なお、本明細書中にあって持玉とは、遊技客が遊技において獲得した遊技媒体または当該遊技媒体数を示すデータであって、その当日中(閉店より前の時間)のみ遊技に再度供することができるものを言う。貯玉とは、遊技客が遊技において獲得した遊技媒体また当該遊技媒体数を示すデータであって、翌日以降(閉店より後の時間)も遊技に再度供することができるものを言う。持玉は、一般遊技客および会員遊技客の双方が使用可能であり、遊技機を移動した場合などに使用する。貯玉は通常、会員遊技客のみが使用可能であり、獲得した遊技媒体を翌日以降の遊技に用いる場合に使用する。貯玉の使用には所定の手数料が課される(手数料は遊技媒体数を減算することで徴収される)ことが通常であるが、時間帯や会員種別によって徴収しないこととしても良い。
まず、本実施例1に係る封入式遊技機及び遊技管理方法の概念について説明する。図1は、本実施例1に係る封入式遊技機及び遊技管理方法の概念を説明するための説明図である。
図1に示す封入式遊技機20は、玉貯留部28aに内部循環玉として遊技玉を貯留する。遊技玉は、ハンドル21が操作された場合に発射機構より遊技盤面に向けて発射される。発射された遊技玉のうち、遊技盤面に到達した遊技玉は、遊技盤面を経由して玉貯留部28aに戻る。また、発射された遊技玉のうち、遊技盤面に到達しなかった遊技玉は、ファール玉として玉貯留部28aに戻る。
封入式遊技機20は、遊技玉の発射を検知する発射センサ27aと、ファール玉を検知するファールセンサ27cとを有する。また、遊技盤面に到達した遊技玉が、遊技盤面に設けられた所定の入賞領域を通過した場合に、該通過を検知する入賞センサ27bを有する。
封入式遊技機20の持玉管理部26bは、遊技盤面に遊技玉を発射することができる回数を持玉数として管理している。持玉管理部26bは、発射センサ27aにより遊技玉の発射を検知した場合に、持玉数から「1」を減算し、入賞センサ27bにより遊技玉の入賞領域通過を検知した場合に、持玉数に所定数を加算する。また、持玉管理部26bは、ファールセンサ27cによりファール玉を検知した場合には持玉数に「1」を加算する。
封入式遊技機20の発射制御部26cは、持玉管理部26bにより管理される持玉数に基づいて遊技玉の発射を制御する。具体的には、発射制御部26cは、持玉数が「0」より大きい状態でハンドル21が操作された場合に遊技玉を発射し、持玉数が「0」である状態では遊技玉の発射を禁止する制御を行う。
このように、遊技盤面に遊技玉を発射することができる回数を持玉数として管理し、持玉数が「0」となった場合には遊技玉の発射を禁止するよう制御するので、内部循環玉を使用する封入式遊技機であっても、持玉数に基づいた遊技の管理が可能となる。
次に、本実施例1に係る遊技システムのシステム構成について説明する。図2は、実施例1に係る遊技システムのシステム構成を示す図である。同図に示すように、この遊技システムは、複数の封入式遊技機20と、各封入式遊技機20にそれぞれ対応して設けられた台間カード処理機10と、カード管理装置40と、会員管理装置50と、景品管理装置70と、精算機80とが通信回線90を介して接続されている。
封入式遊技機20は、装置内部に封入された遊技玉を遊技盤面に打ち込んで遊技を行う装置である。この封入式遊技機20は、台間カード処理機10が玉貸し処理を行った場合に持玉数を加算し、持玉が存在する範囲で、遊技盤面に遊技玉を打ち込むことができる。当該遊技盤面には、複数の入賞領域(入賞口)が設けられており、当該入賞領域を遊技玉が通過したことに基づいて所定個数の遊技玉を賞玉として付与するようになっている。また、遊技領域には、所定個数の始動領域(始動口)が設けられており、当該始動領域を遊技玉が通過したことに基づいて所定の抽選を行うこととなっている。当該抽選が大当りとなれば、所定の可動部材等の作動により、前述の入賞領域あるいは他の始動領域への遊技玉の通過確率を向上する等、遊技上有利となる作動が行われる。なお、始動領域と入賞領域を兼ねた領域があってもよい。
上記入賞領域には、当該入賞領域への遊技玉の通過を検出するために入賞センサ27bが設けられており、入賞センサ27bにより入賞領域へ打ち込まれた遊技玉の通過(入賞)を検知するようになっている。また、封入式遊技機20の制御装置は、入賞領域ごとに何個の遊技玉を賞玉として付与するかを記憶する賞玉メモリを有している。
したがって、打ち込んだ遊技玉の特定の入賞領域への通過が入賞センサ27bにより検知されると、賞玉メモリの記憶内容と、入賞領域を通過した遊技玉数から付与すべき賞玉数を決定し、決定した賞玉数を持玉数に加算する。
また、封入式遊技機20は、台間カード処理機10から持玉返却指示を受信した場合には、自装置で管理していた持玉数を台間カード処理機10に通知して、持玉数を「0」にクリアする。
台間カード処理機10は、プリペイド価値の管理、遊技玉の貸し出し、カード返却処理、カード管理装置40及び会員管理装置50との通信を行う。台間カード処理機10は、遊技客が投入した紙幣を受け付けたならば、この紙幣分のプリペイド価値を記憶するととともに、所定の玉貸し操作がなされたならば、所定数のプリペイド価値を減算しつつ、減算したプリペイド価値分に対応する持玉数を封入式遊技機20に加算させる。
また、台間カード処理機10は、カードを受け付けたならば、該カードに関連付けられたプリペイド価値、持玉数及び貯玉数を記憶する。台間カード処理機10は、持玉再プレイ操作を受け付けると、自装置が管理する持玉数を所定数減算し、減算した持玉数を封入式遊技機20に送信する。すなわち、持玉再プレイを受け付ける度に、台間カード処理機10が管理していた持玉数が所定数ずつ封入式遊技機20の管理下に移されることとなる。
また、台間カード処理機10は、貯玉再プレイ操作を受け付けると、自装置が管理する貯玉数を所定数減算し、減算した貯玉数に対応する持玉数を封入式遊技機20に送信する。すなわち、貯玉再プレイを受け付ける度に、台間カード処理機10が管理していた貯玉数が所定数ずつ持玉数に変換され、封入式遊技機20の管理下に移されることとなる。
台間カード処理機10は、所定の遊技終了操作を受け付けたならば、封入式遊技機20に対して持玉返却指示を送信して封入式遊技機20が管理する持玉数の通知を受け、台間カード処理機10が管理していた持玉数に加算する。そして、カード返却操作を受け付けたならば、自装置が管理するプリペイド価値、持玉数及び貯玉数をカードに関連付けて排出する処理を行う。なお、遊技終了操作を受け付けた場合に、カードの排出までを連動して行うこととしてもよい。
島コントローラ30は、遊技島に設けられた一群の封入式遊技機20及び台間カード処理機10を束ねる中継装置である。カード管理装置40は、カードのプリペイド価値及び持玉数等をカードデータとして管理する管理装置である。
カード管理装置40は、台間カード処理機10からカードID及び持玉数を受信したならばカードデータを更新し、台間カード処理機10からカードIDを受信したならば、該カードIDに関連付けられた持玉数を台間カード処理機10に通知する。また、カード管理装置40は、景品管理装置70からカードIDを受信したならば、このカードIDに関連付けられた持玉数を景品管理装置70に対して通知する。さらに、精算機80からカードIDを受信したならば、このカードIDに関連付けられたプリペイド価値を精算機80に対して通知する。
会員管理装置50は、遊技店に会員登録された会員の会員データを管理する管理装置である。具体的には、会員に対して発行した会員カードIDに関連づけて、貯玉数、ポイント、暗証番号及び氏名等を管理する。
会員管理装置50は、台間カード処理機10から会員カードIDを受信したならば、該会員カードIDに対応する貯玉数を台間カード処理機10に通知する。また、会員管理装置50は、景品管理装置70から会員カードIDを受信したならば、この会員カードIDに関連付けられた貯玉数を景品管理装置70に対して通知する。また、会員管理装置50は、景品管理装置70から会員カードID及び貯玉数を受信したならば、この会員カードIDに対応する貯玉数を景品管理装置70に対して通知する。
精算機80は、プリペイド価値が対応付けられたカードが挿入されると、このカードのカードIDをカード管理装置40に送信し、該カードに関連付けられたプリペイド価値を取得し、取得したプリペイド価値に相当する現金の払出を行う。
景品管理装置70は、遊技店内の景品交換カウンタに併設された景品交換用の端末装置であり貯玉及び持玉の景品交換処理を行う。この景品管理装置70には、カードのカードIDを読み取るリーダライタ及び景品を払い出す景品払出装置が接続されている。景品管理装置70は、リーダライタが一般カード又は会員カードを受け付けた場合には、リーダライタで読み出したカードのカードIDをカード管理装置40に送信して、該カードの持玉数を要求する。また、貯玉を景品交換する場合は、会員管理装置50に対して貯玉数を要求する。
次に、図2に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20の外観構成について説明する。図3は、図2に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20の外観構成を示す図である。同図には紙幣のみを受け付ける台間カード処理機10を図示したが、硬貨受け付け用のユニットを設けることもできる。
図3に示すように、台間カード処理機10は、台間カード処理機10の装置の状態を所定色のランプの点灯あるいは点滅で表示する状態表示部11と、遊技玉を貸し出す際の各種紙幣を受け付ける紙幣挿入口12とを有する。また、台間カード処理機10は、ディスプレイなどの表示部並びにテンキーや各種ボタンを含む操作部からなる表示操作部13と、カードID、プリペイド価値、貯玉データ及び持玉データが記憶されたカードを受け付けるカード挿入口14とが設けられている。
また、封入式遊技機20には、封入された遊技玉を遊技領域に打ち込む際に使用するハンドル21と、プリペイド価値の残数を表示するプリペイド価値表示部15と、持玉数を表示する持玉数表示部16とが設けられている。また、プリペイド価値から持玉への移行を指示するための玉貸しボタンと、カード返却を指示するためのカード返却ボタンとが設けられている。その詳細な説明は後述するが、このプリペイド価値表示部15及びカード返却ボタンは、封入式遊技機20の前面に設けられているものの、台間カード処理機10の制御部に直結されている。
次に、図2に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20の内部構成について説明する。図4は、図2に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20の内部構成を示すブロック図である。図4に示すように、台間カード処理機10は、表示操作部13と、リーダライタ10aと、紙幣搬送部10bと、通信部10cと、記憶部10eと、制御部10fとを有する。
リーダライタ10aは、カード挿入口14に挿入されたカードに記憶されたカードIDを読み取る読取部である。なお、カード挿入口14に挿入されたカードは、このリーダライタ10aを経て図示しないカード収納部に収納される。
紙幣搬送部10bは、紙幣挿入口12から挿入された紙幣の金種及び真偽を判別しつつ図示しない紙幣収納部に搬送する搬送部である。通信部10cは、封入式遊技機20及び通信回線90との間のデータ通信を行うためのインタフェース部である。
通信部10cは、持玉数のデータを暗号化して送受信するための第1のインタフェースと、各種操作信号並びに台間カード処理機10が保持する各種情報を封入式遊技機20の表示部に表示するための第2のインタフェースとを有する。
第1のインタフェースは、セキュリティチップ部を有している。セキュリティチップ部は、自己の識別ID及び所定の暗号化・復号化プログラムを有するものであり、後述する封入式遊技機20のセキュリティチップ部との間で通信を行うためのものである。セキュリティチップ部は、持玉数等のセキュリティ性を要するデータの送受信に際し、自己の識別IDと相手方の識別IDを用いて、封入式遊技機20のセキュリティチップ部との間で相互認証処理を行う。ここで相互認証OKであれば、送信の場合は暗号化プログラムにより暗号化したデータを送信し、受信の場合は、相手方からのデータの受信待ちとなって、受信したデータの復号化を行う。
封入式遊技機20のセキュリティチップ部との間では、予め暗号化・復号化方式が取り決められており、相互に相手方が暗号化したデータを復号化することが可能となっている。また、暗号鍵については、日毎、封入式遊技機20の起動毎等で変更される。台間カード処理機10と封入式遊技機20との認証に際し、台間カード処理機10は、封入式遊技機20からIDを取得する。封入式遊技機20のIDは、封入式遊技機内のCPUを管理する番号等を用いる。
相互認証にてNGとなった場合には、相互認証NGを検知した機器(遊技機あるいは台間カード処理機)は上位装置および自機の表示部に異常を出力した上で、エラーダウンする。なお、通信部10cは、封入式遊技機20のセキュリティチップ部と割り込み処理単位で相互に正当性を確認する処理を行っている。
記憶部10eは、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、カードID10e1、持玉データ10e2、貯玉データ10e3及びプリペイド価値データ10e4を記憶する。カードID10e1は、リーダライタ10aで読み取られたカードIDである。図示しないカード収納部からカード挿入口14にカードが搬送され、該カードが排出される場合には、この搬送途中でリーダライタ10aにより読み取られたカードIDによりカードID10e1が更新される。また、カード挿入口14から図示しないカード収納部にカードが搬送される場合にも、この搬送途中でリーダライタ10aにより読み取られたカードIDによりカードID10e1が更新される。
持玉データ10e2は、台間カード処理機10が管理する持玉数を示すデータであり、貯玉データ10e3は、台間カード処理機10が管理する貯玉数を示すデータである。プリペイド価値データ10e4は、遊技客の現時点のプリペイド価値の残数であり、紙幣又はカードの投入により加算され、持玉数への移行により減算される。
制御部10fは、台間カード処理機10を全体制御する制御部であり、データ管理部10f1、紙幣処理部10f2、カード処理部10f3、判定部10f4及び音量調整部10f5を有する。また、この制御部10fには、プリペイド価値表示部15及びカード返却ボタンが直結されている。
データ管理部10f1は、記憶部10eに記憶した持玉データ10e2、貯玉データ10e3及びプリペイド価値データ10e4を管理する。このデータ管理部10f1は、紙幣挿入口12に紙幣が挿入されると、この紙幣分に相当するプリペイド価値をプリペイド価値データ10e4に加算する。
同様に、データ管理部10f1は、カード挿入口14にカードが挿入されると、このカードに関連付けられたプリペイド価値をプリペイド価値データ10e4に加算する。また、カードID10e1をカード管理装置40に送信し、該カードIDに対応する持玉数をカード管理装置40から受け取って、持玉データ10e2として記憶する。同様に、カードID10e1を会員管理装置50に送信し、該カードIDに対応する貯玉数を会員管理装置50から受け取って、貯玉データ10e3として記憶する。
データ管理部10f1は、封入式遊技機20の玉貸しボタンが押下操作されると、プリペイド価値データ10e4を所定数(例えば、10度数)減算し、対応する数の持玉数を追加するよう封入式遊技機20に通知する。
データ管理部10f1は、持玉再プレイ操作を受け付けると、持玉データ10e2が示す持玉数を所定数減算し、減算した持玉数を封入式遊技機20に送信する。同様に、データ管理部10f1は、貯玉再プレイ操作を受け付けると、貯玉データ10e3が示す貯玉数を所定数減算し、減算した貯玉数に対応する持玉数を封入式遊技機20に送信する。
また、カード返却ボタンが押下操作されたならば、データ管理部10f1は、封入式遊技機20が記憶する持玉データ23bを取得し、該持玉データ23bが示す持玉数を持玉データ10e2に加算する。そして、カードID10e1及び持玉データ10e2をカード管理装置40に送信してカードデータ更新依頼を行うとともに、カードID10e1及び貯玉データ10e3を会員管理装置50に送信して会員データ更新依頼を行う。
紙幣処理部10f2は、紙幣挿入口12から受け付けた紙幣を搬送制御しつつ該紙幣の金種識別及び真偽識別を行った後に、該紙幣を図示しない紙幣収納部に収納する処理部である。紙幣処理部10f2は、受け付けた紙幣が真正な紙幣であると識別した場合には、金種に対応する価値をデータ管理部10f1に通知し、プリペイド価値の加算を行わせる。
カード処理部10f3は、カード挿入口14からカードを受け付けたならば、リーダライタ10aによりカードIDを読み取らせる。そして、このカードID10e1を記憶部10eに格納し、カードIDに関連付けられたプリペイド価値をプリペイド価値データ10e4に加算する。また、カード処理部10f3は、カード返却ボタンが押下操作され、データ管理部10f1によりカード管理装置40のカードデータ並びに会員管理装置50の会員データが更新された後に、プリペイド価値データ10e4をカードに関連付けてカード挿入口14から排出する。
判定部10f4は、周囲の環境を判定する処理部である。判定部10f4により判定される周囲の環境は、周囲の音量や遊技店が開店中であるか否か等である。音量調整部10f5は、判定部10f4による判定結果に基づいて、封入式遊技機20が出力する音声の音量を調整する処理部である。
具体的には、台間カード処理機10に設けたマイクにより集音した音量が所定値以下であると判定したとき、島コントローラ30から通知された周囲の音量が所定値以下であると判定したとき若しくは遊技店が閉店中であると判定したときに、封入式遊技機20に対して出力する音量を下げるよう制御を行う。
封入式遊技機20は、通信部22、持玉数表示部16、発射センサ27a、入賞センサ27b、ファールセンサ27c、発射機構28、スピーカ29、記憶部23及び25、遊技制御部24並びに制御部26を有する。
通信部22は、持玉数のデータを暗号化して送受信するための第1のインタフェースと、各種操作信号並びに台間カード処理機10が保持する各種情報を封入式遊技機20の表示部に表示するための第2のインタフェースとを有する。
第1のインタフェースは、セキュリティチップ部を有している。セキュリティチップ部は、自己の識別ID及び所定の暗号化・復号化プログラムを有するものであり、台間カード処理機10のセキュリティチップ部との間で通信を行うためのものである。セキュリティチップ部は、持玉数等のセキュリティ性を要するデータの送受信に際し、自己の識別IDと相手方の識別IDを用いて、台間カード処理機10のセキュリティチップ部との間で相互認証処理を行う。ここで相互認証OKであれば、送信の場合は暗号化プログラムにより暗号化したデータを送信し、受信の場合は、相手方からのデータの受信待ちとなって、受信したデータの復号化を行う。
台間カード処理機10のセキュリティチップ部との間では、予め暗号化・復号化方式が取り決められており、相互に相手方が暗号化したデータを復号化することが可能となっている。また、暗号鍵については、日毎、封入式遊技機20の起動毎等で変更される。台間カード処理機10と封入式遊技機20との認証に際し、台間カード処理機10に封入式遊技機20のIDを送信する。
相互認証にてNGとなった場合には、相互認証NGを検知した機器(遊技機あるいは台間カード処理機)は上位装置および自機の表示部に異常を出力した上で、エラーダウンする。なお、通信部22は、台間カード処理機10のセキュリティチップ部と割り込み処理単位で相互に正当性を確認する処理を行っている。
持玉数表示部16は、封入式遊技機20の制御部26と接続されている。持玉数表示部16は、記憶部25に記憶された持玉データ23b示す持玉数を表示する表示部である。プリペイド価値表示部15は、封入式遊技機20の前面に設けられており、台間カード処理機10の制御部10fに直結している。プリペイド価値表示部15は、台間カード処理機10の記憶部10eに記憶されたプリペイド価値データ10e4の残度数を表示する表示部である。
発射機構28は、ハンドル21が操作された場合に、発射待機領域に所在する遊技玉を遊技盤面に向けて発射する機構である。発射センサ27aは、発射機構28と遊技盤面との間に設けられ、発射機構28による遊技玉の発射を検知するセンサである。
ファールセンサ27cは、遊技盤面に向けて発射された遊技玉のうち、遊技盤面に未到達となった遊技玉(ファール玉)を発射待機領域に戻して再使用可能な状態に還元する還元路に設けられ、ファール玉を検知するセンサである。入賞センサ27bは、遊技盤面に設けられた所定の入賞領域を遊技玉が通過した場合に、該通過を検知するセンサである。
スピーカ29は、制御部26と接続された音声出力部であり、遊技客や店員に対する各種報知に用いられる。かかる報知としては、封入式遊技機20の扉を開けたときの警報が含まれる。
封入式遊技機20の記憶部23及び記憶部25は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスである。記憶部23は、遊技管理データ23aを記憶する。遊技管理データ23aは、封入式遊技機20の遊技処理の管理に使用するデータである。記憶部25は、持玉データ23bを記憶する。持玉データ23bは、封入式遊技機20が管理する現時点での持玉数を示すデータである。
遊技制御部24は、記憶部23及び制御部26と接続し、封入された遊技玉を用いた遊技を制御する制御部である。制御部26は、通信制御部26a、持玉管理部26b、発射制御部26c及び音声出力処理部26dを有する。通信制御部26aは、台間カード処理機10との通信並びに遊技制御部24との通信を制御する制御部である。持玉管理部26bは、持玉データ23bを管理する処理部である。
具体的には、持玉管理部26bは、台間カード処理機10から持玉に加算する玉数の通知を受けたならば、通知された玉数を加算して持玉データ23bを更新する。また、持玉管理部26bは、発射センサ27aが遊技玉の発射を検知する度に持玉数を「1」減算して持玉データ23bを更新する。また、持玉管理部26bは、ファールセンサ27cがファール玉を検知する度に持玉数を「1」加算して持玉データ23bを更新する。さらに、持玉管理部26bは、入賞センサ27bが入賞を検知する度に、賞玉数を持玉数に加算して持玉データ23bを更新する。
また、持玉管理部26bは、台間カード処理機10においてカード返却操作が行われたならば、持玉データ23bが示す持玉数を台間カード処理機10に送信し、持玉データ23bを零にクリアする。
発射制御部26cは、持玉データ23bが示す持玉数を監視し、持玉数が0となった場合に遊技玉の発射を禁止する制御を行う。このため、持玉数が0となった場合には、ハンドル21を操作しても遊技玉が発射されない若しくはハンドル21が操作できない状態となる。
音声出力処理部26dは、スピーカ29による音声出力を制御する処理部である。音声出力処理部26dは、音声の音量を、台間カード処理機10からの指示により変更可能である。
次に、遊技玉の発射制御について説明する。図5は、遊技玉の発射制御について説明するための説明図である。図5に示すように、遊技玉は玉貯留部28aに貯留され、シャッタ28bにより1玉ずつ発射待機領域28cに送られる。発射待機領域28cには1玉のみが所在可能である。
なお、図5に示した玉貯留部28aと発射待機領域28cとの間には、遊技玉をクリーニングする小型のクリーニングユニットが設けられている。遊技盤面に発射され、玉貯留部28aに戻ってきた遊技玉は、当該クリーニングユニットでクリーニングされたことを条件に発射待機領域28cに供給され、発射に供される。クリーニングユニットは、取り外し可能なカセット型に構成されることが好ましい。また、クリーニングユニットを玉貯留部28aと発射待機領域28cとの間に設けず、玉貯留部28aから発射待機領域28cに通じる通路と、玉貯留部28aからクリーニングユニットに通じる通路とを分岐させて設けてもよい。この場合には、遊技盤面に遊技玉が所定回数発射されたことを条件に、通路をクリーニングユニット側に切り替え、クリーニングユニットからクリーニング終了後の遊技玉を発射待機領域28cに供給することが好ましい。
クリーニングユニットは、研磨布又は洗浄液により遊技玉のクリーニングを行う。研磨布を用いる構成では、クリーニングユニットは、研磨布をこすり合わせて遊技玉の洗浄を行う。また、洗浄液を用いる構成では、クリーニングユニットは、遊技玉を洗浄液に浸すことで洗浄を行う。
ハンドル21が操作されると、発射機構28が発射待機領域28cに所在する遊技玉を遊技盤面に向けて発射する。遊技玉が発射されると、発射センサ27aが該発射を検知する。
発射された遊技玉は、遊技盤面に到達したならば、遊技盤面を経由して玉貯留部28aに戻る。また、遊技盤面に到達しなかった遊技玉は、ファール玉として還元路を通って還元される。この還元路には、ファールセンサ27cが設けられており、ファール玉の通過を検知する。
持玉数が「0」である場合には、発射機構28の動作停止により、遊技玉の発射を禁止する。発射機構28の動作停止を行った場合には、ハンドル21の操作は可能であるが、ハンドル21を操作しても発射機構28が動作せず、遊技玉が発射されない。
図6は、発射機構28が有する発射制御回路28fのブロック図である。図6に示すように、発射制御回路28fは、整流回路281と、定電圧回路282と、電源確認回路283と、タッチプレート284と、タッチ判定回路285と、ドライバ286と、リレー動作確認回路287と、出力リレー回路288とを有する。
整流回路281は、発射制御回路28fに供給される交流24Vを直流に整流する回路である。定電圧回路282は、直流に整流された整流出力(入力電圧)や負荷の変動に対して安定的に一定の設定された電圧(例えば、12V)を供給する回路である。
電源確認回路283は、整流回路281及び定電圧回路282が正常に動作し所定の電源が供給されていることを確認する回路である。タッチプレート284は、ハンドル21に設けられ、遊技客による接触を検知する検知部である。
タッチ判定回路285は、内部に所定の周波数を発振させる発振回路及び該発振回路の出力を基にタッチプレート284に遊技客が接触したか否かを検出するタッチ入力検出回路を有し、遊技客による接触の有無を判定する回路である。
ドライバ286は、タッチ判定回路285の出力レベルを後述する出力リレー回路288を駆動するために十分な大きさまで増幅する増幅回路である。リレー動作確認回路287は、ドライバ286の動作が正常であることを確認する回路である。
出力リレー回路288は、ドライバ286によりドライブされたタッチ判定回路285の出力に基づいて、遊技玉発射用のモータに電源を供給する電源供給経路を開閉させる回路である。
具体的には、出力リレー回路288は、タッチ判定回路285により遊技客がタッチプレート284にタッチしたと判定された場合には、オン信号を出力して遊技玉発射用のモータを駆動し、遊技玉を発射させる。オン信号は、所定値以上の電圧(例えば7V)の信号である。また、タッチ判定回路285により遊技客がタッチプレート284にタッチしていないと判定された場合には、オフ信号を出力して遊技玉発射用のモータの駆動を停止し、遊技玉を発射させない。オフ信号は、所定値未満の電圧(例えば3V)の信号である。
さらに、出力リレー回路288は、発射制御部26cからの制御を受ける。具体的には、持玉数が「0」となり、発射制御部26cが遊技玉の発射を禁止した場合には、タッチ判定回路285からの出力に関わらず、出力リレー回路288はオフ信号を出力する。
また、台間カード処理機10と封入式遊技機20との間のセキュリティチェックがNGとなったときも、出力リレー回路288は、タッチ判定回路285からの出力に関わらずオフ信号を出力する。
なお、持玉数が「0」であるために出力リレー回路288からオフ信号を出力し、遊技玉の発射を禁止した場合には、表示制御や発射機構以外の遊技制御は続行する。変動中の保留表示など、持玉数が「0」であっても、遊技が完全に終了しているとは限らないためである。一方、セキュリティチェックがNGであるために出力リレー回路288からオフ信号を出力し、遊技玉の発射を禁止した場合には、他の遊技制御も停止し、表示制御もエラー表示に切り替える。
このように、発射機構28の動作停止により遊技玉の発射を禁止することができる。なお、遊技玉の発射禁止は、シャッタ28bの動作停止やハンドル21のロックによって実現してもよい。
シャッタ28bの動作停止を行った場合には、ハンドル21を操作することで発射機構28は動作するものの、発射待機領域28cに遊技玉が供給されないため、発射機構28は空打ちすることとなる。この場合、発射センサ27aからの信号に基づいて、遊技玉の残り数個分の開閉動作を1セットとして行なうことが好ましい。持玉数がちょうど0玉となった時点で正確に開閉動作を停止できるとは限らないためである。また、シャッタ28bの開閉動作では、遊技玉が挟まれる可能性のあるため、シャッタ28bの動作停止と発射機構28の動作停止とを組み合わせて用いてもよい。
ハンドル21のロックとは、ハンドル21の回動操作を不可能とし、発射された遊技玉を全てファール玉として回収する制御である。発射された遊技玉を全てファール玉として回収するため、持玉数が「0」となった場合に専用のファール通路を開くようにしてもよい。
次に、封入式遊技機20による発射制御の処理手順について説明する。図7は封入式遊技機20による発射制御の処理手順について説明するためのフローチャートである。図7に示すように、発射制御部26cは、持玉データ23bが示す持玉数が「0」より大きいか否かを判定する(ステップS101)。
持玉数が「0」であるならば(ステップS101;No)、発射制御部26cは、遊技玉の発射を禁止する(ステップS103)。一方、持玉数が「0」より大きければ(ステップS101;Yes)、発射制御部26cは、ハンドル21が操作されたか否かを判定する(ステップS102)。
ハンドル21が操作されたならば(ステップS102;Yes)、発射制御部26cは、発射機構28により遊技玉を発射する制御を行う(ステップS104)。遊技玉が発射されると、発射センサ27aが遊技玉の発射を検知するので、持玉管理部26bは、持玉数を「1」減算する(ステップS105)。
遊技玉の発射検知による持玉数の減算(ステップS105)の後、ハンドル21の操作を検知しなかった場合(ステップS102;No)若しくは持玉数「0」による発射禁止制御(ステップS103)の後、発射制御部26cは、ファールセンサ27cがファール玉を検知したか否かを判定する(ステップS106)。
ファールセンサ27cがファール玉を検知したならば(ステップS106;Yes)、持玉管理部26bは、持玉数を「1」加算する(ステップS107)。ファール玉の検知による持玉数の加算(ステップS107)の後若しくはファール玉を検知しなかった場合(ステップS106;No)、発射制御部26cは、入賞センサ27bが入賞を検知したか否かを判定する(ステップS108)。
入賞センサ27bが入賞を検知したならば(ステップS108;Yes)、持玉管理部26bは、持玉数を賞玉メモリに基づいて所定数加算する(ステップS109)。入賞の検知による持玉数の加算(ステップS108)の後若しくは入賞を検知しなかった場合(ステップS108;No)、発射制御部26cは、ステップS101に移行して、持玉データ23bが示す持玉数が「0」より大きいか否かを判定する。
次に、封入式遊技機20の音量の調整について説明する。台間カード処理機10の判定部10f4は、周囲の音量や遊技店が開店中であるか否か等を判定し、音量調整部10f5は、判定部10f4による判定結果に基づいて、封入式遊技機20が出力する音声の音量を調整する。
図8は、判定部10f4が周囲の音量を検知して、封入式遊技機20の音量を調整する場合について説明する説明図である。図8に示すように、判定部10f4は、台間カード処理機10に設けたマイクにより周囲の音量を検知し、検知した音量が所定値以下であるか否かを判定する。集音した音量が所定値以下であれば、音量調整部10f5は、封入式遊技機20の音声出力処理部26dに対して、出力する音声の音量を下げるよう制御する。
図9は、判定部10f4が島コントローラ30が音量を検知して、封入式遊技機20の音量を調整する場合について説明する説明図である。図9に示すように、島コントローラ30は、自装置に設けたマイクにより遊技島の周囲の音量を検知し、遊技島に属する台間カード処理機10に送信する。
台間カード処理機10の判定部10f4は、島コントローラ30から受信した音量が所定値以下であるか否かを判定する。受信した音量が所定値以下であれば、音量調整部10f5は、封入式遊技機20の音声出力処理部26dに対して、出力する音声の音量を下げるよう制御する。
図10は、遊技店のシステム状態に基づいて、封入式遊技機20の音量を調整する場合について説明する説明図である。図10に示すように、管理装置100は、遊技店が開店中であるか否か等のシステム状態を島コントローラ30を介して台間カード処理機10に送信する。この管理装置100は、カード管理装置40又は会員管理装置50であってもよいし、他の管理装置であってもよい。
台間カード処理機10の判定部10f4は、島コントローラ30から受信したシステム状態が開店中を示しているか否かを判定する。システム状態が開店中でなければ、音量調整部10f5は、封入式遊技機20の音声出力処理部26dに対して、出力する音声の音量を下げるよう制御する。
次に、封入式遊技機20の音量の調整制御の処理手順について説明する。図11は、封入式遊技機20の音量の調整制御の処理手順について説明するためのフローチャートである。図11に示すように、判定部10f4は、まず、上位の管理装置から受信したシステム状態が開店中を示しているか否かを判定する(ステップS201)。
システム状態が開店中でなければ(ステップS201;No)、音量調整部10f5は、封入式遊技機20の音声出力処理部26dに対して、出力する音声の音量を下げるよう制御し、音声出力処理部26dを小音量に設定させ(ステップS204)、処理を終了する。
一方、システム状態が開店中であるならば(ステップS201;Yes)、判定部10f4は、自装置で集音した音量若しくは島コントローラ30から受信した音量が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS202)。
音量が所定値以下であるならば(ステップS202;Yes)、音量調整部10f5は、封入式遊技機20の音声出力処理部26dに対して、出力する音声の音量を下げるよう制御し、音声出力処理部26dを消音量に設定させ(ステップS204)、処理を終了する。
一方、音量が所定値を超えているならば(ステップS202;No)、音量調整部10f5は、封入式遊技機20の音声出力処理部26dに対して、通常音量で音声出力するよう制御し、音声出力処理部26dを通常音量に設定させ(ステップS203)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例1に係る遊技システムでは、封入式遊技機20は、発射センサ27a、ファールセンサ27c及び入賞センサ27bによる検知結果に基づいて持玉数を管理し、持玉数に基づいて遊技玉の発射可否を制御するよう構成したので、持玉数が「0」となった場合には、遊技玉の発射を禁止することができる。
また、台間カード処理機10は、周囲の音量や遊技システムの状態に基づいて封入式遊技機20の音量を調整するよう構成したので、封入式遊技機20が出力する音量を環境に合わせて変更することができる。
この点について説明すると、封入式遊技機20等の遊技機では、音量を手動で調整するためのスイッチは、装置内部に実装されており、音量を調整するためには遊技機の扉を開ける必要がある。扉を開けた時には、遊技機は不正防止用に大音量の警告音、例えばブザーや「扉が開いています」などの警告メッセージを出力するので、遊技客自身が周りの状況や都合に合わせて自由に音量を調整することはできない。
また、閉店後に遊技機の調整作業を行うために遊技機の扉を複数台同時に開けることがあるが、この場合には不要な大音量が静かな店内に響き渡ることとなる。しかし、調整作業の前に全台の音量を手動で小さく調整し、作業後に音量を元に戻すのは、作用効率が悪くなる。
これに対し、封入式遊技機20は、外部からの指示により音量の変更が可能な音声出力処理部26dを有し、台間カード処理機10が周囲の音量やシステムの運用状態に基づいて、封入式遊技機20が出力する音声の音量を調整するので、封入式遊技機20は、不要に大きな音声を出力することがない。
例えば、開放式の遊技機が設置された遊技島では、パチンコ玉などの遊技媒体を遊技機の裏側で回収し、洗浄して遊技機に還元する機構が設けられている。この還元機構は、開店中には常に稼働しており、大きな騒音源となっている。
封入式遊技機20では、還元機構が必ずしも必要ではないため、封入式遊技機20のみを設置した場合には、周囲の騒音が低下することが期待できる。したがって、封入式遊技機20のみを設置した遊技島などでは、封入式遊技機20が出力する音量を小さくすることが好適である。
一方で、封入式遊技機20と開放式遊技機が混在する環境では、開放式遊技機の遊技島からの騒音があるため、封入式遊技機20であっても出力する音量を開放式遊技機と同様に大きくすることが望ましい。
そこで、台間カード処理機10が周囲の音量や遊技システムの状態に基づいて封入式遊技機20の音量を調整することで、封入式遊技機20が出力する音量を適切な値に設定できるのである。封入式遊技機20が出力する音量を適切に制御することにより、不要な騒音を軽減し、騒音による不快感を抑制し、会話が妨げられることを防止することができる。
また、遊技店が閉店中である場合には、遊技機の音量が大きい必要性はないので、システム状態が閉店中であることを条件に、封入式遊技機20が出力する音量を下げるよう制御している。また、管理装置100からの制御により、各種イベントに合わせて遊技島単位又は店単位で音量を調整する構成としてもよい。かかる構成により、イベント開始前に消音した後、一斉に音量を上げるなどの制御を行うことができる。また、管理装置100が遊技店全体の遊技機の音量を一元管理する制御として、時間帯や場所毎の音量制御や、音量制御の予約管理などを行ってもよい。