以下、一実施形態について、図1〜図27(E)に基づいて、説明する。
図1には、一実施形態に係る露光装置100の構成が概略的に示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向(Z方向)、これに直交する面内でレチクルRとウエハWとが相対走査される方向をY軸方向(Y方向)、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向(X方向)とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置100は、図1に示されるように、ベース盤12上の+Y側端部近傍に配置された露光部200と、ベース盤12上の−Y側端部近傍に配置された計測部300と、ベース盤12上で独立してXY平面内で2次元移動するウエハステージWST及び計測ステージMSTと、これらの制御系等とを備えている。以下においては、説明の便宜上、露光部200、計測部300のそれぞれの場所を示す用語として、露光部、計測部と同一の符号を用いて、露光ステーション200、計測ステーション300と称するものとする。
ベース盤12は、床面上に防振機構(図示省略)によってほぼ水平に(XY平面に平行に)支持されている。ベース盤12は、平板状の外形を有する部材から成る。なお、図1において、露光ステーション200には、ウエハステージWSTが位置しており、ウエハステージWST(より詳細には後述するウエハテーブルWTB)上にウエハWが保持されている。また、露光ステーション200の近傍に計測ステージMSTが位置している。
露光部200は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU及び局所液浸装置8等を備えている。
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する照明光学系と、を含む。照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステムとも呼ばれる)で設定(制限)されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図1における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図6参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)13によって、レチクルステージRSTに固定された移動鏡15(実際には、Y軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡(あるいは、レトロリフレクタ)とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられている)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計13の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図6参照)に送られる。
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、不図示の支持部材によって水平に支持されたメインフレームBDによってその外周部に設けられたフランジ部FLGを介して支持されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、Z軸と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWST(より正しくは、ウエハWを保持する後述する微動ステージWFS)との同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、及び投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
局所液浸装置8は、露光装置100が、液浸方式の露光を行うことに対応して設けられている。局所液浸装置8は、液体供給装置5、液体回収装置6(いずれも図1では不図示、図6参照)、及びノズルユニット32等を含む。ノズルユニット32は、図1に示されるように、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように不図示の支持部材を介して、投影ユニットPU等を支持するメインフレームBDに吊り下げ支持されている。ノズルユニット32は、液体Lqの供給口及び回収口と、ウエハWが対向して配置され、かつ回収口が設けられる下面と、液体供給管31A及び液体回収管31B(いずれも図1では不図示、図4参照)とそれぞれ接続される供給流路及び回収流路とを備えている。液体供給管31Aには、その一端が液体供給装置5(図1では不図示、図6参照)に接続された不図示の供給管の他端が接続されており、液体回収管31Bには、その一端が液体回収装置6(図1では不図示、図6参照)に接続された不図示の回収管の他端が接続されている。本実施形態では、主制御装置20が液体供給装置5(図6参照)を制御して、液体供給管31A及びノズルユニット32を介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体を供給するとともに、液体回収装置6(図6参照)を制御して、ノズルユニット32及び液体回収管31Bを介して先端レンズ191とウエハWとの間から液体を回収する。このとき、主制御装置20は、供給される液体の量と回収される液体の量とが常に等しくなるように、液体供給装置5と液体回収装置6を制御する。従って、先端レンズ191とウエハWとの間には、一定量の液体Lq(図1参照)が常に入れ替わって保持される。本実施形態では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水を用いるものとする。なお、ArFエキシマレーザ光に対する純水の屈折率nは、ほぼ1.44であり、純水の中では、照明光ILの波長は、193nm×1/n=約134nmに短波長化される。
計測部300は、メインフレームBDに設けられたアライメント装置99と、メインフレームBDに設けられた多点焦点位置検出系(以下、多点AF系と略述する)90(図1では不図示、図6参照)と、を有する。
アライメント装置99は、図4に示される5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24を含む。詳述すると、図4及び図5に示されるように、投影ユニットPUの中心(投影光学系PLの光軸AX、本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつY軸と平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で、光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に、検出中心が位置する状態でプライマリアライメント系AL1が配置されている。プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LVに関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。すなわち、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出中心がX軸方向に沿って配置されている。
各セカンダリアライメント系AL2n(n=1〜4)は、駆動機構60n(n=1〜4、図1では不図示、図6参照)によって、その一部の構成部材を駆動することで、その検出領域(又は検出中心)の位置を独立にX軸方向及びY軸方向に関して調整可能である。従って、プライマリアライメント系AL1及びセカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24はX軸方向及びY軸方向に関してその検出領域の相対位置が調整可能となっている。
5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24のそれぞれとしては、例えば、ウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標(各アライメント系内に設けられた指標板上の指標パターン)の像とを撮像素子(CCD等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24からの撮像信号は、主制御装置20に供給されるようになっている(図6参照)。なお、アライメント装置99の詳細構成は、例えば米国特許出願公開第2009/0233234号明細書に開示されている。
多点AF系90としては、図4及び図5に示されるように、送光系90a及び受光系90bから成る斜入射方式の多点AF系が設けられている。多点AF系90と同様の構成は、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されている。本実施形態では、一例として、送光系90aと受光系90bとは、プライマリアライメント系AL1の検出中心を通るX軸に平行な直線(基準軸)LAの+Y側に同一距離離れた位置に、基準軸LVに関して対称に配置されている。送光系90aと受光系90bとのX軸方向の間隔は、後述するウエハテーブルWTB上に設けられた一対のスケール391、392(図2(A)参照)の間隔より広く設定されている。
多点AF系90は、図6に示されるように、主制御装置20に接続されている。主制御装置20は、一例として図10(B)に示されるように、送光系90aからウエハW等の検出対象(図10(B)では計測プレート30)の一面に複数の検出光(より正確には、送光系90aを構成する不図示のパターン形成板上に形成された複数のスリット状の開口パターンの像光束)を照射する(図10(B)中の星マーク参照)。これにより、その複数の検出光の検出対象の一面(以下、被検面と称する)からの反射光を受光した受光系90bによって、被検面上の各検出点(すなわち複数の検出光それぞれの照射点)AFP0、AFP1〜AFP4等における、Z位置に対応する多数のフォーカス信号が、次のようにして得られる。
すなわち、上記の複数のスリット状の開口パターンの像光束の照射により、複数のスリット状の開口パターンの像(スリット像)が被検面上に形成され、これらのスリット像の光束の被検面からの反射光束が、受光系90bの集光対物レンズ及び回転方向振動板等の光学系(いずれも不図示)を介して受光器(不図示)の手前側に配置され、前記開口パターンの配置に対応して複数のスリットが設けられた受光用スリット板(不図示)上に再結像される。そして、主制御装置20により発振器からの駆動信号でドライブされる加振装置(不図示)を介して回転方向振動板(不図示)に所定の振動が与えられると、受光用スリット板上では再結像された各像の位置が所定方向(スリット板の各スリットの長手方向と直交する方向)に振動する。これにより、受光用スリット板の各スリットにそれぞれ対向して配置された受光器の複数のフォトセンサのそれぞれの検出信号が信号処理装置(不図示)により、回転振動周波数の信号で同期検波される。
そして、信号処理装置により同期検波して得られた多数のフォーカス信号が主制御装置20に供給される。
ここで、上述の説明から明らかなように、多点AF系90では複数の検出点に個別に対応してフォトセンサが設けられているので、これらのフォトセンサを、以下では必要に応じてフォーカスセンサと呼ぶ。
多点AF系90の複数の検出点は、例えば図10(B)に示されるように、被検面上でX軸方向に沿って所定間隔で配置される。本実施形態では、例えば1行M列(Mは検出点の総数)又は2行N列(Nは検出点の総数の1/2)の行マトリックス状に配置される。図4及び図5中では、それぞれ検出ビームが照射される複数の検出点を、個別に図示せず、送光系90a及び受光系90bの間でX軸方向に延びる細長い検出領域AFとして示している。この検出領域AFは、X軸方向の長さがウエハWの直径と同程度に設定されているので、ウエハWをY軸方向に1回スキャンするだけで、ウエハWのほぼ全面でZ軸方向の位置情報(面位置情報)を計測できる。また、この検出領域AFは、Y軸方向に関して、投影光学系PL(露光領域IA)とアライメント系(AL1、AL21,AL22,AL23,AL24)の検出領域との間に配置されているので、多点AF系とアライメント系とでその検出動作を並行して行うことが可能となっている。
なお、複数の検出点は1行M列又は2行N列で配置されるものとしたが、行数及び/又は列数はこれに限られない。但し、行数が2以上である場合は、異なる行の間でも検出点のX軸方向の位置を異ならせることが好ましい。さらに、複数の検出点はX軸方向に沿って配置されるものとしたが、これに限らず、複数の検出点の全部又は一部をY軸方向に関して異なる位置に配置しても良い。例えば、X軸及びY軸の両方と交差する方向に沿って複数の検出点を配置しても良い。すなわち、複数の検出点は少なくともX軸方向に関して位置が異なっていれば良い。また、本実施形態では複数の検出点に検出ビームを照射するものとしたが、例えば検出領域AFの全域に検出ビームを照射しても良い。さらに、検出領域AFはX軸方向の長さがウエハWの直径と同程度でなくても良い。
ウエハステージWSTは、図1及び図2(B)等からわかるように、粗動ステージWCSと、粗動ステージWCSに非接触状態で支持され、粗動ステージWCSに対して相対移動可能な微動ステージWFSとを有している。ウエハステージWST(粗動ステージWCS)は、粗動ステージ駆動系51A(図6参照)により、X軸及びY軸方向に所定ストロークで駆動されるとともにθz方向に微小駆動される。また、微動ステージWFSは、微動ステージ駆動系52A(図6参照)によって粗動ステージWCSに対して6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy及びθzの各方向)に駆動される。
ウエハステージWST(粗動ステージWCS)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、干渉計システムから成るウエハステージ位置計測系16A(図1及び図6参照)によって計測される。微動ステージWFSの位置情報は、後述するエンコーダシステム150(図6参照)によって計測される。
また、計測ステージMSTのXY平面内の位置情報は、干渉計システムから成る計測ステージ位置計測系16B(図1及び図6参照)によって計測される。
ウエハステージ位置計測系16A、計測ステージ位置計測系16B、及びエンコーダシステム150の計測値(位置情報)は、それぞれ粗動ステージWCS、計測ステージMST、並びに微動ステージWFSの位置制御のため、主制御装置20に供給される(図6参照)。
ここで、上記各種計測系を含み、ステージ系の構成各部の構成等について詳述する。まず、ウエハステージWSTについて説明する。
粗動ステージWCSは、図2(B)に示されるように、粗動スライダ部91と、一対の側壁部92a,92bと、一対の固定子部93a、93bと、を備えている。粗動スライダ部91は、平面視で(+Z方向から見て)X軸方向の長さがY軸方向の長さより幾分長い長方形板状の部材から成る。一対の側壁部92a,92bのそれぞれは、Y軸方向を長手方向とする長方形板状の部材から成り、粗動スライダ部91の長手方向の一端部と他端部の上面にYZ平面に平行な状態でそれぞれ固定されている。一対の固定子部93a、93bは、側壁部92a,92bそれぞれの上面のY軸方向の中央部に内側に向けて固定されている。粗動ステージWCSは、全体として、上面のX軸方向中央部及びY軸方向の両側面が開口した高さの低い直方体形状を有している。すなわち、粗動ステージWCSには、その内部にY軸方向に貫通した空間が形成されている。なお、側壁部92a,92bは、固定子部93a、93bとY軸方向の長さをほぼ同じにしても良い。すなわち、側壁部92a,92bは、粗動スライダ部91の長手方向の一端部と他端部の上面のY軸方向の中央部のみに設けても良い。
ベース盤12の内部には、図1に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数のコイル17を含む、コイルユニットが収容されている。
コイルユニットに対応して、粗動ステージWCSの底面、すなわち粗動スライダ部91の底面には、図2(B)に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数の永久磁石18から成る磁石ユニットが設けられている。磁石ユニットは、ベース盤12のコイルユニットと共に、例えば米国特許第5,196745号明細書などに開示される電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータから成る粗動ステージ駆動系51A(図6参照)を構成している。コイルユニットを構成する各コイル17に供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される。
粗動スライダ部91の底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング94が固定されている。粗動ステージWCSは、複数のエアベアリング94によって、ベース盤12の上方に所定の隙間(クリアランス、ギャップ)、例えば数μm程度の隙間を介して浮上支持され、粗動ステージ駆動系51Aによって、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に駆動される。
なお、粗動ステージ駆動系51Aとしては、電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータに限らず、例えば可変磁気抵抗駆動方式の平面モータを用いることもできる。この他、粗動ステージ駆動系51Aを、磁気浮上型の平面モータによって構成し、該平面モータによって粗動ステージWCSを6自由度方向に駆動できるようにしても良い。この場合、粗動スライダ部91の底面にエアベアリングを設けなくても良くなる。
一対の固定子部93a、93bそれぞれは、外形が板状の部材から成り、その内部に微動ステージWFSを駆動するための複数のコイルから成るコイルユニットCUa、CUbが収容されている。コイルユニットCUa、CUbを構成する各コイルに供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される。
微動ステージWFSは、図2(B)に示されるように、本体部81と、本体部81の長手方向の一端部と他端部にそれぞれ固定された一対の可動子部82a、82bと、本体部81の上面に一体的に固定された平面視矩形の板状部材から成るウエハテーブルWTBと、を備えている。本体部81は、平面視でX軸方向を長手方向とする八角形板状の部材から成る。本体部81は、ウエハテーブルWTBと熱膨張率が同じ又は同程度の素材で形成されることが望ましく、その素材は低熱膨張率であることが望ましい。
一対の可動子部82a、82bは、本体部81のX軸方向の一端面と他端面とにそれぞれ固定されたYZ断面が矩形枠状の筐体を有する。以下では、便宜上、これらの筐体を可動子部82a、82bと同一の符号を用いて、筐体82a、82bと表記する。
筐体82aは、Y軸方向寸法(長さ)及びZ軸方向寸法(高さ)が、共に固定子部93aよりも幾分大きいY軸方向に細長いYZ断面が矩形の空間(開口部)を有する。筐体82aの空間内に粗動ステージWCSの固定子部93aの−X側の端部が非接触で挿入されている。筐体82aの上壁部82a1及び底壁部82a2の内部には、磁石ユニットMUa1、MUa2が、設けられている。
可動子部82bは、可動子部82aと左右対称ではあるが同様に構成されている。筐体(可動子部)82bの空間内に粗動ステージWCSの固定子部93bの+X側の端部が非接触で挿入されている。筐体82bの上壁部82b1及び底壁部82b2の内部には、磁石ユニットMUa1、MUa2と同様に構成された磁石ユニットMUb1、MUb2が、設けられている。
上述のコイルユニットCUa、CUbは、磁石ユニットMUa1、MUa2及びMUb1、MUb2にそれぞれ対応するように固定子部93a及び93bの内部にそれぞれ収容されている。
磁石ユニットMUa1、MUa2及びMUb1、MUb2、並びにコイルユニットCUa、CUbの構成は、例えば米国特許出願公開第2010/0073652号明細書及び米国特許出願公開第2010/0073653号明細書等に詳細に開示されている。
本実施形態では、前述した可動子部82aが有する一対の磁石ユニットMUa1、MUa2及び固定子部93aが有するコイルユニットCUaと、可動子部82bが有する一対の磁石ユニットMUb1、MUb2及び固定子部93bが有するコイルユニットCUbと、を含んで、上記米国特許出願公開第2010/0073652号明細書及び米国特許出願公開第2010/0073653号明細書と同様に、微動ステージWFSを粗動ステージWCSに対して非接触状態で浮上支持するとともに、非接触で6自由度方向へ駆動する微動ステージ駆動系52A(図6参照)が構成されている。
なお、粗動ステージ駆動系51A(図6参照)として、磁気浮上型の平面モータを用いる場合、該平面モータによって粗動ステージWCSと一体で微動ステージWFSを、Z軸、θx及びθyの各方向に微小駆動可能となるので、微動ステージ駆動系52Aは、X軸、Y軸及びθzの各方向、すなわちXY平面内の3自由度方向に微動ステージWFSを駆動可能な構成にしても良い。この他、例えば粗動ステージWCSの一対の側壁部92a,92bのそれぞれに、各一対の電磁石を、微動ステージWFSの八角形の斜辺部に対向して設け、各電磁石に対向して微動ステージWFSに磁性体部材を設けても良い。このようにすると、電磁石の磁力により、微動ステージWFSをXY平面内で駆動できるので、可動子部82a,82bと、固定子部93a,93bとによって一対のY軸リニアモータを構成しても良い。
ウエハテーブルWTBの上面の中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハホルダは、ウエハテーブルWTBと一体に形成されていても良いし、ウエハテーブルWTBに対して、例えば静電チャック機構あるいはクランプ機構等を介して、又は接着等により固定されていても良い。ここで、図示は省略されているが、本体部81には、ウエハホルダに設けられた孔を介して上下動可能な上下動ピンが設けられている。この上下動ピンは、上面がウエハホルダの上面の上方に位置する第1位置とウエハホルダの上面の下方に位置する第2位置との間で上下方向に移動可能である。
ウエハテーブルWTBの上面のウエハホルダ(ウエハの載置領域)の外側には、図2(A)に示されるように、ウエハホルダよりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ矩形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)28が設けられている。プレート28は、低熱膨張率の材料、例えばガラス又はセラミックス(例えばショット社のゼロデュア(商品名)、Al2O3あるいはTiCなど)から成り、その表面には、液体Lqに対する撥液化処理が施されている。具体的には、例えばフッ素樹脂材料、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料あるいはシリコン系樹脂材料などにより撥液膜が形成されている。なお、プレート28は、その表面の全部(あるいは一部)がウエハWの表面と同一面となるようにウエハテーブルWTBの上面に固定されている。
プレート28は、ウエハテーブルWTBのX軸方向の中央に位置し、その中央に上述の円形の開口が形成された矩形の外形(輪郭)を有する第1撥液領域28aと、該第1撥液領域28aをX軸方向に挟んでウエハテーブルWTBの+X側端部、−X側端部に位置し、第1撥液領域28aよりも幾分+Y方向に突出した長方形の一対の第2撥液領域28bと、第1撥液領域28aの+Y側に位置し、かつ一対の第2撥液領域28bの突出部間に配置されたX軸方向に延びる帯状の第3撥液領域28cとを有する。なお、本実施形態では、前述の如く液体Lqとして水を用いるので、以下では第1撥液領域28a、第2撥液領域28b、及び第3撥液領域28cをそれぞれ第1撥水板28a、第2撥水板28b及び第3撥水板28cとも呼ぶ。
一対の第2撥水板28bには、それぞれ、後述する第1ないし第4エンコーダシステム80A〜80Dのためのスケール391,392が形成されている。詳述すると、スケール391,392はそれぞれ、例えばY軸方向を周期方向とする回折格子とX軸方向を周期方向とする回折格子とが組み合わされた、反射型の二次元回折格子によって構成されている。二次元回折格子の格子線のピッチは、Y軸方向及びX軸方向のいずれの方向についても、例えば1μmと設定されている。なお、図2(A)では、図示の便宜のため、格子のピッチは、実際のピッチよりも大きく図示されている。その他の図においても同様である。
なお、回折格子を保護するために、撥水性を備えた低熱膨張率のガラス板でカバーすることも有効である。ここで、ガラス板としては、厚さがウエハと同程度、例えば厚さ1mmのものを用いることができ、そのガラス板の表面がウエハ面と同じ高さ(面位置)になるよう、ウエハテーブルWTB上面に設置される。
なお、各第2撥水板28bのスケールの端付近には、後述するエンコーダヘッドとスケール間の相対位置を決めるための、不図示の位置出しパターンがそれぞれ設けられている。この位置出しパターンは例えば反射率の異なる格子線から構成され、この位置出しパターン上をエンコーダヘッドが走査すると、エンコーダの出力信号の強度が変化する。そこで、予め閾値を定めておき、出力信号の強度がその閾値を超える位置を検出する。この検出された位置を基準に、エンコーダヘッドとスケール間の相対位置を設定する。また、上述の如く、本実施形態では、微動ステージWFSがウエハテーブルWTBを備えているので、以下の説明では、ウエハテーブルWTBを含む微動ステージWFSを、ウエハテーブルWTBとも表記する。
第3撥液領域28cは、X軸方向に関して第1撥水板28aとほぼ同じ長さを有するX軸方向に延びる板状部材から成るフィデューシャルプレート(以下、FDプレートと略記する)によって構成されている。従って、以下では、FDプレートを、第3撥水板と同一の符号を用いて、FDプレート28cと表記する。FDプレート28cは、プレート28の一部を構成しており、ここでは、前述した低熱膨張率の材料から成るが、これに限らず、例えば石英などから作られても良い。
FDプレート28cの中央部には、X軸方向に長い長円状の計測プレート30が埋め込まれている。計測プレート30は、ArFエキシマレーザ光に対して透明な素材から成る。この計測プレート30には、中央に基準マークFMが設けられ、該基準マークFMを挟むように一対の空間像計測スリットパターン(スリット状の計測用パターン)SLが、設けられている。そして、各空間像計測スリットパターンSLに対応して、それらを透過する照明光ILを、ウエハステージWST外部(後述する計測ステージMSTに設けられる受光系)に導く送光系(不図示)が設けられている。
FDプレート28cのY軸方向中央部には、X軸方向に延設されたオートフォーカス用反射面(以下、AF用反射面と称する)22が形成されている。AF用反射面22は、後述するように、多点AF系90のキャリブレーションを行う際に使用される。AF用反射面22のX軸方向長さは、ほぼウエハWの直径と同一となっている。AF用反射面22の中心部に、前述の計測プレート30に対応する長円形の開口が形成されている。
AF用反射面22のY軸方向中央部には、計測プレート30を挟んでX軸方向に離間した一対のFIAマーク群23が形成されている。一対のFIAマーク群23は、X軸方向に関して、中央部を除き、AF用反射面22のほぼ全長に渡って形成されている。一対のFIAマーク群23のそれぞれには、後述するSec−BCHKの際に使用する反射型回折格子が形成されている。各反射型回折格子は、X軸方向を周期方向とする所定ピッチ、例えば1μmの回折格子(X回折格子)と、該X回折格子と直交する少なくとも1本のライン(格子線)から成る。各反射型回折格子としては、一例として十字をX軸方向に所定間隔で連続的に並べたような格子が用いられる。なお、図2(A)では、AF用反射面22として、FIAマーク群23と比べてY軸方向の幅がかなり広いものが用いられているが、これに限らず、AF用反射面22は、少なくともFIAマーク群23と同じ幅だけあれば良い。
FDプレート28cのAF用反射面22は、一対のFIAマーク群23の格子面を含み、第1撥水板28a(及びスケール391,392)と共に、ほぼ面一な面を形成している。なお、計測プレート30は、照明光ILは透過させるが、多点AF系90の送光系90aからの計測光は照明光ILと波長が異なり、しかも入射角が80度〜85度程度であることから、大部分反射する。
次に、微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB)の位置情報の計測を行う各計測系の説明に先立って、計測ステージMSTについて説明する。図3(A)、図3(B)及び図3(C)には、計測ステージMSTの正面図(−Y方向から見た図)、側面図(+X方向から見た図)、及び平面図(+Z方向から見た図)が、それぞれ示されている。これら図3(A)〜図3(C)に示されるように、計測ステージMSTは、平面視で(+Z方向から見て)X軸方向を長手方向とする長方形板状のスライダ部60と、スライダ部60上面の+X側の端部に固定された直方体部材から成る支持部62と、該支持部62上に片持ち支持され、計測テーブル駆動系52B(図6参照)を介して例えば6自由度方向(又はXY平面内の3自由度方向)に微小駆動される長方形板状の計測テーブルMTBとを備えている。
スライダ部60の底面には、不図示ではあるが、ベース盤12のコイルユニット(コイル17)と共に、電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータから成る計測ステージ駆動系51B(図6参照)を構成する、複数の永久磁石から成る磁石ユニットが設けられている。スライダ部60の底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング(不図示)が固定されている。計測ステージMSTは、前述のエアベアリングによって、ベース盤12の上方に所定の隙間(ギャップ、クリアランス)、例えば数μm程度の隙間を介して浮上支持され、計測ステージ駆動系51Bによって、X軸方向及びY軸方向に駆動される。なお、粗動ステージ駆動系51Aと計測ステージ駆動系51Bとは、コイルユニットを共通とするが、本実施形態では、説明の便宜上から、粗動ステージ駆動系51Aと計測ステージ駆動系51Bとを別々に観念している。実際問題としても、コイルユニットの異なるコイル17が、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとの駆動にそれぞれ用いられるので、このように観念しても問題はない。
計測テーブルMTBには、各種計測用部材が設けられている。この計測用部材としては、例えば、図3(C)に示されるように、照度むらセンサ95、空間像計測器96、波面収差計測器97、照度モニタ98などが設けられている。また、計測テーブルMTBには、前述の一対の送光系(不図示)に対向する配置で、一対の受光系(不図示)が設けられている。本実施形態では、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとがY軸方向に関して所定距離以内に近接した状態(接触状態を含む)において、ウエハステージWST上の計測プレート30の各空間像計測スリットパターンSLを透過した照明光ILを各送光系(不図示)で案内し、計測ステージMST内の各受光系(不図示)の受光素子で受光する、空間像計測装置45(図6参照)が構成される。
計測テーブルMTBの上面には、その表面が撥液膜(撥水膜)で覆われた透明部材から成るプレート63が、固定されている。プレート63は、前述のプレート28と同様の素材によって形成されている。
なお、計測ステージ駆動系51Bを、磁気浮上型の平面モータで構成する場合には、例えば計測ステージを6自由度方向に可動な単体のステージにしても良い。
また、計測テーブルMTBは、粗動ステージWCSに支持されているウエハテーブルWTB(微動ステージWFS)に+Y側から例えば300μm程度以下の距離まで近接又は接触可能であり、その近接又は接触状態では、ウエハテーブルWTBの上面とともに、見かけ上一体のフルフラットな面を形成する(例えば図16参照)。計測テーブルMTB(計測ステージMST)は、主制御装置20により、計測ステージ駆動系51Bを介して駆動され、ウエハテーブルWTBとの間で液浸領域(液体Lq)の受け渡しを行う。なお、計測テーブルMTBとウエハテーブルWTBとの間の液浸領域(液体Lq)の受け渡しについてはさらに後述する。
ここで、ウエハテーブルWTB(微動ステージWFS)の位置情報の計測に用いられるエンコーダシステム150について説明する。エンコーダシステム150は、図6に示されるように、第1、第2、第3及び第4エンコーダシステム80A、80B、80C及び80Dを含む。第1エンコーダシステム80Aは、露光ステーション200にある粗動ステージWCSに移動可能に保持されるウエハテーブルWTBの位置情報の計測に用いられる。第2エンコーダシステム80Bは、計測ステーション300にある粗動ステージWCSに移動可能に保持されるウエハテーブルWTBの位置情報の計測に用いられる。第3エンコーダシステム80Cは、後述するフォーカスマッピング時に、必要に応じて、ウエハテーブルWTBのY軸、Z軸、θy、及びθzの各方向の位置を計測するのに用いられる。第4エンコーダシステム80Dは、露光ステーション200及び計測ステーション300との間、すなわち第1エンコーダシステム80A及び第2エンコーダシステム80Bの計測範囲の間におけるウエハテーブルWTBの位置情報を計測するのに用いられる。
まず、第1エンコーダシステム80Aの構成等について説明する。
露光装置100では、図4に示されるように、投影ユニットPU(ノズルユニット32)の+X側、−X側に、一対のヘッド部62A、62Cが、それぞれ配置されている。ヘッド部62A,62Cは、後述するように、それぞれ複数のヘッドを含み、これらのヘッドが、支持部材を介して、メインフレームBD(図4では不図示、図1等参照)に吊り下げ状態で固定されている。
ヘッド部62A、62Cは、図4に示されるように、各4つの4軸ヘッド651〜654,641〜644を備えている。4軸ヘッド651〜654の筐体の内部には、図5に示されるように、X軸及びZ軸方向を計測方向とするXZヘッド65X1〜65X4と、Y軸及びZ軸方向を計測方向とするYZヘッド65Y1〜65Y4とが収容されている。同様に、4軸ヘッド641〜644の筐体の内部には、XZヘッド64X1〜64X4と、YZヘッド64Y1〜64Y4とが収容されている。XZヘッド65X1〜65X4及び64X1〜64X4、並びにYZヘッド65Y1〜65Y4及び64Y1〜64Y4のそれぞれとしては、例えば米国特許第7,561,280号明細書に開示される変位計測センサヘッドと同様の構成のエンコーダヘッドを用いることができる。
XZヘッド65X1〜65X4,64X1〜64X4(より正確には、XZヘッド65X1〜65X4,64X1〜64X4が発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、投影光学系PLの光軸AX(本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつX軸と平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LH上に、所定間隔WDで配置されている。また、YZヘッド65Y1〜65Y4,64Y1〜64Y4(より正確には、YZヘッド65Y1〜65Y4,64Y1〜64Y4が発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、基準軸LHに平行であり且つ基準軸LHから−Y側に所定距離離間する直線LH1上に、対応するXZヘッド65X1〜65X4,64X1〜64X4と同じX位置に、配置されている。以下では、必要に応じて、XZヘッド65X1〜65X4,64X1〜64X4、及びYZヘッド65Y1〜65Y4,64Y1〜64Y4を、それぞれ、XZヘッド65X,64X、及びYZヘッド65Y,64Yとも表記する。
ヘッド部62A,62Cは、それぞれスケール391,392を用いて、ウエハテーブルWTBのX軸方向の位置(X位置)及びZ軸方向の位置(Z位置)を計測する多眼(ここでは4眼)のXZリニアエンコーダ、及びY軸方向の位置(Y位置)及びZ位置を計測する多眼(ここでは4眼)のYZリニアエンコーダを構成する。以下では、便宜上、これらのエンコーダを、XZヘッド65X、64X、YZヘッド65Y、64Yとそれぞれ同一の符号を用いて、XZリニアエンコーダ65X、64X、及びYZリニアエンコーダ65Y、65Yと表記する。
本実施形態では、XZリニアエンコーダ65XとYZリニアエンコーダ65Yとによって、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは4眼)の4軸エンコーダ65が構成される(図7参照)。同様に、XZリニアエンコーダ64XとYZリニアエンコーダ64Yとによって、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは4眼)の4軸エンコーダ64が構成されている(図7参照)。
ここで、ヘッド部62A,62Cがそれぞれ備える4つのXZヘッド65X,64X(より正確には、XZヘッド65X,64Xが発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)及び4つのYZヘッド65Y,64Y(より正確には、YZヘッド65Y,64Yが発する計測ビームのスケール上の照射点)のX軸方向の間隔WDは、スケール391,392のX軸方向の幅より狭く設定されている。従って、露光の際などには、それぞれ4つのXZヘッド65X,64X,YZヘッド65Y,64Yのうち、少なくとも各1つのヘッドが、常に、対応するスケール391,392に対向する(計測ビームを照射する)。ここで、スケールの幅とは、回折格子(又はこの形成領域)の幅、より正確にはヘッドによる位置計測が可能な範囲を指す。
従って、4軸エンコーダ65と4軸エンコーダ64とによって、ウエハステージWSTが露光ステーション200にある場合、粗動ステージWCSに支持されたウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置情報を計測する第1エンコーダシステム80Aが構成される。
第1エンコーダシステム80Aを構成する、各エンコーダの計測値は、主制御装置20に供給される(図6、図7等参照)。
また、図示は省略されているが、主制御装置20は、ウエハステージWSTをX軸方向に駆動する際、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測するXZヘッド65X、64X及びYZヘッド65Y、64Yを、隣のXZヘッド65X、64X及びYZヘッド65Y、64Yに順次切り換える。すなわち、このXZヘッド及びYZヘッドの切り換え(つなぎ)を円滑に行うために、前述の如く、ヘッド部62A,62Cに含まれる隣接するXZヘッド及びYZヘッドの間隔WDが、スケール391,392のX軸方向の幅よりも狭く設定されている。
次に、第2エンコーダシステム80Bの構成等について説明する。
露光装置100では、図4に示されるように、ヘッド部62C、62Aそれぞれの−Y側でかつアライメント系AL1、AL21〜AL24とほぼ同一のY位置に、ヘッド部62E、62Fが、それぞれ配置されている。ヘッド部62E,62Fは、後述するように、それぞれ複数のヘッドを含み、これらのヘッドが、支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。
ヘッド部62F、62Eは、図4に示されるように、各4つの4軸ヘッド681〜684,671〜674を備えている。4軸ヘッド681〜684の筐体の内部には、図5に示されるように、前述の4軸ヘッド651〜654等と同様に、XZヘッド68X1〜68X4と、YZヘッド68Y1〜68Y3とが収容されている。同様に、4軸ヘッド671〜674の筐体の内部には、XZヘッド67X1〜67X4と、YZヘッド67Y1〜67Y4とが収容されている。XZヘッド68X1〜68X4、及び67X1〜67X4、並びにYZヘッド68Y1〜68Y3及び67Y1〜67Y4のそれぞれとしては、例えば米国特許第7,561,280号明細書に開示される変位計測センサヘッドと同様の構成のエンコーダヘッドを用いることができる。
XZヘッド67X1〜67X3,68X2〜68X4(より正確には、XZヘッド67X1〜67X3,68X2〜68X4が発する計測ビームのスケール392、391上の照射点)は、前述の基準軸LAに沿って、XZヘッド64X1〜64X3、65X2〜65X4のそれぞれとほぼ同じX位置に、配置されている。
YZヘッド67Y1〜67Y3,68Y2〜68Y4(より正確には、YZヘッド67Y1〜67Y3,68Y2〜68Y4が発する計測ビームのスケール392、391上の照射点)は、基準軸LAに平行であり且つ基準軸LAから−Y側に離間する直線LA1上に、対応するXZヘッド67X1〜67X3,68X2〜68X4と同じX位置に、配置されている。
また、残りのXZヘッド67X4、68X1、及びYZヘッド67Y4、68Y1は、XZヘッド64X4、65X1のそれぞれとほぼ同じX位置で、セカンダリアライメント系AL21、AL24それぞれの検出中心の−Y側に、基準軸LA及び直線LA1から同じ距離だけ−Y方向にずれて配置されている。以下では、必要に応じて、XZヘッド68X1〜68X4,67X1〜67X4、及びYZヘッド68Y1〜68Y4,67Y1〜67Y4を、それぞれ、XZヘッド68X,67X、及びYZヘッド68Y,67Yとも表記する。
ヘッド部62F、62Eは、それぞれスケール391,392を用いて、ウエハテーブルWTBのX位置及びZ位置を計測する多眼(ここでは4眼)のXZリニアエンコーダ、及びY位置及びZ位置を計測する多眼(ここでは4眼)のYZリニアエンコーダを構成する。以下では、便宜上、これらのエンコーダを、XZヘッド68X、67X、YZヘッド68Y、67Yとそれぞれ同一の符号を用いて、XZリニアエンコーダ68X、67X、及びYZリニアエンコーダ68Y、67Yと表記する(図7参照)。
本実施形態では、XZリニアエンコーダ68XとYZリニアエンコーダ68Yとによって、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは4眼)の4軸エンコーダ68が構成される(図7参照)。同様に、XZリニアエンコーダ67XとYZリニアエンコーダ67Yとによって、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは4眼)の4軸エンコーダ67が構成される(図7参照)。
ここで、前述と同様の理由により、アライメント計測の際などには、それぞれ4つのXZヘッド68X,67X,YZヘッド68Y,67Yのうち、少なくとも各1つのヘッドが、常に、対応するスケール391,392に対向する(計測ビームを照射する)。従って、4軸エンコーダ68と4軸エンコーダ67とによって、ウエハステージWSTが計測ステーション300にある場合、粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報を計測する第2エンコーダシステム80Bが構成される。
第2エンコーダシステム80Bを構成する、各エンコーダの計測値は、主制御装置20に供給される(図6、図7等参照)。
次に、第3エンコーダシステム80Cの構成等について説明する。
第3エンコーダシステム80Cは、図4に示されるように、基準軸LVに関して対称に配置された一対の4軸ヘッド661、662を含む。一対の4軸ヘッド661、662は、それぞれ4軸ヘッド683の+Y側の位置、4軸ヘッド672の+Y側の位置に配置され、支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。一対の4軸ヘッド661、662のそれぞれは、図5に示されるように、前述の4軸ヘッド64i、65i、67i、68iと同様に、Y軸方向に沿ってそれぞれの検出点が配置されたXZヘッド66X1及びYZヘッド66Y1とXZヘッド66X2及びYZヘッド66Y2とを含む。一対の4軸ヘッド661、662のそれぞれが有するXZヘッド66X1、66X2の検出点のY位置がAFビームの検出中心のY位置(直線LA2上)に一致している。また、XZヘッド66X2の検出点のX位置は、XZヘッド67X2の検出点より幾分+X側に位置し、XZヘッド66X1の検出点のX位置は、XZヘッド68X3の検出点より幾分−X側に位置している。一対の4軸ヘッド661、662は、それぞれスケール391、392を用いて、ウエハテーブルWTBのX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向の位置情報を計測する一対の4軸エンコーダ661、662を構成する。この一対の4軸エンコーダ661、662によって、第3エンコーダシステム80Cが構成される。
第3エンコーダシステム80Cを構成する各エンコーダの計測値は、主制御装置20に供給される(図6、図7等参照)。
ただし、後述するフォーカスマッピング時には、ウエハステージWSTは、計測ステーション300にあり、フォーカスマッピングと並行してウエハアライメント計測が行われており、このアライメント計測が終了するまでの間は、微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB)の6自由度方向の位置は、主制御装置20によって、第2エンコーダシステム80Bの計測値に基づいて、サーボ制御され、第3エンコーダシステム80Cの計測値は、主としてフォーカスマッピングの計測データとして用いられる。そして、ウエハアライメント計測終了後、第2エンコーダシステム80Bの計測範囲からウエハテーブルWTBが外れてからフォーカスマッピングが終了するまでの間は、主制御装置20によって、第3エンコーダシステム80Cの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBの駆動(位置のサーボ制御)が行われるようになっている。
本実施形態では、ウエハステージWSTが、フォーカスマッピングの終了位置から露光位置(投影光学系PL直下近傍)まで移動する際に、その移動中のウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置は、第4エンコーダシステム80D(図6参照)によって計測される。
第4エンコーダシステム80Dは、図4に示されるように、Y軸方向に関してヘッド部62Aとヘッド部62Fとの中間の位置に、X軸方向及びY軸方向にずれて配置された一対の3次元ヘッド791、792を含む。一対の3次元ヘッド791、792は、支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。一対の3次元ヘッド791、792のそれぞれは、図5に示されるように、Y軸方向に並んで配置されたXZヘッド79X1及びYヘッド79Y1とXZヘッド79X2及びYヘッド79Y2とを含む。Yヘッド79Y1、79Y2は、Y軸方向を計測方向とする1次元ヘッドである。この場合、XZヘッド79X1、79X2のX位置は、それぞれXZヘッド68X2、66X1と同じ位置に設定されている。Yヘッド79Y1、79Y2のそれぞれとしては、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示される回折干渉型のエンコーダヘッドを用いることができる。
一対の3次元ヘッド791、792は、ともにスケール391を用いて、ウエハテーブルWTBのX軸,Y軸及びZ軸方向の位置情報を計測する一対の3次元エンコーダ791、792(図6、図7参照)を構成する。この一対の3次元エンコーダ791、792の計測値は、主制御装置20に供給される。一対の3次元エンコーダ791、792は、ウエハテーブルWTBのX軸方向の中心位置が基準軸LVに一致しているとき、同一のスケール391を用いて、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置を計測可能である。一対の3次元エンコーダによって、第4エンコーダシステム80Dが構成されている。
本実施形態の露光装置100では、図4に示されるように、基準軸LV上で露光位置とアライメント位置との間の所定位置、一例として基準軸LV上で3次元ヘッド791のXZヘッド79X1とほぼ同じY位置に、アンローディングポジションUP1が設定され、アンローディングポジションUP1の−X側に所定距離隔てた位置に、待機ポジションUP2が設定されている。
アンローディングポジションUP1には、前述の上下動ピンによってウエハホルダの上方で支持された露光済みのウエハWに上方から接近してその側面を複数ヶ所で挟持して上方に持ち上げるアーム部材から成る第1アンロードスライダ(不図示)が設けられている。第1アンロードスライダは、ウエハの表面には非接触な状態でウエハを保持可能である。第1アンロードスライダは、不図示の防振部材を介してメインフレームBDに取り付けられている。
ウエハ待機ポジションUP2には、第1アンロードスライダに保持されたウエハWを下方から受け取って保持し、上下動可能で外部装置とのウエハの受け渡し位置にそのウエハを搬送可能な第2アンロードスライダ(不図示)が設けられている。第2アンロードスライダは、メインフレームBDとは振動的に分離された別のフレームに支持されている。
図6には、露光装置100の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。主制御装置20は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、露光装置100の構成各部を統括制御する。図7には、図6のエンコーダシステム150の具体的構成の一例が示されている。
次に、上述のようにして構成された本実施形態に係る露光装置100における、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとを用いた並行処理動作について、図8〜図23に基づいて説明する。なお、以下の動作中、主制御装置20によって、局所液浸装置8の液体供給装置5及び液体回収装置6の制御が前述したようにして行われ、投影光学系PLの先端レンズ191の直下には常時水が満たされている。しかし、以下では、説明を分かり易くするため、液体供給装置5及び液体回収装置6の制御に関する説明は省略する。また、以後の動作説明は、多数の図面を用いて行うが、図面毎に同一の部材に符号が付されていたり、付されていなかったりしている。すなわち、図面毎に、記載している符号が異なっているが、それら図面は符号の有無に関わらず、同一構成である。これまでに説明に用いた、各図面についても同様である。なお、図8以下の各図では、計測ステージMSTは簡略化して示されている。
また、第1ないし第4エンコーダシステム80A〜80Dの各ヘッド、多点AF系、アライメント系などは、それらを使用するとき、又はその使用の少し前にオフ状態からオン状態に設定されるが、以後の動作説明においては、この点に関する説明は省略する。
図8には、ウエハステージWSTがローディングポジションLPにあり、計測ステージMSTが、投影光学系PLの直下にある状態が示されている。ローディングポジションLPで、新たな露光前のウエハW(ここでは、一例として、あるロット(1ロットは25枚又は50枚)の中間のウエハとする)が、主制御装置20により不図示のロードアームと上下動ピンとを用いて通常のスキャナと同様の手順で、ウエハステージWST上にロードされる。図8には、ウエハWがウエハテーブルWTB上にロードされた状態が示されている。
本実施形態では、図8に示されるように、ローディングポジションLPは、計測プレート30上の基準マークFMがプライマリアライメント系AL1の視野(検出領域)内に位置決めされる位置(すなわち、プライマリアライメント系AL1のベースライン計測(Pri−BCHK)の前半の処理を行う位置)に設定されている。
ここで、Pri−BCHKの前半の処理とは、以下のような処理を意味する。すなわち、主制御装置20は、前述した計測プレート30の中央に位置する基準マークFMを、プライマリアライメント系AL1で検出(観察)し(図8中の星マーク参照)、そのプライマリアライメント系AL1の検出結果とその検出時における第2エンコーダシステム80B(4軸エンコーダ68と4軸エンコーダ67、より正確には、4軸ヘッド673、682)の計測値とを対応付けてメモリに記憶する。
本実施形態では、ウエハWのロード動作と少なくとも一部並行してPri−BCHKの前半の処理が行われる。このとき、計測テーブルMTB上面には、投影光学系PLとの間に液体Lqによる液浸領域14が形成されている。
また、このとき、先に露光が終了したウエハ(W0とする)は、待機ポジションUP2の所定の高さの位置で、第2アンロードスライダ(不図示)に保持されている。このウエハW0の待機状態は、次のウエハWの露光が開始され、ウエハステージWSTが、待機ポジションUP2の下方から退避した状態となるまで維持されることとなる。
Pri−BCHKの前半の処理と並行して、次に説明するセカンダリアライメント系AL2n(n=1〜4)のベースライン計測(以下、適宜Sec−BCHKとも呼ぶ)が開始される。ここで、セカンダリアライメント系AL2nのベースラインとは、プライマリアライメント系AL1の検出中心を基準とする各セカンダリアライメント系AL2nの検出中心の相対位置を意味する。
a.Sec−BCHKに際して、主制御装置20は、まず、プライマリアライメント系AL1による基準マークFMの検出と並行して、図9(A)に示されるように、セカンダリアライメント系AL21〜AL24それぞれを用いて、それぞれの検出領域内に位置するFDプレート28cの一対のFIAマーク群23の一部のFIAマークをほぼ同時に検出し(図9(A)中の星マーク参照)、それぞれの検出結果を上述したPri−BCHKの前半の処理結果と対応付けてメモリに格納する。ここで、検出開始前の時点におけるセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースライン大凡の値は、前回のベースライン計測、又は設計値などに基づいて、既知であるので、一対のFIAマーク群23のどの位置のマークを、セカンダリアライメント系AL21〜AL24のそれぞれで検出したかについて、主制御装置20は、認識している。ここでは、各セガンダリアライメント系AL2n(n=1、2、3、4)が、FIAマークAM2nを検出したものとする(図9(A)参照)。この図9(A)の状態では、ウエハテーブルWTBの位置は、第2エンコーダシステム80B(4軸エンコーダ68と4軸エンコーダ67、より正確には、4軸ヘッド673、682)の計測値に基づいて主制御装置20によって制御されている。
b.次に、主制御装置20は、図9(A)中に白抜き矢印で示されるように、第2エンコーダシステム80Bの計測値に基づいて、ウエハステージWSTを+X方向に所定距離駆動し、図9(B)で示されるように、上記のFIAマークAM21を、プライマリアライメント系AL1の検出領域内に位置決めする。そして、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1を用いてFIAマークAM21を検出し(図9(B)中の星マーク参照)、その検出結果を上述したセガンダリアライメント系AL21によるFIAマークAM21の検出結果と対応付けてメモリに格納する。この図9(B)の状態では、ウエハテーブルWTBの位置は、第2エンコーダシステム80Bの4軸エンコーダ67、68、より正確には、4軸ヘッド674、684に基づいて制御されている。
c.以後、同様に、主制御装置20は、図9(B)中に白抜き矢印で示されるように、第2エンコーダシステム80Bの計測値に基づいて、ウエハステージWSTを−X方向に順次所定距離移動してFIAマークAM22〜AM24を、プライマリアライメント系AL1の検出領域内に順次位置決めし、位置決めの都度、FIAマークAM22〜AM24を、プライマリアライメント系AL1で順次検出し、それぞれの検出結果とその検出時の第2エンコーダシステム80Bの計測値とを、セガンダリアライメント系AL22〜AL24によるFIAマークAM21〜AM24の検出結果とそれぞれ対応付けてメモリに格納する。なお、本明細書では、所定方向に並んだ複数の検出系のうち、中心部外に位置する検出系(例えばセガンダリアライメント系AL22〜AL24)の検出対象部位(例えばFIAマークAM21〜AM24)を、中心部に位置する検出系(例えばプライマリアライメント系AL1)の検出領域内に位置させるような方式を、引きこみ方式と呼ぶ。すなわち、本実施形態では、引き込み方式のSec−BCHKが採用されている。
d.そして、主制御装置20は、メモリ内に格納された、同一のFIAマークAMnのプライマリアライメント系AL1とセカンダリアライメント系AL2nとによる検出結果に基づいて、セカンダリアライメント系AL2nそれぞれについてのベースラインのオフセットを算出する。
e.そして、主制御装置20は、ベースラインのオフセットに応じて、セカンダリアライメント系AL2nのXY2方向の位置の微調整を、駆動機構60nを介して行う。
そして、その位置調整後のセカンダリアライメント系AL2n及びプライマリアライメント系AL1を用いて、後述するストリームアライメント計測、及びその計測結果に基づき例えば米国特許出願公開第2007/0052939号明細書などに開示されている高次EGA計算を行い、その高次EGA計算の結果得られた非線形成分の補正が可能な、ウエハ上の各ショット領域の位置合わせのための座標に基づいて、各ショット領域に対してステップ・アンド・スキャン方式で露光を行う。これにより、スケール391、392のグリッド誤差(格子の変形)、及び各ショット領域のウエハ上の例えばX軸方向に関する位置の差などに起因する、アライメント系間の検出誤差は補正され、結果的にアライメント系間の検出誤差に起因する重ね合わせ誤差は、殆ど生じなくなる。なお、この点については、さらに後述する。
並行動作の説明に戻る。次に、主制御装置20は、第2エンコーダシステム80Bの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBの位置をサーボ制御しつつ、ウエハWのX軸方向の中心位置が基準軸LVとほぼ重なる位置まで粗動ステージWCSをX軸方向に駆動する。その後、ウエハステージ位置計測系16Aの計測値に基づいて粗動ステージWCSを駆動するとともに、第2エンコーダシステム80Bの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBの位置をサーボ制御しつつ、ウエハステージWSTのローディングポジションLPから露光ステーション200へ向けての+Y方向の移動動作を開始する。このウエハステージWSTの+Y方向への移動は、まず、例えば3つのファーストアライメントショット領域に付設されたアライメントマーク(以下、ファーストアライメントマークと略称する)を検出する位置へ向けて開始される。このとき、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置は、第2エンコーダシステム80Bの計測値に基づいて、サーボ制御されている。なお、粗動ステージWCSは、露光ステーション200、計測ステーション300及びその間のいずれの領域でも、ウエハステージ位置計測系16Aによって計測された位置情報に基づいて、XY平面内で駆動されるが、以下においては、この点に関する説明は省略する。
そして、+Y方向への移動中に、図10(A)(及び図11)に示される位置、すなわち計測プレート30に送光系90aからの検出ビームが照射される位置にウエハステージWSTが到達すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTを停止して、フォーカスキャリブレーション前半の処理及び多点AF系90のセンサ間オフセットの計測処理を行う。
f.すなわち、主制御装置20は、図10(A)に示されるように、ウエハW(ウエハテーブルWTB)のX軸方向中心位置と基準軸LVとが一致した状態において、前述した第3エンコーダシステム80Cの一対のXZヘッド66X1、66X2によって検出されるウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報(スケール391、392のZ位置情報)を検出しつつ、それらの情報から得られる基準平面を基準として、多点AF系90を用いて前述のFDプレート28c中央の計測プレート30及びAF用反射面22を含み、FDプレート28c上に設定される複数の検出点における面位置(Z位置)の情報を、次のようにして検出する。このとき、ウエハテーブルWTBの位置は、第2エンコーダシステム80Bの計測値に基づいて、主制御装置20によって制御されている。
すなわち、主制御装置20は、図10(B)に示されるように、多点AF系90の送光系90aから計測プレート30及びAF用反射面22を含むFDプレート28c表面に複数の検出光を照射する(図10(B)中の星マーク参照)。これにより、その複数の検出光のFDプレート28cからの反射光を受光した受光系90bの複数のフォーカスセンサ(AFb1、AFb21、AFb22、AFb23、AFb24等)によって、FDプレート28c上の各検出点(すなわち複数の検出光それぞれの照射点)における、Z位置に対応する多数のフォーカス信号が、前述したようにして得られる。そして、得られた多数のフォーカス信号が主制御装置20に供給される。
図10(B)では、説明を簡略化するため、一例として、送光系90aから、XZ断面において、前述のパターン形成板上の複数のスリット状の開口パターンに相当する5つの射出点AFa1、AFa21〜AFa24が設けられ、射出点AFa1、AFa21〜AFa24のそれぞれから検出光がFDプレート28cの上の点(厳密には、検出光は断面積を有するので、領域)AFP0、AFP1〜AFP4のそれぞれに照射され(図10(B)中の星マーク参照)、それぞれの検出光のFDプレート28cからの反射光が、受光系90b内のフォーカスセンサAFb1、AFb21〜AFb24のそれぞれで受光されるものとしている。図10(B)においては、FDプレート28c中央の計測プレート30(基準マークFM)上に検出光を照射する射出点を射出点AFa1とし、その他の射出点をそれぞれ射出点AFa21〜AFa24としている。また、射出点AFa1からFDプレート28c上に照射された検出光のFDプレート28cからの反射光を受光するフォーカスセンサを、フォーカスセンサAFb1とし、射出点AFa21〜AFa24からFDプレート28c上に照射された検出光のFDプレート28cからの反射光を受光するフォーカスセンサを、フォーカスセンサAFb21〜AFb24としている。
上述の計測により、基準軸LVにウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド66X1、66X2の計測値(ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、計測プレート30表面の検出光の照射点(反射点)AFP0(すなわち多点AF系90の複数の検出点のうち中央(又はその近傍)に位置する検出点)における検出結果(面位置情報)との関係が求まる。これとともに、基準軸LVにウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド66X1、66X2の計測値(ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、多点AF系90の他の検出点AFP1〜AFP4(すなわち照射点(反射点))等における検出結果(面位置情報)との関係も求まる。
g.次に、主制御装置20は、第2エンコーダシステム80Bの計測値に基づいて、図10(B)中に白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWSTを+X方向に所定距離(照射点AFP0と照射点AFP1との既知のX間隔に相当)駆動し、図10(C)に示されるように、上述した照射点AFP1に射出点AFa1からの検出光が照射される位置に、ウエハテーブルWTBを、位置決めする。そして、その照射点AFP1におけるFDプレート28c表面(AF用反射面22)の面位置(Z位置)を、射出点AFa1からの検出光を用いてフォーカスセンサAFb1で検出し(図10(C)中の星マーク参照)、その検出結果とその検出時の第2エンコーダシステム80Bの計測値とを対応付けてメモリに格納する。この図10(C)の状態では、ウエハテーブルWTBの位置は、主制御装置20により4次元ヘッド674、684の計測値に基づいて制御されている。
以降.同様にして、主制御装置20は、図10(C)に白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWSTを−X方向に順次移動して上述の照射点(反射点)AFP2、AFP3、AFP4に、射出点AFa1からの検出光が照射される位置に、ウエハテーブルWTBを順次位置決めし、位置決めの都度、照射点AFP2、AFP3、AFP4におけるFDプレート28c表面(AF用反射面22)の面位置(Z位置)を、射出点AFa1からの検出光を用いてフォーカスセンサFb1で順次検出し、その検出結果と検出時の第2エンコーダシステム80Bの計測値とをそれぞれ対応付けてメモリに格納する。
h.そして、主制御装置20は、メモリに格納された、FDプレート28c表面上の同一の照射点(反射点)におけるフォーカスセンサAFb1とフォーカスセンサAFb2i(i=1〜4)による検出結果に基づいて、多点AF系90のセンサ間オフセットを、算出する。ただし、このセンサ間オフセットは、ウエハテーブルWTBをX軸方向に移動させながら、計測されるので、フォーカスセンサ間の検出原点の差等のみでなく、ウエハステージWSTの走り面(移動面)の影響をも含むトータルなセンサ間オフセットである。
そして、後述するストリーム処理によるフォーカスマッピングを行い、そのフォーカスマッピングの結果を、求めたセンサ間オフセットを用いて補正しつつ、その補正後のフォーカスマッピングの結果に基づいて、露光の際のウエハのフォーカス・レベリング制御を行う。これにより、多点AF系90のセンサ間の検出原点のオフセット、及びウエハステージWSTの走り面(移動面)の影響等に起因する、デフォーカスの発生及びこれによる露光不良は、殆ど生じなくなる。
また、本実施形態では、上述のフォーカスキャリブレーション前半の処理が行われるウエハテーブルWTBの位置と、3つのファーストアライメントマークを検出する処理が行われるウエハテーブルWTBのY位置とが一致しているので、主制御装置20は、上述の多点AF系90のトータルなセンサ間オフセットの計測終了後、ウエハステージWSTを+X方向に駆動して、図10(A)(及び図11)に示される位置に戻す。そして、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、3つのファーストアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図11中の星マーク参照)、上記3つのアライメント系AL1,AL22,AL23の検出結果とその検出時の第2エンコーダシステム80Bの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。なお、この場合の3つのファーストアライメントマークの同時検出は、ウエハテーブルWTBのZ位置を変化させることで、複数のアライメント系AL1,AL21〜AL24とウエハテーブルWTBに載置されているウエハWとの間の、Z軸方向(フォーカス方向)における相対位置関係を変更しつつ行われている。以下で説明するセカンドアライメントショット領域以降の各アライメントショット領域に付設されたアライメントマークの検出においても同様である。
なお、フォーカスキャリブレーション前半の処理が行われるウエハテーブルWTBの位置と、ファーストアライメントマークを検出する処理が行われるウエハテーブルWTBの位置とが一致していない場合には、主制御装置20は、これらの処理を、それぞれの処理が行われる位置へのウエハテーブルWTBの到達の順で順次行えば良い。
次に、主制御装置20によって、ウエハステージWSTの+Y方向への移動(例えば5つのセカンドアライメントショット領域に付設されたアライメントマーク(以下、セカンドアライメントマークと略称する)を検出する位置に向かってのステップ移動)が開始される。
そして、ウエハステージWSTが+Y方向へ更に移動し、図12に示される位置に到達すると、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのセカンドアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図12中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時の第2エンコーダシステム80Bの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。
また、本実施形態では、図12に示されるように、このセカンドアライメントマークを検出する位置で、送光系90aからの検出ビームがウエハWに当たり始める。そこで、セカンドアライメントマークの検出後、主制御装置20は、第3エンコーダシステム80Cの4軸ヘッド661、662、並びに多点AF系90を用いたフォーカスマッピングを開始する。
ここで、本実施形態に係る露光装置100で行われるフォーカスマッピングについて説明する。このフォーカスマッピングに際し、主制御装置20は、アライメント計測が終了するまでの間は、例えば図12に示されるように、第2エンコーダシステム80Bの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置を制御している。これと並行して、主制御装置20は、スケール391,392にそれぞれ対向する第3エンコーダシステム80Cの2つの4軸ヘッド661、662によって計測されるウエハテーブルWTBの位置情報も取り込んでいる。図12の状態では、基準軸LVに、ウエハテーブルWTBの中心(ウエハWの中心にほぼ一致)を通るY軸に平行な直線(センターライン)が一致した状態となっている。
そして、この状態で、主制御装置20は、ウエハステージWSTが+Y方向へ進行している間に、2つの4軸ヘッド661、662のそれぞれで計測されるウエハテーブルWTB表面(プレート28表面)のX軸方向両端部(一対の第2撥水板28b)のY軸及びZ軸方向に関する位置情報と、多点AF系90で検出される複数の検出点におけるウエハW表面のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)とを、所定のサンプリング間隔で取り込み、その取り込んだ各情報を相互に対応付けて不図示のメモリに逐次格納する。
そして、多点AF系90の検出ビームがウエハWに掛からなくなると、主制御装置20は、上記のサンプリングを終了し、多点AF系90の各検出点についての面位置情報を、同時に取り込んだ2つの4軸ヘッド661、662それぞれで計測されたZ軸方向に関する位置情報を基準とするデータに換算する。
これをさらに詳述すると、一方の4軸ヘッド662によるZ位置の計測値に基づいて、プレート28の−X側端部近傍の領域(スケール392が形成された第2撥水板28b)上の所定の点(多点AF系90の複数の検出点の配列とほぼ同一のX軸上の点に相当:以下、この点を左計測点と呼ぶ)における面位置情報が得られる。また、他方の4軸ヘッド661によるZ位置の計測値に基づいて、プレート28の+X側端部近傍の領域(スケール391が形成された第2撥水板28b)上の所定の点(多点AF系90の複数の検出点の配列とほぼ同一のX軸上の点に相当:以下、この点を右計測点と呼ぶ)における面位置情報が得られる。そこで、主制御装置20は、多点AF系90の各検出点における面位置情報を、左計測点の面位置と右計測点の面位置とを結ぶ直線(以下、テーブル面基準線と呼ぶ)を基準とする面位置データに換算する。このような換算を、主制御装置20は、全てのサンプリング時に取り込んだ情報について行う。
なお、本実施形態では、セカンドアライメントマークを検出する位置にウエハステージWSTが到達したときに、送光系90aからの検出ビームがウエハWに当たり始めるため、その位置でフォーカスマッピングを開始することとした。しかし、セカンドアライメントマークを検出する位置にウエハステージWSTが到達するのに先立って、あるいは遅れて送光系90aからの検出ビームがウエハWに当たり始める場合には、セカンドアライメントマークを検出に先立って、あるいは遅れて、その検出ビームがウエハWに当たり始めた時点でフォーカスマッピングが開始されれば良い。
並行動作の説明に戻る。上記のフォーカスマッピングのためのウエハステージWSTの+Y方向への移動により、ウエハステージWSTが、図13に示される位置に達すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTをその位置で停止させる。そして、主制御装置20は、例えば5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのサードアライメントショット領域に付設されたアライメントマーク(以下、サードアライメントマークと略称する)をほぼ同時にかつ個別に検出し(図13中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時の第2エンコーダシステム80Bの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。また、この時点でも、フォーカスマッピングは続行されている。
次に、主制御装置20は、例えば3つのフォースアライメントショット領域に付設されたアライメントマーク(以下、フォースアライメントマークと略称する)を検出する位置へ向けてのウエハステージWSTの+Y方向への移動を開始する。このとき、フォーカスマッピングは続行されている。
そして、ウエハステージWSTが図14に示される位置に到達すると、主制御装置20は、直ちにウエハステージWSTを停止させ、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、ウエハW上の3つのフォースアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図14中の星マーク参照)、上記3つのアライメント系AL1,AL22,AL23の検出結果とその検出時の第2エンコーダシステム80Bの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。
そして、主制御装置20は、このようにして得た合計16個のアライメントマークの検出結果と対応する第2エンコーダシステム80Bの計測値とを用いて、所定の演算、例えば高次EGA計算を行って、非線形成分の補正が可能な、各ショット領域の位置合わせのための座標を算出する。以下では、上述のウエハステージWSTをY軸方向にのみ移動させながらアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて複数のアライメントマークを検出し、統計演算を行う手法をストリームアライメントと称する。
上述のウエハアライメント(少なくともフォースアライメントマークの位置計測までの処理)が終了した後、主制御装置20は、図16に示される位置、すなわちウエハステージWSTと計測ステージMSTとを、Y軸方向に関して、接触或いは例えば300μm程度の離間距離を挟んで近接する状態(以下、接触又は近接する状態と称する)の開始位置へウエハステージWSTを移動させる。この移動は、主制御装置20により、ウエハテーブルWTBに液体が触れることがない状態で、+Y方向に一気に長ストロークでウエハステージWSTを高速移動させることで行われる。また、この移動の途中で、ウエハステージWSTが第2エンコーダシステム80Bの計測範囲から外れるので、主制御装置20は、それに先立って、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御のために用いる計測系を、第2エンコーダシステム80Bから第4エンコーダシステム80Dに切り換えている。
主制御装置20は、上述の長ストロークでのウエハステージWSTの+Y方向の高速移動の開始直後は、フォーカスマッピングを続行する。そして、多点AF系90からの検出ビームがウエハW表面から外れると、図15に示されるように、フォーカスマッピングを終了する。
前述した長ストロークでのウエハステージWSTの+Y方向の高速移動により、図16に示される位置にウエハステージWSTが到達すると、計測ステージMSTとウエハステージWSTとは接触又は近接する状態へ移行する。この接触又は近接する状態では、計測テーブルMTBの−Y側の端面とウエハテーブルWTBの+Y側の端面とが接触或いは近接する。主制御装置20は、その接触又は近接する状態を保ちながら、両ステージWST,MSTを+Y方向に駆動する。この移動に伴い、液浸領域14の水は、計測テーブルMTB上からウエハテーブルWTB上に移動する。
そして、両ステージWST,MSTが、図17に示される計測プレート30が投影光学系PLの直下に配置される位置に到達すると、主制御装置20は、両ステージWST,MSTを停止し、Pri−BCHK後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理を行う。
ここで、Pri−BCHK後半の処理とは、投影光学系PLによって投影されたレチクルR(又はレチクルステージRST上の不図示のマーク板)上の一対の計測マークの投影像(空間像)を、計測プレート30を含む前述した空間像計測装置45を用いて計測する処理を意味する。この場合、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示される方法と同様に、一対の空間像計測スリットパターンSLを用いたスリットスキャン方式の空間像計測動作にて、一対の計測マークの空間像をそれぞれ計測し、その計測結果(ウエハテーブルWTBのXY位置に応じた空間像強度)をメモリに記憶する。このPri−BCHKの後半の処理に際しては、ウエハテーブルWTBのXY平面内の位置は、第1エンコーダシステム80Aの計測値に基づいて、計測制御されている。
また、フォーカスキャリブレーション後半の処理とは、ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報を計測する一対のXZヘッド65X2、64X3によって計測される面位置情報を基準として、計測プレート30(ウエハテーブルWTB)の投影光学系PLの光軸方向に関する位置(Z位置)を制御しつつ、空間像計測装置45を用いて、レチクルR上の計測マークの空間像をスリットスキャン方式で計測し、その計測結果に基づいて投影光学系PLのベストフォーカス位置を測定する処理を意味する。
このとき、液浸領域14が、投影光学系PLとウエハテーブルWTBとの間、より正確には投影光学系PLとFDプレート28cの計測プレート30を含む部分との間に形成されているので、上記の空間像の計測は、投影光学系PL及び液体Lqを介して行われる。また、空間像計測装置45の計測プレート30などはウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)に搭載され、受光素子などは計測ステージMSTに搭載されているので、上記の空間像の計測は、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとが、接触又は近接状態を保ったままで行われる。
上記の測定により、基準軸LVに、ウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド65X2、64X3の計測値(すなわち、ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)が求まる。この計測値は、投影光学系PLのベストフォーカス位置に対応している。
上述のPri−BCHK後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理を行なった後、主制御装置20は、前述のPri−BCHKの前半の処理の結果とPri−BCHKの後半の処理の結果とに基づいて、プライマリアライメント系AL1のベースラインを算出する。また、これとともに、主制御装置20は、前述のフォーカスキャリブレーション前半の処理で得られた基準軸LVにウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド66X1、66X2の計測値(ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、多点AF系90の計測プレート30表面の検出点(複数の検出点のうち中央又はその近傍に位置する検出点)における検出結果(面位置情報)との関係と、上述のフォーカスキャリブレーション後半の処理で得られた投影光学系PLのベストフォーカス位置に対応するウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド65X2、64X3の計測値(すなわち、ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)とに基づいて、多点AF系90の代表的な検出点におけるオフセットを求め、そのオフセットが零になるように前述の光学的手法により多点AF系の検出原点を調整する。
この場合において、スループット向上の観点から、上述のPri−BCHKの後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理の一方のみを行っても良いし、両方の処理を行うことなく、次の処理に移行しても良い。勿論、Pri−BCHKの後半の処理を行わない場合には、前述のPri−BCHKの前半の処理を行う必要もない。
以上の作業が終了すると、主制御装置20は、図18に示されるように、計測ステージMSTを、+X方向かつ+Y方向に駆動して、両ステージWST,MSTの接触又は近接状態を解除する。
そして、主制御装置20は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を行い、新しいウエハW上にレチクルパターンを転写する。この露光動作は、主制御装置20により、事前に行われたウエハアライメント(例えば高次EGA)の結果及びアライメント系AL1(及びAL21〜AL24)の最新のベースライン等に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWSTを移動するショット間移動と、各ショット領域に対してレチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で転写する走査露光と、を繰り返すことにより行われる。なお、上記の露光動作は、先端レンズ191とウエハWとの間に液体(水)Lqを保持した状態で行われる。
また、本実施形態では、一例として最初に露光される第1ショット領域が、ウエハWの−X側半部の+Y端部に位置するショット領域に定められているため、まず、その加速開始位置へ移動するため、ウエハステージWSTが、図18に黒矢印で示されるように、+X方向かつ+Y方向に移動される。
そして、図19に黒矢印で示されるような経路に沿って、ウエハステージWSTを移動しながらウエハの−X側半部の領域を+Y側のショット領域から−Y側のショット領域の順で露光する。
上述のウエハWの−X側半部の領域の露光のため、ウエハステージWSTが、図19に黒矢印で示されるような経路に沿って+Y方向に移動すると、待機位置で露光済みのウエハW0を保持している第2アンロードスライダを下降させても、ウエハステージWSTとの干渉のおそれがなくなる。このため、主制御装置20は、この時点で、第2アンロードスライダを所定量下降駆動した後、図19中に白矢印で示されるように、−Y方向に駆動して、ウエハW0をウエハ搬送系との受け渡し位置まで搬送する。
上述のウエハW0の受け渡し位置への搬送と並行して、主制御装置20は、図20、図21中に黒矢印で示されるような経路に沿って、ウエハステージWSTを移動しながらウエハWの+X側半部の領域を−Y側のショット領域から+Y側のショット領域の順で露光する。これにより、ウエハW上の全てのショット領域の露光が終わった時点では、ウエハステージWSTは、露光開始前の位置とほぼ同一位置に戻っている。
本実施形態では、上述したショット領域の露光順序を採用しているが、その露光のためにウエハステージWSTが移動する経路の全体長さは、同じ大きさのウエハを同一のショットマップに従って露光するとした場合、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示される従来の液浸スキャナなどと大差ない。
この露光中のウエハテーブルWTBのZ軸方向の位置,θy回転及びθx回転の制御(ウエハWのフォーカス・レベリング制御)は、事前に行われた前述のフォーカスマッピングの結果及び前述の多点AF系90のトータルなセンセ間オフセットの計測結果に基づいて行われる。
上記のステップ・アンド・スキャン方式の露光動作中、ウエハステージWSTがX軸方向に移動すると、その移動に伴って、第1エンコーダシステム80Aの前述のヘッドの切り換え(複数のヘッド間における計測値の引き継ぎ)が行なわれる。このように、主制御装置20は、ウエハステージWSTの位置座標に応じて、使用する第1エンコーダシステム80Aのエンコーダを適宜切り換えて、ステージ制御を実行している。
上述したウエハの+X側半部のショット領域の露光と並行して、受け渡し位置に搬送された露光済みのウエハW0は、不図示の搬送ロボットによって、装置外への搬出のためウエハ搬送系(不図示)に渡される。
ウエハWの露光が終了すると、主制御装置20は、計測ステージ位置計測系16Bの計測値に基づいて、計測ステージMSTを、図21中に白矢印で示されるように、XY平面内で駆動することで、露光中には互いに離れていたウエハステージWSTと計測ステージMSTとを、前述の接触又は近接する状態に移行させる。
そして、主制御装置20は、図22に示されるように、上記の接触又は近接する状態を保って、両ステージWST,MSTを−Y方向に移動させる。これにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14(液体Lq)が、ウエハテーブルWTB上から計測テーブルMTB上に移動する(受け渡される)。
上記の接触又は近接する状態に移行後、液浸領域14(液体Lq)のウエハテーブルWTB上から計測テーブルMTB上への移動が完了する直前に、ウエハステージWSTが、第1エンコーダシステム80Aの計測範囲から外れ、第1エンコーダシステム80AによるウエハテーブルWTBの位置計測ができなくなる。その直前に、主制御装置20は、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御に用いる位置計測系を、第1エンコーダシステム80Aから第4エンコーダシステム80D(3次元ヘッド791、792)に切り換える。
その後、ウエハステージWSTは、主制御装置20によってアンローディングポジションUP1に向けて駆動される。これにより、前述の接触又は近接する状態が解除された後、ウエハステージWSTは、アンローディングポジションUP1に移動する。この移動は、ウエハテーブルWTB上に液体Lqが触れることなく行われるので、高加速、例えば2段階の加速により短時間で行うことができる。アンローディングポジションUP1にウエハステージWSTが到達すると、主制御装置20は、ウエハホルダによる露光済みのウエハWの吸着を解除し、上下動ピンを所定量上昇駆動してウエハWを持ち上げる。このときの上下動ピンの位置は、ローディングポジションにウエハステージWSTが到達し、次のウエハのロードが開始されるまで維持される。
そして、主制御装置20は、第1アンロードスライダによりそのウエハWを前述のようにして上方から保持して上に持ち上げ、ウエハステージWST上からアンロードする。次いで、主制御装置20は、図23に示されるように、ウエハステージWSTをローディングポジションに向けて、ロングステップで直線的に高速駆動する。この駆動の途中で、ウエハステージWSTが計測範囲から外れて第4エンコーダシステム80DによるウエハテーブルWTBの位置計測ができなくなる。そこで、主制御装置20は、ウエハステージWSTが第4エンコーダシステム80Dによる計測範囲から外れる前に、ウエハテーブルWTBの位置のサーボ制御に用いる位置計測系を、第4エンコーダシステム80Dから第2エンコーダシステム80Bに切り換えている。
ウエハステージWSTのローディングポジションへの移動と並行して、主制御装置20によって、図23中に白矢印で模式的に示されるように、アンローディングポジションUP1の上方にあるウエハWの待機ポジションUP2への移動が行われる。この移動は、主制御装置20によって次の手順で行われる。
すなわち、第2アンロードスライダをアンローディングポジションUP1の上方にあるウエハWの下方に移動し、そのウエハWを第1アンロードスライダから第2アンロードスライダへ受け渡した後、ウエハを保持した第2アンロードスライダを待機ポジションUP2に移動する。このウエハWは、次のウエハの露光が開始され、ウエハステージWSTが、待機ポジションUP2の下方から退避した状態となるまで、待機位置の所定の高さの位置に、第2アンロードスライダに保持された状態が維持される。
これにより、1枚のウエハに対する一連(1サイクル)の処理が終了し、以降、同様の動作が繰り返し実行される。
次に、前述した本実施形態に係るSec−BCHKの結果に基づいて、XY平面内の位置の微調整を行ったセカンダリアライメント系AL21〜AL24を含む5つのアライメント系(AL1、AL21〜AL24)を介してウエハWのアライメント及びその結果に基づく露光を行った場合(本実施形態に係るSec−BCHKを行った露光と略述する)と、従来のSec−BCHKの結果に基づいて、XY平面内の位置の微調整を行ったセカンダリアライメント系AL21〜AL24を含む5つのアライメント系(AL1、AL21〜AL24)を介してウエハWのアライメント及びその結果に基づく露光を行った場合(従来のSec−BCHKを行った露光と略述する)との比較を行う。
《本実施形態に係るSec−BCHKを行った露光》
本実施形態に係るSec−BCHKを行った露光では、図24(A)に示されるように、スケール391,392のY軸格子が全体として下に凸の形状に湾曲、すなわち+X側のスケール391のY軸格子がX軸に対してθ傾き、−側のスケール392のY軸格子がX軸に対して−θ傾いていると、Sec−BCHKの結果として次のような結果が得られる。すなわち、プライマリアライメント系AL1の検出中心基準とする基準マークFMの位置に比べて、FIAマークAM22は−Y方向に所定距離ずれたY位置となり、FIAマークAM21は−Y方向にさらにずれたY位置となる。また、プライマリアライメント系AL1の検出中心基準とする基準マークFMの位置に比べて、FIAマークAM23は−Y方向に所定距離ずれたY位置となり、FIAマークAM24は−Y方向にさらにずれたY位置となる。従って、セカンダリアライメント系AL2nそれぞれについてのベースラインのY軸方向に関するオフセットΔYn(n=1、2、3、4)として、ΔY1<ΔY2<0、及びΔY4<ΔY3<0が得られる。
そして、これらのベースラインのオフセットに応じて、セカンダリアライメント系AL2nの位置の微調整が行われると、アライメント系(AL1、AL21〜AL24)の配置は、図24(B)に示されるように、全体として上に凸の形となる。
そして、図24(B)に示されるように位置が調整されたアライメント系(AL1、AL21〜AL24)を用いて、図24(C)に示されるようにウエハW上に理想格子に沿って配置された5×3=合計15個のアライメントマークに対して前述のストリームアライメント計測を行うと、図24(D)に示されるように、計測結果には、下に凸の湾曲グリッド成分が乗る。すなわち、図24(D)に示されるように、各アライメントマークのY位置が、誤計測される。
そして、このように誤計測された各アライメントマークの位置に基づいて、ウエハ上の各列(−Y側から1、2、3、4、5列)のアライメントマーク(実際には、対応するショット領域)を露光位置に位置合わせする際には、1、2、4、5列目のアライメントマークの目標位置に前述のセカンダリアライメント系AL2nそれぞれについてのベースラインのオフセットが加算される。
しかるに、もともと、スケール391,392のY軸格子は、全体として下に凸の形状に湾曲している、すなわちウエハステージWSTの走りの湾曲成分(走り誤差)がある。従って、ベースラインのオフセットが加算された目標位置に従って、露光時にウエハ上の1、2、4、5列目のアライメントマークを露光位置に位置合わせする際には、ウエハステージWSTの走りの湾曲成分(走り誤差)と、上述のオフセット分とが相殺される。この結果、露光結果としては、図24(E)に示されるように、ウエハW上に理想格子に沿って配置された5×3=合計15個のアライメントマークの配置がそのまま再現される。なお、3列目のアライメントマークについては、元々計測誤差も走り誤差もゼロであるから、そのアライメントークの露光位置への位置合わせは、誤差なく行われる。
《従来のSec−BCHKを行った露光(その1)》
次に、比較のため、従来の方法にてSec−BCHKを行った場合の露光動作を説明する。ここで、従来のSec−BCHKとして、一例として前述の米国特許出願第2008/0044433号明細書中に開示されているロット先頭に行われるSec−BCHKが行われるものとする。この従来のSec−BCHKは、プライマリアライメント系AL1でマーク(例えばアライメントマーク又は基準マークFM)を検出し、その検出結果とその検出時のエンコーダ(例えば第2エンコーダシステム80B)の計測値とを対応付けてメモリに格納し、その後プライマリアライメント系AL1で検出したマークをセカンダリアライメント系AL2nで検出し、その検出結果とその検出時のエンコーダの計測値とを対応付けてメモリに格納し、上記の処理結果から各セカンダリアライメント系AL2nのベースラインをそれぞれ算出する方法である。
図25(A)に示されるように、スケール391,392のY軸格子が図24(A)と同様に湾曲している場合、従来のSec−BCHKの結果に基づいてセカンダリアライメント系AL21〜AL24の位置調整を行うと、図25(B)に示されるように、アライメント系(AL1、AL21〜AL24)は、全体として下に凸の形となるような配置に調整される。
そして、図25(B)に示されるような配置のアライメント系(AL1、AL21〜AL24)を用いて、図25(C)に示されるようにウエハW上に理想格子に沿って配置された5×3=合計15個のアライメントマークに対して前述のストリームアライメント計測を行うと、図25(D)に示されるように、計測結果には、上に凸の湾曲グリッド成分が乗る。すなわち、図25(D)に示されるように、各アライメントマークのY位置が、誤計測される。
そして、このように誤計測された各アライメントマークの位置に基づいて、ウエハ上の各列(−Y側から1、2、3、4、5列)のアライメントマーク(実際には、対応するショット領域)を露光位置に位置合わせする際には、1、2、4、5列目のアライメントマークの目標位置に前述のセカンダリアライメント系AL2nそれぞれについてのベースラインのオフセットが加算される。この場合、セカンダリアライメント系AL2nそれぞれのベースラインのY軸方向のオフセットは、前述の本実施形態に係るSec−BCHKの結果とは符号が逆である。このため、ベースラインのオフセットが加算された目標位置に従って、露光時にウエハ上の1、2、4、5列目のアライメントマークを露光位置に位置合わせすると、ウエハステージWSTの走りの湾曲成分(走り誤差)と、上述のオフセット分とが加算される。この結果、ウエハステージWSTの走りの湾曲成分(走り誤差)と、上述の計測による湾曲成分(計測誤差)とが強め合う方向となり、露光結果としては、図25(E)に示されるように、ウエハW上に理想格子に沿って配置された5×3=合計15個のアライメントマークの配置が、理想格子からさらにずれた配置となる。
《従来のSec−BCHKを行った露光(その2)》
次に、別の例として、図26(A)に示されるように、スケール391,392のY軸格子が全体としてX軸に対してθ傾いている場合を考える。この場合、従来のSec−BCHKの結果に基づいてセカンダリアライメント系AL21〜AL24の位置調整を行うと、図26(B)に示されるように、アライメント系(AL1、AL21〜AL24)は、全体としてX軸に対してθ傾いた形となるような配置に調整される。
そして、図26(B)に示されるような配置のアライメント系(AL1、AL21〜AL24)を用いて、図26(C)に示されるようにウエハW上に理想格子に沿って配置された5×3=合計15個のアライメントマークに対して前述のストリームアライメント計測を行うと、図26(D)に示されるように計測結果には、全体としてX軸に対して−θ傾いたグリッド成分が乗る。すなわち、図26(D)に示されるように、各アライメントマークのY位置が、誤計測される。
そして、このように誤計測された各アライメントマークの位置に基づいて、ウエハ上の各列(−Y側から1、2、3、4、5列)のアライメントマーク(実際には、対応するショット領域)を露光位置に位置合わせすると、ウエハステージWSTの走りの傾き成分(走り誤差)と、上述の計測による傾き成分(計測誤差)とが相殺され、露光結果は、図26(E)に示されるように、ウエハW上に理想格子に沿って配置された5×3=合計15個のアライメントマークの配置がそのまま再現される。
なお、詳細は省略するが、スケール391,392のY軸格子が全体としてX軸に対してθ傾いている本ケースでは、本実施形態に係るSec−BCHKを行った露光の場合も、同様の結果が得られる。
《従来のSec−BCHKを行った露光(その3)》
次に別の例として、スケール391,392のX軸格子に、図27(A)に示されるように、−X側から+X側に向かって徐々に狭くなる不均等な伸縮が生じた場合を考える。ただし、図27(A)では、図示の便宜上及び説明を感覚的にわかり易くするため、ウエハW上にスケール391,392のX軸格子に対応するXグリッドが存在し、このXグリッドに−X側から+X側に向かって徐々に狭くなる不均等な伸縮が生じたものとしている。
この場合、従来のSec−BCHKの結果に基づいてセカンダリアライメント系AL21〜AL24の位置調整を行うと、図27(B)に示されるように、アライメント系(AL1、AL21〜AL24)の配置は、その間隔が−X側から+X側に向かって徐々に狭くなるような配置に調整される。ここで、セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、X軸方向の間隔が等間隔な調整前の位置(図27(B)中の点線の位置)に対して、プライマリアライメント系AL1を原点として、+X側、−X側のいずれにおいても、−X方向に所定量移動しており、しかもその移動量が、原点に対して対称となっている。これより、スケール391,392のX軸格子には、全体として偶関数で表されるグリッド誤差が生じており、このグリッド誤差に応じてセカンダリアライメント系AL21〜AL24の位置が調整されたことがわかる。
そして、図27(B)に示されるような配置のアライメント系(AL1、AL21〜AL24)を用いて、図27(C)に示されるようにウエハW上に理想格子に沿って配置された5×3=合計15個のアライメントマークに対して前述のストリームアライメント計測を行うと、図27(D)に示されるように、計測結果には、−X側から+X側に間隔が徐々に広くなるX軸方向に不均等に伸縮したグリッド成分が乗る。すなわち、図27(D)に示されるように、各アライメントマークのX位置が、誤計測される。
そして、このように誤計測された各アライメントマークの位置に基づいて、ウエハ上の各列(−Y側から1、2、3、4、5列)のアライメントマーク(実際には、対応するショット領域)を露光位置に位置合わせする際には、1、2、4、5列目のアライメントマークの目標位置に前述のセカンダリアライメント系AL2nそれぞれについてのベースラインのオフセットが加算される。このため、ベースラインのオフセットが加算された目標位置に従って、露光時にウエハ上の1、2、4、5列目のアライメントマークを露光位置に位置合わせすると、ウエハステージWSTの走りの誤差成分(走り誤差)と、上述のオフセット分とが加算される。この結果、露光結果としては、図27(E)に示されるように、ウエハW上に理想格子に沿って配置された5×3=合計15個のアライメントマークの理想格子からのずれで象徴的に示されるように、各ショット領域の重ね合わせ誤差は、悪化する。
なお、スケール391,392のX軸格子が全体として−X側から+X側に向かって徐々に狭くなる不均等な伸縮が生じている本ケースでは、本実施形態に係るSec−BCHKを行った後の露光の場合、ウエハステージWSTの走り誤差と、上述の計測誤差(セカンダリアライメント系AL2nそれぞれについてのベースラインのオフセット)とが相殺され、ウエハW上に理想格子に沿って配置された5×3=合計15個のアライメントマークの配置がそのまま再現され、これにより象徴的に示される各ショット領域の重ね合わせ精度は十分なものとなる。
上述の説明からわかるように、従来のSec−BCHKを行った露光では、スケール391,392の格子の正しい位置からのずれ量(グリッド誤差σ(x)、σ(y))が、奇関数で表される場合は十分な重ね合わせ精度が確保できるが、偶関数の場合は重ね合わせ精度が悪化する。これに対して、本実施形態にかかるSec−BCHKを行った露光では、グリッド誤差σ(x),σ(y)が奇関数、偶関数どちらで表される場合にも、十分な重ね合わせ精度を確保することができる。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る露光装置100は、ウエハステージWSTが有するウエハテーブルWTBの上面(+Z側の面)に設けられ、X軸方向に並んで配置された5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24の検出領域が配置された領域をカバーするX軸方向の長さを有し、複数の検出領域をその上面に同時に設定可能なFDプレート28cを備えている。このFDプレート28cには、その中央に基準マークFMを有する計測プレート30が埋め込まれ、計測プレート30のX軸方向の両側に一対のFIAマーク群23が設けられている。また、FDプレート28cには、計測プレート30及びFIAマーク群23の配置領域を含むFDプレート28cのほぼ全面に渡るAF用反射面22が形成されている。
このため、本実施形態に係る露光装置100によると、前述のPri−BCHKの前半の処理を行う際に、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1の検出領域内に基準マークFMを位置させるとともに、セカンダリアライメント系AL21〜AL24それぞれの検出領域を、一対のFIAマーク群23の異なる一部にそれぞれ対向させる。そして、この状態(基準状態)で、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1を用いて基準マークFMの位置情報を検出するとともに、セカンダリアライメント系AL21〜AL24それぞれ用いて、その検出領域内に位置するFIAマーク(FIAマーク群23の一部)AM2nを検出する。また、主制御装置20は、基準状態から、ウエハステージを+X方向又は−X方向に移動させることで、セカンダリアライメント系AL21〜AL24それぞれで検出したFDプレート28cのFIAマークAM2nを、プライマリアライメント系AL1の検出領域内に位置させることができる。すなわち、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1を用いて、基準マークFMとFIAマークAM2nとの位置情報、より具体的には、プライマリアライメント系AL1の検出中心を原点とする位置座標を検出することができ、両者の差をセカンダリアライメント系AL21〜AL24それぞれのベースラインのオフセットとして持つことができる。
また、上述の基準状態におけるプライマリアライメント系AL1の検出中心とセカンダリアライメント系AL21〜AL24それぞれの検出中心と位置関係、すなわちセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースライン変動の基準となるベースライン、は、設計値又は前回のSec−BCHKの結果が用いられるので、既知である。
また、主制御装置20は、前述のフォーカスキャリブレーション前半の処理を行う際に、多点AF系90の複数の検出点(検出領域)のうち中央の検出点に計測プレート30を位置させるとともに、残りの検出点の全てをAF用反射面22に設定する。そして、この状態(基準状態)で、主制御装置20は、多点AF系90を用いて計測プレート30表面の検出点AFP0におけるFDプレート28cの面位置(Z位置)と同時に周囲の検出点AFP1〜AFP4等におけるFDプレート28cの面位置(Z位置)を同時に検出する。また、主制御装置20は、基準状態から、ウエハステージを+X方向又は−X方向に移動させることで、多点AF系の中央の検出点(対応するフォーカスセンサ)以外の検出点(対応するフォーカスセンサ)で検出したFDプレート28cのAF用反射面上の点を、中央の検出点に位置させることができる。すなわち、主制御装置20は、多点AF系90の中央のフォーカスセンサを用いて、FDプレート28cの計測プレート30の中心近傍の点と、その点とは異なるAF用反射面22上の点との面位置情報を検出することができ、両者の差を多点AF系90の中央のフォーカスセンサ以外のフォーカスセンサのフォーカスオフセットとして持つことができる。
従って、上記のセカンダリアライメント系AL21〜AL24それぞれのベースラインのオフセット、及び/又は多点AF系90の中心部外に位置するフォーカスセンサのフォーカスオフセット、及びエンコーダシステム150による位置情報の計測結果を用いて、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)の位置を制御することにより、ウエハW上のX軸方向に関して中心近傍以外に位置するショット領域の位置制御誤差の発生を防止することが可能になる。
本実施形態に係る露光装置100では、前述のPri−BCHKの前半の処理を行う際に、Sec−BCHKも併せて行うので、このSec−BCHKにより、一対のスケール391、392の2次元格子で定まる第2エンコーダシステム80Bの座標系と、アライメント系AL1、AL21〜AL24との関係をキャリブレーションすることができる。
具体的には、次の通りである。上述したSec−BCHKにおけるFDプレート28c上に位置するFIAマークAM2nの計測により、プライマリアライメント系AL1とセカンダリアライメント系AL21〜AL24との検出中心相互の位置関係、すなわちセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースライン(既知のベースライン及びそれを基準とするベースラインのオフセットの加算値)が、第2エンコーダシステム80Bの座標系上で求められる。従って、ベースラインのオフセットは、第2エンコーダシステム80Bの座標系のグリッド誤差を反映した値となる。そして、主制御装置20は、露光時に、上記のセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースラインを用いてウエハテーブルWTBの露光位置に対する位置合わせを行う。これにより、上述したストリームアライメント特有の誤差要因に起因するウエハテーブルWTBの位置誤差を、補正することが可能になる。
特に、本実施形態では、FDプレート28cを用いて、引き込み方式のSec−BCHKが行われるので、そのSec−BCHKにより得られたセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースラインのオフセットに基づいて、セカンダリアライメント系AL21〜AL24のXY平面内の位置を調整し、その調整後の5つのアライメント系を用いたアライメント計測の結果に基づいて、露光の際のウエハテーブルWTBの位置を、第1エンコーダシステム80Aを用いて制御しつつ、露光を行うことで、そのウエハテーブルWTBの位置制御に際して、前述のセカンダリアライメント系AL21〜AL24によるアライメントマークの計測誤差と、ウエハステージの走り誤差との影響が相殺されて、重ね合わせ精度の十分な露光を行うことが可能になる。
また、本実施形態に係る露光装置100では、前述のフォーカスキャリブレーション前半の処理を行う際に、多点AF系90のセンサ間オフセットの計測処理を行うので、このセンサ間オフセットの計測処理により、第2エンコーダシステム80Bの座標系と、多点AF系90との関係をキャリブレーションすることができる。具体的には、次の通りである。上述した多点AF系90のセンサ間オフセットの計測処理により、多点AF系90の複数の検出点のうち、中心部に位置する検出点に対応するフォーカスセンサ(中心センサと呼ぶ)と、中心部外に位置する検出点に対応するフォーカスセンサ(中心外センサと呼ぶ)との検出原点相互の位置関係、すなわち複数の中心外センサそれぞれと中心センサとの検出オフセットが、第2エンコーダシステム80Bの座標系上で求められる。従って、複数の中心外センサそれぞれと中心センサとの検出オフセットは、第2エンコーダシステム80Bの座標系のグリッド誤差を反映した値となる。そして、主制御装置20は、露光時に、検出オフセットを補正量として加味しながら、ウエハWのフォーカス・レベリング制御を行う。
特に、本実施形態では、FDプレート28cを用いて、引き込み方式の多点AF系90のセンサ間オフセットの計測処理が行われるので、その計測処理により得られた複数の中心外センサそれぞれと中心センサとの検出オフセットを考慮して、フォーカスマッピングの結果に基づいて、露光の際のウエハテーブルWTBの位置を、第1エンコーダシステム80Aを用いて制御しつつ、露光を行う。この際、ウエハWのフォーカス・レベリング制御に際して、多点AF系の複数のフォーカスセンサの検出原点間のオフセットに起因するウエハテーブルWTBのZ位置の計測誤差と、スケールのグリッド変形(Z方向)に起因するウエハテーブルWTBのZ位置の計測誤差(ウエハステージWSTの走り誤差)との補正を総合的に考慮したウエハテーブルWTBのZ軸、θx及びθy方向の位置制御が行われ、これによりデフォーカスが抑制されるとともに、デフォーカスに起因する露光不良の発生が防止される。
なお、上記実施形態では、Sec−BCHKにより算出したベースラインのオフセットに応じて、セカンダリアライメント系AL2nのXY2方向の位置の微調整するものとしたが、これに限らず、セカンダリアライメント系AL2nの位置調整を行うことなく、セカンダリアライメント系AL2nのオフセットを考慮して、ストリームアライメント計測の結果を補正する、あるいは露光の際のウエハの目標位置を補正するなどを行なっても良い。
《変形例(その1)》
なお、上記実施形態では、ウエハテーブルWTB上面の+Y側端部近傍にFDプレート28cが1つ設けられた場合について説明したが、これに限らず、例えば図28に示されるように、ウエハテーブルWTB上面の−Y端部にも、FDプレート28cと同様に構成されたFDプレート28dが設けられていても良い。
かかる場合には、FDプレート28dを用いて、前述と同様のSec−BCHK、及び/又は多点AF系90のセンサ間オフセットの計測処理を行うことで、同一の一対のスケール391、392を用いる第1及び第2エンコーダシステムの座標系と、アライメント系(AL1,AL21〜AL24)及び/又は多点AF系との関連付けを、FDプレート28cが計測されるY座標に加えて、FDプレート28dが計測されるY座標においても行うことが可能になる。これにより、ウエハWの−Y端部での露光精度の向上が期待される。
《変形例(その2)》
上述の実施形態及び変形例1では、アライメント系(AL1,AL21〜AL24)及び/又は多点AF系90と、上述の座標系との正確な関連付けは、FDプレート28c(及び28d)に対応するY座標でのみしか行われない。特に、FDプレートは、ウエハW上には配置されていないので、上述の座標系のグリッドがウエハWの露光範囲内と違った模様となっているおそれもある。上記の問題点を解消するため、露光装置内に例えば図29に示されるようにキャリブレーション用のウエハWFDを用意しておいても良い。ウエハWFDは、その表面にアライメント系(AL1,AL21〜AL24)で計測可能な2次元格子が形成されるとともに、その全面がAF用の反射面とされている。
そして、主制御装置20(図6参照)が、ウエハWFDをウエハテーブルWTB上にロードし、数ロットに1度(1ロット毎でも良いし、1日に1回でも良い)ウエハ全面をキャリブレーション(メンテナンス)する。キャリブレーションの内容は、前述したSec−BCHK及び多点AF系90のセンサ間オフセットの計測処理と同様であるので、詳細説明は省略する。
なお、上記実施形態では、上述のSec−BCHKの処理が行われるウエハステージWSTの位置と、多点AF系90のセンサ間オフセットの計測処理が行われるウエハステージWSTの位置とがY軸方向にずれていた。しかし、これに限らず、両者の位置がY軸方向に関して一致していても良い。かかる場合には、Sec−BCHKの処理と一部並行して、FDプレート28cのAF用反射面22を用いて、多点AF系90のセンサ間オフセットの計測処理を行っても良い。
なお、上記実施形態では、液浸型の露光装置について説明したが、これに限らず、露光装置は、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプであっても良い。
また、上記実施形態では、露光装置が、1つの微動ステージを粗動ステージWCSで支持して、計測ステーション300と露光ステーション200との間で往復移動させる構成である場合について説明したが、2つの微動ステージを用いても良い。この場合、2つの微動ステージの2つの粗動ステージ間での持ち替えが可能となる構成を付加し、その2つの微動ステージを、交互に、計測ステーション300と露光ステーション200との間で往復移動させても良い。あるいは、3つ以上の微動ステージを用いても良い。1つの微動ステージWFS上のウエハに対する露光処理と、他の微動ステージWFSを用いた上述のストリーム処理との並行処理が可能となる。
この他、計測ステージMSTに代えて、ウエハステージWSTをもう1つ設けても良いこのようにすると、一方のウエハステージ上のウエハに対する露光処理と、他方のウエハステージを用いた上述したストリーム処理との並行処理が可能となる。
なお、上記実施形態では、露光装置が、スキャニング・ステッパである場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に上記実施形態を適用しても良い。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置にも上記実施形態は適用することができる。
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、この投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を用いるEUV露光装置にも上記実施形態を適用することができる。その他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、上記実施形態は適用できる。
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも上記実施形態を適用することができる。
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを、投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも上記実施形態を適用することができる。
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものでなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど他の物体でも良い。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも上記実施形態を適用できる。
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態に係る露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。