JP6012282B2 - 電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類およびその製造方法 - Google Patents

電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、電子レンジでも鍋でも調理できる冷凍麺類およびその製造方法に関する。
近年、冷凍技術の発展および電子レンジの普及に伴い、電子レンジで解凍・加熱調理するタイプの冷凍麺類の商品が急速に伸びている。これらは短時間で且つ簡単に茹でたてに近い食感の麺が得られる点で、消費者に広く受け入れられている。
これらの技術としては、例えば、下記特許文献1〜4のようなものがある。このうち特許文献1は、α化した麺類に、その重量に基づいて8〜17重量%の水分を付与して凍結させることを特徴とする冷凍麺類の製造方法である。また、特許文献2は、麺塊中央部に凹部を形成せしめて冷凍した後、冷凍麺塊の表面に水を付着させて再冷凍する電子レンジ解凍用冷凍茹麺の製造方法である。そして、特許文献3は、α化した麺類の表面を特定の乳化油で被覆し、麺塊中央部に凹部を形成せしめて冷凍した後、冷凍麺塊の表面に水等を付着させて再冷凍する電子レンジ解凍・加熱用冷凍麺類の製造方法である。さらに、特許文献4は、麺塊の上表面の周辺部に氷を環状に配置して、麺塊における中央部よりも周辺部の少なくとも上部で水分量が多くなるように形成した容器入り冷凍麺である。
上記技術は、電子レンジ解凍の際に生じる解凍むらの防止や均一な食感を得ること等を目的とするものである。
特許第3418003号公報 特公平6−24476号公報 特開2007−174920号公報 特開2000−270794号公報
一方、冷凍麺類を、鍋にたっぷりのお湯を入れて茹でることにより、解凍・加熱調理する方法も根強く消費者に支持されており、レンジ調理に比べて調理に手間がかかるものの、茹でたてのなめらかでコシのある本格的な食味・食感の麺が得られる点で、現在も鍋で調理する消費者が数多く存在する。
よって、両者のニーズを満足する電子レンジでも鍋でも調理できる冷凍麺類が求められてきている。
そこで、本発明者らは、上記先行技術に挙げた冷凍麺類を用いて鍋で調理してみたところ、上記先行技術の冷凍麺類は、いずれも電子レンジで解凍・加熱調理を対象とするものであり、麺が軟らかく、茹でのびた食感となってしまった。
そこで逆に、鍋調理用の冷凍麺類を用いて電子レンジで解凍・加熱調理してみたところ、今度は、解凍・加熱調理するのに時間がかかり、麺が硬くてもろい食感になるという問題が生じた。
すなわち、本発明は、上記問題点を解決するものであり、鍋調理と電子レンジ調理の双方において、ほぼ同様の食味・食感に仕上がる冷凍麺類およびその製造方法を提供することを目的とする。特に、電子レンジ調理において、解凍・加熱調理時間が早く、解凍が均一となる電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類を得ることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために種々の手段を用いて鋭意検討を行った。
最初に、本発明者らは、上記課題の原因について検討した。結果、冷凍麺類を鍋で調理する場合、麺は茹湯により解凍・加熱されると同時に、茹湯を吸水して重量が増加するのに対し、電子レンジで解凍加熱する場合は、吸水はなく、逆に加熱による蒸気の飛散のために麺重量が減少する。このため、鍋調理と電子レンジ調理では出来上がりの麺水分に差が生じ、この影響で食感も異なるものになるという知見を得た。
また、電子レンジ調理に合わせて麺の水分値を高く設定すると調理時に麺が柔らかくなり、茹で調理に合わせて麺の水分値を低く設定すると、電子レンジ調理時に麺が硬もろくなるという水分値の違いが問題となるという知見を得た。
そこで、本発明者らは、冷凍麺塊を、α化した麺線に水分を付与した後凍結してなる冷凍麺塊とし、調理後の麺の水分量に対して、α化した麺線の水分量を通常よりも少なくし、代わりに、α化した麺線に付与される水分量を所定量多くしてみた。すると、付与された水分によってできた氷は、鍋調理の際、茹湯の中でそのまま解凍されるため、出来上がりの麺の水分値にほとんど影響を与えなかった。一方、電子レンジ調理の場合は、電子レンジで加熱することによって、氷が徐々に溶け出し、さらに溶けた水が沸騰することにより、ほとんどの氷が麺線に吸収され、電子レンジで加熱しているにもかかわらず、鍋で調理したものと同じように麺重量が上昇し、茹でたてに近い食感が得られた。すなわち、どちらの調理方法でも食味・食感をほぼ同様にすることができることを見出した。
しかしながら、得られた冷凍麺塊は、氷の量を多くしたため、電子レンジで解凍するのに時間がかかり、また、冷凍麺塊の各部による温度ムラが多くなるため、解凍が不均一となる新たな問題が生じた。
そこで本発明者らは、さらに検討し、前記の所定水分量を有する麺塊の形状を、麺塊の上部中央に凹部を形成し、且つ、麺塊の上部周辺に凸部を形成したものとし、前記麺線に付与される水分を、前記凸部に付着させて凍結することにより、凸部部分に環状の氷層を設けた構成としてみた。
すると、電子レンジでの解凍・加熱調理の際、麺塊を早く解凍でき、調理時間を短縮することができた。しかも、レンジ加熱によって、麺塊とともに前記麺塊の凸部に設けた氷が徐々に溶かされ、麺表面を伝わりながら落ちる際に、この水が加熱されて沸騰することにより、麺の表面を潤しつつ、ほとんどの氷が凸部周辺の麺線に吸収された。このため、特に乾燥しやすい麺塊周辺部の麺線に沸騰された水分がよく吸収され、冷凍麺塊の各部による温度ムラが少なくなり、解凍を均一にすることができた。
このようにして、レンジで調理しているにもかかわらず、鍋で調理したものと同じように、麺重量が上昇し、食味・食感もほぼ同様にすることができることを見出し、本発明を完成した。
また、本発明の冷凍麺類の製造方法としては、まず、底部周辺に凹部を設けたリテーナーの凹部部分に所定量の水を入れておき、そこにα化した麺線を投入して、全体を凍結し、脱パンすることにより、麺塊の上部中央に凹部を形成し且つ麺塊の上部周辺の凸部に環状の氷層を付着させた冷凍麺塊を形成できることを見出した。さらに、前記所定量の水を入れるタイミングは、麺線をリテーナーに投入した後にしても同様な冷凍麺塊を形成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、α化した麺線をリテーナーに充填する充填工程と、充填した麺線を冷凍する冷凍工程を有する冷凍麺類の製造方法であって、前記充填工程において、α化した麺線の充填前または充填後に、底部中央に隆起部を設け且つ底部周辺に凹部を設けたリテーナーの当該凹部に水分を供給してα化した麺線に水分を付与した後、全体を凍結し、次いで脱パンすることにより、麺塊の上部中央に凹部を形成し且つ麺塊の上部周辺の凸部に環状の氷層を付着させた冷凍麺塊を形成することを特徴とする電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、鍋調理と電子レンジ調理の双方において、ほぼ同様の食味・食感に仕上がる冷凍麺類の製造方法を提供することができる。特に、電子レンジ調理において、解凍・加熱調理時間が早く、解凍が均一となる電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類を得ることができる。また前記冷凍麺類を一回の冷凍工程により簡単に製造することができ、麺塊の形状を前記凸部形状にした場合であっても、衝撃に強くて割れにくいものとすることができる。
また、本発明の製造方法において、前記α化した麺線に付与される水分量が、前記冷凍麺塊を電子レンジ調理した後の麺に含まれる水分量に対して、4〜45重量%であるのが、上記効果を得る点で好ましい。
また、本発明は、α化した麺線に水分を付与した後、凍結する冷凍麺塊であって、前記α化した麺線に付与される水分量が、前記冷凍麺塊を電子レンジ調理した後の麺に含まれる水分量に対して、4〜45重量%であり、且つ、前記冷凍麺塊が、麺塊の上部中央に凹部を形成し且つ麺塊の上部周辺に凸部を形成した麺塊と、α化した麺線に付与される水分により麺塊の上部周辺の凸部に付着された環状の氷層とから構成される冷凍麺塊を有する電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類である。
これにより、鍋調理と電子レンジ調理の双方において、ほぼ同様の食味・食感に仕上がる冷凍麺類を得ることができ、特に、電子レンジ調理において、解凍・加熱調理時間が早く、解凍が均一となる電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類を得ることができる。
また、冷凍麺塊は、凹部の深さが3〜60mmであると、解凍がさらに早くなり好ましい。
さらに、前記α化した麺線に付与される水分が食塩水であると、特に解凍が早まりさらに好ましい。
本発明によれば、鍋調理と電子レンジ調理の双方において、ほぼ同様の食味・食感に仕上がる冷凍麺類およびその製造方法を提供することができる。特に、電子レンジ調理において、解凍・加熱調理時間が早く、解凍が均一となる電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類を得ることができる。
また、本発明の製造方法によれば、前記冷凍麺類を一回の冷凍工程により簡単に製造することができる。さらに、麺塊の形状を前記凸部形状にした場合であっても、衝撃に強くて割れにくいものとすることができる。
本発明のリテーナー(凍結用容器)の一例を示す斜視図である。 本発明における略凹部形状の冷凍麺塊の一例を示す斜視図である。 本発明の冷凍麺塊における氷層の部位の一例を示す断面模式図である。
1 リテーナー(凍結用容器)
2 リテーナー底部の隆起部
3 リテーナー底部の凹部
4 冷凍麺塊
5 麺塊の上部中央の凹部
6 麺塊の上部周辺の凸部
7 氷層
以下、本発明を具体的に製造工程に従って説明するが、本発明はそれらの記載に限定されるものではない。
本発明における冷凍麺類の種類は、特に限定されないが、例えば、中華麺、うどん、そば、焼そば、スパゲティー等が挙げられる。
<製造方法>
本発明の冷凍麺類に用いられる麺線は、常法によって製麺された麺線をα化した麺線であって、水分を45〜70%に調整したものである。一般的な冷凍麺類の場合、冷凍前の麺線の水分は、中華麺等の細物で52〜69%、うどん等の太物の場合では60〜75%であるが、本発明の場合、これより水分を低く調整し、細物で45〜65%、太物で50〜70%のものが用いられる。
本発明の麺線のα化の方法としては、茹で、蒸し、またはこれらの組み合わせが可能である。なお、茹でてα化する場合、茹で時間を通常よりも短くすることで水分を調整することができる。
次に、α化した麺線を冷水で冷却する。例えば、冷水への浸漬、冷水への散布等により行うことができる。
冷却された麺線は、後述する所定形状を有するリテーナー(凍結用容器)に充填した後、冷凍されて冷凍麺塊とするが、本発明では、麺線の充填前または充填後に、予め所定量の水をリテーナーの底部周辺の凹部となる部分に添加して麺線に水分を付与した後、全体を冷凍することにより、麺塊の上部周辺の凸部に氷層を設けた冷凍麺塊を形成することを特徴とする。
ここで、本発明は、前記α化した麺線に付与される水分量が、冷凍麺塊を電子レンジで調理した後の麺の水分量に対して、4〜45重量%であることを特徴とする。すなわち、予め所定した調理後の麺の水分量を目標として、α化した麺線の水分量を通常よりも少なく設定し、これを補うように、調理後の麺の水分の一部を添加水として麺線に付与することを特徴とする。なお、目標とする前記調理後の麺の水分値としては、中華麺等の細物で60〜70%、うどん等の太物で63〜75%とするのが好ましい。
このような水分量にするには、例えば、をα化した麺線(中華麺等の細物)に付与される水分量を、α化した麺線重量170g(水分値59%)に対し、4〜67gとすると上記水分量になる(後述する実験例2の表2参照)。これにより、鍋調理と電子レンジ調理の双方において、ほぼ同様の食味・食感に仕上がる冷凍麺類を得ることができる。これに対し、α化した麺線に付与される水分量が、冷凍麺塊を電子レンジで調理した後の麺の水分量に対して、45重量%を超えた場合、例えば、α化した麺線重量170g(水分値59%)に対して67gを超えた場合、電子レンジでの解凍・加熱調理の際に、加熱ムラが生じ、解凍に時間がかかる。一方、前記水分量が4重量%を超えない場合、例えば、α化した麺線重量170g(水分値59%)に対して4g未満である場合、電子レンジでの解凍・加熱調理の際に水分値が上がらず硬く脆い食感となる(後述する実験例2の表2参照)。
さらに、本発明で用いられる麺塊の形状は、麺塊の上部中央に凹部を形成し且つ麺塊の上部周辺に凸部を形成した麺塊とするが、例えば、図1に示すような底部中央に隆起部が設けられたリテーナーを用いて、これに冷却された麺線を隆起部に覆い被さるように投入して充填した後、冷凍し、脱パンすることにより目的の冷凍麺塊とすることができる。
ここで、前記と同様にして、麺線の充填前または充填後に、予め所定量の水をリテーナーの底部周辺の凹部となる部分に添加して麺線に水分を付与した後、全体を冷凍することにより、麺塊の上部周辺の凸部に氷層を設けた冷凍麺塊を得ることができる。
なお、本発明で用いられる麺塊の形状は、円、楕円、長方形、ドーナツ状(穴あき)であってもよく、麺塊に具材が添付されていてもよい。
本発明で用いられる氷層の形成部位としては、上記麺塊の上部周辺の凸部に環状に設けるのが好ましく、上記方法によると、前記凸部周辺の麺線の内部にも水が入った状態で凸部全体が凍結されるため、衝撃に強くて割れにくい凸部を有する冷凍麺塊を得ることができる。なお、前記氷層の形成部位は、前記凸部であればよく、凸部全体でも凸部の一部であってもよい。
前記氷の付着量としては、前記α化した麺線に付与される水分量と同様に、例えば、α化した麺線重量170g(水分値59%)に対して、4〜67gとすることにより、鍋調理と電子レンジ調理の双方において、ほぼ同様の食味・食感に仕上がる冷凍麺類を得ることができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実験例1:調理前水分と添加水量の違いによる各調理方法における調理後水分への影響
調理前水分と添加水量の違いによる鍋調理と電子レンジ調理の調理方法における調理後の水分値の差についての影響を調べるため、下記の通り、実験を行った。
小麦粉950gと澱粉50gを混合した原料粉に、食塩10gとかんすい10gを350mlの水に溶かした練り水を加え、ミキサーで15分間混練し麺生地を作成した。これをロールで圧延して厚さ1.5mmの麺帯とし、20番の切刃(角刃)で切出して生麺線とした。次に、得られた生麺線を、1食分25〜30cm(重量110g/食)にカットし、沸騰水にて30秒間茹で、冷水で1分間水洗後、氷水に30秒間浸漬、冷却し、ザルで3回振って水きりした後、麺線の重量と水分値を測定して調理前重量(α化した麺線の重量)および調理前水分(α化した麺線の水分値)とした。
次いで、この冷却された麺線170gを、図1に示す凍結用リテーナーに充填し、リテーナーの凹部に添加水として水を50g添加した後、全体を凍結して、冷凍麺塊を製造し、実施例1とした。
一方、前記添加水の重量(α化した麺線に付与される水分量)を0gとした以外は、実施例1と同様にして比較例1とした。
また、前記沸騰水にて2分15秒茹で、添加水を0gとした以外は、実施例1と同様にして、比較例2とした。
このようにして得られた各冷凍麺を鍋調理では350mlの沸騰水で表1に記す時間調理し、レンジ調理では500wで表1に記す時間調理し、各冷凍麺塊を調理した後の麺の重量と麺の水分値(調理後水分)を測定した。またこれらの値より、各調理方法によって実際に麺に吸収される水の量(吸収水量)および調理方法による水分値の差を算出した。
次いで、これらの調理後の麺について熟練したパネラー5名により食味・食感等について官能試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006012282
表1の結果より、通常より茹で時間を短くし、添加水を付与して所定の麺塊形状とした実施例1が、各調理方法による調理後の水分値の差を0.3%と少なくすることができた。また、官能試験を行った結果、鍋調理と電子レンジ調理の双方において、ほぼ同様の食味・食感に仕上がる冷凍麺類を得ることができ、好ましかった。
それに対し、比較例1は、レンジ調理時に食感が硬く脆くなり、比較例2は、鍋調理時に茹で伸びた食感となってしまい、好ましいものではなかった。
実験例2:電子レンジ調理後の麺の水分量に対する添加水量の適正範囲
次に、電子レンジ調理後の麺の水分量に対して、添加水量(α化した麺線に付与される水分量)をどれくらいにするかを調べるため、下記の通り、実験を行った。
上記実験例1と同様にして、表2に示すように添加水の水分量を変えて、実施例1〜3および比較例3,4の冷凍麺塊を得た。次いで、これらの冷凍麺塊について、鍋調理と電子レンジ調理の双方において実験例1と同様に官能試験を行い、電子レンジ調理した後の麺に含まれる水分量に対する添加水量の適正範囲を検討した。結果を表2に示す。
Figure 0006012282
※表2の「α化麺線の水分量」、「添加水量」、「電子レンジ調理後の麺の水分量」の各欄中の数字は、上段:水分量(g)、中段:電子レンジ調理後の麺の水分量に対するα化麺線の水分量または添加水量(重量%)、下段:麺の水分値(%)、カッコ内は麺重量(g)を示す。
表2の結果より、実施例1〜3の、添加水量(α化した麺線に付与される水分量)が、電子レンジ調理後の麺の水分量(電子レンジ調理した後の麺に含まれる水分量)に対して、4〜45重量%であるのが、鍋調理と電子レンジ調理の双方において、ほぼ同様の食味・食感に仕上がる冷凍麺類を得ることができ、好ましかった。
一方、比較例3の、添加水量が、電子レンジ調理後の麺の水分量に対して、45重量%を超えた場合は、電子レンジでの解凍・加熱調理の際に、加熱ムラが生じ、解凍に時間がかかった。また、比較例4の、前記添加水量が4重量%未満である場合、レンジ調理したときに硬く脆い食感となり好ましくなかった。
実験例3:麺塊凹部の深さによる氷の溶解状態と麺塊の解凍状態
次に、電子レンジ調理において、冷凍麺塊の凹部の深さ(凸部の高さ)による氷の溶解状態と冷凍麺塊の解凍状態について、下記の通り、実験を行った。
小麦粉950gと澱粉50gを混合した原料粉に、食塩10gとかんすい10gを350mlの水に溶かした練り水を加え、ミキサーで15分間混練し麺生地を作成した。これをロールで圧延して厚さ2.10mmの麺帯とし12番の切刃(角刃)で切出して生麺線とした。次に、得られた生麺線を、1食分25〜35cm(重量168g/食)にカットし、沸騰水にて4分間茹で、冷水で1分水洗後、氷水に30秒間浸漬、冷却し、ザルで3回振って水きりした。次いで、この冷却された麺線300gを、図1に示す凍結用リテーナーにおいて、凹部の深さが60〜0mmとなるようにリテーナー底部の隆起部を変えたものを用いて、それぞれ充填し、リテーナーの凹部に添加水として水を30g添加した後、全体を凍結して、実施例4〜8及び比較例5とした。
なお、凹部の深さ(凸部の高さ)は、表3のように設定し、表の中の60mm(実施例4)のものは、凹部が貫通したドーナツ状の麺塊形状で、0mm(比較例5)のものは、凹部が全くない麺塊形状を有するものである。
これらの冷凍麺塊について、電子レンジにより、500wで、4分、5分、6分、6分半、7分間調理し、各時間ごとに冷凍麺塊の氷塊と麺塊全体が解凍する様子をチェックして各解凍時間を測定した。また同時に、各時間ごとに麺塊の周辺部(高温部位)と麺塊の中心部(低温部位)の麺塊温度を測定し、その麺塊の温度差を算出した。なお、表3には、麺塊の解凍時間が6分と7分のものについて各温度データを示す。次いで、前記麺塊の解凍時間が6分と7分のものについて実験例1と同様に官能試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006012282
※表3の麺塊の解凍時間:麺塊温度(高温部位,低温部位)の各欄中のデータは、上段:6分、下段が7分の麺塊の解凍時間の麺塊温度(℃)を示す。また、麺塊温度差の欄のデータは、高温部位(麺塊の周辺部)と低温部位(麺塊の中心部)の麺塊の温度差(℃)を示す。
表3の結果より、凹部の深さが深くなるほど氷塊の解凍時間が短くなり、高温部(麺塊の周辺部)と低温部(麺塊の中心部)の麺塊温度差が減少した。
また、前記冷凍麺塊は、凹部の深さが3〜60mmで、凹部の深さが深くなるほど、解凍がさらに早くなり、しかも調理ムラが少なくなり、好ましかった(実施例4〜8)。
一方、比較例5の凹部の深さが0mm(凹部が貫通したドーナツ状の麺塊形状)のものは、レンジ調理したときに加熱・水分不足で硬くて脆い食感となり好ましくなかった。
[実施例1]冷凍中華麺
小麦粉950gと澱粉50gを混合した原料粉に、食塩10gとかんすい10gを350mlの水に溶かした練り水を加え、ミキサーで15分間混練し麺生地を作成した。これをロールで圧延して厚さ1.50mmの麺帯とし20番の切刃(角刃)で切出して生麺線とした。次に、得られた生麺線を、1食分25〜30cm(重量110g/食)にカットし、沸騰水にて30秒間茹で、冷水で1分水洗後、氷水に30秒間浸漬、冷却し、ザルで3回振って水きりした。(重量170g,水分値59%,水分量100g)
次いで、この冷却された麺線170gを、図1に示す凍結用リテーナーに充填し、リテーナーの凹部に添加水として水を50g(後述する電子レンジ調理後の麺の水分量137gに対して36.5重量%)添加した後、全体を凍結して、冷凍中華麺用の冷凍麺塊を得た。
この得られた冷凍麺塊を、沸騰水350mlの中で2分茹でる事により鍋調理した。(調理後の麺の重量208g,水分値66.4%,水分量138g)また、500w5分間電子レンジ調理した(調理後の麺の重量206g,水分値66.1%,水分量137g)。これらを試食した結果、双方とも、ほぼ同様の茹でたてのなめらかでコシのある食味・食感を有し、特に、電子レンジ調理においても、解凍・加熱時間が早く、解凍が均一となり好ましいものであった。
[実施例2]冷凍うどん
小麦粉900gと澱粉100gを混合した原料粉に、食塩50gと450mlの水に溶かした練り水を加え、ミキサーで15分間混練し麺生地を作成した。これをロールで圧延して厚さ3.10mmの麺帯とし9番の切刃(薄刃)で切出して生麺線とした。
次に、得られた生麺線を、1食分30〜40cm(重量104g/食)にカットし、沸騰水にて11分間茹で、冷水で1分水洗後、氷水に30秒間浸漬、冷却し、ザルで3回振って水きりした。(重量200g,水分値68%,水分量136g)
次いで、この冷却された麺線200gを、図1に示す凍結用リテーナーに充填し、リテーナーの凹部に添加水として水を15g(後述する電子レンジ調理後の麺の水分量144gに対して10.5重量%)添加した後、全体を凍結し冷凍うどん用の冷凍麺塊を得た。
この得られた冷凍麺塊を、沸騰水250mlの中で1分茹でる事により鍋調理した。(調理後の麺の重量206g,水分値68.5%,水分量141g)
また、500w5分間電子レンジ調理した(調理後の麺の重量209g,水分値69%,水分量144g)。これらを試食した結果、双方とも、ほぼ同様の茹でたてのなめらかでコシのある食味・食感を有し、特に、電子レンジ調理においても、解凍・加熱時間が早く、解凍が均一となり好ましいものであった。

Claims (5)

  1. α化した麺線をリテーナーに充填する充填工程と、充填した麺線を冷凍する冷凍工程を有する冷凍麺類の製造方法であって、
    前記充填工程において、α化した麺線の充填前または充填後に、底部中央に隆起部を設け且つ底部周辺に凹部を設けたリテーナーの当該凹部に水分を供給してα化した麺線に水分を付与した後、全体を凍結し、次いで脱パンすることにより、麺塊の上部中央に凹部を形成し且つ麺塊の上部周辺の凸部に環状の氷層を付着させた冷凍麺塊を形成することを特徴とする電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類の製造方法。
  2. 前記α化した麺線に付与される水分量が、前記冷凍麺塊を電子レンジ調理した後の麺に含まれる水分量に対して、4〜45重量%である請求項1に記載の電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類の製造方法。
  3. α化した麺線に水分を付与した後、凍結する冷凍麺塊であって、
    前記α化した麺線に付与される水分量が、前記冷凍麺塊を電子レンジ調理した後の麺に含まれる水分量に対して、4〜45重量%であり、且つ、
    前記冷凍麺塊が、麺塊の上部中央に凹部を形成し且つ麺塊の上部周辺に凸部を形成した麺塊と、α化した麺線に付与される水分により麺塊の上部周辺の凸部に付着された環状の氷層とから構成される冷凍麺塊を有する電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類。
  4. 前記凹部の深さが3〜60mmである請求項3に記載の電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類。
  5. 前記α化した麺線に付与される水分が食塩水である請求項3又は4に記載の電子レンジ・鍋調理兼用冷凍麺類。
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