JP6011369B2 - 音響媒体 - Google Patents
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Description
また、音響媒体は、被験者の体表のどの位置にあるかが確認できる透明なものが望ましい。
前記前記数平均分子量300〜5000の炭化水素系重合体の量は、ブロック共重合体水素化物[2]100重量部に対して2〜25重量部であるのが好ましい
本発明に係るブロック共重合体[1]は、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と少なくとも1つの重合体ブロック[B]を含有する。
そして、重合体全体に占める重合体ブロック[A]および重合体ブロック[B]の重量分率をwAおよびwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が30:70〜65:35である。
また、重合体ブロック[B]中の鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位以外の成分としては、芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位および/またはその他のエチレン性不飽和化合物由来の繰返し単位を含むことができ、その含有量は、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。重合体ブロック[B]中の芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位および/またはその他のエチレン性化合物由来の繰返し単位の含有量が増加すると、音響媒体の柔軟性が低下する恐れがある。
本発明に係るブロック共重合体水素化物[2]は、上記のブロック共重合体[1]の主鎖および側鎖の炭素−炭素不飽和結合、並びに芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化したものであり、その水素化率は通常90%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上である。水素化率が低過ぎる場合は、音響インピーダンスが所望の値より高くなり過ぎ、また、成形加工時の耐熱性も劣るため好ましくない。ブロック共重合体水素化物[2]の水素化率は、1H−NMRによる測定において求めることができる。
本発明で必要に応じて用いる炭化水素系重合体は、数平均分子量300〜5,000の炭化水素系重合体であって、ブロック共重合体水素化物[2]に配合して得られる弾性体の柔軟性を高め、得られる弾性体を成形してなる音響媒体の音響インピーダンスを所望の値に調整することができるものである。炭化水素系重合体の具体例としては、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリ−1−オクテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、脂肪族系炭化水素樹脂およびその水素化物、ポリイソプレンおよびその水素化物などが挙げられる。これらの中でも、特に透明性に優れ、音響インピーダンスを調整し易い点で、ポリイソブチレン、ポリブテンが好ましい。
本発明に係わる弾性体は、上述してきたブロック共重合体水素化物[2]、および、必要に応じ数平均分子量300〜5000の炭化水素系重合体からなる弾性体である。
本発明のブロック共重合体水素化物[2]に数平均分子量300〜5,000の炭化水素系重合体を配合することにより、得られる弾性体の柔軟性が高められ、音響インピーダンスを低下させることができる。それゆえ炭化水素系重合体の配合量により、柔軟性と音響インピーダンスを制御することができる。本発明のブロック共重合体水素化物[2]に炭化水素系重合体を配合してなる弾性体は、ブロック共重合体水素化物[2]100重量部に対して、炭化水素系重合体を、通常30重量部以下、好ましくは2〜25重量部、より好ましくは5〜20重量部配合して得られる。炭化水素系重合体の配合量が30重量部を超える場合は、弾性体およびそれからなる音響媒体の柔軟性は高くなるが、耐熱性が低下し、成形体にべたつきが生じ易くなるため好ましく無い。
本発明においては、音響媒体の耐光性や耐熱性などを向上させるために、上述の弾性体に、酸化防止剤、滑剤、無機フィラーなどを単独であるいは2種以上を併用して添加してもよい。
本発明の音響媒体は、必要に応じてその他の配合剤が配合された、上述の弾性体を成形してなる音響媒体である。必要に応じてその他の配合剤が配合された、上述の弾性体は、押出し成形、インフレーション成形、圧縮成形、射出成形などの熱可塑性樹脂の一般的な成形方法でフィルム状、袋状、凹凸を有する板状などの、超音波診断用音響媒体に成形される。
(1)重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)
ブロック共重合体[1]およびブロック共重合体水素化物[2]の分子量は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算値として38℃において測定した。測定装置としては、東ソー社製HLC8020GPCを用いた。
(2)水素化率
ブロック共重合体水素化物[2]の主鎖、側鎖及び芳香環の水素化率は、1H−NMR(重クロロホルム中)スペクトルを測定して算出した。
(3)全光線透過率
シートの全光線透過率は、JIS K 7361に従い測定した。
(4)音響インピーダンス
本発明に使用する弾性体を、射出成形により厚さ2.9mmの試験板に成形し、パルスエコー方式音速計(製品名「ECHOMETER 1060」、Karl Deutsch社製)を使用して、25℃での音速を測定した。また、弾性体の25℃での密度をJIS K 0061(天びん法)により測定した。音響インピーダンスは、音速と密度の積として計算した。
(5)耐熱性
音響媒体を高圧蒸気滅菌装置(製品名「SX−700」、トミー精工社製)に入れ、121℃、30分の蒸気滅菌処理を行い、常温まで冷却した後、外観の変化を目視観察により評価した。
(ブロック共重合体水素化物[2−a]の合成)
充分に窒素置換された、攪拌装置を備えた反応器に脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン25.0部及びn−ジブチルエーテル0.475部を入れ、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.62部を加えて重合を開始した。攪拌しながら60℃で60分反応させた。ガスクロマトグラフィーにより測定したこの時点で重合転化率は99.5%であった。
次に、脱水イソプレン50.0部を加えそのまま30分攪拌を続けた。この時点で重合転化率は99.5%であった。
その後、更に、脱水スチレンを25.0部加え、60分攪拌した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。ここでイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止した。得られたブロック共重合体[1−a]の重量平均分子量(Mw)は78,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.03であった。
次いで、上記溶液を、金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にてろ過して微小な固形分を除去した後、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン、キシレンおよびその他の揮発成分を除去した。連続して溶融ポリマーを、濃縮乾燥器に連結した孔径5μmのステンレス製焼結フィルターを備えたポリマーフィルター(富士フィルター製)により、温度260℃でろ過した後、ダイから溶融ポリマーをストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーによりブロック共重合体水素化物[2−a]のペレット96部を作成した。得られたブロック共重合体水素化物[2−a]の重量平均分子量(Mw)は77,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。水素化率はほぼ100%であった。
(ブロック共重合体水素化物[2−b]の合成)
重合段階でモノマーとして、スチレン22.5部、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.54部、イソプレン55.0部及びスチレン22.5部をこの順に反応系に添加して重合する以外は参考例1と同様にして、ブロック共重合体水素化物[2−b]のペレット96部を得た。得られたブロック共重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)は88,700、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。水素化率はほぼ100%であった。
参考例1で得られたブロック共重合体水素化物[2−a]のペレットを使用し、幅300mmのTダイを備えた二軸押出機(製品名「TEM37BS」、東芝機械社製)を用いて、溶融樹脂温度220℃、Tダイ温度220℃、キャストロール温度70℃の成形条件にて、厚さ0.4mm、幅250mmのシート[S2−a]を押出し成形した。得られたシート[S2−a]はロールに巻き取り回収した。得られたシート[S2−a]の全光線透過率は91%であり、透明性は良好であった。
参考例2で得られたブロック共重合体水素化物[2−b]のペレットを使用する以外は実施例1と同様にして、厚さ0.4mm、幅250mmのシート[S2−b]を押出し成形した。シート[S2−b]は実施例1で得られたシート[S2−a]よりも柔軟性が良好であった。得られたシート[S2−b]の全光線透過率は91%であり、透明性は良好であった。
(ブロック共重合体水素化物[2−a]と炭化水素系重合体からなる弾性体[2−a−pib10]の作成)
参考例1で得られたブロック共重合体水素化物[2−a]のペレット100重量部を、液状物を添加できるサイドフィーダーを備えた二軸押出機(製品名「TEM37BS」、東芝機械社製)を用いて、樹脂温度190℃で押し出した。一方、サイドフィーダーから炭化水素系重合体としてポリイソブテン(製品名「日石ポリブテン HV−300」、数平均分子量1,400、JX日鉱日石エネルギー社製)を、ブロック共重合体水素化物[2−a]100重量部に対して10重量部の割合となるように連続的に添加して、ストランド状に押出し、空冷した後、ペレタイザーによりカッティングしてブロック共重合体水素化物[2−a]にポリイソブテンを配合してなる弾性体[2−a−pib10]のペレット102部を得た。
参考例3で得られた弾性体[2−a−pib10]のペレットを使用し、実施例1と同様にして、厚さ0.5mm、幅250mmのシート[S2−a−pib10]を押出し成形した。シート[S2−a−pib10]は実施例2で得られたシート[S2−b]よりも柔軟性が良好であった。また、得られたシートの全光線透過率は91%であり、透明性は良好であった。
(ブロック共重合体水素化物[2−a]と炭化水素系重合体からなる弾性体[2−a−pib15]の作成)
ブロック共重合体水素化物[2−a]100重量部に対してポリイソブテンの配合量が15重量部の割合となるようにする以外は参考例3と同様にして、ブロック共重合体水素化物[2−a]にポリイソブテンを配合してなる弾性体[2−a−pib15]のペレット107部を得た。
参考例4で得られた弾性体[2−a−pib15]のペレットを使用し、実施例1と同様にして、厚さ0.5mm、幅250mmのシート[S2−a−pib15]を押出し成形した。シート[S2−a−pib15]は実施例3で得られたシート[S2−a−pib10]よりも柔軟性が良好であった。また、得られたシートの全光線透過率は91%であり、透明性は良好であった。
(ブロック共重合体水素化物[2−c]の合成)
重合段階でモノマーとして、スチレン35.0部、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.61部、イソプレン30.0部及びスチレン35.0部をこの順に反応系に添加して重合する以外は参考例1と同様にして、ブロック共重合体水素化物[2−c]のペレット95部を得た。得られたブロック共重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)は82,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。水素化率はほぼ100%であった。
参考例5で得られたブロック共重合体水素化物[2−c]のペレットを使用する以外は実施例1と同様にして、厚さ0.4mm、幅250mmのシート[S2−c]を押出し成形した。シート[S2−c]は実施例1で得られたシート[S2−a]よりも硬く、折り曲げると微細なクラックを生じた。得られたシート[S2−b]の全光線透過率は91%であり、透明性は良好であった。
(ブロック共重合体水素化物[2−d]の合成)
重合段階でモノマーとして、スチレン12.5部、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.49部、イソプレン75.0部及びスチレン12.5部をこの順に反応系に添加して重合する以外は参考例1と同様にして、ブロック共重合体水素化物[2−d]のペレット93部を得た。得られたブロック共重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)は95,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。水素化率はほぼ100%であった。
参考例6で得られたブロック共重合体水素化物[2−d]のペレットを使用し、溶融樹脂温度200℃、Tダイ温度200℃、キャストロール温度50℃の成形条件にする以外は実施例1と同様にして、厚さ0.4mm、幅250mmのシート[S2−d]を押出し成形した。シート[S2−d]は実施例4で得られたシート[S2−a-pib15]よりも柔軟性が良好であった。また得られたシート[S2−d]の全光線透過率は91%であり、透明性は良好であった。
音響インピーダンスが人体の音響インピーダンスの1.62×106kg/m2・秒に近い値を有する水素化されたブロック共重合体水素化物[2]、および、必要に応じ数平均分子量300〜5000の炭化水素系重合体からなる弾性体を成形してなる音響媒体を使用して、超音波診断装置で凹凸形状の対象を測定する場合、鮮明な画像が得られる(実施例1〜実施例4)。
また、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[B]の、重合体全体に占める重量分率wAとwBとの比(wA:wB)が30:70〜65:35であるブロック共重合体[1]の、全不飽和結合の90%以上が水素化されたブロック共重合体水素化物[2]、および、必要に応じ数平均分子量300〜5000の炭化水素系重合体からなる弾性体を1〜30重量部を配合してなる弾性体を成形してなる音響媒体は、透明性、柔軟性、蒸気滅菌に対する耐熱性に優れる(実施例1〜実施例4)。
音響インピーダンスが人体の音響インピーダンスの値から0.08××106kg/m2・秒離れたブロック共重合体水素化物[2]を成形してなる音響媒体を使用して、超音波診断装置で凹凸形状の対象を測定する場合、画像の鮮明さが低下する(比較例1、比較例2)。
重合体ブロック[A]と重合体ブロック[B]の、重合体全体に占める重量分率wAとwBとの比(wA:wB)が65:35よりも大きいブロック共重合体[1]が水素化されたブロック共重合体水素化物[2]を成形してなる音響媒体は、透明性、蒸気滅菌に対する耐熱性は優れるが、柔軟性は劣る(比較例1)。
また、重合体ブロック[A]と重合体ブロック[B]の、重合体全体に占める重量分率wAとwBとの比(wA:wB)が30:70よりも小さいブロック共重合体[1]が水素化されたブロック共重合体水素化物[2]を成形してなる音響媒体は、透明性、柔軟性は優れるが、蒸気滅菌に対する耐熱性に劣る(比較例2)。
Claims (2)
- 芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[A]の少なくとも2つと、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[B]の少なくとも1つとからなり、重合体全体に占める重合体ブロック[A]および重合体ブロック[B]の重量分率をwAおよびwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が30:70〜65:35であるブロック共重合体[1]の、全不飽和結合の90%以上が水素化されたブロック共重合体水素化物[2]、および、必要に応じ数平均分子量300〜5000の炭化水素系重合体からなり、25℃での音響インピーダンスが1.55×106〜1.70×106 kg/m2・秒である弾性体を成形してなる音響媒体。
- 前記数平均分子量300〜5000の炭化水素系重合体の量が、ブロック共重合体水素化物[2]100重量部に対して2〜25重量部である請求項1記載の音響媒体。
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