図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
図1は、本実施形態に係る電力制御システムの全体構成図である。以下の図面において、電力ラインは太線で示し、制御信号ラインは破線で示している。なお、制御信号ラインは有線に限らず無線であってもよい。
図1に示すように、本実施形態に係る電力制御システムは、電力会社の電力系統1からAC電力の供給を受ける需要家に、太陽電池(PV)100、蓄電池200、ガス発電装置220、パワーコンディショナ(PCS)400、分電盤500、スマートメータ600、及びHEMS700が設けられる。
PV100は、太陽光を受けて発電し、PCS400との間に設けられた電力ラインを介して、発電により得られたDC電力(以下、PV発電電力)をPCS400に出力する。なお、PV100は、1又は複数のパネルにより構成される。また、PV100は、複数のパネルにより構成されたストリングを複数用いて構成されていてもよい。
蓄電池200は、電力を蓄えるものであり、PCS400との間に設けられた電力ラインを介して、放電により得られたDC電力(以下、蓄電池放電電力)をPCS400に出力すると共に、PCS400からのDC電力を充電する。また、蓄電池200は、PCS400との間に設けられた制御信号ラインを介して、蓄えている電力を示す情報をPCS400に出力すると共に、充放電を行うための制御信号が入力される。
ガス発電装置220は、図示を省略するガスラインを介して入力される都市ガス又はプロパンガスを用いて発電を行う家庭用燃料電池である。ガス発電装置220は、PCS400との間に設けられた電力ラインを介して、発電により得られたDC電力(以下、ガス発電電力)をPCS400に出力する。本実施形態では、ガス発電装置220には、ガス発電装置220の周辺温度を計測するための温度センサ(不図示)が設けられている。ガス発電装置220は、PCS400との間に設けられた制御信号ラインを介して、発電を制御するための制御信号が入力され、温度計測値や駆動停止時間をPCS400に出力する。
ガス発電装置220は、ヒータや補機(各種ポンプなど)を起動するための起動電力を要する第1の発電装置に相当する。ガス発電装置220は、分電盤500との間に設けられた電力ラインを介してAC電力が入力され、入力されたAC電力が起動電力に達している場合に起動する。ヒータは、セルスタックなどの燃料電池モジュールを温めるためのバーナに着火するための着火ヒータや電気ヒータなどを含む。補機は、燃料を輸送するポンプ、ブロア、それらを制御するCPUなどを含む。
負荷300は、分電盤500との間に設けられた電力ラインを介してAC電力が供給され、供給されたAC電力を消費して動作する。負荷300は、1つであってもよく、複数であってもよい。負荷300には、照明、あるいはエアコンや冷蔵庫、テレビ等の家電機器に限らず、蓄熱器等が含まれていることがある。また、負荷300は、HEMS700と通信可能に構成され、HEMS700からの制御コマンドに応じて省電力モードに移行するように構成される。
PCS400は、PV100の発電及び蓄電池200の放電により得られるDC電力をACに変換して出力する機能と、電力系統1からのAC電力をDCに変換して出力する機能とを有する。このようなPCS400は、ハイブリッドPCSと称されることがある。PCS400は、分電盤500との間に設けられた電力ラインを介して、AC電力を分電盤500と入出力する。また、PCS400は、蓄電池200との間に設けられた電力ラインを介して、蓄電池200を充電するためのDC電力を蓄電池200に出力する。
PCS400は、DC/DC変換器410、DC/AC変換器420、コントローラ430、及び自立運転用コンセント440を有する。ただし、PCS400は、自立運転用コンセント440を有していなくてもよい。
DC/DC変換器410は、PV発電電力をDC/DC変換し、コントローラ430の制御下で、DC電力を蓄電池200及び/又はDC/AC変換器420に出力する。
DC/AC変換器420は、コントローラ430の制御下で、DC/DC変換器410が出力するDC電力、及び/又は、蓄電池放電電力をACに変換して分電盤500に出力する。また、自立運転用コンセント440に負荷が接続されている場合、DC/AC変換器420は、コントローラ430の制御下で、AC電力を自立運転用コンセント440に出力する。さらに、DC/AC変換器420は、コントローラ430の制御下で、分電盤500から入力されるAC電力をDCに変換して蓄電池200に出力する。
コントローラ430は、PCS400の各種機能を制御するものであり、CPUやメモリを用いて構成される。また、コントローラ430は、HEMS700との間で各種の制御信号を送受信する。詳細には、コントローラ430は、PV発電電力の計測値と、ガス発電電力の計測値と、蓄電池200が蓄えている電力(以下、蓄電池蓄電電力)の計測値と、自立運転用コンセント440が供給している電力の計測値とを取得し、これらの計測値をHEMS700に通知する。コントローラ430は、ガス発電装置220の発電停止を検出すると、その旨の制御信号をHEMS700に通知する。
また、コントローラ430は、HEMS700から受信した制御コマンドに従って、蓄電池200の充放電を制御したり、PV発電電力を調整したりする。なお、コントローラ430には、ユーザからの入力を受け付けるユーザインターフェイス部が接続されていてもよい。
自立運転用コンセント440は、自立運転中に負荷への電力供給を行うためのものである。ただし、自立運転用コンセント440は、PCS400に設けられている場合に限らず、電力ラインを介してPCS400から離間して設けられていることもある。
分電盤500は、PCS400のコントローラ430及び/又はHEMS700の制御下で、電力の分配を行う。分電盤500は、PCS400が出力するAC電力が負荷300の消費電力未満であるときには、不足分のAC電力を電力系統1から受電して、PCS400が出力するAC電力と電力系統1から受電したAC電力とを負荷300に供給する。また、分電盤500は、PCS400が出力するAC電力が負荷300の消費電力を超えるときには、超過分のAC電力を電力系統1に送電(売電)する。
なお、PCS400からの電力及び電力系統1からの電力の両電力を負荷300に供給する運転状態は「連系運転」と称され、PCS400からの電力のみを負荷300に供給する運転状態は「自立運転」と称される。分電盤500は、電力系統1の停電(以下、単に「停電」という)時において、電力系統1からの解列を行って、連系運転から自立運転に移行する。
なお、連系運転から自立運転への切り替えには、自立運転用コンセント440へ負荷300を差し替える方法と、分電盤500が自動切り替えを行う方法とがある。以下においては、分電盤500が自動切り替えを行うケースを主として説明する。
自立運転時においては、負荷300には、PV発電電力及び蓄電池放電電力が、PCS400及び分電盤500を介して供給される。すなわち、本実施形態において、PV100、蓄電池200、PCS400、及び分電盤500は、負荷300に電力を供給する電力供給手段を構成する。
スマートメータ600は、電力系統1と分電盤500との間の電力ライン上に設けられており、電力系統1と入出力する売電買電電力を計測し、計測値をHEMS700に通知する。また、スマートメータ600は、外部ネットワーク2との通信を行って、売電買電電力の計測値を外部ネットワーク2に送信したり、電気料金情報等を受信したりする。スマートメータ600(又はPCS400)は、停電を検出すると、その旨の制御信号をHEMS700に送信する。
HEMS700は、需要家内の電力管理を行うためのものであり、PCS400や分電盤500に対して各種の制御コマンドを送信することにより需要家内の各機器を制御する機能と、各種の計測値を収集して需要家内の各機器の状態を監視・表示する機能とを有する。また、HEMS700は、負荷300の運転スケジュールを決定し、決定した運転スケジュールに従った制御を行う。本実施形態において、HEMS700は、電力供給手段(PV100、蓄電池200、PCS400等)と負荷300とを制御する制御装置に相当する。なお、HEMS700は、外部ネットワーク2との通信を行うことにより、制御に用いる情報を外部ネットワーク2から取得してもよい。
次に、PCS400及び分電盤500の詳細構成について説明する。図2は、PCS400及び分電盤500の詳細構成例1を示す図である。
図2に示すように、本構成例に係るPCS400は、DC/DC変換器410、DC/AC変換器420、及びコントローラ430に加え、表示部450及びスピーカ460を有する。停電時において表示部450は、コントローラ430の制御下で、停電中である旨の表示を行う。また、停電時においてスピーカ460は、コントローラ430の制御下で、停電中である旨の音声出力を行う。さらには、後述する停電予定期間の入力や負荷優先順位等の指定が可能な入力部470を備えるようにしてもよい。
また、本構成例に係る分電盤500は、電力系統1からの解列を行う機能と、自立運転中に電力供給の有無をコンセント801〜804毎に切り換える機能とを有する。詳細には、分電盤500は、サービスブレーカ501、主幹ブレーカ502、電力スイッチ503〜508、及び消費電力センサCTを有する。
サービスブレーカ501、主幹ブレーカ502、及び電力スイッチ503〜508は、PCS400のコントローラ430の制御下でオン/オフする。電力センサCTは、コンセント801乃至804に接続された負荷(例えば照明、冷蔵庫)が消費する電力を計測し、計測値をコントローラ430に通知する。
電力系統1から電力が得られている場合には、コントローラ430は、例えばHEMS700からの制御コマンドに応じて、サービスブレーカ501及び主幹ブレーカ502のそれぞれをオン状態にする。これにより、コンセント801〜804に接続された負荷に対して電力供給可能な状態になる。
これに対し、停電により自立運転に移行した場合には、コントローラ430は、例えばHEMS700からの制御コマンドに応じて、サービスブレーカ501をオン状態にしたまま、主幹ブレーカ502をオフ(解列)状態にする。これにより、これにより、コンセント801及び802に接続された負荷に対してはPCS400が出力するAC電力を供給可能な状態になるものの、コンセント803及び804に接続された負荷に対しては電力供給不能な状態になる。
従って、優先順位の高い負荷をコンセント801及び802に接続することによって、自立運転中に、これら優先順位の高い負荷に対して電力を供給できる。
図3は、PCS400及び分電盤500の詳細構成例2を示す図である。
図3に示すように、本構成例に係るPCS400は、DC/DC変換器410、双方向DC/AC変換器420、及びコントローラ430を有する点は構成例1と同様であるが、電力スイッチ401及び402を有する点で構成例1とは異なる。また、本構成例に係る分電盤500は、サービスブレーカ501及び主幹ブレーカ502を有する点は構成例1と同様であるが、コントローラ520と、コンセント801〜805毎に設けられた電力スイッチ511〜515とを有する点で構成例1とは異なる。さらに、本構成例では、コンセント801〜805毎に消費電力センサSが設けられており、コントローラ520が各計測値を収集してPCS400のコントローラ430に通知する。なお、図3ではコントローラ520と消費電力センサSとの信号線の接続を省略して図示している。
電力系統1から電力が得られている場合には、コントローラ430は、例えばHEMS700からの制御コマンドに応じて、電力スイッチ401、サービスブレーカ501、及び主幹ブレーカ502のそれぞれをオン状態にし、電力スイッチ402をオフ状態にするよう制御し、電力スイッチ511〜515のそれぞれを電力系統1側に切り換えるよう制御する。これにより、コンセント801〜805に接続された負荷に対して電力供給可能な状態になる。
これに対し、停電により自立運転に移行した場合には、コントローラ430は、例えばHEMS700からの制御コマンドに応じて、電力スイッチ401、サービスブレーカ501、及び主幹ブレーカ502をオフ状態にし、電力スイッチ402をオン状態にするよう制御する。本実施の形態のように電力スイッチ401、402をPCS400内に持つことにより、自立運転時の負荷への電力制御をPCS400内で行うことができるようになる。
また、コントローラ520は、例えばコントローラ430からの指示に応じて、図3の下方に示すように電力スイッチ511〜515を順次(循環的に)オン状態に切り換えるよう制御する。すなわち、コンセント801〜805において、電力供給可能とする時間を順次(循環的に)割り当てるよう制御する。これにより、コンセント801〜805毎に接続された複数の負荷において、2つ以上の負荷に対して同時に電力が供給されることが防止されるため、消費電力を時間的に分散させる(平準化させる)ことができる。以下においては、このような制御を「電力平準化制御」と称する。なお、割り当てる時間間隔は、数分から数十分単位であればよく、継続して電力供給が必要な負荷は継続的に供給するようにすればよい。
次に、HEMS700の詳細構成について説明する。図4は、HEMS700の構成図である。
図4に示すように、HEMS700は、処理部710、記憶部720、構内通信I/F部730、広域通信I/F部740、及びユーザI/F部750を有する。処理部710、記憶部720、構内通信I/F部730、広域通信I/F部740、及びユーザI/F部750は、バスライン又はLANを介して情報をやり取りする。
処理部710は、例えばCPUにより構成されており、記憶部720に記憶されている制御プログラムを実行することで、HEMS700の各種機能を制御する。また、処理部710は、後述する自立運転制御を行う。処理部710の機能ブロック構成については後述する。
記憶部720は、例えばRAMや不揮発メモリにより構成されており、HEMS700の制御等に用いられる各種の情報を記憶する。
構内通信I/F部730は、需要家内の各機器との通信を行うための通信I/Fである。構内通信I/F部730は、例えばZigbee(登録商標)又はイーサネット(登録商標)等による通信を行う。
広域通信I/F部740は、外部ネットワーク2との通信を行うための通信I/Fである。
ユーザI/F部750は、ユーザからの入力を受け付ける入力部や、各種の表示を行う表示部を含んで構成されている。
図5は、処理部710の機能ブロック図である。
図5に示すように、処理部710は、電力検出部711A、温度検出部711B、停電・停止検出部711C、制御コマンド生成部712、情報取得部713、運転スケジュール決定部714A、及び運転スケジュール変更部714Bを有する。
電力検出部711Aは、PCS400から構内通信I/F部730が受信する各計測値のうち、PV発電電力の計測値及び蓄電池蓄電電力の計測値を合計した結果を、停電開始時に負荷300に供給可能な電力(以下、停電開始時供給電力)として検出して制御コマンド生成部712に出力する。
温度検出部711Bは、PCS400から構内通信I/F部730が受信する各計測値のうち、ガス発電装置220の周辺温度の計測値を検出して制御コマンド生成部712に出力する。
停電・停止検出部711Cは、スマートメータ600(又はPCS400)から構内通信I/F部730が受信する停電通知を検出して制御コマンド生成部712に出力する。あるいは、停電・停止検出部711Cは、外部ネットワーク2から広域通信I/F部740が受信する停電通知を検出して制御コマンド生成部712に出力してもよい。
また、停電・停止検出部711Cは、PCS400から広域通信I/F部740が受信するガス発電停止通知を検出して制御コマンド生成部712に出力する。その際らに、ガス発電装置220の停止時間を検出して制御コマンド生成部712に出力するようにしてもよい。
制御コマンド生成部712は、需要家内の各機器を制御するための制御コマンドを生成し、生成した制御コマンドを、構内通信I/F部730を介して需要家内の対象機器に送信する。
制御コマンド生成部712は、制御部712A、省電力制御部712B、及び電力平準化制御部712Cを有する。
制御部712Aは、制御部712Aは、ガス発電装置220の周辺温度またはガス発電装置220の停止時間に基づいてガス発電装置220の起動電力(標準値)を補正する。ガス発電装置220の起動電力の標準値は、記憶部720に予め格納されているものとする。また、記憶部720には、温度毎または停止時間毎の起動電力補正値が予め格納されており、制御部712Aは、ガス発電装置220の周辺温度または停止時間に対応する補正値により、起動電力の標準値を補正する。そして、制御部712Aは、以下の処理において、補正後の起動電力を用いる。
制御部712Aは、停電開始時供給電力がガス発電装置220の起動電力を下回らないように、蓄電池200の充放電を制御する制御コマンドを生成し、当該制御コマンドを広域通信I/F部740を介してPCS400に送信する。
制御部712Aは、停電が検出された場合で、停電開始時供給電力がガス発電装置220の起動電力に満たない場合に、停電開始時供給電力がガス発電装置220の起動電力を満たすように、PV100の発電により得られた電力を優先的に蓄電池200に充電するよう制御する。
制御部712Aは、停電が検出された場合で、ガス発電装置220が発電を停止している場合に、停電開始時供給電力、すなわち、PV発電電力及び蓄電電力を優先的にガス発電装置220に供給するよう制御する制御コマンドを生成し、当該制御コマンドを構内通信I/F部730を介してPCS400及び分電盤500に送信する。
省電力制御部712Bは、自立運転開始時において、負荷300を省電力モードで動作させる「省電力制御」を指示するための省電力制御コマンドを生成し、生成した省電力制御コマンドを、構内通信I/F部730を介して負荷300に送信する。
電力平準化制御部712Cは、自立運転開始時において、上述した電力平準化制御を指示するための電力平準化制御コマンドを生成し、生成した電力平準化制御コマンドを、構内通信I/F部730を介して分電盤500に送信する。
情報取得部713は、構内通信I/F部730及び/又は広域通信I/F部740を介して、自立運転中の負荷300の運転スケジュールである自立運転中スケジュールを決定するための各種の情報(詳細については後述)を取得する。
運転スケジュール決定部714Aは、情報取得部713によって取得された情報に基づいて自立運転中スケジュールを決定する。運転スケジュール決定部714Aは、決定した自立運転中スケジュールの情報を、記憶部720に設けられた運転スケジュール記憶部721に格納する。
運転スケジュール変更部714Bは、情報取得部713によって新たに取得された情報に基づいて、運転スケジュール記憶部721に格納されている自立運転中スケジュールを変更し、変更後の運転スケジュールによって変更前の運転スケジュールを更新する。
制御コマンド生成部712は、運転スケジュール記憶部721に格納されている運転スケジュールに従って制御コマンドを生成し、生成した制御コマンドを、構内通信I/F部730を介して需要家内の対象機器に送信する。
次に、HEMS700によるガス発電起動制御フローを説明する。図6は、HEMS700によるガス発電起動制御フローのフローチャートである。
図6に示すように、ステップS1において、電力検出部711Aは、PV発電電力の計測値及び蓄電池蓄電電力の計測値を合計した結果を停電開始時供給電力として検出する。また、温度検出部711Bは、ガス発電装置220の周辺温度の計測値を検出する、または停電・停止検出部711Cは、ガス発電装置220の停止時間を検出する。この周辺温度の計測値または停止時間を検出することにより、ガス発電装置220の現状の温度を把握でき、起動電力として必要となる最適電力を予測することができるようになる。具体的には、最初の温度が低い、または停止時間が長い場合は、ガス発電装置220が起動してから所定の温度に到達するまでに時間を要するため、トータルの起動電力量が大きくなる。以下では、このように変化する起動電力量を「起動電力補正」として説明する。
制御部712Aは、ガス発電装置220の起動電力の温度補正を行った後、停電開始時供給電力が補正後の起動電力を満たすように制御コマンドを生成する。例えば、制御部712Aは、停電開始時供給電力が補正後の起動電力に満たない場合には、蓄電電力を増加させる制御コマンドを生成して送信する。
ステップS2において停電・停止検出部711Cが停電の発生を検出した場合(ステップS2;YES)で、かつ、ステップS3において停電・停止検出部711Cがガス発電装置220の発電停止を検出した場合、処理がステップS4に進む。停電の発生を検出しない場合(ステップS2;NO)には、処理がステップS1に戻る。停電・停止検出部711Cが停電の発生を検出した場合(ステップS2;YES)で、かつ、ステップS3において停電・停止検出部711Cがガス発電装置220の発電停止を検出しない場合、処理が自立運転制御フロー(詳細については後述)に進む。
ステップS4において、電力検出部711Aは、PV発電電力の計測値及び蓄電池蓄電電力の計測値を合計した結果を停電開始時供給電力として検出する。また、温度検出部711Bは、ガス発電装置220の周辺温度の計測値を検出する。そして、制御部712Aは、ガス発電装置220の起動電力の温度補正を行う。
ステップS5において制御部712Aが停電開始時供給電力が補正後の起動電力を満たさないと判定した場合(ステップS5;NO)、ステップS6において、制御部712Aは、PV発電電力を蓄電池200に蓄電するよう制御する制御コマンドを生成してPCS400に送信する。その後、ステップS4に処理が戻る。
これに対し、ステップS5において制御部712Aが停電開始時供給電力が補正後の起動電力を満たすと判定した場合(ステップS5;YES)、ステップS7において、制御部712Aは、停電開始時供給電力(PV発電電力及び蓄電電力)をガス発電装置220に供給するよう制御する制御コマンドを生成してPCS400及び分電盤500に送信する。その結果、ガス発電装置220が起動する。その後、処理が自立運転制御フローに進む。
次に、HEMS700による自立運転制御フローを説明する。図7は、HEMS700による自立運転制御フローのフローチャートである。
図7に示すように、ステップS11において、情報取得部713は、停電予定期間情報、蓄電情報、発電情報、及び消費電力情報を取得する。
停電予定期間情報は、計画停電(輪番停電)により定められた停電予定期間を示す情報であり、例えば停電予定期間に該当する日付と、当該停電予定期間の開始時刻と、当該停電予定期間の終了時刻とを含む。情報取得部713は、広域通信I/F部740を介して外部ネットワーク2から停電予定期間情報を取得する、又は、ユーザI/F部750に対するユーザ入力に基づいて停電予定期間情報を取得する。あるいは、PCS400にユーザI/F部(例えば、図2で示す入力部470)が設けられている場合には、PCS400のユーザI/F部750に対するユーザ入力に基づいて停電予定期間情報を取得してもよい。スマートメータ600が外部ネットワーク2から停電予定期間情報を取得できる場合には、構内通信I/F部730を介してスマートメータ600から停電予定期間情報を取得してもよい。
本実施形態において、上述した停電予定期間情報によって示される停電予定期間は、自立運転を実行する期間に相当する。
蓄電情報は、停電前(停電直前)の蓄電池200の蓄電電力を示す情報である。情報取得部713は、構内通信I/F部730を介してPCS400から蓄電情報を取得する。
発電情報は、停電前(停電直前)のPV100及びガス発電装置220のそれぞれの発電電力を示す情報である。情報取得部713は、構内通信I/F部730を介してPCS400から発電情報を取得する。あるいは、情報取得部713は、将来の(自立運転中の)PV100の予想発電電力を得るために有益な情報に基づいて、自立運転中のPV100の予想発電電力を示す発電電力を取得する。ここで、予想発電電力を得るために有益な情報とは、例えば以下の情報である。
・天候予測や気象センサ:これらの情報から、PV100の発電に影響を与える日射量等を推定し、今後の発電電力を予測できる。情報取得部713は、天候予測情報や気象センサ情報を広域通信I/F部740を介して外部ネットワーク2から取得する。
・時計やカレンダ機能:これらの情報から、PV100の発電に影響を与える日射量等を推定し、今後の発電電力を予測できる。情報取得部713は、当日の日付及び現在時刻の情報を、HEMS700の内部タイマ、又は広域通信I/F部740を介して外部ネットワーク2から取得する。
・停電開始時の発電量からの推測:例えば、停電開始時(自立運転への移行時)における発電電力が増加傾向であるか減少傾向であるかに応じて、今後の発電電力を予測できる。
・過去の発電実績データ:例えば、記憶部720に発電電力を環境条件別に格納しておき、現在の環境条件に合致する過去の発電電力を検索することによって、今後の発電電力を予測できる。
本実施形態において、上述した蓄電情報及び発電情報は、電力供給手段の電力供給状況に相当する。
消費電力情報は、停電前(停電直前)の負荷300の総消費電力を示す情報である。負荷300の総消費電力は例えば分電盤500で計測、又は負荷300が接続されるコンセントで計測可能であり、情報取得部713は、構内通信I/F部730を介して消費電力情報を取得する。あるいは、図2に示したように、自立運転中に電力供給を行うべき負荷が限定されている場合には、当該負荷についての消費電力情報を取得すればよい。また、自立運転用コンセント440に負荷を接続して自立運転を行う場合には、当該負荷の情報を手動又は自動で取得し、取得した情報から当該負荷についての消費電力情報を求めてもよい。
基本的には、上述した停電予定期間情報、蓄電情報、発電情報、及び消費電力情報を用いることによって、自立運転中スケジュールを決定可能である。例えば、停電中(自立運転中)に負荷300に対して供給可能な総電力により、負荷300の総消費電力をどの程度賄うことができるかを判定し、停電予定期間(自立運転期間)においてどのようなタイミングで負荷300に電力を供給するかといったスケジュールが決定される。
さらに、情報取得部713は、負荷優先順位情報、省電力モード情報、電力平準化情報、及び起動電力情報を取得することによって、より適切に自立運転中スケジュールを決定可能になる。
負荷優先順位情報は、負荷300に対する電力供給優先順位を設定した情報である。情報取得部713は、ユーザI/F部750に対するユーザ入力に基づいて負荷優先順位情報を取得する。あるいは、予め定められた優先順位での負荷優先順位情報を記憶部720に記憶しておき、記憶部720から負荷優先順位情報を取得してもよい。例えば、HEMS700や非常灯を高い優先順位に設定する。
省電力モード情報は、負荷300毎の省電力モードの情報(例えば、省電力モードの種類や省電力モードでの消費電力)を示す情報である。
電力平準化情報は、図3に示したような電力平準化制御に関する情報(例えば、電力平準化制御の対象とすべき負荷300の情報)である。
起動電力情報は、負荷300毎の起動電力を示す情報である。例えば、停電時に、省電力モードとしての断続運転などを行って冷蔵庫の温度が上がったあと、電気が復旧した際にまた元の温度まで冷やし直すための起動電力は大きくなるため、連続運転を長時間続けていたほうが消費電力は少ないようなケースが想定される。よって、起動電力情報(取得可能であれば冷蔵庫の内部温度なども)を考慮してスケジュール決定を行うことが好ましい。
ステップS12において、運転スケジュール決定部714Aは、情報取得部713によって取得された停電予定期間情報、蓄電情報、発電情報、消費電力情報、負荷優先順位情報、省電力モード情報、電力平準化情報、及び起動電力情報に基づいて、自立運転中スケジュールを決定する。例えば、停電中(自立運転中)に負荷300に対して供給可能な総電力により、省電力制御や電力平準化制御が加味された負荷総消費電力をどの程度賄うことができるかを判定し、負荷300の優先順位や起動電力も考慮して、停電予定期間(自立運転期間)においてどのようなタイミングでどの負荷に電力を供給するかといったスケジュールが決定される。
具体例として、停電予定期間2時間と入力した後、蓄電情報と発電情報をもとに決定される負荷の自立運転スケジュールを表1に示す。このように、蓄電池と太陽電池の発電量をガス発電装置の起動電力量と負荷消費電力量の総和が超えないようにスケジュールを組めばよい。なお、30分単位で切替を行う際、図3で説明した「電力平準化制御」を行うようにしてもよい。
運転スケジュール記憶部721は、運転スケジュール記憶部721によって決定された自立運転中スケジュールを記憶する。
ステップS13において、制御コマンド生成部712は、自立運転への切り替えコマンドを生成し、生成した切り替えコマンドを、構内通信I/F部730を介してPCS400及び分電盤500に送信する。あるいは、分電盤500が自立運転への切り替えを自動で行ってもよく、ユーザが自立運転用コンセント440へ負荷300を接続することにより自立運転への切り替えを手動で行ってもよい。
ステップS14において、制御コマンド生成部712は、運転スケジュール記憶部721に記憶されている自立運転中スケジュール情報に従った制御コマンドを、構内通信I/F部730を介して、負荷300や、PCS400、分電盤500に送信する。
停電予定期間の経過により、自立運転を終了する場合には、系統連系に切り替わり(ステップS19)、本フローが終了する。これに対し、自立運転を継続する場合(ステップS15;NO)、ステップS16において、情報取得部713は、蓄電情報、発電情報、及び負荷優先順位情報を再度取得する。蓄電情報及び発電情報を再度取得するのは、当初の予想に対して現在の蓄電電力及び現在の発電電力の誤差がある場合に、自立運転中スケジュールを変更するためである。負荷優先順位情報を再度取得するのは、携帯電話の充電が必要となった場合など、スケジュールされていない負荷の割り込みを許容するためである。また、情報取得部713は、需要家内に人感センサが設けられている場合には、人感センサ情報を取得してもよい。例えば、部屋毎に人感センサを設けておき、その部屋にユーザが居る/居ないに応じて照明やエアコン等の運転スケジュールを変更することが考えられる。
具体例として、表1の自立運転スケジュールにて稼動後、1時間を経過した際、改めて発電情報を入手し、急遽携帯電話の充電がされた場合の自立運転スケジュールの変更を表2に示す。
ステップS17において、運転スケジュール変更部714Bは、情報取得部713によって取得された蓄電情報、発電情報、負荷優先順位情報、及び人感センサ情報に基づき、運転スケジュール記憶部721に格納されている自立運転中スケジュールを変更するか否かを判定する。
自立運転中スケジュールを変更しないと判定した場合(ステップS17;NO)、処理をステップS14に戻す。
自立運転中スケジュールを変更すると判定した場合(ステップS17;YES)、ステップS18において、運転スケジュール変更部714Bは、運転スケジュール記憶部721に格納されている自立運転中スケジュールを変更し、その後、処理をステップS14に戻す。
以上説明したように、制御部712Aは、負荷300に供給可能な供給電力がガス発電装置220の起動電力を下回らないように蓄電池200の充放電を制御することによって、ガス発電装置220の起動電力を確保しておくことができるため、ガス発電装置220による発電を停電中に開始できる。
また、本実施形態では、停電が検出された場合で、ガス発電装置220が発電を停止している場合に、負荷300に供給可能な供給電力を優先的にガス発電装置220に供給することによって、ガス発電装置220による発電を停電直後に開始できる。
さらに、本実施形態では、ガス発電装置220の周辺温度または停止時間に基づいてガス発電装置220の起動電力を判定することによって、温度に応じて起動電力が変化するガス発電装置220を、より確実に起動できる。
本実施形態では、停電が検出された場合で、負荷300に供給可能な供給電力がガス発電装置220の起動電力に満たない場合に、負荷300に供給可能な供給電力がガス発電装置220の起動電力を満たすように、PV100の発電電力を優先的に蓄電池200に充電することによって、ガス発電装置220を早期に起動できる。
本実施形態では、運転スケジュール決定部714Aは、自立運転を実行する期間と、発電装置及び蓄電池200の電力供給状況と、負荷300の状況とに基づいて、自立運転中スケジュールを決定することによって、停電中(すなわち、自立運転中)の負荷300の運転スケジュールを適切に決定できる。
本実施形態では、運転スケジュール決定部714Aは、自立運転開始時に、自立運転中スケジュールを決定することによって、停電中(すなわち、自立運転中)の負荷300の運転スケジュールを適切なタイミングで決定できる。
さらに、本実施形態では、運転スケジュール決定部714Aは、自立運転を実行する期間と、自立運転中スケジュールを決定する以前の発電装置及び蓄電池200の電力供給状況と、自立運転中スケジュールを決定する以前の負荷300の状況とに基づいて、自立運転中スケジュールを決定することによって、直近の状況に応じた自立運転中スケジュールを決定できる。
本実施形態では、運転スケジュール決定部714Aは、負荷300に対する電力供給優先順位の設定に更に基づいて、自立運転中スケジュールを決定することによって、適切な優先順位で負荷300に電力を供給できる。
本実施形態では、運転スケジュール決定部714Aは、省電力制御に更に基づいて、自立運転中スケジュールを決定することによって、自立運転中の省電力制御を考慮して自立運転中スケジュールを適切に決定できる。
本実施形態では、運転スケジュール決定部714Aは、電力平準化制御に更に基づいて、自立運転中スケジュールを決定することによって、自立運転中の電力平準化制御を考慮して自立運転中スケジュールを適切に決定できる。
本実施形態では、運転スケジュール変更部714Bは、自立運転中の発電装置及び蓄電池200の電力供給状況、自立運転中の負荷300の状況、又は自立運転中のユーザの状況の少なくとも1つに基づいて、決定された自立運転中スケジュールの少なくとも一部を変更することによって、自立運転中に自立運転中スケジュールを適切に変更できる。
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
上述した実施形態では、PV100、ガス発電装置220、及び蓄電池200が需要家に設けられる構成を説明したが、PV100又は蓄電池200が需要家に設けられない構成であってもよい。また、PV100に加えて、又はPV100に代えて、風力発電装置が需要家に設けられる構成であってもよい。なお、PV100、風力発電装置は、発電を開始するための起動電力が不要な第2の発電装置に相当する。さらに、ガス発電装置220に加えて、又はガス発電装置220に代えて、最初の駆動に電力を必要とし、駆動した移行は電力以外の供給(石油等のガス以外の資源)により電力を発電する装置を第1の発電装置としてもよい。
上述した実施形態では、住宅単位で電力管理を行うためのHEMS700を例に説明したが、HEMS700に代えて、ビル単位で電力管理を行うためのBEMSとしてもよい。
また、図5に示したHEMS700の構成の少なくとも一部をPCS400のコントローラ430に設け、図6及び図7に示した処理フローの少なくとも一部をPCS400のコントローラ430に実行させてもよい。すなわち、PCS400を本発明に係る制御装置としてもよい。
図7に示したフローにおいては、自立運転への切替前に自立運転中スケジュールを決定していたが、自立運転への切り替え後に自立運転中スケジュールを決定してもよい。
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。
なお、日本国特許出願第2011-092528号(2011年4月18日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。