ちなみに、上記の構成において、各後部リンクの連結ピンをミッドマウントモーアの対応する支持ステーに連結する場合は、各連結ピンの高さ位置が対応する支持ステーとの連結に適した高さ位置(特許文献1では、各支持ステーにおける開口部の高さ位置)よりも低くなるように各後部リンクを下限位置まで自重下降させた後、左右の前輪が前輪案内板の上方を通ってモーアを踏み越えるようにトラクタを乗り越え前進走行させる。すると、その乗り越え前進走行に伴って、左右の後部リンク又は連結ピンが左右の支持ステーなどに摺接することにより、左右の後部リンク及び連結ピンが、それらの自重に抗して左右の支持ステーなどに沿って上昇変位する。そして、この上昇変位によって、各連結ピンが対応する支持ステーとの連結に適した高さ位置に到達すると、各連結ピンが対応する支持ステーにおける開口部の最奥部まで係入して支持ステーに係合する。
ところで、上記の構成では、トラクタ側の各連結ピンをモーア側の各支持ステーの開口部から最奥部に係入させる際に、各連結ピンによって各ロックアームをバネの作用に抗する方向に押圧操作して各連結ピンの係入経路から退避させる必要がある。又、この係入によって各連結ピンが各支持ステーの最奥部に至った場合には、それに伴って、各ロックアームをバネの作用によって各連結ピンに係合させて各連結ピンの最奥部からの抜け止めを行う必要がある。そして、各連結ピンの押圧による各ロックアームの退避操作を円滑に行えるようにするためには、各ロックアームに作用するバネ力を弱くする必要がある。逆に、各ロックアームによる各連結ピンの抜け止めを確実に行えるようにするためには、各ロックアームに作用するバネ力を強くする必要がある。
つまり、上記の構成では、各連結ピンの押圧による各ロックアームの退避操作を円滑に行えるようにして、トラクタ側の各連結ピンとモーア側の各支持ステーとの係合連結を円滑に行えるようにしながら、各ロックアームによる各連結ピンの抜け止めを確実に行えるようにして、トラクタ側の各連結ピンとモーア側の各支持ステーとの係合連結状態での保持を確実に行えるようにするためには、バネ力の設定に苦慮するとともに各ロックアームの形状に工夫を凝らす必要があった。
本発明の目的は、簡単な構成で、乗用作業車側の係合ピンと作業装置側の係合部材との係合連結を円滑に行えるようにしながら、それらの係合連結状態での保持を確実に行えるようにすることにある。
本発明の課題解決手段は、
左右一対の前輪と左右一対の後輪との間に配備するミッドマウント式の作業装置を、車体フレームに、左右一対の揺動リンクを前後に備えたリンク機構を介して昇降可能に連結し、
前記リンク機構において前記車体フレームに枢支連結した左右一対の揺動リンクの遊端部に、左右向きの第1係合ピンと、前記第1係合ピンを支点にして揺動する揺動アームと、前記揺動アームの遊端部から左右方向に延出する第2係合ピンとを備え、
前記作業装置に立設した左右一対の係合部材に、それらの後端から前向きに凹入する第1凹部と、前記第1凹部の前端箇所において上向きに凹入する第2凹部と、前記第1凹部の前端箇所において前記第2凹部の凹入深さよりも浅い凹入深さで下向きに凹入する第3凹部とを形成し、
前記左右一対の前輪が前記作業装置の後方から前記作業装置を乗り越えた後の前進走行により、前記第1係合ピンが、前記第1凹部に係入して前記第1凹部の前端縁に当接した後、前記第2凹部に係入して前記第2凹部の上端縁に当接し、かつ、前記第2係合ピンが前記第1凹部に係入して前記第1凹部の前端縁に当接するように構成した。
この手段によると、左右一対の前輪が作業装置の後方から作業装置を乗り越えるように乗用作業車を前進走行させると、左右一対の前輪が作業装置を乗り越えた後の前進走行に伴って、第1係合ピンが、各係合部材の第1凹部に後方から係入し、各第1凹部に沿って移動して各第1凹部の前端縁に当接する。又、これに連動して、第2係合ピンが、各係合部材の後端縁に当接し、各係合部材の第1凹部に向けて各係合部材の後端縁に沿って摺動する。
そして、第1係合ピンが各第1凹部の前端縁に当接した後の前進走行に伴って、このときに第1係合ピンに作用する作業装置の接地抵抗などにより、第1係合ピンが、第1凹部の前端縁に沿って上昇移動し、これにより、各第1凹部の前端箇所から各第2凹部に係入して各第2凹部の上端縁に当接する。又、これに連動して、第2係合ピンが、各第1凹部に後方から係入し、各第1凹部に沿って円滑に移動して各第1凹部の前端縁に当接する。
これにより、乗用作業車側の各係合ピンと作業装置側の各係合部材との係合連結が完了する。そして、この係合連結の完了に伴って車体を停止させると、この係合連結状態では、車体の停止に伴って第1係合ピンが下降して各第2凹部から離脱しようとしても、第1係合ピンと連動して下降する第2係合ピンが各第3凹部の下端縁に当接することにより、第1係合ピンと第2係合ピンとにわたる揺動アームの突っ張り作用を得ることができ、この作用によって第1係合ピンの各第2凹部からの離脱を阻止することができる。
又、作業装置を接地させた作業用の前進走行を行うと、この作業用の前進走行時には、前述した係合連結時と同様の作用によって、第1係合ピンが各第2凹部の上端縁に当接する状態を維持することができる。
逆に、作業装置を接地させた状態で後進走行を行うと、前述した係合連結時とは逆の作用によって、第1係合ピンが各第2凹部から下方に離脱しようとするが、この場合も車体を停止させたときと同様の作用によって、第1係合ピンの各第2凹部からの離脱を阻止することができる。
又、作業装置を接地させた走行時に、作業装置の隆起部への乗り上げなどのように、第1係合ピンを各第2凹部から離脱させる方向に揺動リンクと作業装置とを相対変位させようとする動きが生じた場合においても、車体を停止させたときと同様の作用によって、第1係合ピンの各第2凹部からの離脱を阻止することができる。
そして、第2係合ピンが第3凹部に係入することにより、揺動リンクと作業装置とを相対変位させようとする動きなどの影響を受けて揺動アームが後方に揺動することを阻止することができ、この揺動アームの後方揺動に起因して、第2係合ピンが第1凹部の前端箇所から後方に移動して第1係合ピンの第2凹部からの離脱を許容する虞を未然に回避することができる。
つまり、各係合ピンを係合移動させる際に抵抗になるロックアームなどを備えることなく、乗用作業車側の各係合ピンと作業装置側の各係合部材との係合連結状態を確実に保持することができる。
従って、乗用作業車側の各揺動リンクの遊端部に前述した第1係合ピンと揺動アームと第2係合ピンとを備え、かつ、作業装置側の各係合部材に前述した第1凹部と第2凹部と第3凹部とを形成するだけの構成によって、左右一対の前輪が作業装置の後方から作業装置を乗り越えた後の前進走行による乗用作業車側の係合ピンと作業装置側の係合部材との係合連結を円滑に行えるようにしながら、それらの係合連結状態での保持を確実に行うことができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記揺動アームを左右一対備え、前記左右一対の揺動アームが一体揺動するように構成した。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記揺動アームを前方に揺動付勢する付勢手段を備えた。
この手段によると、第1係合ピンの第2凹部での移動に伴う第2係合ピンの第1凹部での移動をより円滑に行うことができ、第2係合ピンを第1凹部の前端縁に確実に当接させることができ、この当接状態をより安定的に保持することができる。
従って、前述した付勢手段を追加装備するだけの構成により、乗用作業車側の係合ピンと作業装置側の係合部材との係合連結をより円滑に行えるようにしながら、それらの係合連結状態での保持をより確実かつ安定的に行うことができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記揺動アームを、搭乗運転部に備えた操作具による後方への揺動操作が可能となるように、前記操作具に連係機構を介して連係した。
この手段によると、搭乗運転部において、各揺動リンクを上昇揺動させて第2係合ピンを各係合部材の第3凹部から離脱させた後、操作具を操作して揺動アームを後方に揺動変位させることにより、第2係合ピンを各第1凹部の前端箇所から後方に変位させることができ、各係合部材の第2凹部からの第1係合ピンの離脱を許容することができる。
そして、この操作状態を維持しながら各揺動リンクを下降揺動させると、第1係合ピンが各第2凹部から離脱して各第1凹部に移動する。又、これに連動して第2係合ピンが各第1凹部に沿って後方に変位する。
その後、乗用作業車を後進走行させると、この後進走行に伴って、左右一対の前輪が作業装置に乗り上がる前の後進走行に伴って、第1係合ピン及び第2係合ピンが後方に移動して第1凹部から離脱する。
従って、乗用作業車側の係合ピンと作業装置側の係合部材との係合連結状態での保持、及び、それらの係合連結を、搭乗運転部から離れることなく簡単に解除することができ、作業装置を取り外す際の作業性を向上させることができる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前後いずれか一方の前記左右一対の揺動リンクを前記車体フレームに枢支連結し、かつ、前後いずれか他方の前記左右一対の揺動リンクを前記作業装置に枢支連結するとともに、前記他方の各揺動リンクの遊端部を左右向きの連結軸により連結し、
前記作業装置側の左右一対の揺動リンクを、前記作業装置から所定の角度で前上がり傾斜する連結姿勢に復帰付勢する付勢手段を備え、
前記車体フレームに垂下装備した左右一対の係合部材に、それらの前端から後向きに凹入して前記連結軸の前方からの係入を許容する凹部を形成し、
前記左右一対の前輪が前記作業装置の後方から前記作業装置を乗り越えた後の前進走行によって前記連結軸が前記凹部に係入するように構成した。
この手段によると、左右一対の前輪が作業装置を乗り越えた後の前進走行に伴って、前述したように、乗用作業車側の前後いずれか一方の各揺動リンクに備えた第1係合ピンが作業装置側の各係合部材の第1凹部に係入するのに並行して、作業装置側の前後いずれか他方の各揺動リンクを連結する連結軸が、乗用作業車側の各係合部材の凹部に係入して凹部の後端に到達する。
そして、その後の前進走行に伴って、前述したように、乗用作業車側の第1係合ピンが作業装置側の各係合部材の第2凹部の上端縁に当接し、かつ、乗用作業車側の第2係合ピンが作業装置側の各係合部材の第1凹部の前端縁に当接して第1係合ピンの各第2凹部からの離脱を阻止することにより、乗用作業車側の各係合部材の凹部後端からの作業装置側の連結軸の前方への移動を規制することができる。
つまり、乗用作業車側の左右の揺動リンクに備えた係合ピンと作業装置側の係合部材とを係合連結した状態に保持する作用によって、作業装置側の左右の揺動リンクを連結する連結軸と乗用作業車側の係合部材とを係合連結した状態に保持することができる。
従って、構成の簡素化を図りながら、乗用作業車に対するリンク機構を介したミッドマウント式作業装置の連結及び連結保持を簡単かつ確実に行うことができる。
そして、揺動アームを搭乗運転部の操作具に連係機構を介して連係する構成では、前述した操作具による揺動アームの揺動操作と各揺動リンクの下降操作とを行うと、その後の後進走行に伴って、乗用作業車側の左右の揺動リンクに備えた第1係合ピン及び第2係合ピンが作業装置側の各係合部材の第1凹部から離脱するのに並行して、作業装置側の左右の揺動リンクを連結する連結軸が乗用作業車側の各係合部材の凹部から離脱する。これにより、乗用作業車から作業装置を簡単に取り外すことができる。
従って、構成の簡素化を図りながら、乗用作業車に対するリンク機構を介したミッドマウント式作業装置の連結保持及び連結の解除を、搭乗運転部から離れることなく簡単に行うことができる。
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係る乗用作業車の作業装置連結構造を、乗用作業車の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態で例示するトラクタは、車体フレーム1の前半部に原動部2を備え、車体フレーム1の後半部に搭乗運転部3を形成している。そして、原動部2の左右に駆動可能な操舵輪としての前輪4を配備し、搭乗運転部3の左右に制動可能な駆動輪としての後輪5を配備することにより、4輪駆動型に構成している。
車体フレーム1は、前フレーム部6の後部に水冷式のディーゼルエンジン(以下、エンジンと称する)7を連結し、このエンジン7の後下部にクラッチハウジング8を連結し、クラッチハウジング8の後部に、中間フレーム部9を介してトランスミッションケース(以下、T/Mケースと称する)10を連結することにより、トラクタの前後にわたるように構成している。
原動部2は、ボンネット11により形成したエンジンルームに、エンジン7及びラジエータ12などを配備して構成している。搭乗運転部3には、前輪操舵用のステアリングホイール13及び運転座席14などを配備している。
エンジン7からの動力は、クラッチハウジング8の内部に備えた主クラッチ(図示せず)などを介して、T/Mケース10の前部に連結した静油圧式無段変速装置(以下、HSTと称する)15の入力軸(図示せず)に伝達している。そして、HST15の出力軸(図示せず)からの動力を、走行用として、T/Mケース10の内部に備えたギヤ式変速装置(図示せず)に伝達し、ギヤ式変速装置からの動力を、T/Mケース10の内部において前輪駆動用と後輪駆動用とに分岐している。前輪駆動用の動力は、T/Mケース10の内部から左右の前輪4にわたる前輪伝動系(図示せず)を介して左右の前輪4に伝達している。後輪駆動用の動力は、T/Mケース10の内部から左右の後輪5にわたる後輪伝動系(図示せず)を介して左右の後輪5に伝達している。一方、HST15の入力軸からの動力を、作業用として、T/Mケース10の内部に備えた作業伝動系(図示せず)を介して、T/Mケース10の後端部に備えた後向きの第1動力取出軸16と、T/Mケース10の底部に備えた前向きの第2動力取出軸17とに伝達している。
図示は省略するが、主クラッチ、HST、及び、ギヤ式変速装置などは、搭乗運転部3に装備したクラッチペダル、主変速レバー、及び、副変速レバーなどに操作連係している。つまり、クラッチペダル、主変速レバー、及び、副変速レバーなどを操作することにより、エンジン動力の断続、前後進の切り換え、無段変速操作、及び、有段変速操作などを行うことができる。
図1及び図3に示すように、T/Mケース10の後部には、その内部に備えたリフトシリンダ(図示せず)の作動によって上下揺動する左右一対のリフトアーム18、及び、これらのリフトアーム18の上下揺動に連動して上下方向に昇降揺動する第1リンク機構19、などを備えている。リフトシリンダには単動型の油圧シリンダを採用している。第1リンク機構19は、ロータリ耕耘装置やプラウなどの作業装置(図示せず)の着脱を可能にする左右一対の下部リンク20などを備えて構成している。
つまり、第1リンク機構19にロータリ耕耘装置又はプラウなどの作業装置を連結装備することにより、その作業装置を、トラクタの後部に昇降可能に装備することができ、リフトシリンダの作動によって昇降させることができる。そして、その作業装置が、ロータリ耕耘装置などのようにトラクタからの動力によって作動する駆動型である場合には、その作業装置の入力軸(図示せず)を、外部伝動軸(図示せず)などを介して第1動力取出軸16に連結することにより、第1動力取出軸16から取り出した作業用の動力を作業装置に伝達して作業装置を作動させることができる。
図示は省略するが、リフトシリンダは、搭乗運転部3に備えた昇降レバーの操作に基づいて、リフトシリンダに対するオイルの流れを切り換える切換弁が、油圧ポンプからのオイルをリフトシリンダに供給する供給状態に切り換わると、油圧ポンプからのオイルによって作業装置を上昇させる伸長状態に切り換わる。昇降レバーの操作に基づいて、切換弁が、リフトシリンダ内のオイルを排出する排出状態に切り換わると、作業装置の重量などによって作業装置を下降させる収縮状態に切り換わる。昇降レバーの操作に基づいて、切換弁が、リフトシリンダに対するオイルの給排を停止する給排停止状態に切り換わると、作業装置を昇降停止させる伸縮停止状態に切り換わる。
図1〜6に示すように、トラクタにおける左右の前輪4と左右の後輪5との間の下腹部(以下、トラクタの下腹部と称する)には、ミッドマウント式の作業装置の一例であるミッドマウントモーア(以下、モーアと称する)21を装備している。そして、車体フレーム1とモーア21との間には、モーア21を昇降可能に吊り下げ支持する第2リンク機構22を介装している。第2リンク機構22は、後下がり傾斜姿勢で車体フレーム1の前部からモーア21の前端部にわたる左右一対の前リンク(揺動リンクの一例)23、及び、後下がり傾斜姿勢で車体フレーム1の前後中間部からモーア21の後部にわたる左右一対の後リンク(揺動リンクの一例)24、などを備えて、モーア21を所定の刈り取り姿勢で昇降させる平行リンク形式に構成している。左右の後リンク24は、連係機構25を介して第1リンク機構19の左右の下部リンク20に連係している。
連係機構25は、車体フレーム1に回動可能に装備した左右向きの回動軸26、回動軸26から車体前方に向けて延出する状態で回動軸26に一体装備した左右一対の第1連係アーム27、回動軸26から車体上方に向けて延出する状態で回動軸26に一体装備した左右一対の第2連係アーム28、T/Mケース10の後部に備えた左右一対の連動アーム29、左右の第1連係アーム27を対応する後リンク24の遊端側に連係する左右一対の第1連係ロッド30、及び、左右の第2連係アーム28を対応する連動アーム29に連係する左右一対の第2連係ロッド31、などにより構成している。左右の連動アーム29は、対応する下部リンク20の支軸32に相対揺動可能に外嵌している。左右の連動アーム29の上部には、左右の後リンク24の重量などによって第1リンク機構19の対応する下部リンク20の上縁に上方から片当たりする当接片29Aを屈曲形成している。
つまり、車体フレーム1に第2リンク機構22を介してモーア21を連結し、かつ、第2リンク機構22を、連係機構25を介して第1リンク機構19に連係することにより、モーア21を、トラクタの下腹部に昇降可能に装備している。
図1及び図3〜6に示すように、回動軸26には、車体後方に向けて延出する単一の第3連係アーム33を一体装備している。車体フレーム1の中間フレーム部9には、左右の後リンク24の下降揺動に連動して上昇揺動する第3連係アーム33を受け止めることにより、左右の後リンク24の下降揺動を阻止する受止具34を装備している。受止具34は、搭乗運転部3からの縦軸心周りの回動操作が可能な把持部34A、及び、把持部34Aと縦軸心周りに一体回動する筒状の受止部34B、などから構成している。そして、第3連係アーム33を受け止める受止部34Bの下縁を周方向において高さの異なる階段状に形成している。
この構成から、搭乗運転部3から把持部34Aを把持して受止具34を縦軸心周りに回動操作することにより、受止具34による第3連係アーム33の受け止め高さ位置を任意の高さ位置に変更することができ、左右の後リンク24の車体フレーム1に対する下降限界位置(以下、後リンク24の下限位置と称する)を簡単に設定変更することができる。
つまり、第3連係アーム33及び受止具34により、左右の後リンク24の下限位置を設定変更することによってモーア21の車体フレーム1に対する下降限界高さ(以下、モーア21の下限高さと称する)を設定する下限設定機構35を構成している。
そして、前述したように、左右の後リンク24を左右の下部リンク20に連係する連係機構25においては、左右の連動アーム29の当接片29Aが対応する下部リンク20の上縁に上方から片当たりするように構成したことにより、又、下限設定機構35においては、上昇揺動する第3連係アーム33をその上方に配備した受止具34によって受け止めるように構成したことにより、トラクタの下腹部に装備したモーア21が作業地の部分的な隆起部などに乗り上げた場合には、車体フレーム1に対する第2リンク機構22の上昇揺動によるモーア21の上昇変位を許容することができる。又、受止具34によって左右の後リンク24の下降揺動を阻止した状態においても、リフトシリンダの作動によって左右の下部リンク20を下降揺動させることができる。
図1〜6に示すように、モーア21は、対応する縦向きの回転軸36と平面視右回りに一体回転する3枚のブレード(図示せず)、及び、これらのブレードを上方から覆うモーアデッキ38、などを備えている。モーアデッキ38の上部には、ブレード駆動用の伝動機構39を配備している。又、伝動機構39の左右両端部を上方から覆う左右の伝動カバー40を着脱可能に取り付けている。モーアデッキ38は、その前上部38Aをモーアデッキ38の左右にわたって上向きに膨出形成することにより、その前上部38Aの内部を刈草用の搬送経路38Bとして使用することができるように構成している。そして、その搬送経路38Bの終端となるモーアデッキ38の右端に排出口38Cを形成し、排出カバー41を装備している。
つまり、モーア21は、3枚のブレードによって刈り取った草を、各ブレードの回転に伴って発生する搬送風により、モーアデッキ38における前上部38Aの搬送経路38Bを通して、右端の排出口38Cから外部に排出するサイドディスチャージ仕様に構成している。
モーアデッキ38は、その後部の左右両端箇所に高さ調節可能なゲージ輪42を配備している。又、その前部の左右中央箇所と左右両端箇所とに案内ローラ43を配備している。そして、左右中央の案内ローラ43を支持する左右一対の第1ブラケット44に、左右の前リンク23を上下揺動可能に枢支連結している。モーアデッキ38の後部には、車体フレーム1に上下揺動可能に枢支連結した左右の後リンク24の遊端部との係合連結を可能にする左右一対の係合部材としての第2ブラケット45を立設している。
伝動機構39は、モーアデッキ38の中央に配備した伝動ケース46から後向きに延出した入力軸47、伝動ケース46の内部においてモーアデッキ38の中央に配備した回転軸36と入力軸47とを連動連結する一組のベベルギヤ(図示せず)、中央の回転軸36と一体回転する駆動プーリ48、モーアデッキ38の左右両部に配備した左右の回転軸36と一体回転する左右の従動プーリ49、駆動プーリ48の後方に配備したテンションプーリ50、及び、それらのプーリ48〜50に巻き掛けた伝動ベルト51、などを備えて、入力軸47に伝達された動力を各回転軸36に伝達することによって、各回転軸36とともに各ブレードを平面視右回りに回転駆動するベルト伝動式に構成している。
伝動機構39の入力軸47には、トラクタの第2動力取出軸17からの動力を、第1自在継手52、伸縮自在に構成した中継伝動軸53、及び、第2自在継手54、などを介して伝達している。
左右の伝動カバー40は、左右の前輪4のモーア21の乗り越えを可能にするために、モーアデッキ38における前輪乗り越え走行箇所に前輪4の乗り越えを許容する高い強度を有する状態で配備している。又、モーアデッキ38に取り付けた状態では、モーアデッキ38における前上部38Aの上面と各伝動カバー40の上面とが略同じ高さになるように構成している。
この構成から、トラクタの下腹部にモーア21を位置させる場合には、左右の前輪4がモーア21の後方から対応する伝動カバー40の上方を通ってモーア21を乗り越えるようにトラクタを前進させる乗り越え前進走行を行うことにより、モーア21をトラクタの横外方から左右の前輪4と左右の後輪5との間に押し込む、といった手間を要することなく、モーア21をトラクタの下腹部に簡単に配置することができる。
逆に、トラクタの下腹部からモーア21を取り出す場合には、左右の前輪4がモーア21の前方から対応する伝動カバー40の上方を通ってモーア21を乗り越えるようにトラクタを後進させる乗り越え後進走行を行うことにより、モーア21を左右の前輪4と左右の後輪5との間からトラクタの横外方に引き出す、といった手間を要することなく、モーア21をトラクタの下腹部から簡単に取り出すことができる。
各伝動カバー40における上面の内端側箇所には、伝動カバー40の前後両端にわたって対応する前輪4を案内するガイド板を兼ねる補強部材55を溶接している。これにより、左右の各伝動カバー40の強度を高めながら、左右の前輪4が、モーア21を乗り越える際に、左右の伝動カバー40に対して左右方向に位置ズレする不都合の発生を抑制することができる。
図2に示すように、モーアデッキ38は、その前上部38Aにおける左右の伝動カバー40の前方箇所に平板状の滑止部材56を貼り付けている。これにより、トラクタを乗り越え前進走行させる場合には、左右の滑止部材56を指標にすることができ、乗り越え前進走行をより簡単に適正に行うことができる。又、左右の前輪4が、モーアデッキ38の前部38Aに対して乗り降りする際に生じる虞のあるモーアデッキ38に対する各前輪4の滑りを抑制することができ、その滑りに起因してモーア21が後方に押し出される虞を回避することができる。
図1〜6に示すように、第2リンク機構22において、左右の前リンク23は、それらの遊端部である前端部を左右向きの連結軸57を介して連結している。そして、その連結軸57を介した車体フレーム1の前端部との係合連結が可能となるように構成している。又、左側の前リンク23と左側の第1ブラケット44との間には、左右の前リンク23を、モーア21から所定の角度で前上がり傾斜する連結姿勢に復帰付勢することにより、連結軸57を所定の高さ位置に維持する付勢手段58を介装している。付勢手段58は、左側の前リンク23に備えた上側バネ受部23A、上側バネ受部23Aを貫通させた状態で左側の第1ブラケット44に上下揺動可能に連結したロッド59、及び、上側バネ受部23Aとロッド59に備えた下側バネ受部59Aとの間に位置するようにロッド59に外嵌した圧縮バネ60、などによって構成している。
一方、車体フレーム1の前端部には、左右の前輪4がモーア21を乗り越えた後の前進走行に伴って、第2リンク機構22の連結軸57に後方から係合する係合部材として機能するように形成した左右一対のブラケット61を垂下装備している。各ブラケット61には、それらの前端から後向きに凹入する係合部としての凹部61Aを形成している。又、各凹部61Aの前部側には、前進走行に伴って連結軸57を適正高さに案内する上下の案内部分61a,61b、及び、適正高さの連結軸57を受け止める受止部分61cを備えている。
つまり、トラクタ側の左右のブラケット61及びモーア側の連結軸57によって、左右の前輪4がモーア21の後方からモーア21を乗り越えた後の前進走行に伴って、連結軸57を各ブラケット61の凹部61Aに係入案内して凹部後端の受止部分61cに到達させることにより、モーア側の左右の前リンク23の遊端部を車体フレーム1の所定位置に係合連結する第1係合連結機構Aを構成している。
図1〜9に示すように、左右の後リンク24の後端部には、左右の後リンク24にわたる左右向きの連結軸62を備えている。連結軸62は、回転可能に左右の後リンク24の後端部を貫通している。又、連結軸62において、左右の後リンク24から横外方に突出する左右両端側部分の後リンク24との隣接箇所には、連結軸62を介して前後方向に一体揺動する左右一対の揺動アーム63を着脱可能にピン連結している。そして、その左右の揺動アーム63から更に横外方に突出する連結軸62の左右両端部が、左右の後リンク24の遊端部とモーア21に備えた左右の第2ブラケット45との係合連結を可能にする係合部である第1係合ピン64として機能するように構成している。
各揺動アーム63の遊端部には、遊端部から横外方に突出する第2係合ピン65と、左右の揺動アーム63を前方に揺動付勢する付勢手段66とを備えている。付勢手段66は、揺動アーム63の遊端側から後向きに延出した延出部63Aにウェイト67を装着して構成している。
一方、左右の第2ブラケット45は、それらの上下中間箇所において後端から前向きに凹入する第1凹部45Aと、第1凹部45Aの前端箇所において上向きに凹入する第2凹部45Bと、第1凹部45Aの前端箇所において下向きに凹入する第3凹部45Cとを備える側面視略C字状に形成している。
左右の第2ブラケット45において、第1凹部45Aは、その凹入方向の全長にわたって、揺動アーム63の長手方向に所定間隔をあけて配備した第1係合ピン64と第2係合ピン65との中心間距離と略同じ長さの上下幅を有するように形成している。これにより、第1凹部45Aに第1係合ピン64を係入する際の第1凹部45Aに対する第1係合ピン64の上下方向での多少の位置ズレを許容するようにしながら、第1凹部45Aに対して第1係合ピン64と第2係合ピン65とが上下に並んで同時に係入することを阻止するように構成している。第2凹部45Bは、第1係合ピン64が第2凹部45Bの上端縁に当接した場合に、連結軸62を支点にした揺動アーム63の揺動によって第2係合ピン65が第1凹部45Aの前端縁に当接することを許容するように、その凹入深さを設定した状態で形成している。第3凹部45Cは、その凹入深さが第2凹部45Bの凹入深さよりも浅くなるように形成している。
上記の構成から、トラクタの下腹部に第2リンク機構22を介してモーア21を連結する場合には、先ず、下限設定機構35及び昇降レバーを操作して、左右の後リンク24の遊端部に備えた左右の第1係合ピン64の高さ位置が、モーア21に備えた左右の第2ブラケット45との連結に適した高さ位置になるように、左右の後リンク24の下限位置を変更し、左右の後リンク24を下限位置まで下降させる。
ちなみに、第1係合ピン64の第2ブラケット45との連結に適した高さ位置とは、第1係合ピン64が第2ブラケット45に形成した第1凹部45Aの上下中間位置と車体の前後方向において対向する高さ位置、又は、第1係合ピン64が第2ブラケット45に形成した第1凹部45Aよりも低くなる高さ位置、などである。そして、第1凹部45Aの高さ位置は、モーア21における各ゲージ輪42の取り付け高さ(モーアデッキ38から下方への延出長さ)によって決まる刈り高さに応じて変化する。ここでは、モーア21の刈り高さを最低に設定した状態で、第1係合ピン64が第2ブラケット45に形成した第1凹部45Aの上下中間位置と車体の前後方向において対向する高さ位置を、第1係合ピン64の第2ブラケット45との連結に適した高さ位置としている〔図3、図4及び図9参照〕。
次に、前述した乗り越え前進走行を行う。すると、トラクタの前端部においては、左右の前輪4がモーア21を乗り越えた後の前進走行に伴って、トラクタ側の左右のブラケット61が、それらの上下いずれかの案内部分61a,61bにより、モーア側の連結軸57を、各ブラケット61の受止部分61cに対する適正高さに案内する。そして、トラクタがモーア21の連結位置に到達するのに伴って、左右のブラケット61が、それらの受止部分61cによって連結軸57を受け止める。
又、トラクタの前後中間部においては、左右の前輪4がモーア21を乗り越えた後の前進走行に伴って、左右の第1係合ピン64が、対応する第2ブラケット45の第1凹部45Aに後方から係入し、第1凹部45Aに沿って円滑に移動して第1凹部45Aの前端縁に当接する。又、これに連動して、左右の第2係合ピン46が、対応する付勢手段66の作用により、対応する第2ブラケット45の後端縁45Dに当接しながら、対応する第1凹部45Aに向けて第2ブラケット45の後端縁45Dに沿って円滑に移動する。
そして、左右の第1係合ピン64が対応する第1凹部45Aの前端縁に当接した後の前進走行に伴って、このときの左右の後リンク24の姿勢や、このときに左右の第1係合ピン64に作用するモーア21の接地抵抗などにより、左右の第1係合ピン64が、第1凹部45Aの前端縁に沿って円滑に上昇移動し、これにより、対応する第1凹部45Aの前端箇所から第2凹部45Bに係入して第2凹部45Bの上端縁に当接する。又、これに連動して、左右の第2係合ピン65が、対応する第1凹部45Aに後方から係入し、第1凹部45Aに沿って円滑に移動して第1凹部45Aの前端縁に当接する。
これにより、トラクタの前端部に備えた左右のブラケット61とモーア21に備えた左右の前リンク23を連結する連結軸57との係合連結、並びに、トラクタに備えた左右の後リンク24の第1係合ピン64及び第2係合ピン65とモーア21に備えた左右の第2ブラケット45との係合連結が完了する。
そして、これらの係合連結後にモーア21を接地させた作業用の前進走行を開始すると、この作業用の前進走行時には、前述した係合連結時と同様の作用によって、トラクタの前端部においては、左右のブラケット61の受止部分61cによって連結軸57を受け止める状態を維持することができ、又、トラクタの前後中間部においては、左右の第1係合ピン64が対応する第2凹部45Bの上端縁に当接する状態を維持することができる。
つまり、作業用の前進走行時には、トラクタ側の左右のブラケット61とモーア側の連結軸57との係合連結状態、並びに、トラクタ側の左右の第1係合ピン64及び第2係合ピン65とモーア側の左右の第2ブラケット45との係合連結状態を保持することができる。
一方、モーア21を接地させた作業用の後進走行時には、前述した係合連結時とは逆の作用によって、トラクタの前端部においては、トラクタ側の左右のブラケット61がモーア側の連結軸57から後方に離れようとし、又、トラクタの前後中間部においては、トラクタ側の左右の第1係合ピン64が対応する第2凹部45Bから下方に離脱しようとするが、このときの左右の第1係合ピン64の下方への移動に連動して、左右の第2係合ピン65が対応する第3凹部45Cに係入して第3凹部45Cの下端縁に当接することにより、左右の第1係合ピン64と第2係合ピン65とにわたる左右の揺動アーム63の突っ張り作用を得ることができ、この作用により、左右の第1係合ピン64が対応する第2凹部45Bから離脱して第1凹部45Aに移動することを阻止することができる。又、これにより、トラクタ側の左右のブラケット61がモーア側の連結軸57から後方に離れることを阻止することができる。
その結果、作業用の後進走行時においても、トラクタ側の左右のブラケット61とモーア側の連結軸57との係合連結状態、並びに、トラクタ側の左右の第1係合ピン64及び第2係合ピン65とモーア側の左右の第2ブラケット45との係合連結状態を保持することができる。
そして、これらの作業用の走行時に、第2リンク機構22の下降操作やモーア21の隆起部への乗り上げなどのように、左右の第1係合ピン64を対応する第2凹部45Bから離脱させる方向に左右の後リンク24とモーア21とを相対変位させようとする動きが生じた場合にも、左右の第2係合ピン65が対応する第3凹部45Cに係入して第3凹部45Cの下端縁に当接することにより、前述した左右の揺動アーム63の突っ張り作用を得ることができ、この作用によって左右の第1係合ピン64の第2凹部45Bからの離脱を阻止することができる。又、左右の第2係合ピン65が第3凹部45Cに係入することにより、左右の後リンク24とモーア21とを相対変位させようとする動きの影響を受けて左右の後リンク24が後方に揺動することを阻止することができ、この後方揺動に起因して、左右の第2係合ピン65が第1凹部45Aの前端箇所から後方に移動して左右の第1係合ピン64の第2凹部45Bからの離脱を許容する虞を未然に回避することができる。
その結果、作業走行中に第2リンク機構22の下降操作が行われた場合やモーア21が隆起部に乗り上げた場合などにおいても、トラクタ側の左右のブラケット61とモーア側の連結軸57との係合連結状態、並びに、トラクタ側の左右の第1係合ピン64及び第2係合ピン65とモーア側の左右の第2ブラケット45との係合連結状態を保持することができる。
つまり、トラクタ側の左右の揺動アーム63と左右の第1係合ピン64と左右の第2係合ピン65、及び、モーア側の左右の第2ブラケット45、などによって、左右の前輪4がモーア21の後方からモーア21を乗り越えた後の前進走行に伴って、左右の第1係合ピン64を左右の第2ブラケット45の第1凹部45A及び第2凹部45Bに係入案内し、かつ、左右の第2係合ピン65を左右の第2ブラケット45の第1凹部45Aに係入案内して、左右の第1係合ピン64を左右の第2凹部45Bの上端縁に当接させるとともに、左右の第2係合ピン65を左右の第1凹部45Aの前端縁に当接させることにより、トラクタ側の左右の後リンク24の遊端部をモーア21の所定位置に係合連結するとともに、その係合連結状態の保持と第1係合連結機構Aによる係合連結状態の保持とを行う第2係合連結機構Bを構成している。
そして、このようにしてトラクタの下腹部に第2リンク機構22を介してモーア21を連結した後、トラクタの第2動力取出軸17を、第1自在継手52、中継伝動軸53、及び、第2自在継手54、などを介してモーア側の入力軸47に連動連結することにより、草刈り作業を可能にすることができる。
尚、この実施形態では、左右の第1凹部45Aを、その凹入方向の全長にわたって前述した上下幅を有するように形成し、又、連結前に設定する第1係合ピン64の第2ブラケット45との連結に適した高さ位置を、第1係合ピン64が第2ブラケット45に形成した第1凹部45Aの上下中間位置と車体の前後方向において対向する高さ位置としたことにより、前述した乗り越え前進走行において、例えば、その場所における地面の起伏などに起因したモーア21に対するトラクタの車体高さや走行姿勢の変化などにより、左右の前輪4がモーア21を乗り越えたときの左右の第1係合ピン64の高さ位置が、モーア21を乗り越える前の高さ位置から上下方向に多少変化した場合であっても、その後の前進走行に伴って、左右の第1係合ピン64を対応する第1凹部45Aの前端箇所まで円滑かつ確実に係入させることができる。
図1、図2、図8及び図10に示すように、搭乗運転部3には、第2係合連結機構Bが保持する係合連結状態の搭乗運転部3からの解除を可能にする操作具Cとしての解除ペダル71を配備している。解除ペダル71は、車体フレーム1に備えた左右向きの支軸72を支点にして上下揺動し、支軸72に外嵌したねじりバネ73の作用により、車体フレーム1に備えたストッパ74に当接する踏み込み解除位置に自動復帰するように構成している。そして、その下方への踏み込み操作に連動して、第2係合連結機構Bの左右の揺動アーム63が対応する付勢手段66の作用に抗して後方に揺動するように、左右の揺動アーム63に連係機構75を介して連係している。連係機構75は、解除ペダル71と一体揺動する操作アーム76と、左右の揺動アーム63と連結軸62を介して一体揺動する連係アーム77とを、レリーズワイヤ78を介して操作連係することによって構成している。レリーズワイヤ78は、右側の後リンク24に沿って配索している。
この構成から、トラクタの下腹部に第2リンク機構22を介して連結したモーア21を取り外す場合には、先ず、トラクタの第2動力取出軸17とモーア側の入力軸47との連動連結を解除するために、第1自在継手52、中継伝動軸53、及び、第2自在継手54、などを取り外す。次に、昇降レバーを操作してモーア21を浮上させた後、解除ペダル71を踏み込み操作して左右の揺動アーム63を後方に揺動させる。すると、左右の第2係合ピン65が対応する第2ブラケット45における第1凹部45Aの前端箇所から後方に変位して、左右の第1係合ピン64の対応する第2凹部45Bからの離脱を許容する。
そして、この操作状態を維持しながら、昇降レバーを操作してモーア21を下降させると、モーア21が接地した後の各後リンク24の下降揺動に伴って、左右の第1係合ピン64が対応する第2凹部45Bから離脱して第1凹部45Aに移動する。又、これに連動して左右の第2係合ピン65が対応する第1凹部45Aに沿って後方に変位する。
その後、前述した乗り越え後進走行を行うと、左右の前輪4がモーア21に乗り上がる前の後進走行に伴って、トラクタの前後中間部においては、左右の第1係合ピン64及び左右の第2係合ピン65が後方に移動して第1凹部45Aから離脱する。
一方、トラクタの前端部においては、トラクタ側の左右のブラケット61がモーア側の連結軸57に対して後方に移動して、それらの凹部61Aからモーア側の連結軸57を離脱させる。
これにより、トラクタ側の左右のブラケット61とモーア側の連結軸57との係合連結状態での保持、並びに、トラクタ側の左右の第1係合ピン64及び第2係合ピン65とモーア側の左右の第2ブラケット45との係合連結状態での保持とを解除することができ、それらの係合連結状態を解除することができる。そして、その後の後進走行によって左右の前輪4がモーア21を乗り越えることにより、モーア21をトラクタの前方に取り出すことができる。
つまり、搭乗運転部3において昇降レバーの操作や解除ペダル71の踏み込み操作などを行うことにより、トラクタとモーア21との第2リンク機構22を介した連結を解除することができ、トラクタの下腹部からトラクタの前方にモーア21を取り出すことができる。
〔別実施形態〕
〔1〕乗用作業車としては、ミッドマウント式のモーア21の着脱が可能となるように構成した乗用草刈機などであってもよい。又、モーア専用の油圧式昇降機構、又は、モーア21の昇降を人力で行うモーア専用の手動式昇降機構、などを備えたものであってもよい。
〔2〕ミッドマウント式の作業装置21としては、左右の前輪4の乗り越えを可能に構成した集草装置などであってもよい。
〔3〕ミッドマウントモーア21としては、刈り取った草をモーアの後端に形成した排出口から後方に排出するリアディスチャージ仕様に構成したものであってもよい。又、ブレードによって刈り取った草を、モーアデッキ38の内部において流動させて細断した後に、モーアデッキ38の底部の開口から下方の地面に落下させるマルチング仕様に構成したものであってもよい。更に、ミッドマウントモーア21に備えるブレードの数量やブレードに対する伝動構造などは種々の変更が可能である。
〔4〕左右の前リンク23を車体フレーム1の前部に枢支連結し、左右の前リンク23とモーア(ミッドマウント式の作業装置)21との連結構造として、上記実施形態にて例示した左右の後リンク24とモーア21との連結構造を採用してもよい。この場合、左右の後リンク24を作業装置21の後部に枢支連結し、左右の後リンク24と車体フレーム1との連結構造として、上記実施形態にて例示した左右の前リンク23と車体フレーム1との連結構造を採用してもよい。
〔5〕作業装置21の連結構造としては、第1係合ピン64を左右の揺動リンク23,24にそれぞれ独立して備えるように構成したものであってもよい。又、第2係合ピン65を左右の揺動アーム63にわたって架設するように構成したものであってもよい。更に、付勢手段66を備えずに、第2係合ピン65の重量で揺動アーム63を前方に揺動付勢するように構成してもよい。
〔6〕付勢手段66として、ねじりバネや引張バネなどを採用し、それらの作用による揺動アーム63の前方への揺動を制限するストッパなどを備えるように構成してもよい。
〔7〕ミッドマウント式の作業装置21に立設する左右の係合部材45の形状、各係合部材45に形成する第1凹部45Aの凹入長さや上下幅、及び、第2凹部45Bや第3凹部45Cの凹入深さ、などは種々の変更が可能である。
〔8〕操作具Cとして、位置保持可能に構成した操作ペダルや操作レバーなどを採用してもよい。
〔9〕付勢手段58としてねじりバネを採用し、その作用による揺動リンク23,24の上方への揺動を制限するストッパなどを備えるように構成してもよい。
〔10〕車体フレーム1に垂下装備する左右の係合部材61の形状、及び、各係合部材61に形成する凹部61Aの凹入長さは種々の変更が可能である。