JP6001447B2 - 結線構造、回転機、電動車両及び結線方法 - Google Patents

結線構造、回転機、電動車両及び結線方法 Download PDF

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Description

本発明は、モータ又は発電機のような回転機のステータが備えるコイルを形成する導線の結線構造、結線構造を含む回転機、回転機を備える電動車両及び結線方法に関する。
結線構造に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、ターミナルとコイルとの結線構造が開示されている。結線構造は、金属板製のターミナルに設けられた結線部に、電機子に備えられたコイルの接続端部が結線される。ターミナルは、帯状のターミナル本体部を備える。結線部は、互いに対向する一対のコイル接続部が形成されるようにターミナル本体部の一部を折り返した形状をなす。結線部は、一対のコイル接続部のうち一方のコイル接続部におけるターミナル本体部の幅方向の片側端部に一体に設けられ結線部の開口部を横断するように一方のコイル接続部から少なくとも他方のコイル接続部まで延びる規制部を備える。結線部内に接続端部が配置され、規制部が設けられた側の結線部の端部で溶融溶接される。
特開2009−159782号公報
モータ又は発電機のような回転機は、家庭用又は産業用の電気製品の他、電動車両等にも搭載される。このような回転機では、回転機のステータにおいて各コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる引出線部を端子に預け、その後、端子をかしめ、導線の端部同士を接続(結線)する場合がある。端子のかしめは、ヒュージングによって行われることもある。ヒュージングは、端子に対して通電し、端子をかしめる接合方法である。導線の端部が端子に預けられたかしめ前の状態で、例えば、導線の端部が端子から浮き上がると、かしめを好適に行うことができず、好適な結線を実現することができなくなる場合がある。好適な結線が実現されていないステータを備えるモータ又は発電機では、信頼性等が低下する場合もある。
本発明は、回転機のステータが備えるコイルを形成する導線の端部同士を好適に接続することができる結線構造、結線構造を含む回転機、回転機を備える電動車両及び結線方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、回転機のステータが備える第一コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる第一引出線部と、前記ステータが備える第二コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる第二引出線部と、を端子を用いて接続した結線構造であって、前記端子は、前記第一引出線部及び前記第二引出線部が装着される凹状の第一溝部が形成され、前記第一溝部に装着された前記第一引出線部及び前記第二引出線部を保持する第一保持部と、前記第一保持部と所定の距離だけ離間し、前記第一引出線部及び前記第二引出線部が装着される凹状の第二溝部が形成され、前記第二溝部に装着された前記第一引出線部及び前記第二引出線部を保持する第二保持部と、を備え、前記第一引出線部及び前記第二引出線部は、前記第一溝部の底側から開口側に向かう基準方向において、前記第一引出線部及び前記第二引出線部の順で、前記第一溝部に装着され、前記基準方向に対応した前記第二溝部の底側から開口側に向かう方向において、前記第二引出線部及び前記第一引出線部の順で、前記第二溝部に装着され、前記第一保持部及び前記第二保持部の間で交差している、結線構造、である。
これによれば、第一引出線部と第二引出線部が好適に接続された結線構造とすることができる。第一引出線部と第二引出線部を接続する際、第一引出線部及び第二引出線部が端子から浮き上がるといった事態の発生を好適に抑制し、スムーズに接続することができる。「回転機」は、モータ又は発電機を含む概念である。
本発明の他の側面は、ロータと、ステータと、を備える回転機であって、前記ステータは、第一コイルと、第二コイルと、前記第一コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる第一引出線部と、前記第二コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる第二引出線部と、を接続する端子と、を備え、前記端子は、前記第一引出線部及び前記第二引出線部が装着される凹状の第一溝部が形成され、前記第一溝部に装着された前記第一引出線部及び前記第二引出線部を保持する第一保持部と、前記第一保持部と所定の距離だけ離間し、前記第一引出線部及び前記第二引出線部が装着される凹状の第二溝部が形成され、前記第二溝部に装着された前記第一引出線部及び前記第二引出線部を保持する第二保持部と、を備え、前記第一引出線部及び前記第二引出線部は、前記第一溝部の底側から開口側に向かう基準方向において、前記第一引出線部及び前記第二引出線部の順で、前記第一溝部に装着され、前記基準方向に対応した前記第二溝部の底側から開口側に向かう方向において、前記第二引出線部及び前記第一引出線部の順で、前記第二溝部に装着され、前記第一保持部及び前記第二保持部の間で交差している、回転機、である。
これによれば、第一引出線部と第二引出線部が好適に接続されたステータを備える回転機とすることができる。第一引出線部と第二引出線部を接続する際、第一引出線部及び第二引出線部が端子から浮き上がるといった事態の発生を好適に抑制し、スムーズに接続することができる。「回転機」については、上記同様である。
本発明のさらに他の側面は、上記の回転機を備える、電動車両である。これによれば、上述した機能を奏する回転機を備える電動車両を実現することができる。電動車両の信頼性を向上させることができる。
本発明のさらに他の側面は、回転機のステータが備える第一コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる第一引出線部と、前記ステータが備える第二コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる第二引出線部と、が装着される凹状の第一溝部が形成され、前記第一溝部に装着された前記第一引出線部及び前記第二引出線部を保持する第一保持部と、前記第一保持部と所定の距離だけ離間し、前記第一引出線部と、前記第二引出線部と、が装着される凹状の第二溝部が形成され、前記第二溝部に装着された前記第一引出線部及び前記第二引出線部を保持する第二保持部と、を備える端子を用いて、前記第一引出線部と、前記第二引出線部と、を接続する結線方法であって、前記第一溝部の底側から開口側に向かう基準方向において、前記第一引出線部及び前記第二引出線部の順で、前記第一引出線部及び前記第二引出線部を前記第一溝部に装着し、前記基準方向に対応した前記第二溝部の底側から開口側に向かう方向において、前記第二引出線部及び前記第一引出線部の順で、前記第二引出線部及び前記第一引出線部を前記第二溝部に装着する装着工程と、前記第一溝部に前記第一引出線部及び前記第二引出線部が装着された前記第一保持部と、前記第二溝部に前記第二引出線部及び前記第一引出線部が装着された前記第二保持部と、をかしめるかしめ工程と、を含む結線方法、である。
これによれば、第一引出線部と第二引出線部を好適に接続することができる。第一引出線部と第二引出線部を接続する際、第一引出線部及び第二引出線部が端子から浮き上がるといった事態の発生を好適に抑制し、スムーズに接続することができる。「回転機」については、上記同様である。
本発明によれば、回転機のステータが備えるコイルを形成する導線の端部同士を好適に接続することができる結線構造、結線構造を含む回転機、回転機を備える電動車両及び結線方法を得ることができる。
回転機の一例を示す平面図である。 ステータの一例を示す斜視図である。 ステータコアの一例を示す斜視図である。 結線図の一例である。 結線構造の一例を示す斜視図である。
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
<回転機>
回転機10は、例えば、モータ又は発電機である。モータ又は発電機のような回転機10は、各種の製品に搭載される。例えば、回転機10は、電動車両に搭載される。電動車両としては、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)、電動自転車、電動車椅子、電動カート又は電動配膳車が例示される。回転機10がモータである場合、回転機10は、例えば、電動車両を移動させるための動力源として利用される。回転機10は、図1に示すように、ロータ12と、ステータ20を備える。本実施形態は、ロータ12の極数が14極で、ステータ20のスロット数が12個である場合(図1参照)を例に説明する。
ロータ12は、ロータコア14と、14個の永久磁石16と、シャフト18を備える。ロータコア14は、例えば、プレス機によって電磁鋼板を打ち抜きつつ積層して形成される。ロータコア14には、14個の永久磁石16をそれぞれ収納するための空間と、シャフト18を固定するための貫通孔が形成される。このような空間及び貫通孔は、電磁鋼板が積層された方向に延在する。永久磁石16は、前述した空間に収納された状態で、ロータコア14の内部に設けられる。回転機10がモータである場合、このようなロータ12を備えるモータは、IPM(Interior Permanent Magnet)モータと称される。
シャフト18は、ロータコア14の中心部に形成された貫通孔に固定される。シャフト18には、ロータコア14の両側に軸受(不図示)が取り付けられる。軸受は、ステータ20に設けられた支持部(不図示)に支持される。シャフト18は回転軸となり、ロータ12は、シャフト18を回転中心として回転(図1でシャフト18の近傍に示す「矢印」参照)する。ロータ12は、既に実用化されたモータ又は発電機が備えるロータと同様である。従って、ロータ12に関するこの他の説明は、省略する。
ステータ20は、樹脂モールドされる。ステータ20は、図1及び図2に示すように、ステータコア21と、コイル30と、端子50U,50V,50Wと、モールド部60を備える。図1では、モールド部60の図示を省略し、複数のティース部23に巻線された複数のコイル30を図示した状態としている。また、図1では、端子50U,50V,50Wの図示を省略している。図2では、積層された電磁鋼板の積層に関する図示を省略している(図3についても同じ)。ステータコア21は、図3に示すように、複数のティース部23と、ヨーク部25を備える。ステータ20のスロット数を12個とする本実施形態では、ティース部23の数は、12個である。12個のティース部23は、ヨーク部25からロータ12(シャフト18)の側に突出する。
ステータコア21は、図3に示すように、複数のステータコアセグメント(以下、「セグメント」という)22を環状に配置して形成される。本実施形態では、1個のセグメント22におけるティース部23の数を1個としているため、ステータコア21は、12個のセグメント22を環状に配置して形成される。
セグメント22は、図3に示すように、ティース部23と、ヨーク部分251によって形成される。ヨーク部分251は、環状のヨーク部25の一部を形成する部分である。セグメント22を環状に配置した状態で隣り合う2個のティース部23の間には、スロット部26が形成される。セグメント22は、例えば、プレス機によって電磁鋼板を、図3に示すような形状に打ち抜きつつ積層して形成される。
ティース部23において、ロータ12と対向する面は、第一対向面231と、第二対向面232を含む。第一対向面231は、所定の曲率半径の面であり、ロータ12とのエアギャップが第一距離となる面である。第二対向面232は、エアギャップが第一距離より広い第二距離(第二距離>第一距離)となる面である。ティース部23は、図3に示すように、第二対向面232にティース溝部24を備える。
コイル30は、ティース部23に導線を集中巻して形成される。コイル30の形成には、所定の巻線機が用いられる。巻線機によるコイル30の形成(巻線)は、環状とされる前のセグメント22のそれぞれを対象として、対象のセグメント22のティース部23に導線を巻回して行われる。巻線に際し、セグメント22には、インシュレータ34が装着される(図1参照)。インシュレータ34によって、セグメント22(ステータコア21)と、コイル30の間の絶縁を確保することができる。
ステータコア21を分割された複数のセグメント22によって形成する技術と、ティース部23にコイル30を形成する技術は、既に実用化された技術を採用することができる。従って、これらに関するこの他の説明は、省略する。
ステータ20が備える12個のコイル30は、U相、V相及びW相の何れかのコイル30にそれぞれ分類され、図4に示すように、スター結線される。12個のコイル30のうち、所定の4個のコイルU1,U2,U3,U4は、U相の連結コイル32Uを形成する。12個のコイル30のうち、他の4個のコイルV1,V2,V3,V4は、V相の連結コイル32Vを形成する。12個のコイル30のうち、さらに他の4個のコイルW1,W2,W3,W4は、W相の連結コイル32Wを形成する。
連結コイル32Uを形成する場合、図4に示す「JU」部での第一引出線部41Uと第二引出線部42Uの接続(結線)には、端子50U(全体構成については、図5参照 端子50V,50Wについて同じ)が用いられる。連結コイル32Vを形成する場合、図4に示す「JV」部での第一引出線部41Vと第二引出線部42Vの接続(結線)には、端子50Vが用いられる。連結コイル32Wを形成する場合、図4に示す「JW」部での第一引出線部41Wと第二引出線部42Wの接続(結線)には、端子50Wが用いられる。第一引出線部41Uは、端子50Uの側においてコイルU1を形成する導線の端部に連続して繋がる導線である。第二引出線部42Uは、端子50Uの側においてコイルU2を形成する導線の端部に連続して繋がる導線である。第一引出線部41Vは、端子50Vの側においてコイルV1を形成する導線の端部に連続して繋がる導線である。第二引出線部42Vは、端子50Vの側においてコイルV2を形成する導線の端部に連続して繋がる導線である。第一引出線部41Wは、端子50Wの側においてコイルW1を形成する導線の端部に連続して繋がる導線である。第二引出線部42Wは、端子50Wの側においてコイルW2を形成する導線の端部に連続して繋がる導線である。
本実施形態では、第一引出線部41U,41V,41Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「第一引出線部41」といい、第二引出線部42U,42V,42Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「第二引出線部42」という。端子50U,50V,50Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「端子50」という。
端子50と、端子50を用いた第一引出線部41と第二引出線部42の接続について、図5を参照して説明する。端子50Uを用いた第一引出線部41U及び第二引出線部42Uの接続と、端子50Vを用いた第一引出線部41V及び第二引出線部42Vの接続と、端子50Wを用いた第一引出線部41W及び第二引出線部42Wの接続は、何れも図5に示すようにして行われる。
端子50は、外部接続部52と、基部54と、第一保持部56と、第二保持部58を含み、これらが一体となって形成される。端子50は、公知の端子と同様、電気導電材によって形成される。外部接続部52は、端子50と対をなすリード線に設けられた端子が接続される部分である。リード線は、端子50と対をなす端子が設けられた端部とは反対側の端部において外部デバイスに繋がる。外部デバイスとしては、電源、バッテリ又は所定の電気回路が例示される。回転機10がモータである場合、電源からの電力は、リード線及び外部接続部52を介してステータ20に入力される。回転機10が発電機である場合、回転機10で発電された電力は、外部接続部52及びリード線を介してバッテリに充電され、又は、電気回路に供給される。端子50U,50V,50Wの各外部接続部52U,52V,52Wは、モールド部60から露出した状態で、ステータ20に設けられる(図2参照)。本実施形態において、「外部接続部52」は、端子50U,50V,50Wのそれぞれにおける外部接続部52U,52V,52Wを、区別せず、又は、総称するものである。
基部54は、外部接続部52に連続し、第一保持部56と第二保持部58と一体をなす。第一保持部56は、図5に示すように、基部54の一方側の端部(図5に示す「第三側」参照)で、基部54に対して直交する方向に起立した状態で形成される。第二保持部58は、図5に示すように、基部54の他方側の端部(図5に示す「第四側」参照)で、基部54に対して第一保持部56と同一方向に起立した状態で形成される。
本実施形態では、基部54に直交し、第一保持部56及び第二保持部58が起立する方向を、「基準方向」という。基準方向の一方側を「第一側」といい、他方側を「第二側」という。ステータ20において、端子50は、ステータコア21の第一端面211の側に設けられる。例えば、端子50は、セグメント22に装着された第一端面211の側のインシュレータ34上の所定の位置に設けられる。その際、端子50は、基準方向が積層方向に一致し、基準方向の第一側が、積層方向の一方側となり、基準方向の第二側が、積層方向の他方側となるようにされる。積層方向は、セグメント22(ステータコア21)において、電磁鋼板が積層された方向である。積層方向の一方側は、ステータコア21の第一端面211の側であり、積層方向の他方側は、ステータコア21の第二端面(不図示)の側である。ステータコア21の第二端面は、積層方向において、第一端面211とは反対側のステータコア21の端面である。
第一保持部56には、第一溝部57が形成される。第一溝部57は、基準方向において、第一保持部56の第一側の端部が開口し、所定の位置まで基準方向に延在する。第一溝部57の深さLAは、例えば、第一引出線部41及び第二引出線部42の直径φD(コイル30を形成する導線の直径)の2倍より大きく設定される。第一溝部57の幅WAは、第一引出線部41及び第二引出線部42の直径φDに対応した寸法に設定される。
第二保持部58には、第二溝部59が形成される。第二溝部59は、基準方向において、第二保持部58の第一側の端部が開口し、所定の位置まで基準方向に延在する。第二溝部59の深さLB及び第二溝部59の幅WBと、第一引出線部41及び第二引出線部42の直径φDの関係は、第一溝部57の深さLA及び第一溝部57の幅WAの場合と同様である。
第一溝部57には、第一引出線部41及び第二引出線部42が基準方向に重なり合った状態で装着される。第二溝部59には、第一引出線部41及び第二引出線部42が基準方向に重なり合った状態で装着される。第一溝部57及び第二溝部59への第一引出線部41及び第二引出線部42の装着は、第一溝部57及び第二溝部59のそれぞれで、第一引出線部41及び第二引出線部42の重なり順が反転するようにして行われる。
例えば、第一引出線部41及び第二引出線部42の重なりは、図5に示すように、第一溝部57では、第一引出線部41が第一溝部57の底側となる基準方向の第二側で、第二引出線部42が第一溝部57の開口側となる基準方向の第一側となり、第二溝部59では、第二引出線部42が第二溝部59の底側となる基準方向の第二側で、第一引出線部41が第二溝部59の開口側となる基準方向の第二側となる。第一引出線部41及び第二引出線部42は、離間する第一保持部56及び第二保持部58の間で、交差する。
第一保持部56は、上述したような状態で、第一溝部57に装着された第一引出線部41及び第二引出線部42を保持する。第二保持部58は、上述したような状態で、第二溝部59に装着された第二引出線部42及び第一引出線部41を保持する。
各相の連結コイル32U,32V,32Wの接続に関し、中性点側の接続(図4に示す2個の「黒丸」参照)は、既に実用化された回転機のステータと同様の構成及び方法によって行われる。例えば、中性点側の接続は、所定の圧着端子を用いて、又は、はんだ付け等によって行われる。中性点側の接続に関するこの他の説明は、省略する。
モールド部60は、樹脂モールドによって形成される。ステータ20は、モールド部60が形成された状態において、ステータコア21の外周側面を含む外周部分の一部と、ティース部23における第一対向面231が露出した状態となる(図2参照)。モールド部60を形成する樹脂としては、熱硬化性樹脂が例示される。例えば、モールド部60は、BMC(Bulk Molding Compound)によって形成される。樹脂モールドは、全てのセグメント22を対象としてコイル30を形成し、その後、環状とされ、さらに、コイル30の結線等が完了した12個のセグメント22を、樹脂モールド用の成形機に設けられた成形金型にセットして行われる。
モールド部60は、図2に示すように、第一モールド部61と、第二モールド部62と、第三モールド部63を備える。モールド部60を形成する樹脂は、コイル30が収納されたスロット部26にも充填され、同一のスロット部26に収納された隣り合うティース部23に集中巻された各コイル30の絶縁を確保する。このような各部を備えるモールド部60は、樹脂モールドによって一体的に形成される。
第一モールド部61は、図2に示すように、ティース部23において、第二対向面232を被覆する(図2で「第二対向面232」が不図示である状態も参照)。第一モールド部61の一部は、ティース溝部24に充填される。第一モールド部61において、ロータ12に対向する、図2に示す面は、第一対向面231と同一の曲率半径とされる。ロータ12と第一モールド部61の間のエアギャップは、第一対向面231の場合と同じく、第一距離となる。
第二モールド部62は、積層方向におけるステータコア21の第一端面211の側に設けられ、第一端面211の側でコイル30のコイルエンド部(図1に示す「コイル30の部分」参照)を被覆する。第三モールド部63は、積層方向におけるステータコア21の第二端面の側に設けられ、第二端面の側でコイル30のコイルエンド部(不図示)を被覆する。積層方向におけるステータコア21の第一端面211の側で、第一モールド部61と第二モールド部62は、一体をなし、積層方向におけるステータコア21の第二端面の側で、第一モールド部61と第三モールド部63は、一体をなす(図2に示す「ステータ20の内周側面」参照)。
<結線方法>
上述した、端子50を用いて第一引出線部41及び第二引出線部42を接続するための結線方法について、図5を参照して説明する。結線方法は、装着工程と、かしめ工程を含む。
装着工程は、第一引出線部41及び第二引出線部42を、第一溝部57及び第二溝部59にそれぞれ装着する工程である。装着工程では、第一引出線部41及び第二引出線部42は、第一溝部57では、基準方向の第二側から第一側(第一溝部57の底側から開口側)に向けて、第一引出線部41及び第二引出線部42の順となり、第一保持部56及び第二保持部58の間で交差し、第二溝部59では、第二引出線部42及び第一引出線部41の順となる、ようにして、第一溝部57及び第二溝部59にそれぞれ装着される。
かしめ工程は、装着工程が実行された後に行われる工程であり、第一溝部57に第一引出線部41及び第二引出線部42が装着された第一保持部56と、第二溝部59に第二引出線部42及び第一引出線部41が装着された第二保持部58をかしめる工程である。かしめ工程では、第一溝部57の幅WAが狭くなる方向に第一保持部56を加圧し、第一保持部56と、第一溝部57に装着された第一引出線部41及び第二引出線部42の各部分を変形させる。また、かしめ工程では、第二溝部59の幅WBが狭くなる方向に第二保持部58を加圧し、第二保持部58と、第二溝部59に装着された第二引出線部42及び第一引出線部41の各部分を変形させる。
かしめ工程は、例えば、ヒュージングによって行われる。ヒュージングによるかしめ工程によれば、前述した各部の変形及び溶融によって、第一引出線部41及び第二引出線部42を、第一保持部56及び第二保持部58のそれぞれに電気的に接続することができる。ヒュージングは、既に実用化された技術であるため、これに関する説明は、省略する。かしめ工程の終了に伴い、結線方法は、終了する。
<本実施形態の効果>
本実施形態では、第一保持部56及び第二保持部58のそれぞれにおける第一引出線部41及び第二引出線部42の保持に関し、第一溝部57での第一引出線部41及び第二引出線部42の重なり順と、第二溝部59での第一引出線部41及び第二引出線部42の重なり順を反転させ、第一引出線部41及び第二引出線部42が第一保持部56及び第二保持部58の間で交差するような結線構造(図5参照)とした。
そのため、第一引出線部41と第二引出線部42を好適に接続することができる。第一引出線部41と第二引出線部42を接続する際、第一引出線部41及び第二引出線部42が端子50から浮き上がるといった事態の発生を好適に抑制し、スムーズに接続することができる。回転機10の信頼性等を、向上させることが可能となる。回転機10の信頼性の向上に伴い、回転機10を備える電動車両を含む各種の製品の信頼性を向上させることができる。
図5に示すような結線構造では、第一引出線部41は、第三側から第一溝部57を通過し、さらに、第四側の第二溝部59を通過して、第一溝部57及び第二溝部59に装着される。第二引出線部42は、第四側から第二溝部59を通過し、さらに、第三側の第一溝部57を通過して、第二溝部59及び第一溝部57に装着される。そのため、第一引出線部41及び第二引出線部42は、第一保持部56及び第二保持部58が離間する距離より長い寸法とされる。
導線が被覆導線である場合、かしめによる結線方法に際し、接続対象の導線の端部、即ち、第一引出線部41及び第二引出線部42に形成された被覆の剥離が必要となる場合がある。被覆の剥離が不十分であると、好適な導通が確保されず、好適な接続を実現することができなくなる場合がある。上述したような所定の長さ寸法とされる第一引出線部41及び第二引出線部42によれば、この部分の取り回しが容易となり、好適な剥離を行うことが可能となる。好適な剥離を実現し、回転機10の信頼性等を、より向上させることが可能となる。
<変形例>
本実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例は、他の変形例と適宜組み合わせて採用するようにしてもよい。
(1)上記では、ロータ12の極数が14極で、ステータ20のスロット数が12個である回転機10を例に説明した。ロータの極数及び/又はステータのスロット数は、これとは異なる数としてもよい。ロータの極数及び/又はステータのスロット数は、要求される性能等の諸条件を考慮し、適宜設定される。ロータは、永久磁石がロータコアの外周側面に設けられた形式のロータ、又は、永久磁石を備えない形式のロータとしてもよい。回転機がモータである場合、永久磁石がロータコアの外周側面に設けられたロータを備えるモータは、SPM(Surface Permanent Magnet)モータと称される。
(2)上記では、ステータコア21をセグメント22を環状に配置して形成し、ティース部23にコイル30が集中巻されたステータ20を例に説明した。ステータコアは一体型のステータコアであってもよい。また、集中巻とは異なる方法で巻線されたコイルを備えるステータとしてもよい。例えば、分布巻又は全節巻によるコイルを備えるステータとしてもよい。樹脂モールドされたステータ20を例に説明した。樹脂モールドは省略するようにしてもよい。この場合、ステータにおいて、モールド部60は、省略される。
(3)上記では、ロータ12がステータ20の内周側に回転自在に支持された内転型の回転機10を例に説明した。回転機は、外転型の回転機であってもよい。外転型の回転機のステータでは、複数のティース部は、ロータの回転軸となるシャフトを中心とする径方向をヨーク部から外側に突出する。外転型の回転機のロータは、ステータの外側で、複数のティース部に対向する。
10 回転機
12 ロータ
14 ロータコア、 16 永久磁石、 18 シャフト
20 ステータ
21 ステータコア、 22 ステータコアセグメント(セグメント)
23 ティース部、 24 ティース溝部
25 ヨーク部、 26 スロット部
30 コイル
U1,U2,U3,U4 コイル
V1,V2,V3,V4 コイル
W1,W2,W3,W4 コイル
32U,32V,32W 連結コイル
34 インシュレータ
41,41U,41V,41W 第一引出線部
42,42U,42V,42W 第二引出線部
50,50U,50V,50W 端子
52,52U,52V,52W 外部接続部
54 基部
56 第一保持部
57 第一溝部
58 第二保持部
59 第二溝部
60 モールド部
61 第一モールド部、 62 第二モールド部、 63 第三モールド部
211 第一端面
231 第一対向面、 232 第二対向面
251 ヨーク部分
φD 直径、 LA,LB 深さ、 WA,WB 幅

Claims (4)

  1. 回転機のステータが備える第一コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる第一引出線部と、前記ステータが備える第二コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる第二引出線部と、を端子を用いて接続した結線構造であって、
    前記端子は、
    前記第一引出線部及び前記第二引出線部が装着される凹状の第一溝部が形成され、前記第一溝部に装着された前記第一引出線部及び前記第二引出線部を保持する第一保持部と、
    前記第一保持部と所定の距離だけ離間し、前記第一引出線部及び前記第二引出線部が装着される凹状の第二溝部が形成され、前記第二溝部に装着された前記第一引出線部及び前記第二引出線部を保持する第二保持部と、を備え、
    前記第一引出線部及び前記第二引出線部は、
    前記第一溝部の底側から開口側に向かう基準方向において、前記第一引出線部及び前記第二引出線部の順で、前記第一溝部に装着され、
    前記基準方向に対応した前記第二溝部の底側から開口側に向かう方向において、前記第二引出線部及び前記第一引出線部の順で、前記第二溝部に装着され、
    前記第一保持部及び前記第二保持部の間で交差している、結線構造。
  2. ロータと、ステータと、を備える回転機であって、
    前記ステータは、
    第一コイルと、
    第二コイルと、
    前記第一コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる第一引出線部と、前記第二コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる第二引出線部と、を接続する端子と、を備え、
    前記端子は、
    前記第一引出線部及び前記第二引出線部が装着される凹状の第一溝部が形成され、前記第一溝部に装着された前記第一引出線部及び前記第二引出線部を保持する第一保持部と、
    前記第一保持部と所定の距離だけ離間し、前記第一引出線部及び前記第二引出線部が装着される凹状の第二溝部が形成され、前記第二溝部に装着された前記第一引出線部及び前記第二引出線部を保持する第二保持部と、を備え、
    前記第一引出線部及び前記第二引出線部は、
    前記第一溝部の底側から開口側に向かう基準方向において、前記第一引出線部及び前記第二引出線部の順で、前記第一溝部に装着され、
    前記基準方向に対応した前記第二溝部の底側から開口側に向かう方向において、前記第二引出線部及び前記第一引出線部の順で、前記第二溝部に装着され、
    前記第一保持部及び前記第二保持部の間で交差している、回転機。
  3. 請求項2に記載の回転機を備える、電動車両。
  4. 回転機のステータが備える第一コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる第一引出線部と、前記ステータが備える第二コイルを形成する導線の端部に連続して繋がる第二引出線部と、が装着される凹状の第一溝部が形成され、前記第一溝部に装着された前記第一引出線部及び前記第二引出線部を保持する第一保持部と、前記第一保持部と所定の距離だけ離間し、前記第一引出線部と、前記第二引出線部と、が装着される凹状の第二溝部が形成され、前記第二溝部に装着された前記第一引出線部及び前記第二引出線部を保持する第二保持部と、を備える端子を用いて、前記第一引出線部と、前記第二引出線部と、を接続する結線方法であって、
    前記第一溝部の底側から開口側に向かう基準方向において、前記第一引出線部及び前記第二引出線部の順で、前記第一引出線部及び前記第二引出線部を前記第一溝部に装着し、前記基準方向に対応した前記第二溝部の底側から開口側に向かう方向において、前記第二引出線部及び前記第一引出線部の順で、前記第二引出線部及び前記第一引出線部を前記第二溝部に装着する装着工程と、
    前記第一溝部に前記第一引出線部及び前記第二引出線部が装着された前記第一保持部と、前記第二溝部に前記第二引出線部及び前記第一引出線部が装着された前記第二保持部と、をかしめるかしめ工程と、を含む結線方法。
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