JP4727336B2 - 蛍光複合体及び蛍光検出方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、試料中の存在する微量な物質(標的物質)を確実に検出するには、精度の高い検出方法を繰り返し行うことも考えられるが、少ない試料を用いる場合には、検出方法を繰り返すことによる損失をできるだけ減らさなければならない。また同一の操作を繰り返すことは手間と時間がかかる。
本発明の蛍光検出方法において、外部刺激応答性化合物が、磁性体ナノ粒子および無機蛍光体ナノ粒子の少なくとも一方の表面に配置されていてもよい。
本発明において「蛍光複合体」とは、本明細書中でおのおの定義された無機蛍光体ナノ粒子及び磁性体ナノ粒子が、連結体を介して構成された構造体を意味する。
本発明の蛍光複合体は、平均粒子径が2〜100nmである磁性体ナノ粒子と、平均粒子径が1〜50nmの無機蛍光体ナノ粒子と、前記磁性体ナノ粒子及び前記無機蛍光体ナノ粒子を連結する連結体とを含むものである。
本発明における蛍光体ナノ粒子は、所定の励起光で蛍光発光する無機の粒子であり、その平均粒子径は、1〜50nmであり、好ましくは1〜20nmであり、更に好ましくは1〜10nmである。1nm以上の数平均粒径であれば蛍光体ナノ粒子の安定性がよく、また50nm以下であれば、標的物質の検出時に光の散乱が低く且つ粒子の分散性が良好で、標的物質の検出を高感度に行うことができると共に細胞内への侵入が容易となる。
蛍光体ナノ粒子の粒径分布は、変動係数で好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0〜10%である。なお変動係数は、算術標準偏差を数平均粒径で除し、これを百分率で表した値(算術標準偏差×100/数平均粒径)を意味する。
本発明において、無機蛍光体ナノ粒子の組成および発光波長、励起波長、発光の半値幅などの発光特性は制約されず、いかなる無機蛍光体ナノ粒子も用いることができる。
また、本発明における蛍光体ナノ粒子は、その表面に蛍光色素が結合している場合には、発光により該蛍光色素にエネルギーを付与することができる粒子であることが好ましい。これにより、異なるエネルギーレベルで励起する複数の蛍光色素を同時に発光させることができる。
本発明の金属酸化物又は金属硫化物の蛍光体ナノ粒子は、さらに、後述する表面修飾剤との被覆性に優れた金属酸化物又は金属硫化物であることが好ましい。
本発明における蛍光体ナノ粒子は、下記一般式[I]で表わされる化合物又はその分解生成物を表面修飾剤として用いて表面修飾されたものであることが好ましい。蛍光体ナノ粒子が金属酸化物又は金属硫化物の蛍光体ナノ粒子である場合、特に好ましい。これにより蛍光体ナノ粒子の水や親水性溶媒への分散性が改良でき、体液などによる蛍光体ナノ粒子の溶出や蛍光の消光を防止して、高感度なものにすることができる。また均一且つ半値幅の広い発光特性を有し、標的物質を検出するための分子プローブ(リガンド)を結合するなどの機能性化しやすいという利点も有する。
式中、MはSi又はTi原子を、Rは有機性基を示す。Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、Rのうちの少なくとも1つは後述する連結体又はリガンドと反応性を有する基を示す。
また、連結基は不飽和結合を有していてもよい。不飽和基としては、アルケニレン基(例:ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、8−ヘキサデセニレン基、1,3−ブタンジエニレン基、シクロヘキセニレン基など炭素数が1〜10、好ましくは1〜8の鎖状または環状のもの)、アリーレン基(例:フェニレン基、ナフチレン基、など炭素数が6〜10、好ましくは6のフェニレン基)が挙げられる。
官能基として好ましくは、アルケニル基、エステル基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基又はアミノ基であり、さらに好ましくはアルケニル基、エステル基、エーテル基である。
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(3−アミノプロピル)−ベンズアミドトリメトキシシラン、3−ヒドラジドプロピルトリメトキシシラン、3−マレイミドプロピルトリメトキシシラン、(p−カルボキシ)フェニルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルチタニウムトリプロポキシド、3−アミノプロピルメトキシエチルチタニウムジエトキシド、3−カルボキシプロピルチタニウムトリメトキシドなど。
本発明に用いられる表面修飾剤は、末端のNH2基又はCOOH基が、酸又は塩基と塩を形成したものであってもよい。
HS−L−W [II]
式中、Lは前述の2価の連結基を表わし、WはCOOZ又はNH2を表す。ここで、Zは水素原子、アルカリ金属原子又はNX4を表し、Xは水素原子又はアルキル基を表す。
なお、本発明において、表面修飾剤が連結体の一部であってもよい。
無機蛍光体ナノ粒子は公知の合成法により製造することができる。例えば、均一沈殿法(共沈法)、逆ミセル法(マイクロエマルジョン法)、ホットソープ法、ゾル−ゲル法、ソルボサーマル法、溶融尿素法、金属錯体法などの液相合成法、CVD法、スパッタ法、レーザーアブレーション法、ジュールクエンチ法、ガス中蒸着法などの気相合成法、噴霧熱分解法、超臨界法などの特殊合成法が適用できる。また、これらの合成法を組合わせて使用することもできる。液相合成法にはマイクロ波照射、超音波照射などを併用してもよいし、マイクロリアクターのような微小反応空間を利用してもよい。
本発明においては、無機蛍光体ナノ粒子はコロイド分散する必要があり、通常の蛍光体の製造に用いる焼成は行わないことが望ましい。また、粒子の結晶成長や凝集を抑制するために、適当な表面修飾剤の存在下で反応させたり、マイクロ又はナノ空間を利用して反応させたりすることが好ましい。
本発明においては、公知の表面修飾剤を併用することができる。公知の表面修飾剤の添加量は特に制限はないが、一般式[I]又は[II]で表される表面修飾剤に対して、好ましくは0.01〜100倍モル、さらに好ましくは0.05〜10倍モルである。
本発明における磁性体ナノ粒子は、平均粒子径が2〜100nmの磁性を有するナノ粒子である。平均粒子径が2nm以上であるので安定可能に作製可能であり、100nm以下であるので、例えば細胞内の物質を標的とした場合であっても細胞内まで侵入して標的物質を捉えることができる。磁性体ナノ粒子の平均粒子径は、安定性および磁力の観点から5〜100nmが好ましく、8〜80nmが特に好ましい。
このうち、安全性の観点から酸化鉄が好ましい。
磁性金属酸化物を形成するために各種の金属イオン間の相互作用を起こさせるには溶液のpHが7以上である必要がある。pHは、適切なバッファー溶液を最初の金属塩の添加時の水溶液として用いるか、または必要な酸化状態のした後に溶液に塩基を添加することによって所望の範囲に維持される。ひとたびpH値としてその7以上の範囲にある特定の値を選択した後は、最終産物の大きさの分布が実質的に均一となることを確保するために、そのpH値を磁性ナノ粒子の調製工程の全体にわたって維持することが好ましい。
他方は、連続した操作様式であり、各成分(金属塩、酸化剤、および塩基を定められた順序で、粒子表面以外の部位での金属イオンの重合を避けるために各成分毎に実質的に均一な流速で、連続的に溶液中に添加する。この段階的又は連続的操作様式を用いることによって、大きさの分布が狭い粒子を形成することができる。
本発明における無機蛍光体ナノ粒子は、他の蛍光色素をその表面に更に直接結合させたものであってもよい。この場合、無機蛍光体ナノ粒子が励起することによってエネルギー移動が生じて、その表面に結合している他の蛍光色素を同時に発光させることができる。ここで使用可能な蛍光色素は、蛍光体ナノ粒子からの可視域の光で励起して可視域で蛍光発光することができるものであることが好ましく、400nmから800nmの間に蛍光スペクトル極大を有するものであることがより好ましい。このような蛍光色素としては、シアニン系色素(例えば、CyDyeTMシリーズのCy3、Cy5等)、フルオレッセイン系色素、ローダミン系色素、インビトロジェン社のAlexa色素シリーズ、BODIPY色素シリーズ、TexasRed色素シリーズ、WO01/021624号の化合物例I−1からI−74に記載されたアザシアニン系色素などを挙げることができる。
また使用する蛍光色素は、エネルギー移動の順位から互いに測定可能であることが好ましい。このような組み合わせとしては例えばAlexa488、546、594、647が挙げられる。これらに限らず、最も短波な蛍光色素の蛍光スペクトル極大から20nm以上長波側に吸収を有する第二の蛍光色素を選択することにより同様な測定が可能である。第三、第四の色素を用いる場合も同様にして色素を選択することができる。
本発明における無機蛍光体ナノ粒子と磁性体ナノ粒子とは連結体によって連結されている。この連結体は、無機蛍光体ナノ粒子と磁性体ナノ粒子とを連結することができるものであればいずれであってもよい。このような連結体には、標的物質に対して親和性(結合性)を有する化合物(リガンド)及び外部刺激応答性化合物からなる群より選択される少なくとも一方が結合していることが好ましい。なお、標的物質が生体関連分子である場合には、リガンドにも生体関連分子を用いることが出来る。例えば、抗原を標的化合物とした場合、抗体をリガンドとして用いることが出来る。
生体関連分子には、核酸及び核酸以外の物質、例えば、抗原及び抗体(モノクローナルやポリクローナル)、ペプチド、その他のタンパク質(アミノ酸)や多糖類、酵素或いはその基質、更には脂質等の化合物、または、ウィルス若しくは細菌等の生物体若しくはその一部を挙げることができる。
外部刺激応答性化合物とは、外部からの刺激、例えば熱、pH、電気(電荷)、光などにより構造が変化して水溶液中で膨潤−収縮、もしくは凝集−分散する化合物をいう。このうち本発明において好ましい外部刺激応答性化合物としては、制御の容易性の観点から熱を刺激因子とする熱応答性高分子及び水素イオン濃度(pH)応答性化合物が挙げられ、これらの少なくとも一方であることが好ましい。この外部刺激応答性化合物は、蛍光体ナノ粒子又は磁性体ナノ粒子を連結する連結体として用いることもできる。また、外部刺激に応じて収縮し、蛍光複合体同士を連結する役割も果たすこともできる。このような蛍光複合体同士の連結を、ここでは「凝集」という。この凝集によって、複数の磁性体ナノ粒子を含む蛍光複合体の凝集体が形成されて、外部磁場に対して強く反応することができる。
LCSTを示す高分子としては、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のポリN置換アクリルアミドの誘導体及びその共重合体、ポリN置換メタクリルアミド誘導体及びその共重合体、ポリメチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、ポリNビニルアルキルアミド及びこれらのLCSTを示す高分子のモノマーと重合性ビオチン誘導体モノマーの共重合ポリマー(国際公開第01/09141号記載のもの)などを挙げることができる。
また、特開平11−255839号に記載のLCSTを有するモノマー成分とUCSTを有するモノマー成分を共重合させたLCSTとUCSTを同時に有する熱応答性高分子も好ましい。
その他、特開平11−255831号に記載の刺激によりLCSTとUCSTの変換、あるいはpHによる可逆的な溶解、沈殿を発生させることのできる複合刺激応答性高分子や特開2002−226362号に記載のリガンド応答性ゲルなども用いることができる。
さらに、アルキルカルボン酸類やゼラチンなどもpHによって水に対する溶解性が異なるのでpH応答性化合物として用いることができる。
ナノ粒子に外部刺激応答性化合物を被覆させる場合には、1nm〜1μm、好ましくは1nm〜100nmの厚みであることが、該ナノ粒子を分散させた状態で磁力をかけた場合にその磁力によって該ナノ粒子が合一や変形を起こさず効率よく捕集できる観点から好ましい。
磁性体ナノ粒子側に配置される場合には、外部刺激が与えられたときに直接磁性体ナノ粒子を凝集させることができる。また無機蛍光体ナノ粒子側に配置される場合には、凝集した無機蛍光体ナノ粒子に連結体を介して磁性体ナノ粒子が間接的に凝集することにより外部からの磁力の作用を受けることができる。配置される外部刺激応答性化合物は、無機蛍光体ナノ粒子と磁性体ナノ粒子において、同じものでも、異なるものでもよい。
本発明における蛍光体ナノ粒子及び磁性体ナノ粒子のいずれか一方に、連結体に加えて、標的物質を捕捉するためのリガンドが結合されていてもよい。連結体として外部刺激応答性化合物のみを用いた場合には、リガンドを設けることが特に好ましい。
標的物質には生体関連分子が含まれ、この生体関連分子には上述したものがそのまま該当する。リガンドは、これらの生体関連分子を捕捉するためのものであり、標的物質と対をなす生体関連分子を挙げることができる。
例えば、細胞中に存在する既知の物質を標的物質とする場合には、リガンドとしてこの標的物質を捕捉可能な抗体等の生体関連物質が該当する。また細胞中に存在するDNA結合タンパク質を検出する場合には、被結合DNA配列又はその断片が捕捉部に該当する。
これにより、本発明における蛍光複合体を用いて、生体関連分子などの標的物質を効率よく検出することができる。
ここで、リガンドは、異なる種類のリガンドを複数設けてもよい。これにより複数の標的物質を同時に検出することができる。
本発明の検出方法は、試料中に存在する標的物質を、蛍光体を用いて検出する蛍光検出方法であって、標的物質を含む試料と、標的物質を結合させるためのリガンドを備えた(さらに外部刺激応答性化合物が、磁性体ナノ粒子および無機蛍光体ナノ粒子のいずれかの表面に配置されていてもよい)前記蛍光複合体とを混合して、標的物質が結合した蛍光複合体を形成させる工程と、前記試料中で前記蛍光複合体に外部の磁場を作用させて、標的物質が結合した蛍光複合体を収集する工程と、収集された蛍光複合体に、前記蛍光体ナノ粒子を励起する励起光を照射して、該蛍光体ナノ粒子を蛍光発光させる工程と、前記蛍光複合体からの蛍光発光を検出する工程と、蛍光発光に基づいて試料中の標的物質を検出する工程と、を含む。なお、無機蛍光体ナノ粒子からの発光をエネルギー移動により前記蛍光色素に変換する場合には、その蛍光色素の蛍光発光を検出することも含む。
標的物質を包含する磁性体ナノ粒子又は蛍光複合体を形成させる態様は、標的物質の種類によって適宜選択できる。磁性体ナノ粒子又は蛍光複合体にはリガンドが結合しているので、これらと標的物質とが接近・接触すれば、容易に反応することができる。
ここで用いられる外部磁場は、磁性体ナノ粒子を磁力によって収集することができれば如何なる装置等であってもよく、磁性体を収集するために通常用いられている装置等がそのまま適用できる。このような外部磁場の生成は、当業者であれば容易に実施することができる。
無機蛍光体ナノ粒子の励起は、可視域のシグナル蛍光を検出する観点から紫外光(特に生体試料へのダメージを低減する観点から300〜410nmの近紫外光)で行われることが好ましい。
なお、蛍光複合体からの蛍光発光の検出及びこれに基づく標的物質の検出は、通常、この目的のために行われている条件及び手段をそのまま適用することができる。このような条件及び手段を、当業者は容易に適宜選択することができる。このとき、検出対象となる蛍光は、蛍光複合体中に蛍光体ナノ粒子のみが存在する場合には蛍光体ナノ粒子からの蛍光が該当するが、蛍光複合体中に、蛍光体ナノ粒子に結合した他の蛍光色素が存在している場合には、これらの蛍光色素からの蛍光であってもよい。
なお、連結体として外部刺激応答性化合物のみを用いた場合には、凝集工程と蛍光複合体形成工程とが同時に実施されてもよい。即ち、外部刺激応答性化合物を収縮させることによって、蛍光体ナノ粒子と磁性体ナノ粒子とを結合させることができ、これによって蛍光複合体が形成される。
塩化鉄(III)6水和物10.8gおよび塩化鉄(II)4水和物6.4gをそれぞれ1N−塩酸水溶液80mlに溶解し混合した。この溶液を攪拌しながらこの中にアンモニア水(28質量%)96mlを2ml/分の速度で添加した。次いで、80℃で30分加熱した後、オレイン酸1.8gを添加し、さらに20分攪拌した。室温に冷却後、1Nの塩酸でpHを5.5に調整した。デカンテーションにより得られた沈殿物を水で精製した。結晶子サイズ約12nmのマグネタイト(Fe3O4)の生成をX線回折法により確認した。この沈殿物にポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸2.3gを溶解した水溶液100mlを加えて分散させた。
(1)で調製したマグネタイトナノ粒子分散液4mlに、N−アクリロイルグリシンアミド2.13g、N−ビオチニル−N'−メタクリロイルトリメチレンアミド12.7mg及び水100mlを添加し50℃で攪拌した。さらに0.1gの過硫酸カリウムを添加し、室温で6時間攪拌した。得られた黒色透明溶液を透析し、上限臨界溶液温度(UCST)18℃の熱応答性高分子が被覆したマグネタイトナノ粒子コロイド溶液を得た。
(2)で調製したUCST型高分子が被覆したマグネタイトナノ粒子コロイド溶液0.5mlに1.0質量%アビジン溶液5ml、1.0Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)1ml、蒸留水3.5mlを混合した後、8℃に冷却した。凝集物を磁石により回収し、30℃の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)2mlを添加してアビジン固定UCST型高分子被覆マグネタイトナノ粒子分散液を得た。
酢酸亜鉛2水和物8.8gを脱水エタノール400mlに溶解し、93℃で2時間還流しながら240mlを留去した。脱水エタノール240mlを加えて室温まで冷却した。水酸化テトラメチルアンモニウムの25質量%メタノール溶液18mlを添加し30分攪拌した。3−アミノプロピルトリメトキシシラン7.2mlおよび水2.2mlを添加して60℃で4時間攪拌した。生成した白色沈殿を濾別し、エタノールで洗浄後乾燥した。
沈殿物はXRDおよびTEMの解析から平均粒子径約4nmのZnOナノ粒子であることがわかった。また、ZnO粒子の表面にSiおよびアミノプロピル基が結合していることを元素分析、IR分光吸収測定法により確認した。沈殿物に水を添加して2質量%水分散液を調製した。この分散液に370nmの光を照射すると、ピーク波長540nm、半値幅145nmのブロードで強い蛍光を示した。
(4)で調製したZnO蛍光体ナノ粒子の水分散液にNaHCO3を0.1質量%となるように添加しpHを7.5とした。これにビオチンラベル化剤としてスルホサクシンイミジル D−ビオチン((株)同仁化学研究所製)の1質量%水溶液を添加してアミド化反応を行った。ゲルろ過で精製することにより機能性分子としてビオチンが結合した10-4MのZnOナノ粒子水分散液を調製した。
試験管に、(3)で得たアビジン固定UCST型高分子被覆マグネタイトナノ粒子分散液1ml、(5)で得たビオチン結合ZnO蛍光体ナノ粒子0.5ml、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)2mlおよび水9mlを添加して良く混合した。その後、液温を8℃に下げた。このとき、凝集物が試験管内に生じた。生成した凝集物を磁石により回収した。上澄み液に370nmの光を照射してもピーク波長540nmの蛍光は認められなかったが、凝集物は370nmの光照射で540nmの蛍光を確認した。UCST型高分子被覆マグネタイトナノ粒子へ、アビジン−ビオチン結合を介してZnOナノ粒子が固定化されたことがわかった。なお、凝集物は30℃の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)2mlを加えると再分散した。
Claims (2)
- 試料中の標的物質を、蛍光体を用いて検出するための蛍光検出方法であって、
標的物質を結合させるためのリガンドを備えると共に平均粒子径が2〜100nmである磁性体ナノ粒子と、前記試料とを混合して、標的物質が結合した磁性体ナノ粒子を試料中に形成させる工程と、
前記試料中で、前記磁性体ナノ粒子に外部の磁場を作用させて、標的物質が結合した磁性体ナノ粒子を収集する工程と、
前記磁性体ナノ粒子と連結体を介して互いに結合可能であり且つ平均粒子径が1〜50nmの無機蛍光体ナノ粒子を、収集した前記磁性体ナノ粒子と混合して、該磁性体ナノ粒子、該無機蛍光体ナノ粒子および該連結体を含み且つ標的物質が結合した蛍光複合体を形成させる工程と、
前記蛍光複合体に、前記蛍光体ナノ粒子を励起する励起光を照射して、該蛍光体ナノ粒子を蛍光発光させる工程と、
前記蛍光複合体からの蛍光発光を検出する工程と、
前記蛍光発光に基づいて試料中の標的物質を検出する工程と、
を含むことを特徴とする蛍光検出方法。 - 前記無機蛍光体ナノ粒子および磁性体ナノ粒子の少なくとも一方が、外部刺激応答性化合物を粒子表面に有することを特徴とする請求項1記載の蛍光検出方法。
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