JP6007156B2 - 温度調節機能を有する織編物及び該織編物を用いた衣服 - Google Patents

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本発明は、温度調節機能を有する織編物に関するものであり、特に、冬用のスポーツウェアなどに用いる織編物及び該織編物を用いた衣服に関する。
冬用の衣服には、暖かいという機能性が求められる。例えば特許文献1に記載されているように、熱線吸収性を付与したコーティング剤を糸又は布にコーティングし、被覆層を防寒衣服の裏側に形成することにより、熱線吸収性を付与した冬用の衣料品が知られている。
一方、夏用の衣服には、涼しいという機能性が求められる。例えば特許文献2に記載されているように、熱遮蔽効果を有する無機化合物と、吸放湿性の高い樹脂バインダーとを組み合わせた加工剤を繊維製品に固着させることにより太陽熱を遮蔽し、さらに、溶解吸熱性を有する糖アルコール類を併用することにより着用快適性を向上させる夏用の繊維製品が知られている。
特開平8−325478号公報 特開2008−81876号公報
上述のように特定の機能を有する機能性物質には、織編物を暖かくするもの、その反対に織編物を涼しくするものが存在し、季節に応じて選択される機能性物質は明確に分かれている。技術開発の方向性は、季節に応じて織編物の機能性を更に向上させること、すなわち冬用であれば織編物をより暖かくすること、夏用であれば織編物をより涼しくすることである。このように、機能性物質は、夏用あるいは冬用に使い分けられている。
本発明は、夏用あるいは冬用というような既存の用途にこだわることなく、機能性物質の新たな用途を提案し、これにより、今までになかった新規な織編物、及び該織編物を用いた新しい衣服を提供することを目的とするものである。
上述のように、機能性物質は、夏用あるいは冬用に完全に使い分けられており、例えば織編物を暖かくするもの(アンチモンドープ酸化スズおよび/またはスズドープ酸化インジウム)と、その反対に織編物を涼しくするもの(負の水和熱を持つ糖アルコール)とを混合して同じ織編物に用いることは当業者の技術常識としては考えられない。一方、冬場において暖かくする機能性が添加された織編物を身に付けることは、屋外でじっとしている場合には快適であるが、暖房の効いたデパート内や車両内にいる場合、あるいはスポーツをしている場合において発汗するような状況ではむしろ苦痛である。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記問題点を解決できることを見出し、本発明に到達した。
本発明に係る織編物は、特に冬季屋外用のスポーツウェア素材として有用であり、本来は相反する機能を有する夏用の機能性物質と冬用の機能性物質とを組み合わせることにより、蓄熱保温性を備え、且つ運動中の発汗に反応して涼感効果を得る事ができ、さらに発汗停止後は、再び素早く蓄熱保温性が発動することにより、運動前、運動中及び運動後に亘り適度な衣服内温度を保つ事ができる。さらには、本発明に係る織編物においては、吸光効果を高めた繊維素材を適切な場所に配置したり、汗の拡散をコントロールする編織構造にすることにより、機能加工と機能性素材の相乗効果によって該各機能を最大限に発揮させ得るに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
本発明に係る織編物は、アンチモンドープ酸化スズおよび/またはスズドープ酸化インジウム、及び負の水和熱を持つ糖アルコールが付着していることを特徴とする。
また織編物において、前記アンチモンドープ酸化スズおよび/またはスズドープ酸化インジウムが、合計で1.5〜15g/m付着し、前記糖アルコールが、4〜25g/m付着していることが好ましい。
また織編物において、前記織編物は、複数の層からなる多層構造であり、表層は、裏層よりも、単糸繊度が小さく、且つ金属酸化物を多く含有することが好ましい。
また織編物において、前記表層は、単糸繊度が0.3dtex以上、2.5dtex以下のポリエステルフィラメント糸からなり、且つ前記金属酸化物を1.0〜5.0質量%含有し、前記裏層は、前記表層よりも、単糸繊度が0.1dtex以上、1.5dtex以下だけ大きいポリエステルフィラメント糸からなり、且つ前記金属酸化物を0〜0.8質量%含有することが好ましい。
上記織編物を用いた衣服であって、前記織編物は、複数の層からなる多層構造であり、該衣服の裏側最外層は、該衣服の表側最外層よりも、単糸繊度が小さいことが好ましい。
また衣服において、前記裏側最外層は、単糸繊度が0.3dtex以上、2.5dtex以下のポリエステルフィラメント糸からなり、前記表側最外層は、前記裏側最外層よりも、単糸繊度が0.1dtex以上、1.5dtex以下だけ大きいポリエステルフィラメント糸からなることが好ましい。
また衣服において、前記裏側最外層は、前記表側最外層よりも、金属酸化物を多く含有することが好ましい。
また衣服において、前記裏側最外層は、前記金属酸化物を1.0〜5.0質量%含有し、前記表側最外層は、前記金属酸化物を0〜0.8質量%含有することが好ましい。
本発明に係る織編物は、動作の小さい状態では、アンチモンドープ酸化スズやスズドープ酸化インジウムが備える吸光蓄熱効果により、着用者に暖かさを感じさせる事ができる。一方動作の大きい状態では、発汗により負の水和熱を持つ糖アルコールが吸水吸熱効果を発揮して温度上昇を押さえ、暑さを抑制し着用者に涼感を与える事ができる。
また、再び動作の小さい状態に戻ると、発汗停止により吸水吸熱効果は衰え、素早く吸光蓄熱効果を発揮することにより汗冷えを軽減させると同時に、乾燥を促進することができる。特に該織編物は、発汗時に暑さを抑制するので、汗量を減らすことも期待できるため、着用者の不快感を大きく軽減する事ができる。
本発明に係る織編物を、冬用のスポーツウェアに用いた場合には、特に有用である。
冬季野外スポーツにおいて、通常競技者は通常、運動前にはスポーツウェアの上にベンチコートなどの上着を着ておき、運動直前、あるいは運動初期に上着を脱ぎ、運動後には再び上着を着ることにより温度調整をしている。
しかしながら、競技中に頻繁に上着を脱いだり着たりするのは面倒であるし、競技中に上着を脱いだり着たりできない種目もあり、また競技者は上着を脱いだ直後や運動直後にはやはり寒いという問題がある。
本発明に係る織編物を、冬用のスポーツウェア等の衣服に用いた場合には、運動前や運動後には暖かく、運動中には涼しく快適であるので、上記のような問題が大幅に軽減される。
照射試験の概要を示す概略図である。 照射試験の結果の一部を示すグラフである。 実施例で使用する生地の編組織を示す概略図である。
本発明に係る織編物は、アンチモンドープ酸化スズおよび/またはスズドープ酸化インジウム、及び負の水和熱を持つ糖アルコールが付着していることを特徴とする。ここで、アンチモンドープ酸化スズおよび/またはスズドープ酸化インジウムが、1.5〜15g/m付着していることが好ましい。また、糖アルコールが、4〜25g/m付着していることが好ましい。
(実施形態1)
実施形態1に係る織編物は、冬季屋外スポーツにおいて、冬用のスポーツウェアなどの衣服に用いる生地である。なお、冬季屋外スポーツとは気温が20℃を下回るような環境下での屋外スポーツを指す。また、安静時とは、比較的運動量が少なく汗をかいていない状態をいい、運動中とは、運動量が増加して体温が上昇し液相の汗をかく状態のことをいう。
<酸化錫系微粒子>
実施形態1に係る織編物は、安静時に、冬季の野外にて太陽光の熱線を吸収することにより蓄熱して暖かさを得るために、吸光蓄熱性のある物質を布帛に付着させる。吸光蓄熱性のある物質として、実施形態1では、錫ドープ酸化インジウム(以下「ITO」と記す)又はアンチモンドープ酸化錫(以下「ATO」と記す)のような酸化錫系微粒子を用いる。
ITOやATOは、適度な熱伝導性を持ち、プラズマ振動数が近赤外域にあるため、可視光に対して透明であり、且つ近赤外線に対して不透明であるという性質を持つ。従って、ITOやATOを織編物に付着させても、可視光全域を遮ることがないため、特に様々な色に着色するカラフルな衣料品に用いるのに適している。
実施形態1で使用する酸化錫系微粒子は、平均一次粒子径が0.1μm以下であることが好ましく、0.04μm以下であることがより好ましい。酸化錫系微粒子の平均一次粒子径が0.1μmを超えると、可視光線を散乱し透明度が低下するため、このような微粒子を付着させた糸もしくは布地の意匠性が著しく低下する。酸化錫系微粒子の平均一次粒子径が0.1μm以下であれば可視光を散乱せず、0.04μm以下であれば無色透明と同等になり、糸もしくは布地の意匠性へ悪影響を与えることがない。
なお平均一次粒子径が0.1μm以下の酸化錫系微粒子は、一般的な粉砕法では製造することができないので、ゾル−ゲル法、共沈法、熱分解法及び気相合成法等の方法によって製造した粒子を使用する。
酸化錫系物質を0.1μm以下の微粒子にするために使用できる装置としては、サンドミル、ロールミル、アトライターミル、ボールミル、インペラミル、超音波分散機及び高速流体分散機等の解砕力の高い分散機が適している。
<ATOおよび/またはITOの付着量>
実施形態1に係る織編物は、仕上がりの状態でATOおよび/またはITOが1.5〜15g/m付着していることが好ましく、5〜10g/m付着していることがより好ましい。ATOおよび/またはITOが1.5g/m未満であれば、吸光蓄熱効果により競技者に暖かさを感じさせる事が難しい。ATOおよび/またはITOが15g/mを超えると、加工中において汚れの原因になったり、風合いが硬化したりチョークマークが生じ易くなるおそれがある。
<ATOおよび/またはITOの付着方法>
平均一次粒子径が0.1μm以下の酸化錫系微粒子を、水または有機溶剤に分散させて加工液にし、該加工液を布帛に塗布することが好ましい。水に分散させる際には、該加工液に、酸化錫系微粒子を水に安定に分散させるために各種の界面活性剤を混ぜることが好ましい。
例えば、該界面活性剤には、アルキル硫酸エステル、アルキルりん酸エステル、ポリカルボン酸、脂肪酸、アルキルベンゼンスルフォン酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキルアリル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルりん酸の塩もしくはエステル等の界面活性剤より選ばれた少なくとも一種類を用いることができる。
上記した平均一次粒子径0.1μm以下の酸化錫系微粒子を、上記した界面活性剤と水または有機溶剤に添加し、上記解砕力の高い分散機を用いて、サスペンジョン(懸濁液)を作製することが好ましい。
<糖アルコール>
実施形態1に係る織編物は、運動により体が火照りだした適切な時期に冷却効果を持たせることが必要である。そのため、実施形態1では必須成分として負の水和熱を持つ糖アルコールを布帛に付着させ、該糖アルコールが汗に溶解する際の吸水吸熱効果を利用して、皮膚と衣服間の衣服内気候の温度を低下させ、運動中に競技者に対して涼感を与える。
エリスリトールやキシリトール等の負の水和熱を持つ糖アルコールは、水に溶解する際に溶解熱を吸収し、水溶液の温度を低下させる。各糖アルコールの吸水吸熱効果は、水に対する溶解熱量で示される。例えば、エリスリトールの溶解熱量は−43cal/g、キシリトールの溶解熱量は−38cal/g、マンニトールの溶解熱量は−29cal/g、ソルビトールの溶解熱量は−27cal/g、ショ糖の溶解熱量は−4cal/gである。
実施形態1において使用する糖アルコールは、アルドース又はケトースのカルボニル基を還元して得られる鎖状の多価アルコールと、環状アルコールであるイノシトールである。該鎖状の多価アルコールは、構造中の水酸基の数により、トリイトール(水酸基3)、テトリトール(水酸基4)、ペンチトール(水酸基5)、ヘキシトール(水酸基6)、ヘプチトール(水酸基7)、オクチトール(水酸基8)に分類される。
特に、テトリトール類及びペンチトール類は、水に対する溶解熱(吸熱)が比較的大きいことから、該糖アルコールとして用いるのに適している。例えば、テトリトール類及びペンチトール類の中の、エリスリトール、D,L−トレイトール、D,L−アラビニトール、リビトール(アドニトール)、キシリトール及びD,L−キシリトール等を用いることが好ましく、さらにエリスリトール及びD,L−キシリトールを用いることがより好ましい。
該糖アルコールは、組成中に単糖類を含んでいても良い。該単糖類は、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノース及びデコース等を使用できる。例えば、ヘキソース類の代表的な単糖類は、D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース及びD−フルクトース等である。該糖アルコールの組成中に単糖類が共存する場合において、単糖類の共存比率は70%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。単糖類の共存比率が70%を超えると該糖アルコールの実質濃度が低下し、期待する十分な吸水吸熱効果が得られないおそれがある。
<糖アルコールの付着量>
実施形態1に係る織編物は、仕上がりの状態で、該糖アルコールが4〜25g/m付着していることが好ましく、10〜20g/m付着していることがより好ましい。該糖アルコールが4g/m未満では発汗時に競技者に涼感を与える事が難しい。糖アルコールが25g/mを超えると性能限界であり、これ以上濃度を高くしても効果はさほど変わらない。
<糖アルコールの付着方法>
該糖アルコールを布帛に付着させる方法には、例えば、吸尽加工、パディング加工、スプレー加工及び浸漬加工等があり、特にパディング加工及び吸尽加工は該糖アルコールを布帛全体に均一に付着させやすいので好ましい。
さらにパディング加工は、高濃度の加工液であっても安定的に均一に加工しやすいため、より好ましい。パディング加工の一般的な方法は、所定濃度に調整した処方液をディップ槽に入れ、加工したい布帛をディップ槽に浸した後で、マングルでウェットピックアップ率50〜150%程度で絞り、乾燥させた後に、140〜180℃程度で30秒〜5分程度キュアリング(熱処理)するというものである。
<繊維仕上剤>
実施形態1に係る織編物には、繊維にハリ・コシ、ツヤ等を与えるために柔軟剤を使ったり、織編物の吸水性を向上させるために親水加工を行ってもよい。親水加工を行う場合には、例えばポリエステル系の親水加工剤が好ましく用いられる。この親水加工剤はパディング法や、吸尽法、スプレー法等の一般的な方法を用いて繊維に付与することができるが、耐久性の面から染色加工時に吸尽法にて付与することが好ましい。
<酸化錫系微粒子及び糖アルコールの付着方法>
上記した酸化錫系微粒子の付着方法を行った後に、上記した糖アルコールの付着方法を行うか、あるいは、上記した糖アルコールの付着方法を行った後に、上記した酸化錫系微粒子の付着方法を行うことにより、1枚の布帛に酸化錫系微粒子と糖アルコールとを両方付着させることができる。
酸化錫系微粒子及び糖アルコールを、1つの工程で付着させることもできる。具体的には、ATO及びITOの濃度の合計を1.5〜15g/mとし、且つ糖アルコールの濃度を4〜25g/mとする加工剤を作製し、該加工剤を、所望の色に染色した後の布帛に、パッド−キュア法にて上記バインダーを用いて固着させる。
<バインダー樹脂>
ATO及びITOによる吸光蓄熱効果や、糖アルコールによる吸水吸熱効果に耐久性を持たせるために、バインダー樹脂を併用しても良い。該バインダー樹脂は、エマルジョン樹脂や、水又は有機溶剤可溶性のバインダー樹脂であることが好ましい。例えば該バインダー樹脂は、アクリル、エポキシ、ウレタン及びポリエステルのうちの少なくとも1つを主成分として用いることが好ましい。特に織編物の風合向上や変色防止の観点から、ウレタン系のバインダー樹脂がより好ましい。ウレタン系のバインダー樹脂は、エステル型、エーテル型、ポリカーボネート型等いずれの種類でも差し支えなく、イオン性についてもアニオン性、カチオン性、ノニオン性いずれでも差し支えない。ここで、該ウレタン系のバインダー樹脂は、処方液に対する固形分量として、0.1〜10%溶液の濃度で、ATO、ITO及び糖アルコールと混合して処方することが好ましい。
<照射試験の概要>
図1は、レフランプによる照射試験の概要を示す外観図である。図1に示すように、本発明者らは、実際の環境に近い安定した環境において、実施形態1に係る織編物の吸光蓄熱性能と吸水吸熱性能とを評価する為の試験として以下の試験方法を考案した。
該照射試験は比較品を用いた比較により、冬季屋外を想定した性能評価を行う。
16cm角、フレーム幅1cm、高さ1cmのアクリル製の試料台A1、A2を2台用意し、これらを1cm程度離して試験台B上に設置する。
試料として、それぞれ15cm角に採取した試験品C1と比較品C2とを準備し、試料台A1、A2の上に、試料に大きなシワがよらないように両面テープ等で固定する。
熱電対温度センサ(アンリツ製、ST−11K−010−TS2−ANP)D1、D2は、それぞれ試験台B上の試験品C1、比較品C2の中央付近に設置する。
放射温度計用黒体テープ(OPTEX製、HB−250)E1、E2を、熱電対温度センサD1、D2の上に貼付け、試料に接触しないように設置する。
太陽光を想定した光源として写真用500Wレフランプ(パナソニック製、PRF−500WB/D)Fを、試験品C1及び比較品C2からの距離が等しくなるように、試料台A1とA2との間の試験台Bから30cmの高さに設置する。試料が受ける照射量は4000ルクスであり、熱エネルギーに換算して、0.35kW/mになるように調整した。
温度20℃、湿度65%の恒温恒湿室内において、上記試験装置を用いて、20分間レフランプを照射した直後に、レフランプを照射したまま、汗の代わりとして水を各試料に0.2mlずつ滴下し、レフランプの照射開始から、水を滴下してから20分後までの40分間にわたり、熱電対温度センサD1、D2の出力をモニタする。該試験装置を用いることにより、衣服を通しての衣服内の温度変化を、安定した環境下で評価することができる。
なお、該照射試験において各試料が受けるエネルギー量は、1月の札幌における太陽光の照射エネルギーと同等の照射量4000ルクスであり、熱エネルギーに換算して0.35kW/mである。また、人が運動を開始し、汗の増加が起こるまでに10〜20分かかると言われているため、水を滴下する時間をレフランプの照射開始から20分後とした。また、強度の運動をした場合の発汗量を想定して、滴下する水の量を0.2mlとした。
<照射試験の結果>
照射試験の結果を表1に示す。照射試験開始時の各試料の温度は全て20.9℃である。
図2は、表1に示す照射試験の結果の一部を示すグラフである。図2においては、後述する総合的な評価結果が実施例中で最も低かった実施例1と、総合的な評価結果が実施例中で最も高かった実施例3と、総合的な評価結果が比較例中で最も低かった比較例3と、総合的な評価結果が比較例中で最も高かった比較例1とを記載している。
なお、ここで使用した実施例1〜6、及び比較例1〜3の各試料は、それぞれ後述する「野外快適性フィールドテスト」において作製したものに対応している。
Figure 0006007156
図1に示す試験装置において、実施形態1に係る織編物の表側に、太陽光に見立てたレフランプを20分間照射すると、表1に示すように、織編物と皮膚との間に見立てた織編物の裏側の空間において、本発明の織編物は吸光蓄熱効果により25℃〜45℃の温度上昇が得られ、34℃〜45℃の温度上昇が得られることが望ましい。実施例1〜6では34℃〜37℃の温度上昇が観測された。よって、この織編物を用いた衣服を着て外気温が0℃の野外で太陽光を浴びた場合には、織編物と皮膚との間の温度は25℃を超える。25℃は暖かさを感じられる温度である。また40℃の温度上昇があれば十分な暖かさを得られる。
続いてレフランプを20分間照射した後に、織編物の表面に水を0.2ml滴下すると、織編物の裏側の空間において、本発明の織編物は吸水吸熱効果により水を滴下する直前の温度よりも10〜18℃の温度低下を得ることができる。実施例1〜6では10〜12℃の温度低下が観測された。また、比較例1〜3では、34℃以上の温度上昇と、水滴下後に10℃以上の温度低下とを両方とも観測することはできなかった。
続いて織編物の表面に水を滴下してから、10分から15分程度が経過すると、織編物に含まれていた水分が蒸発し始め、吸光蓄熱効果により温度が上昇し始めた。
実施形態1に係る織編物を用いた衣服によれば、発汗停止後、15分以内に温度上昇が始まるので、競技者に汗冷えを感じにくくさせる事ができる。
<織編物の構造>
実施形態1に係る織編物は単層であってもよいが、複数の層からなる多層構造であることがより好ましい。該織編物を単層とする場合には、1枚の布帛に酸化錫系微粒子と糖アルコールとを両方付着させる。該織編物を多層構造とする場合には、2層構造であれば一方の最外層である表層と他方の最外層である裏層との2層構成となり、3層以上の構造であれば該表層と該裏層と1層以上の中間層とを持つ構成となる。ここで該表層は、該織編物を用いて衣服を作製した際に外気側となる層であり、該裏層は、肌側となる層とする。
なお、該織編物を多層構造とする場合の織編物の種類には、丸編、経編及び織物などがあり、特に丸編が好ましい。また、表層と裏層とを、太陽光の吸光蓄熱特性及び反射特性の異なる構成とすることが好ましい。詳細には、表層は太陽光を適度に透過し、裏層は太陽光を吸光蓄熱及び反射しやすい構成とすることにより、織編物内に太陽光を高効率で熱エネルギーに変換して蓄積することができる。
該織編物を丸編とした場合には、フライス編機やインターロック編機等の両面編機を用いて編むことにより該織編物を多層構造にすることができ、特にスムース、リバーシブル及びダンボール等の組織とすることが好ましい。また、織編物を経編とした場合には、2枚以上の筬を使うことにより該織編物を多層構造にすることができる。また、織編物を織物とした場合には、経二重や緯二重等の二重組織とすることにより該織編物を多層構造にすることができる。
表層と裏層とは、それぞれが用いるマルチフィラメントに繊度差をつけることが好ましい。詳しくは、裏層に配するマルチフィラメントは、表層に配するマルチフィラメントよりも、単糸繊度が小さいことが好ましい。一般的な織編物では、汗を吸収し、早く乾かす事ができるよう表層の単糸繊度を小さくし、毛細管現象を利用することにより表層の水分拡散性を向上させる構造を取ることがあるが、本実施形態の織編物では汗を吸収し、その汗で糖アルコールが溶解することにより吸水吸熱効果が得られるため、裏層の単糸繊度を小さくし、生地内部で水を拡散させ、水分を保持できる構造を取り、より吸水吸熱効果が発揮できるようにすることが好ましい。
裏層に配するマルチフィラメントの単糸繊度は、0.3dtex以上、2.5dtex以下であることが好ましく、0.7dtex以上、1.5dtex以下であることがより好ましい。表層に配するマルチフィラメントの単糸繊度は、1.0dtex以上、3dtex以下であることが好ましく、1.5dtex以上、2.5dtex以下であることがより好ましい。ここで表層のマルチフィラメントが裏層のマルチフィラメントよりも、単糸繊度が0.1dtex以上、1.5dtex以下だけ大きいことが好ましく、0.3tex以上、1.0dtex以下だけ大きいことがより好ましい。
以上のように裏層に配置するマルチフィラメントの単糸繊度を、表層に配置するフィラメントの単糸繊度よりも小さくする事によって、織編物が汗を吸収した際に、水分が織編物の裏層側で拡散しやすいため、糖アルコールによる吸水吸熱効果を高める事ができる。
<目付>
実施形態1に用いる織編物は、汗を吸収することにより競技者に涼感を与える事ができるため、スポーツシャツ等の肌に直接触れる衣服に用いる事が望ましい。快適なシャツ地とするためには、平米目付が80〜200g/mが好ましく、120〜180g/mがより好ましい。該目付を最適なものにするために、使用するマルチフィラメントの総繊度は、33〜174dtexが好ましく、55〜110dtexがより好ましい。
<赤外線を反射又は吸収する金属化合物>
該織編物は、少なくとも裏層に、赤外線を反射又は吸収する金属化合物を練り込まれたマルチフィラメント糸を用いることが好ましい。さらに、表層と裏層とは、それぞれが用いるマルチフィラメントに練り込まれる金属化合物の種類を異なるものとしたり、金属化合物の含有量に差をつけることが好ましい。また、表層及び裏層の両方に金属化合物を練りこんだマルチフィラメントを用いる場合には、裏層に配置するマルチフィラメントにおける金属化合物の含有率を、表層に配するマルチフィラメントにおける金属化合物の含有率よりも、高くすることが好ましい。
このように金属化合物を練りこんだマルチフィラメントを織編物の特定部分に配置することにより、太陽光中の赤外線より得られる熱を、衣服の内面に効率よく蓄積することができる。例えば、表層が赤外線を反射せず、裏層が赤外線を反射する場合には、表層や中間層において熱に変換されずに通過した一部の赤外線が裏層で反射し、再び表層や中間層で熱に変換されるため、赤外線の熱への変換効率の向上が見込まれる。また例えば、表層が赤外線を吸収せず、裏層が赤外線を吸収する場合には、赤外線が表層を素通りして裏層に達し、裏層が熱を発生し、発生した熱を表層が外へ逃がさないように保温するため、保温効果の向上が見込まれる。
赤外線を反射する機能を有するものとして、各種の金属酸化物を用いることが好ましい。該金属酸化物には、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウム等を用いることができる。
赤外線を吸収する機能を有するものとして、周期律表第IV族に属する金属炭化物を用いることが好ましい。該金属炭化物には、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム及び炭化チタン等を用いることができる。
該金属化合物は、微粒子の状態で織編物の繊維中に練り込まれていることが好ましい。該微粒子の平均粒径は、0.1〜3μmであることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましい。該微粒子の平均粒径が5μmを超えると、紡糸工程において紡糸ノズルの目塞がりや糸切れなどによる可紡性の低下や、延伸工程において糸切れ等の問題が発生するおそれがあり好ましくない。
該織編物の繊維中に練り込む微粒子の含有率は、1.0〜5.0質量%の範囲内であることが好ましく、1.5〜2.5質量%の範囲内であることがより好ましい。金属酸化物の場合には、微粒子の含有率が1.0質量%未満であると、赤外線を十分に反射することができず、5.0質量%を超えると、繊維の生産性や強伸度が低下するため好ましくない。金属炭化物の場合には、微粒子の含有率が1.0質量%未満であると,赤外線を十分に吸収することができず、5.0質量%を超えると、繊維の生産性や強伸度が低下するため好ましくない。
なお、表層に配置するマルチフィラメントは、裏層に配するマルチフィラメントよりも、金属酸化物が少ないことが好ましい。例えば衣服の美観上の理由で艶消し材として酸化チタンを用いる場合においては、裏層に配置するマルチフィラメントにおける酸化チタンの含有率を0〜0.8質量%とすることが好ましく、0.2〜0.5質量%とすることがより好ましい。
裏層に配置するマルチフィラメントに、酸化チタン等の赤外線を反射する金属酸化物を、比較的低い含有量で用いることにより、外部からの赤外線の大部分を通過させて裏層へ向かわせると共に、裏層により反射された赤外線や内面より生じる熱線を多少なりとも反射することにより保温効果を得ることができる。
<使用原糸>
該織編物に使用するマルチフィラメントは、疎水性繊維を用いることが好ましい。該疎水性繊維には、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維及びポリオレフィン系繊維等を用いることができ、特にポリエステル系繊維の1つであるポリエステルフィラメント糸を用いることが好ましい。
該ポリエステル系繊維は、その全構成単位の少なくとも80質量%以上がエチレンテレフタレートであることが好ましく、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、エチレングリコール又はエチレンオキサイドとにより製造されたポリエチレンテレフタレート繊維がより好ましい。
酸成分は、テレフタル酸又はその機能的誘導体の他に、20モル%未満、好ましくは10モル%未満の範囲で、イソフタル酸、アジピン酸、セパチン酸、アゼライン酸、ナフタール酸、P−オキシ安息香酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、ビス(P−カルボキシフエノキシ)エタン、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3,5−ジ(カルボメトキシ)ベンゼンスルホン酸塩又はそれらの機能的誘導体を加えてもよい。
グリコール成分は、エチレングリコールの他に、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール又は1,4−ピロキシメチルシクロヘキサン等の2価アルコールを加えてもよい。
該ポリエステル系繊維に、例えば難燃性を付与するために芳香族ポリホスホネートを加えてもよい。さらに、該ポリエステル系繊維に、酸化防止剤、着色剤、染色性向上剤、難燃性向上剤及び制電剤等を添加してもよい。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<野外快適性フィールドテストの方法>
各実施例又は各比較例に示した生地をそれぞれ用いて、生地表層面を外側、裏面層が肌側になるように配置した長袖のTシャツを作製し、20〜50歳の男性5人に屋外で着用してもらい、快適性についてのモニタリングによるアンケート調査を行った。
試験は、1月某日の10〜14時の間に行い、気温は5〜15℃で、晴天であった。男性5人に、上半身はそれぞれ作製した長袖のTシャツのみを、下半身は肌着の上に市販のジャージパンツを着用してもらった。このような条件で、男性5人に、屋外で20分間の安静と、20分間のランニング(6〜8分/kmペースで陸上競技場の400mトラックを周回)を行ってもらった。
男性5人に、ランニング後に、安静時の保温性と、ランニング中の涼感性とを、それぞれ5段階で評価してもらった。該5段階の各評価は「1を不快、2をやや不快、3を特に何も感じられない、4をやや快適、5を快適」とし、5人のアンケート結果を平均した数値を評価結果とした。また、保温性の評価結果と涼感性の評価結果とを足した数値を、総合的な評価結果とした。保温性と涼感性のそれぞれの評価結果は、不快感を感じる事のない平均評価3以上を良好な結果であると判定し、3.5以上が好ましいとした。また、総合的な評価結果は、保温性と涼感性の両方で不快感を感じる事がないか、あるいは保温性と涼感性の一方で不快感を感じてもそれ以上に他方で快適を感じる事ができるものとして、平均評価6以上を良好な結果であると判断し、7以上が好ましいとした。
<繊度測定>
編地を構成するために用いたマルチフィラメント糸を1m抜取って質量を測定し、測定結果を10,000mに換算して総繊度(dtex)として算出した。
次に、こうして得た総繊度を、マルチフィラメント糸の1本当りのフィラメント数で割り、単糸繊度を算出した。
<性量測定方法>
織編物の目付は、「8.3.2標準状態にける単位面積当たりの質量 A法(JIS法)」により測定した。織編物の密度及び密度は、織物は「JIS L1096 8.6.1A法」、編物は「JIS L1096 8.6.2」により測定した。
<吸水性>
吸水性の試験方法として「JIS L 1907繊維製品の吸水性試験方法」の滴下法を用い、吸水性の評価を行った。
<アンチモン酸化錫分散液の作製>
酸化アンチモンを固溶したアンチモン酸化錫微粒子(以下「ATO微粒子」と記す)は46.2質量部のSbClと670質量部のSnCl・5HOを、3000質量部の6N−HCl溶液に溶解し、これに25%のアンモニア液2000質量部を添加して反応させ、ゾル分散液を得て、これを塩化アンモニウムが検出できなくなるまでろ過洗浄した。次いで、これを密閉容器で350℃に加熱し、5時間保持した後に減圧乾燥することにより平均一次粒子径0.005μmの微粒子を得た。このATO微粒子(平均一次粒子径0.005μm)を10重量部、且つスルコハク酸ジオクチルナトリウム(界面活性剤)を2重量部、水88重量部の割合で混合し、ホモミキサーを用いて平均分散粒子径が0.003〜0.1μmの水分散液を作った。
<エリスリトール試薬>
エリスリトール試薬は、東京化成工業株式会社の製品コードE0021、meso−erythritolを使用した。
(実施例1)
28ゲージのダブルニット編機を使用し、表層に84dtex/48フィラメント(以下「f」と記す)の酸化チタンを含有しないポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(以下「PETフィラメント糸」と記す)を使用し、糸長を250mm/100wになるように設定する。裏層には84dtex/72fの酸化チタンを含有しないPETフィラメント糸を使用し、糸長が290mm/100wになるよう設定し、図3に示すリバーシブルメッシュ組織に配置したニット生機(染色前の編物)を使用した。
該ニット生機に、常法のリラックス、プレセット、染色を行ったのち、処理液[1]を作製し、該処理液[1]を用いて、染色機中で吸尽吸水処理を施した。その後、アンチモン酸化錫分散液(以下「ATO分散液」と記す)と、吸水吸熱加工剤としてエリスリトール試薬と、バインダーとしてウレタン系バインダーの大和化学工業(株)[U−30NP]とを、水に溶解及び分散させて処理液[2]を作製した。該処理液[2]を、染色及び吸尽吸水処理後に乾燥した生地にピックアップ率65%で、常法のパディング法にて、生地に付着させた上で、シュリンクサファードライヤーを用いて130℃で乾燥し、引続きテンターを用いて150℃でキュアリングを行った。
処理液[1]:高松油脂製SR−1000 10g/L
処理液[2]:{ATO分散液 50g/L、エリスリトール試薬 110g/L、U−30NP 20g/L}
結果、レフランプ照射試験ではレフランプ照射開始から20分後に+36.6℃の温度上昇があり、水滴下後6分で−11.4℃と良好な温度変化が得られた。又、モニタリングによる快適性評価でも環境の変化に応じ、保温性と涼感性を感じる事のできる良好な結果を得られた。
(実施例2)
表層に84dtex/48fの酸化チタンを0.5質量%含有したポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(以下「PETフィラメント糸」と記す)を、裏層には84dtex/72fの酸化チタンを2.0質量%含有したPETフィラメント糸を、図3に示すリバーシブルメッシュ組織に配置したニット生機(染色前の織物)を使用した。その他の編条件(編機、糸長)については実施例1に用意した生機と同条件とした。
(実施例3)
実施例2にて用意した生機と同じニット生機を使用し、同じ常法の処理を施した。その後、ATO分散液と、エリスリトール試薬と、[U−30NP]とを、水に溶解及び分散させて処理液[3]を作製した。該処理液[3]を、ピックアップ率65%で、常法のパディング法にて、生地に付着させた上で、シュリンクサファードライヤーを用いて130℃で乾燥し、引続きテンターを用いて150℃でキュアリングを行った。
処理液[3]:{ATO分散液 80g/L、エリスリトール試薬 200g/L、U−30NP 20g/L}
(実施例4)
実施例2にて用意した生機と同じニット生機を使用し、同じ常法の処理を施した。その後、ATO分散液と、エリスリトール試薬と、[U−30NP]とを、水に溶解及び分散させて処理液[4]を作製した。該処理液[4]を、ピックアップ率65%で、常法のパディング法にて、生地に付着させた上で、シュリンクサファードライヤーを用いて130℃で乾燥し、引続きテンターを用いて150℃でキュアリングを行った。
処理液[4]:{ATO分散液 10g/L、エリスリトール試薬 40g/L、U−30NP 20g/L}
(実施例5)
図3に示した表層にあたるフィード番号1、3を、「110dtex/72fの酸化チタンを2.0%含有したPETフィラメント糸」に置き換え、裏層にあたるフィード番号2、4を、「84dtex/72fの酸化チタンを0.5%含有したPETフィラメント糸」に置き換え、リバーシブルメッシュ組織に配置したニット生機を使用した。
該ニット生機に、実施例2と同じ常法の処理を施した。その後、ATO分散液と、エリスリトール試薬と、[U−30NP]とを、水に溶解及び分散させて処理液[5]を作製した。該処理液[5]を、ピックアップ率65%で、常法のパディング法にて、生地に付着させた上で、シュリンクサファードライヤーを用いて130℃で乾燥し、引続きテンターを用いて150℃でキュアリングを行った。
処理液[5]:{ATO分散液 50g/L、エリスリトール試薬 110g/L、U−30NP 20g/L}
(実施例6)
実施例2にて用意した生機と同じニット生機を使用し、同じ常法の処理を施した。その後、吸光蓄熱剤として大和化学工業株式会社製サンウォーマー TOPコンク(SUNWARMER TOPconc.)と、吸水吸熱剤としてタナテックスジャパンケミカルズ製COOL−EXと、[U−30NP]とを、水に溶解及び分散させて処理液[6]を作製した。該処理液[6]を、ピックアップ率65%で、常法のパディング法にて、生地に付着させた上で、シュリンクサファードライヤーを用いて130℃で乾燥し、引続きテンターを用いて150℃でキュアリングを行った。
処理液[6]:{サンウォーマー TOPコンク 50g/L、COOL−EX 30g/L、U−30NP 20g/L}
(比較例1)
実施例2にて用意した生機と同じニット生機を使用し、同じ常法の処理を施した。その後、ATO分散剤と、[U−30NP]とを、水に溶解及び分散させて処理液[7]を作製した。該処理液[7]を、ピックアップ率65%で、常法のパディング法にて、生地に付着させた上で、シュリンクサファードライヤーを用いて130℃で乾燥し、引続きテンターを用いて150℃でキュアリングを行った。
処理液[7]:{ATO分散液 50g/L、U−30NP 20g/L}
(比較例2)
実施例2にて用意した生機と同じニット生機を使用し、同じ常法の処理を施した。その後、エリスリトール試薬と、[U−30NP]とを、水に溶解及び分散させて処理液[8]を作製した。該処理液[8]を、ピックアップ率65%で、常法のパディング法にて、生地に付着させた上で、シュリンクサファードライヤーを用いて130℃で乾燥し、引続きテンターを用いて150℃でキュアリングを行った。
処理液[8]:{エリスリトール試薬 110g/L、U−30NP 20g/L}
(比較例3)
実施例2にて用意した生機と同じニット生機を使用し、同じ常法の処理を施した。その後、水をピックアップ率65%で、常法のパディング法にて、生地に付着させた上で、シュリンクサファードライヤーを用いて130℃で乾燥し、引続きテンターを用いて150℃でキュアリングを行った。
<野外快適性フィールドテストの評価結果>
野外快適性フィールドテストの評価結果を表2〜4に示す。
Figure 0006007156
Figure 0006007156
Figure 0006007156
表2〜4より、比較例1〜3では総合的な評価結果の数値が2.6〜5.4であり、全ての比較例において中間評価値の6を下回ったのに対し、実施例1〜6では、評価結果の数値が6.4〜8.2であり、全ての実施例において中間評価値の6を上回り概ね好評であった。
以上のように、本発明に係る織編物は、衣服に用いた場合に、運動前等の動作の小さい状態では、アンチモンドープ酸化スズやスズドープ酸化インジウムが備える吸光蓄熱効果により、競技者に暖かさを感じさせる事ができる。一方運動を開始すると、運動中の発汗により負の水和熱を持つ糖アルコールが吸水吸熱効果を発揮して温度上昇を押さえ、運動による暑さを抑制し競技者に涼感を与える事ができる。また、運動後においては発汗停止により吸水吸熱効果は衰え、素早く吸光蓄熱効果を発揮することにより汗冷えを軽減させると同時に乾燥を促進することができる。特に該織編物は、発汗時に暑さを抑制するので汗量を減らすことも期待できるため、競技者の不快感を大きく軽減する事ができる。
A1、A2 試料台
B 試験台
C1 試験品
C2 比較品
D1、D2 熱電対温度センサ
E1、E2 放射温度計用黒体テープ
F 写真用500Wレフランプ

Claims (9)

  1. アンチモンドープ酸化スズおよび/またはスズドープ酸化インジウム、及び負の水和熱を持つ糖アルコールが付着している糸を有する織編物であり、
    前記織編物は、
    複数の層からなる多層構造であり、
    肌側となる層である裏層は、外気側となる層である表層よりも、単糸繊度が小さいことを特徴とする織編物。
  2. 前記アンチモンドープ酸化スズおよび/またはスズドープ酸化インジウムが、合計で1.5〜15g/m付着し、
    前記糖アルコールが、4〜25g/m付着していることを特徴とする請求項1記載の織編物。
  3. 記裏層は、前記表層よりも、金属酸化物を多く含有する請求項1又は2に記載の織編物。
  4. 前記裏層は、単糸繊度が0.3dtex以上、2.5dtex以下のポリエステルフィラメント糸からなり、且つ前記金属酸化物を1.0〜5.0質量%含有し、
    前記表層は、前記裏層よりも、単糸繊度が0.1dtex以上、1.5dtex以下だけ大きいポリエステルフィラメント糸からなり、且つ前記金属酸化物を0〜0.8質量%含有する請求項3に記載の織編物。
  5. 請求項1又は2に記載の織編物を用いた衣服であって
    衣服の裏側最外層は、該衣服の表側最外層よりも、単糸繊度が小さい衣服。
  6. 前記裏側最外層は、単糸繊度が0.3dtex以上、2.5dtex以下のポリエステルフィラメント糸からなり、
    前記表側最外層は、前記裏側最外層よりも、単糸繊度が0.1dtex以上、1.5dtex以下だけ大きいポリエステルフィラメント糸からなる請求項5に記載の衣服。
  7. 前記裏側最外層は、前記表側最外層よりも、金属酸化物を多く含有する請求項5又は6に記載の衣服。
  8. 請求項1又は2に記載の織編物を用いた衣服であって
    衣服の裏側最外層は、該衣服の表側最外層よりも、金属酸化物を多く含有する衣服。
  9. 前記裏側最外層は、前記金属酸化物を1.0〜5.0質量%含有し、
    前記表側最外層は、前記金属酸化物を0〜0.8質量%含有する請求項7又は8に記載
    の衣服。
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