JP2016060779A - 変性ブロック共重合体水素化物の製造方法 - Google Patents

変性ブロック共重合体水素化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成形品に濁りを生じないアルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物の工業的に生産性の優れた製造方法を提供する。【解決手段】芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[B]とからなり、重合体ブロック[A]の重量分率wAと、重合体ブロック[B]の重量分率wBとの比(wA:wB)が20:80〜70:30であるブロック共重合体の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物と、エチレン性不飽和シラン化合物とを有機過酸化物の存在下で反応させて得られる溶融状態のアルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物を、温度180〜230℃の溶融状態で温度60℃以下の水と接触させて冷却固化する、透明で濁りが無い変性ブロック共重合体水素化物の製造方法。【選択図】 なし。

Description

本発明は、アルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物の製造方法に関する。
アルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物は、透明性、耐熱性、柔軟性等に優れ、ガラス、金属、ITO膜等の無機物との接着性を有するため、太陽電池封止材や合せガラス中間膜等として使用できることが知られている(特許文献1、2)。
アルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物の製造方法は、特許文献1に、有機過酸化物の存在下で、ブロック共重合体水素化物にエチレン性不飽和シラン化合物を反応させる方法が開示されている。
また、この文献の実施例には、反応により得られた反応性の高いアルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物の冷却方法やペレット化方法として、二軸押出し機を使用して変性反応を行った後、アルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物を二軸押出し機からストランド状に押出し、空冷した後、ペレタイザーによりカッティングしてペレット状にしたことが記載されている。
しかし、空冷により溶融状態の樹脂を冷却固化する方法は、工業的に生産性に優れた方法とはいえない。
樹脂ペレットを作製する、工業的方法としては、樹脂を押出し機から押出した後、溶融状態の樹脂を水中で冷却固化してカッティングしてペレット状にする方法が一般的である。例えば、特許文献3〜5には、溶融状態のアルコキシシリル基を有する変性ポリエチレンを、押出し機からストランド状に押出した後、水冷固化してペレット化した例が開示されている。
しかし、反応性の高いアルコキシシリル基を有する樹脂の場合には、高温で溶融状態の樹脂を水冷すると、水と接触した部位において、アルコキシシリル基が水と反応してシラノール基やシリルエーテル基を生成してアルコキシシリル基が保持されないことが懸念される。
WO2012/043708号パンフレット WO2013/176258号パンフレット 特開平9−208766号公報 特開2000−207961号公報 特開2012−111880号公報
本発明者らは、ブロック共重合体水素化物とエチレン性不飽和シラン化合物とを、有機過酸化物の存在下で反応させて、アルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物を製造する方法において、生成する変性ブロック共重合体水素化物を押出し機から押し出して、水冷固化した後、カッティングしてペレットを製造する条件を詳細に検討した。その結果、溶融押出し条件及び水冷の条件によっては、得られる変性ブロック共重合体水素化物の成形品に濁りが生じて、変性ブロック共重合体水素化物の特長である透明性が損なわれる場合があることが分かった。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、成形品に濁りを生じないアルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物の工業的に生産性の優れた製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、特定のブロック共重合体水素化物とエチレン性不飽和シラン化合物を有機過酸化物の存在下で反応させてアルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物とした後、特定の温度で溶融状態の変性ブロック共重合体水素化物を、特定の温度以下の水と接触させて冷却固化することにより、成形品に濁りを生じない変性ブロック共重合体水素化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、少なくとも2つの、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[A]と、少なくとも1つの、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[B]とからなるブロック共重合体であって、ブロック共重合体全体に占める、重合体ブロック[A]の重量分率をwAとし、ブロック共重合体全体に占める、重合体ブロック[B]の重量分率をwBとしたときの、wAとwBとの比(wA:wB)が20:80〜70:30であるブロック共重合体の、全不飽和結合の90%以上を水素化して得られるブロック共重合体水素化物と、エチレン性不飽和シラン化合物を、有機過酸化物の存在下で反応させて得られるアルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物を、温度180〜230℃の溶融状態で温度60℃以下の水と接触させて冷却固化することを特徴とする、変性ブロック共重合体水素化物の製造方法が提供される。
本発明の製造方法によれば、成形品に濁りを生じないアルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物を、工業的に優位な生産性で製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の変性ブロック共重合体水素化物の製造方法は、特定のブロック共重合体水素化物とエチレン性不飽和シラン化合物を、有機過酸化物の存在下で反応させて得られるアルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物を、特定温度範囲の溶融状態で特定温度以下の水と接触させて冷却固化するものである。
1.ブロック共重合体水素化物
本発明で用いるブロック共重合体水素化物(以下、「ブロック共重合体水素化物[D]」ということがある。)は、少なくとも2つの、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[A]と、少なくとも1つの、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[B]とからなるブロック共重合体であって、ブロック共重合体全体に占める、重合体ブロック[A]の重量分率をwAとし、ブロック共重合体全体に占める、重合体ブロック[B]の重量分率をwBとしたときの、wAとwBとの比(wA:wB)が20:80〜70:30であるブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体[C]」ということがある。)の、全不飽和結合の90%以上を水素化して得られる高分子である。
(1)ブロック共重合体[C]
ブロック共重合体[C]は、ブロック共重合体水素化物[D]の前駆体であり、分子内に、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と少なくとも1つの重合体ブロック[B]を有する高分子である。
重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とするものである。重合体ブロック[A]中の芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の含有量は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。
また、重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位以外の成分を有していてもよい。芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位以外の成分としては、鎖状共役ジエン由来の繰り返し単位及び/又はその他のビニル化合物由来の繰り返し単位が挙げられる。その含有量は、重合体ブロック[A]に対し、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。重合体ブロック[A]中の芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位が少なすぎると、変性ブロック共重合体水素化物の成形品の耐熱性が低下するおそれがある。
複数の重合体ブロック[A]は、上記の範囲を満足すれば互いに同一であっても、相異なっていても良い。
重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とするものである。重合体ブロック[B]中の鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位の含有量は、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位が上記範囲にあると、変性ブロック共重合体水素化物の成形品の柔軟性、無機材料に対する接着性が優れる。
また、重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位以外の成分を有していてもよい。鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位以外の成分としては、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位及び/又はその他のビニル化合物由来の繰り返し単位が挙げられる。その含有量は、重合体ブロック[B]に対し、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下である。重合体ブロック[B]中の芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の含有量が増加するに連れて、変性ブロック共重合体水素化物の成形品の透明性が向上するが、あまりに多くなりすぎると、変性ブロック共重合体水素化物の成形品の柔軟性が低下し、無機材料に対する接着性が低下するおそれがある。
ブロック共重合体[C]が重合体ブロック[B]を複数有する場合には、重合体ブロック[B]は、上記の範囲を満足すれば互いに同一であっても、相異なっていても良い。
本発明の変性ブロック共重合体水素化物の製造に用いられる芳香族ビニル化合物としては、スチレン;α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン等のアルキル置換スチレン;4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン等のハロゲン置換スチレン等が挙げられ、工業的な入手容易性の観点から、スチレンが特に好ましい。
本発明の変性ブロック共重合体水素化物の製造に用いられる鎖状共役ジエン系化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。工業的な入手容易性、及び重合反応の制御の容易性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。
本発明の変性ブロック共重合体水素化物の製造に用いられるその他のビニル系化合物としては、鎖状ビニル化合物や環状ビニル化合物が挙げられる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン等の鎖状オレフィン;ビニルシクロヘキサン、4−ビニルシクロヘキセン等の環状オレフィン等が挙げられる。これらの中でも、極性基を含有しないものが低吸湿性の観点から好ましく、極性基を有しない鎖状オレフィンがより好ましく、エチレン、プロピレンが特に好ましい。
ブロック共重合体[C]中の重合体ブロック[A]の数は、通常5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下である。
重合体ブロック[A]及び/又は重合体ブロック[B]が複数存在する際、重合体ブロック[A]の中で重量平均分子量が最大と最少の重合体ブロックの重量平均分子量をそれぞれMw(A1)及びMw(A2)とし、重合体ブロック[B]の中で重量平均分子量が最大と最少の重合体ブロックの重量平均分子量をそれぞれMw(B1)及びMw(B2)とした時、該Mw(A1)とMw(A2)との比(Mw(A1)/Mw(A2))、及び、該Mw(B1)とMw(B2)との比(Mw(B1)/Mw(B2))は、それぞれ通常5.0以下、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0以下である。
ブロック共重合体[C]のブロックの形態は、鎖状型ブロックでもラジアル型ブロックでも良いが、鎖状型ブロックであるものが、機械的強度に優れ好ましい。
本発明のブロック共重合体の最も好ましい形態は、重合体ブロック[B]の両端に重合体ブロック[A]が結合したトリブロック共重合体([A]−[B]−[A])、及び、重合体ブロック[A]の両端に重合体ブロック[B]が結合し、更に、該両重合体ブロック[B]の他端にそれぞれ重合体ブロック[A]が結合したペンタブロック共重合体([A]−[B]−[A]−[B]−[A])である。
ブロック共重合体[C]中の、全重合体ブロック[A]がブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]がブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとした時に、wAとwBとの比(wA:wB)は、20:80〜70:30、好ましくは30:70〜65:35、より好ましくは40:60〜60:40である。wAが高過ぎる場合は、変性ブロック共重合体水素化物の成形品の耐熱性は高くなるが、柔軟性が低く、耐衝撃性が低下するおそれがある。wAが低過ぎる場合は、耐熱性が低下するおそれがある。
ブロック共重合体[C]の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常30,000〜150,000、好ましくは40,000〜130,000、より好ましくは50,000〜100,000である。また、ブロック共重合体[C]の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。
ブロック共重合体[C]は、例えば、(α)リビングアニオン重合などの方法により、芳香族ビニル化合物を主成分として含有するモノマー混合物(a)と鎖状共役ジエン系化合物を主成分として含有するモノマー混合物(b)を交互に重合させる方法;(β)芳香族ビニル化合物を主成分として含有するモノマー混合物(a)と鎖状共役ジエン系化合物を主成分として含有するモノマー混合物(b)を順に重合させた後、重合体ブロック[B]の末端同士を、カップリング剤によりカップリングさせる方法;等により製造することができる。
(2)ブロック共重合体水素化物[D]
本発明に用いるブロック共重合体水素化物[D]は、上記のブロック共重合体[C]の主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合、並びに芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化して得られたものである。その水素化率は、通常99%以上、好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.9%以上である。水素化率が99%を下回る場合は、変性ブロック共重合体水素化物の成形品の耐光性、耐熱劣化性等が低下するおそれがある。
ブロック共重合体水素化物[D]の水素化率は、H−NMRによる測定や、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による、UV検出器とRI検出器とのピーク面積の比較などにより求めることができる。
不飽和結合の水素化反応の方法や形態などは特に限定されず、公知の方法に従って行えばよいが、水素化率を高くでき、重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましい。このような水素化方法としては、例えば、国際公開WO2011/096389号、国際公開WO2012/043708号などに記載された方法を挙げることができる。
ブロック共重合体水素化物[D]は、ブロック共重合体水素化物[D]を含む反応溶液から水素化触媒及び/又は重合触媒を除去した後、反応溶液から回収される。回収されたブロック共重合体水素化物[D]の形態は、限定されるものではないが、通常はペレット形状にして、その後の変性反応に供することができる。
ブロック共重合体水素化物[D]の分子量は、THFを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常30,000〜150,000、好ましくは40,000〜130,000、より好ましくは50,000〜100,000である。また、ブロック共重合体水素化物[D]の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。Mw及びMw/Mnが上記範囲となるようにすると、変性ブロック共重合体水素化物の成形品の機械強度や耐熱性が向上する。
2.アルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物
本発明で製造するアルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物(以下、「変性ブロック共重合体水素化物[E]」ということがある。)は、前記のブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基が導入されたものである。
アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、プロピルジメトキシシリル基、プロピルジエトキシシリル基等のアルキルジアルコキシシリル基;ジメチルメトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基、ジエチルメトキシシリル基、ジエチルエトキシシリル基、ジプロピルメトキシシリル基、ジプロピルエトキシシリル基等のジアルキルアルコキシシリル基;フェニルジメトキシシリル基、フェニルジエトキシシリル基等のアリールジアルコキシシリル基;等が挙げられる。これらの中でも、製造原料の入手容易性等の観点から、トリアルコキシシル基、アルキルジアルコキシシリル基が好ましい。
アルコキシシリル基は、上記ブロック共重合体水素化物[D]に直接結合していても、2価の有機基を介して結合していても良い。
2価の有機基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等の炭素数1〜10のアルキレン基;1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基;−C(=O)−O−、−O−C(=O)−等のエステル基;−C(=O)−;及びこれらの組み合わせ;等が挙げられる。
アルコキシシリル基の導入量は、通常、ブロック共重合体水素化物[D]の100重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.3〜3重量部である。アルコキシシリル基の導入量が多すぎると、微量の水分等で分解されたアルコキシシリル基同士の架橋度が高くなり、無機材料との接着性が低下し易くなるという問題を生じる。
アルコキシシリル基の導入量は、H−NMRスペクトル(導入量が少ない場合は積算回数を増やす)を測定し、得られた測定データから算出することができる。
3.変性ブロック共重合体水素化物[E]の製造方法
本発明の変性ブロック共重合体水素化物[E]の製造方法は、有機過酸化物の存在下に、ブロック共重合体水素化物[D]とエチレン性不飽和シラン化合物とを反応させるものである。
用いるエチレン性不飽和シラン化合物としては、有機過酸化物の存在下で、ブロック共重合体水素化物[D]とグラフト重合し、ブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基を導入できるものであれば、特に限定されない。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン等のビニル基を有するアルコキシシラン;アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン等のアリル基を有するアルコキシシラン;p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン等のp−スチリル基を有するアルコキシシラン;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の3−メタクリロキシプロピル基を有するアルコキシシラン;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の3−アクリロキシプロピル基を有するアルコキシシラン;2−ノルボルネン−5−イルトリメトキシシラン等の2−ノルボルネン−5−イル基を有するアルコキシシラン;等が挙げられる。
これらの中でも、得られる変性ブロック共重合体水素化物[E]の低吸湿性の観点から、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランが好ましい。
これらのエチレン性不飽和シラン化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
エチレン性不飽和シラン化合物の使用量は、ブロック共重合体水素化物[D]の100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.3〜3重量部である。
用いる有機過酸化物としては、ラジカル反応開始剤として機能するものであれば、特に限定されず、例えば、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン−3、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ラウロイルパーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、これらの中でも、1分間半減期温度が170〜200℃のものが好ましい。具体的には、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン−3等が好適に用いられる。
有機過酸化物の使用量は、ブロック共重合体水素化物100重量部に対して、通常0.01〜3.0重量部、好ましくは0.2〜2.0重量部、より好ましくは0.3〜1.0重量部である。
有機過酸化物の存在下、ブロック共重合体水素化物[D]とエチレン性不飽和シラン化合物とを反応させる方法は、特に限定されないが、二軸混練機のような、連続して加熱混練及び押出しができる装置を用いる方法が好ましい。例えば、ブロック共重合体水素化物[D]、エチレン性不飽和シラン化合物、及び有機過酸化物を含む混合物を、二軸混練機にてブロック共重合体水素化物[D]の溶融温度以上で加熱溶融させて、所望の時間混練することにより、目的物である変性ブロック共重合体水素化物[E]を得ることができる。
加熱混練温度は、通常180〜230℃、好ましくは190〜210℃、より好ましくは200〜210℃である。この温度範囲であれば、ブロック共重合体水素化物[D]が適度な溶融粘度を有するため、混練が容易であり、また、アルコキシシリル基が反応することなく維持されるため好ましい。
加熱混練時間は、通常0.3〜5分、好ましくは0.5〜3分、より好ましくは0.7〜2分程度である。混練時間は使用する有機過酸化物の通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上が分解するような時間となるように適宜決定することができる。有機過酸化物の分解する割合は、過酸化物の所定温度における半減期の数値により推算することができる。
二軸混練機、短軸押出し機等の連続混練設備を使用する場合は、滞留時間が上記範囲になるようにして、連続的に混練、押出しをすればよい。
本発明の製造方法は、温度180〜230℃の溶融状態の変性ブロック共重合体水素化物[E]を、所定温度の水と接触させて冷却固化することを特徴とする。
本発明の製造方法は、(i)ブロック共重合体水素化物[D]と、エチレン性不飽和シラン化合物を有機過酸化物の存在下で反応させて、得られる変性ブロック共重合体水素化物[E]を一旦単離し、単離した変性ブロック共重合体水素化物[E]を温度180〜230℃の溶融状態とした後、温度60℃以下の水と接触させて冷却固化するものであっても、(ii)ブロック共重合体水素化物[D]と、エチレン性不飽和シラン化合物を有機過酸化物の存在下、固体状態で反応させて得られる、温度180〜230℃の溶融状態の変性ブロック共重合体水素化物[E]を、温度60℃以下の水と接触させて冷却固化するものであってもよいが、より効率よく目的とする変性ブロック共重合体水素化物[E]を得ることができることから、(ii)の方法が好ましい。
(ii)の方法は、より具体的には、ブロック共重合体水素化物[D]、エチレン性不飽和シラン化合物、及び有機過酸化物を含む混合物を、二軸混練機にてブロック共重合体水素化物[D]の溶融温度以上で加熱溶融させて、所望の時間混練することにより、目的物である変性ブロック共重合体水素化物[E]を得、得られた、温度180〜230℃の溶融状態の変性ブロック共重合体水素化物[E]を、加熱混練装置からダイを通して、直径1.5〜3mm程度のストランド状に押出し、水冷固化させた後、カッティングしてペレット状物にする。また、アンダーウォーターカッター装置により、溶融状態の変性ブロック共重合体水素化物[E]を、ダイを通して直接水中に押出して固化し、カッティングすることもできる。
冷却に使用する水の温度は60℃以下、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下である。このような温度の水を冷却水として使用することにより、得られる変性ブロック共重合体水素化物[E]の成形品に濁りが生じることがなく、透明性が損なわれることがない。
冷却に使用する水の温度は、加熱混練装置から押し出される溶融状態の変性ブロック共重合体水素化物[E]の温度に合わせて適宜調整することができる。
冷却水の温度が60℃を超える場合、及び、溶融状態の変性ブロック共重合体水素化物[E]の温度が230℃を超える場合は、得られる変性ブロック共重合体水素化物[E]のペレットを使用して成形される成形品が、濁りにより透明性が損なわれ易くなり、ガラス等の無機物との接着性も低下するおそれがある。成形品のガラス等の無機物との接着性が低下するのは、ストランドが水と接触する表面付近の変性ブロック共重合体水素化物[E]のアルコキシシリル基が水と反応してシリルエーテル基を生成するためと推測される。シリルエーテル基が生成することは、ストランドあるいはペレットの表面付近の赤外線吸収スペクトルを測定することにより確認される。
以上のようにして得られる変性ブロック共重合体水素化物[E]の分子量は、導入されるアルコキシシリル基の量が少ないため、原料のブロック共重合体水素化物[D]の分子量と実質的には変わらない。ただし、有機過酸化物の存在下での変性反応により得られるものであるため、重合体の架橋反応、切断反応が併発し、分子量分布は大きくなる。THFを溶媒としたGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常、30,000〜200,000、好ましくは、40,000〜150,000、より好ましくは、50,000〜120,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、通常3.5以下、好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.0以下である。Mw及びMw/Mnがこの範囲であると、変性ブロック共重合体水素化物[E]からなる成形品の良好な機械強度や引張り伸びが維持される。
本発明の製造方法により得られる変性ブロック共重合体水素化物[E]は、ガラス、金属、ITO膜等の無機物との接着性を有しており、太陽電池素子封止材、合せガラス中間膜、銅張積層板、フレキシブルプリント基板、液晶ディスプレイ用のOCAシート等に使用することができる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、部及び%は、特に断りがない限り、重量基準である。
以下に各種物性の測定法を示す。
(1)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ブロック共重合体及びブロック共重合体水素化物の分子量は、THFを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算値として38℃において測定した。測定装置としては、東ソー社製、HLC8020GPCを用いた。
(2)水素化率
ブロック共重合体水素化物[D]の水素化率は、前駆体であるブロック共重合体[C]の芳香族ビニル化合物由来の構造単位に含まれる芳香環の炭素−炭素不飽和結合及び鎖状共役ジエン由来の構造単位に含まれる炭素−炭素不飽和結合の合計に対して水素化された炭素−炭素結合の割合である。
ブロック共重合体水素化物[D]の水素化率は、H−NMRスペクトル又はGPC分析により算出される。
水素化率99%以下の領域は、H−NMRスペクトルを測定して算出し、99%を超える領域は、GPC分析により、UV検出器とRI検出器によるピーク面積の比率から算出した。
(3)成形品の濁り
変性ブロック共重合体水素化物[E]のペレットを押出し成形して、厚さ0.76mm、幅230mmの片面に梨地エンボスパターンが形成されたシートを成形した。
このシートから試験片を切り出し、厚さ1.2mm、幅50mm、長さ50mmの2枚の白板ガラスの間に挟み積層した。この積層物を、厚さ75μmのポリプロピレン製の袋に入れ、密封パック器(BH−951、パナソニック社製)を使用して、袋内を脱気しながら開口部をヒートシールして積層物を密封包装した。その後、密封包装した積層物をオートクレーブに入れて、温度130℃、圧力0.8MPaで30分間処理して、合せガラス試験片[S](ガラス/変性ブロック共重合体水素化物[E]/ガラス)を作製した。
この合せガラス試験片[S]のヘイズをヘイズメータ(日本電色工業社製、NDH2000)により測定した。成形品の濁りは、ヘイズの値が、1%以下の場合を「○(良好)」、1%を超えている場合を「×(不良)」と評価した。
(4)ガラスとの接着性
変性ブロック共重合体水素化物[E]のペレットを押出し成形して、厚さ0.38mm、幅230mmの片面に梨地エンボスパターンが形成されたシートを成形した。
このシートから試験片を切り出し、シート端部に非接着部位を設けて厚さ2mm、幅25mm、長さ65mmのソーダライムガラス板の上にエンボス面をガラス面に接触するように重ね、上記(3)成形品の濁りの項に記載したのと同様に、密封包装した後オートクレーブを使用して貼り合せ、剥離試験用試験片[T]を作成した。
試験片[T]のシート面に15mm幅の切り目を入れ、オートグラフ(島津製作所製、AGS−X)を使用して、シートの非接着部位から、剥離速度50mm/分で、180度剥離試験を行い、剥離強度を測定した。接着性は、剥離強度が15N/cm以上の場合を「○(良好)」、15N/cm未満の場合を「×(不良)」と評価した。
[参考例1]
ブロック共重合体水素化物[D1]の作製
内部が充分に窒素置換された、攪拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン25.0部、及び、n−ジブチルエーテル0.475部を入れた。全容を60℃で攪拌しながら、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.83部を加えて重合を開始させ、60℃で攪拌しながら、さらに60分反応させた。反応液をガスクロマトグラフィーにより測定したところ、この時点で重合転化率は99.5%であった。
その後、反応液に脱水イソプレン50.0部を加え、そのまま60℃で30分攪拌を続けた。反応液をガスクロマトグラフィーにより測定したところ、この時点で重合転化率は99%であった。
その後さらに、反応液に脱水スチレンを25.0部加え、全容を60℃で60分攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーにより測定したところ、この時点での重合転化率はほぼ100%であった。
ここでイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止させた。得られたブロック共重合体[C1]の重量平均分子量(Mw)は49,600、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=50:50であった。
次に、上記重合体溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として珪藻土担持型ニッケル触媒(日揮触媒化成社製、製品名「E22U」、ニッケル担持量60%)4.0部及び脱水シクロヘキサン100部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、更に溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度170℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。
水素化反応により得られたブロック共重合体水素化物[D1]の重量平均分子量(Mw)は52,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。
水素化反応終了後、反応液を濾過して水素化触媒を除去した後、濾液にフェノ−ル系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](コーヨ化学研究所社製、Songnox1010)0.05重量部を溶解したキシレン溶液1.0部を添加して溶解させた。
次いで、上記溶液を、ゼータプラス(登録商標)フィルター30H(キュノ社製、孔径0.5〜1μm)にて濾過し、更に別の金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製、孔径0.4μm)にて順次濾過して微小な固形分を除去した後、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製、コントロ)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去し、濃縮乾燥器に直結したダイから溶融状態でストランド状に押し出し、冷却後、ペレタイザーでカットして、ブロック共重合体水素化物[D1]のペレット95部を得た。
得られたブロック共重合体水素化物[D1]の重量平均分子量(Mw)は51,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.05、水素化率はほぼ100%であった。
[参考例2]
ブロック共重合体水素化物[D2]の作製
重合段階で、モノマーとして、スチレン20.0部、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.81部、イソプレン60.0部及びスチレン20.0部をこの順に反応系に添加して重合反応を行う以外は、参考例1と同様にして、ブロック共重合体水素化物[D2]のペレット93部を得た。
得られたブロック共重合体水素化物[D2]の重量平均分子量(Mw)は53,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.05、水素化率はほぼ100%、wA:wB=40:60であった。
[実施例1]
(変性ブロック共重合体水素化物[E1]−1の製造)
参考例1で得たブロック共重合体水素化物[D1]のペレット100部に対して、ビニルトリメトキシシラン2.0部及びジ−t−ブチルパーオキサイド(日油社製、パーブチルD、半減期が1分となる温度:185.9℃)0.2部を添加し、ブレンダーで混合した。この混合物を、二軸押出機(東芝機械社製、TEM37B)を用いて、樹脂温度220℃で、滞留時間が約40秒となるように制御して連続的に混練した。
混練した樹脂は、二軸押出機に取り付けたダイを通して、ダイ温度220℃で連続的に押出し、直径約2.2mmのストランド状にして、水槽中の温度30℃の水に浸漬して冷却固化した。固化したストランドは、ペレタイザーによりカッティングし、トリメトキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物[E1]−1のペレット97部を得た。
(変性ブロック共重合体水素化物[E1]−1の分析)
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E1]−1のペレットの表面のATR法によるIRスペクトルを、赤外分光装置(Thermo Fisher Scienthific社製、iS5)を使用して測定した。IRスペクトルには、1090cm−1にSi−OCH基、825cm−1と739cm−1にSi−CH基に由来する新たな吸収帯が、ビニルトリメトキシシランのそれらの1075cm−1、808cm−1、及び766cm−1と異なる位置に観察された。
変性ブロック共重合体水素化物[E1]−1のペレット10部をシクロヘキサン100部に溶解させた後、このものを脱水したメタノール400部中に注いで変性ブロック共重合体水素化物[E1]−1を凝固させた。凝固物を濾取し、25℃で真空乾燥して変性ブロック共重合体水素化物[E1]−1のクラム9.5部を単離した。単離したクラムのFT−IRスペクトルでは、ペレットの表面のIRスペクトルと同様に、1090cm−1、825cm−1及び739cm−1に新たな吸収帯が観察された。また、単離したクラムのH−NMRスペクトル(重クロロホルム中)では3.6ppmにメトキシ基のプロトンに基づく吸収帯が観察され、ピーク面積比からブロック共重合体水素化物[D1]の100部に対してビニルトリメトキシシラン1.8部が結合していることが確認された。
(変性ブロック共重合体水素化物[E1]−1のシートの評価)
変性ブロック共重合体水素化物[E1]−1のペレットを、37mmφのスクリューを備えた二軸混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機(Tダイ幅300mm)、キャストロール(梨地エンボスパターン付き)、ゴム製ニップロール及びシート引き取り装置を備えた押出しシート成形機を使用して、溶融樹脂温度200℃、Tダイ温度200℃、キャストロール温度80℃の成形条件にて押出し成形し、変性ブロック共重合体水素化物[E1]−1からなるシート[F1]−1(厚さ0.76mm、幅230mm)及びシート[F1]−2(厚さ0.38mm、幅230mm)を成形した。シート[F1]−1及びシート[F1]−2は、押出しシートの片面をニップロールでエンボスロールに押し当てることにより、エンボスパターンを転写し、ロール状に巻き取り回収した。
得られたシート[F1]−1、[F1]−2を使用して、それぞれのシートの濁り及びガラスとの接着性を評価した。評価結果は、両シートとも、濁りは「○」、接着性は「○」であった。これらの評価結果を表1に示した。
[実施例2〜4]
(変性ブロック共重合体水素化物[E1]−2〜「E1」−4の製造及び成形品の評価)
製造条件の樹脂温度を190〜230℃、混練時間を20〜300秒、押出し時のダイ温度を190〜230℃、冷却水の温度を60℃に変え、表1に示した組合わせの条件とする以外は、実施例1と同様にして、ブロック共重合体水素化物[D1]、ビニルトリメトキシシラン及びジ−t−ブチルパーオキサイド混練して、変性ブロック共重合体水素化物[E1]−2〜[E1]−4を製造した。
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E1]−2〜[E1]−4について、実施例1と同様にしてシートを成形し、成形品の濁り及びガラスとの接着性を評価合した。評価結果を表1にまとめて示した。
[比較例1〜5]
(変性ブロック共重合体水素化物[E1]−5〜「E1」−9の製造及び成形品の評価)
製造条件の樹脂温度を190〜240℃、混練時間を20〜300秒、押出し時のダイ温度を190〜240℃、冷却水の温度を20〜70℃に変え、表1に示した組合わせの条件とする以外は、実施例1と同様にして、ブロック共重合体水素化物[D1]、ビニルトリメトキシシラン及びジ−t−ブチルパーオキサイドを混練して、変性ブロック共重合体水素化物[E1]−5〜[E1]−9を製造した。
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E1]−5〜「E1」−9のペレット表面のATR法によるIRスペクトルには、1030cm−1と1055cm−1にSi−O―Si基に由来する新たな吸収帯が、ビニルトリメトキシシランのIRスペクトルとは異なる位置に観察された。
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E1]−5〜[E1]−9について、実施例1と同様にしてシートを成形し、成形品の濁り及びガラスとの接着性を評価合した。評価結果を表1にまとめて示した。
Figure 2016060779
[実施例5]
(変性ブロック共重合体水素化物の製造)
参考例2で得たブロック共重合体水素化物[D2]のペレット100部に対して、ビニルトリメトキシシラン2.2部及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油社製、パーヘキサ25B、半減期が1分となる温度:179.8℃)0.2部を添加し、ブレンダーで混合した。この混合物を、実施例1と同様の二軸押出機を用いて、樹脂温度210℃で、滞留時間が約60秒となるように制御して連続的に混練した。
混練した樹脂は、実施例1と同様にして、ダイ温度210℃、冷却水の温度30℃の条件でストランドを冷却固化し、カッティングしてトリメトキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物[E2]のペレット95部を得た。
(変性ブロック共重合体水素化物[E2]の分析)
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E2]を、実施例1と同様に分析した。ATR法によるIRスペクトルには、変性ブロック共重合体水素化物[E1]と同様に、1090cm−1にSi−OCH基、825cm−1と739cm−1にSi−CH基に由来する新たな吸収帯が観察された。
また、溶解、凝固、単離した変性ブロック共重合体水素化物[E2]のFT−IRスペクトルでは、ペレットの表面のIRスペクトルと同様に、1090cm−1、825cm−1及び739cm−1に新たな吸収帯が観察された。また、H−NMRスペクトルでは3.6ppmにメトキシ基のプロトンに基づく吸収帯が観察され、ピーク面積比からブロック共重合体水素化物[D2]の100部に対してビニルトリメトキシシラン1.9部が結合していることが確認された。
(変性ブロック共重合体水素化物[E2]−1のシートの評価)
変性ブロック共重合体水素化物[E2]−1のペレットを使用する以外は、実施例1と同様にして、シート[F2]−1(厚さ0.76mm、幅230mm)及びシート[F2]−2(厚さ0.38mm、幅230mm)を成形した。
得られたシート[F2]−1、[F2]−2を使用して、それぞれのシートの濁り及びガラスとの接着性を評価した。評価結果は、両シートとも、濁りは「○」、接着性は「○」であった。これらの評価結果を表2に示した。
[実施例6〜8]
(変性ブロック共重合体水素化物[E2]−2〜「E2」−4の製造及び成形品の評価)
製造条件の樹脂温度を190〜230℃、混練時間を20〜300秒、押出し時のダイ温度を190〜230℃、冷却水の温度を60℃に変え、表2に示した組合わせの条件とする以外は、実施例2と同様にして、ブロック共重合体水素化物[D2]、ビニルトリメトキシシラン及び 2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン混練して、変性ブロック共重合体水素化物[E2]−2〜[E2]−4を製造した。
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E2]−2〜[E2]−4について、実施例1と同様にしてシートを成形し、成形品の濁り及びガラスとの接着性を評価合した。評価結果を表2にまとめて示した。
[比較例6〜10]
(変性ブロック共重合体水素化物[E2]−5〜「E2」−9の製造及び成形品の評価)
製造条件の樹脂温度を190〜240℃、混練時間を20〜300秒、押出し時のダイ温度を190〜240℃、冷却水の温度を20〜70℃に変え、表2に示した組合わせの条件とする以外は、実施例1と同様にして、ブロック共重合体水素化物[D2]、ビニルトリメトキシシラン及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン混練して、変性ブロック共重合体水素化物[E2]−5〜[E2]−9を製造した。
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E2]−5〜「E2」−9のペレット表面のATR法によるIRスペクトルには、1030cm−1と1055cm−1にSi−O―Si基に由来する新たな吸収帯が、ビニルトリメトキシシランのIRスペクトルとは異なる位置に観察された。
得られた変性ブロック共重合体水素化物[E2]−5〜[E2]−9について、実施例1と同様にしてシートを成形し、成形品の濁り及びガラスとの接着性を評価合した。評価結果を表2にまとめて示した。
Figure 2016060779
実施例及び比較例の結果から以下のことがわかる。
本発明の製造方法の条件で、ブロック共重合体水素化物[D]とエチレン性不飽和シラン化合物とを有機過酸化物の存在下で反応させた場合、得られた変性ブロック共重合体水素化物[E]から成形されたシートは、透明で濁りが小さく、ガラスとの良好な接着性を示す(実施例1〜8)。
反応温度が本発明の製造方法の上限温度(230℃)を超えた場合、得られた変性ブロック共重合体水素化物[E]から成形されたシートは、濁りが大きく、ガラスとの接着性も低くなる(比較例4、9)。
冷却水の温度が本発明の製造方法の上限温度(60℃)を超えた場合、得られた変性ブロック共重合体水素化物[E]から成形されたシートは、濁りが大きくなる(比較例1〜10)。
冷却水の温度が本発明の製造方法の上限温度(60℃)を大きく超え、70℃となった場合は、得られた変性ブロック共重合体水素化物[E]から成形されたシートは、濁りだけでなく、ガラスとの接着性も不良となる(比較例2、5、7、10)。
本発明の製造方法は、成形品に濁りを生じないアルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物を、工業的に優位な生産性で製造する方法として有用である。

Claims (1)

  1. 少なくとも2つの、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[A]と、少なくとも1つの、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[B]とからなるブロック共重合体であって、
    ブロック共重合体全体に占める、重合体ブロック[A]の重量分率をwAとし、ブロック共重合体全体に占める、重合体ブロック[B]の重量分率をwBとしたときの、wAとwBとの比(wA:wB)が20:80〜70:30であるブロック共重合体の、全不飽和結合の90%以上を水素化して得られるブロック共重合体水素化物と、エチレン性不飽和シラン化合物を、有機過酸化物の存在下で反応させて得られるアルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物を、温度180〜230℃の溶融状態で温度60℃以下の水と接触させて冷却固化することを特徴とする、アルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物の製造方法。
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