JP5994694B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体基板上に密着性に優れるポリイミド樹脂膜を形成する、半導体装置の製造方法に関する。
従来、ポリイミド樹脂膜は、半導体装置等の絶縁膜として広く用いられている。
また、近年、パワー半導体装置等においては、絶縁膜の絶縁性をさらに高めるために、より厚みのある絶縁膜を効率よく形成することが求められてきている。
ポリイミド樹脂膜は、通常、半導体基板上面に、スピンコート法によりポリイミド前駆体樹脂液を塗布することによりポリイミド前駆体樹脂膜を形成し、次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂膜を加熱してイミド化することにより形成される。
しかしながら、比較的厚いポリイミド樹脂膜を形成する場合、スピンコート法を利用すると、ポリイミド前駆体樹脂液が飛散し、周囲を汚染するという問題や、膜厚の制御が難しいという問題があった。
これらの問題を解決し得る方法として、硬化性樹脂膜を有するシート等を用いて、転写法により絶縁膜を形成する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、熱硬化性樹脂を含むシート封止材を、ウェハ表面を被覆するように設置する工程と、前記シート封止材を、加熱装置を用いて加熱硬化させて、封止樹脂層を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、ウェハ状の半導体素子表面に、半硬化状態のポリアミック酸フィルムを加熱・圧着する工程、このポリアミック酸フィルムが積層された半導体素子に熱処理を施して、イミド化を完結させた後、メタルポスト表面を露出させる工程等を有する半導体装置の製造方法が記載されている。
特開2001−203297号公報 特開2001−102499号公報
特許文献1及び2に記載されるように、転写法を利用することで、より厚みのあるポリイミド樹脂膜を形成することができる。
しかしながら、転写法によりポリイミド樹脂膜を形成して得られる半導体装置は、半導体基板とポリイミド樹脂膜との密着性が劣る傾向にあった。また、金属電極や金属ポスト等の導電性構造体が形成されている半導体基板上に、転写法を利用してポリイミド樹脂膜を形成すると、導電性構造体周辺に気泡が残り、絶縁性が低下する場合があった。
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、半導体基板と、この半導体基板上に形成されたポリイミド樹脂膜とを有し、半導体基板とポリイミド樹脂膜との密着性に優れる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、転写法により、半導体基板上にポリイミド前駆体樹脂膜を形成する方法について鋭意検討を重ねた。その結果、あらかじめ半導体基板上にポリイミド前駆体樹脂を含有する下地層を形成し、さらに、この下地層と貼着させる転写シートのポリイミド前駆体樹脂膜の溶媒含有率を所定範囲に調節することにより、半導体基板との密着性に優れるポリイミド樹脂膜を効率よく形成することができることを見出し、本発明を完成するに到った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕〜〔7〕の半導体装置の製造方法が提供される。
〔1〕半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたポリイミド樹脂膜とを有する半導体装置の製造方法であって、下記の工程(I)〜工程(IV)を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
工程(I):半導体基板上に、ポリイミド前駆体樹脂を含有する下地層形成用塗工液を塗工し、得られた塗膜を乾燥することにより、前記半導体基板上に下地層を形成する工程
工程(II):離型シートと、前記離型シート上に形成された、溶媒含有率が10〜50重量%のポリイミド前駆体樹脂膜からなる転写シートの前記ポリイミド前駆体樹脂膜を、工程(I)で形成された下地層に貼着して、積層体を形成する工程
工程(III):工程(II)で形成された積層体を、60〜150℃に加熱する工程
工程(IV):工程(III)の後、積層体を構成するポリイミド前駆体樹脂を熱イミド化し、ポリイミド樹脂膜を形成する工程
〔2〕半導体装置中のポリイミド樹脂膜が、厚みが30μm以上のものである、〔1〕に記載の半導体装置の製造方法。
〔3〕工程(I)において用いる半導体基板が、表面に導電性構造体を有するものである、〔1〕または〔2〕に記載の半導体装置の製造方法。
〔4〕前記下地層形成用塗工液中のポリイミド前駆体樹脂が、熱イミド化反応により、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド樹脂を生成させるものである、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
〔5〕前記転写シートのポリイミド前駆体樹脂膜を構成するポリイミド前駆体樹脂が、熱イミド化反応により、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド樹脂を生成させるものである、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
〔6〕前記転写シートが、2層以上のポリイミド前駆体樹脂膜を有するものである、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
〔7〕工程(III)と工程(IV)の間に、さらに、以下の工程(A)を有するものである、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
工程(A):工程(III)で加熱された積層体のポリイミド前駆体樹脂膜を、該ポリイミド前駆体樹脂膜に含まれる溶媒と親和性のある溶媒に浸漬させる工程
本発明によれば、半導体基板上に密着性に優れるポリイミド樹脂膜を効率よく形成することができる半導体装置の製造方法が提供される。
本発明の製造方法により得られる半導体装置の一例を示す模式図である。
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたポリイミド樹脂膜とを有する半導体装置の製造方法であって、下記の工程(I)〜工程(IV)を有することを特徴とするものである。
工程(I):半導体基板上に、ポリイミド前駆体樹脂を含有する下地層形成用塗工液を塗工し、得られた塗膜を乾燥することにより、前記半導体基板上に下地層を形成する工程
工程(II):離型シートと、前記離型シート上に形成された、溶媒含有率が10〜50重量%のポリイミド前駆体樹脂膜からなる転写シートの前記ポリイミド前駆体樹脂膜を、工程(I)で形成された下地層に貼着して、積層体を形成する工程
工程(III):工程(II)で形成された積層体を、60〜150℃に加熱する工程
工程(IV):工程(III)の後、積層体を構成するポリイミド前駆体樹脂を熱イミド化し、ポリイミド樹脂膜を形成する工程
1.半導体装置
本発明により得られる半導体装置は、半導体基板と、この半導体基板上に形成されたポリイミド樹脂膜とを有するものである。
〔半導体基板〕
半導体装置を構成する半導体基板は、特に限定されない。例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、錫(Sn)、テルル(Te)などの元素半導体材料や、SiC、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlP、AlAs、AlSb、InP、InAs、InSb、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、AlGaAs、GaInAs、AlInAs、AlGaInAs等の化合物半導体材料からなるものが挙げられる。
半導体基板の厚みは、特に規定は無いが、通常、200〜2,000μm、好ましくは300〜1,500μm程度である。
半導体基板は、熱膨張率が+1〜+21ppm/℃の単層基板、又はこの単層基板が2以上積層してなる複合基板が好ましい。かかる基板を用いることで、その上に形成されるポリイミド樹脂膜の熱膨張率との差が近くなるため、反りが小さい半導体装置を得ることができる。
また、本発明に用いる半導体基板は、表面に金属層や導電性構造体を有するものであってもよい。
半導体基板表面に形成された導電性構造体は、半導体基板表面の所定領域に突起物として存在するものであって、最終的に、金属ポスト、金属バンプ、金属ピラー等として用いられるものである。半導体基板表面に最終的に形成される導電性構造体は、1種の金属部材からなるものであってもよいし、2種以上の金属部材からなるものであってもよい。2種以上の金属部材からなる導電性構造体としては、例えば、金属ポスト上に金属バンプが形成されてなるもの等が挙げられる。
半導体基板は、そのまま用いてもよく、ポリイミド樹脂膜との密着性を高めるために表面処理を行っても良い。表面処理としては、従来から知られている一般的な方法を用いることができる。具体的には、シランカップリング剤処理、アルミニウムアルコラート処理、アルミニウムキレート処理、チタネート系カップリング剤処理などが挙げられる。
〔ポリイミド樹脂膜〕
半導体装置を構成するポリイミド樹脂膜は、工程(III)により半導体基板上に形成されたポリイミド前駆体樹脂膜(以下、「ポリイミド前駆体樹脂膜(a)」ということがある。)に含まれるポリイミド前駆体樹脂を熱イミド化することにより形成されるものである。
なお、ポリイミド前駆体樹脂膜(a)は、後述するように、工程(I)で半導体基板上に形成された下地層と、工程(II)で用いる転写シートのポリイミド前駆体樹脂膜(以下、「ポリイミド前駆体樹脂膜(b)」ということがある。)が一体化して形成されるものである。
以下において、下地層及び下地層形成用塗工液に含まれるポリイミド前駆体樹脂を、「ポリイミド前駆体樹脂(α)」ということがあり、ポリイミド前駆体樹脂膜(b)及びその形成に用いる塗工液に含まれるポリイミド前駆体樹脂を、「ポリイミド前駆体樹脂(β)」ということがある。
ポリイミド前駆体樹脂膜(a)を構成するポリイミド前駆体樹脂〔すなわち、ポリイミド前駆体樹脂(α)及びポリイミド前駆体樹脂(β)〕の種類は制限されず、公知のものを用いることができる。
ポリイミド前駆体樹脂としては、テトラカルボン酸またはその酸無水物とジアミンとの重縮合反応により形成される下記式(1)で示される繰り返し単位を有するものが挙げられる。
Figure 0005994694
式(1)中、Rは、4価の有機基であり、好ましくは、炭素数が6〜30の有機基であり、より好ましくは芳香環を有する炭素数が6〜30の有機基である。Rは、2価の有機基であり、好ましくは、炭素数が6〜30の有機基であり、より好ましくは芳香環を有する炭素数が6〜30の有機基である。
テトラカルボン酸またはその酸無水物としては、下記式(2)で示されるテトラカルボン酸及びその酸無水物が挙げられる。
Figure 0005994694
式(2)中、Rは、前記と同じ意味を表す。
本発明においては、式(2)で示されるテトラカルボン酸またはその酸無水物の中でも、剛直構造の芳香族テトラカルボン酸またはその酸無水物を用いることが好ましい。剛直構造の芳香族テトラカルボン酸またはその酸無水物を用いることで、比較的低い熱膨張率のポリイミド樹脂膜が形成され易くなり、半導体基板とポリイミド樹脂膜の密着性により優れる半導体装置が得られ易くなる。
ここで、「剛直構造」とは、運動性が低く、自身では湾曲できない、棒状の剛直鎖を形成していることを意味する。また、後述する柔軟構造とは、前記剛直構造ではないことを意味する。
剛直構造の芳香族テトラカルボン酸等としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,5,8−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,6,7−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−テトラクロロナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3”,4,4”−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2”,3,3”−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3”,4”−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−プロパン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ペリレン−2,3,8,9−テトラカルボン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ペリレン−4,5,10,11−テトラカルボン酸二無水物、ペリレン−5,6,11,12−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,2,7,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,2,6,7−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,2,9,10−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物及びその水添加物;シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクタ−7−エン−2−エキソ,3−エキソ,5−エキソ,6−エキソテトラカルボン酸2,3:5,6−二無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2−エキソ,3−エキソ,5−エキソ,6−エキソテトラカルボン酸2,3:5,6−二無水物等の脂環式酸二無水物;ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物等の複素環誘導体酸二無水物;これらに対応するテトラカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、熱膨張率と残留応力が小さく、半導体基板等との密着性により優れるポリイミド樹脂膜が得られ易いことから、剛直構造の芳香族テトラカルボン酸等として、ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸、及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。
本発明においては、ポリイミド樹脂膜の熱膨張率を制御するために、柔軟構造の芳香族テトラカルボン酸又はその酸無水物を併用することができる。
柔軟構造の芳香族テトラカルボン酸又はその酸無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)等の2つ以上の芳香族環が、カルボニル基(>C=O)や酸素原子(−O−)により結合した構造の芳香族テトラカルボン酸等が挙げられる。
ジアミンとしては、下記式(3)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0005994694
式(3)中、Rは、前記と同じ意味を表す。
本発明においては、式(3)で示されるジアミンの中でも、剛直構造の芳香族ジアミンを用いることが好ましい。剛直構造の芳香族ジアミンを用いることで、比較的低い熱膨張率のポリイミド樹脂膜が形成され易くなり、半導体基板とポリイミド樹脂膜の密着性により優れる半導体装置が得られ易くなる。
剛直構造の芳香族ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジトリフルオロメチルビフェニル、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−5,5’−ビスベンゾオキサゾール、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビスベンゾオキサゾール、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−5,5’−ビスベンズイミダゾール、3,6−(4−アミノフェニル)ピリダジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、p−フェニレンジアミン(PPDA)、4,4’−ジアミノビフェニル、m−フェニレンジアミン、1−イソプロピル−2,4−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、4,4”−ジアミノ−p−テルフェニル、3,3”−ジアミノ−p−テルフェニル、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メテン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、2,4−ジアミノトルエン、m−キシレン−2,5−ジアミン、p−キシレン−2,5−ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等が挙げられる。
これらの中でも、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−5,5’−ビスベンゾオキサゾール(略称=NPN)、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビスベンゾオキサゾール(略称=OPO)、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−5,5’−ビスベンズイミダゾール、3,6−(4−アミノフェニル)ピリダジン(略称=DAPPZ)、4,4’−ジアミノベンズアニリド(略称=DABA)が好ましい。これらの化学式を下記に順に示す。
Figure 0005994694
Figure 0005994694
Figure 0005994694
Figure 0005994694
Figure 0005994694
本発明においては、ポリイミド樹脂膜の熱膨張率を制御するために、柔軟構造のジアミンを併用することができる。
柔軟構造のジアミンとしては、2,5−ビス(4−アミノベンゾイル)チオフェン)等の主鎖のヘテロ環に結合する置換基の結合位置がオルト位やメタ位となる構造を含有するジアミン;オキシジアニリン等の主鎖にエーテル構造を含有するジアミン;1,3−ジアミノプロピル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等の主鎖にシロキサン構造を有するジアミン等が挙げられる。そのほかの柔軟構造ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及び3,3’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
ポリイミド前駆体樹脂は、上記テトラカルボン酸またはその酸無水物と、ジアミンとの重縮合反応により得ることができる。
用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制約はなく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム等のアミド系溶媒;スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等の含硫黄系溶媒;クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール系溶媒;ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラグライム等のジグライム系溶媒;γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶媒;イソホロン、シクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサメチルリン酸トリアミド、ピリジン、エチレングリコール、ジオキサン、テトラメチル尿素等のその他の溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
溶媒の使用量は特に限定されない。得られたポリイミド前駆体樹脂は、単離することなく、溶液状態のままポリイミド前駆体樹脂液の調製に用いることができる。したがって、目的の粘度のポリイミド前駆体樹脂液が得られるように、溶媒量を決定することが好ましい。
反応条件は特に制限されないが、通常、氷冷下又は室温下で、0.5〜50時間、好ましくは5〜30時間である。
ポリイミド前駆体樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜500,000である。
ポリイミド前駆体樹脂の分子量分布は、好ましくは1.3〜3、より好ましくは1.5〜2.5である。
なお、重量平均分子量及び分子量分布は、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により得られた、ポリスチレン換算値である。
ポリイミド前駆体樹脂は、末端に化学線官能基を有するものであってもよい。化学線官能基を有するポリイミド前駆体樹脂としては、例えば、特開平11−282157号公報に記載されるものが挙げられる。また、末端にテトラゾール基、イミダゾール基等の銅イオンの遊離抑制が期待される官能基を有するものであってもよい。例えば、特開平10−260531号報に記載されるものが挙げられる。
これらのポリイミド前駆体樹脂の熱イミド化反応により形成されるポリイミド樹脂膜の厚みは、30μm以上が好ましく、30〜500μmがより好ましい。ポリイミド樹脂膜の厚みが30μm以上であることで、ポリイミド樹脂膜の絶縁性がより優れたものとなる。
ポリイミド樹脂膜は、フィラーを含有するものであってもよい。
フィラーとしては、無機フィラーや有機フィラー等が挙げられる。これらの形状は特に限定されず、球状、棒状、繊維状のいずれのものであってもよい。
通常、フィラーを含有するポリイミド樹脂膜は、基材との密着性に劣りやすくなる。また、ポリイミド樹脂膜を形成した後に、その表面を切削加工や研磨加工等をする場合、工具の劣化の原因にもなる。
しかしながら、後述するように、本発明の半導体装置の製造方法によれば、これらの問題も解消することができる。
〔半導体装置〕
本発明の製造方法で得られる半導体装置は、半導体基板やポリイミド樹脂膜の他に、電極や金属ポスト等の導電性構造体を有していてもよい。通常、これらの導電性構造体が予め表面に形成された半導体基板上に、塗工液を塗布してポリイミド前駆体樹脂膜を形成し、これを熱イミド化してポリイミド樹脂膜を形成する場合、導電性構造体の脇に気泡が残り易くなる。しかしながら、後述するように、本発明の半導体装置の製造方法によれば、この問題も解決することができる。
本発明の製造方法で得られる半導体装置の一例〔半導体装置(1)〕を図1に示す。図1中、(a)は、半導体装置(1)を上から見た図であり、(b)は、(a)におけるX−Yの断面を横から見た図である。
半導体装置(1)はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であり、表面第1電極(3)(エミッタ電極)と表面第1電極(4)(ゲート電極)が半導体基板(2)の表面に形成され、裏面電極(9)(コレクタ電極)が半導体基板(2)の裏面に形成された構造の半導体チップを有する。
また、半導体チップの表面はポリイミド樹脂膜(10)で封止されており、該ポリイミド樹脂膜(10)を貫通して貫通ビア(7)が形成されている。さらに、表面第2電極(5)(第2エミッタ電極)、表面第2電極(6)(第2ゲート電極)及びガード電極(8)がポリイミド樹脂膜(10)の表面に形成されている。
2.半導体装置の製造方法
本発明の半導体装置の製造方法は、前記の工程(I)〜工程(IV)を有するものである。
〔工程(I)〕
工程(I)は、半導体基板上に、ポリイミド前駆体樹脂を含有する下地層形成用塗工液を塗工し、得られた塗膜を乾燥することにより、前記半導体基板上に下地層を形成する工程である。
工程(I)において用いる半導体基板としては、半導体装置の項で先に説明したものと同様のものが挙げられる。
工程(I)において用いる半導体基板は、表面に金属層(配線層)や導電性構造体を有するものであってもよい。
通常、金属層や導電性構造体を有する半導体基板上に、厚みのあるポリイミド樹脂膜を形成し得る塗工液を塗工すると、配線や導電性構造体の脇に気泡が生じやすくなる。しかしながら、本発明の半導体装置の製造方法によれば、下地層を形成することにより、半導体基板表面の凹凸が埋まるため、この問題を解消することができる。
半導体基板表面に形成された導電性構造体とは、半導体基板表面の所定領域に突起物として存在するものであって、最終的に、金属ポスト、金属バンプ、金属ピラー等として用いられるものである。半導体基板表面に最終的に形成される導電性構造体は、1種の金属部材からなるものであってもよいし、2種以上の金属部材からなるものであってもよい。2種以上の金属部材からなる導電性構造体としては、例えば、金属ポスト上に金属バンプが形成されてなるもの等が挙げられる。
最終的に形成される導電性構造体が、2種以上の金属部材からなるものである場合、本発明の工程(I)を行う際に基板上に形成されている導電性構造体は、完全に形成された状態のものであってもよいし、一部のみ(例えば、下部の金属部材のみ)が形成された状態のものであってもよい。後者の場合、例えば、ポリイミド前駆体樹脂膜やポリイミド樹脂膜が形成された後、必要に応じて、導電性構造体(下部の金属部材)の頭だし処理を行い、これを露出させた後に、残りの部分(上部の金属部材)を形成することにより、2種以上の金属部材からなる導電性構造体を形成することができる。
導電性構造体の半導体基板表面からの高さは、通常、15〜1,000μm、好ましくは15〜800μm、より好ましくは15〜500μmである。導電性構造体の基板表面からの高さが、15μm未満の場合、本発明の方法を用いなくても、ボイドが少ないポリイミド樹脂膜を容易に形成することができる。一方、導電性構造体の高さが、1,000μmを超えると、導電性構造体の脇に気泡が生じ易くなり、ボイドが少ないポリイミド樹脂膜を形成することが困難になる場合がある。
導電性構造体は、金属めっき法や金属接合法等の公知の方法により基板表面に形成することができる。
金属めっき法を採用する場合、通常、半導体基板上にめっきレジストを設置し、このめっきレジストに対して、露光、現像処理を行い所定の位置を開口し、次いで、電解めっき法等により導電性構造体を形成した後、めっきレジストを剥離することで、半導体基板表面に導電性構造体を形成することができる。
金属接合法を採用する場合、通常、導電性構造体材料を別途用意し、これを半導体基板と金属接合させることにより、半導体基板表面に導電性構造体を形成することができる。なお、「金属接合」とは、高温(例えば300℃以上、好ましくは400℃以上)条件下においても接合部位の溶融破断が起きない耐熱金属接合をいう。具体的には、ナノ金粒子、ナノ銀粒子、ナノ銅粒子等のナノ金属粒子による直接接合、耐熱温度300℃以上の高耐熱ハンダによる接合、高周波接合による金属同士の接合等が挙げられる。
工程(I)で用いる下地層形成用塗工液は、ポリイミド前駆体樹脂(α)を含有するものである。ポリイミド前駆体樹脂(α)としては、先に半導体装置の項で説明したものが挙げられる。
なかでも、熱イミド化反応により、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド樹脂を生成させるものが好ましい。ポリイミド樹脂の熱膨張率は、より好ましくは2〜25ppm/℃、さらに好ましくは2〜15ppm/℃である。このようなポリイミド前駆体樹脂を用いることで、半導体基板との密着性により優れるポリイミド樹脂膜を形成することができる。
熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド樹脂を生成させるポリイミド前駆体樹脂は、例えば、上記のように、ポリイミド前駆体樹脂の主鎖が剛直構造になるように、芳香族酸無水物や芳香族ジアミン等を適宜選択することで形成することができる。
下地層形成用塗工液は、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、フィラー、レベリング剤、酸化防止剤、その他の樹脂成分等が挙げられる。
フィラーとしては、無機フィラーや有機フィラー等が挙げられる。これらの形状は特に限定されず、球状、棒状、繊維状のいずれのものであってもよい。
レベリング剤としては、アルキル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属系界面活性剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
下地層形成用塗工液は、例えば、ポリイミド前駆体樹脂の合成後の反応液に、必要に応じて添加剤や溶媒等を加え、混合することにより調製することができる。用いる溶媒としては、合成溶媒と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
混合処理は、プラネタリーミキサー、脱泡ニーダー、ボールミル、ペイントシェーカー、振動ミル、ライカイ機、アジテーターミル等の従来公知の混合装置を用いて行うことができる。
下地層形成用塗工液は、所定の塗工方法により、半導体基板上に、ほぼ均一の厚みの塗膜を形成し得るものであれば、その粘度は特に限定されない。
下地層形成用塗工液の粘度としては、25℃における回転式(E型)粘度計による値で、好ましくは0.1〜10Pa・s、より好ましくは0.5〜5Pa・sである。下地層形成用塗工液の粘度が上記範囲内であることで、本発明の効果がより得られ易くなる。
下地層形成用塗工液の塗工方法は、特に制限されず、従来公知の方法を利用することができる。塗工方法としては、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等が挙げられる。
工程(I)においては、下地層形成用塗工液を塗工した後、得られた塗膜を乾燥することで、下地層を形成する。
このとき、適量の溶媒が残る程度に塗膜を乾燥することが好ましい。下地層中に適量の溶媒を残すことで、半導体基板との密着性に優れるポリイミド樹脂膜を形成することができる。
下地層の溶媒含有率は、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは30〜45重量%である。この範囲内であることで、半導体基板との密着性により優れるポリイミド樹脂膜を形成することができる。
乾燥温度は、通常150℃以下、好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜120℃であり、乾燥時間は、通常1〜60分、好ましくは1〜50分、より好ましくは1〜40分である。
工程(I)で得られる下地層の膜厚は、通常3〜30μm、好ましくは、5〜10μmである。この範囲内であることで、半導体基板との密着性により優れるポリイミド樹脂膜を形成することができる。
このように、本発明の半導体装置の製造方法においては、工程(I)で下地層を形成することで、半導体基板との密着性に優れるポリイミド樹脂膜を形成することができる。
〔工程(II)〕
工程(II)は、離型シートと、前記離型シート上に形成された、溶媒含有率が10〜50重量%のポリイミド前駆体樹脂膜(b)からなる転写シートの前記ポリイミド前駆体樹脂膜(b)を、工程(I)で形成された下地層に貼着して、積層体を形成する工程である。
工程(II)で用いる転写シートは、離型シートと、前記離型シート上に形成された、溶媒含有率が10〜50重量%のポリイミド前駆体樹脂膜(b)からなるものである。
転写シートを構成する離型シートは、ポリイミド前駆体樹脂膜(b)を保持することができ、かつ、後の工程において、ポリイミド前駆体樹脂膜(b)から容易に剥がすことができるものであれば特に限定されない。
離型シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、各種オレフィン系共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリル系樹脂;ウレタン変性アクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂;及びこれらの樹脂の混合物からなる樹脂シートが挙げられる。また、樹脂シートは、単層のものであっても、積層体であってもよい。
また、これらの樹脂シートは、その表面が離型剤により離型処理されたものであってもよい。かかる離型剤としては、アルキッド系離型剤、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、不飽和ポリエステル系離型剤、ポリオレフィン系離型剤、ワックス系離型剤等が挙げられる。
転写シートを構成するポリイミド前駆体樹脂膜(b)は、前記離型シート上に形成された、溶媒含有率が10〜50重量%のものである。
ポリイミド前駆体樹脂膜(b)を構成するポリイミド前駆体樹脂(β)としては、先に半導体装置の項で説明したものが挙げられる。
なかでも、熱イミド化反応により、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド樹脂を生成させるものが好ましい。ポリイミド樹脂の熱膨張率は、より好ましくは2〜25ppm/℃、さらに好ましくは2〜15ppm/℃である。このようなポリイミド前駆体樹脂を用いることで、半導体基板との密着性により優れるポリイミド樹脂膜を形成することができる。
熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド樹脂を生成させるポリイミド前駆体樹脂は、例えば、上記のように、ポリイミド前駆体樹脂の主鎖が剛直構造になるように、芳香族酸無水物や芳香族ジアミン等を適宜選択することで形成することができる。
ポリイミド前駆体樹脂(β)は、ポリイミド前駆体樹脂(α)と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。工程(III)において、下地層とポリイミド前駆体樹脂膜(b)とを効率よく一体化させるためには、ポリイミド前駆体樹脂(α)とポリイミド前駆体樹脂(β)は、それぞれ式(1)で表したときに、共通するR又はRを有することが好ましい。
ポリイミド前駆体樹脂膜(b)は、ポリイミド前駆体樹脂膜(b)形成用塗工液(以下、「樹脂膜(b)形成用塗工液」ということがある。)を調製し、離型シート上に、この樹脂膜(b)形成用塗工液を塗工し、得られた塗膜を乾燥して、溶媒含有率を調節することにより、形成することができる。
樹脂膜(b)形成用塗工液の成分や、調製方法としては、下地層形成用塗工液で示したものと同様のものが挙げられる。
樹脂膜(b)形成用塗工液の粘度は、特に限定されず、所定の塗工方法により、離型シート上に、比較的厚みのあるポリイミド前駆体樹脂膜(b)を形成し得る粘度であればよい。
樹脂膜(b)形成用塗工液の粘度としては、25℃における回転式(E型)粘度計による値で、好ましくは1〜50Pa・s、より好ましくは3〜30Pa・sである。樹脂膜(b)形成用塗工液の粘度が上記範囲内であることで、厚みのあるポリイミド樹脂膜(b)を効率よく形成することができる。
樹脂膜(b)形成用塗工液の塗工方法、及び得られた塗膜の乾燥方法、乾燥条件としては、下地層の形成において示したものと同様のものが挙げられる。
乾燥後のポリイミド前駆体樹脂膜(b)の溶媒含有率は、10〜50重量%、好ましくは30〜45重量%である。溶媒含有率が10重量%未満のときは、半導体基板と、ポリイミド樹脂膜との密着性に劣る半導体装置が得られるおそれがある。一方、溶媒含有率が50重量%を超えるときは、ポリイミド樹脂膜の表面がべたつき易く、その後の工程における作業性が低下する。また、後述する溶媒浸漬処理をした場合や、時間の経過とともにポリイミド樹脂膜が収縮し、半導体装置の故障の原因になるおそれがある。
乾燥後のポリイミド前駆体樹脂膜(b)の膜厚は、通常30μm以上、好ましくは、30〜500μmである。ポリイミド前駆体樹脂膜(b)の膜厚がこの範囲内であることで、絶縁性に優れるポリイミド樹脂膜を形成し易くなる。
転写シートは、ポリイミド前駆体樹脂膜(b)を1層有するものであってもよく、2層以上有するものであってもよい。
例えば、離型シート上に、フィラーを含有しないポリイミド前駆体樹脂膜(b1)を形成した後、フィラーを含有するポリイミド前駆体樹脂膜(b2)を形成することで、2層のポリイミド樹脂膜を有する転写シートを形成することができる。この転写シートを下地層が形成された半導体基板上に貼着することで、半導体基板/下地層/ポリイミド前駆体樹脂膜(b2)/ポリイミド前駆体樹脂膜(b1)/離型シート、という層構造を有する積層体が形成される。
この積層体を工程(III)で加熱することで形成されるポリイミド前駆体樹脂膜(a)、及びこれを熱イミド化させて得られるポリイミド樹脂膜は、内部にフィラーを含有し、かつ、表層部にはフィラーが含まれないものである。したがって、このような層構造を有する積層体であれば、刃をほとんど劣化させずに、後述する平坦化加工(切削加工、研磨加工等)を行うことができる。
工程(II)において、転写シートのポリイミド前駆体樹脂膜(b)を、工程(I)で形成された下地層に貼着する方法は特に限定されない。
例えば、転写シートのポリイミド前駆体樹脂膜(b)を、工程(I)で形成された下地層に重ね合わせ、このものを圧着することにより、積層体を得ることができる。
圧着に用いる装置は、特に限定されず、加圧ラミネータ、加圧プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータ等が挙げられる。
圧着する際の温度は、通常、150℃以下、好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜120℃であり、加える圧力は、通常、10kPa〜20MPa、好ましくは100kPa〜10MPaである。圧着時間は、通常、30秒〜5時間、好ましくは1分〜3時間である。
また、圧着は、気泡を効率よく除去するために、減圧下で行うのが好ましい。減圧条件は、通常1Pa〜100kPa、好ましくは10Pa〜40kPaである。
工程(II)において積層体を得た後、任意の段階で、積層体から離型シートを剥離することができる。なお、以下において、「積層体」とは、離型シートを有するものと、離型シートを剥離した後のものの両者を意味する。
工程(II)のように、下地層が形成された半導体基板上に、ポリイミド前駆体樹脂膜(b)を転写することにより、半導体基板とポリイミド樹脂膜との密着性に優れる半導体装置を効率よく製造することができる。特に、通常、ポリイミド樹脂膜中にフィラーを含有させる場合、半導体基板とポリイミド樹脂膜の密着性が劣る傾向があるが、本発明の方法によれば、この問題を解消することができる。
〔工程(III)〕
工程(III)は、工程(II)で形成された積層体を、60〜150℃に加熱する工程である。
工程(III)で積層体を加熱することで、下地層とポリイミド前駆体樹脂膜(b)(転写シート由来の膜)中の残留溶媒が流動し、これらが一体化することで、ポリイミド前駆体樹脂膜(a)が形成される。
加熱温度は、好ましくは、80〜120℃である。加熱時間は、通常1〜60分、好ましくは1〜50分、より好ましくは1〜40分である。
〔工程(IV)〕
工程(IV)は、工程(III)の後、積層体を構成するポリイミド前駆体樹脂を熱イミド化し、ポリイミド樹脂膜を形成する工程である。
加熱温度は、ポリイミド前駆体樹脂の熱イミド化が進行する温度であれば特に限定されない。
加熱温度は、通常150〜450℃、好ましくは300〜450℃、より好ましくは350〜450℃である。加熱温度が150℃を下回ると、イミド化が不完全になるおそれがある、450℃を超えると、加熱しすぎるため、ポリイミド樹脂が劣化するおそれがある。
加熱時間は、熱イミド化反応が完結するまでの時間であれば、特に制限はないが、通常1〜120分、好ましくは1〜90分、より好ましくは1〜60分である。加熱方法は特に制限されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、250℃で30分間加熱した後、450℃で30分間加熱するといったように、段階的に温度を上げていく処理を施しても良い。
〔その他の工程〕
本発明の半導体装置の製造方法は、前記工程(III)と工程(IV)の間に、さらに、以下の工程(A)を有するものであってもよい。
工程(A):工程(III)で加熱された積層体のポリイミド前駆体樹脂膜(a)を、該ポリイミド前駆体樹脂膜(a)に含まれる溶媒と親和性のある溶媒に浸漬させる工程
ポリイミド前駆体樹脂膜(a)に含まれる溶媒(以下「溶媒(A)」ということがある。)は、通常、ポリイミド前駆体樹脂の合成反応に用いた溶媒である。したがって、溶媒(A)は、通常、高沸点(通常、150℃以上)の極性溶媒であり、ポリイミド前駆体樹脂膜(a)から溶媒(A)を効率よく除去することが困難な物質である。特に、絶縁膜のような膜厚が大きいポリイミド樹脂膜において、その傾向が顕著である。
工程(A)は、溶媒(A)を効率よく除去するために行うものである。
工程(A)において用いる溶媒(以下、「溶媒(B)」ということがある。)は、溶媒(A)と親和性のある溶媒である。溶媒(B)としては、25℃で、同体積の溶媒(A)と均一に混ざるものが好ましい。かかる特性を有する溶媒(B)にポリイミド前駆体樹脂膜(a)を浸漬させることで、ポリイミド前駆体樹脂膜(a)中に残存する溶媒(A)を効率よく除去することができる。
また、工程(A)の後に、効率よく溶媒(B)を乾燥除去できることから、溶媒(B)としては沸点が比較的低い溶媒が好ましい。溶媒(B)の沸点は、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下である。常温付近で浸漬処理を行えるものである限り、溶媒(B)の沸点の下限値は特に制限されない。
溶媒(A)として、アミド系溶媒又は含硫黄系溶媒を用いる場合、溶媒(B)としては、アミド系溶媒又は含硫黄系溶媒以外の極性溶媒が好ましい。かかる極性溶媒としては、水;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;等が挙げられる。
これらの極性溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、溶媒(B)としては、水、アセトン及びメタノールから選ばれる2種以上の混合溶媒が好ましく、水とアセトンの混合溶媒がより好ましい。水とアセトンの混合溶媒において、その混合比(水:アセトン)は、通常、1:99〜99:1、好ましくは5:95〜95:5である。
ポリイミド前駆体樹脂膜(a)を溶媒(B)に浸漬させる温度は、溶媒(B)の沸点より下であることが好ましい。浸漬温度は、通常、10〜40℃、好ましくは15〜35℃である。浸漬温度がこの範囲内であることで、溶媒(B)の蒸発を抑えることができるため、安全に作業を行うことができる。
ポリイミド前駆体樹脂膜(a)を溶媒(B)に浸漬させる時間は、通常1〜60分、好ましくは1〜45分、より好ましくは1〜30分である。
工程(A)においては、少なくとも、ポリイミド前駆体樹脂膜(a)を溶媒(B)に浸漬させればよい。したがって、半導体基板ごとポリイミド前駆体樹脂膜(a)を溶媒(B)に浸漬させてもよく、半導体基板の一部が溶媒(B)と接触しない状態でポリイミド前駆体樹脂膜(a)を溶媒(B)に浸漬させてもよい。
本発明においては、前記工程(IV)を終えた後、ポリイミド樹脂膜の表面の平坦化加工を行ってもよい〔工程(V)〕。かかる平坦化加工を行うことで、ポリイミド樹脂膜の膜厚が均一になるとともに、導電性構造体の上部を表面に露出させることができる。平坦化加工は、切削加工、研削加工、研磨加工等の従来公知の方法によって行うことができる。
例えば、電極や金属ポスト等の導電性構造体が形成された半導体基板を用いて、上記の工程(I)〜工程(V)を行った後、平坦化されたポリイミド樹脂膜上に電極を作製し、ついで、半導体基板の裏面を研削して薄板化し、半導体基板の裏面側に電極を作製し、チップを個片化することにより、図1に示す構造の半導体装置を得ることができる。
本発明の半導体装置の製造方法によれば、半導体基板と、この半導体基板上に形成された比較的厚みのあるポリイミド樹脂膜とを有する半導体装置であっても、半導体基板とポリイミド樹脂膜との密着性に優れる半導体装置を効率よく製造することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕ポリイミド前駆体樹脂液(1)の製造
2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビスベンゾオキサゾール 24.1g(0.0576モル)、5−アミノテトラゾール 0.408g(0.0048モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 84.32g、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc) 84.32gを、窒素雰囲気下に混合した。次いで、この混合物に、氷冷攪拌下、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 17.654g(0.06モル)を粉体で添加し、全容を氷冷下で2時間、室温(25℃)で22時間攪拌して重合反応を行い、樹脂濃度20重量%、ワニス粘度15Pa・sのポリイミド前駆体樹脂液(1)を得た。
なお、ポリイミド前駆体樹脂液(1)を用いて、膜厚7μmのポリイミド樹脂膜を作製したところ、熱膨張率は5.6ppm/℃であった。
〔製造例2〕ポリイミド前駆体樹脂液(2)の製造
製造例1の合成条件において、NMPとDMAcの量をそれぞれ135.1gとしたことを除き、製造例1と同様にして重合反応を行い、樹脂濃度13.5重量%、ワニス粘度3.5Pa・sのポリイミド前駆体樹脂液(2)を得た。
なお、ポリイミド前駆体樹脂液(2)を用いて、膜厚7μmのポリイミド樹脂膜を作製したところ、熱膨張率は5.6ppm/℃であった。
〔製造例3〕ポリイミド前駆体樹脂液(3)の製造
窒化ホウ素(ZSA−20:平均粒径0.7μm、ジクス工業社製)30gをトルエン200gに加え、このものを攪拌しながら、窒素雰囲気下、室温で、シランカップリング剤(S−330:チッソ株式会社製)0.6gのトルエン溶液(トルエン50g)を滴下した。全容を室温(25℃)で1時間、120℃で1時間攪拌した後、脱水NMP200gを加えた。このものを窒素気流下、180℃まで加熱して、トルエンを留去した。室温まで冷却した後、NMPを適量加えることで、窒化ホウ素30gを含む全量200gの分散液を調製した。
上記で得た窒化ホウ素含有分散液 42.16g、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビスベンゾオキサゾール 12.051g(0.0288モル)、5−アミノテトラゾール 0.204g(0.0024モル)、NMP 19.53g、DMAc 55.34gを窒素雰囲気下に混合した。次いで、この混合物に、氷冷攪拌下、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物8.827g(0.03モル)を粉体で添加し、全容を氷冷下で2時間、室温(25℃)で22時間攪拌して重合反応を行い、樹脂濃度16重量%、ワニス粘度5.8Pa・sのポリイミド前駆体樹脂液(3)を得た。ポリイミド前駆体樹脂液(3)の樹脂重量に対する窒化ホウ素の含有量は30重量%、テトラゾール分子末端変性率は8モル%であった。
なお、ポリイミド前駆体樹脂液(3)を用いて、膜厚7μmのポリイミド樹脂膜を作製したところ、熱膨張率は12ppm/℃であった。
〔製造例4〕転写シート(1)の製造
厚み100μmのシクロオレフィンシート(ZF−16、日本ゼオン社製)上に、製造例1で得たポリイミド前駆体樹脂液(1)を、段差650μmのドクターブレードを用いて、10mm/秒の速度で塗工した。次いで、得られた塗膜を、100℃で30分乾燥することで、シクロオレフィンシートとポリイミド前駆体樹脂膜からなる転写シート(1)を得た。転写シート(1)のポリイミド前駆体樹脂膜は、表面にべたつきが無く、膜厚は200μm、残留溶媒量は43重量%であった。
また、このポリイミド前駆体樹脂膜をガラス板に転写し、加熱してイミド化した後の膜厚は、62μmであった。
なお、膜厚及び残留溶媒量は、以下の方法により求めた。
(膜厚)
樹脂膜の一部を削り、基材(シクロオレフィンシート又はガラス板)を露出させた。触針式表面形状測定器(ULVAC社製、Dektak150)を用いて、積層体の表面形状を測定し、樹脂膜がある部分と、基材が露出した部分との差を、樹脂膜の膜厚とした。
(残留溶媒量)
シクロオレフィンシートからポリイミド前駆体樹脂膜を剥がし、これを秤量した後、クロロホルムに浸漬させることで、残留溶媒を抽出した。抽出液中の溶媒量をガスクロマトグラフィーにより定量し、その結果から残留溶媒量を算出した。
(製造例5)転写シート(2)の製造
厚み100μmのシクロオレフィンシート(ZF−16、日本ゼオン社製)上に、製造例1で得たポリイミド前駆体樹脂液(1)を、段差200μmのドクターブレードを用いて、10mm/秒の速度で塗工した。次いで、得られた塗膜を、90℃で12分予備乾燥し、その塗膜上に、製造例3で得たポリイミド前駆体樹脂液(3)を、段差450μmのドクターブレードを用いて、10mm/秒の速度で塗工した。次いで、得られた塗膜を、100℃で20分乾燥することで、シクロオレフィンシートとポリイミド前駆体樹脂膜からなる、ポリイミド前駆体樹脂膜の残留溶媒量が46重量%の転写シート(2)を得た。
なお、別途、ガラス基板上に、それぞれ、上記の塗工条件でポリイミド前駆体樹脂液(1)とポリイミド前駆体樹脂液(3)を塗工し、乾燥し、熱イミド化させたところ、ポリイミド前駆体樹脂液(1)を用いて形成された膜の厚みは約16μm、ポリイミド前駆体樹脂液(3)を用いて形成された膜の厚みは約32μmであった。
(製造例6)転写シート(3)の製造
製造例4において、塗膜の乾燥条件を100℃で15分に変更したことを除き、製造例4と同様の方法により、転写シート(3)を得た。転写シート(3)のポリイミド前駆体樹脂膜は、表面に若干のべたつきがあり、残留溶媒量は55重量%であった。また、転写シート(3)を室温で30分放置したところ、シート表面に水分吸収による白化が見られるとともに、シート周辺部にしわが発生した。
また、このポリイミド前駆体樹脂膜をガラス板に転写し、加熱してイミド化した後の膜厚は、62μmであった。
(製造例7)転写シート(4)の製造
製造例4において、塗膜の乾燥条件を130℃で40分に変更したことを除き、製造例4と同様の方法により、転写シート(4)を得た。転写シート(4)のポリイミド前駆体樹脂膜は、表面が乾燥した状態でべたつきが無く、残留溶媒量は9重量%であった。
また、このポリイミド前駆体樹脂膜をガラス板に転写し、加熱してイミド化した後の膜厚は、62μmであった。
(製造例8)銅ポスト付シリコン基板の製造
6インチシリコン基板上に、スパッタリング装置(芝浦メカトロニクス社製、i−miller)を用いて、Cr100nm、Cu200nmを連続スパッタリングし、シリコン基板表面上にCr/Cu膜を形成した。この金属膜付きシリコン基板表面上に、ネガ型レジストをスピンコーティングし、イナートオーブンでプリベークを行った。レジストパターンマスクをかぶせ、露光、現像、水洗工程を経て、ホール形成され、かつCu膜が一部表面露出した、レジスト付きシリコン基板を作製した。
次に、レジスト付きシリコン基板を、アセトン、希硫酸で処理した後、硫酸銅水溶液中で、電解メッキ装置につないで、1.5A/dmの条件で、3時間、露出したCu膜上に銅ポストを電解メッキ成長させた。電解メッキ後、水洗し、アルカリ水溶液中にて、レジストを剥離した。シリコン基板上のCu膜を過硫酸アンモニウムでエッチング、続いてCr膜を硝酸第2セリウムアンモニウムでエッチングし、水洗、乾燥させることにより、高さが50μm、直径が200μm、間隔が300μmの銅ポストが形成されたシリコン基板を得た。
〔積層体の評価〕
以下の実施例及び比較例で得た積層体について、以下の試験及び測定を行った。
(ポリイミド樹脂膜の密着性試験)
積層体を10mm×10mmの大きさに切り、次いで、シリコン基板側にエポキシ接着剤付きアルミ製ピン(直径2.7mm)を、ポリイミド樹脂膜側にエポキシ接着剤付きセラミック板(11mm角)を設置し、アルミ製クリップで3つを挟み込んで固定した。このものを窒素雰囲気下150℃で60分間加熱することにより、アルミ製ピン、積層体、及びセラミック板を接着し、試験片を作製した。
この試験片について、付着力試験機(品名:ロミュラス薄膜密着強度測定機、Quad Group社製)を用いて、セバスチャン法により、ポリイミド樹脂膜のシリコン基板に対する密着性を調べた。
第1表中、5点測定したときの、最低値と最高値を記載した。
(熱膨張率測定)
積層体をフッ化水素酸50%溶液に5分間浸漬してポリイミド樹脂膜を剥離した。このポリイミド樹脂膜を流水で洗浄した後、130℃、3時間真空乾燥した。乾燥後のポリイミド樹脂膜を25mm×4mmに裁断して、試験片を作製した。
熱機械的分析装置(TMA120c、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、試験片の熱膨張率を以下の条件で測定した。
試験片:長さ25mm、幅4mm、測定長10mm
測定様式:引張荷重(2g)
測定雰囲気:窒素ガス中
昇温速度:5℃/分
測定温度:1サイクル(室温→300℃→20℃)、2サイクル(20℃→200℃)の2サイクル目の20〜200℃における平均熱膨張率(ppm/℃)をポリイミド樹脂膜の熱膨張率とした。
(実施例1)
表面をシランカップリング剤で処理したシリコン基板上に、製造例2で得たポリイミド前駆体樹脂液(2)を、スピンコート法により、熱イミド化後の膜厚が7μmになるように塗工した。得られた塗膜を、90℃で6分加熱することで、下地層を形成した。
次いで、製造例4で得た転写シート(1)を、そのポリイミド前駆体樹脂膜が、シリコン基板上の下地層と対向するように重ね、次いで、真空ラミネータ(三機工業社製)を用いて、真空引き60秒、熱圧着温度80℃、圧着圧力1Mpa、保持時間180秒の条件で、これらを圧着させた。圧着後、シクロオレフィンシートを剥離することで、シリコン基板と、ポリイミド前駆体樹脂膜からなる積層体を得た。
次いで、この積層体を、90℃で12分加熱した後、アセトン:水=30:70(重量比)混合溶媒に、25℃で30分浸漬した。
浸漬処理後、積層体を窒素気流下で乾燥した後、150℃30分、300℃30分、400℃60分加熱処理して熱イミド化反応を行い、ポリイミド樹脂膜を形成し、積層体を得た。積層体の試験結果を第1表に示す。
(実施例2)
実施例1において、シリコン基板と、ポリイミド前駆体樹脂膜からなる積層体(シクロオレフィンシートを剥離したもの)を得て、90℃で12分加熱した後、溶媒浸漬処理を行わずに直接熱イミド化処理をすることにより、ポリイミド樹脂膜を形成し、積層体を得た。積層体の試験結果を第1表に示す。
(実施例3)
実施例1において、転写シート(1)に代えて、製造例5で得た転写シート(2)を用いたことを除き、実施例1と同様の方法により、シリコン基板上にポリイミド樹脂膜を形成し、積層体を得た。積層体の試験結果を第1表に示す。
(比較例1)
実施例1において、シリコン基板上に下地層を形成することなく、製造例4で得た転写シート(1)を、シリコン基板に重ねて圧着させたことを除き、実施例1と同様の方法により、シリコン基板上にポリイミド樹脂膜を形成し、積層体を得た。積層体の試験結果を第1表に示す。
(比較例2)
実施例3において、シリコン基板上に下地層を形成することなく、製造例5で得た転写シート(2)を、シリコン基板上に重ねて圧着させたことを除き、実施例3と同様の方法により、シリコン基板上にポリイミド樹脂膜を形成し、積層体を得た。積層体の試験結果を第1表に示す。
(比較例3)
実施例1において、転写シート(1)に代えて、製造例6で得た転写シート(3)を用いたことを除き、実施例1と同様の方法により、シリコン基板上にポリイミド樹脂膜を形成し、積層体を得た。積層体の試験結果を第1表に示す。
(比較例4)
実施例1において、転写シート(1)に代えて、製造例7で得た転写シート(4)を用いたことを除き、実施例1と同様の方法により、シリコン基板上にポリイミド樹脂膜を形成し、積層体を得た。積層体の試験結果を第1表に示す。
Figure 0005994694
実施例1の積層体のポリイミド樹脂膜はベタツキがなく、また、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、シリコン基板とポリイミド樹脂膜の界面には気泡が見られなかった。
実施例1の積層体の平均密着強度は47MPaで安定していた。また、剥離界面は、主にシリコン基板とスタッドピンの界面であり、シリコン基板とポリイミド樹脂膜の界面で剥離は見られなかった。
実施例2、3の積層体のポリイミド樹脂膜はベタツキがなく、また、密着性に優れていた。
比較例1、2の積層体は、浸漬処理後に、積層体の端部に部分的に剥離が見られた。また、ポリイミド樹脂膜の密着性にバラツキが見られた。
比較例3の積層体のポリイミド樹脂膜はベトツキがあり、また、浸漬処理によりポリイミド前駆体樹脂膜が収縮し、シワが発生した。
比較例4の積層体においては、浸漬処理により、下地層と転写シートの界面で部分的に剥離が生じた。
(実施例4)
製造例8で得た銅ポスト付シリコン基板をシランカップリング剤処理した後、製造例2で得たポリイミド前駆体樹脂液(2)を、スピンコート法により塗工した(300rpm×30秒+1300rpm×30秒)。次いで、得られた塗膜を、90℃で6分加熱することで、下地層を形成した。
製造例4で得た転写シート(1)を、そのポリイミド前駆体樹脂膜が、シリコン基板上の下地層と対向するように重ね、次いで、三機工業社製真空ラミネータを用いて、真空引き60秒、熱圧着温度80℃、圧着圧力1Mpa、保持時間180秒の条件で、これらを圧着させた。
圧着後、シクロオレフィンシートを剥離することで、シリコン基板と、ポリイミド前駆体樹脂膜からなる積層体を得た。この積層体を、90℃で12分加熱した後、アセトン:水=30:70(重量比)混合溶媒に、25℃で30分浸漬した。浸漬処理後、積層体を窒素気流下で乾燥し、次いで150℃30分、300℃30分、400℃60分加熱処理することで熱イミド化反応を行い、ポリイミド樹脂膜を形成した。銅ポストは、ポリイミド樹脂膜内に完全に埋没している状態であった。
この基板をシリコン基板面より40μmの厚さで切削加工(DISCO社製サーフェーストレーナー)してポリイミド樹脂膜および銅ポストを削り、銅ポストの頭だし処理を行った。
切削面は綺麗であり、また、ポリイミド樹脂膜には、気泡残留、剥離等の異常は観察されなかった。
(比較例5)
実施例4において、銅ポスト付シリコン基板に下地層を形成することなく、製造例4で得た転写シート(1)を、前記基板上に重ねて圧着させたことを除き、実施例4と同様の方法により、銅ポスト付シリコン基板上にポリイミド樹脂膜を形成し、積層体を得た。
圧着後のポリイミド前駆体樹脂膜には、銅ポストの脇に気泡が見られた。また、熱イミド化後に形成されたポリイミド樹脂膜は、発泡による浮きが見られた。
1:半導体装置
2:半導体基板
3:表面第1電極(エミッタ電極)
4:表面第1電極(ゲート電極)
5:表面第2電極(第2エミッタ電極)
6:表面第2電極(第2ゲート電極)
7:貫通ビア
8:ガード電極
9:裏面電極(コレクタ電極)
10:ポリイミド樹脂膜

Claims (7)

  1. 半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたポリイミド樹脂膜とを有する半導体装置の製造方法であって、下記の工程(I)〜工程(IV)を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
    工程(I):半導体基板上に、ポリイミド前駆体樹脂を含有する下地層形成用塗工液を塗工し、得られた塗膜を乾燥することにより、前記半導体基板上に下地層を形成する工程
    工程(II):離型シートと、前記離型シート上に形成された、溶媒含有率が10〜50重量%のポリイミド前駆体樹脂膜からなる転写シートの前記ポリイミド前駆体樹脂膜を、工程(I)で形成された下地層に貼着して、積層体を形成する工程
    工程(III):工程(II)で形成された積層体を、60〜150℃に加熱する工程
    工程(IV):工程(III)の後、積層体を構成するポリイミド前駆体樹脂を熱イミド化し、ポリイミド樹脂膜を形成する工程
  2. 半導体装置中のポリイミド樹脂膜が、厚みが30μm以上のものである、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 工程(I)において用いる半導体基板が、表面に、金属層及び/又は導電性構造体を有するものである、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記下地層形成用塗工液中のポリイミド前駆体樹脂が、熱イミド化反応により、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド樹脂を生成させるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記転写シートのポリイミド前駆体樹脂膜を構成するポリイミド前駆体樹脂が、熱イミド化反応により、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド樹脂を生成させるものである、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記転写シートが、2層以上のポリイミド前駆体樹脂膜を有するものである、請求項1〜5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  7. 工程(III)と工程(IV)の間に、さらに、以下の工程(A)を有するものである、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
    工程(A):工程(III)で加熱された積層体のポリイミド前駆体樹脂膜を、該ポリイミド前駆体樹脂膜に含まれる溶媒と親和性のある溶媒に浸漬させる工程
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