以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態である印刷システムの概念的構成を示す図である。この印刷システムは、ドキュメントサーバー1と、ユーザーXが使用するコンピュータ(情報処理装置)2と、コンビニエンスストア5a,5b,5cなどに設置される複数の印刷装置3a,3b,3cとを備え、これらがインターネットなどのネットワーク4に接続された構成である。ドキュメントサーバー1は、例えばインターネットなどのクラウド上に設けられるコンピュータで構成され、ネットワーク4を介して受信するドキュメントの管理及びドキュメントの印刷出力に関するサービスを提供するサーバーである。このドキュメントサーバー1は、ネットワーク4を介して受信する様々なドキュメントやその他各種情報を記憶しておくため、ハードディスク装置などで構成された記憶装置14を備えている。また複数の印刷装置3a,3b,3cのそれぞれは、例えばMFP(Multifunction Peripherals)などで構成され、ネットワーク4を介してドキュメントサーバー1と連携した動作を行うことが可能である。すなわち、これら複数の印刷装置3a,3b,3cは、ドキュメントサーバー1に蓄積されているドキュメントをダウンロードして印刷出力を行うことができるようになっている。尚、以下においては、これら複数の印刷装置3a,3b,3cのそれぞれを総称して単に印刷装置3と呼ぶ。
この印刷システムでは、ドキュメントサーバー1に登録して保存されたドキュメントを複数のユーザーが共有して利用することができる。例えば、図1に示すように、ユーザーXがコンピュータ2を操作してドキュメントサーバー1にドキュメント9をアップロードすると、ドキュメントサーバー1はそのドキュメント9を記憶装置14に保存して登録する。このときユーザーXによってユーザーAがドキュメント9の共有ユーザーであることが指定されると、ドキュメントサーバー1は、ユーザーAが所持する携帯端末6などに対し、ユーザーAが共有して利用可能なドキュメントが登録されたことを通知する。この通知を受けたユーザーAは、複数のコンビニエンスストア5a,5b,5cのいずれか1つに移動し、そこに設置されている印刷装置3を操作すると、ユーザーXによって登録されたドキュメント9をドキュメントサーバー1からダウンロードして印刷出力を行うことができる。以下においては、まず、このような印刷システムにおける基本的な動作について説明する。
図2は、ユーザーXがドキュメントサーバー1に対してドキュメント9を登録する際の基本動作を示す図である。まずユーザーXは、コンピュータ2を操作することにより、ドキュメントサーバー1に登録されている自身のアカウント情報(例えばユーザーID及びパスワード)を入力し、そのアカウント情報をドキュメントサーバー1へ送信する(プロセスP1)。尚、ユーザーXのアカウントがドキュメントサーバー1に登録されていないときには、プロセスP1に先立ち、ユーザーXはドキュメントサーバー1に自身のアカウントを登録するための操作を行う。
ドキュメントサーバー1は、ユーザーXによって入力されたアカウント情報を受信すると、そのアカウント情報に基づいてユーザーXが登録ユーザーであるか否かを判定するログイン判定を行う(プロセスP2)。そしてユーザーXが登録ユーザーである場合、ドキュメントサーバー1は、ユーザーXのログインを許可し、コンピュータ2の表示画面にドキュメントのアップロードやダウンロードを行うための操作画面を表示させる。
ドキュメントサーバー1へのログインに成功した場合、ユーザーXは、コンピュータ2を操作してアップロード対象となるドキュメント9を選択してアップロードを指示すると、コンピュータ2からドキュメントサーバー1へドキュメント9が送信される(プロセスP3)。このとき、ユーザーXによって選択された複数のドキュメント9を同時に送信しても良い。
ドキュメントサーバー1は、ユーザーXによって指定されたドキュメント9を受信すると、その受信したドキュメント9を記憶装置14に保存して登録する(プロセスP4)。またドキュメントサーバー1は、プロセスP4で登録したドキュメント9に対してユニークな識別情報(例えばドキュメントID及びパスワード)を付与し、その識別情報をドキュメント9に関連付けて管理する(プロセスP5)。その後、ドキュメントサーバー1は、コンピュータ2に対して登録処理が完了したことを通知する(プロセスP6)。尚、この時点では、ドキュメントサーバー1に登録されたドキュメント9は、アップロードユーザーであるユーザーXのみが利用可能な状態となっている。
一方、ユーザーXは、上記のようにしてドキュメントサーバー1に登録したドキュメント9をユーザーAと共有する場合、さらにコンピュータ2を操作してユーザーAの電子メールアドレスを宛先情報として入力すると、その宛先情報がコンピュータ2からドキュメントサーバー1へ送信される(プロセスP7)。
ドキュメントサーバー1は、ユーザーXによって入力された宛先情報を受信すると、その宛先情報がドキュメントサーバー1に予め登録されている登録ユーザーの宛先情報に一致するか否かを判定するユーザー判定を行う(プロセスP8)。これにより、ドキュメント9の共有ユーザーとなるユーザーAがドキュメントサーバー1に登録されている登録ユーザーであるか否かが判明する。そしてドキュメントサーバー1は、ユーザー判定の結果に基づき、ユーザーXによって登録されたドキュメント9を、共有ユーザーであるユーザーAが共有して印刷出力を行うことができるように共有設定を行う(プロセスP9)。
この共有設定では、ドキュメント9の共有ユーザーであるユーザーAがドキュメントサーバー1に登録されている登録ユーザーである場合と、登録されていない未登録ユーザーである場合とで、ユーザーAがドキュメント9の印刷出力を行うための印刷条件が異なる条件に設定される。すなわち、ユーザーAが登録ユーザーであれば、ユーザーAが自身のアカウント情報(例えばユーザーIDとパスワード)を入力してドキュメントサーバー1にログインすることにより、ユーザーAが共有するドキュメント9を印刷出力できるように印刷条件が設定される。またユーザーAが未登録ユーザーであれば、ドキュメント9の登録時に付与した識別情報(例えばドキュメントIDとパスワード)をユーザーAが入力してドキュメントサーバー1にログインすることにより、ユーザーAが共有するドキュメント9を印刷出力できるように印刷条件が設定される。
ドキュメントサーバー1は、共有設定を行うと、共有ユーザーであるユーザーAに対し、電子メールEM1を送信してドキュメント9の共有設定が行われたことを通知する(プロセスP10)。ここでも、ユーザーAが登録ユーザーである場合と未登録ユーザーである場合とで異なる処理が行われる。ユーザーAが登録ユーザーである場合には、ユーザーAが自身のアカウント情報でドキュメントサーバー1にログインすることにより、共有設定されたドキュメント9をダウンロードして印刷出力することが可能であることを記載した電子メールEM1が自動生成され、ユーザーAに送信される。これに対し、ユーザーAが未登録ユーザーである場合には、ドキュメント9の登録時に付与した識別情報が電子メールEM1に記載されると共に、その識別情報でドキュメントサーバー1にログインすることにより、共有設定されたドキュメント9をダウンロードして印刷出力することが可能であることを記載した電子メールEM1が自動生成され、ユーザーAに送信される。
ユーザーAは、そのような電子メールEM1を自身の携帯端末6などで受信して確認することにより、共有設定されたドキュメント9を印刷出力するための印刷条件を把握することができる。そして最寄りの印刷装置3まで移動して印刷装置3の操作パネルを操作することにより、共有設定されたドキュメント9のダウンロード及び印刷出力を行うことができる。
図3は、印刷装置3の操作パネルに表示される表示画面の一例を示す図である。印刷装置3は、初期状態において初期画面G1を表示している。この初期画面G1には、各ユーザーが自身のアカウント情報でドキュメントサーバー1にログインするための第1のログインボタンB1と、各ユーザーがドキュメント9に付与された識別情報でログインするための第2のログインボタンB2とが表示されている。このような初期画面G1が表示されている状態で、ユーザーAは、電子メールEM1の通知内容に従って第1及び第2のログインボタンB1,B2のいずれか一方を操作する。
ユーザーAが第1のログインボタンB1を操作した場合、印刷装置3は、図3に示すように初期画面G1を遷移させて第1のログイン操作画面G2を表示する。この第1のログイン操作画面G2では、ユーザーID及びパスワードを含むアカウント情報を手動操作で入力することができるようになっている。これに対し、ユーザーAが第2のログインボタンB2を操作した場合、印刷装置3は、初期画面G1から第2のログイン操作画面G3に遷移させて表示する。この第2のログイン操作画面G3では、ドキュメント9に付与された識別情報に含まれるドキュメントIDとパスワードとを手動操作で入力することができるようになっている。そのため、ユーザーAは、第1及び第2のログイン操作画面G2,G3のいずれか一方に対して入力操作を行うことにより、ドキュメントサーバー1に対してアカウント情報及び識別情報のいずれか一方を送信することができる。
図4は、ユーザーAが自身のアカウント情報を入力してドキュメントを印刷出力する際の基本動作を示す図である。ユーザーAが印刷装置3に対して自身のアカウント情報を入力すると、印刷装置3はそのアカウント情報をドキュメントサーバー1へ送信する(プロセスP20)。ドキュメントサーバー1は、そのアカウント情報を受信すると、そのアカウント情報に基づいてユーザーAが登録ユーザーであるか否かを判定するログイン判定を行う(プロセスP21)。そしてユーザーAが登録ユーザーである場合、ドキュメントサーバー1は、ユーザーAのログインを許可し、ユーザーAが印刷出力可能なドキュメントを全て抽出する(プロセスP22)。このとき、ユーザーXによって登録されたドキュメントであって、ユーザーAに対して共有設定されている共有ドキュメントが全て抽出される。ただし、ユーザーXによって登録されたドキュメントだけでなく、ユーザーA自身が予め登録しておいたドキュメント(例えば非共有ドキュメントなど)も抽出される。そしてドキュメントサーバー1は、ユーザーAが印刷出力可能なドキュメント9の一覧画面を生成して印刷装置3の操作パネルに表示させる(プロセスP23)。そしてユーザーAがその一覧画面の中から印刷出力の対象となるドキュメントを選択すると、印刷装置3からドキュメントサーバー1に対してダウンロード対象となるドキュメント9を指定した印刷要求が送信される(プロセスP24)。
ドキュメントサーバー1は、印刷要求を受信すると、その印刷要求で指定されたドキュメント9を印刷装置3へ送信する(プロセスP25)。これにより、印刷装置3はドキュメントサーバー1からドキュメント9をダウンロード取得することができる。そして印刷装置3は、ドキュメントサーバー1からダウンロードして取得したドキュメント9の印刷出力を行い(プロセスP26)、印刷出力が完了すると、ドキュメントサーバー1に完了通知を送信する(プロセスP27)。したがって、ドキュメントサーバー1の登録ユーザーであるユーザーAは、普段から使い慣れている自身のアカウント情報を入力して上記手順を行っていくことにより、ユーザーXによって登録されたドキュメント9の印刷物を最寄りのコンビニエンスストアなどで取得することができる。
次に図5は、ユーザーAがドキュメント9の識別情報を入力して共有ドキュメントを印刷出力する際の基本動作を示す図である。ユーザーAが印刷装置3に対して識別情報を入力すると、印刷装置3はその識別情報をドキュメントサーバー1へ送信する(プロセスP30)。ドキュメントサーバー1は、その識別情報を受信すると、それに一致する情報が付与されたドキュメント9が登録されているか否かを判定する識別情報判定を行う(プロセスP31)。そしてユーザーAが入力した識別情報に一致するドキュメント9が登録されている場合、ドキュメントサーバー1は、その識別情報でのログインを許可し、その識別情報で印刷出力可能な共有ドキュメントを抽出する(プロセスP32)。そしてドキュメントサーバー1は、その抽出したドキュメント9の印刷画面を生成して印刷装置3の操作パネルに表示させる(プロセスP33)。そしてユーザーAがその印刷画面に対する操作を行って印刷出力を指示すると、印刷装置3からドキュメントサーバー1に対してダウンロード対象となるドキュメント9を指定した印刷要求が送信される(プロセスP34)。
ドキュメントサーバー1は、印刷要求を受信すると、その印刷要求で指定されたドキュメント9を印刷装置3へ送信する(プロセスP35)。これにより、印刷装置3はドキュメントサーバー1からドキュメント9をダウンロード取得することができる。そして印刷装置3は、ドキュメントサーバー1からダウンロードして取得したドキュメント9の印刷出力を行い(プロセスP36)、印刷出力が完了すると、ドキュメントサーバー1に完了通知を送信する(プロセスP37)。したがって、ドキュメントサーバー1の未登録ユーザーであるユーザーAは、電子メールEM1で通知された識別情報を入力して上記手順を行っていくことにより、ユーザーXによって登録されたドキュメント9の印刷物を最寄りのコンビニエンスストアで取得することができる。
次に上記のような基本動作を実現するドキュメントサーバー1の具体的な構成及び動作について詳しく説明する。
図6は、ドキュメントサーバー1のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。ドキュメントサーバー1は、ハードウェア構成として、ネットワークインタフェース10と、CPU11と、RAM12と、NVRAM13と、記憶装置14とを備えている。ネットワークインタフェース10は、ドキュメントサーバー1をインターネットなどのネットワーク4に接続してコンピュータ2及び印刷装置3のそれぞれと通信を行うためのものである。CPU11は、NVRAM13に予め記憶されているプログラム15を実行することにより、ドキュメントサーバー1としての各種機能を実現するものである。RAM12は、CPU11がプログラム15を実行することに伴って発生する一時的なデータなどを記憶するためのメモリである。NVRAM13は、不揮発性メモリであり、CPU11によって実行されるプログラム15の他、各種データなどが予め記憶される。記憶装置14は、上述したようにハードディスク装置などで構成される不揮発性の記憶手段である。
記憶装置14には、アカウント情報記憶部16と、ドキュメント記憶部17と、共有情報記憶部18とが設けられる。アカウント情報記憶部16には、ドキュメントサーバー1に登録されている各ユーザーのアカウント情報27が記憶されている。またドキュメント記憶部17は、ドキュメントサーバー1がネットワーク4を介して受信するドキュメント9を記憶するための記憶領域である。ドキュメント記憶部17に保存されるドキュメント9には、ドキュメント登録時に付与されるユニークな識別情報8が付加される。共有情報記憶部18は、ドキュメント記憶部17に登録されているドキュメント9に対して共有設定が行われた場合に、その共有設定を定義した共有情報28を記憶する記憶領域である。
図7は、アカウント情報27及び共有情報28の一例を示す図である。まず図7(a)に示すように、アカウント情報27は、ドキュメントサーバー1に登録されたユーザーのユーザー名、ユーザーID、パスワード及び電子メールアドレスを記録した情報である。このようなアカウント情報27は、例えばドキュメントサーバー1へのアカウント登録時に各ユーザーが自由に設定可能な情報である。ただし、ユーザーID及びパスワードは、ドキュメントサーバー1においてユーザー毎にユニークな文字列となる。アカウント情報27に電子メールアドレスが含まれているため、共有ユーザーの宛先情報として電子メールアドレスが入力されたときには、全ユーザーのアカウント情報27を参照することにより、その共有ユーザーが登録ユーザーであるか否かを判別することができる。
また図7(b)に示すように、共有情報28は、共有設定が行われた全てのドキュメント9に関する情報を記録した情報である。図7(b)の例では、4つのドキュメント9a,9b,9c,9dに関する情報が記録されている。この共有情報28は、共有設定が行われた各ドキュメント9a,9b,9c,9dに関連付けて記録される情報として、ドキュメントIDとパスワードから成る識別情報8と、ドキュメント9のファイル名と、ドキュメント9のアップロードを行って登録したアップロードユーザーと、ドキュメント9を共有する共有ユーザーと、共有ユーザーが印刷出力を行う際の出力条件と、複数のドキュメントを統合した場合に付与される統合IDとが含まれる。
識別情報8に含まれるドキュメントID及びパスワードは、セキュリティレベルを高くするために、所定文字数以上であり、且つ、ドキュメントサーバー1においてユニークな文字列で構成される。尚、識別情報8は、ドキュメントサーバー1によってランダムに自動生成されるものであっても良いし、アップロードユーザーによって指定されるものであっても良い。また共有ユーザーの項目には、アップロードユーザーによって入力された共有ユーザーの電子メールアドレス(宛先情報)が記録される。尚、1つのドキュメント9に対して複数の共有ユーザーが設定された場合には、それら複数の共有ユーザーの電子メールアドレスが記録される。また出力条件の項目には、各共有ユーザーがドキュメント9を印刷出力する際に、アカウント情報と識別情報とのいずれでのログインを条件とするかが記録される。図7(b)の例では、アカウント情報でのログインを条件としている場合には出力条件に「A」が記録されており、識別情報でのログインを条件としている場合には出力条件に「D」が記録されている。また統合IDの項目には、複数のドキュメント9を1つに統合することが可能な場合にそれら複数のドキュメント9のそれぞれに対して同一のIDが記録される。図7(b)の例では、ドキュメント9a,9dが1つに統合可能なドキュメントとして設定されている。尚、ドキュメント9の統合については後に詳しく説明する。
図6に戻り、CPU11は、NVRAM13に記憶されているプログラム15を読み出して実行することにより、ログイン制御部21、登録処理部22、出力制御部23及び削除処理部24として機能する。
ログイン制御部21は、ネットワークインタフェース10を介して受信するアカウント情報又は識別情報に基づき、ログインを許可するかどうかを判定する処理部である。このログイン制御部21は、アカウント情報を受信した場合、アカウント情報記憶部16に記録されている各登録ユーザーのアカウント情報27の中に、受信したアカウント情報と一致する情報が含まれているか否かを判定する。その結果、一致する情報が含まれていれば、登録ユーザーを特定することができるため、ログイン制御部21は、アカウント情報でのログインを許可する。これに対し、識別情報を受信した場合、ログイン制御部21は、共有情報記憶部18に記憶されている共有情報28の中に、受信した識別情報と一致する情報が含まれているか否かを判定する。その結果、一致する情報が含まれていれば、ログイン制御部21は、識別情報でのログインを許可する。尚、識別情報でのログインの場合には、ドキュメント9を特定することができるが、アクセス操作を行ったユーザーは特定することができない。
登録処理部22は、例えばコンピュータ2から送信されるアカウント情報に基づいてログインが許可された後に機能するものであり、コンピュータ2から送信されるドキュメント9の登録処理を行う処理部である。また出力制御部23は、例えば印刷装置3から送信されるアカウント情報又は識別情報に基づいてログインが許可された後に機能するものであり、印刷装置3での印刷出力を制御する処理部である。
図8は、登録処理部22及び出力制御部23の詳細な機能構成の一例を示す図である。まず図8(a)に示すように、登録処理部22は、登録部31、識別情報付与部32、宛先情報入力部33、判定部34、共有設定部35及び共有通知部36としての機能を備えており、これらが順に機能する。登録部31は、アカウント情報27に登録された登録ユーザーがログインした状態でコンピュータ2からアップロードされるドキュメント9をドキュメント記憶部17に格納して保存することにより、ドキュメント9を登録する。識別情報付与部32は、登録部31によって登録されたドキュメント9に対してユニークな識別情報8を付与する。
その後、アップロードユーザーによって他のユーザーとのドキュメント9の共有が指示された場合、宛先情報入力部33は、ドキュメント9を共有する共有ユーザーの宛先情報の入力を受け付ける。判定部34は、宛先情報入力部33によって受け付けられた共有ユーザーの宛先情報に基づいてアカウント情報27を検索することにより、共有ユーザーが登録ユーザーであるか否かのユーザー判定を行う。そして共有設定部35は、アップロードユーザーによって指定された共有ユーザーがドキュメント9の印刷出力を行うことができるように、必要な情報を共有情報28に書き込んで更新することにより、当該ドキュメント9に対する共有設定を行う。このとき共有設定部35は、判定部34の判定結果に基づき、例えば共有ユーザーが登録ユーザーであれば、アカウント情報でのログインを条件として印刷出力を可能にすべく、出力条件の項目に「A」を記録する。また共有ユーザーが未登録ユーザーであれば、識別情報でのログインを条件として印刷出力を可能にすべく、出力条件の項目に「D」を記録する。
ただし、共有ユーザーが登録ユーザーであっても、その共有ユーザーのアカウント情報27に登録されているユーザーIDやパスワードのセキュリティレベルが一定レベルよりも低い場合がある。例えば共有ユーザーのアカウント情報27に登録されているユーザーID及びパスワードが所定文字数に満たない場合や、パスワード自体がエンプティの場合である。そのような場合、共有ユーザーのアカウント情報でのログインによってドキュメント9の印刷出力を許可してしまうと、比較的簡単に共有ユーザー以外の第三者が最寄りのコンビニエンスストアでドキュメント9の印刷物を取得してしまう可能性がある。これを防止するため、判定部34は、共有ユーザーが登録ユーザーであることが特定できた場合には、その登録ユーザーのアカウント情報27に含まれるユーザーID及びパスワードのセキュリティレベルを更に判定する。そしてセキュリティレベルが一定レベルよりも低い場合には、登録ユーザーであっても、未登録ユーザーと同様の取り扱いを行うことが好ましい。
例えば、登録ユーザーのアカウント情報27に含まれるユーザーID及びパスワードのセキュリティレベルが一定レベルよりも低い場合、共有設定部35は、共有ユーザーがドキュメント9の印刷出力を行う際の出力条件を変更し、未登録ユーザーと同様に、識別情報でのログインが行われることを条件として印刷出力を許可する設定にする。したがって、この場合は、共有ユーザーが登録ユーザーであっても、識別情報でのログインを条件として印刷出力を可能にすべく、共有情報28における出力条件の項目に「D」が記録される。
また共有設定部35によって共有設定が行われると、一の共有ユーザーに対して複数のドキュメント9が共有設定されることがある。そのようなケースにおいて、例えば共有ユーザーが登録ユーザーであり、且つ、共有ユーザーが自身のアカウント情報でドキュメントサーバー1にログインすることによってそれら複数のドキュメント9の全てを印刷出力可能な場合には、印刷出力時の操作性が従来よりも格段に向上する。しかし、共有ユーザーが未登録ユーザーである場合、或いは、共有ユーザーが登録ユーザーであっても上述したように識別情報でログインしなければ各ドキュメント9の印刷出力を行うことができないような場合において、共有ユーザーがそれら複数のドキュメント9の全てを印刷出力するために、従来と同様に、各ドキュメント9に付与された識別情報8をその都度入力しなければならないこととすると、印刷出力時の操作性が低下する。
そのような操作性低下を抑制するため、共有設定部35は、共有ユーザーに対して識別情報でのログインを出力条件として設定する場合において、当該共有ユーザーが複数のドキュメント9を共有するときには、それら複数のドキュメント9を1つに統合する。そして統合した複数のドキュメント9のそれぞれに付与されている複数の識別情報8のうちのいずれか1つに一致する識別情報でのログインが許可されると、そのログイン中に統合した複数のドキュメント9の全てを印刷出力できるように設定する。これにより、共有ユーザーが複数のドキュメント9の全てを印刷出力するために、各ドキュメント9に付与された識別情報8の全てを入力しなければならないという煩わしさが解消されるため、操作性が向上する。
ただし、ドキュメント9に付与された識別情報8でのログインを許可する場合は、上述したようにログインしたユーザーを特定することができない。そのため、統合対象となる複数のドキュメント9のそれぞれに対して複数の共有ユーザーが設定されるときには、それら複数の共有ユーザーが全て一致することを条件として統合することが好ましい。図9は、複数のドキュメント9の統合概念を示す図である。この図9では、一のユーザーによってアップロードされた4つのドキュメント9a,9b,9c,9dがドキュメントサーバー1に登録されており、ユーザーAが3つのドキュメント9a,9b,9dを共有し、ユーザーBが2つのドキュメント9b,9cを共有し、ユーザーCが1つのドキュメント9cだけを共有する場合を例示している。このような場合、仮に、ユーザーAが共有する3つのドキュメント9a,9b,9dの全てを1つに統合してしまうと、ユーザーBがドキュメント9bの識別情報8bを入力してドキュメントサーバー1にログインしたときには、統合された3つのドキュメント9a,9b,9cの全てがユーザーBによって印刷出力されてしまい、ユーザーBが共有していないドキュメント9dも印刷出力されるという不具合が生じる。また、ユーザーBが共有する2つのドキュメント9b,9cの全てを1つに統合してしまうと、ユーザーCがドキュメント9cの識別情報8cを入力してドキュメントサーバー1にログインしたときには、統合された2つのドキュメント9b,9cの全てがユーザーCによって印刷出力されてしまい、ユーザーCが共有していないドキュメント9bも印刷出力されるという不具合が生じる。このような不具合の発生を防止するため、共有設定部35は、複数のドキュメント9を1つに統合するときには、各ドキュメント9に設定されている共有ユーザーが全て一致している複数のドキュメントを1つに纏めて統合し、一部でも共有ユーザーが一致していない場合にはどのドキュメントを統合対象から外すように構成される。したがって、図9の場合、共有設定部35は、共有ユーザーがユーザーAだけであるという点で一致している2つのドキュメント9a,9dを1つに統合し、他のドキュメント9b,9cについては統合しないことになる。そして共有設定部35は、上記のようにして複数のドキュメント9を1つに統合した場合、共有情報28の統合IDの項目に、同一のIDを記録する。
共有設定部35による共有設定が完了すると、図8(a)に示すように、次に共有通知部36が機能する。この共有通知部36は、宛先情報入力部33によって受け付けられた宛先情報に基づき、ドキュメント9の共有ユーザーに対して電子メールEM1を送信することにより、ドキュメント9の共有設定が行われたことを通知する処理部である。
次に出力制御部23は、図8(b)に示すように、出力条件確認部41、共有ドキュメント抽出部42及びデータ送信部43としての機能を備えている。出力条件確認部41は、共有ユーザーが自身のアカウント情報でドキュメントサーバー1にログインした場合に、その共有ユーザーが共有しているドキュメント9の出力条件を確認する処理部である。すなわち、共有ユーザーが自身のアカウント情報でログインした場合であっても、そのアカウント情報のセキュリティが低いときには、上述したように、識別情報でログインしなければドキュメント9の印刷出力を行うことができない設定になっている。そのため、出力条件確認部41は、自身のアカウント情報でログインした共有ユーザーの出力条件を確認し、識別情報でログインしなければならない場合には、共有ドキュメント9に付与されている識別情報の入力を促す画面を印刷装置3に送信する。また出力条件を確認した結果、共有ユーザーが自身のアカウント情報でログインすれば印刷出力が許可することができる場合には、識別情報の入力を促す画面は送信しない。
共有ドキュメント抽出部42は、共有ユーザーが印刷出力可能な共有ドキュメント9を抽出する処理部である。この共有ドキュメント抽出部42は、共有ユーザーが自身のアカウント情報でログインしている場合、その共有ユーザーが印刷出力可能な共有ドキュメント9を全て抽出する。また共有ユーザーがドキュメント9に付与された識別情報でログインしている場合、共有ドキュメント抽出部42は、識別情報に一致する共有ドキュメント9を抽出する。ただし、その識別情報に一致する共有ドキュメント9に対して他のドキュメントが統合されている場合には、他のドキュメントを一括して抽出する。そして共有ドキュメント抽出部42は、その抽出したドキュメント9の一覧画面又は印刷画面を生成して印刷装置3に送信する。
データ送信部43は、印刷装置3からダウンロード対象となるドキュメント9を指定した印刷要求を受信することに伴い、そのドキュメント9をドキュメント記憶部17から読み出して印刷装置3へ送信する処理部である。そして印刷装置3は、ドキュメントサーバー1からダウンロードしたドキュメント9を印刷出力して共有ユーザーに提供する。
一方、図6に示す削除処理部24は、登録処理部22によってドキュメント記憶部17に登録されたドキュメント9を所定のタイミングで自動削除する処理部である。この削除処理部24は、例えば、登録処理部22によって登録されたドキュメント9の印刷出力が行われると、それに伴って当該ドキュメント9を自動削除する。ただし、一のドキュメント9に複数の共有ユーザーが設定されている場合、印刷出力が1回行われただけで当該ドキュメント9を削除してしまうと、他の共有ユーザーが印刷出力を行えなくなる。そこで、そのような場合には、ドキュメント9の印刷回数が共有ユーザーの人数と同じ回数となった時点で当該ドキュメント9を削除するようにしても良い。その場合は、同一ユーザーによって印刷出力が複数回行われることを防止する必要があるため、ドキュメント9の印刷出力を各共有ユーザーに対して1回だけ許可する構成であることがより好ましい。またそのような構成を採用する場合には、共有ユーザーが未登録ユーザーであっても誰が印刷出力を行ったかを特定することが必要となるため、印刷出力の際に共有ユーザーの宛先情報(電子メールアドレス)の入力を受け付けるようにしても良い。
また登録処理部22がドキュメント9の登録を行う際には、そのドキュメント9の保存期間又は印刷回数を設定しておくようにしても良い。この場合、削除処理部24は、予め設定されている保存期間が経過したとき、又は、予め設定されている印刷回数分の印刷出力が行われたときに、当該ドキュメント9を削除するようにしても良い。尚、保存期間又は印刷回数の設定は、予め定められているデフォルト値を設定しても良いし、アップロードユーザーによって指定された値を設定しても良い。
次に、上記構成を有するドキュメントサーバー1において行われる具体的な処理手順について説明する。図10及び図11は、ドキュメントサーバー1がドキュメント9の登録を行う際に実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。尚、この処理は、ドキュメントサーバー1のCPU11がプログラム15に基づいて実行する処理である。
まず図10に示すように、ドキュメントサーバー1は、ネットワーク4を介してアカウント情報を受信するまで待機し(ステップS1)、アカウント情報を受信すると、登録ユーザーであるか否かを判断する(ステップS2)。その結果、登録ユーザーでない場合には、ステップS1に戻る。また登録ユーザーである場合(ステップS2でYES)、ドキュメントサーバー1は、受信したアカウント情報によるログイン、すなわちユーザーアカウントでのログインを許可する(ステップS3)。
登録ユーザーがアップロードユーザーとしてログインすると、ドキュメントサーバー1は、そのアップロードユーザーによってドキュメントの登録操作が行われたか否かを判断する(ステップS4)。そして登録操作が行われた場合(ステップS4でYES)、ドキュメントサーバー1は、アップロードされるドキュメント9の受信処理を行い(ステップS5)、受信したドキュメント9をドキュメント記憶部17に保存して登録する(ステップS6)。またドキュメントサーバー1は、ドキュメント記憶部17に登録したドキュメント9に対してユニークな識別情報8を付与する(ステップS7)。尚、ステップS4において登録操作が行われていないときには、ステップS5〜S7をスキップしてステップS8へと進む。
次にドキュメントサーバー1は、アップロードユーザーによってドキュメント9の共有指示が行われたか否かを判断し(ステップS8)、共有指示が行われた場合にドキュメント共有設定処理を実行する(ステップS9)。尚、共有指示が行われていない場合には、ステップS9をスキップしてステップS10に進む。そしてドキュメントサーバー1は、アップロードユーザーによるログアウト操作が行われるまでステップS4以降の処理を繰り返し、ログアウト操作が行われると、アップロードユーザーをログアウトして処理を終了する(ステップS10)。
図11は、ドキュメント共有設定処理(ステップS9)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。ドキュメントサーバー1は、この処理を開始すると、アップロードユーザーによる共有ドキュメント9の指定を受け付け(ステップS20)、その指定された共有ドキュメントを共有する共有ユーザーの電子メールアドレスを宛先情報として受け付ける(ステップS21)。ドキュメントサーバー1は、共有ユーザーの宛先情報を受け付けると、その共有ユーザーが登録ユーザーであるか否かを判断する(ステップS22)。
共有ユーザーが登録ユーザーである場合(ステップS22でYES)、その共有ユーザーのアカウント情報27を参照してユーザーID及びパスワードのセキュリティレベルを確認し(ステップS23)、セキュリティレベルが所定レベル以上であるか否かを判断する(ステップS24)。セキュリティレベルが所定レベル以上である場合(ステップS24でYES)、ドキュメントサーバー1は、共有ユーザーが自身のアカウント情報でログインすることによって共有ドキュメント9の印刷出力を許可する設定を行う(ステップS25)。そしてドキュメントサーバー1は、共有ユーザーに対してドキュメント9の共有設定が行われたことを通知する(ステップS26)。
一方、共有ユーザーが登録ユーザーでなかった場合(ステップS22でNO)、或いは、共有ユーザーが登録ユーザーであってもユーザーID及びパスワードのセキュリティレベルが所定レベル未満である場合(ステップS24でNO)、ドキュメントサーバー1は、共有ユーザーが共有ドキュメント9に付与された識別情報でログインすることによって共有ドキュメント9の印刷出力を許可する設定を行う(ステップS27)。そしてドキュメントサーバー1は、当該共有サーバーによって複数のドキュメント9が共有されるか否かを判断し(ステップS28)、複数のドキュメント9が共有される場合には更にそれら複数のドキュメント9を統合可能な否かを判断する(ステップS29)。ここでは、当該ユーザーが共有する複数のドキュメント9の中に、他の共有ユーザーが全て同じユーザーとなっている2以上のドキュメント9が存在するか否かを確認し、そのような2以上のドキュメントが存在すれば、それら2以上のドキュメント9を統合可能であると判断する。その結果、統合可能である場合(ステップS29でYES)、ドキュメントサーバー1は、それら2以上のドキュメント9を統合するドキュメント統合処理を行う(ステップS30)。このドキュメント統合処理(ステップS30)では、統合対象となる2以上のドキュメント9のそれぞれに対して同一の統合IDが付与される。尚、共有サーバーが複数のドキュメント9を共有していない場合(ステップS28でNO)、或いは、2以上のドキュメント9の統合が不可能な場合(ステップS29でNO)、ステップS30の処理は行われない。その後、ドキュメントサーバー1は、共有ユーザーに対してドキュメント9の共有設定が行われたことを通知して処理を終了する(ステップS26)。
次に図12乃至図14は、ドキュメントサーバー1が印刷装置3からの印刷要求に基づいて印刷出力を行う際に実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理もまたドキュメントサーバー1のCPU11がプログラム15に基づいて実行する処理である。
まず図12に示すように、ドキュメントサーバー1は、印刷装置3から送信されるアカウント情報又は識別情報を受信するまで待機している(ステップS40,S41でNO)。そしてアカウント情報を受信すると(ステップS40でYES)、ドキュメントサーバー1は、登録ユーザーであるか否かを判断し(ステップS42)、登録ユーザーでなければステップS40に戻る。また登録ユーザーである場合(ステップS42でYES)、ドキュメントサーバー1は、その登録ユーザーが共有するドキュメント9が存在するか否かを判断する(ステップS43)。ここで、登録ユーザーが共有するドキュメント9が存在しない場合には(ステップS43でNO)、ステップS40へ戻る。これに対し、登録ユーザーが共有するドキュメント9が存在する場合(ステップS43でYES)、ドキュメントサーバー1は、その共有ドキュメント9の出力条件を判別し(ステップS44)、アカウント情報でログインすることによって共有ドキュメント9の印刷出力を許可する設定であるか否かを判断する(ステップS45)。その結果、アカウント情報でログインすれば印刷出力を許可する設定である場合(ステップS45でYES)、ドキュメントサーバー1は、共有ユーザー自身のアカウント情報によるログイン、すなわちユーザーアカウントでのログインを許可する(ステップS46)。これに対し、アカウント情報でログインすれば印刷出力を許可する設定でない場合(ステップS45でNO)、ドキュメントサーバー1による処理はステップS48へ進む。
一方、ドキュメントサーバー1は、印刷装置3から送信された識別情報を受信した場合(ステップS41でYES)、その識別情報に対応するドキュメント9が存在するか否かを判断する(ステップS47)。ここで、受信した識別情報に対応するドキュメント9が存在しない場合には(ステップS47でNO)、ステップS40へ戻る。これに対し、識別情報に対応するドキュメント9が存在し、そのドキュメント9を特定することができた場合(ステップS47でYES)、ドキュメントサーバー1は、その識別情報でのログインを許可する(ステップS51)。
またドキュメントサーバー1は、ステップS45からS48へと処理を進めた場合、識別情報入力案内画面を生成して印刷装置3に送信する(ステップS48)。そして共有ユーザーによって入力される識別情報を印刷装置3から受信するまで待機する(ステップS49)。ドキュメントサーバー1は、印刷装置3から識別情報を受信すると(ステップS49でYES)、その識別情報に対応するドキュメント9が存在するか否かを判断し(ステップS50)、識別情報に対応するドキュメント9を特定することができると(ステップS50でYES)、その識別情報でのログインを許可する(ステップS51)。
図13は、共有ユーザーが自身のアカウント情報でログインした場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理に進むと、ドキュメントサーバー1は、共有ユーザーが印刷出力可能なドキュメント9を全て抽出する(ステップS60)。そして共有ユーザーが印刷出力可能なドキュメント9の一覧画面を生成して印刷装置3に送信する(ステップS61)。その後、印刷装置3からダウンロード対象となるドキュメント9の指定があるまで待機し(ステップS62)、ドキュメント9が指定されると、その指定されたドキュメント9を印刷装置3へ送信する(ステップS63)。そして印刷装置3から印刷完了通知を受信すると(ステップS64でYES)、ドキュメントサーバー1は、当該共有ユーザーによってそのドキュメント9の2回目以降の印刷出力が行われることを禁止する設定を行う(ステップS65)。またドキュメントサーバー1は、共有ユーザーが未だ印刷出力を行っていない他のドキュメント9が存在するか否かを判断し(ステップS66)、他のドキュメント9があればステップS61へ戻る。これに対し、他のドキュメント9が存在しない場合には(ステップS66でNO)、終了する。
図14は、共有ユーザーが識別情報でログインした場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理に進むと、ドキュメントサーバー1は、共有ユーザーによって入力された識別情報に一致する共有ドキュメント9を抽出し(ステップS70)、その共有ドキュメント9に、ドキュメント統合の設定があるか否かを判断する(ステップS71)。ドキュメント統合の設定がある場合(ステップS71でYES)、ドキュメントサーバー1は、統合IDに基づき、統合されている2以上のドキュメント9を全て抽出する(ステップS72)。そしてそれら2以上のドキュメント9の一覧画面を生成して印刷装置3に送信する(ステップS73)。尚、ドキュメント統合の設定がない場合には、ステップS72,S73はスキップする。
そしてドキュメントサーバー1は、印刷装置3から印刷要求を受信するまで待機し(ステップS74)、印刷要求を受信すると、その印刷要求によって指定されたドキュメント9を印刷装置3へ送信する(ステップS75)。そして印刷装置3から印刷完了通知を受信すると(ステップS76でYES)、ドキュメントサーバー1は、当該共有ユーザーによってそのドキュメント9の2回目以降の印刷出力が行われることを禁止する設定を行う(ステップS77)。このときドキュメントサーバー1は、必要に応じて共有ユーザーに対して宛先情報の入力を要求し、その宛先情報によって共有ユーザーを特定する。またドキュメントサーバー1は、共有ユーザーが未だ印刷出力を行っていない他の統合ドキュメント9が存在するか否かを判断し(ステップS78)、他の統合ドキュメント9があればステップS73へ戻る。これに対し、他の統合ドキュメント9が存在しない場合には(ステップS78でNO)、終了する。
次に図15は、ドキュメントサーバー1が登録ドキュメント9を削除する際に実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理もまたドキュメントサーバー1のCPU11がプログラム15に基づいて実行する処理であり、例えばCPU11によって一定周期で繰り返し実行される処理である。ドキュメントサーバー1は、この処理を開始すると、ドキュメント記憶部17にドキュメント9が登録されているか否かを判断する(ステップS80)。その結果、ドキュメント9が登録されていない場合(ステップS80でNO)、この処理は終了する。これに対し、ドキュメント9が登録されている場合(ステップS80でYES)、ドキュメントサーバー1は、そのドキュメント9に保存期間の設定があるか否かを判断し(ステップS81)、保存期間の設定があれば(ステップS81でYES)、登録後の保存期間が経過しているか否かを判断する(ステップS82)。そして保存期間が経過していれば、そのドキュメント9を削除する(ステップS83)。
またドキュメントサーバー1は、そのドキュメント9に印刷回数の設定があるか否かを判断し(ステップS84)、印刷回数の設定があれば(ステップS84でYES)、その設定された所定回数の印刷出力が実行されたか否かを判断する(ステップS85)。そして所定回数の印刷出力が実行されていれば、そのドキュメント9を削除する(ステップS86)。
またドキュメントサーバー1は、ドキュメント9に印刷回数の設定がない場合(ステップS84でNO)、そのドキュメント9の印刷出力が行われたか否かを確認する(ステップS87)。そして印刷出力が行われた場合(ステップS87でYES)、そのドキュメント9の印刷出力を行ったユーザーとは異なる他のユーザーが共有ユーザーとして存在しているか否かを判断する(ステップS88)。そして他の共有ユーザーが存在している場合にはそのまま処理を終了し、他の共有ユーザーが存在していない場合にはそのドキュメント9を削除する(ステップS89)。尚、印刷回数が設定されており、印刷出力回数が未だ所定回数に達していないときには、ステップS89をスキップし、該ドキュメント9の保存状態を継続させるようにしても良い。
以上のように本実施形態のドキュメントサーバー1は、アカウント情報27に登録された登録ユーザーがログインした状態でアップロードされるドキュメント9を登録する際、そのドキュメント9に対してユニークな識別情報8を付与する。そして登録ユーザーによってそのドキュメント9を共有する共有ユーザーの宛先情報が入力されると、その宛先情報がアカウント情報27に登録されているか否かを判定することにより、共有ユーザーが登録ユーザーであるか否かを判定する。そして更にドキュメントサーバー1は、その判定結果に基づき、共有ユーザーの宛先情報がアカウント情報27に登録されているときには、当該共有ユーザーのアカウント情報が入力されることを条件として、そのドキュメント9の印刷出力を許可する設定を行う一方、共有ユーザーの宛先情報がアカウント情報27に登録されていないときには、そのドキュメント9に付与された識別情報8が当該共有ユーザーによって入力されることを条件として、そのドキュメント9の印刷出力を許可する設定を行う構成である。
上記構成によれば、アカウント情報27に予め登録された登録ユーザーがドキュメントサーバー1からドキュメント9をダウンロードして印刷出力を行う際には、その登録ユーザーが普段から使い慣れた自身のアカウント情報を入力してドキュメントサーバー1にログインすることにより、共有設定されたドキュメント9の印刷出力を行うことができるようになる。そのため、共有ユーザーがドキュメントサーバー1の登録ユーザーであれば、従来のようにドキュメント9の登録時に付与されたユニークな識別情報8を入力する必要がなくなるので、入力間違いが生じ難く、操作性が向上するという利点がある。また上記構成によれば、アカウント情報27に予め登録された登録ユーザーだけでなく、アカウント情報27に登録されていない未登録ユーザーであってもドキュメント9を共有することができるため、利便性が高いという利点もある。
また本実施形態のドキュメントサーバー1は、登録されたドキュメント9を共有する共有ユーザーの宛先情報が入力されないときには、そのドキュメント9をアップロードしたユーザーだけが印刷出力可能な状態に設定する。そのため、登録ユーザーは、自身で利用するドキュメント9だけをドキュメントサーバー1に保存して管理することも可能である。
また本実施形態のドキュメントサーバー1は、共有ユーザーの宛先情報がアカウント情報27に登録されているときには、当該宛先情報に基づいてドキュメント9の共有設定が行われたことを通知し、共有ユーザーの宛先情報がアカウント情報27に登録されていないときには、当該宛先情報に基づいてドキュメント9の共有設定が行われたことを通知すると共に、当該ドキュメント9に付与された識別情報8を通知する。そのため、登録ユーザー及び未登録ユーザーは、自身が利用可能なドキュメント9がドキュメントサーバー1に登録されたことを把握することができる。特に未登録ユーザーは、ドキュメント9を印刷出力するのに必要となる識別情報を取得することができる。
また本実施形態のドキュメントサーバー1は、共有ユーザーによって識別情報8が入力されることを条件としてドキュメント9の印刷出力を許可する設定を行う場合において、当該共有ユーザーが複数のドキュメント9を共有するときには、それら複数のドキュメント9のそれぞれに付与された複数の識別情報8のうちのいずれか1つが入力されることを条件として、それら複数のドキュメント9の印刷出力を許可する設定を行う。そのため、共有ユーザーが識別情報8を入力してドキュメント9の印刷出力を行う場合でも、複数のドキュメント9のそれぞれに付与された複数の識別情報8を個別に入力する必要がなくなるので、操作性が著しく改善される。
また本実施形態のドキュメントサーバー1は、共有ユーザーによって識別情報8が入力されることを条件としてドキュメント9の印刷出力を許可する設定を行う場合において、当該共有ユーザーが複数のドキュメント9を共有するときには、当該共有ユーザーが共有する複数のドキュメント9のうち、他の共有ユーザーが全て同じユーザーである2以上のドキュメント9を統合し、それら統合した2以上のドキュメント9のそれぞれに付与されている2以上の識別情報8のうちのいずれか1つが入力されることを条件として、統合した2以上のドキュメント9の印刷出力を許可する設定を行う。そのため、統合された2以上のドキュメント9は全て同じ共有ユーザーだけが印刷出力可能となり、しかも統合された2以上のドキュメント9の印刷出力を行う場合には、それら2以上のドキュメント9のそれぞれに付与された2以上の識別情報8を個別に入力する必要がなくなるので、操作性が著しく改善される。
また本実施形態のドキュメントサーバー1は、一のドキュメント9に対して複数の共有ユーザーが設定されている場合、そのドキュメント9の印刷出力を各共有ユーザーに対して1回だけ許可するように構成される。そのため、各共有ユーザーによってドキュメント9が繰り返し何度も印刷出力されてしまうことを防止することができる。またこの構成によれば、複数の共有ユーザー全員が1回ずつ印刷出力を行えば、ドキュメントサーバー1からドキュメント9を削除することもできる。
また本実施形態のドキュメントサーバー1は、共有ユーザーのアカウント情報27が登録されているとき、当該共有ユーザーのアカウント情報27のセキュリティレベルを判定し、所定レベルよりも低いときには、当該共有ユーザーが共有ドキュメント9の印刷出力を行う際の条件を変更する。具体的には、共有ドキュメント9に付与された識別情報8が当該共有ユーザーによって入力されることを条件として、共有ドキュメント9の印刷出力を許可する設定に変更する。そのため、共有ドキュメント9が予期しない第三者によって印刷出力されてしまうことを防止でき、共有ドキュメント9のセキュリティを確保することができる。
また本実施形態のドキュメントサーバー1は、登録されたドキュメント9を所定のタイミングで自動削除するように構成される。そのため、削除されることなく忘れられたドキュメント9が長期に亘ってドキュメントサーバー1に保存されることはない。また、このような自動削除は、例えば、ドキュメント9の印刷出力が完了することに伴って行われるため、印刷出力が完了して不要になったドキュメント9を速やかにドキュメントサーバー1から削除することができる。またドキュメント9を登録する際に当該ドキュメント9の保存期間又は印刷回数を設定しておき、保存期間が経過したとき、又は、印刷回数分の印刷出力が行われたときに、当該ドキュメント9を削除するように構成することにより、当該ドキュメント9が長期に亘ってドキュメントサーバー1に保存されることを良好に防止することができる。
(変形例)
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。以下、その幾つかについて例示する。
例えば上記実施形態では、共有ユーザーが印刷出力を行う印刷装置3がコンビニエンスストア5a,5b,5cなどに設置される場合を説明したが、これに限られるものではない。例えば、印刷装置3は、コンビニエンスストア以外の店舗や公共施設などに設置されるものであっても構わない。また印刷装置3は、共有ユーザーのオフィスなどに設置されるオフィス専用機であっても構わない。
また上記実施形態では、共有ユーザーのアカウント情報27のセキュリティレベルが所定レベルよりも低いときには、当該共有ユーザーが共有ドキュメント9の印刷出力を行う際の出力条件を変更する例について説明した。しかし、出力条件を変更してしまうと、共有ユーザーが登録ユーザーであるにもかかわらず、当該共有ユーザーは使い慣れていない識別情報8を入力しなければならなくなり、入力間違いを生じやすくなる。そこで、共有ユーザーのアカウント情報27のセキュリティレベルが所定レベルよりも低いときには、その共有ユーザーに対し、電子メールEM1でアカウント情報27の変更を促す通知を行うようにしても良い。この場合、共有ユーザーは、自身でアカウント情報27に含まれるユーザーID及びパスワードを再設定してセキュリティレベルが所定レベル以上となるように変更することにより、その後、自身のアカウント情報でドキュメントサーバー1にログインすれば印刷出力が可能となる。つまり、この場合は、出力条件を変更しないので、操作性の低下を抑制することができる。