本発明に係る封緘装置を説明する前に、この封緘装置に使用される封筒用紙について図1及び図2を用いて先に説明する。
図1は本発明に係る封緘装置に使用される封筒用紙を平面的に示しており、図2(a),(b)は図1に示した封筒用紙を封筒状に折り畳んだ状態を斜視的に示している。
まず、図1に示す如く、本発明に係る封緘装置に使用される用紙の一例となる封筒用紙1は、封筒上紙片2と封筒中紙片3と封筒下紙片4とが連接されており、封筒上紙片2と封筒中紙片3と封筒下紙片4とを折り線5A,5Bを介して封筒状に三つ折りして封筒9(図2,図3)を形成し、この封筒9を接着により封緘できるようになっている。
この際、封筒用紙1の搬送方向を用紙搬送方向と記載し、この用紙搬送方向と直交する方向を用紙幅方向と記載する。また、用紙搬送方向に対して後方側を上流側,前方側を下流側として用紙搬送方向の前後と呼称し、用紙幅方向の両側を用紙幅方向の左右と呼称して説明する場合もある。
そして、上記した封筒上紙片2は、表面に宛て名が印刷されるようになっており、且つ、前端部2a側で左右の側部2b,2c間に開封用ミシン目2dが帯状に形成されて、この開封用ミシン目2dの左端に指掛け用開口部2eが形成されているので、封緘後に受取人が指掛け用開口部2eに指を掛けて開封用ミシン目2dに沿って剥がせば開封可能になっていると共に、裏面の左右の側部2b,2cに感圧接着剤6が所定の間隔を隔ててそれぞれ帯状に設けられている。
また、封筒中紙片3は、表面に差し出し名が必要に応じて印刷されるようになっており、且つ、裏面に印刷済みの内容物7を必要に応じて添付するか、又は、裏面に情報を直接印刷可能になっていると共に、裏面の左右の側部3a,3bに感圧接着剤6が所定の間隔を隔ててそれぞれ帯状に設けられている。
また、封筒下紙片4は、折り線5Bの近傍の表面上に設定した所定の接着位置に再湿糊部8が用紙幅方向に沿って帯状に予め貼着されており、且つ、表面及び裏面の左右の側部4a,4bに感圧接着剤6が所定の間隔を隔ててそれぞれ帯状に設けられている。
この際、各紙片2〜4の左右の側部に設けた感圧接着剤6は、天然ゴムなどの接着材料を用いており、三つ折りに折り畳んだ際に互いに対向する感圧接着剤6同士を密着させて後述する封筒圧着ローラ対112(図5)により所定の圧力を加えることで接着可能になっている。
一方、再湿糊部8は、アラビア糊などの接着材料を用いている。そして、封筒用紙1を搬送する途中で、この封筒用紙1の封筒下紙片4の表面上に設定した所定の接着位置に予め貼着された再湿糊部8に対して後述する水塗布部70(図3,図5〜図8)により水75(図5,図6,図8)で濡らすことで、封筒下紙片4の表面に封筒上紙片2の裏面が接着可能になっているので、これにより封筒用紙1上の再湿糊部8を封緘することができる。
この際、上記した再湿糊部8の外形サイズは、用紙搬送方向の幅寸法がXmmと短く設定され、且つ、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に沿った長さ寸法がYmmと長く設定されている。
そして、封筒用紙1及び内容物7に対してそれぞれ印刷が終了した後に、図2(a)に示した如く、封筒中紙片3の裏面に内容物7を必要に応じて載置して、封筒下紙片4を内容物7に向けて折り畳み、この後、水塗布部70(図3,図5〜図8)により再湿糊部8に水75(図5,図6,図8)を塗布して、図2(b)に示した如く、封筒上紙片2を封筒下紙片4に向けて折り畳むと、封筒用紙1が封筒状に三つ折りされて封筒9が形成されるので、この封筒9を自動的に封緘している。
[封筒作成システム]
次に、本発明に係る封緘装置が適用される封筒作成システムについて、図3を用いて説明する。
尚、以下では、図1及び図2に示した封筒用紙1の各構成部材に対して符号番号のみを記載し、図面番号の記載を省略して説明する。
図3は本発明に係る封緘装置が適用される封筒作成システムの全体構成を示している。
図3に示す如く、本発明に係る封緘装置が適用される封筒作成システム10は、封筒用紙1と内容物7とを選択的に印刷する印刷機20と、印刷済みの封筒用紙1を封筒状に折り畳んで印刷済みの内容物7を必要に応じて封入した後に封筒上紙片2と封筒下紙片4とを接着して封緘する封入封緘機30とで構成されている。
上記した印刷機20は、印刷動作及び封入封緘動作に伴う各種の操作を入力する操作パネル部21と、封筒用紙1を一枚ずつ給紙する封筒用紙給紙部22と、封筒用紙1に内容物7を必要に応じて添付する場合に内容物用紙7aを一枚ずつ給紙する内容物用紙給紙部23と、封筒用紙1と内容物用紙7aとに画像や文字を選択的に印刷する印刷部24と、印刷機20内の各部を全体的に制御する制御部25とを備えている。
この際、操作パネル部21は、ここでの詳細な図示を省略するが、片面印刷/両面印刷キー,スタートキー,ストップキー,数字を入力するテンキー,印刷枚数を設定する印刷枚数設定キー,ジャムの発生や各種の故障の発生などを警告するアラーム表示部,液晶パネルなどが設けられていると共に、更に、封筒用紙1の封筒下紙片4に予め貼着された再湿糊部8の位置情報などに関するフォーム情報を入力するフォーム情報入力キーが設けられている。
また、印刷部24は、インクジェット印刷方式,孔版印刷方式,レーザ印刷方式,熱転写印刷方式などに応じた構造形態で構成されており、且つ、封筒用紙給紙部22から搬送された封筒用紙1と、内容物用紙給紙部23から搬送された内容物用紙7aとを選択的に印刷する際に片面印刷又は両面印刷ができるようになっている。
また、上記した封入封緘機30は、印刷機20内の印刷部24で印刷された印刷済みの封筒用紙1を三つ折りして封筒状に折り畳むと共に、印刷部24で必要に応じて印刷された印刷済みの内容物7を、折り畳んだ封筒用紙1内に封入する封筒用紙折り畳み部兼内容物封入部40と、印刷部24で必要に応じて印刷された印刷済みの内容物7を折り畳む内容物折り畳み部50と、を備えている。
更に、封入封緘機30は、印刷部24で必要に応じて印刷された印刷済みの内容物7又は折り畳まれた内容物7を一時的に待機させる内容物待機部60と、封筒状に折り畳んだ封筒用紙1の封筒下紙片4の表面上の所定の接着位置に予め貼着された再湿糊部8に水75(図5,図6,図8)を自動的に塗布する水塗布部70と、封筒状に折り畳まれて形成された封筒9の左右の側部に設けた感圧接着剤6同士を圧着させると共に封筒9を自動的に封緘する圧着部110と、水塗布部70と圧着部110とにより完成した封筒9を排紙する排紙部120と、封入封緘機30内の各部を全体的に制御する制御部130と、印刷機20内の制御部25及び封入封緘機30内の制御部130を介して封筒用紙1のフォーム情報などを記憶する記憶部140と、を備えている。
この際、印刷機20内の制御部25と、封入封緘機30内の制御部130とは、各種の制御信号などを双方向に授受しているが、封入封緘機30内の制御部130を印刷機20内の制御部25内に盛り込むことも可能である。
また、封入封緘機30内の記憶部140は、印刷機20内の操作パネル部21に設けたフォーム情報入力キー(図示せず)から入力された封筒用紙1のフォーム情報に基づいて設定された封筒用紙1の搬送方向に対する所定の接着位置(再湿糊部8)の位置情報などが予め記憶されている。
[封筒作成システムの全体動作]
上記のように構成した封筒作成システム10の全体動作について、先に示した図3と、新たな図4とを用いて簡略に説明する。
図4は封筒作成システムの全体動作を動作順に示している。
図4に示す如く、封筒作成システム10の全体動作を開始すると、まず、ステップS1では、印刷機20内の操作パネル部21に設けたフォーム情報入力キーから封筒用紙1のフォーム情報を入力する。
次に、ステップS2では、封筒用紙1のフォーム情報を印刷機20内の制御部25から封入封緘機30内の制御部130を介して記憶部140に伝える。
次に、ステップS3では、印刷機20内の印刷部24で内容物7を印刷して、この内容物7を封入封緘機30内の内容物待機部60で一時待機させる。
次に、ステップS4では、印刷機20内の印刷部24で封筒用紙1を印刷して、この封筒用紙1を封入封緘機30内の封筒用紙折り畳み部兼内容物封入部40で封筒状に折り畳んで待機中の内容物7を封入する。
次に、ステップS5では、封入封緘機30内の制御部130及び記憶部140を介して水塗布部70を動作させて、封筒用紙1のうちで封筒状に折り畳まれた封筒下紙片4の表面上の所定の接着位置に予め貼着された再湿糊部8に水75(図5,図6,図8)を塗布した後に、封筒上紙片2を封筒下紙片4上に折り畳んで封筒9を作成する。
次に、ステップS6では、封入封緘機30内の圧着部110で封筒9の左右の側部を圧着すると共に、封筒上紙片2を封筒下紙片4上に接着して封緘する。
次に、ステップS7では、水塗布部70と圧着部110とにより完成した封筒9を排紙部120に排紙する。
次に、ステップS8で次の封筒9を作成するか否かを問い、次の封筒9を作成する場合(YESの場合)にはステップS3に戻り、一方、次の封筒9を作成しない場合(NOの場合)にこのフローを終了する。
[封入封緘機内の主要な構成部]
ここで、上記した封入封緘機30内の主要な構成部40,60,70,110について、図5を用いて詳述する。図5は封入封緘機のうちで主要な構成部を拡大して示している。
図5に示す如く、まず、封入封緘機30内の封筒用紙折り畳み部兼内容物封入部40は、封筒用紙供給用搬送路FIRと、封筒排出用搬送路FORとの間に略沿って設けられており、封筒用紙1を三つ折りして封筒状に折り畳み且つ必要に応じて内容物7を封入するための機能を備えている。
上記した封筒用紙折り畳み部兼内容物封入部40では、第1モータ41の駆動力によって反時計方向に回転自在な主折リローラ42が封筒用紙供給用搬送路FIRと封筒排出用搬送路FORとの間に沿って設けられている。
また、主折リローラ42の左側にシート搬送ローラ43が主折リローラ42に従動可能に添接しており、且つ、主折リローラ42及びシート搬送ローラ43の下方に第1用紙突き当て板44が固定設置されている。
また、第1用紙突き当て板44よりも下流で且つ主折リローラ42の下方に第1副折りローラ45が主折リローラ42に従動可能に添接しており、且つ、第1副折りローラ45よりも下流に用紙検出センサ46が設置されていると共に、この用紙検出センサ46の上方で主折リローラ42の右方に第2副折りローラ47が主折リローラ42に従動可能に添接している。
次に、内容物待機部60は、主折リローラ42,シート搬送ローラ43,第1副折りローラ45の左下方に設けられており、内容物7を一時的に待機させる機能を備えている。
上記した内容物待機部60では、第2モータ61の駆動力によって回転自在な第1,第2内容物搬送ローラ対62,63が間隔を離して内容物供給用搬送路NIRに沿って設けられている。
この際、内容物供給用搬送路NIRは、主折リローラ42の左下方に設けた封筒用紙供給用搬送路FIRに対して略直交するように設置されている。
そして、内容物7が待機しているときには、第1,第2内容物搬送ローラ対62,63で内容物7を挟持した状態で第1,第2内容物搬送ローラ対62,63が停止している。
次に、本発明に係る封緘装置の要部を構成する水塗布部70は、第1副折りローラ45,用紙検出センサ46,第2副折りローラ47の右下方に設置されている。
この水塗布部70では、水貯留容器74に貯留した水75内に水塗布部材の一例となる水塗布パッド76を浸漬させて、この水塗布パッド76で吸い上げられた水75を搬送途中の封筒用紙1の封筒下紙片4の表面上の所定の接着位置に予め貼着された再湿糊部8に自動的に塗布する機能を備えている。
この際、水塗布部70内には、封筒用紙1の下面側が接触しながら封筒用紙1に貼着された再湿糊部8を水塗布パッド76に向けて搬送ガイドする回動可能な用紙搬送ガイド部材(以下、可動ガイド部材と記す)83と、可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83の下流に並設された下側用紙搬送ガイド板92と、封筒用紙1の上面側を搬送ガイドする上側用紙搬送ガイド板93と、封筒用紙1に貼着された再湿糊部8に対して水塗布位置に至るように規制する第2用紙突き当板103とで水塗布部70内の用紙搬送路が形成されている。
上記した可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83は、可動ブラケット82上に取り付けられ、且つ、後述するようにカムフォロア85,カム87,第3モータ89を介して可動ブラケット82と一体に回動可能になっており、これらの部材82,85,87,89が可動ガイド部材83の移動手段を構成している。
また、上記した第2用紙突き当板103は第4モータ98を介して移動可能になっているが、実施例の水塗布部70の詳細については後で詳述する。
次に、圧着部110は、封筒用紙折り畳み部兼内容物封入部40の主折リローラ42及び第2副折りローラ47よりも上方に設置されており、第5モータ111の駆動力によって回転自在な封筒圧着ローラ対112が封筒排出用搬送路FORに沿って設けられている。
この圧着部110では、封筒用紙1を封筒状に折り畳んで形成した封筒9の左右の側部に設けた感圧接着剤6同士を圧着させると共に封筒9を自動的に封緘する機能を備えている。
この際、圧着部110内に設けた封筒圧着ローラ対112は、封筒用紙1の幅方向の左右側部に対して封筒用紙1を挟んで上下のローラ対が左右2対設けられており、封筒用紙1を封筒状に折り畳んで封筒9を形成して自動的に封緘した後に、この封筒9の左右側部に所定の押圧力を加えることで、封筒9の左右の側部に設けた感圧接着剤6同士を圧着させているので、封筒9の全面に大きな押圧力を加える必要がないために、圧着部110を小型化することができる。
そして、本発明に係る封緘装置は、図5に示した封入封緘機30中において、再湿糊部(8)を有する用紙1を用紙搬送方向に搬送する用紙搬送手段42,45と、用紙搬送手段42,45により搬送された用紙1の再湿糊部(8)に水75を塗布するために、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に沿って設けられた水塗布部70の水塗布部材76と、水塗布部材76により水を塗布された用紙1を封緘する封緘手段110と、を少なくとも備えて構成されている。
[封入封緘機内の主要な構成部による動作]
ここで、上記のように構成した封入封緘機30内の主要な構成部による動作について説明すると、図5に示したように、印刷済みの封筒用紙1の搬送方向の先端部側となる封筒下紙片4を先頭にしてこの封筒用紙1が封筒用紙供給用搬送路FIRに沿いながら主折リローラ42とシート搬送ローラ43との間に送り込まれ、この封筒用紙1の先端部が「イ」に示した軌跡を取りながら第1用紙突き当て板44に突き当って、この第1用紙突き当て板44の一端部に設けた曲げ片44a内に進入する。
この後、封筒用紙1が主折リローラ42とシート搬送ローラ43とで更に送り込まれるために、封筒用紙1の先端部が第1用紙突き当て板44の曲げ片44a内に突き当たったまま、封筒用紙1は第1用紙突き当て板44の内側に沿うように「ロ」に示した軌跡を取り、更に封筒用紙1が送り込まれると、封筒用紙1の途中で「ハ」に示したような膨らみが生じ、この膨らみ部分が主折リローラ42と第1副折りローラ45との間に吸い込まれて、主折リローラ42と第1副折りローラ45との間を通過するときに「折り1」が形成される。
一方、内容物待機部60で待機している印刷済みの内容物7は、第1,第2内容物搬送ローラ対62,63によって内容物供給用搬送路NIRに沿いながら主折リローラ42と第1副折りローラ45とにより「折り1」が形成される中に封入される。
そして、印刷済みの内容物7が「折り1」の中に封入された段階では、封筒用紙1の封筒下紙片4の表面側が水塗布部70内の水塗布パッド76と対向するように折り畳まれている。
この後、折り畳まれた封筒下紙片4を先頭にして封筒用紙1が主折リローラ42と第1副折りローラ45とにより折り畳み用搬送路FTRに沿って「ニ」に示した軌跡を取りながら搬送されて、折り畳まれた封筒下紙片4の先頭部が用紙検出センサ46で検出されたときに、制御部130を介して所定のタイミングが経過した後に、封筒下紙片4の先頭部が水塗布部70内に設けた第2用紙突き当て板103に突き当たる。
ここで、制御部130及び記憶部140を介して水塗布部70を動作させて、搬送途中の封筒用紙1のうちで封筒状に折り畳まれた封筒下紙片4の表面上の所定の接着位置に予め貼着させた再湿糊部8に対して水塗布パッド76で水75を自動的に塗布する。
更に、折り畳まれた封筒下紙片4の先頭部が第2突き当て板金103に突き当たったまま、封筒用紙1は上側用紙搬送ガイド板93の下面に沿うように「ホ」に示した軌跡を取り、更に封筒用紙1が送り込まれると、封筒用紙1の途中で「へ」に示したような膨らみが生じ、この膨らみ部分が主折リローラ42と第2副折りローラ47との間に吸い込まれて、主折リローラ42と第2副折りローラ47との間を通過するときに「折り2」が形成されることで、封筒用紙1の封筒上紙片2の裏面が封筒下紙片4の表面と対向するように封筒状に折り畳まれて封筒9が形成される。
そして、「折り2」が形成された封筒用紙1が主折リローラ42と第2副折りローラ47とより搬送され、更に、封筒状に折り畳んで封筒9を形成した後に、この封筒9を圧着部110に送って、圧着部110により封筒9の左右の側部に設けた感圧接着剤6同士を圧着させると共に、この圧着動作に伴って封筒用紙1の封筒上紙片2の裏面が封筒下紙片4の表面に確実に接着されて自動的に封緘される。
この後、水塗布部70と圧着部110とにより完成した封筒9を排紙部120に排紙している。
[実施例の水塗布部]
ここで、本発明に係る封緘装置の要部となる実施例の水塗布部70の構成について、図6〜図11を用いて詳述する。
図6〜図8は実施例の水塗布部を拡大している。また、図9は実施例の水塗布部において、水塗布パッド及び前後のパッド挟持板を示している。また、図10,図11は実施例の水塗布部において、水塗布パッドの近傍を組み立てた状態を示している。
図6に拡大して示す如く、実施例の水塗布部70は、底板71と、底板71に対して垂直に設けられ且つ封筒用紙1の搬送方向と直交する用紙幅方向の左右にこの封筒用紙1の幅寸法よりも大きく間隔を隔てて互いに対向した左右一対の側板(72L),72Rとの間に設置されている。
上記した実施例の水塗布部70では、底板71上に容器保持部材73が垂直に固定設置されており、且つ、容器保持部材73の上方部位に水貯留容器74が着脱可能に載置されて、この水貯留容器74に水75が貯留されている。
また、水貯留容器74に貯留した水75内には、水塗布部材の一例として水塗布パッド76が浸漬されており、この水塗布パッド76は「く字状」に屈曲した上方の一端部(以下、上端部と記す)76a側が再湿糊部8への水塗布部位となっており、且つ、上端部76aとは反対側の下方の他端部(以下、下端部と記す)76bが水75内に浸漬されている。
上記した水塗布パッド(水塗布部材)76は、図9に拡大して示したように、封筒用紙1の封筒下紙片4の表面上の所定の接着位置に予め貼着された再湿糊部8に水75(図5,図6,図8)を自動的に塗布するために、気孔径がφDで連続多孔質構造に形成されたスポンジを用いて水貯留容器74内の水75を毛細管現象により吸い上げることができるように形成されている。尚、水塗布パッド76は、スポンジ以外で不織布などを用いても良い。
この際、水塗布パッド76の上端部76a側を「く字」状に屈曲させた理由は、水塗布部70内の用紙搬送路の配置関係によるものであり、上記した用紙搬送路の配置によっては水塗布パッド76の上端部76aと下端部76bとの間を屈曲させることなく真っ直ぐに形成することも可能である。
また、水塗布パッド76の上端部76aの外形サイズは、先に図1を用いて説明した再湿糊部8の外形サイズと対応して用紙搬送方向の幅寸法がXmmと短く形成され、且つ、用紙幅方向に沿った長さ寸法がYmmと長尺に形成されている。
また、水塗布パッド76の上端部76a側には、複数の凹状切り欠き部76a1が所定の間隔を隔てて用紙搬送方向に向って幅狭く凹状に切り欠き形成されており、これらの複数の凹状切り欠き部76a1内に後述する複数の可動ガイド部材83(図5,図6,図8,図10,図11)が進退自在になっている。
尚、先に図1を用いて説明した再湿糊部8は、用紙幅方向に沿った長さ寸法がYmmと長く設定されているが、これに限ることなく、水塗布パッド76の上端部76a側に形成した複数の凹状切り欠き部76a1をよけて、再湿糊部8を用紙幅方向に沿って複数に分割しても良い。
また、水塗布パッド76の上端部76a側は、外部に露出して右斜め上方に向かって延出されていると共に、水塗布パッド76の上端部76a側は、用紙搬送方向の前後の側面に取り付けた前後のパッド挟持板77F,77R間に挟み込まれて保持されている。
上記した前後のパッド挟持板77F,77Rは、水塗布パッド76の上端部76aが露出できるように、各上端部77a,77aが水塗布パッド76の上端部76aよりも引込めて形成され、且つ、水塗布パッド76の前後の側面を挟み込むように複数のネジ部77bにより締結されていると共に、前後のパッド挟持板77F,77Rの用紙搬送方向の左右端が左右一対の側板(72L),72Rに固定支持されている。
そして、前後のパッド挟持板77F,77Rにより、水塗布パッド76の上端部76a側を挟み込んで保持することにより、柔軟性を有するスポンジを用いた水塗布パッド76の上端部76a側に剛性を持たすことが可能になり、これにより水塗布パッド76の上端部76aが再湿糊部8に対して位置ズレすることがない。
また、前後のパッド挟持板77F,77Rの各上端部77a,77a側にも、後述する複数の可動ガイド部材83(図5,図6,図8,図10,図11)が進退するための複数の凹状切り欠き部77a1が、水塗布パッド76の上端部76a側に形成した複数の凹状切り欠き部76a1と対応して幅狭く凹状に切り欠かれている。
また、水塗布パッド76の上端部(一端部)76a側で、水塗布パッド76の搬送方向の前後の側面の上方部位と、前後のパッド挟持板77F,77Rの各上方部位との間には、所定の厚みのスペーサ部77c,77cが用紙幅方向に沿って介装されており、これらのスペーサ部77c,77cによって水塗布パッド76の上端部76a側に隙間S,Sが形成されている。
尚、上記した所定の厚みのスペーサ部77c,77cに代えて、前後のパッド挟持板77F,77R間に用紙幅方向に沿って所定の間隔を隔てて複数本のボス部(図示せず)を設けて、この複数本のボス部を水塗布パッド76内に貫通させて介装することにより、水塗布パッド76の上端部76a側に隙間S,Sを形成しても良い。
これにより、水塗布パッド76の上端部76aで再湿糊部8に水75(図5,図6,図8)を塗布した際に、後述する用紙押圧部材84で再湿糊部8を介して水塗布パッド76の上端部76aが押圧されたときに再湿糊部8から水75が跳ね返るが、ここで跳ね返った水75が上記した隙間S,S内に入り込むために、再湿糊部8から跳ね返った水75は再湿糊部8の周辺の封筒用紙1に付着せず、且つ、水塗布部70内の用紙搬送路にも付着しないので、封筒用紙1の搬送に悪影響を及ぼすことがない。
更に、再湿糊部8から跳ね返った余剰の水75は、上記した隙間S,Sを介して水貯留容器74内に戻すことが可能になる。
図6に戻り、左右一対の側板(72L),72Rの上方部位で封筒用紙1の搬送方向の上流側には、長尺なシャフト81が封筒用紙1の幅方向に沿って左右一対の側板(72L),72R間に横架されている。
また、上記したシャフト81には、板金材を用いて折り曲げ形成した可動ブラケット82が上下方向に回動可能に軸支されている。
上記した可動ブラケット82は、左右一対の側板(72L),72R間の内側で用紙幅方向の左右に一対の側板部(82a),82bが封筒用紙1の幅寸法より僅かに大きく間隔を隔てて互いに対向して下方に向って形成されており、且つ、一対の側板部(82a),82bの左上方部位にシャフト81が軸着されている。
また、可動ブラケット82の上方部位には、複数の可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83及び用紙押圧部材84を固定するための固定部82cが一対の側板部(82a),82b間に一体的に横架されている。
ここで、図10(a)及び図11に示す如く、実施例の水塗布部70において、可動ブラケット82の固定部82cに固定される複数の可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83は、封筒用紙1の下面側が接しながらこの封筒用紙1に貼着された再湿糊部8を水塗布パッド76に向けて搬送ガイドする機能を備えている。
これら複数の可動ガイド部材83は、樹脂材を用いて封筒用紙1の下面側を搬送ガイドする上面83aと、可動ブラケット82の固定部82cに固定される下面83bとが共に平坦に形成され、且つ、用紙搬送方向に沿って長尺な長さに形成され、用紙幅方向が幅狭く形成されている。
また、複数の可動ガイド部材83は、可動ブラケット82の固定部82c上で用紙幅方向に沿って所定の間隔を隔てて固定されていると共に、水塗布パット76の上端部76a側を切り欠いた複数の凹状切り欠き部76a1及び前後のパッド挟持板77F,77Rの各上端部77a,77a側を切り欠いた複数の凹状切り欠き部77a1内に進退自在に臨んでいる。
これにより、複数の可動ガイド部材83は、水塗布パット76の上端部76aに対して直交し、水塗布パット76を挟んでこの水塗布パット76の上流側及び下流側にそれぞれ長さ持って延出されていると共に、用紙幅方向において水塗布パッド76に干渉しないように用紙幅方向に間隔を隔てて設けられ、且つ、水塗布パッド76よりも用紙搬送方向下流側においても前記間隔を維持して設けられている。
そして、封筒用紙1の搬送時に複数の可動ガイド部材83の上面83aのみに封筒用紙1の下面側が接するために、図10(b)に示したように、封筒用紙1上で複数の可動ガイド部材83が接触する部分には水塗布パット76による水75が塗布されないようになっている。
また、可動ブラケット82の固定部82cに固定される用紙押圧部材84は、水塗布時に封筒用紙1の封筒下紙片4に予め貼着された再湿糊部8を押圧する機能を備えている。
この用紙押圧部材84は、板金材を用いて折り曲げ形成されており、可動ブラケット82の固定部82cに固定される左右の取付部84a,84bから一対の立ち上げ片84c,84dが互いに間隔を離して対向して上方に向かって立ち上げられ、且つ、一対の立ち上げ片84c,84dの各上端から連結片84eが用紙幅方向に沿って連結され、更に、連結片84eから複数の用紙押圧片84fが用紙搬送方向の下流に向って「く字」状に屈曲して形成されている。
この際、用紙押圧部材84の連結片84eは、可動ブラケット82からこの上方に対向して設けた上側用紙搬送ガイド板93の下板部93aに用紙幅方向に沿って形成された逃げ孔93a1(図7のみ図示)内に臨んでいる。
そして、水塗布パッド76の近傍を組み立てたときに、水塗布パッド76は、複数の可動ガイド部材83の下面側で各可動ガイド部材83と直交して用紙幅方向に沿って設置されている。また、水塗布パッド76の上端部76aの上方に、用紙押圧部材84に形成した複数の用紙押圧片84fが水塗布パッド76の上端部76aと平行に設置されている。
再び図6に戻り、可動ブラケット82に固定した可動ガイド部材83よりも下流には、封筒用紙1の下面側を搬送ガイドする下側用紙搬送ガイド板92が可動ガイド部材83と僅かな間隔を離して用紙搬送方向に沿って並設されている。
上記した下側用紙搬送ガイド板92は、板金材を用いて折り曲げ形成されており、封筒用紙1の下面側を搬送ガイドする上板部92aが平坦に形成され、且つ、上板部92aの用紙幅方向の左右端から一対の側板部(92b),92cが互いに対向して下方に向って曲げ形成されて左右一対の側板(72L),72Rの各内面に取り付けられていると共に、上板部92aの用紙搬送方向の下流端に側板部92dが下方に向って形成されている。
また、封筒用紙1の上面側をガイドする上側用紙搬送ガイド板93が可動ガイド部材83及び下側用紙搬送ガイド板92と対向して所定の間隔を隔てて用紙搬送方向に沿って長尺に固定設置されている。
上記した上側用紙搬送ガイド板93も、板金材を用いて折り曲げ形成されており、封筒用紙1の上面側をガイドする下板部93aが平坦に形成され、且つ、下板部93aの用紙搬送方向の上流側に第1切り起こし片93bと第2切り起こし片93c(図7のみ図示)が上方に向かって切り起こし形成されていると共に、下板部93aの用紙搬送方向の下流端に側板部93dが上方に向って曲げ形成されている。
また、可動ブラケット82の一対の側板部(82a),82bのうちで右側の側板部82bの内面の下方部位には、カムフォロア85が軸86に回転自在に軸支されている。
また、左右一対の側板(72L),72Rのうちで、右側の側板72Rの内面には、上記したカムフォロア85に添接する扇形状のカム87が軸88に回転自在に軸支されている。
上記した扇形状のカム87は、右側の側板72Rの下方部位に取り付けた第3モータ89の回転を不図示のギア又はタイミングベルトなどの伝達機構を介して伝達されることで回転可能になっている。この際、第3モータ89は、一方向のみ回転させるか、又は、180°に亘って正逆転させるかのいずれでも良い。
尚、符番90は、第3モータ89の後端軸に取り付けた円板状のFG板である。
更に、第3モータ89によって回転する扇形状のカム87の軸88には、不図示の遮蔽板が固着されており、この遮蔽板と対向してホームポジションセンサ91が設置されている。このホームポジションセンサ91により扇形状のカム87の待機位置を検出している。
そして、水塗布部70が待機している時には、図6に示したように、扇形状のカム87の待機位置をホームポジションセンサ91により検出しているので、第3モータ89は回転を停止している。
このときに、可動ブラケット82と一体に可動ガイド部材83がシャフト81を中心にして予め反時計方向に回動しているので、可動ガイド部材83が上側用紙搬送ガイド板93と間隔を離して略平行な状態になっており、可動ガイド部材83が用紙受け入れ位置に至っている。
また、可動ガイド部材83が用紙受け入れ位置に至っているときには、可動ブラケット82と一体に用紙押圧部材84もシャフト81を中心にして予め反時計方向に回動しているので、この用紙押圧部材84の用紙押圧片84fが水塗布パッド76の上端部76aから離間して上側用紙搬送ガイド板93の下板部93a側に退避している。
一方、図8に示したように、第3モータ89を作動させて、扇形状のカム87を待機位置から半回転させて水75を塗布する水塗布時には、このカム87の外周面の扇形状に応じてカムフォロア85を介して可動ブラケット82と一体に可動ガイド部材83をシャフト81を中心にして時計方向に回動させると、可動ガイド部材83が斜め右下方に傾斜した状態となり、可動ガイド部材83が水塗布位置に至っている。
また、可動ガイド部材83が水塗布位置に至っているときには、可動ブラケット82と一体に用紙押圧部材84もシャフト81を中心にして時計方向に回動しており、この用紙押圧部材84の用紙押圧片84fが再湿糊部8に対して押圧可能になっている。
次に、図6に示す如く、前述した上側用紙搬送ガイド板93の用紙幅方向部位の略中央部位に形成した第1切り起こし片93bと側板部93dとの間に1本のリードスクリユー94が回転自在に軸支されていると共に、第1切り起こし片93bよりも奥方に形成した第2切り起こし片93c(図7のみ図示)と側板部93dとの間に1本のガイドシャフト95(図7のみ図示)が固定支持されている。
また、リードスクリユー94は、前方(下流側)の端部が上側用紙搬送ガイド板93の側板部93dの外側に延出されて、この延出部位にギア96が固着されている。
また、下側用紙搬送ガイド板92の側板部92dにモータブラケット97が固着されており、このモータブラケット97に第4モータ98が取り付けられ、且つ、第4モータ98の先端軸にギア99が固着されている。
また、第4モータ98の軸に固着されたギア99は、減速用ギア列100を介して、リードスクリユー94に固着させたギア96に噛合している。
また、1本のリードスクリユー94にナット101が螺合し、且つ、このナット101にブラケット102が一体的に固着されていると共に、このブラケット102に形成した不図示のガイド片がガイドシャフト95(図7のみ図示)に係合しているので、ナット101と一体にブラケット102が前後左右に傾くことなく、リードスクリユー94に沿って矢印方向に移動可能になっている。
更に、ブラケット102上には、封筒用紙1のうちで封筒状に折り畳まれた封筒下紙片4の先頭部を突き当てるための第2用紙突き当て板103が固着されており、この第2用紙突き当て板103はL字状に折り曲げられて下側用紙搬送ガイド板92の平坦な上板部92aに向かって垂れ下がっている。
従って、第2用紙突き当て板103もブラケット102と一体にリードスクリユー94に沿って矢印方向に移動可能になっている。
また、リードスクリユー94の前方側(下流側)の近傍に第2用紙突き当て板103の移動状況を検出するための位置センサ104が設置されており、制御部130を介して第2用紙突き当て板103がホームポジションに至っていることを位置センサ104で検出し、このホームポジションを基準にして第4モータ98のパルス数を計数することで、第2用紙突き当て板103の移動位置を制御できるようになっている。
この際、第2用紙突き当て板103は、制御部130(図3)を介して記憶部140(図3)に記憶された再湿糊部8の位置情報に関するフォーム情報を参照することで、封筒用紙1のうちで封筒状に折り畳まれた封筒下紙片4の搬送方向の先頭部が当接する位置まで移動して、この位置で停止している。
[実施例の水塗布部の動作]
ここで、上記のように構成した実施例の水塗布部70の動作について、先に説明した図3,図5,図6,図8と、新たな図12(a)〜(d)とを併用して説明する。
図12(a)〜(d)は実施例の水塗布部の動作を示している。
まず、図12(a)に示した封筒用紙待機状態では、可動ブラケット82に固定した可動ガイド部材83及び用紙押圧部材84が、シャフト81を中心にして上方に向かって回動し、この可動ガイド部材83が上側用紙搬送ガイド板93と間隔を離して略平行な状態に維持されると共に、用紙押圧部材84の用紙押圧片84fが水塗布パッド76の上端部76aから離間して上側用紙搬送ガイド板93の下板部93a側に退避している。
そして、可動ガイド部材83と上側用紙搬送ガイド板93との間に封筒用紙1が搬送されるのを待機している。
また、スポンジを用いて気孔径がφDに形成された水塗布パッド76が、可動ガイド部材83の下方で待機している。
更に、第2用紙突き当て板103は、封筒用紙1のうちで封筒状に折り畳まれた封筒下紙片4の搬送方向の先頭部が当接する位置まで移動して、この位置で停止している。
次に、図12(b)に示した封筒用紙受け入れ状態では、可動ガイド部材83に固定した可動ガイド部材83及び用紙押圧部材84は、共に図12(a)に示した状態を維持しているが、封筒用紙1のうちで封筒状に折り畳まれた封筒下紙片4の先頭部が用紙検出センサ46を通過して、この封筒下紙片4の先頭部が可動ガイド部材83と上側用紙搬送ガイド板93との間に搬送され、用紙検出センサ46で封筒下紙片4の先頭部を検出してから所定のタイミングが経過した後に、この封筒下紙片4の先頭部が第2用紙突き当て板103に突き当たる。
このときに、封筒下紙片4の表面上に予め貼着された再湿糊部8が、水塗布パッド76の上端部76aと対向する水塗布位置に至るので、封筒用紙1の搬送を一時的に停止させる。
次に、図12(c)に示した水塗布状態では、用紙検出センサ46で封筒下紙片4の先頭部を検出してから所定のタイミングが経過した後に、第3モータ89により扇形状のカム87を待機位置から半回転させると、可動ブラケット82に固定した可動ガイド部材83及び用紙押圧部材84が、シャフト81を中心にして下方に向かって回動し、この可動ガイド部材83が水塗布パッド76の上端部76a側に形成した凹状切り欠き部76a1内に進入すると共に、用紙押圧部材84の用紙押圧片84fが上側用紙搬送ガイド板93の下板部93aよりも下方に下がって、用紙押圧片84fで封筒下紙片4上に予め貼着された再湿糊部8を押圧するので、この再湿糊部8に水塗布パッド76の上端部76aが当接する。
これにより、水貯留容器74内の水75が水塗布パッド76で毛細管現象により吸い上げられて、水塗布パッド76の上端部76aで気孔径φDによる水滴が再湿糊部8に最適量だけ自動的に塗布されるので、良好な接着が可能になる。
次に、図12(d)に示した水塗布完了状態では、第3モータ89により扇形状のカム87を水塗布位置から反転させると、可動ブラケット82に固定した可動ガイド部材83及び用紙押圧部材84が、シャフト81を中心にして再び上方に向かって回動し、可動ガイド部材83及び用紙押圧部材84が図12(a)に示した封筒用紙待機位置まで戻るが、封筒用紙1は折り2が形成されるように封筒用紙受け入れ時とは反対方向に搬送される。
上記した再湿糊部8への水塗布動作において、前述したように、封筒用紙1の下面側が接しながらこの封筒用紙1に貼着された再湿糊部8を水塗布パッド76に向けて搬送ガイドする複数の可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83は、用紙幅方向において水塗布パッド76に干渉しないように用紙幅方向に間隔を隔てて設けられ、且つ、水塗布パッド76よりも用紙搬送方向下流側においても前記間隔を維持して設けられているために、水塗布パッド76からの水75が複数の可動ガイド部材83に付着せず、封筒用紙1に貼着された再湿糊部8が水塗布パッド76と対向した水塗布位置に至ったときに再湿糊部8のみに水75が塗布される。
この結果、例えば、封筒用紙1上に印刷されたインクに対して水濡れによる用紙汚れが発生せず、また、水濡れによる用紙曲がりに伴って発生する用紙ジャムもなくなるので、品質及び信頼性の良い封緘装置を提供することができる。
以上詳述した本発明に係る封緘装置では、封筒用紙1の封筒下紙片4の表面上の所定の接着位置に再湿糊部8を予め貼着させて、この再湿糊部8に水塗布パッド76で水75を自動的に塗布する場合について説明したが、これに限ることなく、背景技術で説明したように封筒のフラップ部に再湿糊部を予め貼着させた場合にも適用可能である。
尚、封筒のフラップ部に再湿糊部を予め貼着させた場合には、再湿糊部に水を塗布した後に、封筒は実施例と異なって水塗布パッド76よりも下流側に向って搬送されて封緘されるので、複数の可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83は封筒が封緘されるまでの間、即ち、水塗布パッド76よりも用紙搬送方向下流においても水塗布パッド76に干渉しないように用紙幅方向に間隔を維持して配置しておけば良いものである。
[変形例1の水塗布部]
図13は実施例の水塗布部を一部変形させた変形例1を示している。
図13に示した変形例1の水塗布部70Aでは、封筒用紙1に貼着された再湿糊部8を水塗布パッド76に向けて搬送ガイドするための可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83の数量が実施例に対して異なっているだけであるので、実施例に対して異なる点についてのみ簡略に説明する。
即ち、図13に示す如く、変形例1の水塗布部70Aでは、先に図9〜図11を用いて説明した実施例の場合とは異なって、水塗布パッド76の上端部76aには、用紙幅方向に沿って複数の凹状切り欠き部が形成されてなく、上端部76aは用紙幅方向に沿って長尺な平坦面に形成されている。また、水塗布パッド76の前後の側面に取り付けられた前後のパッド挟持板77F,77Rの各上端部77a,77a側にも、複数の凹状切り欠き部が形成されていない。
上記に伴って、封筒用紙1に貼着された再湿糊部8を水塗布パッド76に向けて搬送ガイドするための可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83は、水塗布パッド76の上端部76aの用紙幅方向の各外側で、水塗布パッド76に対して干渉せずに直交して用紙搬送方向に間隔を隔てて計2箇所設けられており、言い換えると、可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83は封筒用紙1の幅方向の両端部に沿ってのみ設けられている。
尚、この変形例1においても、計2箇所の可動ガイド部材83は、樹脂材を用いて用紙搬送方向に長尺な長さに形成され、且つ、用紙幅方向に沿って幅狭く形成されて、可動ブラケット82の固定部82c上に取り付けられているが、これに限ることなく、可動ブラケット82の固定部82cの幅方向の両側を立ち上げて一体的に用紙搬送ガイド部材相当を形成することも可能である。
従って、変形例1の水塗布部70Aは、先に図10を用いて説明した実施例の水塗布部70よりも水塗布パッド76,前後のパッド挟持板77F,77R及び可動ガイド部材83への簡素化が図られており、とくに、封筒用紙1の幅方向の寸法が短い場合に変形例1の水塗布部70Aは有効である。
[変形例2の水塗布部]
図14(a)〜(c)は実施例の水塗布部を一部変形させた変形例2を示している。
図14(a)〜(c)に示した変形例2の水塗布部70Bでは、実施例における水塗布パッド76に代えて、水塗布部材としてパッド付き水塗布ローラ78を用いた点が実施例に対して異なっているだけであるので、実施例に対して異なる点についてのみ簡略に説明する。
即ち、図14(a)〜(c)に示す如く、変形例2の水塗布部70Bにおいて、水貯留容器74の上方には、パッド付き水塗布ローラ78がモータ79の駆動力によって正逆転可能に設置されている。
上記したパッド付き水塗布ローラ(水塗布部材)78は、ローラ軸78aを中心にしてローラ78bが封筒用紙1の幅方向に沿って長尺に形成されており、且つ、このローラ78bの外周面にスポンジを用いたパッド78cが封筒用紙1の幅方向に沿って長尺に取り付けられている。
また、封筒用紙1に貼着された再湿糊部8をパッド付き水塗布ローラ78に向けて搬送ガイドするための可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83は、パッド付き水塗布ローラ78の外周面に取り付けたパッド78cの用紙幅方向の各外側で、パッド78cに対して干渉せずに直交して用紙搬送方向に間隔を隔てて計2箇所設けられている。
尚、この変形例2においても、変形例1と同様に、計2箇所の可動ガイド部材83は、樹脂材を用いて用紙搬送方向に長尺な長さに形成され、且つ、用紙幅方向に沿って幅狭く形成されて、可動ブラケット82の固定部82c上に取り付けられている。
そして、図14(b)に示す如く、封筒用紙1を可動ガイド部材83に沿って搬送している最中には、変形例2の水塗装置が待機状態であるので、パッド付き水塗布ローラ78の外周面に取り付けたパッド78cが、水貯留容器74に貯留した水75内に浸漬して水75を吸い上げている。
この後、図14(c)に示す如く、封筒用紙1に貼着させた再湿糊部8が水塗布位置に至ったときに、モータ79の駆動力によりパッド付き水塗布ローラ78を回転させて、ローラ78bの外周面に取り付けたパッド78cを再湿糊部8と対向させる。
このとき、可動ブラケット82に固定した可動ガイド部材83及び用紙押圧部材84が、シャフト81を中心にして下方に向かって回動し、用紙押圧部材84の用紙押圧片84fで再湿糊部8を押圧するので、この再湿糊部8にパッド78cが当接して、パッド78cによる水75が再湿糊部8に塗布される。
以上詳述した本発明に係る封緘装置において、封筒用紙1に貼着された再湿糊部8を水塗布部材76(又は78)に向けて搬送ガイドする2以上の可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83を水塗布部材76(又は78)に対して干渉せずに直交して可動ブラケット82の固定部82cに固定し、再湿糊部8が水塗布部材76(又は78)と対向する水塗布位置に至ったときに、可動ブラケット82と一体に2以上の可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83を回動させて再湿糊部8に水塗布部材76(又は78)を接触させるように構成したが、これに限ることなく、2以上の可動ガイド部材(用紙搬送ガイド部材)83を回動させずに、水塗布部材76(又は78)側を封筒用紙1に対して上下動させる構造形態を適用することも可能である。
従って、2以上の用紙搬送ガイド部材83に案内されて再湿糊部8が水塗布部材76(又は78)と対向する水塗布位置に至ったときに、水塗布部材76(又は78)が再湿糊部8に接触して水75を再湿糊部8に塗布するように2以上の用紙搬送ガイ部材83又は水塗布部材76(又は78)のいずれか一方を移動させる移動手段を設ければ良いものである。