JP5959735B2 - 空気調和機の室内機、及び空気調和機 - Google Patents
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Description
また、この熱交換器は、空気調和機の右側縦断面において、略中央部に引かれた対称線に対して前面側に位置する前面側熱交換器と、背面側に位置する背面側熱交換器とに分けられる。そして、背面側熱交換器を通過する風量を、前面側熱交換器を通過する風量より大きくすることで、ケーシング前面下側にある吹出口に対して、ケーシングで無理に風を曲げることなく吹出口に送風可能としている。また、このように構成することで、低消費電力化及び低騒音化を実現するようにしている。
しかし、上述のように熱交換器の構成を変化させるにつれ、熱交換器の変曲部(配置勾配が上り勾配から下り勾配へ、又は下り勾配から上り勾配へと変化する箇所)の数も増えるため、ドレンパンの数も同様に増えてしまう。その結果、ケーシング寸法(製品寸法)によっては吹出口の吹出面積が極端に減少してしまうため、吹出口付近の圧力損失が増大し、空調機性能の低下を招くという課題があった。
熱交換器の載置量を増やすには室内機のケーシング寸法を大きくする必要があるが、天井の低い家屋(例えば日本国内の家屋など)や、玄関などのドア上のスペースといった場所に室内機を据付する場合を考えると、特に高さでケーシング寸法の制約を受ける。さらに、巾も設置する部屋の形状や柱同士の間に設置する場合などには制約を受ける。つまり、厚さの制約が最も少ない。
しかし、室内機のケーシングの厚さを変更すると、その度に熱交換器の配置や風路構成を再設計しなくてはいけないため、量産までの開発時間が多大に掛かるという課題があった。
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機100)を示す縦断面図である。なお、図1の手前側が室内機100の前面を示している。
本発明の実施の形態1に係る室内機100は、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。
さらに、室内機100には図示省略の、ベーン駆動等に用いられるモータや電気制御基板等が設けられている。
まず、室内空気は、送風機4の羽根車が回転軸11を中心に回転することによって、ケーシング1の上部に形成されている吸込口2から室内機100内に流れ込む。このとき、フィルター7によって室内空気に含まれている塵埃が除去される。この室内空気は、送風機吹出口4aから熱交換器5に吹き出され、熱交換器5を通過する際に熱交換器5内を導通している冷媒によって加熱又は冷却されて空調空気となる。そして、空調空気は、ケーシング1の下部に形成されている吹出口3から室内機100の外部、つまり空調対象域に吹き出されるようになっている。
なお、以下、室内空気及び空調空気を単に空気と称する。
図1に示すように、熱交換器5は配置勾配が上り勾配から下り勾配へ、又は下り勾配から上り勾配へと変化する箇所(以下、変曲部と称する)を吸込口2側(以下、山側変曲部5aと称する)と吹出口3側(以下、谷側変曲部5bと称する)とに複数有し、正面縦断面において略MM型の形状に配置した構成となっている。つまり、各変曲部の略中央に引かれる境界線8で区切られた部分を単体熱交換器51とし、各単体熱交換器51が境界線8を境に、左右で勾配の向きが逆となるように配置されている。また、熱交換器5は、冷媒が通過するパイプ52とプレートフィンとで構成されており、パイプ52は熱交換器5の前後方向(図1の紙面直交方向)に冷媒流路を構成している。そして、プレートフィンはパイプ52と垂直に配置されており、さらに熱交換器5の前後方向に層状に配置されている。また、熱交換器5は左右に端部(図1の左右側面部)を有し、右端部であれば、一番右側に位置する変曲部から見て、右端部が下に位置する場合は下り端部5c、右端部が上に位置する場合は上り端部5dとする。また、左端部であれば、一番左側に位置する変曲部から見て、左端部が下に位置する場合は下り端部5c、左端部が上に位置する場合は上り端部5dとする。
また、各変曲部において、熱交換器5が形成する内角を取り付け角10とする。その取り付け角10は、ある一定角より大きくなると水滴がドレンパン9上に届く前に滴下してしまうため、水滴をドレンパン9で回収することが困難となる。そのため、取り付け角10は、およそ70度〜80度の設置制限角以下の大きさとなるように構成されている。
ただし、暖房運転時等のように、熱交換器5に水滴が確実につかない条件での取り付け角10はその限りではない。
以下、従来技術(特許文献1の図7)に係る空気調和機の室内機100bと、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機100との吹出面積(吹出口3面積からドレンパン面積を引いた面積)について説明する。なお、A−A’断面図において、白抜き箇所が吹出口3面積、黒塗り箇所がドレンパン面積を表している。また、室内機100bは、熱交換器5が右側縦断面において略M字型となるように配置されているが、室内機100は、熱交換器5が正面縦断面において略MM型となるように配置されている。つまり、室内機100bと室内機100とで、熱交換器5の配置方向が90度異なる。
室内機100bの吹出面積をS1、室内機100の吹出面積をS2とすると、それぞれS1=D×L−N1×L×I、S2=D×L−N2×L×Iとなる。
つまり、S1とS2との関係は、N1×L>N2×DであればS2>S1となり、室内機100の構成の方が、吹出面積が大きくなる。この吹出面積が大きい方が、吹出口3付近における圧力損失を低減することが可能となる。
図3に示すように、ほとんどの厚さDにおいて、(b)の方が(a)に比べて熱交換器の通風面積を多く取れる。これは、(a)の場合は熱交換器の変曲部における取り付け角を一定にすると、ある厚さDに達しない限り単体熱交換器を一つ増やすことができないためである。しかし、(b)の場合は、熱交換器を厚さDの方向に伸ばせるため、厚さDの変化に対して通風面積を線形に増やすことができる。
また、(b)は、(a)より通風面積(=伝熱面積)を多く確保できると同時に、同一風量時に風速を落とすことができるため、熱交換器自体の圧力損失を低減することが可能となる。
以上より、(b)の方が、(a)に比べて通風面積(=伝熱面積)を多く取ることができるため、S2>S1であれば(b)は(a)に比べて熱交換能力を上げることができ、空調機性能を向上させることができる。
しかし、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機100は、熱交換器5を構成するパイプ52を繋げるための配管等の処理を室内機100の正面側、又は背面側で行うことができるため、室内機100は正面視して完全に左右対称に構成することが可能である。そのため、室内機100の意匠性が向上し、ダミーの吹出口やダミーのベーンなどが不要となる。
しかし、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機100の場合、プレートフィンはケーシング1の厚さDの方向に積層されており、パイプ52の長さ(ケーシング1の厚さD方向の長さ)を従来技術(特許文献1)に比べ短くできる。そのため、熱交換器5の反りを生じにくくでき、設計寸法誤差を抑制することが可能となり、熱交換器5の組み立て作業が容易となる。
図4(a)〜(d)に示すような複数種類(直線形状や、一部又は全部が湾曲した形状等)の熱交換器5を組み合わせて構成してもよい。また、熱交換器5を構成する熱交換器5の全てを図1に示すように、境界線8を境に左右方向に勾配をつける必要は無く、熱交換器5を構成する熱交換器5の一部を垂直に配置してもよい。また、単体熱交換器51を偶数組み合わせて構成してもよいし、奇数組み合わせて構成してもよい。また、隣接する単体熱交換器51のプレートフィンの長手方向の長さは同じでもよいし、異なってもよい。また、隣接する単体熱交換器51の各々の圧力損失は同じでもよいし、異なってもよい。また、図1に示す室内機100の送風機4は2つで構成されているが、1つでもよいし、2つより多くてもよい。
熱交換器5は、以下のように構成されてもよい。なお、本発明の実施の形態2では上述した実施の形態1との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付している。
本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機101では、熱交換器5の配置の仕方が実施の形態1に係る空気調和機の室内機100と相違している。
熱交換器5は、各単体熱交換器51が境界線8を境に、左右で勾配の向きが逆となるように配置されており、正面縦断面において略WW型の形状に配置した構成となっている。
そのため、実施の形態2に係る空気調和機の室内機101は、実施の形態1に係る空気調和機の室内機100よりも、吹出口3付近における圧力損失を低減することが可能となる。
また、逆吸込みを発生して結露が発生してしまう(例えば冷房運転時の場合)といった品質課題を解決することが可能となる。
熱交換器5は、以下のように構成されていてもよい。なお、本発明の実施の形態3では上述した実施の形態1又は実施の形態2との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1及び実施の形態2と同一部分には、同一符号を付している。
図7は、送風機4の羽根車外周の下流(下方)に熱交換器5の山側変曲部5aを配置しているが、図6は、送風機4の回転軸11下流に熱交換器5の山側変曲部5aを配置している。
本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室内機102では、熱交換器5と送風機4との配置関係を、実施の形態1及び実施の形態2よりも詳しく指定したものとなっている。 なお、図6の手前側が室内機102の前面を、図7の手前側が室内機102bの前面を、それぞれ示している。
そこで、本発明の実施の形態3に係る室内機102の熱交換器5と送風機4との位置関係を以下のように構成するものとする。
なお、図6に示す室内機102は送風機4を2つ使用しているが、3つ以上の場合も同様である。
図8に送風機4を3つ使用した場合の室内機103を示す。送風機4の使用数との兼ね合いで、熱交換器5の山側変曲部5aの位置を送風機4の羽根車外周の下流(又は羽根車部分)から風速の小さい領域へずらすことが難しい場合がある。その場合は、図8に示すように、各変曲部の取り付け角10を設置制限角以下となる範囲内で変更してもよい。
熱交換器5は、以下のように構成されていてもよい。なお、本発明の実施の形態4では上述した実施の形態1〜3との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1及び実施の形態2及び実施の形態3と同一部分には、同一符号を付している。
本発明の実施の形態4に係る空気調和機の室内機104は、熱交換器5の配置の仕方が実施の形態1〜3に係る空気調和機の室内機100〜103と異なっている。
つまり、熱交換器5の勾配は、プレートフィンとプレートフィンとの間に形成される、空気の流路部の出口部分(図示省略)が室内機104の吹出口3側を向くように設けられている。
熱交換器5は、以下のように構成されていてもよい。なお、本発明の実施の形態5では上述した実施の形態1〜4との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1〜4と同一部分には、同一符号を付している。
本発明の実施の形態5に係る空気調和機の室内機105では、熱交換器5の配置の仕方が実施の形態1〜4に係る空気調和機の室内機100〜104と異なる。
図11は、本発明の実施の形態6に係る空気調和機の室内機の一例(以下、室内機106)を示す縦断面図である。図11の手前側が室内機106の前面を示している。
基本的な構成は図5に示す空気調和機の室内機101と同様であるが、熱交換器5の上流側(上方)にケーシング1を平面視して隣り合う送風機4間を仕切る仕切板15を設けた点で異なる。
そのため、隣り合う送風機4同士が発生させる空気の流れの衝突を防ぐことが可能となり、送風機4の送風効率の向上や騒音低下等に効果がある。
Claims (10)
- 上部に吸込口が形成され、下部に吹出口が形成されたケーシングと、
前記ケーシング内の前記吸込口の下流側に設けられ、軸流ファン又は斜流ファンで構成された送風機と、
前記ケーシング内の前記送風機と前記吹出口との間に設けられた熱交換器と、を備え、
前記熱交換器は、
配置勾配が上り勾配から下り勾配へ、又は下り勾配から上り勾配へと変化する箇所である変曲部を前記吸込口側と前記吹出口側とに複数有し、
前記ケーシングの正面側から観察した状態において、前記変曲部が全て見えるように配置され、
前記吹出口側の前記変曲部の下方にドレンパンが設けられており、
前記送風機を複数有する場合において、
前記熱交換器は、
前記吸込口側に位置する複数の前記変曲部のうち少なくとも一つが、前記送風機間の下方に位置する第一変曲部である
ことを特徴とする空気調和機の室内機。 - 前記熱交換器の上方に、
前記ケーシングの正面側から観察した状態において、
隣り合う前記送風機間を仕切る仕切板が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。 - 前記仕切板は、
前記熱交換器において、
前記吸込口側に位置する前記変曲部の上方に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機の室内機。 - 上部に吸込口が形成され、下部に吹出口が形成されたケーシングと、
前記ケーシング内の前記吸込口の下流側に設けられ、軸流ファン又は斜流ファンで構成された送風機と、
前記ケーシング内の前記送風機と前記吹出口との間に設けられた熱交換器と、を備え、
前記熱交換器は、
配置勾配が上り勾配から下り勾配へ、又は下り勾配から上り勾配へと変化する箇所である変曲部を前記吸込口側と前記吹出口側とに複数有し、
前記ケーシングの正面側から観察した状態において、前記変曲部が全て見えるように配置され、
前記吹出口側の前記変曲部の下方にドレンパンが設けられており、
前記熱交換器は、
一部が前記送風機の前記吹出口よりも上側に位置する
ことを特徴とする空気調和機の室内機。 - 前記ケーシングの正面側から観察した状態において、
前記熱交換器の左右両端部は上り端部である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。 - 前記ケーシングの正面側から観察した状態において、
前記熱交換器の左右両端部は下り端部であり、
前記下り端部の下方にドレンパンが設けられている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。 - 前記熱交換器は、
前記吸込口側に位置する複数の前記変曲部のうち前記第一変曲部以外の少なくとも一つが、前記送風機の回転軸の下方に位置する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。 - 前記熱交換器は、
前記吸込口側に位置する複数の前記変曲部のうち前記第一変曲部以外の少なくとも一つが、前記送風機の前記吹出口と対向しない領域に位置する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。 - 前記吹出口は、
前記ケーシングの下部の前面側に形成され、
前記熱交換器は、
前記吹出口に向けて傾けられており、
前記ケーシングの背面に対して右下がりの勾配を有して配置されている
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機を備えた
ことを特徴とする空気調和機。
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