JP6012282B2 - 電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類およびその製造方法 - Google Patents
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上記技術は、電子レンジ解凍の際に生じる解凍むらの防止や均一な食感を得ること等を目的とするものである。
そこで逆に、鍋調理用の冷凍麺類を用いて電子レンジで解凍・加熱調理してみたところ、今度は、解凍・加熱調理するのに時間がかかり、麺が硬くてもろい食感になるという問題が生じた。
最初に、本発明者らは、上記課題の原因について検討した。結果、冷凍麺類を鍋で調理する場合、麺は茹湯により解凍・加熱されると同時に、茹湯を吸水して重量が増加するのに対し、電子レンジで解凍加熱する場合は、吸水はなく、逆に加熱による蒸気の飛散のために麺重量が減少する。このため、鍋調理と電子レンジ調理では出来上がりの麺水分に差が生じ、この影響で食感も異なるものになるという知見を得た。
また、電子レンジ調理に合わせて麺の水分値を高く設定すると鍋調理時に麺が柔らかくなり、茹で調理に合わせて麺の水分値を低く設定すると、電子レンジ調理時に麺が硬もろくなるという水分値の違いが問題となるという知見を得た。
すると、電子レンジでの解凍・加熱調理の際、麺塊を早く解凍でき、調理時間を短縮することができた。しかも、レンジ加熱によって、麺塊とともに前記麺塊の凸部に設けた氷が徐々に溶かされ、麺表面を伝わりながら落ちる際に、この水が加熱されて沸騰することにより、麺の表面を潤しつつ、ほとんどの氷が凸部周辺の麺線に吸収された。このため、特に乾燥しやすい麺塊周辺部の麺線に沸騰された水分がよく吸収され、冷凍麺塊の各部による温度ムラが少なくなり、解凍を均一にすることができた。
このようにして、レンジで調理しているにもかかわらず、鍋で調理したものと同じように、麺重量が上昇し、食味・食感もほぼ同様にすることができることを見出し、本発明を完成した。
2 リテーナー底部の隆起部
3 リテーナー底部の凹部
4 冷凍麺塊
5 麺塊の上部中央の凹部
6 麺塊の上部周辺の凸部
7 氷層
本発明の冷凍麺類に用いられる麺線は、常法によって製麺された麺線をα化した麺線であって、水分を45〜70%に調整したものである。一般的な冷凍麺類の場合、冷凍前の麺線の水分は、中華麺等の細物で52〜69%、うどん等の太物の場合では60〜75%であるが、本発明の場合、これより水分を低く調整し、細物で45〜65%、太物で50〜70%のものが用いられる。
調理前水分と添加水量の違いによる鍋調理と電子レンジ調理の調理方法における調理後の水分値の差についての影響を調べるため、下記の通り、実験を行った。
一方、前記添加水の重量(α化した麺線に付与される水分量)を0gとした以外は、実施例1と同様にして比較例1とした。
また、前記沸騰水にて2分15秒茹で、添加水を0gとした以外は、実施例1と同様にして、比較例2とした。
次いで、これらの調理後の麺について熟練したパネラー5名により食味・食感等について官能試験を行った。結果を表1に示す。
それに対し、比較例1は、レンジ調理時に食感が硬く脆くなり、比較例2は、鍋調理時に茹で伸びた食感となってしまい、好ましいものではなかった。
次に、電子レンジ調理後の麺の水分量に対して、添加水量(α化した麺線に付与される水分量)をどれくらいにするかを調べるため、下記の通り、実験を行った。
一方、比較例3の、添加水量が、電子レンジ調理後の麺の水分量に対して、45重量%を超えた場合は、電子レンジでの解凍・加熱調理の際に、加熱ムラが生じ、解凍に時間がかかった。また、比較例4の、前記添加水量が4重量%未満である場合、レンジ調理したときに硬く脆い食感となり好ましくなかった。
次に、電子レンジ調理において、冷凍麺塊の凹部の深さ(凸部の高さ)による氷の溶解状態と冷凍麺塊の解凍状態について、下記の通り、実験を行った。
なお、凹部の深さ(凸部の高さ)は、表3のように設定し、表の中の60mm(実施例4)のものは、凹部が貫通したドーナツ状の麺塊形状で、0mm(比較例5)のものは、凹部が全くない麺塊形状を有するものである。
また、前記冷凍麺塊は、凹部の深さが3〜60mmで、凹部の深さが深くなるほど、解凍がさらに早くなり、しかも調理ムラが少なくなり、好ましかった(実施例4〜8)。
一方、比較例5の凹部の深さが0mm(凹部が貫通したドーナツ状の麺塊形状)のものは、レンジ調理したときに加熱・水分不足で硬くて脆い食感となり好ましくなかった。
小麦粉950gと澱粉50gを混合した原料粉に、食塩10gとかんすい10gを350mlの水に溶かした練り水を加え、ミキサーで15分間混練し麺生地を作成した。これをロールで圧延して厚さ1.50mmの麺帯とし20番の切刃(角刃)で切出して生麺線とした。次に、得られた生麺線を、1食分25〜30cm(重量110g/食)にカットし、沸騰水にて30秒間茹で、冷水で1分水洗後、氷水に30秒間浸漬、冷却し、ザルで3回振って水きりした。(重量170g,水分値59%,水分量100g)
次いで、この冷却された麺線170gを、図1に示す凍結用リテーナーに充填し、リテーナーの凹部に添加水として水を50g(後述する電子レンジ調理後の麺の水分量137gに対して36.5重量%)添加した後、全体を凍結して、冷凍中華麺用の冷凍麺塊を得た。
小麦粉900gと澱粉100gを混合した原料粉に、食塩50gと450mlの水に溶かした練り水を加え、ミキサーで15分間混練し麺生地を作成した。これをロールで圧延して厚さ3.10mmの麺帯とし9番の切刃(薄刃)で切出して生麺線とした。
次に、得られた生麺線を、1食分30〜40cm(重量104g/食)にカットし、沸騰水にて11分間茹で、冷水で1分水洗後、氷水に30秒間浸漬、冷却し、ザルで3回振って水きりした。(重量200g,水分値68%,水分量136g)
次いで、この冷却された麺線200gを、図1に示す凍結用リテーナーに充填し、リテーナーの凹部に添加水として水を15g(後述する電子レンジ調理後の麺の水分量144gに対して10.5重量%)添加した後、全体を凍結し冷凍うどん用の冷凍麺塊を得た。
また、500w5分間電子レンジ調理した(調理後の麺の重量209g,水分値69%,水分量144g)。これらを試食した結果、双方とも、ほぼ同様の茹でたてのなめらかでコシのある食味・食感を有し、特に、電子レンジ調理においても、解凍・加熱時間が早く、解凍が均一となり好ましいものであった。
Claims (5)
- α化した麺線をリテーナーに充填する充填工程と、充填した麺線を冷凍する冷凍工程を有する冷凍麺類の製造方法であって、
前記充填工程において、α化した麺線の充填前または充填後に、底部中央に隆起部を設け且つ底部周辺に凹部を設けたリテーナーの当該凹部に水分を供給してα化した麺線に水分を付与した後、全体を凍結し、次いで脱パンすることにより、麺塊の上部中央に凹部を形成し且つ麺塊の上部周辺の凸部に環状の氷層を付着させた冷凍麺塊を形成することを特徴とする電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類の製造方法。 - 前記α化した麺線に付与される水分量が、前記冷凍麺塊を電子レンジ調理した後の麺に含まれる水分量に対して、4〜45重量%である請求項1に記載の電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類の製造方法。
- α化した麺線に水分を付与した後、凍結する冷凍麺塊であって、
前記α化した麺線に付与される水分量が、前記冷凍麺塊を電子レンジ調理した後の麺に含まれる水分量に対して、4〜45重量%であり、且つ、
前記冷凍麺塊が、麺塊の上部中央に凹部を形成し且つ麺塊の上部周辺に凸部を形成した麺塊と、α化した麺線に付与される水分により麺塊の上部周辺の凸部に付着された環状の氷層とから構成される冷凍麺塊を有する電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類。 - 前記凹部の深さが3〜60mmである請求項3に記載の電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類。
- 前記α化した麺線に付与される水分が食塩水である請求項3又は4に記載の電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類。
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