以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず本実施の形態の室外ユニットの構成、および当該室外ユニットと室内ユニットとを含む空気調和機の構成について図1を用いて説明する。図1を参照して、実施の形態1における空気調和機1は、室外ユニット10と室内ユニット20とを備えている。室外ユニット10は、熱交換器30と、熱交換器30を取り囲み収納するように配置されたケーシングとしての室外機カバー40とを備えている。一方、室内ユニット20は、熱交換器50と、熱交換器50を取り囲むように配置された室内機カバー60とを備えている。そして、室外ユニット10の熱交換器30と室内ユニット20の熱交換器50とは、冷媒を導通させる冷媒管70により接続されている。以降においては主に室外ユニット10について説明する。
図2を参照して、室外ユニット10の室外機カバー40は、室外ユニット10を設置したときに底面部となるベース板40aと、室外ユニット10の前面部となるフロントパネル40bと、室外ユニット10の側面部および背面部となるサイドパネル40cと、室外ユニット10の天面部となる天板40dとを有する筐体である。また室外機カバー40は、吸い込み口41および吸い出し口42を有している。吸い込み口41は室外ユニット10の外側から室外ユニット10の内側(室外機カバー40の内側)へ空気を吸い込む役割を有し、吸い出し口42は室外ユニット10の内側(室外機カバー40の内側)から室外ユニット10の外側へ空気を追い出す役割を有している。図2においては吸い出し口41は室外機カバー40のサイドパネル40cの特に室外ユニット10の背面部の中央に矩形状の切欠き部として形成されており、吸い出し口42は室外機カバー40のフロントパネル40bの中央に円形の切欠き部として形成されている。
室外機カバー40内は、仕切り板45を境界として、通風領域R1と機械室R2とに区画されている。このうち、通風領域R1は吸い込み口41から室外機カバー40内に取り込まれた空気の、吸い出し口42までの流路となる領域である。このため吸い込み口41は空気の通風領域R1への入り口として形成され、吸い出し口42は空気の通風領域R1からの出口として形成されると言い換えることができる。
吸い出し口42と平面視において重なるように、すなわちフロントパネル40bに形成された吸い出し口42と対向するように、フロントパネル40bの周辺にはファン43が取り付けられている。ファン43はいわゆる軸流ファンであり、複数(たとえば5枚)の羽根43aと、ファン43の中央部に設けられた羽根43aの回転軸としてのボス43bと、ボス43bに内蔵されたファンモータ43cとを有している。
言い換えれば羽根43aはボス43bの外周部に設けられている。個々の羽根43aは、ファンモータ43cにより、ボス43bを中心として回転する。本実施の形態においては、複数の羽根43aのそれぞれの回転方向に関する幅を狭くし、かつ羽根43aの枚数を多くすることにより、個々の羽根43aの回転軸に沿う方向の厚みをなるべく薄くすることが好ましい。ファン43の羽根43aが回転することにより、室外機カバー40外の空気が吸い込み口41から室外機カバー40内に送り込まれ、かつ室外機カバー40内の空気がたとえば吸い出し口42から室外機カバー40(通風領域R1)の外側へ放出される。
吸い出し口42の外周部には、ファン43の外周部を取り囲むようにベルマウス44が形成されている。ベルマウス44は空気を吸い込む側(吸い込み口41側すなわち室外機カバー40の背面側)においてその幅が広くなるように配置されている。
通風領域R1内には熱交換器30が載置されており、この熱交換器30は、通風領域R1内のベース板40aに固定されている。
熱交換器30は、複数(たとえば4つ)の熱交換部30a,30b,30c,30dを有している。次に図3および図4を用いて、熱交換器30を構成する熱交換部30a〜30dの構成について詳細に説明する。
図3を参照して、たとえば本実施の形態の熱交換部30aは、フィンアンドチューブ型の熱交換部であり、複数枚の平板状部材としてのフィン31および、冷媒流路としての多列配管32を有する。
フィン31は、平面視における長手方向の寸法がa、上記長手方向に直交する短手方向の長さがbである薄い矩形状の平板形状を有している。フィン31は、熱伝導性に優れた板材、たとえば、アルミニウム板から形成されている。複数枚のフィン31が、図3中の矢印に示す一方向に関して互いに間隔をあけて等間隔に配列されることにより平板形状(直方体状)の熱交換部30a〜30dが形成される。
したがってフィン31の平面視における長手方向の長さaは熱交換部30a〜30dのそれぞれの全体としての長手方向の長さaに等しい。同様にフィン31の平面視における短手方向の長さbは熱交換部30a〜30dのそれぞれの全体としての短手方向の長さbに等しい。また互いに間隔をあけて等間隔に配置される複数枚のフィン31のうち一方の最端部のフィン31とその反対側の他方の最端部のフィン31との距離は、熱交換部30a〜30dのそれぞれの全体としての水平方向に沿う寸法c(積み幅長)である。熱交換部30a〜30dの寸法a,b,cについて、上記の定義を元に以下において記述している。
多列配管32は、熱伝導性に優れた管部材から形成されており、その内部には冷媒が流通可能である。多列配管32は、複数枚のフィン31を貫きながら延びている。多列配管32は、フィン31に直交する仮想平面内で延伸するように配索されている。本実施の形態では、多列配管32が、熱交換部30aの短手方向bに2列に渡って設けられている。
図4を参照して、多列配管32は、上記の仮想平面内において、一定の厚みtを有する複数枚のフィン31を貫きながら一方向に延びる直線状区間32aと、U字状に反転する屈曲区間32bとを有している。多列配管32は、ある直線状区間32aにおいて図4の右方から左方(積み幅長cの方向)に向けて伸び、複数枚のフィン31のうち最も図4の左側のフィン31を貫通したところで屈曲区間32bにより屈曲される。そして次の直線状区間32aにおいて図4の左方から右方(積み幅長cの方向)に向けて伸び、複数枚のフィン31のうち最も図4の右側のフィン31を貫通したところで屈曲区間32bにより再び屈曲される。そして次の直線状区間32aにおいて再度図4の右方から左方に向けて伸びる。多列配管32は、基本的に以上を繰り返すように、複数枚のフィン31が並ぶ領域を複数回往復する構成を有している。また後述するように、多列配管32は、たとえばある熱交換部30aとこれに隣接する他の熱交換部30bとの双方が共有するように形成されていてもよい。たとえば熱交換部30aのフィン31を貫通する多列配管32が、熱交換部30bの方へ伸び、さらに熱交換部30bのフィン31を貫通する構成を有していてもよい。
なお以上においては熱交換部30aについて図示および説明しているが、熱交換部30b〜30dについても熱交換部30aと基本的に同様の構成および機能を有している。
次に上記の室外ユニット10の動作原理を説明する。なおここでは空気調和機1が暖房として用いられた場合について説明する。
再度図2を参照して、ファン43が回転することにより、室外ユニット10の外の空気が、吸い込み口41から室外機カバー40の通風領域R1内に取り込まれる流れ(風)が生じる。この空気の流れは吸い込み口41の前方に配置された、複数の熱交換部30a〜30dのそれぞれを構成する複数のフィン31の間に挟まれた領域(図3中の矢印に示す一方向に関して隣り合う1対のフィン31の間に設けられた隙間)を通り抜ける。そして当該空気の流れは、ファン43の円周方向に関して隣り合う任意の1対の羽根43aの隙間から吸い出し口42を通って通風領域R1の外に放出される。すなわちファン43の回転により、ベース板40a、フロントパネル40b、サイドパネル40c、天板40dおよび仕切り板45により囲まれる通風領域R1には以上のような空気の風路が形成される。
空気が熱交換部30a〜30dを構成する複数のフィン31の間を通る際に、その空気が、熱交換部30a〜30dの複数のフィン31を貫通する多列配管32内を流れる(たとえば液相の)冷媒と接触する。これにより冷媒が空気(外気)の熱を受けることにより、空気と冷媒との間で熱交換がなされる。冷媒が受けた熱は暖房しようとする室内に放出される。
昇温により気化された冷媒は、室外機カバー40内の機械室R2のベース板40a上に固定された圧縮機46により圧縮され再度液相となることにより、室外ユニット内および(室内ユニットを含む)空気調和機1内を循環する。以上が室外ユニット10の動作原理である。
ここで図2および図5を参照して、熱交換部30a〜30dのそれぞれは、全体的に見て平板形状を有しており、室外機カバー40内において互いに積層されるように配置されている。
具体的には、通風領域R1内の鉛直方向に関する最下部には、熱交換部30dがベース板40aに固定されている。鉛直方向に関して熱交換部30dの上側に隣接するように、熱交換部30cが配置されている。鉛直方向に関して熱交換部30cの上側に隣接するように熱交換部30bが、鉛直方向に関して熱交換部30bの上側に隣接するように熱交換部30aが、それぞれ配置されている。
熱交換部30a〜30dのそれぞれは、互いに自らと、鉛直方向に関して自らに隣接する熱交換部との間に、いわゆるジグザグ形状を形成するように配置されている。すなわち、図2および図5を参照して、熱交換部30a〜30dのうちの任意の1つである第1の熱交換部の鉛直方向に関する上端部が第1の熱交換部の鉛直方向に関する下端部よりも室外機カバー40内における内側に配置され、上記第1の熱交換部と鉛直方向に関して隣接する第2の熱交換部の鉛直方向に関する上端部が第2の熱交換部の鉛直方向に関する下端部よりも室外機カバー40内における外側に配置される。第1の熱交換部と定義される熱交換部30b,30dと、第2の熱交換部と定義される熱交換部30a,30cとは、鉛直方向に関して傾斜する方向が互いに反対になっている。
熱交換部30a〜30dはその長手方向aに関して、厳密な重力の方向よりもやや傾斜した方向に延在する。そこでここでは鉛直方向とは、重力とは重力の方向と厳密に一致する方向に限らず、重力の方向から若干傾いた方向を含むものとする。同様に後述の水平方向とは、重力の方向に対して厳密に垂直な方向に限らず、当該厳密に垂直な方向から若干傾いた方向を含むものとする。
図5を参照して、具体的にはたとえば熱交換部30b(第1の熱交換部)はその上端部31aが下端部31bよりも室外機カバー40内における内側(室外機カバー40の背面部のサイドパネル40cと反対側)に配置されるように、鉛直方向に対して図5に示す長手方向aがやや傾くように延在している。また熱交換部30aと鉛直方向に関して隣接する(熱交換部30aの上側に隣接する)熱交換部30a(第2の熱交換部)は、その上端部31aが下端部31bよりも室外機カバー40内の外側(室外機カバー40の背面部のサイドパネル40c側)に配置されるように、鉛直方向に対して図5に示す長手方向aがやや傾くように延在している。熱交換部30b(第1の熱交換部)とこれに隣接する熱交換部30c(第2の熱交換部)との間、および熱交換部30d(第1の熱交換部)とこれに隣接する熱交換部30c(第2の熱交換部)との間においても上記と同様の関係が成り立っている。
なおここで、上端部が下端部よりも室外機カバー40内における「外側」に配置されるとは、上端部が下端部よりも室外機カバー40の外壁に相当するベース板40a、フロントパネル40b、サイドパネル40c、天板40dとの距離が短いことを意味する。同様に、上端部が下端部よりも室外機カバー40内における「内側」に配置されるとは、上端部が下端部よりも室外機カバー40の外壁に相当するベース板40a、フロントパネル40b、サイドパネル40c、天板40dとの距離が短いことを意味する。ここでは特に、「内側」に配置されるとは、熱交換部30bの上端部31aが下端部31bよりも室外機カバー40のサイドパネル40cとの距離が長い領域に配置されることを意味している。
さらに図5を参照して、第1の熱交換部としての熱交換部30bの複数のフィン31の平面視における長手方向の長さa(図3における長さaと同じ)は、第2の熱交換部としての熱交換部30aの複数のフィン31の平面視における長手方向の長さa(図3における長さaと同じ)よりも短くなっている。また基本的に熱交換部30a〜30dはいずれも、複数のフィン31の配置される数および配置される間隔がほぼ等しくなっているため、熱交換部30a〜30dの積み幅長cはいずれもほぼ等しくなっている。
したがって熱交換部30b(第1の熱交換部)を構成する複数のフィン31の、室外機カバー40の背面部に最も近い端部同士を結んでできる平面S1(第1の面)は、熱交換部30a(第2の熱交換部)を構成する複数のフィン31の、室外機カバー40の背面部に最も近い端部同士を結んでできる平面S2(第2の面)よりも面積が小さくなっている。熱交換部30b(第1の熱交換部)とこれに隣接する熱交換部30c(第2の熱交換部)との間、および熱交換部30d(第1の熱交換部)とこれに隣接する熱交換部30c(第2の熱交換部)との間においても上記と同様の関係が成り立っている。
また図5においては、第1の熱交換部と第2の熱交換部とが同数(2つ)ずつ配置されている。このことと上記の面積の関係とから、第1の熱交換部30b,30dの第1の面S1の面積の和は、第2の熱交換部30a,30cの第2の面S2の面積の和と上記第1の面S1の面積の和との総和の半分未満であるといえる。
図2および図5においては、たとえば熱交換部30aの下端部31bとこれに隣接する熱交換部30bの上端部31aとは、下端部31bと上端部31aとのなす平面がたとえば互いに直交することにより、フィン31の長手方向に関する屈曲部を形成している。しかしこの屈曲部はこのような構成に限らず、たとえば滑らかな曲線状の部分を含む形状であってもよい。
次に図6の比較例を参照しながら、本実施の形態の作用効果を説明する。
図6を参照して、比較例の室外ユニット10は、本実施の形態の室外ユニット10と基本的に同様の構成を有している。しかし比較例の室外ユニット10は、4つの熱交換部30a〜30dのすべてが長手方向の寸法aが等しくなっている点において、熱交換部30b,30dの長手方向の寸法aが熱交換部30a,30cの同寸法aに比べて短い本実施の形態の室外ユニット10と異なっている。なお、これ以外の比較例の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
図6の比較例の場合、熱交換部30b,30dのフィン31により形成される第1の面S1の面積と、熱交換部30a,30cのフィン31により形成される第2の面S2の面積とはほぼ等しくなる。
ここで熱交換部30a,30cは上端部31aが下端部31bよりも室外機カバ−40の外側に配置されることから、室外機カバー40の外側を向く第2の面S2は鉛直下方(ベース板40a側)を向く。このため、たとえば降雪時に吸い込み口41から風とともに雪が進入した場合においても、第2の面S2上には積雪しにくい。これに対し、熱交換部30b,30dは上端部31aが下端部31bよりも室外機カバ−40の内側に配置されることから、室外機カバー40の外側を向く第1の面S1は鉛直上方(天板40d側)を向く。このため、たとえば降雪時に吸い込み口41から風とともに雪が進入すれば、第1の面S1上に積雪するなど雪が付着しやすくなる。第1の面S1に雪が付着すれば、複数のフィン31に挟まれた領域に雪が積もり(付着し)、当該領域が雪に塞がれて当該領域に空気が流れることが阻まれる。
そこで本実施の形態の図5においては、熱交換部30b,30dのフィン31の平面視における長手方向の寸法aを熱交換部30a,30cのフィン31の長手方向の寸法aよりも短くすることにより、個々の第1の面S1の面積が個々の第2の面S2よりも面積が小さくなるようにしている。
このようにすれば、降雪時に熱交換部30b,30dのフィン31が作る面S1すなわち積雪領域PURの面積が比較的小さくなる。したがって複数のフィン31に挟まれた領域が積もった(付着した)雪に塞がれることにより通気性が低下する領域を少なくすることができる。このため、熱交換器30全体としては上記の積雪による熱交換器30の通気性の低下を抑制することができる。
上記のように降雪時における熱交換部30bの通気性の低下が抑制できるため、ファン43の駆動入力を意図的に増加させる必要がなくなり、消費電力の増加を抑制することができる。また降雪時においても熱交換器30における熱交換が可能な領域を十分に確保することができるため、室外ユニット10の熱交換の性能低下を抑制することもできる。
次に、本実施の形態においては、熱交換器30を構成する第1の熱交換部30b,30dの第1の面S1の面積の和が、第2の熱交換部30a,30cの第2の面S2の面積の和と上記第1の面S1の面積の和との総和の半分未満となっている。つまり熱交換器30のうち室外機カバー40の外側を向く表面全体のうち、積雪しやすい第1の面S1の面積を第2の面S2よりも小さくしている。このため上記のように、積雪領域PURの面積が比較的小さくなるため、複数のフィン31に挟まれた領域が積もった(付着した)雪に塞がれることによる通気性の低下が起こる領域を少なくすることができ、熱交換器30全体として積雪による熱交換器30の通気性の低下を抑制することができる。また非降雪時においては第2の熱交換部30a,30cに加えて第1の熱交換部30b,30dが通常の機能を発揮することにより、いっそう実装容積を拡大し、熱交換性能を高めることができる。
次に、本実施の形態においては各熱交換部30a〜30dが互いにジグザグ状に配置されることにより、熱交換器30の実装容積を大きくすることができる。このため熱交換器30の熱交換の性能が向上することにより、熱交換器30の駆動能力を高めることができる。
このことについて、たとえば上記と同じ室外機カバー40内に、ベース板40aに垂直な方向に長手方向の長さaを有する仮想の熱交換器と、本実施の形態の熱交換器30とを比較することにより説明する。本実施の形態の複数の熱交換部のそれぞれの積み幅長cの総和は、通常は上記仮想の熱交換器の積み幅長より長くなる。このため上記仮想の熱交換器と本実施の形態の熱交換器30との体積を同一と仮定すれば、本実施の形態の熱交換器30は短手方向の寸法b、すなわち空気の流れARFに沿う方向の厚みを薄くすることができる。したがって通風抵抗を低減することができる。
またフィン31(熱交換部30a〜30d)の短手方向の長さbと、多列配管32の短手方向bに沿って配列される数とは比例関係がある。このため、上記のように短手寸法bを薄くすれば、多列配管32の短手方向bの列数を少なくすることができ、熱交換器30の生産性を高め、かつ製造コストおよび使用時の消費エネルギなどを低減することができる。
本実施の形態の室外ユニット10は熱交換器30を高効率に動作させることができるため、ユニットサイズを大きくすることなく性能を向上させることができる。すなわち本実施の形態の室外ユニット10は、たとえば熱交換器がジグザグ形状を有さない上記仮想の熱交換器を用いる室外ユニットと同等の性能を得ようとする場合には、仮想の熱交換器を用いる室外ユニットより小型の熱交換器を用いることができるため、製造コストを低減することができる。
次に、本実施の形態においては熱交換器30を構成する個々の熱交換部30a〜30dが室外機カバー40内において互いに鉛直方向に積層されるように隣接している。このため、たとえば熱交換器の個々の熱交換部が水平方向に並ぶように隣接している場合に比べて、平面視において熱交換器30がベース板40a上を占める面積を少なくすることができる。このため通風領域R1内における熱交換器30が載置される以外のスペースを十分に確保することができ、当該スペースを他の用途に充当させることが可能となる。したがって室外ユニット10のサイズを大きくすることなく、室外ユニット10内に配置される設備の利用効率および熱交換性能を向上させることができる。
さらに、本実施の形態においては、図5中の矢印に示すように、ファン43の回転による空気の流れARFが、室外ユニット10の背面側の吸い込み口41から水平方向に沿って通風領域R1を通過して吸い出し口42から放出される。このため空気の流れの屈曲または空気の体積の拡大縮小などに起因する圧力損失であるいわゆる形状損失が少なくなる。この場合、通風領域R1内での圧力損失の多くは熱交換器30を通過する際に発生する不可避の圧力損失となる。このため通風抵抗の増加を抑制することができる。
空気の流れARFがベース板40aの表面に沿う水平方向に流れることから、ファン43の回転軸であるボス43bの延在方向に沿って空気の流れARFが発生する。このことは軸流ファン43にとって好都合な流入条件となるため、ファン43の駆動効率が向上する。以上より、ファン43への空気の流れARFに乱れが少なくなるため、空気の流れARFおよびファン43の騒音が少なくなる。
(実施の形態2)
図7を参照して、本実施の形態の室外ユニット10は、図5の実施の形態1の室外ユニット10と基本的に同様の構成を備えているが、ファン43を複数備える点において実施の形態1と異なっている。図7においては2つのファン43が備えられており、そのうちの一方は熱交換部30aと熱交換部30bとの間のジグザグ形状の屈曲部とほぼ対向する位置に、他方は熱交換部30cと熱交換部30dとの間のジグザグ形状の屈曲部とほぼ対向する位置に、備えられている。
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。このことは以下の各実施の形態においても同様である。
実施の形態2のようにファン43を複数(たとえば2つ)備えることにより、風量を増加させることができ、熱交換器30の実装容積が増加しても高い熱交換の性能を確保することができる。
一方、実施の形態1のように単一のファン43のみが設置される場合においても、羽根43aを大きくすれば必要な風量を発生させることができる。この場合には複数のファン43が設置された場合の個々のファン43に比べて低い回転数で効率よくファン43を運転することができ、また騒音を抑制することができる。
また特に本実施の形態の熱交換器30は、複数の熱交換部を含む構成とすることによりその実装容積が増加し熱交換の性能が向上するため、単一のファン43のみが設置される場合であってもファン43の駆動効率の低下を抑制することができる。
(実施の形態3)
図8を参照して、本実施の形態の室外ユニット10は、図5の実施の形態1の室外ユニット10と基本的に同様の構成を備えているが、熱交換器30が3つの熱交換部30a,30b,30cにより構成される点において、4つの熱交換部30a〜30dを有する実施の形態1の熱交換器30と異なっている。
熱交換部30bはその上端部31aが下端部31bよりも室外機カバー40内における内側に配置される第1の熱交換部であり、その外側を向く第1の面S1に積雪しやすい。しかし熱交換部30a,30cはその上端部31aが下端部31bよりも室外機カバー40内における外側に配置される第2の熱交換部であり、その外側を向く第2の面S2に積雪しにくい。
ここでも個々の第1の熱交換部30bの室外機カバー40の外側を向く第1の面S1は、個々の第2の熱交換部30a,30cの室外機カバー40の外側を向く第2の面S2よりも面積が小さい。このことと、第1の熱交換部が1台、第2の熱交換部が2台の合計3台の熱交換部30a〜30cを有する構成とすることとにより、第1の面S1の面積の和は、第1の面S1と第2の面S2との面積の総和の半分未満とすることができる。
本実施の形態においては、第1の面S1の面積の和が第1および第2の面の面積S1,S2の総和の半分未満であるという条件を満たす限り、熱交換器30を構成する第1および第2の熱交換部はいずれも1台以上の任意の台数とすることができる。またここでも、個々の第1の面S1が個々の第2の面S2よりも面積が小さいという条件を満たすことがより好ましい。
なお熱交換器30を構成する熱交換部の台数が増加する場合には、熱交換器30に入る空気による通風抵抗が増加するため、たとえば熱交換器30をより薄くすることにより通気性を向上させることが好ましい。
図8を再度参照して、熱交換器30全体の鉛直方向に関する上端部、すなわち熱交換器30を構成する最上位の熱交換部30aの上端部31aは、熱交換器30全体の鉛直方向に関する下端部、すなわち熱交換器30を構成する最下位の熱交換部30cの下端部31bよりも室外機カバー40内における外側に配置されている。このようにすれば、熱交換器30全体として、第2の熱交換部30a,30cと同様に、降雪時にその表面に積雪しにくい傾斜を有する配置となる。このため実施の形態1と同様の観点に基づき、いっそう熱交換器30への積雪に起因する熱交換性能の低下を抑制することができる。
(実施の形態4)
図9を参照して、本実施の形態においても実施の形態1の図5と同様に、第1の熱交換部30b,30dと第2の熱交換部30a,30cとが2台ずつ互いにジグザグ形状を形成するように配置された熱交換器30が用いられている。ここでも他の実施の形態と同様に、たとえば第1の熱交換部30bは、その鉛直方向に関する一の方向に第2の熱交換部30aが、鉛直方向に関する一の方向と反対側の他の方向に第2の熱交換部30cが、それぞれ配置されている。本実施の形態においては、複数の第2の熱交換部のそれぞれの長手方向の長さの和は、第1および第2の熱交換部が鉛直方向に互いに隣接することにより形成される熱交換器30の一方の端部から一方の端部と反対側の他方の端部までの、ベース板40aに垂直な方向に関する距離よりも大きくなっている。
具体的には、図9の第2の熱交換部30aの長手方向の長さa1と、第2の熱交換部30cの長手方向の長さa2との和は、図9の熱交換器30における第1の熱交換部30dの下端部31b(一方の端部)に対する第2の熱交換部30aの上端部31a(他方の端部)のベース板40aに垂直な方向に関する高さhよりも大きくなっている。
上記のようにすれば、第2の熱交換部30a,30cの第2の面S2の面積の和が、積み幅長が第2の熱交換部30a,30cと同じcであり長手方向の長さが上記の高さhである仮想の熱交換部の、室外機カバー40の外側を向く面の面積よりも大きくなる。上記のように少なくとも第2の熱交換部30a,30cは積雪の可能性が排除されているため、たとえ第1の熱交換部30b,30dが積雪により通気性が低下したとしても、第2の熱交換部30a,30cのみの通気性により、通常の(ジグザグ形状を有さない)1枚の熱交換部からなる熱交換器と同等以上の実装容積を確保することができる。このため本実施の形態においては、通気性および熱交換の性能を、通常の(ジグザグ形状を有さない)1枚の熱交換部からなる熱交換器と同等以上とすることができる。また非降雪時においては第2の熱交換部30a,30cに加えて第1の熱交換部30b,30dが通常の機能を発揮することにより、いっそう実装容積を拡大し、熱交換性能を高めることができる。
(実施の形態5)
図10を参照して、本実施の形態においては第1の熱交換部30bに隣接する第2の熱交換部30aに備えられる多列配管32が、第2の熱交換部30aのフィン31を貫通するように配置されるとともに、第1の熱交換部30bのフィン31をも貫通するように配置されている。すなわち第2の熱交換部30aを貫通する多列配管32は、第2の熱交換部30aと第1の熱交換部30bとにより共有されている。言い換えれば当該多列配管32は、第2の熱交換部30aと第1の熱交換部30bとの双方に含まれる複数のフィン31の最端部同士の間を、図4に示すように往復しながら貫通するように配置されている。
この多列配管32における冷媒の入口である冷媒入口11aは多列配管32のうち第2の熱交換部30aのフィン31を貫通する領域(の付近)に設けられている。これに対し、この多列配管32における冷媒の出口である冷媒出口12aは多列配管32のうち第1の熱交換部30bのフィン31を貫通する領域(の付近)に設けられている。冷媒は冷媒入口11aから冷媒出口12aまで、図10中の矢印に示す経路で、多列配管32を(図4に示すように直線状区間32aおよび屈曲区間32bを通りながら)流通している。
同様に、第2の熱交換部30cを貫通する多列配管32は、第2の熱交換部30cと第1の熱交換部30bとにより共有されている。この多列配管32における冷媒の入口である冷媒入口11bは多列配管32のうち第2の熱交換部30aのフィン31を貫通する領域(の付近)に設けられており、この多列配管32における冷媒の出口である冷媒出口12bは多列配管32のうち第1の熱交換部30bのフィン31を貫通する領域(の付近)に設けられている。冷媒は冷媒入口11bから冷媒出口12bまで、図10中の矢印に示す経路で、多列配管32を(図4に示すように直線状区間32aおよび屈曲区間32bを通りながら)流通している。
以上をまとめれば、冷媒入口11a,11bは第2の熱交換部30a,30cに属する多列配管32に配置されており、冷媒出口12a,12bは第1の熱交換部30bに属する多列配管32に配置されている。
なお図10においては室外機カバー40およびファン43の図示が省略されているが、本実施の形態においても上記の他の実施の形態と同様に、上記の熱交換器30が室外機カバー40内に収納されることにより、室外ユニット10が形成されている。
また図10の熱交換器30は熱交換部30dが図示されないが、熱交換器30は熱交換部30dを備え、熱交換部30dにおいても熱交換部30bと同様に多列配管32の出口が配置された構成であってもよい。
次に、図11のグラフを用いて、本実施の形態の作用効果について説明する。
図11を参照して、横軸は冷媒が多列配管32の直線状区間32aを通過した本数を示している。言い換えれば図11の横軸は、図4に示す熱交換部30aなどを構成する複数のフィン31を貫通する直線状区間32aを冷媒が通過した本数を示しており、冷媒の流通した距離を示している。また図11の縦軸は冷媒の温度を示している。
暖房時には多列配管32内の冷媒は、冷媒入口11a,11bおよびその付近においては液相と気相とが混在する二相混合状態であり、その温度は0℃以上1℃以下程度である。冷媒は多列配管32内を流通しながら空気と熱交換することにより空気の熱を奪うが、実際には冷媒の温度は徐々に低下する。これは冷媒が多列配管32内を流れた際の圧力損失に起因するものである。ただしこのときの冷媒の温度は冷媒蒸発温度(零下1℃以上0℃以下程度)以上である。
徐々に温度が低下した冷媒が冷媒蒸発温度に達したとき、冷媒は気体状態となり温度が急激に上昇する。これはスーパーヒートと呼ばれる現象であり、多列配管32の冷媒出口12a,12bの付近において発生する。
仮に冷媒が液相のまま多列配管32を出て圧縮機46に入り圧縮されると、液体は非圧縮性のため急激な高圧力が冷媒に加わり、圧縮機46が故障する原因となる。そのような不具合を抑制するためには、圧縮機46に入る前に多列配管32の冷媒出口12a,12bの付近において冷媒は完全な気相になるよう加熱されることが好ましい。このような観点から、冷媒出口12a,12bの付近において冷媒はスーパーヒートにより気化されることが好ましい。
冷媒が気相化すれば空気との熱交換が困難となるため、冷媒はなるべく冷媒出口12a,12bに近い領域で気化されることが好ましい。このためスーパーヒートがなされるスーパーヒート領域は多列配管32のなかでもなるべく少なくなるように制御されることが好ましい。冷媒の流量などを制御することにより、スーパーヒート領域は多列配管32の直線状区間32aの2本分程度の長さとなるように制御されることが好ましい。このようにすれば、冷媒出口12a,12bの極手前においては冷媒の温度は多列配管32内の中では最も高くなり、具体的には1℃以上となる。
ここで図10に示すように、第1の熱交換部30bと第2の熱交換部30aとの双方を貫通する多列配管32の冷媒出口12a,12bが第1の熱交換部30bに配置されれば、積雪が起こり得る第1の熱交換部30bにおいて冷媒温度が高くなるため積雪領域PURに付着した雪は溶融されやすくなる。これにより、第1の熱交換部30bにおける積雪を抑制することができる。
なお第1の熱交換部30bは第2の熱交換部30aに比べて長手方向の長さが短く表面積が小さい。このため第1の熱交換部30bに冷媒出口12a,12bを設けることにより、スーパーヒート領域をより確実に第1の熱交換部30bに集中させることができる。
また特に図10に示すように、第1の熱交換部30bに2つの冷媒出口12a,12bが設置されることにより、第1の熱交換部30bにおけるスーパーヒート領域をより広くすることができるため、より確実に第1の熱交換部30bにおける積雪を抑制することができる。
また上記のように積雪領域PUR付近の多列配管32の冷媒温度が高くなり、通常の暖房運転である程度の除雪を行なうことができるため、通常の暖房運転からいわゆるデフロスト運転に移行するまでの時間を長くすることができる。この観点からも、暖房運転の効率を向上させることができる。
(実施の形態6)
図12を参照して、本実施の形態においては、室外機カバー40内に空気を送り込むファン43が、フロントパネル40b側から背面のサイドパネル40c側への空気の流れARFを供給する点において、上記の他の実施の形態のファン43と異なっている。すなわち吸い込み口41と吸い出し口42との位置、およびベルマウス44の向きが他の実施の形態と逆になっている。
具体的には吸い込み口41が室外機カバー40のフロントパネル40bの中央に円形の切欠き部として形成されており、吸い出し口42が室外機カバー40のサイドパネル40cの特に室外ユニット10の背面部の中央に矩形状の切欠き部として形成されている。ベルマウス44は室外機カバー40の正面側においてその幅が広くなるように配置されている。熱交換器30(熱交換部30a〜30d)の位置は他の実施の形態と同様であるが、本実施の形態においては熱交換器30はファン43から放出される風(空気の流れARF)の風下側に配置される。
本実施の形態のように、正面側の吸い込み口41からファン43の配置箇所を通って室外機カバー40の内部に入り込む空気の流れARFは、他の実施の形態のように背面側の吸い込み口41からファン43の配置箇所を通らずに室外機カバー40の内部に入り込む空気の流れARFに比べて風速が速くなる。このため本実施の形態においては熱交換器30を通り抜ける空気の量が多くなる。したがって熱交換器30を流れる冷媒と空気との間の伝熱促進効果が高められることにより、熱交換の効率がいっそう高められる。
図12においては実施の形態1の図5の室外機カバー40の空気の流れARFの向きを逆転させた構成としているが、それ以外の各実施の形態の各室外機カバー40に対して空気の流れARFの向きを逆転させてもよい。
また詳述を省略しているが、これ以外にも、以上の各実施の形態に示す特徴同士を適宜組み合わせた構成を有する室外機カバー40を用いることもできる。たとえば実施の形態2のようにファン43を複数備え、実施の形態3のように3つの熱交換部を備え、本実施の形態のように空気の流れARFの向きを逆転させた構成を有する室外機カバー40を採用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。