JP6007144B2 - 汚染土壌浄化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、汚染土壌浄化方法および汚染土壌浄化システムに関するものであり、具体的には、重金属を含む掘削土を効率的かつ低コストで浄化可能とする技術に関する。
掘削工事の対象地盤に重金属が含まれている場合、重金属を含有した掘削土が発生することになる。その場合、掘削土に重金属の吸着材たる鉄粉を添加、撹拌して、掘削土中の重金属を鉄粉に吸着させ、この鉄粉を磁力選別機により回収することで、掘削土の浄化を図ることがある。そうした汚染土壌の浄化技術としては、例えば、重金属で汚染された土壌に対し、水と鉄粉と重金属の移動を促す薬剤を加えて攪拌し、土壌中の重金属を鉄粉に担持させる第1工程と、次いで第1工程で重金属を担持した鉄粉を磁力選別機により土壌から分離する第2工程からなる土壌の浄化方法(特許文献1参照)などが提案されている。
特開2000−51835号公報
ところが上述の磁力選別機は高価であるうえ、処理能力に限界があり、掘削工事で大量に発生する掘削土の処理に適用するためには、複数台を導入、設置して運用を行う必要が生じる。このため、磁力選別機の導入、運用のコストが更に増大するとともに、工事現場の限られた領域内に相応の設置スペースを確保する必要も生じ、実用的ではない。
そこで本発明では、重金属を含む掘削土を効率的かつ低コストで浄化可能とする技術の提供を目的とする。
上記課題を解決する本発明の汚染土壌浄化方法は、掘削工事で生じた重金属を含む掘削土が混合された泥水に重金属吸着用の鉄粉を添加する鉄粉添加工程と、重金属を吸着した前記鉄粉を含んだ泥水である鉄粉添加泥水を遠心分離機に供給し、当該遠心分離機によって、前記鉄粉添加泥水から、前記鉄粉を含まない前記泥水を除去する泥水除去工程と、を含み、前記鉄粉添加工程を、前記鉄粉の転用可能回数以下である所定の複数回数だけ同じ鉄粉を用いて、実行した後、磁力選別機によって前記鉄粉添加泥水から前記鉄粉を分離する工程を実行することを特徴とする。
本発明によれば、前記泥水除去工程を遠心分離機で実行することで、分離物としては若干土砂の混入した鉄粉が得られるが、必要な鉄粉を含むこの分離物を前記鉄粉添加工程にて掘削土に添加しても混入した土砂は再び泥水に戻されるので問題はない。しかしながら、上述の泥水除去工程の最終回においても遠心分離機を使用すると、得られた最終分離物においても、土砂が混入してしまうため、混入した土砂の分だけ産業廃棄物としての処理量が増大する事態となる。一方、最後に磁力選別機を用いて鉄粉を分離することとすれば、重金属吸着後の鉄粉と重金属を含まない土砂とを精度良く選別可能となるため、鉄粉に混じり合った土砂の量を低減し、ひいては産業廃棄物の処理量を低減できる。
また、この場合の磁力選別機における使用機会は限定的となるため、高い処理能力を備えた高価なものを導入、運用する必要はなく、磁力選別機導入によるコスト増も最低限に抑制できる。
また、前記泥水に鉄粉を添加する重金属吸着槽が複数設けられ、該複数の重金属吸着槽に対応して、鉄粉ストック槽が複数設けられ、前記重金属吸着槽で得られた前記鉄粉添加泥水を前記重金属吸着槽間でタイミングをずらして前記遠心分離機に供給し、重金属吸着槽別の遠心分離機での処理が完了する毎に、当該処理で分離された鉄粉を空いている鉄粉ストック槽に供給し、各鉄粉ストック槽に供給された鉄粉を当該鉄粉ストック槽に対応する重金属吸着槽に供給する、としてもよい。
本発明によれば、重金属を含む掘削土を効率的かつ低コストで浄化可能となる。
本実施形態の汚染土壌浄化システムを含む全体構成を示す図である。 本実施形態の汚染土壌浄化方法の手順例1を示すフロー図である。 本実施形態の汚染土壌浄化方法の手順例2を示すフロー図である。 本実施形態における鉄粉転用回数確認試験の手順を示す図である。 本実施形態における鉄粉転用回数の特定試験結果(表)を示す図である。 本実施形態における鉄粉転用回数の特定試験結果(グラフ)を示す図である。
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本実施形態の汚染土壌浄化システム1を含む全体構成を示す図であり、図2は本実施形態の汚染土壌浄化方法の手順例1を示すフロー図である。本実施形態においては、泥水式シールド工法による掘削工事に、汚染土壌浄化システム1を適用した場合について説明する。また、掘削工事により生じた掘削土には、重金属としてヒ素が含まれていたものとする。
図1に例示する汚染土壌浄化システム1において、シールドマシン10は、カッタヘッドを回転駆動させて切羽面の掘削を行い、カッタヘッドにより切削した切羽面の土砂すなわち掘削土を泥水と混合し、これを適宜な圧送ポンプと配管からなる排泥系統26により坑外に圧送する。こうして圧送した泥水は、固液分離装置11へ送られる。この固液分離装置11は、泥水と掘削土を分離する泥水処理装置であって、上述の泥水を、振動ふるい等により、掘削土由来の建設発生土(振動ふるい等にて抽出)と泥水とに分離する。
固液分離装置11にて分離された上述の建設発生土については、一般残土として処分する。他方、固液分離装置11にて分離された上述の泥水2は、送泥管や送泥ポンプ等の所定系統を介して調整槽12に供給される。調整槽12では、供給された泥水2を一旦貯留し、成分調整した上で、送泥系統25を介して切羽に供給する。
一方、汚染土壌浄化を行う本実施形態の汚染土壌浄化システム1は、ヒ素吸着槽14、遠心分離機15、鉄粉前処理槽18、鉄粉ストック槽19、磁力選別機20、鉄粉タンク21、及びそれら各間における泥水、溶液等の移送系統を備えているものとする。また、上述したシールドマシン10による掘削の進行に伴い、余剰槽13には泥水2が貯留されていき、一定基準量以上となった分の泥水2が、汚染土壌浄化システム1におけるヒ素吸着槽14に供給されるものとする。
ここで、本実施形態の汚染土壌浄化方法において、余剰槽13から供給された泥水2をヒ素吸着槽14にて貯留し、これに対し、鉄粉タンク21より取り出した所定量の鉄粉3を投入し、撹拌する(s101)。なお、ヒ素吸着槽14は、図1に示すように複数配置し、これに合わせて鉄粉ストック槽19も同数だけ配置するものとする。図1では、3つのヒ素吸着槽14A〜14Cおよび鉄粉ストック槽19A〜19Cを配置した構成を例示している。ヒ素吸着槽14Aと鉄粉ストック槽19A、ヒ素吸着槽14Bと鉄粉ストック槽19B、ヒ素吸着槽14Cと鉄粉ストック槽19Cは、それぞれ所定の配管系統40〜42で結ばれている。また、各ヒ素吸着槽14A〜14Cは余剰槽13と所定の配管系統43〜45で結ばれている。
こうした構成において、上述のステップs101(鉄粉添加工程)を実行する場合、まず、余剰槽13から供給される泥水2で当該ヒ素吸着槽14Aを満たし、所定量の鉄粉3を水と混合した鉄粉混合液をヒ素吸着槽14Aに投入し、撹拌作業を行う。その後も余剰槽13から泥水2が供給される状況であれば、次のヒ素吸着槽14Bに鉄粉3を投入し、余剰槽13から供給される泥水2でヒ素吸着槽14Bを満たし、撹拌作業を行う。さらに余剰槽13から泥水2が供給される状況であれば、次のヒ素吸着槽14Cに鉄粉3を投入し、余剰槽13から供給される泥水2でヒ素吸着槽14Cを満たし、撹拌作業を行う。このように、余剰槽13からの泥水2の供給に応じて、上述の鉄粉3の投入、泥水2との撹拌といった作業を、ヒ素吸着槽14A→ヒ素吸着槽14B→ヒ素吸着槽14Cの順で行う。
ヒ素吸着槽14に投入する鉄粉3は、ヒ素吸着槽14で貯留している泥水2の比重の大きさが大きいほど、すなわち掘削土量が多いほど投入量を多くする。
鉄粉は、ヒ素、セレン、六価クロム、カドミウム、鉛、シアンなどの重金属を効率良く吸着し、固定化する性状を有することが知られている。従って、この鉄粉を掘削土を含む泥水2に添加し、十分に撹拌すれば、泥水2中の掘削土粒子に付着したヒ素の微粒子が、鉄粉表面に吸着され、鉄粉3に固定化されることになる。
また、上述のヒ素吸着槽14において、泥水2と鉄粉3との撹拌作業を所定時間継続し、泥水2と鉄粉3とが十分混合した後、この混合液である鉄粉添加泥水4を遠心分離機15に供給し、当該鉄粉添加泥水4からの鉄粉3の分離を図る(s102)。なお、この分離により得られる鉄粉3には、鉄粉と分離しきれなかった土砂が混入する可能性があるが、後述する鉄粉ストック槽19を経てヒ素吸着槽14に再投入されるため、混入した土砂は再び泥水中に戻されるので問題は生じない。また、各ヒ素吸着槽14A〜14Cで得られた鉄粉添加泥水4は、異なる転用回数の鉄粉が混じり合うことを防ぐべく、ヒ素吸着槽14A〜14C間でタイミングをずらして遠心分離機15に供給する。
上述の遠心分離機15としてはサイクロンを採用できる。サイクロンは、固体混じりの液体等を円筒容器に対して円周方向から渦を描く様に投入することで、比重の重い鉄粉3(と掘削土)は遠心分離作用により円筒容器内壁に衝突させて回収し、液体(この場合、泥水)は円筒中心から排出させる機能を有している。
続いて、サイクロンなどの遠心分離機15により、上述の鉄粉添加泥水4中より鉄粉3を分離させて得た泥水、すなわち鉄粉回収後泥水7をスラリー槽16に送り、鉄粉回収後泥水7に含まれる細粒分の土砂を沈降させ、この沈降土砂をプレス17によって所定の減容、脱水を行ってケーキとした上で(s103)、ヒ素を含まない汚泥として搬出する(s104)。なお、本発明の汚染土壌浄化システムを適用していない従来の泥水シールド工法であれば、余剰槽13から排出される泥水は、このスラリー槽16に直接供給され、減容、脱水を経てケーキとして搬出されることになる。
一方、上述のステップs102の処理により分離、回収された、若干の土砂を含む鉄粉3である分離物5は、上述の遠心分離機15での鉄粉3の分離動作に伴って鉄粉前処理水槽18に継続的に送られる(s105)。この場合、各ヒ素吸着槽14A〜14C由来の分離物5が、互いに混じり合うことのないよう、ヒ素吸着槽別の鉄粉添加泥水4に対する遠心分離機15での処理が完了する毎に、それまでに鉄粉前処理水槽18に貯留された分離物5を、鉄粉ストック槽19A〜19Cのいずれか空いているものに供給する(s106)。また、鉄粉ストック槽19A〜19Cでは、鉄粉前処理水槽18から供給された分離物5に適宜な加水を行うなどして溶液化し、鉄粉混合液6を生成する(s107)。
以上の処理の結果、ヒ素吸着槽14別に由来の鉄粉添加泥水4に対する遠心分離機15での処理が完了すると該当ヒ素吸着槽14は空になり、余剰槽13から新たに供給される泥水2を貯留できる状態となる。一方、該当ヒ素吸着槽14と所定系統でつながった鉄粉ストック槽19A〜19Cのいずれかには、該当ヒ素吸着槽14由来の鉄粉混合液6が貯留された状態となる。
鉄粉ストック槽19A〜19Cの鉄粉混合液6は、次の泥水2が計量されているヒ素吸着槽14A〜14Cに配管を通じて投入され、新たな鉄粉添加工程s101が開始される。
以降、上述のステップs101〜s107を、予め特定してある、鉄粉3の転用可能回数に基づく所定回数の範囲内で繰り返し実行する(s108:n〜s101)。すなわち、転用可能回数限界まで繰り返し実行してもよいし、転用可能回数に応じて、それ以下の回数だけ繰り返し実行してもよい。ヒ素吸着槽14にて泥水2に添加する鉄粉混合液6中の鉄粉3は、一定量あたりで吸着、固定化できる重金属量の限界を持ち、この限界量までは繰り返し使用しても重金属を吸着、固定化し続けることが可能である。従って、ステップs109の実行毎に遠心分離機15で回収される上述の分離物5(若干の土砂を含む鉄粉3)を繰り返し転用すれば、鉄粉3の有効利用を図れる。そのため使用する鉄粉量を低減しコストを削減することが出来る。
なお、このように繰り返して鉄粉3を用いるうちに徐々に鉄粉が失われてその量が減少し、鉄粉混合液6に含まれる鉄粉量が規定量よりも少なくなった場合、未使用の鉄粉を不足分だけ添加するとすればよい。
こうして、鉄粉3の所定転用回数に応じた、上述のステップs101〜s107の繰り返し処理を行い、所定転用回数における最終回における上述のステップs102、すなわち、遠心分離機15における鉄粉添加泥水4からの鉄粉3の分離工程に至った場合(s108:y)、この最終回において遠心分離機15で生じた上述の分離物5を、鉄粉ストック槽19にて加水して溶液化し、これを磁力選別機20に供給する(s109)。磁力選別機20においては、溶液化された分離物5からヒ素吸着後の鉄粉3を磁力選別し分離する(s110)。
磁力選別機20は、処理対象の溶液に所定強度の磁力を及ぼす永久磁石を内蔵した回転ドラムと、永久磁石の磁力により回転ドラム表面に付着していた鉄粉を回転ドラム表面から掻き取って回収するスクレーパとを少なくとも具備している。永久磁石ではなく電磁石を利用した構造の場合、磁力選別機20は、上述の溶液に所定強度の磁力を一定サイクルで発生させる電磁石を内蔵した回転ドラムおよび電磁石の制御装置と、電磁石の磁力により回転ドラム表面に付着していた鉄粉を電磁石での磁力発生停止に合わせて掻き取って回収するスクレーパとを具備している。こうした磁力選別機20で回収された鉄粉3は、重金属たるヒ素の粒子を吸着させた汚染鉄粉となる。
また、磁力選別機20において、上述の溶液化した分離物5中より鉄粉3を分離させて得た汚泥はスラリー槽16に送り、当該汚泥が含む細粒分の土砂を沈降させ、この沈降土砂をプレス17によって所定の減容、脱水を行ってケーキとした上で(s111)、ヒ素を含まない汚泥として搬出する(s112)。一方、上述のステップs110の処理により分離、回収された、ヒ素吸着鉄粉は産業廃棄物として搬出し(s113)、処理を終了する。
なお、上記の説明では、磁力選別機20による鉄粉分離工程を1回実行するものとしたが、これに限らず、複数回実行してもよい。すなわち、磁力選別機20により分離された鉄粉に僅かな土砂が混じっている場合に、その分離物を再度、磁力選別機20に投入して、より完全に鉄粉を土砂から分離することとしてもよい。
以上の説明では、所定転用回数における最終回に磁力選別機20による鉄粉3の分離を行うものとしたが、所定転用回数の最終回まで上述のステップs101〜s107の繰り返し処理を行い、最終回に遠心分離機15で得られた分離物5を、そのままヒ素吸着物が含まれた産業廃棄物として処分とするとしてもよい。
ところで、上述の例では、鉄粉分離工程の最終回に至った場合に、この最終回において遠心分離機15で生じた分離物5を溶液化し、これを磁力選別機20に供給するものとした。しかしながら、最終回の遠心分離機15による鉄粉分離工程に、磁力選別機20による鉄粉分離工程を重ねている形になっていることを考慮すれば、最終回の鉄粉分離工程を遠心分離機15ではなく磁力選別機20により行う形態を採用してもよい。以下、この場合のフローについて説明する。
図3は本実施形態の汚染土壌浄化方法の手順例2を示すフロー図である。このフローにおけるステップs201およびs203〜s208に関しては、図2について説明したs101〜s107の内容と同様であり、説明は省略する。一方、当該フローの場合、鉄粉3の所定転用回数の判断ステップs202が、鉄粉添加工程s201の後にある。
こうして、ステップs201〜s208の繰り返し処理を行い、鉄粉添加工程s201の回数が所定転用回数に到達したならば、この最終回の鉄粉添加工程で得た鉄粉添加泥水4を、遠心分離機15ではなく磁力選別機20に供給する(s209)。磁力選別機20においては、鉄粉添加泥水4からヒ素吸着後の鉄粉3を磁力選別し分離する(s210)。
また、磁力選別機20において、鉄粉添加泥水4より鉄粉3を分離させて得た汚泥はスラリー槽16に送り、当該汚泥が含む細粒分の土砂を沈降させ、この沈降土砂をプレス17によって所定の減容、脱水を行ってケーキとした上で、ヒ素を含まない汚泥として搬出する(s212)。一方、上述のステップs210の処理により分離、回収された、ヒ素吸着鉄粉は産業廃棄物として搬出し(s213)、処理を終了する。
なお、最終回の鉄粉添加工程が終了した後に実施する磁力選別機20による鉄粉分離工程は1回に限らず、複数回実行してもよい。また、最終回の鉄粉添加工程が終了した後、直ちに磁力選別機20による鉄粉分離工程を実行するのではなく、遠心分離器15による鉄粉分離工程を1回又は複数回実行した後、磁力選別機20による鉄粉分離工程を1回又は複数回実行してもよい。
なお、上述した鉄粉3の転用可能回数の特定方法は以下のようなものとなる。図4は、本実施形態における鉄粉転用回数確認試験の手順を示す図である。すなわち、試験容器30において、所定量の水(例:1リットル)とヒ素(例:0.5mg)を混入させたヒ素混入溶液35を作成し、これに鉄粉3を4g投入して1時間撹拌させる。このヒ素混入溶液35は、液固比5の泥水に、土量あたり2%の鉄粉を添加したケースを想定している。
1時間の撹拌後、ヒ素を吸着させた鉄粉、すなわちヒ素吸着鉄粉38のみをろ過等によりヒ素混入溶液35から取り出す。ここまでの処理で、上述のステップs102もしくはs203における、鉄粉添加泥水4からの鉄粉3の分離処理が1回実行されたのと同義とする。また、ヒ素混入溶液35に対するろ過等の固液分離処理で得られる、ろ液のpH、EC、ヒ素濃度を測定した。
引き続き、試験容器30に新たに用意したヒ素混入溶液35に対し、上述の1回目の処理で取り出した鉄粉3を投入して1時間撹拌させ、上述同様、ヒ素吸着鉄粉38をヒ素混入溶液35から取り出す作業を行う。これでステップs102における分離処理の2回目が実行されたのと同義とする。この場合にも、上述同様に、ろ液のpH、EC、ヒ素濃度を測定した。
本実施形態ではこうした処理を10回繰り返し行った。また、ヒ素混入溶液35は、ヒ素濃度0.5mg/l、0.05mg/lの2液を用意し、試験対象とした。図5は本実施形態における鉄粉転用回数の特定試験結果表400を示す図であり、図6は本実施形態における鉄粉転用回数の特定試験結果グラフ500を示す図である。図5の表400、及び図6のグラフ500に示すように、ヒ素濃度0.05mg/Lの汚染水に対し、同じ鉄粉で10回まで繰り返し処理を行った場合、ろ液に残留したヒ素(As)はいずれの回でも0.002mg/L以下であり、転用を10回繰り返すとしてもヒ素濃度を十分に低減できることが明らかである。一方、ヒ素濃度0.5mg/Lの汚染水に対し、同じ鉄粉で繰り返し処理を行った場合、処理1回目において残留したヒ素濃度は0.001mg/L以下であるが、処理2回目では、残留したヒ素濃度が0.080mg/Lとなり、ヒ素濃度を十分に低減出来ていないことがわかる。濃度の高低を踏まえると、ヒ素濃度0.5mg/Lの汚染水に対する処理1回は、ヒ素濃度0.05mg/Lの汚染水に対する処理10回に相当すると推定されることから、0.5mg/Lの汚染水に対する処理2回目でヒ素濃度を十分に低減出来なくなった結果は、この試験で用いた鉄粉の転用可能回数が、ヒ素濃度0.05mg/Lの汚染物に対して、少なくとも10回より多く、20回より少ない回数であることを示している。こうしてヒ素濃度0.5mg/Lの汚染水に関して転用可能回数の目処をつけたならば、再度、ヒ素濃度0.05mg/Lの汚染水に対する上述の試験を行って、ヒ素濃度を十分に低減出来なくなる限界の転用回数、すなわち転用可能回数を見極める。また、このように特定した鉄粉の転用可能回数が、例えば15回であったならば、所定の安全率を考慮して実際の転用回数を12回などと決定することができる。
なお、本実施形態においては、掘削土が重金属としてヒ素を含む場合に対応したシステム構成と処理方法について説明したが、上述のように、ヒ素以外の、セレン、六価クロム、カドミウム、鉛、シアンなどに対して本実施形態の汚染土壌浄化システム、汚染土壌浄化方法を適用するとしてもよい。その場合、鉄粉の使用量や撹拌時間、転用可能回数など諸条件の値を該当重金属の性状に適用させることとなる。
こうした本実施形態によれば、重金属を含む掘削土を効率的かつ低コストで浄化可能となる。以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
1 汚染土壌浄化システム
2 泥水(掘削土)
3 鉄粉
4 鉄粉添加泥水
5 分離物
6 鉄粉混合液
7 鉄粉回収後泥水
10 シールドマシン
11 固液分離装置
12 調整槽
13 余剰槽
14 ヒ素吸着槽
15 サイクロン
16 スラリー槽
17 プレス
18 鉄粉前処理槽
19 鉄粉ストック槽
20 磁力選別機
21 鉄粉タンク
25 送泥系統
26 排泥系統
30 試験容器
35 ヒ素混入溶液
38 ヒ素吸着鉄粉
40〜45 配管系統

Claims (2)

  1. 掘削工事で生じた重金属を含む掘削土が混合された泥水に重金属吸着用の鉄粉を添加する鉄粉添加工程と、
    重金属を吸着した前記鉄粉を含んだ泥水である鉄粉添加泥水を遠心分離機に供給し、当該遠心分離機によって、前記鉄粉添加泥水から、前記鉄粉を含まない前記泥水を除去する泥水除去工程と、
    を含み、
    前記鉄粉添加工程を、前記鉄粉の転用可能回数以下である所定の複数回数だけ同じ鉄粉を用いて実行した後、磁力選別機によって前記鉄粉添加泥水から前記鉄粉を分離する工程を実行することを特徴とする汚染土壌浄化方法。
  2. 前記泥水に鉄粉を添加する重金属吸着槽が複数設けられ、該複数の重金属吸着槽に対応して、鉄粉ストック槽が複数設けられ、前記重金属吸着槽で得られた前記鉄粉添加泥水を前記重金属吸着槽間でタイミングをずらして前記遠心分離機に供給し、重金属吸着槽別の遠心分離機での処理が完了する毎に、当該処理で分離された鉄粉を空いている鉄粉ストック槽に供給し、各鉄粉ストック槽に供給された鉄粉を当該鉄粉ストック槽に対応する重金属吸着槽に供給することを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌浄化方法。
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