JP5600820B1 - 二重瞼形成用テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】 適度に切れ難く、装着感が良好で、且つ、十分な粘着力を有する二重瞼形成テープの提供。
【解決手段】 基材と、前記基材上に形成されたアクリル系粘着剤層と、を少なくとも有する二重瞼形成用テープにおいて、前記基材が、ポリエチレンであり、前記アクリル系粘着剤層が、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体であって、ウレタン結合を介して架橋している成分を含有することを特徴とする二重瞼形成用テープ。
【選択図】 なし

Description

本発明は、二重瞼形成用テープに関する。
従来から汎用されている人工的な二重瞼の形成方法は、糊状の液体を瞼に塗り、瞼の皮膚同士を粘着させ乾燥させることで人工的なひだを作り出し、二重瞼を形成する手法である。しかし、糊状の液体を用いた方法は、瞼の皮膚がかぶれてしまう、目の付近で細かい作業を行うため、きれいな二重瞼を形成するためには慣れが必要である、等の問題があった。
そこで、特許文献1に係る発明では、延伸可能で、その延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材に粘着成分を塗布した、二重瞼形成用テープ又は糸を提供している。当該発明によれば、皮膚につれを生じさせることなく、きれいに且つ簡単に二重瞼を形成することができる。
特許第3277180号公報
しかしながら、特許文献1に記載された二重瞼形成テープは、切れ易く、装着感が良好でなく、且つ、粘着力が不十分である。より具体的には、二重瞼形成テープが切れ易いと、瞼に食い込ませるときに食い込み力が弱く、その結果、深くくっきりした二重瞼が作り難いという問題を招く。また、装着感が必ずしも良好でないため(違和感のため)、不快に感じるユーザも少なくない。加えて、粘着力が不十分であるため、皮脂、汗及び涙に弱く、持続時間が短くなる。更に、粘着剤としてアクリル系粘着剤を使用している既存製品においては、アクリル系粘着剤由来の残存モノマー臭があるものもある。そこで、本発明は、適度に切れ難く、装着感が良好で、十分な粘着力を有し、且つ、臭気が抑制された二重瞼形成テープを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、基材上に設ける粘着剤組成物として、特定種のモノマー同士を共重合させたポリマーを添加することにより、二重瞼形成用テープ全体としての比例限度を適度に高めることができ、粘着力も適度に高めることができ、更には、粘着力を高めることで粘着剤層の厚さを薄くすることができ、その結果(粘着剤層を薄くした結果)、良好な装着感を実現できることを見出し、本発明を完成させたものである。具体的には、下記発明である。
本発明は、基材と、前記基材上に設けられている粘着成分層と、を少なくとも有し、前記基材を延伸させると共に塑性変形させて使用する二重瞼形成用テープにおいて、
前記粘着成分層が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして少なくとも(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルと、(メタ)アクリル酸と、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び前記(メタ)アクリル酸とは異なるエチレン性不飽和モノマーとして少なくともビニルピロリドンと、を少なくともモノマー成分として含む組成物を共重合して得られた共重合体を含む
ことを特徴とする二重瞼形成用テープである。
また、本発明は、基材と、前記基材上に形成されたアクリル系粘着剤層と、を少なくとも有し、前記基材を延伸させると共に塑性変形させて使用する二重瞼形成用テープにおいて、
前記基材が、ポリエチレンであり、
前記アクリル系粘着剤層が、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体であって、ウレタン結合を介して架橋している成分を含有する
ことを特徴とする二重瞼形成用テープであってもよい。
ここで、前記アクリル系粘着剤層の厚さが、0.005〜0.045mmであってもよい。
また、前記共重合体における、(メタ)アクリル酸エステル:(メタ)アクリル酸の質量比が、70:30〜99:1であってもよい。
更に、前記ポリエチレンが、低密度ポリエチレンであってもよい。
また、前記(メタ)アクリル酸エステルが、(メタ)アクリル酸イソオクチルであってもよい。
更に、本発明は、基材と、前記基材上に形成されたアクリル系粘着剤層と、を少なくとも有し、前記基材を延伸させると共に塑性変形させて使用する二重瞼形成用テープの製造方法において、
(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体をイソシアネート系架橋剤により架橋させる工程
を有することを特徴とする二重瞼形成用テープの製造方法である。
また、前記共重合体における、(メタ)アクリル酸エステル:(メタ)アクリル酸の質量比が、70:30〜99:1であってもよい。
更に、前記アクリル系粘着剤層の厚さが、0.005〜0.045mmであってもよい。
また、前記ポリエチレンが、低密度ポリエチレンであってもよい。
更に、前記(メタ)アクリル酸エステルが、(メタ)アクリル酸イソオクチルであってもよい。
更に、本発明は、粘着剤を介してポリエチレン基材とポリウレタン基材とが接合した多層基材層と、
前記多層基材層の両面に設けられた粘着剤層と
を有する二重瞼形成用テープであってもよい。
ここで、前記ポリエチレン基材が、低密度ポリエチレンであってもよい。
更に、本発明は、基材と、前記基材上に設けられているアクリル系粘着剤層と、を少なくとも有する二重瞼形成用テープにおいて、
前記基材が、ポリウレタンであり、
前記アクリル系粘着剤層が、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸と前記(メタ)アクリル酸エステル及び前記(メタ)アクリル酸とは異なるエチレン性不飽和モノマーとの重量比{前記(メタ)アクリルエステル酸エステル:前記(メタ)アクリル酸:前記エチレン性不飽和モノマーの重量比}が70〜95:1〜10:1〜20である(メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸/エチレン性不飽和モノマーの共重合体を含有する
ことを特徴とする二重瞼形成用テープであってもよい。
また、前記ポリウレタンは、芳香族含有ポリウレタンであってもよい。
更に、本発明は、基材と、前記基材上に形成されたアクリル系粘着剤層と、を少なくとも有する二重瞼形成用テープにおいて、
前記基材が、ポリエチレンであり、
前記アクリル系粘着剤層が、(メタ)アクリル酸イソオクチルと(メタ)アクリル酸との共重合体であって、
前記共重合体における、(メタ)アクリル酸イソオクチル:(メタ)アクリル酸の質量比が、70:30〜99:1であり、且つ
2−(2’ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを更に含有する
ことを特徴とする二重瞼形成用テープであってもよい。
ここで、前記アクリル系粘着剤層の厚さが、0.005〜0.045mmであってもよい。
更に、前記ポリエチレンが、低密度ポリエチレンであってもよい。
ここで、本明細書及び本特許請求の範囲での用語の意義を説明する。「二重瞼形成用」とは、一重瞼を二重瞼とする用途のみならず、奥二重を二重瞼とする用途や、二重瞼を更にはっきりとした二重瞼にする用途を包含する。「分断」とは、繋がっているものを切断することのみならず、接合又は隣接したもの同士を別れ別れに引き離すことも含む。「易分離加工」とは、ある部材に同一の引張力を印加した際に、易分離加工が施されていない場合と比較し、当該ある部材が分離し易い加工である限り特に限定されず、例えば、溝加工、切り込み加工、切り取り線加工、切断加工を挙げることができる。
本発明によれば、適度に切れ難く、装着感が良好で、十分な粘着力を有し、且つ、臭気が抑制された二重瞼形成テープを提供することができるという効果を奏する。
本発明の一形態に係る二重瞼形成用テープの概念側面図である。 本発明の一形態に係る両面粘着テープの概念側面図である。 本発明の実施形態に係る両面粘着テープ領域の形成方法に関する概念図である。 本発明の実施形態に係る両面粘着テープ領域の、瞼への貼付方法に関する概念図である。 本発明の実施形態に係る両面粘着テープ領域の、瞼への貼付方法に関する概念図である。 本発明の測定方法4の概要図(写真)である。 本発明の実施形態に係る、粘着面保護シートの表面加工による効果を示す概念図(写真)である。 本発明の実施形態に係る、二重瞼形成用テープの製造方法である平圧式打ち抜きに関する概念図である。 本発明の実施例に係る、両面粘着テープの基材に関するDSC分析の測定結果である。 本発明の実施例に係る、両面粘着テープの基材に関するDSC分析の測定結果である。 本発明の実施例に係る、両面粘着テープの基材に関するDSC分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するIR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの基材に関するIR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するIR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの基材に関するIR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するIR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するNMR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するNMR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するNMR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するNMR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するNMR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するNMR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するNMR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するNMR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの成分に関するNMR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するNMR分析の測定結果である。 本発明の実施形態に係る、両面粘着テープの粘着成分に関するGC/MS分析の測定結果である。 実施例1に係る両面粘着テープの変形−荷重曲線である。
以下、本形態の全体構成を説明し、次いで各構成部の説明等を順に行う。但し、本発明の技術的範囲は当該形態には限定されない。
≪全体構成≫
はじめに、図1及び2を参照しながら、本形態に係る二重瞼形成用テープの全体構成を説明する。本形態に係る二重瞼形成用テープAは、[粘着成分(粘着成分層、粘着剤層)/多層基材層/粘着成分](尚、多層基材層とは、基材/粘着成分/基材という構造を有する、基材及び粘着剤層からなる層である。)として、基材と粘着成分とからなる構成を有する両面粘着テープ100と、両面粘着テープ100の粘着成分を外部の汚れ等から保護する(使用前)と共に把持箇所(使用時)となる、両面粘着テープ100の両面に適用された粘着面保護シート200(210及び220)と、を有する。以下、各構成部を詳述する。
<両面粘着テープ>
{両面粘着テープ/全体構成}
図2に、本形態において適用可能な両面粘着テープの一形態を示す。両面粘着テープ100は、基材120E/粘着成分120A/基材120Uという構造である多層基材層120と、当該多層基材層120の上面と底面にそれぞれ適用された、粘着成分110a及び110bと、を有している(両面粘着テープ100は、粘着成分110a/基材120E/粘着成分120A/基材120U/粘着成分110bという構成となる)。以下、両面粘着テープ100の構成要素である、粘着成分110a、粘着剤層110b及び多層基材層120(基材120E、基材120U、粘着成分120A)に関して各々詳述する。
(両面粘着テープ/構成要素/粘着成分110a)
・材質、物性
最外層である粘着成分110aは、主成分(主ポリマー)が、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体であることが好適である。加えて、当該主ポリマーがウレタン結合を介して架橋していることが好適である。粘着成分110aをこのような成分とすることにより、下記三点の性質を備えることが出来る。一点目は、使用時(両面粘着テープ領域形成段階、両面粘着テープ領域については後述)を想定した、基材に引張力が印加される際に求められる性質である。具体的には、基材が引っ張られた際に追従して適度に伸びる粘弾性を有する必要がある。二点目は、適度に高められた粘着性を有することである。三点目は、使用時(瞼への適用段階)を想定した、瞼への付着適合性と、油脂、汗及び涙への耐付着低減性(持続性)である。ここで、(メタ)アクリル酸エステルとしては、好適には、アルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの内、より高い効果の実現の観点からは、(メタ)アクリル酸エステルとして(メタ)アクリル酸イソオクチルが好適である(特にアクリル酸イソオクチル)。ここで、アクリルポリマーを構成するモノマーの主成分である(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の重量比{(メタ)アクリル酸エステル:(メタ)アクリル酸}が、好適には70:30であり、より好適には85:15〜99:1であり、更に好適には92.5:7.5〜99:1であり、特に好適には95:5〜99:1である。加えて、最外層である粘着成分110aは、その他の成分(例えば、ロジンエステル系樹脂のような粘着付与樹脂、パラ置換ベンゼン骨格を有する成分)を含有していてもよい。特に、理由は定かでないが、本発明に係る粘着剤組成物中にパラ置換ベンゼン骨格を有する成分を含有すると、本発明が求める効果がより向上することが確認されている。また、粘着成分110aは、その他の成分として、ベンゾトリアゾール系化合物{特には、2−(2’ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール}を含有することが好適である。当該ベンゾトリアゾール系化合物を添加することにより、アクリル系粘着成分の耐候性(耐熱性、耐光性等)を向上させ、保存時や使用時における劣化を防ぎ、長期に渡り初期(製造時)の粘着力を維持することが可能となる。ここで、本発明者は、2−(2’ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを、特定比(質量比で70:30〜99:1)で重合させた特定のアクリル系ポリマー{(メタ)アクリル酸イソオクチルと(メタ)アクリル酸との共重合体}に配合することで、より有効であることを見出した。具体的には、(メタ)アクリル酸イソオクチル(メタ)アクリル酸との共重合体が有する耐候性{耐熱性や耐水性(皮脂、汗、涙等への耐久性)}を更に向上させることが可能となる。更に、2−(2’ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールは耐揮散性を有するため、長期保存を行った場合にも、当該耐候性を発揮することが出来る。尚、主成分であるアクリルポリマーの構成モノマーにおける、ポリマーの構成比は、後述の<測定方法1>及び<測定方法2>に従って分析されるものである。また、粘着成分における主成分であるアクリルポリマー含有量は、好適には50〜99重量%であり、より好適には75〜98重量%であり、さらに好適には90〜97.5重量%であり、特に好適には92.5〜97.5重量%である。尚、粘着成分110aとして、ベンゾトリアゾール系化合物{特には、2−(2’ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール}を配合する際、その配合量としては、主成分であるアクリルポリマーの配合量等に合わせて適宜選択すればよく、好適には0.0001〜1質量%、より好適には0.001〜0.5質量%である。ここで、主成分であるアクリルポリマーの含有量は、後述の<測定方法2>におけるメタノール不溶分である。また、180度方向剥離力は、好適には7.5〜27N/25mmであり、より好適には9.0〜22N/25mmであり、更に好適には10.5〜17N/cmである。ここで、当該数値は、対ステンレス板(SUS 304 BA)厚さ25μmPETフィルム裏打ち、圧着2kgローラー、1往復、室温20分養生、引張速度300mm/分での測定値である(10回平均)。
<測定方法1>
ホットプレート上にメタノール30ml及び粘着成分(粘着剤層)0.102gを注入したビーカーを載せ、ホットプレートの設定温度を50℃とし、30分加熱し加熱メタノール抽出を行う。その後メタノールを不溶分と可溶分に分離し、それぞれを秤量する(5回平均)。
<測定方法2>
<測定方法1>の加熱メタノール不溶分に関して13CNMR及びHNMR測定を行う。測定装置としては、Bruker Biospin AVANCEIII−600 with Cryo Probeを用いた。尚、詳細な測定条件は実施例にて示す通りである。尚、NMR測定においては、粘着成分全体に対する分析を行うことでも、ある程度の成分分析が可能であるが、当該加熱メタノール不溶分に対する分析により、より詳細な情報を得ることが可能である。
・構造
粘着成分110a(粘着成分層110a)の厚さは、前述した三点の性質に大きく影響を与える。そのため、粘着成分の厚さは、好適には0.005〜0.05mmであり、より好適には0.0075〜0.045mmであり、更に好適には0.01〜0.045mmであり、特に好適には0.015〜0.0425mmである。
(両面粘着テープ/構成要素/粘着成分110b)
・材質、物性
両面粘着テープにおいて、粘着成分110aとは異なる面に配された最外層である粘着成分110b(粘着成分層110b)の材質としては、A成分としての(メタ)アクリル酸エステルと、B成分としての(メタ)アクリル酸と、C成分としての当該(メタ)アクリル酸エステル及び当該(メタ)アクリル酸とは異なるエチレン性不飽和モノマーと、を少なくとも含むアクリル系粘着剤層であることが好適である。ここで、A成分としての(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。C成分としての(メタ)アクリル酸エステル及び当該(メタ)アクリル酸とは異なるエチレン性不飽和モノマーは、より詳細には、下記のものであってもよい。即ち、スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族系ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有不飽和モノマー、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー、例えば、ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー、例えば、塩化ビニルなどのハロゲン原子含有不飽和モノマー、その他、例えば、N−ビニルピロリドン、N−(1−メチルビニル)ピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどのビニル基含有複素環化合物、などが挙げられる。また、共重合性ビニルモノマーとしては、官能基含有ビニルモノマーが挙げられ、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの水酸基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチルなどのアミノ基含有不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有不飽和モノマー、例えば、アクリロニトリルなどのシアノ基含有不飽和モノマー、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有不飽和モノマー、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸などのスルホン酸基含有不飽和モノマー、例えば、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系モノマー、例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマーや、多官能性モノマー、例えば、(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなども挙げられる。その他にも、アルコキシシリル基含有ビニルモノマーであってもよく、例えば、シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーや、シリコーン系ビニルモノマーなどが挙げられる。これらの組み合わせ中、A成分としての(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル及び/又は(メタ)アクリル酸イソオクチル(特に、アクリル酸ブチル+アクリル酸−2−エチルヘキシルの組み合わせ;B成分としての(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸;C成分としての当該(メタ)アクリル酸エステル及び当該(メタ)アクリル酸とは異なるエチレン性不飽和モノマーとしては、ビニル基含有複素環化合物及び/又はアミド基含有不飽和モノマー(特に、ビニルピロリドン+ジメチルアクリルアミドの組み合わせ)、の組み合わせが好適である。
ここで、粘着成分120bにおける、(メタ)アクリル酸エステル(A成分)と、(メタ)アクリル酸(B成分)と、当該(メタ)アクリル酸エステル及び当該(メタ)アクリル酸とは異なるエチレン性不飽和モノマー(C成分)の配合比(重量比)としては、A:B:Cが、70〜95:1〜10:1〜20であることが好適であり、80〜95:1〜7.5:3.5〜15がより好適であり、85〜92.5:1.5〜4.5:5〜12.5が更に好適であり、87.5〜90.5:2〜4:6.5〜10が特に好適である。
・構造
粘着成分110bの厚さは、二重瞼形成能(例えば、前述した3点の性質)に大きく影響を与える。そのため、粘着成分の厚さは、好適には0.005〜0.05mmであり、より好適には0.0075〜0.045mmであり、更に好適には0.01〜0.045mmであり、特に好適には0.015〜0.0425mmである。
(両面粘着テープ/構成要素/多層基材層120)
・材質
前述のように、多層基材層120は、基材120E/粘着成分120A/基材120Uという構造を有する。以下、多層基材層110の材質及び物性として、その構成要素である基材120E、基材120U及び粘着成分120Aの材質に関して説明する。
先ず、多層基材層120の構成要素である、基材120Eの材質等に関して説明する。基材120Eの材質は、ポリエチレンであることが好適である。ここで、ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(密度範囲:930〜970kg/m程度)、中密度ポリエチレン(密度範囲:930〜970kg/m程度)、低密度ポリエチレン(密度範囲:910〜930kg/m程度)、のいずれでもよい。これらの内、本発明の粘着剤{特に、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体、更には、当該共重合体がウレタン結合を介して架橋している成分}との関係で、本発明の効果を実現するために最も相性がよいのが、低密度ポリエチレンである。ここで、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び直鎖状(線状)低密度ポリエチレンに関しては、周知手法の通り、例えば、50〜250℃、常圧〜20MPaで重合させることにより得られる。また、低密度ポリエチレンに関しては、周知手法の通り、例えば、150〜350℃、100〜350MPaで重合させることにより得られる。また、基材をDSC分析した際の、昇温時の融解ピークトップ温度は、好適には90〜150℃であり、より好適には95〜145℃であり、特に好適には100〜140℃である。また、降温時における結晶化ピークトップ温度(主ピークトップ温度)は、好適には80〜140℃であり、より好適には85〜135℃であり、特に好適には90〜130℃である。更に、再昇温時における融解ピークトップ温度は、好適には90〜150℃であり、より好適には95〜145℃であり、特に好適には100〜140℃である。尚、これらのピークトップ温度は、後述の<測定方法3>に記載する方法で測定される。
<測定方法3>
基材を約2〜3mgアルミ製容器に入れ、クリンプしたものに関してDSC分析を行う。測定条件としては、装置:TA Instrument Q−2000、測定速度:10℃/min、温度プログラム:−30℃→180℃→−30℃→180℃、雰囲気:窒素ガス(50ml/min)である。
次に、多層基材層120の構成要素である、基材120Uの材質等に関して説明する。基材120Uとしては、ポリウレタンであることが好適である。ここで、当該ポリウレタンとしては、一般に、ポリイソシアネートとポリオールを合成させた化合物であって、イソシアネート基を有する化合物と、水酸基を有する化合物とが、ウレタン結合を介して結合した構造である限り特に限定されないが、芳香族含有ポリウレタンであることがより好適である。芳香族含有ポリウレタンは、例えば、ポリイソシアネートを芳香族イソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の公知のイソシアネート)として合成することで得ることが出来る。尚、ポリオールとしては、ウレタン形成において通常用いられる公知のものを使用可能であり、例えば、ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリマータイプのポリオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸等からなるカルボキシル基含有ポリオール等が挙げられる。
更に、多層基材層120の構成要素である、粘着成分120Aの材質等に関して説明する。粘着成分120Aは、主成分(主ポリマー)が、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体であることが好適である。加えて、当該主ポリマーがウレタン結合を介して架橋している成分であることが好適である。ここで、(メタ)アクリル酸エステルとしては、好適には、アルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの内、より高い効果の実現の観点からは、(メタ)アクリル酸エステルとして(メタ)アクリル酸イソオクチルが好適である(特にアクリル酸イソオクチル)。ここで、アクリルポリマーを構成するモノマーの主成分である(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の重量比{(メタ)アクリル酸エステル:(メタ)アクリル酸}が、好適には70:30であり、より好適には85:15〜99:1であり、更に好適には92.5:7.5〜99:1であり、特に好適には95:5〜99:1である。加えて、粘着成分120Aは、その他の成分(例えば、ロジンエステル系樹脂のような粘着付与樹脂、パラ置換ベンゼン骨格を有する成分)を含有していてもよい。特に、理由は定かでないが、本発明に係る粘着剤組成物中にパラ置換ベンゼン骨格を有する成分を含有すると、本発明が求める効果がより向上することが確認されている。また、粘着成分120Aは、その他の成分として、ベンゾトリアゾール系化合物{特には、2−(2’ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール}を含有することが好適である。当該ベンゾトリアゾール系化合物を添加することにより、アクリル系粘着成分の耐候性(耐熱性、耐光性等)を向上させ、保存時や使用時における劣化を防ぎ、長期に渡り初期(製造時)の粘着力を維持することが可能となる。ここで、本発明者は、2−(2’ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを、特定比(質量比で70:30〜99:1)で重合させた特定のアクリル系ポリマー{(メタ)アクリル酸イソオクチルと(メタ)アクリル酸との共重合体}に配合することで、より有効であることを見出した。具体的には、(メタ)アクリル酸イソオクチル(メタ)アクリル酸との共重合体が有する耐候性{耐熱性や耐水性(皮脂、汗、涙等への耐久性)}を更に向上させることが可能となる。更に、2−(2’ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールは耐揮散性を有するため、長期保存を行った場合にも、当該耐候性を発揮することが出来る。粘着成分120Aにおける主成分であるアクリルポリマー含有量は、好適には50〜99重量%であり、より好適には75〜98重量%であり、さらに好適には90〜97.5重量%であり、特に好適には92.5〜97.5重量%である。尚、粘着成分120Aとして、ベンゾトリアゾール系化合物{特には、2−(2’ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール}を配合する際、その配合量としては、主成分であるアクリルポリマーの配合量等に合わせて適宜選択すればよく、好適には0.0001〜1質量%、より好適には0.001〜0.5質量%である。また、180度方向剥離力は、好適には7.5〜27N/25mmであり、より好適には9.0〜22N/25mmであり、更に好適には10.5〜17N/cmである。
・構造
多層基材層120の厚さは、好適には0.05〜0.3mmであり、より好適には0.05〜0.25mmであり、特に好適には0.05〜0.2mmである。
{両面粘着テープ/構造}
(両面粘着テープ/全体の厚さ)
両面粘着テープの厚さは、多層基材層120(基材120E、粘着成分120A、基材120U)及び粘着成分(粘着成分110a、粘着成分110b)を合わせて、二重瞼形成能(例えば、前述した三点の性質)に大きく影響を与える。そのため、両面粘着テープの厚さは、好適には0.05〜0.35mmであり、より好適には0.05〜0.3mmであり、特に好適には0.075〜0.275mmである。
(両面粘着テープ/各層の厚さ/基材120E)
基材120Eの厚さは、二重瞼形成能(例えば、前述した3点の性質)に大きく影響を与える(特に破断強度向上の観点から)。そのため、基材120Eの厚さは、好適には0.005〜0.5mmであり、より好適には0.0075〜0.3mmであり、更に好適には0.01〜0.2mmであり、特に好適には0.025〜0.125mmである。
(両面粘着テープ/各層の厚さ/基材120U)
基材120Uの厚さは、二重瞼形成能(例えば、前述した3点の性質)に大きく影響を与える(特に伸縮性を高める観点から)。そのため、基材120Uの厚さは、好適には0.0025〜0.1mmであり、より好適には0.0025〜0.075mmであり、更に好適には0.0025〜0.05mmであり、特に好適には0.005〜0.03mmである。
(両面粘着テープ/各層の厚さ/粘着成分120A)
粘着成分120Aの厚さは、両基材の接着性に大きく影響を与える。そのため、粘着成分の厚さは、好適には0.005〜0.05mmであり、より好適には0.0075〜0.045mmであり、更に好適には0.01〜0.045mmであり、特に好適には0.015〜0.0425mmである。
(両面粘着テープ/基材と粘着成分層の厚さ比)
多層基材層/粘着成分層の厚さ比(多層基材層120厚さ:粘着成分層110a及び粘着成層110bの合計厚さ)は、好適には0.5:1〜10:1であり、より好適には0.5:1〜7.5:1であり、特に好適には0.75:1〜5:1である。
(両面粘着テープ/幅)
両面粘着テープの幅も、二重瞼形成能(例えば、前述した三点の性質)に大きく影響を与える。特に、幅が広すぎると二重瞼形成用テープを瞼に貼付しにくくなり、幅が狭すぎると二重瞼形成用テープの粘着面が十分に確保されない。そのため、両面粘着テープの幅は、好適には1.1〜1.4mmであり、より好適には1.1〜1.35mmであり、特に好適には1.1〜1.3mmである。
(両面粘着テープ/長さ)
両面粘着テープの長さは、長すぎると瞼に二重瞼形成用テープを貼付しにくくなり、短すぎると瞼に二重瞼形成用テープを貼付して形成される二重瞼の横幅が不十分となる。そのため、両面粘着テープの長さは、好適には25〜30mmであり、より好適には26〜29.5mmであり、特に好適には27〜29mmである。
(両面粘着テープ/厚さ・幅・長さ比)
二重瞼形成用テープは、使用段階(両面粘着テープ領域形成時)においては両面粘着テープのみで構成されているため、両面粘着テープの、厚さ、幅、長さの比によって、両面粘着テープ領域の形状が異なる。両面粘着テープ領域の形状が、瞼に配するに適した形状を有さない場合には、十分な二重瞼形成能が得られない。そのため、両面粘着テープの、厚さと幅の比(厚さ:幅)としては、好適には1:8〜1:12であり、より好適には1:8〜1:11.5であり、特に好適には1:8〜1:11である。また、両面粘着テープの、幅と長さの比(幅:長さ)としては、好適には1:20〜1:30であり、より好適には1:20〜1:27であり、特に好適には1:20〜1:25である。
{両面粘着テープ/物性}
両面粘着テープの全体としての塑性変形後のテープ寸法変化特性(荷重解放60秒後)は、変形量100%の場合には、好適には110〜150%であり、より好適には115〜145%であり、更に好適には120〜140%であり、変形量150%の場合には、好適には150〜240%であり、より好適には160〜210%であり、更に好適には170〜190%である。ここで、当該数値は、下記方法により測定される。尚、当該値は、10回の平均値である。
<測定方法4>
まず、両面粘着テープサンプルを25mm幅×200mmにカットする。このときテープの長さ方向がテストサンプルの長手方向となるようにする。そして、サンプルの中心に50mmの間隔で標線を引く(図6参照)。100mmの間隔で定速引張試験機に固定する。次に、300mm/分の速さで、100%、150%の変形を与えた後、荷重を解放しフリーの状態として60秒放置する。そして、引張前、引張直後、荷重解放60秒後の3度のタイミングで標線間の間隔を金尺で測定し、記録する。
また、両面粘着テープの全体としての比例限度は、好適には5〜25N/25mm、より好適には7.5〜20N/25mm、更に好適には10〜15N/25mmである。ここで、当該数値は、下記方法により測定される。尚、当該値は、10回の平均値である。
<測定方法5>
まず、幅25mm×長さ150mmのサンプルを切り出し、長さ方向に100mmの間隔で定速引張試験機に固定する。そのあと、300mm/分の速さで引張り、その際の変形と荷重を記録する。そして、当該変形−荷重曲線から、荷重と歪とが比例関係にある最大荷重を比例限度とする。
<粘着面保護シート>
{粘着面保護シート/構造}
(粘着面保護シート/構造/加工)
粘着面保護シート200は、両面粘着テープの粘着成分を保護すると共に、両面粘着テープ領域を瞼に適用する際には把持箇所としても機能する。従って、両面粘着テープ領域を瞼に適用する際には粘着面保護シートが阻害なく分断し保持箇所となるために、粘着面保護シート200に、溝加工、切り込み加工、切り取り線加工及び切断加工等の易分離加工を設けてもよい。ここで、粘着面保護シート200は、外側面(両面粘着テープと接触しない面)に凹凸加工等の滑り止め加工がされていてもよい。更に、粘着面保護シート200の内側面(両面粘着テープと接触する面)には、両面粘着テープの粘着面と干渉し難くなるような表面加工を施すことが好適である。当該粘着面保護シート表面に施す表面加工としては研磨加工、切削加工、表面コート等特に限定されず、例えば鏡面加工が挙げられる。粘着面保護シートの内側面は、シボ仕上(細かい凹凸加工)が施されていたり、元々の細かい凹凸等が存在するような、粗面となっている場合がある。そのような粘着面保護シートに両面粘着テープを適用した際には、当該凹凸部等に両面粘着テープの粘着成分が入り込み、粘着面保護シートと両面粘着テープが密着してしまう。従って、テープを延伸させた際に、両面粘着テープを巻き込んで粘着面保護シートが分断される。その結果、両面粘着テープに負荷が加わり、両面粘着テープが破断したり、両面粘着テープに粘着成分のダマが形成される等、粘着成分の不均一により粘着力及び透明度が低下してしまう{図7(2)参照、黒丸で囲われた白色点は粘着成分のダマを示す}。対して、粘着面保護シートの内側面を平滑となるよう加工することで、テープを延伸させる際に、両面粘着テープに負荷をかけずに伸長出来るため、両面粘着テープの破断を防ぐことが可能となる。更に、両面粘着シートの粘着成分が均一な状態に保たれるため、粘着力及び透明度の高い二重瞼形成用テープを実現出来る{図7(1)参照}。更に、粘着面保護シートの表面には、製造過程等においてシリコーンゴムの表面を保護するための保護フィルムが配してあってもよい。当該保護フィルムは、両面粘着テープの粘着成分と粘着面保護シートの密着性を阻害するために好適に作用する。
(粘着面保護シート/構造/厚さ)
粘着面保護シートは、両面粘着テープの粘着成分を保護すると同時に二重瞼形成用テープの把持箇所として機能するため、外部からの汚れなどを可能な限り防ぎつつも、持ちやすく使いやすい厚さであることが望ましい。そのため、粘着面保護シートの厚さは、粘着面保護シートの表面に前記保護フィルムを配する場合は当該フィルムの厚さも含め、好適には0.2〜0.5mmであり、より好適には0.2〜0.45mmであり、特に好適には0.2〜0.4mmである。尚、粘着面保護シートの表面に保護フィルムを配する場合、保護フィルムの厚さは、好適には0.01〜0.1mmであり、より好適には0.025〜0.085mmであり、特に好適には0.04〜0.07mmである。
(粘着面保護シート/構造/幅)
粘着面保護シートの幅としては、両面粘着テープの幅と合わせて、両面粘着テープ領域を形成する前の状態の両面粘着テープ100を過不足なく覆う態様が望ましい。
(粘着面保護シート/構造/長さ)
粘着面保護シートの長さとしては、両面粘着テープの形状と合わせて、両面粘着テープ領域を形成する前の状態の両面粘着テープ100を過不足なく覆う態様が望ましい。
{粘着面保護シート/材質、物性}
粘着面保護シートは、両面粘着テープの粘着成分を保護すると同時に二重瞼形成用テープの把持箇所として機能するため、両面粘着テープの粘着成分とは干渉せず、外部からの汚れなどを可能な限り防ぎ、また、指で摘んだ際に滑りにくく把持しやすい材質であることが望ましい。よって、粘着面保護シートの材質としては、本発明に係るアクリル系粘着剤を使用する場合には、硬度40°以上のシリコーンゴムが好適であり、硬度50°以上のシリコーンゴムが好適であり、硬度60°以上のシリコーンゴムが好適である。ここで、当該硬度は、JIS K 6253準拠のデュロメータで測定した値である。尚、上限値は特に限定されないが硬度80°である。尚、粘着面保護シートの表面に保護フィルムを配する場合、表面保護フィルムの材質としては特に限定されないが、好適には熱可塑性樹脂であり、より好適にはポリエステルであり、特に好適にはPETフィルムである。
≪製造方法≫
本実施形態に係る二重瞼形成用テープAの製造方法は、特に限定されないが、両面粘着テープ及び粘着面保護シートの、シート状体を巻き取ったロール原反から、それぞれのシート状体を引き出し重ねて、シート状積層体を形成した後、当該シート状積層体を打ち抜き(例えば平圧式3ヘッド打ち抜き)により所望の大きさに形成することが好適である(平圧式3ヘッド打ち抜きの概念は図8参照)。当該製造方法によれば、連続的にテープを形成する手法であるため、粘着力にムラのない二重瞼形成用テープAを安定して形成することが可能となる。
ここで、両面粘着テープの製造方法を説明する。当該製法は、粘着剤層110a(粘着剤層120A)及び粘着剤層110bの製法を含み、粘着剤層110a(粘着剤120A)の製法として、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体をイソシアネート系架橋剤で架橋させる工程を含んでいてもよい。ここで、「イソシアネート系架橋剤」は、特に限定されず、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどの分子中に二個以上のイソシアネート基を有する化合物;それらをトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールと付加反応させた化合物やイソシアヌレート化合物、ビュレット型化合物、さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンなどと付加反応させたウレタンプレポリマー型の分子内に二個以上のイソシアネート基を有する化合物を挙げることができる。また、配合量は、例えば、アクリル系ポリマー100重量部に対し、好適には0.05〜10重量部であり、より好適には0.05〜5重量部であり、更に好適には0.1〜2.5重量部であり、特に好適には0.1〜1重量部である。このような原料組成物をトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤に溶解したものを、常法により基材に塗布した後、70〜120℃、好ましくは90〜110℃の乾燥温度で乾燥させて架橋させることにより、粘着剤層を形成することができる。また、粘着剤層110bの製法として、(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸と、前記(メタ)アクリル酸エステル及び前記(メタ)アクリル酸とは異なるエチレン性不飽和モノマーと、を通常の手法にて共重合させる工程を含む。
≪使用方法(用途)≫
図3〜5を用いて、二重瞼形成用テープAの瞼への使用方法(貼付方法)を詳述する。図3に見られるように、粘着面保護シート210及び220を摘み、二重瞼形成用テープA全体を左右に延伸させる。この際、粘着面保護シートは把持部へと分離し、両面粘着テープのみからなる箇所すなわち両面粘着テープ領域300と、把持部410及び420と、が形成される。次に、図4に見られるように、当該両面粘着テープ領域300を、二重瞼形成箇所に配し固定した後、図5のように、把持部を切除する。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例を詳述する。尚、本発明の技術的範囲は本実施例には限定されない。
≪実施条件≫
本実施例における基本的な構成は図1及び図2に示す通りである。
まず、基材120E(4層目基材層)としては、厚さ80μmの低密度ポリエチレン(密度:917kg/m、23℃)を使用した。本実施例における基材の物性として、<測定方法3>に係るDSC分析により、昇温時(図9)、降温時(図10)及び再昇温時(図11)における熱履歴が得られた。昇温時、降温時及び再昇温時のピークトップ温度特性をまとめたものを表1に示す。また、基材120U(2層目基材層)としては、厚さ15μmの芳香族含有ポリウレタンを使用した。これら、基材120Eと基材120Uとを、粘着成分120A(3層目粘着剤層)を介して接合した(粘着成分120Aの厚さは30μm)。尚、当該粘着成分120Aは、後述の粘着成分110aと略同一である。両面粘着テープ100の最外層に配された粘着成分のうち、粘着成分110a(5層目粘着剤層)としては、アクリル酸イソオクチル約98重量%及びアクリル酸約2重量%を構成モノマーとしたアクリルポリマーと、イソシアネート系架橋剤と、その他の成分(パラ置換ベンゼン骨格を有する成分)が、アクリルポリマー:イソシアネート系架橋剤等が重量比にておよそ94:6となるよう配合された粘着剤(粘着力:14N/25mm)を使用した(粘着成分110aの厚さは30μm、粘着成分110bの厚さは30μm)。尚、原料組成物中のイソシアネート系架橋剤の量は約0.3重量%とした。また、両面粘着テープ100の、粘着成分110aとは異なる面に配された粘着成分110b(粘着剤層1)としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸、ジメチルアクリルアミド及びビニルピロリドンを、重量比{(アクリル酸ブチル+アクリル酸−2−エチルヘキシル):アクリル酸:(ジメチルアクリルアミド+ビニルピロリドン)}が、89:3:8となるように配合された粘着剤を使用した。ここで、本実施例に係る粘着成分構成要素の測定方法及び分析結果を述べる。まず、先述の<測定方法1>に係る加熱メタノール抽出により、粘着成分を、不溶分と可溶分に分離する(1層目粘着剤層+3層目粘着剤層の加熱メタノール抽出結果と、5層目粘着剤層の加熱メタノール抽出結果を、表2及び表3に示す)。次に、当該成分に対して先述の<測定方法2>に係るNMRスペクトル分析を行うことで、ポリマーの構成モノマー組成比を分析し、合わせて、本実施例においては、粘着成分のIRスペクトル分析を行った。当該実施例における基材及び粘着剤層のIRスペクトル分析結果、及び、粘着成分の、<測定方法2>に係るNMRスペクトル分析結果を、図12〜27に示す(詳細な分析対象及び分析条件は、図中に記載された通りである)。尚、図27においては、試料約10mgに1mlメタノールを加えて、高温メタノール分解(280℃×1h)を行い、この高温メタノール分解液について、GC/MS測定を行っている。このように、本実施例に係る基材の熱履歴特性及び粘着成分の含有量比等は図に示す通りのものであり、例えば、図16のIRチャートから、ウレタン結合を介してアクリルポリマーが架橋していることが分かる。尚、本実施例においては、粘着剤層/基材/粘着剤層/基材/粘着剤層の5層構造において、3層目粘着剤層と5層目粘着剤層をほぼ同一の材質としている。そのため、表中、1層+3層目を試料として解析を行っているデータに関して、当該データと、5層目と、の解析データの差分を考慮することにより、実質的に1層目の分析を行うことが出来る。
ここで、粘着成分110を両面に有する基材120(図2に示す両面粘着テープ100)に関し、前述の<測定方法4>に基づき、塑性変形後のテープ寸法変化特性を試験した。その結果を表4に示す。同様に、粘着成分110を両面に有する基材120に関し、前述の<測定方法5>に基づき、比例限度を測定した。その結果を図15に示す。図28から、本実施例に係る両面粘着テープの比例限度は、約12N/25mmであった。
次に、基材120の両面に粘着成分(層)110が適用された積層体(両面粘着テープ100)の、粘着成分(層)上に、粘着成分(層)と接触する側の面に鏡面加工が施されたシリコーンゴム(厚さ:0.25mm、硬度:70°)の両面にPETフィルム(厚さ:0.05mm)を設けて形成された粘着面保護シート210及び220(厚さ:0.35mm)を貼付し、積層体を得た。両面粘着テープ100並びに粘着面保護シート210及び220は、ロール状の原反から引き抜かれたシート状体であるため、当該積層体は連続的な面を有する板状となる。その後、図1に示すように、側断面の略中央に易分離加工を施した箇所が配されるよう、当該積層体を平圧式3ヘッド打ち抜き機にて切断し、本実施例に係る二重瞼形成用テープA(幅:1.2mm、長さ:28mm)を得た。
A:二重瞼形成用テープ
100:両面粘着テープ
110a〜110b:粘着成分層
120:多層基材層
120E、120U:基材
120A:粘着成分層
210、220:粘着面保護シート
300:両面粘着テープ領域
410、420:把持部

Claims (1)

  1. 基材と、前記基材上に設けられている粘着成分層と、を少なくとも有し、前記基材を延伸させると共に塑性変形させて使用する二重瞼形成用テープにおいて、
    前記粘着成分層が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして少なくとも(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルと、(メタ)アクリル酸と、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び前記(メタ)アクリル酸とは異なるエチレン性不飽和モノマーとして少なくともビニルピロリドンと、を少なくともモノマー成分として含む組成物を共重合して得られた共重合体を含む
    ことを特徴とする二重瞼形成用テープ。
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