JP6009777B2 - 曲げ変形を受ける対象物に貼付して用いる貼付材用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、曲げ変形を受ける対象物に貼付して用いる貼付材用フィルムに関する。
貼付材用フィルムは皮膚や日用品や成形加工品の表面に貼付してその表面が傷付かないように、あるいは汚染されないように保護する目的で用いられる。
このような貼付材用フィルムは一般には粘着剤が積層されて用いられる。(例えば、特許文献1参照)
フィルムを貼付する対象物がフィルムを貼付後に曲げ変形を受ける場合がある。対象物は、例えば、指等の関節部分の表面や、書籍の表紙の付け根の部分や、バッグの表面や、二つ折りの財布の背の部分やプレス加工される金属板の表面などである。
このような対象物が貼付後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対してフィルムが追従して変形しないと、この変形時にフィルムが剥がれる傾向がある。
とくに、指等の関節部分の表面のように指の曲げにより表面に多数の皺が生ずるような複雑な表面変形については、フィルムが剥がれやすい。また、従来の材料では変形させるためには相応の応力を要し、かつ、応力の緩和も少なく、変形状態を保つと常に応力がかかり続けるという特性を持っていた。曲げなどの変形を元に戻した際は該材料が元のままに復元するという意味では良いが、変形時に応力がかかり続けると被着体に悪い影響を与える場合がある。そのもっとも大きな用途は身体に貼付した際、変形が常に起こり、変形による応力がかかり続けると、皮膚への損傷が懸念される上に、つっぱり感など違和感・不快感が続くことになる。この種の問題を解決することが本発明の主眼とするところである。
特開平08−024288号公報
本発明は、フィルムを貼付する貼付対象物が貼付後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対してフィルムが追従して変形し、この変形時にフィルムが剥がれにくい貼付材用フィルム、及びこのフィルムを用いた貼付材を提供することを目的とする。
本発明の要旨とするところは、
20%引張時荷重が3N/25mm以下、弾性率が0.2〜15MPa、粘性が0.1〜25GPa・s、ガラス転移温度が15℃以下であり、曲げ変形を受ける対象物に貼付して用いる貼付材用フィルムであることにある。
前記貼付材用フィルムにおいては、弾性率が0.2〜5MPa、粘性が1〜10GPa・sであり得る。
前記貼付材用フィルムにおいては、弾性率が1〜5MPa、粘性が1.8〜10GPa・s、ガラス転移温度が10℃以下であり得る。
前記貼付材用フィルムはアルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとアルキルメタアクリレートを主成分とし得、これらと共重合可能なその他の重合性モノマーまたはプレポリマーからなる重合単位を0〜20モル%含む共重合体フィルムからなり得る。
前記貼付材用フィルムにおいては、前記アルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり得、前記アルキルアクリレートがエチルアクリレートであり得、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートのモル比が40:90〜40:180であり得る。
前記貼付材用フィルムにおいては、前記アルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり得、前記アルキルアクリレートがブチルアクリレートであり得、メチルメタアクリレートとブチルアクリレートのモル比が1:1.6〜1:2.5であり得る。
前記貼付材用フィルムは、前記重合単位が水酸基を有するアルキルアクリレート、水酸基を有するアルキルアクリルアミド、アクリル酸、から選択される構造単位を含み得、該構造単位が1〜10モル%含有されて架橋剤により架橋され得る。
前記架橋剤はイソシアネート系架橋剤であり得る。
前記貼付材用フィルムにおいては、前記構造単位がヒドロキシエチルアクリルアミドであり得る。
前記貼付材用フィルムにおいては、前記構造単位がヒドロキシエチルアクリレートであり得る。
前記貼付材用フィルムにおいては、前記重合単位がシリコーン系のマクロモノマーを含み得る。
前記貼付材用フィルムにおいては、前記重合単位がウレタン系プレポリマーを含み得る。
前記貼付材用フィルムは、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートを主成分とし得、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートのモル比が40:90〜40:200であり得、ヒドロキシエチルアクリルアミドを1〜10モル%含有してイソシアネート系架橋剤により架橋された共重合体からなり得る。
前記貼付材用フィルムは、前記重合単位が共重合体全体に対して0.5〜5重量%のシリコーン系のマクロモノマーを含み得る。
前記貼付材用フィルムは、さらにメトキシエチルアクリレートを含有し得、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートの合計モル量とメトキシエチルアクリレートとのモル比が170:15〜140:60であり得る。
また、本発明の要旨とするところは、前記貼付材用フィルムに粘着剤層が積層されてなる粘着性フィルムであることにある。
さらに、本発明の要旨とするところは、前記貼付材用フィルムに粘着剤層が積層されてなり、前記貼付材用フィルムの透湿度が900g/(m・day)以上である医療用粘着テープであることにある。
前記医療用粘着テープにおいては、前記粘着剤層に膏体が担持され得る。
またさらに、本発明の要旨とするところは、前記貼付材用フィルムに膏体が積層された医療用粘着テープであることにある。
本発明によると、フィルムを貼付する貼付対象物が貼付後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対してフィルムが追従して変形し、この変形時にフィルムが剥がれにくい貼付材用フィルム、及びこのフィルムを用いた貼付材が提供される。
本発明によると、人体における指等の関節部の表面に貼付されたとき、関節部の曲げ伸ばしの変形による皮膚表面の皺の変化に追従して、皮膚とフィルムとの密着状態を維持する貼付材が提供される。
本発明の貼付材用フィルムに粘着剤の層を積層した状態を示す断面図。 本発明の貼付材用フィルムに粘着剤の層を積層し、さらに剥離紙を積層した状態を示す断面図。 本発明の貼付材用フィルムに粘着剤の層を積層し、さらに膏体を貼着した状態を示す断面図。 粘着性フィルムを皮膚に貼付した状態を示す断面模式図であり、図4(a)は従来の粘着性フィルムの場合、図4(b)は本発明の粘着性フィルムの場合。 貼付材用フィルム及び比較品を指に貼付した状態を示す写真。 本発明の貼付材用フィルムを書籍の表紙の折り曲げ部に貼付した状態を示す模式図。
本発明の貼付材用フィルムは20%引張時引張荷重が3N/25mm以下弾性率が0.2〜15MPa粘性が0.1〜25GPa・sガラス転移温度が15℃以下であり、曲げ変形を受ける対象物に貼付して用いる貼付材用フィルムである。この貼付材用フィルムは、一般的には、厚さが10〜60μmであり、粘着剤や接着剤を積層して貼付材として用いられる。
本発明の貼付材用フィルムは20%引張時荷重が3N/25mm以下であることにより、人体皮膚などの貼付対象物に貼付した場合に貼付対象物の伸びに容易に追従して伸び変形するので、貼付対象物表面が伸び変形したときに浮きや剥離が起こりにくい。また、貼付対象物に貼付した場合に負荷を与えず、貼付対象物を歪めない。例えば、人体皮膚に貼付した場合に、つっぱり感が小さい。
本発明の貼付材用フィルムは弾性率が15MPa以下であることにより、曲面に貼付されたときにその曲面に追従して皺を生ずることなく貼付できる。さらに、弾性率が0.2MPa以上であることにより、厚さが10〜60μmと薄いにもかかわらず、適度のハリ、コシがあって取り扱い性に優れる。ハリ、コシのないフィルムは取り扱いがむつかしく、製品製造工程中や貼付する操作時にフィルムの位置決めが不安定となり、操作中にフィルム同士をくっつけてしまうというトラブルが生じやすい。
弾性率が0.2〜5MPaであることが、取り扱いの容易さと曲面に追従して皺を生ずることなく貼付できることを両立させるうえでさらに好ましい。1〜5MPaであることが、取り扱いの容易さと曲面に追従して皺を生ずることなく貼付できることを両立させるうえで最も好ましい。
弾性率は以下のようにして測定される。
試料をクリープさせる。測定は窒素雰囲気中35℃で行う。まず初期荷重1mNを10分間かけフィルム温度が雰囲気温度と平衡になるよう保ち、その後100mN/minで荷重が30kPaとなるまで伸長し、その後荷重が30kPaの状態でクリープさせる。
初期荷重1mNを10分間かけたときの試料の長さ(チャック間距離)をL0とし荷重が30kPaに達したときの試料の長さをL30として、
E=W×L0/(L30−L0)
を求める。ここで、Wは30kPaである。
本発明においては、このようにして測定された値Eを弾性率と定義する。
また、荷重が30kPaに達した状態から7分後、10分後の試料の長さをそれぞれL7、L10とし、R=(L10−L7)/L7とし、
V=W×T/R
を求める。ここで、Tは180secである。本発明においては、このようにして測定された値Vを粘性と定義する。
また、貼付材用フィルムは曲面に追従して貼付するときに少なくとも一部分が伸長状態となるが、本発明の貼付材用フィルムは粘性が0.1〜25GPa・sであることにより、曲面に追従して貼付されたときに、その伸長状態が短時間で緩和されるので、剥離が起こりにくい。つまり、貼付されたのちに貼付対象物の曲げ変形などにより貼付対象物の表面が伸長されてもその伸長に追従して貼付材が伸長されたときに、貼付材の伸長による応力が短時間で緩和されるので、剥離が起こりにくい。とくに、人体皮膚に貼付した場合に、人体の動きにともなうつっぱり感が小さい。また、この伸長状態の緩和により人体の曲面やその変形に追従することにより、貼付されたテープが皮膚面から浮き上がることなく貼付状態を維持できる。
粘性がこの範囲を超えて大きいものは、貼付されたのちに貼付対象物の曲げ変形などにより貼付対象物の表面が伸長されてもその伸長に追従して貼付材が伸長されたときに、貼付材の伸長状態が短時間で緩和されないので、剥離が起こりやすい。また、人体皮膚に貼付した場合に、人体の動きにともなうつっぱり感がある。また、人体の曲面やその変形に追従して剥離状の皺を生じやすく貼付状態を維持しにくい。粘性が小さいものほど貼付操作時に伸びやすく、貼付操作性が低下する傾向にある。粘性が0.1GPa・s未満であると貼付操作時に過度に伸びるなどして貼付操作性が悪い。
粘性が1〜10GPa・sであることが、貼付操作性と曲面に追従して貼付されたときの剥離の起こりにくさを両立させるうえでさらに好ましい。1.8〜10GPa・sであることが、貼付操作性と曲面に追従して貼付されたときの剥離の起こりにくさを両立させるうえで最も好ましい
粘性Vは数式
V=W×T/(S×R)
で表わされる値である。
ここで、短冊状の試料(フィルム)に長手方向に一定の荷重Wをかけた状態を維持し荷重時間をTとする。用いる試料の断面積をS、この荷重による試料の長さの変化率をRとする。
本発明においては、粘性Vは段落[0035]に記載のように定義される。
本発明の貼付材用フィルムはガラス転移温度が15℃以下であることにより、通常の室内作業において用いるとき安定した特性(弾性率や20%引張時荷重や粘性)を有する。さらに、貼付対象物が指などの人体である場合、貼付材用フィルムを貼付した部分の人体が冷水に触れる状態で作業が行われても人体の変形に追従して貼付材用フィルムが伸縮するので作業中の剥がれのトラブルが生じにくい。
ガラス転移温度が10℃以下であることが、貼付材用フィルムを貼付した部分の人体が冷水に触れる状態での作業中の剥がれのトラブルが生じにくい点でさらに好ましい。
本発明においては、ガラス転移温度は、サンプルを−50℃まで急冷し毎分10℃で60℃まで昇温し、示差熱−温度チャートのベースラインが階段状に変化するところの中間点(中間点ガラス転移温度)をいう。
本発明の貼付材用フィルムを皮膚に貼付して用いる場合は、透湿度が900g/(m・day)以上であることがムレ感が少なく好ましい。また、吸湿性の材料からなる貼付対象物に貼付した場合に貼付対象物の吸放湿性に影響を与える度合いが小さい。
透湿度は1000g/(m・day)以上であることが皮膚に貼付した場合のムレ感の少なさの点でさらに好ましい。1190g/(m・day)以上であることが皮膚に貼付した場合のムレ感の少なさの点で最も好ましい
本発明の貼付材用フィルムとしては上記の特性を満たすものであればその化学構造は問わない。例えば、ポリウレタン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルムその他のフィルム類が挙げられる。なかでも、アクリル系共重合体を素材とするフィルムが好適に用いられる。
本発明の貼付材用フィルムに用いられるアクリル系共重合体としては、アルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレートとアルキルメタアクリレートをランダム共重合体の主成分とし、これらと共重合可能なその他の重合性モノマーまたはオリゴマーやプレポリマーからなる重合単位を0〜20モル%含む共重合体が好ましい。
このアルキルメタアクリレートの炭素数は特に限定されないが、メチルメタアクリレートあるいはエチルメタアクリレートが好ましい。また、この重合体の繰り返し単位の配列は、ブロックであってもよい。
アルキルアクリレートとしてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、等を例示することができ、なかでもエチルアクリレートやブチルアクリレートが好ましい。
アルキルメタアクリレートとしては、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレートが例示される。
上記アクリル系共重合体が架橋しておらずに上記アクリル系共重合体におけるアルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、アルキルアクリレートがエチルアクリレートである場合は、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートのモル比が40:90〜40:180であることが好適な前記の物性値を得るうえで好ましい。この範囲をはずれてメチルメタアクリレートの比率が小さくなると弾性率が低くなり、前記の物性値が得られずに取り扱い性が悪くなることがある。この範囲をはずれてメチルメタアクリレートの比率が大きくなると、ガラス転移温度が高くなる結果比較的硬く脆いフィルムとなり、目標とする用途での使用感(違和感)、浮き・剥がれにくさの点で最適とはいえない。また、透湿度も下がる。
上記アクリル系共重合体におけるアルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、アルキルアクリレートがブチルアクリレートである場合は、メチルメタアクリレートとブチルアクリレートのモル比が1:1.6〜1:2.5であることが好ましい。この範囲をはずれてメチルメタアクリレートの比率が小さくなるとフィルムのハリ、コシがなくなり取り扱いかたによっては取り扱い性が悪くなる。この範囲をはずれてメチルメタアクリレートの比率が大きくなるとガラス転移温度が上がる結果、室温では粘性が大きくなり、比較的硬く脆いフィルムとなり目標とする用途での使用感(違和感)、浮き・剥がれにくさの点で最適とはいえない。また、透湿度も下がる。
共重合可能なその他の重合性モノマーとしては、アルコキシアルキルアクリレート、ウレタン、アミドなどの部分構造とエチレン性不飽和二重結合とを有する重合性モノマーや、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、アクリル酸ベンジルなどが挙げられる。
アルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、アルキルアクリレートがエチルアクリレートであり、共重合可能なその他の重合性モノマーがメトキシエチルアクリレートを含む場合、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートの合計モル量とメトキシエチルアクリレートとのモル比が170:15〜140:60であることが好適な前記の物性値を得るうえで好ましい。このような共重合体は架橋されていることが最適な前記の物性値を得るうえでさらに好ましい。
さらには、共重合可能なその他の重合性モノマーとして、重合可能な官能基を持つ高分子量モノマーであるマクロモノマーが挙げられる。一例としては、重合性基がシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサンマクロモノマーのようなシリコーン系のマクロモノマーや、重合性基がスチレン主鎖に結合しているスチレン系のマクロモノマーが挙げられ、AA−6、AA−2、AS−6、AN−6S、AB−6、AK−5、AK−32(いずれも東亞合成製)等が使用できる。
シリコーン系のマクロモノマーを共重合させることにより、フィルムのすべり性が向上する。シリコーン系のマクロモノマーの含有量は、共重合体全体に対して0.5〜5重量%であることが好ましい。
共重合可能なオリゴマーとしてはウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
またさらには、共重合可能なその他の重合性モノマーとして、ヒドロキシアルキルアクリルアミドや、ヒドロキシアルキルアクリレートやアクリル酸が挙げられる。このような水酸基を有するモノマーが共重合された場合、フィルムのコシハリが向上する。また、この水酸基などの官能基と反応させて共重合体を架橋することによってフィルムの強度や耐アルコール性を向上させることができる。しかし、過度の架橋は弾性率の増大や、透湿度の低下や、ガラス転移温度の上昇をもたらす。共重合体には水酸基を有するモノマーが2種以上共重合されてもよい。
このような架橋を行わせる架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、多塩基酸系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。なかでもイソシアネート系架橋剤がフィルムの粘性や柔軟性を維持しつつコシハリや強度や耐アルコール性を向上させるうえで好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、多価イソシアネートが含まれ、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
アクリル系共重合体におけるアルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、アルキルアクリレートがエチルアクリレートであり、この共重合体が前記のような架橋剤で架橋されている場合、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートのモル比が40:90〜40:200であることが最適な前記の物性値を得るうえで好ましい。この範囲をはずれてメチルメタアクリレートの比率が小さくなると弾性率が低くなり、取り扱いに注意しないと取り扱い性が悪い。この範囲をはずれてメチルメタアクリレートの比率が大きくなると、ガラス転移温度が高くなる結果比較的硬く脆いフィルムとなり、目標とする用途での使用感(違和感)、浮き・剥がれにくさの点で最適とはいえない。また、透湿度も下がる。
図1に示すように、一般的には、本発明の貼付材用フィルム2は粘着剤層4を積層した粘着性フィルム6として用いる。
粘着性フィルム6を創傷被覆剤等の医療用粘着テープとして用いる場合には図2に示すように、粘着剤層4の表面に剥離紙8を積層した粘着性フィルム6とし、使用時に剥離紙8を剥がして患部に粘着性フィルム6を貼付することが好ましい。
本発明の貼付材用フィルムは創傷被覆剤用のみならず、水仕事の際に違和感なく指に貼付できて、皮膚の荒れやあかぎれの防止に用いることができる。
また、指のおもて側の関節部の表面は、指を伸ばした時に皺が入り、指を曲げた時に皺が伸ばされる。このような曲げ伸ばしにともない皺が増減する部位に粘着性フィルムが貼付される場合、図4(a)に示すように従来の粘着性フィルム50は皮膚表面の動きに追従できなくて、皺の谷の部分に隙間52が生ずる傾向にある。隙間52には水が浸入したりバイ菌などがはいりこんで繁殖するおそれがある。これに対して本発明の粘着性フィルム6は曲面に追従して図4(b)のように、皮膚表面56に皺がある状態でも皮膚表面56と粘着性フィルム6との間にすきまを生ぜず、皮膚58の表面56と粘着性フィルム6との密着性が保たれ、皮膚58の表面56と粘着性フィルム6との間に水が浸入せず細菌などがはいりこんで繁殖するおそれがない。
このような浮き、剥がれの発生のしにくさの点と貼付操作性を両立させるうえでは、粘性が1〜10GPa・sであることが好ましい。1.8〜10GPa・sであることが最も好ましい
このように、本発明の貼付材用フィルムは、粘着性フィルム6として用い、動かすことにより皺が変化する皮膚の部位に貼付しても皮膚表面と粘着性フィルムとの間にすきまを生ぜず、皮膚表面との密着状態を維持することができる。
また、本発明の貼付材用フィルムは、香気成分や気化性の抗菌剤であるヒノキチオールやわさび由来成分などに代表される抗菌成分やその他の生理的活性成分や薬効成分を添加して、貼付環境の香気、あるいは抗菌やその他の薬効をもたらす貼付材としても活用できる。あるいは、粘着剤層4の中にこれらの生理的活性成分を含ませて膏体を持つ貼付材とすることが出来る。このような生体に何らかの効果をもたらす機能、例えば創傷保護作用、創傷治癒作用、抗菌作用、薬剤による薬理作用を持つ粘着剤層を膏体と呼ぶことにする。これにより、人に対して、薬の持つ治療効果や抗菌、殺菌効果などを貼付部位又は患者に対して発揮する用途に用いることができる。このような貼付材は、フィルムの弾性率が低く、応力緩和性が高いので皮膚面の凹凸や伸縮に追随して、皺の中に入り、接触面積が拡大するゆえ、皮膚からの薬剤の浸透を引き出す機能を備えるのでこれらの用途に適している。すなわち、貼付材用フィルム2に膏体を積層して医療用粘着テープとして好適に用いることができる。
図3に示すように粘着剤層4の表面の一部分に膏体10が積層されて医療用粘着テープとして用いられてもよい。あるいは、他の態様として、粘着剤層4と貼付材用フィルム2との間に膏体10がサンドイッチ状に配されてもよい。さらに、粘着剤層4中に膏体の微粒が分散して存在する態様であってもよい。このように、膏体が粘着剤層に担持された構成の粘着テープが医療用粘着テープとして好適に用いられる。
さらに、本発明の貼付材用フィルムは貼付材として曲げ変形を受ける物品に貼付して物品の表面を保護することができる。一般に、このような貼付対象物が貼付後に曲げ変形を受ける場合、曲げに対してフィルムが追従して変形しないと、この変形時にフィルムが剥がれる傾向があるが、本発明の貼付材用フィルムは、このフィルムを貼付した貼付対象物が曲げ変形されても曲げに対してフィルムが追従して変形するので、この変形時にも対象物との密着状態を維持できる。
さらには、このような用途に用いる本発明の貼付材用フィルムに防錆剤等の機能性剤成分を含ませることが出来る。あるいは、本発明のフィルムに粘着剤を積層し、その粘着剤の中にこれらの機能性剤成分を含ませて貼付材とすることが出来る。これにより、貼付対象物表面の保護や表面処理を行う用途に用いることができる。このフィルムは弾性率が低く、応力緩和性が高いので貼付対象物の表面の曲面に良好に追従して貼付されるので、このような用途に適している。
このような貼付の対象物としては、書籍の表紙の付け根の部分や、バッグの表面や、二つ折りの財布の背の部分やプレス加工される金属板や防錆すべき金属製品や、表面を保護すべき部材や製品や、表面処理すべき部材や製品などが例示される。その他、複雑な曲げ変形を受ける面の保護やカバーに適している。
実施例、参考例、比較例
測定;
引張試験
チャック間距離を50mm、引張速度300mm/min、試料サイズ 長さ80mm×幅20mm×厚み30μmで引張試験を行い、破断時の伸びと強度、特定の伸び率のところでの応力(20%伸びのところでの応力(20%モジュラス)など)を測定した。
透湿度
JIS Z0208に準拠したカップ法にて測定した。吸湿剤に塩化カルシウムを、封止剤には試薬として市販されているパラフィン(融点:52〜54℃)を用いて、温度40℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に設置し開始から1.5時間おきに3回カップ全体の増加する重量を測定し、2回目と3回目の測定の平均値から透湿度を求めた。
弾性率、粘性
株式会社 リガク Thermo plus EVO TMA/HUM−1にフィルム引張試験用治具を取り付けて初期長を10mmとし、試料をクリープさせた。測定は窒素雰囲気中35℃で行った。試料幅は5mm、厚みは150μmとした。まず初期荷重1mNを10分間かけフィルム温度が雰囲気温度と平衡になるよう保ち、その後100mN/minで荷重が30kPaとなるまで伸長し、その後荷重が30kPaの状態でクリープさせた。
初期荷重1mNを10分間かけたときの試料の長さ(チャック間距離)をL0とし荷重が30kPaに達したときの試料の長さをL30として、
E=W×L0/(L30−L0)
で定義される弾性率を求めた。ここで、Wは30kPaである。
また、荷重が30kPaに達した状態から7分後、10分後の試料の長さをそれぞれL7、L10とし、R=(L10−L7)/L7とし、
V=W×T/R
で定義される粘性を求めた。ここで、Tは180secである。
ガラス転移温度
PerkinElmer社製のDSC8500を用い、サンプル温度を50℃にした後、−50℃まで急冷し毎分10℃で60℃まで昇温した。測定は窒素雰囲気下で行った。示差熱−温度チャートのベースラインが階段状に変化するところの中間点(中間点ガラス転移温度)をガラス転移温度とした。
評価
耐アルコール性
×:エタノールに浸漬したときに形状が維持できないほどに変形または溶解する。
△:エタノールに浸漬したときに膨潤などにより形状や物性が変化するが使用に耐える。
○:エタノールに浸漬したときに形状や物性がほとんど変化せず浸漬前と同様の使用状態が得られる。
試料フィルムの作成
以下の実施例、参考例、比較例におけるモノマーの重合に際しては、ことわりのない限り重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を適量用いて、窒素雰囲気溶液中で重合を行なった。
架橋について
以下の実施例、参考例、比較例において架橋剤を用いて架橋させたサンプルについては、架橋反応を終結させるため、製膜後エージング(40℃、72hr)を行った。
参考例1
エチルアクリレート(EA)/メチルメタアクリレート(MMA)=140/40(mol/mol)にヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)をモノマー全体に対するモル比HEAA/(MMA+EA+HEAA)で3モル%を加えた混合物120gに酢酸エチル180gを加え、重合開始剤としてAIBN0.064gを添加して、70℃で5時間重合した。重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例2
HEAAをヒドロキシエチルアクリレート(HEA)に替え、AIBNの添加量を160mgとした他は参考例1と同様にして、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例4−0
MMA/EAをモル比40:99で合計120gに、溶媒として酢酸エチル180g、開始剤としてAIBN200mgを加えて混合し、共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例4−1
MMA/EAをモル比40:99とし、モノマー全体に対するモル比HEAA/(MMA+EA+HEAA)で3モル%のHEAAを加えて合計480gと、溶媒として酢酸エチル720g、開始剤としてAIBN800mgを混合し、60℃で24時間共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャストして乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
実施例
HEAAをモノマー全体に対するモル比で6モル%、モノマー全体の量を120g、酢酸エチルを180g、AIBNを200mgとしたほかは参考例4−1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例4−
HEAAをモノマー全体に対するモル比で10モル%にしたほかは実施例と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例3、4においては溶媒として酢酸エチルを用い、重合開始剤としてAIBNを用いた。反応開始時のアクリルモノマーの濃度は約40重量%とした。
参考例5−0
モノマーの合計を150g、溶媒を酢酸エチルの代わりにDMFを150g、AIBN125mg、反応温度と時間を70℃・5時間としたほかは参考例4−1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実施例
参考例5−0で得られた共重合体の溶液に、この溶液に対して1重量%のトリレンジイソシアネート系の硬化剤(日本ポリウレタン工業製:コロネートL−55)(TDI)を加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例5−
TDIの量を2重量%としたほかは実施例と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例6−1
MMA/EAをモル比40:99の溶液を150g、トルエンを溶媒として150g混合し、開始剤としてAIBNを80mg添加して、70℃で5時間共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例6−2
MMA/EAをモル比40:99で混合し、さらに、スチレン鎖を持つアクリルマクロモノマー(東亞合成:AS−6)をモノマー全体に対する重量比(AS−6/(MMA+EA+AS−6))で1重量%を添加して共重合させた。溶媒としてトルエンを,開始剤としてAIBNを用いた。重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例6−3
モノマー全体に対して3重量%のAS−6を加えたほかは参考例6−2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例7−1
AS−6に替えてアクリロニトリル−スチレン共重合体鎖を持つアクリルマクロモノマー(東亞合成:AN−6S)を用いたほかは参考例6−1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例7−2
AN−6Sの添加量を3重量%としたほかは参考例7−1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例8
MMA/EAをモル比40:120で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比HEAA/(MMA+EA+HEAA)で3モル%のHEAAを加えて共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例9
HEAAの比率を1モル%としたほかは参考例1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例10
HEAAの比率を5モル%としたほかは参考例1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実施例
HEAAの比率を10モル%としたほかは参考例1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例3
MMA/EAをモル比40:99で混合し、さらにアクリル酸(AA)を3.7モル%(AA/(MMA+EA+AA))加え合計120gとし、酢酸エチルを180g、AIBNを160mgを加えて窒素雰囲気で共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例1
AAの比率を3モル%としたほかは参考例3と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例1
MMA/EAをモル比40:140で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比AA/(MMA+EA+AA)で3モル%のAAを加えて共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例1
MMA/EAをモル比40:99で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比HEA/(MMA+EA+HEA)で3モル%のHEAを加えて共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例1
HEAの比率を5モル%としたほかは参考例2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例1
HEAの比率を10モル%としたほかは参考例2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例1
MMA/ブチルアクリレート(BA)をモル比2:3、HEAA/(MMA+BA+HEAA)の比率が3モル%となるようにHEAAを加えて120gとし、酢酸エチル180gの溶媒、AIBN160mgの開始剤を加えて反応させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
比較例1
MMA/ブチルアクリレート(BA)のモル比を1:2としたほかは参考例1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
比較例2
MMA/BAのモル比を1:1としたほかは比較例1と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
比較例3
MMA/オクチルアクリレート(OA)をモル比6:4で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比HEAA/(MMA+OA+HEAA)で3モル%のHEAAを加えて120gとして、酢酸エチル180gを溶媒、AIBN160mgを開始剤として共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
比較例4
エチルメタアクリレート(EMA)/EAをモル比9:5で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比HEAA/(EMA+EA+HEAA)で3.1モル%のHEAAを加えて共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
比較例5
EMA/EAのモル比を1:1、HEAAを3モル%としたほかは比較例4と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例1
EMA/EAのモル比を1:2としたほかは比較例5と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例1
EMA/EAのモル比を1:3としたほかは比較例5と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考19
MMA/EA/MEA(メトキシエチルアクリレート)をモル比40:120:20で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比HEAA/(MMA+EA+MEA+HEAA)で3モル%のHEAAを加え120gとして、そこに、酢酸エチル180gの溶媒、AIBN160mgの開始剤を加えて共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャストして乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例2
MMA/EA/MEAのモル比を40:100:40としたほかは参考19と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例2
MMA/EA=40/140(モル比)として、HEAA/(HEAA+MMA+EA)で3モル%となるようにHEAAを加え、更にこの混合物に対して1wt%のAK−32(ポリジメチルシロキサン構造を持つメタクリル系マクロモノマー:東亞合成社製)を加え、HEAA+MMA+EA+AK−32の混合液を120g取り、トルエン180g、AIBN160mgを加え、窒素雰囲気で共重合を行った。重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例2
AK−32に替えて、AK−5を混合物に加えたほかは参考例2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。AK−5の固形分は40重量%であり、AK−5の固形分が混合物に対して1wt%となるように添加した。
比較例6
AS−6の添加量を10重量%とし、AIBNを80mg用いたほかは参考例6−2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例2
MMA/EAをモル比40:140で混合し、さらにモノマー全体に対するモル比HEMA/(MMA+EA+HEMA)で3モル%のヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)を加えて共重合させ、重合後の溶液を剥離紙上にキャスト後、乾燥し、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例2
MMA/EAのモル比を40:140としたほかは参考例6−2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例2
AS−6の添加量を3重量%としたほかは参考例2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例2
AS−6の添加量を5重量%としたほかは参考例2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例2
AS−6の添加比率を10重量%としたほかは参考例2と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実施例
参考例1の共重合で得られた共重合体の溶液に、溶液100重量部に対して5.2重量部の硬化剤TDIを加えその溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実施例
加える硬化剤の比率を共重合体の溶液100重量部に対して1.9重量部としたほかは実施例と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考28
加える硬化剤の比率を共重合体の溶液100重量部に対して0.94重量部としたほかは実施例と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考29
加える硬化剤の比率を共重合体の溶液100重量部に対して0.47重量部としたほかは実施例と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考30
参考例1で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.9重量部のTDIを加えて、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
参考例3
参考例2で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.9重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実施例
参考例1で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.2重量部のヘキサメチレンジイソシアネート系の硬化剤(日本ポリウレタン工業製:コロネートHX)(HDI)を加えて、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実施例
加える硬化剤の比率を溶液100重量部に対して0.59重量部としたほかは実施例と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
実施例
加える硬化剤の比率を溶液100重量部に対して0.30重量部としたほかは実施例と同様にして厚み30μmのフィルムを得た。
参考例3
加える硬化剤の比率を溶液100重量部に対して0.15重量部としたほかは実施例と同様にして厚み30μmのフィルムを得た
比較10
参考例1で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して3.2重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
比較11
参考例1で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して6.3重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実施例
参考19で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.9重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実施例10
参考例2で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.9重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実施例11
参考例2で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.9重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
実施例12
参考例2で得られた重合後の溶液に、溶液100重量部に対して1.9重量部のTDIを加え、その溶液を剥離紙上にキャスト後、100℃で3分間加熱乾燥と同時に架橋反応させ、厚み30μmのフィルムを得た。
比較例7
日清紡ケミカル社製のウレタンフィルム(MF30BE−TB)(厚み30μm)を用いた。
比較例8
DIC社製のウレタン樹脂(クリスボンASPU−112)を用いてポリウレタンフィルム(厚み10μm)を作成した。
比較例9
塩化ビニルフィルム(厚み60μm)を用意した。
特性及びテスト結果
a.貼付テスト
参考例1、比較例7、比較例8、比較例9で得られたフィルムを幅20mm、長さ40mmの短冊状に切り、片面にアクリル系粘着剤の層(厚み30μm)を積層して粘着テープを得た。この粘着テープを人差し指の第一関節部に巻き付けて貼付するモニターテストを行った。結果を表1に示す。
Figure 0006009777
貼付の状態を図5に示す。
また、貼り付け易さ(貼り付け操作の容易さ)、使用感(違和感)、浮き・剥がれにくさ(指を曲げたときの浮きの生じにくさと剥がれにくさ)、剥がし易さ、蒸れ感について10名のモニターが下記の基準で評点した。
1点:悪い、3点:満足、5点:とてもよい
評点の平均値を表2に示す。
使用感(違和感の無さ)を見ると参考例1は比較例に比べ優れており、剥がしにくさを除けば4.2のスコアーで優れた特性になっている。ただ、伸び易いので剥がし易さにおいて評価点が低い。
Figure 0006009777
各フィルムの特性を表3に示す。
Figure 0006009777
b.HEAAの添加による物性の変化
表4に水酸基をもつアクリル系モノマーであるHEAAをMMA及びEAと共重合させたときの特性を示す。MMA/EAのモル比は40:99とした。HEAAの添加によりガラス転移温度、粘性、弾性率が上昇する。
Figure 0006009777
c.架橋よる物性の変化
水酸基をもつアクリル系モノマーであるHEAAをMMA及びEAと共重合させて得られた共重合体を架橋剤で架橋したときの物性の変化を表5に示す。架橋剤としてTDIを用いた。架橋により耐アルコール性が改善される。
Figure 0006009777
d.マクロモノマーを構造単位として含むアクリル系共重合体
マクロモノマーを構造単位として含むアクリル系共重合体の特性を表6に示す。MMA/EAのモル比は40:99とした。スチレン鎖を持つアクリルマクロモノマーの導入により耐アルコール性が改善される。
Figure 0006009777
上記以外の実施例、参考例、比較例につき特性値を表7に示す。
Figure 0006009777
Figure 0006009777
表4〜7の実施例、参考例、比較例につきフィルムを幅20mm、長さ40mmの短冊状に切り、片面にアクリル系粘着剤の層(厚み30μm)を積層して粘着テープを得た。この粘着テープを人差し指の第一関節部に巻き付けて貼付するモニターテストを行った。モニターテスト(10名の合議)で得られた特性を表8、表9に示す。なお、総合評価判定は表8、表9の個々の評価項目(耐アルコール性を除く)をまとめて総合的に評価したものである。
表8から見ると、先に述べた使用感や剥がれにくさ、蒸れ性、貼り付け易さなどの項目は評価点が良いことが実施例で示されている。また、参考例1では剥がし易さが劣っていたが、実施例では架橋を入れたり、粘性を上げたりして、この点も改質されていることを示している。
表8中、
◎◎・・・極めて優れている
◎・・・優れている
○・・・良好に使用できる。
△・・・使用上不満がほとんどない
×・・・不良
Figure 0006009777
Figure 0006009777
Figure 0006009777
Figure 0006009777
6に示すように、参考例1で得られたフィルム21の片面に不図示の粘着層を設け、書籍20の表紙22の根元の折り曲げ部24に貼付した。貼付により曲げ部24の表面が保護され、擦り傷がつきにくくなった。また、書籍を開いたときの曲げ部24の曲げによってもフィルム21が剥がれることがなかった。
本発明の貼付材用フィルムは、医療用途のみならず、日用品や産業用資材において曲げ変形を受ける物品に貼付して物品の表面を保護する用途に好適に用いることができる。
2:貼付材用フィルム
4:粘着剤層
6:粘着性フィルム
8:剥離紙
10:膏体

Claims (18)

  1. 20%引張時荷重が3N/25mm以下、
    弾性率がMPa、
    粘性が1.810GPa・s、
    ガラス転移温度が15℃以下
    であり、
    曲げ変形を受ける対象物に貼付して用いる貼付材用フィルム。
  2. ラス転移温度が10℃以下である請求項に記載の貼付材用フィルム。
  3. アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとアルキルメタアクリレートを主成分とし、これらと共重合可能なその他の重合性モノマーまたはプレポリマーからなる重合単位を0〜20モル%含む共重合体フィルムからなる請求項1または2に記載の貼付材用フィルム。
  4. 前記アルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、前記アルキルアクリレートがエチルアクリレートであり、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートのモル比が40:90〜40:180である請求項に記載の貼付材用フィルム。
  5. 前記アルキルメタアクリレートがメチルメタアクリレートであり、前記アルキルアクリレートがブチルアクリレートであり、メチルメタアクリレートとブチルアクリレートのモル比が1:1.6〜1:2.5である請求項に記載の貼付材用フィルム。
  6. 前記重合単位が水酸基を有するアルキルアクリレート、水酸基を有するアルキルアクリルアミド、アクリル酸、から選択される構造単位を含み、該構造単位が1〜10モル%含有され、架橋剤により架橋された請求項からのいずれかに記載の貼付材用フィルム。
  7. 前記架橋剤がイソシアネート系架橋剤である請求項6に記載の貼付材用フィルム。
  8. 前記構造単位がヒドロキシエチルアクリルアミドである請求項またはに記載の貼付材用フィルム。
  9. 前記構造単位がヒドロキシエチルアクリレートである請求項またはに記載の貼付材用フィルム。
  10. 前記重合単位がシリコーン系のマクロモノマーを含む請求項からのいずれかに記載の貼付材用フィルム。
  11. 前記重合単位がウレタン系プレポリマーを含む請求項から1のいずれかに記載の貼付材用フィルム。
  12. メチルメタアクリレートとエチルアクリレートを主成分とし、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートのモル比が40:90〜40:200であり、ヒドロキシエチルアクリルアミドを1〜10モル%含有し、イソシアネート系架橋剤により架橋された共重合体からなる請求項に記載の貼付材用フィルム。
  13. 前記重合単位が共重合体全体に対して0.5〜5重量%のシリコーン系のマクロモノマーを含む請求項1に記載の貼付材用フィルム。
  14. さらにメトキシエチルアクリレートを含有し、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートの合計モル量とメトキシエチルアクリレートとのモル比が170:15〜140:60である請求項1に記載の貼付材用フィルム。
  15. 請求項1から1のいずれかに記載の貼付材用フィルムに粘着剤層が積層されてなる粘着性フィルム。
  16. 請求項1から1のいずれかに記載の貼付材用フィルムに粘着剤層が積層されてなり、前記貼付材用フィルムの透湿度が900g/(m・day)以上である医療用粘着テープ。
  17. 前記粘着剤層に膏体が担持された請求項1に記載の医療用粘着テープ。
  18. 請求項1から1のいずれかに記載の貼付材用フィルムに膏体が積層された医療用粘着テープ。
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