JP6004390B2 - 液体の気化装置および液体の気化方法 - Google Patents

液体の気化装置および液体の気化方法 Download PDF

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Description

本発明は、化学プロセスなどにおいて、常温では液体の試料をガス状態として供給する必要のある化学反応プロセス中で、液体を気化蒸発しガス状に変換する技術に関する。
従来、液体をガス化して供給しようとするときの加熱手段としては電気ヒータなどが用いられている。電気ヒータなどにより気化・蒸発反応器を液体の沸点より十分高い温度に制御し、ここに液体を供給することで、液体をガス状に変換する方法がとられていた。
液体が気体になるさい、大きな気化熱が必要となる。このため、気化装置の反応管では、大きな温度低下がおこる。したがって、それを補うだけの熱量を供給できる加熱装置が必要である。従来の加熱装置は、発熱体からの伝導伝熱や対流伝熱、放射伝熱により加熱対象に温度を伝えるため、十分な熱量を供給するためには、大きな温度差が必要となる。このため、液体の沸点より十分高い温度で制御する必要があった。また、発熱体からの伝導伝熱を速やかに行うためには、金属のような熱伝導度の大きな材料を用いる必要があった。
一方化学反応に用いる材料は、高温では構造が不安定になるものがあり、沸点より高い温度に設定することや、金属のような触媒作用をもつことは望ましくなかった。
構造の安定な液体においても、装置の安全や、省エネルギー、低コスト化の観点からからは、気化装置部分の温度はできるだけ低いことが望まれていた。
したがって本発明は、気化部分の温度が気化熱によって下がることを抑制し、液体を安定して気化して供給する方法とそれに用いる装置を提供することを目的とする。
本発明者が上記課題に鑑み鋭意研究した結果、加熱手段としてマイクロ波加熱を採用し、加熱媒体としてマイクロ波吸収性固体物質を用いることで、マイクロ波加熱により固体物質から直接エネルギーを供給することができ、加熱媒体上で液体が気化するときの温度低下を抑制することができることを見出し、この知見に基づき本発明をなすに至った。
すなわち本発明は以下の手段を提供する。
(1)マイクロ波発振器とマイクロ波照射空間を有する共振器構造を有した液体の気化装置であって、マイクロ波照射空間内にマイクロ波を透過する材料で作製した反応管を有し、前記反応管内のマイクロ波エネルギーの集中する位置に固定したマイクロ波吸収固体物質を有し、前記マイクロ波吸収固体物質が、反応管内で液体を透過する固体物質層であり、反応管に液体を供給して液体とマイクロ波で加熱した前記マイクロ波吸収固体物質を接触させることを特徴とする液体の気化装置。
)反応管に液体を供給する手段が、共振器の外側のマイクロ波が当たらない部分のノズルであることを特徴とする(1)に記載の液体の気化装置。
)反応管に液体を供給する手段が、前記加熱したマイクロ波吸収固体物質の熱の影響を受けない場所から、液滴もしくは液柱として液体を反応管内に供給する手段であることを特徴とする(1)または(2)に記載の液体の気化装置。
)液体を連続的に前記マイクロ波吸収固体物質に接触させる(1)〜()のいずれか1項に記載の液体の気化装置。
)マイクロ波がシングルモードである(1)〜()のいずれか1項に記載の液体の気化装置。
)共振部にマイクロ波を透過する材料で作製した反応管を有する、共振器構造を有した液体の気化装置で、前記反応管内のマイクロ波エネルギーの集中する位置に固定した、反応管内で液体を透過する固体物質層であるマイクロ波吸収固体物質を加熱し、加熱した該マイクロ波吸収固体物質に液体を接触させて、前記液体を蒸発させガス化することを特徴とする液体の気化方法。
)共振器の外側のマイクロ波が当たらない部分のノズルから液体を反応管内に供給し、前記マイクロ波吸収固体物質に触させることを特徴とする(6)に記載の液体の気化方法。
)前記加熱したマイクロ波吸収固体物質の熱の影響を受けない場所から、液滴もしくは液柱として液体を反応管内に供給し、前記マイクロ波吸収固体物質と接触させることを特徴とする(または(7)に記載の液体の気化方法。
)マイクロ波エネルギーの集中する位置が、液体供給量が変化したときにも、変動することがないよう、共振部の寸法を自動調整する機構を有した()〜(のいずれか1項に記載液体の気化方法。
10)マイクロ波エネルギーの集中する位置が、液体供給量が変化したときにも、変動することがないよう、マイクロ波発生器から発するマイクロ波の発振周波数を自動調整する機構を有した()〜(のいずれか1項に記載液体の気化方法。
11)液体を連続的に前記マイクロ波吸収固体物質に接触させる()〜(10)のいずれか1項に記載の液体の気化方法。
12)マイクロ波がシングルモードである()〜(11)のいずれか1項に記載の液体の気化方法。
本発明によれば、液体、例えば反応器から反応液を取り出したときに、その微少量を用い、集中的、局所的にマイクロ波加熱し、素早く加熱気化することができる。気化したガスの組成はガスの成分分析に供することができる。本発明方法及び装置はこの分析工程を、液体を流通させながら短時間で行うことを可能にする。本発明においては、気化熱による加熱媒体の温度低下を抑制して効率よく液体を気化することができる。気化部分の温度を沸点よりも大きく上に設定する必要がなく、液体を安全、安定に気化することができ、省エネルギー、省コストを達成できる。
本発明の液体の気化方法及び気化装置を模式的に示す説明図である。 反応管とマイクロ波吸収固体物質の一例を模式的に示す説明図である。 (a)はTE101シングルモードキャビティの反応管にマイクロ波を照射するシングルモード照射方法の一例の説明図であり、(b)はキャビティ中心軸に対する位置と電界強度分布の関係を示す。 (a)はTM010シングルモードキャビティの反応管にマイクロ波を照射するシングルモード照射方法の一例の説明図であり、(b)はキャビティ中心軸に対する位置(半径方向)と電界強度分布の関係を示す。 TM0n0シングルモードキャビティの反応管にマイクロ波を照射するシングルモード照射方法の一例の説明図である。 (a)はTM0n0シングルモードキャビティの反応管にマイクロ波を照射するシングルモード照射方法の他の一例の説明図であり、(b)はキャビティ中心軸に対する位置と電界強度分布の関係を示す。 マイクロ波センサーを用いた液体の気化装置の実施形態の一例を模式的に示す説明図である。 マイクロ波センサーを用いた液体の気化装置の実施形態の他の一例を模式的に示す説明図である。 ノズルで液体を供給する液体の気化装置の実施形態の一例を模式的に示す説明図である。 実施例1におけるマイクロ波吸収固体物質の温度変化を示すグラフである。 比較例1におけるα−アルミナの表面温度の経時変化を示すグラフである。 実施例4で用いた装置を模式的に示す説明図である。 実施例4でセンサー1とセンサー2が計測した電気伝導度を示すグラフである。
本発明においては、反応管内で液体と液体の沸点以上に加熱されたマイクロ波吸収固体物質とを接触させることで液体を蒸発させ気化させる。マイクロ波吸収固体物質は、マイクロ波の照射により加熱されている加熱媒体である。本発明においてマイクロ波とは波長300MHz〜30GHzの電磁波をいう。
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の液体の気化方法及び装置を模式的に示す説明図である。試料溶液供給装置50より供給された液体は、反応管30を通過する過程において、液体の沸点以上に加熱したマイクロ波吸収固体物質40に接触した際に、蒸発し気体となり、後段のプロセス80に供給される。反応管30は内部にマイクロ波吸収固体物質40を保持でき、マイクロ波を透過するもので、耐熱性があればよい。
60はキャリアガス供給装置である。キャリアガス供給装置60を用いれば、後段プロセスへ供給するガスを希釈することで濃度調整することができる。濃度調整が必要ない場合は、キャリアガス供給装置は用いなくともよい。
マイクロ波照射空間20内に配置したマイクロ波吸収固体物質40は、マイクロ波発生器10から照射されたマイクロ波のエネルギーを吸収することで、所定温度(液体の沸点以上の温度)まで加熱させる。マイクロ波吸収固体物質それ自体がマイクロ波エネルギーを吸収して発熱するため、試料液体が気化する際に奪われる熱量と同等以上のマイクロ波エネルギーを供給すれば、加熱媒体の温度が低下することなく、液体の気化状態を維持することができる。
マイクロ波吸収固体物質40は、マイクロ波により迅速に加熱可能な固体であり、このためにはマイクロ波吸収しやすい固体である。物質のマイクロ波吸収は下記式1で表される。
Figure 0006004390
式中、|E|[V/m],|H|[A/m]は、それぞれマイクロ波の電界強度、磁界強度であり、σ[S/m]は電気伝導度、f[1/sec]はマイクロ波の周波数、ε[F/m]は真空中の誘電率、ε’’は誘電損率、μ[H/m]は真空の透磁率、μ’’は磁気損率である。この中で、電気伝導度σ、誘電損率ε’’、磁気損率μ’’が大きい材料が望ましい。ε’’は、0.001以上が好ましい。
マイクロ波吸収固体物質40はまた、高温にさらされるため耐熱性が要求され、かつ、マイクロ波による急速な加熱に対しても、破損しない熱耐久性の優れた材料が望ましい。
好ましいマイクロ波吸収固体物質として、金属酸化物や、窒化物、炭化物などのセラミックが挙げられる。たとえば、γ−アルミナ、ムライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アパタイト、イットリア安定化ジルコニア、マグネシア安定化ジルコニアや、それらの組合せがあるが、ここに挙げた材料に限定されるものではない。
マイクロ波吸収固体物質40は液体を透過させつつ接触させ、表面で蒸発したガスを透過させるため、気孔率が高く、通気性のよい構造が望まれる。このような構造をもったものに、ビーズ状材料や、ハニカム構造材料、ウール状材料などが挙げられる。液体が気化する際には、体積膨張が大きいため、ガスの流れを妨げない構造として、図2に示すチューブ状材料やハニカム構造材料がより好ましい。ただし、上記構造に制限されるものではない。
マイクロ波照射方法としては、マイクロ波吸収固体物質40に効率的にエネルギーが供給される形態が望ましい。この観点から考えると、電子レンジで代表されるマルチモード式のマイクロ波照射方法では、マイクロ波吸収固体物質に照射されるエネルギー強度が時間と共に変動する可能性があるため不適切である。たとえば、液体の蒸発時にマイクロ波吸収固体物質でのエネルギー強度が低い場合、気化熱により加熱媒体の温度の急激な低下がおこり、安定した気化を成し得なくなる。このため、マイクロ波照射方法としては、マイクロ波エネルギー分布をあらかじめ設計できるシングルモード方式が必須となる。
シングルモードによるマイクロ波照射方法を以下に述べる。以下に示す図3〜6のキャビティ201〜203は、図1のマイクロ波照射空間20にあたる部分である。
代表的な方法に、矩形波導波管を用いたTE10nモード(nは1以上の整数)を用いる手法が挙げられる。TE101モードによるシングルモードマイクロ波照射方法を用いた場合の実施形態を図3(a)に示す。矩形型導波管のマイクロ波キャビティ201に、アイリス210を介して矢印220に示す方向からマイクロ波を入射すると、入射面と対向する壁からの反射波と重なって、図3(b)の電界強度分布で示すような一定在波が形成される。電界が強くなる位置に、反応管30を配置することで、反応管内のマイクロ波吸収固体物質40(図示しない)に効率的にエネルギーを供給でき、気化熱により温度低下を抑えながら、マイクロ波吸収固体物質を加熱することができる。
もう一つのシングルモード照射方法として、円筒形マイクロ波照射空間を用いたTM0n0モード(nは1以上の整数)を用いる手法が挙げられる。TM010モードを用いた場合の実施形態を図4(a)に示す。円筒型のTM010用シングルモードキャビティ202に、一波長分の定在波が形成できる波長のマイクロ波を矢印220に示す方向から供給すると、図4(b)のキャビティ半径方向での電界強度分布に示す、電界分布を得ることが出来る。ことのき円筒の中心軸に反応管30を配置することで、反応管内のマイクロ波吸収固体物質40(図示しない)に効率的にエネルギーを供給でき、気化熱により温度低下を抑えながら、マイクロ波吸収固体物質を加熱することができる。
図5は、TM0n0モードキャビティによる加熱媒体加熱を行うときの、もう一つのマイクロ波供給手段である。同軸ケーブル213により供給したマイクロ波エネルギーは、ループアンテナ211によりTM0n0モードキャビティ203内に、円周方向に交番磁界231を誘起することができる。このとき、供給するマイクロ波の波長とキャビティの直径が適切ならば、内部にTM0n0モードの定存波を形成することができる。ことのき円筒の中心軸に反応管30を配置することで、反応管内のマイクロ波吸収固体物質40(図示しない)に効率的にエネルギーを供給でき、気化熱により温度低下を抑えながら、マイクロ波吸収固体物質を加熱することができる。
このTM0n0モードは円筒形に限らず、矩形のマイクロ波照射空間でも実現可能である。この場合の実施形態の一例を図6(a)に示す。図6(b)はキャビティ中心軸に対する位置と電界強度分布の関係を示す。
図3から図6の何れの実施形態に於いても、反応管内の物質の状態が変わると、定在波の形成条件が変わる。特に、反応管内の試料が液体の状態と気体の状態では、定在波形成できるマイクロ波の波長が異なる。特に、本発明の形態では、マイクロ波吸収固体物質上で液体が蒸発するため、定在波を安定的に形成するのは容易ではない。一般に、シングルモードキャビティにおいて、定在波形成できるよう調整するには、キャビティ内に金属や誘電体で構成されたプランジャーとよばれる調整片を挿入し、その挿入量の調整が行われる。この場合、プランジャーの挿入量の調整は機械的な駆動機構を用いるため素早い調整が難しく、突発的な蒸発に迅速に対応することが困難であった。また、プランジャー挿入量を変化させることは、キャビティ内の定在波の分布が変るため、電界が最大になる位置が移動するという問題点があった。これは、マイクロ波吸収固体物質を配置した位置での電界強度がプランジャーの挿入量により変化するため、マイクロ波吸収固体物質の温度調整に影響が生じていた。
本発明においては、マイクロ波であればよいが、定在波であることが好ましい。
プランジャーを用いずに安定した定在波を照射する技術のひとつとして、シングルモードによるマイクロ波照射装置及び方法について開示する特開2009-080997[段落0006〜0008]に記載の内容を参照して実施できる。
図7に、この方法を取り入れた、実施形態の一例を示す。マイクロ波発振器110により、キャビティ202の定在波条件にあう周波数で発振されたマイクロ波は、マイクロ波増幅器120により、マイクロ波吸収固体物質40の加熱に必要な出力に増幅される。インピーダンス整合器130により、キャビティからの反射波が最小になるように調節されたマイクロ波は、ループアンテナ213を介して、キャビティ内に照射される。これにより、キャビティ内に定在波が形成され、反応管30に効果的にエネルギーが供給される。反応管内のマイクロ波吸収固体物質40はこれにより加熱される。液体供給装置50より供給され、加熱されたマイクロ波吸収固体物質40に接触した試料液体は蒸発によりガスになる。このとき、反応管内の定在波形成の条件がかわるが、この変化をマイクロ波センサー112により関知する。周波数制御装置は、マイクロ波センサーの信号をもとに、新たな定在波形成条件に見合った周波数を決定し、マイクロ波発振器に発振周波数を指令する。同時に、マイクロ波吸収固体物質40の温度を温度センサー122により検知し、目的温度の差を解析することで、マイクロ波出力制御装置によりマイクロ波出力を調整し、マイクロ波増幅器120の増幅率を調整してもよい。これにより、マイクロ波吸収固体物質40の温度を安定化させることができる。
マイクロ波センサーとしては、磁界センサーや電界センサーなどが挙げられるが、これに制約されるものではない。また、温度センサーとして、放射温度計を挙げることができるが、これに制約されるものではない。また、反射されるマイクロ波をセンシングすることでマイクロ波吸収固体物質の温度を検知することも可能であり(特願2011-258087)、温度センサーを別個に設けない態様もありうる。
マイクロ波センサーは、キャビティ内のマイクロ波分布を測定する以外にも、キャビティからの反射波を計測することで、定在波形成条件を解析することもできる。この場合の実施形態の一例を図8に示す。マイクロ波発振器110、マイクロ波増幅器120により発生したマイクロ波を方向性結合器140により入射波と反射波と分離し、それぞれのマイクロ波強度をパワーセンサー(入射波)141とパワーセンサー(反射波)142により計測する。このとき、それぞれのパワーセンサーの信号を元に、キャビティ202内に定在波が発生しているかを制御装置115により解析し、これとマイクロ波吸収固体物質40の温度情報をもとに、周波数と増幅率を決定することで、マイクロ波吸収固体物質40の温度を安定化させる。
図7、図8の実施形態で示している定在波発生のためのフィードバック制御は、高速であることが望ましい。例示すると1秒以下の間隔、好ましくは100ミリ秒以下の間隔、より好ましくは10ミリ秒以下の間隔であることで、マイクロ波吸収固体物質表面で試料液体が蒸発する状況においても、安定的に温度制御ができるようになる。
次に反応管への試料液体の供給方法について説明する。ノズルを用いた装置の一例を図9に示す。加熱されたマイクロ波吸収固体物質40の熱の影響を受けない場所にノズル31を設け、試料液体を液滴または液柱にしてマイクロ波吸収固体物質40に接触させている。マイクロ波発生器10は図示していない。
不純物を含む試料液体が、蒸発する際、沸点の高い不純物は、配管中で固体となり析出する可能性がある。また、液体が熱分解する場合も、配管中で熱分解をおこし析出することがある。これらは、配管閉塞など、装置のトラブルにつながる。これを防ぐためには、試料液体の通過する配管は高温部から遠ざけることが有効である。本発明では、マイクロ波加熱によりマイクロ波吸収固体物質のみが高温になるため、配管類の発熱を抑えることが可能である。ただし、マイクロ波吸収固体物質の熱が、放射伝熱や対流・伝導伝熱により配管類の温度上昇につながる可能性がある。そこで、液体供給装置50により送液される試料液体をノズル31により、液滴もしくは、液柱状に反応管30内に噴出することで、配管内での不純物の析出や熱分解を抑えることができる。
ノズルの形状としては、適当な液滴や液柱を形成できるよう、先端が細くなっている形状が望ましい。一例として、先端の直径が1.5mm以下のもの、より好ましくは、1mm以下のものである。ただし、細すぎると、閉塞がおこることや、試料液体供給ポンプに負荷がかかる、配管の継ぎ手が外れるなどのトラブルが生じる可能性があるため、先端の直径は0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上である。また、液滴や液柱は、反応管の外壁に付着すると、その部分に不純物が析出し、反応管が汚れる可能性がある。これを防ぐために、ノズル先端は滑らかな形状であることとし、液滴や液柱が、直接マイクロ波吸収固体物質に接触するよう噴出できることが望ましい。
本発明において液体を「連続的に」接触させるとは、液体の流通下に接触させ、測定、検出を行うことをいう。
以下に、実施例に基づき本発明について更に詳細に説明するが、本発明がこれに限定して解釈されるものではない。
実施例1
試料液体供給部分は図9の形態を採用し、図8に示した構成の装置で、マイクロ波吸収固体物質に粒子径10μmの炭化ケイ素(誘電損率 10)の粉末を用い、それを内径0.8mm外径1.2mm、長さ20mmのチューブ状のα−アルミナ内に1mg充填し両端をセラミック接着剤で封止したものを用い、イオン交換水を水蒸気にする試験を行った。反応管は石英製で内径は4mmであった。ノズルの形状は先端が細くなっているもので、直径2mm、先端孔径0.5mmのものを使用した。イオン交換水は液滴で供給した。キャリアガスは使用しなかった。フィードバック制御は0.1秒間隔で行った。
試料水を供給しながらマイクロ波加熱(周波数:2.45GHz±0.05GHz)を行ったときのマイクロ波吸収固体物質の温度変化のグラフを図10に示した。供給流速はグラフ中に示した。マイクロ波吸収固体物質は20秒以内で800℃まで加熱され、その後、試料水を通水しても、マイクロ波吸収固体物質の温度の低下がみられず、安定的にマイクロ波吸収固体物質の加熱が実現できていることがわかる。イオン交換水は連続的に安定して気化された。
実施例2、3
マイクロ波吸収固体物質として、内径0.8mm外径1.2mm、長さ20mmのチューブ状のイットリア安定化ジルコニア(誘電損率 0.05)、または粒径1mmの粒状のパラジウム担持γ―アルミナ(誘電損率 0.01)を用いた以外は実施例1と同様にしてイオン交換水の気化を行った。実施例1と同様に通水してもマイクロ波吸収固体物質の温度の低下はなく、連続的に安定して水蒸気が供給された。
実施例4
実施例4は、本発明である液体の気化方法を用いた応用例として水中に含まれる有機物の混入量を測定する例を示す。
実施例1に記載したマイクロ波吸収固体物質を取り付けた図12に示す装置で、液体を気化することにより液体内に含まれている有機物の濃度の測定を試みた。キャリアガス供給装置60では、酸素を含むガスを用いた。また供給する液体に、有機物としてフタル酸5ppmを添加したイオン交換水を用いた。これを試料水として、液滴にして通水したときの、結果を図13に示す。反応管に供給前の試料水は水質分析装置70として電気伝導度計センサー(以下、センサー1という)を接続し、反応管通過後、冷却装置および気液分離機を通過した水の分析には、水質分析装置81として電気伝導度計センサー(以下、センサー2という)を接続した。マイクロ波60W照射することで加熱媒体温度を800℃に維持している状態で、試料水を0.3mL/min、の流速で通水したときのセンサー1およびセンサー2の信号出力を図13に示す。フタル酸5ppmを通水後、センサー1の信号出力が上昇しているが、センサー2では出力変化がない。これは、マイクロ波加熱により800℃に維持された加熱媒体で、液体が気化するとともに、液体中に含まれていたフタル酸も気化するとともにキャリアガス中の酸素と反応し酸化分解し二酸化炭素とガス状物質に変換されているため、冷却により凝縮された液体中には有機物が含まれていないためである。この時のセンサー1の信号出力1とセンサー2の信号出力の差から試料水中に含まれている有機物質の混入量を計測することができる。
比較例1
実施例1と同じ装置を用い、マイクロ波吸収固体物質のかわりに、マイクロ波吸収の悪い、α―アルミナ(内径0.8mm外径1.2mm、長さ20mmのチューブ状のα−アルミナ、誘電損率 0.001)を用いた。この時のα―アルミナ表面温度の変化を図11に示す。温度測定は測定範囲250℃から1000℃の放射温度計を用いた。マイクロ波照射後200秒で400℃を越えた。その後300秒において、0.02ml/minの送液速度でイオン交換水を供給したが、次第にα―アルミナの温度が低下しているのがわかる。さらに、600秒において送液速度を0.04ml/minに増加させたところ、α−アルミナの温度が安定しなくなり、900秒において、供給したイオン交換水を完全に気化させることができなくなった。
10 マイクロ波発生器
20 マイクロ波照射空間
30 反応管
31 ノズル
40 マイクロ波吸収固体物質
50 液体供給装置
60 キャリアガス供給装置
70,81 水質分析装置(電気伝導度センサー)
80 次工程
90 冷却装置
91 気液分離器
92 気体状物質
110 マイクロ波発振器
112 マイクロ波センサー
115 制御装置
120 マイクロ波増幅器
122 温度センサー
130 インピーダンス整合器
140 方向性結合器
141 パワーセンサー(入射波)
141 パワーセンサー(反射波)
201 TE101用シングルモードキャビティ
202 TM010用シングルモードキャビティ
203 TM0n0用シングルモードキャビティ
210 アイリス
211 ループアンテナ
213 同軸ケーブル
220 マイクロ波照射方向

Claims (12)

  1. マイクロ波発振器とマイクロ波照射空間を有する共振器構造を有した液体の気化装置であって、マイクロ波照射空間内にマイクロ波を透過する材料で作製した反応管を有し、前記反応管内のマイクロ波エネルギーの集中する位置に固定したマイクロ波吸収固体物質を有し、前記マイクロ波吸収固体物質が、反応管内で液体を透過する固体物質層であり、反応管に液体を供給して液体とマイクロ波で加熱した前記マイクロ波吸収固体物質を接触させることを特徴とする液体の気化装置。
  2. 反応管に液体を供給する手段が、共振器の外側のマイクロ波が当たらない部分のノズルであることを特徴とする請求項1に記載の液体の気化装置。
  3. 反応管に液体を供給する手段が、前記加熱したマイクロ波吸収固体物質の熱の影響を受けない場所から、液滴もしくは液柱として液体を反応管内に供給する手段であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体の気化装置。
  4. 液体を連続的に前記マイクロ波吸収固体物質に接触させる請求項1〜のいずれか1項に記載の液体の気化装置。
  5. マイクロ波がシングルモードである請求項1〜のいずれか1項に記載の液体の気化装置。
  6. 共振部にマイクロ波を透過する材料で作製した反応管を有する、共振器構造を有した液体の気化装置で、前記反応管内のマイクロ波エネルギーの集中する位置に固定した、反応管内で液体を透過する固体物質層であるマイクロ波吸収固体物質を加熱し、加熱した該マイクロ波吸収固体物質に液体を接触させて、前記液体を蒸発させガス化することを特徴とする液体の気化方法。
  7. 共振器の外側のマイクロ波が当たらない部分のノズルから液体を反応管内に供給し、前記マイクロ波吸収固体物質に触させることを特徴とする請求項に記載の液体の気化方法。
  8. 前記加熱したマイクロ波吸収固体物質の熱の影響を受けない場所から、液滴もしくは液柱として液体を反応管内に供給し、前記マイクロ波吸収固体物質と接触させることを特徴とする請求項6または7に記載の液体の気化方法。
  9. マイクロ波エネルギーの集中する位置が、液体供給量が変化したときにも、変動することがないよう、共振部の寸法を自動調整する機構を有した請求項8のいずれか1項に記載液体の気化方法。
  10. マイクロ波エネルギーの集中する位置が、液体供給量が変化したときにも、変動することがないよう、マイクロ波発生器から発するマイクロ波の発振周波数を自動調整する機構を有した請求項8のいずれか1項に記載液体の気化方法。
  11. 液体を連続的に前記マイクロ波吸収固体物質に接触させる請求項10のいずれか1項に記載の液体の気化方法。
  12. マイクロ波がシングルモードである請求項11のいずれか1項に記載の液体の気化方法。
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