JP2011045202A - 回転電機用電機子及び絶縁部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルエンド部の大型化を抑制しつつ、各相のコイルと中性導体との間の絶縁性も良好に確保することができる回転電機用電機子を提供する。
【解決手段】コアに巻装される複数相のコイルと複数相のコイルをスター結線する中性導体41と中性導体41の周囲の絶縁を行うための絶縁部材Iとを備えた回転電機用電機子。各相のコイルはコアの軸方向一方側の端部に渡り部33を備え、中性導体41は軸方向視で渡り部33と重なるように配置され、絶縁部材Iは、中性導体41のコア径方向両側の側面を覆うように装着される非導電性の本体部50と本体部50のコア径方向一方側の側面を貫通して挿入される非導電性の挿入部材60、70とを備え、挿入部材60、70が、本体部50に挿入された状態で、中性導体41と渡り部33とが軸方向視で重なる領域においてこれらの間に配置される軸方向仕切部61、71を有する。
【選択図】図11

Description

本発明は、略円筒状のコアに巻装される複数相のコイルと、当該複数相のコイルを互いにスター結線するように接続する中性導体と、を備えた回転電機用電機子に関する。また、中性導体の周囲の絶縁を行うための絶縁部材に関する。
略円筒状のコアに巻装される複数相のコイルと、当該複数相のコイルを互いにスター結線するように接続する中性導体と、を備えた回転電機用電機子が従来から知られている。例えば下記の特許文献1には、そのような構成を備えた回転電機用電機子としての固定子が記載されている。この固定子では、各相のコイルが略U字状に形成された複数の導体セグメントにより構成されている。各導体セグメントの両端部は、固定子鉄心から軸方向に突出する軸方向一方側の部分(所謂、コイルエンド部)において、それぞれ別の導体セグメントの端部と接合されることにより電気的に接続されている。そして、この特許文献1では、これらの接合部の互いの絶縁と保持のため、或いはこれらの接合部と他の部材との間の絶縁のために、絶縁性樹脂が充填されたキャップ部材が軸方向外側から各接合部を覆うように設けられ、このキャップ部材に充填された絶縁性樹脂に各接合部が埋設されている。
この特許文献1に記載された固定子では、キャップ部材は軸方向に開口する収容室を備え、当該収容室の開口部を上向きに配置してその内部に絶縁性樹脂を充填した状態で、各接合部を上側から絶縁性樹脂中に浸漬する。その後、加熱又は常温放置することにより絶縁性樹脂を硬化させる。これにより、粘性やチクソ比の調整を高精度に行うことなく、隣接する接合部間やこれに隣接する他の部材との間の絶縁性を良好に維持することが可能とされている。また、その際、各接合部を全周に亘って一度に絶縁することができるので、絶縁のための工数を低減することが可能とされている。
特開2000−209802号公報
しかし、特許文献1に記載された固定子の構成では、各接合部に対して軸方向外側からキャップ部材が装着されるため、軸方向外側に配置されている各接合部どうしの間や、それよりも更に軸方向外側に配置された他の部材との間の絶縁性を良好に確保することは容易であるが、軸方向内側(固定子鉄心側)に配置された他の部材との間の絶縁性に関しては、十分にこれを確保できるものではなかった。そのため、例えば固定子鉄心に巻装される各相のコイルと当該コイルに対して固定子鉄心の軸方向外側に配置される中性導体との間の絶縁性を適切に確保しようとすれば、各相のコイルと中性導体との間に所定の空間距離を確保する必要があった。その結果、コイルエンド部が大型化し、ひいては固定子及び回転電機全体が大型化してしまうという問題があった。
そこで、中性導体と他の部材との間の絶縁性を良好に確保することができると共に、コイルエンド部の大型化を抑制しつつ、更に各相のコイルと中性導体との間の絶縁性も良好に確保することができる回転電機用電機子の実現が望まれる。また、そのような回転電機用電機子を容易に実現可能な絶縁部材の提供が望まれる。
本発明に係る、略円筒状のコアに巻装される複数相のコイルと、当該複数相のコイルを互いにスター結線するように接続する中性導体と、前記中性導体の周囲の絶縁を行うための絶縁部材と、を備えた回転電機用電機子の特徴構成は、各相の前記コイルは、前記コアから軸方向に突出する軸方向一方側の端部に、周方向の異なる位置に配置された2つのコイル辺部を接続する渡り部を備え、前記中性導体は、軸方向視で前記渡り部と少なくとも一部が重なるように配置され、前記絶縁部材は、前記中性導体の少なくともコア径方向両側の側面を覆うように装着される非導電性の本体部と、前記本体部の少なくともコア径方向一方側の側面を貫通して挿入される非導電性の挿入部材と、を備え、前記挿入部材が、前記本体部に挿入された状態で、前記中性導体と前記渡り部とが軸方向視で重なる領域においてこれらの間に配置される軸方向仕切部を有する点にある。
なお、本願では、「コア径方向」は、円筒状のコアを基準として規定される径方向を意味するものとする。同様に、「周方向」及び「軸方向」の各方向も、円筒状のコアを基準として規定される方向を意味するものとする。このとき、各相のコイルや中性導体、絶縁部材等についての各方向は、各相のコイルがスロットに巻装され、中性導体が各相のコイルに接続され、絶縁部材が中性導体に対して装着された状態での方向として規定するものとする。
また、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
上記の特徴構成によれば、絶縁部材を構成する非導電性の本体部が、中性導体の少なくともコア径方向両側の側面を覆うように装着されることより、少なくとも中性導体とそのコア径方向両側に配置された他の部材との間の絶縁性を良好に確保することができる。また、本体部の少なくともコア径方向一方側の側面を貫通してコア径方向に挿入される非導電性の挿入部材が有する軸方向仕切部が、軸方向では中性導体と渡り部との間に挿入されて中性導体と渡り部とが軸方向視で重なる領域に配置されることにより、中性導体と各相のコイルの渡り部との間の絶縁性を良好に確保することができる。その際、軸方向仕切部により、中性導体と各相のコイルの渡り部との間に絶縁性を確保するための十分な沿面距離を確保することができるので、中性導体と渡り部との間の空間距離を短くして、コイルのコアから突出する部分(所謂、コイルエンド部)の大型化を抑制することができる。
従って、上記の特徴構成によれば、中性導体と他の部材との間の絶縁性を良好に確保することができると共に、コイルエンド部の大型化を抑制しつつ、更に各相のコイルの渡り部と中性導体との間の絶縁性も良好に確保することができる回転電機用電機子を提供することができる。
ここで、各相の前記コイルは、前記渡り部として、周方向の異なる位置に配置され、かつ、コア径方向の同一の位置に配置された2つのコイル辺部を接続する通常渡り部と、周方向の所定領域において前記通常渡り部よりも軸方向外側に配置され、コア径方向及び周方向の異なる位置に配置された2つのコイル辺部を接続する接続渡り部と、を備え、前記軸方向仕切部は、前記本体部に前記挿入部材が挿入された状態で、前記中性導体と前記接続渡り部とが軸方向視で重なる領域においてこれらの間に配置される構成とすると好適である。
この構成によれば、複数のコイル辺部と通常渡り部との組み合わせにより各相のコイルの1ターンが構成される場合において、通常渡り部よりも軸方向外側(軸方向一方側)に配置された接続渡り部がコア径方向及び周方向の異なる位置に配置された2つのコイル辺部を接続することにより、各相のコイルのターン間を直列に接続して、ターン数を増加させることが容易となる。
このとき、接続渡り部は通常渡り部よりも軸方向外側の中性導体側に配置されることになるが、上記の構成では、非導電性の挿入部材が有する軸方向仕切部が、少なくとも軸方向で中性導体と接続渡り部との間に挿入されて中性導体と接続渡り部とが軸方向視で重なる領域に配置されるので、中性導体と接続渡り部との間、ひいては通常渡り部との間の絶縁性を良好に確保することができる。その際、軸方向仕切部により絶縁性を確保するための十分な沿面距離を確保することができるので、中性導体と接続渡り部との間の空間距離を短くしてコイルエンド部の大型化を抑制することができる。
従って、上記の構成によれば、各相のコイルの渡り部と中性導体との間の絶縁性を良好に確保しながら、コイルエンド部の大型化を抑制しつつ、回転電機の出力を増大させることができる。
また、各相の前記コイルは、前記コアから軸方向に突出する軸方向一方側の端部において、軸方向に延びて前記中性導体に接続される中性端と、前記接続渡り部の一部であって軸方向に延びる軸方向導体部と、を備え、前記挿入部材は、一又は二以上の周方向仕切部を更に有し、前記周方向仕切部は、前記本体部に前記挿入部材が挿入された状態で、周方向で前記中性端と前記軸方向導体部との間及び2つの前記軸方向導体部の間の一方又は双方の領域に配置される構成とすると好適である。
この構成によれば、非導電性の挿入部材が有する周方向仕切部が、周方向で中性端と軸方向導体部との間、及び2つの軸方向導体部の間、の一方又は双方に挿入されるので、これらの間に十分な沿面距離を確保することができる。よって、これらの間の絶縁性を良好に確保することができる。
なお、各相のコイルのターン数が比較的多く、周方向の所定領域内に各相の中性端と多数の接続渡り部とが密集している場合には、これらの間の周方向の間隔(空間距離)が短くなり易い。よって、そのような場合には、上記のような軸方向仕切部に加えて更に周方向仕切部を有する挿入部材を備えた構成が特に有効である。
また、各相の前記コイルは、前記接続渡り部を複数備え、前記本体部は、前記中性導体に装着された状態で、同相の2つの前記接続渡り部の間に配置される仕切壁部を有する構成とすると好適である。
接続渡り部は、コア径方向及び周方向の異なる位置に配置された2つのコイル辺部を接続するものであるため、各相のコイルがそれぞれ接続渡り部を複数備える構成では、本体部に対して挿入部材をコア径方向に挿入するだけでは、挿入方向手前側の接続渡り部の一部と挿入部材とが干渉して、挿入方向奥側における2つの接続渡り部の間の空間距離次第では、十分に絶縁性が確保できない可能性がある。また、挿入部材が挿入される領域が、絶縁部材の周方向全体をカバーしていない場合には、当該挿入部材が挿入されていない領域では、同様に2つの接続渡り部の間の空間距離次第では、十分に絶縁性が確保できない可能性がある。この点、上記の構成によれば、軸方向外側から装着される本体部に設けられた仕切壁部と、挿入部材が有する周方向仕切部及び軸方向仕切り部の一方又は双方とが協働することにより、2つの接続渡り部の間に十分な沿面距離を確保して、これらの間の絶縁性を良好に確保することができる。
また、前記本体部は、前記中性導体を収容する収容室を備えると共に、前記本体部における他の部位と前記収容室とを区画する区画壁部に一体的に形成され前記中性導体を保持する保持部を備え、前記保持部は、前記区画壁部から前記中性導体に向かってコア径方向に突出してコア径方向の両側から前記中性導体に当接する複数の突起部を有する構成とすると好適である。
この構成によれば、本体部に形成された保持部で中性導体を保持することにより、当該保持部を介して絶縁部材を中性導体に保持して、容易に絶縁部材を固定することができる。その際、コア径方向の両側から中性導体に当接する複数の突起部により保持部が構成されるので、例えば保持部をコア径方向の両面の全体に当接する当接面として構成する場合と比較して、中性導体を保持する際の摺動抵抗を小さく抑えつつ、中性導体を確実に固定することができる。また、上記の構成では、非導電性の樹脂材料を用いた射出成形等により、そのような突起部からなる保持部を区画壁部等と一体的に形成することができる。よって、上記のような利点を有する絶縁部材を、比較的短時間で容易に製造することができる。
また、前記本体部は、軸方向視で前記保持部と重なる領域に、軸方向外側に開口する開口窓部を備えると共に、前記本体部に着脱可能であり、前記本体部に取り付けられた状態で前記開口窓部を被覆する非導電性のカバー部材を更に備えた構成とすると好適である。
この構成によれば、カバー部材を本体部から取り外した状態で、中性導体が収容室に収容される様子や中性導体が保持部に保持される様子を、開口窓部を介して目視することができる。よって、中性導体に対して絶縁部材を装着する際の作業性を向上させることができる。また、絶縁部材を装着した後はカバー部材を本体部に取り付けることにより、外部に配置された他の部材と中性導体との間の絶縁性を良好に確保することができる。
本発明に係る、略円筒状のコアに巻装される複数相のコイルと、当該複数相のコイルを互いにスター結線するように接続する中性導体とを備え、各相の前記コイルが、前記コアから軸方向に突出する軸方向一方側の端部に、周方向の異なる位置に配置された2つのコイル辺部を接続する渡り部を備えると共に、前記中性導体が軸方向視で前記渡り部と少なくとも一部が重なるように配置された回転電機用電機子における、前記中性導体の周囲の絶縁を行うための絶縁部材の特徴構成は、前記中性導体の少なくともコア径方向両側の側面を覆うように装着される非導電性の本体部と、前記本体部の少なくともコア径方向一方側の側面を貫通してコア径方向に挿入される非導電性の挿入部材と、を備え、前記挿入部材が、前記本体部に挿入された状態で、前記中性導体と前記渡り部とが軸方向視で重なる領域においてこれらの間に配置される軸方向仕切部を有する点にある。
この特徴構成によれば、非導電性の本体部が、中性導体の少なくともコア径方向両側の側面を覆うように装着されることより、少なくとも中性導体とそのコア径方向両側に配置された他の部材との間の絶縁性を良好に確保することができる。また、本体部の少なくともコア径方向一方側の側面を貫通してコア径方向に挿入される非導電性の挿入部材が有する軸方向仕切部が、軸方向では中性導体と渡り部との間に挿入されて中性導体と渡り部とが軸方向視で重なる領域に配置されることにより、中性導体と各相のコイルの渡り部との間の絶縁性を良好に確保することができる。その際、軸方向仕切部により、中性導体と各相のコイルの渡り部との間に絶縁性を確保するための十分な沿面距離を確保することができるので、中性導体と渡り部との間の空間距離を短くして、回転電機用電機子のコイルエンド部の大型化を抑制することができる。
従って、上記の特徴構成によれば、中性導体と他の部材との間の絶縁性を良好に確保することができると共に、コイルエンド部の大型化を抑制しつつ、更に各相のコイルの渡り部と中性導体との間の絶縁性も良好に確保することができる回転電機用電機子を、容易に実現可能な絶縁部材を提供することができる。
本発明の実施形態に係る回転電機の全体構成を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るステータの全体構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るステータの全体構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るステータの各相コイルの結線状態を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る単位コイルを示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るステータの中性導体の近傍を示す拡大斜視図である。 本発明の実施形態に係るステータの中性導体の近傍を示す拡大斜視図である。 本発明の実施形態に係る絶縁部材の分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る挿入部材を異なる方向から見た斜視図である。 コイル及び中性導体の近傍に挿入部材を挿入した状態での透視図である。 コイル及び中性導体の近傍に挿入部材を挿入した状態でのコア径方向内側から見た模式図である。 本発明の実施形態に係る本体部を軸方向他方側から見た平面図である。 中性導体に本体部が装着された状態での軸方向他方側から見た平面図である。 中性導体に装着された本体部に挿入部材が挿入された状態での軸方向他方側から見た平面図である。 中性導体に装着された本体部に挿入部材が挿入された状態での軸方向一方側から見た平面図である。 中性導体に装着された本体部に挿入部材が挿入された状態での断面図である。
本発明に係る回転電機用電機子の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態においては、本発明に係る回転電機用電機子を、回転電機1のステータ2に適用した場合を例として説明する。図1〜4に示すように、ステータ2は、略円筒状のステータコア11に巻装される複数相のコイル21と、当該複数相のコイル21を互いにスター結線するように接続する中性導体41と、中性導体41の周囲の絶縁を行うための絶縁部材Iと、を備えている。このような構成において、本実施形態に係るステータ2は、絶縁部材Iが、図8に示すように、中性導体41の少なくともコア径方向両側の側面を覆うように装着される非導電性の本体部50と、本体部50の少なくともコア径方向一方側の側面を貫通して挿入される非導電性の挿入部材60、70とを備え、挿入部材60、70が、図11に示すように、本体部50に挿入された状態で、中性導体41と渡り部31とが軸方向視で重なる領域においてこれらの間に配置される軸方向仕切部61、71を有する点に特徴を有する。これにより、中性導体41と他の部材との間の絶縁性を良好に確保することができると共に、コイルエンド部の大型化を抑制しつつ、更に各相のコイル21と中性導体41の渡り部31との間の絶縁性も良好に確保することが可能となっている。以下、この回転電機1の各部の構成について詳細に説明する。なお、本実施形態においては、ステータ2が本発明における「回転電機用電機子」に相当し、ステータコア11が本発明における「コア」に相当する。
1.回転電機の全体構成
図1に示すように、回転電機1は、ステータ2、ロータ3、及びケース5を備えている。ステータ2はコイル21を備えており、当該コイル21に電流を流すことで磁界を発生させることができる。ステータ2は、ケース5の内周面に固定されている。ステータ2の構成については後に詳細に説明する。また、ステータ2のコア径方向内側には、永久磁石(不図示)を備えた界磁としてのロータ3が、ロータ軸4を回転軸としてステータ2に対して相対回転可能に支持されて配置されている。すなわち、本実施形態における回転電機1は、電機子としてのステータ2を備えたインナーロータ型の回転電機とされている。ケース5は、軸方向他方側に端壁5aが設けられた円筒形状に形成されている。ケース5は軸方向一方側に開口しており、当該開口を塞ぐようにケース5にカバー6が取り付けられている。そして、ケース5の端壁5a及びカバー6のコア径方向中央部に軸受7が設けられており、ロータ3及びロータ軸4は軸受7を介してケース5及びカバー6に対して回転可能に支持されている。
2.ステータの構成
図2に示すように、ステータ2は、ステータコア11と、コイル21と、中性導体41と、を備えている。ステータコア11は磁性材料を用いて構成されており、略円筒形状に形成されている。ステータコア11は、その内周面に、周方向に分散配置された複数のスロット12を有する。複数のスロット12は、所定の周方向間隔で、それぞれ軸方向に延びるように設けられている。各スロット12は、軸方向に直交する面における断面が互いに同じ断面形状に形成されている。本例では、スロット12のコア径方向内側に開口する開口幅(周方向幅)がスロット12の内部の周方向幅よりも狭く形成されており、スロット12は所謂セミオープンスロットとされている。また、本実施形態においては、ステータコア11には、その全周で計48個のスロット12が設けられている。ステータコア11の各スロット12には、複数相(本例ではU相、V相、及びW相の三相)のコイル21が波巻・分布巻の形態で巻装されている。そして、本実施形態に係るステータ2は、三相交流で駆動される回転電機1に用いられるステータとされている。なお、以下では、コイル21を構成する各部材について、特にU相、V相及びW相の各相を区別する必要がある場合には、例えば21u、21v及び21wのように、各部材を示す符合の後に小文字の「u」、「v」及び「w」を付して説明するものとする。
また、本実施形態においては、図4に示すように、各相のコイル21は、それぞれ2つの構成コイル22、23を有し、これら2つの構成コイル22、23が並列接続されて構成されている。すなわち、U相接続端子TuにはU相第一構成コイル22uとU相第二構成コイル23uとがそれぞれ接続されると共に、これらの構成コイル22u、23uの中性点N側の端部である2つの中性端24u(図6及び図7を参照)が、それぞれ中性導体41に接続されている。V相接続端子TvにはV相第一構成コイル22vとV相第二構成コイル23vとがそれぞれ接続されると共に、これらの構成コイル22v、23vの中性点N側の端部である2つの中性端24v(図6及び図7を参照)が、それぞれ中性導体41に接続されている。W相接続端子TwにはW相第一構成コイル22wとW相第二構成コイル23wとがそれぞれ接続されると共に、これらの構成コイル22w、23wの中性点N側の端部である2つの中性端24w(図6及び図7を参照)が、それぞれ中性導体41に接続されている。なお本願では、「中性端24」は、各構成コイル22、23を構成する導体のうち、中性導体41に接続される部分であって、ステータコア11よりも軸方向一方側に突出する部分全体を指すものとする。このように結線された各相のコイル21には、各相の接続端子Tから互いに所定の位相差を有する三相の励磁電流がそれぞれ供給される。これにより、ステータ2は回転磁界を発生させてロータ3を回転させる。
本実施形態では、各相の構成コイル22、23は、長手方向(通電方向に等しい)に直交する面における断面形状が略矩形状の線状導体で構成されている。この線状導体を構成する材料は、例えば銅やアルミニウム等とすることができる。線状導体の表面は、接合が必要となる中性導体41との接続部位や接続渡り部33(図2を参照)における接続部位を除き、樹脂等からなる絶縁被膜により被覆されている。図5は、本実施形態に係る構成コイル22、23の一部を示す斜視図である。本実施形態に係る構成コイル22、23は、図5に示す単位コイルCが2つ、直列に接続されて構成されている。つまり、本実施形態に係る各相のコイル21は、図4に示すように、2つの単位コイルCがそれぞれ直列に接続されて構成される2つの構成コイル22、23が、並列に接続されて構成されている。
直列接続された2つの単位コイルCからなる各相の構成コイル22、23は、スロット12内に配置されるコイル辺部30と、周方向の位置が異なる2つのスロット12内に配置された同相のコイル辺部30をステータコア11の軸方向両端部において周方向に接続する渡り部31と、を備えている。各構成コイル22、23を構成する単位コイルCにおいては、2つのコイル辺部30がコア径方向に並べて配置されると共に、コア径方向に並べて配置された2つのコイル辺部30が二組、周方向に並べて配置されている。ここで、構成コイル22、23は、各コイル辺部30がステータコア11の内周面に設けられた複数のスロット12の位置に対応して周方向に所定間隔で分散配置されて、全体として略円筒状に形成されている。各相の構成コイル22、23はコア径方向に並べて配置され、これにより各相のコイル21も全体として略円筒状に形成されている。これらの各相のコイル21がステータコア11に巻装された状態では、互いに隣接する2つのスロット12において、それぞれ同一のスロット12内で2つのコイル辺部30がコア径方向に並べて配置される。
本実施形態においては、ステータコア11の軸方向他方側(図2における下側、図5における上側)における渡り部31は、コア径方向内側に屈曲形成された屈曲渡り部34とされている。各相の屈曲渡り部34は、コイル辺部30から連続してコア径方向に屈曲して延びる径方向導体部34aと、周方向の位置が異なる2つの径方向導体部34aを周方向に接続する周方向導体部34bと、を備えている。ここでは詳細な説明は省略するが、三相のコイル21が組み合わされた状態で、屈曲渡り部34では全周に亘って三相のうちの二相分の周方向導体部34bが軸方向に並べて配置されている。また、本実施形態では、ステータコア11に巻装された状態で、各相の構成コイル22、23の径方向導体部34aの、スロット12のコア径方向内側の開口部に対応する位置には、当該開口部の周方向幅よりも狭い幅狭凹部35が形成されている。これにより、三相のコイル21をステータコア11に軸方向他方側から挿入して、セミオープン形状のスロット12に巻装することが可能とされている。
一方、ステータコア11の軸方向一方側(図2における上側、図5における下側)における渡り部31は、通常渡り部32と接続渡り部33とを含んで構成されている。軸方向一方側の通常渡り部32は、軸方向他方側の屈曲渡り部34とは異なり、コア径方向内側に屈曲形成されることはなく周方向の位置が異なる2つのコイル辺部30の軸方向外側(軸方向一方側)で、周方向導体部32bによりこれらをそのまま周方向に接続している。ステータコア11の全周に亘って設けられた複数の通常渡り部32は、周方向の位置が異なる2つのスロット12内に配置され、かつ、コア径方向の同一の位置に配置されたコイル辺部30を、周方向に接続している。これらは、互いに軸方向の突出高さを揃えて配置されている。また、本実施形態においては、図2に示すように、通常渡り部32では全周に亘って三相のうちの二相分の周方向導体部32bがコア径方向に並べて配置されている。より詳細には、図6及び図7に示すように、V相コイル21vの構成コイル22v、23vを構成する周方向導体部32bvは、その周方向中央部にコア径方向の段差部を有し、周方向一方側の部位が周方向他方側の部位に対してコア径方向外側にオフセットされている。そして、V相コイル21vを構成する周方向導体部32bvの周方向一方側の部位のコア径方向内側にはW相コイル21wを構成する周方向導体部32bwの周方向他方側の部位が配置されている。また、V相コイルを構成する周方向導体部32bvの周方向他方側の部位のコア径方向外側にはU相コイル21uを構成する周方向導体部32buの周方向一方側の部位が配置されている。更に、U相コイル21uを構成する周方向導体部32buの周方向他方側の部位のコア径方向内側にはW相コイル21wを構成する周方向導体部32bwの周方向一方側の部位が配置されている。
接続渡り部33は、通常渡り部32の軸方向外側(軸方向一方側)に配置されており、コア径方向の異なる位置に配置された2つの単位コイルCを構成するコイル辺部30であって、周方向の位置が異なる2つのスロット12内に配置されたコイル辺部30を、コア径方向及び周方向に接続している。そのような構成を実現するため、接続渡り部33は、径方向導体部33aと周方向導体部33bと軸方向導体部33cとを備えて構成されている。また、本実施形態では、2つの単位コイルCの端部をそれぞれ引き出して接合することにより接続渡り部33が構成されるものとされていることから、これらの接合のためのスペースを確保するため、また、絶縁性を適切に確保し易い構成を実現するため、それぞれの接続渡り部33は、中性端24や他の接続渡り部33と所定間隔を空けて配置されている。そのため、それぞれの接続渡り部33は、図6及び図7に示すように、コア径方向、周方向、及び軸方向に複雑に屈曲して延びる形態で、コア径方向及び周方向の異なる位置に配置された2つのコイル辺部30を接続している。これら複数の接続渡り部33は、図2に示すように、各相の接続端子Tや中性端24、中性導体41と共に、周方向の所定領域において集約して配置されている。
本実施形態では、図4に示すように、2つの単位コイルCがそれぞれ直列に接続されて構成される2つの構成コイル22、23が並列に接続されて、各相のコイル21が構成されていることに対応して、各相のコイル21には2つの接続渡り部33が備えられている。また、本実施形態においては、各相のコイル21を構成する単位コイルC(図5を参照)が、各相について4つずつコア径方向に並べられた状態でステータコア11に巻装されている。そして、各相の接続渡り部33により、第一構成コイル22においては、4つの単位コイルCのうち、コア径方向で最外周側に配置される単位コイルCとコア径方向で最内周側に配置される単位コイルCとが直列接続されている。また、もう1つの接続渡り部33により、残余の2つの単位コイルCを直列接続するように、これらの単位コイルCどうしが接続されて第二構成コイル23が構成されている。
ところで、ステータコア11の軸方向一方側では、2つのコイル辺部30から連続して延びる2つの通常渡り部32が、軸方向視で重ねて配置されている。上記のとおり、本実施形態では、各構成コイル22、23を構成する単位コイルCにおいては、2つのコイル辺部30が同一のスロット12内においてコア径方向に並べて配置されると共に、コア径方向に並べて配置された2つのコイル辺部30が二組、周方向に並べて配置されている。そして、それぞれの単位コイルCにおいて、上記周方向に並べて配置される二組の2つのコイル辺部30から連続して延びる計4つの通常渡り部32が、軸方向視で重ねて配置されている。よって、各相の構成コイル22、23について見た場合、通常渡り部32を構成する周方向導体部32bの部分においては、そのコア径方向に隣接して、構成コイル22、23を構成する線状導体1本分のコア径方向幅に相当する空間が生じている。
このようにして生じる空間には、他の二相の周方向導体部32bが配置されている。具体的には、U相の通常渡り部32uを構成する周方向導体部32buのコア径方向内側に隣接して、V相の通常渡り部32vを構成する周方向導体部32bvとW相の通常渡り部32wを構成する周方向導体部32bwとが配置されている。また、V相の通常渡り部32vを構成する周方向導体部32bvのコア径方向に隣接して、U相の通常渡り部32uを構成する周方向導体部32buとW相の通常渡り部32wを構成する周方向導体部32bwとが配置されている。ここでは、V相の通常渡り部32vを構成する周方向導体部32bvの周方向一方側では、コア径方向内側に隣接してW相の通常渡り部32wを構成する周方向導体部32bwが配置され、V相の通常渡り部32vを構成する周方向導体部32bvの周方向他方側では、コア径方向外側に隣接してU相の通常渡り部32uを構成する周方向導体部32buが配置されている。更に、W相の通常渡り部32wを構成する周方向導体部32bwのコア径方向外側に隣接して、U相の通常渡り部32uを構成する周方向導体部32buとV相の通常渡り部32vを構成する周方向導体部32bvとが配置されている。
そして、コア径方向の同じ位置に配置された互いに異なる二相のコイル21の通常渡り部32が周方向に所定間隔を空けて並べて配置されることにより、当該2つの通常渡り部32の間に異相間隙間S(図6及び図7を参照)が形成されている。本例では、V相の通常渡り部32vを構成する周方向導体部32bvはその周方向中央部にコア径方向の段差部を有し、周方向一方側の部位が周方向他方側の部位に対してコア径方向外側にオフセットされていることから、このような異相間隙間Sは、W相の通常渡り部32wの周方向一方側の端部とV相の通常渡り部32vの周方向他方側の端部との間、V相の通常渡り部32vの段差部とW相の通常渡り部32wの周方向他方側の端部との間、及びV相の通常渡り部32vの周方向一方側の端部とU相の通常渡り部32uの周方向他方側の端部との間、に形成されている。また、異相間隙間Sは、各相の通常渡り部32を挟んで、およそ線状導体1本分の幅に相当する間隔を空けてコア径方向に並んで形成されている。なお、このような異相間隙間Sは、軸方向における立体的な障害のない空間となっている。
本実施形態では、各相の第一構成コイル22及び第二構成コイル23について、それぞれコア径方向の内周側に配置される単位コイルCに含まれるコイル辺部30から連続して延びる導体部分が、各相の中性端24とされている。そして、各相の2つの中性端24は、このようにして形成された異相間隙間Sを通って軸方向に引き出されている。すなわち、図6及び図7に示すように、同一のスロット12内において、コイル21を構成する線状導体1本分の間隔(線状導体のコア径方向幅に相当)を空けてコア径方向に並べて配置された2つのコイル辺部30(ここでは、U相コイル21u及びV相コイル21vではコア径方向で内側から2番目と4番目のコイル辺部30、W相コイル21wではコア径方向で内側から1番目と3番目のコイル辺部30)は、それぞれ同様の曲げ加工によりコア径方向及び周方向に所定形状に屈曲された後、同じくおよそ線状導体1本分の幅に相当する間隔を空けてコア径方向に並んで形成された2つの異相間隙間Sを通って軸方向に引き出されて中性端24を構成している。従って、この構成では、各相の2つの構成コイル22、23の中性点N側の端部である中性端24は、およそ線状導体1本分の幅に相当する間隔を空けてコア径方向に並べて配置されることになる。
各相について、およそ線状導体1本分の幅に相当する間隔を空けてコア径方向に並べて配置された2つの中性端24は、軸方向に延びつつ中性導体41をコア径方向の両側から挟んだ状態で中性導体41にそれぞれ接続されている。ここで、中性導体41は、軸方向視で通常渡り部32及び接続渡り部33と少なくとも一部が重なるように配置されている。本例では、図6及び図7に示すように、中性導体41は、軸方向視でその全体が通常渡り部32及び接続渡り部33と重なるように配置されている。中性導体41は、各相のコイル21の端部(中性端24)を互いにスター結線するように接続するための導体である。本実施形態では、中性導体41は板状部材により構成されている。中性導体41は、コア径方向の両面が各相の中性端24どうしが対向する面と略平行となるように少なくとも周方向の二箇所(ここでは、三箇所)で屈曲された形状を有している。この中性導体41を構成する材料は、例えば銅やアルミニウム等とすることができる。中性導体41の表面は、接合が必要となる各相の中性端24との接続部位を除き、樹脂等からなる絶縁被膜により被覆されている。中性導体41と各相の中性端24との接続は、例えば抵抗蝋付、溶接、カシメ、半田付け、接続部材を用いた接続等、各種の接続方法により行うことができる。
本実施形態に係る中性導体41は、コイル21を構成する線状導体のコア径方向幅と略等しい径方向幅を有して構成されている。これにより、各相それぞれ2つの中性端24の間に過不足なく収まる形態で中性導体41が各中性端24に接続されている。また、本実施形態では、2つの構成コイル22、23が並列接続されていることに対応して、中性導体41は、コイル21を構成する線状導体の周方向幅の2倍と略等しい軸方向幅を有して構成されている。つまり、中性導体41における通電方向(周方向に略等しい)に直交する面の断面積が、各相の構成コイル22、23における通電方向に直交する面の断面積の和に略等しくなるように、中性導体41のコア径方向幅及び軸方向幅が設定されている。
なお、本実施形態では、コイルエンド部の大型化を抑制するべく、軸方向で中性導体41が配置される位置は、接続渡り部33の軸方向外側(軸方向一方側)の部分に比較的近接した位置とされている(図11を参照)。従って、中性導体41と接続渡り部33との間には、これらの間における絶縁性を十分に確保することができるだけの空間距離は確保されていない。本実施形態では、これらの間における絶縁性は、空間距離によるのではなく、絶縁部材Iにより確保される構成とされている。以下では、絶縁部材Iの構成及び絶縁部材Iを用いた絶縁構造について説明する。
3.絶縁部材の構成
本実施形態に係る絶縁部材Iの構成について説明する。絶縁部材Iは、中性導体41の周囲の絶縁を行うための部材である。絶縁部材Iは、中性導体41をその周囲の部材、例えばステータ2の外部に配置された他の部材や、ステータ2に備えられた各相のコイル21等の他の部材に対して絶縁する。本実施形態では、図8に示すように、絶縁部材Iは、本体部50と、第一挿入部材60と、第二挿入部材70と、カバー部材80と、を備えて構成されている。
本体部50は、中性導体41に対して軸方向外側(軸方向一方側)から、中性導体41の少なくともコア径方向両側の側面を覆うように装着される部材である。本実施形態では、本体部50は、更に中性導体41の周方向両側の側面及び軸方向外側の面をも覆うように装着される。よって、本実施形態に係る本体部50は、中性導体41のコア径方向両側の側面及び周方向両側の側面を覆うと共に、軸方向外側の面をも覆うように装着されるキャップ状の部材として形成されている。また、本実施形態では、中性導体41並びに各相の接続渡り部33及び中性端24(以下、中性導体41等)が周方向の所定領域において集約して配置されているため、本体部50は中性導体41等に対して軸方向外側からその周囲を覆うように装着されることになる。この本体部50は、非導電性の絶縁性樹脂を用いて形成されている。本例では、精密成形性及び耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂が用いられている。本体部50は、そのコア径方向両側、周方向両側及び軸方向外側(軸方向一方側)に、ステータ2の外部との間を区画する外周壁部51を有する。この外周壁部51により、中性導体41とステータ2の外部に配置された他の部材(例えば、回転電機1のケース5等)との間の絶縁性が確保される。
また、本体部50は、図12〜図14に示すように、中性導体41の外形に沿った形状を有して軸方向に延びる区画壁部52を有する。この区画壁部52により本体部50における他の部位から区画される空間は収容室Rとされ、当該収容室Rは中性導体41が収容される空間となる。また、本実施形態においては、区画壁部52からコア径方向に突出する複数の突起部54からなる保持部53が、区画壁部52に一体的に形成されている。本例では、図12及び図15に示すように、3個一組の突起部54からなる保持部53が二組、周方向の異なる位置に形成されている。保持部53は、本体部50が中性導体41等に装着され、中性導体41が収容室Rに収容された状態で、コア径方向の両側から中性導体41に当接して当該中性導体41を保持する。また、本実施形態においては、区画壁部52から軸方向に突出すると共に、返し部分がコア径方向で収容室R側に突出する支持爪55が、区画壁部52に一体的に形成されている。本例では、図12〜図14に示すように、2つの支持爪55が周方向の異なる位置に形成されている。これらの支持爪55は、返し部分が中性導体41のステータコア11側の端面に当接して、中性導体41と本体部50との間の相対的な軸方向の抜けを防止する。
また、本体部50は、図12〜図14に示すように、収容室R以外の空間を、所定の複数空間に仕切るための複数の仕切壁部56を有する。仕切壁部56は、軸方向に延びるように区画壁部52や外周壁部51と一体的に形成されており、本体部50が中性導体41等に装着された状態で、同相の2つの接続渡り部33の間に配置される。また、仕切壁部56は、異相の2つの接続渡り部33の間にも配置される。この仕切壁部56と、後述する第一挿入部材60及び第二挿入部材70とが協働することにより、2つの接続渡り部33の間の絶縁性が良好に確保されることになる。
また、本体部50は、図8及び図12に示すように、軸方向視で保持部53(突起部54)と重なる領域に、軸方向外側(軸方向一方側)に開口する開口窓部59を備えている。開口窓部59は、中性導体41に対して本体部50が装着される際に、中性導体41が収容室Rに収容される様子や中性導体41が保持部53(突起部54)に保持される様子を目視可能として作業性を向上させるための目視窓となっている(図15を参照)。また、本体部50には、図8に示すように、第一挿入部材60や第二挿入部材70を挿入するための複数のスリット部57や、第一挿入部材60や第二挿入部材70、カバー部材を係止するための複数の係止突起58が、所定位置に形成されている。
第一挿入部材60及び第二挿入部材70は、それぞれ本体部50の少なくともコア径方向一方側の側面を構成する外周壁部51に形成されたスリット部57を貫通して、本体部50に対してコア径方向に挿入される部材である。本実施形態では、図16に示すように、第一挿入部材60及び第二挿入部材70は、いずれも本体部50のコア径方向内側の外周壁部51に形成されたスリット部57をコア径方向内側から貫通すると共に、更にコア径方向外側の外周壁部51に形成されたスリット部57をも貫通するように構成されている。これらの第一挿入部材60及び第二挿入部材70は、いずれも非導電性の絶縁性樹脂を用いて形成されている。本例では、精密成形性及び耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂が用いられている。
第一挿入部材60は、図9(a)に示すように、軸方向仕切部61と2つの周方向仕切部62a、62bとを備えている。軸方向仕切部61は、中性導体41等に対して本体部50が装着され、かつ本体部50に対して第一挿入部材60が挿入された状態(以下、挿入状態)で、コア径方向及び周方向に延在する仕切板として形成されている。また、周方向仕切部62a、62bは、挿入状態でコア径方向及び軸方向に延在する仕切板として形成されている。これらの軸方向仕切部61と周方向仕切部62a、62bとは、一体的に形成されている。第一挿入部材60は更に、ストッパー部63を備えている。ストッパー部63は、軸方向仕切部61及び周方向仕切部62a、62bと一体的に板状に形成されており、コア径方向内側から本体部50の外周壁部51の外面に当接して、本体部50への第一挿入部材60の進入を規制する。軸方向仕切部61及びストッパー部63には、本体部50の係止突起58に係合する係止穴部64が形成されている。係止突起58と係止穴部64とが係合することにより、本体部50と第一挿入部材60との間の相対的なコア径方向の抜けが防止される(図16を参照)。
第二挿入部材70は、図9(b)に示すように、軸方向仕切部71と3つの周方向仕切部72a、72b、72cとを備えている。軸方向仕切部71は、挿入状態でコア径方向及び周方向に延在する仕切板として形成されている。また、周方向仕切部72a、72b、72cは、挿入状態でコア径方向及び軸方向に延在する仕切板として形成されている。これらの軸方向仕切部71と周方向仕切部72a、72b、72cとは、一体的に形成されている。第二挿入部材70は更に、ストッパー部73を備えている。ストッパー部73は、軸方向仕切部71及び周方向仕切部72a、72b、72cと一体的に板状に形成されており、コア径方向内側から本体部50の外周壁部51の外面に当接して、本体部50への第二挿入部材70の進入を規制する。軸方向仕切部71及びストッパー部73には、本体部50の係止突起58に係合する係止穴部74が形成されている。係止突起58と係止穴部74とが係合することにより、本体部50と第二挿入部材70との間の相対的なコア径方向の抜けが防止される(図16を参照)。
カバー部材80は、本体部50に対して着脱可能に構成されており、本体部50に取り付けられた状態で本体部50の開口窓部59を被覆する部材である。このカバー部材80は、非導電性の絶縁性樹脂を用いて形成されている。本例では、精密成形性及び耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂が用いられている。図8に示すように、カバー部材80は、開口窓部59を被覆するようにコア径方向及び周方向に延在する板状のカバー本体81と、カバー本体81と一体的に形成され、コア径方向の両側でカバー本体81から軸方向に延びる2つの係止部82と、を備えている。カバー本体81は、本体部50に対して軸方向外側(軸方向一方側)から装着されて開口窓部59を被覆する。また、カバー本体81の周方向他方側(図8における右側)の端部が本体部50に係止された状態で、係止部82と本体部50の外周壁部51の側面に形成された係止突起58とが係合することにより、本体部50とカバー部材80との間の相対的な軸方向の抜けが防止される。
4.中性導体の近傍における絶縁構造
次に、上記で説明した本実施形態に係る絶縁部材Iを用いることにより実現される、中性導体41の周囲における絶縁構造について説明する。本実施形態に係る絶縁部材Iは、中性導体41等に装着された本体部50に対して、第一挿入部材60及び第二挿入部材70がコア径方向に挿入されると共に、カバー部材80が取り付けられた状態で、絶縁用部材としての機能を果たすことができるように構成されている。以下では、本実施形態に係る絶縁構造を、絶縁部材Iを構成する各部材を組んでいく順序に沿って説明する。
まず、周方向の所定領域において集約して配置された中性導体41等(図2を参照)に対して、本体部50が中性導体41等の周囲を覆うように軸方向外側(軸方向一方側)から装着される。その際、収容室Rに中性導体41が収容されると共に、3個一組の突起部54からなる二組の保持部53(図12を参照)がそれぞれコア径方向の両側から中性導体41に当接して当該中性導体41を保持するように、本体部50が装着される。これにより、本体部50が保持部53(突起部54)を介して中性導体41に保持される。中性導体41等に本体部50が装着された状態における、軸方向他方側から見た様子が図13に示されている。なお、この作業は本体部50の開口窓部59(図8を参照)を介して目視しながら行うことができる。中性導体41等に本体部50が装着された状態で、本体部50の外周壁部51により、中性導体41とステータ2の外部に配置された他の部材(例えば、回転電機1のケース5等)との間の絶縁性を良好に確保することが可能となっている。
但し、本実施形態では、上記のとおり中性導体41と接続渡り部33との間に十分な空間距離が確保されていないことから、単に中性導体41等に本体部50が装着されただけの状態では、中性導体41と各相の接続渡り部33すなわち各相のコイル21との間の絶縁性を十分に確保することができない。また、本実施形態では、図6及び図7に示すように、各相の中性端24及び各相について複数(ここでは、2つ)の接続渡り部33が、周方向の所定領域において集約して配置されていることから、中性端24と接続渡り部33の軸方向導体部33cとの間や2つの軸方向導体部33cの間の周方向の空間距離も比較的短くなっており、これらの間の絶縁性を十分に確保することができない場合がある。
この点、本実施形態では、中性導体41等に本体部50が装着された状態で、本体部50に非導電性の第一挿入部材60及び第二挿入部材70が挿入される。そして、図10及び図11に示すように、挿入状態で、軸方向仕切部61、71が軸方向で中性導体41と接続渡り部33との間に配置される。この状態で、軸方向仕切部61、71は、中性導体41と少なくとも接続渡り部33とが軸方向視で重なる領域においてこれらの間に配置され、コア径方向及び周方向に延在することになる。この状態では、軸方向仕切部61、71により中性導体41と接続渡り部33との間に十分な沿面距離が確保されるので、これらの間における軸方向の絶縁性を良好に確保することが可能となっている。
また、挿入状態で、周方向仕切部62、72が周方向で中性端24と軸方向導体部33cとの間、及び2つの軸方向導体部33cの間の一方又は双方に配置される。本例では、これらの双方に配置されている。具体的には、図10及び図11に示すように、周方向でU相の中性端24uとU相の軸方向導体部33cuとの間に周方向仕切部62aが配置され、U相の軸方向導体部33cuどうしの間に周方向仕切部62bが配置されている。また、V相の中性端24vとV相の軸方向導体部33cvとの間に周方向仕切部72aが配置され、V相の軸方向導体部33cvどうしの間に周方向仕切部72bが配置され、W相の中性端24wとV相の軸方向導体部33cvとの間に周方向仕切部72cが配置されている。この状態で、周方向仕切部62、72は、周方向で中性端24と軸方向導体部33cとの間、及び2つの軸方向導体部33cの間の双方の領域に配置され、コア径方向及び軸方向に延在することになる。この状態では、周方向仕切部62、72により中性端24と軸方向導体部33cとの間、及び2つの軸方向導体部33cの間に十分な沿面距離が確保されるので、これらの間における周方向の絶縁性を良好に確保することが可能となっている。
ところで、接続渡り部33は、コア径方向及び周方向の異なる位置に配置された2つのコイル辺部30を接続するものであるため、本実施形態のように各相のコイル21がそれぞれ接続渡り部33を複数(ここでは、2つ)備える構成では、本体部50に対して第一挿入部材60及び第二挿入部材70をコア径方向に挿入するだけでは、挿入方向手前側の接続渡り部33の一部と第一挿入部材60及び第二挿入部材70とが干渉して、挿入方向奥側における2つの接続渡り部33の間までは第一挿入部材60及び第二挿入部材70が到達しない場合がある。更に本実施形態では、第一挿入部材60及び第二挿入部材70が挿入される領域は絶縁部材Iの周方向の一部のみであって、周方向の全体をカバーしている訳ではない。そのため、本実施形態では、挿入方向奥側の領域や、第一挿入部材60及び第二挿入部材70によってカバーされていない領域における2つの接続渡り部33は、コア径方向及び周方向の位置を比較的離して所定の空間距離が確保されるように屈曲された状態で配置されることにより、これらの間の絶縁性の確保が図られている。
この場合において、本実施形態では更に、中性導体41等に本体部50が装着された状態で、本体部50に形成された仕切壁部56が、同相の2つの接続渡り部33の間、異相の2つの接続渡り部33の間、及び中性導体41と接続渡り部33との間、に配置される。本例では、図13及び図14に示すように、本体部50に形成された複数の仕切壁部56が、U相の接続渡り部33uと中性導体41及びU相の中性端24uとの間、2つのU相の接続渡り部33uどうしの間、U相の接続渡り部33uと中性導体41及びV相の中性端24vとの間、V相の接続渡り部33vと中性導体41及びV相の中性端24vとの間、2つのV相の接続渡り部33vどうしの間、W相の接続渡り部33wと中性導体41及びW相の中性端24wとの間、及び2つのW相の接続渡り部33wどうしの間に配置される。このように、2つの接続渡り部33の間に所定の空間距離が確保されることに加えて、これらの間に配置される仕切壁部56により十分な沿面距離が確保され、これによりこれらの間における絶縁性を良好に確保することが可能となっている。
最後に、中性導体41等に本体部50が装着され、かつ本体部50に第一挿入部材60及び第二挿入部材70が挿入された状態で、本体部50に対してカバー部材80が取り付けられる。これにより、カバー部材80が本体部50の開口窓部59を被覆することで、中性導体41とステータ2の軸方向外側(軸方向一方側)に配置された他の部材との間の絶縁性が良好に確保される。
以上説明したように、本実施形態に係るステータ2では、仕切壁部56を有し中性導体41に対して軸方向外側からその周囲を覆うように装着される本体部50と、本体部50の側面を貫通してコア径方向に挿入される第一挿入部材60及び第二挿入部材70と、を主要な構成として備える絶縁部材Iにより、中性導体41の周辺の絶縁性が確保される構成となっている。この構成では、本体部50により中性導体41とステータ2の外部に配置された他の部材との間の絶縁性を良好に確保することができるのはもちろんのこと、第一挿入部材60及び第二挿入部材70と仕切壁部56とが協働することにより、コイルエンド部の大型化を抑制しつつ、中性導体41と各相のコイル21の渡り部31との間及び各相のコイル21どうしの間の絶縁性を良好に確保することが可能となっている。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態においては、2つの単位コイルCがそれぞれ直列に接続されて構成された2つの構成コイル22、23が並列に接続されて各相のコイル21が構成されていることに対応して、各相のコイル21には2つの接続渡り部33が備えられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、そのような2つの単位コイルC間を直列接続する接続渡り部33を備えず、各相の一又は二以上の構成コイルをそれぞれ単一の単位コイルCにより構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、中性導体41は通常渡り部32の周方向導体部32b(図6及び図7を参照)の軸方向外側(軸方向一方側)に比較的近接した位置に配置されると共に、絶縁部材Iの本体部50に対して第一挿入部材60及び第二挿入部材70がコア径方向に挿入された状態で、軸方向仕切部61、71が軸方向で中性導体41と通常渡り部32との間に配置される構成とすると好適である。
(2)上記の実施形態においては、中性導体41等に対して本体部50が装着され、かつ本体部50に対して第一挿入部材60及び第二挿入部材70が挿入された状態で、第一挿入部材60の軸方向仕切部61及び第二挿入部材70の軸方向仕切部71が、軸方向で中性導体41と接続渡り部33との間にのみ配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第一挿入部材60及び第二挿入部材70の一方又は双方が複数の軸方向仕切部61、71を備え、当該複数備えられた軸方向仕切部61、71が、軸方向で中性導体41と接続渡り部33との間、及び接続渡り部33と通常渡り部32との間の双方に挿入される構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(3)上記の実施形態においては、第一挿入部材60が2つの周方向仕切部62a、62bを備えると共に、第二挿入部材70が3つの周方向仕切部72a、72b、72cを備えている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、各相のコイル21に備えられた接続渡り部33の個数等に応じて、第一挿入部材60における周方向仕切部62の個数や第二挿入部材70における周方向仕切部72の個数を適宜変更することが可能である。また、各相のコイル21が接続渡り部33を備えていない場合や、2つの接続渡り部33どうしの間及び中性端24と接続渡り部33との間の空間距離が十分に確保できる場合等には、第一挿入部材60及び第二挿入部材70の一方又は双方が周方向仕切部62、72を備えず、軸方向仕切部61、71のみを備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(4)上記の実施形態においては、第一挿入部材60及び第二挿入部材70の周方向仕切部62、72が、周方向で中性端24と軸方向導体部33cとの間、及び2つの軸方向導体部33cの間の双方に配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第一挿入部材60及び第二挿入部材70の周方向仕切部62、72が、周方向で中性端24と軸方向導体部33cとの間のみ、又は、周方向で2つの軸方向導体部33cの間のみに配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(5)上記の実施形態においては、本体部50が、中性導体41のコア径方向両側の側面及び周方向両側の側面を覆うと共に、軸方向外側の面をも覆うように装着されるキャップ状の部材として形成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本体部50は中性導体41の少なくともコア径方向両側の側面を覆うものであれば良く、例えば本体部50を、中性導体41のコア径方向両側の側面及び軸方向外側の面のみを覆うように装着されるキャップ状の部材として形成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(6)上記の実施形態においては、第一挿入部材60及び第二挿入部材70が、いずれも本体部50のコア径方向内側の外周壁部51に形成されたスリット部57をコア径方向内側から貫通すると共に、更にコア径方向外側の外周壁部51に形成されたスリット部57をも貫通するように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第一挿入部材60及び第二挿入部材70を、本体部50のコア径方向一方側の外周壁部51に形成されたスリット部57のみを貫通するように構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、第一挿入部材60及び第二挿入部材70を、本体部50のコア径方向内側の外周壁部51に形成されたスリット部57のみをコア径方向内側から貫通するように構成したり、或いは、本体部50のコア径方向外側の外周壁部51に形成されたスリット部57のみをコア径方向外側から貫通するように構成したりすることも可能である。
(7)上記の実施形態においては、中性導体41が、軸方向視でその全体が通常渡り部32及び接続渡り部33と重なるように配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、中性導体41が、軸方向視でその一部のみが通常渡り部32及び接続渡り部33と重なるように配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(8)上記の実施形態においては、本体部50が、収容室R以外の空間を所定の複数空間に仕切るための複数の仕切壁部56を有しており、当該仕切壁部56が、本体部50が中性導体41等に装着された状態で同相の2つの接続渡り部33の間に配置される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば2つの接続渡り部33がそれぞれ複雑に屈曲された状態でコア径方向及び周方向の位置を比較的離して配置されることにより、十分な空間距離が確保されている場合等には、そのような仕切壁部56を備えることなく、本体部50が外周壁部51及び区画壁部52のみを有して構成されることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(9)上記の実施形態においては、保持部53が、区画壁部52に一体的に形成され、当該区画壁部52からコア径方向に突出する複数の突起部54により構成されている場合を例として説明した。具体的には、3個一組の突起部54により保持部53が構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば保持部53を、2個一組、又は4個以上で一組の突起部54として構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。或いは、保持部53を、区画壁部52の一部であって中性導体41のコア径方向の両面の全体に当接する当接面として構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(10)上記の実施形態においては、本体部50が中性導体41等の周囲を覆うように軸方向外側(軸方向一方側)から装着された際に、保持部53がコア径方向の両側から中性導体41に当接して当該中性導体41を保持することにより、本体部50が保持部53(突起部54)を介して中性導体41に保持される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば別途固定部材を設け、当該固定部材を介して本体部50をコイル21等に固定する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(11)上記の実施形態においては、本体部50が、軸方向視で保持部53(突起部54)と重なる領域に軸方向外側(軸方向一方側)に開口する開口窓部59を備え、この開口窓部59を介して中性導体41が収容室Rに収容される様子や中性導体41が保持部53(突起部54)に保持される様子が目視可能とされている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、このような開口窓部59を備えず、本体部50の軸方向外側(軸方向一方側)の外周壁部51が完全に閉じられた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(12)上記の実施形態においては、第一挿入部材60及び第二挿入部材70における、軸方向仕切部61、71と周方向仕切部62、72とが一体的に形成され、これらが更にストッパー部63とも一体的に形成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、これらの軸方向仕切部61、71と周方向仕切部62、72とが完全には一体化されておらず互いに分離した状態で、それぞれストッパー部63と一体的に形成された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(13)上記の実施形態においては、絶縁部材Iを構成する本体部50、第一挿入部材60、第二挿入部材70、及びカバー部材80が、それぞれポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を用いて形成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、所望の絶縁性能を発揮することが出来るものであれば、例えばエポキシ樹脂、シリコン樹脂、及びウレタン樹脂等の樹脂材料やその他の非導電性材料を用いてこれらの各部材を形成する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(14)上記の実施形態においては、各相のコイル21がそれぞれ2つの構成コイル22、23を有し、これら2つの構成コイル22、23が並列接続されて構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、各相のコイル21を、複数の単位コイルCを直列接続して構成される単一の構成コイルとして構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(15)上記の実施形態においては、本発明に係る回転電機用電機子を回転電機1のステータ2に適用し、当該回転電機1を、電機子としてのステータ2を界磁としてのロータ3のコア径方向外側に配置して備えたインナーロータ型の回転電機とした場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、上記の構成において本発明に係る電機子を回転電機の回転子に適用し、当該回転電機を、電機子としての回転子を備えたアウターロータ型の回転電機とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
また、本発明に係る電機子を回転電機1のステータ2に適用し、当該回転電機1を、電機子としてのステータ2を界磁としてのロータ3のコア径方向内側に配置して備えたアウターロータ型の回転電機とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。更にこの場合において、本発明に係る電機子を回転電機の回転子に適用し、当該回転電機を、電機子としての回転子を備えたインナーロータ型の回転電機とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
本発明は、略円筒状のコアに巻装される複数相のコイルと、当該複数相のコイルを互いにスター結線するように接続する中性導体と、を備えた回転電機用電機子、及び中性導体の周囲の絶縁を行うための絶縁部材に好適に利用することができる。
2 ステータ(回転電機用電機子)
11 ステータコア(コア)
21 コイル
24 中性端
31 渡り部
33 接続渡り部
33c 軸方向導体部
41 中性導体
50 本体部
52 区画壁部
53 保持部
54 突起部
56 仕切壁部
59 開口窓部
60 第一挿入部材(挿入部材)
61 軸方向仕切部
62 周方向仕切部
70 第二挿入部材(挿入部材)
71 軸方向仕切部
72 周方向仕切部
80 カバー部材
I 絶縁部材
R 収容室

Claims (7)

  1. 略円筒状のコアに巻装される複数相のコイルと、当該複数相のコイルを互いにスター結線するように接続する中性導体と、前記中性導体の周囲の絶縁を行うための絶縁部材と、を備えた回転電機用電機子であって、
    各相の前記コイルは、前記コアから軸方向に突出する軸方向一方側の端部に、周方向の異なる位置に配置された2つのコイル辺部を接続する渡り部を備え、
    前記中性導体は、軸方向視で前記渡り部と少なくとも一部が重なるように配置され、
    前記絶縁部材は、前記中性導体の少なくともコア径方向両側の側面を覆うように装着される非導電性の本体部と、前記本体部の少なくともコア径方向一方側の側面を貫通して挿入される非導電性の挿入部材と、を備え、
    前記挿入部材が、前記本体部に挿入された状態で、前記中性導体と前記渡り部とが軸方向視で重なる領域においてこれらの間に配置される軸方向仕切部を有する回転電機用電機子。
  2. 各相の前記コイルは、前記渡り部として、周方向の異なる位置に配置され、かつ、コア径方向の同一の位置に配置された2つのコイル辺部を接続する通常渡り部と、周方向の所定領域において前記通常渡り部よりも軸方向外側に配置され、コア径方向及び周方向の異なる位置に配置された2つのコイル辺部を接続する接続渡り部と、を備え、
    前記軸方向仕切部は、前記本体部に前記挿入部材が挿入された状態で、前記中性導体と前記接続渡り部とが軸方向視で重なる領域においてこれらの間に配置される請求項1に記載の回転電機用電機子。
  3. 各相の前記コイルは、前記コアから軸方向に突出する軸方向一方側の端部において、軸方向に延びて前記中性導体に接続される中性端と、前記接続渡り部の一部であって軸方向に延びる軸方向導体部と、を備え、
    前記挿入部材は、一又は二以上の周方向仕切部を更に有し、
    前記周方向仕切部は、前記本体部に前記挿入部材が挿入された状態で、周方向で前記中性端と前記軸方向導体部との間及び2つの前記軸方向導体部の間の一方又は双方の領域に配置される請求項2に記載の回転電機用電機子。
  4. 各相の前記コイルは、前記接続渡り部を複数備え、
    前記本体部は、前記中性導体に装着された状態で、同相の2つの前記接続渡り部の間に配置される仕切壁部を有する請求項2又は3に記載の回転電機用電機子。
  5. 前記本体部は、前記中性導体を収容する収容室を備えると共に、前記本体部における他の部位と前記収容室とを区画する区画壁部に一体的に形成され前記中性導体を保持する保持部を備え、
    前記保持部は、前記区画壁部から前記中性導体に向かってコア径方向に突出してコア径方向の両側から前記中性導体に当接する複数の突起部を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機用電機子。
  6. 前記本体部は、軸方向視で前記保持部と重なる領域に、軸方向外側に開口する開口窓部を備えると共に、
    前記本体部に着脱可能であり、前記本体部に取り付けられた状態で前記開口窓部を被覆する非導電性のカバー部材を更に備えた請求項5に記載の回転電機用電機子。
  7. 略円筒状のコアに巻装される複数相のコイルと、当該複数相のコイルを互いにスター結線するように接続する中性導体とを備え、各相の前記コイルが、前記コアから軸方向に突出する軸方向一方側の端部に、周方向の異なる位置に配置された2つのコイル辺部を接続する渡り部を備えると共に、前記中性導体が軸方向視で前記渡り部と少なくとも一部が重なるように配置された回転電機用電機子における、前記中性導体の周囲の絶縁を行うための絶縁部材であって、
    前記中性導体の少なくともコア径方向両側の側面を覆うように装着される非導電性の本体部と、前記本体部の少なくともコア径方向一方側の側面を貫通してコア径方向に挿入される非導電性の挿入部材と、を備え、
    前記挿入部材が、前記本体部に挿入された状態で、前記中性導体と前記渡り部とが軸方向視で重なる領域においてこれらの間に配置される軸方向仕切部を有する絶縁部材。
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