《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、図1〜図38(E)に基づいて、説明する。
図1には、第1の実施形態に係る露光装置100の構成が概略的に示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向(Z方向)、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向(Y方向)、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向(X方向)とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置100は、図1に示されるように、ベース盤12上の+Y側端部近傍に配置された露光部200と、ベース盤12上の−Y側端部近傍に配置された計測部300と、ベース盤12上で独立してXY平面内で2次元移動するウエハステージWST及び計測ステージMSTと、これらの制御系等とを備えている。以下においては、説明の便宜上、露光部200、計測部300のそれぞれの場所を示す用語として、露光部、計測部と同一の符号を用いて、露光ステーション200、計測ステーション300と称するものとする。
ベース盤12は、床面上に防振機構(図示省略)によってほぼ水平に(XY平面に平行に)支持されている。ベース盤12は、平板状の外形を有する部材から成る。なお、図1において、露光ステーション200には、ウエハステージWSTが位置しており、ウエハステージWST(より詳細には後述するウエハテーブルWTB)上にウエハWが保持されている。また、露光ステーション200内、あるいはその近傍に計測ステージMSTが位置している。計測ステージMSTは、ウエハステージWSTを用いるウエハWの露光動作中、投影光学系PLの下方で移動されるウエハステージWSTと接触しないように投影光学系PLの下方から離れた所定位置(退避位置又は待機位置)に位置付けられる。また、ウエハWの露光動作の終了に先立ち、計測ステージMSTは投影光学系PLの下方で移動されるウエハステージWSTに対して接近するように相対移動されるとともに、遅くとも露光動作の終了時点で、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとは互いに近接(又は接触)して位置付けられる。さらに、互いに近接したウエハステージWSTと計測ステージMSTとは投影光学系PLに対して移動され、ウエハステージWSTの代わりに計測ステージMSTが投影光学系PLと対向して配置される。なお、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとを近接して位置付けるための相対移動はその少なくとも一部がウエハWの露光動作後に行われても良い。
露光部200は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU及び局所液浸装置8等を備えている。
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する照明光学系と、を含む。照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステムとも呼ばれる)で設定(制限)されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図1における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図16参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)13によって、レチクルステージRSTに固定された移動鏡15(実際には、Y軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡(あるいは、レトロリフレクタ)とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられている)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計13の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図16参照)に送られる。なお、レチクル干渉計13の代わりに、例えば米国特許第7,839,485号明細書などに開示されるエンコーダシステムを用いて、レチクルステージRSTの位置情報を計測しても良い。この場合、格子が形成される格子部材(スケール板、又はグリッド板)とエンコーダヘッドとの一方をレチクルステージRSTの下面側に設け、他方をレチクルステージRSTの下方に配置しても良いし、あるいは格子部とエンコーダヘッドとの一方をレチクルステージRSTの上面側に設け、他方をレチクルステージRSTの上方に配置しても良い。また、レチクルステージRSTは、後述のウエハステージWSTと同様に粗微動構造としても良い。
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、不図示の支持部材によって水平に支持されたメインフレーム(メトロロジーフレーム)BDによってその外周部に設けられたフランジ部FLGを介して支持されている。メインフレームBDは、照明光学系の少なくとも一部やレチクルステージRSTが搭載される、露光装置100の本体フレームの一部を構成し、本実施形態では、それぞれ防振機構を介して設置面(例えば、床面など)に配置される複数(例えば3つ又は4つ)の支持部材(不図示)によって支持される。なお、設置面には後述のベース盤12なども配置される。また、防振機構は各支持部材とメインフレームBDとの間に配置しても良い。さらに、例えば国際公開第2006/038952号に開示されているように、投影ユニットPUの上方に配置される本体フレームの一部に対して投影ユニットPUを吊り下げ支持しても良い。
投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、Z軸と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWST(より正しくは、ウエハWを保持する後述する微動ステージWFS)との同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、及び投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
局所液浸装置8は、露光装置100が、液浸方式の露光を行うことに対応して設けられている。局所液浸装置8は、液体供給装置5、液体回収装置6(いずれも図1では不図示、図16参照)、及びノズルユニット32等を含む。ノズルユニット32は、図1に示されるように、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(「先端レンズ」又は「最終レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように不図示の支持部材を介して、投影ユニットPU等を支持するメインフレームBDに吊り下げ支持されている。ノズルユニット32は、液体Lqの供給口及び回収口と、ウエハWが対向して配置され、かつ回収口が設けられる下面と、液体供給管31A及び液体回収管31B(いずれも図1では不図示、図4参照)とそれぞれ接続される供給流路及び回収流路とを備えている。液体供給管31Aには、その一端が液体供給装置5(図1では不図示、図16参照)に接続された不図示の供給管の他端が接続されており、液体回収管31Bには、その一端が液体回収装置6(図1では不図示、図16参照)に接続された不図示の回収管の他端が接続されている。また、ノズルユニット32はその内部に供給流路と回収流路とを有し、液体供給管31Aと液体回収管31Bとはそれぞれ供給流路と回収流路とを介して供給口と回収口に接続される。さらに、ノズルユニット32はその下面に、投影光学系PLから射出される照明光ILが通る開口部を有し、回収口はその開口部の周囲に配置される。本実施形態では、先端レンズを取り囲む、ノズルユニット32の内側面に供給口が設けられるが、ノズルユニット32の下面側で開口部に対して回収口よりも内側に、その供給口とは別の供給口を設けても良い。
本実施形態では、主制御装置20が液体供給装置5(図16参照)を制御して、液体供給管31A及びノズルユニット32を介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体を供給するとともに、液体回収装置6(図16参照)を制御して、ノズルユニット32及び液体回収管31Bを介して先端レンズ191とウエハWとの間から液体を回収する。このとき、主制御装置20は、供給される液体の量と回収される液体の量とが常に等しくなるように、液体供給装置5と液体回収装置6を制御する。従って、先端レンズ191とウエハWとの間には、一定量の液体Lq(図1参照)が常に入れ替わって保持される。局所液浸装置8は、ノズルユニット32を介して供給する液体Lqによって投影光学系PLの下に液浸領域を形成するとともに、ノズルユニット32を介して液浸領域から液体を回収して、ウエハWの一部のみに液体Lqを保持する、すなわち投影光学系PLと対向して配置されるウエハステージWST(微動ステージWFS)の上面、ひいてはウエハWの表面よりも小さい局所領域内に液体Lqを閉じ込めて液浸領域を形成することが可能である。このため、ノズルユニット32は液浸部材、液浸空間形成部材、liquid confinement member、あるいはliquid containment memberなどとも呼ぶことができる。本実施形態では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水を用いるものとする。なお、ArFエキシマレーザ光に対する純水の屈折率nは、ほぼ1.44であり、純水の中では、照明光ILの波長は、193nm×1/n=約134nmに短波長化される。
本実施形態では、ノズルユニット32をメインフレームBDに吊り下げ支持するものとしたが、メインフレームBDと異なるフレーム部材、例えばメインフレームBDとは別に前述の設置面に配置されるフレーム部材にノズルユニット32を設けても良い。これにより、ノズルユニット32から投影光学系PLに伝達する振動を抑制又は防止できる。また、ノズルユニット32の下面側で液体Lq(液浸領域の界面)と接する、ノズルユニット32の一部を可動とし、ウエハステージWSTの移動時に、ウエハステージWSTとノズルユニット32との相対速度が小さくなるようにノズルユニット32の一部を移動しても良い。これにより、特にウエハWの露光動作中、液浸領域から液体Lqの一部が分離して、ウエハステージWSTの上面あるいはウエハWの表面に液体が残留するのを抑制又は防止できる。この場合、ウエハステージWSTの移動中、常にノズルユニット32の一部を移動しても良いが、露光動作の一部、例えばウエハステージWSTのステッピング動作のみでノズルユニット32の一部を移動することとしても良い。また、ノズルユニット32の一部は、例えば回収口と、下面の少なくとも一部とを有する可動ユニット、あるいはノズルユニット32に対して相対移動可能で、液体と接する下面を有するプレートなどで良い。
この他、露光部200は、メインフレームBDから支持部材72Aを介してほぼ片持ち状態で支持された(一端部近傍が支持された)計測アーム71Aを有する第1バックサイドエンコーダシステム70Aと、後述する第1トップサイドエンコーダシステム80A(図1では不図示、図16等参照)とを含む第1微動ステージ位置計測系110Aと、備えている。ただし、第1微動ステージ位置計測系110Aについては、説明の便宜上、後述する微動ステージについての説明の後に、説明する。
計測部300は、メインフレームBDに設けられたアライメント装置99と、メインフレームBDに設けられた多点焦点位置検出系(以下、多点AF系と略述する)(90a,90b)(図1では不図示、図16等参照)と、メインフレームBDから支持部材72Bを介して片持ち状態で支持された(一端部近傍が支持された)計測アーム71Bを有する第2バックサイドエンコーダシステム70Bと後述する第2トップサイドエンコーダシステム80B(図1では不図示、図16等参照)とを含む第2微動ステージ位置計測系110Bと、を備えている。また、アライメント装置99の近傍には、図1に示されるように、チャックユニット120が設けられている。なお、第2微動ステージ位置計測系110Bについては、説明の便宜上、後述する微動ステージについての説明の後に、説明する。また、アライメント装置99は、アライメント検出系あるいはマーク検出系などとも呼ぶ。
アライメント装置99は、図4に示される5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24を含む。詳述すると、図4及び図5に示されるように、投影ユニットPUの中心(投影光学系PLの光軸AX、本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつY軸と平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で、光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に、検出中心が位置する状態でプライマリアライメント系AL1が配置されている。プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LVに関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。すなわち、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出中心がX軸方向に沿って配置されている。5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24のそれぞれとしては、例えば、ウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標(各アライメント系内に設けられた指標板上の指標パターン)の像とを撮像素子(CCD等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24からの撮像信号は、主制御装置20に供給されるようになっている(図16参照)。なお、アライメント装置99の詳細構成は、例えば米国特許出願公開第2009/0233234号明細書に開示されている。また、アライメント系AL1、AL21〜AL24のそれぞれは撮像方式に限られるものでなく、例えばコヒーレントな計測光をアライメントマーク(回折格子)に照射し、当該マークから発生する回折光を検出する方式などでも良い。
多点AF系としては、図4及び図5に示されるように、送光系90a及び受光系90bから成る斜入射方式の多点AF系が設けられている。多点AF系(90a、90b)と同様の構成は、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されている。本実施形態では、一例として、送光系90aと受光系90bとは、プライマリアライメント系AL1の検出中心を通るX軸に平行な直線(基準軸)LAの+Y側に同一距離離れた位置に、基準軸LVに関して対称に配置されている。送光系90aと受光系90bとのX軸方向の間隔は、後述するウエハテーブルWTB上に設けられた一対のスケール391,392(図2(A)参照)の間隔より広く設定されている。
多点AF系(90a,90b)の複数の検出点は、被検面上でX軸方向に沿って所定間隔で配置される。本実施形態では、例えば1行M列(Mは検出点の総数)又は2行N列(Nは検出点の総数の1/2)の行マトリックス状に配置される。図4及び図5中では、それぞれ検出ビームが照射される複数の検出点を、個別に図示せず、送光系90a及び受光系90bの間でX軸方向に延びる細長い検出領域AFとして示している。この検出領域AFは、X軸方向の長さがウエハWの直径と同程度に設定されているので、ウエハWをY軸方向に1回スキャンするだけで、ウエハWのほぼ全面でZ軸方向の位置情報(面位置情報)を計測できる。また、この検出領域AFは、Y軸方向に関して、投影光学系PL(露光領域IA)とアライメント系(AL1、AL21,AL22,AL23,AL24)の検出領域との間に配置されているので、多点AF系とアライメント系とでその検出動作を並行して行うことが可能となっている。
なお、複数の検出点は1行M列又は2行N列で配置されるものとしたが、行数及び/又は列数はこれに限られない。但し、行数が2以上である場合は、異なる行の間でも検出点のX軸方向の位置を異ならせることが好ましい。さらに、複数の検出点はX軸方向に沿って配置されるものとしたが、これに限らず、複数の検出点の全部又は一部をY軸方向に関して異なる位置に配置しても良い。例えば、X軸及びY軸の両方と交差する方向に沿って複数の検出点を配置しても良い。すなわち、複数の検出点は少なくともX軸方向に関して位置が異なっていれば良い。また、本実施形態では複数の検出点に検出ビームを照射するものとしたが、例えば検出領域AFの全域に検出ビームを照射しても良い。さらに、検出領域AFはX軸方向の長さがウエハWの直径と同程度でなくても良い。
ウエハステージWSTは、図1及び図2(B)等からわかるように、粗動ステージWCSと、アクチュエータ(例えば、ボイスコイルモータとEIコアの少なくとも一方を含む)を介して粗動ステージWCSに非接触状態で支持され、粗動ステージWCSに対して相対移動可能な微動ステージWFSとを有している。粗動ステージWCSには、不図示ではあるが、ベース盤12の+X側(又は−X側)に分離して設けられたガイド面上に配置されたチューブキャリアが、配管、配線が一体化されたチューブを介して接続されている。チューブキャリアは、例えば電力(電流)、冷媒、圧縮空気及び真空などの用力を、チューブを介して粗動ステージWCSに供給するものである。また、粗動ステージWCSに供給された用力の一部(例えば真空など)は、微動ステージWFSに供給される。チューブキャリアは、主制御装置20によって、例えばリニアモータ等を介してウエハステージWSTに追従してY軸方向へ駆動される。チューブキャリアのY軸方向への駆動は、ウエハステージWSTのY軸方向の駆動に厳密に追従する必要はなく、ある許容範囲内で追従していれば良い。また、チューブキャリアはベース盤12上に配置しても良く、この場合、粗動ステージWCSを駆動する後述の平面モータによってチューブキャリアを駆動可能である。なお、チューブキャリアはケーブルキャリア、あるいはフォロワーなどとも呼ぶことができる。また、ウエハステージWSTは必ずしも粗微動構造でなくても良い。
ウエハステージWST(粗動ステージWCS)は、後述の平面モータを含む粗動ステージ駆動系51A(図16参照)により、X軸及びY軸方向に所定ストロークで駆動されるとともにθz方向に微小駆動される。また、微動ステージWFSは、前述のアクチュエータを含む微動ステージ駆動系52A(図16参照)によって粗動ステージWCSに対して6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy及びθzの各方向)に駆動される。なお、後述の平面モータによって粗動ステージWCSを6自由度方向に駆動しても良い。
ウエハステージWST(粗動ステージWCS)の少なくともXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、干渉計システムから成るウエハステージ位置計測系16A(図1及び図16参照)によって計測される。また、露光ステーション200にある粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報は第1微動ステージ位置計測系110A(図1参照)によって計測される。なお、ウエハステージ位置計測系16Aは設けなくても良い。この場合、第1微動ステージ位置計測系110Aのみで、露光ステーション200におけるウエハステージWSTの6自由度方向の位置情報を計測するだけで良い。
また、粗動ステージWCSが計測ステーション300にあるとき、粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報は第2微動ステージ位置計測系110B(図1参照)によって計測される。
また、計測ステーション300内において、後述するフォーカスマッピングを行う際などには、後述する第3バックサイドエンコーダシステム70C及び第3トップサイドエンコーダシステム80C(図16参照)によっても、微動ステージWFSの位置情報が計測される。本実施形態では、前述した通りアライメント装置99の検出中心と多点AF系の検出点とでY方向の位置が異なるため、第2微動ステージ位置計測系110Bとは別に、第3バックサイドエンコーダシステム70C及び第3トップサイドエンコーダシステム80Cを設けている。このため、アライメント装置99によるウエハWなどのマーク検出では、第2微動ステージ位置計測系110Bによって、少なくともY方向に関してアライメント装置99の検出中心と実質的に同一位置でウエハステージWSTの位置情報を計測可能であるとともに、多点AF系によるウエハWなどのZ方向の位置情報の計測では、第3バックサイドエンコーダシステム70C及び第3トップサイドエンコーダシステム80Cによって、少なくともY方向に関して多点AF系の検出点と実質的に同一位置でウエハステージWSTの位置情報を計測可能である。
なお、アライメント装置99の検出中心と多点AF系の検出点とでY方向の位置が実質的に同一である、あるいはY方向の間隔が小さい場合は、第3バックサイドエンコーダシステム70C及び第3トップサイドエンコーダシステム80Cを設けなくても良い。この場合、多点AF系の計測動作においても第2微動ステージ位置計測系110Bを用いてウエハステージWSTの位置情報を計測すれば良い。また、アライメント装置99の検出中心と多点AF系の検出点とでY方向の位置が異なっていても、第3バックサイドエンコーダシステム70C及び第3トップサイドエンコーダシステム80Cを設けず、第2微動ステージ位置計測系110Bのみを用いる場合、Y方向に関してアライメント装置99の検出中心と多点AF系の検出点との間、例えば中心で、ウエハステージWSTの位置情報が計測されるように、第2微動ステージ位置計測系110Bを配置しても良い。
さらに、露光ステーション200及び計測ステーション300との間、すなわち第1微動ステージ位置計測系110A及び第2微動ステージ位置計測系110Bの計測範囲の間における微動ステージWFSの位置情報は、後述する第4トップサイドエンコーダシステム80D(図16参照)によって計測される。なお、第1、第2微動ステージ位置計測系110A、110BによるウエハステージWSTの位置情報の計測が不能となる範囲内、すなわち前述の計測範囲外において、ウエハステージWSTの位置情報を計測する計測装置は第4トップサイドエンコーダシステム80Dに限られるものでなく、例えば干渉計システム、あるいは検出方式及び/又は構成が第4トップサイドエンコーダシステム80Dと異なるエンコーダシステムなど、他の計測装置を用いても良い。
また、計測ステージMSTのXY平面内の位置情報は、干渉計システムから成る計測ステージ位置計測系16B(図1及び図16参照)によって計測される。なお、計測ステージMSTの位置情報を計測する計測装置は干渉計システムに限られるものでなく、他の計測装置、例えばエンコーダシステム(後述の第5トップサイドエンコーダシステムなどを含む)などを用いても良い。
ウエハステージ位置計測系16A、計測ステージ位置計測系16B、及び第4トップサイドエンコーダシステム80Dの計測値(位置情報)は、それぞれ粗動ステージWCS、計測ステージMST、並びに微動ステージWFSの位置制御のため、主制御装置20に供給される(図16参照)。また、第1及び第2微動ステージ位置計測系110A、110B、並びに第3バックサイドエンコーダシステム70C及び第3トップサイドエンコーダシステム80Cの計測結果は、粗動ステージWCS、計測ステージMST、並びに微動ステージWFSの位置制御のため、それぞれ後述する切換部150A〜150Cを介して主制御装置20に供給される(図16参照)。
ここで、上記各種計測系を含めてステージ系の構成等について詳述する。まず、ウエハステージWSTについて説明する。
粗動ステージWCSは、図2(B)に示されるように、粗動スライダ部91と、一対の側壁部92a,92bと、一対の固定子部93a、93bと、を備えている。粗動スライダ部91は、平面視で(+Z方向から見て)X軸方向の長さがY軸方向の長さより幾分長い長方形板状の部材から成る。一対の側壁部92a,92bのそれぞれは、Y軸方向を長手方向とする長方形板状の部材から成り、粗動スライダ部91の長手方向の一端部と他端部の上面にYZ平面に平行な状態でそれぞれ固定されている。一対の固定子部93a、93bは、側壁部92a,92bそれぞれの上面のY軸方向の中央部に内側に向けて固定されている。粗動ステージWCSは、全体として、上面のX軸方向中央部及びY軸方向の両側面が開口した高さの低い直方体形状を有している。すなわち、粗動ステージWCSには、その内部にY軸方向に貫通した空間部が形成されている。この空間部内に後述する露光時、アライメント時などに計測アーム71A、71Bが挿入される。なお、側壁部92a,92bは、固定子部93a、93bとY軸方向の長さをほぼ同じにしても良い。すなわち、側壁部92a,92bは、粗動スライダ部91の長手方向の一端部と他端部の上面のY軸方向の中央部のみに設けても良い。また、粗動ステージWCSは、微動ステージWFSを支持して可動であれば良く、ウエハステージWSTの本体部、あるいは可動体や移動体などと呼ぶことができる。
ベース盤12の内部には、図1に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数のコイル17を含む、コイルユニットが収容されている。なお、ベース盤12は、その表面がXY平面とほぼ平行となるように、投影光学系PLの下方に配置される。
コイルユニットに対応して、粗動ステージWCSの底面、すなわち粗動スライダ部91の底面には、図2(B)に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数の永久磁石18から成る磁石ユニットが設けられている。磁石ユニットは、ベース盤12のコイルユニットと共に、例えば米国特許第5,196745号明細書などに開示される電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータから成る粗動ステージ駆動系51A(図16参照)を構成している。コイルユニットを構成する各コイル17に供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される。
粗動スライダ部91の底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング94が固定されている。粗動ステージWCSは、複数のエアベアリング94によって、ベース盤12の上方に所定の隙間(クリアランス、ギャップ)、例えば数μm程度の隙間を介して浮上支持され、粗動ステージ駆動系51Aによって、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に駆動される。
なお、粗動ステージ駆動系51Aとしては、電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータに限らず、例えば可変磁気抵抗駆動方式の平面モータを用いることもできる。この他、粗動ステージ駆動系51Aを、磁気浮上型の平面モータによって構成し、該平面モータによって粗動ステージWCSを6自由度方向に駆動できるようにしても良い。この場合、粗動スライダ部91の底面にエアベアリングを設けなくても良くなる。
一対の固定子部93a、93bそれぞれは、外形が板状の部材から成り、その内部に微動ステージWFSを駆動するための複数のコイルから成るコイルユニットCUa、CUbが収容されている。コイルユニットCUa、CUbを構成する各コイルに供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される。
微動ステージWFSは、図2(B)に示されるように、本体部81と、本体部81の長手方向の一端部と他端部にそれぞれ固定された一対の可動子部82a、82bと、本体部81の上面に一体的に固定された平面視矩形の板状部材から成るウエハテーブルWTBと、を備えている。
本体部81は、平面視でX軸方向を長手方向とする八角形板状の部材から成る。本体部81の下面には、所定厚さの所定形状、例えば平面視が矩形又は本体部81より一回り大きい八角形状の板状部材から成るスケール板83が、水平(ウエハW表面と平行)に配置されて固定されている。スケール板83の下面の少なくともウエハWよりも一回り大きい領域には、2次元グレーティング(以下、単にグレーティングと呼ぶ)RGが設けられている。グレーティングRGは、X軸方向を周期方向とする反射型回折格子(X回折格子)と、Y軸方向を周期方向とする反射型回折格子(Y回折格子)と、を含む。X回折格子及びY回折格子の格子線のピッチは、例えば1μmと設定されている。
本体部81とスケール板83とは、例えば熱膨張率が同じ又は同程度の素材で形成されることが望ましく、その素材は低熱膨張率であることが望ましい。また、グレーティングRGの表面は、保護部材、例えば光が透過可能な透明な素材で、低熱膨張率なカバーガラスによって覆われて、保護されていても良い。なお、グレーティングRGは異なる2方向に関して周期的に配列されていれば、その構成などは任意で良いし、周期方向もX、Y方向と一致していなくても良い、例えば周期方向がX、Y方向に対して45度回転しても良い。
本実施形態では、微動ステージWFSが本体部81とウエハテーブルWTBとを有するものとしたが、例えば、本体部81を設けずに、前述のアクチュエータによってウエハテーブルWTBを駆動しても良い。また、微動ステージWFSは、その上面の一部にウエハWの載置領域を有していれば良く、ウエハステージWSTの保持部、あるいはテーブル、可動部などと呼ぶことができる。
一対の可動子部82a、82bは、本体部81のX軸方向の一端面と他端面とにそれぞれ固定されたYZ断面が矩形枠状の筐体を有する。以下では、便宜上、これらの筐体を可動子部82a、82bと同一の符号を用いて、筐体82a、82bと表記する。
筐体82aは、Y軸方向寸法(長さ)及びZ軸方向寸法(高さ)が、共に固定子部93aよりも幾分大きいY軸方向に細長いYZ断面が矩形の空間(開口部)を有する。筐体82aの空間内に粗動ステージWCSの固定子部93aの−X側の端部が非接触で挿入されている。筐体82aの上壁部82a1及び底壁部82a2の内部には、磁石ユニットMUa1、MUa2が、設けられている。
可動子部82bは、可動子部82aと左右対称ではあるが同様に構成されている。筐体(可動子部)82bの空間内に粗動ステージWCSの固定子部93bの+X側の端部が非接触で挿入されている。筐体82bの上壁部82b1及び底壁部82b2の内部には、磁石ユニットMUa1、MUa2と同様に構成された磁石ユニットMUb1、MUb2が、設けられている。
上述のコイルユニットCUa、CUbは、磁石ユニットMUa1、MUa2及びMUb1、MUb2にそれぞれ対応するように固定子部93a及び93bの内部にそれぞれ収容されている。
磁石ユニットMUa1、MUa2及びMUb1、MUb2、並びにコイルユニットCUa、CUbの構成は、例えば米国特許出願公開第2010/0073652号明細書及び米国特許出願公開第2010/0073653号明細書等に詳細に開示されている。
本実施形態では、前述した可動子部82aが有する一対の磁石ユニットMUa1、MUa2及び固定子部93aが有するコイルユニットCUaと、可動子部82bが有する一対の磁石ユニットMUb1、MUb2及び固定子部93bが有するコイルユニットCUbと、を含んで、上記米国特許出願公開第2010/0073652号明細書及び米国特許出願公開第2010/0073653号明細書と同様に、微動ステージWFSを粗動ステージWCSに対して非接触状態で浮上支持するとともに、非接触で6自由度方向へ駆動する微動ステージ駆動系52A(図16参照)が構成されている。
なお、粗動ステージ駆動系51A(図16参照)として、磁気浮上型の平面モータを用いる場合、該平面モータによって粗動ステージWCSと一体で微動ステージWFSを、Z軸、θx及びθyの各方向に微小駆動可能となるので、微動ステージ駆動系52Aは、X軸、Y軸及びθzの各方向、すなわちXY平面内の3自由度方向に微動ステージWFSを駆動可能な構成にしても良い。この他、例えば粗動ステージWCSの一対の側壁部92a,92bのそれぞれに、各一対の電磁石を、微動ステージWFSの八角形の斜辺部に対向して設け、各電磁石に対向して微動ステージWFSに磁性体部材を設けても良い。このようにすると、電磁石の磁力により、微動ステージWFSをXY平面内で駆動できるので、可動子部82a,82bと、固定子部93a,93bとによって一対のY軸リニアモータを構成しても良い。
ウエハテーブルWTBの上面の中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハホルダは、ウエハテーブルWTBと一体に形成されていても良いし、ウエハテーブルWTBに対して、例えば静電チャック機構あるいはクランプ機構等を介して、又は接着等により固定されていても良い。ここで、図2(B)等では、図示は省略されているが、本体部81には、ウエハテーブルWTB及びウエハホルダに設けられた孔を介して上下動可能な複数、例えば3本の上下動ピン140(図6(A)参照)が設けられている。3本の上下動ピン140は、上端面がウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)の上面の上方に位置する第1位置とウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)の上面の下方に位置する第2位置との間で上下動可能である。3本の上下動ピン140は、駆動装置142(図16参照)を介して主制御装置20によって駆動される。
ウエハテーブルWTBの上面のウエハホルダ(ウエハの載置領域)の外側には、図2(A)に示されるように、ウエハホルダよりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ矩形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)28が設けられている。プレート28は、低熱膨張率の材料、例えばガラス又はセラミックス(例えばショット社のゼロデュア(商品名)、Al2O3あるいはTiCなど)から成り、その表面には、液体Lqに対する撥液化処理が施されている。具体的には、例えばフッ素樹脂材料、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料あるいはシリコン系樹脂材料などにより撥液膜が形成されている。なお、プレート28は、その表面の全部(あるいは一部)がウエハWの表面と実質的に同一面となるようにウエハテーブルWTBの上面に固定されている。
プレート28は、ウエハテーブルWTBのX軸方向の中央に位置し、その中央に上述の円形の開口が形成された矩形の外形(輪郭)を有する第1撥液領域28aと、該第1撥液領域28aをX軸方向に挟んでウエハテーブルWTBの+X側端部、−X側端部に位置する長方形の一対の第2撥液領域28bと、を有する。なお、本実施形態では、前述の如く液体Lqとして水を用いるので、以下では第1撥液領域28a及び第2撥液領域28bをそれぞれ第1撥水板28a及び第2撥水板28bとも呼ぶ。
第1撥水板28aの+Y側の端部近傍には、計測プレート30が設けられている。この計測プレート30には、中央に基準マークFMが設けられ、該基準マークFMを挟むように一対の空間像計測スリットパターン(スリット状の計測用パターン)SLが、設けられている。そして、各空間像計測スリットパターンSLに対応して、それらを透過する照明光ILを、ウエハステージWST外部(後述する計測ステージMSTに設けられる受光系)に導く送光系(不図示)が設けられている。計測プレート30は、例えば、ウエハホルダが配置される開口と異なる、プレート28の開口内に配置され、計測プレート30とプレート28とのギャップは、ウエハテーブルWTB内に液体が流入しないように、シール部材などによって塞がれる。また、計測プレート30はその表面がプレート28の表面と実質的に同一面となるようにウエハテーブルWTBに設けられる。なお、スリットパターンSLと異なる少なくとも1つの開口部(光透過部)を計測プレート30に形成するとともに、投影光学系PLと液体とを介して開口部を透過する照明光ILをセンサで検出し、例えば、投影光学系PLの光学特性(波面収差などを含む)及び/又は照明光ILの特性(光量、前述の露光領域IA内での照度分布などを含む)などを計測可能としても良い。
一対の第2撥水板28bには、それぞれ、第1ないし第4トップサイドエンコーダシステム80A〜80Dのためのスケール391,392が形成されている。詳述すると、スケール391,392はそれぞれ、例えばY軸方向を周期方向とする回折格子とX軸方向を周期方向とする回折格子とが組み合わされた、反射型の二次元回折格子によって構成されている。二次元回折格子の格子線のピッチは、Y軸方向及びX軸方向のいずれの方向についても、例えば1μmと設定されている。また、一対の第2撥水板28bはそれぞれ、スケール(二次元格子)391,392を有するので、格子部材、スケール板、あるいはグリッド板などと呼ばれ、本実施形態では、例えば低熱膨張率のガラスプレート表面に二次元格子が形成され、その二次元格子を覆うように撥液膜が形成される。なお、図2(A)では、図示の便宜のため、格子のピッチは、実際のピッチよりも大きく図示されている。その他の図においても同様である。また、二次元格子は異なる2方向に関して周期的に配列されていれば、その構成などは任意で良いし、周期方向もX、Y方向と一致していなくても良い、例えば周期方向がX、Y方向に対して45度回転しても良い。
なお、一対の第2撥水板28bの回折格子を保護するために、撥水性をそなえた低熱膨張率のガラス板でカバーすることも有効である。ここで、ガラス板としては、厚さがウエハと同程度、例えば厚さ1mmのものを用いることができ、一例としては、そのガラス板の表面がウエハ面と実質的に同じ高さ(同一面)になるよう、ウエハテーブルWTB上面に設置される。また、少なくともウエハWの露光動作中、前述の液浸領域の液体と接しない程度に一対の第2撥水板28bがウエハWから離れて配置される場合、一対の第2撥水板28bはその表面が撥液性でなくても良い。すなわち、一対の第2撥水板28bはそれぞれ、スケール(二次元格子)が形成される、単なる格子部材で構わない。
本実施形態では、ウエハテーブルWTBにプレート28を設けるものとしたが、プレート28は設けなくても良い。この場合、ウエハテーブルWTBの上面に、ウエハホルダが配置される凹部を設け、例えば、前述した、表面が撥液性でない一対の格子部材を、ウエハテーブルWTB上でX方向に関して凹部を挟んで配置すれば良い。前述の通り、この一対の格子部材は、液浸領域の液体と接しない程度に凹部から離して配置すると良い。また、凹部内でウエハホルダに保持されるウエハWの表面がウエハテーブルWTBの上面と実質的に同一面となるように、凹部を形成しても良い。なお、ウエハテーブルWTBの上面の全部又は一部(少なくとも凹部を囲む周囲領域を含む)を撥液性としても良い。また、スケール(二次元格子)391,392が形成される一対の格子部材を凹部に近接して配置する場合、表面が撥液性でない一対の格子部材の代わりに、前述した一対の第2撥水板28bを用いても良い。
なお、各第2撥水板28bのスケールの端付近には、後述するエンコーダヘッドとスケール間の相対位置を決めるための、不図示の位置出しパターンがそれぞれ設けられている。この位置出しパターンは例えば反射率の異なる格子線から構成され、この位置出しパターン上をエンコーダヘッドが走査すると、エンコーダの出力信号の強度が変化する。そこで、予め閾値を定めておき、出力信号の強度がその閾値を超える位置を検出する。この検出された位置を基準に、エンコーダヘッドとスケール間の相対位置を設定する。また、上述の如く、本実施形態では、微動ステージWFSがウエハテーブルWTBを備えているので、以下の説明では、ウエハテーブルWTBを含む微動ステージWFSを、ウエハテーブルWTBとも表記する。
次に、説明は前後するが、チャックユニット120について説明する。チャックユニット120は、露光前のウエハを、ウエハテーブルWTB上にロードするのに先立ってローディングポジションの上方で保持するとともに、ウエハテーブルWTB上にロードするためのものである。
チャックユニット120は、図1に示されるように、メインフレームBDの下面に不図示の防振部材を介して固定された駆動部122と、駆動部122によって上下動されるチャック本体130と、を備えている。図6(A)には、チャックユニット120の正面図(−Y方向から見た図)が、図6(B)には、チャックユニット120の平面図が、それぞれ概略的に示されている。駆動部122は、モータを内蔵し、図6(A)に示されるように、上下動軸122aを介してチャック本体130を上下方向(Z軸方向)に駆動する。
チャック本体130は、上下動軸122aの下端にその上面が固定された所定厚さの平面視円形の板状部材から成るクール・プレート123、及びクール・プレート123の下面にその上面が固定されたベルヌーイ・チャック(又はフロートチャックとも呼ばれる)124等を備えている。
クール・プレート123は、ウエハを所定温度に温調するためのもので、例えばその内部に配管等が設けられており、その配管内に所定温度に温調された液体が流れることで、所定温度に温調される。クール・プレート123のX軸方向の両端部には、一対のガイド部125が設けられている。一対のガイド部125のそれぞれには、上下方向に貫通した貫通孔から成るガイド孔125aが形成されている。
一方のガイド部125に形成されたガイド孔125aの内部には、上下方向に延びる軸126が、所定の隙間を空けて挿入されている。軸126の上端部は、ガイド部125の上方に露出し、上下動回転駆動部127に接続されている。上下動回転駆動部127は、不図示の取り付け部材を介してメインフレームBDに取り付けられている。軸126の下端部はガイド部125の下方に露出し、その下端面には、XY平面内の一軸方向に延びる(図6(A)では、X軸方向に延びている)支持板128が固定されている。なお、塵埃の発生を防止するため、ガイド孔125aの内周面の複数個所にエアベアリング等の非接触軸受を配置することが望ましい。支持板128は、長手方向の一端近傍の上面が軸126に固定されている。支持板128は、上下動回転駆動部127によって、長手方向の他端部が、ベルヌーイ・チャック124の外周部の一部に対向する第1回転位置とベルヌーイ・チャック124に対向しない第2回転位置との間でθz方向に回転駆動されるとともに、所定ストロークで上下方向にも駆動される。
他方のガイド部125側にも、上記と同様の配置、構成で、上下動回転駆動部127、軸126、支持板128が設けられている。
ベルヌ−イ・チャック124は、クール・プレート123と比較して格段に薄いクール・プレート123とほぼ同じ大きさの板状の部材から成る。ベルヌ−イ・チャック124の外周面の3箇所には、例えばCCD等の撮像素子129が埋め込み状態で取り付けられている(図6(A)等では、代表的に撮像素子のうち1つのみが示されている)。3つの撮像素子129のうち1つは、ウエハW中心とベルヌ−イ・チャック124の中心とがほぼ一致した状態で、ウエハWのノッチ(V字の切り欠き、不図示)に対向する位置に配置され、残り2つの撮像素子129は、ウエハW中心とベルヌーイ・チャック124の中心とがほぼ一致した状態で、ウエハWの外周の一部に対向する位置にそれぞれ配置されている。また、ベルヌ−イ・チャック124には、例えば静電容量センサから成る不図示のギャップセンサが設けられており、その出力は主制御装置20に供給されるようになっている。
ベルヌーイ・チャックは、周知の如く、ベルヌーイ効果を利用し、吹き出される流体(例えば空気)の流速を局所的に大きくし、対象物を非接触で固定(以下では、適宜、支持あるいは保持又は吸着とも呼ぶ)するチャックである。ここで、ベルヌーイ効果とは、流体の圧力は流速が増すにつれ減少するというベルヌーイの定理(原理)が、流体機械などに及ぼす効果を言う。ベルヌーイ・チャックでは、吸着(固定)対象物の重さ、及びチャックから吹き出される流体の流速で保持状態(吸着/浮遊状態)が決まる。すなわち、対象物の大きさが既知の場合、チャックから吹き出される流体の流速に応じて、保持の際のチャックと保持対象物との隙間の寸法が定まる。本実施形態では、ベルヌ−イ・チャック124は、ウエハ(W)の吸着(支持又は保持)に用いられる。ウエハは、ベルヌ−イ・チャック124に吸着保持されることで、Z軸方向,θx及びθy方向の移動が制限され、ベルヌ−イ・チャック124に吸着保持された状態で一対の支持板128にその下面(裏面)の外周部近傍の2箇所が下方から接触支持されることで摩擦力によりX軸方向,Y軸方向及びθz方向の移動が制限される。
なお、ベルヌーイ効果を利用するチャックに限らず、ベルヌーイ効果を利用しないでウエハを非接触支持可能なチャックを使用しても良い。本実施形態では、それらチャックを含めて(総称して)ベルヌーイ・チャックと呼んでいる。
上述の撮像素子129の撮像信号は、信号処理系116(図16参照)に送られ、信号処理系116は、例えば米国特許第6,624,433号明細書などに開示されている手法により、ウエハの切り欠き(ノッチなど)を含む周縁部の3箇所を検出して、ウエハWのX軸方向、Y軸方向の位置ずれと回転(θz回転)誤差とを求める。そして、それらの位置ずれと回転誤差との情報は、主制御装置20に供給される(図16参照)。本実施形態では、ベルヌーイ・チャック124に保持されたウエハWの位置計測を行うプリアライメント装置として3つの撮像素子129を用いるものとしたが、プリアライメント装置は撮像素子に限られるものでなく、例えば光量センサなど他のセンサを用いても良い。また、プリアライメント装置はベルヌーイ・チャック124に設けられるものとしたが、例えば、プリアライメント装置を構成する発光部と受光部との一方のみをベルヌーイ・チャック124に設け、他方をウエハステージWSTあるいはメインフレームBDなどに設けても良い。さらに、発光部及び受光部の少なくとも一部、例えば、光源及び/又はセンサ(ディテクタ)などはベルヌーイ・チャック124に設けず、例えば本体フレームなど他の場所に配置しても良い。
チャックユニット120の駆動部122、ベルヌーイ・チャック124、及び一対の上下動回転駆動部127などは、主制御装置20によって制御される(図16参照)。主制御装置20によって、チャックユニット120を用いて行われる各種動作については、後述する。
次に、計測ステージMSTについて説明する。図3(A)、図3(B)及び図3(C)には、計測ステージMSTの正面図(−Y方向から見た図)、側面図(−X方向から見た図)、及び平面図(+Z方向から見た図)が、それぞれ示されている。これら図3(A)〜図3(C)に示されるように、計測ステージMSTは、平面視で(+Z方向から見て)X軸方向を長手方向とする長方形板状のスライダ部60と、スライダ部60上面の+X側の端部に固定された直方体部材から成る支持部62と、該支持部62上に片持ち支持され、計測テーブル駆動系52B(図16参照)を介して例えば6自由度方向(又はXY平面内の3自由度方向)に微小駆動される長方形板状の計測テーブルMTBとを備えている。
スライダ部60の底面には、不図示ではあるが、ベース盤12のコイルユニット(コイル17)と共に、電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータから成る計測ステージ駆動系51B(図16参照)を構成する、複数の永久磁石から成る磁石ユニットが設けられている。スライダ部60の底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング(不図示)が固定されている。計測ステージMSTは、前述のエアベアリングによって、ベース盤12の上方に所定の隙間(ギャップ、クリアランス)、例えば数μm程度の隙間を介して浮上支持され、計測ステージ駆動系51Bによって、X軸方向及びY軸方向に駆動される。なお、粗動ステージ駆動系51Aと計測ステージ駆動系51Bとは、コイルユニットを共通とするが、本実施形態では、説明の便宜上から、粗動ステージ駆動系51Aと計測ステージ駆動系51Bとを別々に観念している。実際問題としても、コイルユニットの異なるコイル17が、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとの駆動にそれぞれ用いられるので、このように観念しても問題はない。なお、計測ステージMSTはエア浮上方式としたが、例えば平面モータによる磁気浮上方式でも良い。
計測テーブルMTBには、各種計測用部材が設けられている。この計測用部材としては、例えば、図3(C)に示されるように、投影光学系PLの像面上で照明光ILを受光するピンホール状の受光部を有する照度むらセンサ95、投影光学系PLにより投影されるパターンの空間像(投影像)を計測する空間像計測器96、及び例えば国際公開第03/065428号などに開示されているシャック−ハルトマン(Shack−Hartman)方式の波面収差計測器97、並びに投影光学系PLの像面上で照明光ILを受光する所定面積の受光部を有する照度モニタ98などが設けられている。
照度むらセンサ95としては、例えば米国特許第4,465,368号明細書などに開示されるものと同様の構成のものを用いることができる。また、空間像計測器96としては、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示されるものと同様の構成のものを用いることができる。波面収差計測器97としては、例えば国際公開第99/60361号(対応欧州特許第1079223号明細書)に開示されるものも用いることができる。照度モニタ98としては、例えば米国特許出願公開第2002/0061469号明細書などに開示されるものと同様の構成のものを用いることができる。
また、計測テーブルMTBには、前述の一対の送光系(不図示)に対向し得る配置で、一対の受光系(不図示)が設けられている。本実施形態では、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとがY軸方向に関して所定距離以内に近接した状態(接触状態を含む)において、ウエハステージWST上の計測プレート30の各空間像計測スリットパターンSLを透過した照明光ILを各送光系(不図示)で案内し、計測ステージMST内の各受光系(不図示)の受光素子で受光する、空間像計測装置45(図16参照)が構成される。
なお、本実施形態では4つの計測用部材(95,96、97、98)を計測テーブルMTBに設けるものとしたが、計測用部材の種類、及び/又は数などはこれに限られない。計測用部材として、例えば投影光学系PLの透過率を計測する透過率計測器、及び/又は、前述の局所液浸装置8、例えばノズルユニット32(あるいは先端レンズ191)などを観察する計測器などを用いても良い。さらに、計測用部材と異なる部材、例えばノズルユニット32、先端レンズ191などを清掃する清掃部材などを計測ステージMSTに搭載しても良い。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと液体(水)Lqとを介して露光光(照明光)ILによりウエハWを露光する液浸露光が行われるのに対応して、照明光ILを用いる計測に使用される上記の照度むらセンサ95、空間像計測器96、波面収差計測器97、及び照度モニタ98では、投影光学系PL及び水を介して照明光ILを受光することとなる。また、各センサは、例えば光学系及び水を介して照明光ILを受光する受光面(受光部)、及び光学系などの一部だけが計測テーブルMTBに配置されていても良いし、センサ全体を計測テーブルMTBに配置されていても良い。
計測テーブルMTBの上面には、その表面が撥液膜(撥水膜)で覆われた透明部材から成るプレート63が、固定されている。プレート63は、前述のプレート28と同様の素材によって形成されている。計測テーブルMTBの下面(−Z側の面)には、前述のグレーティングRGと同様のグレーティングRGaが設けられている。
なお、計測ステージ駆動系51Bを、磁気浮上型の平面モータで構成する場合には、例えば計測ステージを6自由度方向に可動な単体のステージにしても良い。また、計測テーブルMTBにプレート63を設けなくても良い。この場合、計測テーブルMTBの上面に、前述した複数のセンサの受光面(光透過部)がそれぞれ配置される複数の開口を形成し、例えば、開口内で受光面が計測テーブルMTBの上面と実質的に同一面となるように、受光面を含む、センサの少なくとも一部を計測テーブルMTBに設ければ良い。
計測ステージMSTのXY平面内の位置情報は、主制御装置20により、ウエハステージ位置計測系16Aと同様の干渉計システムから成る計測ステージ位置計測系16B(図1及び図16参照)を用いて計測される。
計測ステージMSTは、計測アーム71Aに対して−X側から係合可能で、その係合状態では、計測テーブルMTBが計測アーム71Aの真上に位置する。このとき、計測テーブルMTBの位置情報は、グレーティングRGaに計測ビームを照射する後述する計測アーム71Aが有する複数のエンコーダヘッドによって計測される。
また、計測テーブルMTBは、粗動ステージWCSに支持されているウエハテーブルWTB(微動ステージWFS)に+Y側から例えば300μm程度以下の距離まで近接又は接触可能であり、その近接又は接触状態では、ウエハテーブルWTBの上面とともに、見かけ上一体のフルフラットな面を形成する(例えば図27参照)。計測テーブルMTB(計測ステージMST)は、主制御装置20により、計測ステージ駆動系51Bを介して駆動され、ウエハテーブルWTBとの間で液浸領域(液体Lq)の受け渡しを行う。すなわち、投影光学系PLの下に形成される液浸領域を規定する境界(boundary)の一部が、ウエハテーブルWTBの上面と計測テーブルMTBの上面との一方から他方に置き換えられる。なお、計測テーブルMTBとウエハテーブルWTBとの間の液浸領域(液体Lq)の受け渡しについてはさらに後述する。
次に、露光ステーション200にある粗動ステージWCSに移動可能に保持される微動ステージWFSの位置情報の計測に用いられる第1微動ステージ位置計測系110A(図16参照)の構成について説明する。
第1微動ステージ位置計測系110Aの第1バックサイドエンコーダシステム70Aは、図1に示されるように、ウエハステージWSTが投影光学系PLの下方に配置された状態で、粗動ステージWCSの内部に設けられた空間部内に挿入される計測アーム71Aを備えている。
計測アーム71Aは、図7に示されるように、メインフレームBDに支持部材72Aを介して片持ち状態で支持されたアーム部材711と、アーム部材711の内部に収容された後述するエンコーダヘッド(光学系の少なくとも一部)とを有する。すなわち、第1バックサイドエンコーダシステム70Aのヘッド部(光学系の少なくとも一部を含む)がウエハテーブルWTBのグレーティングRGよりも低く配置されるように、計測アーム71Aのアーム部材711と支持部材72Aとを含む計測部材(支持部材、又はメトロロジーアームとも呼ぶ)によってそのヘッド部を支持する。これにより、グレーティングRGに対して下方から、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測ビームが照射される。アーム部材711は、図8(A)に拡大して示されるように、Y軸方向を長手方向とする長方形断面を有する中空の柱状の部材から成る。アーム部材711は、例えば図19に示されるように、幅方向(X軸方向)の寸法が基端部近傍が最も広く、基端部から長手方向の中央より幾分基端部寄りの位置にかけて先端側に行くにつれて徐々に細くなり、長手方向の中央より幾分基端部寄りの位置から先端まではほぼ一定になっている。本実施形態では、第1バックサイドエンコーダシステム70Aのヘッド部を、ウエハテーブルWTBのグレーティングRGとベース盤12の表面との間に配置するものとしたが、例えばベース盤12の下方にヘッド部を配置しても良い。
アーム部材711は、低熱膨張率の素材、望ましくは0膨張の素材(例えばショット社のゼロデュア(商品名)など)から成り、その先端部には、図7に示されるように、例えば100Hz程度の固有の共振周波数を有するマスダンパー(ダイナミックダンパとも呼ばれる)69が設けられている。ここで、マスダンパーとは、弾性部材、例えばバネと重りとで構成された振り子で、これを取り付けておくと、その構造物(ここではアーム部材711)に外から振動が加わったとき、マスダンパーの共振と同じ振動周波数であれば、重りが共振振動して構造物(ここではアーム部材711)の振動エネルギを代替吸収する。これにより、その構造物(ここではアーム部材711)の特定の周波数の振動を小さく抑えることができる。なお、マスダンパー以外の振動抑制部材によってアーム部材711の振動を抑制又は防止しても良い。また、この振動抑制部材は、アーム部材711の振動に起因して生じる第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測誤差を補償する補償装置の1つであり、後述の第1トップサイドエンコーダシステム80Aも補償装置の1つである。
アーム部材711は、中空でかつ基端部が幅広になっているので、剛性が高くなっており、その平面視における形状が上述のように設定されているので、ウエハステージWSTが投影光学系PLの下方に配置された状態では、アーム部材711の先端部が粗動ステージWCSの空間部内に挿入された状態で、ウエハステージWSTが移動するが、その際にウエハステージWSTの移動の妨げとなることを防止できる。また、アーム部材711の中空部内に後述するエンコーダヘッドとの間で光(計測ビーム)を伝送する送光側(光源側)及び受光側(ディテクタ側)の光ファイバなどが通されている。なお、アーム部材711は、例えば、光ファイバなどが通される部分のみが、中空であり、他の部分は中実な部材によって形成されていても良い。
前述したようにウエハステージWSTが投影光学系PLの下方に配置された状態では、計測アーム71Aのアーム部材711は、先端部が粗動ステージWCSの空間部内に挿入され、図1及び図7に示されるように、その上面が微動ステージWFSの下面(より正確には、本体部81の下面)に設けられたグレーティングRG(図1、図7では不図示、図2(B)等参照)に対向している。アーム部材711の上面は、微動ステージWFSの下面との間に所定の隙間(ギャップ、クリアランス)、例えば数mm程度の隙間が形成された状態で、微動ステージWFS下面とほぼ平行に配置される。
第1バックサイドエンコーダシステム70Aは、図17に示されるように、微動ステージWFSのX軸、Y軸及びZ軸方向の位置をそれぞれ計測する一対の3次元エンコーダ73a、73bと、微動ステージWFSのX軸及びZ軸方向の位置を計測するXZエンコーダ73cと、微動ステージWFSのY軸及びZ軸方向の位置を計測するYZエンコーダ73dとを含む。
XZエンコーダ73c及びYZエンコーダ73dのそれぞれは、計測アーム71Aのアーム部材の内部にそれぞれ収納された、X軸及びZ軸方向を計測方向とする2次元ヘッド、及びY軸及びZ軸方向を計測方向とする2次元ヘッドを備えている。以下では、便宜上、XZエンコーダ73c及びYZエンコーダ73dのそれぞれが備える2次元ヘッドを、それぞれのエンコーダと同一の符号を用いてXZヘッド73c、YZヘッド73dと表記する。これらXZヘッド73c及びYZヘッド73dのそれぞれとしては、例えば米国特許第7,561,280号明細書に開示される変位計測センサヘッドと同様の構成のエンコーダヘッド(以下、適宜、ヘッドと略記する)を用いることができる。また、一対の3次元エンコーダ73a、73bは、計測アーム71Aのアーム部材711の内部にそれぞれ収納されたX軸、Y軸及びZ軸方向を計測方向とする3次元ヘッドを備えている。以下では、便宜上、3次元エンコーダ73a及び73bのそれぞれが備える3次元ヘッドを、それぞれのエンコーダと同一の符号を用いて3次元ヘッド73a、73bと表記する。3次元ヘッド73a、73bとしては、例えばXZヘッド73cとYZヘッド73dとを、それぞれの計測点(検出点)が同一点となり、かつX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の計測が可能となるように組み合わせて構成した3次元ヘッドを用いることができる。
図8(A)には、アーム部材711の先端部が斜視図にて示されており、図8(B)には、アーム部材711の先端部の上面を+Z方向から見た平面図が示されている。図8(A)及び図8(B)に示されるように、一対の3次元ヘッド73a、73bは、アーム部材711のセンターラインCLに関して対称な位置に配置されている。一方の3次元ヘッド73aは、X軸に平行な直線LX1上でセンターラインCLから所定距離にあるY軸に平行な直線LY1から等距離(距離aとする)の位置にある2点(図8(B)の白丸参照)から、グレーティングRG上に計測ビームLBxa1、LBxa2(図8(A)参照)を照射する。また、3次元ヘッド73aは、直線LY1上で直線LX1からともに距離aの位置にある2点から、グレーティングRG上に計測ビームLBya1、LBya2を照射する。計測ビームLBxa1、LBxa2は、グレーティングRG上の同一の照射点に照射され、また、その照射点に計測ビームLBya1、LBya2も照射される。本実施形態では、計測ビームLBxa1、LBxa2及び計測ビームLBya1、LBya2の照射点、すなわち3次元ヘッド73aの検出点(図8(B)中の符号DP1参照)は、ウエハWに照射される照明光ILの照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致している(図1参照)。ここで、直線LY1は、前述の基準軸LVに一致している。
3次元ヘッド73bは、直線LX1でセンターラインCLに関して直線LY1と対称な直線LY2からともに距離aの位置にある2点(図8(B)の白丸参照)から、グレーティングRG上に計測ビームLBxb1、LBxb2を照射する。また、3次元ヘッド73bは、直線LY2上で直線LX1からともに距離aの位置にある2点から、グレーティングRG上に計測ビームLByb1、LByb2を照射する。計測ビームLBxb1、LBxb2は、グレーティングRG上の同一の照射点に照射され、また、その照射点に計測ビームLByb1、LByb2も照射される。計測ビームLBxb1、LBxb2及び計測ビームLByb1、LByb2の照射点、すなわち3次元ヘッド73bの検出点(図8(B)中の符号DP2参照)は、露光位置の−X側に所定距離離れた点である。
XZヘッド73cは、3次元ヘッド73aの+Y側に所定距離離れた位置に配置されている。XZヘッド73cは、図8(B)に示されるように、直線LX1から所定距離+Y側に位置するX軸に平行な直線LX2上で直線LY1からともに距離aの位置にある2点(図8(B)の白丸参照)から、グレーティングRG上の共通の照射点に図8(A)においてそれぞれ破線で示される計測ビームLBxc1,LBxc2を照射する。計測ビームLBxc1,LBxc2の照射点、すなわちXZヘッド73cの検出点が、図8(B)に符号DP3で示されている。
YZヘッド73dは、3次元ヘッド73bの+Y側に所定距離離れた位置に配置されている。YZヘッド73dは、図8(B)に示されるように、直線LY2上に配置され、直線LX2からともに距離aの位置にある2点(図8(B)の白丸参照)から、グレーティングRG上の共通の照射点に図8(A)においてそれぞれ破線で示される計測ビームLByc1,LByc2を照射する。計測ビームLByc1,LByc2の照射点、すなわちYZヘッド73dの検出点が、図8(B)に符号DP4で示されている。
第1バックサイドエンコーダシステム70Aでは、グレーティングRGのX回折格子及びY回折格子を用いて微動ステージWFSのX軸、Y軸及びZ軸方向の位置を計測する一対の3次元ヘッド73a、73bによって、3次元エンコーダ73a、73bがそれぞれ構成され、グレーティングRGのX回折格子を用いて微動ステージWFSのX軸及びZ軸方向の位置を計測するXZヘッド73cによって、XZエンコーダ73cが構成され、グレーティングRGのY回折格子を用いて微動ステージWFSのY軸及びZ軸方向の位置を計測するYZヘッド73dによって、YZエンコーダ73dが構成されている。
第1バックサイドエンコーダシステム70Aのエンコーダ73a,73b,73c,73dの出力は、後述する切換部150Aを介して主制御装置20に供給される(図16、図17等参照)。
ここで、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの出力が切換部150Aを介して主制御装置20に供給されているとき、主制御装置20によって、第1バックサイドエンコーダシステム70Aを用いて行われる微動ステージWFSの6自由度方向の位置計測、及びXYZグリッドの差分計測について、図10(A)〜図12(B)に基づいて、説明する。
ここでは、前提として、図10(A)に示されるように、3次元エンコーダ73a、73bの計測値をそれぞれ(X1、Y1、Z1)、(X2、Y2、Z2)とし、XZエンコーダ73cの計測値を(X3、Z3)とし、YZエンコーダ73dの計測値を(Y3、Z4)とする。
本実施形態では、一例として、図10(B)中に塗りつぶしで示されるように、X1、Y1、Y2、Z1、Z2、及びZ3が、微動ステージWFSの6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy及びθzの各方向)の位置計測に用いられる。具体的には、主制御装置20は、X1,Y1,Z1を用いて、微動ステージWFSのX軸、Y軸、Z軸方向の位置を演算し、Y1、Y2を用いて微動ステージWFSのθz方向の位置を演算し、Z1、Z2を用いて微動ステージWFSのθy方向の位置を演算し、Z1とZ3とを用いて微動ステージWFSのθx方向の位置を演算する。
ここで、本実施形態では、3次元ヘッド73aの検出点DP1が、露光位置に一致しているので、その検出点DP1で微動ステージWFSのX軸、Y軸、Z軸方向の位置を計測するため、X1,Y1,Z1を用いて、微動ステージWFSのX軸、Y軸、Z軸方向の位置を演算している。従って、例えば、露光位置が、一対の3次元ヘッド73a、73bの検出点DP1、DP2の中央の点に一致している場合には、主制御装置20は、X1とX2との平均値、Y1とY2との平均値、Z1とZ2との平均値に基づいて、微動ステージWFSのX軸、Y軸、Z軸方向の位置を求めるようにすれば良い。
また、主制御装置20は、上記の微動ステージWFSの6自由度方向の位置計測と並行して、以下の差分計測を行なって、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系のX,Y,Zグリッド(グリッド誤差)を求める。すなわち、主制御装置20は、図10(B)及び図11(A)に示されるように、X1とX2とを用いて、XグリッドのX位置に応じたずれΔX/δxを求め、図10(B)及び図11(B)に示されるように、X1とX3とを用いて、XグリッドのY位置に応じたずれΔX/δyを求めている。これにより、図11(C)に示されるようなΔXマップが求められる。
主制御装置20は、同様に、図10(B)に示されるように、Y2とY3とを用いて、YグリッドのY位置に応じたずれΔY/δyを求め、Z3とZ4とを用いて、ZグリッドのX位置に応じたずれΔZ/δxを求め、Z2とZ4とを用いて、ZグリッドのY位置に応じたずれΔZ/δyを求めている。また、主制御装置20は、Y1とY2とを用いて、YグリッドのX位置に応じたずれΔY/δxを求めているが、このときは、微動ステージWFSのθz方向の位置を、X1とX3とを用いて演算している。これにより、図12(A)及び図12(B)にそれぞれ示されるようなΔYマップ、ΔZマップが求まる。
主制御装置20は、所定のサンプリング間隔で、上記の微動ステージWFSの6自由度方向の位置計測と並行して、上記の差分計測を繰り返し行なって、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系のグリッド誤差の更新を行う。以下では、このグリッド誤差の更新を、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系のリフレッシュと称する。
従って、本実施形態では、主制御装置20は、第1バックサイドエンコーダシステム70Aを用いることで、微動ステージWFS上に載置されたウエハWの複数のショット領域にレチクルRのパターンを転写する際、微動ステージWFSのXY平面内の位置情報の計測を、常に露光位置の直下(微動ステージWFSの裏面側)で行うことができる。
この場合、上述のヘッド73a〜73dでは、計測ビームの空気中での光路長が極短くかつほぼ等しいため、空気揺らぎの影響が殆ど無視できる。従って、第1バックサイドエンコーダシステム70Aにより、微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報を高精度に計測できる。また、第1バックサイドエンコーダシステム70AによるX軸、Y軸及びZ軸方向の実質的なグレーティング上の検出点は、それぞれ露光領域IAの中心(露光位置)に一致するので、いわゆるアッベ誤差の発生が実質的に無視できる程度に抑制される。従って、主制御装置20は、第1バックサイドエンコーダシステム70Aを用いることで、アッベ誤差なく、微動ステージWFSのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置を高精度に計測できる。なお、第1バックサイドエンコーダシステム70AはウエハテーブルWTB(又はウエハステージWST)の6自由度方向の位置情報を計測するだけでも良いが、本実施形態のように、6自由度方向の位置情報の計測に必要な複数の計測ビームとは別に少なくとも1つの計測ビームを用いてウエハテーブルWTB(又はウエハステージWST)の位置情報を計測可能とすることが好ましい。
次に、第1微動ステージ位置計測系110Aの一部を構成する、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの構成等について説明する。第1トップサイドエンコーダシステム80Aは、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと並行して微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報を計測することが可能である。
露光装置100では、図4に示されるように、投影ユニットPU(ノズルユニット32)の+X側、−X側に、一対のヘッド部62A、62Cが、それぞれ配置されている。ヘッド部62A,62Cは、後述するように、それぞれ複数のヘッドを含み、これらのヘッドが、支持部材を介して、メインフレームBD(図4では不図示、図1等参照)に吊り下げ状態で固定されている。
ヘッド部62A、62Cは、図4に示されるように、各4つの4軸ヘッド651〜654,641〜644を備えている。4軸ヘッド651〜654の筐体の内部には、図5に示されるように、X軸及びZ軸方向を計測方向とするXZヘッド65X1〜65X4と、Y軸及びZ軸方向を計測方向とするYZヘッド65Y1〜65Y4とが収容されている。同様に、4軸ヘッド641〜644の筐体の内部には、XZヘッド64X1〜64X4と、YZヘッド64Y1〜64Y4とが収容されている。XZヘッド65X1〜65X4及び64X1〜64X4、並びにYZヘッド65Y1〜65Y4及び64Y1〜64Y4のそれぞれとしては、例えば米国特許第7,561,280号明細書に開示される変位計測センサヘッドと同様の構成のエンコーダヘッドを用いることができる。
XZヘッド65X1〜65X4,64X1〜64X4(より正確には、XZヘッド65X1〜65X4,64X1〜64X4が発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、投影光学系PLの光軸AX(本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつX軸と平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LH上に、所定間隔WDで配置されている。また、YZヘッド65Y1〜65Y4,64Y1〜64Y4(より正確には、YZヘッド65Y1〜65Y4,64Y1〜64Y4が発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、基準軸LHに平行であり且つ基準軸LHから−Y側に所定距離離間する直線LH1上に、対応するXZヘッド65X1〜65X4,64X1〜64X4と同じX位置に、配置されている。以下では、必要に応じて、XZヘッド65X1〜65X4,64X1〜64X4、及びYZヘッド65Y1〜65Y4,64Y1〜64Y4を、それぞれ、XZヘッド65X,64X、及びYZヘッド65Y,64Yとも表記する。なお、基準軸LHは、前述の直線LX1に一致している。
ヘッド部62A,62Cは、それぞれスケール391,392を用いて、ウエハテーブルWTBのX軸方向の位置(X位置)及びZ軸方向の位置(Z位置)を計測する多眼(ここでは4眼)のXZリニアエンコーダ、及びY軸方向の位置(Y位置)及びZ位置を計測する多眼(ここでは4眼)のYZリニアエンコーダを構成する。以下では、便宜上、これらのエンコーダを、XZヘッド65X、64X、YZヘッド65Y、64Yとそれぞれ同一の符号を用いて、XZリニアエンコーダ65X、64X、及びYZリニアエンコーダ65Y、64Yと表記する(図17参照)。
本実施形態では、XZリニアエンコーダ65XとYZリニアエンコーダ65Yとによって、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは4眼)の4軸エンコーダ65が構成される(図17参照)。同様に、XZリニアエンコーダ64XとYZリニアエンコーダ64Yとによって、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは4眼)の4軸エンコーダ64が構成されている(図17参照)。
ここで、ヘッド部62A,62Cがそれぞれ備える4つのXZヘッド65X,64X(より正確には、XZヘッド65X,64Xが発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)及び4つのYZヘッド65Y,64Y(より正確には、YZヘッド65Y,64Yが発する計測ビームのスケール上の照射点)のX軸方向の間隔WDは、スケール391,392のX軸方向の幅より狭く設定されている。従って、露光の際などには、それぞれ4つのXZヘッド65X,64X,YZヘッド65Y,64Yのうち、少なくとも各1つのヘッドが、常に、対応するスケール391,392に対向する(計測ビームを照射する)。ここで、スケールの幅とは、回折格子(又はこの形成領域)の幅、より正確にはヘッドによる位置計測が可能な範囲を指す。
従って、4軸エンコーダ65と4軸エンコーダ64とによって、ウエハステージWSTが露光ステーション200にある場合、粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報を計測する第1トップサイドエンコーダシステム80Aが構成される。
第1トップサイドエンコーダシステム80Aを構成する、各エンコーダの計測値は、切換部150Aを介して主制御装置20に供給される(図16、図17等参照)。
また、図示は省略されているが、主制御装置20は、ウエハステージWSTをX軸方向に駆動する際、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測するXZヘッド65X、64X及びYZヘッド65Y、64Yを、隣のXZヘッド65X、64X及びYZヘッド65Y、64Yに順次切り換える。すなわち、このXZヘッド及びYZヘッドの切り換え(つなぎ)を円滑に行うために、前述の如く、ヘッド部62A,62Cに含まれる隣接するXZヘッド及びYZヘッドの間隔WDが、スケール391,392のX軸方向の幅よりも狭く設定されている。
これまでの説明からわかるように、本実施形態では、ウエハステージWSTが露光ステーション200にある場合、粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報は、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと、第1トップサイドエンコーダシステム80Aとによって並行して計測が可能である。
しかるに、第1トップサイドエンコーダシステム80Aと第1バックサイドエンコーダシステム70Aには、それぞれ次のような長所、短所がある。
第1トップサイドエンコーダシステム80Aは、プレート28の変形及びヘッド65X、64X、65Y、64Yのドリフト等の長期変動により、計測信号の静的な成分(極低周波の帯域の成分を含む)の変動が大きく、ウエハテーブルWTBの剛性が低く、振幅の大きい箇所を観察するため、周波数特性上不利であるなどの短所を有する反面、ボディの振動による影響は小さく、極低周波の帯域を除けば計測騙されは小さいなどの長所を有する。
一方、第1バックサイドエンコーダシステム70Aは、グレーティングRGの変形及びヘッド73a〜73dのドリフト等の長期変動が少なく、計測信号の静的な成分の信頼性が高く、また高周波帯域では微動ステージWFSの剛性の高い部分を観察しているため、周波数特性上有利であるなどの長所を有するが、計測アーム71A(アーム部材711)が片持ち支持構造でその長さが500mm、あるいはそれ以上であるため、100Hz〜400Hz位の帯域の暗振動(ボディの振動)の影響が大きいという短所も有する。
そこで、本実施形態では、後述する露光時を含み、露光ステーション200にウエハステージWSTが位置する際、例えば図13(A)に示されるように、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとにより並行して、微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB)の位置情報の計測を行い、より信頼性の高い方の位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTBの位置制御を行うようになっている。そのため、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとは、切換部150Aを介して主制御装置20に接続さている(図16、図17等参照)。
図18には、切換部150Aの具体的構成の一例が示されている。切換部150Aは、2つの切り換えスイッチ部158a、158bと、切り換えスイッチ部158aの1つの出力端子aを介して第1バックサイドエンコーダシステム70Aの出力信号FBが入力され、切り換えスイッチ部158bの1つの出力端子dを介して第1トップサイドエンコーダシステム80Aの出力信号FTが入力され、ハイブリッド位置信号FHを主制御装置20に出力するハイブリッドフィルタ部160と、を備えている。
切り換えスイッチ部158aは、第1バックサイドエンコーダシステム70Aに接続された入力端子(不図示)と、3つの出力端子a,b,cとを有し、入力端子と3つの出力端子a,b,cのいずれかとを切り換え接続する。この場合、出力端子bは、主制御装置20に接続され、出力端子cは、何も接続されていない端子(以下、開放端子と称する)となっている。
切り換えスイッチ部158bは、第1トップサイドエンコーダシステム80Aに接続された入力端子(不図示)と、3つの出力端子d,e,fとを有し、入力端子と3つの出力端子d,e,fのいずれかとを切り換え接続する。この場合、出力端子eは、主制御装置20に接続され、出力端子fは、開放端子となっている。
切り換えスイッチ部158a、158bの切り換えは、主制御装置20から図18中に破線で示される切り換え信号(又はセレクト信号)が入力されることで行われる。主制御装置20は、所定の処理アルゴリズムに従って、あるいは外部からの指令に応じて切り換え信号(又はセレクト信号)を切り換えスイッチ部158a、158bに入力する。
本実施形態では、切換部150Aは、主制御装置20によって次のような4つの状態が択一的に設定されるものとする。
切換部150Aは、切り換えスイッチ部158aの入力端子が出力端子aに、切り換えスイッチ部158bの入力端子が出力端子dに、それぞれ接続される第1の状態に設定される。切換部150Aは、この第1の状態では、後述するように、ハイブリッド位置信号FHを主制御装置20に出力する。
切換部150Aは、切り換えスイッチ部158aの入力端子が出力端子bに、切り換えスイッチ部158bの入力端子が出力端子eに、それぞれ接続される第2の状態に設定される。切換部150Aは、この第2の状態では、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの出力信号FB、及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの出力信号FTを、主制御装置20に出力する。
切換部150Aは、切り換えスイッチ部158aの入力端子が出力端子bに、切り換えスイッチ部158bの入力端子が開放端子fに、それぞれ接続される第3の状態に設定される。切換部150Aは、この第3の状態では、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの出力信号FBのみを、主制御装置20に出力する。
切換部150Aは、切り換えスイッチ部158aの入力端子が開放端子cに、切り換えスイッチ部158bの入力端子が出力端子eに、それぞれ接続される第4の状態に設定される。切換部150Aは、この第4の状態では、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの出力信号FTのみを、主制御装置20に出力する。
以下では、便宜上、上記第1、第2、第3、第4の状態を、切換部150Aの第1、第2、第3、第4モードと呼ぶ。すなわち、切換部150Aは、主制御装置20に対する出力の4つのモードを択一的に設定するモード設定部である。
ハイブリッドフィルタ部160は、切換部150Aが、上記第1モードに設定されているとき、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの出力信号FBと、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの出力信号FTとを入力とし、微動ステージWFSの位置制御に用いられるハイブリッド位置信号FHを主制御装置20に出力する。
ハイブリッドフィルタ部160は、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの出力信号FBがそれぞれ入力される、カットオフ周波数がfc1のローパスフィルタLfc1と、カットオフ周波数がfc2(>fc1)のハイパスフィルタHfc2とを有し、それら2つのフィルタLfc1及びHfc2をそれぞれ通過した信号の加算信号を出力する第1フィルタ部160aと、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの出力信号FTがそれぞれ入力される、カットオフ周波数がfc1のハイパスフィルタHfc1と、カットオフ周波数がfc2のローパスフィルタLfc2とを有し、それら2つのフィルタHfc1及びLfc2をそれぞれ通過した信号の加算信号を出力する第2フィルタ部160bとを備えている。ハイブリッドフィルタ部160は、第1フィルタ部160aの出力と第2フィルタ部160bの出力との加算信号をハイブリッド位置信号FHとして、主制御装置20に出力する。
ここで、カットオフ周波数fc1は、例えば第1バックサイドエンコーダシステム70Aが影響を受ける暗振動の周波数帯域100Hz〜400Hzの下限周波数100Hzより幾分低い周波数、例えば50Hzに設定される。また、カットオフ周波数fc2は、例えば第1バックサイドエンコーダシステム70Aが影響を受ける暗振動の周波数帯域100Hz〜400Hzの上限周波数400Hzより幾分高い周波数、例えば500Hzに設定される。
このようにカットオフ周波数fc1、fc2を設定した場合、ハイブリッドフィルタ部160からは、図13(B)中に実線で示されるように。50Hzより低い低周波域では、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの出力信号(位置の計測結果)が、50Hzより高く500Hzより低い中周波帯域では、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの出力信号(位置の計測結果)が、500Hzより高い高周波域では第1バックサイドエンコーダシステム70Aの出力信号(位置の計測結果)が、それぞれハイブリッド位置信号FHとして出力されることとなる。
これにより、第1トップサイドエンコーダシステム80Aがプレート変形及びヘッドのドリフトの影響を受けて計測値の信頼性が低下する低周波域では、そのような影響を受けることがなく信頼性の高い第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測値が、第1バックサイドエンコーダシステム70Aが暗振動の影響を受けて計測値の信頼性が低下する中周波域では、そのような影響を受け難く信頼性の高い第1トップサイドエンコーダシステム80Aの計測値が、第1トップサイドエンコーダシステム80AがウエハテーブルWTBの剛性が低く振幅の大きい箇所を観察するため、周波数特性上不利となる高周波域では、周波数特性上有利な第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測値が、それぞれウエハテーブルWTBのXY平面内の位置の計測結果として、主制御装置20に出力される。従って、主制御装置20では、常に信頼性の高いウエハテーブルWTBの位置計測値に基づいて、露光ステーション200にウエハステージWSTがあるとき、微動ステージWFSを駆動(位置制御)することが可能になる。
このように、本実施形態では、切換部150Aが第1モードに設定されているとき、第1バックサイドエンコーダシステム70A、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの計測情報(計測信号)を周波数帯で切り替えて、結果的に、より信頼性の高い方の計測情報に基づいて、ウエハテーブルWTBの位置制御が行われる。なお、例えば第1トップサイドエンコーダシステム80Aが、高周波域において周波数特性上不利とならない場合などには、カットオフ周波数fc2の設定は不要である。この場合には、カットオフ周波数fc1のハイパスフィルタとローパスフィルタとによって、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとの出力信号のハイブリッド位置信号を合成するフィルタ回路部を設ければ足りる。
また、切換部150Aが例えば第3モード、又は第4モードに設定されるのは、明らかに第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測情報の方が信頼性が高い場合、又は第1トップサイドエンコーダシステム80Aの計測情報の方が信頼性が高い場合である。
また、切換部150Aが第2モードに設定されるのは、第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの計測情報をいずれも取り込む必要がある場合である。
ところで、上述したように、本実施形態では、切換部150Aが第1モードに設定されているとき、中周波域において、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの計測値に基づいて、微動ステージWFSの駆動(位置制御)が行われるので、一対のスケール391、392の2次元グレーティングで設定される座標系の更新、すなわち一対のスケール391、392のグリッド(グリッド誤差)の更新(以下、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系のリフレッシュと称する)が行われることが望ましい。
そこで、主制御装置20は、ウエハステージWSTが露光ステーション200にあるとき、例えば露光中などに、以下のようにして、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系のリフレッシュを行なう。
本実施形態における第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系と第1トップサイドエンコーダシステム80Aの複数の4軸ヘッド651〜654,641〜644との関係は、図14(A)のように表すことができる。ここで、R1、R2、R3、R4は、それぞれ4軸ヘッド651、652、653、654に相当し、L1、L2、L3、L4は、それぞれ4軸ヘッド641、642、643、644に相当する。
符号Cti(i=1、2、3、4)は、LiとRiとで吊られる第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系、すなわちRiとLiとがスケール391、392をそれぞれ観察しているときに、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの露光位置直下の3次元エンコーダ73aで観察される2次元グレーティングRG上の領域に対応する部分座標系を意味する。第1バックサイドエンコーダシステム70Aの全体座標系の中心からR1、R2、R3、R4までの距離を、それぞれD1、D2、D3、D4とし、Di+D(5−i)=Wとすると、Ctiのグリッド歪Δi(xi、yi)は、次式(1)で表される。ここで、Δは、x,y,z成分を持つ3次元ベクトルである。
Δi(xi、yi)=1/W・{DiΔL(xi、yi)+D(5−i)ΔR(xi、yi)}…(1)
式(1)中の(xi、yi)を(x、y)に一般化して変形すると、次式(1)’が得られる。
WΔi(x、y)=DiΔL(x、y)+D(5−i)ΔR(x、y)…(1)’
式(1)’のiに1、2、3、4をそれぞれ代入すると、次の式(2)〜式(5)が得られる。
WΔ1(x、y)=D1ΔL(x、y)+D4ΔR(x、y)…(2)
WΔ2(x、y)=D2ΔL(x、y)+D3ΔR(x、y)…(3)
WΔ3(x、y)=D3ΔL(x、y)+D2ΔR(x、y)…(4)
WΔ4(x、y)=D4ΔL(x、y)+D1ΔR(x、y)…(5)
式(2)と式(5)との和と差とから2つの式が得られ、その2つの式を解くことで、次の2つの式が得られる。
ΔL(x、y)=WΔ1(x、y)/D1
ΔR(x、y)=WΔ4(x、y)/D4
同様に式(3)式(4)との和と差とから2つの式が得られ、その2つの式を解くことで、次の2つの式が得られる。
ΔL(x、y)=WΔ2(x、y)/D2
ΔR(x、y)=WΔ3(x、y)/D3
従って、Ctiのグリッド歪Δi(xi、yi)から、図14(B)に示されるようなスケール392、391のグリッド歪ΔL(t、s)、ΔR(t、s)を求めることができることがわかる。
主制御装置20は、所定の間隔で、例えば各ウエハの露光中に少なくとも1回、スケール392、391のグリッド歪ΔL(t、s)、ΔR(t、s)を、上述の原理に従って求め、更新する。すなわち、グリッドが更新された第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系に第1トップサイドエンコーダシステム80Aのスケールのグリッドを摺り合わせることで、そのグリッドを更新する。すなわち、このようにして、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系のリフレッシュが行われる。
ただし、主制御装置20は、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系のリフレッシュに際しては、座標系の6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy及びθzの各方向)のオフセットについては、上述した摺り合わせ及び更新はせず、そのまま保存する。その理由は、計測アーム71Aの機械的長期安定性がなく、また、例えばθx、θy、θz方向の位置計測に用いられる複数ヘッドの検出点同士の間隔が狭い等の理由から、バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系は、6自由度方向の長期安定性がなく、トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系の方が信頼できるからである。従って、バック/トップ差から上記6自由度方向のオフセットを除去後、上述のリフレッシュ処理をする。上記6自由度のオフセット成分は、後述するポスト・ストリーム処理で使用する。
次に、計測ステーション300にある粗動ステージWCSに移動可能に保持される微動ステージWFSの位置情報の計測に用いられる第2微動ステージ位置計測系110B(図16参照)の構成について説明する。
第2微動ステージ位置計測系110Bの第2バックサイドエンコーダシステム70Bは、ウエハステージWSTがアライメント装置99(アライメント系AL1、AL21〜AL24)の下方に配置された状態で、粗動ステージWCSの内部に設けられた空間部内に挿入される計測アーム71B(図1参照)を備えている。
計測アーム71Bは、図9(A)に示されるように、メインフレームBDに支持部材72Bを介して片持ち状態で支持されたアーム部材712と、アーム部材712の内部に収容された後述するエンコーダヘッド(光学系)とを有する。計測アーム71Bは、アーム部材712の長さが前述したアーム部材711と比べて長いが、全体的には前述の計測アーム71Aと概略左右対称に構成されている。
前述したようにウエハステージWSTがアライメント装置99(アライメント系AL1、AL21〜AL24)の下方に配置された状態では、図9(A)に示されるように、計測アーム71Bのアーム部材712は、先端部が粗動ステージWCSの空間部内に挿入され、その上面が微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB)の下面(より正確には、本体部81の下面)に設けられたグレーティングRG(図1、図7では不図示、図2(B)等参照)に対向する。アーム部材712の上面は、微動ステージWFSの下面との間に所定の隙間(ギャップ、クリアランス)、例えば数mm程度の隙間が形成された状態で、微動ステージWFS下面とほぼ平行に配置される。
第2バックサイドエンコーダシステム70Bは、図17に示されるように、前述した第1バックサイドエンコーダシステム70Aと同様、微動ステージWFSのX軸、Y軸及びZ軸方向の位置をそれぞれ計測する一対の3次元エンコーダ75a、75bと、微動ステージWFSのX軸及びZ軸方向の位置を計測するXZエンコーダ75cと、微動ステージWFSのY軸及びZ軸方向の位置を計測するYZエンコーダ75dとを含む。
XZエンコーダ75c及びYZエンコーダ75dのそれぞれは、アーム部材712の内部にそれぞれ収納された、X軸及びZ軸方向を計測方向とする2次元ヘッド、及びY軸及びZ軸方向を計測方向とする2次元ヘッドを備えている。以下では、便宜上、XZエンコーダ75c及びYZエンコーダ75dのそれぞれが備える2次元ヘッドを、それぞれのエンコーダと同一の符号を用いてXZヘッド75c、YZヘッド75dと表記する。3次元エンコーダ75a、75bは、X軸、Y軸及びZ軸方向を計測方向とする3次元ヘッドを備えている。以下では、便宜上、3次元エンコーダ75a及び75bのそれぞれが備える3次元ヘッドを、それぞれのエンコーダと同一の符号を用いて3次元ヘッド75a、75bと表記する。上記の2次元ヘッド75c、75d、3次元ヘッド75a、75bとして、前述の2次元ヘッド73c、73d、3次元ヘッド73a、73bと同様の構成のヘッドを用いることができる。
図9(B)には、計測アーム71Bの先端部が斜視図にて示されている。図9(B)に示されるように、3次元ヘッド75a、75b、及び2次元ヘッド75c及び75dは、前述の3次元ヘッド73a、73b、及び2次元ヘッド73c及び73dと左右対称ではあるが同様の位置関係で、アーム部材712の内部に配置されている。一方の3次元ヘッド75aの検出中心が、アライメント位置すなわちプライマリアライメント系AL1の検出中心と一致している。
第2バックサイドエンコーダシステム70Bのエンコーダ73a,73b,73c,73dの出力は、前述した切換部150Aと同様に構成された切換部150Bを介して主制御装置20に供給される(図16、図17等参照)。
計測ステーション300にウエハステージWSTが位置しているとき、例えば後述するウエハアライメント時などに、主制御装置20では、第2バックサイドエンコーダシステム70Bのヘッド75a〜75dによる合計10自由度の計測値に基づいて、所定のサンプリング間隔で、前述と同様のウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置計測、及びこれと並行して前述と同様の差分計測を繰り返し行なって、第2バックサイドエンコーダシステムの座標系のリフレッシュを行う。この場合の位置計測及び差分計測は、前述の露光位置を、アライメント位置に置き換えれば、前述の説明がそのまま当てはまる。
なお、本実施形態では、3次元ヘッド75aの検出点が、アライメント位置に一致しているので、その検出点で微動ステージWFSのX軸、Y軸、Z軸方向の位置を計測するため、その3次元ヘッド75aの計測値を用いて、微動ステージWFSのX軸、Y軸、Z軸方向の位置を演算している。これと異なり、例えば、アライメント位置が、一対の3次元ヘッド75a、75bの検出点の中央の点に一致している場合には、主制御装置20は、その一対の3次元ヘッド75a,75bのX軸、Y軸及びZ軸方向それぞれの計測値の平均値に基づいて、微動ステージWFSのX軸、Y軸、Z軸方向の位置を求めるようにすれば良い。
また、第2バックサイドエンコーダシステム70BによるX軸、Y軸及びZ軸方向の実質的なグレーティングRG上の検出点は、それぞれプライマリアライメント系AL1の検出中心(アライメント位置)に一致するので、いわゆるアッベ誤差の発生が実質的に無視できる程度に抑制される。従って、主制御装置20は、第2バックサイドエンコーダシステム70Bを用いることで、アッベ誤差なく、微動ステージWFSのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置を高精度に計測できる。
次に、微動ステージ位置計測系110Bの一部を構成する、第2トップサイドエンコーダシステム80Bの構成等について説明する。第2トップサイドエンコーダシステム80Bは、第2バックサイドエンコーダシステム70Bと並行して微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報を計測可能である。
露光装置100では、図4に示されるように、ヘッド部62C、62Aそれぞれの−Y側でかつアライメント系AL1、AL21〜AL24とほぼ同一のY位置に、ヘッド部62E、62Fが、それぞれ配置されている。ヘッド部62E,62Fは、後述するように、それぞれ複数のヘッドを含み、これらのヘッドが、支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。
ヘッド部62F、62Eは、図4に示されるように、各4つの4軸ヘッド681〜684,671〜674を備えている。4軸ヘッド681〜684の筐体の内部には、図5に示されるように、前述の4軸ヘッド651〜654等と同様に、XZヘッド68X1〜68X4と、YZヘッド68Y1〜68Y3とが収容されている。同様に、4軸ヘッド671〜674の筐体の内部には、XZヘッド67X1〜67X4と、YZヘッド67Y1〜67Y4とが収容されている。XZヘッド68X1〜68X4、及び67X1〜67X4、並びにYZヘッド68Y1〜68Y3及び67Y1〜67Y4のそれぞれとしては、例えば米国特許第7,561,280号明細書に開示される変位計測センサヘッドと同様の構成のエンコーダヘッドを用いることができる。
XZヘッド67X1〜67X3,68X2〜68X4(より正確には、XZヘッド67X1〜67X3,68X2〜68X4が発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、前述の基準軸LAに沿って、XZヘッド64X1〜64X3、65X2〜65X4のそれぞれとほぼ同じX位置に、配置されている。
YZヘッド67Y1〜67Y3,68Y2〜68Y4(より正確には、YZヘッド67Y1〜67Y3,68Y2〜68Y4が発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、基準軸LAに平行であり且つ基準軸LAから−Y側に離間する直線LA1上に、対応するXZヘッド67X1〜67X3,68X2〜68X4と同じX位置に、配置されている。
また、残りのXZヘッド67X4、68X1、及びYZヘッド67Y4、68Y1は、XZヘッド64X4、65X1のそれぞれとほぼ同じX位置で、セカンダリアライメント系AL21、AL24それぞれの検出中心の−Y側に、基準軸LA、直線LA1から同じ距離だけ−Y方向にずれて配置されている。以下では、必要に応じて、XZヘッド68X1〜68X4,67X1〜67X4、及びYZヘッド68Y1〜68Y4,67Y1〜67Y4を、それぞれ、XZヘッド68X,67X、及びYZヘッド68Y,67Yとも表記する。
ヘッド部62F、62Eは、それぞれスケール391,392を用いて、ウエハテーブルWTBのX位置及びZ位置を計測する多眼(ここでは4眼)のXZリニアエンコーダ、及びY位置及びZ位置を計測する多眼(ここでは4眼)のYZリニアエンコーダを構成する。以下では、便宜上、これらのエンコーダを、XZヘッド68X、67X、YZヘッド68Y、67Yとそれぞれ同一の符号を用いて、XZリニアエンコーダ68X、67X、及びYZリニアエンコーダ68Y、67Yと表記する(図17参照)。
本実施形態では、XZリニアエンコーダ68XとYZリニアエンコーダ68Yとによって、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは4眼)の4軸エンコーダ68が構成される(図17参照)。同様に、XZリニアエンコーダ67XとYZリニアエンコーダ67Yとによって、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは4眼)の4軸エンコーダ67が構成される(図17参照)。
ここで、前述と同様の理由により、アライメント計測の際などには、それぞれ4つのXZヘッド68X,67X,YZヘッド68Y,67Yのうち、少なくとも各1つのヘッドが、常に、対応するスケール391,392に対向する(計測ビームを照射する)。従って、4軸エンコーダ68と4軸エンコーダ67とによって、ウエハステージWSTが計測ステーション300にある場合、粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報を計測する第2トップサイドエンコーダシステム80Bが構成される。
第2トップサイドエンコーダシステム80Bを構成する、各エンコーダの計測値は、切換部150Bを介して主制御装置20に供給される(図16、図17等参照)。
これまでの説明からわかるように、本実施形態では、ウエハステージWSTが計測ステーション300にある場合、粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報は、第2バックサイドエンコーダシステム70Bと、第2トップサイドエンコーダシステム80Bとによって並行して計測が可能である。
また、切換部150Bは、切換部150Aと同様に、主制御装置20により、第1〜第4モードが設定される。そして、第1、第3、第4モードが設定された場合、そのモードの設定に応じて、ハイブリッドフィルタ部160によって、第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bの計測値のうち、信頼性の高い方の計測値が主制御装置20に供給され、その計測値に基づいて、ウエハステージWSTが計測ステーション300にあるとき、ウエハテーブルWTBの駆動(位置制御)が行われるようになっている。
また、主制御装置20は、前述と同様、グリッドが更新された第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系に第2トップサイドエンコーダシステム80Bのスケールのグリッドを摺り合わせることで、第2トップサイドエンコーダシステム80Bの座標系のリフレッシュを行う。
なお、第2微動ステージ位置計測系110Bの第2バックサイドエンコーダシステム70B、第2トップサイドエンコーダシステム80Bについては、これまでに説明した内容の他、先の第1バックサイドエンコーダシステム70A、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの説明をそのまま適用することができる。
ここで、説明が前後するが、後述するフォーカスマッピング時に、必要に応じて、微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB)のY軸、Z軸、θy、及びθzの各方向の位置を計測するのに用いられる、第3バックサイドエンコーダシステム70C(図16参照)について説明する。
計測アーム71Bのアーム部材712には、図9(B)に示されるように、3次元ヘッド75a、75bそれぞれの検出中心から+Y側に同一距離離れた点をそれぞれの検出中心とするように、一対のYZヘッド77a、77bが、アーム部材712の内部にさらに配置されている。+X側のYZヘッド77aの検出中心は、AF中心、すなわち前述の多点AF系(90a、90b)の検出中心に一致している。この一対のYZヘッド77a、77bにより、第3バックサイドエンコーダシステム70Cが構成される。
第3バックサイドエンコーダシステム70Cの出力は、前述した切換部150Aと同様に構成された切換部150Cを介して主制御装置20に供給される(図16、図17等参照)。第3バックサイドエンコーダシステム70Cの出力が切換部150Cを介して主制御装置20に供給されているとき、主制御装置20では、YZヘッド77aで計測されるY軸及びZ軸方向の位置情報に基づいて微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB)のY位置及びZ位置を求め、一対のYZヘッド77a、77bで計測されるY軸方向及びZ軸方向の位置情報に基づいて微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB)のθz方向の位置(θz回転)及びθy方向の位置(θy回転)を求める。
なお、アライメント中心が一対の3次元ヘッド75a、75bの検出点の中心に一致している場合、AF中心は、一対のYZヘッド77a、77bの検出点の中心に一致するように設定される。従って、この場合、主制御装置20は、一対のYZヘッド77a、77bで計測されるY軸及びZ軸方向の位置情報の平均値から微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB)のY位置及びZ位置を求める。
なお、第3バックサイドエンコーダシステム70Cについては、ヘッドの位置や数など、多少違いはあるが、これまでの説明の他、先の第1バックサイドエンコーダシステム70Aの説明を、基本的には同様に適用することができる。
本実施形態では、第3バックサイドエンコーダシステム70Cに対応して第3トップサイドエンコーダシステム80Cも設けられている(図16参照)。第3トップサイドエンコーダシステム80Cは、図4に示されるように、基準軸LVに関して対称に配置された一対の4軸ヘッド661、662を含む。一対の4軸ヘッド661、662は、それぞれ4軸ヘッド683の+Y側の位置、4軸ヘッド672の+Y側の位置に配置され、支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。一対の4軸ヘッド661、662のそれぞれは、図5に示されるように、前述の4軸ヘッド64i、65i、66i、68iと同様に、Y軸方向に沿ってそれぞれの検出点が配置されたXZヘッド66X1、66X2とYZヘッド66Y1、66Y2とを含む。一対の4軸ヘッド661、662のそれぞれが有するXZヘッド66X1、66X2の検出点のY位置がAFビームの検出中心のY位置(直線LA2上)に一致している。また、XZヘッド66X2の検出点のX位置は、XZヘッド67X2の検出点より幾分+X側に位置し、XZヘッド66X1の検出点のX位置は、XZヘッド68X3の検出点より幾分−X側に位置している。一対の4軸ヘッド661、662は、それぞれスケール391、392を用いて、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向の位置情報を計測する一対の4軸エンコーダを構成する。この一対の4軸エンコーダによって、第3トップサイドエンコーダシステム80Cが構成される。
第3トップサイドエンコーダシステム80Cを構成する、各エンコーダの計測値は、切換部150Aと同様に構成された切換部150Cを介して主制御装置20に供給される(図16、図17等参照)。
本実施形態では、第3トップサイドエンコーダシステム80Cと第3バックサイドエンコーダシステム70Cとにより、並行してウエハテーブルWTB(微動ステージWFS)の4自由度方向(Y軸、Z軸、θz及びθyの各方向)に関する位置情報を計測可能である。
また、切換部150Cは、切換部150Aと同様に、主制御装置20により、第1〜第4モードが設定される。そして、第1、第3、第4モードが設定された場合、そのモードの設定に応じて、ハイブリッドフィルタ部160によって、第3バックサイドエンコーダシステム70C及び第3トップサイドエンコーダシステム80Cの計測値のうち、信頼性の高い方の計測値が主制御装置20に供給されるようになっている。
ただし、後述するフォーカスマッピング時には、ウエハステージWSTは、計測ステーション300にあり、フォーカスマッピングと並行してウエハアライメント計測が行われており、このアライメント計測が終了するまでの間は、微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB)の6自由度方向の位置は、主制御装置20によって、第2微動ステージ位置計測系110Bの前述したハイブリッド位置信号に基づいて、サーボ制御され、第3トップサイドエンコーダシステム80C、第3バックサイドエンコーダシステム70Cの計測値は、主としてフォーカスマッピングの計測データとして用いられる。そして、ウエハアライメント計測終了後、第2微動ステージ位置計測系110Bの計測範囲からウエハテーブルが外れてからフォーカスマッピングが終了するまでの間は、主制御装置20によって、第3トップサイドエンコーダシステム80C及び/又は第3バックサイドエンコーダシステム70Cの計測値に基づいて、微動ステージWFSの駆動(位置のサーボ制御)が行われるようになっている。
本実施形態では、さらに、ウエハステージWSTが、フォーカスマッピングの終了位置から露光ステーション200まで移動する際に、その移動中のウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置を計測するための第4トップサイドエンコーダシステム80Dが設けられている(図16参照)。第4トップサイドエンコーダシステム80Dは、図4に示されるように、Y軸方向に関してヘッド部62Aとヘッド部62Fとの中間の位置に、X軸方向及びY軸方向にずれて配置された一対の3次元ヘッド791、792を含む。一対の3次元ヘッド791、792は、支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。一対の3次元ヘッド791、792のそれぞれは、図5に示されるように、Y軸方向に並んで配置されたXZヘッド79X1、79X2と、Yヘッド79Y1、79Y2とを含む。Yヘッド79Y1、79Y2は、Y軸方向を計測方向とする1次元ヘッドである。この場合、XZヘッド79X1、79X2のX位置は、それぞれXZヘッド68X2、66X1と同じ位置に設定されている。Yヘッド79Y1、79Y2のそれぞれとしては、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示される回折干渉型のエンコーダヘッドを用いることができる。
一対の3次元ヘッド791、792は、ともにスケール391を用いて、ウエハテーブルWTBのX軸,Y軸及びZ軸方向の位置情報を計測する一対の3次元エンコーダ79A、79B(図16参照)を構成する。この一対の3次元エンコーダ79A、79Bの計測値は、主制御装置20に供給される。一対の3次元ヘッド791、792は、ウエハテーブルWTBのX軸方向の中心位置が基準軸LVに一致しているとき、同一のスケール391を用いて、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置を計測可能である。一対の3次元エンコーダ79A、79Bによって、第4トップサイドエンコーダシステム80Dが構成される。
なお、第4トップサイドエンコーダシステム80Dについては、ヘッドの位置や数など、多少違いはあるが、これまでの説明の他、先の第1トップサイドエンコーダシステム80Aの説明を、基本的には同様に適用することができる。
本実施形態の露光装置100では、図4に示されるように、基準軸LV上で露光位置とアライメント位置との間の所定位置、一例として基準軸LV上で3次元ヘッド791のXZヘッド79X1とほぼ同じY位置に、アンローディングポジションUP1が設定され、アンローディングポジションUP1の−X側に所定距離隔てた位置に、待機ポジションUP2が設定されている。また、基準軸LV上でアライメント位置の−Y側にローディングポジションLPが設定されている。
アンローディングポジションUP1及び待機ポジションUP2、並びにそれらの近傍領域には、図15に示されるように、アンロード装置170が配置されている。アンロード装置170は、メインフレームBDの周囲にメインフレームBDとは振動的に分離して配置される、例えば、不図示の支持部材によって床面上に支持された平面視矩形枠状のフレームFLに取り付けられている。
アンロード装置170は、フレームFLの下面(−Z側の面)に固定されY軸に対して例えば所定角度α(αは例えば10度未満の所定角度)を成す方向に伸びる第1アーム171、第1アーム171の長手方向の一端部(+Y側端部)の一側面(+X側面)にその長手方向の一端面が固定されたX軸方向に伸びる第2アーム172、第2アーム172の長手方向に沿って移動可能な第1アンロードスライダ170A、及び第1アーム171の長手方向に沿って移動可能な第2アンロードスライダ170Bを備えている。
第1アーム171は、長手方向の一端がフレームFLの−X側の辺部におけるY軸方向中央近傍に対向し、かつ長手方向の他端がフレームFLの−X側の辺部における−Y側の端部に対向する状態で、フレームFLの下面に対向して配置された棒状部材から成る。第1アーム171は、その上面の全面又は複数ヶ所がフレームFLの下面に固定されている。第1アーム171の下面(裏面)には不図示のガイドが長手方向に沿って設けられるとともにそのガイドに平行に不図示の固定子が配置されている。
第2アーム172は、第1アーム171とほぼ同じ長さを有する棒状部材から成る。第2アーム172は、第1アーム171の長手方向の一端部(+Y側端部)の一側面(+X側面)に、第1アーム172に対してXY平面内で(90°−α)の角度を成す状態で固定されている。第2アーム172の下面(裏面)には、第1アーム171と同様に、不図示のガイドが長手方向に沿って設けられるとともにそのガイドに平行に不図示の固定子が配置されている。
第1アンロードスライダ170Aは、第2アーム172の裏面に上述のガイドに沿って移動可能に設けられた第1スライド部材173と、第1スライド部材173の下方に配置されるとともに第1スライド部材173に設けられた上下動駆動部176によって上下動される平面視X字状のウエハ把持部174と、を備えている(例えば、図36(A)参照)。第1スライド部材173には、上述の第2アーム172に配置された固定子とともに第1スライダ駆動用リニアモータを構成する可動子が内蔵されている。
ウエハ把持部174は、図15に示されるように、平面視X字状に組み合わされた一対の棒状部材から成る本体部174aと、本体部174aの4つの先端部にそれぞれ取り付けられた4つの把持部174bとを備えている。
本体部174aを構成する一対の棒状部材の長手方向寸法は、ウエハWの直径に対して僅かに長く、一対の棒状部材は互いに長手方向の中央において所定角度で交わるように配置されている。本体部174aは、一対の棒状部材の交点の部分が上下動駆動部176の駆動軸の下面に固定されている。
ここで、本体部174aの一対の棒状部材は、ウエハステージWST上のウエハWを4つの把持部174bが把持できれば良いので、一方の棒状部材の中央部上面(又は下面)に溝を形成し、その溝内に他方の棒状部材を挿入することで、それぞれの棒状部材の上面(又は下面)が高さが同じとなるように両者を固定しても良いし、一方の棒状部材の下面に他方の棒状部材を固定しても良い。一対の棒状部材の高さが異なる位置において一対の棒状部材を互いに接続する場合(例えば、一方の棒状部材の下面に他方の棒状部材を固定する場合)一方の棒状部材の両端に設けられた把持部174bのZ軸方向の長さを調整する、又は一方の棒状部材の両端部が他方の棒状部材の両端部の高さと同じになるよう上に凸(又は下に凸)形状の部材とするなどして、4つの把持部174bそれぞれの下端部のZ軸方向位置を合わせることが望ましい。
4つの把持部174bのそれぞれは、その下端部にウエハの裏面を支持可能な爪部が設けられている。4つの把持部174bのそれぞれは、不図示の駆動機構を介してそれぞれが取り付けられた棒状部材に沿ってスライド移動可能である。すなわち、4つの把持部174bは、開閉可能である(図36(C)参照)。
本実施形態では、前述の第1スライダ駆動用リニアモータ、上下動駆動部176及び把持部174bの開閉用の上記の駆動機構を含み、第1アンロードスライダ駆動系180A(図16参照)が構成されている。
第2アンロードスライダ170Bは、第1アーム171の裏面に上述のガイドに沿って移動可能に設けられた第2スライド部材175と、第2スライド部材175の下方に配置されるとともに第2スライド部材175に設けられた上下動回転駆動部179によって上下動及びZ軸周りに回転駆動されるY字保持部177とを備えている(例えば、図32(A)参照)。第2スライド部材175には、上述の第1アーム171に配置された固定子とともに第2スライダ駆動用リニアモータを構成する可動子が内蔵されている。
Y字保持部177は、図15に示されるように、平面視Y字形状を有する薄板部材から成り、その上面にウエハWを真空吸着(又は静電吸着)により吸着保持する不図示の吸着部を有している。Y字保持部177は、ウエハWに対してXY平面内の大きさが幾分小さく、吸着部上でウエハWを保持した状態でY字形状の先端部(すなわち先割れ部)がウエハWの外縁内に収まる。Y字保持部177は、上下動回転駆動部179の駆動軸の下端にY字形状の先端部とは反対側の端部が固定されている。
本実施形態では、前述の第2スライダ駆動用リニアモータ、上下動回転駆動部179を含み、第2アンロードスライダ駆動系180B(図16参照)が構成されている。
第1アンロードスライダ駆動系180A、及び第2アンロードスライダ駆動系180Bは、主制御装置20によって制御される(図16参照)。なお、アンロード装置は上述の構成に限られるものでなく、ウエハWを保持して移動可能であれば良い。また、ウエハWのアンローディングポジションも投影光学系PLとアライメント装置99との間に限られものではなく、例えば、後述の第2実施形態のようにアライメント装置99に関して投影光学系PLと反対側でアンロードを行っても良い。
図16には、露光装置100の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。主制御装置20は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、露光装置100の構成各部を統括制御する。図17には、図16の第1、第2微動ステージ位置計測系110A、110Bの具体的構成の一例が示されている。また、図18には、図16の切換部150Aの構成の一例が示されている。
次に、本実施形態に係る露光装置100における、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとを用いた並行処理動作について、図19〜図37に基づいて説明する。なお、以下の動作中、主制御装置20によって、局所液浸装置8の液体供給装置5及び液体回収装置6の制御が前述したようにして行われ、投影光学系PLの先端レンズ191の直下には常時水が満たされている。しかし、以下では、説明を分かり易くするため、液体供給装置5及び液体回収装置6の制御に関する説明は省略する。また、以後の動作説明は、多数の図面を用いて行うが、図面毎に同一の部材に符号が付されていたり、付されていなかったりしている。すなわち、図面毎に、記載している符号が異なっているが、それら図面は符号の有無に関わらず、同一構成である。これまでに説明に用いた、各図面についても同様である。また、図19以降において、計測ステージMSTは簡略化して示されている。
また、第1ないし第3バックサイドエンコーダシステム70A〜70C及び第1ないし第4トップサイドエンコーダシステム80A〜80Dの各ヘッド、多点AF系、アライメント系などは、それらを使用するとき、又はその使用の少し前にオフ状態からオン状態に設定されるが、以後の動作説明においては、この点に関する説明は省略する。
また、前提条件として、切換部150A、150Bは、一例としてともに第1モードに設定され、切換部150Cは、例えば第2モードに設定されているものとする。すなわち、第1微動ステージ位置計測系110Aからは、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとのハイブリッド位置信号FHに対応する計測値(以下、特に必要な場合を除き、第1微動ステージ位置計測系110Aの計測値と称する)が、第2微動ステージ位置計測系110Bからは、第2バックサイドエンコーダシステム70Bと第1トップサイドエンコーダシステム80Bとのハイブリッド位置信号FHに対応する計測値(以下、特に必要な場合を除き、第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値と称する)が、それぞれ、主制御装置20に対して出力される。また、第3バックサイドエンコーダシステム70C及び第3トップサイドエンコーダシステム80Cからは、それぞれの出力信号(計測値)が、主制御装置20に対して出力される。
図19には、ウエハステージWSTがローディングポジションLPにあり、計測ステージMSTが、投影光学系PLの直下にある状態が示されている。このとき、ウエハステージWSTの空間部内に計測アーム71Bが挿入され、ウエハテーブルWTBの裏面(グレーティングRG)が計測アーム71Bに対向している。このローディングポジションLPで、新たな露光前のウエハW(ここでは、一例として、あるロット(1ロットは25枚又は50枚)の中間のウエハとする)が、以下の手順でウエハステージWST上にロードされる。
このとき、露光前のウエハWは、前ウエハに対して後述するストリーム処理が終了した後、露光が開始される前の時点で、既に、ローディングポジションLPにて、前述のチャックユニット120によって支持され、その支持状態が維持されている。具体的には、図20(A)に示されるように、ウエハWは、ローディングポジションLPにおける所定高さ位置にあるベルヌーイ・チャック124によって、所定の距離(ギャップ)を保って非接触で吸着(保持又は支持)されるとともに、その裏面の外周部の2箇所が、一対の支持板128によって下方から接触支持され、6自由度方向の移動が制限されている。また、ウエハWは、クール・プレート123によって、所定温度、例えば23°Cに温調されている。
主制御装置20は、まず、図20(B)に示されるように、駆動装置142を介して前述の3本の上下動ピン140を上昇させる。そして、3本の上下動ピン140は、ベルヌーイ・チャック124に支持されているウエハWの裏面に当接すると、その当接状態を維持したまま上昇が停止される。3本の上下動ピン140は、上端面がその移動範囲の最下端位置である第2位置以外にあるとき、不図示のばねによって+Z方向に一定の力で押圧されている。
次いで、主制御装置20は、一対の上下動回転駆動部127を介して、一対の支持板128を、僅かに下降させてウエハWの裏面から離間させるとともに、図20(C)に示されるように所定角度回転させ、第2回転位置に位置させる。上記の一対の支持板128のウエハWの裏面からの離間により、新たなウエハWは、支持板128によって支持された状態から上下動ピン140によって支持された状態に移行している。なお、ベルヌーイ・チャック124によるウエハWの吸着(保持又は支持)はこの状態でも続行されており、ベルヌーイ・チャック124による吸着(保持又は支持)と、上下動ピン140の下方からの支持による摩擦力によりウエハWは、6自由度方向の移動が制限されている。また、クール・プレート123によるウエハWの温調も継続されている。
次に、主制御装置20は、図20(D)に示されるように、駆動部122及び一対の上下動回転駆動部127を制御してチャック本体130及び一対の支持板128を下方に駆動する。この場合、前述のばねの力による3本の上下動ピン140に対する上向きの力が、ウエハWに対して予圧力として与えられている。従って、チャック本体130が下方に駆動されることで、ウエハWは、下方に押され、その予圧力に抗して、3本の上下動ピン140を押し下げる。すなわち、このようにして、ウエハWは、ベルヌーイ・チャック124に対して所定ギャップを維持したまま、チャック本体130及び3本の上下動ピン140とともに下降する。そして、ウエハWの裏面がウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)に当接すると、主制御装置20はベルヌーイ・チャック124によるウエハWの吸着(保持又は支持)を解除し、ウエハWをウエハホルダに吸着保持させる。これにより、ウエハWは撓みの発生が実質的に抑制又は防止されてウエハホルダに保持される。すなわち、ベルヌーイ・チャック124は搬送機能だけでなく、前述の温調機能、及びプリアライメント機能に加えて撓み矯正(補正)機能も備えている。この撓み補正機能は、ウエハホルダに保持されるウエハWを平坦化することから平坦化機能とも呼ぶことができる。なお、ベルヌーイ・チャック124で保持されるウエハWは実質的に撓みなくフラットに維持されるものとしたが、例えば、ベルヌーイ・チャック124によってその保持したウエハWの少なくとも一部に撓みを発生させた状態でウエハWをウエハホルダに受け渡すことにより、結果的に、ウエハホルダに保持されるウエハWの撓みを抑制又は防止しても良い。また、ベルヌーイ・チャック124に保持されるウエハWの全面又は一部でZ方向の位置情報あるいは撓み情報を検出する検出装置(例えば、前述のギャップセンサなど)を設け、主制御装置20はこの検出結果を用いてベルヌーイ・チャック124によってその保持するウエハWを撓みなくフラットに維持する、あるいは少なくとも一部で撓みを発生させても良い。さらに、ベルヌーイ・チャック124によるウエハWの吸着解除は、ウエハホルダによるウエハWの吸着開始前に行っても良いが、例えばウエハWの撓み補正(平坦化)のために、ウエハホルダによるウエハWの吸着開始と同時あるいは吸着開始後に行っても良い。また、主制御装置20は、3本の上下動ピン140によるウエハWの支持の解除と同時にウエハホルダによるウエハWの吸着保持を開始しても良いし、あるいは3本の上下動ピン140によるウエハWの支持の解除に先立ってウエハホルダによるウエハWの吸着保持を開始しても良い。
ここで、主制御装置20は、ベルヌーイ・チャック124によるウエハWの吸着(保持又は支持)の解除に先立って、ウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)にその裏面(下面)が当接(接触)したウエハWの一部又は全部に対して、チャック本体130によって上方から下向きの力を与えることとしても良い。ここで、下向きの力は、重力以外の力を意味する。この下向きの力を与える方法としては、例えば、ベルヌーイ・チャック124から噴き出される気体の流量及び/又は流速を増加させる、あるいはベルヌーイ・チャック124の下面とウエハWの表面とのギャップ(隙間)を、それまでのチャック本体130の下降時の所定ギャップより狭めるなどが考えられる。いずれにしても、ウエハWは、下向きの力が与えられた後、あるいは下向きの力が与えられながら、ウエハホルダに吸着保持される。これにより、ウエハホルダに保持されるウエハWは撓みの発生が実質的に抑制又は防止される。
また、主制御装置20は、ウエハホルダによるウエハWの吸着保持が時間差を持って行われる、例えば、周辺部から中心部に向かって時間差を持って開始される、あるいは一側からその反対側に向かって時間差を持って開始されるように、ウエハホルダによる吸引状態を制御しても良い。特に、後者の場合、ウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)をθx及び/又はθy方向に傾斜させても良い。このようなウエハホルダによるウエハWの吸着保持を、ベルヌーイ・チャック124によるウエハWの撓み補正と組み合わせて実施することにより、ウエハWはその撓みが実質的に抑制又は防止されてウエハホルダに保持される。
本実施形態では、上述したチャック本体130及び3本の上下動ピン140の下降中、撮像素子129の撮像信号が、信号処理系116(図16参照)に送られ、ウエハWの位置ずれと回転誤差との情報が、主制御装置20に供給される(図16参照)。なお、3本の上下動ピン140は、ベルヌーイ・チャック124(チャック本体130)と同期して下方に駆動されるようにしても良いし、同期することなく、下方に駆動されるようにしても良い。特に、後者の場合、主制御装置20は、3本の上下動ピン140の下降速度と、チャック本体130との下降速度とを、ウエハWが平坦化されるように異ならせても良い。この場合、例えば前述のギャップセンサを、ベルヌ−イ・チャック124の複数箇所に配置し、主制御装置20は、その複数のギャップセンサを用いてウエハWの変形状態(例えば上側に凸であるか、下側に凸であるかなど)を検出し、その検出結果に応じて、3本の上下動ピン140の下降速度と、チャック本体130との下降速度とを、異ならせるようにしても良い。
本実施形態では、図20(A)からもわかるように、ローディングポジションLPにウエハテーブルWTBが戻って来た時点で、上下動ピン140が所定量上昇した状態が維持されているので、上下動ピン140がウエハホルダの内部に収納されている場合に比べてウエハロードを短時間で行うことができる。図19には、ウエハWがウエハテーブルWTB上にロードされた状態が示されている。
本実施形態では、図19に示されるように、ローディングポジションLPは、計測プレート30上の基準マークFMがプライマリアライメント系AL1の視野(検出領域)内に位置決めされる位置(すなわち、プライマリアライメント系AL1のベースライン計測(Pri−BCHK)の前半の処理を行う位置)に設定されている。
ここで、Pri−BCHKの前半の処理とは、以下のような処理を意味する。すなわち、主制御装置20は、前述した計測プレート30の中央に位置する基準マークFMを、プライマリアライメント系AL1で検出(観察)し、そのプライマリアライメント系AL1の検出結果とその検出時における微動ステージ位置計測系110Bの計測値とを対応付けてメモリに記憶する。
本実施形態では、ウエハWのロード動作と少なくとも一部並行してPri−BCHKの前半の処理が行われる。
このとき、計測ステージMSTは、計測テーブルMTBの裏面(グレーティングRGa)が計測アーム71Aに対向する状態で、計測アーム71Aに係合している。また、計測テーブルMTBと投影光学系PLとの間に液体Lqによる液浸領域14が形成されている。
また、このとき、先に露光が終了したウエハ(W0とする)は、待機ポジションUL2の所定の高さの位置で、第2アンロードスライダ170BのY字保持部177に保持されている。このウエハW0の待機状態は、次のウエハWの露光が開始され、ウエハステージWSTが、待機ポジションUL2の下方から退避した状態となるまで維持されることとなる。
次に、主制御装置20は、ウエハステージ位置計測系16Aの計測値に基づいて粗動ステージWCSを駆動するとともに、第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBの位置をサーボ制御しつつ、ウエハステージWSTのローディングポジションLPから露光ステーション200へ向けての+Y方向の移動動作を開始する。このウエハステージWSTの+Y方向への移動は、まず、例えば3つのファーストアライメントショット領域に付設されたアライメントマーク(以下、ファーストアライメントマークと略称する)を検出する位置へ向けて開始される。このとき、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置は、第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値に基づいて、サーボ制御されている。なお、粗動ステージWCSは、露光ステーション200、計測ステーション300及びその間のいずれの領域でも、ウエハステージ位置計測系16Aによって計測された位置情報に基づいて、XY平面内で駆動されるが、以下においては、この点に関する説明は省略する。
そして、+Y方向への移動中に、図21に示される位置、すなわち計測プレート30に送光系90aからの検出ビームが照射される位置にウエハステージWSTが到達すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTを停止して、フォーカスキャリブレーション前半の処理を行う。
すなわち、主制御装置20は、前述した第3トップサイドエンコーダシステム80Cの一対のXZヘッド66X1、66X2によって検出されるウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報(スケール391、392のZ位置情報)を検出しつつ、それらの情報から得られる基準平面を基準として、多点AF系(90a,90b)を用いて前述の計測プレート30表面の面位置情報を検出する。これにより、前述の基準軸LVにウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド66X1、66X2の計測値(ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、多点AF系(90a,90b)の計測プレート30表面の検出点(複数の検出点のうち中央又はその近傍に位置する検出点)における検出結果(面位置情報)との関係が求まる。
また、本実施形態では、上述のフォーカスキャリブレーション前半の処理が行われるウエハテーブルWTBの位置と、3つのファーストアライメントマークを検出する処理が行われるウエハテーブルWTBの位置とが一致しているので、主制御装置20は、フォーカスキャリブレーション前半の処理と並行して、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、3つのファーストアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図21中の星マーク参照)、上記3つのアライメント系AL1,AL22,AL23の検出結果とその検出時の第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。なお、この場合の3つのファーストアライメントマークの同時検出は、ウエハテーブルWTBのZ位置を変化させることで、複数のアライメント系AL1,AL21〜AL24とウエハテーブルWTBに載置されているウエハWとの間の、Z軸方向(フォーカス方向)における相対位置関係を変更しつつ行われている。以下で説明するセカンドアライメントショット領域以降の各アライメントショット領域に付設されたアライメントマークの検出においても同様である。
なお、フォーカスキャリブレーション前半の処理が行われるウエハテーブルWTBの位置と、ファーストアライメントマークを検出する処理が行われるウエハテーブルWTBの位置とが一致していない場合には、主制御装置20は、これらの処理を、それぞれの処理が行われる位置へのウエハテーブルWTBの到達の順で順次行えば良い。
次に、主制御装置20によって、ウエハステージWSTの+Y方向への移動(例えば5つのセカンドアライメントショット領域に付設されたアライメントマーク(以下、セカンドアライメントマークと略称する)を検出する位置に向かってのステップ移動)が開始される。
そして、ウエハステージWSTが+Y方向へ更に移動し、図22に示される位置に到達すると、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのセカンドアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図22中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時の第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。
また、本実施形態では、図22に示されるように、このセカンドアライメントマークを検出する位置で、送光系90aからの検出ビームがウエハWに当たり始める。そこで、セカンドアライメントマークの検出後、主制御装置20は、第3トップサイドエンコーダシステム80Cの4軸ヘッド661、662、並びに多点AF系(90a,90b)を用いたフォーカスマッピングを開始する。
ここで、本実施形態に係る露光装置100で行われるフォーカスマッピングについて説明する。このフォーカスマッピングに際しては、主制御装置20は、例えば図22に示されるように、スケール391,392にそれぞれ対向する第3トップサイドエンコーダシステム80Cの2つの4軸ヘッド661、662の計測値に基づいてウエハテーブルWTBのXY平面内の位置を管理している。この図22の状態では、基準軸LVに、ウエハテーブルWTBの中心(ウエハWの中心にほぼ一致)を通るY軸に平行な直線(センターライン)が一致した状態となっている。
そして、この状態で、主制御装置20は、ウエハステージWSTが+Y方向へ進行している間に、2つの4軸ヘッド661、662のそれぞれで計測されるウエハテーブルWTB表面(プレート28表面)のX軸方向両端部(一対の第2撥水板28b)のY軸及びZ軸方向に関する位置情報と、多点AF系(90a,90b)で検出される複数の検出点におけるウエハW表面のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)とを、所定のサンプリング間隔で取り込み、その取り込んだ各情報を相互に対応付けて不図示のメモリに逐次格納する。
そして、多点AF系(90a,90b)の検出ビームがウエハWに掛からなくなると、主制御装置20は、上記のサンプリングを終了し、多点AF系(90a,90b)の各検出点についての面位置情報を、同時に取り込んだ2つの4軸ヘッド661、662それぞれで計測されたZ軸方向に関する位置情報を基準とするデータに換算する。
これをさらに詳述すると、一方の4軸ヘッド662によるZ位置の計測値に基づいて、プレート28の−X側端部近傍の領域(スケール392が形成された第2撥水板28b)上の所定の点(多点AF系(90a,90b)の複数の検出点の配列とほぼ同一のX軸上の点に相当:以下、この点を左計測点と呼ぶ)における面位置情報が得られる。また、他方の4軸ヘッド661によるZ位置の計測値に基づいて、プレート28の+X側端部近傍の領域(スケール391が形成された第2撥水板28b)上の所定の点(多点AF系(90a,90b)の複数の検出点の配列とほぼ同一のX軸上の点に相当:以下、この点を右計測点と呼ぶ)における面位置情報が得られる。そこで、主制御装置20は、多点AF系(90a,90b)の各検出点における面位置情報を、左計測点の面位置と右計測点の面位置とを結ぶ直線(以下、テーブル面基準線と呼ぶ)を基準とする面位置データに換算する。このような換算を、主制御装置20は、全てのサンプリング時に取り込んだ情報について行う。
ここで、本実施形態に係る露光装置100では、上記の第3トップサイドエンコーダシステム80Cによる計測と並行して、第3バックサイドエンコーダシステム70CによるY軸方向、Z軸方向及びθy方向(並びにθz方向)に関するウエハテーブルWTB(微動ステージWFS)の位置情報の計測が可能になっている。そこで、主制御装置20は、上記の2つの4軸ヘッド661、662のそれぞれで計測されるウエハテーブルWTB表面(プレート28の表面)のX軸方向両端部のY軸及びZ軸方向に関する位置情報と、多点AF系(90a,90b)で検出される複数の検出点におけるウエハW表面のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)との取り込みと同じタイミングで、第3バックサイドエンコーダシステム70Cによる上記各方向(Y、Z、θy(及びθz))に関する位置の計測値をも取り込んでいる。そして、主制御装置20は、同時に取り込んだ第3トップサイドエンコーダシステム80Cの計測情報から得られるテーブル面基準線のデータ(Z、θy)と、第3バックサイドエンコーダシステム70の計測情報(Z、θy)との関係を求めている。これにより、上述のテーブル面基準線を基準とする面位置データを、裏面計測により得られるウエハテーブルWTBのZ位置及びθy回転で定まる、上述のテーブル面基準線に対応する基準線(以下、便宜上、裏面計測基準線と呼ぶ)を基準とする面位置データに換算することができる。
このようにして、予め上記の換算データを取得しておくことで、例えば、露光の際などには、前述のXZヘッド64X及び65XでウエハテーブルWTB表面(スケール392が形成された第2撥水板28b上の点、及びスケール391が形成された第2撥水板28b上の点)を計測して、ウエハテーブルWTBのZ位置とXY平面に対する傾斜(主としてθy回転)を算出する。この算出したウエハテーブルWTBのZ位置とXY平面に対する傾斜と前述の面位置データ(テーブル面基準線を基準とする面位置データ)とを用いることで、ウエハW表面の面位置情報を実際に取得することなく、ウエハWの面位置制御が可能になる。従って、多点AF系を投影光学系PLから離れた位置に配置しても何ら支障がないので、ワーキングディスタンス(露光時における投影光学系PLとウエハWとの間隔)が狭い露光装置などであっても、本実施形態のフォーカスマッピングは好適に適用できる。
以上の説明は、ウエハテーブルWTB表面に凹凸が存在しないことを前提にしている。しかし、実際には、ウエハテーブルWTBの表面、すなわちスケール392が形成された第2撥水板28bの表面及びスケール391が形成された第2撥水板28bの表面などには、凹凸がある。しかしながら、このようにウエハテーブルWTBの表面に凹凸が存在する場合であっても、ウエハWの子午線(ウエハ中心を通るY軸に平行な直線)上の点では、極めて高精度な面位置制御が可能である。
その理由は、フォーカスマッピングをしている際(ウエハステージWSTが+Y方向に移動している際)に、ウエハWの子午線上に位置するショット領域は、露光の際などには、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)をフォーカスマッピング時と比べてX軸方向に移動させることなく、露光位置(投影光学系PLの下)に配置されることになる。子午線上のショット領域が露光位置に達したときに、XZヘッド66X1とほぼ同一のX位置に検出点が配置されるXZヘッド65X3、及びXZヘッド66X2とほぼ同一のX位置に検出点が配置されるXZヘッド64X2は、フォーカスマッピング時にXZヘッド66X1及びXZヘッド66X2がそれぞれ面位置情報を検出していたウエハテーブルWTB上の点とほぼ同じ点における面位置情報を検出することとなる。すなわち、多点AF系(90a,90b)による面位置情報の検出の基準となる、一対のXZヘッドが計測する基準面(テーブル面基準線をY軸方向に連続させた面)が、フォーカスマッピング時と露光時とで同じになる。このため、ウエハテーブルWTBの表面に凹凸又はうねりなどが生じていたとしても、子午線上のショット領域を露光する際には、その凹凸及びうねりなどを考慮することなく、フォーカスマッピング時に得られたZ位置をそのままZ位置として用いて、露光の際のウエハのフォーカス制御を行うことができるので、高精度なフォーカス制御が可能となる。
同様に、子午線上のショット領域が露光位置に達したときに、YZヘッド77aの検出点と同一のY軸に平行な直線(基準軸LV)上にその検出点が設定される3次元ヘッド73a、及びYZヘッド77bの検出点と同一のY軸に平行な直線上にその検出点が設定される3次元ヘッド73bは、フォーカスマッピング時にYZヘッド及びYZヘッドがそれぞれ面位置情報を検出していたグレーティングRG上の点と同じ点におけるZ位置を検出し、この検出結果に基づいて、Z、θyの算出が行われることになる。すなわち、多点AF系(90a,90b)による面位置情報の検出の基準となる、前述の裏面計測基準線をY軸方向に連続させた面(以下、裏面計測基準面と呼ぶ)が、フォーカスマッピング時と露光時とで同じ点のZ位置の計測値に基づいて算出されることになる。
子午線上以外のショット領域を露光する際、ウエハテーブルWTBの表面に凹凸及びうねりなどがない場合には、上記子午線上のショット領域と同程度のフォーカス制御精度を確保できるが、ウエハテーブルWTBの表面に凹凸又はうねりなどがある場合には、フォーカス制御精度は、後述するトラバースチェックの精度に依存する。
なお、本実施形態では、セカンドアライメントマークを検出する位置にウエハステージWSTが到達したときに、送光系90aからの検出ビームがウエハWに当たり始めるため、その位置でフォーカスマッピングを開始することとした。しかし、セカンドアライメントマークを検出する位置にウエハステージWSTが到達するのに先立って、あるいは遅れて送光系90aからの検出ビームがウエハWに当たり始める場合には、セカンドアライメントマークを検出に先立って、あるいは遅れて、その検出ビームがウエハWに当たり始めた時点でフォーカスマッピングが開始されれば良い。
並行動作の説明に戻る。上記のフォーカスマッピングのためのウエハステージWSTの+Y方向への移動により、ウエハステージWSTが、図23に示される位置に達すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTをその位置で停止させる。そして、主制御装置20は、例えば5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのサードアライメントショット領域に付設されたアライメントマーク(以下、サードアライメントマークと略称する)をほぼ同時にかつ個別に検出し(図23中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時の第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。また、この時点でも、フォーカスマッピングは続行されている。
次に、主制御装置20は、例えば3つのフォースアライメントショット領域に付設されたアライメントマーク(以下、フォースアライメントマークと略称する)を検出する位置へ向けてのウエハステージWSTの+Y方向への移動を開始する。このとき、フォーカスマッピングは続行されている。
そして、ウエハステージWSTが図24に示される位置に到達すると、主制御装置20は、直ちにウエハステージWSTを停止させ、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、ウエハW上の3つのフォースアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図24中の星マーク参照)、上記3つのアライメント系AL1,AL22,AL23の検出結果とその検出時の第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。
そして、主制御装置20は、このようにして得た合計16個のアライメントマークの検出結果と対応する第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値とを用いて、例えば米国特許第4,780,617号明細書に開示されているEGA方式にて統計演算を行って、EGAパラメータ(Xオフセット、Yオフセット、直交度、ウエハ回転、ウエハXスケーリング、ウエハYスケーリングなど)を算出する。
上述のウエハアライメント(少なくともフォースアライメントマークの位置計測までの処理)が終了した後、主制御装置20は、図27に示される位置、すなわちウエハステージWSTと計測ステージMSTとを、Y軸方向に関して、接触或いは例えば300μm程度の離間距離を挟んで近接する状態(以下、接触又は近接する状態と称する)の開始位置へウエハステージWSTを移動させる。この移動は、主制御装置20により、ウエハテーブルWTBに液体が触れることがない状態で、+Y方向に一気に長ストロークでウエハステージWSTを高速移動させることで行われる。また、この移動の途中で、ウエハステージWSTが第2微動ステージ位置計測系110Bの計測範囲から外れるので、主制御装置20は、それに先立って、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御のために用いる計測系を、第2微動ステージ位置計測系110Bから第4トップサイドエンコーダシステム80Dに切り換えている。
主制御装置20は、上述の長ストロークでのウエハステージWSTの+Y方向の高速移動の開始直後は、フォーカスマッピングを続行する。そして、多点AF系(90a,90b)からの検出ビームがウエハW表面から外れると、図25示されるように、フォーカスマッピングを終了する。
上述したウエハステージWSTを+Y方向に直線的に移動させながらアライメント計測及びフォーカスマッピングを行う処理(以下、ストリーム処理と称する)中、主制御装置20は、前述の第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系のリフレッシュ及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系のリフレッシュと同様にして、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系のリフレッシュ及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bの座標系のリフレッシュを行なっている。
ところで、アライメント時など計測ステーション300におけるウエハテーブルWTBの姿勢を支配するのは第2バックサイドエンコーダシステム70Bである。しかし、先に第1バックサイドエンコーダシステム70Aについて説明したのと同様の理由により、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系の6自由度方向の長期安定性は期待できない。しかるに、グローバルなθy方向の位置(ローリング量)及びθz方向の位置(ヨーイング量)の変動は、アライメント計測の結果に影響する。そこで、主制御装置20は、上述の長ストロークでのウエハステージWSTの+Y方向の高速移動中にストリーム処理が終了した時点で、次に説明するポスト・ストリーム処理を開始し、このポスト・ストリーム処理結果を用いたアライメント演算(EGAパラメータを用いたウエハ上の全てのショット領域の配列座標の算出)並びにフォーカスマッピング結果に含まれる裏面計測基準面の補正を行う。
ここで、ポスト・ストリーム処理とは、EGA結果及びフォーカスマッピングの結果に含まれる以下の誤差要因パラメータa.〜c.を、以下のd.で説明するθy、θz及びX軸方向スケーリングのオフセットと置き換える演算処理を意味する。
a.グローバルなθyのオフセット:フォーカスマッピング結果に含まれる第3バックサイドエンコーダシステム70Cを用いる裏面計測により得られるウエハテーブルのθy方向の位置(θy回転量)
b.グローバルなθzのオフセット:EGAパラメータに含まれる直交度/ウエハの回転
c.グローバルなX軸方向スケーリングのオフセット:EGAパラメータに含まれるウエハのX軸方向スケーリング
d.第2トップサイドエンコーダシステム80B及び第3トップサイドエンコーダシステム80Cが、ストリーム処理中に観測した全データの平均から算出されたθy、θz及びX軸方向スケーリングのオフセット
ここで、X軸方向スケーリングは、アライメント計測に用いるXZヘッド67X2、68X2間、又はXZヘッド67X3、68X3間の距離(軸間隔)を不変と考え、これを基準に、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系に対する摺り合わせが行われた第2トップサイドエンコーダシステム80Bのスケール391、392の格子間隔をXZヘッド67X2、68X2又は67X3、68X3で計測し、その格子間隔の上述の基準に対する倍率をX軸方向スケーリングとする。
上記のようなポスト・ストリーム処理により、結果的にスケール391、392上の特定の1点における計測結果を用いてウエハテーブルWTBの姿勢をリセットさせるのでなく、スケール391、392全面における計測結果の平均から得られるウエハテーブルWTBの平均的な姿勢を、アライメント演算(EGAパラメータのうち、直交度/ウエハの回転、ウエハのX軸方向スケーリングが、上述の上記d.のθz及びX軸方向スケーリングに置き換えられたEGA演算式を用いたウエハ上の全てのショット領域の配列座標の算出)に用いることとなる。このアライメント演算の結果は、平均化効果により、スケール391、392上の特定の1点における計測結果を用いて姿勢をリセットさせる場合より信頼できる。
ストリーム処理におけるθz方向及びθy方向の位置計測をトップサイドエンコーダシステムのみを用いて行わない理由は、次のe.〜h.の通りである。
e. このようにすると、アライメント(及びフォーカスマッピング)はトップサイドエンコーダシステムのみ、露光はバックサイドエンコーダシステム中心となり、両者の基準が(摺り合せているとは言え)完全に別になってしまう。
f. 幅の狭い帯状の部分(3次元ヘッド75a、75bの検出点同士のX軸方向の間隔と同一幅の帯状の部分)だけであっても、アライメントにもバックサイドエンコーダシステムを用いた方が良いと考えられる。
g. バックサイドエンコーダシステムの座標系のリフレッシュ処理の精度には期待できる。その結果、常に正確なグリッド、フラットな平面に保つことが出来る。その場合、幅の狭い帯状の部分の計測であっても、θy及びθzのオフセットさえ除去できればバックサイドエンコーダシステムを基準とした方が良い。
h. トップサイドエンコーダシステムは、バックサイドエンコーダシステムの情報を反映しているが、精度上完全ではない。
次に、トラバースチェックについて説明する。まず、トラバースチェックが必要となる主要因であるストリーム処理特有の誤差要因について説明する。
ストリーム処理では、上述した説明から明らかなように、ウエハステージWSTは、Y軸に平行な直線上を移動するため、X軸方向に関して異なる点におけるウエハテーブル(微動ステージWFS)の位置情報(X、Y,Z)の取得ができない。従って、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系のリフレッシュにおいても、前述したΔX/δx、ΔY/δx、ΔZ/δxの取得ができない。すなわち、露光時には、前述した第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系のリフレッシュにより、その座標系は全体でリアルタイムに更新され、グリッド誤差が座標系全体でリアルタイムに補正されるのに対し、アライメント時には、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系のリフレッシュが行われても、その座標系は、ウエハのX軸方向中心を通るY軸方向の直線上以外は更新されず、この結果、グリッド誤差がその直線上以外の部分ではリアルタイムに補正されない。この結果、アライメント時にウエハステージの位置が管理されるアライメント時座標系と露光時にウエハステージの位置が管理される露光時座標系とに誤差が生じることになる。すなわち、これが、ストリーム処理特有の誤差要因である。
そこで、主制御装置20は、次のようなトラバースチェックを、ロット内の25又は50枚のウエハを処理する間に、予め定められた頻度(必要に応じた頻度)で、行なっている。
トラバースチェックに際し、主制御装置20は、上述のストリーム処理中に、ウエハステージWSTが、Y軸方向に関して、例えば図28に示される位置に到達したとき、第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置を管理してウエハステージWSTをX軸方向に関し所定の範囲内(ウエハテーブルWTBのセンターラインが、基準軸LVを中心とする所定幅(スケール391、392の幅及びアライメント系AL21、AL24の検出領域相互間の距離より広い幅)の範囲内でX軸方向に関して変位する範囲内)で、ステップ駆動しつつ、ウエハWの中心近傍に位置する同一のアライメントマークを、5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24を用いて順次計測する。また、主制御装置20は、上記のウエハステージWSTのX軸方向の移動中に、所定のサンプリング間隔で、ウエハテーブルWTBの一対の第2撥水板28b表面の領域(スケール391、392表面)の面位置情報を検出する一対のXZヘッド66X1、66X2の計測値と、多点AF系(90a、90b)によるウエハWの面位置情報の検出値とを同時に取り込む。
このようなトラバースチェックにより、第2微動ステージ位置計測系110Bの座標系(第2トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系及び第2バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系)と、多点AF系(90a、90b)及びアライメント系AL1、AL21〜AL24との関係をキャリブレーションすることができる。具体的には、次の通りである。
A.上記の所定範囲内でのウエハステージWSTのX軸方向の移動により、X軸方向に関して異なる点におけるウエハテーブルWTB(微動ステージWFS)の位置情報(X、Y,Z)の取得ができ、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系のリフレッシュにおいても、前述したΔX/δx、ΔY/δx、ΔZ/δxの取得が可能となり、結果として、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系のリフレッシュ、及びこれに基づく第2トップサイドエンコーダシステム80Bの座標系のリフレッシュの結果がより精度の良いものとなる。
B.上記のウエハWの中心近傍に位置する同一のアライメントマークの計測により、プライマリアライメント系AL1とセカンダリアライメント系AL21〜AL24との検出中心相互の位置関係、すなわちセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースラインが、第2微動ステージ位置計測系110Bの座標系上で求められる。
C.多点AF系(90a,90b)の各検出点についての面位置情報と、同時に取り込んだ一対のXZヘッド66X1、66X2の計測値(面位置情報)との関係を、異なるサンプリング時について求め、その求めた複数の関係から、スケール391、392表面のX軸方向に関する凹凸が、第2微動ステージ位置計測系110Bの座標系上で求められる。ただし、このスケール391、392表面のX軸方向に関する凹凸を正確に求めるためには、多点AF系(90a,90b)は、センサ間オフセットが事前に調整されている必要がある。
そして、主制御装置20は、後述する露光時に、上記のセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースラインを用いてウエハテーブルWTBの露光位置に対する位置合わせを行うと共に、スケール表面のX軸方向に関する凹凸情報等を補正量として加味しながら、ウエハWのフォーカス制御を行う。
すなわち、本実施形態では、主制御装置20は、上述のようにして、上述したストリーム処理特有の誤差要因に起因するウエハテーブルWTBの位置誤差を、ウエハステージWSTを実際にX軸方向に動かすことで補正する。
前述したポスト・ストリーム処理と並行して、図25中に破線の矢印で示されるように、前述のチャックユニット120の下方に次のウエハ(ウエハW1とする)を搬入する動作が、次のような手順で行われる。
ウエハ搬入が開始される前提として、図25に示されるように、露光前のウエハWが搭載されたウエハステージWSTがローディングポジションLPから完全に外れた位置(ローディングポジションLPの+Y側位置)にある。また、このとき、一対の支持板128は、図26(A)に示されるように、前述の第2回転位置にある。
まず、主制御装置20はウエハ搬送アーム132を駆動し、新たな(露光前の)ウエハW1を、外部装置からローディングポジションLPにあるベルヌ−イ・チャック124の下方の一対の駆動軸126の間の空間に搬入する(図26(A)参照)。
次に、主制御装置20は、チャックユニット120の駆動部122及びウエハ搬送アーム132を制御し、ベルヌーイ・チャック124と新たなウエハW1とが所定の距離、例えば数μm程度になるまでチャック本体130とウエハ搬送アーム132との少なくとも一方をZ軸方向に駆動する(図26(A)中の白矢印参照)。このとき、ベルヌーイ・チャック124と新たなウエハW1との距離は、上述の不図示のギャップセンサにより計測されている。
ベルヌ−イ・チャック124と新たなウエハW1との距離が所定の距離になると、主制御装置20は、図26(B)に示されるように、ベルヌ−イ・チャック124と新たなウエハW1とが所定の距離(ギャップ)を維持するようにベルヌ−イ・チャック124から吹き出される空気の流速を調整する。これにより、数μm程度の隙間(ギャップ、クリアランス)を介して、ウエハW1がベルヌ−イ・チャック124により上方から非接触で吸着保持される。ベルヌ−イ・チャック124によりウエハW1が吸着保持されると、ウエハW1は、クール・プレート123を介して所定の温度に温調される。
ウエハW1がベルヌ−イ・チャック124に吸着保持されると、主制御装置20は、図26(C)に示されるように、一対の上下動回転駆動部127を介して一対の支持板128を第1回転位置まで軸126と一体で回転させるとともに、チャック本体130と一対の支持板128とを両者が接近する方向に所定量Z軸方向に相対駆動して一対の支持板128によってウエハW1の裏面を接触支持させる。
そして、主制御装置20は、図26(D)に示されるように、ウエハ搬送アーム132をウエハW1から離間させて、ローディングポジションLPから退避させる。このとき、新たなウエハW1は、ベルヌーイ・チャック124と一対の支持板128とによって6自由度方向の移動が制限されている。なお、ウエハ搬送アーム132のウエハW1からの離間と、一対の支持板128のウエハW1に対する接触とは、その順序が逆でも良い。何れにしても、ウエハW1は、前ウエハWの露光が終了して、ウエハステージWSTがローディングポジションLPに戻り、そのウエハW1のロードが開始されるまで、その支持状態が維持されることとなる。
並行処理動作の説明に再び戻る。前述した長ストロークでのウエハステージWSTの+Y方向の高速移動により、図27に示される位置にウエハステージWSTが到達すると、計測ステージMSTとウエハステージWSTとは接触又は近接する状態へ移行する。この接触又は近接する状態では、計測テーブルMTBの−Y側の端面とウエハテーブルWTBの+Y側の端面とが接触或いは近接する。主制御装置20は、その接触又は近接する状態を保ちながら、両ステージWST,MSTを+Y方向に駆動する。この移動に伴い、液浸領域14の水は、計測テーブルMTB上からウエハテーブルWTB上に移動する。
そして、両ステージWST,MSTが、図29に示される計測プレート30が投影光学系PLの直下に配置される位置に到達すると、主制御装置20は、両ステージWST,MSTを停止し、Pri−BCHK後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理を行う。
ここで、Pri−BCHK後半の処理とは、投影光学系PLによって投影されたレチクルR(又はレチクルステージRST上の不図示のマーク板)上の一対の計測マークの投影像(空間像)を、計測プレート30を含む前述した空間像計測装置45を用いて計測する処理を意味する。この場合、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示される方法と同様に、一対の空間像計測スリットパターンSLを用いたスリットスキャン方式の空間像計測動作にて、一対の計測マークの空間像をそれぞれ計測し、その計測結果(ウエハテーブルWTBのXY位置に応じた空間像強度)をメモリに記憶する。このPri−BCHK後半の処理に際しては、ウエハテーブルWTBのXY平面内の位置は、第1微動ステージ位置計測系110Aの計測値に基づいて、計測制御されている。
また、フォーカスキャリブレーション後半の処理とは、ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報を計測する一対のXZヘッド65X2、64X3によって計測される面位置情報を基準として、計測プレート30(ウエハテーブルWTB)の投影光学系PLの光軸方向に関する位置(Z位置)を制御しつつ、空間像計測装置45を用いて、レチクルR上の計測マークの空間像をスリットスキャン方式で計測し、その計測結果に基づいて投影光学系PLのベストフォーカス位置を測定する処理を意味する。
このとき、液浸領域14が投影光学系PLと計測プレート30(ウエハテーブルWTB)との間に形成されているので、上記の空間像の計測は、投影光学系PL及び液体Lqを介して行われる。また、空間像計測装置45の計測プレート30などはウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)に搭載され、受光素子などは計測ステージMSTに搭載されているので、上記の空間像の計測は、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとが、接触又は近接状態を保ったままで行われる。
上記の測定により、基準軸LVに、ウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド65X2、64X3の計測値(すなわち、ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)が求まる。この計測値は、投影光学系PLのベストフォーカス位置に対応している。
上述のPri−BCHK後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理を行なった後、主制御装置20は、前述のPri−BCHKの前半の処理の結果とPri−BCHKの後半の処理の結果とに基づいて、プライマリアライメント系AL1のベースラインを算出する。また、これとともに、主制御装置20は、前述のフォーカスキャリブレーション前半の処理で得られた基準軸LVにウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド66X1、66X2の計測値(ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、多点AF系(90a,90b)の計測プレート30表面の検出点(複数の検出点のうち中央又はその近傍に位置する検出点)における検出結果(面位置情報)との関係と、上述のフォーカスキャリブレーション後半の処理で得られた投影光学系PLのベストフォーカス位置に対応するウエハテーブルWTBのセンターラインが基準軸LVに一致した状態における一対のXZヘッド65X2、64X3の計測値(すなわち、ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)とに基づいて、多点AF系(90a,90b)の代表的な検出点におけるオフセットを求め、そのオフセットが零になるように前述の光学的手法により多点AF系の検出原点を調整する。
この場合において、スループット向上の観点から、上述のPri−BCHKの後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理の一方のみを行っても良いし、両方の処理を行うことなく、次の処理に移行しても良い。勿論、Pri−BCHKの後半の処理を行わない場合には、前述のPri−BCHKの前半の処理を行う必要もない。
以上の作業が終了すると、主制御装置20は、図30に示されるように、計測ステージMSTを、+X方向かつ+Y方向に駆動して、両ステージWST,MSTの接触又は近接状態を解除する。
そして、主制御装置20は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を行い、新しいウエハW上にレチクルパターンを転写する。この露光動作は、主制御装置20により、事前に行われたウエハアライメント(EGA)の結果(前述のスケール391、392全面における計測結果の平均から得られる平均的な姿勢をアライメント演算に用いて算出されたウエハ上のすべてのショット領域の配列座標)及びアライメント系AL1(及びAL21〜AL24)の最新のベースライン等に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWSTを移動するショット間移動と、各ショット領域に対してレチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で転写する走査露光と、を繰り返すことにより行われる。なお、上記の露光動作は、先端レンズ191とウエハWとの間に液体(水)Lqを保持した状態で行われる。
また、本実施形態では、一例として最初に露光される第1ショット領域が、ウエハWの−X側半部の+Y端部に位置するショット領域に定められているため、まず、その加速開始位置へ移動するため、ウエハステージWSTが、図30に黒矢印で示されるように、+X方向かつ+Y方向に移動される。
そして、図31に黒矢印で示されるような経路に沿って、ウエハステージWSTを移動しながらウエハの−X側半部の領域を+Y側のショット領域から−Y側のショット領域の順で露光する。
上述のウエハWの−X側半部の領域の露光のため、ウエハステージWSTが、図31に黒矢印で示されるような経路に沿って+Y方向に移動すると、待機ポジションUP2で露光済みのウエハW0を保持している第2アンロードスライダ170BのY字保持部177を下降させても、ウエハステージWSTとの干渉のおそれがなくなる。このため、主制御装置20は、この時点で、図32(A)に示されるように、Y字保持部177に保持されているウエハW0を、以下の手順でウエハ搬送系との受け渡し位置まで搬送する。
すなわち、主制御装置20は、ウエハW0を保持しているY字保持部177を、図32(B)中に黒矢印で示されるように、第2アンロードスライダ駆動系180Bを介して所定量下降駆動した後、図32(C)中に黒矢印で示されるように、−Y方向に第1アーム171に沿って駆動する(図31中の白矢印参照)。この駆動の途中で、図31中に破線で示される位置にウエハW0が達すると、ウエハW0を持ち上げてもヘッド部62E等に干渉するおそれはなくなる。そこで、主制御装置20は、その時点以後、第2アンロードスライダ駆動系180Bを介して、図32(D)中に2つの黒矢印で示されるように、ウエハW0を保持しているY字保持部177を所定量上昇させつつ、ウエハ搬送系との受け渡し位置まで移動させる。このようにして、ウエハW0が、ウエハ搬送系との受け渡し位置まで搬送される。
上述のウエハW0の受け渡し位置への搬送と並行して、主制御装置20は、図33、図34中に黒矢印で示されるような経路に沿って、ウエハステージWSTを移動しながらウエハWの+X側半部の領域を−Y側のショット領域から+Y側のショット領域の順で露光する。これにより、ウエハW上の全てのショット領域の露光が終わった時点では、ウエハステージWSTは、露光開始前の位置とほぼ同一位置に戻っている。
本実施形態では、上述したショット領域の露光順序を採用しているが、その露光のためにウエハステージWSTが移動する経路の全体長さは、同じ大きさのウエハを同一のショットマップに従って露光するとした場合、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示される従来の液浸スキャナなどと大差ない。
上記の露光中、第1微動ステージ位置計測系110Aの計測値、すなわちスケール391,392にそれぞれ対向する4軸ヘッド65、64の計測値、すなわち前述の第1トップサイドエンコーダシステム80Aによる6自由度方向の位置情報の計測結果(位置の計測値)及び第1バックサイドエンコーダシステム70Aによる6自由度方向の位置情報の計測結果(位置の計測値)のうち信頼性の高い計測値が前述のハイブリッド位置信号として主制御装置20に供給され、そのハイブリッド位置信号から得られるウエハテーブルWTBの6自由度方向に関する位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御が行われる。また、この露光中のウエハテーブルWTBのZ軸方向の位置,θy回転及びθx回転の制御(ウエハWのフォーカス・レベリング制御)は、事前に行われた前述のフォーカスマッピングの結果(スケール基準面を基準とする面位置情報又はポスト・ストリーム処理結果を用いて補正された裏面計測基準面を基準とする面位置情報)に基づいて行われる。
また、主制御装置20は、露光中に、前述した冗長軸の計測値を用いた差分計測による第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系のリフレッシュを所定サンプリング間隔で行い、そのリフレッシュされた第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系に第1トップサイドエンコーダシステム80Aのスケール391,392のグリッドを摺り合わせることによるその座標系のリフレッシュを少なくとも1回行う。
上記のステップ・アンド・スキャン方式の露光動作中、ウエハステージWSTがX軸方向に移動すると、その移動に伴って、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの前述のヘッドの切り換え(複数のヘッド間における計測値の引き継ぎ)が行なわれる。このように、主制御装置20は、ウエハステージWSTの位置座標に応じて、使用する第1トップサイドエンコーダシステム80Aのエンコーダを適宜切り換えて、ステージ制御を実行している。
上述したウエハの+X側半部のショット領域の露光と並行して、受け渡し位置に搬送された露光済みのウエハW0は、不図示の搬送ロボットによって、装置外への搬出のためウエハ搬送系(不図示)に渡される。
ウエハWの露光が終了すると、主制御装置20は、計測ステージ位置計測系16Bの計測値に基づいて、計測ステージMSTを、図34中に白矢印で示されるように、XY平面内で駆動することで、露光中には互いに離れていたウエハステージWSTと計測ステージMSTとを、前述の接触又は近接する状態に移行させる。この接触又は近接する状態への移行に際し、計測ステージMSTは、横側(側方)から計測アーム71Aに係合する。この計測ステージMSTの横側からの計測アーム71Aに対する係合を可能にするため、計測ステージMSTの計測テーブルMTBは、スライダ部60上の支持部62上に片持ち支持されている。
そして、主制御装置20は、図35に示されるように、上記の接触又は近接する状態を保って、両ステージWST,MSTを−Y方向に移動させる。これにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14(液体Lq)が、ウエハテーブルWTB上から計測テーブルMTB上に移動する(受け渡される)。
上記の液浸領域14(液体Lq)のウエハテーブルWTB上から計測テーブルMTB上への受け渡しが終了した段階では、主制御装置20は、計測テーブルMTBの位置を、計測テーブルMTBの裏面に設けられたグレーティングRGaを用いる第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測値に基づいて、計測テーブル駆動系52B(図16参照)を介して制御することが可能である。従って、主制御装置20は、必要な露光に関連する計測動作を、計測テーブルMTBの6自由度方向の位置を制御しつつ行うことができる。
上記の接触又は近接する状態に移行後、液浸領域14(液体Lq)のウエハテーブルWTB上から計測テーブルMTB上への移動が完了する直前に、ウエハステージWSTが、第1微動ステージ位置計測系110Aの計測範囲から外れ、第1トップサイドエンコーダシステム80A及び第1バックサイドエンコーダシステム70AによるウエハテーブルWTBの位置計測ができなくなる。その直前に、主制御装置20は、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御に用いる位置計測系を、第1微動ステージ位置計測系110Aから第4トップサイドエンコーダシステム80D(3次元ヘッド791、792)に切り換える。
その後、ウエハステージWSTは、主制御装置20によってアンローディングポジションUP1に向けて駆動される。これにより、前述の接触又は近接する状態が解除された後、ウエハステージWSTは、アンローディングポジションUP1に移動する。この移動は、ウエハテーブルWTB上に液体Lqが触れることなく行われるので、高加速、例えば2段階の加速により短時間で行うことができる。アンローディングポジションUP1にウエハステージWSTが到達すると、主制御装置20は、露光済みのウエハWを次のような手順で、ウエハステージWST上からアンロードする。
すなわち、主制御装置20は、ウエハホルダによる露光済みのウエハWの吸着を解除した後、図36(A)に黒矢印で示されるように、3本の上下動ピン140を所定量上昇駆動してウエハWを持ち上げる。このときの3本の上下動ピンの位置は、ローディングポジションLPにウエハステージWSTが到達し、次のウエハのロードが開始されるまで維持される。
次に、主制御装置20は、第1アンロードスライダ駆動系180Aを介して、図36(B)中に白矢印で示されるように、第1アンロードスライダ170Aのウエハ把持部174を所定量下降駆動する。これにより、ウエハ把持部174の本体部174aが、ウエハWに対して所定の距離の位置まで接近する。このとき、ウエハ把持部174の4つの把持部174bは開いている。そこで、主制御装置20は、図36(C)に黒矢印で示されるように、第1アンロードスライダ駆動系180Aを介して4つの把持部174bを閉じるとともに、図36(D)に白矢印で示されるように、ウエハ把持部174を所定の高さ位置まで上昇駆動する。これにより、ウエハ把持部174の4つの把持部174bによって、ウエハWが裏面の外周部の4箇所を下方から支持した状態で、持ち上げられる。これにより、ウエハWのアンロードが終了する。
次いで、主制御装置20は、図37に示されるように、ウエハステージWSTをローディングポジションLPに向けて、ロングステップで直線的に高速駆動する。この駆動の途中で、ウエハステージWSTが計測範囲から外れて第4トップサイドエンコーダシステム80DによるウエハテーブルWTBの位置計測ができなくなる。そこで、主制御装置20は、ウエハステージWSTが第4トップサイドエンコーダシステム80Dによる計測範囲から外れる前に、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御に用いる位置計測系を、第4トップサイドエンコーダシステム80Dから第2微動ステージ位置計測系110Bに切り換えている。
ウエハステージWSTのローディングポジションLPへの移動と並行して、主制御装置20によって、図37中に白矢印で模式的に示されるように、アンローディングポジションUP1の所定の高さの位置で、第1アンロードスライダ170Aのウエハ把持部174に保持されているウエハWの待機ポジションUP2への移動が行われる。この移動は、主制御装置20によって次の手順で行われる。
すなわち、主制御装置20は、図38(A)中に黒矢印で示されるように、ウエハ把持部174によりウエハWを保持している第1アンロードスライダ170Aを、第1アンロードスライダ駆動系180Aを介して第2アーム172に沿って待機ポジションUP2における下限移動位置近傍にあるY字保持部177の真上まで移動させる。そして、主制御装置20は、図38(B)中に黒矢印で示されるように、例えば第1アンロードスライダ駆動系180Aを介してウエハWを保持しているウエハ把持部174を、ウエハWの裏面がY字保持部177の吸着部に接触するまで、下方に駆動する。あるいは、主制御装置20は、例えば第2アンロードスライダ駆動系180Bを介して、Y字保持部177の吸着部がウエハ把持部174に保持されているウエハW裏面に接触するまで、Y字保持部177を上方に駆動しても良い。
そして、ウエハWの裏面がY字保持部177の吸着部に接触すると、主制御装置20は、図38(C)中に黒矢印で示されるように、第1アンロードスライダ駆動系180A介して4つの把持部174bを開くとともに、図38(D)中に黒矢印で示されるように、ウエハ把持部174を所定量上方に駆動する。これにより、ウエハWがウエハ把持部174からY字保持部177に受け渡される。
その後、主制御装置20は、図38(E)中に黒矢印で示されるように、第1アンロードスライダ駆動系180Aを介して第1アンロードスライダ170A(ウエハ把持部174)をアンローディングポジションUP1に戻すとともに、図38(E)中に白矢印で示されるように、ウエハWを下方から吸着保持するY字保持部177を待機ポジションUP2の所定高さの位置まで上昇させる。このウエハWは、次のウエハの露光が開始され、ウエハステージWSTが、待機ポジションUP2の下方から退避した状態となるまで、待機ポジションUP2の所定の高さの位置に、Y字保持部177に保持された状態が維持される。
これにより、1枚のウエハに対する一連(1サイクル)の処理が終了し、以降、同様の動作が繰り返し実行される。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る露光装置100によると、露光ステーション200にウエハステージWSTがあるときに、粗動ステージWCSに6自由度方向に移動可能に保持されるウエハテーブルWTB(微動ステージWFS)の6自由度方向の位置を計測する第1微動ステージ位置計測系110Aが、ウエハテーブルWTBの裏面(−Z側の面)に設けられたグレーティングRGに計測ビームを下方から照射し、該計測ビームのグレーティングRGからの戻り光(反射回折光)を受光して、ウエハテーブルWTBが露光ステーション200内の所定の範囲(ウエハテーブルWTBに保持されたウエハWの露光のためウエハテーブルWTBが移動する範囲を少なくとも含む露光ステーション200内の範囲)で移動する際に、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置情報を計測する第1バックサイドエンコーダシステム70Aと、メインフレームBDに設けられたヘッド部62A、62Cを有し、ヘッド部62A、62CからウエハテーブルWTBに設けられた一対のスケール391、392(2次元グレーティング)に計測ビームを照射し、該計測ビームのスケール391、392(2次元グレーティング)からの戻り光(反射回折光)を受光して、ウエハテーブルWTBが露光ステーション200内の上記所定の範囲を移動する際に、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置情報を、第1バックサイドエンコーダシステム70Aによる前記位置情報の計測と並行して計測可能な第1トップサイドエンコーダシステム80Aと、を備えている。そして、前述の切換部150Aが第1モードに設定されている場合、主制御装置20は、ウエハテーブルWTBが露光ステーション200内の上記所定の範囲を移動する際、例えば露光時に、第1バックサイドエンコーダシステム70Aによる位置情報及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aによる位置情報のうち、信頼性の高い方の位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTBを駆動する。この駆動は、主制御装置20によって、粗動ステージ駆動系51Aを介して粗動ステージWCSが駆動されるとともに微動ステージ駆動系52Aを介してウエハテーブルWTBがサーボ駆動されることで行われる。
また、本実施形態では、切換部150Aの第1モードの設定により、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの出力信号FBと第1トップサイドエンコーダシステム80Aの出力信号FTとを前述したカットオフ周波数fc1、fc2を境として周波数帯に応じて切り換え、それらのハイブリッド位置信号FHが、主制御装置20に入力される。そして、主制御装置20が、このハイブリッド位置信号FHに対応する位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTBを、上記所定の範囲内で駆動することで、結果的に、主制御装置20は、第1バックサイドエンコーダシステム70Aによる位置情報及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aによる位置情報のうち、信頼性の高い方の位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTBを上記所定の範囲内で駆動する。従って、常に信頼性が高い位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTBを、露光ステーション200内の上記所定の範囲内で精度良く駆動することが可能になる。
また、本実施形態に係る露光装置100によると、計測ステーション300にウエハステージWSTがあるときに、粗動ステージWCSに6自由度方向に移動可能に保持されるウエハテーブルWTB(微動ステージWFS)の6自由度方向の位置を計測する第2微動ステージ位置計測系110Bが、ウエハテーブルWTBの裏面(−Z側の面)に設けられたグレーティングRGに計測ビームを下方から照射し、該計測ビームのグレーティングRGからの光(反射回折光)を受光して、ウエハテーブルWTBが計測ステーション300内の所定の範囲(前述したストリーム処理、及びトラバースチェックのため、ウエハテーブルWTBが移動する範囲を少なくとも含む計測ステーション300内の範囲、例えば露光ステーション200における前述の所定の範囲に対応する計測ステーション300における範囲)で移動する際に、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置情報を計測する第2バックサイドエンコーダシステム70Bと、メインフレームBDに設けられたヘッド部62F、62Eを有し、ヘッド部62F、62EからウエハテーブルWTB上の一対のスケール391、392(2次元グレーティング)に計測ビームを照射し、該計測ビームのスケール391、392(2次元グレーティング)からの光(反射回折光)を受光して、ウエハテーブルWTBが計測ステーション300内の上記所定の範囲を移動する際に、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置情報を、第2バックサイドエンコーダシステム70Bによる前記位置情報の計測と並行して計測可能な第2トップサイドエンコーダシステム80Bと、を備えている。そして、前述の切換部150Bが第1モードに設定されている場合、主制御装置20は、ウエハテーブルWTBが計測ステーション300内の上記所定の範囲を移動する際、例えばアライメント時に、第2バックサイドエンコーダシステム70Bによる位置情報及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bによる位置情報のうち、信頼性の高い方の位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTBをサーボ駆動する。
また、本実施形態では、切換部150Bの第1モードの設定により、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの出力信号FBと第2トップサイドエンコーダシステム80Bの出力信号FTとを前述したカットオフ周波数fc1、fc2を境として周波数帯に応じて切り換え、それらのハイブリッド位置信号FHが、主制御装置20に入力される。そして、主制御装置20が、このハイブリッド位置信号FHに対応する位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTBを、上記所定の範囲内で駆動することで、結果的に、主制御装置20は、第2バックサイドエンコーダシステム70Bによる位置情報及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bによる位置情報のうち、信頼性の高い方の位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTBを上記所定の範囲内で駆動する。従って、常に信頼性が高い位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTBを、計測ステーション300内の上記所定の範囲内で精度良く駆動することが可能になる。
また、本実施形態に係る露光装置100によると、主制御装置20により、露光時等にウエハテーブルWTBが、露光ステーション200の上記所定の範囲内で移動するときに、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系のリフレッシュ処理が所定の間隔(例えば、要求されるウエハテーブルWTBの位置制御精度に応じて定められた間隔)で繰り返し行われ、常にグリッド誤差が補正された第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系上でウエハテーブルWTBの位置が管理されつつ、ウエハWの露光が行われる。従って、第1バックサイドエンコーダシステム70AのグレーティングRGの経時的な変化などに起因する第1バックサイドエンコーダシステム70AによるウエハテーブルWTBの位置計測誤差及びそれに基づく位置制御誤差を、許容レベル内に抑制することが可能になる。
また、主制御装置20により、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとの互いに対応する部分座標系同士の関係から、更新された第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系のグリッドに基づいて、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系のグリッド歪を逆算して更新する、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系のリフレッシュが行われる。従って、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系上でウエハテーブルWTBの位置が管理される場合にも、ウエハテーブルWTBの位置計測誤差及びそれに基づく位置制御誤差を、許容レベル内に抑制することが可能になる。
また、ストリーム処理時には、主制御装置20により、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系のリフレッシュ処理が所定の間隔で繰り返し行われ、常にグリッド誤差が補正された第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系上でウエハテーブルWTBの位置が管理されつつ、アライメント計測、フォーカスマッピングが行われる。また、主制御装置20により、同様に、更新された第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系のグリッドに基づいて、第2トップサイドエンコーダシステム80Bの座標系のグリッド歪を逆算して更新する、第2トップサイドエンコーダシステム80Bの座標系のリフレッシュが行われる。従って、前述と同様に、第2バックサイドエンコーダシステム70BのグレーティングRGの継時的な変化などに起因する第2バックサイドエンコーダシステム70BによるウエハテーブルWTBの位置計測誤差及びそれに基づく位置制御誤差を、抑制することが可能になる。また、第2トップサイドエンコーダシステム80Bの座標系上でウエハテーブルWTBの位置が管理される場合にも、ウエハテーブルWTBの位置計測誤差及びそれに基づく位置制御誤差を、抑制することが可能になる。
なお、上記第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A、70Bの座標系のリフレッシュを、高次成分を含めて高精度におこなうため、正確な位置関係でマークが配置され、その表面平坦度が極めて高い基準ウエハを用意し、この基準ウエハをウエハテーブルWTB上に搭載し、ウエハテーブルWTBの位置を第2バックサイドエンコーダシステム70Bにより計測しつつ、ウエハテーブルWTBをXY平面内で移動させて、基準ウエハのマークをプライマリアライメント系AL1で計測するとともに、基準ウエハの凹凸を多点AF系(90a、90b)により計測することを行い、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系、すなわちグレーティングRGのグリッドの高次成分を含む計測(補正)を行うようにしても良い。この計測は、装置の立ち上げ時などに少なくとも1回、理論上は、ウエハ全面ではなく、ウエハの一部の領域に対して行なっていても良い。リフレッシュの対象となるグレーティングRGのグリッドの高次成分のデータを得るためであり、残りの領域は、前述のリフレッシュを行うことで補正が可能になると考えられるからである。
また、主制御装置20により、ストリーム処理独自の誤差要因に基づく、アライメント時座標系と露光時座標系との誤差を、ウエハステージWSTを実際にX軸方向に動かすことで補正する前述のトラバースチェックが、予め定められた頻度(必要に応じた頻度)で行われる。
また、ウエハアライメント結果(EGA結果)及びフォーカスマッピングの結果に含まれる誤差要因パラメータを、第2トップサイドエンコーダシステム80B及び第3トップサイドエンコーダシステム80Cが、ストリーミング処理中に観測した全データの平均から算出された対応するパラメータに置き換える演算処理、すなわち、前述のポスト・ストリーム処理が行われる。
また、本実施形態に係る露光装置100によると、計測ステーション300のY軸方向の一側(−Y側)に設定されたローディングポジションLPから露光ステーション200に向かってウエハステージWSTを+Y方向に移動させ、この移動経路の途中で複数のアライメント系ALG1、ALG21〜ALG24によるウエハ上の複数(例えば16個)のアライメントマークの検出を行う際に、その複数のマークの検出が終了するまでの間に、ウエハステージWSTの如何なる部分も液浸領域14にかからないように、投影光学系PLと複数のアライメント系ALG1、ALG21〜ALG24とのY軸方向の位置関係が設定されている。また、この上記のアライメント計測に加え前述のフォーカスマッピングを含む前述のストリーム処理は、ウエハテーブルWTBに液体が触れることなく行われるので、高速かつ高加速でウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)を移動させつつ、ストリーム処理を行うことができる。
さらに、アンローディングポジションUP1が、露光位置とアライメント位置との間に設定されているので、ウエハの露光終了後にその露光済みのウエハを直ちにウエハテーブルWTB上からアンロードした後、ローディングポジションLPに戻ることができる。また、露光終了後、計測テーブルMTBに液浸領域14(液体Lq)を渡した後、ウエハテーブルWTBは、液体に触れること無く、アンローディングポジションUP1へ、さらにはローディングポジションLPに戻る。従って、この時のウエハテーブルWTBの移動を、高速かつ高加速で行うことができる。さらに、ローディングポジションLPが、露光位置とアライメント位置とを結ぶ直線上に設定され、さらにこの位置でPri-BCHKの前半の処理が行われるので、ウエハテーブルWTB上へのウエハのロード後、直ちにストリーム処理(アライメント計測及びフォーカスマッピング)を開始することができる。また、このストリーム処理は、ウエハテーブルWTBに液体が触れることなく行われるので、高速かつ高加速でウエハテーブルを移動させつつ、ストリーム処理を行うことができる。
さらに、ウエハW上の複数のショット領域の露光順序は、−X側半部(又は+X側半部)における+Y側から−Y側のショット領域の順に露光した後、+X側半部(又は−X側半部)における−Y側から+Y側のショット領域の順に露光するので、露光が終了した時点で、アンローディングポジションUP1に最も近い位置にウエハテーブルWTBが位置している。従って、露光終了後、最短時間でアンローディングポジションUP1へのウエハテーブルWTBの移動が可能である。
また、本実施形態に係る露光装置100によると、主制御装置20は、前述のようにして構成されたチャックユニット120と3本の上下動ピン140とを用いて、前述した手順に従ってウエハを、平面度を高く維持した状態で、ウエハテーブルWTB上に位置ずれなく(再現性良く)搬入することが可能になる。また、主制御装置20は、ウエハの露光の際には、前述の第1微動ステージ位置計測系110Aで計測された位置情報に基づいて、微動ステージWFSを駆動する。従って、微動ステージWFS上に平面度を高く維持した状態で、位置ずれなく搬入されたウエハに対する高精度な露光が可能になる。
また、本実施形態に係る露光装置100によると、チャック本体130は、ウエハを非接触で保持するベルヌーイ・チャック124と、ウエハを温調するクール・プレート123とを含み、ウエハは、チャック本体130による保持が解除されるまでの間目標温度に温調される。これにより、ウエハテーブルWTB上への搬入が終了するまでの間、ウエハの目標温度の温調状態が持続される。
また、チャックユニット120が、3つの撮像素子及び信号処理系116を含む上記計測系を備えているので、該計測系により、ウエハがウエハテーブルWTB上にロードされた瞬間においてもウエハの位置ずれと回転誤差を計測することが可能になり、主制御装置20は、この計測情報をウエハの位置の補正情報として加味することで、アライメント時及び/又は露光時におけるウエハWのより精度の高い位置制御(位置決めを含む)を実現することができる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る露光装置100によると、高精度なアライメント結果、及びフォーカスマッピングの結果に基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハWに対する液浸露光による高解像度な露光が、重ねあわせ精度良く行われる。また、露光対象のウエハWが、例えば450ミリウエハなどであっても、スループットを高く維持することができる。具体的には、露光装置100では、450ミリウエハに対する露光処理を、前述した米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示される液浸スキャナで300ミリウエハに対する露光処理と、同等あるいはそれ以上の高スループットで実現することが可能である。
なお、上記実施形態では、第1微動ステージ位置計測系110Aにおいて、第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aによる計測情報(位置情報)のうち、信頼性の高い方の位置情報を選択する方法として、切換部150Aを第1モードに設定して、前述のハイブリッド位置信号に対応する位置情報として、その信頼性の高い方の位置情報が常に選択され、ウエハテーブルWTBの位置制御に用いられる場合について説明した。しかし、ウエハテーブルWTBの移動を伴う所定の動作について、第1バックサイドエンコーダシステム70A又は第1トップサイドエンコーダシステム80Aによる計測情報(位置情報)の方が信頼性が高いことが明らかである場合には、その動作の間は、切換部150Aを前述の第3モード又は第4モードに設定することで、その信頼性が高い方の位置情報が、ウエハテーブルWTBの位置制御に用いられることとしても良い。あるいは、上記実施形態と同様に、状況に応じて、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとによる計測情報(位置情報)を切り換える場合であっても、その切り換え方法は、上記実施形態の方法に限られないことは勿論である。主制御装置20は、例えば計測アーム71Aのヘッド73a〜73d(アーム部材711)の振動によって第1トップサイドエンコーダシステム80Aより第1バックサイドエンコーダシステム70Aの信頼性が低くなる周波数帯域、例えば50Hz〜500Hz、特に100Hz〜400Hzの少なくとも一部では、ウエハテーブルWTBの駆動制御のために、少なくとも第1トップサイドエンコーダシステム80Aで計測される位置情報を用いることとすることが望ましい。第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとによる計測情報(位置情報)の切り換えの基準は、出力信号の周波数帯域に限定されるものではない。いずれにしても、本実施形態によると、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとによる並行したウエハテーブルWTBの位置計測が可能であるので、一方のエンコーダシステムの単独使用、両者のシステムの併用など、両者の長所、短所に応じた種々の使用方法が可能になる。要は、主制御装置20が、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aの少なくとも一方によって計測される位置情報に基づいて、粗動ステージ駆動系51A及び/又は微動ステージ駆動系52AによるウエハテーブルWTBの駆動を制御すれば良い。なお、第2微動ステージ位置計測系110Bを構成する第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bについても、上述と同様のことが言える。
ハイブリッド制御(切換部150A、150B、150Cの第1モード)において、トップサイドエンコーダシステムとバックサイドエンコーダシステムとを、振動に応じて、具体的には同一のカットオフ周波数を有するローパスフィルタ及びハイパスフィルタを用いて、切り換えるものとしたが、これに限らず、例えば、フィルタを用いることなく、トップサイドエンコーダシステムの出力信号とバックサイドエンコーダシステムの出力信号とを重み付けして加算したハイブリッド位置信号を用いても良い。また、振動以外の要因によってトップサイドエンコーダシステムとバックサイドエンコーダシステムとを使い分ける、あるいは併用しても良い。例えば、第1微動ステージ位置計測系110Aでは、例えば走査露光中はバックサイドエンコーダシステム70Aのみを用いるようにしても良い。
ただし、露光ステーション200におけるウエハテーブルWTBの位置を計測する計測系は、第1トップサイドエンコーダシステム80を備えていなくても良く、第1バックサイドエンコーダシステム70Aのみ、あるいは第1バックサイドエンコーダシステム70Aと他の計測システム(例えば干渉計システムなど)との組み合わせなどであっても良い。第1バックサイドエンコーダシステム70Aのみの場合は勿論、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと他の計測システム(例えば干渉計システムなど)との組み合わせの場合にも、前述した切換部150Aは必ずしも設ける必要はない。すなわち、主制御装置20は、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと他の計測システムとで、露光ステーション200におけるウエハテーブルWTBの位置情報を常時計測し、ウエハテーブルWTBの位置制御は、主として、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測結果に基づいて行い、干渉計システムなどの計測結果は、エンコーダシステム150の計測結果に異常が発生した場合のバックアップに用いるなど、補助的に使用しても良い。勿論、主制御装置20は、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと他の計測システム(例えば干渉計システムなど)とを併用して、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)の位置情報を計測することとしても良い。
また、上記実施形態では、第2微動ステージ位置計測系110Bにおいて、第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bによる計測情報(位置情報)のうち、信頼性の高い方の位置情報を選択する方法は、上記と同様の方法を採用することができる。
また、上記実施形態では、第2微動ステージ位置計測系110Bが、第2バックサイドエンコーダシステム70Bと第2トップサイドエンコーダシステム80Bとを備えるものとしたが、これに限らず、計測ステーション300におけるウエハテーブルWTBの位置を計測する計測系は、第2バックサイドエンコーダシステム70Bと第2トップサイドエンコーダシステム80Bとの一方のみ、この一方のエンコーダシステムと他の計測システムとの組み合わせ、全く別の構成のエンコーダシステム、あるいは干渉計システムなどであっても良い。勿論、第2トップサイドエンコーダシステム80Bのみの場合、前述した摺り合わせによる第2トップサイドエンコーダシステム80Bの座標系のリフレッシュは行われない。
なお、上記実施形態では、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bが、エンコーダヘッドの光学系の少なくとも一部のみが内蔵されたアーム部材711、712をそれぞれ有する計測アーム71A,71Bを備える場合を説明したが、これに限らず、例えば、計測アームとしては、グレーティングRGに対向する部分から計測ビームを照射できれば、例えばアーム部材の先端部に光源や光検出器等を内蔵していても良い。この場合、アーム部材の内部に前述の光ファイバを通す必要がなくなる。さらに、アーム部材は、その外形及び断面の形状は特に問わないし、ダンピング部材も必ずしもなくても良い。また、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bは、アーム部材711、712に光源及び/又は検出器が設けられていない場合であっても、アーム部材711、712の内部を利用しなくても良い。
また、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bは、必ずしも、計測アームを備えている必要はなく、粗動ステージWCSの空間部内にグレーティングRGに対向して配置され、該グレーティングRGに少なくとも1本の計測ビームを照射し、該計測ビームのグレーティングRGからの光(反射回折光)を受光するヘッドを有し、該ヘッドの出力に基づいて微動ステージWFSの少なくともXY平面内の位置情報を計測できれば足りる。
また、上記実施形態では、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bが、それぞれ、2つの3次元ヘッドと、XZヘッド及びYZヘッドを備える場合について例示したが、ヘッドの組み合わせ配置は、これに限られないことは勿論である。例えば、冗長軸の計測値を用いた座標系のリフレッシュを行う場合であっても、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bが計測可能な自由度を10自由度に設定する必要はなく、7以上の自由度、例えば8自由度であっても良い。例えば、2つの3次元ヘッドと、XZヘッド及びYZヘッドの一方のみとを備えていても良い。この場合に、ヘッドの配置、構成なども上記実施形態のものに限られない。例えば、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bが、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置情報を計測するために複数の計測ビームをグレーティングRGに照射するとともに、これらの複数の計測ビーム、すなわちウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置情報を計測するために複数の計測ビームとは異なる少なくとも1つの計測ビームをグレーティングRGに照射することとしても良い。かかる場合、主制御装置20は、前記異なる少なくとも1つの計測ビームによって第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bで計測されるウエハテーブルWTBの位置情報を用いて、前述と同様の座標系のリフレッシュを行う、すなわちグレーティングRGに起因して生じる第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bの計測誤差を補償する情報を更新することができる。
また、例えば、前述の冗長軸の計測値を用いた座標系のリフレッシュを行わないのであれば、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bは、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置情報のみを計測可能なヘッドの組み合わせ配置にしても良い。例えば、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bは、それぞれ2つの3次元ヘッドのみを備えていても良い。この場合、この2つの3次元ヘッドが、上記実施形態と同様の配置であれば、ウエハテーブルWTBのθx方向を除く、5自由度方向の位置情報の計測が可能になる。また、2つの3次元ヘッドを、X軸方向及びY軸方向に関して互いにずらして配置すれば、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置情報の計測が可能になる。この他、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bは、それぞれ、X軸方向に並べて配置された一対のXYヘッドのみを備えていても良い。この場合、ウエハテーブルWTBのXY平面内の3自由度方向の位置情報の計測が可能となる。また、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bは、Xヘッド及び/又はYヘッドとは別にZヘッドを備えるヘッド部(光学系)を採用しても良い。
上記実施形態では、微動ステージWFSの下面(裏面)にグレーティングRGが配置されているので、微動ステージWFSを中空構造にして軽量化を図るとともに、その内部に配管、配線等を配置することとしても良い。その理由は、エンコーダヘッドから照射される計測ビームが微動ステージWFSの内部を進行しないので、微動ステージWFSを光が透過可能な中実部材とする必要がないからである。しかしながら、これに限らず、微動ステージWFSを光が透過可能な中実部材とする場合には、微動ステージの上面、すなわちウエハに対向する面にグレーティングが配置されても良いし、グレーティングは、ウエハを保持するウエハホルダに形成されていても良い。後者の場合、露光中にウエハホルダが膨張したり、微動ステージに対する装着位置がずれたりした場合であっても、これに追従してウエハホルダ(ウエハ)の位置を計測することができる。
なお、上記実施形態において、微動ステージ駆動系52Aを構成する各コイルユニットCUa、CUbの発熱によりスケール391、392の二次元回折格子、及びグレーティングRGなどが局所的に歪むことがある。同様に、例えば粗動ステージWCSの一対の側壁部92a,92bのそれぞれに、各一対の電磁石を、微動ステージWFSの八角形の斜辺部に対向して設ける場合、その電磁石の発熱によりスケール391、392の二次元回折格子、及びグレーティングRGなどが局所的に歪むことがある。そこで、予め各コイルユニットCUa、CUb及び/又は電磁石の温度変化と、スケール391、392の二次元回折格子、及びグレーティングRGの歪の分布との関係(例えば温度変化と歪の分布との関係を示す例えばテーブルデータ)を解析により求めておく。そして、各コイルユニットCUa、CUb及び/又は電磁石の温度変化を計測する温度センサを、二次元回折格子、及びグレーティングRGの近傍にそれぞれ設けておき、それぞれの温度センサの計測値及び上記のテーブルデータに基づいて、スケール391、392の二次元回折格子、及びグレーティングRGの局所的な歪に起因する、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A、70B及び第1、第2バックサイドエンコーダシステム80A、80Bの計測誤差を補正することとしても良い。
また、上記実施形態における第1ないし第4トップサイドエンコーダシステム80A〜80Dの構成は、上記実施形態で説明したものに限られない。例えば、第1ないし第4トップサイドエンコーダシステム80A〜80Dの少なくとも一部は、例えば米国特許出願公開第2006/0227309号明細書などに開示されているように、ウエハテーブルWTBに複数のエンコーダヘッド部(各エンコーダヘッド部は、例えば前述した4軸ヘッドと同様に構成することができる)を設け、これに対向してウエハテーブルWTBの外部に格子部(例えば2次元格子又は2次元に配置された1次元の格子部)を配置する構成のエンコーダシステムを採用しても良い。この場合、複数のエンコーダヘッド部はそれぞれウエハテーブルWTBの4隅(コーナー)に配置しても良いし、あるいは、ウエハテーブルWTBの外側でその中心(ウエハホルダの中心)で交差する2つの対角線上にそれぞれ、ウエハテーブルWTBを挟んで一対のエンコーダヘッド部を配置してもよい。また、格子部は、例えば、それぞれ2次元格子が形成される4つの格子板を、1つの固定部材(プレートなど)に取り付けるとともに、その4つの格子板が投影光学系PL(あるいはノズルユニット32)の周囲に配置されるように、フレクチャーを含む支持部材によって固定部材をメインフレームBDに吊り下げ支持しても良い。
なお、上記実施形態では、微動ステージWFSは、全6自由度方向に駆動可能であったが、これに限らず少なくともXY平面に平行な二次元平面内の3自由度方向に移動できれば良い。この場合、微動ステージWFSが露光ステーション200内の所定の範囲(ウエハテーブルWTBに保持されたウエハWの露光のため微動ステージWFSが移動する範囲を少なくとも含む露光ステーション200内の範囲)で移動する際に、主制御装置20が、例えば第1バックサイドエンコーダシステム70Aの複数のヘッドによる計測情報に基づいて、微動ステージWFSの前記二次元平面内の3自由度を含むn自由度(n≧3)方向の位置を制御しつつ微動ステージWFSを駆動するとともに、微動ステージWFSのn自由度の駆動に用いられる位置情報のうちの一部の所定の計測方向に関する位置情報と、これとは別の前記所定の計測方向に関する微動ステージWFSのn自由度の駆動に用いられない冗長な位置情報との差分に基づいて、前記第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系の前記所定の計測方向に関するグリッド誤差を更新することとしても良い。この場合、微動ステージWFSのX軸、Y軸及びθzの各方向に関する微動ステージWFSの位置を計測でき、かつ冗長軸の計測値を用いて第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系のX軸、Y軸、Z軸の少なくとも一方向に関するグリッド誤差を更新できるのみでも良いので、前述のヘッド73a〜73dの全てを設ける必要はない。
また、微動ステージ駆動系52Aは、上述したムービングマグネット式のものに限らず、ムービングコイル式のものであっても良い。さらに微動ステージWFSは、粗動ステージWCSに接触支持されていても良い。従って、微動ステージWFSを粗動ステージWCSに対して駆動する微動ステージ駆動系は、例えばロータリモータとボールねじ(又は送りねじ)とを組み合わせたものであっても良い。
また、上記実施形態では、アンローディングポジションUP1の−X側に待機ポジションUP2が設定される場合について説明したが、待機ポジションUP2は必ずしも設定しなくても良い。また、上記実施形態で説明したアンロード装置170の構成は一例に過ぎない。例えば、フレームFLのX軸方向の一側の辺部の下面と他側の辺部の下面とに、ヘッド部等に干渉しない状態で板状の支持部材を架設し、その支持部材上のアンローディングポジションUP1の位置に上下動可能な前述のウエハ把持部174と同様の構成の部材から成る第1アンロードスライダを設けるとともに、ロボットアームなどによって第2アンロードスライダを構成しても良い。
なお、上記実施形態では、ウエハW上の−X側半部(又は+X側半部)における+Y側から−Y側のショット領域の順に露光した後、+X側半部(又は−X側半部)における−Y側から+Y側のショット領域の順に露光する場合を例示したが、ウエハW上の複数のショット領域の露光順序は、これに限られるものではない。露光終了後、ほぼ最短時間でウエハテーブルWTBをアンローディング位置まで移動する必要がないのであれば、従来の液浸スキャナ、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などと同様の順序でウエハW上の複数のショット領域を露光しても良い。
また、上記実施形態では、チャックユニット120を、前述のように構成したので、例えば前ウエハの露光中に、これと並行してローディングポジションLPの上方で次ウエハを待機させるとともにその温調を行うことで、ウエハステージWSTがローディングポジションLPに戻ってくると、直ちに温調済みのウエハをウエハテーブルWTB上にロードすることができるようになっている。しかしながら、チャックユニット120の構成は、前述した構成に限定されるものではない。チャックユニット120(ベルヌーイ・チャック124)は、例えば搬送機能のみ、あるいは、搬送機能に加えて、前述の温調機能、プリアライメント機能、及び撓み補正機能(平坦化機能)の少なくとも1つを有することとしても良く、チャックユニット120(ベルヌーイ・チャック124)に付加する機能の種類や数などによってその構成を決定すれば良いし、搬送機能を含む4つの機能を実現する構成はそれぞれ前述した構成に限られない。例えば前ウエハの露光中に、これと並行してローディングポジションLPの上方で次ウエハを待機しない場合などには、その待機中におけるチャック本体130による非接触保持状態でのウエハのXY平面内の位置ずれを防止するための上記の一対の支持板128などの保持部材は必ずしも設ける必要はない。また、チャック本体130は、クール・プレート123などの温調部材を、必ずしも有していなくても良い。たとえば、前ウエハの露光中に、これと並行してローディングポジションLPの上方で次ウエハを待機しない場合、その他ローディング開始直前まで、ウエハをローディングポジションLP以外の所に設置されたクール・プレート上で温調するだけで十分な場合なども考えられるからである。また、ローディング後にそのウエハのアライメントが可能であれば良いので、チャック本体130によるウエハの保持中に、そのウエハの位置情報を計測する計測系も必ずしも設けなくても良い。
また、上記実施形態では、チャック本体130が、クール・プレート123とほぼ同じ大きさの板状の部材から成るベルヌ−イ・チャック124を有するものとしたが、これに限らず、チャック本体130が、ベルヌ−イ・チャック124に代えて、クール・プレート123の下面に直接又はプレート部材を介して取付けられた複数のベルヌーイ・カップを有していても良い。この場合、複数のベルヌーイ・カップは、クール・プレート123の全面、又は少なくとも中心部及び周辺部に分布していることが望ましく、主制御装置20によって、流体(例えば空気)の吹き出し及びその停止、並びに吹き出される流体の流量及び/又は流速などが、個別に又はグループ毎(例えば、中心部と周辺部とのグループ毎)に調整可能になっていることが望ましい。このような構成のチャック本体130を有するチャックユニット120を露光装置が備えている場合、チャック本体130によって上方から非接触で支持されるウエハWの変形が抑制されるように、ローディングポジションでの待機時、又はウエハWのウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)上への搬入時に、チャック本体130の複数のべルヌーイ・カップの少なくとも一部からの流体の吹き出し流量及び/又は流速を、通常のウエハWの支持状態と異ならせて、非接触支持するウエハWの少なくとも一部を鉛直方向に変位させることとしても良い。勿論、上記実施形態と同様の単一のベルヌ−イ・チャック124を、チャック本体130が有している場合でも、ウエハWの変形を抑制するため、ベルヌ−イ・チャック124から噴き出される流体の流速等を、通常のウエハWの支持状態と異ならせても良い。いずれにしても、これらの場合、変形が抑制されたウエハWが、ウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)で保持されることとなる。
なお、上記実施形態では、チャック本体130及び3本の上下動ピン140により上下から非接触又は接触状態で支持されたウエハWをウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)上に載置する際に、主制御装置20が、チャック本体130及び3本の上下動ピン140を下方に駆動するものとした。しかし、これに限らず、主制御装置20は、ウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)の方を、チャック本体130及び3本の上下動ピン140に対して上方に駆動しても良いし、チャック本体130及び3本の上下動ピン140を下方に駆動するとともに、ウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)を上方に駆動しても良い。要は、主制御装置20は、チャック本体130及び3本の上下動ピン140により上下から支持されたウエハWの下面がウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)と接触するまで、チャック本体130及び3本の上下動ピン140とウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)とをZ軸方向に相対移動することとすれば良い。この場合において、主制御装置20は、チャック本体130及び3本の上下動ピン140とウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)とをZ軸方向の相対移動は、ウエハWがウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)に接触するまで行う必要はなく、接触直前に相対移動を停止し、あとはチャック本体130の制御だけでウエハWをウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)に受け渡しても良い。
また、主制御装置20は、チャック本体130(第1支持部材)及び3本の上下動ピン140(第2支持部材)のうちの一方の支持部材によるウエハWの支持を解除しかつ他方の支持部材でウエハWを支持しつつ、その一方の支持部材と他方の支持部材に対してウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)を相対移動するなどして、ウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)とウエハWとの位置関係をずらしても良い、すなわちウエハWの載せ換えを行っても良い。特に、3本の上下動ピン140でウエハWの載せ換えを行う場合は、吸着の解除中にウエハWの載せ換えを行ない、再度吸着を行っても良い。また、チャック本体130、3本の上下動ピン140、及びウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)の少なくとも1つを移動して、ウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)とウエハWとの相対位置関係を調整しても良い。
また、上記実施形態において、主制御装置20は、ウエハWが3本の上下動ピン140で支持される前に、3つの撮像素子129を用いてチャック本体130に非接触で支持されたウエハWのX軸方向、Y軸方向の位置ずれと回転(θz回転)誤差を検出することとしても良い。この場合おいて、駆動部122によって、チャック本体130のXY平面内の位置(回転を含む)を調整可能な構成を採用する場合には、その検出された位置ずれと回転誤差とに応じて、ウエハWのXY平面内の位置(回転を含む)を調整することとしても良い。あるいは、3本の上下動ピン140を、ウエハテーブルWTBに対してXY平面内で可動な構成を採用することとし、主制御装置20は、検出された位置ずれと回転誤差とに応じて、3本の上下動ピン140を介してウエハWのXY平面内の位置(回転を含む)を調整することとしても良い。このようにして、主制御装置20は、ウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)による、ウエハWの保持前に、ウエハWの位置を微調整する。
また、上記実施形態では、3本の上下動ピン140が、駆動装置142によって一体で上下動可能な場合について説明した。しかし、これに限らず、3本の上下動ピン140は、個別に上下動可能あっても良い。かかる場合、前述したチャック本体130及び3本の上下動ピン140により上下から非接触又は接触状態で支持されたウエハWをウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)上に載置する際に、3本の上下動ピン140の上下動のタイミングを異ならせることで、チャック本体130からウエハWの全面に一様な押圧力が与えられる場合であっても、ウエハホルダによるウエハWの吸着保持が、一側からその反対側に向かって時間差を持って開始されるようにすることができる。あるいは、3本の上下動ピン140のそれぞれを、+Z方向に押圧する押圧力(付勢力)を個別に調整可能な構成を採用しても良い。この場合も、チャック本体130からウエハWの全面に一様な押圧力が与えられる場合であっても、ウエハホルダによるウエハWの吸着保持が、一側からその反対側に向かって時間差を持って開始されるようにすることができる。いずれの場合も、ウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)をθx及び/又はθy方向に傾斜させる必要もない。
なお、上記実施形態において、ウエハWを接触支持可能な3本の上下動ピンに代えて、例えば、ウエハWを、チャック本体130と並行して支持し、上下動可能な別の1つ又は複数の支持部材を設けても良い。この複数の支持部材は、ウエハWの側面の一部を支持可能な構造、あるいはウエハWの外周縁部を複数箇所で側方(及び/又は下方)から開閉可能に支持する構造になっていても良い。この支持部材はチャックユニット120(ベルヌーイ・チャック124)に設けても良い。また、チャック本体130が有するウエハWを非接触で支持するチャック部材としては、ベルヌーイ・チャックに限らず、ウエハWを非接触で支持できる部材であれば良い。従って、例えば、ベルヌーイ・チャック(又はベルヌーイ・カップ)に代えて、あるいはこれとともに真空予圧型のエアベアリングなどを用いることもできる。
上記実施形態において、主制御装置20は、ウエハホルダ(ウエハテーブルWTB)に保持されるウエハWが実質的に平坦化される、あるいはウエハWの撓みが抑制又は防止されるように、ウエハWに対するチャック本体130(が有するチャック部材)の斥力と引力との少なくとも一方を制御することとしても良い。
また、上記実施形態では、メインフレームBDの下面に不図示の防振部材を介して駆動部122を固定することで、チャック本体130をメインフレームBDに対して振動的に分離する場合について例示した。しかし、これに限らず、例えば駆動部122を不図示の支持部材を介してフレームFLに取り付けることで、チャック本体130をメインフレームBDに対して振動的に分離しても良い。
また、上記実施形態では、露光装置が、1つの微動ステージを粗動ステージWCSで支持して、計測ステーション300と露光ステーション200との間で往復移動させる構成である場合について説明したが、2つの微動ステージを用いても良い。この場合、2つの微動ステージの2つの粗動ステージ間での持ち替えが可能となる構成を付加し、その2つの微動ステージを、交互に、計測ステーション300と露光ステーション200との間で往復移動させても良い。あるいは、3つ以上の微動ステージを用いても良い。一方の微動ステージWFS上のウエハに対する露光処理と、他方の微動ステージWFSを用いた上述のストリーム処理との並行処理が可能となる。この場合、2つの粗動ステージの一方は露光ステーション200内でのみ、2つの粗動ステージの他方は計測ステーション300内でのみ移動可能としても良い。
この他、計測ステージMSTに代えて、例えば米国特許第6,341,007号明細書、及び米国特許第6,262,796号明細書などに開示されているように、ウエハステージWSTをもう1つ設けても良い。この場合、計測アーム71Aに対して、横側から係合可能となるような形状に、粗動ステージWCSを構成することが望ましい。このようにすると、一方のウエハステージ上のウエハに対する露光処理と、他方のウエハステージを用いた上述したストリーム処理との並行処理が可能となる。
《第2の実施形態》
次に、第2の実施形態について、図39〜図55に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態に係る露光装置100と、同一若しくは同等の構成部分については、同一若しくは類似の符号を用いると共に、その説明を簡略化若しくは省略する。
図39には、本第2の実施形態に係る露光装置1000の構成が、平面図にて、概略的に示されている。また、図40には、露光装置1000の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。
本第2の実施形態に係る露光装置1000は、前述のウエハステージWSTに代えて、ウエハステージWSTと同様に構成された2つのウエハステージWST1、WST2を備えている。また、露光装置1000では、以下の(a)〜(j)に列挙する構成部分が、前述した露光装置100と相違している。
(a) 露光ステーション200と計測ステーション300との間に設定されていたアンローディングポジションUP1及び待機ポジションUP2に代えて、アンローディングポジションUPが、ローディングポジションLPと同一Y位置でかつ−X側に所定距離離れた位置に設定されている。
(b) 上記のアンローディングポジションUPの位置の変更に伴い、前述した特殊な構造の第1アンロードスライダ及び第2アンロードスライダなどが取り去られ、例えば水平多関節ロボットなどのロボットアームから成る一般的なウエハアンロード部材(不図示)が、ベース盤12の−Y側に設けられている。
(c) セカンダリアライメント系AL21〜AL24が取り去られている。なお、セカンダリアライメント系が存在しないので、以下では、プライマリアライメントAL1を単にアライメント系AL1と呼ぶ。
(d) 多点AF系(90a、90b)の送光系90aと受光系90bとが、ヘッド部62Eとヘッド部62Fとの間に、基準軸LVに関して対称に配置されている。多点AF系(90a、90b)の検出領域AFがウエハW上の1つのショット領域のX軸方向長さとほぼ同じ長さの領域とされている。その検出領域AFの中心は、アライメント系AL1の検出中心、すなわち前述の3次元ヘッド75aの検出中心の真上の位置に設定されている。多点AF系(90a,90b)の複数の検出点は、被検面上でその検出領域AF内にX軸方向に沿って所定間隔で配置されている。多点AF系(90a,90b)に代えて、例えば米国特許第4,558,949号明細書中の第3実施形態中に開示されている焦点位置検出系(焦点位置検出機構)を用いても良い。
(e) 上記の多点AF系(90a、90b)の構成、特に配置の変更に伴い、本第2の実施形態では、計測アーム71Bのアーム部材712には、一対のYZヘッド77a、77bは設けられていない。すなわち、第3バックサイドエンコーダシステム70Cは設けられていない。また、これに伴い、第3トップサイドエンコーダシステム80Cも設けられていない。さらに、第4トップサイドエンコーダシステム80Dも設けられていない。
(f) 上記の第3バックサイドエンコーダシステム70C、第3トップサイドエンコーダシステム80C及び第4トップサイドエンコーダシステム80Dに代えて、図40に示されるように、第3微動ステージ位置計測系110C、中間位置計測系121、露光座標セット用計測系34、及び計測座標セット用計測系35が、設けられている。なお、第3微動ステージ位置計測系110C、中間位置計測系121、露光座標セット用計測系34、及び計測座標セット用計測系35については、後に詳述する。
(g) ウエハステージWST1、WST2は、前述のウエハステージWSTと同様に、それぞれ粗動ステージWCSと微動ステージWFSとを備え、同様に構成されている。以下では、ウエハステージWST1、WST2それぞれの微動ステージWFSが有するウエハテーブルを、識別のため、それぞれウエハテーブルWTB1、WTB2と称する。また、以下では、ウエハステージWST1、WST2それぞれの微動ステージWFSをも、それぞれウエハテーブルWTB1、WTB2と称する。本第2の実施形態では、ウエハステージWST1、WST2は、前述の粗動ステージ駆動系51Aと同様に構成される粗動ステージ駆動系51A1、51A2によってXY平面内で独立して駆動される。また、ウエハテーブルWTB1、WTB2は、前述の微動ステージ駆動系52Aと同様に構成される微動ステージ駆動系52A1、52A2によって、粗動ステージWCSに対して非接触状態で浮上支持されるとともに、非接触で6自由度方向へ駆動される。
(h) ウエハテーブルWTB1、WTB2は、前述のウエハテーブルWTBとX軸方向の長さが同一で、かつY軸方向の長さが短い。また、図4と図39とを比べるとわかるように、ウエハテーブルWTB1、WTB2それぞれの上面に設けられた一対のスケール391、392それぞれのX軸方向の寸法(幅)及びY軸方向の寸法(長さ)が、前述のウエハステージWSTが備える一対のスケール391、392それぞれのX軸方向の寸法(幅)及びY軸方向の寸法(長さ)よりともに小さくなっている。
(i) 本第2の実施形態に係る露光装置1000では、上記の一対のスケール391、392それぞれのX軸方向の寸法(幅)に対応して、ヘッド部62A、62Cが、前述の第1の実施形態に係る4軸ヘッド651〜654,641〜644の配置間隔WDより狭い間隔WD’(<WD)で配置された各5つの4軸ヘッド651〜655,641〜645を備えている。4軸ヘッド651〜655,641〜645のそれぞれは、図41に示されるように、前述の第1の実施形態に係る4軸ヘッド651〜654,641〜644のそれぞれと同様の位置関係で配置されたXZヘッド65Xi、YZヘッド65Yi(i=1〜5)、及びXZヘッド64Xi、YZヘッド64Yiを含み、同様に構成されている。本第2の実施形態では、5つの4軸ヘッド651〜655によって、スケール391を用いて、ウエハテーブルWTB1又はWTB2のX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは5眼)の4軸エンコーダが構成されている。同様に、5つの4軸ヘッド641〜645によって、スケール392を用いて、ウエハテーブルWTB1又はWTB2のX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは5眼)の4軸エンコーダが構成されている。そして、両方の5眼の4軸エンコーダによって、ウエハステージWST1又はWST2が露光ステーション200にある場合、粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFS(すなわち、ウエハテーブルWTB1又はWTB2)の6自由度方向の位置情報を計測する第1トップサイドエンコーダシステム80Aが構成される。本第2の実施形態においても、主制御装置20が、ウエハステージWST1又はWST2をX軸方向に駆動する際、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の位置情報を計測する4軸ヘッド65i、64i(i=1〜5)を隣の4軸ヘッドに順次切り換えることができるように、4軸ヘッド651〜655,641〜645の配置(間隔WD’等)と、スケール391及びスケール392の配置間隔及びサイズとが定められている。
(j) 上述のヘッド部62A、62Cの構成に対応して、第2トップサイドエンコーダシステム80Bを構成するヘッド部62F、62Eが、図39に示されるように、同一のY位置に所定間隔でX軸方向に並んで配置された各5つの4軸ヘッド681〜685,671〜675を備えている。図41に示されるように、4軸ヘッド681〜685,671〜675は、それぞれが有するXZヘッド68Xi、67Xi(より正確には、XZヘッド68Xi、67Xiが発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、前述の基準軸LAに沿って、配置されている。また、4軸ヘッド681〜685,671〜675のそれぞれを構成するXZヘッド68Xi、67Xi及びYZヘッド68Yi、67Yiは、対応する4軸ヘッド65i、64i(i=1〜5)をそれぞれ構成するXZヘッド65Xi、64Xi及びYZヘッド65Yi、64Yiと同じX位置に、配置されている。
次に、第3微動ステージ位置計測系110Cについて説明する。本第2の実施形態に係る露光装置1000では、図41に示されるように、ヘッド部62A、62Cそれぞれの−Y側に、一対の4軸ヘッド656、646が、基準軸LVに関して対称に配置されている。4軸ヘッド656、646のそれぞれは、4軸ヘッド651〜655及び641〜645と同様に構成されている。4軸ヘッド656を構成するXZヘッド65X6及びYZヘッド65Y6は、XZヘッド65X3と同じX位置に、配置されている。4軸ヘッド646を構成するXZヘッド64X6及びYZヘッド64Y6は、XZヘッド64X3と同じX位置に、配置されている。
一対の4軸ヘッド656、646は、後述する計測テーブルMTBとウエハテーブルWTB1又はWTB2との近接又は接触状態(スクラム)の開始時から第1微動ステージ位置計測系110AによるウエハテーブルWTB1又はWTB2の位置計測が開始されるまでの間、一対のスケール391、392を用いてウエハテーブルWTB1又はWTB2の6自由度方向に関する位置情報を計測する一対のエンコーダを構成し、この一対のエンコーダによって第3微動ステージ位置計測系110C(図40参照)が構成される。第3微動ステージ位置計測系110Cを構成する、各エンコーダの計測値は、主制御装置20に供給される(図40参照)。
次に、中間位置計測系121(図40参照)について説明する。中間位置計測系121は、ウエハステージWST1又はWST2が、計測ステーション300と露光ステーション200との間を移動する際に、その移動中のウエハステージWST1又はWST2のXY平面内の位置を計測するものである。中間位置計測系121は、ベース盤12の内部の基準軸LHと基準軸LAとの間の領域内に所定間隔で配置された複数のホール素子を有する。中間位置計測系121は、ウエハステージWST1又はWST2がXY平面内で移動すると、それぞれの粗動ステージWCSの底面に設けられた磁石によって生じる磁界が変化することを利用してウエハステージWST1又はWST2のXY平面内の凡その位置を計測するものである。この中間位置計測系121の計測情報は、主制御装置20に供給される(図40参照)。なお、本実施形態では、ウエハステージWST1、WST2の粗動ステージWCSの位置を計測する計測系は、中間位置計測系121の他に設けられていない(図40参照)。
次に、露光座標セット用計測系34(図40参照)について説明する。露光座標セット用計測系34は、露光ステーション200近傍の位置に配置され、ウエハステージWST1又はWST2が、計測ステーション300側から露光ステーション200側に移動し、後述するようにウエハテーブルWTB1又はWTB2が計測テーブルMTBに近接又は接触した時点で、第3微動ステージ位置計測系110Cの原点復帰のため、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の絶対座標を計測するためのものである。後述するように、原点復帰(リセット)がなされた第3微動ステージ位置計測系110Cの計測値を用いて、第1微動ステージ位置計測系110Aの第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの原点復帰が行われる。
露光座標セット用計測系34は、図39に示されるように、ヘッド部62A、62Cの−Y側に所定距離(例えば、ウエハテーブルWTB1のY軸方向長さの1/3程度の距離)離れた位置に基準軸LVの+X側及び−X側に、基準軸LVからウエハテーブルWTB1のX軸方向の長さの1/2より幾分短い同一距離だけ離れて配置された一対の画像センサ36a、36bと、該一対の画像センサ36a、36bそれぞれの+Y側に隣接して配置された一対のZセンサ38a、38bと、Zセンサ38aの−Y側に例えばウエハテーブルWTB1のY軸方向長さの1/2程度の距離離れて配置されたZセンサ38cと、を含む。これらの画像センサ36a、36b及びZセンサ38a〜38cは、それぞれ支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。
一対の画像センサ36a、36bは、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)が所定位置、ここでは、後述する計測テーブルMTBに対して近接又は接触する状態(スクラム)が開始される位置(スクラム開始位置)にあるとき、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)のX軸方向両側のエッジ部にそれぞれ設けられたマーク(不図示)を撮像し、その撮像対象のマークのX,Y位置をその検出中心を基準として計測する。Zセンサ38a〜38cは、例えば、CDドライブ装置などで用いられる光ピックアップと同様の光学式変位センサのヘッドから成り、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)上面のZ位置をそれぞれ計測する。これら画像センサ36a、36b及びZセンサ38a〜38cの計測値は、主制御装置20に供給される。
従って、主制御装置20では、露光座標セット用計測系34と第3微動ステージ位置計測系110Cとで、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の6自由度方向の位置を同時に計測し、画像センサ36a、36b及びZセンサ38a〜38cの計測値(絶対位置)を用いて、第3微動ステージ位置計測系110Cを構成する一対の4軸ヘッド656、646から成る一対のエンコーダの計測値をリセットすることで、第3微動ステージ位置計測系110Cの原点復帰を行う。そして、その後に、原点復帰後の第3微動ステージ位置計測系110Cの計測値を基準として、露光ステーション200にあるウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の6自由度方向の位置を計測する、第1微動ステージ位置計測系110Aの第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの原点を復帰させることで、露光時にウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の位置を管理する座標系(露光時座標系)の復帰が可能になる。
次に、計測座標セット用計測系35(図40参照)について説明する。計測座標セット用計測系35は、計測ステーション300近傍の位置に配置され、第2微動ステージ位置計測系110Bの第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bの原点復帰のため、ウエハステージWST2又はWST1が、後述するように、アンローディングポジションUPに戻る途中の所定の位置に移動した際に、ウエハテーブルWTB2又はWTB1の絶対座標を計測するためのものである。
計測座標セット用計測系35は、図39に示されるように、ヘッド部62F、62Eの+Y側に所定距離隔てて、かつ基準軸LVからウエハテーブルWTB2のX軸方向の長さの1/2より幾分短い同一距離だけ離れて配置された一対の画像センサ36c、36dと、該一対の画像センサ36c、36dそれぞれの+Y側に隣接して配置された一対のZセンサ38d、38eと、Zセンサ38dの−Y側に例えばウエハテーブルWTB2のY軸方向長さの1/2程度の距離離れて配置されたZセンサ38fと、を含む。Zセンサ38fは、ヘッド部62Fの+Y側に近接している。画像センサ36c、36d及びZセンサ38d〜38fは、それぞれ支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。
一対の画像センサ36c、36dは、ウエハテーブルWTB2(又はWTB1)のX軸方向両側のエッジ部にそれぞれ設けられた前述のマークを撮像し、その撮像対象のマークのX,Y位置をその検出中心を基準として計測する。Zセンサ38d〜38fは、例えば前述のZセンサ38a〜38cと同様の光学式変位センサのヘッドから成り、ウエハテーブルWTB2(又はWTB1)上面のZ位置をそれぞれ計測する。これら画像センサ36c、36d及びZセンサ38d〜38fの計測値は、主制御装置20に供給される。
従って、主制御装置20では、ウエハステージWST2又はWST1が、後述するように、アンローディングポジションUPに戻る途中の所定の位置に移動した際に、計測座標セット用計測系35と第2微動ステージ位置計測系110Bとを用いてウエハテーブルWTB2又はWTB1の位置を同時に計測し、画像センサ36c、36d及びZセンサ38d〜38fの計測値(絶対位置)を用いて、第2微動ステージ位置計測系110Bの第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bの原点を復帰させることで、アライメント計測等を含む後述する一連の計測時に計測ステーション300にあるウエハテーブルWTB2(又はWTB1)の位置を管理する座標系(計測時座標系)の復帰が可能になる。
説明が前後したが、本第2の実施形態に係る露光装置1000では、ウエハステージWST1、WST2のいずれが露光ステーション200にあるかに拘わらず、露光ステーション200にある粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSが備えるグレーティングRGに対向するアーム部材711に内蔵されたヘッド73a〜73dによって、微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB1又はWTB2)の6自由度方向の位置情報を計測する第1バックサイドエンコーダシステム70Aが構成され、露光ステーション200にある粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSが備える一対のスケール391,392にそれぞれ対向するヘッド部62A,62Cによって微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB1又はWTB2)の6自由度方向の位置情報を計測する第1トップサイドエンコーダシステム80Aが構成される。
また、露光装置1000では、露光ステーション200にあるウエハステージWST1又はWST2の粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB1又はWTB2)の6自由度方向の位置情報は、切換部150A(図40参照)のモードの設定に応じて、第1バックサイドエンコーダシステム70A及び/又は第1トップサイドエンコーダシステム80Aによって計測される。露光装置1000では、主制御装置20は、前述と同様の第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系のリフレッシュを行う。また、主制御装置20は、その座標系のリフレッシュによりグリッドが更新された第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系に第1トップサイドエンコーダシステム80Aのスケールのグリッドを、前述と同様に摺り合わせることで、そのグリッドを更新する。すなわち、このようにして、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系のリフレッシュが行われる。
本第2の実施形態に係る露光装置1000では、ウエハステージWST1、WST2のいずれが計測ステーション300にあるかに拘わらず、計測ステーション300にある粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSが備えるグレーティングRGに対向するアーム部材712に内蔵されたヘッド75a〜75dによって、微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB1又はWTB2)の6自由度方向の位置情報を計測する第2バックサイドエンコーダシステム70Bが構成され、計測ステーション300にある粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSが備える一対のスケール391,392にそれぞれ対向するヘッド部62E,62Fによって微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB1又はWTB2)の6自由度方向の位置情報を計測する第2トップサイドエンコーダシステム80Bが構成される。
露光装置1000では、計測ステーション300にあるウエハステージWST1又はWST2の粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB1又はWTB2)の6自由度方向の位置情報は、切換部150B(図40参照)のモードの設定に応じて、第2バックサイドエンコーダシステム70B及び/又は第2トップサイドエンコーダシステム80Bによって計測される。露光装置1000では、主制御装置20は、前述と同様の第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系のリフレッシュを行う。また、主制御装置20は、その座標系のリフレッシュによりグリッドが更新された第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系に第2トップサイドエンコーダシステム80Bのスケールのグリッドを、前述と同様に摺り合わせることで、そのグリッドを更新する。すなわち、このようにして、第2トップサイドエンコーダシステム80Bの座標系のリフレッシュが行われる。
本第2の実施形態では、ウエハステージWST1及びWST2のそれぞれと計測ステージMSTとがY軸方向に関して所定距離以内に近接した状態(接触状態を含む)において、それぞれ前述の空間像計測装置45(図40参照)が構成される。ただし、空間像計測装置45が、ウエハステージWST1と計測ステージMSTとの間、及びウエハステージWST2と計測ステージMSTとの間で同時に構成されることはないので、図40では、空間像計測装置45は1つのみ図示されている。
ウエハステージWST1、WST2の粗動ステージWCSには、図39に示されるように、それぞれ用力供給用のチューブ22A、22Bを介してチューブキャリアTC1、TC2が接続されている。ウエハステージWST1には、ベース盤12の−X側に分離して設けられたガイド面上に配置されたチューブキャリアTC1がチューブ22Aを介して接続され、ウエハステージWST2には、ベース盤12の+X側に分離して設けられたガイド面上に配置されたチューブキャリアTC2がチューブ22Bを介して接続されている。2つのチューブキャリアTC1、TC2は、主制御装置20によって、例えばリニアモータ等を介してウエハステージWST1、WST2に追従してY軸方向へ駆動される。チューブキャリアTC1、TC2のY軸方向への駆動は、ウエハステージWST1、WST2のY軸方向の駆動に厳密に追従する必要はなく、ある許容範囲内で追従していれば良い。なお、チューブキャリアTC1、TC2はベース盤12上に配置しても良く、この場合、前述の平面モータによってチューブキャリアTC1、TC2を駆動可能である。その他の部分の構成等は、前述した第1の実施形態と同様になっている。
次に、本第2の実施形態に係る露光装置1000における、ウエハステージWST1、WST2と計測ステージMSTとを用いた並行処理動作について、図42〜図55に基づいて説明する。これらの図では、チューブキャリアTC1,TC2、及びベース盤12等の図示は省略されている。なお、以下の動作中、主制御装置20によって、局所液浸装置8の液体供給装置5及び液体回収装置6の制御が前述したようにして行われ、投影光学系PLの先端レンズ191の直下には常時水が満たされている。しかし、以下では、説明を分かり易くするため、液体供給装置5及び液体回収装置6の制御に関する説明は省略する。また、以後の動作説明は、多数の図面を用いて行うが、図面毎に同一の部材に符号が付されていたり、付されていなかったりしている。すなわち、図面毎に、記載している符号が異なっているが、それら図面は符号の有無に関わらず、同一構成である。これまでに説明に用いた、各図面についても同様である。
また、第1及び第2バックサイドエンコーダシステム70A、70B及び第1及び第2トップサイドエンコーダシステム80A、80Bの各ヘッド、AF系、アライメント検出系などは、それらを使用するとき、又はその使用の少し前にオフ状態からオン状態に設定されるが、以下の動作説明においては、この点に関する説明は省略する。
また、本第2の実施形態においても、ウエハステージWST1、WST2と計測ステージMSTとを用いた並行処理動作中、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系のリフレッシュ、及びこれに基づく第1トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系のリフレッシュ、並びに第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系のリフレッシュ、及びこれに基づく第2トップサイドエンコーダシステム80Bの座標系のリフレッシュが、前述の第1の実施形態と同様に行われるが、以下の動作説明においては、この点に関する説明は省略する。
また、前提条件として、切換部150A、150Bは、一例としてともに第1モードに設定されているものとする。すなわち、第1微動ステージ位置計測系110Aからは、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとのハイブリッド位置信号FHに対応する計測値(以下、特に必要な場合を除き、第1微動ステージ位置計測系110Aの計測値と称する)が、第2微動ステージ位置計測系110Bからは、第2バックサイドエンコーダシステム70Bと第2トップサイドエンコーダシステム80Bとのハイブリッド位置信号FHに対応する計測値(以下、特に必要な場合を除き、第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値と称する)が、それぞれ、主制御装置20に対して出力される。
図42には、後述するウエハアライメント計測及びフォーカスマッピングが終了した露光前のウエハ(W2とする)を保持するウエハステージWST2が、所定の待機位置で待機されるとともに、主制御装置20により、同図中に黒矢印で示されるような経路に沿って、ウエハステージWST1を移動しながらウエハテーブルWTB1上に保持されたウエハ(W1とする)の+X側半部の領域が露光されている様子が示されている。このウエハW1の+X側半部の領域の露光は、−Y側のショット領域から+Y側のショット領域の順で行われる。これに先立って、ウエハW1は、図51中にウエハステージWST2について示されるような黒矢印で示される経路に沿って移動しながらその−X側半部の領域が、+Y側のショット領域から−Y側のショット領域の順で露光が終了している。これにより、ウエハW1上の全てのショット領域の露光が終わった時点では、ウエハステージWST1は、露光開始前の位置とほぼ同一位置に戻っている。なお、このとき、ウエハステージWST2の位置は、前述の中間位置計測系121の計測値に基づいて、主制御装置20により管理されている。
本第2の実施形態では、上述したショット領域の露光順序を採用しているが、その露光のためにウエハステージWST1が移動する経路の全体長さは、同じ大きさのウエハを同一のショットマップに従って露光するとした場合、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示される従来の液浸スキャナなどと大差ない。
上記の露光中、第1微動ステージ位置計測系110Aの計測値が、主制御装置20に供給され、主制御装置20によってウエハテーブルWTB1の位置のサーボ制御が行われる。また、この露光中のウエハテーブルWTB1のZ軸方向の位置,θy回転及びθx回転の制御(ウエハWのフォーカス・レベリング制御)は、事前に行われたフォーカスマッピング(これについては後述する)の結果に基づいて行われる。
上記のステップ・アンド・スキャン方式の露光動作中、ウエハステージWST1がX軸方向に移動すると、その移動に伴って、第1トップサイドエンコーダシステム80Aのヘッドの切り換え(複数のヘッド間における計測値の引き継ぎ)が行なわれる。このように、主制御装置20は、ウエハステージWST1の位置座標に応じて、使用する第1トップサイドエンコーダシステム80Aのエンコーダを適宜切り換えて、ウエハステージWST1の駆動を行なっている。
主制御装置20は、さらに、上記のウエハW1の+X側半部のショット領域の露光と並行して、計測ステージ位置計測系16B(図40参照)の計測値に基づいて、計測ステージMSTを、図42に仮想線(二点鎖線)で示される待機位置から実線で示されるスクラムポジションまでXY平面内で駆動する。これにより、露光中には互いに離れていたウエハステージWST1(ウエハテーブルWTB1)と計測ステージMST(計測テーブルMTB)とは、接触又は近接する状態(スクラム状態とも呼ばれる)に移行する。この接触又は近接する状態への移行に際し、計測ステージMSTは、横側(側方)から計測アーム71Aに係合する。
次に、主制御装置20は、上記のウエハテーブルWTB1と計測テーブルMTBとの接触又は近接する状態を保って、図43中に2つの白抜き矢印で示されるように、計測ステージMSTを−Y方向に移動させるとともに、ウエハステージWST1を−Y方向に加えて−X方向にも移動させる。これにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14(液体Lq)が、ウエハテーブルWTB1上から計測テーブルMTB上に移動し(受け渡され)、投影光学系PLと計測テーブルMTBとによって液浸領域14(液体Lq)が保持される。また、このとき、ウエハステージWST1を−X方向にも移動させるのは、次の動作、すなわちウエハステージWST1とウエハステージWST2との交換動作を、露光終了後より短時間に開始できるようにするためである。
上記の液浸領域14(液体Lq)のウエハテーブルWTB1上から計測テーブルMTB上への受け渡しが終了した段階では、主制御装置20は、計測テーブルMTBの位置を、計測テーブルMTBの裏面に設けられたグレーティングRGaを用いる第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測値に基づいて、計測テーブル駆動系52B(図40参照)を介して制御することが可能である。従って、主制御装置20は、必要な露光に関連する計測動作を、計測テーブルMTBの6自由度方向の位置を制御しつつ行うことができる。
上記の接触又は近接する状態に移行後、液浸領域14(液体Lq)のウエハテーブルWTB1上から計測テーブルMTB上への移動が完了する直前に、ウエハステージWST1が、第1微動ステージ位置計測系110Aの計測範囲から外れ、第1トップサイドエンコーダシステム80A及び第1バックサイドエンコーダシステム70AによるウエハテーブルWTB1の位置計測ができなくなる。その直前に、主制御装置20は、ウエハステージWST1(ウエハテーブルWTB1)の位置制御に用いる位置計測系を、第1微動ステージ位置計測系110Aから前述の中間位置計測系121に切り換える。
その後、主制御装置20は、図44中に白抜き矢印で示されるように、この時点でも前述の待機位置に待機しているウエハステージWST2と対向しなくなる位置(図45参照)までウエハステージWST1を−X方向に駆動する。
次に、主制御装置20は、図45中にそれぞれ白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWST1を−Y方向に駆動するのと並行してウエハステージWST2を+Y方向に駆動する。これにより、前述の接触又は近接する状態が解除された後、ウエハステージWST1は、前述の画像センサ36d及びZセンサ38eの下方の位置、すなわち前述したウエハステージWST2の待機位置と基準軸LVに関して対称な位置(以下、この位置をウエハステージWST1の「待機位置」と呼ぶ)に移動する。これと並行して、ウエハステージWST2は、液浸領域14(液体Lq)を投影光学系PLとともに保持している計測テーブルMTBの−Y側の面に、ウエハテーブルWTB2の+Y側の面の−X側半部が、Y軸方向に関して接触又は近接する位置に移動する(図46参照)。
次いで、主制御装置20は、図46中にそれぞれ白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWST1を+X方向に駆動するのと並行してウエハステージWST2を−X方向に駆動する。これにより、ウエハステージWST2は、露光座標セット用計測系34の画像センサ36a、36b及びZセンサ38a〜38cが同時に、ウエハテーブルWTB2に対向する位置に移動するとともに、ウエハステージWST1は、上述の待機位置から計測座標セット用計測系35の画像センサ36c、36d及びZセンサ38d、38eが同時に、ウエハテーブルWTB1に対向する位置に移動する(図47参照)。
図47に示される位置までウエハステージWST2が移動すると、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB2(ウエハステージWST2)の位置制御に用いる位置計測系を、前述の中間位置計測系121から一時的に第3微動ステージ位置計測系110Cに切り換える。すなわち、主制御装置20は、露光座標セット用計測系34と第3微動ステージ位置計測系110Cとで、ウエハテーブルWTB2の6自由度方向の位置を同時に計測し、露光座標セット用計測系34(画像センサ36a、36b及びZセンサ38a〜38c)の計測値(絶対位置)を用いて、第3微動ステージ位置計測系110Cを構成する一対の4軸ヘッド656、646から成る一対のエンコーダの計測値をリセットすることで、第3微動ステージ位置計測系110Cの原点復帰を行う。以後、ウエハテーブルWTB2の位置の制御は、第3微動ステージ位置計測系110Cによる計測値に基づいて行われる。また、図47に示される位置までウエハステージWST2が移動した状態では、ウエハテーブルWTB2は、液浸領域の受け渡しのため、計測テーブルMTBに対してY軸方向に関して接触又は近接する状態(スクラム状態)となっている。すなわち、本実施形態では、ウエハテーブルWTB2の計測テーブルMTBに対するスクラム開始位置で、第3微動ステージ位置計測系110Cの原点復帰(計測値のリセット)が行われるように定められており、このスクラム開始位置での第3微動ステージ位置計測系110Cの原点復帰が可能となるように、ウエハテーブルWTB2上の所定の位置に前述のマークが設けられている。
本第2の実施形態では、主制御装置20は、前述した投影光学系PLと計測テーブルMTBとによる液浸領域14(液体Lq)の保持を開始した後、ウエハテーブルWTB2の計測テーブルMTBに対するスクラムが開始されるまでの間の少なくとも一部の期間で、計測テーブルMTBが有する計測用部材、すなわち前述の照度むらセンサ95、空間像計測器96、波面収差計測器97及び照度モニタ98の少なくとも1つを用いて、照明光ILを投影光学系PL及び液体Lqを介してそれぞれの計測器の受光面を介して受光する露光に関連する計測、すなわち照度むら計測、空間像計測、波面収差計測及びドーズ計測の少なくとも1つを、必要に応じて行なっても良い。
次いで、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB2と計測テーブルMTBとの接触又は近接する状態を維持したまま、図47中に2つの上向きの白抜き矢印でそれぞれ示されるように、ウエハステージWST2と計測ステージMSTとを、+Y方向に駆動する。これにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14(液体Lq)が、計測テーブルMTB上からウエハテーブルWTB2上に移動し(受け渡され)、投影光学系PLとウエハテーブルWTB2とによって液浸領域14(液体Lq)が保持されるようになる(図49参照)。
上記の液浸領域14の受け渡しが終了した時点では、ウエハステージWST2の空間部内に計測アーム71Aが挿入され、ウエハテーブルWTB2の裏面(グレーティングRG)が計測アーム71Aのヘッド73a〜73dに対向するとともに、ヘッド部62A、62Cが、スケール391、392に対向する状態になっている(図49参照)。すなわち、ウエハテーブルWTB2の位置が、第3微動ステージ位置計測系110Cとともに第1微動ステージ位置計測系110Aによっても計測可能となる。そこで、主制御装置20は、第1微動ステージ位置計測系110Aの第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの計測値を、第3微動ステージ位置計測系110Cで計測されるウエハテーブルWTB2の6自由度方向の位置座標に基づいて、再設定することで、第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの原点を復帰する。このようにして、露光ステーション200内で移動するウエハテーブルWTB2の位置を管理する露光時座標系の復帰が行われる。なお、第1微動ステージ位置計測系110Aと露光座標セット用計測系34とによるウエハテーブルWTB2の6自由度方向の位置の同時計測が可能であれば、前述した第3微動ステージ位置計測系110Cの原点復帰と同様の手法により、第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの原点を復帰しても良い。
主制御装置20は、上述の露光時座標系の復帰後、ウエハテーブルWTB2の位置を、第1微動ステージ位置計測系110Aの計測値に基づいて管理する。
上述した液浸領域14の受け渡しのためのウエハステージWST2と計測ステージMSTとの+Y方向の駆動と並行して、主制御装置20は、ウエハステージWST1を、図47中に下向きの白抜き矢印で示されるように、アンローディングポジションUP(及びローディングポジションLP)に向けて駆動する。この駆動の途中で、中間位置計測系121によるウエハステージWST1(ウエハテーブルWTB1)の位置計測ができなくなる。そこで、ウエハステージWST1が中間位置計測系121による計測範囲から外れる前に、例えばウエハステージWST1が図48に示される位置に到達した時点で、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB1(ウエハステージWST1)の位置制御に用いる位置計測系を、前述の中間位置計測系121から第2微動ステージ位置計測系110Bに切り換える。すなわち、ウエハステージWST1が図48に示される位置に到達した時点では、ウエハステージWST1の空間部内に計測アーム71Bが挿入され、ウエハテーブルWTB1の裏面(グレーティングRG)が計測アーム71Bのヘッド75a〜75dに対向するとともに、ヘッド部62F、62Eが、スケール391、392に対向している。また、このとき、計測座標セット用計測系35によるウエハテーブルWTB1の6自由度方向の絶対位置の計測が可能になっている。そこで、主制御装置20は、計測座標セット用計測系35と第2微動ステージ位置計測系110Bとを用いて、ウエハテーブルWTB1の6自由度方向の位置の同時計測を行う。そして、前述と同様、主制御装置20は、第2微動ステージ位置計測系110Bの第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bの計測値を、計測座標セット用計測系35で計測されるウエハテーブルWTB1の絶対位置に基づいて、再設定することで、第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bの原点を復帰する。このようにして、計測ステーション300内で移動するウエハテーブルWTB1の位置を管理する計測時座標系の復帰が行われる。
計測座標セット用計測系35は、ウエハテーブルWTB1の6自由度方向の絶対位置の計測が可能なので、上記の中間位置計測系121から第2微動ステージ位置計測系110Bへの切り換え、すなわち計測時座標系の復帰は、短時間で行うことができる。
主制御装置20は、上述の計測時座標系の復帰後、ウエハテーブルWTB1の位置を、第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値に基づいて管理しつつ、ウエハステージWST1を図48中に白抜き矢印で示されるように、−Y方向かつ−X方向に駆動してアンローディングポジションUPに位置決めする(図49参照)。
アンローディングポジションUPでは、露光済みのウエハW1が、以下の手順でウエハステージWST1上からアンロードされる。すなわち、不図示のバキュームチャックによるウエハW1の吸着が解除された後、3本の上下動ピン140(例えば図20(A)等参照)が上昇することで、ウエハW1がウエハホルダ上から持ち上げられる。そして、不図示のウエハアンロード部材がウエハW1とウエハホルダとの間に差し込まれ、ウエハアンロード部材が所定量上昇することで、ウエハW1が3本の上下動ピン140からウエハアンロード部材に渡される。そして、ウエハアンロード部材によって図49中に黒塗り矢印で示されるように、外部搬送系との受け渡し位置まで搬出される。この場合、3本の上下動ピン140は、次のウエハのロードに備えて所定量上昇した状態を維持している。
次に、主制御装置20は、ウエハステージWST1を、図50に白抜き矢印で示されるように、+X方向に所定量駆動して、ローディングポジションLPに位置決めする。ローディングポジションLPでは、チャックユニット120が備えるチャック本体130によって前述と同様に支持され、所定温度、例えば23°Cに温調されている新たな露光前のウエハW3(ここでは、一例として、あるロット(1ロットは25枚又は50枚)の中間のウエハとする)が、前述の第1の実施形態で説明した手順と同様の手順でウエハテーブルWTB1上にロードされる。図50には、新たな露光前のウエハW3がウエハテーブルWTB1上にロードされた状態が示されている。
一方、ウエハW1のアンロード、ウエハステージWST1のローディングポジションLPへの移動、及びウエハW3のロードと並行して、ウエハステージWST2は、計測テーブルMTBとウエハテーブルWTB2との接近又は接触状態を維持したまま、図49及び図50中に2つの白抜き矢印でそれぞれ示されるように、ウエハW2の露光開始位置、すなわち第1ショット領域の露光のための加速開始位置へ向かって移動する。この加速開始位置への移動開始に先立って、図49に示されるように、ウエハステージWST2の計測プレート30が投影光学系PLの直下に配置される位置にある状態で、主制御装置20は、必要に応じ、両ステージWST2,MSTを停止し、アライメント系AL1のBCHK後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理を行う。
以上の作業が終了すると、主制御装置20は、図51に示されるように、計測ステージMSTを、+X方向かつ+Y方向に駆動して、両ステージWST2,MSTの接触又は近接状態を解除する。
そして、主制御装置20は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を行い、新しいウエハW2上にレチクルパターンを転写する。この露光動作は、主制御装置20により、事前に行われたウエハアライメント(EGA)の結果(ウエハ上のすべてのショット領域の配列座標)及びアライメント系AL1の最新のベースライン等に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWSTを移動するショット間移動と、各ショット領域に対してレチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で転写する走査露光と、を繰り返すことにより行われる。なお、上記の露光動作は、先端レンズ191とウエハWとの間に液体(水)Lqを保持した状態で行われる。
また、本第2の実施形態では、一例として最初に露光される第1ショット領域が、ウエハW2の−X側半分の+Y端部に位置するショット領域に定められているため、まず、その加速開始位置へ移動するため、ウエハステージWSTが、+X方向かつ+Y方向に移動される。
そして、図51に黒矢印で示されるような経路に沿って、ウエハステージWST2を移動しながらウエハW2の−X側半部の領域を+Y側のショット領域から−Y側のショット領域の順で露光する。
上述のウエハW2の−X側半部の領域の露光と並行して、ウエハステージWST1側では、前述のウエハW3のロード動作に続いて、以下の一連の計測動作が行われる。
まず、ウエハステージWST1がローディングポジションLPにあるときに、アライメント検出系AL1のベースライン計測(BCHK)の前半の処理が行われる。本第2の実施形態では、前述のウエハW3のロード動作と少なくとも一部並行してアライメント系AL1のBCHKの前半の処理を行うこととしても良い。
アライメント系AL1のBCHKの前半の処理に引き続き、ウエハステージWST1がローディングポジションLPにあるときに、フォーカスキャリブレーション前半の処理が行われる。
次に、主制御装置20は、第2微動ステージ位置計測系110B及び多点AF系(90a,90b)を用いたフォーカスマッピングを開始する。
ここで、本第2の実施形態に係る露光装置1000で行われるフォーカスマッピングについて説明する。このフォーカスマッピングに際しては、主制御装置20は、主としてスケール391,392にそれぞれ対向する第2トップサイドエンコーダシステム80Bの2つの4軸エンコーダ67、68の計測値に基づいてウエハテーブルWTB1のXY平面内の位置を管理している。
そして、この状態で、主制御装置20は、ウエハステージWST1を、図51中に白抜き矢印で示されるように、X軸方向のステップ移動(1ショット領域分の移動)を挟んで、−Y方向及び+Y方向の高速スキャンを交互に繰り返し、その高速スキャン中に2つの4軸エンコーダ67、68のそれぞれで計測されるウエハテーブルWTB1表面(プレート28表面)のX軸方向両端部(一対の第2撥水板28b)のX軸、Y軸及びZ軸方向に関する位置情報と、多点AF系(90a,90b)で検出される各検出点におけるウエハW表面のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)と、を、所定のサンプリング間隔で取り込み、その取り込んだ各情報を相互に対応付けて不図示のメモリに逐次格納する。
そして、主制御装置20は、上記のサンプリングを終了し、多点AF系(90a,90b)の検出点についての面位置情報を、同時に取り込んだ2つの4軸エンコーダ67、68それぞれで計測されたZ軸方向に関する位置情報を基準とするデータに換算する。主制御装置20は、多点AF系(90a,90b)の各検出点における面位置情報を、前述した第1の実施形態と同様、左計測点の面位置と右計測点の面位置とを結ぶ直線(テーブル面基準線)を基準とする面位置データに換算する。このような換算を、主制御装置20は、全てのサンプリング時に取り込んだ情報について行う。
ここで、本第2の実施形態に係る露光装置1000では、上記の第2トップサイドエンコーダシステム80Bによる計測と並行して、第2バックサイドエンコーダシステム70BによるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθy方向(並びにθz方向)に関するウエハテーブルWTB1(微動ステージWFS)の位置情報の計測が可能になっている。そこで、主制御装置20は、上記の2つの4軸エンコーダ68、67のそれぞれで計測されるウエハテーブルWTB1表面(プレート28の表面)のX軸方向両端部のX軸、Y軸及びZ軸方向に関する位置情報と、多点AF系(90a,90b)で検出される各検出点におけるウエハW表面のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)との取り込みと同じタイミングで、第2バックサイドエンコーダシステム70Bによる上記各方向(X,Y、Z、θy(及びθz))に関する位置の計測値をも取り込んでいる。そして、主制御装置20は、同時に取り込んだ第2トップサイドエンコーダシステム80Bの計測情報から得られるテーブル面基準線のデータ(Z、θy)と、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの計測情報(Z、θy)との関係を求めている。これにより、上述のテーブル面基準線を基準とする面位置データを、裏面計測により得られるウエハテーブルWTBのZ位置及びθy回転で定まる、上述のテーブル面基準線に対応する基準線(裏面計測基準線)を基準とする面位置データに換算することができる。
このようにして、予め上記の換算データを取得しておくことで、例えば、露光の際などには、前述のXZヘッド64X及び65XでウエハテーブルWTB1(又はWTB2)表面(スケール392が形成された第2撥水板28b上の点、及びスケール391が形成された第2撥水板28b上の点)を計測して、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)のZ位置とXY平面に対する傾斜(主としてθy回転)を算出する。この算出したウエハテーブルWTB1(又はWTB2)のZ位置とXY平面に対する傾斜と前述の面位置データ(テーブル面基準線を基準とする面位置データ)とを用いることで、ウエハW表面の面位置情報を実際に取得することなく、ウエハWの面位置制御が可能になる。従って、多点AF系を投影光学系PLから離れた位置に配置しても何ら支障がないので、ワーキングディスタンスが狭い露光装置などであっても、本第2の実施形態のフォーカスマッピングは好適に適用できる。
上述のフォーカスマッピングの終了後、例えばEGA方式のウエハアライメントが行われる。具体的には、主制御装置20は、第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBの位置をサーボ制御しつつ、図52中に白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWST1を、XY2次元方向にステップ駆動しつつ、各ステップ位置で、ウエハ上の各ショット領域に付設されたアライメントマークを、アライメント系AL1を用いて検出し、アライメント系AL1の検出結果とその検出時の第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。
そして、主制御装置20は、このようにして得た複数のアライメントマークの検出結果と対応する第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値とを用いて、例えば米国特許第4,780,617号明細書に開示されているEGA方式にて統計演算を行って、EGAパラメータ(Xオフセット、Yオフセット、直交度、ウエハ回転、ウエハXスケーリング、ウエハYスケーリングなど)を算出し、その算出結果に基づいて、ウエハW2の全てのショット領域の配列座標を求める。そして、主制御装置20は、その配列座標を、基準マークFMの位置を基準とする座標に換算する。この時点でもまだ、ウエハW2の−X側半部の領域の露光が続行されている。
露光装置1000では、上記の一方のウエハステージ上のウエハに対するEGA方式のウエハアライメントは、他方のウエハステージ上のウエハの露光と並行して行われるので、ウエハ上のより多くのショット領域をサンプルショット領域(アライメントショット領域)として行うことが望ましい。他方のウエハステージ上のウエハの露光と並行して行われる限り、全ショット領域をサンプルショット領域とする、いわゆる全点EGAを行うことがより望ましい。
なお、上記の説明では、フォーカスマッピングの終了後にウエハアライメントが行われるものとしたが、これに限らず、ウエハアライメントの終了後にフォーカスマッピングが行われても良いし、あるいはフォーカスマッピングとウエハアライメントとが少なくも一部並行して行われても良い。
そして、一連の計測作業が終了すると、主制御装置20は、ウエハW3を保持したウエハステージWST1を、図53中に白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWST1の待機位置に向かって、−X方向かつ+Y方向に駆動する。図54には、ウエハステージWST1が待機位置へ移動し、その位置で待機している状態が示されている。この待機位置への移動の途中で、ウエハステージWST1の位置を計測する計測系が、第2微動ステージ位置計測系110Bから中間位置計測系121に切り換えられる。
上記のウエハステージWST1の待機位置への移動及びその後の待機位置での待機と並行して、主制御装置20により、図53、図54及び図55中にそれぞれ黒矢印で示されるような経路に沿って、ウエハステージWST2を移動しながらウエハテーブルWTB2上に保持されたウエハW2の+X側半部の領域の露光が行われる。
図55と図42とを比較すると明らかなように、図55の状態は、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とが入れ替わるとともに、ウエハステージWST1の待機位置が、ウエハステージWST2の待機位置と、基準軸LVに関して左右対称の位置に設定されているが、2つのウエハステージWST1、WST2上に保持された2枚のウエハWの処理の進捗状況は同じである。
以後上述と同様の動作が、ウエハステージWST1、WST2を交互に用いながら、主制御装置20によって、繰り返される。
ただし、この繰り返しに際し、ウエハステージWST2は、保持するウエハWの露光が終了すると、+X方向に駆動された後、ウエハステージWST1との入れ替えのため、−Y方向に駆動される。この場合、ウエハステージWST1は、ウエハステージWST2との入れ替えのため、+Y方向に駆動される。
以上詳細に説明したように、本第2の実施形態に係る露光装置1000によると、前述した第1の実施形態に係る露光装置100と同等の効果を得ることができる。これに加え、本第2の実施形態に係る露光装置1000によると、例えば露光ステーション200に一方のウエハステージWST1(又はWST2)があり、計測ステーション300に他方のウエハステージWST2(又はWST1)がある場合、露光ステーション200において、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)に保持されたウエハWが、照明光ILにより投影光学系PL及び液体Lqを介して露光されるのと並行して、計測ステーション300においてウエハテーブルWTB2(又はWTB1)に保持されたウエハWに対する前述した一連の計測を行うことが可能になる。また、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)に保持されたウエハWに対する露光が終了すると、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)と計測テーブルMTBとの間で、投影光学系PL直下の液体Lq(液浸領域14)の受け渡しが行われ、投影光学系PLと計測テーブルMTBとによってその液体が保持される。この液体Lqの受け渡しは、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)に保持されたウエハWに対する露光が終了した直後に行うことが可能になる。これにより、投影光学系PLの直下に供給された液体LqをウエハテーブルWTB1及びWTB2の一方から他方に受け渡す必要がなくなる。これにより、例えばウエハ交換等のため、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)を計測ステーション300側に戻す際に、投影光学系PLの直下に供給された液体LqをウエハテーブルWTB1及びWTB2の一方から他方に受け渡す場合のように、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)を大回りさせる必要がなくなる。また、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とは、前述の中間領域内で互いに異なる移動経路を通って露光ステーション200と計測ステーション300との一方から他方に移動され、本実施形態ではその異なる移動経路がX方向に関して位置が異なる、すなわちベース盤12上でX方向の一端側と他端側とに離れて設定される。本実施形態では、チューブキャリアが、ウエハステージWST1に対しては−X方向から接続され、ウエハステージWST2に対しては+X方向から接続されるため、ウエハステージWST1はX方向に関して投影光学系PLの−X側に移動経路が設定され、ウエハステージWST2はX方向に関して投影光学系PLの+X側に移動経路が設定される。
従って、スループットの向上が可能となるとともに、装置の小型化も可能になる。
また、主制御装置20は、例えば上記の露光済みのウエハWを保持するウエハステージWST1及びWST2の一方と、前述の一連の計測が終了したウエハWを保持するウエハステージWST1及びWST2の他方とのY軸方向に関する位置の入れ替え時を含み、ウエハステージWST1及びWST2の一方に保持されたウエハWの露光終了後ウエハステージWST1及びWST1の他方に保持されたウエハWの露光が開始されるまで一部の期間で、計測テーブルMTBが有する計測用部材、すなわち前述の照度むらセンサ95、空間像計測器96、波面収差計測器97及び照度モニタ98の少なくとも1つを用いて、照度むら計測、空間像計測、波面収差計測及びドーズ計測の少なくとも1つを行うことができる。これにより、スループットを低下させることなく、必要に応じて露光に関連する計測を行うことが可能になる。
また、本第2の実施形態に係る露光装置1000によると、主制御装置20は、フォーカスマッピング及びウエハアライメント計測を、ウエハステージWST1、WST2を、Y軸方向のみでなく、X軸方向にも移動しつつ行う。これにより、ストリーム処理特有の誤差要因がなくなり、ストリーム処理特有の誤差の影響を低減するための前述のトラバースチェックなどが不要となる。すなわち、第2微動ステージ位置計測系110Bの座標系(第2トップサイドエンコーダシステム80Bの座標系及び第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系)と、多点AF系(90a、90b)及びアライメント系AL1との関係をキャリブレーションする必要はない。
すなわち、本第2の実施形態に係る露光装置1000では、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの検出中心と、それぞれの検出中心のXY平面内の位置が一致するアライメント系AL1及び多点AF系(90a、90b)を、それぞれ用いて、ウエハステージWST1又はWST2を前述の如くX軸方向及びY軸方向に移動させながら、ウエハアライメント計測(EGA)、及びフォーカスマッピングが行われる。これは、上記の第2微動ステージ位置計測系110Bの座標系(第2トップサイドエンコーダシステム80Bの座標系及び第2バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系)と、多点AF系(90a、90b)及びアライメント系AL1との関係が、ウエハアライメント計測(EGA)及びフォーカスマッピング時に必然的にキャリブレーションされること意味する。なお、前述した第1の実施形態においても、本第2の実施形態同様の手法により、ウエハアライメント計測(EGA)、及びフォーカスマッピングを行うモードを設定できるようにしておいても良い。このようにすれば、ストリーム処理特有の誤差要因がなくなり、ストリーム処理特有の誤差の影響を低減するための前述のトラバースチェックなどが不要となる。
また、本第2の実施形態に係る露光装置1000では、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの検出中心に対する、アライメント位置(アライメント系AL1の検出中心)、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの各ヘッド、並びに第2トップサイドエンコーダシステム80Bの各ヘッドのXY平面内の位置関係が、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの検出中心に対する、露光位置(投影光学系PLの光軸、露光領域IAの中心)、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの各ヘッド、並びに第1トップサイドエンコーダシステム80Aの各ヘッドのXY平面内の位置関係と同じ又は対称になっている。そして、ウエハアライメント時などには、アライメント位置を原点とする計測時座標系によりウエハテーブルWTB1、WTB2(すなわちウエハ)の位置が管理され、露光時には、計測時座標系と座標グリッドが対応する、露光位置を原点とする露光時座標系によりウエハテーブルWTB1、WTB2(すなわちウエハ)の位置が管理される。従って、ウエハアライメント等の計測結果に基づいて、露光の際に、ウエハテーブルWTB1、WTB2(すなわちウエハ)の位置を高精度に制御することが可能になる。
なお、上記第2の実施形態において、アンローディングポジションUPを、ローディングポジションLPの近傍の異なる位置に設定したが、両者を同一位置に設定しても良い。また、ローディングポジションLPは、上述した計測プレート30上の基準マークFMリアライメント系AL1の視野(検出領域)内に位置決めされる位置に限らず、その近傍の位置、例えばアンローディングポジションUPと基準軸LVに関して対称な位置に設定しても良い。
また、上記第2の実施形態では、露光座標セット用計測系34、及び計測座標セット用計測系35が、それぞれZセンサとともにウエハテーブル上のマークのX,Y2次元方向の位置を検出する一対の画像センサを備えているものとしたが、これに限らず、例えば画像センサに代えて、ウエハテーブルのXY2次元方向の絶対位置の計測が可能なアブソリュートエンコーダを設けても良い。
また、上記第2の実施形態では、ウエハステージWST1、WST2がそれぞれ備える粗動ステージWCSの位置情報を計測する計測系は、中間位置計測系の他に設けられていないが、計測ステーション300、露光ステーション200で、それぞれの粗動ステージWCSの位置情報を計測する計測系を別途設けても良い。この計測系は、例えば干渉計システム、エンコーダシステム、あるいは中間位置計測系121と同様のホール素子センサなどにより構成することができる。
また、上記第2の実施形態では、第3微動ステージ位置計測系110C、中間位置計測系121、露光座標セット用計測系34、及び計測座標セット用計測系35を設けるものとしたが、これらを設けず、第1、第2バックサイドエンコーダ70A,70B及び第1、第2トップサイドエンコーダシステム80A,80Bによる位置情報の計測が不能となる範囲内で2つのウエハステージWST1,WST2の位置情報をそれぞれ計測可能な計測装置、例えば前述の第4トップサイドエンコーダシステム80Dを設けるだけでも良い。この場合、例えば、第1、第2トップサイドエンコーダシステム80A,80Bにそれぞれ、前述の座標セットに用いるヘッドを付加しても良い。
なお、上記第2の実施形態において、計測ステージMSTの複数の計測用部材(センサ)を使う計測動作はその全てを、ウエハステージWST1とウエハステージWST2との一方から他方への置換中に行なう必要はなく、例えば、複数の計測の一部を、ウエハステージWST1からウエハステージWST2への置換中に行ない、残りの計測を、ウエハステージWST2からウエハステージWST1への置換中に行なっても良い。
また、上記第1及び第2の実施形態において、計測ステージMSTは必ずしも前述の各種計測用部材(センサ)を有していなくても良く、単にウエハステージの代わりに投影光学系PLの下に液浸領域を維持するためだけに使用しても良い。この場合、ウエハステージに前述の各種計測用部材(センサ)の少なくとも一部を設けても良い。
なお、上記第1の実施形態において、ウエハステージ位置計測系16Aとして、干渉計システムに代えて、中間位置計測系121と同様のホール素子センサ、又はエンコーダシステムなどを用いても良い。すなわち、上記第1の実施形態では、干渉計システムは全く設けなくても良い。また、上記第1の実施形態において、前述の露光座標セット用計測系34と同様の露光座標復帰用計測系を設け、該露光座標復帰用計測系により微動ステージ位置系計測系110Aの少なくとも第1バックサイドエンコーダシステム70Aの原点復帰を行うこととしても良い。また、上記第1の実施形態において、前述の計測座標セット用計測系35と同様の計測座標復帰用計測系を設け、該計測座標復帰用計測系により微動ステージ位置系計測系110Bの少なくとも第2バックサイドエンコーダシステム70Bの原点復帰を行うこととしても良い。
なお、上記第1の実施形態において、露光ステーション200と計測ステーション300との間に設定されていたアンローディングポジションUP1及び待機ポジションUP2に代えて、上記第2の実施形態と同様に、アンローディングポジションのみを、ローディングポジションLPの近傍の位置、例えばローディングポジションLPと同一Y位置でかつ−X側に所定距離離れた位置に設定しても良い。この場合において、アンローディングポジションを、ローディングポジションLPと同一位置に設定しても良い。また、ローディングポジションLPは、上述した計測プレート30上の基準マークFMがプライマリアライメント系AL1の視野(検出領域)内に位置決めされる位置に限らず、その近傍の位置、例えばアンローディングポジションと基準軸LVに関して対称な位置に設定しても良い。
また、上記第1及び第2の各実施形態において、計測ステージMSTの位置を計測する計測ステージ位置計測系16Bとして、干渉計システムに代えて、前述の中間位置計測系121と同様のホール素子センサ、又はエンコーダシステムなどを用いても良い。後者の場合、例えば図56に示されるように、計測テーブルMTBの上面に例えば2次元グレーティングRG2を設け、2次元グレーティングRG2に対向して、メインフレームBDに支持部材を介してエンコーダヘッドを複数、例えばXZヘッドとYZヘッドとの組み合わせから成る4軸ヘッドを複数対、計測ステージMSTの移動経路に沿って配置することとしても良い。図56では、一対の4軸ヘッド1661、1662と、一対の4軸ヘッド1663、1664と、一対の4軸ヘッド1665、1666とが、計測ステージMSTの移動経路に沿って配置されている。これらヘッドと2次元グレーティングRG2とをまとめて第5トップサイドエンコーダシステムと呼ぶことができ、図56に示したヘッドの配置(位置)を変更する、あるいは少なくとも1つのヘッドを追加することによって、前述のスクラム動作中に、第5トップサイドエンコーダシステムによって計測ステージMSTの位置情報を計測可能としても良い。
なお、上記第1、第2の実施形態において、各バックサイドエンコーダシステムは、ヘッド部の構成などは前述したものに限らず任意で構わない。また、各トップサイドエンコーダシステムは、ヘッドの配置や数などが任意で構わない。
粗動ステージWCSと微動ステージWFSとの位置を別々に計測する計測系を別途設ける場合、粗動ステージWCSと微動ステージWFSとの相対位置情報を計測する計測系を設けても良い。同様に、計測ステージMSTのスライダ部60及び支持部62と計測テーブルMTBとの相対位置情報を計測する計測系を設けても良い。また、上記第1、第2の実施形態ではウエハステージ位置計測系16Aそのものを設けなくても良い。
なお、上記各実施形態では、露光装置が液浸型の露光装置である場合について説明したが、これに限らず、上記各実施形態は、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置にも適用できる。例えば、上記第2の実施形態に係る露光装置1000が、ドライタイプの露光装置である場合、主制御装置20は、例えば一方のウエハステージ(WST1又はWST2)に保持されたウエハWの露光終了後、その一方のウエハステージが投影光学系PLの下方から離れ、他方のウエハステージ(WST2又はWST1)に保持されたウエハWの露光が開始されるまでの間に、計測テーブルMTBが有する計測用部材(すなわち前述の照度むらセンサ95、空間像計測器96、波面収差計測器97及び照度モニタ98の少なくとも1つ)を用いて、照明光ILを投影光学系PLを介してそれぞれの計測器の受光面を介して受光する露光に関連する計測、すなわち照度むら計測、空間像計測、波面収差計測及びドーズ計測の少なくとも1つを行うことができる。これにより、スループットを低下させることなく、必要に応じて露光に関連する計測を行うことが可能になる。
なお、上記各実施形態では、露光装置が、スキャニング・ステッパである場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に上記実施形態を適用しても良い。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置にも上記各実施形態は適用することができる。
また、上記各実施形態に係る露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、この投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上記各実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を用いるEUV露光装置にも上記実施形態を適用することができる。その他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、上記各実施形態は適用できる。
また、上記各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。かかる可変成形マスクを用いる場合には、ウエハ又はガラスプレート等が搭載されるステージが、可変成形マスクに対して走査されるので、このステージの位置を前述の第1、第2微動ステージ位置計測系110A、110Bを用いて計測することで、上記各実施形態と同等の効果を得ることができる。
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも上記実施形態を適用することができる。
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを、投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも上記各実施形態を適用することができる。
なお、上記各実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものでなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど他の物体でも良い。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも上記各実施形態を適用できる。
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した各実施形態に係る露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記各実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
また、上記各実施形態の露光装置(パターン形成装置)は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
なお、これまでの説明で引用した露光装置などに関する全ての国際公開、米国特許出願公開明細書及び米国特許明細書の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。