JP6002993B2 - 活性エステル樹脂、硬化性樹脂組成物、その硬化物、及びプリント配線基板 - Google Patents

活性エステル樹脂、硬化性樹脂組成物、その硬化物、及びプリント配線基板 Download PDF

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Description

本発明は得られる硬化物が耐熱性に優れ、熱履歴後の耐熱性変化が小さく、かつ、誘電率及び誘電正接の低いものとなる活性エステル樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、その硬化物、半導体封止材料、プリプレグ、回路基板及びビルドアップフィルムに関する。
エポキシ樹脂及びその硬化剤を必須成分とする硬化性樹脂組成物は、その硬化物において優れた耐熱性と絶縁性を発現することから、半導体や多層プリント基板などの電子部品用途において広く用いられている。この電子部品用途のなかでも多層プリント基板絶縁材料の技術分野では、近年、各種電子機器における信号の高速化、高周波数化が進んでいる。しかしながら、信号の高速化、高周波数化に伴って、十分に低い誘電率を維持しつつ低い誘電正接を得ることが困難となりつつある。
そこで、高速化、高周波数化された信号に対しても、十分に低い誘電率を維持しつつ十分に低い誘電正接を発現する硬化体を得ることが可能な硬化性樹脂組成物の提供が望まれている。これらの低誘電率・低誘電正接を実現可能な材料として、フェノールノボラック樹脂中のフェノール性水酸基をエステル化して得られる活性エステル化合物をエポキシ樹脂用硬化剤として用いる技術が知られている(下記、特許文献1参照)。
然し乍ら、電子部品における高周波化や小型化の傾向から多層プリント基板絶縁材料にも極めて高度な耐熱性が求められているところ、前記したフェノールノボラック樹脂中のフェノール性水酸基をエステル化して得られる活性エステル化合物は、エステル構造の導入により硬化物の架橋密度が低下してしまい、硬化物の耐熱性が十分な物とはならず、熱履歴後の耐熱性変化も大きいものであった。更に、その低誘電率性と低誘電正接性も、昨今益々高まる市場要求レベルを満たすものではなかった。
特開平7−82348号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、得られる硬化物が耐熱性に優れ、熱履歴後の耐熱性変化が小さく、かつ、誘電率及び誘電正接の低いものとなる活性エステル樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、その硬化物、半導体封止材料、プリプレグ、回路基板及びビルドアップフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、4,4’−ビフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドの反応生成物であるビフェノール−ナフトール樹脂と、モノカルボン酸化合物又はそのハライドとの反応物であって、特定構造の多官能化合物を含有する活性エステル樹脂は、それ自体の反応性が高いことからその硬化物が優れた耐熱性を示し、熱履歴後の耐熱性変化が小さく、更に、誘電率及び誘電正接も低いものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記構造式(1)
Figure 0006002993
[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示し、nは1又は2、mは0〜2の整数である。また、Zはベンゾイル基、炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたベンゾイル基、ナフトイル基、及び炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたナフトイル基、炭素原子数2〜6のアシル基から成る群から選択されたエステル形成構造部位(z1)、又は水素原子(z2)である。]
で表される多官能化合物(x)を含有し、前記多官能化合物(x)が含有するZのうち少なくとも一つは前記エステル形成構造部位(z1)であることを特徴とする活性エステル樹脂に関する。
本発明は、更に、前記した活性エステル樹脂、及びエポキシ樹脂を必須成分とすることを特徴とする硬化性樹脂組成物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性樹脂組成物を硬化反応させてなることを特徴とする硬化物に関する。
本発明は、更に、前記活性エステル樹脂及び前記エポキシ樹脂に加え、更に無機質充填材を組成物中70〜95質量%となる割合で含有する硬化性樹脂組成物からなる半導体封止材料に関する。
本発明は、更に、上記硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したものを補強基材に含浸し、得られる含浸基材を半硬化させることによって得られるプリプレグに関する。
本発明は、更に、上記硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したワニスを得、これを板状に賦形したものと銅箔とを加熱加圧成型することにより得られる回路基板に関する。
本発明は、更に、上記硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したものを基材フィルム上に塗布し、乾燥させることによって得られるビルドアップフィルムに関する。
本発明によれば、得られる硬化物が耐熱性に優れ、熱履歴後の耐熱性変化が小さく、かつ、誘電率及び誘電正接の低いものとなる活性エステル樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、その硬化物、半導体封止材料、プリプレグ、回路基板及びビルドアップフィルムを提供できる。
図1は、実施例1で得られた活性エステル樹脂(A−1)のGPCチャートである。
本発明の活性エステル樹脂は、下記構造式(1)
Figure 0006002993
[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示し、nは1又は2、mは0〜2の整数である。また、Zはベンゾイル基、炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたベンゾイル基、ナフトイル基、及び炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたナフトイル基、炭素原子数2〜6のアシル基から成る群から選択されたエステル形成構造部位(z1)、又は水素原子(z2)である。]
で表される多官能化合物(x)を含有し、前記多官能化合物(x)が含有するZのうち少なくとも一つは前記エステル形成構造部位(z1)であることを特徴としている。
このような本発明の活性エステル樹脂は、具体的には4,4’−ビフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドの反応生成物であるビフェノール−ナフトール樹脂(a)と、モノカルボン酸化合物又はそのハライド(b)との反応物であって、種々の樹脂構造のものを含む混合物のなかに、前記多官能化合物(x)を含有するものが挙げられる。本発明の活性エステル樹脂が必須成分とする前記多官能化合物(x)の様なオリゴマー化合物は、一般的なノボラック樹脂の様な長鎖の樹脂と比較して分子レベルでの配向性が高く、硬化物における分子運動を抑制することから、誘電率及び誘電正接を低く抑えることが出来る。
ここで、本発明の活性エステル樹脂中の前記多官能化合物(x)の含有率は、GPC測定における面積比率で30%以上であることが好ましい。前記多官能化合物(x)の様な制御された構造のオリゴマー化合物を30%以上の高濃度で含有することにより反応性がより高まり、その硬化物はより高密に架橋されたものとなるため、耐熱性に優れ、かつ、熱履歴後の耐熱性変化が小さいものとなる。更に、より耐熱性に優れ、熱履歴後の耐熱性変化の小さい硬化物が得られることから、前記多官能化合物(x)の含有率が50%以上であることがより好ましい。
また、前記一般式(1)において、nは1又は2、mは0〜2の整数である。即ち、前記一般式(1)で表される前記多官能化合物(x)は、分子構造中にエステル形成構造部位(z1)又は水酸基を合計で3〜6個有する。中でも、硬化性に優れ、硬化物における熱履歴後の耐熱変化が少ない材料となることから、nとmとが共に2である6官能体(x6)を含有することが好ましい。
このとき、活性エステル樹脂中の前記6官能体(x6)の含有率は、配向性に優れ、硬化物における誘電率及び誘電正接が低いものとなることから、GPC測定における面積比率で5%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。
斯かる6官能体(x6)は、具体的には、下記構造式(1−1)〜(1−6)
Figure 0006002993
で表される化合物が挙げられる。これらのなかでも特に前記構造式1−1で表されるもの、即ち、前記構造式(1)におけるR及びRが、全て水素原子であるものが、硬化物における熱膨張係数が小さくなる点から好ましい。
本発明の活性エステル樹脂は、前記多官能化合物(x)に加え、更に、下記構造式(2)
Figure 0006002993
[式中Zはベンゾイル基、炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたベンゾイル基、ナフトイル基、及び炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたナフトイル基、炭素原子数2〜6のアシル基から成る群から選択されたエステル形成構造部位(z1)、又は水素原子(z2)である。]
で表される4,4’−ビフェノール型化合物(y)を含有することが、溶剤溶解性に優れる活性エステル樹脂となり、かつ、硬化物における熱履歴後の耐熱性変化がより小さくなることから好ましい。
このとき、活性エステル樹脂中の前記多官能化合物(x)の含有率と、4,4’−ビフェノール型化合物(y)の含有率は、溶剤溶解性に優れ、更に、硬化物における熱履歴後の耐熱性変化が小さい材料となることから、GPC測定における面積比率で、前記多官能化合物(x)の含有率が30〜95%の範囲であり、4,4’−ビフェノール型化合物(y)の含有率が1〜25%の範囲であることが好ましい。また、活性エステル樹脂中の前記6官能体(x6)の含有量はGPCにおける面積比率で5〜60%の範囲であることが好ましく、20〜50%の範囲であることがより好ましい。
尚、本発明における前記多官能化合物(x)、前記6官能体(x6)、及び前記4,4’−ビフェノール型化合物(y)の活性エステル樹脂中の含有率とは、下記の条件によるGPC測定によって計算される、本発明のビフェノール−ナフトール樹脂の全ピーク面積に対する、前記各構造体のピーク面積の存在割合である。
<GPC測定条件>
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
前記多官能化合物(x)及び前記4,4’−ビフェノール型化合物(y)中のZは、ベンゾイル基、炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたベンゾイル基、ナフトイル基、及び炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたナフトイル基、炭素原子数2〜6のアシル基から成る群から選択されたエステル形成構造部位(z1)、又は、水素原子(z2)である。このとき、活性エステル樹脂中の前記エステル形成構造部位(z1)と水素原子(z2)との存在割合は、誘電率及び誘電正接のより低い硬化物が得られることから、前記エステル形成構造部位(z1)と水素原子(z2)との合計に対して、前記エステル形成構造部位(z1)が40%以上となる割合であることが好ましく、両者の合計に対して前記エステル形成構造部位(z1)が65%以上となる割合であることがより好ましい。即ち、活性エステル樹脂中のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との存在割合は、両者の合計の官能基数に対し、カルボニルオキシ基の割合が40%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましい。
この様に、前記多官能化合物(x)又は前記4,4’−ビフェノール型化合物(y)中のZは、その全てが前記エステル形成構造部位(x1)であってもよいが、Xの一部が水素原子(x2)であること、即ち、フェノール性水酸基を一部有することにより、硬化性が良好なものとなり、耐熱性の改善効果が顕著なものとなる。
ここで、前記Zで示される炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたベンゾイル基は、2,4−ジメチルベンゾイル基、2,6−ジメチルベンゾイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基、2−エチルベンゾイル基、4−エチルベンゾイル基2−t−ブチル−4−エチルベンゾイル基、4−i−プロピルベンゾイル基、4−t−ブチルベンゾイル基、2,6−ジ−t−ブチルベンゾイル基が挙げられる。
また、炭素原子数1〜4のアルキル基の1つ又は2つで核置換されたナフトイル基は、2−メチル−1−ナフトール基、4−メチル−1−ナフトイル基、2−エチル−1−ナフトイル基、3−メチル−4−エチル−2−ナフトイル基、2−プロピル−1−ナフトイル基、2−プロピル−4−エチル−1−ナフトイル基、6−プロピル−2−ナフトイル基、2−t−ブチル−1−ナフイル基、3−t−ブチル−1−ナフイル基、4−t−ブチル−1−ナフイル基等が挙げられる。また、炭素原子数2〜6のアシル基は、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、カプロイル基が挙げられる。
前記エステル形成構造部位(z1)は、上記した各構造のなかでも、特に硬化時の誘電特性に優れる点、特に後述するエポキシ樹脂との反応性が良好なものとなる点からアセチル基、ベンゾイル基、又はナフトイル基が好ましく、とりわけベンゾイル基が好ましい。
本発明の活性エステル樹脂は、活性エステル樹脂中のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との合計の官能基数を基準とした官能基当量が140〜260g/eqの範囲であることが、硬化物の耐熱性と誘電特性とのバランスが良好となる点から好ましい。
以上詳述した本発明の活性エステル樹脂は、例えば、下記方法1又は方法2によって製造することができる。
方法1:有機溶剤及びアルカリ触媒の存在下、β−ナフトール化合物とホルムアルデヒドとを反応させ、次いで、ホルムアルデヒドの存在下、4,4’−ビフェノールを加え反応させて、ビフェノール−ナフトール樹脂(a)を得(工程1)、次いで、得られたビフェノール−ナフトール樹脂(a)とモノカルボン酸化合物又はそのハライド(b)とを反応させて(工程2)、目的とする活性エステル樹脂を得る方法。
方法2:有機溶剤及びアルカリ触媒の存在下、4,4’−ビフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを反応させてビフェノール−ナフトール樹脂(a)を得(工程1)、次いで、得られたビフェノール−ナフトール樹脂(a)とモノカルボン酸化合物又はそのハライド(b)とを反応させて(工程2)、目的とする活性エステル樹脂を得る方法。
本発明では、上記方法1又は2の工程1において、反応触媒として、アルカリ触媒を用いること、及び、有機溶剤を原料成分に対して少なく使用することにより、前記多官能化合物(x)及び前記4,4’−ビフェノール型化合物(y)の活性エステル樹脂中の存在割合を所定範囲に調整することができる。
ここで用いるアルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、金属ナトリウム、金属リチウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリ類などが挙げられる。その使用量は、原料成分である4,4’−ビフェノール及びβ−ナフトール化合物のフェノール性水酸基の総数に対して、モル基準で0.01〜2.0倍量となる範囲であることが好ましい。
また、有機溶剤としては、メチルセロソルブ、イソプロピルアルコール、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらのなかでもとりわけ前記多官能化合物(x)の生成が促進されることからイソプロピルアルコールが好ましい。本発明における有機溶剤の使用量は、原料成分である4,4’−ビフェノール及びβ−ナフトール化合物の総質量100質量部あたり、5〜70質量部の範囲であることが、前記多官能化合物(x)、前記4,4’−ビフェノール型活性エステル化合物(y)の活性エステル樹脂中の存在割合を所定範囲に調整し易い点から好ましい。
本発明では必須の原料成分として4,4’−ビフェノールを用いる。ビフェノールの中でも、4,4’−型のものを用いることにより、前記六官能体(x6)を効率的に得ることが出来、得られる活性エステル樹脂の硬化物における誘電率及び誘電正接を低く抑えることが出来る。
本発明のもう一つの必須成分であるβ−ナフトール化合物は、β−ナフトール及びこれらにメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が核置換した化合物等が挙げられる。これらのなかでも置換基を有しないβ−ナフトールが、最終的に得られる活性エステル樹脂の硬化物における熱履歴後の耐熱性変化が少なくなる点から好ましい。
また、ここで用いるホルムアルデヒドは、水溶液の状態であるホルマリン溶液でも、固形状態であるパラホルムアルデヒドでもよい。
前記方法1又は方法2の工程1における4,4’−ビフェノールと、β−ナフトール化合物との使用割合は、モル比(4,4’−ビフェノール/β−ナフトール化合物)が[1/0.5]〜[1/8]となる範囲であることが最終的に得られる活性エステル樹脂中の各成分比率の調整が容易であることが好ましい。
ホルムアルデヒドの反応仕込み比率は4,4’−ビフェノール及びβ−ナフトール化合物の総モル数に対して、ホルムアルデヒドが、モル基準で0.6〜2.0倍量となる割合であること、特に、耐熱性に優れる点から、0.6〜1.5倍量となる割合であることが好ましい。
前記方法1の工程1では、反応容器に、所定量のβ−ナフトール化合物、ホルムアルデヒド、有機溶剤、及びアルカリ触媒と仕込み、40〜100℃にて反応させ、反応終了後、4,4’−ビフェノール(必要に応じて、更にホルムアルデヒド)を加え、40〜100℃の温度条件下に反応させて目的とするビフェノール−ナフトール樹脂(a)を得ることができる。
反応終了後は、反応混合物のpH値が4〜7になるまで中和あるいは水洗処理を行う。中和処理や水洗処理は常法にしたがって行えばよく、例えば酢酸、燐酸、燐酸ナトリウム等の酸性物質を中和剤として用いることができる。中和あるいは水洗処理を行った後、減圧加熱下で有機溶剤を留去し目的とするビフェノール−ナフトール樹脂(a)を得ることができる。
前記方法2の工程1では、反応容器に、所定量のβ−ナフトール化合物、4,4’−ビフェノール、ホルムアルデヒド、有機溶剤、及びアルカリ触媒を仕込み、40〜100℃にて反応させて目的とするビフェノール−ナフトール樹脂(a)を得ることができる。
反応終了後は、反応混合物のpH値が4〜7になるまで中和あるいは水洗処理を行う。中和処理や水洗処理は常法にしたがって行えばよく、例えば酢酸、燐酸、燐酸ナトリウム等の酸性物質を中和剤として用いることができる。中和あるいは水洗処理を行った後、減圧加熱下で有機溶剤を留去し目的とするビフェノール−ナフトール樹脂(a)を得ることができる。
次いで、前記方法1又は方法2の工程2は、工程1で得られたビフェノール−ナフトール樹脂(a)と、モノカルボン酸化合物又はそのハライド(b)とを反応させることによって目的とする活性エステル樹脂を製造する工程である。
工程2で用いるモノカルボン酸化合物又はそのハライド(b)は、具体的には、フェニル基、ナフチル基、炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたフェニル基、ナフチル基、炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたナフチル基から成る群から選択される炭化水素構造をもつ芳香族モノカルボン酸、又はそのハライド(b−1)(以下、これを「芳香族モノカルボン酸又はそのハライド(b−1)」と略記する。)、或いは、炭素原子数2〜5の飽和脂肪酸又はそのハライド(b−2)(以下、これを「飽和脂肪酸又はそのハライド(b−2)」と略記する。)が挙げられる。
前記芳香族モノカルボン酸又はそのハライド(b−1)は、具体的には、安息香酸、或いは、メチル安息香酸、2,4−ジメチル安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸、2−エチル安息香酸、4−エチル安息香酸、2−t−ブチル−4−エチル安息香酸、4−i−プロピル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸等のアルキル安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、2−メチル−1−ナフトエ酸、4−メチル−1−ナフトエ酸、2−エチル−1−ナフトエ酸、3−メチル−4−エチル−2−ナフトエ酸、2−プロピル−1−ナフトエ酸、2−プロピル−4−エチル−1−ナフトエ酸、6−プロピル−2−ナフトエ酸、2−t−ブチル−1−ナフトエ酸、3−t−ブチル−1−ナフトエ酸、4−t−ブチル−1−ナフトエ酸、並びにこれらの酸フッ化物、酸塩化物、酸臭化物、酸ヨウ化物等の酸ハロゲン化物等が挙げられる。
また、前記飽和脂肪酸又はそのハライド(b−2)は、具体的には、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、並びに、これらの酸フッ化物、酸塩化物、酸臭化物、及び酸ヨウ化物等の酸ハロゲン化物等が挙げられる。
これらの中でも、特に誘電特性に優れる点から安息香酸、エタン酸の酸塩化物が好ましい。
工程2のビフェノール−ナフトール樹脂(a)と、モノカルボン酸化合物又はそのハライド(b)との反応は、具体的には、これらを塩基性触媒下に反応させる方法が挙げられる。
前記ビフェノール−ナフトール樹脂(a)と、モノカルボン酸化合物又はそのハライド(b)との反応割合は、ビフェノール−ナフトール樹脂(a)中のフェノール性水酸基と、モノカルボン酸化合物又はそのハライド(b)中のカルボキシル基又は酸ハライド基との当量比[(a)中のOH/(b)中のカルボキシル基又は酸ハライド基]が1.0/0.40〜1.0/1.0となる割合であることが、得られる活性エステル樹脂の溶剤溶解性が良好なものとなる点から好ましい。
上記工程2の反応で使用し得るアルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。これらのなかでも特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが水溶液の状態で使用することができ、生産性が良好となる点から好ましい。
上記工程2の反応では、各原料成分は、有機溶媒に溶解させて反応に供することが好ましく、ここで用いる有機溶媒としては、トルエン、ジクロロメタンなどが挙げられる。
上記条件にて反応を行った後に、反応液に適量の水を加えて生成塩を溶解する。その後、水洗を繰り返して系内の生成塩を除去した後に、脱水や濾別でさらに精製して、有機溶媒を蒸留で除去して目的とする活性エステル樹脂を得ることができる。
次に、本発明の硬化性樹脂組成物は、以上詳述した活性エステル樹脂とエポキシ樹脂とを必須成分とするものである。
ここで用いるエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂の中でも、特に難燃性に優れる硬化物が得られる点から、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物における前記活性エステル樹脂とエポキシ樹脂との配合量は、硬化性及び硬化物の諸物性が良好なものとなる点から前記活性エステル樹脂中のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との合計1当量に対して、前記エポキシ樹脂中のエポキシ基が0.8〜1.2当量となる割合であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記した活性エステル樹脂及びエポキシ樹脂に加え、前記活性エステル樹脂の他のエポキシ樹脂用硬化剤を併用してもよい。ここで用いることのできるエポキシ樹脂用硬化剤としては、例えばアミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノ−ル系化合物などの硬化剤を使用できる。具体的には、アミン系化合物としてはジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられ、アミド系化合物としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられ、酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、フェノール系化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミンやベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。
これらの中でも、特に芳香族骨格を分子構造内に多く含むものが難燃効果の点から好ましく、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂が難燃性に優れることから好ましい。
上記したエポキシ樹脂用硬化剤を併用する場合その使用量は、本発明が奏する低誘電率性及び低誘電正接性に優れる効果が十分に発揮されることから、前記活性エステル樹脂を含む全硬化剤成分中、10〜50質量%の範囲であることが好ましい。
また必要に応じて本発明の硬化性樹脂組成物に硬化促進剤を適宜併用することもできる。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルフォスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン(DBU)が好ましい。
以上詳述した本発明の硬化性樹脂組成物は溶剤溶解性にも優れることから、有機溶で希釈して用いることが出来る。ここで使用し得る前記有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、その選択や適正な使用量は用途によって適宜選択し得るが、例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤であることが好ましく、また、不揮発分40〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。一方、ビルドアップ用接着フィルム用途では、有機溶剤として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、また、不揮発分30〜60質量%となる割合で使用することが好ましい。
また、上記熱硬化性樹脂組成物は、難燃性を発揮させるために、例えばプリント配線板の分野においては、信頼性を低下させない範囲で、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤を配合してもよい。
前記非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられ、それらの使用に際しても何等制限されるものではなく、単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数用いても良く、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて用いることも可能である。
前記リン系難燃剤としては、無機系、有機系のいずれも使用することができる。無機系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。
また、前記赤リンは、加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていることが好ましく、表面処理方法としては、例えば、(i)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、(ii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、(iii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等が挙げられる。
前記有機リン系化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物の他、9,10−ジヒドロ−9−オキサー10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10−(2,5―ジヒドロオキシフェニル)―10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10―(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等が挙げられる。
それらの配合量としては、リン系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、赤リンを非ハロゲン系難燃剤として使用する場合は0.1〜2.0質量部の範囲で配合することが好ましく、有機リン化合物を使用する場合は同様に0.1〜10.0質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜6.0質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記リン系難燃剤を使用する場合、該リン系難燃剤にハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、ホウ化合物、酸化ジルコニウム、黒色染料、炭酸カルシウム、ゼオライト、モリブデン酸亜鉛、活性炭等を併用してもよい。
前記窒素系難燃剤としては、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。
前記トリアジン化合物としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メロン、メラム、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、ポリリン酸メラミン、トリグアナミン等の他、例えば、(i)硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラムなどの硫酸アミノトリアジン化合物、(ii)フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール類と、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ホルムグアナミン等のメラミン類およびホルムアルデヒドとの共縮合物、(iii)前記(ii)の共縮合物とフェノールホルムアルデヒド縮合物等のフェノール樹脂類との混合物、(iv)前記(ii)、(iii)を更に桐油、異性化アマニ油等で変性したもの等が挙げられる。
前記シアヌル酸化合物の具体例としては、例えば、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等を挙げることができる。
前記窒素系難燃剤の配合量としては、窒素系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜10質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.1〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記窒素系難燃剤を使用する際、金属水酸化物、モリブデン化合物等を併用してもよい。
前記シリコーン系難燃剤としては、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
前記シリコーン系難燃剤の配合量としては、シリコーン系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。また前記シリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデン化合物、アルミナ等を併用してもよい。
前記無機系難燃剤としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられる。
前記金属水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
前記金属酸化物の具体例としては、例えば、モリブデン酸亜鉛、三酸化モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等を挙げることができる。
前記金属炭酸塩化合物の具体例としては、例えば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸チタン等を挙げることができる。
前記金属粉の具体例としては、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等を挙げることができる。
前記ホウ素化合物の具体例としては、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等を挙げることができる。
前記低融点ガラスの具体例としては、例えば、シープリー(ボクスイ・ブラウン社)、水和ガラスSiO−MgO−HO、PbO−B系、ZnO−P−MgO系、P−B−PbO−MgO系、P−Sn−O−F系、PbO−V−TeO系、Al−HO系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物を挙げることができる。
前記無機系難燃剤の配合量としては、無機系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜15質量部の範囲で配合することが好ましい。
前記有機金属塩系難燃剤としては、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられる。
前記有機金属塩系難燃剤の配合量としては、有機金属塩系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.005〜10質量部の範囲で配合することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて無機質充填材を配合することができる。前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。前記無機充填材の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いることが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は難燃性を考慮して、高い方が好ましく、硬化性樹脂組成物の全体量に対して20質量%以上が特に好ましい。また導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記した各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂、硬化剤、更に必要により硬化促進剤の配合された本発明の硬化性樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。該硬化物としては積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物が用いられる用途としては、硬質プリント配線板材料、フレキシルブル配線基板用樹脂組成物、ビルドアップ基板用層間絶縁材料等の回路基板用絶縁材料、半導体封止材料、導電ペースト、ビルドアップ用接着フィルム、樹脂注型材料、接着剤等が挙げられる。これら各種用途のうち、硬質プリント配線板材料、電子回路基板用絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム用途では、コンデンサ等の受動部品やICチップ等の能動部品を基板内に埋め込んだ所謂電子部品内蔵用基板用の絶縁材料として用いることができる。これらの中でも、耐熱性が高く、特に低誘電率性及び低誘電正接性に優れる特性を生かし、硬質プリント配線板材料、フレキシルブル配線基板用樹脂組成物、ビルドアップ基板用層間絶縁材料等の回路基板用材料、及び、半導体封止材料に用いることが好ましい。
ここで、本発明の回路基板は、硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したワニスを得、これを板状に賦形したものを銅箔と積層し、加熱加圧成型して製造されるものである。具体的には、例えば硬質プリント配線基板を製造するには、前記有機溶剤を含むワニス状の硬化性樹脂組成物を、更に有機溶剤を配合してワニス化し、これを補強基材に含浸し、半硬化させることによって製造される本発明のプリプレグを得、これに銅箔を重ねて加熱圧着させる方法が挙げられる。ここで使用し得る補強基材は、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などが挙げられる。かかる方法を更に詳述すれば、先ず、前記したワニス状の硬化性樹脂組成物を、用いた溶剤種に応じた加熱温度、好ましくは50〜170℃で加熱することによって、硬化物であるプリプレグを得る。この際、用いる硬化性樹脂組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。次いで、上記のようにして得られたプリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜250℃で10分〜3時間、加熱圧着させることにより、目的とする回路基板を得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物からフレキシルブル配線基板を製造するには、活性エステル樹脂及びエポキシ樹脂、及び有機溶剤を配合して、リバースロールコータ、コンマコータ等の塗布機を用いて、電気絶縁性フィルムに塗布する。次いで、加熱機を用いて60〜170℃で1〜15分間加熱し、溶媒を揮発させて、接着剤組成物をB−ステージ化する。次いで、加熱ロール等を用いて、接着剤に金属箔を熱圧着する。その際の圧着圧力は2〜200N/cm、圧着温度は40〜200℃が好ましい。それで十分な接着性能が得られれば、ここで終えても構わないが、完全硬化が必要な場合は、さらに100〜200℃で1〜24時間の条件で後硬化させることが好ましい。最終的に硬化させた後の接着剤組成物膜の厚みは、5〜100μmの範囲が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物からビルドアップ基板用層間絶縁材料を得る方法としては、例えば、ゴム、フィラーなどを適宜配合した当該硬化性樹脂組成物を、回路を形成した配線基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する。前記めっき方法としては、無電解めっき、電解めっき処理が好ましく、また前記粗化剤としては酸化剤、アルカリ、有機溶剤等が挙げられる。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成することにより、ビルドアップ基盤を得ることができる。但し、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170〜250℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
次に、本発明の硬化性樹脂組成物から半導体封止材料を製造するには、活性エステル樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)、及び無機充填剤等の配合剤を必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に溶融混合する方法が挙げられる。その際、無機充填剤としては、通常シリカが用いられるが、その場合、硬化性樹脂組成物中、無機質充填材を70〜95質量%となる割合で配合することにより、本発明の半導体封止材料となる。半導体パッケージ成形としては、該組成物を注型、或いはトランスファー成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに50〜200℃で2〜10時間に加熱することにより成形物である半導体装置を得る方法が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物からビルドアップ用接着フィルムを製造する方法は、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、支持フィルム上に塗布し樹脂組成物層を形成させて多層プリント配線板用の接着フィルムとする方法が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物をビルドアップ用接着フィルムに用いる場合、該接着フィルムは、真空ラミネート法におけるラミネートの温度条件(通常70℃〜140℃)で軟化し、回路基板のラミネートと同時に、回路基板に存在するビアホール或いはスルーホール内の樹脂充填が可能な流動性(樹脂流れ)を示すことが肝要であり、このような特性を発現するよう上記各成分を配合することが好ましい。
ここで、多層プリント配線板のスルホールの直径は通常0.1〜0.5mm、深さは通常0.1〜1.2mmであり、通常この範囲で樹脂充填を可能とするのが好ましい。なお回路基板の両面をラミネートする場合はスルーホールの1/2程度充填されることが望ましい。
上記した接着フィルムを製造する方法は、具体的には、ワニス状の本発明の硬化性樹脂組成物を調製した後、支持フィルム(Y)の表面に、このワニス状の組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて硬化性樹脂組成物の層(X)を形成させることにより製造することができる。
形成される層(X)の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みを有するのが好ましい。
なお、本発明における層(X)は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
前記した支持フィルム及び保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1〜40μmとするのが好ましい。
上記した支持フィルム(Y)は、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。接着フィルムを加熱硬化した後に支持フィルム(Y)を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。
次に、上記のようして得られた接着フィルムを用いて多層プリント配線板を製造する方法は、例えば、層(X)が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、層(X)を回路基板に直接接するように、回路基板の片面又は両面に、例えば真空ラミネート法によりラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。
ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×104〜107.9×10N/m2)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。
本発明の硬化物を得る方法としては、一般的な硬化性樹脂組成物の硬化方法に準拠すればよいが、例えば加熱温度条件は、組み合わせる硬化剤の種類や用途等によって、適宜選択すればよいが、上記方法によって得られた組成物を、20〜250℃程度の温度範囲で加熱すればよい。
この様にして得られる硬化物は、前記した通り、優れた誘電特性を有し、高周波デバイスの高速演算速度化を実現できる。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。尚、GPCは以下の条件にて測定した。
GPC:測定条件は以下の通り。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
実施例1 活性エステル樹脂(A−1)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、β−ナフトール144質量部(1.0モル)、イソプロピルアルコール167質量部、37%ホルマリン水溶液122質量部(1.50モル)、49%水酸化ナトリウム20質量部(0.25モル)を仕込み、室温から75℃まで攪拌しながら昇温し、75℃で1時間撹拌した。続いて、4,4’−ビフェノール47質量部(0.25モル)を仕込み、さらに75℃で8時間攪拌した。反応終了後、第1リン酸ソーダ30質量部を添加して中和した後、メチルイソブチルケトン417質量部加え、水104質量部で3回洗浄を繰り返した後に、加熱減圧下乾燥してビフェノール−ナフトール樹脂(a−1)198質量部得た。得られたビフェノール−ナフトール樹脂(a−1)の水酸基当量は135グラム/当量であった。
次いで、温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに前記ビフェノール−ナフトール樹脂(a−1)135質量部とMIBK270質量部を仕込み、系内を減圧窒素置換し溶解させた。次いで、塩化ベンゾイル127質量部(0.90モル)を仕込みその後、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.55gを溶解させ、窒素ガスパージを施しながら、系内を60℃以下に制御して、20%水酸化ナトリウム水溶液182質量部を3時間かけて滴下した。次いでこの条件下で1.0時間撹拌を続けた。反応終了後、静置分液し、水層を取り除いた。更に反応物が溶解しているMIBK相に水を投入して約15分間撹拌混合し、静置分液して水層を取り除いた。水槽のPHが7になるまでこの操作を繰り返した。その後、デカンタ脱水で水分を除去し、続いて減圧脱水でMIBKを除去し、活性エステル樹脂(A−1)210質量部を得た。この活性エステル樹脂(A−1)の官能基当量は仕込み比より229グラム/当量であった。得られた活性エステル樹脂(A−1)のGPCチャートを図1に示す。用いたビフェノール−ナフトール樹脂(a−1)中のフェノール性水酸基に対するエステル化率は90%であった。また、GPCチャートから算出される前記多官能化合物(x)に相当する成分の含有率は58.2%、前記6官能体(x6)に相当する成分の含有率は43.5%、4,4’−ビフェノール化合物(y)に相当する成分の含有率は22.7%であった。
実施例2 活性エステル樹脂(A−2)の製造
37%ホルマリン水溶液89質量部(1.10モル)、4,4’−ビフェノール93質量部(0.50モル)に変更した以外は、実施例1と同様にしてビフェノール−ナフトール樹脂(a−2)230質量部を得た。得られたビフェノール−ナフトール樹脂(a−2)の水酸基当量は125グラム/当量であった。
次いで、塩化ベンゾイル98.4質量部(0.70モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして活性エステル樹脂(A−2)160質量部を得た。この活性エステル樹脂(A−2)の官能基当量は仕込み比より198グラム/当量であった。フェノール性水酸基に対するエステル化率は70%であった。また、GPCチャートから算出される前記多官能化合物(x)に相当する成分の含有率は76.8%、前記6官能体(x6)に相当する成分の含有率は28.7%、4,4’−ビフェノール化合物(y)に相当する成分の含有率は13.1%であった。
比較合成例1
ビフェノール−ナフトール樹脂(a−1)をフェノールノボラック樹脂(DIC製「TD−2090」)105質量部に変更した以外は実施例1と同様に反応し、活性エステル樹脂(A’−1)180質量部を得た。この活性エステル樹脂(A’−1)の官能基当量は仕込み比より199グラム/当量であった。
実施例3、4及び比較例1
下記表1記載の配合に従い、エポキシ樹脂として、DIC製「850-S」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:187g/eq)、硬化剤として前記活性エステル(A−1)、(A−2)、又は(A’−1)を配合し、硬化促進剤としてジメチルアミノピリジン0.5phrを加え、最終的に各組成物の不揮発分(N.V.)が58質量%となるようにメチルエチルケトンを配合して調整した。これをアルミシャーレに移し、120℃で乾燥させてメチルエチルケトンを除去して半硬化物とした。次いで、15cm×15cm×2mmの型枠に該半硬化物を入れ真空プレス成形(温度条件:200℃、圧力:40kg/cm、成形時間:1.5時間)して板状の硬化物を得た。これを試験片として用い、以下の各種の評価を行った。結果を表1に示す。
<耐熱性(ガラス転移温度)>
粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置RSAII、レクタンギュラーテンション法;周波数1Hz、昇温速度3℃/min)を用いて測定し、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度をガラス転移温度として評価した。
<熱履歴による耐熱性変化(耐熱性の変化量:ΔTg):DMA(第1回測定、第2回測定のTg差)>
粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、レクタンギュラーテンション法;周波数1Hz、昇温速度3℃/min)を用いて、以下の温度条件で2回、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度(Tg)を測定した。
温度条件
第1回測定:35℃から275℃まで3℃/minで昇温
第2回測定:35℃から330℃まで3℃/minで昇温
2回の測定値の差をΔTgとして評価した。
<誘電率及び誘電正接の測定>
JIS−C−6481に準拠し、アジレント・テクノロジー株式会社製インピーダンス・マテリアル・アナライザ「HP4291B」により、絶乾後23℃、湿度50%の室内に24時間保管した後の試験片の1GHzでの誘電率および誘電正接を測定した。
Figure 0006002993
表1中の略号は以下の通りである。
850−S:DIC製「850-S」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:187g/eq)

Claims (15)

  1. 下記構造式(1)
    Figure 0006002993
    [式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示し、nは1又は2、mは0〜2の整数である。また、Zはベンゾイル基、炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたベンゾイル基、ナフトイル基、及び炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたナフトイル基、炭素原子数2〜6のアシル基から成る群から選択されたエステル形成構造部位(z1)、又は水素原子(z2)である。]
    で表される多官能化合物(x)を含有し、前記多官能化合物(x)が含有するZのうち少なくとも一つは前記エステル形成構造部位(z1)であることを特徴とする活性エステル樹脂。
  2. 4,4’−ビフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドの反応生成物であるビフェノール−ナフトール樹脂(a)と、モノカルボン酸化合物又はそのハライド(b)との反応物であり、活性エステル樹脂中の前記多官能化合物(x)の含有率がGPC測定における面積比率で30%以上である請求項1記載の活性エステル樹脂。
  3. 前記構造式(1)においてnとmとが共に2である6官能体(x6)を含有し、活性エステル樹脂中の前記6官能体(x6)の含有量が、GPC測定における面積比率で5%以上である請求項2記載の活性エステル樹脂。
  4. 前記多官能化合物(x)に加え、更に、下記構造式(2)
    Figure 0006002993
    [式中Zはベンゾイル基、炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたベンゾイル基、ナフトイル基、及び炭素原子数1〜4のアルキル基の1〜3つで核置換されたナフトイル基、炭素原子数2〜6のアシル基から成る群から選択されたエステル形成構造部位(z1)、又は水素原子(z2)である。]
    で表される4,4’−ビフェノール型化合物(y)を含有しており、かつ、前記多官能化合物(x)の含有率がGPC測定における面積比率で30〜95%となる割合であり、前記4,4’−ビフェノール型化合物(y)の含有率がGPC測定における面積比率で1〜25%となる割合である請求項3記載の活性エステル樹脂。
  5. 活性エステル樹脂中のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との合計の官能基数を基準とした官能基当量が140〜260g/eqの範囲にあるものである請求項4記載の活性エステル樹脂。
  6. 活性エステル樹脂中のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との合計の官能基数に対し、カルボニルオキシ基の割合が40%以上である請求項5記載の活性エステル樹脂。
  7. 請求項1〜6の何れか1つに記載の活性エステル樹脂、及びエポキシ樹脂を必須成分とすることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項7記載の硬化性樹脂組成物を硬化反応させてなることを特徴とする硬化物。
  9. 前記活性エステル樹脂及び前記エポキシ樹脂に加え、更に、無機質充填材を組成物中70〜95質量%となる割合で含有する請求項7記載の硬化性樹脂組成物からなる半導体封止材料。
  10. 請求項7に記載の硬化性樹脂組成物と補強基材を有する含浸基材の半硬化物であるプリプレグ。
  11. 請求項7に記載の硬化性樹脂組成物の板状賦形物と銅箔とからなる回路基板。
  12. 請求項7に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物と基材フィルムとからなるビルドアップフィルム。
  13. 請求項7に記載の硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したものを補強基材に含浸し、得られる含浸基材を半硬化させるプリプレグの製造方法
  14. 請求項7に記載の硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したワニスを得、これを板状に賦形したものと銅箔とを加熱加圧成型する回路基板の製造方法
  15. 請求項7に記載の硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したものを基材フィルム上に塗布し、乾燥させるビルドアップフィルムの製造方法
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