JP3653728B2 - 分離回収装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は袋に収容された内容物中の鉄粉を分離して回収する分離回収装置に係り、特に、「使い捨てカイロ」の未使用品から鉄粉を分離し、リサイクル資源として回収する分離回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
使い捨てカイロは一般に、鉄の酸化反応に伴う熱を利用して暖房に用いる携帯用のカイロであり、通気性を有する中袋の内部には、鉄粉を主体として、塩化ナトリウム、水分、活性炭、木粉、バーミュキュライト等が含まれている。これらの内容物が詰め込まれた中袋は、使用時まで非通気性の外袋に密封状態で収容されており、使用時に外袋から中袋を取り出すことにより、鉄粉が空気に触れて酸化し、その発熱によって約40〜60°に維持される。
【0003】
使い捨てカイロの製造は、鉄粉の酸化反応を促進させないように注意しながら、内容物を混合して中袋に詰め込み、さらに中袋を外袋で包装して行われる。その際、鉄粉が酸化したり、中袋や外袋の包装が偏った不良品が発生することがある。この不良品は、製造機器の精度を高めても、ある程度の割合で発生し、発生した不良品は、出荷されずに、未使用のまま廃棄される。一方、良品として出荷した製品であっても、有効期限を過ぎたものは返品され、未使用のまま廃棄される。従来、不良品や返品などの未使用品は、業者に委託し、産業廃棄物として処理していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、産業廃棄にかかる処理費用が年々高騰していることや、省資源化、環境保護を考えると、これらの未使用品を有用な資源として回収し、リサイクルすることが望まれる。
【0005】
ところが、使い捨てカイロの未使用品は、リサイクル資源として回収する上で様々な問題をかかえている。例えば、外袋を開封した際に、鉄粉が酸化反応によって発熱するという問題がある。また、鉄粉は、塩化ナトリウムが付着して酸化しやすい状態にあるため、鉄粉を有用なリサイクル資源として回収しにくいという問題がある。また、内容物に塩化ナトリウムを含む場合、土壌や河川の塩害を考慮しなければならないという問題がある。さらに、これらの問題を解決するためには多額の費用を要するが、リサイクル資源として回収するには低コストで解決しなくてはならないという問題もある。このため、使い捨てカイロの未使用品は、従来、有用な資源として注目されておらず、使い捨てカイロの未使用品をリサイクル資源として回収する装置は未だに存在しないのが実状である。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、使い捨てカイロのように、鉄粉や電解質などを含む内容物が収容された袋から、鉄粉を有用なリサイクル資源として分離、回収する分離回収装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段
【0008】
請求項記載の発明は前記目的を達成するために、鉄粉、電解質、酸素吸着剤、及び保水剤を含む内容物が収容された袋から、少なくとも前記鉄粉を分離して回収する分離回収装置であって、前記袋を裂開する裂開手段と、前記裂開した袋から前記内容物を分離する内容物分離手段と、前記分離した内容物を液中に浸漬して前記電解質を溶解する溶解槽と、前記溶解槽の液が供給され、該液中の前記鉄粉を分離して回収するサイクロン分離機、及び軽質分分離機と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項記載の発明は前記目的を達成するために、鉄粉、電解質、酸素吸着剤、及び保水剤を含む内容物が収容された袋から、少なくとも前記鉄粉を分離して回収する分離回収装置であって、前記袋を裂開する裂開手段と、前記裂開した袋から前記内容物を分離する内容物分離手段と、前記分離した内容物を液中に浸漬して前記電解質を溶解する溶解槽と、前記溶解槽の液を濾過して固形物を分離する濾過手段と、前記濾過手段で分離した前記固形物、又は前記液に浸漬された内容物から前記鉄粉を磁力を利用して分離する磁気選別機と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
本発明は、全く新しいリサイクル分野の技術を提供するものであり、リサイクルが難しいと思われていた、鉄粉、電解質、酸素吸着剤、及び保水剤を含む内容物を収容した袋から、少なくとも鉄粉をリサイクル資源として分離、回収する装置を提供するものである。本発明を用いれば、例えば、使い捨てカイロの未使用品から、主成分である鉄粉を、その酸化反応を極力抑えながら、有用なリサイクル資源として回収することができる。
【0011】
請求項1、2に記載の発明によれば、まず、袋を裂開し、裂開した袋から内容物を分離する。そして、分離した内容物を液中に浸漬して電解質を溶解する。これにより、鉄粉に付着した電解質が洗い落とされるので、電解質によって鉄粉の酸化反応が促進することを抑制できる。また、袋を裂開した際に発熱した内容物を冷却することもできる。このようにして液中に浸漬した内容物から鉄粉を分離することによって、鉄粉を有用なリサイクル資源として回収することができる。特に請求項に記載の発明は、サイクロン分離機、軽質分分離機を用いて鉄粉を分離したので、鉄粉の高分離効率と連続運転が可能になる。また、請求項に記載の発明は、濾過手段と磁気選別機を用いて鉄粉を分離したので、鉄粉やその他の内容物の回収効率が向上する。
【0012】
請求項に記載の発明によれば、サイクロン分離機、軽質分分離機、濾過手段から排出される液を溶解槽に返送したので、液の消費量が非常に少なくなり、ランニングコストを削減することができる。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、液の電解質濃度に応じて液の一部を排水して水を補給するので、液の電解質濃度を低く維持することができ、回収した鉄粉に電解質が付着することを極力防止することができる。
【0014】
請求項に記載の発明によれば、溶解槽内の溶存酸素量に応じて不活性ガスを溶解槽に供給したので、内容物は、溶存酸素量の少ない液に浸漬される。したがって、鉄粉の酸化反応を効果的に抑制することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って、本発明に係る分離回収装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0016】
まず、一般的な使い捨てカイロの構成について詳説する。
【0017】
使い捨てカイロは、鉄粉を主体とする内容物を中袋で包み、さらにこの中袋を外袋で密封包装して構成される。内容物の組成は、製造会社や商品などによって若干異なるが、一般には、鉄粉を主体として、塩類(電解質に相当)、水分、木粉、活性炭(酸素吸着剤に相当)、バーミュキュライト等が混合されている。各組成物の割合としては、例えば、鉄60重量%、水分20重量%、塩類5重量%、木粉5重量%、活性炭5重量%、バーミュキュライト5重量%である。なお、内容物の組成は、上記した例に限定されるものではなく、例えば、バーミュキュライトがないもの、或いは、塩類の代わりにマグネシウム塩やカルシウム塩を用いたものであってもよい。さらに、内容物の主成分は鉄粉でなくてもよく、酸化時に発熱する金属粉であればよい。なお、水分は通常、保水剤の役目を果たす木粉、活性炭、バーミュキュライトに含まれている。
【0018】
内容物を包む中袋は、ナイロン不織布にポリエチレン樹脂をラミネートしたシートなどによって構成され、適度な通気性を備えている。また、中袋を包む外袋は、ポリプロピレン製フィルムとポリエチレン系樹脂などの複合材などで構成されており、空気の進入や水分の発散を防止するために塩化ビニリデン等のコーティングが施されている。なお、中袋や外袋は、上記以外の材質でもよく、また、中袋に貼着部を設けて、衣服などに貼着できるようにしてもよい。
【0019】
このように構成された使い捨てカイロは、外袋から中袋を取り出すことによって、中袋内の鉄粉が空気に触れて酸化し、この酸化反応によって発熱する。その際、活性炭が空気を吸い込んで鉄粉と酸素との接触を助長し、水分と塩類が鉄粉の酸化反応を促進させる。これにより、使い捨てカイロは、40〜60℃に10時間以上維持される。
【0020】
次に、本発明に係る分離回収装置について説明する。分離回収装置は、使い捨てカイロの未使用品から、鉄粉を酸化させずに分離して回収する装置である。ここでいう未使用品とは、例えば、製造ラインで包装材の不良(包装の偏りや印刷ミス)、内容物の不良(混合率不良や量不良)などが発生した不良品、或いは、消費期限切れや売れ残りによる返品である。
【0021】
図1は第1の実施の形態の分離回収装置における処理手順を示す図である。
【0022】
同図に示すように、第1の実施の形態の分離回収装置は、破砕分離処理、冷却溶解処理、サイクロン分離・洗浄処理、及び軽質分分離処理を行うことによって使い捨てカイロの未使用品(以下、「原料」という)を分離している。原料は、まず、破砕分離処理で破砕され、中袋と外袋(以下、まとめて「包装材」という)が裂開される。裂開された包装材は内容物と分離されて回収され、望ましくは減容された後にプラスチックゴミとしてリサイクル或いは廃棄される。
【0023】
一方、破砕分離処理で包装材から分離された内容物は、冷却溶解処理に送られる。そして、メイクアップ水やリサイクル水に浸漬され、内容物が冷却されるとともに、内容物の塩類が液中に溶解される。この溶解液のスラリーは、内容物とともにサイクロン分離・洗浄処理に送られる。そして、鉄粉をその他の内容物から分離する分離処理と、鉄粉を洗浄して塩類を払い落とす洗浄処理が繰り返し行われる。これにより、鉄粉はリサイクル用途に応じた付着塩類濃度まで低減されて回収されるので、有用なリサイクル資源として活用でき、例えば使い捨てカイロの内容物の材料として再利用することができる。
【0024】
鉄粉から分離された他の内容物(すなわち、木粉、活性炭、バーミュキュライト等の軽質分)は、軽質分分離処理に送られ、水と分離して回収される。この回収物は、例えば園芸などにおいて使用できる他、使い捨てカイロの内容物の材料としても再利用することができる。
【0025】
軽質分分離処理で出た排水は、電解質を含んでいるので、その電解質を回収すれば、使い捨てカイロの内容物の材料として再利用できる。
【0026】
また、軽質分分離処理やサイクロン分離・洗浄処理で分離された液の一部は、リサイクル水として返送され、冷却溶解処理で使用される。これにより、装置全体の液の消費量を減少させることができる。
【0027】
次に、上述した各処理について詳説する。
【0028】
図2は、各処理を具体的に示した分離回収装置10の全体構成図である。
【0029】
原料11は、まず、包装状態のまま、ホッパー12に投入される。ホッパー12に投入された原料11は、コンベア13によって搬送され、破砕分離機(裂開手段及び内容物分離手段に相当)14に投入される。そして、この破砕分離機14によって、原料11の破砕分離処理が行われる。
【0030】
破砕分離機14は、図3及び図4に示すように、横向きに配置された円筒状のケーシング15を備え、このケーシング15の端部に、原料12の投入口16が上向きに形成されている。この投入口16と反対側の端部には、回収口17が下向きに形成されており、この回収口17に回収袋18が取り付けられている。また、ケーシング15の下面はスクリーン19によって構成されており、このスクリーン19の下方に溶解槽20が配置されている。スクリーン19としては、例えば矩形の目を有する方形スクリーンや円形の目を有する円形スクリーンが用いられ、その目の一辺、或いは直径が約2〜15mm、好ましくは8〜10mmで形成される。
【0031】
また、ケーシング15の内部には、モータ21によって回転する回転軸22が略水平に設けられ、この回転軸22に複数の刃(又は爪)23、23、…が遠心方向に配列されている。刃23は、回転軸22の軸方向に見た際に(図4参照)、矩形の板状に形成されており、隣接する刃23同士が相互に直交するように配置される。また、刃23は、ボルト(不図示)等によって着脱自在に取り付けられており、必要に応じて交換できるようになっている。なお、刃23の形状は、上述したものに限定されるものではなく、先端が鋭角に角張っているもの、逆に円弧状に丸まっているものなど、様々なものが使用できる。また、刃23の別の形状としては、回転軸22の回りにらせん状に形成したものであってもよい。
【0032】
上述した刃23を高速で回転させると、刃23の遠心方向の回転衝撃によって原料11が破砕され、包装材が裂開される。裂開された包装材は、軽くて空気抵抗が大きいため、刃23の回転によって回収口17に飛ばされる一方で、空気抵抗の小さい内容物が下方に落下する。これにより、内容物と包装材が分離される。分離された後、包装材は、回収口17から回収袋18に落下して回収され、内容物は、スクリーン19を通過して落下し、溶解槽20に投入される。なお、溶解槽20に投入された内容物の拡散を良くするため、スクリーン19の面積を大きくし、内容物を広範囲に分散して投入するとよい。
【0033】
上記の如く構成された破砕分離機14は、原料11の破砕処理と、包装材と内容物の分離処理を同時に行うことができる。したがって、破砕から分離までを迅速に行うことができ、破砕直後から始まる鉄粉の酸化を極力抑えることができる。また、上記の如く構成された破砕分離機14は、包装材と内容物の分離効率が非常に良い。したがって、内容物は包装材に殆ど残らずに、溶解槽20に投入される。
【0034】
なお、原料11を破砕分離機14の投入口16に投入する方法としては、コンベア13による機械的な搬送に限定されず、作業者が投入口16に直接投入してもよい。また、ホッパー12への投入は、作業者の手によるものに限定されず、コンベアなどで投入してもよい。
【0035】
また、破砕分離処理を行う装置としては、破砕分離機14に限定されるものではなく、例えば、破砕処理のみを行う装置と分離処理のみを行う装置とを組み合わせて使用してもよい。図5は、分離処理のみを行うのに好適な分離装置25を示している。同図に示すように、分離装置25は、ケーシング26の内部に、高さ位置の異なる上段スクリーン27と下段スクリーン28が斜めに配設されている。上段スクリーン27と下段スクリーン28は、例えば2〜15mm、好ましくは8〜10mm四方の目を有しており、振動付与装置29によって振動が付与される。したがって、裂開した原料11を投入口30から投入すると、原料11は、振動する上段スクリーン27の上を転がって下段スクリーン28に落下し、さらに下段スクリーン28の上を回収口31まで転がる。その際、原料11の内容物は包装材から払い落とされ、包装材のみが回収口31から落下する。一方、包装材から払い落とされた内容物は、上段スクリーン27或いは下段スクリーン28を通過して落下し、溶解槽20に投入される。これにより、破砕された原料11を包装材と内容物に分離することができる。なお、分離装置25において、スクリーンの数は2段に限定されるものではなく、1段であっても3段以上であってもよく、分離装置25に投入される包装材の破砕状態に応じて適切な段数を選定すればよい。また、使用するスクリーンとしては、方形スクリーンだけでなく、円形スクリーンやその他の形状のスクリーンであってもよい。
【0036】
図2に示した破砕分離機14で破砕分離処理された内容物は、溶解槽20に投入され、冷却溶解処理が行われる。溶解槽20には、供給ライン33が接続されており、この供給ライン33から供給された水やリサイクル水が貯留されている。この液の水位は水位計32によって計測されており、その計測値に応じて供給ライン33の弁34が開閉される。これにより、供給ライン33から水が補給され、溶解槽20の水位が一定に保たれる。なお、溶解槽20の容量は、原料11を単位時間あたり1トン処理する場合、約1〜3m3 の容量が好ましい。
【0037】
図3に示すように、溶解槽20は破砕分離機14に近接して配置されている。すなわち、溶解槽20の液面と破砕分離機14のスクリーン19が近接して配置されている。これにより、破砕分離機14で分離された内容物は、スクリーン19を通過した直後に、溶解槽20の液中に浸漬される。
【0038】
この液は、溶存酸素量が常に低い値になるように制御されている。すなわち、溶解槽20には、不活性ガスのガス供給ライン40が接続されており、計測装置39で計測した溶存酸素量に応じて弁41が開閉され、ガス供給ライン40を介して不活性ガスが供給される。これにより、溶解槽20の液が、常に低い溶存酸素量に維持されるので、この液に浸漬された内容物を空気から遮断することができる。
【0039】
液に浸漬された内容物は、攪拌翼36をモータ37で回転し、液を攪拌することによって拡散される。攪拌翼36は、図7に示された如く幅広い沈降速度分布を有する内容物をできる限り均一なスラリーとするため、特に、沈降速度が早くて底部に滞留しやすい成分(鉄粉)を攪拌するため、溶解槽20の底面20Aに沿って、且つ底面20Aに近接して配置することが好ましい。例えば、底面20Aを排出ライン35の接続部に向けて下方に傾斜させた場合には、攪拌翼36もこの傾斜面に沿って配置することが好ましい。これにより、滞留域のない攪拌流が形成されるので、沈降速度の大きい鉄分も溶解槽20の底面20Aに溜まることなく拡散され、固形物が均一に混ざったスラリー液が形成される。このスラリー液は、傾斜した底面20Aに沿ってスムーズに排出ライン35から排出される。
【0040】
このように冷却溶解処理では、破砕分離処理で分離された内容物がスクリーン19を通過した直後に、溶解槽20の液中に浸漬されて空気から遮断されるので、鉄粉の酸化反応を抑制することができる。すなわち、原料11の外袋が裂開されると、内容物の鉄粉は空気に曝され、酸化反応が急激に促進されるが、溶存酸素量の少ない液中に迅速に内容物を浸漬することによって酸化反応を抑制することができる。
【0041】
また、冷却溶解処理では、溶解槽20の液中に内容物を浸漬することによって、破砕分離処理で温度が若干上昇した内容物を冷却し、温度を低下させることができる。
【0042】
さらに、冷却溶解処理では、攪拌翼36で攪拌することによって内容物の塩類を液中に溶解させることができ、鉄粉に付着した塩類を払い落として鉄粉を洗浄することができる。また、攪拌によって、均一なスラリー液を形成できるので、サイクロン分離・洗浄処理において鉄粉の分離処理の効率が高まる。
【0043】
なお、排出ライン35から排出されるスラリー液は、内容物1の重さに対して溶液の重さが約6〜15であることが好ましい。
【0044】
サイクロン分離・洗浄処理は、図2に示す分離機43、44、45によってスラリー液に含まれる鉄粉を主に分離して回収し、さらにその回収物を洗浄槽46、47によって洗浄し、最終的に回収槽48に回収する。すなわち、溶解槽20の排出ライン35は、分離機43に接続されており、この分離機43によってスラリー液中の鉄粉が主に分離されて回収される。この鉄粉を主体とした回収物は、分離機43の下方に配置された洗浄槽46に落下し、この洗浄槽46で洗浄される。洗浄された回収物は、洗浄槽46の排出ライン49を介して分離機44に送られ、この分離機44によって鉄粉の分離処理が再び行われる。分離処理された鉄粉を主体とする回収物は、その下方の洗浄槽47に落下し、再び洗浄される。そして、洗浄槽47の排出ライン50を介して分離機45に送られた後、三回目の分離処理が行われ、分離機45の下方の回収槽48に回収される。
【0045】
なお、分離機43の上端部は、送出ライン51を介して軽質分分離機55に接続されており、この軽質分分離機55に軽質分を含むオーバーフロー水が送られるようになっている。また、分離機44の上端部に接続された送出ライン52、及び分離機45の上端部に接続された送出ライン53は、返送ライン54に接続されており、オーバーフロー水を返送ライン54のリサイクル水に合流させるようになっている。
【0046】
各分離機43〜45としては、図6に示すような接線流入式の液体サイクロン分離機を用いることが好ましい。この液体サイクロン分離機は、スラリー液に旋回運動を与え、スラリー液に含まれる各組成分の沈降速度差を利用して分離する装置である。図7に示すように、スラリー液の組成分は、沈降速度分布に大きな偏りがあり、鉄粉だけが非常に大きくなっている。したがって、沈降速度分布を利用して分離することによって、鉄粉とそれ以外の軽質分とに分離することができる。
【0047】
図6に示した液体サイクロン分離機は、下端に向けて内径が小さくなる円錐部を有する外筒57と、外筒57の上端部に取り付けられた内筒58とから成り、スラリー液は、外筒57の上部から内壁の接線方向に流入される。流入されたスラリー液は、外筒57の内壁に沿って旋回しながら下降する。その旋回流動によって、鉄粉と軽質分とが分離されるとともに、塩類の溶解が促進される。そして、スラリー液の一部が外筒57の下端から流出され、その残りがオーバーフロー水として内筒58から流出する。その際、沈降速度の大きい鉄粉の殆どは外筒57の下端からの流出水に含まれ、沈降速度の小さい軽質分の殆どは内筒58からのオーバーフロー液に含まれる。これにより、鉄粉と軽質分が分離される。
【0048】
一方、図2に示す洗浄槽46、47は、溶解槽20と同様に構成されている。すなわち、底面が斜めに形成されるとともに、その底面に沿って攪拌翼60が配置されている。攪拌翼60は、モータ61によって回転し、鉄粉などの固形物を均一に分散させることができる。また、底面の最も低い位置には排出ライン49又は50が接続されており、ポンプ62又は63を駆動することによって液を排出ライン49又は50にスムーズに排出できるようになっている。
【0049】
また、洗浄槽46、47には、返送ライン54が分岐して接続されており、リサイクル水が供給される。リサイクル水の供給量は、開閉弁64又は65によって調整され、この開閉弁64又は65は、水位計66又は67の計測値によって制御される。これにより、洗浄槽46、47の水位を常に一定に保つことができる。洗浄槽46、47には、リサイクル水だけでなく、メイクアップ水を供給するようにしてもよい。
【0050】
なお、洗浄槽46、47にも、溶解槽20と同様に、不活性ガスのガス供給ラインを接続し、液の溶存酸素量に応じて不活性ガスを供給するようにしてもよい。これにより、液の溶存酸素量を小さい値に維持することができるので、鉄粉の酸化反応をより効果的に抑制することができる。
【0051】
回収槽48は、分離機45の下方に配置されている。この回収槽48には、分離機45の下部から落下した、鉄粉を主体とする回収物が回収される。その回収の際、分離機45の下部からは、鉄粉などの固形物だけでなく溶液も流出されるので、鉄粉が空気に触れることが妨げられ、鉄粉の酸化反応が抑制される。こうして回収された回収物は、リサイクル鉄として使用される他、使い捨てカイロの内容物の材料として再使用することが可能である。なお、回収槽48に回収した回収物は、リサイクルの用途に合わせ、乾燥させずに溶液に浸したまま、或いは十分に乾燥させた後に、使用先用途に合ったプラスチック袋などに封入し、空気から遮断するとよい。
【0052】
上述したサイクロン分離・洗浄処理は、分離機43〜45で三回の分離処理を繰り返し行うので、軽質分を十分に除去した鉄粉を回収することができる。すなわち、一回目の分離処理で分離しきれずに僅かに残っていた軽質分を二回目、三回目の分離処理で分離できるので、軽質分を十分に除去できる。
【0053】
また、上述したサイクロン分離・洗浄処理は、分離機43〜45での旋回流動によって、鉄粉に付着した塩類を溶解するとともに、洗浄槽46、47で繰り返し洗浄処理を行って鉄粉をすすぎ洗いしたので、回収した鉄粉に塩類が混入することを極力防止できる。特に、本実施の形態では、溶解槽20での処理も含めて三回の洗浄処理を繰り返し行ったので、脱塩効果が非常に大きい。
【0054】
図8は、洗浄回数に伴う脱塩効果を説明する図であり、一回の洗浄処理後に回収した鉄粉と三回の洗浄処理後に回収した鉄粉を大気暴露した際の温度変化を示している。同図から分かるように、一回洗浄の鉄粉と比較して、三回洗浄の鉄粉は、酸化反応に伴う温度上昇が緩やかであり、且つ、収束する温度が大幅に低下している。すなわち、三回洗浄の鉄粉は、一回洗浄の鉄粉よりも、酸化反応の速度が遅く、且つ、その酸化反応がすぐに進行しなくなっている。このことから、洗浄回数を増やすことによって、脱塩効果が非常に大きくなり、回収後の鉄粉への塩類の混入量を大幅に減少でき、結果として、回収した鉄粉の酸化反応を抑制できることが分かる。なお、洗浄回数を四回以上に増加させた際には、鉄粉の温度上昇がさらに抑制され、脱塩効果がさらに上昇する傾向が見られた。
【0055】
このような脱塩効果の著しい上昇は、洗浄回数の増加のみによって得られる特有の効果である。すなわち、溶解槽20や洗浄槽46、47の滞留時間を増加させても脱塩効果はさほど上昇しない。また、溶解槽20や洗浄槽46、47の液量を増加すれば脱塩効果は若干上昇するが、洗浄回数を増加した場合ほどの効果は得られない。以上により、三回の洗浄を行う本実施の形態は、脱塩効果が非常に大きく、回収した鉄粉の酸化を抑制でき、鉄粉を有用なリサイクル資源として回収することができる。
【0056】
なお、洗浄回数は、三回に限定されるものではなく、回収する鉄粉に要求される品質や装置スペースなどによって決定すればよい。すなわち、分離機43のみを設置して洗浄回数を一回としても、分離機43と分離機44を設置して洗浄回数を二回としても、或いは、分離機43〜45の後に他の分離機を接続して洗浄回数を四回以上としてもよい。図9は、洗浄回数を二回とした分離回収装置である。この分離回収装置は、分離機43、44が設置されるとともに、分離機44の下方に回収槽48が設置されている。したがって、回収槽48には、二回洗浄した鉄粉を主体とする回収物が回収される。このように洗浄回数を二回としても、一回洗浄の場合よりも脱塩効果が非常に大きく、鉄粉の酸化を効果的に抑制できる。また、洗浄回数を少なくすることによって、分離機や洗浄槽の数が減るので、装置全体を小型化することができる。
【0057】
また、上述したサイクロン分離・洗浄処理は、分離機43のオーバーフロー水のみを軽質分分離機55に送液したが、これに限定するものではない。例えば、図10に示すように、分離機44の送出ライン52を軽質分分離機55に接続し、分離機44のオーバーフロー水を軽質分分離機55に導入してもよい。これにより、分離機43と分離機44で分離された軽質分が軽質分分離機55に送出されるので、軽質分分離機55における軽質分の回収量を増加させることができる。また、図11に示すように分離機45の送出ライン53を軽質分分離機55に接続し、分離機45のオーバーフロー水も軽質分分離機55に送出すると、軽質分の回収量をさらに向上させることができる。逆に、図2に示したように、分離機43のみを軽質分分離機55に接続すると、軽質分分離機55へ流入する液量が減少するので、容量の小さい軽質分分離機55を用いることができる。また、分離機44、45からのオーバーフロー水をリサイクル水として利用するので、装置全体の液の消費量を大幅に減少させることができる。
【0058】
軽質分分離機55は、軽質分を分離して回収する装置構造であればよく、例えば、図12に示すように、密度差、或いは比重差を利用して軽質分を分離する構造のものが好ましい。図12に示す軽質分分離機55は、下部にホッパを有する円筒状のケーシング70を備え、このケーシング70の中央位置にパイプ71が縦に配置されている。パイプ71は、ケーシング70の上面に貫通して配置されており、下端がケーシング70の液中に浸漬される。また、パイプ71の上端部には、図2の分離機43からの送出ライン51が接続されており、分離機43のオーバーフロー水が図12のパイプ71に送液される。このパイプ71の周囲には、板状の羽根72が複数設けられている。
【0059】
また、ケーシング70の下部には、ガス供給ライン75が接続されており、不活性ガス或いは空気が必要に応じて供給されるようになっている。不活性ガス或いは空気は、ガス供給ライン75の先端の散気部75Aから液中に散気され、この散気された気泡の上昇によって軽質分の分離が促進される。散気部75Aの構造としては、ケーシング70内の液中に均一な散気を行うことができ、且つ鉄粉等が溜まらずにケーシング70のホッパ部に落下する構造であることが好ましい。例えば、散気部75Aを、中央部が上方に尖った円錐面を有する形状に形成し、その円錐面に散気用の小径の孔を均等に形成するとよい。この場合、鉄粉等が散気部75Aの円錐面に沿って滑り、散気部75Aの周囲からケーシング70のホッパ部に落下する。また、散気部75Aの別の構造としては、小径の孔が多数形成された散気管をリング状にして水平に配置してもよい。なお、ケーシング70にガスや空気を供給する代わりに、加圧水を供給してもよい。この場合、加圧水がケーシング70内で急激に減圧され、細かな気泡が発生するので、この気泡によって軽質分が浮上し、軽質分の分離効果が促進される。加圧水を用いる場合には、羽根72を設けなくてもよい。
【0060】
上記の如く構成された軽質分分離機55は、分離機43(図2参照)のオーバーフロー水がパイプ71を介してケーシング70の液中に送液されることによって、オーバーフロー水中の軽質分が、液中を上昇する。上昇する軽質分は、複数の羽根72と接触し、軽質分に付着した微小径の鉄粉を払い落としながら液面まで浮上する。その際、ガス供給ライン75からガスを散気することによって、軽質分を効率良く分離できる。液面まで浮上した軽質分は、オーバーフロー水とともに回収容器74に回収される。これにより、軽質分を回収することができ、回収した軽質分は、リサイクル資源として園芸などの分野で活用したり、或いは使い捨てカイロの内容物の材料としてリサイクルされる。なお、鉄粉は基本的に分離機45で既に分離され、回収槽48に回収されているが、軽質分分離機55に混入した場合であっても、この軽質分分離機55によって分離することができる。分離した鉄粉は、ケーシング70のホッパ部に貯留され、弁73を定期的に開くことによって回収することができる。
【0061】
ところで、軽質分分離機55のケーシング70には、返送ライン54が接続され、この返送ライン54は、図2に示すように、溶解槽20の供給ライン33に接続されるとともに、一部が途中で分岐して洗浄槽46、47にも接続されている。したがって、ポンプ76を駆動することによって、軽質分分離機55の液をリサイクル水として溶解槽20、又は洗浄槽46、47に供給することができる。これにより、装置全体の水の消費量が少なくなるので、非常に経済的である。
【0062】
なお、返送ライン54は、排水ライン77にも接続されており、液の一部を排水ライン77を介して排水することができる。排水液には、塩類が含まれるので、この塩類を内容物の電解質としてリサイクルすることが可能である。排水される液量は、弁78によって調整され、この弁78は、返送ライン54に設けた塩類測定手段79の計測値に応じて開閉制御される。塩類測定手段79は、塩類の量(濃度)を測定できる手段であればよく、例えば塩類としてNaClを用いた場合にはNa分析計やCl分析計、さらには比重計、電導度計やその他の測定装置を用いてもよい。前述した弁78の制御としては、例えば、排水ライン77から常時排水を行うとともに、測定した塩類濃度が所定値以上になった際にのみ、弁78の開度を大きくして排水量を増加させるとよい。その際、溶解槽20の水位が低下するので、溶解槽20に供給ライン33から水が供給される。これにより、系内を循環する液の塩類濃度が低下するので、塩類濃度の増加による脱塩効果の低下を防止できる。なお、塩類測定手段79の設置位置は、返送ライン54に限定されるものではなく、系内を循環する液の塩類濃度を計測できる位置であればよく、例えば溶解槽20に設置してもよい。
【0063】
以上説明したように、本実施の分離回収装置10によれば、破砕分離機14によって、原料11の破砕処理と、包装体と内容物の分離処理を同時に行うとともに、分離した内容物をすぐに溶解槽20の液に浸漬したので、鉄粉の酸化を抑制することができる。したがって、電解質によって酸化しやすい状態にある鉄粉を、極力酸化させずに回収することができる。特に本実施の形態では、溶解槽20に不活性ガスを供給して液中の溶存酸素濃度を低下させたので、液中における鉄粉の酸化も極力防止することができる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、溶解槽20、洗浄槽46、47で塩類の溶解処理を三回行うとともに、分離機43〜45での旋回流動による塩類の溶解促進処理を三回行ったので、脱塩効果が非常に大きく、塩類の付着を抑えた鉄粉を回収することができる。これにより、回収した鉄粉が、塩類によって酸化されることを防止することができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、軽質分分離機55を設けたので、軽質分も有用なリサイクル資源として回収することができる。
【0066】
また、本実施の形態は、返送ライン54を設けることによって、軽質分分離機55の液を溶解槽20や洗浄槽46、47に返送し、循環させるようにしたので、液の消費量が少なくなる。また、分離機44、45のオーバーフロー水もリサイクル水として利用するようにしたので、液の消費量をさらに少なくすることができる。
【0067】
さらに、分離機43〜45として液体サイクロン分離機を採用するとともに、軽質分分離機55として密度差や比重差を利用する構造のものを採用した本実施の形態は、連続運転が可能である。したがって、原料11の処理能力が非常に大きく、大量の原料11を短時間で処理することができる。
【0068】
なお、上述した実施の形態は、液体サイクロン分離機と軽質分分離機55の両方を用いて鉄粉と軽質分を分離回収したが、液体サイクロン分離機のみ、或いは、軽質分分離機55のみを設けて鉄粉を回収するようにしてもよい。また、鉄粉と軽質分の分離回収手段はこれに限定するものではなく、例えば以下に示すように、濾過機と磁気選別機によって鉄粉と軽質分を分離回収してもよい。
【0069】
図13は、濾過機と磁気選別機を用いた第2の実施の形態の分離回収装置の処理手順を示す図である。
【0070】
同図に示すように、第2の実施の形態の分離回収装置では、破砕分離処理、冷却溶解処理、濾過処理、乾式磁石分離処理を行う。破砕分離処理と冷却溶解工程は、図1に示した第1の実施の形態と同様の処理であり、説明を省略する。濾過処理は、冷却溶解処理で内容物を浸漬したスラリー液を濾過し、塩水と固形物とを分離する。この濾過処理の際、エアを送って高圧濾過を行うことによって、濾過効率を向上させることができる。濾過によって分離した塩水は排水し、捕集された内容物の固形物は、乾式磁石分離処理が施される。乾式磁石分離処理は、固形物を乾燥させた後、或いは濾過によって取り出された水分を含む状態のまま乾燥させずに、磁力を利用して、磁性体である鉄粉と、それ以外の非磁性体とを分離する。使い捨てカイロの場合、非磁性体は、木粉、活性炭、バーミュキュライトなどであり、第1の実施の形態で捕集した軽質分と同じ組成物である。これにより、原料から鉄粉と軽質分を分離して回収することができる。
【0071】
図14は、第2の実施の形態の分離回収装置の構成を示す概念図である。
【0072】
同図に示すように、分離回収装置80は、濾過機81と磁気選別機82を備えている。
【0073】
磁気選別機82は、内容物の固形物を磁力を利用して分離し、磁性体である鉄粉とそれ以外の非磁性体(軽質分)とに分離する装置である。この磁気選別機82に投入された鉄粉は、回転ドラム83に磁着して運ばれ、回収容器84に回収される。一方、非磁性体は、回転ドラム83に吸着せずに回収容器85に落下して回収される。
【0074】
濾過機81は、エアシリンダ86によって開閉される容器87を備え、この容器87の内部がフィルタ88によって仕切られている。フィルタ88は、帯状に形成されており、巻き取りローラ89によってフィードさせることができる。また、容器87には、スラリー液供給ライン90とエア供給ライン91がフィルタ88に対して同じ側に接続されている。スラリー液供給ライン90とエア供給ライン91の反対側には、返送ライン99が接続されている。返送ライン99は、溶解槽20の供給ライン33に接続されるとともに、排水ライン104にも接続されている。
【0075】
なお、濾過機81は、バッチ運転であるために、タンク92が必要である。すなわち、溶解槽20のスラリー液を一旦、タンク92に貯留し、このタンク92のスラリー液をポンプ93によって容器87に送液する。タンク92は、底面が傾斜しており、この底面に沿って攪拌翼94が設けられている。攪拌翼94はモータ95によって回転し、スラリー液の鉄粉の沈降を防止する。スラリー液供給ライン90は、底面の低い位置に接続され、スラリー液をスムーズに排出できるようになっている。
【0076】
上記の如く構成された分離回収装置80は、エアシリンダ86によって容器87を閉じた後、バルブ96を開いてスラリー液を容器87に送液する。そして、バルブ96を閉じ、エアを供給して内圧を高め、濾過を行う。この濾過処理によって、内容物の固形物がフィルタ88に捕集され、塩水のみがフィルタ88を通過する。フィルタ88を通過した塩水は、一部が返送ライン99を介して溶解槽20に返送され、残りが排水ライン104を介して排水される。濾過後、エアシリンダ86によって容器87を開き、巻き取りローラ89を回転させてフィルタ88をフィードする。これにより、フィルタ88に捕集された固形物は、ガイド部材97の上に落下し、磁気選別機82に投入される。その際、固形物を乾燥機98に通過させて乾燥させるとよい。磁気選別機82に投入された固形物は、鉄粉とそれ以外の非磁性体に分離され、回収容器84、85に別々に回収される。
【0077】
この分離回収装置80は、濾過機81のフィルタ88を、内容物の最小粒径に合わせて選定することによって、内容物の回収率を向上させることができる。また、濾過機81の容器87から排出される液の一部をリサイクル水として、返送ライン99を介して溶解槽20に返送し、液の消費量を減少させることができる。なお、濾過機81から排出される内容物をそのまま再利用する場合には、磁気選別機82は不要である。
【0078】
図15は、第3の実施の形態の分離回収装置の処理手順を示す図である。
【0079】
同図に示すように、第3の実施の形態の分離回収装置では、破砕分離処理、冷却溶解処理、湿式磁石分離処理、濾過処理を行う。破砕分離処理と冷却溶解工程は、図1に示した第1の実施の形態と同様の処理であり、説明を省略する。湿式磁石分離処理は、冷却溶解処理で内容物を浸漬したスラリー液から、磁性体である鉄粉を、磁力を利用して分離、回収する。そして、残りのスラリー液を濾過処理し、非磁性体の固形物と塩水とに分離する。この濾過処理の際、エアを送って高圧濾過を行うことによって、濾過効率を向上できる。以上の処理により、原料から鉄粉と軽質分を分離して回収することができる。
【0080】
図16は、第3の実施の形態の分離回収装置の構成を示す概念図である。
【0081】
同図に示すように、分離回収装置100は、濾過機81、タンク92、磁気選別機101を備えている。濾過機81とタンク92は、図14に示した第2の実施の形態と同様の構成であり、説明を省略する。
【0082】
磁気選別機101には、溶解槽20の排出ライン35が接続されており、溶解槽20のスラリー液が供給される。また、磁気選別機101は、スラリー液の流れと反対方向に回転するドラム102を備え、このドラム102にスラリー液中の鉄粉が磁着される。磁着された鉄粉は、上方位置においてドラム102から離れて回収容器84に回収される。また、磁気選別機101は、排出ライン103を介してタンク92に接続されており、鉄粉が除去された後のスラリー液が、タンク92に貯留される。
【0083】
上記の如く構成された分離回収装置100は、溶解槽20のスラリー液を磁気選別機101に供給し、このスラリー液から鉄粉を分離して、回収容器84に回収する。そして、残りのスラリー液をタンク92に貯留した後、濾過機81に供給する。そして、濾過機81でスラリー液を塩水と固形物(軽質分)とに分離する。分離した塩水は、一部が返送ライン99を介して溶解槽20に返送され、残りが排水ライン104を介して排水される。一方、固形物は、ガイド部材97を介して回収容器85に回収される。これにより、鉄粉と軽質分とを別々に回収することができる。
【0084】
この分離回収装置100は、鉄粉を分離回収した後に濾過を行うので、濾過機81の負荷を軽減することができる。また、処理の最後に軽質分を回収するので軽質分の回収率がよい。
【0085】
なお、第3の実施の形態の分離回収装置100では、濾過機81の代わりに、図17に示すように軽質分分離機55を設置することも可能である。すなわち、磁気選別機101の排出ライン103を軽質分分離機55に接続し、この軽質分分離機55によってスラリー液の軽質分を分離して回収してもよい。この場合にも、軽質分分離機55の返送ライン54を供給ライン33に接続し、液を循環させて液の消費量を減少させることが可能である。図17に示す分離回収装置は、軽質分分離機55を用いたことによって連続運転が可能となる。
【0086】
なお、上述した実施の形態は、鉄粉を主とする回収物を回収することを目的としたが、軽質分をある程度混合した状態で、或いは軽質分を全く分離させずに、鉄粉を回収することを目的としてもよい。また、鉄粉を回収せずに、軽質分のみ、或いは、軽質分の各成分のみを分離することを目的としてもよい。
【0087】
また、本発明の用途は、使い捨てカイロの未使用品から鉄粉を分離し、回収することに限定されるものではない。本発明を用いれば、酸化しやすい金属粒体と、その金属粒体の酸化反応を促進する電解質とが封入された袋から、金属粒体を極力酸化させずに回収することができる。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る分離回収装置によれば、袋を裂開し、裂開した袋から内容物を分離して回収し、回収した内容物を液中に浸漬して電解質を溶解し、液中の内容物から鉄粉を分離するようにしたので、鉄粉を極力酸化させずに、その他の内容物から分離して回収することができ、回収した鉄粉を有用なリサイクル資源として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の分離回収装置での処理手順を示す図
【図2】第1の実施の形態の分離回収装置の全体構成を示す概念図
【図3】破砕分離機及び溶解槽を示す側面断面図
【図4】破砕分離機を示す正面図
【図5】他の分離機と溶解槽の一例を示す側面図
【図6】液体サイクロン分離機を示す側面図
【図7】スラリー液の沈降速度分布を示す図
【図8】洗浄回数の効果を示す図
【図9】洗浄回数の異なる分離回収装置の全体構成を示す概念図
【図10】ライン構成の異なる分離回収装置の全体構成を示す概念図
【図11】ライン構成の異なる分離回収装置の全体構成を示す概念図
【図12】軽質分分離機を示す側面断面図
【図13】第2の実施の形態の分離回収装置での処理手順を示す図
【図14】第2の実施の形態の分離回収装置の全体構成を示す概念図
【図15】第3の実施の形態の分離回収装置での処理手順を示す図
【図16】第3の実施の形態の分離回収装置の全体構成を示す概念図
【図17】図16の濾過機の代わりに軽質分分離機を用いた分離回収装置の概念図
【符号の説明】
10…分離回収装置、11…原料、12…ホッパー、13…コンベア、14…破砕分離機、15…ケーシング、16…投入口、17…回収口、18…回収袋、19…スクリーン、20…溶解槽、21…モータ、22…回転軸、23…刃、25…分離装置、26…ケーシング、27…上段スクリーン、28…下段スクリーン、29…振動付与装置、30…投入口、31…回収口、32…水位計、33…供給ライン、34…弁、35…排出ライン、36…攪拌翼、37…モータ、38…ポンプ、39…計測装置、40…ガス供給ライン、41…弁、43〜45…分離機、46、47…洗浄槽、48…回収槽、49、50…排出ライン、51〜53…送出ライン、54…返送ライン、55…軽質分分離機、57…外筒、58…内筒、60…攪拌翼、61…モータ、62、63…ポンプ、64、65…弁、66、67…水位計、70…ケーシング、71…パイプ、72…羽根、73…弁、74…回収容器、75…ガス供給ライン、76…ポンプ、77…排水ライン、78…弁、79…塩類測定手段、80…分離回収装置、81…濾過機、82…磁気選別機、83…ドラム、84、85…回収容器、86…エアシリンダ、87…容器、88…フィルタ、89…巻き取りローラ、90…スラリー液供給ライン、91…エア供給ライン、92…タンク、93…ポンプ、94…攪拌翼、95…モータ、96…バルブ、97…ガイド部材、98…乾燥機、99…返送ライン、100…分離回収装置、101…磁気選別機、102…ドラム、103…排出ライン、104…排水ライン

Claims (5)

  1. 鉄粉、電解質、酸素吸着剤、及び保水剤を含む内容物が収容された袋から、少なくとも前記鉄粉を分離して回収する分離回収装置であって、前記袋を裂開する裂開手段と、前記裂開した袋から前記内容物を分離する内容物分離手段と、前記分離した内容物を液中に浸漬して前記電解質を溶解する溶解槽と、前記溶解槽の液が供給され、該液中の前記鉄粉を分離して回収するサイクロン分離機、及び軽質分分離機と、を備えたことを特徴とする分離回収装置。
  2. 鉄粉、電解質、酸素吸着剤、及び保水剤を含む内容物が収容された袋から、少なくとも前記鉄粉を分離して回収する分離回収装置であって、前記袋を裂開する裂開手段と、前記裂開した袋から前記内容物を分離する内容物分離手段と、前記分離した内容物を液中に浸漬して前記電解質を溶解する溶解槽と、前記溶解槽の液を濾過して固形物を分離する濾過手段と、前記濾過手段で分離した前記固形物、又は前記液に浸漬された内容物から前記鉄粉を磁力を利用して分離する磁気選別機とを備えたことを特徴とする分離回収装置。
  3. 前記サイクロン分離機、前記軽質分分離機、又は前記濾過手段から排出される液を前記溶解槽に返送する返送ラインを設けたことを特徴とする請求項又はに記載の分離回収装置。
  4. 前記液の電解質濃度に応じて、前記液の一部を排水して水を補給する補水手段を備えたことを特徴とする請求項に記載の分離回収装置。
  5. 前記溶解槽内の溶存酸素量に応じて、前記溶解槽に不活性ガスを供給するガス供給手段を備えたことを特徴とする請求項のいずれか1に記載の分離回収装置。
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