ましくは400〜1500程度である。
湿熱接着性繊維の横断面形状(繊維の長さ方向に垂直な断面形状)は、一般的な中実断面形状である丸型断面や異型断面[偏平状、楕円状、多角形状など]に限定されず、中空断面状などであってもよい。湿熱接着性繊維は、少なくとも湿熱接着性樹脂を含む複数の樹脂で構成された複合繊維であってもよい。複合繊維は、湿熱接着性樹脂を少なくとも繊維表面の一部に有していればよいが、接着性の点から、繊維表面において長さ方向に連続する湿熱接着性樹脂を有するのが好ましい。湿熱接着性樹脂の被覆率は、例えば、50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
湿熱接着性樹脂が表面を占める複合繊維の横断面構造としては、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型又は多層貼合型、放射状貼合型、ランダム複合型などが挙げられる。これらの横断面構造のうち、接着性が高い構造である点から、湿熱接着性樹脂が繊維の全表面を被覆する構造である芯鞘型構造(すなわち、鞘部が湿熱接着性樹脂で構成された芯鞘型構造)が好ましい。芯鞘型構造は、他の繊維形成性重合体で構成された繊維の表面に湿熱接着性樹脂をコーティングした繊維であってもよい。
複合繊維の場合、湿熱接着性樹脂同士を組み合わせてもよいが、非湿熱接着性樹脂と組み合わせてもよい。非湿熱接着性樹脂としては、非水溶性又は疎水性樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの非湿熱接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの非湿熱接着性樹脂のうち、耐熱性及び寸法安定性の点から、融点が湿熱接着性樹脂(特にエチレン−ビニルアルコール系共重合体)よりも高い樹脂、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、特に、耐熱性や繊維形成性などのバランスに優れる点から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。
湿熱接着性樹脂と非湿熱接着性樹脂(繊維形成性重合体)とで構成された複合繊維の場合、両者の割合(質量比)は、構造(例えば、芯鞘型構造)に応じて選択でき、湿熱接着性樹脂が表面に存在すれば特に限定されないが、例えば、湿熱接着性樹脂/非湿熱接着性樹脂=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜15/85、さらに好ましくは60/40〜20/80程度である。
湿熱接着性繊維の平均繊維長は、例えば、10〜100mm程度の範囲から選択でき、好ましくは20〜80mm、さらに好ましくは25〜75mm程度である。
湿熱接着性繊維の捲縮率は、例えば、1〜50%、好ましくは3〜40%、さらに好ましくは5〜30%程度である。また、捲縮数は、例えば、1〜100個/25mm、好ましくは5〜50個/25mm、さらに好ましくは10〜30個/25mm程度である。
不織繊維構造体は、前記湿熱接着性繊維に加えて、さらに非湿熱接着性繊維を含んでいてもよい。非湿熱接着性繊維としては、前記複合繊維を構成する非湿熱接着性樹脂で構成された繊維の他、セルロース系繊維(例えば、レーヨン繊維、アセテート繊維など)などが挙げられる。これらの非湿熱接着性繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの非湿熱接着性繊維は、目的の特性に応じて選択でき、レーヨンなどの半合成繊維と組み合わせると、相対的に高密度で機械的特性の高い繊維構造体が得られる。
湿熱接着性繊維と非湿熱接着性繊維との割合(質量比)は、パネルの種類や用途に応じて、湿熱接着性繊維/非湿熱接着性繊維=100/0〜20/80(例えば、99/1〜20/80)、好ましくは100/0〜50/50(例えば、95/5〜50/50)、さらに好ましくは100/0〜70/30程度である。
湿熱接着性繊維を含む不織繊維構造体は、不織繊維構造を構成する繊維が前記湿熱接着性繊維の融着による繊維接着率は3〜85%(例えば、5〜60%)、好ましくは5〜50%(例えば、6〜40%)、さらに好ましくは6〜35%(特に8〜30%)程度である。本発明では、このような範囲で繊維が接着されているため、各繊維の自由度が高く、高い遮音性を発現できる。さらに、強度を向上させるために、繊維接着率は、例えば、10〜85%、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜75%程度であってもよい。繊維接着率は、後述する実施例に記載の方法で測定できるが、不織繊維断面における全繊維の断面数に対して、2本以上接着した繊維の断面数の割合を示す。
不織繊維構造を構成する繊維は、各々の繊維の接点で接着しているが、この接着点が、厚み方向に沿って、繊維構造体表面から内部(中央)、そして裏面に至るまで、均一に分布しているのが好ましい。すなわち、繊維構造体の厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維接着率がいずれも前記範囲にあるのが好ましい。さらに、各領域における繊維接着率の最大値に対する最小値の割合(最小値/最大値)(繊維接着率が最大の領域に対する最小の領域の比率)が、例えば、50%以上(例えば、50〜100%)、好ましくは55〜99%、さらに好ましくは60〜98%(特に70〜97%)程度である。
不織繊維構造体を構成する繊維の平均繊度は、用途に応じて、例えば、0.01〜100dtex程度の範囲から選択でき、好ましくは0.1〜50dtex、さらに好ましくは0.5〜30dtex(特に1〜10dtex)程度である。
不織繊維構造体の見掛け密度は、例えば、0.03〜0.2g/cm(例えば、0.03〜0.15g/cm)、好ましくは0.04〜0.18g/cm、さらに好ましくは0.05〜0.15g/cm(特に0.05〜0.1g/cm)程度である。根太が不織繊維構造体を含む場合、例えば、見掛け密度は、根太を形成する不織繊維構造体の見掛け密度よりも小さい方が好ましく、例えば、0.03〜1g/cm、好ましくは0.04〜0.0.9g/cm、さらに好ましくは0.05〜0.08g/cm程度であってもよい。見かけ密度が低すぎると、遮音性は向上するものの、硬さの低下により歩行感が低下し、逆に高すぎると、遮音性が低下する。
不織繊維構造体の目付は、例えば、50〜10000g/m程度の範囲から選択でき、好ましくは100〜5000g/m、さらに好ましくは200〜3000g/m(特に300〜2000g/m)程度である。
不織繊維構造体(又は繊維)は、さらに、慣用の添加剤、例えば、安定剤(銅化合物などの熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、分散剤、増粘剤、微粒子、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤、滑剤、抗菌剤、防虫・防ダニ剤、防カビ剤、つや消し剤、蓄熱剤、香料、蛍光増白剤、湿潤剤などを含有していてもよい。
湿熱接着性繊維を含む不織繊維構造体は、ステープル繊維を用いて得られたウェブ(例えば、セミランダムウェブ、パラレルウェブなど)に対して、温度70〜150℃(特に80〜120℃)程度の高温水蒸気を、圧力0.1〜2MPa(特に好ましくは0.2〜1.5MPa)程度で噴射する方法により得られるが、詳細な製造方法については、国際公開WO2007/116676号公報に記載の製造方法を利用できる。
緩衝層は、遮音性(特に軽量床衝撃音の遮音性)をさらに向上させるために、緩衝材で形成された緩衝部と他の硬質材料で形成された非緩衝部との組み合わせであってもよく、例えば、図1に示すように、前記不織繊維構造体などの緩衝材で形成され、圧縮された緩衝部5aと、後述の制振層の項で例示された制振材で形成された非緩衝部5bとの積層体であってもよい。
非緩衝部の材質は、制振材に限定されず、横架材の項で例示された有機材料や無機材料などが利用でき、用途に応じて、例えば、断熱性などの機能性が要求される場合、インシュレーションボードなどの木質系ボード材などを利用できるが、床衝撃源からの振動を制振効果により低減させて床衝撃音(特に重量床衝撃音)の遮音性を向上できる点から、制振材が好ましい。
緩衝層が、緩衝部(圧縮後の厚み)と非緩衝部とを含む積層体である場合、両部の厚み比(複数の緩衝部又は非緩衝部が形成されている場合は合計の厚み比)は、例えば、緩衝部/非緩衝部=20/1〜1/2、好ましくは10/1〜1/1、さらに好ましくは8/1〜2/1(特に7/1〜3/1)程度である。非緩衝部の厚みが大きすぎると、軽量床衝撃音の遮音性が低下し、小さすぎると、重量床衝撃音の遮音性の効果が小さくなる。
なお、不織繊維構造体で構成された緩衝材を接着剤や粘着剤を用いて床下地材、硬質層、非緩衝部と固定する場合、接着剤又は粘着剤が不織繊維構造体に浸透し、緩衝効果を軽減する虞があるため、不織繊維構造体の表面及び/又は裏面に、フィルムや不織布などのシート材を積層することにより、接着剤又は粘着剤の浸透を防止してもよい。
(空間部)
中間層は、さらに高周波域の音波(軽量床衝撃音)の吸音性を向上させるために、図1に示すように、根太4と緩衝層5との間に空間部6が形成されていてもよい。中間層には、空間部は、必ずしも必要ではなく、根太間のスペース全体に前記緩衝層を配設したり、部分的に根太と緩衝層との間に空間部を配設してもよいが、軽量床衝撃音の遮音性を高度に向上できる点から、全ての根太と緩衝層との間に空間部を形成するのが好ましい。
空間部を形成する場合、緩衝層と空間部との幅比(各緩衝層と各空間部との幅比)は、例えば、緩衝層/空間部=1/2〜50/1、好ましくは1/1〜30/1、さらに好ましくは3/1〜20/1(特に4/1〜10/1)程度である。空間部の幅が大きすぎると、中間層を保持する強度が低下し、沈み込みを抑制できず、歩行感などが低下する。一方、小さすぎると、軽量床衝撃音の遮音性を向上する効果が小さくなる。
空間部の幅は、前記範囲から選択すればよく、各根太間で幅を変化させてもよいが、通常、各根太間で同一の幅で形成される。
(硬質層)
硬質層は、遮音床構造において、機械的強度を付与するために配設され、前記横架材の項で例示された無機材料及び有機材料のいずれであってもよい。さらに、無機系材料と有機系材料との組み合わせであってもよく、例えば、塩ビ鋼板(ポリ塩化ビニル被覆金属板)などの無機系と有機系との複合系又は積層系面材であってもよい。また、表面の全部又は一部を弾性層で被覆した無機系材料であってもよい。
これらのうち、硬質のボード材、例えば、木質系ボード材、無機質ボード(石膏ボード、珪酸カルシウム板など)、プラスチックボード(アクリル板などのプラスチック板、硬質プラスチック発泡体など)、硬質繊維シート(紙製ボード、熱セットされたニードルフェルトなど)などが使用され、軽量性や施工性に優れる点から、通常、木質系ボード材が使用される。木質系ボード材としては、板状又はシート状の木質材であれば特に限定されず、例えば、無垢材、合板(積層木質ボード)、木質繊維ボード(MDF、パーティクルボード、配向性ストランドボード、インシュレーションボードなど)などが挙げられる。これらのうち、床仕上げ材からの釘を保持する力が高い点から、構造用合板、パーティクルボード、配向性ストランドボードなどが好ましい。なお、木質系ボード材は、通常、複数のボード材を組み合わせて使用する。隣接するボード材の面方向における突き合わせ部(すなわち、継ぎ目部分)は強度的に弱いため、突き合わせ部が後述する根太の上に位置するように配設するのが好ましい。
硬質層の厚みは、例えば、5〜20mm、好ましくは8〜18mm、さらに好ましくは9〜15mm程度である。
硬質層は、必ずしも必要ではなく、例えば、硬質層を用いることなく、緩衝層の上に後述する制振層を単独で積層し、緩衝層を圧縮してもよい。また、積層順序も特に限定されず、制振層の上に硬質層を配設してもよく、床下地材と緩衝層との間に硬質層を介在させてもよいが、遮音床構造を簡略化できる点から、少なくとも緩衝層の上層に形成するのが好ましい。
(制振層)
制振層は、床衝撃源からの振動を制振効果により低減させて床衝撃音の遮音性能をさらに向上させるために配設され、幅広い周波域の床衝撃音を遮音可能であれば、特に限定されないが、高密度かつ高比重の制振材が利用される。
制振材としては、通常、バインダー成分とフィラーとの混合物が使用される。バインダー成分としては、例えば、アスファルトなどの瀝青質物質、合成樹脂、ゴムやエラストマーなどが挙げられる。バインダー成分が制振効果を発現するためには、通常、単位面積当たりの質量が4kg/m以上であるのが好ましく、このような高比重を有する点から、バインダー成分は、アスファルトを含有するのが好ましい。アスファルトとしては、特に限定されず、一般的なアスファルト、例えば、天然アスファルト、ストレートアスファルト、ブローンアスファルトなどの石油アスファルトなどが使用できる。これらのアスファルトは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
さらに、バインダー成分は、制振材に可撓性を付与するために、アスファルトに加えて、軟質樹脂又はエラストマー成分を含んでいてもよい。軟質樹脂又はエラストマー成分としては、例えば、ポリオレフィン、ビニル系重合体(ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体など)、ポリアミド、ポリエステル、合成ゴム(ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体など)、天然ゴム、ロジン系樹脂(天然ロジン、変性ロジンなど)などが挙げられる。これらの軟質樹脂又はエラストマー成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの軟質樹脂又はエラストマー成分のうち、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのスチレン−ジエン系共重合体が好ましい。
アスファルトを含む制振材において、軟質樹脂又はエラストマー成分の割合は、アスファルト100重量部に対して、例えば、0〜100重量部、好ましくは1〜80重量部、さらに好ましくは3〜50重量部程度である。
フィラーとしては、有機フィラーであってもよいが、高比重である点から、無機フィラーが好ましい。無機フィラーとしては、例えば、鉄、銅、錫、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼などの金属粒子(粉末)、酸化鉄、三二酸化鉄、四三酸化鉄、フェライト、酸化錫、酸化亜鉛、亜鉛華、酸化銅、酸化アルミニウムなどの金属酸化物粒子、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウムなどの金属塩粒子、製鋼スラグ、マイカ、クレー、タルク、ウォラストナイト、けい藻土、けい砂、軽石粉などの鉱物粒子などが挙げられる。
これらの無機フィラーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの無機フィラーのうち、鉄粒子、各種酸化鉄粒子、製鋼スラグ粒子、(重)炭酸カルシウム粒子などが好ましい。
無機フィラーの形状は、粒子状又は粉末状、不定形状、繊維状などが挙げられるが、粒子状又は粉末状が好ましい。無機フィラーの平均粒径は、例えば、0.5mm以下(例えば、0.01〜0.5mm)、好ましくは0.2mm以下(例えば、0.05〜0.2mm)程度である。このように微粉末化された無機フィラーを使用すると、制振材を製造する際の成形加工性を改善し、アスファルト基材中に多量の無機フィラーを均一に分散配合することができるため、制振材の面密度及び感熱安定性を向上できる。
無機フィラーの割合は、アスファルト100重量部に対して、例えば、100〜2000重量部、好ましくは200〜1800重量部、さらに好ましくは300〜1500重量部程度である。無機フィラーの割合が少なすぎると制振遮音効果が低下し、逆に多すぎると全体が脆くなり成形が困難となり、作業性が低下する。制振材の面密度は4.0kg/m以上(特に8.0kg/m以上)となるように調整するのが好ましい。
制振材は、特に限定されず、バインダー成分と無機フィラーとを加熱混合し、板状に成形する方法などにより得ることができる。軟質樹脂又はエラストマー成分を配合する場合は、アスファルトと軟質樹脂又はエラストマー成分を予め混合した混合物に無機フィラーを添加してもよい。
なお、制振材の形状は、作業性などの点から、板状又はシート状材が好ましいが、例えば、半固体状などの不定形状の制振材であってもよい。
制振層の厚みは、例えば、1〜20mm、好ましくは3〜15mm、さらに好ましくは4〜12mm(特に5〜10mm)程度である。制振層の比重は、例えば、2.2〜3.6、好ましくは2.3〜3.5、さらに好ましくは2.5〜3.4程度である。
制振層も、必ずしも必要ではなく、例えば、制振層を用いることなく、硬質層の上に後述する床仕上げ層を積層してもよい。また、積層順序も特に限定されず、床下地材と緩衝層との間に介在させてもよいが、遮音性を向上できる点から、緩衝層と床仕上げ層との間に介在させるのが好ましい。
なお、制振層は、前記硬質層と一体化された制振木質系ボード材に含まれる制振層であってもよい。
(床仕上げ層)
床仕上げ層には、部屋の種類に応じて、慣用の床仕上げ材、例えば、敷き仕上げ、フローリング、軟質仕上げなどに用いられる慣用の床仕上げ材が利用できる。
敷き仕上げの床仕上げ材としては、例えば、畳表、カーペット、ラグ、ラグマット、じゅうたんなどが挙げられる。フローリングの床仕上げ材には、ムク材系床仕上げ材、合板系床仕上げ材などのフローリング材が含まれる。軟質仕上げの床仕上げ材には、コルク板、軟質プラスチック板などが含まれる。軟質プラスチック板としては、発泡層を有するプラスチックシート(クッションフロア)であってもよい。
これらの床仕上げ材のうち、コルク板、軟質プラスチック板、カーペット、畳表を用いると、表面の緩衝効果により軽量衝撃音の遮音性能がさらに向上する。
床仕上げ層の厚みは、種類に応じて選択でき、例えば、フローリング材の厚みは、例えば、2〜20mm、好ましくは3〜15mm、さらに好ましくは5〜15mm程度であってもよく、軟質床仕上げ材の厚みは、例えば、1〜20mm、好ましくは1.5〜10mm、さらに好ましくは2〜8mm程度であってもよい。
[遮音床構造の施工又は製造方法]
本発明の遮音床構造は、層構造に応じて、床下地材の上に、根太、緩衝層、硬質層、制振層、床仕上げ層などを順次積層することにより施工できる。
根太は、前述のように、横架材の上に位置するように床下地材の上に配設する。根太の固定方法としては、接着剤又は粘着剤を用いる方法、固定具を用いる方法などが挙げられる。接着剤又は粘着剤としては、根太の材質に応じて、慣用の接着剤又は粘着剤の中から選択できる。接着剤としては、デンプンやカゼインなどの天然高分子系接着剤、ポリ酢酸ビニルやエチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤などの熱可塑性樹脂系接着剤、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂系接着剤などが挙げられる。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤などの熱可塑性樹脂系粘着剤などが挙げられる。固定具としては、ネイル、ネジ、釘、ステープル、針などの係合手段、粘着テープ、面ファスナーなどが挙げられる。これらの方法のうち、通常、釘などの固定具を用いる方法が汎用される。
根太が硬質根太部と軟質根太部との積層体である場合、硬質根太部と軟質根太部とを前記接着剤又は粘着剤で固定してもよい。
根太が配設された中間層の根太間には、被圧縮層を敷き詰める。その際に、床下地材上に予め前記接着剤又は粘着剤を塗布後、被圧縮層を敷き詰めてもよく、被圧縮層を敷き詰めた後に、前記固定具などで固定してもよい。さらに、被圧縮層として、緩衝材とともに、制振材などで形成された非緩衝部を緩衝材の上面側又は下面側に挿入してもよい。緩衝部と非緩衝部とは接着剤又は粘着剤で固定してもよく、接着剤で固定することにより、床自体の剛性を向上でき、床衝撃音の遮音性能を向上できる。なお、被圧縮層は、隣り合う根太間に配設されていればよく、根太と交互に隙間なく隣接して配設してもよいが、適度な空隙を形成して敷き詰めてもよい。
次に、根太及び被圧縮層の上に硬質層を積層する。硬質層を根太と接触するように積層することにより、被圧縮層が床下地材と硬質層に挟まれて圧縮され、根太の厚みにまで圧縮された緩衝層が形成される。硬質層は、通常、複数の木質系ボード材を使用するが、木質系ボード材の突き合わせ部(隣り合う木質系ボード材の継ぎ目部)に根太を配設するのが好ましい。木質系ボード材の突き合わせ部に、根太を配設すると、硬質層の安定性が向上し、木質系ボード材の突き合わせ部での荷重による沈み込みを抑制できる。また、木質系ボード材の突き合わせ部は、密接させてもよく、木質系ボードの温湿度による伸縮を考慮し1〜20mm(特に5〜15mm)程度の隙間を開けてもよい。
さらに、硬質層の上に制振層を積層する。硬質層と制振層も接着剤又は粘着剤で固定してもよい。接着剤で固定することにより、床自体の剛性を向上でき、床衝撃音の遮音性能を向上できる。
最後に、床仕上げ材を制振層の上に配設して床仕上げ層を形成する。制振層及び床仕上げ層の固定方法としても、前述の接着剤(もしくは粘着剤)又は固定具を用いる方法が利用できるが、ネイル、ステープル、釘などの係合手段であってもよい。これらの係合手段は、遮音性を向上させる点から、緩衝層まで到達しない長さの係合手段を利用するのが好ましい。例えば、床仕上げ材がフローリングの場合、通常、係合手段としてフロアネイルと称される釘を使用するが、フロアネイルが緩衝層や床下地材に到達すると、サウンドブリッジにより床衝撃音の遮音性能が低下する虞がある。従って、根太が釘保持力を有する材質(木質材など)である場合、床仕上げ層から根太までフロアネイルなどの係合手段で一体化してもよい。床仕上げ層から根太まで一体化されると、床自体の剛性が向上し、床衝撃音の遮音性能が向上するだけでなく、歩行感も良好になる。
床暖房を施工する場合は、床仕上げ材の直下に床暖房パネルなどを設置してもよい。なお、制振材を使用している場合は、制振材上に更に木質系パネルや断熱性を有するパネルを設置するのが好ましい。
なお、本発明の遮音床構造は、部屋の全面に施工される態様だけに限定されず、部屋の一部に施工してもよい。例えば、ピアノなどの重量物を載置する部屋に対して、重量物が載置される部分について、根太を略全面に敷き詰める態様、前記緩衝層を耐荷重性の高い木質系ボードなどに置き換える態様などにより、部分的に強度を担保してもよい。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例における各物性値は、以下に示す方法により測定した。なお、実施例中の「部」及び「%」はことわりのない限り、質量基準である。
(1)目付(g/m2
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて測定した。
(2)厚み(mm)、見掛け密度(g/cm
JISL 1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて厚さを測定し、この値と目付けの値とから見かけ密度を算出した。
(3)繊維接着率
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、構造体断面を100倍に拡大した写真を撮影した。撮影した構造体の厚み方向における断面写真を厚み方向に三等分し、三等分した各領域(表面、内部(中央)、裏面)において、そこに見出せる繊維切断面(繊維端面)の数に対して繊維同士が接着している切断面の数の割合を求めた。各領域に見出せる全繊維断面数のうち、2本以上の繊維が接着した状態の断面の数の占める割合を以下の式に基づいて百分率で表わした。なお、繊維同士が接触する部分には、融着することなく単に接触している部分と、融着により接着している部分とがある。但し、顕微鏡撮影のために構造体を切断することにより、構造体の切断面においては、各繊維が有する応力によって、単に接触している繊維同士は分離する。従って、断面写真において、接触している繊維同士は、接着していると判断できる。
繊維接着率(%)=(2本以上接着した繊維の断面数)/(全繊維断面数)×100
但し、各写真について、断面の見える繊維は全て計数し、繊維断面数100以下の場合は、観察する写真を追加して全繊維断面数が100を超えるようにした。なお、三等分した各領域についてそれぞれ繊維接着率を求め、その最大値に対する最小値の割合(最小値/最大値)も併せて求めた。
(4)床衝撃音の遮音特性
JIS A 1418−1「建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法−第1部:標準軽量衝撃源による方法」及びJIS A 1418−2「建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法−第2部:標準重量衝撃源による方法」に準拠して行った。また、測定結果は、JIS A 1419−2「建築物および建築部材の遮断性能の評価方法−第2部:床衝撃音遮断性能」に準拠して床衝撃音レベルを算出し、床下地のみを施工した場合の測定数値からの差を低減量として比較した。
[実施例に用いた構成部材]
(緩衝材の製造例1)
湿熱接着性繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量44モル%、ケン化度98.4モル%)である芯鞘型複合ステープル繊維((株)クラレ製、「ソフィスタ」、繊度3dtex、繊維長51mm、芯鞘質量比=50/50、捲縮数21個/25mm、捲縮率13.5%)を準備した。
この芯鞘型複合ステープル繊維を用いて、カード法により目付約50g/mのカードウェブを作製し、このウェブを6枚重ねて合計目付約300g/mのカードウェブとした。
このカードウェブを、50メッシュ、幅500mmのステンレス製エンドレスネットを装備したベルトコンベアに移送した。尚、このベルトコンベアの金網の上部には同じ金網を有するベルトコンベアが装備されており、それぞれが同じ速度で同方向に回転し、これら両金網の間隔を任意に調整可能なベルトコンベアを使用した。
次いで、下側コンベアに備えられた水蒸気噴射装置ヘカードウェブを導入し、この装置から0.2MPaの高温水蒸気をカードウェブの厚み方向に向けて通過するように(垂直に)噴出して水蒸気処理を施し、不織繊維構造を有する成形体を得た。この水蒸気噴射装置は、下側のコンベア内に、コンベアネットを介して高温水蒸気をウェブに向かって吹き付けるようにノズルが設置され、上側のコンベアにサクション装置が設置されていた。また、この噴射装置のウェブ進行方向における下流側には、ノズルとサクション装置との配置が逆転した組合せである噴射装置がもう一台設置されており、ウェブの表裏両面に対して蒸気処理を施した。
なお、水蒸気噴射ノズルの孔径は0.3mmであり、ノズルがコンベアの幅方向に沿って1mmピッチで1列に並べられた蒸気噴射装置を使用した。加工速度は3m/分であり、ノズル側とサクション側の上下コンベアベルト間の間隔(距離)を、厚み6mmの構造体が得られるように調整した。ノズルはコンベアベルトの裏側にベルトとほぼ接するように配置した。
得られた不織繊維構造体(成形体)は、ボード状の形態を有していた。見掛け密度は、0.05g/cmであった。さらに、繊維接着率は、表面側で11%、中央部で10%、裏面側で10%であった。この不織繊維構造体を、切断加工して、緩衝材1(緩衝部)として利用した。
(緩衝材の製造例2)
緩衝材の製造例1において、ウェブの積層枚数を9枚、合計目付約450g/mのカードウェブを使用し、上下コンベアベルト間の間隔を調整することにより、厚み3mmの不織繊維構造体を製造した。見掛け密度は、0.15g/cmであった。さらに、繊維接着率は、表面側で73%、中央部で70%、裏面側で74%であった。この不織繊維構造体を、切断加工して、緩衝材2(硬質根太部)として利用した。
実施例1
間隔455mmで配設された断面形状が幅38mm×厚み235mm(2×10材)の横架材の上に、厚み15mmの構造用合板を施工し、寸法3600×3600mmの床下地材(枠組工法で構成された床下地材)を作製した。
根太として、幅寸法50mmに切断した厚み9mmの構造用合板に、幅寸法50mmに切断した厚み3mmで見掛け密度0.15g/cmの緩衝材2を接着剤で固定した根太を用いた。この根太を、緩衝材2が上面となるように床下地材の上に配設した。さらに、根太は、横架材上に位置させて、間隔455mmで横架材と平行に配設した。
次に、根太間に、緩衝層として、厚み6mm緩衝材1(緩衝部)及び厚み8mmの制振材(アスファルトと鉄系無機粉体とを加熱混合して板状に成形した比重2.8のシート)(非緩衝部)をこの順序で挿入した。なお、緩衝層と根太との間には、100mmの隙間を設けて空間部を形成した。
得られた中間層の上から、硬質層として、厚み12mmの構造用合板、制振層として、厚み8mmの制振材(アスファルトと鉄系無機粉体とを加熱混合して板状に成形した比重2.8のシート)を配設した。
最後に、制振層の上から、厚み12mmの仕上げ合板(カラーフロア)を配設し、長さ38mmのビスで固定した。
実施例2
制振層として、厚み4mmの制振材(アスファルトと鉄系無機粉体とを加熱混合して板状に成形した比重2.8のシート)を配設する以外は実施例1と同様にして遮音床構造を施工した。
比較例1
根太を横架材間の中央に配設する以外は実施例1と同様にして遮音床構造を施工した。
比較例2
床下地材と中間層との間に、厚み8mmの制振材(アスファルトと鉄系無機粉体とを加熱混合して板状に成形した比重2.8のシート)と硬質層として厚み9mmの構造用合板とを介在させ、根太を横架材間の中央に配設する以外は実施例2と同様にして遮音床構造を施工した。
比較例3
制振層を硬質層と床仕上げ層との間ではなく、床下地材と中間層との間に配設し、硬質層として厚み12mmの代わりに厚み9mmの構造用合板を用い、根太を横架材に直交させて配設する以外は実施例1と同様にして遮音床構造を施工した。
比較例4
硬質層と制振層との間に、厚み12.5mmの石膏ボード(吉野石膏(株)製「タイガースーパーハード」)を介在させ、根太を横架材に直交させて配設する以外は実施例1と同様にして遮音床構造を施工した。
比較例5
実施例1の床下地材の上に、厚み12.5mmの石膏ボード(吉野石膏(株)製「タイガースーパーハード」)を2枚、厚み8mmの制振材(アスファルトと鉄系無機粉体とを加熱混合して板状に成形した比重2.8のシート)を順次配設した後、制振材の上に、実施例1の中間層の根太を横架材と直交した向きで配設した。この中間層の上から、厚み12mmの仕上げ合板(カラーフロア)を配設し、長さ38mmのビスで固定した。
比較例6
実施例1の床下地材の上に、厚み12.5mmの石膏ボード(吉野石膏(株)製「タイガースーパーハード」)、厚み9mmの制振材(アスファルトと鉄系無機粉体とを加熱混合して板状に成形した比重2.8のシート)、厚み9mmの構造用合板、厚み12mmの仕上げ合板(カラーフロア)を順次配設した後、長さ38mmのビスで固定した。
実施例及び比較例で得られた遮音床構造について、床衝撃音の遮音特性を測定した結果を表1に示す。
Figure 0006018846
なお、表1中、「床構成材厚み」とは、横架材、床下地材及び床仕上げ材を除いた床構造の厚みを意味する。
表1の結果から明らかなように、実施例の遮音床構造は、軽量衝撃音に対する遮音性を維持しながら、重量衝撃音に対して高い遮音性を示すのに対して、比較例の遮音床構造は、重量衝撃音に対する遮音性は低い。
また、実施例及び比較例の遮音床構造の面重量と遮音性との関係をグラフ化して図2に示す。図2から明らかなように、実施例の床構造(グラフ中の△印)は、比較例の床構造に比べて、面重量が小さいにも拘わらず、重量衝撃音に対して高い遮音性を示している。
さらに、実施例及び比較例の遮音床構造の床構成材厚みと遮音性との関係をグラフ化して図3に示す。図3から明らかなように、実施例の床構造(グラフ中の△印)は、比較例の床構造に比べて、厚みが小さいにも拘わらず、重量衝撃音に対して高い遮音性を示している。
本発明の遮音床構造は、マンション、ビル、一般住宅などの建築物の床構造に利用でき、特に、マンション、ビル、一般住宅などの複数階建ての建築物(多層階建築物)における2階以上のフロアにおける床構造として有用である。
1…横架材
2…床下地材
3…中間層
4…根太
5…緩衝層
6…空間部
7…硬質層
8…制振層
9…床仕上げ層

Claims (10)

  1. 横架材の上に配設された床下地材と床仕上げ層との間に、間隔をおいて平行に配設された複数の根太と、この根太と交互に配設された緩衝層とで形成された中間層が介在し、かつ面重量が42kg/m 以下である遮音床構造であって、
    前記緩衝層が、緩衝材を含み、かつ前記根太よりも大きい厚みを有する被圧縮層を根太の厚みにまで圧縮した層であり、
    前記横架材と前記根太とが平行に配設され、かつ前記横架材の上に前記根太が位置するように前記根太が配設されている遮音床構造。
  2. 中間層が、根太と緩衝層との間に空間部を含む請求項1記載の遮音床構造。
  3. 緩衝層と根太との幅比が、緩衝層/根太=3/1〜10/1である請求項1又は2記載の遮音床構造。
  4. 緩衝層と空間部との幅比が、緩衝層/空間部=3/1〜20/1である請求項2又は3記載の遮音床構造。
  5. 横架材及び根太が木質材料又は金属材料を含み、前記横架材と前記根太との幅比が、横架材/根太=1/1〜5/1である請求項1〜4のいずれかに記載の遮音床構造。
  6. 緩衝層が、湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定され、かつ繊維接着率3〜85%及び見掛け密度0.03〜0.2g/cmを有する不織繊維構造体で形成され、圧縮された圧縮層と、制振材で形成された非圧縮層とを含む積層体である請求項1〜5のいずれかに記載の遮音床構造。
  7. 根太が、木質材料又は金属材料で形成された硬質根太部と、湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定され、かつ繊維接着率3〜85%及び見掛け密度0.07〜0.35g/cmを有する不織繊維構造体で形成された軟質根太部とを含む積層体である請求項1〜6のいずれかに記載の遮音床構造。
  8. 中間層の上に、硬質層及び制振層が順次積層されている請求項1〜7のいずれかに記載の遮音床構造。
  9. 横架材の上に配設された床下地材と床仕上げ層との間に、間隔をおいて平行に配設された複数の根太と、この根太と交互に配設された緩衝層とで形成された中間層が介在し、かつ面重量が42kg/m 以下である遮音床構造において、
    前記緩衝層として、緩衝材を含み、かつ前記根太よりも大きい厚みを有する被圧縮層を根太の厚みにまで圧縮するとともに、
    前記横架材と前記根太とを平行に配設し、かつ前記横架材の上に前記根太が位置するように前記根太を配設して、床衝撃音を低減する方法。
  10. 床衝撃音が重量床衝撃音である請求項9記載の方法。
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