(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、「車両」の一例としての自動二輪車1の正面図である。「車両」は自動二輪車1に限定されず、例えば、ATV(All Terrain Vehicle)、ROV(Recreational Off-highway Vehicle)、または自動車であってもよい。以下の説明では、特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、自動二輪車1に乗車したライダーから見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号F、Re、L、R、U、Dは、それぞれ上記ライダーから見た前、後、左、右、上、下を表す。
自動二輪車1は、前輪2と、後輪(図示せず)と、後輪を駆動するパワーユニット(図示せず)とを備える。前輪2は、フロントフォーク3に支持されている。前輪2の上方には、フロントフェンダ4が設けられている。フロントフェンダ4の上方には、フロントカウル5が配置されている。フロントカウル5は、図示しないヘッドパイプの前方に配置されている。
フロントカウル5には、ヘッドライト10が取り付けられている。ただし、ヘッドライト10を取り付ける部材は特に限定されない。図示は省略するが、ヘッドライト10は、車体フレームに支持されるブラケットに取り付けられていてもよい。ヘッドライト10は、自動二輪車1の前方を照射する前照灯である。ヘッドライト10は、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202を有している。第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202は、LEDを光源とするライトモジュールである。以下の第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202に関する説明では、特に断らない限り、前、後、左、右、上、下は、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202が自動二輪車1に搭載された状態での前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。言い換えると、以下の第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202に関する説明では、特に断らない限り、前、後、左、右、上、下は、自動二輪車1のライダーから見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味する。
図2に示すように、ヘッドライト10は、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202を支持するハウジング13と、光を透過させるアウターカバー14とを有する。第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202は、ハウジング13に直接支持されていてもよく、他の部材を介して間接的に支持されていてもよい。アウターカバー14はハウジング13に取り付けられており、ハウジング13およびアウターカバー14により、ヘッドライト室15が形成されている。第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202は、ヘッドライト室15内に配置されている。
第1ロービームライトモジュール201は、ロービーム用のライトモジュールであり、ロービーム照射時に点灯する。第1ハイビームライトモジュール202は、ハイビーム用のライトモジュールであり、ハイビーム照射時に第1ロービームライトモジュール201と共に点灯する。すなわち、ヘッドライト10は、ロービーム照射時には、第1ロービームライトモジュール201が点灯し、第1ハイビームライトモジュール202が消灯するように構成されている。ヘッドライト10は、ハイビーム照射時には、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202が点灯するように構成されている。自動二輪車1のハンドル6には、ヘッドライト10を操作するための操作スイッチ7が設けられている。
第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202は、同一の仕様のライトモジュール100により構成されている。第1ハイビームライトモジュール202は、第1ロービームライトモジュール201と同一の仕様を有している。第1ハイビームライトモジュール202は第1ロービームライトモジュール201と同様の部品を有し、同一の形状、寸法、および構成を有している。第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202は、互いに交換することが可能である。
図3は、ライトモジュール100の主要部の鉛直断面図である。図3に示すように、ライトモジュール100は、光源としてのLED21と、LED21からの光が直接入射し、入射した光を屈折させて透過させるレンズ30とを備えている。ここで、LED21からの光が「直接入射」とは、LED21からの光がリフレクタによって反射されてから入射する訳ではないことを意味する。LED21からの光は、反射されずにレンズ30に入射する。なお、LED21とレンズ30との間に、光を透過させる部材(例えば透明カバー)が配置されていても構わない。なお、図3は断面図であるが、レンズ30については断面であることを表すハッチングを省略している。
LED21は、光を前方に照射するように配置されている。レンズ30は、LED21の前方に配置されている。レンズ30は、前方に向けて凸状の凸レンズからなっている。レンズ30は、前方に向かって凸状の表面31と、LED21に対向する裏面32とを有する。ただし、レンズ30の形状は特に限定されない。レンズ30は、LED21からの光を屈折させて前方に導く。
LED21は基板22上に設けられている。基板22の裏側には、複数の放熱フィン23を有するヒートシンク24が固定されている。ただし、基板22を冷却する冷却装置は、ヒートシンク24に限られない。ライトモジュール100は、少なくともLED21および基板22を収容するケーシング25を備えている。ただし、ケーシング25は必ずしも必要ではなく、省略することが可能である。
なお、本明細書においてライトモジュール100の仕様が同一とは、少なくともレンズ30が同一の特性を有することを意味する。光源が同一の場合に同様の配光パターンを形成する2つのレンズがあった場合、それらのレンズは同一の特性を有すると言うことができる。本実施形態に係るヘッドライト10によれば、同一の特性を有するレンズ30をたくさん使うことで、生産コストを下げることができるという効果を奏する。すなわち、本実施形態に係るヘッドライト10によれば、レンズ30の共通化により、生産コストを下げることができるという効果を奏する。
一方、ライトモジュール100の主要部品であるレンズ30以外については、生産コスト低減という上記効果を得ながら、多少の相違を設けることが可能である。例えば、ヘッドライト10の組立作業の効率化のため、第1ロービームライトモジュール201と第1ハイビームライトモジュール202とで、互いの違いが分かりやすいように、何らかの識別手段を設けてもよい。例えば、シールを貼る、色違いリングをつける、配線の樹脂皮膜の色を変える、コネクタの色を変える、レンズに加工(例えばシボ加工)を入れる、などである。また、レンズ30以外の基本的な構成部品(例えば、LED21、基板22、ケーシング25、およびヒートシンク24のうちの1つまたは2つ以上)を共用化し、それ以外の構成部品に相違を設けてもよい。例えば、種類の異なるコネクタ102を設ける、ケーシング25に種類の異なるシールを貼る、ケーシング25に種類の異なるリングをつける等である。また、同一の特性を有するレンズに加工(例えばシボ加工)を入れてもよい。この場合、加工を入れた部分を除く部分で同一の特性を得ることができる。
図4は、ヘッドライト10から前方に10m離れた位置に設置されたスクリーンに対し第1ロービームライトモジュール201から光を投射した場合に、第1ロービームライトモジュール201からの光により形成される配光パターンを模式的に示す図である。図4の各線は照度が等しい点を結んだ線であり、内側の線ほど照度が高いことを表す。線5Lは5ルクスの線である。線5Lの内側の第1領域111は、照度が5ルクス以上の領域である。
ヘッドライト10から前方に10m離れた位置に設置されたスクリーン上において、照度が5ルクス以上の領域は、照らされていることが十分に分かるような明るさを有する領域である。ただし、10mおよび5ルクスという数値は、配光パターンの説明のために便宜的に定めた数値の一例に過ぎない。ヘッドライト10からスクリーンまでの距離、および明るい領域として定義される領域の輪郭を形成することとなる照度の数値は、特に限定される訳ではない。
第1ロービームライトモジュール201は、図4に示すような上端部にカットオフラインCLを有する配光パターンを形成するように構成されている。第1ロービームライトモジュール201により、H−H線の下方を広い範囲にわたって照らすロービーム用の配光パターンが形成される。なお、「カットオフライン」とは、光の明暗の区切りとなる線である。ここでは、カットオフラインCLは左右方向に延びている。言い換えると、カットオフラインCLは水平線と平行に延びている。「H−H線」とは、ヘッドライト光源の前方に位置するH−Vを通る水平線のことである。「V−V線」とは、H−Vを通る鉛直線のことである。
図2に示すように、第1ハイビームライトモジュール202は、第1ロービームライトモジュール201の下方に配置されている。ただし、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202の配置は特に限定されない。第1ハイビームライトモジュール202は、第1ロービームライトモジュール201の上方に配置されていてもよい。第1ハイビームライトモジュール202は、第1ロービームライトモジュール201の左方または右方に配置されていてもよい。ただし、第1ハイビームライトモジュール202は、第1ロービームライトモジュール201と同一の仕様のライトモジュールを上下反転した姿勢に設置したものである。第1ハイビームライトモジュール202のレンズ30と第1ロービームライトモジュール201のレンズ30とは、同一の特性を有している。
このように、第1ロービームライトモジュール201のレンズ30と第1ハイビームライトモジュール202のレンズ30とは、同一の特性を有している。第1ロービームライトモジュール201と第1ハイビームライトモジュール202とは、互いに上下反転した姿勢に設置されている。そのため、ライトモジュール100が第1ロービームライトモジュール201として用いられる場合、ライトモジュール100の第1部分101は第1ロービームライトモジュール201の下部となるが、ライトモジュール100が第1ハイビームライトモジュール202として用いられる場合には、ライトモジュール100の第1部分101は第1ハイビームライトモジュール202の上部となる。ライトモジュール100が第1ロービームライトモジュール201として用いられる場合、ライトモジュール100の第2部分102は第1ロービームライトモジュール201の上部となるが、ライトモジュール100が第1ハイビームライトモジュール202として用いられる場合には、ライトモジュール100の第2部分102は第1ハイビームライトモジュール202の下部となる。
第1ロービームライトモジュール201には、第1電線18が接続されている。第1ロービームライトモジュール201には、第1電線18を通じて電気が供給される。第1ハイビームライトモジュール202には、第2電線17が接続されている。第1ハイビームライトモジュール202には、第2電線17を通じて電気が供給される。第1電線18および第2電線17は、ヘッドライト室15内に配置されている。なお、第1電線18および第2電線17として同一仕様の電線101を用いることができる。
ヘッドライト室15には、第1コネクタ28および第2コネクタ27を有するコネクタ部材29が配置されている。第1コネクタ28には第1電線18が接続され、第2コネクタ27には第2電線17が接続されている。本実施形態では、第1電線18は第1コネクタ28に着脱可能に接続され、第2電線17は第2コネクタ27に着脱可能に接続されている。第1コネクタ28および第2コネクタ27には、同一仕様のコネクタ102を用いることができる。第1電線18および第2電線17には、上記コネクタ102に着脱可能に接続される端子(図示せず)が接続されていてもよい。
コネクタ部材29には、外部電線39が接続されている。外部電線39の少なくとも一部は、ヘッドライト室15の外部に配置されている。外部電線39には、電子制御ユニット(Electronic Control Unit。以下、ECUという)35が接続されている。ECU35は、図示しないバッテリから外部電線39を通じて、コネクタ部材29に電気を供給する。第1ロービームライトモジュール201には、外部電線39、コネクタ部材29の第1コネクタ28、および第1電線18を通じて、電気が供給される。第1ハイビームライトモジュール202には、外部電線39、コネクタ部材29の第2コネクタ27、および第2電線17を通じて、電気が供給される。このように、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202には、共通の外部電線39を通じて電気が供給される。
図5は、ヘッドライト10から前方に10m離れた位置に設置されたスクリーンに対し第1ハイビームライトモジュール202から光を投射した場合に、第1ハイビームライトモジュール202からの光により形成される配光パターンを模式的に示す図である。図4と同様、図5の各線は照度が等しい点を結んだ線であり、内側の線ほど照度が高い。線5Lは5ルクスの線であり、線5Lの内側の第2領域112は、照度が5ルクス以上の領域である。第1ロービームライトモジュール201からの光により形成される配光パターンとの比較のため、図5では、第1ロービームライトモジュール201からの光により形成される配光パターンを破線で表示している。
図5に示すように、第1ハイビームライトモジュール202により、下端部に左右方向に延びるカットオフラインCLを有する配光パターンが形成される。第1ハイビームライトモジュール202は第1ロービームライトモジュール201と上下反転した姿勢に設置されているので、図5に示す第1ハイビームライトモジュール202が形成する配光パターンは、図4に示す第1ロービームライトモジュール201が形成する配光パターンを上下逆さまにしたようなパターンとなる。第2領域112の一部は第1領域111と重なっている。第2領域112の他の一部は、第1領域111の上方に位置している。なお、このように第1領域111および第2領域112、すなわち、ヘッドライト10から前方に10m離れた位置に設置されたスクリーン上に5ルクス以上の照度で照らされる領域は、目視したときに重なることが識別できる領域である。言い換えると、上記10mおよび5ルクスという数値は、目視したときに上記重なりが識別できるような値に設定されている。
ライダーが操作スイッチ7によりロービームを選択すると、ECU35は第1ロービームライトモジュール201を点灯させ、第1ハイビームライトモジュール202を消灯させる。すなわち、ロービーム照射時には、ECU35は第1ロービームライトモジュール201のLED21を発光させ、第1ハイビームライトモジュール202のLED21を発光させない。その結果、ヘッドライト10は、図4に示すロービーム用の配光パターンを形成する。
ライダーが操作スイッチ7によりハイビームを選択すると、ECU35は第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202を点灯させる。すなわち、ハイビーム照射時には、ECU35は第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202のLED21を発光させる。その結果、ヘッドライト10は、図6に示すように、第1ロービームライトモジュール11が形成する配光パターンと第1ハイビームライトモジュール202が形成する配光パターンとを合成した配光パターン(以下、合成配光パターンという)を形成する。合成配光パターンはハイビーム用の配光パターンであり、H−H線の近傍に非常に明るい領域135を有する。この明るい領域135は、前述の第1領域111と第2領域112とが重なる領域(図5参照)の一部である。この合成配光パターンは、上記領域135を中心として、その中心から離れるにしたがって照度が低下するように形成されている。この合成配光パターンにより、遠くの路面を明るく照らすことができる。
以上のように、本実施形態に係るヘッドライト10は、上端部にカットオフラインCLを有する配光パターンを形成するレンズ30を備えた第1ロービームライトモジュール201と、第1ロービームライトモジュール201のレンズ30と同一の特性を有するレンズ30を備え、下端部にカットオフラインCLを有する配光パターンを形成するように第1ロービームライトモジュール201と上下反転した姿勢に設置される第1ハイビームライトモジュール202とを備えている。ロービーム照射時には、第1ロービームライトモジュール201のLED21が発光し、かつ、第1ハイビームライトモジュール202のLED21が発光しない。これにより、図4に示すようなロービーム用の配光パターンが形成される。一方、ハイビーム照射時には、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202のLED21が発光し、第1ロービームライトモジュール201による配光パターン(図4参照)と第1ハイビームライトモジュール202による配光パターン(図5参照)とが合成されることにより、図6に示すようなハイビーム用の配光パターンが形成される。よって、ロービームおよびハイビームのそれぞれにおいて、好ましい配光を実現することができる。
第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202は、光源としてLED21を用いるものであり、更に、LED21の上方または下方にレンズ30と別体のリフレクタを設置する必要がないものである。そのため、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202によれば、消費電力の低減および小型化が可能である。加えて、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202のレンズ30の特性は同一であるので、別々の特性を有する複数種類のレンズを準備する必要がない。そのため、部品の共通化により、ヘッドライト10の生産効率を向上させることができる。また、部品の共通化により、ヘッドライト10のコストダウンを達成することができる。
図5に示すように、ヘッドライト10から前方に10m離れた位置に設置されたスクリーンに投射した場合に、第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202からの光により5ルクス以上の照度で照らされる領域をそれぞれ第1領域111、第2領域112としたときに、第2領域112の一部は第1領域111と重なる。第2領域112の他の一部は、第1領域111の上方に位置する。このことにより、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202を点灯したときに、ハイビーム用の配光パターンとしてより好ましい配光パターンを得ることができる。よって、ハイビームにおいて、より好ましい配光を実現することができる。
また、図6に示すように、ヘッドライト10から前方に10m離れた位置に設置されたスクリーンに対し第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202から光を投射した場合に、前記スクリーン上に、第1領域111と第2領域112とが重なる領域の一部(本実施形態では領域135)を中心として、その中心から離れるにしたがって照度が低下するような配光パターンが形成される。このことにより、ハイビーム用の配光パターンとしてより好ましい配光パターンを得ることができる。よって、ハイビームにおいて、より好ましい配光を実現することができる。
図2に示すように、第1ロービームライトモジュール201に対しては、外部電線39からコネクタ部材29の第1コネクタ28および第1電線18を介して、電気が供給される。第1ハイビームライトモジュール202に対しては、外部電線39からコネクタ部材29の第2コネクタ27および第2電線17を介して、電気が供給される。本実施形態に係るヘッドライト10によれば、共通の外部電線39を用いて第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202に電気を供給することができる。そのため、ヘッドライト室15の外部における配線を簡素化することができる。
また、ヘッドライト室15の内部において、第1電線18を第1コネクタ28に接続し、第2電線17を第2コネクタ27に接続するだけで、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202の配線処理を行うことができる。よって、ヘッドライト室15の内部における配線作業を簡素化することができる。
第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202は同一の仕様のライトモジュール100により構成されているので、第1電線18および第2電線17として同一の仕様の電線101を用いることができ、第1コネクタ28および第2コネクタ27として同一の仕様のコネクタ102を用いることができる。よって、部品の共通化により、ヘッドライト10の生産効率を向上させることができる。また、部品の共通化により、ヘッドライト10のコストダウンを達成することができる。
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係るヘッドライト10の正面図である。第1実施形態に係るヘッドライト10と同様、第2実施形態に係るヘッドライト10も自動二輪車1のフロントカウル5に設けられている。ただし、ヘッドライト10が取り付けられる部材は特に限定されない。なお、図7は正面図であるため、図7の左、右は、ライダーから見た右R、左Lにそれぞれ対応する。自動二輪車1の構成は第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
第2実施形態に係るヘッドライト10は、第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204を備えている。
ここでは、ヘッドライト10は、左ライトユニット10Lおよび右ライトユニット10Rを備えている。左ライトユニット10Lは、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202を支持するハウジング(図示せず)と、このハウジングに取り付けられた光を透過させるアウターカバー14Lとを有している。右ライトユニット10Rは、第2ロービームライトモジュール203および第2ハイビームライトモジュール204を支持するハウジングと、このハウジングに取り付けられた光を透過させるアウターカバー14Rとを有している。図7の符号Cは、自動二輪車1の中心線を表す。左ライトユニット10Lは中心線Cの左方に配置され、右ライトユニット10Rは中心線Cの右方に配置されている。左ライトユニット10Lと右ライトユニット10Rとは、左右対称に形成されている。
左ライトユニット10Lと右ライトユニット10Rとは別体である。第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202は、左ライトユニット10Lのハウジングおよびアウターカバー14Lにより形成されるヘッドライト室の内部に配置されている。第2ロービームライトモジュール203および第2ハイビームライトモジュール204は、右ライトユニット10Rのハウジングおよびアウターカバー14Rにより形成されるヘッドライト室の内部に配置されている。ただし、左ライトユニット10Lと右ライトユニット10Rとは一体であってもよい。第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204は、同一のヘッドライト室の内部に配置されていてもよい。
図示は省略するが、左ライトユニット10Lのヘッドライト室内において、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202は、第1実施形態の第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202と同様に配線されている。すなわち、第1ロービームライトモジュール201には、第1電線18が接続されている。第1ハイビームライトモジュール202には、第2電線17が接続されている。ヘッドライト室内において、第1電線18はコネクタ部材29の第1コネクタ28に接続され、第2電線17はコネクタ部材29の第2コネクタ27に接続されている。コネクタ部材29には、外部電線39が接続されている。なお、第1コネクタ28および第2コネクタ27の配置は、車両の前方から見た第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202の配置と同様であってもよい。
同様に、右ライトユニット10Rのヘッドライト室内において、第2ロービームライトモジュール203および第2ハイビームライトモジュール204は、第1実施形態の第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202と同様に配線されている。すなわち、第2ロービームライトモジュール203には、第1電線18が接続されている。第2ハイビームライトモジュール204には、第2電線17が接続されている。ヘッドライト室内において、第1電線18はコネクタ部材29の第1コネクタ28に接続され、第2電線17はコネクタ部材29の第2コネクタ27に接続されている。コネクタ部材29には、外部電線39が接続されている。なお、第1コネクタ28および第2コネクタ27の配置は、車両の前方から見た第2ロービームライトモジュール203および第2ハイビームライトモジュール204の配置と同様であってもよい。
第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204が同一のヘッドライト室の内部に配置される場合、ヘッドライト10は以下の構成を備えていてもよい。すなわち、当該ヘッドライト室には、第1ロービームライトモジュール201に接続された電線が接続されるコネクタと、第1ハイビームライトモジュール202に接続された電線が接続されるコネクタと、第2ロービームライトモジュール203に接続された電線が接続されるコネクタと、第2ハイビームライトモジュール204が接続された電線が接続されるコネクタとを備えるコネクタ部材が配置されていてもよい。この場合、コネクタ部材は、少なくとも一部がヘッドライト室の外部に配置される外部電線に接続される。なお、上記コネクタの配置は、車両の前方から見た第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204の配置と同様であってもよい。
第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204は、同一仕様のライトモジュール100により構成されている。第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204は、同一の特性を有するレンズ30を備えている。
第1ロービームライトモジュール201は、第1実施形態に係るヘッドライト10の第1ロービームライトモジュール201と同様、ロービーム用のライトモジュールである。第1ロービームライトモジュール201は、上端部にカットオフラインを有する配光パターンを形成する。
第1ハイビームライトモジュール202は、第1ロービームライトモジュール201の左斜め上方に配置されている。第1ハイビームライトモジュール202は、第1実施形態に係るヘッドライト10の第1ハイビームライトモジュール202と同様、ハイビーム用のライトモジュールである。第1ハイビームライトモジュール202は、第1ロービームライトモジュール201と上下反転した姿勢に設置されている。そのため、ライトモジュール100の第1部分101、第2部分102は、第1ロービームライトモジュール201ではそれぞれ下部、上部となり、第1ハイビームライトモジュール202ではそれぞれ上部、下部となる。第1ハイビームライトモジュール202は、下端部にカットオフラインを有する配光パターンを形成する。
第2ロービームライトモジュール203は、第1ロービームライトモジュール201の右方に配置されている。第2ロービームライトモジュール203は、ロービーム用のライトモジュールであり、上端部にカットオフラインを有する配光パターンを形成する。第2ロービームライトモジュール203は、第1ロービームライトモジュール201と同様の姿勢で設置されている。第2ロービームライトモジュール203は、第1ロービームライトモジュール201と上下が揃った姿勢に設置されている。そのため、ライトモジュール100の第1部分101、第2部分102は、第1ロービームライトモジュール201においてそれぞれ下部、上部となり、第2ロービームライトモジュール203においてもそれぞれ下部、上部となる。
第2ハイビームライトモジュール204は、第2ロービームライトモジュール203の右斜め上方に配置されている。第2ハイビームライトモジュール204は、第1ハイビームライトモジュール202の右方に配置されている。第2ハイビームライトモジュール204はハイビーム用のライトモジュールであり、第2ロービームライトモジュール203と上下反転した姿勢に設置されている。そのため、ライトモジュール100の第1部分101、第2部分102は、第2ロービームライトモジュール203ではそれぞれ下部、上部となり、第2ハイビームライトモジュール204ではそれぞれ上部、下部となる。第2ハイビームライトモジュール204は、下端部にカットオフラインを有する配光パターンを形成する。
第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204は、ライダーによる操作スイッチ7の操作に応じて、ECU35により制御される。ロービーム照射時には、第1ロービームライトモジュール201および第2ロービームライトモジュール203のLED21が発光し、かつ、第1ハイビームライトモジュール202および第2ハイビームライトモジュール204のLED21は発光しない。ハイビーム照射時には、第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204のLED21が発光する。
図8は、ヘッドライト10から前方に10m離れた位置に設置されたスクリーンに投射した場合に、第1ロービームライトモジュール201からの光により形成される配光パターン、第1ハイビームライトモジュール202からの光により形成される配光パターン、第2ロービームライトモジュール203からの光により形成される配光パターン、および第2ハイビームライトモジュール204からの光により形成される配光パターンを、それぞれ独立して示す図である。線51Lは、第1ロービームライトモジュール201からの光により5ルクスの照度で照らされる点を結んだ線である。線52Lは、第1ハイビームライトモジュール202からの光により5ルクスの照度で照らされる点を結んだ線である。線53Lは、第2ロービームライトモジュール203からの光により5ルクスの照度で照らされる点を結んだ線である。線54Lは、第2ハイビームライトモジュール204からの光により5ルクスの照度で照らされる点を結んだ線である。線51Lの内側の第1領域111、線52Lの内側の第2領域112、線53Lの内側の第3領域113、および線54Lの内側の第4領域114は、照度が5ルクス以上の領域である。
第1領域111と第3領域113とは、少なくとも部分的に重なる。ここでは、第1領域111の中心111cはV−V線の左方に位置し、第3領域113の中心113cはV−V線の右方に位置する。第1領域111と第3領域113とは、部分的に重なるように左右に並んでいる。第1領域111の中心111cは第3領域113と重なっておらず、第3領域113の中心113cは第1領域111と重なっていない。ただし、第1領域111と第3領域113との重なりの態様は、上記態様に限定されない。
第2領域112と第4領域114とは、少なくとも部分的に重なる。ここでは、第2領域112の中心112cはV−V線の左方に位置し、第4領域114の中心114cはV−V線の右方に位置する。第2領域112と第4領域114とは、部分的に重なるように左右に並んでいる。第2領域112の中心112cは第4領域114と重なり、第4領域114の中心114cは第2領域112と重なっている。ただし、第2領域112と第4領域114との重なりの態様は、上記態様に限定されない。第2領域112および第4領域114は、第1領域111の左端111Lよりも右方かつ第3領域113の右端113Rよりも左方に位置する。第2領域112と第4領域114との重なり部分の面積は、第1領域111と第3領域113との重なり部分の面積よりも大きい。
第1領域111と第2領域112とは、少なくとも部分的に重なる。ここでは、第1領域111の中心111cはH−H線の下方に位置し、第2領域112の中心112cはH−H線の上方に位置する。第1領域111と第2領域112とは、部分的に重なるように上下に並んでいる。
第3領域113と第4領域114とは、少なくとも部分的に重なる。ここでは、第3領域113の中心113cはH−H線の下方に位置し、第4領域114の中心114cはH−H線の上方に位置する。第3領域113と第4領域114とは、部分的に重なるように上下に並んでいる。
第1領域111と第4領域114とは、少なくとも部分的に重なる。ここでは、第1領域111と第4領域114とは、部分的に重なるように上下に並んでいる。また、第3領域113と第2領域112とは、少なくとも部分的に重なる。ここでは、第3領域113と第2領域112とは、部分的に重なるように上下に並んでいる。
また、第1領域111の一部、第2領域112の一部、第3領域113の一部、および第4領域114の一部は、重なっている。本実施形態では、第1領域111の一部、第2領域112の一部、第3領域113の一部、および第4領域114の一部は、H−H線とV−V線との交点の近傍において重なっている。
第1〜第4領域111〜114が上記のように設定されていることにより、第1〜第4領域111〜114が重なる部分は、第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204を同時に点灯させたときに、最も明るい部分となる。また、第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204を同時に点灯させたときに、上方の領域は下方の領域よりも明るいが、上方の領域は下方の領域よりも配光の範囲が狭くなる。
以上のように、本実施形態に係るヘッドライト10によれば、ロービーム照射時には第1ロービームライトモジュール201および第2ロービームライトモジュール203のLED21が発光することにより、第1ロービームライトモジュール201により形成される配光パターン(図8の第1領域111参照)と、第2ロービームライトモジュール203により形成される配光パターン(図8の第3領域113参照)とが合成される。その結果、ロービーム用の配光パターンが形成される。本実施形態によれば、ロービーム照射時に、近くの路面を左右の広範囲にわたって照射することができる。本実施形態に係るヘッドライト10によれば、より好適なロービーム用配光パターンを形成することができる。よって、ロービームにおいて、より好ましい配光を実現することができる。
ハイビーム照射時には、第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204のLED21が発光することにより、第1ロービームライトモジュール201により形成される配光パターン(図8の第1領域111参照)と、第1ハイビームライトモジュール202により形成される配光パターン(図8の第2領域112参照)と、第2ロービームライトモジュール203により形成される配光パターン(図8の第3領域113参照)と、第2ハイビームライトモジュール204により形成される配光パターン(図8の第4領域114参照)とが合成される。その結果、ハイビーム用の配光パターンが形成される。本実施形態によれば、ハイビーム照射時に、近くの路面を左右の広範囲にわたって照射しながら、遠くの路面を非常に明るく照射することができる。本実施形態に係るヘッドライト10によれば、より好適なハイビーム用配光パターンを形成することができる。よって、ハイビームにおいて、より好ましい配光を実現することができる。
以上のように、本実施形態に係るヘッドライト10によれば、同一仕様の直射型のライトモジュール100からなる第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204により、より好適なロービーム用およびハイビーム用の配光パターンを形成することができ、ロービームおよびハイビームのそれぞれにおいて、より好ましい配光を実現することができる。したがって、消費電力の低減および小型化が可能であり、ハイビームおよびロービームでそれぞれ好ましい配光を実現でき、更に、部品の共通化によりヘッドライト10の生産効率を向上させることができる。また、部品の共通化により、ヘッドライト10のコストダウンを達成することができる。
なお、本実施形態に係る第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204の配置は一例に過ぎず、それらの配置は特に限定されない。
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係るヘッドライト10の正面図である。第1実施形態に係るヘッドライト10と同様、第3実施形態に係るヘッドライト10も自動二輪車1のフロントカウル5に設けられている。ただし、ヘッドライト10が取り付けられる部材は特に限定されない。自動二輪車1の構成は第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
第3実施形態に係るヘッドライト10は、第2実施形態に係るヘッドライト10と同様、第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204を備えている。第3実施形態に係るヘッドライト10は、更に、第1左補助ライトモジュール205、第1右補助ライトモジュール206、第2左補助ライトモジュール207、第2右補助ライトモジュール208、第3左補助ライトモジュール209、および第3右補助ライトモジュール210を備えている。
ヘッドライト10は、左ライトユニット10Lおよび右ライトユニット10Rを備えている。左ライトユニット10Lは、第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、および第3左補助ライトモジュール209を支持するハウジング(図示せず)と、このハウジングに取り付けられた光を透過させるアウターカバー14Lとを有している。右ライトユニット10Rは、第2ロービームライトモジュール203、第2ハイビームライトモジュール204、第1右補助ライトモジュール206、第2右補助ライトモジュール208、および第3右補助ライトモジュール210を支持するハウジングと、このハウジングに取り付けられた光を透過させるアウターカバー14Rとを有している。図7の符号Cは、自動二輪車1の中心線を表す。左ライトユニット10Lは中心線Cの左方に配置され、右ライトユニット10Rは中心線Cの右方に配置されている。左ライトユニット10Lと右ライトユニット10Rとは、左右対称に形成されている。
左ライトユニット10Lと右ライトユニット10Rとは別体である。第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、および第3左補助ライトモジュール209は、左ライトユニット10Lのハウジングおよびアウターカバー14Lにより形成されるヘッドライト室の内部に配置されている。第2ロービームライトモジュール203、第2ハイビームライトモジュール204、第1右補助ライトモジュール206、第2右補助ライトモジュール208、および第3右補助ライトモジュール210は、右ライトユニット10Rのハウジングおよびアウターカバー14Rにより形成されるヘッドライト室の内部に配置されている。ただし、左ライトユニット10Lと右ライトユニット10Rとは一体であってもよい。第1〜第3右補助ライトモジュール201〜210は、同一のヘッドライト室の内部に配置されていてもよい。
ライトモジュール201〜210は、同一仕様のライトモジュール100により構成されている。したがって、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、第2ハイビームライトモジュール204、第1左補助ライトモジュール205、第1右補助ライトモジュール206、第2左補助ライトモジュール207、第2右補助ライトモジュール208、第3左補助ライトモジュール209、および第3右補助ライトモジュール210は、第1ロービームライトモジュール201と同一の仕様を有している。ライトモジュール201〜210は、同一の特性を有するレンズ30を備えている。
第1ロービームライトモジュール201は、第1実施形態に係るヘッドライト10の第1ロービームライトモジュール201と同様、ロービーム用のライトモジュールである。第1ロービームライトモジュール201は、上端部に左右方向に延びるカットオフラインを有する配光パターンを形成する。
第1ハイビームライトモジュール202は、第1ロービームライトモジュール201の左斜め上方に配置されている。第1ハイビームライトモジュール202は、第1実施形態に係るヘッドライト10の第1ハイビームライトモジュール202と同様、ハイビーム用のライトモジュールである。第1ハイビームライトモジュール202は、第1ロービームライトモジュール201と上下反転した姿勢に設置されている。そのため、第1ハイビームライトモジュール202は、下端部に左右方向に延びるカットオフラインを有する配光パターンを形成する。
自動二輪車1は、左折時および右折時に乗員により傾けられる形式の車両の一例である。乗員は、左折時には自動二輪車1を左方に傾け、右折時には自動二輪車1を右方に傾ける。ただし、左折時および右折時に傾けられる形式の車両は、自動二輪車に限定される訳ではない。本発明に係る車両は、左折時および右折時に傾けられる形式の車両のうち、自動二輪車以外の車両であってもよい。
第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、および第3左補助ライトモジュール209は、自動二輪車1が左折のために左方に傾いたときに点灯する補助灯である。第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、および第3左補助ライトモジュール209は、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202の上方に配置されている。第1右補助ライトモジュール206、第2右補助ライトモジュール208、および第3右補助ライトモジュール210は、自動二輪車1が右折のために右方に傾いたときに点灯する補助灯である。第1右補助ライトモジュール206、第2右補助ライトモジュール208、および第3右補助ライトモジュール210は、第2ロービームライトモジュール203および第2ハイビームライトモジュール204の上方に配置されている。第2ロービームライトモジュール203は、中心線Cを境として第1ロービームライトモジュール201と左右対称に配置されている。第2ハイビームライトモジュール204は、中心線Cを境として第1ハイビームライトモジュール202と左右対称に配置されている。第1右補助ライトモジュール206は、中心線Cを境として第1左補助ライトモジュール205と左右対称に配置されている。第2右補助ライトモジュール208は、中心線Cを境として第2左補助ライトモジュール207と左右対称に配置されている。第3右補助ライトモジュール210は、中心線Cを境として第3左補助ライトモジュール209と左右対称に配置されている。ただし、上記ライトモジュール201〜210の配置は特に限定されない。
図10は、左ライトユニット10Lのライトモジュール、すなわち、第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、および第3左補助ライトモジュール209の正面図である。第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、および第3左補助ライトモジュール209は、それぞれ上端部に左斜め上向きに延びるカットオフラインを有する配光パターンを形成するように、第1ロービームライトモジュール201の設置姿勢に比べて右方に傾いた姿勢で設置されている。なお、図10は正面図であるため、ライダーから見た左L、右Rは、図10ではそれぞれ右、左となる。そのため、図10では、第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、および第3左補助ライトモジュール209は、第1ロービームライトモジュール201に比べて左方に傾いている。
ここで、図10に示すように前方から見て、ライトモジュール100の中心をPとする。第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、第3左補助ライトモジュール209において、中心Pから鉛直上向きに延びる直線に対し、中心Pから第2部分102に向かう直線がなす角を、それぞれθ1、θ2、θ5、θ7、θ9とする。第1ハイビームライトモジュール202は第1ロービームライトモジュール201と上下反転した姿勢に設置されているので、θ1=0°、θ2=180°である。第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、第3左補助ライトモジュール209は、第1ロービームライトモジュール201に比べて右方に傾いており、θ1<θ5<θ7<θ9<θ2である。第2左補助ライトモジュール207は第1左補助ライトモジュール205よりも右方に傾いており、第3左補助ライトモジュール209は第2左補助ライトモジュール207よりも右方に傾いている。
第2実施形態と同様、第3実施形態においても、第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204は、ライダーによる操作スイッチ7の操作に応じて、ECU35により制御される。ロービーム照射時には、第1ロービームライトモジュール201および第2ロービームライトモジュール203のLED21が発光し、かつ、第1ハイビームライトモジュール202および第2ハイビームライトモジュール204のLED21は発光しない。ハイビーム照射時には、第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、および第2ハイビームライトモジュール204のLED21が発光する。
自動二輪車1は図示しない傾斜センサを備えている。ECU35は、傾斜センサにより検出される自動二輪車1の傾倒角度に応じて、補助ライトモジュール205〜210を制御する。詳しくは、自動二輪車1が左方に第1角度以上傾くと、第1左補助ライトモジュール205のLED21が発光する。自動二輪車1が左方に第1角度よりも大きな第2角度以上傾くと、第2左補助ライトモジュール207のLED21が発光する。自動二輪車1が左方に第2角度よりも大きな第3角度以上傾くと、第3左補助ライトモジュール209のLED21が発光する。自動二輪車1が右方に第1角度以上傾くと、第1右補助ライトモジュール206のLED21が発光する。自動二輪車1が左方に第2角度以上傾くと、第2右補助ライトモジュール208のLED21が発光する。自動二輪車1が左方に第3角度以上傾くと、第3右補助ライトモジュール210のLED21が発光する。なお、第1角度、第2角度、および第3角度は、予め定められた角度であり、適宜に設定することができる。
図11に示すように、ヘッドライト10は、左ライトユニット10Lのヘッド室内に配置されたコネクタ部材29Lと、右ライトユニット10Rのヘッド室内に配置されたコネクタ部材29Rとを備えている。なお、図11では、コネクタ部材29Lおよび29Rを左右に並べて図示している。
左ライトユニット10Lのヘッドライト室内において、第1ロービームライトモジュール201には第1電線18が接続され、第1ハイビームライトモジュール202には第2電線17が接続されている。更に、左ライトユニット10Lのヘッドライト室内において、第1左補助ライトユニット205には第1補助電線81が接続され、第2左補助ライトユニット207には第2補助電線82が接続され、第3左補助ライトユニット209には第3補助電線83が接続されている。コネクタ部材29Lは、第1コネクタ28および第2コネクタ27に加え、第1補助コネクタ91と、第2補助コネクタ92と、第3補助コネクタ93とを備えている。左ライトユニット10Lのヘッドライト室内において、第1補助電線81は第1補助コネクタ91に接続され、第2補助電線82は第2補助コネクタ92に接続され、第3補助電線83は第3補助コネクタ93に接続されている。
同様に、右ライトユニット10Rのヘッドライト室内において、第2ロービームライトモジュール203には第1電線18が接続され、第2ハイビームライトモジュール204には第2電線17が接続されている。更に、右ライトユニット10Rのヘッドライト室内において、第1右補助ライトユニット206には第1補助電線81が接続され、第2右補助ライトユニット208には第2補助電線82が接続され、第3右補助ライトユニット210には第3補助電線83が接続されている。コネクタ部材29Rは、第1コネクタ28および第2コネクタ27に加え、第1補助コネクタ91と、第2補助コネクタ92と、第3補助コネクタ93とを備えている。右ライトユニット10Rのヘッドライト室内において、第1補助電線81は第1補助コネクタ91に接続され、第2補助電線82は第2補助コネクタ92に接続され、第3補助電線83は第3補助コネクタ93に接続されている。
図11に示すように、コネクタ部材29Lにおける第1コネクタ28、第2コネクタ27、第1補助コネクタ91、第2補助コネクタ92、および第3補助コネクタ93の配置は、車両の前方から見た第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、および第3左補助ライトモジュール209の配置と同様である。また、コネクタ部材29Rにおける第1コネクタ28、第2コネクタ27、第1補助コネクタ91、第2補助コネクタ92、および第3補助コネクタ93の配置は、車両の前方から見た第2ロービームライトモジュール203、第2ハイビームライトモジュール204、第1右補助ライトモジュール206、第2右補助ライトモジュール208、および第3右補助ライトモジュール210の配置と同様である。
図12は、ヘッドライト10から前方に10m離れた位置に設置されたスクリーンに投射した場合に、ライトモジュール201〜210からの光により形成される配光パターンをそれぞれ独立して示す図である。線51L、52L、53L、54L、55L、56L、57L、58L、59L、60Lは、それぞれ第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第2ロービームライトモジュール203、第2ハイビームライトモジュール204、第1左補助ライトモジュール205、第1右補助ライトモジュール206、第2左補助ライトモジュール207、第2右補助ライトモジュール208、第3左補助ライトモジュール209、第3右補助ライトモジュール210からの光により5ルクスの照度で照らされる点を結んだ線である。図12に示すように、第1ロービームライトモジュール201が形成する配光パターンのカットオフラインCL1は左右方向に延び、第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、および第3左補助ライトモジュール209が形成する配光パターンのカットオフラインCL5、CL7、CL9(以下、それぞれ第5、第7、第9カットオフラインという)は、左斜め上向きに延びる。水平線に対する傾きは、第5カットオフラインCL5、第7カットオフラインCL7、第9カットオフラインCL9の順に大きくなっている。また、図12に示すように、第2ロービームライトモジュール201が形成する配光パターンのカットオフラインCL3は左右方向に延び、第1右補助ライトモジュール206、第2右補助ライトモジュール208、および第3右補助ライトモジュール210が形成する配光パターンのカットオフラインCL6、CL8、CL10(以下、それぞれ第6、第8、第10カットオフラインという)は、右斜め上向きに延びる。水平線に対する傾きは、第6カットオフラインCL6、第8カットオフラインCL8、第10カットオフラインCL10の順に大きくなっている。
図13は、上記ライトモジュール201〜210からの光により形成される上記配光パターンを合成したときの配光パターンの図である。第2実施形態と同様、本実施形態に係るヘッドライト10においても、ロービーム照射時に、近くの路面を左右の広範囲にわたって照射することができる。ハイビーム照射時に、近くの路面を左右の広範囲にわたって照射しながら、遠くの路面を非常に明るく照射することができる。更に、本実施形態に係るヘッドライト10によれば、自動二輪車1が左方に傾いたときに、左方のより広い範囲を照射することができる。また、自動二輪車1が右方に傾いたときに、右方のより広い範囲を照射することができる。よって、自動二輪車1によれば、十分な視認性を確保しながら左折および右折することができる。
以上のように、本実施形態に係るヘッドライト10によれば、第1ロービームライトモジュール201と同一の仕様を有する第1左補助ライトモジュール205を備えている。第1ロービームライトモジュール201と第1左補助ライトモジュール205とは、同一の特性を有するレンズ30を備えている。第1左補助ライトモジュール205は、上端部に左斜め上向きに延びるカットオフラインCL5を有する配光パターンを形成するように、第1ロービームライトモジュール201の設置姿勢に比べて右方に傾いた姿勢に設置されている。第1左補助ライトモジュール205のLED21は、自動二輪車1が左方に傾いたときに発光するように構成されている。これにより、自動二輪車1が左折のために左方に傾いたときに、左方の広い範囲を照射することができるので、十分な視認性を確保しながら左折することができる。左折時に、より好ましい配光を実現することができる。
また、本実施形態に係るヘッドライト10によれば、第1ロービームライトモジュール201と同一の仕様を有する第1右補助ライトモジュール206を備えている。第1ロービームライトモジュール201と第1右補助ライトモジュール206とは、同一の特性を有するレンズ30を備えている。第1右補助ライトモジュール206は、上端部に右斜め上向きに延びるカットオフラインCL6を有する配光パターンを形成するように、第1ロービームライトモジュール201の設置姿勢に比べて左方に傾いた姿勢に設置されている。第1右補助ライトモジュール206のLED21は、自動二輪車1が右方に傾いたときに発光するように構成されている。これにより、自動二輪車1が右折のために右方に傾いたときに、右方の広い範囲を照射することができるので、十分な視認性を確保しながら右折することができる。右折時に、より好ましい配光を実現することができる。
また、本実施形態に係るヘッドライト10によれば、コネクタ部材29Lにおける第1コネクタ28および第2コネクタ27の配置は、車両の前方から見た第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202の配置と同様である。よって、第1ロービームライトモジュール201および第1ハイビームライトモジュール202の配置を参照することにより、第1電線18を第1コネクタ28に接続する作業および第2電線17を第2コネクタ27に接続する作業を正確に行いやすくなる。
同様に、コネクタ部材29Rにおける第1コネクタ28および第2コネクタ27の配置は、車両の前方から見た第2ロービームライトモジュール203および第2ハイビームライトモジュール204の配置と同様である。よって、第2ロービームライトモジュール203および第2ハイビームライトモジュール204の配置を参照することにより、第1電線18を第1コネクタ28に接続する作業および第2電線17を第2コネクタ27に接続する作業を正確に行いやすくなる。
更に、本実施形態に係るヘッドライト10によれば、左ライトユニット10Lのコネクタ部材29Lにおける第1コネクタ28、第2コネクタ27、第1補助コネクタ91、第2補助コネクタ92、および第3補助コネクタ93の配置は、車両の前方から見た第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、および第3左補助ライトモジュール209の配置と同様である。よって、第1ロービームライトモジュール201、第1ハイビームライトモジュール202、第1左補助ライトモジュール205、第2左補助ライトモジュール207、および第3左補助ライトモジュール209の配置を参照することにより、第1電線18を第1コネクタ28に接続する作業、第2電線17を第2コネクタ27に接続する作業、第1補助電線81を第1補助コネクタ91に接続する作業、第2補助電線82を第2補助コネクタ92に接続する作業、および第3補助電線83を第3補助コネクタ93に接続する作業を正確に行いやすくなる。
同様に、右ライトユニット10Rのコネクタ部材29Rにおける第1コネクタ28、第2コネクタ27、第1補助コネクタ91、第2補助コネクタ92、および第3補助コネクタ93の配置は、車両の前方から見た第2ロービームライトモジュール203、第2ハイビームライトモジュール204、第1右補助ライトモジュール206、第2右補助ライトモジュール208、および第3右補助ライトモジュール210の配置と同様である。よって、第2ロービームライトモジュール203、第2ハイビームライトモジュール204、第1右補助ライトモジュール206、第2右補助ライトモジュール208、および第3右補助ライトモジュール210の配置を参照することにより、第1電線18を第1コネクタ28に接続する作業、第2電線17を第2コネクタ27に接続する作業、第1補助電線81を第1補助コネクタ91に接続する作業、第2補助電線82を第2補助コネクタ92に接続する作業、および第3補助電線83を第3補助コネクタ93に接続する作業を正確に行いやすくなる。
(他の実施形態)
図3に示すように、前記各実施形態のライトモジュール100は、LED21からの光がレンズ30に直接入射し、入射した光がレンズ30内で反射されることなくレンズ30を透過し、レンズ30の外に出射されるように構成されている。ライトモジュール100は、直射型のライトモジュールである。しかし、本発明に係るライトモジュールは直射型のライトモジュール100に限定されない。図14に示すように、ライトモジュール100Aは、LED21からの光がレンズ130に直接入射し、入射した光の一部がレンズ130内で反射されてからレンズ130の外に出射されるように構成されていてもよい。
ライトモジュール100Aは、前方に向かって光を出射するLED21と、LED21の前方に配置されたレンズ130とを備える。レンズ130は、前方に面した表面131と、LED21に対向する裏面132と、側面133とを有する。その他の構成は前記各実施形態のライトモジュール100と同様であるので、同様の符号を付し、その説明は省略する。
LED21から裏面132を通じてレンズ130内に入射した光の一部は、側面133により反射され、表面131からレンズ130の外に出射される。このようなライトモジュール100Aであっても、LED21の上方または下方に、レンズ130と別体のリフレクタを設ける必要がない。そのため、ライトモジュール100Aの上下寸法を抑えることができ、ヘッドライト10の小型化を促進することができる。
ヘッドライト10のライトモジュール100の個数は、第1実施形態では2個、第2実施形態では4個、第3実施形態では10個であるが、ヘッドライト10のライトモジュール100の個数は特に限定されない。
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。