JP5991555B2 - ナノ粒子分散溶液、及び蛍光体の製造方法 - Google Patents

ナノ粒子分散溶液、及び蛍光体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ナノ粒子分散溶液、及び該蛍光体の製造方法に関し、より詳しくは蛍光体の前駆体となるナノ粒子分散溶液、及びこのナノ粒子分散溶液を使用した前記蛍光体の製造方法に関する。
蛍光体は、紫外線や赤外線、放射線等の外部から入力されたエネルギーを光に変換する物質であり、様々な用途に使用されている。そして、これら蛍光体のうち、発光中心と称される元素(以下、「発光中心元素」という。)をナノ粒子で形成された母体材料中に含有した蛍光体は、高効率に発光させることが可能であり、様々な蛍光デバイスへの応用が期待されている。
この種の蛍光体では、発光中心元素を母体材料であるナノ粒子中に閉じ込め、前記母体材料のエネルギー準位と発光中心元素のエネルギー準位とを共鳴させることにより、良好な発光効率を得ようとしている。
ところで、発光中心元素を含有したナノ粒子の作製方法としては、気相反応法や析出法等が知られる。
気相反応法を使用した先行技術文献としては、例えば非特許文献1が知られている。
この非特許文献1は、前駆体溶液のAr/O高周波熱プラズマ酸化によって合成されたEu3+をドープしたTiOナノ結晶の相構造及び蛍光特性について報告している。
この非特許文献1では、チタンテトラ−n−ブトキシド(TTBO)と硝酸ユウロピウムを含有した前駆体溶液を高温プラズマ中に投入し、これによりEu3+がドープされたTiOのナノ粒子を作製している。
また、析出法を使用した先行技術文献としては、例えば非特許文献2が知られている。
この非特許文献2は、高濃度SnOを有するケイ素を含有した低損失ガラスセラミック製導波路について、Eu3+からの増強された蛍光について報告している。
この非特許文献2では、1mol%のEu3+をドープしたSiO−SnO系ガラスセラミック薄膜導波路をゾル−ゲル法及びディップ法で作製している。
すなわち、ゾル−ゲル法及びディップ法を使用し、数回の熱処理を経た後、Si基板上の透明なSiOの表面にEu3+が添加されたSiO−SnO膜を形成し、更にその後、900〜1100℃の高温で熱処理し、これにより非晶質の導波路内にナノ結晶を析出させている。
しかしながら、本発明者の研究結果により、非特許文献1のようなTiOを母体材料に使用したのでは、十分に大きな発光効率を得るのは困難であることが分かった。
また、非特許文献1記載の気相反応法は、高温プラズマ中で処理していることから、大規模な装置や煩雑な製造工程が必要となり、製造コストが高価になるという問題がある。
さらに、非特許文献1では、上述したように高温プラズマ中で高温加熱処理を行っていることから、ナノ粒子の粒成長が促進されて粒度分布が広くなり、このため蛍光特性の劣化を招くおそれがある。
また、本発明者の研究結果により、非特許文献2のようなSnO系材料を母体材料に使用した場合も、非特許文献1と同様、十分に大きな発光効率を得るのは困難であることが分かった。
さらに、非特許文献2記載の析出法では、900−1100℃での高温加熱プロセスが必要となることから、非特許文献1と同様、大規模な装置や煩雑な製造工程が必要となり、製造コストが高価になる。また、非特許文献1と同様、高温加熱プロセスによってナノ粒子の粒成長が促進されて粒度分布が広くなり、蛍光特性の劣化を招くおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、良好な発光効率を有する蛍光体の前駆体となるナノ粒子分散溶液、及びこのナノ粒子分散溶液を使用することにより前記蛍光体を低コストで容易に製造することができる蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意研究を行ったところ、母体材料としてTi及び特定のアルカリ土類金属元素の酸化物を含有した粒径が5nm以下のナノ粒子を使用し、該母体材料中に特定の発光中心元素を含有させ、これら構成元素のモル比率を調整することにより、従来に比べて格段に良好な発光効率を有する蛍光体を得ることができるという知見を得た。
そして、この蛍光体は、Ti酸化物、特定のアルカリ土類金属を含有した酸化物、及び特定の発光中心元素を含有した酸化物の混合物からなるナノ粒子を分散溶液に分散させたナノ粒子分散溶液を使用することにより効率よく作製することができる。具体的には、分散溶液が、ナノ粒子を分散させる疎水性溶媒と、疎水性溶媒に吸着する疎水性基及びナノ粒子に吸着する親水性基を有する主界面活性剤と、ナノ粒子に吸着する副界面活性剤とを有する界面活性剤を含有すると共に、ナノ粒子が界面活性剤で包囲され、かつナノ粒子の各構成元素のモル比が調整された分散溶液を蛍光体の前駆体溶液として作製し、この分散溶液を使用することにより平均粒径が5μm以下の蛍光体を効率良く作製することができる。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係るナノ粒子分散溶液は、平均粒径が5nm以下のナノ粒子を含有した蛍光体の前駆体となるナノ粒子分散溶液であって、Ti酸化物、アルカリ土類金属酸化物、及び発光中心元素を含有した酸化物の混合物からなるナノ粒子を含むと共に、該ナノ粒子は界面活性剤で包囲され、前記ナノ粒子を分散させる疎水性溶媒を含有し、前記界面活性剤が、前記疎水性溶媒に吸着する疎水性基と前記ナノ粒子に吸着する親水性基とを有する主界面活性剤と、前記ナノ粒子に吸着する副界面活性剤とを有し、前記発光中心元素が、Eu、Tb、及びDyの群から選択された1種以上の元素で構成されると共に、前記アルカリ土類金属元素が、Mg、Ca、Sr、及びBaの群から選択された1種以上の元素で構成され、前記Tiと前記アルカリ土類金属元素の総和に対する前記発光中心元素の比率は、モル比で0.03〜0.10であり、かつ、前記Tiと前記アルカリ土類金属元素との比率は、モル比で1/9〜9/1であることを特徴としている。
また、本発明者が更に鋭意研究を重ねたところ、Ti酸化物、アルカリ土類金属酸化物、及び発光中心元素を含有した酸化物を含むナノ粒子が分散溶液中に分散したナノ粒子分散溶液をマイクロエマルジョン法で作製し、該ナノ粒子分散溶液を基板上に塗布して塗膜を形成し、その後500℃以下の低温で熱処理することにより、粒成長が生じることもなく塗膜を焼成することができ、これにより微小粒径のナノ粒子集合体を得ることができ、上記発光効率の良好な蛍光体を作製できることが分かった。
すなわち、本発明に係る蛍光体の製造方法は、Ti酸化物、アルカリ土類金属酸化物、及び発光中心元素を含有した酸化物を含むナノ粒子が分散溶液中に分散したナノ粒子分散溶液を作製するナノ粒子分散溶液作製工程と、前記ナノ粒子分散溶液を基板上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を熱処理する熱処理工程とを含み、前記熱処理工程は、前記熱処理を500℃以下の温度で行い、Ti及びアルカリ土類金属元素を含有した酸化物を含む母体材料に発光中心元素が添加された蛍光体を作製し、前記ナノ粒子分散溶液作製工程は、疎水性溶媒、界面活性剤、及び水を混合し、水滴が油中に分散した油中水滴型のマイクロエマルジョン溶液を作製するマイクロエマルジョン溶液作製工程と、Tiアルコキシド、アルカリ土類金属元素を含有したアルコキシド、及び発光中心元素を含有したアルコキシドを溶媒中で混合して混合アルコキシド溶液を作製する混合アルコキシド溶液作製工程と、前記混合アルコキシド溶液を前記マイクロエマルジョン溶液に注入し、加水分解反応を生じさせる加水分解工程とを含むことを特徴としている。
これにより高温加熱プロセスを要することもなく、したがって大規模な装置や煩雑な製造過程を要することもなく、所望の蛍光体を低コストで得ることができる。しかも、蛍光体を形成するナノ粒子集合体は500℃以下の低温で熱処理されることから、ナノ粒子が粒成長が生じるのを抑制することができ、粒度分布の揃った所望の量子サイズ効果の発現が可能な蛍光体を得ることができる。
本発明のナノ粒子分散溶液によれば、Ti酸化物、アルカリ土類金属酸化物、及び発光中心元素を含有した酸化物の混合物からなるナノ粒子を含むと共に、該ナノ粒子は界面活性剤で包囲され、前記ナノ粒子を分散させる疎水性溶媒を含有し、前記界面活性剤が、前記疎水性溶媒に吸着する疎水性基と前記ナノ粒子に吸着する親水性基とを有する主界面活性剤と、前記ナノ粒子に吸着する副界面活性剤とを有し、前記発光中心元素が、Eu、Tb、及びDyの群から選択された1種以上の元素で構成されると共に、前記アルカリ土類金属元素が、Mg、Ca、Sr、及びBaの群から選択された1種以上の元素で構成され、前記Tiと前記アルカリ土類金属元素の総和に対する前記発光中心元素の比率は、モル比で0.03〜0.10であり、かつ、前記Tiと前記アルカリ土類金属元素との比率は、モル比で1/9〜9/1であるので、平均粒径が5nm以下のナノ粒子を含有した蛍光体を効率良く得ることができ、従来に比べて格段に良好な発光効率を有する蛍光体を得ることができる。すなわち、2価のアルカリ土類金属元素と4価のTiが母体材料に混在することにより、これら母体材料を形成するOの2p軌道、Tiの3d軌道及びアルカリ土類金属元素の最外殻軌道との間で混成軌道が形成される。この混成軌道は発光中心元素の電子軌道とエネルギー準位が近いため、共鳴的なエネルギー移動が生じる。これにより発光中心元素へのエネルギーの遷移効率が向上し、従来に比べて発光効率格段に向上した蛍光体を得ることができる。しかも、母体材料が、5nm以下のナノ粒子で形成されていることから、量子サイズ効果により光の吸収効率が増大し、これによっても、従来に比べて発光中心元素へのエネルギーの遷移効率を格段に向上させることができ、発光効率を飛躍的に向上した蛍光体を得ることが可能となる。
また、本発明の蛍光体の製造方法によれば、少なくともTi酸化物、アルカリ土類金属酸化物、及び発光中心元素を含有した酸化物を含有したナノ粒子が分散溶液中に分散したナノ粒子分散溶液をマイクロエマルジョン法で作製するナノ粒子分散溶液作製工程と、前記ナノ粒子分散溶液を基板上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を熱処理する熱処理工程とを含み、前記熱処理工程は、前記熱処理を500℃以下の温度で行い、少なくともTi及びアルカリ土類金属元素を含有した酸化物からなる母体材料に発光中心元素が添加された蛍光体を作製するので、高温加熱プロセスを要することもなく、したがって大規模な装置や煩雑な製造過程を要することもなく、所望の蛍光体を低コストで得ることができる。しかも、ナノ粒子を500℃以下の低温で熱処理されることから、粒成長が生じるのを抑制することができ、粒度分布の揃った所望の量子サイズ効果の発現が可能な蛍光体を得ることができる。
また、ナノ粒子分散溶液をマイクロエマルジョン法で作製するので、マイクロエマルジョン溶液に滴下される混合アルコキシド溶液の組成を調整するだけで、容易に所望組成の蛍光体を得ることが可能となる。しかも、混合アルコキシド溶液を形成する原料種を変更するだけで、発光中心元素や母体材料を任意に選択することが可能であり、大規模な装置や煩雑な工程を要することなく、所望の成分組成を有する蛍光体を容易に製造することができる。
本発明に係る蛍光体の一実施の形態を模式的に示す断面図である。 本発明の製造方法で作製されたナノ粒子分散溶液の一実施の形態を模式的に示した正面図である。 図2の要部拡大図である。 上記ナノ粒子分散溶液の製造方法を説明するための模式図である。 試料番号1の蛍光スペクトルを示す図である。 試料番号2の蛍光スペクトルを示す図である。 試料番号3の蛍光スペクトルを示す図である。 試料番号4の蛍光スペクトルを示す図である。 試料番号2〜4の蛍光スペクトルを示す図である。 試料番号5の蛍光スペクトルを示す図である。 試料番号6の蛍光スペクトルを示す図である。 試料番号7の蛍光スペクトルを示す図である。 試料番号2及び5〜7の蛍光スペクトルを示す図である。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は本発明に係る蛍光体の一実施の形態を模式的に示す断面図であって、該蛍光体1は、石英ガラス等で形成された基板2上に形成されている。
この蛍光体1は、粒径が5nm以下のナノ粒子で形成された母体材料に発光中心元素Lが含有されると共に、前記母体材料が、少なくともTi及びアルカリ土類金属元素Mを含有した酸化物を含んでいる。そして、これにより従来に比べ発光効率を格段に向上させることができる。
すなわち、Ti−O系のエネルギー構造は、価電子帯は主としてOの2p軌道で形成され、伝導帯は主としてTiの3d軌道で形成される。そして、外部エネルギーが蛍光体1に付与され、母体材料が励起光を吸収すると、電子は価電子帯のO2p軌道から伝導帯のTi3d軌道に励起され、この電子が、エネルギー準位が価電子帯上端と伝導帯下端の中間のエネルギー準位を有しかつTi−Oと共鳴する発光中心元素に遷移し、これにより蛍光体1は発光する。
しかるに、斯かるTi−O系にTiよりもエネルギー準位の低い2価のアルカリ土類金属元素Mを混在させると、アルカリ土類金属元素Mの最外殻のs軌道(例えば、Baの場合は、6s軌道)が、Oの2p軌道及びTiの3d軌道と重なり合って軌道の混成が生じ、混成軌道を形成する。この混成軌道は発光中心元素の電子軌道とエネルギー準位が近いため共鳴的なエネルギー移動が生じる。そしてその結果、価電子帯上端から伝導帯下端に励起した電子の発光中心元素へのエネルギーの遷移効率が向上する。
特に、本実施の形態では、M−Ti−Oからなる母体材料が、5nm以下のナノ粒子で形成されており、量子サイズ効果により光の吸収効率が増大することから、従来に比べて発光中心元素Lへのエネルギーの遷移効率を格段に向上させることができ、発光効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
そして、このような発光中心元素Lとしては、母体材料のエネルギー準位と共鳴するエネルギー準位を有する各種の希土類元素や遷移金属元素を使用することができる。
例えば、希土類元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuの群から選択された少なくとも1種以上の元素を使用することができる。
また、遷移金属元素としては、例えば、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cdの群から選択された1種以上の元素を使用することができる。
これら多数の元素の中では、アルカリ土類金属元素Mのエネルギー準位が伝導帯の下端のエネルギー準位と発光中心元素Lの励起エネルギー準位との中間に位置するような発光中心元素を使用するのが好ましく、例えばEuを好んで使用することができる。
また、アルカリ土類金属元素Mとしては、特に限定されるものではなく、Mg、Ca、Sr、Ba等を発光中心元素Lの種類に応じて適宜選択することができるが、通常はBaを好んで使用することができる。
次に、この蛍光体1の製造方法を詳述する。
まず、Ti酸化物、アルカリ土類金属酸化物、及び発光中心元素を含有した酸化物を有するナノ粒子を分散溶液中に分散させたナノ粒子分散溶液を作製する。
ここで、ナノ粒子分散溶液の作製方法は、特には限定されないが、粒度分布が狭く、所望の量子サイズ効果の発現が可能な5nm以下の超微粒のナノ粒子を容易に得ることができ、かつ原料を選択するだけでナノ粒子の種類を簡便に変更でき、設計の自由度が大きなマイクロエマルジョン法を使用するのが好ましい。
しかも、このマイクロエマルジョン法では、ナノ粒子が分散溶液中に既に形成されていることから、後述するように疎水性溶媒や界面活性剤を燃焼・分解させるのに必要な加熱処理を行えばよく、低温プロセスで高効率な蛍光体1の作製が可能となる。
以下、このマイクロエマルジョン法を使用したナノ粒子分散溶液の作製方法を解説する。
図2は、マイクロエマルジョン法で作製されたナノ粒子分散溶液を模式的に示した正面図である。
すなわち、このナノ粒子分散溶液3は、ナノ粒子4が、界面活性剤5に包囲された形態で疎水性溶媒6中に分散浮遊しており、斯かる分散溶液3が、容器7に収容されている。
具体的には、図3に示すように、界面活性剤5は、主界面活性剤8と副界面活性剤9とを有している。
そして、主界面活性剤8は、疎水性基8aと親水性基8bとを有し、疎水性基8aは疎水性溶媒6に吸着され、親水性基8bはナノ粒子4に吸着されている。
ここで、主界面活性剤8としては、ポリオキシエチレン基((CHCHO))の部分で親水性を得ることができるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(APE(n))が使用され、特に、化学式HC(CHO(CHCHO)Hで示されるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(NPE(n))が好んで使用される。
そして、APE(n)の側鎖長nを変更することにより、得られるナノ粒子4の平均粒径D50を制御することが可能となる。すなわち、側鎖長nの長さが長くなると、側鎖長nの長さが短いときに比べ、ナノ粒子4の平均粒径D50は小さくなる傾向にある。これは、側鎖長nの長さが大きくなると親水性基も長くなることから、ナノ粒子4の生成に寄与する水滴への吸着力が強くなって水滴径がより小さくなり、その結果、生成されるナノ粒子4の平均粒径D50も小さくなるためと考えられる。
このようにAPE(n)の側鎖長nの差を利用してナノ粒子4の平均粒径D50を制御することが可能となる。したがって、側鎖長nの異なるAPE(n)を選択するのみでナノ粒子4の平均粒径D50を制御することが可能となる。
また、副界面活性剤9は、後述するマイクロエマルジョン作製時において、主界面活性剤8の親水性基8bの内部に入って水との界面エネルギーを低下させ、かつ、親水性基8bの側鎖長nによる立体障害を和らげる効果があり、これにより水滴の安定化に寄与する。そして、この副界面活性剤9は、ナノ粒子4が生成される際に、主界面活性剤8の親水性基8bと共に、ナノ粒子4を包囲する形態でナノ粒子4に吸着され、ナノ粒子4を疎水性溶媒6中に安定して分散させるのに寄与する。
このような副界面活性剤9としては、化学式C2m+1OH(ただし、mは4〜10)で表される中鎖アルコール、例えば、1−オクタノール(C17OH)を使用することができる。すなわち、炭素数mは、主界面活性剤8の親水性基8bの側鎖長nの長さにも依存するが、炭素数mが4未満では、親水性が大きくなり過ぎるため、マイクロエマルジョン作製時に、水滴内に溶解してしまい、このため副界面活性剤9が主界面活性剤8と水との界面のみに存在しなくなるおそれがある。一方、炭素数mが10を超えると疎水性が大きくなり過ぎたり、立体障害が大きくなったりするおそれがあり、好ましくない。
疎水性溶媒6としては、シクロへキサン、ヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、オクタンなどの無極性炭化水素、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類や、ケロシンなどの石油系炭化水素等を使用することができるが、これら疎水性溶媒6の中では、シクロヘキサン、ベンゼンを好んで使用することができる。
尚、ナノ粒子4が溶液中に分散していることは、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; 以下、「TEM」という。)で直接視認したり、制限視野電子回折パターン等により確認することができる。
そして、このナノ粒子分散溶液3は以下のような方法で製造される。
まず、疎水性溶媒6、界面活性剤5(主界面活性剤8及び副界面活性剤9)、及び水を容器7に入れて混合・撹拌する。すると、図4(a)に示すように、主界面活性剤8の疎水性基8aは疎水性溶媒6に吸着される一方、主界面活性剤8の親水性基8bは水に吸着され、さらに副界面活性剤9は主界面活性剤8の親水性基8bに入り込んで水との界面エネルギーが低下する。そしてその結果、水は超微小径の水滴10となって、界面活性剤5(主界面活性剤8及び副界面活性剤9)の内部に閉じ込められる。すなわち、水滴10は界面活性剤5に包囲されるような形態で、疎水性溶媒6中に分散し、これにより油中水滴型のマイクロエマルジョン溶液が作製される。
尚、界面活性剤5、及び水は、最終生成物であるナノ粒子の平均粒径D50が5nm以下(好ましくは、3nm以下)となるように、例えば、水/界面活性剤=0.005〜0.05となるように配合されて容器7に投入される。
次に、ナノ粒子4の原料となる混合アルコキシド溶液を調製する。
すなわち、超微小で粒度分布の幅が狭い所望粒子径のナノ粒子4を得るためには、加水分解反応に消費される水滴10の水滴径増加を招くのを避ける必要があり、そのためにはアルコキシドのような無水和物を使用するのが望ましい。
そこで、Tiアルコキシド、アルカリ土類金属元素Mを含有したMアルコキシド、発光中心元素Lを含有したLアルコキシドを用意し、これら各アルコキシドをイソプロピルアルコール等のアルコール溶液に溶解させ、これにより混合アルコキシド溶液を作製する。
ここで、混合アルコキシド溶液中のアルカリ土類金属元素MとTiとの総計に対する発光中心元素Lの比率L/(M+Ti)は、特に限定されるものではないが、好ましくはモル比で0.03〜0.1に設定される。そして、より良好な発光効率を得るためには、比率L/(M+Ti)は、前記0.03〜0.1の範囲内で大きいのがより好ましい。
また、混合アルキシド溶液中のアルカリ土類金属元素MとTiと比率M/Tiは、特に限定されるものではなく、例えばモル比で1/9〜9/1の範囲で任意に調整することができる。
尚、混合アルコキシド溶液の調製は、空気中の水分が混合アルコキシド溶液に浸入するのを防ぐ観点から、Ar雰囲気等の不活性雰囲気で行うのが好ましい。すなわち、混合アルコキシド溶液の調製を不活性雰囲気で行うことにより、余分な成分がマイクロエマルジョン溶液に浸入することもなく、これによりナノ粒子4の粒子径が大きくなるのを抑制できる。
次に、このようにして作製された混合アルコキシド溶液をマイクロエマルジョン溶液に滴下し、Ar雰囲気等の不活性雰囲気下、所定時間、撹拌混合する。すると混合アルコキシド溶液と水滴10との間で加水分解反応が生じる。
すなわち、界面活性剤5で包囲された水滴10を反応場として加水分解反応が進行し、図4(b)に示すように、水滴10が消費され、チタン酸化物、アルカリ土類金属酸化物、及び発光中心元素を含有した酸化物の混合物からなるナノ粒子4が生成され、これによりナノ粒子分散溶液3が作製される。
ここで、混合アルコキシド溶液は、マイクロエマルジョン溶液中の水量が混合アルコキシドの加水分解に必要な水量の1〜1.2倍となるように、マイクロエマルジョン溶液に滴下される。これはマイクロエマルジョン溶液中の水量が混合アルコキシドの加水分解に必要な水量の1倍未満の場合は、所望の加水分解反応が進行せず、一方、1.2倍を超えると、水量が多くなって水滴10が大きくなり、このため、大きくなった水滴径に応じ、生成されるナノ粒子4の平均粒径D50も大きくなるおそれがあるからである。
尚、アルコキシドの種類は、特に限定されるものではなく、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等を使用することができる。
この後、このナノ粒子分散溶液3を使用して蛍光体1を作製する。
すなわち、ナノ粒子分散溶液3をスピンコーティング法等により基板2上に一様に塗布して塗膜を形成する。
具体的には、ナノ粒子分散溶液3を基板2上に滴下した後、基板2を所定時間、所定回転数で回転させることにより、基板2上にはナノ粒子分散溶液3が一様に塗布される。そしてその後、500℃以下の低温で熱処理を行う。これにより疎水性溶媒6や界面活性剤5等が燃焼・分解し、Ti及びアルカリ土類金属元素Mの酸化物を母体材料とし、該母体材料に発光中心元素Lが添加されたL:Ti−M−Oからなる蛍光体1が製造される。
すなわち、ナノ粒子分散溶液3中にはナノ粒子4が既に作製されていることから、疎水性溶媒6や界面活性剤5等の有機物を燃焼・分解できる程度の低温プロセスで蛍光体1を作製することができる。
尚、熱処理温度が500℃を超えると、ナノ粒子の粒成長を助長し、粒径が5nmを超えるおそれがあり、好ましくない。
また、熱処理温度の下限は、特に限定されるものではないが、疎水性溶媒6を十分に揮発できる温度、例えば100℃以上が好ましい。
このように熱処理温度は、母体材料、すなわち使用するアルカリ土類金属元素Mの種類に応じ100〜500℃の範囲で適切な温度に調整することができる。
このように本実施の形態では、ナノ粒子分散溶液3を基板2に塗布した後、500℃以下の低温で熱処理して蛍光体1を作製しているので、蛍光体1を低温で形成することができ、したがって粒成長が抑制され、粒度分布の狭い超微小粒径のナノ粒子を母体材料とする蛍光体1を容易に得ることができる。
しかも、このように蛍光体1を低温プロセスで作製できることから、樹脂等の低融点の基板上にも成膜が可能であり、フレキシブルデバイスへの応用も可能となる。
また、気相成長法や析出法のような高温・高圧環境は不要であり、したがって大規模な設備を要することもなく、簡便な方法で所望のナノ粒子を得ることが可能である。
また、室温撹拌のみで加水分解反応が進行するため、熱処理等のプロセスを必要とせず、極めて簡便に所望のナノ粒子4を得ることができる。
また、必要最小限の水量で反応させているので、ナノ粒子4内への水酸基の取り込みや欠陥の発生を抑制することが可能である。しかも、使用する主界面活性剤8の親水性基8bの側鎖長nを種々変更することにより、生成されるナノ粒子4の粒子径を制御することができ、したがって材料の設計の自由度も大きく、所望の超微小粒径を有する蛍光体1を得ることが可能となる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、基板2上に薄膜状の蛍光体1を作製しているが、蛍光体1を基板2から剥離させ、粉砕等して粉末状の蛍光体1を得ることもできる。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
〔試料番号1〕
疎水性溶媒としてシクロヘキサン、主界面活性剤として親水性基の側鎖長nが10のNPE(10)、副界面活性剤として1−オクタノールを用意し、さらに水を用意した。
そして、シクロヘキサン:NPE(10):1−オクタノール:水=30:1.4:1.7:0.03となるように、これらを混合・撹拌し、これにより油中水滴型のマイクロエマルジョン溶液を作製した。
次に、Ba(アルカリ土類金属元素)を含有したBaアルコキシドとしてのBaイソプロポキシド(Ba(OC)、TiアルコキシドとしてのTiイソプロポキシド(Ti(OC)、及び3価のEu(発光中心元素)を含有したEuアルコキシドとしてのEuイソプロポキシド(Eu(OC)を用意した。
そして、BaとTiとの比率Ba/Tiがモル比で1となり、BaとTiとの総計に対するEuの比率Eu/(Ba+Ti)がモル比で0.10となるように、Baイソプロポキシド、Tiイソプロポキシド、及びEuイソプロポキシドを秤量し、これらをイソプロピルアルコール溶液に溶解させ、混合アルコキシド溶液を作製した。
次に、この混合アルコキシド溶液を前記マイクロエマルジョン溶液に滴下し、さらに1週間以上撹拌し、これにより加水分解を生じさせ、ナノ粒子分散溶液を作製した。
ここで、混合アルコキシド溶液の滴下量は、反応場となる水量が、モル比換算で、Baイソプロポキシド、Tiイソプロポキシド、及びEuイソプロポキシドの加水分解に必要な量の1.2倍となるように調整した。
このようにして得られたナノ粒子分散溶液を石英ガラス基板上に塗布し、300℃の熱処理温度で大気中、0.5時間加熱し、界面活性剤や疎水性溶媒を燃焼・分解させ、これにより試料番号1の試料を作製した。
次に、この試料番号1の試料を透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」という。)で観察したところ、粒径が1〜2nmのナノ粒子集合体が形成されていることが分かった。
次いで、キセノンランプを使用し、275nmの波長の励起光を試料番号1の試料に照射し、分光器(SPECS社製TRIAX320)を使用して蛍光スペクトルを測定した。
図5はその測定結果を示している。横軸が発光波長(nm)、縦軸が発光強度(counts)である。
この図5から明らかなように、590nm、613nm、及び697nmの各波長で、Euに固有の蛍光ピークが観察され、特に、613nmの波長では半値幅の狭い急峻な蛍光ピークが認められた。
そして、この試料は、光吸収特性から375nm以下の波長の光を吸収することが分かっている。
したがって、試料番号1の試料は、励起波長である275nmの光を吸収して電子・正孔対が形成され、Euの発光波長にエネルギーが遷移することによって、発光効率が著しく向上していることが分かった。
〔試料番号2〕
熱処理温度を500℃で行った以外は、〔試料番号1〕と同様の方法・手順で試料番号2の試料を作製した。
そして、この試料番号2の試料をTEMで観察したところ、粒径が1〜2nmのナノ粒子集合体が形成されていることが分かった。
次に、この試料番号2についても、試料番号1と同様の方法で蛍光スペクトルを測定した。
図6はその測定結果を示している。横軸が発光波長(nm)、縦軸が発光強度(counts)である。
この図6から明らかなように、試料番号2においても、試料番号1と同様、590nm、613nm、及び697nmの各波長で、Euに固有の蛍光ピークが観察された。特に、613nmの波長では、300℃の温度で熱処理した試料番号1が約8.5×10カウントであったのに対し、500℃の温度で熱処理した試料番号2では約1.6×10カウントに発光強度が上昇した。
すなわち、試料番号1と2との比較から明らかなように、熱処理温度が300℃の場合でも十分の発光強度を得ることができるが、熱処理温度を500℃に上昇させることにより、更なる発光強度の向上を図ることができることが分かった。換言すると、500℃以下で熱処理することにより、発光強度を任意に制御できることが確認された。
〔試料番号3〕
BaとTiとの総計に対するEuの比率Eu/(Ba+Ti)がモル比で0.03となるように混合アルキシドの混合比率を調整した以外は、試料番号2と同様の方法・手順(熱処理温度:500℃)で試料番号3の試料を作製し、試料番号1と同様の方法・手順で蛍光スペクトルを測定した。
図7はその測定結果を示している。横軸が発光波長(nm)、縦軸が発光強度(counts)である。
この図7から明らかなように、試料番号3においても、試料番号1、2と同様、590nm、613nm、及び697nmの各波長でEuに固有の蛍光ピークが観察された。
〔試料番号4〕
BaとTiとの総計に対するEuの比率Eu/(Ba+Ti)がモル比で0.05となるように混合アルキシドの混合比率を調整した以外は、試料番号2と同様の方法・手順(熱処理温度:500℃)で試料番号4の試料を作製し、試料番号1と同様の方法・手順で蛍光スペクトルを測定した。
図8はその測定結果を示している。横軸が発光波長(nm)、縦軸が発光強度(counts)である。
この図8から明らかなように、試料番号4においても、試料番号1〜3と同様、590nm、613nm、及び697nmの各波長で、Euに固有の蛍光ピークが観察された。
図9は、試料番号2〜4の各試料の蛍光スペクトルを比較した図である。横軸が発光波長(nm)、縦軸が発光強度(counts)を示している。
この図9から明らかなように、試料番号3、4は、試料番号2よりも蛍光強度は若干低いものの、1.0×10カウント以上の発光強度を有しており、300℃の温度で熱処理した試料番号1よりも発光強度が強いことが分かる。そして、試料番号1〜4から明らかなように、熱処理温度や混合アルコシド溶液の各アルコキシド溶液の混合比率を変えることにより、任意の発光強度を有する蛍光体が得られることが確認された。
〔試料番号5〕
混合アルコキシド溶液中にTiイソプロポキシドを混合させなかった以外は、試料番号1と同様の方法・手順(熱処理温度:300℃)で、母体材料がBaOからなる試料番号5の試料を作製した。
そして、この試料をTEMで観察したところ、粒径が1〜2nmのナノ粒子集合体が形成されていることが分かった。
次に、この試料番号5の試料についても、試料番号1と同様の方法で蛍光スペクトルを測定した。
図10はその測定結果を示している。横軸が発光波長(nm)、縦軸が発光強度(counts)である。
この図10から明らかなように、試料番号5でも、試料番号1と同様、Euに固有の蛍光ピークが観察されたものの、例えば、波長が613nmの蛍光ピークの発光強度は約1.8×10カウントであり、試料番号1〜4と比較すると約1〜2%程度の弱い発光強度しか得られないことが分かった。これは、母体材料中にTiを含有せず、本発明範囲外のBaOで形成したためと思われる。
尚、別途、熱処理温度を350℃として試料を作製し、該試料をTEMで観察したところ、粒成長が生じて粒径が5nmを超えていることが確認された。また、この350℃で熱処理した試料についても、蛍光スペクトルを観察したところ、Euに固有の蛍光ピークが極端に弱くなることが確認された。
〔試料番号6〕
混合アルコキシド溶液中にBaイソプロポキシドを混合させず、熱処理温度を200℃とした以外は、試料番号1と同様の方法・手順で、母体材料がTiOからなる試料番号6の試料を作製した。
そして、この試料をTEMで観察したところ、粒径が1〜2nmの範囲のナノ粒子集合体で形成されていることが分かった。
次に、この試料番号6の試料についても、試料番号1と同様の方法で蛍光スペクトルを測定した。
図11はその測定結果を示している。横軸が発光波長(nm)、縦軸が発光強度(counts)である。
この図11から明らかなように、試料番号6では波長が613nmの蛍光ピークの発光強度は約2.5×10カウントであり、試料番号1〜4と比較すると約1〜3%程度の弱い発光強度しか得られないことが分かった。これは、母体材料中にBaを含有せず、本発明範囲外のTiOで形成したためと思われる。
〔試料番号7〕
SnアルコキシドとしてSnイソプロポキシド(Sn(OC)を用意した。そして、EuとSnとの比率Eu/Snが、モル比換算で0.03となるようにSnイソプロポキシドとEuイソプロポキシドとを秤量し、SnイソプロポキシドとEuイソプロポキシドをイソプロピルアルコール溶液に溶解させて混合アルコキシド溶液を作製した。
この混合アルコキシド溶液を使用した以外は、試料番号1と同様の方法・手順(熱処理温度:300℃)で、母体材料がSnOで形成された試料番号7の試料を作製した。
次いで、この試料をTEMで観察したところ、粒成長が生じて粒径が5nmを超えていることが確認された。
次に、この試料番号7の試料についても、試料番号1と同様の方法で蛍光スペクトルを測定した。
図12はその測定結果を示している。横軸が発光波長(nm)、縦軸が発光強度(counts)である。
この図12から明らかなように、発光ピークの存在は認められるものの、発光強度は6.0×10カウント以下となって極めて弱いことが確認された。これは、母体材料を本発明範囲外のSnOで形成したためと思われる。
図13は、試料番号2、及び5〜7の各試料の蛍光スペクトルを比較した図である。横軸が発光波長(nm)、縦軸が発光強度(counts)を示している。
この図13から明らかなように、試料番号2は、試料番号5〜7に比べて約100倍の発光強度を得ることができ、本発明範囲内の試料番号2は、本発明範囲外の試料番号5〜7に比べ、発光効率が格段に向上していることが分かった。
平均粒径が5nm以下の蛍光体を容易に得ることができ、発光素子等の各種デバイスに利用することができる。
1 蛍光体
2 基板
3 ナノ粒子分散溶液
4 ナノ粒子
5 界面活性剤
6 疎水性溶媒
10 水滴

Claims (2)

  1. 平均粒径が5nm以下のナノ粒子を含有した蛍光体の前駆体となるナノ粒子分散溶液であって、
    Ti酸化物、アルカリ土類金属酸化物、及び発光中心元素を含有した酸化物の混合物からなるナノ粒子を含むと共に、該ナノ粒子は界面活性剤で包囲され、
    前記ナノ粒子を分散させる疎水性溶媒を含有し、
    前記界面活性剤が、前記疎水性溶媒に吸着する疎水性基と前記ナノ粒子に吸着する親水性基とを有する主界面活性剤と、前記ナノ粒子に吸着する副界面活性剤とを有し、
    前記発光中心元素が、Eu、Tb、及びDyの群から選択された1種以上の元素で構成されると共に、
    前記アルカリ土類金属元素が、Mg、Ca、Sr、及びBaの群から選択された1種以上の元素で構成され、
    前記Tiと前記アルカリ土類金属元素の総和に対する前記発光中心元素の比率は、モル比で0.03〜0.10であり、
    かつ、前記Tiと前記アルカリ土類金属元素との比率は、モル比で1/9〜9/1であることを特徴とするナノ粒子分散溶液。
  2. Ti酸化物、アルカリ土類金属酸化物、及び発光中心元素を含有した酸化物を含むナノ粒子が分散溶液中に分散したナノ粒子分散溶液を作製するナノ粒子分散溶液作製工程と、
    前記ナノ粒子分散溶液を基板上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、
    前記塗膜を熱処理する熱処理工程とを含み、
    前記熱処理工程は、前記熱処理を500℃以下の温度で行い、Ti及びアルカリ土類金属元素を含有した酸化物を含む母体材料に発光中心元素が添加された蛍光体を作製し、
    前記ナノ粒子分散溶液作製工程は、疎水性溶媒、界面活性剤、及び水を混合し、水滴が油中に分散した油中水滴型のマイクロエマルジョン溶液を作製するマイクロエマルジョン溶液作製工程と、Tiアルコキシド、アルカリ土類金属元素を含有したアルコキシド、及び発光中心元素を含有したアルコキシドを溶媒中で混合して混合アルコキシド溶液を作製する混合アルコキシド溶液作製工程と、前記混合アルコキシド溶液を前記マイクロエマルジョン溶液に注入し、加水分解反応を生じさせる加水分解工程とを含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
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