<実施形態>
[点検支援システム1の構成]
図1は、本発明の実施形態における点検支援システム1の構成を説明するシステム図である。点検支援システム1は、サーバ10、携帯端末20、火災報知設備2の受信機30に接続された通信端末40を有する。サーバ10、携帯端末20および通信端末40は、インターネット、電話回線(携帯電話回線を含む)などのネットワーク1000を介して互いに接続されている。点検支援システム1は、作業者による火災報知設備2の点検作業を支援するシステムである。
作業者は、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末20を用いて火災報知設備2の点検作業を行う。携帯端末20がネットワーク1000のサービス圏内にあり、ネットワーク1000を介して携帯端末20とサーバ10が通信可能なとき、携帯端末20とサーバ10との通信により、作業者は、点検作業の支援を受けることができる。この点検支援システム1における支援によって、作業者が点検作業を行った場合に、その点検作業の結果について通知を受けることができる。このとき、同一の施設内において複数の作業者が点検作業を行なう場合、それぞれの作業者は、他の作業者の点検作業ではなく自身が行った点検作業の結果の通知を受けることができるようになっていることが、不要な情報により作業効率の低下を生じさせないために望ましい。
ここで、複数の作業者がいる場合には、携帯端末20は、それぞれの作業者によって所持されるため、点検支援システム1において複数存在することになる。これらの携帯端末20には端末IDが予め付与されている。サーバ10は、通信されるデータに付与される端末IDにより、通信相手の携帯端末20を識別する。
火災報知設備2は、建築物などの施設の内部に設置されている。火災報知設備2は、受信機30、火災感知器50−1、50−2、・・・、50−n(以下、それぞれを区別しない場合には火災感知器50という)、および発報連動装置60を有する。火災感知器50および発報連動装置60は、それぞれ信号線L1及びL2によって受信機30と接続されている。尚、火災感知器50を受信機30に接続する信号線L1および発報連動装置60を受信機30に接続する信号線L2は、それぞれ一つに限らず複数あってもよい。また、火災感知器50と発報連動装置60が同じ信号線に接続されていてもよい。
本実施形態において、火災感知器50は、それぞれアドレスが割り当てられ、加熱または発煙などの火災の発生を示す周囲環境の変化に応じて、自身に割り当てられたアドレスとともに発報信号を受信機30に出力する。各火災感知器50に割り当てられたアドレスは、例えば、各火災感知器50の記憶装置(図示せず)に書き込まれる。以下、発報信号を出力した火災感知器50のことを「発報感知器」という場合がある。また、火災感知器50が発報信号を出力することを「火災感知器50が発報する」といった表現をする場合がある。ここで、火災感知器50は、検知した物理量が所定の条件を満たしたら(例えば、検知した温度が所定の温度を超えたら)、火災発生を示す所定の信号を発報信号として出力する(「発報」と言う)タイプ(オンオフ型と言う)であってもよいし、あるいは、検知した物理量(例えば、温度)を示すアナログ値の信号を出力するタイプ(アナログ型または可変出力型と言う)であってもよい。火災感知器50がアナログ型感知器である場合、火災感知器50からの信号を受信した受信機30は、受信した信号が所定の条件を満たしたとき(例えば、予め定められた基準値を超えたとき)、火災が感知されたと判定する。従って、火災感知器50がアナログ型感知器の場合、当該火災感知器50が火災感知を示す所定の条件を満たす信号(例えば、基準値を超える信号)を出力したとき、発報信号を出力したものとする。
発報連動装置60は、例えば、ベル61、防火戸62、シャッタ63、排煙機64など火災の発生に伴って(即ち、火災感知器50の発報に連動して)動作する装置を総称したものであり、それぞれにアドレスが割り当てられ、受信機30によって各々動作が制御される。なお、図1においては、ベル61、防火戸62、シャッタ63および排煙機64は1台ずつの記載となっているが、施設内の予め区分された複数のエリアの各々に設けられるなど、複数台であることが一般的である。
受信機30は、火災感知器50からの発報信号に応じて、発報感知器の位置の表示、発報連動装置60の動作制御などを行う。また、この例においては、受信機30は、パーソナルコンピュータなどの通信端末40と接続することにより、ネットワーク1000を介して、サーバ10と各種データの送受信をしながら、サーバ10からの制御に従って火災感知器50および発報連動装置60の動作を管理する管理装置70として機能する。なお、管理装置70は、受信機30および通信端末40の機能を有した一つの装置として実現されてもよい。
また、火災報知設備2は、図1の例においては、1つのみ記載しているが、様々な施設に設置されている。そのため、ネットワーク1000を介してサーバ10とデータの送受信が可能な管理装置70は、施設の数に応じて複数存在する場合もある。これらの施設にはそれぞれ「物件No.」が割り当てられ、点検支援システム1においては、「物件No.」でそれぞれの施設を区別している。
[管理装置70のハードウエア構成]
図2は、本発明の実施形態における管理装置70のハードウエア構成を説明するブロック図である。管理装置70は、上述したように、受信機30および通信端末40により構成される。受信機30は、制御部31、操作部32、表示部33、記憶部35およびインターフェイス36を有する。これらの各構成はバスを介して接続されている。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを有する。制御部31は、CPUによりROMまたは記憶部35に記憶(以下、「格納」という場合がある)されたプログラムを実行して受信機30の各部を制御し、火災感知器50からの発報信号の受信、発報連動装置60の動作制御、表示部33の表示内容制御、インターフェイス36を介して接続されたビル管理会社などのコンピュータ(図示せず)への火災感知器50の発報状況などの通知および該コンピュータからの火災発報から平常監視状態への復旧等の制御命令の受信、インターフェイス36を介して接続された通信端末40との各種データの送受信など、各種機能を実現する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
操作部32は、作業者による操作を受け付けるタッチセンサおよび操作ボタンなどを有し、それぞれに受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部31に出力する。これにより、作業者からの指示が受信機30に対して入力される。表示部33は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部31の制御に応じた内容の表示を行う。表示部33に表示される内容は、メニュー画面、設定画面、火災による発報表示、火災感知器50および発報連動装置60の制御画面などである。インターフェイス36は、通信端末40、火災感知器50、発報連動装置60など外部装置と接続し、制御部31の制御にしたがって各種データの送受信を行う。記憶部35は、不揮発性メモリなどであり、機器データベース、発報履歴データベースなどを記憶している(データベースを「DB」と略して記載することもある)。
図3は、本発明の実施形態における機器データベースを説明する図である。機器データベースは、受信機30が設置された施設(この例においては、物件No.053)における火災感知器50および発報連動装置60に関する情報が登録されたデータベースである。この例においては、機器データベースは、この施設に設置された機器に割り当てられたアドレス、その機器の種別(火災感知器50または発報連動装置60)、その機器が設置されているエリアが登録されたデータベースである。なお、本例においてエリアは施設における階数で区分されているが、複数階で1区分としてもよいし、各階において複数のエリアに区分されてもよい。なお、各火災感知器50のアドレスに対応して、設置場所の詳細を示す情報(応接室、大広間南側など)が対応付けられていてもよい。また、火災感知器50のアドレスは、同一施設内では異なる火災感知器50に同一アドレスが割り当てられないようになっている。
また、機器データベースには、種別が「ベル」や「防火戸」などの発報連動装置60に相当する機器については、どのアドレスの火災感知器50が発報した場合に連動して動作させるかを規定する連動アドレスも登録されている。図3に示す機器データベースの例においては、アドレス17のベルは地下1階に設置され、同じく地下1階に設置されたアドレス08、09、・・・の火災感知器50が発報した場合に動作(鳴動)するように決められている。このように、決められた火災感知器50が発報したときに発報連動装置60が動作して、例えば、火災を人に知らせたり、他のエリアに火災が延焼することを防止したりする。
図4は、受信機30に記憶される発報履歴データベースを説明する図である。発報履歴データベースは、発報した火災感知器50のアドレス、およびその発報した日時(より精確には、受信機30が発報信号を受信した日時)が発報データとして登録されている。各発報データは、火災感知器50が発報した場合に制御部31によって発報履歴データベースに登録される。図4に示す例では、例えば、2011年10月21日10時35分40秒に、アドレス08の火災感知器50が発報したことが示されている。
尚、火災感知器50がオンオフ型感知器の場合、火災感知器50により生成された火災発生を示す所定の信号が受信機30に受信されたとき、受信機30は発報信号を受信したものとし、また、火災感知器50がアナログ型感知器の場合、火災感知器50から出力された信号が火災発生を示す所定の条件を満たすと受信機30(より詳細には、受信機30の制御部31)で判定されたとき、受信機30は発報信号を受信したものとする。
図2に戻って説明を続ける。通信端末40は、制御部41、操作部42、表示部43、通信部44、記憶部45およびインターフェイス46を有する。これらの各構成はバスを介して接続されている。
制御部41は、CPU、RAM、ROMなどを有する。制御部41は、CPUによりROMや記憶部45に記憶されたプログラムを実行して通信端末40の各部を制御し、受信機30とサーバ10との間でやり取りされる各種データを中継する装置としての機能を実現する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
操作部42は、作業者による操作を受け付けるキーボード、マウスなどを有し、それぞれに受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部41に出力する。表示部43は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部41の制御に応じた内容の表示を行う。表示部43に表示される内容は、メニュー画面、設定画面、受信機30を制御するための画面などである。通信部44は、制御部41の制御に応じて、ネットワーク1000を介してサーバ10と接続して各種データの送受信を行う。記憶部45は、不揮発性メモリなどであり、制御部41において実行されるプログラムなどを記憶している。インターフェイス46は、受信機30など外部装置と接続し、各種データの送受信を行う。
以上が、受信機30および通信端末40により構成される管理装置70のハードウエア構成についての説明である。
[携帯端末20のハードウエア構成]
図5は、本発明の実施形態における携帯端末20のハードウエア構成を説明するブロック図である。携帯端末20は、制御部21、操作部22、表示部23、通信部24および記憶部25を有する。これらの各構成はバスを介して接続されている。
制御部21は、CPU、RAM、ROMなどを有する。制御部21は、CPUによりROMや記憶部25に記憶されたプログラムを実行して携帯端末20の各部を制御し、サーバ10との各種データの送受信をするなどして点検支援を受けるための各種機能を実現する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
操作部22は、作業者による操作を受け付けるタッチセンサおよび操作ボタンなどを有し、それぞれに受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部21に出力する。これにより、作業者からの指示が携帯端末20に対して入力される。表示部23は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部21の制御に応じた内容の表示を行う。表示部23に表示される内容は、メニュー画面、点検対象設定画面(図12参照)、点検作業登録画面(図14参照)などである。通信部24は、制御部21の制御に応じて、ネットワーク1000を介してサーバ10と接続して各種データの送受信を行う。記憶部25は、不揮発性メモリなどであり、制御部21において実行されることにより、サーバ10から点検支援を受けるためのアプリケーションプログラム(単に、アプリケーションと言うこともある)などを記憶している。また、記憶部25には、点検履歴データベースが記憶される。
図6は、本発明の実施形態における点検履歴データベースを説明する図である。点検履歴データベースは、作業者による点検作業の履歴を記録したデータベースである。この例において、点検履歴データベースは、携帯端末20を所持する作業者が火災感知器50の点検を行う施設において実際に点検作業が実施された火災感知器50を示す情報(本例では、「物件No.」及び「アドレス」)を、点検作業が実施された日時を示す点検日時に対応付けて記録する。ここで、「点検作業を実施する」とは、例えば、火災感知器50が熱を感知するものである場合、所定の熱源を火災感知器50から予め定められた範囲内になるように火災感知器50に近づけることであり、火災感知器50が煙を感知するものである場合、火災感知器50の近傍で煙発生器から煙を発生させ、火災感知器50の煙検知部に煙が導入されるようにすることである。即ち、点検作業は、火災感知器50が正常であれば、火災感知器50から発報信号が出力されるように、火災感知器50が感知する周囲の環境の物理量(温度、煙濃度など)を意図的に変化させる作業を意味する。
火災感知器50の点検作業を実施する作業者は、点検作業を行う直前または直後に、操作部22を操作して表示部23に所定の登録画面(点検作業登録画面と言う)を表示させ、当該登録画面が表示された状態で操作部22を操作することにより、点検作業を実施するまたは点検作業が実施された火災感知器50を指定する。点検作業登録画面において火災感知器50を指定する操作がなされると、本例においては、その指定された火災感知器50に関連付けられた「物件No.」及び「アドレス」が、点検作業がなされた火災感知器50を示す情報として登録される。また、本例では、点検作業を実施する直前または直後に点検作業登録画面において火災感知器50が指定された日時を、点検日時として登録する。点検作業登録画面において火災感知器50が指定された日時と、実際に火災感知器50に対し点検作業が実施された日時には、数秒〜数十秒程度のずれが生じ得るが、これらは互いに対応しており、また、そのずれは、点検作業の間隔(数分程度)に対して十分小さいと考えられるので、点検作業登録画面において火災感知器50が指定された日時を火災感知器50の点検日時として扱ってよい。図6に示す例では、例えば、2011年10月21日10時34分10秒に、物件No.053の施設に設置されたアドレス08の火災感知器50の点検操作が実施された(より精確には、2011年10月21日10時34分10秒に、点検作業登録画面において物件No.053の施設に設置されたアドレス08の火災感知器50を指定する操作がなされた)ことが示されている。
以上が、携帯端末20のハードウエア構成についての説明である。
[サーバ10のハードウエア構成]
図7は、本発明の実施形態におけるサーバ10のハードウエア構成を説明するブロック図である。サーバ10は、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14および記憶部15を有する。これらの各構成はバスを介して接続されている。
制御部11は、CPU、RAM、ROMなどを有する。制御部11は、CPUによりROMや記憶部15に記憶されたプログラムを実行してサーバ10の各部を制御し、携帯端末20および管理装置70と各種データの送受信をして、携帯端末20を所持する作業者の点検作業を支援するための各種機能を実現する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
操作部12は、作業者による操作を受け付けるキーボード、マウスなどを有し、それぞれに受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部11に出力する。これにより、サーバ管理者などからの指示がサーバ10に対して入力される。表示部13は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部11の制御に応じた内容の表示を行う。表示部13に表示される内容は、メニュー画面、設定画面などである。通信部14は、制御部11の制御に応じて、ネットワーク1000を介して携帯端末20および管理装置70と接続して各種データの送受信を行う。
記憶部15は、不揮発性メモリなどであり、制御部11において実行されることにより、携帯端末20を所持する作業者の点検作業を支援するためのアプリケーションプログラムなどを記憶している。また、記憶部15は、機器データベース、点検管理データベース、発報履歴データベース、および点検履歴データベースを記憶している。
機器データベースは、上述した受信機30の記憶部35に記憶されている機器データベースと同様のデータベースある。ただし、受信機30の場合と異なり、サーバ10の記憶部15においては、複数の施設について、施設毎に「物件No.」と対応付けられて機器データベースが記憶されている。ここでは、記憶部15に記憶される機器データベースは、サーバ10においてデータのやり取りが可能な受信機30(管理装置70)が設置された施設が対象となっている。
また、発報履歴データベースは、上述した受信機30の記憶部35に記憶されている発報履歴データベースと同様のデータベースある。ただし、受信機30の場合と異なり、サーバ10の記憶部15においては、複数の施設について、施設毎に「物件No.」と対応付けられて発報履歴データベースが記憶されている。ここでは、記憶部15に記憶される発報履歴データベースは、サーバ10においてデータのやり取りが可能な受信機30(管理装置70)が設置された施設が対象となっている。
図8は、サーバ10に記憶される点検管理データベースを説明する図である。点検管理データベースは、携帯端末20を所持する作業者が点検作業をするときの対象となる施設(以下、「点検施設」という場合がある)、その施設内で点検対象となる火災感知器50(以下、「点検感知器」という場合がある)、および点検期間など点検対象の火災感知器50に関する情報が登録されたデータベースである。点検作業をする作業者については、所持する携帯端末20の「端末ID」として登録されている。点検施設は「物件No.」として登録されている。点検対象となる火災感知器50(点検感知器)は、火災感知器50のアドレスまたは火災感知器50が設置されたエリアとして登録されている。エリアとして登録されている場合には、点検感知器は、そのエリアに存在する火災感知器50の全てとなる。そのエリアに存在する火災感知器50は、「物件No.」によって示される点検施設に対応する機器データベースにより特定される。点検感知器が登録されていない場合には、「物件No.」によって示される点検施設内全ての火災感知器50が点検感知器となる。また、点検期間が登録されていない場合には、例えば、作業者により携帯端末20へ点検開始の指示及び点検終了の指示の入力がなされ、入力された指示がネットワーク1000を介してサーバ10に送信されるのに応じて、点検期間が開始及び終了されるものとしてよい。
尚、通常監視中においては、受信機30は、火災感知器50から発報信号を受信すると、それを保持し、発報の原因が取り除かれた後に復旧ボタン(図示せず)が押されると、発報信号の保持を解除して、通常監視状態に戻る。また、必要であれば、発報した火災感知器を再び火災の感知が可能な状態に戻す処理(例えば、火災感知器への供給電源を入れ直す処理)を行う。一方、点検期間中、本例においては、受信機30は、点検対象の火災感知器50から発報信号を受信すると、その発報信号を保持するが、予め定められた時間の後、自動的に発報信号の保持を解除し、次の発報信号を受信可能な状態となるとともに、必要に応じて、発報感知器を再び火災の感知が可能な状態に戻す処理を行う(自動復旧モード)。このように点検期間中、火災受信機30が自動復旧モードで動作することにより、作業者は点検作業により火災感知器50を発報させるたびに復旧ボタンを押すなどの操作を行う必要なく、各火災感知器50に対する点検作業を連続して行うことができる。
点検管理データベースに登録される情報は、携帯端末20において作業者によって入力され、携帯端末20がネットワーク1000に接続されているとき、ネットワーク1000を介して携帯端末20からサーバ10に、端末IDと共に送信される。
図9は、サーバ10に記憶される点検履歴データベースを説明する図である。この点検履歴データベースは、上述した携帯端末20の記憶部25に記憶されている点検履歴データベースと同様のデータベースである。ただし、携帯端末20の場合と異なり、サーバ10の記憶部15に記憶された点検履歴データベースは、複数の携帯端末20について、携帯端末20毎に「端末ID」と対応付けられて点検履歴データベースが記憶されている(図9には、一例として、端末ID「134」に対応付けられた点検履歴データベースが示されている)。また、サーバ10の記憶部15に記憶された点検履歴データベースは、各点検データに判定結果フラグが付加されるようになっている。判定結果フラグは、作業者により火災感知器50の点検作業が行われた際、火災感知器50が正常に動作したかの判定結果を示すものであり、正常に動作したと判定される場合は「OK」、問題があったと判定される場合は「NG」が付加される。図9に示す点検履歴データベースは、本発明の点検作業がなされた感知器を時間順に示す点検履歴の一例である。
以上が、サーバ10のハードウエア構成についての説明である。
[点検支援機能]
図10は、本発明の実施形態における点検支援機能の機能構成を説明するブロック図である。サーバ10における点検支援機能は、表示指示部110、点検感知器受信部120、点検登録部130、制限部140、発報感知器受信部150、発報登録部160、点検履歴受信部170、判定部180、判定結果記録部190、および判定結果出力部195により実現される。これらの機能を実現することにより、サーバ10は、点検支援装置として機能する。携帯端末20における点検支援機能は、入力受付部210、点検感知器送信部220、点検作業データ取得部230、点検履歴生成部240、および点検履歴送信部250により実現される。管理装置70における点検支援機能は、発報信号受信部710、発報感知器送信部720、および連動動作制御部730により実現される。
表示指示部110は、携帯端末20がネットワーク1000に接続されているとき、携帯端末20からの要求に応じて、その携帯端末20の表示部23に、点検対象となる火災感知器50を設定させる画面(点検対象設定画面:図12参照)を表示させる指示を行う。入力受付部210は、表示部23に表示されている点検対象設定画面(図12参照)において作業者の操作部22への操作によって入力される点検感知器を示す情報(点検感知器情報)を受け付ける。点検感知器情報は、点検感知器を特定できる情報であればよい。例えば、「物件No.」により施設が特定され、火災感知器50の「アドレス」または施設内の一部の「エリア」などによって、その施設内の火災感知器50を規定することができる。
点検感知器送信部220は、入力受付部210において受け付けられた点検感知器情報を、携帯端末20がネットワーク1000に接続されているとき、携帯端末20からサーバ10に送信する。
点検感知器受信部120は、携帯端末20から送信された点検感知器情報を受信する。点検登録部130は、点検感知器受信部120によって受信された点検感知器情報に基づいて、記憶部15に記憶された点検管理データベースに点検対象の火災感知器50に関する情報とともに、この点検感知器情報を送信した携帯端末20の端末IDも点検感知器の情報に対応付けて登録する。制限部140は、点検管理データベースを参照して、点検対象の火災感知器50が発報した場合に、連動して動作する発報連動装置60の動作を制限する指示を連動動作制御部730に対し行う。
発報信号受信部710は、火災感知器50から出力される発報信号を受信する。発報感知器送信部720は、発報信号受信部710において受信した発報信号を出力した火災感知器50(発報感知器)を示す情報(発報感知器情報)を管理装置70からサーバ10に送信する。発報感知器受信部150は、管理装置70から発報感知器情報を受信する。
発報登録部160は、発報感知器受信部150によって受信された発報感知器情報に基づいて、記憶部15に記憶された発報履歴データベースに発報感知器および発報日時を示す発報データを登録する。ここで、発報日時は、管理装置70の発報信号受信部710が発報信号を受信した日時であり、管理装置70からサーバ10に送信される発報感知器情報に含まれる。
点検作業データ取得部230は、点検作業が実施された火災感知器50を示す情報を取得する。点検作業が実施された火災感知器50を示す情報は、例えば、火災感知器50に割り当てられたアドレスと火災感知器50が設置された施設を特定する「物件No.」であり、作業者による携帯端末20の操作部22の操作に応じて取得される。具体的には、作業者は、火災感知器50に対する点検作業を実施する直前または直後に、所定の画面(点検作業登録画面)において、点検作業を行うまたは点検作業が行われた火災感知器50を指定する操作を行い、点検作業データ取得部230は、指定された火災感知器50のアドレス及びその火災感知器50が設置された施設の物件No.を、点検作業が実施された火災感知器50を示す情報として取得する。また、点検作業データ取得部230は、点検作業登録画面において火災感知器50を指定する操作がなされた日時を、点検作業が実施された日時を示す点検日時として取得する。
点検履歴生成部240は、点検作業データ取得部230が取得した火災感知器50を示す情報(アドレス及び物件No.)及び当該火災感知器50が指定された日時を、点検作業データとして記憶部25に格納された点検履歴データベースに登録する。尚、上記した点検作業データ取得部230による点検作業データの取得、および、点検履歴生成部240による点検作業データの記憶部25に格納された点検履歴データベースへの登録は、サーバ10とのデータの送受信を必要としないので、携帯端末20がネットワーク1000に接続できないときにも行うことができる。
点検履歴送信部250は、携帯端末20がネットワーク1000に接続可能なとき、記憶部25に格納された点検履歴データベースに記録された点検作業データをサーバ10に送信する。このとき、点検履歴送信部250は、記憶部25に格納された点検履歴データベースに含まれる点検作業データのうち未送信のデータのみをサーバ10に送信すると、点検履歴データベースに含まれる全データを送信する場合と比べて送信データ量が低減されるので好ましい。
点検履歴受信部170は、携帯端末20から送信された点検作業データを受信し、受信した点検作業データを記憶部15に格納された点検履歴データベースに記録する。尚、携帯端末20からサーバ10への点検作業データの送信は、点検履歴受信部170から点検履歴送信部250に送信される送信リクエストに応じて行われてよい。判定部180は、記憶部15に格納された点検履歴データベースと発報履歴データベースとを照合して、点検履歴データベースに含まれる各点検作業データによって示される火災感知器50(即ち、点検作業がなされた火災感知器50)が、点検作業に応じて正常に動作したか判定する。この判定方法については、後に詳述する。判定結果記録部190は、判定部180による判定結果を示すフラグ(判定結果フラグと言う)を、記憶部15に記憶された点検履歴データベースに付加する。
判定結果出力部195は、点検履歴データベースに記録された各火災感知器50の判定結果を、携帯端末20を所持する作業者が、携帯端末20がネットワーク1000に接続可能なとき、携帯端末20を用いて参照可能なように出力する。例えば、判定結果出力部195は、携帯端末20の作業者が、携帯端末20上で実行されるブラウザアプリケーションにより判定結果を閲覧できるように、判定結果をhtml形式でサーバ10上に公開してもよいし、あるいは、判定結果を電子メールなどにより携帯端末20に送信してもよい。
連動動作制御部730は、点検対象でない火災感知器50が発報した場合、発報信号受信部710から発報した火災感知器50を示す情報(本例では、アドレス)を受信し、記憶部35に記憶された機器データベースを参照して、その火災感知器50のアドレスを連動アドレスに含む発報連動装置60を動作させる。一方で、連動動作制御部730は、制限部140による指示に応じて、点検対象の火災感知器50に関連付けられた発報連動装置60の動作を制限する。例えば、アドレス09の火災感知器50が点検対象でない場合、アドレス09の火災感知器50が発報すると、連動動作制御部730は、機器データベースを参照してアドレス09を連動アドレスに含む発報連動装置60の一部を動作させる。一方、発報したアドレス09の火災感知器50が点検感知器である場合には、連動動作制御部730は、動作させるべき発報連動装置60の動作を制限する。動作を制限するとは、動作させないことであってもよいし、通常(制限されていない場合)とは異なる動作させることであってもよい。通常とは異なる動作とは、ベル61であれば、鳴動時間の短縮化、低音量化などであってよい。
上記の点検支援機能により行われる処理は、点検設定処理および判定処理を含む。まず、点検設定処理について説明し、続いて判定処理について説明する。
[点検設定処理]
図11は、本発明の実施形態における点検設定処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、点検設定処理についてサーバ10の動作を中心に説明するものである。点検設定処理は、点検期間の前後に、携帯端末20がネットワーク1000に接続された状態で実行される。まず、作業者は、携帯端末20において点検支援を受けるためのアプリケーションプログラムを起動させる。このアプリケーションプログラムが起動されると、携帯端末20は、サーバ10に点検対象の火災感知器50を設定するための情報の要求をする。
この要求を受け取ると、表示指示部110は、記憶部15に記憶された機器データベースを参照し、携帯端末20の表示部23に点検対象設定画面を表示させる指示を行う(ステップS110)。ここで、点検設定処理は、サーバ10に接続される携帯端末20に対応して行われる処理である。したがって、複数の携帯端末20と接続している場合には、各携帯端末20から上記要求を受け取るたびに、各携帯端末20に対応して点検設定処理が開始される。
図12は、点検対象設定画面の一例を示す図である。携帯端末20の表示部23に表示される点検対象設定画面は、点検対象となる施設(「物件No.」)、「エリア」、および「点検期間」の設定をするための画面である。これらの設定は、作業者が携帯端末20の操作部22を操作することにより行われる。それぞれの設定は、プルダウンメニューなどによって表示された候補からの選択による。「物件No.」は、記憶部15に記憶されている機器データベースに対応付けられたものが選択候補となる。「エリア」については、選択された「物件No.」に対応付けられた機器データベースに登録されているエリアが選択候補となる。
図12に示す状態で、設定ボタンB1が操作されると、物件No.「053」のエリア「地下1階」に設置された火災感知器50が点検対象として設定され、その点検期間が「2011/10/21 10:00〜12:00」として設定される。
なお、図8に示す点検管理データベースの説明のとおり、点検期間を設定しないようにすることもできる。また、エリアを設定しない場合には、設定された物件No.の施設に存在する全ての火災感知器50が点検対象となる。このような点検対象設定画面が表示部23に表示されているときに、作業者によって入力された設定は、入力受付部210において点検感知器情報として受け付けられる。そして、この点検感知器情報は、点検感知器送信部220によりサーバ10へ送信される。
図11に戻って説明を続ける。点検感知器受信部120は、携帯端末20から点検感知器情報が送信されるのを待つ(ステップS120:No)。点検感知器受信部120により点検感知器情報が受信される(ステップS120:Yes)と、点検登録部130は、受信された点検感知器情報に基づいて、記憶部15に記憶された点検管理データベースに点検感知器の情報の登録を行うとともに、この点検感知器情報を送信した携帯端末20の端末IDも点検感知器の情報に対応付けて点検管理データベースに登録する(ステップS130)。
制限部140は、新たに登録された点検対象の情報に基づいて、点検期間において点検感知器から発報信号が出力されても発報連動装置60の動作が制限されるようにする指示を管理装置70に送信する(ステップS140)。これにより、管理装置70において、連動動作制御部730は、点検感知器からの発報信号が発報信号受信部710によって受信されても、発報連動装置60の動作を制限するように制御する。
続いて、制限部140は、作業者の点検作業の終了を待つ(ステップS150:No)。制限部140は、作業者による携帯端末20への点検終了指示の入力、または設定された点検期間が終了することにより、作業者の点検作業が終了したものと判定する。作業者の点検作業の終了(ステップS150:Yes)により、制限部140は、ステップS140において動作が制限されるように指示された発報連動装置60に対して、その制限を解除する指示を管理装置70に送信する(ステップS160)。これにより、管理装置70において、連動動作制御部730は、発報連動装置60の動作の制限を解除し、発報信号が発報信号受信部710によって受信されると、発報連動装置60を動作させるように制御する。これにより、点検設定処理が終了する。
[判定処理]
図13は、本発明の実施形態における判定処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、判定処理についてサーバ10の動作を中心に説明するものである。判定処理は、発報感知器情報が発報感知器受信部150によって受信されると開始される。すなわち、管理装置70において、発報信号受信部710が発報信号を受信し、発報感知器送信部720から発報感知器情報が送信されると判定処理が開始される。
発報感知器受信部150により発報感知器情報が受信されると、まず、発報登録部160は、受信された発報感知器情報に基づいて、発報履歴データベースに発報データを登録する(ステップS310)。
一方、点検履歴受信部170は、発報感知器受信部150による発報感知器情報の受信に応じて、その発報感知器情報によって示される火災感知器50を点検している作業者が所持する携帯端末20の端末IDを点検管理データベースを参照して特定し、特定した端末IDの携帯端末20と通信可能か(即ち、その携帯端末20がネットワークに接続可能か)を判定する(ステップS320)。携帯端末20と通信可能な場合(ステップS320:YES)、点検履歴受信部170は、作業者による点検履歴を示す点検作業データを送信する要求を携帯端末20の点検履歴送信部250に対して送信し、この要求に応じて点検履歴送信部250から送信された点検作業データを受信する(ステップS330)。尚、上述したように、点検作業データは、作業者が点検作業を行う際に、携帯端末20の表示部23に表示された所定の登録画面(点検作業登録画面)において、点検作業を行うまたは行った火災感知器50を指定する操作を行うことにより、携帯端末20の点検履歴データベースに登録される。
図14は、点検作業登録画面の一例を示す図である。この点検作業登録画面には、施設及びエリアを選択するためのプルダウンメニューと、プルダウンメニューにより選択された施設及びエリアに対応する火災感知器のリストが表示されている。本例では、プルダウンメニューにより、施設を特定する情報として「物件No.053」が選択され、エリアを特定する情報として「地下1階」が選択されており、それに応じて、「物件No.053」の施設の地下1階に設置された火災感知器50のリストが表示されている。該当する火災感知器50の数が多く、リストが一画面で表示できない場合は、複数ページに渡って表示してもよいし、あるいは、スクロール表示してもよい。このリストの項目には、「アドレス」と「点検日時」と「結果」が含まれる。項目「アドレス」には、プルダウンメニューで指定した条件に該当する火災感知器50に割り当てられたアドレスが表示される。本例では、項目「アドレス」には「08」〜「15」のアドレスが表示されており、「物件No.053」の施設の地下1階にはアドレス「08」〜「15」が割り当てられた火災感知器50が設置されていることが示されている。項目「点検日時」には、リストに含まれる各火災感知器50に対し点検日時の登録が既になされている場合、その点検日時が表示される。本例では、アドレス「08」、「09」、「10」、「11」の火災感知器50に対して、点検日時の登録が既になされており、項目「点検日時」にそれぞれの日時情報が表示されている。項目「結果」には、リストに含まれる各火災感知器50に対し点検結果が既にサーバ10から携帯端末20に送信されている場合には、その点検結果が表示される。尚、過去に点検が行われている場合、直近の点検開始日時以降に取得された点検結果のみを表示するものとしてよい。図14の例では、リストに表示されたいずれの火災感知器50に対しても、直近の点検開始日時以降に取得された点検結果(例えば、図9の点検履歴データベースに記録された判定結果)はまだ送信されてきておらず、項目「結果」は空欄となっている。
尚、図14に示した点検作業データ登録画面を表示するのに必要な、施設及びエリアと火災感知器50との対応関係を示す情報は、携帯端末20がネットワークに接続されているときに、サーバ10の記憶部15に記憶された機器データベースから抽出され、携帯端末20に送信される。例えば、点検感知器を特定するため、携帯端末20がネットワーク1000に接続された状態で、図12に例示した点検対象設定画面において、点検対象となる施設及びエリアが作業者により設定され、設定された施設及びエリアを特定する情報(点検感知器情報)がサーバ10に送信されたとき、サーバ10において、受信した施設及びエリアを特定する情報に基づいて、記憶部15に記憶された機器データベースからこれら施設及びエリアに対応する火災感知器50のアドレスを抽出して、抽出した火災感知器50のアドレスを、対応する施設及びエリアを特定する情報と共に携帯端末20に送信してよい。携帯端末20では、サーバ10から送信された火災感知器50のアドレスを、対応する施設及びエリアを特定する情報に関連づけて、記憶部25に記憶する。これにより、作業者が、携帯端末20を用いて過去に点検対象として特定したことのある施設及びエリアについては、携帯端末20がネットワーク1000に接続できないときであっても、点検作業登録画面において、プルダウンメニューで選択された施設及びエリアに対応する火災感知器50のリストを表示することができる。
尚、携帯端末20がネットワーク1000に接続されているときに、サーバ10から携帯端末20に送信可能なデータは、点検対象設定画面において設定された施設及びエリアに対応した火災感知器50を示すデータに限らない。例えば、点検対象設定画面において設定された施設に設置された全ての火災感知器50に関するデータを機器データベースから抽出して携帯端末20に送信し、携帯端末20の記憶部25に格納されるようにしてもよい。
火災感知器50の点検作業を行う直前または直後に、図14に表示された点検作業登録画面において、作業者が設備図等により火災感知器50のアドレスを確認してその火災感知器50のアドレス表示領域をタッチ操作してその火災感知器50を選択し、続けて、登録ボタンB2をタッチするなどの選択を確定する予め定められた操作を行うと、選択された火災感知器50を特定する情報(本例では「物件No.」と「アドレス」)が、登録ボタンB2のタッチ操作がなされた日時とともに、点検履歴データベースに点検作業データとして登録される。ここで、登録ボタンB2のタッチ操作がなされた日時は、携帯端末20に内蔵される時計データに基づき点検日時として登録される。クリアボタンB3は、登録されている点検日時を消去するためのボタンであり、例えば、タッチ操作により火災感知器50を選択した後、クリアボタンB3をタッチすることにより、選択された火災感知器50に対して登録された点検日時が消去される。尚、携帯端末20に内蔵される時計と受信機30に内蔵される時計とは、点検を行う前に時刻を合わせておく必要があるが、ネットワーク1000を介して、自動的にお互いの時刻を合わせるようにしてよい。
図13に戻って説明を続ける。ステップS330で携帯端末20から点検作業データを受信すると、携帯端末20における判定部180は、ステップS330で受信した点検作業データ(点検履歴)と、ステップS310で登録された発報データ(発報履歴)とを照合し、受信した各点検作業データによって示される火災感知器50について、点検作業データに対応する発報データの有無に基づいて、点検結果が正常か否か判定する(ステップS340)。ここで、ある点検作業データに対応する発報データとは、その点検作業データとアドレスが一致し、且つ、その点検作業データの点検日時から予め定められた時間(本例では2分とする)内の発報日時を有する発報データであってよい。点検作業データに対応する発報データがある場合、その点検作業データによって示される火災感知器50は、点検作業に応じて正常に発報した、即ち、点検結果は正常である(OK)と判定される。一方、点検作業データに対応する発報データがない場合、その点検作業データによって示される火災感知器50は点検作業に応じて正常に発報していない、火災感知器50と受信機30との信号線が断線している、火災感知器50の記憶装置に書き込まれたアドレスと受信機30の記憶部35に記憶された機器データベースに登録されたアドレスとが一致していない、などの異常があると考えられ、即ち、点検結果は正常ではない(NG)と判定される。
例えば、図4に示した発報履歴と図9に示した点検履歴の場合、アドレス「08」の火災感知器50の点検日時は「2011年10月21日10時34分10秒」であり、発報日時は「2011年10月21日10時35分40秒」であり、点検日時と発報日時のずれは90秒である。これは、予め定められた時間である2分より短い。従って、アドレス「08」の火災感知器50の点検作業データに対応する発報データがあるので、アドレス「08」の火災感知器50の点検結果は正常と判定される。同様に、アドレス「09」の火災感知器50及びアドレス「11」の火災感知器50も、点検結果は正常であると判定される。尚、アドレス「08」及び「09」の火災感知器50では、点検日時の方が発報日時より前であり、アドレス「11」の火災感知器では、点検日時の方が発報日時より後である。これは、アドレス「08」及び「09」の火災感知器50については、点検作業データの登録が点検作業の前になされ、アドレス「11」の火災感知器については、点検作業データの登録が点検作業の後になされたことを意味する。
一方、アドレス「10」の火災感知器50の点検日時は「2011年10月21日10時52分45秒」であるが、アドレス「10」の火災感知器50の発報日時は発報履歴データベースに記録されていない。従って、アドレス「10」の火災感知器50の点検作業データに対応する発報データがないので、アドレス「10」の火災感知器50の点検結果は正常でないと判定される。尚、ステップS340の判定は、現在行っている点検の点検期間において、既に点検結果の判定がなされている火災感知器50に対して行う必要はなく、まだ判定がなされていない火災感知器50についてのみ行ってよい。
ステップS340において、各点検作業データ(または、それによって示される火災感知器50)について、点検結果について判定がなされた後、ステップS350において点検結果記録部190は、判定結果を記憶部15に記憶された点検履歴データベースに記録する(即ち、対応する判定フラグの値を「OK」または「NG」を示す値とする)。また、ステップS360において、判定結果出力部195は、各火災感知器50の判定結果を、携帯端末20がネットワーク1000に接続可能なとき、携帯端末20を所持する作業者が携帯端末20を用いて参照可能なように出力する。続いて、ステップS370では、点検作業が終了したか判定する。ここで、点検作業の終了は、点検管理データベースにおいて設定された点検期間が終了することにより判定してよい。点検作業が終了していないと判定される場合(ステップS370:NO)、ステップS310へ戻り、次ぎの発報信号に対する発報データの登録を行う。点検作業が終了していると判定される場合は(ステップS370:YES)、判定処理を終了する。
ステップS320において、携帯端末20と通信可能でないと判定された場合(ステップS320:NO)、ステップS380に進み、点検作業が終了したか判定する。この判定は、ステップS370における判定と同様である。点検作業が終了していないと判定される場合(ステップS380:NO)、ステップS310へ戻り、次ぎの発報信号に対する発報データの登録を行う。点検作業が終了していると判定される場合、ステップS390に進み、携帯端末20が通信可能となるのを待つ。そして、携帯端末20が通信可能となると(ステップS390:YES)、上述したステップS330〜S370の処理を行う。
上述したように、本発明の実施形態における点検支援システム1では、火災感知器50の点検作業を行う作業者が所持する携帯端末20に、点検作業がなされた火災感知器50を時間順に示す点検履歴を記録し、携帯端末20がネットワーク1000に接続されたとき携帯端末20からサーバ10に点検履歴を送信し、サーバ10において、携帯端末20から受信した点検履歴と、管理装置70から受信した発報履歴とを照合することにより、点検履歴に含まれる点検作業がなされた各火災感知器の点検結果を判定し、判定結果を携帯端末20へ出力するものとした。従って、携帯端末20がネットワーク1000に接続できないときでも、作業者は点検作業を進めて、後から点検結果を確認できるため、作業者は一人で火災感知器50の点検作業を行うことができる。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。また、それぞれの態様を組み合わせて実施することも可能である。
(変形例1)
上述した実施形態では、点検作業データ(点検履歴)と発報データ(発報履歴)とを照合して火災感知器50の点検結果を判定する判定部180は、点検作業データとアドレスが一致し、且つ、その点検作業データの点検日時から予め定められた時間(例えば2分)内の発報日時を有する発報データがあるとき、その点検作業データに対応する発報データがあると判定し、その点検作業データによって示される火災感知器50の点検結果は正常と判定した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、アドレスの一致・不一致については考慮せず、点検作業データの点検日時と発報データの発報日時にのみ基づいて、点検作業データに対応する発報データがあるか判定してもよい。
あるいは、別の方法として、予め定められた期間(例えば、点検期間)内の複数の点検作業データにより示される火災感知器50のアドレスの順番(例えば、「08」、「09」、「10」、「11」)と、予め定められた期間に対応する期間内の複数の発報データにより示される火災感知器50のアドレスの順番とが一致する場合、これら複数の点検作業データに対応する発報データがあると判定してもよい。この場合、個々の点検作業データに対し個別に点検結果の判定をするのではなく、複数の点検作業データに対してまとめて判定をすることとなる。また、この場合、予め定められた期間において点検作業がなされた火災感知器50の順番(点検順序)がわかればよく、個々の点検日時をアドレスに関連付けて記録しなくてもよい。即ち、本発明の点検履歴は必ずしも個々の感知器の点検日時を含まなくても良い。尚、予め定められた期間に対応する期間とは、点検日時として記録される時刻と実際に点検作業が実施される時刻(即ち、火災感知器50から発報信号が出力される時刻)との間に、ずれが生じ得ることを考慮し、その分、予め定められた期間より長く取られた期間を言う。
(変形例2)
上述した実施形態では、各火災感知器50にアドレスが割り当てられるものとした。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、火災感知器50は、通常時は開状態にあり火災を検知すると閉じるスイッチ(接点)を有する火災感知器(接点型火災感知器またはP型火災感知器と言う)であってよい。例えば、接点型火災感知器が信号線L1に接続される場合、接点型火災感知器は、スイッチが開いているとき(通常時)と閉じているとき(火災感知時)で信号線L1の直流電位を変化させる(例えば、スイッチが開いているときはハイレベル、スイッチが閉じているときはローレベル)ことで、受信機30に火災の発生を知らせる。即ち、接点型火災感知器は信号線L1の直流電位の変化として発報信号を出力する。このとき、接点型火災感知器のスイッチの開閉によらず、同じ信号線L1に接続されているアドレスが割り当てられた火災感知器50の受信機30とのデータ(アドレスを含む)の送受信が可能なように、接点型火災感知器のスイッチが開のときと閉のときの信号線L1の電位が設定されることが好ましい。例えば、アドレス等のデータの送受信が高さ5Vのパルス信号を用いてなされる場合、信号線L1のローレベルの電位(接点型火災感知器のスイッチが閉じたときの電位)は5Vより高い電位となるように設定されるとよい。
信号線L1に複数の接点型火災感知器が接続される場合、信号線L1の直流電位がローレベルになると、受信機30は信号線L1に接続された接点型火災感知器のいずれかが発報したことを検出するが、通常、どの接点型火災感知器が発報したかの特定はできない。この場合、図4に示した発報履歴データベースのアドレス欄には、信号線L1を特定する情報が記録されてよい。従って、信号線L1に接続された複数の接点型火災感知器の点検をする場合、発報履歴データベースには、アドレス欄に信号線L1を特定する情報が記録され発報日時欄に異なる発報日時が記録された複数の発報データが登録されることとなる。また、図6及び図9に示した点検履歴データベースにおいて、点検作業が実施された火災感知器50が接点型火災感知器の場合、その接点型火災感知器を示す情報としてアドレスとは別の識別情報(例えば、施設内に設置された接点型火災感知器に割り当てられた特定のアルファベットで始まる通し番号(例えば、P001、P002など))が、アドレス欄に記録されてよい。このように通し番号を記録しておけば、どの火災感知器50の点検を行ったかを点検履歴データベースで管理できる。
点検作業データと発報データとを照合して火災感知器50の点検結果を判定する判定部180は、点検作業データによって示される火災感知器50が接点型火災感知器の場合(即ち、点検作業データに含まれる火災感知器の識別情報が、接点型火災感知器に割り当てられる通し番号である場合)、点検作業データに含まれる識別情報及び発報データに含まれる信号線L1を特定する情報については考慮せず、各点検作業データの点検日時から予め定められた時間(例えば、2分)内の発報日時を有する発報データがあるかないかに基づいて、その点検作業データに対応する発報データの有無を判定してよい。これにより、接点型火災感知器のように、アドレスを有さない火災感知器であっても、点検作業データ(点検履歴)と発報データ(発報履歴)を照合することで、火災感知器の点検結果を判定することができる。
また、複数の接点型火災感知器を中継器を介して信号線L1に接続してもよい。中継器にはアドレスが割り当てられ、中継器と受信機30との間でデータの送受信が行われる際には、中継器に割り当てられたアドレスも一緒に送受信される。中継器は、その中継器に接続された複数の接点型火災感知器のいずれかが発報すると、その発報を示す信号を自身のアドレスと共に受信機30に送信する。この場合、図4に示した発報履歴データベースのアドレス欄には、中継器30のアドレスが記録される。従って、中継器から発報信号を受信した受信機30は、中継器に接続された接点型火災感知器のいずれかが発報したことは検出できるが、通常、どの接点型火災感知器が発報したかの特定はできない。しかしながら、点検履歴データベースにおいて、点検作業が実施された中継器を記録し、点検作業データ(点検履歴)と発報データ(発報履歴)を照合することで、火災感知器の点検結果を判定することができる。また、接点型火災感知器が直接信号線L1に接続される場合と同様に、図6及び図9に示した点検履歴データベースにおいて、点検作業が実施された火災感知器50が中継器を介して信号線L1に接続した接点型火災感知器の場合は、中継器のアドレスと共にその接点型火災感知器を示す情報としてアドレスと区別可能な、別の識別情報が記録されてよい。このように中継器のアドレスと共に通し番号を記録しておけば、どの中継器に接続されたどの火災感知器50の点検を行ったかを点検履歴データベースで管理できる。
また、複数の接点型火災感知器が中継器を介して信号線L1に接続される場合も、複数の接点型火災感知器が直接信号線L1に接続される場合と同様に、判定部180は、点検作業データによって示される火災感知器50が接点型火災感知器の場合(即ち、点検作業データに含まれる火災感知器の識別情報が、接点型火災感知器に割り当てられる通し番号である場合)、点検作業データに含まれる識別情報及び発報データに含まれる中継器のアドレスについては考慮せず、点検作業データの点検日時から予め定められた時間(例えば、2分)内の発報日時を有する発報データがあるかないかに基づいて、その点検作業データに対応する発報データの有無を判定してよい。
(変形例3)
上述した実施形態では、作業者による点検作業データの登録の際、図14に示すように、作業者が点検を担当する施設のエリアに対応する火災感知器のリスト表示を含む点検作業登録画面を携帯端末20の表示部23に表示させ、その点検作業登録画面において、点検作業を実施したまたは点検作業を実施する火災感知器を作業者が指定するものとした。しかしながら、点検作業登録画面は図14に例示したものに限定されない。点検作業登録画面は、作業者が点検を担当する施設のエリアの間取り図(平面図)中に、当該エリアに設置された火災感知器50のシンボルを表示したものであってもよい。
図15は、変形例3に係る点検作業登録画面の一例を示す図である。図15に示す例においては、実施形態において用いたプルダウンメニューに加えて、プルダウンメニューを用いて選択された「物件No.」、「エリア」に対応する間取り図を含む点検作業登録画面が、表示部23に表示される。この点検作業登録画面においては、選択されたエリア内に存在する火災感知器50が間取り図内の設置位置に予め定められたシンボル(本例では白丸)で示され、また、そのアドレスがシンボルの近傍に表示されている。作業者は、感知器50の点検作業を行う直前または直後にシンボルをタッチ操作して火災感知器50を選択し、続けて登録ボタンB2をタッチするなどの選択を確定する予め定められた操作を行う。それにより、選択された感知器50を特定する情報および登録ボタンB2のタッチ操作がなされた日時が点検履歴データベースに点検作業データとして登録され、点検日時の登録がなされた火災感知器50(例えば、アドレス08〜10の火災感知器50)については、その点検日時の一部である設定時刻がシンボルの近傍に表示されている。なお、表示スペースがあれば、日付を含む点検日時を表示してもよい。これらを表示するために必要なデータ(例えば、点検対象となる火災感知器50が設置されるエリアの間取り図の画像データや、間取り図上の各火災感知器50のシンボルの表示位置(座標)、火災感知器50のシンボルの画像データなど)は、サーバ10の記憶部15に格納されており、携帯端末20がネットワークに接続されているとき、サーバ10から携帯端末20に送信されるものとしてよい。例えば、点検作業開始前に、点検対象となる火災感知器50や点検期間の設定を携帯端末20で行ってサーバ10に送信する点検設定処理は、携帯端末20がネットワーク1000に接続されているときになされるので、サーバ10は、携帯端末20から点検対象となる火災感知器50や点検期間に関する情報を取得したとき、それに応じて、点検対象となる火災感知器50を間取り図上に表示させるのに必要なデータを記憶部15から読み出し手携帯端末20に送信してよい。これにより、点検期間中に携帯端末20がネットワーク1000に接続できない場合でも、携帯端末20において図15に示した点検作業登録画面を表示することができる。
尚、作業者の操作により、表示されているエリアとは別の施設及び/またはエリアがプルダウンメニューにより選択された場合、携帯端末20がネットワーク1000に接続されているときは、選択された施設及び/またはエリアを示す情報がサーバ10に送信され、サーバ10において、選択された施設及び/またはエリアに対応した点検作業登録画面の表示に必要な情報が記憶部15から読み出されて、携帯端末20に送信される。一方、携帯端末20がネットワークに接続できず、且つ、携帯端末20の記憶部25に選択された施設及び/またはエリアに対応した点検作業登録画面の表示に必要な情報が格納されていないときは、表示部23に「表示データがありません」などのメッセージが表示されるものとしてよい。
また、図15に示した画面において、表示された火災感知器50に対し点検結果が既に取得され、携帯端末20の記憶部25に格納されている場合は、点検結果(「OK」または「NG」)を、その火災感知器50のシンボルの近傍に表示してもよい。あるいは、点検結果に応じてシンボルの表示の態様(色、大きさ、点滅の有無など)を変えてもよい。このように、点検結果を火災感知器50が設置された施設の間取り図上で、各火災感知器50を表すシンボルに関連付けて表示することで、各火災感知器50の点検結果を容易に把握することができる。
(変形例4)
上述した実施形態において、点検期間中に携帯端末20がネットワーク1000に接続されている場合、サーバ10から携帯端末20に対して、火災感知器50から出力された発報信号の報知を行って、点検作業がなされた火災感知器50が正常に発報したかの確認を作業者自身が行うようにしてもよい。即ち、サーバ10は、管理装置70(受信機30)から発報感知器情報を受信すると、発報感知器情報によって示される発報した火災感知器50(発報感知器)のアドレスを用いて点検管理データベースを参照して、発報した火災感知器50を点検対象とする作業者が所持する携帯端末20を特定し、特定した携帯端末20の表示部23に、火災感知器50に発報があったことを作業者に通知するための画面(発報通知画面)を表示させる指示を行ってよい。携帯端末20は、サーバ10からの表示指示に応じて、表示部23に発報通知画面を表示させる。
図16は、発報通知画面の一例を示す図である。発報通知画面には、発報感知器情報が示す火災感知器50の所在を示す情報(この例においては、アドレスと設置場所)が含まれている。また、表示された火災感知器50が検査対象と一致しているか否かについて、作業者による判定の入力を受け付けるためのOKボタンB4、NGボタンB5が表示部23に表示される。即ち、作業者は、発報通知画面において表示される発報した火災感知器50のアドレスと、点検作業を行った火災感知器50のアドレスとを確認して、一致している場合はOKボタンB4をタッチ操作し、不一致の場合はNGボタンB5をタッチ操作することで、判定結果を入力する。携帯端末20は、作業者による判定結果の入力を受け付けると、その判定結果を示す情報を、サーバ10へと送信する。
上記のように、作業者による判定は、個々の発報感知器情報、即ち、発報履歴データベースに記録された個々の発報データに対してなされるので、この判定結果を点検履歴データベース(図9)に反映させるため、サーバ10は、発報履歴データベースと点検履歴データベースを照合して、作業者による確認のなされた発報データに対応する点検作業データを特定し、特定した点検作業データに関連付けて、作業者による判定結果を示すフラグ(「OK」または「NG」)を点検履歴データベースに記録する。作業者による判定結果を示すフラグは、判定部180による判定結果を示すフラグの代わりに記録されてもよいし、あるいは、判定部180による判定結果を示すフラグとは別に記録されてもよい。判定結果を示すフラグが付加された点検作業データがサーバ10から携帯端末20に送信されると、携帯端末20において、例えば図14に示す点検作業登録画面において、判定結果を火災感知器50のアドレスに関連付けて表示することが可能となる。尚、点検履歴データベースにおいて、作業者による判定結果と判定部180による判定結果とが区別して記録される場合、図14に示す点検作業登録画面において、作業者による判定結果と判定部180による判定結果とを区別して表示してもよいし、いずれか一方のみを表示してもよい。
発報データに対応する点検作業データは、発報データにより示される発報日時とのずれが所定の時間(例えば、2分)内の点検日時を有する点検作業データとして特定される。例えば、図4に示す発報履歴データベースにおいてアドレス09の火災感知器の発報データ(発報日時:2011年10月21日10時45分23秒)に対し、作業者による確認がなされた場合、図9に示す点検履歴データベースの中の点検日時が2011年10月21日10時44分50秒の点検作業データが、発報データに対応する点検作業データとして特定され、この点検作業データに関連付けて、作業者による確認結果を示すフラグ(「OK」または「NG」)が点検履歴データベースに記録される。
このように、点検期間中に携帯端末20がネットワーク1000に接続されている場合、サーバ10から携帯端末20に対して、火災感知器50から出力された発報信号の報知を行うことにより、点検作業がなされた火災感知器50が正常に発報したかの確認を作業者自身が行い、作業者による判定結果を記録できる。また、発報した火災感知器50を点検対象とする作業者が所持する携帯端末20に発報の通知を行い、他の作業者が所持する携帯端末20には発報の通知を行わないので、不要な発報の通知により作業効率が低下するのが防止される。
(変形例5)
上述した実施形態では、点検作業が実施された火災感知器50から発報信号が正常に出力され受信機30(管理装置70)に受信されたかについての確認、即ち、火災感知器50の動作確認を行ったが、本発明はこれに限定されない。例えば、受信機30が火災感知器50からの発報信号を受信したとき、受信機30の表示部33に表示される発報表示画面の確認を行ってもよい。発報表示画面は、例えば、火災感知器50のアドレスに関連付けて記憶部35(または、受信機30とデータの送受信が可能な他の装置の記憶部)のデータベースに格納された火災感知器50の設置場所等の情報に基づいて火災受信機30の制御部31により生成され、表示部33に表示される画面であり、発報した火災感知器50の設置場所を文字情報及び/または間取り図上のシンボルとして表示する。従って、発報表示画面の確認を行うことにより、発報表示画面の生成のためにデータベースに格納された情報が正しいか否かの判定をすることができる。
発報信号を受信した受信機30(管理装置70)は、発報感知器情報に加えて、当該発報信号に応じて受信機30の表示部33に表示される発報表示画面の画像データをサーバ10に送信する。このとき、データ量を低減するため、発報表示画面の画像データを表示内容の確認を妨げない程度にサイズを縮小して送信してもよい。
点検期間中に携帯端末20がネットワーク1000に接続されている場合、変形例4で説明したように、サーバ10は、携帯端末20に発報信号の報知を行うと共に、管理装置70から受信した発報表示画面の画像データを携帯端末20に送信し、携帯端末20を所持する作業者が発報表示画面を確認できるようにする。携帯端末20では、受信した発報表示画面の画像データに基づいて、作業者の判定結果を入力するためのボタン(例えば、図16に示したOKボタンB4及びNGボタンB5と同様のボタン)とともに発報表示画面を表示部23に表示し、作業者の判定結果が入力されると、それをサーバ10に送信する。この発報表示画面が正常か否かの判定は、個々の発報信号(発報データ)に対してなされるので、この判定結果を点検履歴データベースに反映させるため、サーバ10は、変形例4に記載したのと同様に、発報履歴データベースと点検履歴データベースを照合して、作業者による確認のなされた発報データに対応する点検作業データを特定し、特定した点検作業データに関連付けて、作業者による判定結果を示すフラグ(「OK」または「NG」)を点検履歴データベースに記録する。
一方、点検期間中に携帯端末20がネットワーク1000に接続できない場合、サーバ10は、管理装置70から受信した発報表示画面の画像データを記憶部15に格納する。このとき、発報表示画面の画像データを発報履歴データベースの発報データにそれぞれ関連付けて記録する。その後、携帯端末20がネットワーク1000に接続され、携帯端末20から点検作業データを受信すると、上述したように、サーバ10は受信した点検作業データの各々に対応する発報データを特定する。従って、各発報データに関連付けられた発報表示画面の画像データは、その発報データが対応する点検データに関連付けられることとなる。これにより、携帯端末20がネットワーク1000に接続可能となったとき、作業者が携帯端末20を用いてサーバ10に対し、所望の点検作業データ(または、火災感知器50)に対応する発報表示画面の画像データの送信を要求するリクエストを送信すると、サーバ10はそのリクエストに応じて記憶部15に格納された発報表示画面の画像データを携帯端末20に送信する。尚、携帯端末20からサーバ10への発報表示画面の送信リクエストの送信は、例えば、図14に示した点検作業登録画面において、発報表示画面要求ボタンを追加し、当該画面が表示部23に表示された状態で、作業者が所望の点検作業データをタッチ操作により選択し、発報表示画面要求ボタンをタッチ操作するのに応じて、携帯端末20からサーバ10に送信されるものとしてよい。
このように、点検時に発報信号に応じて受信機30の表示部33に表示される発報表示画面を作業者が確認することにより、発報表示画面の表示のために各火災感知器50に関連付けてデータベースに格納されたデータが正しいか否かを確認することができる。
(変形例6)
上述した実施形態において、受信機30(及びサーバ10)に格納される機器データベースに各火災感知器50の設置位置を示す感知器位置情報(例えば、緯度及び経度)を格納してもよい。また、その場合、携帯端末20が自身の位置を検出できるものとし、作業者が点検日時の点検履歴データベースへの登録を行う際、そのときの携帯端末20の位置(点検位置と言う)を記録してもよい。
図17は、変形例6に係る機器データベースを説明する図である。図17に示す機器データベースは、施設(本例では、物件No.053の施設)の各エリアに設置された火災感知器50やベル、防火戸などの発報連動装置60の各々の設置位置が登録されている点が、図3に示した機器データベースと異なる。設置位置は、例えば、緯度及び経度によって表される。施設内の予め定められた基準点を原点とした座標として表してもよい。上述したように、機器データベースは受信機30とサーバ10の両方に格納される。
図18は、変形例6に係る携帯端末20aのハードウエア構成を説明するブロック図である。図18において、図5と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図18に示した携帯端末20aは、GPS(Global Positioning System)センサ26及び加速度センサ27を有する点が、図5の携帯端末20と異なる。
GPSセンサ26は、予め定められたタイミングで(例えば、1分毎)、または、制御部21からの指示に応じて、図示しないGPS衛星からのGPS信号に基づいて端末装置20aの位置を示す情報(経度及び緯度)を取得し、制御部21に送信する。加速度センサ27は、端末装置20aの加速度を検知し、加速度を示す情報を制御部21に送信する。制御部21は、GPSセンサ26からの情報及び/または加速度センサ27からの情報に基づいて、端末装置20aの位置を特定する。例えば、GPSセンサ26がGPS衛星からGPS信号を受信可能なときは、制御部21はGPSセンサ26からの情報を端末装置20aの位置を表す情報として扱い、GPSセンサ26がGPS衛星からGPS信号を受信できなくなったときは、加速度センサ27からの信号(加速度)を積分することにより速度を求め、求めた速度を積分することにより携帯端末20aの位置を算出してよい。
図19は、変形例6に係る点検作業登録画面の一例を示す図である。図19に示された点検作業登録画面は、登録ボタンB2を含むが、図14に示した点検作業登録画面のように、対象施設やエリアを選択するためのプルダウンメニュー及び選択された施設及びエリアに対応する火災感知器50のリストを含まない。
本例において、点検期間中、作業者は火災感知器50の点検作業を実施する直前または直後に、点検作業登録画面の登録ボタンB2をタッチする操作をする。携帯端末20aは、登録ボタンB2のタッチ操作がなされた日時を、点検日時として点検履歴データベースに登録するとともに、そのときの携帯端末20aの位置を点検位置として点検履歴データベースに登録する。
図20は、変形例6に係る携帯端末20aの記憶部25に記憶された点検履歴データベースの一例を示す図である。図20に示されるように、この点検履歴データベースには、作業者が点検作業登録画面の登録ボタンB6をタッチ操作したときの日時(点検日時)とそのときの携帯端末の位置(点検位置)とが関連付けて登録されている。即ち、本例においては、点検日時と点検位置によって点検作業データが構成される。携帯端末20aは、ネットワーク1000に接続されているとき、点検履歴データベースに記録されている点検位置及び点検日時を含む点検作業データをサーバ10に送信する。このとき、携帯端末20aは、点検履歴データベースに含まれる点検作業データのうち、未送信の点検作業データを抽出してサーバ10に送信することが好ましい。
携帯端末20aから点検作業データを受信したサーバ10の制御部11は、記憶部15に格納された機器データベースに登録された火災感知器50の設置位置と、受信した点検作業データに含まれる点検位置とを照合し、点検位置からの距離が予め定められた距離より小さい設置位置に位置する火災感知器50を、点検作業が実施された火災感知器50として特定し、その火災感知器50のアドレス及び当該火災感知器50が設置された施設の物件No.を取得する。即ち、サーバ10の制御部11は、本発明のデータ取得部及び特定部として機能する。また、携帯端末20aから受信した点検作業データに含まれる点検日時を、特定した火災感知器50の点検日時として、取得したアドレスに関連付ける。サーバ10は、これら火災感知器50のアドレス、物件No.及び点検日時を、記憶部15に格納された点検履歴データベース(図9)に格納する。この後の判定部180による、点検履歴と発報履歴との照合に基づく点検結果の判定は上述した実施形態と同様であるので、説明を省略する。
このように、変形例6においては、点検日時の登録操作がなされたときの携帯端末20aの位置に基づいて、点検作業がなされた火災感知器50を特定するので、作業者が点検作業がなされた火災感知器50を画面上で指定する必要がない。即ち、本例では、図20に示した、携帯端末20aの点検履歴データベースに格納された点検日時と点検位置とが、点検作業がなされた感知器を時間順に示す点検履歴に相当する。
尚、携帯端末20aによる位置検出精度を向上するための様々な技術を用いてよい。例えば、施設内の予め定められた場所に所定の出力の発信器を設置し、発信器から発せられた電波を受信することで携帯端末20が自身の現在位置をキャリブレートしてもよい。発信器の出力は、発信器から所定の距離内にある場合にのみ受信できるように調整されている。また、各発信器から出力される電波に発信器の位置を示す信号を乗せてもよい。
(変形例7)
変形例3において、図15に示したような間取り図を含む点検作業登録画面を携帯端末20の表示部23に表示させるために必要なデータは、点検設定処理において、携帯端末20からサーバ10に送信される点検対象となる火災感知器50に関する情報に基づいて、サーバ10のデータベースから抽出してサーバ10から携帯端末20に送信されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、変形例6のように携帯端末20(20a)が位置取得機能を有する場合、携帯電話20がネットワーク1000を介してサーバ10に接続された状態で、作業者が間取り情報の送信を要求する操作をした際、そのときの携帯端末20の位置に応じて必要なデータをサーバ10でデータベースから抽出して携帯電話20に送信してもよい。この場合、携帯端末20の位置情報が高さ方向の位置も表すものであると(即ち、3次元の位置情報であると)、携帯端末20の高さに応じた階数の間取り情報を選択して抽出できるため好ましい。高さ方向の位置は、例えば、気圧を検出することにより算出することができる。
(変形例8)
上述した実施形態において、例えば、点検終了時など予め定められたタイミングで、点検対象の火災感知器50に対し点検作業がなされたか(即ち、点検漏れはないか)をサーバ10においてチェックし、当該チェックの結果を作業者が参照できるように出力してもよい。この点検漏れのチェックは、例えば、図8に示した点検管理データベースに登録されたある作業者(端末ID)の点検対象となっている火災感知器50と、当該作業者の携帯端末20からサーバ10に送信された点検作業データを記録した点検履歴データベース(図9)に示された、点検作業が実施された火災感知器50とが一致するか検証することにより行ってよい。図8に示した点検管理データベースにおいて点検対象となっている火災感知器50のあるものが、図9に示した点検履歴データベースに含まれていない場合、その火災感知器50に対し点検作業がなされていないと判定してよい。判定結果は、例えば、サーバ10から携帯端末20にメールで送信したり、携帯端末20のブラウザアプリケーションで閲覧できるようにサーバ10上で公開したりする。また、判定結果は、火災感知器50が設置されたエリアの間取り図上に表示してもよい。その場合、点検結果が得られている火災感知器については、その点検結果や点検日時を表示してもよい。また、点検漏れのチェックは、1日毎など、定期的に行ってもよい。
(変形例9)
図14及び図15に示した点検作業登録画面において、リスト表示または間取り図上に表示される火災感知器50の中に、図8に示した点検管理データベースにおいて点検対象として登録されている火災感知器50と、点検対象でない火災感知器50とが混在している場合、点検対象として登録されている火災感知器50と、点検対象でない火災感知器50とが識別可能に表示されるようにしてもよい。例えば、点検対象の火災感知器50と点検対象でない火災感知器50とで表示色を異ならせてよい。あるいは、図14及び図15に示した点検作業登録画面において、点検対象の火災感知器50のみを表示し、点検対象でない火災感知器50は表示しないようにしてもよい。尚、点検対象の火災感知器50を示す情報は、サーバ10により点検管理データベースから抽出され、携帯端末20がネットワーク1000に接続されているときにサーバ10から携帯端末20に送信される。
(変形例10)
上述した実施形態において、火災感知器50の点検支援について説明したが、点検支援の対象としては、火災報知設備2に接続されている発報連動装置60について行ってよい。発報連動装置60の動作の点検を行う際には、制限部140の機能を一時的に解除して、火災感知器50を発報させて、機器データベースに従い発報連動装置60が動作したことを確認して点検履歴データベースに発報連動装置60の点検作業データを記憶することで行うことができる。
(変形例11)
上述した実施形態において、火災報知設備2が施設に設置されている場合の点検支援について説明したが、点検支援の対象としては、火災報知設備2に限らない。周囲環境の変化を検出して発報信号を出力する感知器が施設内に複数設置され、また、感知器での発報に連動して動作する装置(防災装置、警備装置、通報装置など)が設置された報知設備の点検支援に本発明の点検支援システムを用いることができる。
(変形例12)
上述した実施形態における各プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、ネットワーク1000を介して外部装置からダウンロードしてもよい。